JP2015200616A - 車両用燃費算出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料噴射弁の部品に個体差があったり経年劣化等が生じたりした場合であっても燃費を精度よく算出することができ、表示する燃費の信頼性を確保することができる車両用燃費算出装置を提供する。
【解決手段】車両用燃費算出装置としてのエンジンECU2は、燃料噴射量および走行距離に基づいて燃費を算出する燃費算出部10bと、燃料タンク7内の燃料の変化量に基づいて補正係数算出部10aにおいて燃費を算出する際の補正係数を算出する補正係数算出部10aと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の燃費を算出する車両用燃費算出装置に関する。
自動車等の車両の燃料消費率つまり燃費は、インジェクタ等の燃料噴射弁の開弁時間に基づいて算出した燃料噴射量と、車速等に基づいて算出された走行距離とから算出される。このとき、燃料噴射量は、燃料噴射弁の開弁時間とその燃料噴射弁の設計上の噴射量とから算出されていた。そのため、燃料噴射弁を構成する部品の個体差や経年劣化等によって、計算上の燃料噴射量と実際の燃料噴射量とが乖離する可能性があった。そして、計算上の燃料噴射量と実際の燃料噴射量とが乖離してしまうと、計算上の燃料噴射量から算出される燃費も、実際の燃費から乖離することになる。
そこで、例えば特許文献1には、メータのスイッチ等からユーザが補正量を入力することで、燃費を補正することが記載されている。
特開2006−242896号公報
しかしながら、近年では、燃費を表示すること、さらには、表示する燃費の信頼性を確保することを法制化する動きもある。そのため、燃料噴射弁の部品に個体差があったり経年劣化等が生じたりした場合であっても、実際の燃費を精度よく算出することが求められている。また、信頼性を確保するという点においては、ユーザが補正量を設定するのではなく、自動で燃費を算出できることが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料噴射弁の部品に個体差があったり経年劣化等が生じたりした場合であっても燃費を精度よく算出することができ、表示する燃費の信頼性を確保することができる車両用燃費算出装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、車両用燃費算出装置は、燃料噴射量および走行距離に基づいて燃費を算出する燃費算出部と、燃料タンク内の燃料の変化量に基づいて補正係数算出部において燃費を算出する際の補正係数を算出する補正係数算出部と、を備える。これにより、車両用燃費算出装置は、燃料噴射弁の孔の大きさといった設計上の値のみだけでなく、実際の燃料噴射量に基づいてより実際に近い値として燃費を算出することができる。したがって、燃料噴射弁の部品に個体差があったり経年劣化等が生じたりした場合であっても燃費を精度よく算出することができ、表示する燃費の信頼性を確保することができる。また、ユーザによる設定操作等を伴わずに自動で補正係数および燃費を算出するので、恣意的な数値の変更等が行われるおそれを低減でき、表示する燃費の信頼性をより一層向上させることができる。
一実施形態の車両用燃費算出装置の電気的構成を模式的に示す図 車両用燃費算出装置による補正係数算出処理の流れを示す図
以下、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1に示すように、車両1内には、車両用燃費算出装置としてのエンジンECU2(Electronic Control Unit)が設けられている。このエンジンECU2は、車両1のエンジン(動力。図示省略)を制御する電子制御装置であり、各種のセンサを有するセンサ群3から入力される信号に基づいて、アクチュエータ等の駆動部を有する駆動部群4を制御する。なお、車両1は、動力としてエンジンとモータとを有するいわゆるハイブリッド自動車であってもよい。
センサ群3は、例えば、車両1に加わる加速度を検知する加速度センサ3a、車両1の速度を検知する車速センサ3b、車両1の走行距離を検知する走行距離センサ3c、エンジンの回転数を検知する回転数センサ3d、アクセル(図示省略)の開度を検知するアクセル開度センサ3e等、各種のセンサで構成されている。
