JP6162399B2 - オーディオ用インシュレータ及びオーディオ・システム - Google Patents

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Description

本発明は音質向上を目的として、スピーカー、アンプ、CDプレイヤー、アナログプレイヤー等に用いられるオーディオ用インシュレータに関するもので、このインシュレータをオーディオ機器に安定に設置するためのインシュレータとオーディオ機器の構造及び設置方法に関するものである。
オーディオの分野においては、原音に限りなく近い音の追及が、オーディオ機器である、アンプ、スピーカー、CDプレイヤー、ケーブルなどの各コンポーネンツにおいてなされてきた。アナログからデジタルの時代に移行し、様々な革新的技術が投入されたにもかかわらず、録音から再生に至る過程の技術にはまだ限界があって、人間の聴覚が知覚する程には、原音を忠実に再現できないのが現状である。オーディオ機器が原音(たとえばオーケストラの生演奏の音)に追従できない要因の一つに、振動がオーディオ機器に与える影響がある。周知のように、オーディオ機器は自ら振動を発生するとともに、外部から様々な振動の影響を受けている。アンプの場合は電源トランスの交流基本信号とその高調波成分による「うなり」が発生する。CDプレイヤーの場合はディスクを回すモーターが振動源となる。スピーカーの場合、コーンを駆動するボイスコイルの反力がスピーカー・エンクロージャー(箱)本体を振動させる。この振動がスピーカーを設置した床面に伝達され、床面を含む部屋全体の持つ複雑な固有振動モードを励起させる。原音に複雑に重畳された外乱振動は、再びスピーカー本体を振動させる。この時発生する混変調歪(サブハーモニクス)がオーディオ機器の音質を劣化させるという仮説が提唱されているが、オーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動が、再生音の品位を低下させる重要な要因であるという点は、間違いのない事実であると思われる。
オーディオ機器の音質を改善する手段のひとつとして、インシュレータがある。アナログ時代、ハウリングを抑止するために、インシュレータは主にアナログプレイヤーと床面との間に設置され、振動の伝達を遮断する手段として必須のものであった。アナログからCDプレイヤーに移行して、インシュレータはハウリング防止対策ではなく、オーディオ機器の音質を改善し、リスナーの好みの音に調整するチューニング手段として用いられるようになった。インシュレータの適用により、音質が変ることは良く知られているが、その効果をもたらすメカニズムについては、理論的に十分解明されているとは言えず、経験的、試行錯誤的に開発されたものが多い。過去、インシュレータとして用いられているものに、次の二つのタイプがある。
(1)フローティング方式インシュレータ
このタイプのインシュレータは、振動の遮断(シャットアウト)を目的としたもので、剛性の小さい緩衝体が用いられる。緩衝体として、ゴム材を用いたもの、スプリングコイルを用いるもの、空気を封じ込めたエアーフローティング・ボード、磁力の反発力を利用したものなどがある。
(2)硬質材料によるインシュレータ
インシュレータのもうひとつのタイプは硬質材を用いるものである。近年、前述した緩衝体に代わり、オーディオ機器が発生する振動を効果的に吸収し、外部へ逃すことを目的とした硬質材、たとえば、木材、樹脂、金属、セラミック等を用いたものが考案され商品化されている。硬質インシュレータの場合は、良質な音響素材のキャラクターを利用した再生音のチューニング手段として用いられる。
たとえば、
(i)金属系材料
真鍮:キラリとした明るいブリリアントな響き
銅:重厚感があってパワフル
銀:芯のとおりが良く、音の立ち上がり・立ち下がりが素早い
金:ふくよかさで艶やか
(ii)木材系材料
アフリカ黒檀:固いが刺激的ではない音(楽器に使用される)
縞黒檀:アフリカ黒檀より柔らかい
桜:柔らかく芳純
上記(i)(ii)は、オーディオ機器の特性、あるいは再生する音楽ジャンルなどに合せて、リスナーの好みに合せて選択される。
図28は従来インシュレータの一例を示すもので、前述した(1)フローティング方式(ゴム材)と、(2)硬質材料式(真鋳)を組み合わせた複合タイプのインシュレータを示すものである。650は真鋳の削り出し部材で形成された中間部材、651は防振ゴム(ハネナイト)で形成された上部支持部材、652は同様に防振ゴムで形成された下部支持部材である。ハネナイトは、衝撃・振動吸収性を有する制振性能に優れたゴムで、外力を受けてもほとんど反発せずエネルギーを吸収するとされる。部材650、651、652により、3層ハイブリッド構造(複合タイプ)によるオーディオ用インシュレータを構成している。
図29は従来フローティング方式インシュレータ(特許文献1)を示すものである。このフローティング方式はワイヤとU字状ばねから構成される。第1の支持部材625は、その下面が第1の物体608上端の第1の水平面608Aに当接する円板状の底板部626と、所定長の3本の支柱部627を介して底板部626と結合された三角形の平板状のバネ台部628とからなり、十分な剛性を備えた材料で構成されている。弾性部材であるバネ629は、所定厚および幅の弾性金属板を略U字状に成形したもので、その長辺の一方(図の下辺部)がバネ台部628に結合されており、その長辺の他方(図の上辺部)にワイヤ613の上端が結合されている。なお、ワイヤ613の下端は、バネ629の一部に設けられた穴629aおよびバネ台部628の一部に設けられた穴628aを貫通して後述する第2の支持部材630の下蓋部633に結合されている。
第2の支持部材630は、その上面が第2の物体609の第2の水平面609Aに当接する円板状の上蓋部631と、上下方向が先のバネ台部628と底板部626との間に位置するように配置されその3箇所に支柱部627を挿通させる穴633aを設けた円板状の下蓋部633と、上蓋部631と下蓋部633との周縁に嵌合された円筒状の側辺部632と、その下端が下蓋部633に結合されその上端が図示を省略したネジ構造で上蓋部631に着脱自在に結合される2本の支柱部634とから構成され、全体として十分な剛性を備えた材料で構成されている。そして、下蓋部633の中央にワイヤ613の下端が結合されている。
上記発明によれば、第2の物体609の1箇所を1本のワイヤ613の下端で吊り下げるという、シンプルで自由に振動できる構造が実現し、第2の物体609の横方向の振動が第1の物体608から確実に分離絶縁した状態が実現する。また、第2の物体609の縦方向の振動は、同じ1本のワイヤ613の上端に連なる弾性部材の弾性変形で吸収され第1の物体608から確実に分離絶縁した状態が実現し、不要な振動成分が付加されない優れた振動伝達遮断特性が得られる、としている。
前述したフローティング方式[上記(1)の方式]と硬質材料式[上記(2)の方式]の両方の特徴を併せもつオーディオ用インシュレータが、本発明者らの提案によって、特開2012-48808号(特許文献2)に開示(図30)されている。
図30(a)は図30(b)のA-A断面図、図30(b)は正面断面図である。800はインシュレータ本体、801は上部スリーブ(風鈴部材)、802は下部スリーブ、803は下部スリーブ802の中央部に突設して形成された筒部、804は筒部803の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。上部スリーブ801は下部スリーブ802上部に配置され、上記両スリーブの内部に弾性部材であるスプリングコイル805が設けられている。806は上部スリーブ801の上端面でオーディオ機器(図示せず)を搭載する荷重支持部、807はインシュレータ設置面(床面)である。すなわち、上部スリーブ801内部はスプリングコイル805を収納する空洞を有し、一方の端部を密閉構造、もう一方の端部を大気解放端(自由端)とする筒型形状、すなわち、「風鈴」に近い形状となっている。上記インシュレータは、下記(1)(2)を「同時に併せ持つ」ことを特徴とするものである。
(1)低周波可聴域での振動の完全遮断効果
搭載物の質量とばね剛性で決まる2次振動系の周波数特性により、可聴域における低周波振動のほぼ完全な遮断作用が得られる。この振動遮断効果によりオーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動が再生音に与える影響(たとえば、混変調歪の発生)を回避できる。
(2)従来硬質材料インシュレータを超える高周波振動のアシスト効果
オーディオ機器から伝搬される主振動の主伝播経路に対して、上部スリーブ801
(風鈴部材)は並列に配置されている。スピーカーのボイスコイル反力によって、上部スリーブ801には高周波数における様々な振動モードが励起される。これらの共振モードに加えて、余韻・ゆらぎなどを有する風鈴の音響振動特性が音像の定位感、分解能、透明感、スケール感などの音響特性向上効果をもたらすのである。
すなわち上記インシュレータは、従来のフローティング方式インシュレータと硬質材料インシュレータの両方の長所を併せもつと共に、従来硬質材料インシュレータをはるかに上回る音響特性の向上が図れる、としている。
特開2011-27249号 特開2012-48808号 特開平10-246284号
さて、床面に設置したオーディオ機器に衝撃的な外乱荷重が加わったときに、オーディオ機器の水平方向の移動と転倒とをどうやって防止するかは実用上極めて重要な課題である。高価なオーディオ機器と周辺に配置された家具を損傷させるだけではなく、荷重が50〜100Kg、あるいはそれ以上の大型スピーカーでは人身事故にも繋がりかねない危険を有する。オーディオ機器の音質向上を図るために、オーディオ機器底面と床面の間に前述したインシュレータを設置した場合、インシュレータには上記危険を回避する方策が要望される。
図28で前述した3層ハイブリッド構造によるインシュレータの上部支持部材651の上にスピーカーが設置された場合を想定する。この場合、スピーカーに衝撃的な水平方向の外乱が加わっても、スピーカーの底面に密着した摩擦係数の大きな防振ゴム(ハネナイト)により、スピーカーの横滑りを防止する効果が得られる。この防振ゴムにより、スピーカーの横滑り防止効果に加えて、オーディオ機器と設置床面間の相互干渉による振動を抑制する作用が得られる。前述したように、オーディオ機器と設置床面間の相互干渉による振動は、混変調歪の発生をもたらすのである。しかし、防振ゴムの粘弾性による過剰な制振作用は、音に生気を与える高周波数成分(楽器の倍音成分)まで減衰させてしまうため、再生音の輪郭(音像定位感)が曖昧となり、音質に混濁感が生じるという欠点があった。上記インシュレータに限らず、スピーカー底面と床面間にインシュレータを介在させ、スピーカー底面と床面間の振動伝達経路に減衰性の大きなゴム材(ゴムシート等)を介在させると、音質を低下させる大きな要因となるため、高音質を追求するマニアは回避する場合が多い。
