図1,図2は、本発明の車載機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。本レーダー探知機は通常ダッシュボード上に取り付けられる。本レーダー探知機は、図1に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2並びにスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側(車両前方へ配置される側(フロントガラス側))内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器4を配置し、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側))に表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とリモコン受信器16を配置している。また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信器8を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びに図示省略するDCジャックを配置する。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵している。本実施形態では、表示部5は2.4インチの小型液晶ディスプレイであり、表示部5を実装するケース本体1の後方側の高さHは、その他の部位の高さH0よりも大きくしている。
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込むことができる。より具体的には、メモリカード14に格納されたデータは、新規な目的物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報があり、その更新情報が制御部18経由で装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。なお、メモリカードリーダ13の機能は、ケース本体1内に内蔵するように構成してもよい。
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の目的物に関する情報を登録しており、その後に追加された目的物についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新することができる。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行なうこともできる。
DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。リモコン17には、待受切替ボタン、詳細切替ボタン、履歴表示ボタン、キャンセルボタン、決定ボタンと、上下左右の十字ボタンを備えている。
また、制御部18は、上記の各種の入力機器(GPS受信器8、マイクロ波受信器4、無線受信器15、リモコン受信器16、メモリカードリーダ13、赤外線通信機7)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,警報ランプ6,スピーカ20)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。なお、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
さらに本実施形態のレーダー探知機は、車両に実装されているODB−II(IIはローマ数字の「2」であり、以下「ODB−II」を「ODB2」と記す)コネクタに接続する接続ケーブル22を備え、この接続ケーブル22の先端には、ODB2コネクタに着脱自在に装着できるコネクタ端子23が取り付けられている。ODB2コネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECUに接続され、定期的に各種の車両情報が出力される。そこで、この接続ケーブル22に取り付けられたコネクタ端子23と、車両本体側のODB2コネクタとを連結することで、制御部18は、各種の車両情報を定期的に取得することができる。
この車両情報としては、車両の車速、インジェクション噴射時間、吸入空気量、残燃料の情報等がある。残燃料は、現在の燃料タンクに残っている燃料の量であり、0.5リットルの分解能で出力される。よって、残燃料を定期的に取得し、前回の残燃料と今回の残燃料との間で変化が発生したタイミングを記録することで、前回変化が発生してから今回変化が生じるまでに消費された燃料は、0.5リットルと言える。また、定期的(例えば1秒ごと)に瞬間燃費の情報が出力されるものもある。
また上記の接続ケーブル22は、レーダー探知機のケースに一体的に取り付けられていても良いし、ケースに接続端子を設け、着脱自在としてもよい。着脱自在とした場合、燃費計機能を利用しないユーザは、接続ケーブル22を取り外すことで、配線がダッシュボード上等において散らかるのを抑制し、レーダー探知機の周囲をすっきりとさせることができる。
さらにまた、レーダー探知機は、燃費情報記憶部24を備える。この燃費情報記憶部24は、上記の取得した車両情報を格納したり、制御部18がその車両情報その他の情報に基づいて演算処理した結果を格納したりするものである。この燃費情報記憶部24は、ハードウェアとしては、データベース19や、メモリカード14と同じメモリ媒体を用いても良いし、別の媒体でも良い。また、制御部18内のメモリを利用しても良い。
本実施形態のレーダー探知機における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能、燃費計機能、燃費情報管理機能などが挙げられる。
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器8によって検出した自車両の速度、緯度、経度、高度を表示する機能である。レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器8によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある目的物をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車位置と目的物の位置との相対的な位置関係を表示部5に表示させる機能である。図3(b)中の左側の「W」が西、右側の「E」が東、上側の「N」が北の方角を示し、「W」と「E」を結ぶ左右方向の線と「N」から下へ伸びる上下方向の線との交点にあるアイコンが自車位置を示している。また「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するアイコンが目的物の種類と位置を示す。図3(a)に示すような待ち受け画面表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、図3(b)に示すようなレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
制御部18は、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能、トンネル内速度測定装置警報機能等の各機能を実現する処理を実行する。
GPS警報機能は、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能の実行中に、データベース19に記憶された目的物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離がデータベース19に記憶された接近警報距離になった場合に、データベース19に記憶された写真または模式図のデータを読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から接近警報音声を出力する接近報知を行なう機能である。
こうした目的物としては、固定式速度測定装置(レーダーのようにレーダー波(マイクロ波)を発する速度測定装置やループコイルのように、レーダー波を発しない速度測定装置を含む)、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目的物の位置を示す緯度経度情報と目的物の種別情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータとスピーカ20から出力する音声の音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
例えば、図3(a)の待ち受け画面表示機能または図3(b)のレーダースコープ機能の実行中に、目的物であるループコイルと自車との距離がデータベース19に記憶された接近警告距離である2km、1km、500mのいずれかになった場合には、目的物であるループコイルの模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から警報音声を出力する接近報知を行なう。例えば、500mに接近した場合には、図3(c)のように、画面右側に図3(b)と同様のレーダースコープ画面を表示して目的物であるループコイルと自車位置との位置関係を表示するとともに、ループコイルを示す目的物であるループコイルの模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させ、「500m先ループコイルです、スピード注意」という音声データをデータベース19から読み出してスピーカ20から出力させる。また、警報音声の出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器4によって速度測定装置(移動式レーダー等のレーダー波を発する速度測定装置)から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、図4に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ20から出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ20からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
本実施例のレーダー探知機は、さらに、燃費計機能を備える。この燃費計機能は、取得した車両情報等に基づいて、補正処理をして正しい燃費を求め、その補正後の燃費その他の燃費に関する情報を表示部5に表示する機能を備える。背景技術でも説明したとおり、燃費は、
燃費=走行距離/消費燃料 [km/リットル]
により求めることができる。
そして、走行距離は、車両情報として取得する車速パルスに基づいて求めたり、GPS受信器8から取得した位置情報の履歴から求めたりすることができる。一方、消費燃料は、例えば車両情報として取得する残燃料に基づいて求めることができる。すなわち、残燃料の情報は、0.5リットル消費するごとに出力される燃料タンク内の残っている燃料の残量についての情報である。従って、この残燃料の信号が出力される都度、0.5リットル消費されたことがわかる。よって、制御部18は、前回残燃料の信号が出力されてから今回残燃料の信号が出力されるまでの走行距離を求め、その求めた走行距離と消費燃料(0.5リットル)から、0.5リットルの燃料を消費した際の燃費を求めることができる。但し、その0.5リットルの燃料で走行できる距離を考えると、仮に、燃費が10km/リットルとすると、5kmは走行できることになる。従って、上記のようにして求めた燃費は、係る5kmを走行している際の平均燃費となる。例えば高速道路のように、走行状態が安定した状態で長距離は知ることができる場合には、かかる平均燃費を報知したとしても、有効・有益な情報となる。一般道路のように、一時停止や加速/減速など走行状態が頻繁に変わるような場合には、かかる平均燃費だけでは十分な燃費情報の提供とはいえず、走行状態に応じたリアルタイムでの燃費(瞬間燃費)を報知することで、ユーザは、現在の走行状態(加速・減速・登り坂・下り坂等)に伴う瞬間燃費を知ることができ、燃費の良いエコ運転を心がけることができるようになる。
