しかしながら、特許文献1の方法では、定着用回転体対の回転方向の制御によりクリーニング効果を高めてはいるが、クリーニング時間を要するとともにクリーニングシートをスリップさせた場合は定着用回転体の表面に傷を生じさせる等の問題がある。
また、特許文献2の方法は、定着部材と接触型の温度検知手段との間にクリーニングシートを入り込ませて堆積トナーを除去するものであり、定着部材及び定着部材に接触または近接する加圧部材等の周辺部材の表面全体をクリーニングするものではなかった。さらに、定着ニップ部の下流側には定着部材と用紙とを剥離する分離部材が設けられており、分離部材と定着部材との間に用紙を通過させるために分離部材の接離機構が必要となるため、構造の複雑化、高コスト化、分離部材の汚れ等の問題が生じるおそれがあった。
本発明は、上記問題点に鑑み、クリーニングローラやクリーニングブラシ等のクリーニング部材を用いることなく定着部材に付着した異物を効果的に除去できる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体上にトナー像を形成する画像形成部と、記録媒体の搬送方向に対し前記画像形成部の下流側に配置される正逆回転可能な加熱部材と、該加熱部材に圧接されて定着ニップ部を形成する正逆回転可能な加圧部材と、から成る定着部材と、記録媒体の搬送方向に対し前記定着ニップ部の上流側近傍に配置され記録媒体を表裏方向から支持する定着進入ガイドと、前記定着ニップ部の下流側近傍に配置される分離部材と、前記定着ニップ部の下流側近傍に配置され記録媒体を裏面方向から支持する定着排出ガイドと、を有し、前記定着ニップ部に記録媒体を挿通させて記録媒体上に担持された未定着トナーを定着する定着装置と、を備えた画像形成装置において、前記定着部材のいずれか一方の外周面全域にクリーニングシートを巻き付けた状態で前記定着部材を1回転以上回転させた後、前記定着部材の回転方向を切り替えることで前記クリーニングシートを前記定着部材から分離して排出するクリーニングモードを実行可能としたことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記定着部材を逆方向に回転させた状態で、前記クリーニングシートを記録媒体の搬送方向に対し下流側から前記定着ニップ部に搬送し、前記定着部材のいずれか一方に巻き付いた前記クリーニングシートを、前記定着部材の回転方向を正方向に切り替えることで前記分離部材若しくは前記定着排出ガイドにより前記定着部材から分離して前記定着ニップ部の下流側に排出することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記定着部材を正方向に回転させた状態で、前記クリーニングシートを記録媒体の搬送方向に対し上流側から前記定着ニップ部に搬送し、前記クリーニングシートの後端が前記定着ニップ部に挟まれた状態で前記定着部材の回転方向を逆方向に切り替えることで前記クリーニングシートを前記定着部材のいずれか一方に巻き付け、前記定着部材の回転方向を再び正方向に切り替えることで前記クリーニングシートを前記分離部材若しくは前記定着排出ガイドにより前記定着部材から分離して前記定着ニップ部の下流側に排出することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記クリーニングシートは、前記定着ニップ部への搬送方向先端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層を有することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記クリーニングシートは、前記定着ニップ部への搬送方向後端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層を有することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記クリーニングシートは、前記定着ニップ部への搬送方向先端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層を有し、前記定着部材を正方向に回転させた状態で、前記クリーニングシートを記録媒体の搬送方向に対し上流側から前記定着ニップ部に搬送し、前記定着部材のいずれか一方に巻き付いた前記クリーニングシートを、前記定着部材の回転方向を逆方向に切り替えることで前記定着進入ガイドにより前記定着部材から分離して前記定着ニップ部の上流側に排出することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記クリーニングシートは、前記第1粘着層が形成される面と反対側の面に帯状に形成される第2粘着層を有し、前記第2粘着層の搬送方向先端部から前記クリーニングシートの後端部までの長さは、前記クリーニングシートが巻き付く前記定着部材の外周長よりも短いことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記クリーニングシートは、前記定着ニップ部への搬送方向先端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層と、該第1粘着層が形成される面と反対側の搬送方向後端に余白なしで帯状に形成される第2粘着層とを有し、前記第1粘着層の搬送方向の長さは前記クリーニングシートが最初に巻き付く前記定着部材と対向する前記定着部材の外周長よりも短く設定され