図30で示した既提案インシュレータの場合、スプリングコイルを内部に収納するために、インシュレータの高さHは高くならざるを得ない。本方式に限らず、ワイヤとU字状ばねによる図29による方式、あるいは、空気ばね、磁石などで構成されるフローティング方式は、硬質材料式と比べて、インシュレータの高さHは構造上高くならざるを得ない。図31に示すように、インシュレータ800を床面に4箇所配置して、その上に搭載したスピーカー750に、衝撃的な水平方向外乱荷重FYが、スピーカー750の重心Gに加わった場合を想定する。この場合、インシュレータ800に対してスピーカー750が相対的に水平移動することにより、スピーカー底面751はインシュレータ上面(上端面806)から離脱して、図31(c)のごとく、スピーカー750は転倒する可能性が高い。上部スリーブ801の上端面806とスピーカー底面の間(図30の鎖線Bで示す)に、摩擦係数が大きいゴムシート808(図30(b)の想像線で示す)などを介在すれば、スピーカーの水平方向移動は多少なりとも抑制することができる。この場合、試聴実験の結果、次の問題点があることが分かった。摩擦係数が高く、かつ着脱が容易なゴムシートなどの材料は、同時に減衰性能も高く、図28の従来例同様に、スピーカー750から上部スリーブ801(風鈴部材)に伝搬される高周波振動を減衰させてしまうのである。また、基音、倍音、余韻・ゆらぎなどの多くの要因で決まる音色を有する風鈴の振動系も振動発生が抑制される。その結果、既提案インシュレータの特徴とする音像の定位感、分解能、透明感、スケール感などの音響特性向上効果が大幅に損なわれてしまうのである。
具体的に、請求項1の発明は、音質の向上を目的としてオーディオ機器に設置されるオーディオ用インシュレータであって、前記オーディオ用インシュレータは、前記オーディオ機器の設置面側に設けられる上部スリーブと、床面側に設けられる下部スリーブと、前記上部スリーブと前記下部スリーブとの間に設けられた弾性部材と、から構成されるインシュレータ本体部と、前記オーディオ機器の設置面側に設けられ、前記オーディオ機器に対して直接、又は、別の部材を介して固定され、前記オーディオ機器と一体となって動くように構成され支持部材と、前記支持部材あるいは前記上部スリーブに形成されるものであり、前記支持部材に対して前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブを装着する、又は、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブに対して前記支持部材を装着する嵌合部と、を備えており、前記インシュレータ本体部は、前記弾性部材が機械ばね、あるいは空気、あるいは磁性体で構成されるフローティング方式であり、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブは前記嵌合部に対して水平方向の移動が拘束されて設置されているとともに、前記上部スリーブは前記嵌合部により前記支持部材に対して嵌合しており、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブは前記嵌合部に対して水平方向、及び、垂直方向の移動が拘束されて設置されることを特徴とするものである。
すなわち、本発明においては、前記オーディオ用インシュレータに支持された前記オーディオ機器に衝撃的な水平方向外力が加わったときに、前記インシュレータ本体部は前記オーディオ機器に固定された支持部材に対して水平方向の移動が拘束されて設置されているために、前記オーディオ用インシュレータは前記オーディオ機器から容易には離脱できず、前記オーディオ機器の設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項1の発明の一つの特徴は、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブは前記嵌合部に対して水平方向及び、垂直方向の移動が拘束されて設置されたものである。
すなわち、本発明においては、前記オーディオ用インシュレータに支持された前記オーディオ機器に水平方向外力だけではなく垂直方向外力が加わったときに、あるいは、前記オーディオ機器が床面上を移動して障害物に衝突した場合でも、前記インシュレータ本体部は前記オーディオ機器に固定された支持部材に対して水平方向と垂直方向に拘束されて設置されているために、前記インシュレータ本体部は前記オーディオ機器から容易には離脱できず、前記オーディオ機器の一層の設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項3の発明は、前記インシュレータ本体部は機械ばね、あるいは空気、あるいは磁性体で構成されるフローティング方式で構成したものである。
すなわち、本発明においては、硬質材料式と比べてインシュレータの高さが構造上高くならざるを得ないフローティング方式の場合でも、前記インシュレータ本体部は前記オーディオ機器から容易には離脱できず、前記オーディオ機器の設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項2の発明は、オーディオ機器が設置側に具備するスパイクあるいはコロが締結されるネジ部を利用して、前記支持部材を前記オーディオ機器に締結したものである。
すなわち、本発明においては、オーディオ機器に既に装着されているスパイク、あるいはコロなどを取り外し、そのネジ部を利用して本発明の対象となるオーディオ用インシュレータを装着することで、前記オーディオ機器の設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項3の発明は、底面が概略平板形状で構成されたスピーカーにおいて、前記平板形状部材を上下で挟む挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材から構成したものである。
すなわち、本発明においては、前記平板形状部材を上下で挟む前記挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材を利用して前記インシュレータ本体部を設置することにより、前記スピーカーの設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項4の発明は、底部が薄板の概略スカートを履いた形状のスピーカーにおいて、前記薄板を挟む挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材から構成したものである。
すなわち、本発明においては、前記薄板を挟む前記挟持部材と、この挟持部材に設けられた前記支持部材から構成して、かつ、この支持部材を利用して前記インシュレータ本体部を設置することにより、前記スピーカーの設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項5の発明は、底部が概略平胆面形状のスピーカーにおいて、このスピーカーの側面を挟む挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材から構成したものである。
すなわち、本発明においては、前記スピーカーの側面を挟む挟持部材と、この挟持部材に設けられた前記支持部材から構成して、かつ、この支持部材を利用して前記インシュレータ本体部を設置することにより、前記スピーカーの設置安定性を図ることができる。
具体的に、請求項6の発明は、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブを前記嵌合部に装着した状態で、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブと前記支持部材の相対的な角度によって、前記インシュレータ本体部と前記支持部材の軸方向の離脱可否が設定できるように構成したものである。
すなわち、本発明においては、前記インシュレータ本体部と前記支持部材の相対的な角度によって、両部材の軸方向の離脱可否が設定できるため、前記インシュレータを前記オーディオ機器に装着する際の作業性向上と共に、前記オーディオ機器に対する前記インシュレータの離脱防止を着実に図ることができる。
具体的に、請求項7の発明は、前記下部スリーブの底面から前記支持部材の上面までの距離であるインシュレータ本体高さの上限値Hmaxと下限値Hminが設定できるように構成された請求項1記載のオーディオ用インシュレータであって、このオーディオ用インシュレータ複数個の上にオーディオ機器を搭載した平衡状態におけるインシュレータ本体高さをHeqとして、前記Hmaxと前記Heqとの差、及び、前記Hminと前記Heqとの差が所定の範囲になるように前記上限値Hmaxと前記下限値Hminを調節する機能を有するオーディオ用インシュレータを示すものである。
すなわち、本発明においては、上限値HmaxとHeqとの差、及び、Heqと下限値Hminとの差を僅少にできるため、オーディオ機器に加わる水平・垂直方向加振力による転倒防止対策に加えて、軸方向変形量の無い硬質インシュレータと同様な取り扱いができるフローティング方式インシュレータが実現できる。
具体的に、請求項8の発明は、スピーカーの設置側に具備するスパイクあるいはコロが締結されるネジ部を利用して、外付け平板と前記スピーカーを締結し、前記の外付け平板の底面に配置された請求項1記載のオーディオ用インシュレータにより前記スピーカーを支持するように構成したものである。
すなわち、本発明においては、たとえば、スパイクでスピーカーを支持する場合の2つの支持点間隔L1に対して、前記外付け平板を設けてインシュレータで支持する場合の2つの支持点間隔をL2とする。L2>L1とすれば、前記スピーカーを転倒させる衝撃的なモーメント荷重が加わった場合、設置安定性を向上できる。特にトールボーイ型と呼ばれる背の高いスピーカーの設置安定性の向上をおおいに図ることができる。
具体的に、請求項9の発明は、オーディオ機器の設置側に具備するスパイクなどの突出部を収納する貫通部を外付け平板に形成し、この外付け平板の上部に前記オーディオ機器を搭載し、前記外付け平板の底面に配置された請求項1記載のオーディオ用インシュレータにより前記オーディオ機器を支持するように構成したものである。
すなわち、本発明においては、たとえば、スパイクを収納する貫通穴が形成された外付け平板をスピーカーの底部に装着し、かつスピーカー底面から離れた前記外付け平板の底面で請求項1記載のオーディオ用インシュレータを設置することにより、外付け平板とスピーカーをねじ等で締結することなく、設置安定性の向上を簡便に図ることができる。
具体的に、請求項10の発明は、スパイクなどのオーディオ機器支持部材間の間隔が異なるオーディオ機器が共有化できるように、前記貫通部を概略横長形状、あるいは、複数個の貫通穴としたものである。
すなわち、本発明においては、請求項10の発明における前記貫通穴の開口部形状を、たとえば横長にする、あるいは複数個の貫通穴とすることで、スパイク支持間隔が異なる様々なオーディオ機器に対して、前記平板を共有化して利用できる。
具体的に、請求項11の発明は、オーディオ機器を支持する請求項1記載のオーディオ用インシュレータと並列に、オーディオ機器底面からの突き出し量が調整可能な傾斜規制手段を前記オーディオ機器底面近傍に装着し、オーディオ機器の通常の使用時において、前記傾斜規制手段の先端と床面間が所定のギャップを保つように設定したものである。
すなわち、本発明においては、インシュレータにフローティング方式を用いた場合、前記傾斜規制手段の先端と床面間が僅かなギャップを保つように設定することで、オーディオ機器の設置安定性をおおいに向上できる。
具体的に、請求項12の発明は、床面に設置する底板と、オーディオ機器が搭載される天板と、この天板を支える支柱から構成されるスピーカー・スタンドにおいて、前記天板を上下から挟持して前記天板に固定されるスタンド用挟持部材と、このスタンド用挟持部材に設置され、かつ上部にオーディオ機器が搭載される請求項1記載のオーディオ用インシュレータから構成され、前記オーディオ用インシュレータは前記スタンド用挟持部材に対して水平方向、又は、水平方向と垂直方向の移動が拘束されて設置されたものである。