本実施形態の燃費計機能は、かかる瞬間燃費を求める機能も備えている。この瞬間燃費は、例えば1秒ごとなどの短時間での瞬間的な消費燃料に基づいて求めることができる。この短時間の消費燃料は、車両情報として出力される吸入空気量とインジェクションを開いている時間から求めることができる。但し、吸入空気量に基づいて推定する消費燃料の値は、実際のものと異なるため、上記の式に基づいて求めた燃費(瞬間燃費の生データ)は、現実の値とずれを生じる。そこで、実際に走行した距離と、その走行するために消費した燃料の総量に基づいて補正係数を求め、瞬間燃費の生データに補正係数を掛けることで、実際の値に近い燃費を求めるようにしている。
係る補正係数は、例えば従来一般に用いられている満タン法を用いることができる。この満タン法は、一度満タンに給油した後、走行し、次に給油するときも満タンにする。そして、当該次に給油した際の給油量が、消費した燃料の総量となる。また、その期間に走行した距離は、例えば、最初に給油する際に車両に実装されている走行距離のメータをリセットし、次に給油した際の走行距離から求めることができる。但し、この満タン法では、補正係数を求める走行距離が非常に長くなり、走行状態や走行場所が異なる条件で取得した様々な情報に基づいて補正係数が求められるので、実際に燃費を算出する際の条件が、補正係数を求めた際の条件と異なる場合には、補正が正しく行われず、正確な燃費を算出することができない。そこで本実施形態の燃費計機能は、上述した残燃料の情報に基づく0.5リットルごとに求められる正確な平均燃費に基づいて補正係数を求め、より直近のデータに基づく正確な補正を行うようにした。具体的には、以下の通りである。
図5は、燃費情報記憶部24のデータ構造を示している。図示するように、「瞬間燃費の生データ」,「瞬間燃費の補正データ」,「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの累積」,「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの個数」,「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの個数の累積」,「瞬間燃費の補正データの平均」,「残燃料による平均燃費(0.5リットル毎)」,「補正係数」を関連付けたテーブル構造となっている。これらの「補正データ」とは、「補正後のデータ」の意味である。
「瞬間燃費の生データ」の記憶エリアは、設定されたサンプリングタイムごとに求めたその車両の瞬間燃費を格納するエリアである。この瞬間燃費の生データは、例えば、車両情報として定期的(例えば1秒ごと)に瞬間燃費が出力される場合には、その値を利用する。つまり、制御部18は、接続ケーブル22を介して取得した瞬間燃費を生データとして対応する記憶エリアに格納する。また、車両情報として瞬間燃費が出力されない場合、制御部18は、サンプリングタイムの期間中の吸入空気量とインジェクションを開いている時間のいずれかから消費した燃料の量を公知の方法で求める。吸入空気量とインジェクションを開いている時間のいずれから求めるかは、ODB2コネクタを介して取得できる情報がこれらのいずれか一方である車両については取得できる方の情報を用い、両方の情報が取得できる車両については、いずれか一方から求めるとよい。そして、その期間中における走行距離からサンプリングタイムごとの瞬間燃費の生データを求め、上記の所定の記憶エリアに格納する。上記のサンプリングタイムは、例えば1秒とすることができる。
「瞬間燃費の補正データ」は、上記の時々刻々(例えば1秒ごと)と取得し記憶される「瞬間燃費の生データ」に対し、後述する補正係数を掛けることで求めた補正後の瞬間燃費である。補正係数は、実際に消費した燃料の量と、走行距離を用いて求めるため、この補正後の瞬間燃費は、実際の燃費に近い値に収束される。本実施形態の制御部18は、瞬間燃費の生データを1秒ごとに取得するとともに記憶するので、瞬間燃費補正データも1秒ごとに求める。
制御部18は、実際の走行距離と、実際に消費した燃料に基づいて補正係数rを求め、瞬間燃費の生データに、補正係数rを掛けることで、補正後の瞬間燃費を求める。そして、補正係数は、実際の走行距離と消費した燃料に基づいて求めた正確な実際の燃費と、その期間中に求めた瞬間燃費の生データのずれから求める。すなわち、瞬間燃費の生データは、吸入空気量や、インジェクションが開いている(燃料を噴射している)か否か、などの消費燃料の量に関連する間接的な情報に基づいて消費量を推定しているため、実際の燃費とのずれが生じる。そこで、実際の燃料の消費量を正確に特定できる車両情報として出力される残燃料の情報を用いて、正確な燃費を求めるようにした。
残燃料は、0.5リットルの分解能で出力されるので、当該残燃料を所定期間(例えば1秒ごと)に取得し、前回の残燃料と今回の残燃料との間に変化が発生するタイミングを認識する。そして、前回残燃料の値が変化してから、今回さらに変化するまで(0.5リットル減少するまで)の期間を補正対象期間とする。そして、その期間の走行距離を求めることで補正対象期間全体における実際の燃費(平均燃費)を算出することができる。ここで、平均燃費Fiは、
平均燃費(Fi)=走行距離/消費燃料 [km/リットル]
となり、消費燃料は0.5リットルである。そして、走行距離は、その補正対象期間中に車両情報として取得した車速パルスに基づいて求めてもよいし、GPS受信器8から取得した位置情報の履歴に基づいて正確な移動距離を求めても良い。GPS受信器8から取得した位置情報の履歴から求めた方が、より正確な平均燃費が求められる。制御部18は、取得した上記の情報を上記の平均燃費の算出式に代入し、今回の補正対象期間の平均燃費Fiを求め、「残燃料による平均燃費」の記憶エリアに格納する。
また、制御部18は、瞬間燃費の生データを取得すると、前回の補正対象期間に求めた補正係数を掛けて、補正後の瞬間燃費を求め、対応する「瞬間燃費の補正データ」の記憶エリアに格納する。すなわち、i番目の補正対象期間の補正処理は、(i−1)番目の補正対象期間の際に求めた補正係数r(i−1)を使用して瞬間燃費を求めるので、i番目の補正対象期間におけるn番目に取得した瞬間燃費の生データがf′inとすると、そのn番目の補正後の瞬間燃費finは、
fin=r(i−1)×f′in
より算出する。また、1番目の補正対象期間は、補正係数がないので、制御部18は、上記の補正式に基づく補正処理をせずに、瞬間燃費の生データを取得すると、「瞬間燃費の生データ」の該当する記憶エリアに記憶するとともにその生データを「瞬間燃費の補正データ」の記憶エリアにも記憶する。