、前記第2粘着層の搬送方向の長さは前記クリーニングシートが最初に巻き付く前記定着部材の外周長よりも短く、且つ前記第2粘着層の粘着力は前記第1粘着層よりも大きく設定されており、前記定着部材を正方向に回転させた状態で、前記クリーニングシートを記録媒体の搬送方向に対し上流側から前記定着ニップ部に搬送し、前記第1粘着層により前記定着部材のいずれか一方の外周面全域に巻き付けた後、前記定着部材の回転方向を逆方向に切り替えることで前記第2粘着層により他方の前記定着部材の外周面全域に巻き付け、前記定着部材の回転方向を再び正方向に切り替えることにより、前記分離部材若しくは前記定着排出ガイドにより前記定着部材から分離して前記定着ニップ部の下流側に排出することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記第1粘着層及び/または前記第2粘着層は、所定の軟化温度以上に加熱されることにより粘着力が得られる熱可塑性樹脂から成り、前記クリーニングモードの実行時に前記加熱部材を粘着層の軟化温度以上に加熱することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記第1粘着層及び/または前記第2粘着層は、前記画像形成部において記録媒体上に形成されるトナー層であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記クリーニングモードは、所定枚数の印字動作後、所定量のトナー消費後、若しくは定着駆動時間が所定時間以上となった後に自動的に実行されることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、クリーニングローラやクリーニングブラシ等のクリーニング部材を用いることなく、且つ定着部材の表面に傷を付けることなく、簡易な構成で加熱部材または加圧部材及び周辺部材の表面に付着した異物を効率良く除去することができる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、クリーニングシートを、記録媒体の搬送方向に対し下流側から定着ニップ部に搬送し、定着部材のいずれか一方に巻き付いたクリーニングシートを分離部材若しくは定着排出ガイドにより定着部材から分離して定着ニップ部の下流側に排出することにより、使用後のクリーニングシートを記録媒体の排出部に排出することができ、クリーニングシートを排出するための搬送路が不要となる。また、クリーニングシートが分離部材の加熱部材に対向する側から接近するため、分離部材の先端が加熱部材に接触している構成であってもクリーニングシートを加熱部材に円滑に巻き付けることができる。
さらに、定着ニップ部を通過する際に加えられる熱及び圧力によって、記録媒体は加熱部材側にカールするが、加熱部材と定着進入ガイドとの隙間は、加熱部材と分離部材との隙間に比べて広いため、粘着層を設けなくてもクリーニングシートを加熱部材に巻き付けることができる。従って、粘着層の形成されていない通常の用紙をクリーニングシートとして使用できるため、装置のメンテナンスコストを低減することができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、クリーニングシートを、記録媒体の搬送方向に対し上流側から定着ニップ部に搬送し、クリーニングシートの後端が定着ニップ部に挟まれた状態で定着部材の回転方向を逆方向に切り替えることでクリーニングシートを定着部材のいずれか一方に巻き付け、定着部材の回転方向を再び逆方向に切り替えることでクリーニングシートを分離部材若しくは定着排出ガイドにより定着部材から分離して定着ニップ部の下流側に排出することにより、使用後のクリーニングシートを記録媒体の排出部に排出することができ、クリーニングシートを排出するための搬送路が不要となる。また、給紙カセットや手差しトレイ等の給紙機構を用いてクリーニングシートを自動的に定着ニップ部に送り込むことができる。
また、分離部材の先端が加熱部材に接触している構成であってもクリーニングシートを加熱部材に円滑に巻き付けることができる。さらに、粘着層の形成されていない通常の用紙をクリーニングシートとして使用できるため、装置のメンテナンスコストを低減することができる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、クリーニングシートは、定着ニップ部への搬送方向先端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層を有することにより、クリーニングシートを定着部材に円滑に巻き付けることができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、クリーニングシートは、定着ニップ部への搬送方向後端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層を有することにより、クリーニングシートを定着部材に円滑に巻き付けることができる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、クリーニングシートは、定着ニップ部への搬送方向先端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層を有し、クリーニングシートを記録媒体の搬送方向に対し上流側から定着ニップ部に搬送し、定着部材のいずれか一方に巻き付いたクリーニングシートを定着進入ガイドにより定着部材から分離して定着ニップ部の上流側に排出することにより、給紙カセットや手差しトレイ等の給紙機構を用いてクリーニングシートを自動的に定着ニップ部に送り込むことができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第4又は第6の構成の画像形成装置において、クリーニングシートは、第1粘着層が形成される面と反対側の面に帯状に形成される第2粘着層を有し、第2粘着層の搬送方向先端部からクリーニングシートの後端部までの長さはクリーニングシートが巻き付く定着部材の外周長よりも短いことにより、定着部材に巻き付いたクリーニングシートの後端が定着部材から離間して浮き上がるため、定着部材を逆回転させたときにクリーニングシートの後端を分離部材や定着進入ガイド、定着排出ガイドに引っ掛けて定着部材からクリーニングシートを容易に剥ぎ取ることができる。
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、クリーニングシートは、定着ニップ部への搬送方向先端の片面に余白なしで帯状に形成される第1粘着層と、該第1粘着層が形成される面と反対側の搬送方向後端に余白なしで帯状に形成される第2粘着層とを有し、第1粘着層の搬送方向の長さはクリーニングシートが最初に巻き付く定着部材と対向する定着部材の外周長よりも短く設定され、第2粘着層の搬送方向の長さはクリーニングシートが最初に巻き付く定着部材の外周長よりも短く、且つ第2粘着層の粘着力は第1粘着層よりも大きく設定されている。
このクリーニングシートを、記録媒体の搬送方向に対し上流側から定着ニップ部に搬送し、第1粘着層により定着部材のいずれか一方の外周面全域に巻き付けた後、定着部材の回転方向を逆方向に切り替えることで第2粘着層により他方の定着部材の外周面全域に巻き付け、定着部材の回転方向を再び逆方向に切り替えることで分離部材若しくは定着排出ガイドにより定着部材から分離して定着ニップ部の下流側に排出する。これにより、1回のクリーニングモードで加熱部材と、加圧部材及び周辺部材とを同時にクリーニングすることができる。また、給紙機構を用いてクリーニングシートを自動的に定着ニップ部に送り込むことができ、使用後のクリーニングシートを記録媒体の排出部に排出することができ、クリーニングシートを排出するための搬送路が不要となる。
また、本発明の第9の構成によれば、上記第4乃至第8のいずれかの構成の画像形成装置において、第1粘着層及び/または第2粘着層は、所定の軟化温度以上に加熱されることにより粘着力が得られる熱可塑性樹脂から成り、クリーニングモードの実行時に加熱部材を粘着層の軟化温度以上に加熱することにより、定着ニップ部を通過する際に粘着力を発生させてクリーニングシートを定着部材へ円滑に巻き付け、さらに対向する定着部材の異物を吸着することができる。また、定着ニップ部に搬送される前、及び定着ニップ部を通過した後は粘着力が低下するため、クリーニングシートを搬送路や搬送ローラ等に付着させずに円滑に搬送することができる。
また、本発明の第10の構成によれば、上記第4乃至第8のいずれかの構成の画像形成装置において、第1粘着層及び/または第2粘着層は、画像形成部において記録媒体上に形成されるトナー層であることにより、通常の記録媒体に粘着層の代わりにトナー層を印刷してクリーニングシートを作製することができ、装置のメンテナンスコストを低減することができる。
また、本発明の第11の構成によれば、上記第1乃至第10のいずれかの構成の画像形成装置において、所定枚数の印字動作後、所定量のトナー消費後、若しくは定着駆動時間が所定時間以上となった後にクリーニングモードを自動的に実行することにより、定着部材への異物の付着が発生する適切なタイミングでクリーニングモードを実行することができ、クリーニングモードの実行を怠るおそれがなくなる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の内部構造を示す側面断面図である。画像形成装置(ここではモノクロプリンタ)100では、図1において時計回りに回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム1と、この感光体ドラム1の周囲に配置される帯電装置2、現像装置3、クリーニング装置4、用紙搬送路12を挟んで感光体ドラム1に対向するように配置される転写ローラ6及び感光体ドラム1の上方に配置される露光ユニット(LSU)7から構成される画像形成部Pを備えており、現像装置3の上方には、現像装置3へトナーを補給するトナーコンテナ8が配置されている。
画像形成動作を行う場合、帯電装置2により図中時計回りに回転する感光体ドラム1が一様に帯電され、原稿画像データに基づく露光ユニット7からのレーザビームにより感光体ドラム1上に静電潜像が形成され、現像装置3により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。なお、画像データはパーソナルコンピュータ(図示せず)等から送信される。また、感光体ドラム1の表面の残留電荷を除去する除電装置(図示せず)が、感光体ドラム1の回転方向に対しクリーニング装置4の下流側に設けられている。