このうち、加速度センサ3aは、いわゆる三軸加速度センサで構成されており、車両1に加わる三次元方向の加速度を検知する。このため、後述するように、この加速度センサ3aで検知した加速度に基づいて、車両1の姿勢の検知が行われている。つまり、加速度センサ3aは、後述する制御部10とともに、車両1の姿勢を検知する姿勢検知部を構成する。また、エンジンECU2は、車速センサ3bで検知した車速に基づいて、あるいは、走行距離センサ3cで検知した走行距離に基づいて、走行距離を取得する。つまり、車速センサ3bや走行距離センサ3cは、後述する制御部10とともに、走行距離を取得する走行距離取得手段として機能する。なお、図1に示すセンサ群3は一例であり、車両1を制御するための他のセンサも設けられている。
駆動部群4は、例えば、燃料を噴射するインジェクタ4a、燃料に点火するイグナイタ4b、故障時に点灯する故障警告灯4c等、エンジンECU2によって駆動される各種の駆動部で構成されている。このうち、インジェクタ4aは、噴射孔の大きさが所定の公差内に収まるように設計されている。そのため、噴射孔の大きさと開弁時間とから設計上の燃料噴射量(以下、計算上の燃料噴射量とも称する)を求めることができる。本実施形態では、計算上の燃料噴射量は、後述する制御部10により求められている。つまり、制御部10は、燃料噴射量を取得する燃料噴射量取得手段として機能する。なお、図1に示す駆動部群4は一例であり、車両1を制御するための他の駆動部も設けられている。
また、エンジンECU2は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車内通信バス5を介して、メータECU6に接続されている。メータECU6は、インスツルメンタルパネルのメータへの表示を制御するECUであり、車速やエンジンの回転数、また、本実施形態に関連して燃費の表示等を制御する。つまり、メータECU6は、燃費を表示する燃費表示手段として機能する。
また、エンジンECU2は、車内通信バス5を介して、燃料タンク7に対応して設けられている燃料センサ8から、燃料タンク7内の燃料の残量を取得可能となっている。つまり、燃料センサ8は、後述する制御部10とともに、燃料タンク7内の燃料の残量を取得する残量取得手段として機能する。また、エンジンECU2は、車内通信バス5を介して、例えばディーラ等で検査のために用いられる診断装置にも接続可能となっている。この診断装置は、外部の装置に相当する。つまり、車内通信バス5は、外部の装置と接続するためのインターフェースを構成している。
このエンジンECU2は、図示しないCPU、ROMおよびRAM等を有するマイクロコンピュータで構成された制御部10、例えばフラッシュメモリのような不揮発性の記憶素子で構成された記憶部11、動力が停止してからの経過時間を測定し、設定時間に達したことを検知するとエンジンECU2が起動するよう起動信号を出力するソークタイマ12等から構成されている。記憶部11は、制御部10で実行されるコンピュータプログラムを記憶しているとともに、本実施形態に関連して、後述するように補正係数、前回の燃料の残量(F2)を記憶している。このソークタイマ12は、動力が停止された場合であっても通電されており、動力が停止されてから所定時間が経過すると起動信号を出力する。このソークタイマ12から起動信号が出力され、エンジンECU2が起動されると、例えば燃料経路に漏れがないか等、動力が停止しているときにしか測定できない部位の自己診断が行われる。本実施形態では、このソークタイマ12が計時部として機能する。
制御部10は、例えば記憶部11に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、エンジンECU2全体を制御する。この制御部10には、本実施形態に関連して、補正係数算出部10a、燃費算出部10b、経過時間判定部10c、残量判定部10d、水平判定部10e、および給油判定部10fが設けられている。
各部の機能については後述する補正係数算出処理(図2参照)にて説明するが、補正係数算出部10aは、燃料タンク7内の燃料の変化量に基づいて、燃費算出部10bにて燃費を算出する際の補正係数を算出する。燃費算出部10bは、燃料噴射量と走行距離とに基づいて、燃費を算出する。経過時間判定部10cは、動力が停止されてからの経過時間が予め定められている基準時間を超えたか否かを判定する。この基準時間は、動力が停止されてから燃料タンク7内の燃料が静止状態になったと予想される時間、つまり、燃料タンク7内の燃料の揺れが収まったと予想される時間が設定されている。
残量判定部10dは、燃料タンク7内の燃料の残量が予め定められている基準範囲内にあるか否かを判定する。この規準範囲は、燃料センサ8による残量の検知に誤差が生じないと考えられる範囲が設定されている。具体的には、燃料が満タンの場合や、燃料が空の場合には、残量の検知に誤差が生じやすいため、残量が多すぎたり少なすぎたりしない範囲が設定されている。なお、規準範囲は、燃料タンク7の構造や燃料センサ8の構造等に基づいて、例えば残量が満タン時の20%〜80%範囲内等のように適宜設定すればよい。