補正係数は、瞬間燃費の補正データの平均と、残燃料による実際の平均燃費との比としている。そして瞬間燃費の補正データの平均は、以下のようにして求める。まず、車両情報から出力される残燃料の情報は、定期的(例えば1秒ごと)に取得するものの、残燃料の分解能は0.5リットルであるので、実際に燃料が0.5リットル消費されて初めて残燃料の値が変化する。補正対象期間は、この0.5リットル分の燃料が消費される期間となり、走行状態その他の条件により補正対象期間の時間的な長さは一定ではない。一方、瞬間燃費の生データは、定期的に求められるため、各補正対象期間における瞬間燃費の生データの数は同じではない。そこで制御部18は、今回の補正対象期間中の瞬間燃費の補正データの累積(fsi)を求め、「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの累積」の記憶エリアに記憶する。この累積データ(総和)の算出は、瞬間燃費の補正データを求める都度、積算していっても良いし、残燃料の値が変化して補正対象期間が確定した際に、一括して積算処理をしても良い。
さらに、制御部18は、今回の補正対象期間中に格納された瞬間燃費の補正データの個数を求め、「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの個数」の該当する記憶エリアに格納する。さらに、制御部18は、開始当初からの瞬間燃費の補正データの個数の総数を求め、「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの個数の累積」の該当する記憶エリアに格納する。すなわち、1番目の補正対象期間からi番目の補正対象期間までに求めた瞬間燃費の補正データの総数を求め、それをi番目の「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの個数の累積」の記憶エリアに格納する。
制御部18は、これらのデータを適宜用い「瞬間燃費の補正データの平均」を算出する。例えば1番目の補正対象期間における瞬間燃費の補正データの平均値fav1は、その期間の瞬間燃費の補正データの累積がfs1、データの個数がaとすると、累積値を個数で割ればよいので、
fav1=fs1/a
により求めることができる。
また、2番目の補正対象期間に基づいて求める瞬間燃費の補正データの平均値fav2は、1番目の補正対象期間の時の瞬間燃費の補正データも加味するため、平均値を求める式の分子となる最初から2番目までの瞬間燃費の補正データの累積値は、1番目の補正対象期間における瞬間燃費の補正データの累積値fs1と2番目の補正対象期間における瞬間燃費の補正データの累積値fs2の和となる。ここでfs1は、平均値fav1と個数aにより、
fs1=a・fav1
により求めることができる。また、1番目から2番目の補正対象期間まで瞬間燃費の補正データの総数は、各補正対象期間における個数の和であるので、2番目の補正対象期間における当該個数をbとすると、「a+b」となる。よって、2番目の補正対象期間に基づいて求められるそれまでの瞬間燃費の補正データの平均値fav2は、
fav2=(a・fav1+fs2)/(a+b)
により求めることができる。
3番目の補正対象期間における瞬間燃費の補正データの累積値がfs3で、個数がcとすると、1番目から2番目の補正対象期間までの補正データの累積値は、
(a+b)・fav2
でもとめることができるので、当該3番目の補正対象期間に基づいて求められるそれまでの瞬間燃費の補正データの平均値fav3は、
fav3=((a+b)・fav2+fs2)/(a+b+c)
により求めることができる。よって、i番目の補正対象期間に基づいて求められるそれまでの瞬間燃費の補正データの平均値faviは、
favi=((a+b+c+・・・+k)fav(i−1)+fsi)/X
但し、Xは、i番目までの各補正対象期間における瞬間燃費の補正データの個数の総和
制御部18は、上述した式に対応する数値を代入し、1番目から今回の補正対象期間までの瞬間燃費の補正データの平均値を算出し、「瞬間燃費の補正データの平均」の該当箇所に格納する。
制御部18は、このようにして求めた1番目からi番目の補正対象期間までの瞬間燃費の補正データの平均値faviと、今回の補正対象期間の実際の平均燃費(0.5リットルあたりの走行距離)Fiを用い、下記式より補正係数riを求める。
ri=Fi/favi
これにより、補正係数は、燃料を0.5リットル消費するごとに更新することになる。そして、このようにして求めた補正係数riは、次のi+1番目の補正対象期間における瞬間燃費の補正処理に用いられる。つまり、制御部18は、i+1番目の補正対象期間中に取得するn番目の瞬間燃費の生データは、f′(i+1)nとなり、その生データに補正係数riを掛けることで補正データf(i+1)nを求めることになる。
また、上記の式から明らかなように、1番目の補正対象期間中の1番目に取得した生データ(f′11)に基づく補正データf11から、今回の補正対象期間中に取得したデータまでの全てを反映するようにしたので、正確な補正係数を真求めることができ、その後に求める瞬間燃費も正確なものとなる。さらに、上記の各処理を行うに際し、過去のデータは、1つ前の補正対象期間の時に取得したり算出したりして得られたデータを用いており、2つ前以上の古い補正対象期間で取得したデータは直接使用しないで済むようにしている。これにより、古いデータを記録し続ける必要性が無く、必要なメモリ容量の削減を図ることができる。
燃費計機能は、上記のように補正して正確な瞬間燃費の補正データを求める機能に加え、その補正した瞬間燃費やその他のデータを表示する機能を備える。図6,図7は、表示画面の一例である。図示するように、表示画面の中央にグラフ表示領域R10を配置し、上方には第1数値データ表示領域R11を配置し、グラフ表示領域R10の右側に第2数値データ表示領域R12を配置するレイアウトを採る。グラフ表示領域R10には、瞬間燃費の補正データを時系列に棒グラフとして描画する。つまり、制御部18は、瞬間燃費の補正データを求めると、それまで描画していた棒グラフを1列左にずらすと共に今回求めた補正データの値に対応する長さの線をグラフの右端に描画する。また、制御部18は、瞬間燃費の補正データの平均値もグラフ化して重ねて描画する。つまり、横軸は時間の経過に対応するものとなり、右側ほど最新のデータを示している。一定以上古いデータは、画面の左端から外れて消去される。