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム1に向けて、記録媒体としての用紙が給紙カセット10又は手差しトレイ11から用紙搬送路12及びレジストローラ対13を経由して搬送され、転写ローラ6により感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム1から分離され、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bから成る定着ローラ対16を有する定着装置15に搬送されてトナー像が定着される。定着装置15を通過した用紙は、用紙搬送路17により装置上部に搬送され、排出ローラ対18より排出トレイ19に排出される。
一方、用紙の両面に画像を形成する場合は、定着装置15を通過した用紙の一部を一旦排出ローラ対18から装置外部にまで突出させる。その後、用紙は排出ローラ対18を逆回転させることにより分岐部で両面搬送路21に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラ対13に再搬送される。そして、感光体ドラム1上に形成された次の画像が転写ローラ6により用紙の画像が形成されていない面に転写され、定着装置15に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ19に排出される。
図2は、本発明の画像形成装置に搭載される定着装置の構成を示す側面断面図である。定着装置15のハウジングは上ハウジング15a及び下ハウジング15bから構成されており、上ハウジング15a内には加熱ローラ16aが正逆回転可能に収納され、下ハウジング15b内には加圧ローラ16bが正逆回転可能に収納されている。
なお、本明細書中においては、画像形成時に用紙を転写ローラ6側(搬送方向上流側)から排出トレイ19側(搬送方向下流側)に搬送する場合の加熱ローラ16aの回転方向(図2の時計方向、矢印で表示)及び加圧ローラ16bの回転方向(図2の反時計方向、矢印で表示)を正方向とし、正方向と逆方向の加熱ローラ16aの回転方向(図2の反時計方向)及び加圧ローラ16bの回転方向(図2の時計方向)を逆方向とする。
加熱ローラ16a内にはヒータ24が内蔵されており、加圧ローラ16bは図示しない付勢手段により所定の圧力で加熱ローラ16aに圧接されている。加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bは、定着ニップ部Nを通過する用紙上の未定着トナーを定着させる定着ローラ対16を構成している。
転写ローラ6(図1参照)によりトナー像が転写された用紙は図2の左方向に進み、上流側開口部22aより定着装置15内に搬入されて定着ローラ対16の定着ニップ部Nを通過する。このとき所定の温度及び圧力により加熱、加圧され、用紙上のトナー像が永久像とされる。その後、用紙は下流側開口部22bより定着装置15の外部に搬送され、排出ローラ対18(図1参照)より画像形成装置の外部に排出される。上流側開口部22aには定着ニップ部Nに進入する用紙の上面をガイドする定着進入ガイド23aが設けられており、下ハウジング15bの一部は定着ニップ部Nに進入する用紙の下面をガイドする定着進入ガイド23bを構成する。定着進入ガイド23a、23bのガイド面に沿って用紙の先端が定着ニップ部Nに案内される。
加熱ローラ16aの正回転方向に対し定着ニップ部Nの下流側には、定着ニップ部Nを通過した用紙を加熱ローラ16a表面から分離する分離部材25が加熱ローラ16aに近接して配置されている。また、加熱ローラ16aの上方には長手方向に沿って均熱ローラ27が配置されている。均熱ローラ27は熱伝導性の良いアルミや銅で形成されており、加熱ローラ16aに接触しながら従動回転することで加熱ローラ16aの表面温度を均一化する。加熱ローラ16aの正回転方向に対し均熱ローラ27の下流側には、加熱ローラ16aの表面温度を検知するサーミスタ26が加熱ローラ16aに近接して配置されている。
また、下ハウジング15bの一部は、定着ニップ部Nを通過した用紙をガイドする定着排出ガイド28を構成し、定着排出ガイド28には定着ニップ部Nにおける用紙の通過を検知する定着排出スイッチ29が設けられている。
本発明の画像形成装置は、加熱ローラ16a若しくは加圧ローラ16bにクリーニングシートを巻き付けた状態で一定時間回転駆動させるクリーニングモードを実行可能としている。このクリーニングモードにより、クリーニングシートが巻き付けられた加熱ローラ16a若しくは加圧ローラ16bや、それらに接触または近接する周辺部材を効果的にクリーニングすることができる。
このクリーニングモードは、画像形成装置100のウオームアップ時やスリープ(省電力)モードからの復帰時、或いは所定枚数の印字終了後等の非画像形成時に所定のタイミングで自動的に実行される。なお、操作パネルからユーザが任意のタイミングでクリーニングモードの実行を入力できるようにしても良い。以下、クリーニングモードの実行手順及びクリーニングシートの動作について詳細に説明する。
図3及び図4は、第1実施形態のクリーニングモードに用いられるクリーニングシートの一例を示す側面図及び平面図である。クリーニングシート30は、シート基材31の一方の面(ここでは上面)に第1粘着層33が形成され、他方の面(ここでは下面)に第2粘着層35が形成されている。クリーニングシート30は図3及び図4の左側が搬送方向先端であり、第1粘着層33は所定の幅w1でシート先端部31aから余白なく形成されている。また、第2粘着層35はシート基材31の略中央部からシート後端部31b近傍に亘って形成されており、第2粘着層35の搬送方向先端35aからシート基材31の後端部31aまでは所定の幅w2となっている。