すなわち、本発明においては、オーディオ機器がスピーカー・スタンドの天板に設置される場合でも、前記スタンド用挟持部材の適用により、前記オーディオ用インシュレータの水平方向と垂直方向の移動を拘束して、前記インシュレータの安定設置を図ることができる。
具体的に、請求項13の発明は、リスナーが適切なリスニング・ポジションで聴くために、床面に対して高所に置かれた棚の上にスピーカーが設置されるオーディオ機器において、前記棚を構成する棚板を上下から挟持して前記棚板に固定される棚用挟持部材と、この棚用挟持部材に設置され、かつ上部にスピーカーが搭載される請求項1記載のオーディオ用インシュレータから構成され、前記オーディオ用インシュレータは前記棚用挟持部材に対して水平方向、又は、水平方向と垂直方向の移動が拘束されて設置されたものである。
すなわち、本発明においては、スピーカーが高所の棚に設置される場合でも、前記棚用挟持部材の適用により、前記インシュレータの水平方向と垂直方向の移動を拘束して、前記インシュレータの安定設置を図ることができる。
請求項1乃至16のいずれかに記載のオーディオン用インシュレータを用いたオーディオ・システムであれば、外力によるオーディオ機器の転倒等を好適に防ぐことができる。
音質向上を図るために、オーディオ機器と床面の間にインシュレータを設置したオーディオ・システムにおいて、オーディオ機器に地震波などによる衝撃的な外乱荷重が加わったときに、インシュレータ本体部は前記オーディオ機器に対して移動できないように規制されるため、インシュレータはオーディオ機器から容易には離脱せず、オーディオ機器の設置安定性を向上できる。その効果は顕著である。
本発明の実施形態1に係るオーディオ用インシュレータを示す図で、図1(a)はスペーサ部の正面断面図、図1(b)は本発明を適用したフローティング方式インシュレータ本体部の正面断面図。 図2(a)はスペーサ部の上面図、図2(b)は正面断面図。 図3(a)はスピーカー底面にスパイクが装着されている状態を示す図、図3(b)はスペーサ部をスピーカーの底面に設置する図、図3(c)はインシュレータ本体部をスペーサに装着した状態を示す図。 図4(a)は実施形態1のインシュレータをスピーカーの底面に装着した状態を示す図、図4(b)は、スペーサ部とインシュレータ本体部を離脱した状態を示す図。 本実施形態1に適用したインシュレータの一例を示す図で、図5(a)は上面図、図5(b)は正面断面図。 本発明の実施形態2に係るインシュレータを示す図で、図6(a)はスペーサ部の上面図、図6(b)は本発明を適用したフローティング方式インシュレータ本体部の正面図、図6(c)は図6(a)のCC断面図。 従来スピーカーに、本実施形態インシュレータ装着した矢視図。 本発明の実施形態3に係るインシュレータの正面断面図。 本発明の実施形態3を適用したスピーカーの正面図。 本発明の実施形態4に係るインシュレータの正面断面図。 本発明の本実施形態4のインシュレータを装着したスピーカーの矢視図。 本発明の実施形態5に係るインシュレータをスピーカーに装着した状態を示す図で、図12(a)は図12(b)のA-A断面図、図12(b)は正面図。 実施形態5のインシュレータの部分拡大図。 本実施形態5のインシュレータをスピーカーに装着した矢視図。 本発明の実施形態6に係るインシュレータをスピーカーに装着した状態を示す図で、図15(a)は図15(b)のスピーカー本体を除くA-A断面図、図15(b)は正面図。 本発明の実施形態7に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、図16(a)はインシュレータ本体部の上面図、図16(b)は正面断面図。 図17(a)はインシュレータ本体部と勘合するスペーサ本体の上面図、図17(b)は正面断面図。 図18(a)は、スピーカー底面にスペーサ部が装着されている状態を示す正面断面図、図18(b)はインシュレータ本体部を示す正面図、図18(c)はスペーサ部にインシュレータ本体部が装着完了した状態を示す図、図18(d)は図18(c)の部分拡大図。 図19(a)、図19(b)はスペーサ部に「開」「閉」のマーキングをした図。 本発明の実施形態8に係るオーディオ用インシュレータの正面図。 図21(a)〜図21(c)はインシュレータを設置したスピーカーに、衝撃的水平方向外乱荷重加わるときのスピーカーの転倒を示す図。 図22(a)〜図22(c)はインシュレータを設置したスピーカーに、衝撃的水平方向外乱荷重加わるときのスピーカーの転倒防止を示す図。 本発明の実施形態9に係るオーディオ用インシュレータ、及びオーディオ装置を示す正面図。 本発明の実施形態9のインシュレータ近傍の部分拡大図。 本発明の実施形態10に係るオーディオ用インシュレータで、図25(a)は平板の上にスピーカーが搭載された状態を示す正面図、図25(b)は前記平板の上面図。 本発明の実施形態11に係るオーディオ用インシュレータを示す図で、図26(a)はインシュレータの高さが上限値、図26(b)は下限値を示す正面断面図。 本発明の実施形態12に係るオーディオ用インシュレータで、図27(a)は図27(b)のD-D矢視図、図27(b)はスピーカー・スタンドに本発明を適用してスピーカーを設置する場合の正面図、図27(c)は図27(b)のBB部拡大図。 従来の複合タイプインシュレータを示す図。 従来のワイヤとU字状ばねから構成されるフローティング方式インシュレータを示す図。 既提案のフローティング方式インシュレータを示す図で、図30(a)は図30(b)のA-A断面図、図30(b)は正面断面図。 図31(a)〜図31(c)はインシュレータの上に搭載したスピーカーに、衝撃的な水平方向外乱荷重が、加わった場合のスピーカーの転倒を示す図。 スパイクで支持されるスピーカーを示す図で、図32(a)は全体の矢視図、図32(b)はスパイク部の部分拡大図。 コロで支持されるスピーカーを示す図で、図33(a)は全体の矢視図、図33(b)はコロ部の上面図、図33(c)はコロ部の正面図。 底面から水平方向に枝のように伸びた支持体にスパイクが装着されているスピーカーを示す図で、図34(a)は全体の矢視図、図34(b)はスパイク部の正面図。 広い面積の平板部材だけで自重を支持するスピーカーの矢視図。 底部の構造がスカートを履いた形状で床面に設置するスピーカーを示す図で、図36(a)は図36(b)のA-A断面図、図36(b)は正面図。
[第1実施形態]
図1は、本発明の実施形態1に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、インシュレータに支持されたオーディオ機器であるスピーカーに衝撃的な水平方向外力が加わったときに、インシュレータとスピーカーが容易には離脱できない構造を実現するものである。すなわち、本実施形態1では、スピーカーが設置側に具備するスパイクが締結されるネジ部を利用して、インシュレータの上端部を収納するスペーサ部(支持部材)を、ボルトを用いて前記ネジ部に固定する。この構成により、オーディオ機器の通常使用時において、前記スペーサに対してインシュレータ本体部は水平方向に離脱できないように嵌合したものである。すなわち、前記インシュレータ本体部は前記嵌合部に対して水平方向の移動が拘束されて設置されている。図1(a)、及び図1(b)は、本発明の実施形態1に係るオーディオ用インシュレータの正面断面図であり、図1(a)はスペーサ部、図1(b)は本発明を適用したフローティング方式インシュレータ本体部を示す。10はインシュレータ本体部、11は上部スリーブ、12は下部スリーブ、13は上部スリーブ11の上端面に形成された凸部である。15はボルト、16はボルトの頭部、17は前記ボルトのネジ部である。
18はスペーサ部(支持部材)、19は前記インシュレータ本体部に形成された凸部13と着脱可能に形成された凹部(嵌合部)、20はボルト頭部16の収納部である。図1(b)にインシュレータ本体部10に装着された状態のスペーサ部18とボルト15を鎖線で示している。図2(a)はボルト15が挿入された状態のスペーサ部の上面図、図2(b)は正面断面図である。上部スリーブ11は下部スリーブ22上部に配置され、両スリーブ11、12の内部に弾性部材(図示せず)が設けられている。ここで、本明細書における弾性部材とは、「上下の部材で挟持されて、オーディオ機器の荷重を支持する部材」と広義に解釈する。フローティグ方式インシュレータの場合は、機械ばねであるスプリングコイル、空気ばね、磁石、あるいは、ワイヤとU字状ばねで構成される構造などを指す。
図3は、スピーカーに装着されているスパイクを、本発明のオーディオ用インシュレータに置き換える手順を示す図である。図3(a)は、スピーカー本体900の底面にスパイク901が装着されている状態を示し、902はスパイク901のネジ部、903はナット、904はスパイク円筒部、905はスパイク円錐部である。
図32に本発明を適用するスピーカーの一例を示す。通常スパイクの先端は、床面上に配置された受け皿906(a)〜906(d)(906(d)は図示せず)と組み合わせて設置される。また、このスパイク901は、スピーカー本体900に対して、ネジ部902とナット903を利用して、着脱可能に構成されている場合が多い。
図3(b)は、上記スパイク901をスピーカー900から取り外し、スパイク901用のネジ部902と同種類のネジ部17を有するボルト15を用いて、スペーサ部18をスピーカー900の底面に設置する。
図3(c)は、インシュレータ本体部10をスペーサ部18に装着した状態を示す。
インシュレータ本体部10に形成された凸部13は、スペーサ部18に形成された凹部19と着脱可能に嵌合される。
図4は本発明のオーディオ用インシュレータを適用したスピーカーの外観図を示すもので、図4(a)は、本発明インシュレータをスピーカー本体底面の4隅に装着した状態、図4(b)は、1セット分だけスペーサ部18とインシュレータ本体部10を離脱した状態を示す図である。
スピーカーに加わる地震波を想定する。この場合、スピーカーには、水平方向加速度αHと共に、垂直方向の加速度αVが加わる。この垂直方向加速度αVによって、スピーカーの「みかけの重量」が低減する。スピーカー底面と設置面間の摩擦係数をμとすれば、スピーカーを水平方向に移動させる加速度αHmax>(980-αV)μである。たとえば、μ=0.15、αV=250Galと仮定すれば、αHmax =109.5Galである。したがって、スピーカーは垂直方向加速度αVと比べて、より小さな水平方向加速度αHmaxによって、容易に設置面上を移動する。本発明をスピーカー用インシュレータに適用することにより、スピーカーに水平方向外力(加速度αH)が加わっても、インシュレータとスピーカーは一体で水平方向に移動する。そのため、図31で示したような、インシュレータとスピーカーが離脱することによるスピーカーの大きな傾斜は発生せず、転倒の可能性を小さくできる。
本発明のその他の実施形態にも共通するが、オーディオ機器に加わる衝撃的な外力によって、インシュレータをオーディオ機器から離脱させない本発明は、インシュレータの形式を問わず、たとえば背の高い硬質材料インシュレータにも適用できる。硬質材料インシュレータの場合、上部スリーブ11と下部スリーブ12による2つの部品の組み合わせによるインシュレータ構造(たとえば、図1(b))ではなく、両部品が一体化した構造となる。この場合、スペーサ18の凹部19(嵌合部)の内径よりも小さな外径(あるいは4角形形状の場合は対角線の長さ)の硬質インシュレータを、前記凹部に収納するように配置すればよい。
図5は、本実施形態に適用したオーディオ用インシュレータの一例を示すものである。図5(a)は上面図、図5(b)は正面断面図である。51は風鈴部材である上部スリーブ、52は下部スリーブ、53は下部スリーブ52の中央部に設置されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。本実施形態では、上部スリーブ51と下部スリーブ52は音響用材料として良好な特性を有する真鍮を用いた。上部スリーブ51は下部スリーブ52上部に配置され、両スリーブ51、52の内部に弾性部材であるスプリングコイル54が設けられている。55、56はスプリングコイル54を装着した状態で、両スリーブ51,52の軸芯が一致した状態を保つための両スリーブに形成された位置決め部である。サージング防止部材53は、スプリングコイル54の内周面に、変形して常に接触した状態を保っている。57は上部スリーブ51の上端面に形成された凸部(図1の13に相当)であり、スピーカー底面に装着されるスペーサ部(図1の18相当)に形成された凹部(図1の19相当)とボルト(図1の15相当)と嵌合される。前記スペーサ部と前記ボルトを想像線で図示している。58は上部スリーブ51と下部スリーブ52の離脱を防止するための締結ボルト、59はこの締結ボルトの頭部を収納する下部スリーブ52に形成された筒部である。60は床面、61は前記上部スリーブの開口端、62は床面60と下部スリーブ52の間に設けられた滑り止めシートである。すなわち、上部スリーブ内部はスプリング構造部を収納する空洞を有し、一方の端部を密閉構造、もう一方の端部を大気解放端(自由端)とする筒型形状、すなわち、「風鈴」に近い形状となっている。風鈴が糸で吊り下げられて妙なる音色を奏でることができるように、上部スリーブ51の上端部は完全固定ではなく、X軸、Y軸、Z軸方向はスプリングコイル54により弾性支持されている。
スペーサ部18の上部に装着されるスピーカーのボイスコイル反力は、図5a、図5bに示すように、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向から本インシュレータを加振する。すなわち、各軸はfx、fY、fzの加振力成分を有し、ベクトルで表現すれば、F=fx・i+fY・j+fz・kである。本実施形態では、スピーカーとインシュレータ間の振動伝搬経路に粘弾性ゴムなどの減衰要素を介在しないために、スピーカーの振動は減衰することなく、上部スリーブ51(風鈴部材)を加振する。スプリングコイル54で支持された上部スリーブ51には、前記加振力Fによって、高周波数における様々な振動モードが励起される。これらの共振モードに加えて、余韻・ゆらぎなどを有する風鈴(上部スリーブ51)の音響振動特性が音像の定位感、分解能、透明感、スケール感などの音響特性向上効果(風鈴効果と呼ぶ)をもたらすのである。床面60と下部スリーブ52の間に設けられた滑り止めシート62はゴム、コルクなどの材料から選択される。
図30の既提案インシュレータで説明したように、スピーカー側から上部スリーブ51に至る伝達経路に、スピーカーの横滑りを防止するために、摩擦係数が高く、かつ同時に減衰性能も高いゴムシートなどの材料を装着した場合、スピーカー側から上部スリーブ51(風鈴部材)に伝搬される高周波振動を減衰させてしまう。また、基音、倍音、余韻・ゆらぎなどの多くの要因で決まる音色を有する風鈴の振動系も振動発生が抑制される。その結果、既提案インシュレータの特徴とする音像の定位感、分解能、透明感、スケール感などの音響特性向上効果が大幅に損なわれてしまうのである。
しかし、本実施形態のように、床面60と下部スリーブ52の間にゴムなどの滑り止めシート62を介在しても、音響特性を損なう要因にはならないことが分かった。その理由は、上部スリーブ51と下部スリーブ52間は、スプリングコイル54のばね定数と搭載物(オーディオ機器)の質量で決まる2次振動系の伝達特性により、振動遮断が図られているからである。すなわち本実施形態では、スピーカーに加わる水平方向加振力によるインシュレータの離脱防止と、インシュレータと床面間の滑り止め効果に加えて、上記風鈴効果による音響特性向上の3つの効果を併せもつことができる。
滑り止めシート62に両面シートを兼ねたゴムを用いて、あるいは、たとえばコルク材にさらに両面シートを装着するなどの方策を施せば、床面とオーディオ用インシュレータを固定できる。その結果、オーディオ機器の設置安定性を一層向上することができる。
以下述べる実施形態も同様であるが、本実施形態では、インシュレータ側の凸部57を収納するスペーサ部(支持部材)側の嵌合部19は凹面形状で形成した。以下、本発明のすべての実施形態に共通するが、両部材の形状は逆でも良く、インシュレータ側を凹面形状とし、この凹部にスペーサ側の凸部が嵌合する構成でもよい(図示せず)。
[第2実施形態]
図6は、本発明の実施形態2に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、第1実施形態同様に、インシュレータに支持されたオーディオ機器に衝撃的な水平方向外力が加わったときに、インシュレータとオーディオ機器が容易には離脱できない構造を実現するものである。すなわち、本実施形態では、スピーカーが設置側に具備するコロ(球体)などが収納されたユニットを締結するネジ部を利用して、インシュレータの上端部を収納するスペーサ部を前記ネジ部に固定することで、インシュレータ本体部は、前記スペーサ部に対して水平方向に拘束されるように構成したものである。
図33(a)は本発明を適用する前段階のスピーカーの一例を示すもので、図33(b)はコロが収納されたユニットの上面図、図33(c)は側面図である。920はスピーカー本体部、921はコロ、922はこのコロを収納するユニット、923a、923b、923cはユニット922とスピーカー本体部920を締結するボルトである。
図6(a)はスペーサ部の上面図、図6(b)は本発明を適用したフローティング方式インシュレータ本体部の正面断面図、図6(c)は図6(a)のC-C断面図を示す。100はインシュレータ本体部、101は上部スリーブ、102は下部スリーブ、103は上部スリーブ101の上端面に形成された凸部である。104はスペーサ部(支持部材)、105a、105b、105cはスペーサ部104とスピーカー本体部920を固定するボルト、106は前記インシュレータ本体部に形成された凸部103と着脱可能に形成された凹部(嵌合部)、107a、107b、107cはボルト頭部の収納部である。図6(b)にインシュレータ本体部100に装着された状態のスペーサ部104とボルト105a〜105cを想像線で示している。
図7は従来スピーカーのコロによる支持方法(図33)を、本実施形態によるオーディオ用インシュレータに置き換えた図を示す。100a〜100d(100dは図示せず)は、それぞれが図6のインシュレータ本体部100に相当する。
本実施形態では、スペーサ部104に上部スリーブ101の凸部103を嵌合する凹部106を形成した。この方法以外に、2段スペーサ構造にしてもよい。すなわち、スペーサ部104の下に第2スペーサを配置して、この第2スペーサと前記スペーサ部(104相当)をボルト等で締結する。さらに前記第2スペーサに上部スリーブ101の凸部(103相当)を嵌合する凹部を形成する。この方法にすれば、上部スリーブ101の凸部の外径を十分に大きくとれるため、たとえば、本実施形態(図5)のインシュレータを用いた場合、スピーカーとインシュレータ間の高周波振動の伝搬をより効果的に図ることができる。ちなみに、凹凸を形成する部材は逆でもよく、前記上部スリーブに凹部、前記第2スペーサに凸部でもよい。またこの方法は、第7実施形態で後述するように、インシュレータとスピーカーを完全一体化構造にする場合にも適用できる(図示せず)。
[第3実施形態]
図8は、本発明の実施形態3に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、実施形態1、2同様に、インシュレータに支持されたオーディオ機器に衝撃的な水平方向外力が加わったときに、インシュレータとオーディオ機器が容易には離脱できない構造を実現するものである。すなわち、本実施形態では、スピーカー底面から水平方向に枝のように伸びた支持体にスパイクが装着されている場合に、本発明インシュレータを適用する方法を示すものである。
図34に本発明を適用する前段階のスピーカーの一例を示す。図34(a)はスピーカー本体部の矢視図、図34(b)はスパイク支持部の拡大図である。930はスピーカー本体部、931はスピーカー底面から水平方向に枝のように伸びた支持体、932はスパイク部である。スパイク部932は、スパイク頭部933、ねじ部934、円柱部935、円錐部936、ナット937から構成される。
図8において、150はインシュレータ本体部、151は上部スリーブ、152は下部スリーブ、153は上部スリーブ151の上端面に形成された凸部である。154はスペーサ部(支持部材)、155はスペーサ部154とスピーカーの支持体931を締結するボルト、156はこのボルトの頭部、157は前記インシュレータ本体部凸部153と着脱可能にスペーサ部154に形成された凹部(嵌合部)、158はナットである。最初にボルト155とナット158で、ボルト155の下方向突出量を決めた後、スペーサ部154をボルト155のネジ部に締結すればよい。十分に長いボルト155を用いて、ナット158を2個使用すれば、スペーサ部154を任意の軸方向位置に固定できる(図示せず)。この方法により、スピーカーの4箇所(あるいは、3箇所)に設置される各インシュレータの高さを微調整できる。図9に本実施形態を適用したスピーカーの正面図を示す。
本実施形態では、スペーサ部154と上部スリーブ151は別部品で構成したが、部品154と部品151は一体化した構造でもよい。すなわち、上部スリーブにボルト155が締結されるネジ部が形成された構造でもよい(図示せず)。インシュレータ本体部にネジが直接締結できる構造は、その他の実施形態にも適用できる。この場合は、スペーサ部154と上部スリーブ151、及び、下部スリーブ152がインシュレータ本体部に相当するため、支持体931が支持部材、ボルト155が嵌合部となる。

[第4実施形態]
図10は、本発明の実施形態4に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、前述した実施形態同様に、インシュレータに支持されたオーディオ機器に衝撃的な水平方向外力が加わったときに、インシュレータとオーディオ機器が容易には離脱できない構造を実現するものである。すなわち、本実施形態では、スピーカー支持方法にスパイク、コロなどを使用せず、たとえば、広い面積の平板形状部材で自重を支持するスピーカー構造に、本発明インシュレータを適用する方法を示すものである。
図35に本発明を適用する前段階のスピーカーの一例を示す。940はスピーカー本体部、941はスピーカー底部に形成された平板部材である。
図10において、200はインシュレータ本体部、201は上部スリーブ、202は下部スリーブ、203は上部スリーブ201の上端面に形成された凸部である。204はスピーカーを矜持するための矜持部材、205はこの挟持部材の上面部、206は下面部、207はスペーサ部(支持部材)、208はこのスペーサ部と矜持部材の下面部206を固定するボルト、209はこのボルトの頭部、210は前記インシュレータの凸部203と着脱可能にスペーサ部207に形成された凹部(嵌合部)である。211は締結ボルト、212はこの締結ボルトの頭部、212は締結ボルト211の下端部に形成された円柱部、213はこの円柱部212の下面に接合された弾性部材である。締結ボルト211により、矜持部材204とスピーカー底部の平板部材941の両者は、弾性部材213を介在して締結される。