図6は、運転開始当初の加速し、ある程度の速度に到達すると一定の速度範囲内で運転している状態を示している。開始当初は、0.5リットル刻みの正確な平均燃費の情報が少なく、瞬間燃費の補正後のデータであっても、実際の燃費とのずれは大きく、変動も大きいが、徐々に変動の幅小さくなっていく。図7は、図6よりもさらに時系列的に後で、比較的安定して走行しているとともに、実際の正確な平均燃費の情報も多数集まり、補正係数の精度も高くなった状態を示している。
第1数値データ表示領域R11は、3つの数値データを表示する。具体的には、左から順に「残燃料による平均燃費の値が出力されるまでの瞬間燃費の補正データの個数」,「瞬間燃費の生データ」,「瞬間燃費の補正データ」である。それぞれ最新のデータが表示される。そして「瞬間燃費の補正データ」が、グラフ表示領域R10中の棒グラフの最新の値である。
第2数値データ表示領域R12は、「瞬間燃費の補正データの平均値」を示す領域である。この「瞬間燃費の補正データの平均値」は、グラフ表示領域R10に描画された折れ線グラフの最新の値を示す。
本実施形態の燃費計機能で表示する瞬間燃費(補正データ)は、実際の値に近いものとなるので、例えば、加速・減速等の速度を変えたり、一時停止したり、急発進したりするなどの運転・走行の状態による瞬間燃費に与える影響を正しく理解することができ、どのような運転の仕方が燃費を向上させるのによいかを知り、エコ運転をすることができる。そして、グラフで表示することで、瞬間燃費の変化が視覚により直感的に理解でき、しかも、瞬間燃費の補正データは、1秒ごとに更新されグラフに反映されるので、現在の運転による燃費の影響がすぐにわかるので、燃費を良くするような運転を心がけるのに有益な情報の提供をすることができる。
燃費情報管理機能は、燃費計機能により求める燃費情報を、燃費に影響を与える要素である交通関連情報と関連付けて記録し、記録した情報を利用する機能である。交通関連情報は、高速道路,一般道路(市街地と郊外のようにさらに細分化することもできる)のような道路種別や、登り坂・下り坂のような道路状態や、信号・踏切の設置数の多い領域と少ない領域など、燃費に差が生じるような地図情報に基づくものがある。また、このように地図情報以外にも、渋滞がよく起こる渋滞発生地域か否かなどの走行状態(交通状態)の情報もある。また、渋滞発生地域か否かについては、その箇所が、一日中渋滞している場合もあるし、特定の条件を充足するときに渋滞が発生する場合もある。特定の条件は、例えば朝晩の通勤時間帯や、ある特定の期間(土日・祝日などの曜日,夏・冬などの季節,お祭りその他の行事に関連する特定の日等)がある。
制御部18は、上記の地図情報その他の交通関連情報における設定された領域ごとに補正した平均燃費を求め、その求めた平均燃費がどの領域のものかを特定して記録する。区分けする領域を何にするかは、リモコン17,スイッチ部3からの指示に従い、予め設定された中から選択する。上述したように、本実施形態では、残燃費を用いて瞬間燃費の補正を行うため、その補正を正確にするためには、同一の道路種別等の同じ領域を走行している際に得られる残燃費を用いるのがよい。よって、本実施形態では、燃費情報管理機能は燃費計機能と共同して動作し、上記の指示を受けて燃費計における1番目の補正対象期間の開始の切り替えの条件設定を行い、燃費計機能により求めた燃費を領域ごとに分けて記録する。
レーダー探知機は、データベース19に道路種別に関する情報を持っており、現在走行している道路が、高速道路か否か(一般道路か)を判別する機能を備えている。従って、ここではこの交通関連情報に基づく燃費情報の記録を、高速道路か否かの区別とする。まず制御部18は、GPS受信器8から取得した位置情報から現在位置がどの領域、すなわち、高速道路の領域か一般道路の領域のいずれの領域に位置しているかを判定する。換言すると、制御部18は、現在走行している道路の道路種別を判定する。
そして、制御部18は、道路種別が変わることを契機として1番目の補正対象期間を開始する。すなわち、通常、高速道路と一般道路では、燃費が異なるため、補正係数もそれぞれの道路に適した値がある。異なる道路種別を走行して得られた補正係数を利用して補正処理をすると正しい瞬間燃費の算出ができないおそれがある。そこで、制御部18は、道路種別が変わったことを契機として補正係数の算出を含めた補正処理をリスタートさせることで、同じ道路種別について得られた実際の平均燃費に基づいて補正係数を求め、瞬間燃費に対する正確な補正を行うようにしている。例えば、一般道路から高速道路に入った場合、1番目の補正対象期間としてリスタートすることで、高速道路の補正処理は高速道路の走行により得られる情報のみに基づいて算出することができ、正確な補正ができる。高速道路から一般道路に降りて走行する場合も、それまでの高速道路の走行に基づく情報はリセットされ一般道路の走行に基づく情報のみで補正することができる。
また、そのようにリスタートすると、それまでの走行に基づく情報は消去されてしまう。その結果、例えば、一般道路A→高速道路→一般道路Bのように道路種別が交互に繰り返す場合、高速道路から降りて一般道路Bを走行する場合に一般道路Aを走行していたときに得られた情報はないので、一般道路Bの走行開始当初は、補正係数が正しく得られず、瞬間燃費の補正データと実際の瞬間燃費との間でずれが生じてしまう。
そこで、燃費情報記憶部24に記憶するデータとして、一般道路用と高速道路用でそれぞれ分けて記録する。すると、制御部18は、一般道路Aを走行していたときに得られた情報を一般道路用の記憶エリアに格納し、一般道路用の補正係数を求め、それに基づいて瞬間燃費の補正データを求める。そして、高速道路に入ったならば、制御部18は、一般道路用のデータは使用せず、新たに1番目の補正対象期間からリスタートして各種のデータが取得すると共に算出処理されて高速道路用の補正係数を求めるとともに、必要なデータを高速道路用の記憶エリアに格納し、高速道路を走行中はその高速道路用の記憶エリアに格納したデータに基づいて瞬間燃費の補正データを求める。