第1粘着層33、第2粘着層35の材質としては、常温では粘着性がなく、所定温度以上に加熱されると粘着性を発揮する熱可塑性樹脂が用いられる。
次に、図5〜図7を用いて第1実施形態のクリーニングモードの実行手順について説明する。なお、説明の便宜のため、図5〜図7では加熱ローラ16a、加圧ローラ16b、定着進入ガイド23a、分離部材25のみを図示している。先ず、ヒータ24(図2参照)に通電して加熱ローラ16aを第1粘着層33、第2粘着層35の軟化温度以上に加熱する。その状態で加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを正方向に回転駆動させ、図3に示したクリーニングシート30を上流側開口部22a(図2参照)から定着ニップ部Nに進入させる。
クリーニングシート30は、シート先端部31aに形成された第1粘着層33が加熱ローラ16aで加熱され、粘着力を発揮することによって加熱ローラ16a側に付着する。第1粘着層33はシート先端部31aに余白なしで形成されているため、図5に示すように、シート先端部31aが加熱ローラ16aに密着した状態で加熱ローラ16aと分離部材25との隙間を通過する。
そして、そのまま加熱ローラ16aの正方向の回転を継続させると、図6のように、第2粘着層35を外側に向けてクリーニングシート30が加熱ローラ16aに巻き付いた状態となる。この状態で加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを一定時間回転駆動させることにより、第2粘着層35が加圧ローラ16b及び均熱ローラ27の外周面に順次接触してトナーや紙粉等の異物がクリーニングシート30側に移動する。また、第2粘着層35の搬送方向先端からシート後端部31bまでの幅w2(図3参照)は加熱ローラ16aの外周長よりも短くなっており、シート後端部31bは第2粘着層35に重なることなく加熱ローラ16aから離間した状態になっている。
その後、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを逆方向に回転駆動させることにより、図7に示すように、加熱ローラ16aから離間しているシート後端部31bが定着進入ガイド23aに引っ掛かる。さらに加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの逆方向の回転を継続させると、加熱ローラ16aに巻き付いたクリーニングシート30は定着進入ガイド23aに沿ってシート後端部31bから順次剥離され、上流側開口部22a(図2参照)から排出される。
上記の手順により、クリーニングローラやクリーニングブラシ等のクリーニング部材を用いることなく、加圧ローラ16b及び均熱ローラ27、サーミスタ26(図2参照)の表面に付着した異物を効率良く除去することができる。このとき、クリーニングシート30を巻き付けた状態で加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを1回転以上させることで、クリーニングシート30が加圧ローラ16bの外周面全域に接触するため、加圧ローラ16bの外周面に付着した異物を確実に除去することができる。
クリーニングモードに使用するクリーニングシート30は給紙カセット10又は手差しトレイ11(図1参照)にセットされており、クリーニングモードの実行により自動的に搬送される。また、上流側開口部22aを通過した使用後のクリーニングシート30は、例えば定着装置15の上流側から排出トレイ19に繋がるシート排出搬送路(図示せず)から排出される。
なお、ここではクリーニングシート30として、予め第1粘着層33、第2粘着層35が形成された専用のクリーニングシート30を用いたが、通常の用紙に粘着層の代わりにトナーでソリッド画像(ベタ画像)を印刷してクリーニングシートを作製することもできる。
例えば、用紙の1面目の画像として、用紙先端から所定の余白を設けて幅w2の範囲にベタ画像を印刷し、排出ローラ対18を逆回転させることによりスイッチバックして両面搬送路21に誘導し、2面目の画像として、用紙先端から余白を設けずに幅w1でベタ画像を印刷する。これにより、用紙の上面側に幅w1のトナー層(第1粘着層33に相当)がシート先端部31aから余白なしで形成され、用紙の下面側にシート後端部31bまでの幅w2のトナー層(第2粘着層35に相当)が形成されたクリーニングシート30を作製することができる。
また、紙の表面はトナーや紙粉の離型性が悪いため、粘着層の形成されていない用紙を加圧ローラ16b及び均熱ローラ27、サーミスタ26の表面に接触させるだけでも、これらの部材の表面に付着した異物を除去することができる。従って、第1粘着層33のみが形成されたクリーニングシート30を用いて上記のクリーニングモードを実行しても良い。ベタ画像の印刷により粘着層に代えてトナー層を形成する場合は第1粘着層33に相当するトナー層のみを形成すれば良いため、片面印刷のみでクリーニングシート30を作製できる。
次に、本発明の第2実施形態のクリーニングモードについて説明する。図8〜図10は、第2実施形態のクリーニングモードにおいて加熱ローラ16aにクリーニングシート30を巻き付け、巻き付いたクリーニングシート30を剥離する様子を示す側面図である。図8〜図10では、図5〜図7と同様に加熱ローラ16a、加圧ローラ16b、定着進入ガイド23a、分離部材25のみを図示している。本実施形態では、分離部材25はコイルバネ37の付勢力によって加熱ローラ16aに揺動可能に接触している。