図11は、広い面積の平板部材941だけで自重を支持する前述したスピーカーに、挟持部材204を介在して、本実施形態によるオーディオ用インシュレータを装着した場合を示す図である。同図ではインシュレータ4個を前記平板部材の4隅に設置しているが、個数を3個に減らして前記平板部材の3隅に設置してもよい。
この実施形態では、広い面積の一枚の平板形状部材で自重を支持するスピーカー構造に、本発明インシュレータを適用する方法を示した。前記平板形状部材を上下で挟む挟持部材に支持部材を設ける本発明は、他の形態のスピーカーにも適用できる。たとえば、平板形状が一枚ではなくスピーカー底面に前後二枚、あるいは左右二枚設置されている場合にも適用できる。あるいはスピーカー底面から放射状に複数の平板が設置されている場合にも適用できる。これらの場合は、それぞれの平板を上下の部材で挟持する構成にして、下側の部材にインシュレータ本体部(図11の200に相当)を配置すればよい。平板部材の形状は長方形でなくともよく、楕円形状、台形、三角形などでもよい。また平板の厚みは均一でなくてもよく、位置によって厚みが異なる曲面形状でもよい。この場合は、上下の部材間に弾性変形するゴムなどを介在して、前記平板部材を挟持する構成にすればよい(図示せず)。
[第5実施形態]
図12は、本発明の実施形態5に係るオーディオ用インシュレータをスピーカーに装着した状態を示す図である。前述した実施形態同様に、インシュレータに支持されたオーディオ機器に衝撃的な水平方向外力が加わったときに、インシュレータとオーディオ機器が容易には離脱できない構造を実現するものである。すなわち、本実施形態では、底部の構造がスカートを履いた形状で、薄い板厚の本体外周部のみで床面に設置するスピーカーに本発明インシュレータを適用する方法を示すものである。
図36に本発明を適用する前段階のスピーカーの一例を示す。図36(a)は図36(b)のA-A断面図、図36(b)は正面図である。950はスピーカー本体部、952はスピーカー底部951に形成された空洞部、953は本体外周部である。このタイプのスピーカーはヴィンテージ型(Vintage Type)と呼ばれるもので、タンノイ(登録商標)、JBL(登録商標)などの古典的な銘機に多く用いられている。
このヴィンテージ型スピーカーに本発明を適用した本実施形態(図12)において、図12(a)は図12(b)のA-A断面図、図12(b)は正面図である。251(a)〜251(d)は、スピーカー底部951の4隅に設置された本実施形態のインシュレータである。図13にインシュレータ251(c)近傍の部分拡大図、図14に本実施形態のインシュレータを、スピーカーの4隅に装着した矢視図を示す。252は外周側支持部材、253は内周側支持部材、254a、254bはボルト頭部、255a、255bはこのボルトのネジ部、256a、256bはこのネジ部先端に設けられた円盤形状の締結部材である。内周側支持部材253には、ネジ部255a、255bと嵌合するメネジが形成されている。前記ボルトを締結することにより、外周側支持部材252はスピーカー壁面の外周面と密着して、本実施形態インシュレータは水平方向には移動できないようにスピーカーに固定される。257は底面部であり、この底面部にスペーサ部258(支持部材)が装着されている。このスペーサ部258にインシュレータ本体部の凸部を収納する凹部(嵌合部)が形成されている(インシュレータ本体部の凸部、嵌合部の凹部は図示せず)。
本実施形態インシュレータのスピーカーへの設置を容易にするため、前記ボルト(ネジ部とボルト頭部及び前記円盤形状の締結部材)を外周側支持部材に装着してもよい。この場合、内周側支持部材をスピーカー壁面の内面と密着させた状態で、外周側支持部材に設けられたボルトを締結することにより、内周側支持部材はスピーカー壁面の内周面と密着して、本実施形態インシュレータは水平方向には移動できないようにスピーカーに固定される(図示せず)。
図36に一例を示すヴィンテージ型スピーカーの場合、その特異な構造ゆえに、スピーカー底面にはインシュレータの設置は困難であった。しかし、スピーカー底部の薄板を挟持する部材を支持部材とする本実施形態の構造を適用すれば、支持部材の底面部257にいかなる形態のインシュレータも装着できる。非常時の設置安定性にこだわらない限り、水平方向と垂直方向を規制する嵌合部を設けなくても、あらゆるインシュレータは装着可能となる。
[第6実施形態]
図15は、本発明の実施形態6に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、前述した実施形態同様に、インシュレータに支持されたオーディオ機器に衝撃的な水平方向外力が加わったときに、インシュレータとオーディオ機器が容易には離脱できない構造を実現するものである。すなわち、本実施形態では、底部が平胆形状の一般的なスピーカーに、本発明インシュレータを適用することで設置安定性を向上させる方法を示すものである。
図15(a)は図15(b)のスピーカー本体を除くA-A断面図、図15(b)は正面図である。451(a)〜451(d)は、スピーカー底部の4隅に設置された本実施形態インシュレータである。452はスピーカー本体部、453a、453dはスピーカー本体452のリアー側に設置されたL型支持部材、453b、453cはスピーカー本体452のフロント側に設置されたL型支持部材である。以下、フロント側に設置された各部材を例に上げて説明する。454は伸縮自在パイプ、455はこの伸縮自在パイプの外側筒部でL型支持部材453bに回転自在に固定される。456は前記伸縮自在パイプの内側部でL型支持部材453cに回転自在に固定される。457はスピーカーを挟持した状態で、前記伸縮自在パイプの伸縮を固定する固定部である。本実施形態を適用するスピーカーの幅の大きさに合せて、前記伸縮自在パイプの伸縮幅Lを調節する。各L型支持部材(たとえば453c)とスピーカー452の間には、ゴムなどで構成されたスピーカーの表面を保護する緩衝材(たとえば458c)が設けられている。
スピーカーの側面が曲面形状の場合は、L型支持部材もこの曲面に合せた形状にすれば良い。実施形態では、左右のL型支持部材を締結するのに伸縮自在パイプを用いた例を示した。分離した複数の部材の締結は、スピーカーの形態に合せて、他のどの様な手段でも適用可能である。またリスナー側から見て、スピーカーの左右の面を挟持するのではなく、スピーカーの前後、あるいは対角方向に各部材を配置して、部材間を挟持する構成でもよい(図示せず)。
[第7実施形態]
図16、及び、図17は、本発明の実施形態7に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、図16(a)はインシュレータ本体部の上面図、図16(b)は正面断面図である。図17(a)は前記インシュレータ本体部と嵌合するスペーサ本体の上面図、図17(b)は正面断面図である。本実施形態は、たとえば、地震波による水平方向、垂直方向の両方に大きな加速度が加わることで、スピーカー本体の一部、あるいは全体が床面から浮上した場合でも、インシュレータとスピーカーは離脱しない完全一体化構造にしたものである。本実施形態に示す方法により、前述した水平方向だけの加速度を考慮した実施形態と比べて、スピーカーの設置安定性を一層向上させることができる。

図16(a)、図16(b)において、401はインシュレータ本体部、402は上部スリーブ、403は下部スリーブ、404は上部スリーブ402の上端面中央に形成された凸部である。405aと405bは、前記凸部側面の前記外周部上端面側に形成された溝部で、それぞれ左右対称に形成されている。また、406a、406bは溝部を形成しない開口部である。
図17(a)、図17(b)において、407はスペーサ部(嵌合部)、408は前記インシュレータ本体部に形成された凸部と着脱可能に形成された凹部、409はボルト、410はボルトの頭部、411はネジ部である。412はボルト頭部410の収納部である。413a、413bは、凹部408の下端面において、左右対称に形成された突出部、414は上部スリーブ402の上端面外周部、415は凸部上端面である。
図18は、スピーカーに固定したスペーサ部にインシュレータ本体部を装着する手順を示す図である。図18(a)は、スピーカー本体900の底面にスペーサ部407がボルト409により装着されている状態を示している。図18(b)に示すように、スペーサ部407にインシュレータ本体部401を軸方向に挿入し、挿入後90度回転させることで、インシュレータ本体部401はスペーサ部407に対して離脱不可の状態で嵌合される。
この状態で、前記インシュレータ本体部は前記嵌合部に対して水平方向及び、垂直方向の移動が拘束されて設置される。このとき、開口部406a、406b(図16(a)の凸部404の溝部を形成しない箇所)が、突出部413a、413bに対して、一致した角度となるように位置決めして、インシュレータ本体部401をスペーサ部407に挿入する。図18(c)に、スペーサ部407にインシュレータ本体部401が装着完了した状態を示す。
図18(d)は図18(c)のDD拡大図である。凸部404を含む上部スリーブ402とスペーサ部407の接触状態は、実施形態1で用いたインシュレータ(図5)を適用したとき、音響特性に多大な影響を与える。図18(d)に示すように、本実施形態では前記上部スリーブの上端面外周部414とスペーサ部407の間にΔH1の軸方向隙間、前記凸部の上端面415とスペーサ部407の間にΔH2の半径方向隙間を持たせている。ΔH1の軸方向隙間を与えることで、前記上部スリーブの上端面外周部414は前記スペーサ部を装着することによる拘束から解放されて自由端となる。すなわち、上部スリーブ402が有する多くの共振モードは、スペーサ部407を嵌合させることによる影響は受けないため前述した風鈴効果を損なわない。またΔH2の半径方向隙間を持たせることで、前記凸部の上端面415とスペーサ部407は広い軸方向面積で完全密着する。そのため、上部スリーブ402(風鈴部材)の振動は着実にスピーカー側に伝搬して、十分な風鈴効果を得ることができる。

図19a、図19bに示すように、インシュレータ本体部401をスペーサ部407に「開」「閉」のマーキングを施せば、両部材401、407が離脱防止状態になっていることを容易に確認できる。
[第8実施形態]
図20は本発明の実施形態8に係るオーディオ用インシュレータを示すもので、第7実施形態同様に、インシュレータとスピーカーが離脱しない一体化構造にしたものである。551はインシュレータ本体部、552は上部スリーブ、553は下部スリーブ、554は上部スリーブ552の上端面中央に形成された凸部、555はこの凸部側面の円周上に形成された溝部、556はスペーサ部(嵌合部材)、557はボルトの頭部、558はボルトのネジ部、559はスピーカー本体部である。560は上部スリーブ552とスペーサ部間の離脱を防止するための離脱防止ボルトである。この離脱防止ボルトを完全に締結することにより、離脱防ボルト560の先端は溝部555に収納されるため、インシュレータ本体部551とスピーカー559間の離脱を防止することができる。離脱防ボルトによる本実施形態の方法と、実施形態7による方法を組み合わせれば、より高い信頼性で、インシュレータ本体部とスピーカー間の離脱防止を図ることができる。