その後高速道路を降りて、一般道路Bを走行するようになると、制御部18は、GPS受信器8から取得した現在位置情報に基づき現在走行している道路種別が一般道路と認識し、上述した一般道路Aを走行していたときに求めて記憶しておいた一般道路用の補正係数を用いて瞬間燃費の補正データを求める。これにより、一般道路Bの走行開始直後から正確な瞬間燃費を求めることができる。
上記の補正処理をすることで、走行する道路の道路種別にあった正確な瞬間燃費の補正データの平均を求めることができる。そして、燃費情報記憶部24に記憶するデータとして、一般道路用と高速道路用でそれぞれ分けて記録しているため、上記のように正確な瞬間燃費の補正データも、それぞれの道路種別用の記録エリアに格納される。このように、道路種別ごとに分けて記録することも、燃費計機能により求める燃費情報を交通関連情報と関連付けて記録することになる。また、本実施形態では、燃費の補正処理をするための各データを記録する燃費情報記憶部24内に、燃費情報と交通関連情報の関連付け情報も合わせて記録するようにしたが、別々に記録してももちろん良い。
燃費情報管理機能における記録した情報を利用する処理は、残燃料と燃費から走行可能距離を求め、報知する。つまり、制御部18は、現在走行中の道路の道路種別(領域)を判定し、その道路種別に関連付けられた燃費情報である瞬間燃費の補正データの平均と、残燃料とから、下記式により走行可能な距離を算出する。
走行可能な距離=残燃料/瞬間燃費の補正データの平均
走行可能な距離を求める際に消費した燃費は、現在走行中の道路と同じ道路種別の道路を走行していたことにより得られた直近の燃費であり、現状の走行状況にあった燃費であるので、制御部18が求めた走行可能な距離は、従来よりも正確なものとなる。
一般的に高速道路を走行しているときの燃費の方が、一般道路を走行しているときの燃費よりもよい。従って、残燃料が同じでも、走行する道路の道路種別が異なると走行可能な距離が相違する。具体的には、高速道路を走行している方が一般道路を走行しているよりも走行可能な距離は長くなる。そこで本実施形態では、一般道路用の燃費と高速道路用の燃費をそれぞれ求め、記憶保持しているので、現在走行中の道路と同じ道路種別の道路用の燃費に基づいて求めた走行可能な距離は、より実際のものに近くなる。
そして、制御部18は、求めた走行可能な距離を表示部5に出力して報知したり(図8(a)参照)、スピーカ20を用いて音声で報知したりする。また、視覚による報知は、図8に示すように、走行可能な距離を具体的な数値で示すものに限ることはなく、残り距離を複数のグループに分け、インジケータのように段階的に残り距離が減ることを示したり、例えば、赤色(残り距離は第1閾値以下),黄色(残り距離は第2閾値以下(第1閾値よりも長い)),青色(残り距離は第2閾値より長い)のように異なる色により報知したりすることができる。
また、上記の実施形態では、交通関連情報として道路種別(高速道路/一般道路)による2つの領域を用い、その2つの領域と燃費情報を関連付けて記憶すると共に、その記憶した燃費情報と残燃料から走行可能な距離を求めることに利用する例について説明したが、本発明はこれに限ることはない。例えば、交通関連情報として上記例示列挙した情報或いはそれ以外の情報(車両の状態・運転者の区別等)について燃費に影響を与える要素を区別するためのデータを予めデータベース19等に記憶しておき、制御部18は、GPS受信器8から取得した現在位置及びまたは時刻情報に基づきどの要素の領域にいるかを判定し、求めた燃費情報を該当する要素に関連付けて記憶し、記憶した燃費情報を利用する機能を備えても良い。要素を細かく分けることで、今後に走行する道路における燃費情報を用いた予測がより正確なものとなる。
また、制御部18は、1リットルあたりの単価を取得しておくことで、燃費と単価から、現在の走行状態で単位距離(例えば1km)走行するのにいくらかかるかを求め、表示部5を用いて報知する機能も備える(図8(b)参照)。1リットルあたりの単価(燃料費)は、ユーザが燃料を給油した際に、そのときの価格をリモコン17やスイッチ部3を操作して入力した値を制御部18が取得し、所定の記憶手段に格納することで記憶保持する。また、そのように実際に購入した際の金額を利用するのではなく、例えばガソリン等の燃料の価格がアップされたインターネットのサイト等にアクセスし、現在位置の周辺の燃料の標準価格等を取得し、それを利用しても良い。サイト等へのアクセスは、本装置にインターネットにアクセスする機能を備えた場合には、当該装置が直接行ってもよいし、携帯電話機12を用いて入手した情報を赤外線通信機7経由で制御部18が取得するようにしてもよい。このように交通関連情報に関連付けられた燃費情報を用いて燃料費(1km走行するのに要する金額)を求めることで、現在の走行状態がエコドライブであるか否かを直感的に理解することができる。また、図8(b)では、燃料費は、現在走行中の交通関連情報に関連付けられた燃費に基づいて1つ表示するようにしているが、複数種類を並列して表示しても良い。例えば、高速道路と一般道路の2つの道路種別について管理しているときに、それら2つの道路種別についての燃料費を併記して表示する機能を備えると良い。この場合に、現在走行中の道路の道路種別の燃料費は、走行にともない適宜更新される。ユーザは、両方を見ることで、それぞれの燃料費の違いを理解することができ、走行ルートの検討の際にも有益な情報の一つとなる。
図9以降は、本発明の別の実施形態を示している。本実施形態では、車載機器の一例としてナビゲーション装置を示している。ナビゲーション装置30は、持ち運び可能な携帯型の装置本体32と、それを保持する取付部材たるクレードル33とを備える。装置本体32をクレードル33に装着することで、車載用のナビゲーション装置として機能し、クレードル33から取り外すことで携帯型のナビゲーション装置(PND)として機能する。本実施形態は、装置本体32をクレードル33に着脱可能とし、クレードル33と共に車両のダッシュボード上に設置して利用したり、クレードル33から装置本体32を取り外して携帯型(PND)として利用したりすることができるタイプであるが、クレードル33に対して簡単に着脱できず、車載固定タイプでも良いし、携帯型専用のものでもよい。さらには、例えば携帯電話などの携帯端末に所定のアプリケーションプログラムをインストール(プリインストールを含む)して実現されるものでもよい。アプリケーションプログラムは、ナビゲーションを行うためのシステム自身でも良いし、ナビゲーションを行うためのシステムが実装されているサーバにアクセスし、当該システムを利用するためのプログラムでも良い。本発明は、係る各種のタイプのナビゲーションシステムに適用できる。