水平判定部10eは、加速度センサ3aで検知された加速度に基づいて、車両1の姿勢が予め定められている許容範囲内で水平であるか否かを判定する。なお、水平であるか否かを判定するのは燃料の残量を正確に測定するためであり、許容範囲は、燃料タンク7の構造や燃料センサ8の構造等に基づいて適宜設定されている。
給油判定部10fは、前回補正係数を算出した以降に給油が行われたか否かを判定する。給油判定部10fは、例えば、燃料の残量が前回よりも増加している場合に給油が行われたと判定する。
本実施形態では、これら補正係数算出部10a、燃費算出部10b、経過時間判定部10c、残量判定部10d、水平判定部10e、および給油判定部10fは、CPUにより実行されるコンピュータプログラムによってソフトウェア的に実現されている。
次に上記した構成の作用について説明する。
エンジンECU2は、図2に示す補正係数算出処理を実行している。なお、補正係数算出処理における各処理は、上記した補正係数算出部10a等により行われているものの、説明の簡略化のためにエンジンECU2を主体として説明する。
エンジンECU2は、補正係数算出処理において、動力停止からの経過時間が基準時間を超えたか否かを判定する(S1)。この判定は、ソークタイマ12から起動されたとき、基準時間が経過したと判定する。ソークタイマ12は、上記したように動力が停止しているときに自己診断を行うためのタイマであることから、ソークタイマ12から起動された時点で、動力が停止してから十分な時間が経過していることになる。そして、動力が停止してから十分な時間が経過していれば、燃料タンク7内の燃料の揺れ等が収まり、正確に燃料の残量を測定できる状態になったと判断することができる。つまり、経過時間判定部10cは、基準時間が経過したか否かを判定することで、燃料の残量を正確に測定できる状態になったか否かを判定している。
なお、ソークタイマ12を利用せず、別のタイマ等で経過時間判定部10cを個別に構成する場合には、基準時間が経過していなければ(S1:NO)、処理を終了し、次の補正係数算出処理の実行サイクルにて基準時間が経過したか否かを判定することになる。その場合、ステップS1:NOとなったときには、処理を終了するのではなく、ステップS1に移行して基準時間が経過するまで待機する流れとしてもよい。
エンジンECU2は、経過時間が基準時間を超えたと判定すると(S1:YES)、燃料タンク7内の燃料の残量が規準範囲内であるかを判定する(S2)。エンジンECU2は、残量が規準範囲内でないと判定した場合には(S2:NO)、処理を終了する。これは、残量が多すぎたり少なすぎたりすると残量が正確に測定できず、後述する補正係数の算出に誤差を生じさせるためである。この判定は、残量判定部10dによって行われる。
一方、エンジンECU2は、残量が規準範囲内であると判定した場合には(S2:YES)、車両1の姿勢が水平であるかを判定する(S3)。このステップS3では、エンジンECU2は、加速度センサ3aで検知した三軸方向の加速度に基づいて、車両1の姿勢が予め定められている許容範囲内で水平であるか否かを判定する。これは、車両1の姿勢が水平であれば、燃料タンク7の構造や燃料センサ8の構造等にもよるものの、一般的には燃料の残量を正確に測定できると考えられるためである。この判定は、水平判定部10eにより行われる。
エンジンECU2は、車両1の姿勢が水平でないと判定した場合には(S3:NO)、処理を終了する。これに対して、エンジンECU2は、車両1の姿勢が水平であると判定した場合には(S3:YES)、前回の算出時以降に給油されているかを判定する(S4)。この判定は、給油判定部10fにより行われる。
さて、本実施形態では、燃料の変化量、つまり、前回の算出時から今回の算出時までに消費された燃料の量に基づいて補正係数を求めている。そのため、給油されると、残量の変化量を求めることができなくなる。このとき、上記したような表示する燃費の信頼性を確保するという観点からすると、給油量をユーザが設定することは望ましくない。また、給油直後では燃料に揺れ等が生じている可能性が高く、燃料センサ8で給油量を正確に測定することができないおそれがある。また、給油後にはガソリンスタンドから移動することから、給油後に車両1が静止した状態になるまでの間に燃料の消費が発生し、残量の測定に誤差が生じることになる。