上記実施形態で示したように、インシュレータ本体部が嵌合部に対して、水平方向と垂直方向の移動が拘束されて設置できる構造を用いれば、インシュレータ本体部に対して、吊り下げた状態のスピーカー(嵌合部付き)を着脱可能に設置できる。この場合は、インシュレータ本体部の底面(たとえば、図16(b)の下部スリーブ403の底面)を固定側に締結すればよい(図示せず)。
[外乱荷重によってスピーカーが障害物のある床面上を移動する場合]
以下、床面にインシュレータを介在して設置したスピーカーの重心Gに、強力な衝撃的水平方向外乱荷重FY加わるときのスピーカーの動的挙動について、次の2ケースについて考察する。この場合、スピーカー本体が床面上を移動し、かつその移動経路に障害物があると仮定する。
(1)インシュレータはスピーカーに対して水平方向には離脱できないように拘束されているが、垂直方向(軸方向)には拘束されていない。
(2)インシュレータはスピーカーに対して水平方向・垂直方向共に離脱できないように拘束されている。
まず上記(1)の場合について説明する。図21において、500はスピーカー、501a〜501dはこのスピーカーと床面502間に設置されたインシュレータ(501c、502dは図示せず)、503は障害物である。この場合、スピーカー500と前記インシュレータは、障害物が存在しない一定区間までは一体で移動する。したがって、インシュレータ上面をスピーカーが移動する場合(「背景技術」の説明図31)と比べて、転倒防止の点ではるかに有利となる。しかし、スピーカー500が障害物503に衝突すると、スピーカー500は前屈みに傾斜する。その結果、図21(b)のAAに示すように、外乱荷重FYの大きさ次第では、インシュレータとスピーカー500は離脱し、次の段階で図21(c)のごとく、スピーカー500は転倒する可能性がある。
次に上記(2)の場合について、説明する。
図22において、505はスピーカー、506a〜506dはこのスピーカーと床面507間に設置されたインシュレータ(506c、506dは図示せず)、508は障害物である。この場合、スピーカー505と前記インシュレータは、障害物が存在しない一定区間までは一体で移動する。スピーカー505が障害物508に衝突すると、スピーカー505は前屈みに傾斜する。しかし、図22(b)のBBに示すように、スピーカーが大きく傾斜しても、インシュレータとスピーカー500は離脱せず、次の段階で図21(c)のように、スピーカー505は静止状態に復元する。
スピーカーに加わる極めて大きな地震波を想定する。この場合、スピーカーに水平方向加速度αHと共に、垂直方向の加速度αVが加わる。この加速度αVの大きさ次第では、スピーカーは垂直方向荷重によって床面から浮上する。この条件に上記(1)(2)の条件を重ね合わせた場合を考察すると、第7、第8実施形態で一例を示した「インシュレータとスピーカーが離脱しない完全一体化構造」は、設置安定性の点で極めて有利であることが分かる。
前述した実施形態1〜6において、インシュレータ本体部は支持部材に形成された嵌合部に対して、半径方向のみに離脱できない構造を示した。実施形態1〜6場合でも、実施形態7、あるいは8で示したように、「インシュレータとスピーカーが離脱しない完全一体化構造」を適用することは容易である。たとえば、実施形態1を例にとれば、
(i)スペーサ部18の凹部19の内面形状(図1a)を、実施形態7の凹部408の内面形状(図17b)に変える。
(ii)上部スリーブ11の凸部13の形状(図1b)を、実施形態7の凸部404の形状(図16b)に変える。
上記(i)(ii)を施せばよい。
[第9実施形態]
図23は本発明の実施形態9に係るオーディオ用インシュレータ、及びオーディオ装置を示すもので、スピーカーの底面に設けられた、たとえばスパイク装着用のネジ部を利用して平板を締結し、スピーカー底面から離れた前記平板の底面でインシュレータを設置することにより、一層の設置安定性の向上を図ったものである。
510はスピーカー、511はこのスピーカー底面に装着された外付け平板(ボード)、512a〜512dは外付け平板511の下で4箇所に嵌合された状態で配置されたインシュレータ(512c、512dは図示せず)である。513a〜513dは前記平板とスピーカー510を締結するためのボルト(想像線で記載、513c、513dは図示せず)である。前記外付け平板とスピーカー510を前記ボルトに締結するために、スパイク装着用のネジ部を利用している。スパイクでスピーカーを支持する場合の2つの支持点の間隔L1に対して、前記外付け平板を設けてインシュレータで支持する場合は2つの支持点の間隔はL2である。L2>L1のため、前記スピーカーを転倒させる衝撃的なモーメント荷重が加わった場合、設置安定性を向上できる。特にトールボーイ型と呼ばれる背の高いスピーカーの設置安定性向上を図る手段として、本実施形態の方法は有効である。

本実施形態では、前記外付け平板とスピーカー510を締結するために、スパイク装着用のネジ部を利用したが、スパイク以外の、たとえば、コロなどを支持方法としているスピーカーの場合は、そのコロの締結部を利用してもよい。
前記インシュレータ間の支持スパンを拡大するために、本実施形態では平板を用いたが、支持スパンを拡大する構造は平板に限定されない。たとえば、スピーカー底面の対角線上にある2点の支持部を1つの長方形の板材Aで固定する。さらに前記板材Aに交差するように、残りの2点の支持部を別の長方形の板材Bで固定するような構造でもよい(図示せず)。
さらに、本実施形態では、前記外付け平板に対して前記インシュレータが離脱した場合でも、スピーカーの設置安定性を図るための傾斜・転倒防止手段を前記外付け平板に設置している。514a〜514dは外付け平板511に設けられた傾斜規制手段(514c、514dは図示せず)である。図24は、インシュレータ512b近傍の部分拡大図である。515は傾斜規制手段514bのボルト頭部、516はねじ部、517はナットである。スピーカーの通常の使用時において、ボルト先端部518と床面519間は、僅かなギャップΔHを保つように、ねじ部516に対するナット517の位置を調整する。インシュレータにフローティング方式を用いた場合、スピーカーの重心位置によって各インシュレータの軸方向変形量が異なる。この場合、各傾斜規制手段の先端と床面間のギャップΔHが一定となるように調節すればよい。但し、前記平板と前記インシュレータを水平・垂直方向に離脱しない完全一体化構造にすれば、前記傾斜規制手段は省略してもよい。
あるいは、前記傾斜規制手段を装着すれば、前述した実施形態のようなスピーカー側に設けた支持部材とインシュレータ間を離脱できないように嵌合する手段は省略してもよい。すなわち、平板511の下に各インンシュレータを、水平方向・垂直方向に規制することなく、配置するだけでよい。
本実施形態で示した傾斜規制手段の適用は、スピーカーの形態に限定されない。
たとえば、実施形態1で示したスパイク支持型のスピーカーの場合、傾斜規制手段をスパイクのねじ部を利用して設置し、この傾斜規制手段の近傍にインシュレータを配置してもよい(図示せず)。あるいは、スピーカーの底面に通常設けられる各足部の中間部にも足部を設けて、総計8個のねじ溝付きの足部を設ける。このうち、4隅のねじ部はインシュレータ用に用いて、残りの4個は傾斜規制手段用とする構造でもよい。スピーカー本体は3点でも安定設置できるため、3個のねじ部はインシュレータ用に用いて、残りの3個は傾斜規制手段用とする構造でもよい(図示せず)。
あるいは、傾斜規制手段の軸がインシュレータ中心部を貫通するような構造でもよい(図示せず)。
[第10実施形態]
図25は本発明の実施形態10に係るオーディオ用インシュレータ、及びオーディオ装置を示すものである。スパイクを収納する貫通穴が形成された外付け平板を前記スピーカーの底部に装着し、かつスピーカー底面から離れた前記外付け平板の底面でインシュレータを設置することにより、設置安定性の向上を簡便に図る方法を示すものである。図25(a)は前記外付け平板の上にスピーカーが搭載された状態を示す正面図、図25(b)は前記平板の上面図である。
350はスピーカー、351はこのスピーカー底面に装着された外付け平板(ボード)、352a〜352dは外付け平板351の下で4箇所に嵌合された状態で配置されたインシュレータ、353a〜353dはスピーカー350の底面に締結されているスパイク、354a〜354dは貫通穴である。本実施形態の場合も、第9実施形態同様に、スパイク支持における2つの支持点の間隔L1に対して、前記インシュレータで支持する場合の間隔をL2として、L2>L1とすれば、設置安定性を向上できる。また、前記スパイクは前記スピーカーから離脱しなくてもよい。また、間隔L2を大きく設定すれば、平板351とスピーカー350を締結しなくても実用的には十分な設置安定性が得られた。本実施形態では、図25(b)に示すように、前記貫通穴の開口部形状を横長にすることで、スパイク支持間隔L1が異なる様々なスピーカー(オーディオ機器)に対して、外付け平板351を共有化して利用できる。
前記貫通穴の開口部形状を横長にする代わりに、商品としてシリーズ化された各種スピーカーに対応するために、複数個の貫通穴を形成してもよい(図示せず)。

実施形態では、オーディオ機器支持部材であるスパイクで支持されたスピーカーに適用した場合を示した。第2実施形態で示したような、たとえば、コロ(球体)などで支持されたスピーカーでも本発明を適用できる(図示せず)。また、本実施形態においても、第9実施形態同様に、傾斜規制手段(図24の514bに相当)を装着すれば、一層の設置安定性を図ることができる。具体的には、傾斜規制手段である複数のボルトを平板351に装着し、ボルト先端部と床面間が僅かなギャップΔHを保つように、ねじ部に対するナットの位置を調整すればよい(図示せず)。
この場合は、第9実施形態同様に、スピーカー側に設けた支持部材とインシュレータ間を離脱できないように嵌合する手段は省略してもよい。
また、第9実施形態、第10実施形態に例を示したように、スピーカー底面に設けられた外付け平板の面積を十分に大きくできる場合、あるいは、底部が平胆形状で床面との設置面積が十分に大きな一般的スピーカーの場合は、トールボーイ型と呼ばれる背の高いスピーカーと比較すると転倒の危険性は低い。この場合は、インシュレータの上端面(たとえば、図5の凸部57の端面)にサンドブラスト加工を施せば、オーディオ機器底面とインシュレータ間の相対的な滑りを抑制できる。周知のように、サンドブラストとは、研磨材をコンプレッサーの圧縮空気に混ぜて、加工面に吹き付けることにより表面を加工する方法である。研磨材の粒子の粗さ(粒子径)、粒子の硬さ、コンプレッサー圧力などを適切な値に設定することにより、加工面を滑りにくい表面状態(摩擦係数を上げる)に仕上げることができる。サンドブラスト加工により、ゴムシートのように高周波振動を減衰させることなく、摩擦係数を増加できる(図示せず)。
[第11実施形態]
図26は、本発明の実施形態11に係るフローティング方式のオーディオ用インシュレータを示すものである。前述した実施形態7同様に、水平・垂直方向共にオーディオ機器とインシュレータは離脱不可の完全一体化構造に加えて、インシュレータ本体の高さの上限値と下限値を設定可能にしたものである。
図26(a)はインシュレータの高さが上限値Hmaxの状態を示す正面断面図、図26(b)は下限値Hminの状態を示す正面断面図である。