装置本体32は、クレードル33に対して着脱自在に取り付けられる。装置本体32は、扁平な矩形状のケース本体34を備えている。そのケース本体34の前面には、表示部5が配置され、その表示部5上には表示部5のどの部分がタッチされたかを検出するタッチパネル38を備え、前面の両サイドには警報ランプ6を備えている。クレードル33は、装置本体32を保持するクレードル本体36と、車室内の所定の位置(ダッシュボード等)において、クレードル本体36を任意の姿勢で指示する台座部37と、を備えている。台座部37は、底面に設けた吸盤にて、ダッシュボードなどの上に吸着して固定される。台座部37とクレードル本体36とは、ボールジョイント等の連結機構を介して所定の角度範囲内で回転可能に連結される。ボールジョイントであるため、台座部37とクレードル本体36は、相対的に三次元方向の任意の角度範囲内で回転移動し、ジョイント部分における摩擦抵抗により任意の角度位置でその位置をとどめる。よって、クレードル本体36に取り付けられた装置本体32も、ダッシュボード上において任意の姿勢で配置することができる。
さらにケース本体34の一方の側面には、SDメモリカード用スロット部41を備え、そのSDメモリカード用スロット部41に地図データなどが記録されたSDメモリカード42を挿入可能としている。また、ケース本体34のSDメモリカード用スロット部41を設けた側面には、DCジャック40を設けている。DCジャック40は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。
一方、SDメモリカード用スロット部41とは反対側の側面には、電源スイッチや、USB端子43を設けている。このUSB端子43を介してパソコンと接続し、ソフトウェアアプリケーションのバージョンアップなどを行なうことができる。
ケース本体34の内部には、以下の各機器・部品を配置している。すなわち、ケース本体34の背面側内部には、マイクロ波受信器4を配置する。また、ケース本体34の上面側内部には、GPS受信器8を配置する。ケース本体34の前面側内部には、赤外線通信機7を配置する。赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。さらに、ケース本体34内には、スピーカ20も内蔵されている。更に、本実施形態のナビゲーション装置は、上述した実施形態(レーダー探知機)と同様に、無線受信器15,リモコン受信器16,接続ケーブル22,コネクタ端子23,燃費情報記憶部24を備えている。
本実施形態の制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、ナビゲーション機能に加え、上述した実施形態(レーダー探知機)における各機能がある(燃費計機能や燃費情報管理機能ももちろん含む)。制御部18は、上記の各種の入力機器(GPS受信器8、マイクロ波受信器4、無線受信器15、タッチパネル38、赤外線通信機7、リモコン受信器16、SDメモリカード用スロット部41、USB端子43等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,警報ランプ6,スピーカ20、赤外線通信機7、SDメモリカード用スロット部41、USB端子43等)を利用して所定の情報・警報・メッセージを出力する。この所定の処理が、上記の各機能を実行するためのものであり、必要に応じてデータベース19や、SDメモリカード42にアクセスする。
データベース19に記録されたデータの更新は、上述した実施形態における更新処理に加え、例えば、追加データが格納されたSDメモリカードをSDメモリカード用スロット部41に装着すると共に、そのSDメモリカードからデータベース19に転送することで行うことができる。また、このデータ更新は、USB端子43を介して接続されるパソコンその他の外部機器を用いたりすることで行うことができる。
制御部18が有する一般的なナビゲーション装置の処理を行うナビゲーション機能は、以下のようになっている。表示部5に現在位置周辺の地図を随時表示し、目的地設定ボタンを表示する。制御部18は、タッチパネル38によって、目的地設定ボタンの表示位置に対応する位置の押下が検出された場合に、目的地設定処理を行う。目的地設定処理では、目的地設定メニューを表示部5に表示し、目的地の設定方法の選択をユーザに促す。目的地設定メニューは、目的地の設定方法の選択をユーザに促す電話番号検索ボタンと住所検索ボタンとを有する。電話番号検索ボタンが押下された場合には、電話番号の入力画面を表示し、入力された電話番号に対応する位置情報をデータベース19から取得する。住所検索ボタンが押下された場合には、住所の選択入力画面を表示し、入力された住所に対応する位置情報をデータベース19から取得する。そして、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース19に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては例えばダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。
そして、制御部18は、算出した推奨経路を、周辺の地図とともに表示する。例えば、図11に示すように、表示画面50に描画された地図上の現在位置51から目的地52にいたるルート53を推奨経路として、所定の色(例えば赤色)で表示する。また、そのようにしてルート53が決まると、現在位置51から目的地52までの距離が決まるので、制御部18は、目的地までに要する燃料費を算出し、例えば表示画面50の下側に設定された燃料費表示部56に表示する。この機能を実行するためには、制御部18は、事前に1リットルあたりの燃料費を取得し、記憶保持しておく。またこのように燃料費を表示するのではなく、制御部18は、目的地まで走行することにより消費する燃料を予測し、それを消費燃料予測値表示部57に表示する機能を備えても良い。そのようにすると、ユーザは燃料計などで残燃料を確認し、目的地まで給油することなく到達できるか、途中で給油した方が良いかなどの判断をすることができる。図では、2つの情報を併記して示しているが一方のみを表示してもよい。