図8〜図10を用いて第2実施形態のクリーニングモードの実行手順について説明する。先ず、ヒータ24に通電して加熱ローラ16aを第1粘着層33、第2粘着層35の軟化温度以上に加熱し、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを逆方向に回転駆動させた状態で、図3に示したクリーニングシート30を下流側開口部22b(図2参照)から定着ニップ部Nに進入させる。
クリーニングシート30は、シート先端部31aに形成された第1粘着層33が加熱ローラ16aで加熱され、粘着力を発揮することによって加熱ローラ16a側に付着する。第1粘着層33はシート先端部31aに余白なしで形成されているため、図8に示すように、シート先端部31aが加熱ローラ16aに密着した状態で加熱ローラ16aと定着進入ガイド23aとの隙間を通過する。
そして、そのまま加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの逆方向の回転を継続させると、図9に示すように、第2粘着層35を外側に向けてクリーニングシート30が加熱ローラ16aに巻き付いた状態となる。このとき、クリーニングシート30は第1実施形態と逆方向に巻き付いている。また、第1実施形態と同様にシート後端部31bは第2粘着層35に重なることなく加熱ローラ16aから離間した状態になっている。
クリーニングシート3を加熱ローラ16aに巻き付けて一定時間回転駆動を継続した後、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを正方向に回転駆動させることにより、図10に示すように、加熱ローラ16aから離間しているシート後端部31bが分離部材25に引っ掛かる。さらに加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの正方向の回転を継続させると、加熱ローラ16aに巻き付いたクリーニングシート30は分離部材25に沿ってシート後端部31bから順次剥離され、下流側開口部22a(図2参照)から用紙搬送路17を通過して装置上部に搬送され、排出ローラ対18より排出トレイ19(いずれも図1参照)に排出される。
本実施形態によれば、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bと共に排出ローラ対18を逆回転させておき、クリーニングシート30を排出ローラ対18から画像形成装置100内部に送り込むことにより、クリーニングシート30を下流側開口部22bから定着ニップ部Nに容易に進入させることができる。また、使用後のクリーニングシート30が用紙搬送路17を経由して排出トレイ19に排出されるため、クリーニングシート30を排出するための専用の搬送路も不要となる。
また、本実施形態ではクリーニングシート30が分離部材25の上方(加熱ローラ16aに対向する側)から加熱ローラ16aと分離部材25との間に接近するため、クリーニングシート30はコイルバネ37の付勢力に抗して分離部材25を押し上げながら加熱ローラ16aと分離部材25との間を通過する。そのため、図8のように分離部材25が加熱ローラ16aに接触している構成であってもクリーニングシート30を加熱ローラ16aに円滑に巻き付けることができる。
本実施形態に用いられるクリーニングシート30は、第1実施形態と同様に、図3及び図4に示したような専用のクリーニングシートでも良いし、通常の用紙にトナーでソリッド画像(ベタ画像)を印刷して作製されたクリーニングシートでも良い。
ところで、定着ニップ部Nを通過する際に加えられる熱及び圧力によって、用紙は加熱ローラ16a側にカールする。また、加熱ローラ16aと定着進入ガイド23aとの隙間は、加熱ローラ16aと分離部材25との隙間に比べて広くなっている。そのため、本実施形態では、加熱ローラ16aの温度、加圧ローラ16bの圧接力、定着ニップ部Nを通過するクリーニングシートの速度等を適正に設定することにより、第1粘着層33を設けなくてもクリーニングシート30を加熱ローラ16aに巻き付けることができる。
従って、例えば粘着層及びトナー層の形成されていない通常の用紙をクリーニングシート30として使用できるため、装置のメンテナンスコストを低減することができる。
次に、本発明の第3実施形態のクリーニングモードについて説明する。図11〜図14は、第3実施形態のクリーニングモードの実行手順を示す図である。定着装置15の構成は第2実施形態と同様である。また、クリーニングシート30は第1粘着層33がシート後端部31bに余白なしで形成されており、第2粘着層35は形成されていない。
先ず、ヒータ24に通電して加熱ローラ16aを第1粘着層33の軟化温度以上に加熱し、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを正方向に回転駆動させた状態で、図11に示すように、クリーニングシート30を上流側開口部22a(図2参照)から定着ニップ部Nに進入させる。
図12に示すように、クリーニングシート30の大部分が定着ニップ部Nを通過し、第1粘着層33が定着ニップ部Nに到達すると、第1粘着層33が加熱ローラ16aで加熱され、粘着力を発揮することによって加熱ローラ16a側に付着する。第1粘着層33はシート後端部31bに余白なしで形成されているため、加熱ローラ16a、加圧ローラ16b及びシート搬送方向下流側の搬送ローラ対40を逆方向に回転駆動させることにより、シート後端部31bが加熱ローラ16aに密着した状態で加熱ローラ16aと定着進入ガイド23aとの隙間を通過する。