そのため、エンジンECU2は、給油されたと判定した場合には(S4:NO)、ステップS8に移行する。このとき、エンジンECU2は、ステップS4にて給油されたと判定した際の燃料の残量を、今回の給油量(F1)として記憶する。そして、エンジンECU2は、ステップS8において、残量をF2←F1として更新するとともに、燃料噴射量(I)を0に初期化する。これにより、次回の補正係数の算出時には、給油後の残量(より厳密には、給油された以降において車両1の動力が停止された状態での残量)の変化量と、給油後の燃料噴射量の累積値とを用いて、補正係数が算出される。その後、エンジンECU2は、処理を終了する。
一方、エンジンECU2は、給油されていないと判定した場合には(S4:YES)、燃料噴射量(I)と、燃料の変化量(F2−F1)とに基づいて、今回の補正係数(C0)を算出する(S5)。ここで、燃料噴射量(I)は、インジェクタ4aの設計上の孔の大きさと、エンジンECU2により制御される開弁時間とにより求められる計算上の噴射量の累積値である。つまり、エンジンECU2は、燃料を噴射する毎に、その噴射量を累積的に記憶している。また、F2は前回計測した燃料の残量であり、F1は今回計測した燃料の残量である。エンジンECU2は、これらに基づいて、今回の補正係数(C0)を、以下の(1)式にて算出する。この算出は、補正係数算出部10aにより行われる。
C0=I/(F2−F1) ・・・(1)
今回の補正係数(C0)を算出すると、エンジンECU2は、今回算出した補正係数(C0)、および過去に算出したN個の補正係数(C1〜CN)のN+1回分の補正係数(C0〜CN)に基づいて、燃費算出用の補正係数(C)を算出する(S6)。具体的には、エンジンECU2は、燃費算出用の補正係数(C)を、以下の(2)式にて算出する。
C=(C0+C1+・・・+CN)/(N+1) ・・・(2)
つまり、エンジンECU2は、N+1回分の補正係数の平均値を、燃費を算出する際の補正係数(C)として算出している。なお、過去の補正係数は記憶部11に記憶されている。また、Nは、0以上の任意の整数である。
補正係数を算出すると、エンジンECU2は、ステップS8において、次回の算出のために補正係数の履歴(過去に算出された複数の補正係数が時系列で記憶されている)をCn→Cn+1のように更新する(S7)。この場合、C1〜CN−1の補正係数がそれぞれC2〜CNとして更新され、今回算出した補正係数(C0)がC1として更新される。その後、エンジンECU2は、燃料の残量をF2←F1として更新するとともに、燃料噴射量(I)を0に初期化する(S8)。これにより、次回の算出時には、今回の残量(F1)を、前回の残量(F2)として使用することができる。また、燃料噴射量(I)を初期化することにより、次回の算出時には、燃料噴射量(I)が今回の算出時からの累積値として使用することができる。
このように、エンジンECU2は、燃料の変化量に基づいて補正係数を算出している。そして、エンジンECUは、車両1の走行時等において、算出した補正係数(C)を用いて、燃料噴射量(I)と走行距離(K)とに基づいて、以下の(3)式にて燃費(P)を算出する。この算出は、燃費算出部10bにて行われる。
P=(K/I)×C ・・・(3)
これにより、計算上の燃費(K/I)が、実際の燃料の消費量に基づいて算出された補正係数(C)により補正される。つまり、燃費(P)は、インジェクタ4aの孔の大きさといった設計上の値のみだけでなく、実際の燃料噴射量に基づいてより実際の燃費に近い値として算出される。このとき、算出された燃費は、メータECU6に送られてインスツルメンタルパネル等に表示される。
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
車両用燃費算出装置としてのエンジンECU2は、燃料噴射量および走行距離に基づいて燃費を算出する燃費算出部10bと、燃料タンク7内の燃料の変化量に基づいて補正係数算出部10aにおいて燃費を算出する際の補正係数を算出する補正係数算出部10aと、を備える。これにより、エンジンECU2は、インジェクタ4aの孔の大きさといった設計上の値のみだけでなく、実際の燃料噴射量に基づいてより実際に近い値として燃費を算出することができる。したがって、インジェクタ4aの部品に個体差があったり経年劣化等が生じたりした場合であっても補正係数を正確に算出することができる。もって、燃費を精度よく算出することができ、表示する燃費の信頼性を確保することができる。
このとき、エンジンECU2は、ユーザによる設定操作等を伴わずに自動で補正係数および燃費を算出する。このため、恣意的な数値の変更等が行われるおそれを低減でき、表示する燃費の信頼性をより一層向上させることができる。
エンジンECU2は、車両1の動力が停止されてからの経過時間が予め定められている基準時間を超えたか否かを判定する経過時間判定部10cを備え、経過時間判定部10cにより経過時間が基準時間を超えたと判定されると、補正係数算出部10aにて補正係数を算出する。このとき、基準時間は、燃料タンク7内の燃料の揺れが収まったと予想される時間が設定されている。これにより、動力を停止した直後にはまだ燃料に揺れが生じている可能性があるものの、基準時間が経過した時点では燃料が静止状態となっていると予想されることから、正確に残量を測定することができる。