851は上部スリーブ(風鈴部材)、852は下部スリーブ、853は下部スリーブ852の中央部に設置されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。上部スリーブ851は下部スリーブ852上部に配置され、両スリーブ851、852の内部に弾性部材であるスプリングコイル854が設けられている。855、856はスプリングコイル854を装着した状態で、両スリーブ851,852の軸芯が一致した状態を保つための両スリーブに形成された位置決め部である。857は上部スリーブ851の上端面に形成された凸部であり、スペーサ部859に形成された凹部860と嵌合される。このスペーサ部859はスピーカー900の底面にボルト858で装着される。インシュレータ側の凸部857とスペーサ部859は、実施形態7で一例を示した様に、オーディオ機器の通常の使用時において、水平・垂直方向共に離脱不可となるように装着される。
861は上部スリーブ851と下部スリーブ852の離脱を防止するための締結ボルト、862はこの締結ボルトの頭部を収納する下部スリーブ852に形成された筒部である。863は締結ボルト861に装着されたナットであり、このナットの軸方向位置の調節により、鎖線AAで示すように、インシュレータ本体高さの上限値Hmaxを設定できる。864は下部スリーブ852の側面に形成されたねじ部であり、このねじ部に装着されたダブル・ナット865の軸方向位置の調節により、鎖線BBで示すように、インシュレータ本体高さの下限値Hminを設定できる。インシュレータ本体高さの上限値Hmaxと下限値Hminは、以下述べるように設定すればよい。インシュレータ複数個(3個あるいは4個)の上にオーディオ機器を搭載し、平衡状態におけるインシュレータ本体高さをHeqとする。前記Hmaxと前記Heqとの差、及び、前記Hminと前記Heqとの差が所定の範囲になるように、前記上限値Hmaxと前記下限値Hminを微調節する。この微調整の精度が高い程、上限値HmaxとHeqとの差、及び、Heqと下限値Hminとの差は僅少にできる。すなわち本実施形態では、オーディオ機器に加わる水平・垂直方向加振力による転倒防止対策に加えて、軸方向変形量の無い硬質インシュレータと同様な取り扱いができるフローティング方式インシュレータが実現できる。ΔH1=Hmax-Heq、ΔH2= Heq-Hminとして、ΔH1<5mm及びΔH2<5mmに設定すれば、実用上十分であった。さらにΔH1<2.5mm及びΔH2<2.5mmに設定すれば、完璧ともいえる安定性が確保できた。
[第12実施形態]
図27は本発明の実施形態12に係るオーディオ用インシュレータ、及びオーディオ装置を示すもので、本発明インシュレータに搭載されたオーディオ機器を、床面よりも高所に配置された箇所で安定に設置するための実施形態を示すものである。本実施形態では、スピーカー・スタンド上にスピーカーを設置する場合を例に上げて示している。後述するように、一般の棚にオーディオ機器を搭載する場合のインシュレータ構造とその効用も同様である。
スピーカー・スタンドは、通常小型スピーカーをリスナーが適切なリスニング・ポジションで聴くために用いられる。図27(a)は図27(b)のD-D矢視図、図27(b)は正面図、図27(c)は図27(b)のBB部拡大図である。675はスピーカー・スタンドの底板、676a〜676dは支持部、677は支柱、678は天板である。前記底板、前記支持部、前記天板で、広く用いられている一般のスピーカー・スタンドを構成している。
679a〜679dは前記天板678の4隅で、この天板を上下から挟持して前記天板に固定されるスタンド用挟持部材である。このスタンド用挟持部材のそれぞれに本発明のオーディオ用インシュレータ680a〜680dが装着される。このオーディオ用インシュレータの上にスピーカー681が搭載される。
BB部拡大図27(c)において、682は前記スタンド用挟持部材の上面部、683は下面部、684は締結ボルト、685はこの締結ボルトの頭部、686はこの締結ボルトの上端部に形成された円柱部、687はこの円柱部の上面に接合された弾性部材である。締結ボルト684により、スタンド用挟持部材679bとスピーカー・スタンドの天板678の両者は、弾性部材687を介在して締結される。688はスタンド用挟持部材の上面部682に形成されたインシュレータ収納部である。
本実施形態では、第1実施形態の適用例に近い構造のオーディオ用インシュレータ(図5)を用いており、インシュレータ本体部689とスペーサ部690から構成される。インシュレータ本体部689は、上部スリーブ691、下部スリーブ692、スプリングコイル693、前記上部スリーブと前記下部スリーブの離脱を防止する締結ボルト694から概略構成される。この締結ボルトの頭部を収納する下部スリーブ692に形成された筒部695を利用してメネジを形成し、装着ボルト696により、インシュレータ本体部689とスタンド用挟持部材679bを固定している。697は上部スリーブ691の上端面に形成された凸部、698はスペーサ部690に形成された凹部、699はスペーサ部690とスピーカー681の底面を締結するボルトである。前記凸部と前記凹部は、他の本発明実施例同様に、両部材の水平方向の離脱防止が図れるように、あるいは、水平方向と垂直方向共に離脱防止が図れるように嵌合される。

本実施形態では、前記インシュレータ4個を前記スピーカー・スタンドの前記天板の4隅に設置しているが、個数を3個に減らして前記天板の3隅に設置してもよい。この場合は、前記スタンド用挟持部材は3個でよい。
搭載するスピーカーが小型で、またスピーカー・スタンドの天板各辺の寸法が小さければ、スタンド用挟持部材を総計2個にして、各挟持部材に2つの前記インシュレータ本体部を搭載してもよい。
本実施形態では、概略長方形である前記天板の2つの辺を挟むように、前記スタンド用挟持部材を装着した。この方法以外では、天板の4つの角を挟むように、スタンド用挟持部材を装着してもよい。
あるいは、天板と同程度の大きさのインシュレータ設置ボードを天板の上面に配置する。前記天板の下面に設けた部材と前記インシュレータ設置ボードにより、前記天板を挟む構成でもよい。
インシュレータ収納部688を十分に深く形成すれば、インシュレータ本体部689を前記インシュレータ収納部の底面に固定することなく配置するだけで、前記インシュレータ本体部の水平方向の移動を規制することができる。スピーカー・スタンドを傾斜させる危険性が小さければ、装着ボルト696による両部材の締結を省略してもよい。インシュレータ収納部688の形状は、前記インシュレータ本体部の下部寸法よりも十分に余裕を持たせた大きさにすればよく、たとえば楕円形状でもよい。あるいは、商品としてシリーズ化された各種スピーカーに対応するために、複数個設けてもよい。
またスピーカー・スタンドが傾斜する危険性が小さいという前提で、上部スリーブ691の上面を十分に滑りにくい状態(たとえば、サンドブラスト加工処理)にすれば、インシュレータ本体部689とスピーカー681の水平方向・垂直方向の離脱を防止する前述した手段(たとえば、インシュレータ本体部とスペーサ部を嵌合させる手段)を省略してもよい。
本実施形態では、スピーカー・スタンドにスピーカーを搭載される場合について示したが、スピーカー以外のオーディオ機器であるCDプレイヤー、アンプ、アナログプレイヤーなどを搭載する場合にも適用できる。
スタンド用挟持部材を用いて、インシュレータで支持されたオーディオ機器を安定に設置するための上述した構造とその効用は、スピーカー・スタンドに限定されない。たとえば、適切なリスニング・ポジションで聴くために、高所に置かれた棚の上にスピーカーを設置する場合、棚板の上下を挟むように前記スタンド用挟持部材(この場合は、棚用挟持部材)を装着すれば、インシュレータで支持されたスピーカーの転倒・転落を防止できる。この場合、図27(c)の天板678が前記棚板に相当する。
この場合、前記棚用挟持部材はインシュレータ本体部が棚の奥行き方向に複数箇所に設置できる構成にすればよい。棚用挟持部材の棚の奥行き方向長さを十分に長くすれば、奥行きの狭い棚の場合でもオーディオ機器を安定して設置できる。
棚の種類は、本棚、書棚、雑貨用具を入れるラック、システムボックスなど、どのような形態でも適用可能である。たとえば、オーディオ専門店の商品陳列棚に、前記棚用挟持部材を適用して、多くのスピーカーを安定して配置することができる。要するに、挟持部材を上下で挟持できる箇所(適度な厚みの棚板)を有する筐体構造ならば、本発明の適用が可能である(以上、図示せず)。
[補足]
第4〜第6実施形態では、オーディオ機器を挟む挟持部材と、インシュレータ本体部を嵌合させるための支持部材は別部品(たとえば、図10の部材204と207)で構成した。しかし、支持部材と挟持部材は一体化した構造でもよい。すなわち、挟持部材にインシュレータ本体部を嵌合させる嵌合部が形成されていてもよい。この場合は挟持部材と支持部材の締結手段(たとえば、図10のボルト208)は省略できる。すなわち、挟持部材を含むインシュレータの総部品数を削減できる。
外付け平板を利用した第9、第10実施形態の場合も同様である。すなわち、外付け平板(たとえば、図23の部材511)にインシュレータ本体部を嵌合させる嵌合部を形成すればよい。
各実施形態では、本発明のインシュレータをスピーカーに適用する場合を示したが、オーディオ機器であるCDプレイヤー、アナログプレイヤー、プリアンプ、パワーアンプ、PCオーディオ用のパソコン、あるいは、これらのオーディオ用コンポーネンツを収納するオーディオラック(棚)、あるいは様々な楽器(たとえば、アコースティック楽器)、ピアノなど楽器のいずれにでも適用できる。
各実施形態では、弾性部材として外径が軸方向で均一なスプリングコイルを用いた。スプリングコイル以外には、前述したように、マグネットの反発力を利用したもの、ワイヤとU字状ばね(たとえば、図28)によるもの、エアー式などのフローティング方式のインシュレータも適用できる。具体的には、たとえば、図5bのスプリングコイル54、サージング防止部材53などを上述したフローティング方式を構成する部材に置き換えればよい。
スプリングコイルを適用する場合は、各実施形態の上記形状に限定されるものではない。たとえば、円錐コイルばね、皿バネ、あるいはこの皿ばねを多段に積み重ねた構造、竹の子ばね、輪ばね、渦巻きばね、薄板ばね、重ね板ばね、U字型ばねなど、オーディオ用インシュレータとして要求される形状、寸法などを考慮して選択すればよい。各実施形態のインシュレータは、上部スリーブが下部スリーブを包み込むような構成であった。この構成ではなく、逆に下部スリーブが上部スリーブを包み込むような構成でもよい。あるいは、スリーブ形状ではなく、弾性部材の端部を保持する、たとえば概略円板形状の部材を上部スリーブの代わりに用いてもよい。
硬質インシュレータの場合でも、各種オーディオ機器の形態に合せて、本発明の各実施形態で説明した水平・垂直方向の離脱防止効果は適用できる。一例を上げれば、実施形態3におけるインシュレータ(図8の上部スリーブ151と下部スリーブで構成)を、硬質インシュレータに置き換えればよい。たとえば、第12実施形態におけるスピーカー・スタンド、あるいは高所に置かれたオーディオ機器に本発明を適用する場合も同様である。
たとえば、第1実施形態では、スパイク付きスピーカーのスパイクを取り外し、本発明インシュレータに置き換える場合を示すものであった。他の実施形態でも同様であるが、スピーカーの基本構成の段階で、本発明インシュレータが最初から組み込まれた構造でもよい。たとえば、フローティング方式インシュレータを装着するという前提で、スピーカーの基本設計がなされるならば、本発明はさらに簡素化された形で適用が可能である。たとえば、第4実施形態(図10)を例にとれば、平板部材941の底面にボルト211を締結するメネジが予め設けられていれば、挟持部材204は不要であり、インシュレータの支持構造はおおいに簡素化される。たとえば、第9実施形態(図23)を例にとれば、平板511と傾斜規制手段514a〜514dは最初からスピーカーの基本構造の一部として、最も適切な箇所に設けられていてもよい。あるいは、硬質材料式(たとえば、スパイク式)とフローティング方式のいずかをリスナーが選択できるように、スピーカー(オーディオ機器)の基本設計がなされていてもよい。