そして、そのまま加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの逆方向の回転を継続させると、図13に示すようにクリーニングシート30が加熱ローラ16aに巻き付いた状態となる。加熱ローラ16a、加圧ローラ16b及び搬送ローラ対40の回転方向を切り替えるタイミングは、定着排出スイッチ29(図2参照)によるシート先端部31aの検知からの経過時間で判断することができる。
クリーニングシート30を加熱ローラ16aに巻き付けて一定時間回転駆動を継続した後、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを再び正方向に回転駆動させることにより、加熱ローラ16aから離間しているシート先端部31aが分離部材25に引っ掛かる。さらに加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの正方向の回転を継続させると、加熱ローラ16aに巻き付いたクリーニングシート30は分離部材25に沿ってシート先端部31aから順次剥離され、図14に示すように下流側開口部22a(図2参照)から搬送ローラ対40、用紙搬送路17を通過して装置上部に搬送され、排出ローラ対18より排出トレイ19(いずれも図1参照)に排出される。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に給紙カセット10又は手差しトレイ11(図1参照)を用いてクリーニングシート30を自動的に定着ニップ部Nに送り込むことができる。また、第2実施形態と同様に使用後のクリーニングシート30が排出トレイ19に排出されるため、クリーニングシート30を排出するための搬送路も不要となる。
また、第2実施形態と同様に、クリーニングシート30が分離部材25の上方(加熱ローラ16aに対向する側)から加熱ローラ16aと分離部材25との間に接近し、コイルバネ37の付勢力に抗して分離部材25を押し上げながら加熱ローラ16aと分離部材25との間を通過するため、分離部材25が加熱ローラ16aに接触している構成であってもクリーニングシート30を加熱ローラ16aに円滑に巻き付けることができる。
また、クリーニングシート30は加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの逆方向の回転駆動により加熱ローラ16aと定着進入ガイド23aとの隙間を通過して加熱ローラ16aに巻き付くため、第2実施形態と同様に、第1粘着層33を設けなくてもクリーニングシート30を加熱ローラ16aに巻き付けることができる。従って、粘着層及びトナー層の形成されていない通常の用紙をクリーニングシート30として使用できるため、装置のランニングコストを低減することができる。
なお、上記の第1〜第3実施形態のクリーニングモードでは、クリーニングシート30を加熱ローラ16aに巻き付けることにより加圧ローラ16b、及び均熱ローラ27、サーミスタ26等の加熱ローラ16aの周辺部材をクリーニングしているが、クリーニングシート30の表裏を逆にして定着ニップ部Nに進入させることにより、クリーニングシート30を加圧ローラ16bに巻き付けて加熱ローラ16aをクリーニングすることもできる。
そして、加圧ローラ16bに巻き付けたクリーニングシート30を第1実施形態のように定着ニップ部Nの上流側から排出する場合は下側の定着進入ガイド23bによりクリーニングシート30が加圧ローラ16bから分離される。また、第2及び第3実施形態のように定着ニップ部Nの下流側から排出する場合は定着排出ガイド28によりクリーニングシート30が加圧ローラ16bから分離される。
加圧ローラ16bにクリーニングシート30を巻き付ける場合、クリーニングシート30に第1粘着層33を設けないとクリーニングシート30が加熱ローラ16a側にカールしてしまうため、第1粘着層33を設けてクリーニングシート30を加圧ローラ16b側に密着させる必要がある。
次に、本発明の第4実施形態のクリーニングモードについて説明する。図15及び図16は、第4実施形態のクリーニングモードに用いられるクリーニングシートの一例を示す側面図及び平面図である。クリーニングシート30は、シート基材31の一方の面(ここでは上面)に第1粘着層33が形成され、他方の面(ここでは下面)に第2粘着層35が形成されている。
クリーニングシート30は図15及び図16の左側が搬送方向先端であり、第1粘着層33は所定の幅w1でシート先端部31aから略中央部に亘って余白なく形成されている。また、第2粘着層35は所定の幅w2でシート基材31の略中央部からシート後端部31b近傍に亘って余白なく形成されている。第1粘着層33、第2粘着層35の材質は図3及び図4に示したクリーニングシートと同様の熱可塑性樹脂が用いられるが、第2粘着層35の粘着力は第1粘着層33の粘着力に比べて大きく設定されている。
図17〜図19は、第4実施形態のクリーニングモードの実行手順の一部を示す図である。定着装置15の構成は第1実施形態と同様であり、分離部材25は加熱ローラ16aと所定の間隔を隔てて配置されている。図5、図6及び図17〜図19を用いて第4実施形態のクリーニングモードの実行手順について説明する。先ず、ヒータ24に通電して加熱ローラ16aを第1粘着層33、第2粘着層35の軟化温度以上に加熱し、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを正方向に回転駆動させた状態で、図15に示したクリーニングシート30を上流側開口部22a(図2参照)から定着ニップ部Nに進入させる。