さらに、燃費が異なる領域を特定する複数の交通関連情報として、高速道路と一般道路の識別する道路種別情報を用いているので、そのルート53で走行する道路の道路種別から燃費に影響を与える要素たる交通関連情報で設定されたどの領域に属しているかがわかるので、上記の燃料費や燃料の消費量は、各領域に関連付けられた燃費情報を用いて算出する。具体的には、図示の例では、推奨されたルート53は全て一般道路であるため、現在位置から目的地までの走行距離と、一般道路用の燃費情報を用いて、所望の値を求めることになる。また、途中に高速道路を走行する場合には、高速道路の部分と一般道路の部分で分けてそれぞれ燃料費や燃料の消費量を求め、それらを合算した結果を表示することになる。
さらに目的地の推奨経路を求めるに際し、交通関連情報と関連付けた燃費情報を用いる機能を備えると良い。すなわち、推奨経路を求める際のルールとして、一般には、一般道路優先,有料道路優先,時間優先(最も早く到着するルート),距離優先(最も走行距離が短いルート)などがあるが、燃費優先(燃料費優先)のように、目的地までの燃料費が最も安くなるものを推奨ルートに決定する機能を備えると良い。
例えば図12(a)に示すように、一般道路を走行するルート63aよりも一部の区間で高速道路を使用するルート63bの方が、燃料費が安くなるので、燃料費優先モードとした場合にはルート63bが推奨ルートとなる。この場合の制御部18の処理は以下の通りである。制御部18は、ルート63aについて走行する道路の全区間の道路種別を認識する。ここでは、すべての道路が一般道路であるので、制御部18は、ルート63aを走行する道路の全長と、一般道路に関連付けられた燃費を取得し、それらを掛けることでルート63aを走行する際に使用する総燃料を算出する。一方、制御部18は、ルート63bについて走行する道路の全区間の道路種別を認識する。すると、スタート地点から所定位置までの区間は、一般道路であり、その後高速道路になり、続いて一般道路を通って目的地に到達することがわる。そして、制御部18は、地図情報からルート63bにおける高速道路の走行距離と、一般道の走行距離を求める。さらに、制御部18は、当該高速道路の走行距離に高速道路用の燃費を掛けて高速道路を走行することにより消費する燃料の量を求めるとともに、当該一般道路の走行距離に一般道路用の燃費を掛けて一般道路を走行することにより消費する燃料の量を求め、それら核燃料の量の総和からルート63bの総燃料を求める。このようにして制御部18は、候補となる各ルートの総燃料をそれぞれ求めるとともに比較し、最も少ない総燃料のルートを推奨ルートに決定する。
実際の表示画面50での表示態様としては、指定されたモードにおける最優先のルートのみを表示しても良いし、図12に示すように、複数のルートを表示するとともにそれぞれのルートについての情報を合わせて表示するようにしても良い。複数のルートを表示した場合、ユーザが表示画面50上のルートをタッチすることで、タッチパネル38を介して制御部18は選択されたルートを認識し、そのルートに基づく案内を開始する。
また、ナビゲーション装置は地図情報を備えていることから、より細かい領域の設定を容易に行うことができる。例えば、地図情報には、各地点の高度情報を持っているため、現在走行中の道路が、登り坂か下り坂かを認識できる。一般に、登り坂はアクセルを踏み込むことから燃費が悪くなり、下り坂はエンジンブレーキを多用することから燃費は良くなる。そこで、上述した道路種別による区分けに加えて、さらに、坂の情報も加味してより細かく領域を分け、各領域に関連付けて燃費情報を記録・管理すると良い。また、同じ一般道路でも、交通量が多く、信号も多い都心(市街地)よりも、それらの少ない郊外の方が燃費はよい傾向にある。また、同じ道路であっても、渋滞しているときは、通常のときよりも燃費は悪くなる。さらにナビゲーションでは、VICSにより渋滞・交通規制に関する情報を取得し、目的地の選択に利用しているので、目的地までの走行ルート上に渋滞が発生している区間があるか否かもわかる。よって、これらの登り坂/下り坂といった坂の情報や、市街地と郊外や、渋滞の有無等が、それぞれ燃費が異なる領域を特定する複数の交通関連情報となる。また、坂の情報や、市街地と郊外の区別は、高速道路と一般道路といった道路種別と同様に、地図データから画一的に設定できるので、交通関連情報の中の地図情報となる。一方、渋滞の有無は地図データから画一的に設定できず、交通関連情報の中の交通の状態となる。
そこで、制御部18は、燃費情報を記録・管理する際に、上記の各種の条件により設定される領域ごとに関連付けて行い、燃料費優先モードでルート探索を行うと、より詳細でユーザの希望に添ったルートを推奨ルートとして提供することができる。例えば、図12(b)に示すように、ルート63cとルート63dは、同じ一般道路を走行するルートであり、ルート63dの方が走行距離も長く時間もかかるが、ルート63cでは渋滞が発生していたり、信号や交通量が多かったりしている領域で燃費が悪く、ルート63dの方が推奨ルートとなる。
このように交通関連情報の種類が多くなった場合、どの種類の情報を用いるかは、ユーザの設定により変更できるようにすると良い。すなわち、制御部18は、例えば初期設定としては、道路種別情報で区分けされる2種類の領域に基づく燃費情報の管理並びにその利用を行うようにし、リモコン17やスイッチ部3からの指示を受けて、使用する情報を選択し、より詳細な領域での燃費情報の管理並びに利用を行う。
燃費の算出は、残燃料に基づく補正を行うものに限ることなく、満タン法などと称される従来のように満タンに給油した際の燃料の量に基づいて補正を行うものでもよいし、さらには、補正することなく車両情報から得られる情報をそのまま使用するものなど各種のものを利用することができる。
また、ナビゲーション装置の場合、詳細な地図データを備えている。従って、燃費に影響を与える要素の区別も、より詳細に設定することで、各箇所で現実にあった適切な予測ができる。