水平方向、垂直方向の外力によって、インシュレータをスピーカー本体から離脱させない本発明の構造は、インシュレータの形式を問わず、たとえば背の高い硬質材料インシュレータにも適用できる。背の高いインシュレータを、たとえばスピーカーに装着したとき、図21、図22、図30に示すように、水平方向・垂直方向外力によって、転倒の可能性が生じる。したがって、フローティング式に限らず、本実施形態で示した設置安定化の手段は様々な形式のインシュレータに有効である。
オーディオ機器とインシュレータを嵌合する手段に、実施形態では凹凸の組み合わせを示したが、嵌合手段はこの方法に限定されない。たとえば、対抗面が平胆な2つの部材の中央部に貫通穴を形成し、2つの部材が離脱できないようにボルトとナットを前記貫通穴に設ける構造でもよい。あるいは、インシュレータとオーディオ機器を直接ボルトで締結してもよく、ネジ部はたとえばスパイクの締結部を利用してもよい(図示せず)。
第1実施形態に適用したインシュレータ(図5)、第11実施形態に適用したインシュレータ(図26)を本発明に適用する場合、スピーカーの設置面側に設けられる支持部材(たとえば、図10の204、図15の453、図23の511など)に真鋳などの金属材料を用いれば、風鈴部材である上部スリーブ(図5の51)の共振現象を効率的にスピーカー側に伝搬できる。その結果、より一層の音像の定位感、分解能、透明感、スケール感などの音響効果を得ることができる。さらにスピーカーの底面に水平平板を設け、スピーカーの前面に位置する箇所に垂直パネルを設ける。この水平平板と垂直パネルの組み合わせにより、たとえばL字型の部材を構成して、前記水平平板の下に前記インシュレータ(たとえば、図5)を配置する。前記インシュレータは、前述した実施形態のように前記水平平板に嵌合する構成でもよい。あるいは、水平平板の下に水平方向、垂直方向に規制することなく配置するだけでもよい。水平平板と垂直パネルは風鈴(部スリーブ)の音響振動を伝搬すると共に、高周波音の発生源にもなる。垂直パネルのスピーカーのコーンに位置する箇所は、コーンからの音の出力を妨げないように穴をくり抜けばよい。この構成により、風鈴効果をさらに飛躍的に向上することができる。木製で作られることが多い一般のスピーカーではなく、スピーカー本体が金属で作られた金属スピーカー、あるいは、たとえばスピーカーのフロントパネルが金属と木材の合板で作られたスピーカーを用いても同様な効果が得られる(図示せず)。
実施形態では、オーディオ機器に対してインシュレータ本体が半径方向、垂直方向に離脱できない構造を示した。スピーカーをスピーカー・スタンド上で安定に設置するための第12実施形態で一例を示したように、設置面側(床面側)に対して前記インシュレータ本体が容易には離脱できない構造にすれば、一層の設置安定性を向上させることができる。そのために、たとえばスピーカー本体の面積よりも十分に大きく、かつ重い平板(ボード)をスピーカーの下の床面に設置して、この平板と前記インシュレータの底面を固定する構造でもよい。たとえば、前記平板の底面(床面側)からボルトで前記インシュレータを固定してもよい。たとえば、図5のインシュレータの場合、下部スリーブ52の筒部59に前記ボルトと締結するネジ部を、図27(c)の実施形態のように、形成してもよい。あるいは、インシュレータ(たとえば、下部スリーブ52)の外周部を固定する治具をこのインシュレータに締結し、この治具と前記平板の上面を固定する構造でもよい。平板の形状は長方形でなくてもよく、スピーカー底面から放射状に伸びた枝のような形状でもよい。スピーカーに加わるモーメント荷重に対して、転倒を防止するための十分な支持スパンが設けられる形状であればよい。あるいは、平板を用いるのではなく、床面に直接インシュレータを固定する締結部材を打ち込む構造でもよい(図示せず)。
10・・・インシュレータ本体部
18・・・支持部材
19・・・嵌合
900・・・オーディオ装置

Claims (16)

  1. 音質の向上を目的としてオーディオ機器に設置されるオーディオ用インシュレータであって、前記オーディオ用インシュレータは、
    前記オーディオ機器の設置面側に設けられる上部スリーブと、床面側に設けられる下部スリーブと、前記上部スリーブと前記下部スリーブとの間に設けられた弾性部材と、から構成されるインシュレータ本体部と、
    前記オーディオ機器の設置面側に設けられ、前記オーディオ機器に対して直接、又は、別の部材を介して固定され、前記オーディオ機器と一体となって動くように構成された支持部材と、
    前記支持部材あるいは前記上部スリーブに形成されるものであり、前記支持部材に対して前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブを装着する、又は、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブに対して前記支持部材を装着する嵌合部と、を備えており、
    前記インシュレータ本体部は、前記弾性部材が機械ばね、あるいは空気、あるいは磁性体で構成されるフローティング方式であり、
    前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブは前記嵌合部に対して水平方向の移動が拘束されて設置されているとともに、前記上部スリーブは前記嵌合部により前記支持部材に対して嵌合しており、
    前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブは前記嵌合部に対して水平方向、及び、垂直方向の移動が拘束されて設置されることを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
  2. オーディオ機器の設置側に具備するスパイクあるいはコロが締結されるネジ部を利用して、前記支持部材を前記オーディオ機器に締結したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
  3. 底面が概略平板形状で構成されたスピーカーにおいて、前記平板形状部材を上下で挟む挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材から構成されることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
  4. 底部が薄板の概略スカートを履いた形状のスピーカーにおいて、前記薄板を挟む挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材から構成されることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
  5. 底部が概略平胆面形状のスピーカーにおいて、このスピーカーの側面を挟む挟持部材と、この挟持部材に固定された前記支持部材から構成されることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
  6. 前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブを前記嵌合部に装着した状態で、前記インシュレータ本体部の前記上部スリーブと前記支持部材の相対的な角度によって、前記インシュレータ本体部と前記支持部材の軸方向の離脱可否が設定できるように構成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
  7. 前記下部スリーブの底面から前記支持部材の上面までの距離であるインシュレータ本体高さの上限値Hmaxと下限値Hminが設定できるように構成された請求項1記載のオーディオ用インシュレータであって、
    このオーディオ用インシュレータ複数個の上にオーディオ機器を搭載した平衡状態におけるインシュレータ本体高さをHeqとして、前記Hmaxと前記Heqとの差、及び、前記Hminと前記Heqとの差が所定の範囲になるように前記上限値Hmaxと前記下限値Hminを調節したことを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
  8. スピーカーの設置側に具備するスパイクあるいはコロが締結されるネジ部を利用して、外付け平板と前記スピーカーを締結し、前記の外付け平板の底面に配置された請求項1記載のオーディオ用インシュレータにより前記スピーカーを支持したことを特徴とするオーディオ・システム。
  9. オーディオ機器の設置側に具備するスパイクなどの突出部を収納する貫通部を外付け平板に形成し、この外付け平板の上部に前記オーディオ機器を搭載し、前記外付け平板の底面に配置された請求項1記載のオーディオ用インシュレータにより前記オーディオ機器を支持したことを特徴とするオーディオ・システム。
  10. 前記貫通部を概略横長形状、あるいは、複数個の貫通穴としたことを特徴とする請求項9記載のオーディオ・システム。
  11. オーディオ機器を支持する請求項1記載のオーディオ用インシュレータと並列に、オーディオ機器底面からの突き出し量が調整可能な傾斜規制手段を前記オーディオ機器底面近傍に装着し、オーディオ機器の通常の使用時において、前記傾斜規制手段の先端と床面間が所定のギャップを保つように設定される構成であることを特徴とするオーディオ・システム。
  12. 床面に設置する底板と、オーディオ機器が搭載される天板と、この天板を支える支柱から構成されるスピーカー・スタンドにおいて、前記天板を上下から挟持して前記天板に固定されるスタンド用挟持部材と、このスタンド用挟持部材に設置され、かつ上部にオーディオ機器が搭載される請求項1記載のオーディオ用インシュレータから構成され、前記オーディオ用インシュレータは前記スタンド用挟持部材に対して水平方向、又は、水平方向と垂直方向の移動が拘束されて設置されることを特徴とするオーディオ・システム。
  13. リスナーが適切なリスニング・ポジションで聴くために、床面に対して高所に置かれた棚の上にスピーカーが設置されるオーディオ機器において、前記棚を構成する棚板を上下から挟持して前記棚板に固定される棚用挟持部材と、この棚用挟持部材に設置され、かつ上部にスピーカーが搭載される請求項1記載のオーディオ用インシュレータから構成され、前記オーディオ用インシュレータは前記棚用挟持部材に対して水平方向、又は、水平方向と垂直方向の移動が拘束されて設置されることを特徴とするオーディオ・システム。
  14. 請求項7記載のオーディオ用インシュレータを用いたことを特徴とするオーディオ・システムの設置方法。
  15. 前記上部スリーブ、及び、前記下部スリーブが概略筒状をなし、前記上部スリーブの内側周面と前記下部スリーブの側周面との間が所定距離離間するように構成されている請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
  16. 前記嵌合部が、前記支持部材に形成された凹部であり、
    前記上部スリーブが、前記凹部に嵌合する凸部を備えている請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
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