クリーニングシート30は、シート先端部31aに形成された第1粘着層33が加熱ローラ16aで加熱され、粘着力を発揮することによって加熱ローラ16a側に付着する。第1粘着層33はシート先端部31aに余白なしで形成されているため、図5と同様に、シート先端部31aが加熱ローラ16aに密着した状態で加熱ローラ16aと分離部材25との隙間を通過する。
そして、そのまま加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの正方向の回転を継続させると、図6と同様に、第2粘着層35を外側に向けてクリーニングシート30が加熱ローラ16aに巻き付いた状態となる。この状態で加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを一定時間回転駆動させることにより、第2粘着層35が加圧ローラ16b及び均熱ローラ27の外周面に順次接触してトナーや紙粉等の異物がクリーニングシート30側に移動する。また、第2粘着層35の幅w2(=第2粘着層35の搬送方向先端からシート後端部31bまでの長さ、図15参照)は加熱ローラ16aの外周長よりも短くなっており、シート後端部31bは加熱ローラ16aから離間した状態になっている。
次に、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを逆方向に回転駆動させることにより、加熱ローラ16aから離間しているシート後端部31bが加圧ローラ16bに押し付けられる。ここで、第2粘着層35はシート後端部31bに余白なしで形成されており、第2粘着層35の粘着力は第1粘着層33の粘着力よりも大きいため、図17に示すように、クリーニングシート30はシート後端部31bから加圧ローラ16b側に付着する。
さらに加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの逆方向の回転を継続させると、図18に示すように、加熱ローラ16aに巻き付いていたクリーニングシート30は第1粘着層33を外側に向けて加圧ローラ16bに巻き付いた状態となる。この状態で加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを一定時間回転駆動させることにより、第1粘着層33が加熱ローラ16aの外周面に順次接触してトナーや紙粉等の異物がクリーニングシート30側に移動する。また、第1粘着層33の幅w1(図15参照)は加圧ローラ16bの外周長よりも短くなっており、シート先端部31aは加圧ローラ16bから離間した状態になっている。
その後、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを再び正方向に回転駆動させることにより、図19に示すように、加圧ローラ16bから離間しているシート先端部31aが定着排出ガイド28に引っ掛かる。さらに加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bの正回転駆動を継続すると、加圧ローラ16bに巻き付いたクリーニングシート30は定着排出ガイド28に沿ってシート先端部31aから順次剥離され、下流側開口部22a(図2参照)から用紙搬送路17を通過して装置上部に搬送され、排出ローラ対18より排出トレイ19(いずれも図1参照)に排出される。
本実施形態によれば、クリーニングシート30が加熱ローラ16aに巻き付いて第2粘着層35が加圧ローラ16bや均熱ローラ27、サーミスタ26等の周辺部材に接触した後、引き続いて加圧ローラ16bに巻き付いて第1粘着層33が加熱ローラ16aに接触するため、1回のクリーニングモードで加熱ローラ16aと、加圧ローラ16bや均熱ローラ27、サーミスタ26等の周辺部材の両方をクリーニングすることができる。
また、第3実施形態と同様に、給紙カセット10又は手差しトレイ11(図1参照)を用いてクリーニングシート30を自動的に定着ニップ部Nに送り込むことができ、使用後のクリーニングシート30が排出トレイ19に排出されるため、クリーニングシート30を排出するための専用の搬送路も不要となる。
また、本実施形態では、加熱ローラ16a、加圧ローラ16bの順にクリーニングシート30を巻き付けてクリーニングモードを実行しているが、クリーニングシート30を表裏逆向きにして搬送することで、加圧ローラ16b、加熱ローラ16aの順にクリーニングシート30を巻き付けてクリーニングモードを実行することもできる。その場合、クリーニングシート30は分離部材25により加熱ローラ16aから分離される。
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記各実施形態では、加熱ローラ16a及び加圧ローラ16bを用いる熱ローラ式の定着装置を例に挙げて説明したが、例えば加熱ローラに代えて、発熱源からの輻射光を吸収して発熱するベルト又はフィルム状の加熱部材を用いるベルト定着方式の定着装置にも適用可能である。
また、本発明は図1に示したようなモノクロプリンタに限らず、カラープリンタやカラー複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等、定着装置を用いる種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。