エンジンECU2は、燃料タンク7内の燃料の残量が予め定められている基準範囲内にあるか否かを判定する残量判定部10dを備え、残量が規準範囲内にあると判定されると、補正係数算出部10aにて補正係数を算出する。このとき、規準範囲は、残量の測定に大きな誤差が生じない範囲に設定されている。これにより、燃料の残量をより正確に測定することができる。
エンジンECU2は、車両1の姿勢を検知する姿勢検知部と、姿勢検知部で検知した車両1の姿勢が予め定められている許容範囲内で水平であるか否かを判定する水平判定部10eと、を備える。そして、エンジンECU2は、姿勢判定部により車両1の姿勢が許容範囲内で水平であると判定されると、補正係数算出部10aにて補正係数を算出する。これにより、燃料の残量をより正確に測定することができる。
エンジンECU2は、前回の補正係数の算出時から給油があったか否かを判定する給油判定部10fを備え、給油判定部10fにより給油がなかったと判定されると、補正係数算出部10aにて補正係数を算出する。つまり、給油が行われた際には補正係数の算出を行わない。これにより、給油量をユーザが設定すること等が不要となり、補正係数を算出する際の信頼性、ひいては、表示する燃費の信頼性を確保することができる。
エンジンECU2は、補正係数算出部10aで算出された補正係数(C1〜CN)を時系列で複数記憶する記憶部11を備え、その記憶部11に記憶されている複数の補正係数をも用いて補正係数算出部10aにて燃費の算出に用いる補正係数(C)を算出する。本実施形態では、複数の補正係数の平均値を燃費の算出に用いる補正係数(C)としている。これにより、仮に1つの補正係数にて誤差が生じていたとしても、その誤差が薄められ、補正された燃費に与える誤差の影響を少なくすることができる。
実施形態では、エンジンECU2は、燃料の残量が規準範囲にあるか否か、車両1の姿勢が水平であるか否か、および、給油されているか否かの各条件を複合させて判定しているので、残量の測定に誤差が生じ得る状況を排除でき、より正確に燃料の残量を測定できる。すなわち、より正確に補正係数を算出することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態にて例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に変形あるいは拡張することができる。
一実施形態では車両1内で完結する構成を示したが、診断装置9と連携させる構成としてもよい。具体的には、外部の装置と接続するためのインターフェースである車内通信バス5を介して、補正係数算出部10aで算出した補正係数を、外部の装置である診断装置9に出力可能としてもよい。これにより、診断装置にて算出された補正係数を確認することができ、例えば補正係数が異常に大きい場合や異常に小さい場合等、インジェクタ4aの消耗や目詰まりといった整備が必要な状況にあることを把握することができる。また、補正係数が異常値を示し、インジェクタ4aを検査したが消耗等がない場合、燃焼センサ等の他の部位の故障であることを推測することができる。このように、車両1を整備する上での有益な情報を得ることができる。
また、診断装置9から補正係数を設定あるいは変更可能としてもよい。これにより、例えば整備中にインジェクタ4aを交換した場合等において、過去の補正係数をリセットしたり、新しいインジェクタ4aに対応した値を補正係数の初期値に設定したりすることができる。したがって、整備直後から正しく燃費を算出することができる。
このとき、診断装置9は、例えばネットワーク上のサーバとして構成されていてもよい。また、車内通信バス5ではなく、車両1に通信手段を設けて例えばインターネット等のネットワーク経由で診断装置9やサーバと接続する構成としてもよい。
一実施形態ではN+1回分の補正係数の平均値を用いて燃費算出用の補正係数(C)を求めたが、N+1回分の補正係数にそれぞれ重み付けを行って燃費算出用の補正係数(C)を求めてもよい。また、複数の補正係数を用いるのではなく、今回算出した補正係数(C0)をそのまま燃費算出用の補正係数(C)としてもよい。つまり、N=0としてもよい。また、診断装置9から設定された補正係数を反映させて燃費を算出してもよい。
一実施形態では車両1が停止してからソークタイマ12から起動される毎(基準時間が経過する毎)に補正係数算出処理にて補正係数を算出する構成を示したが、数回に一回の割合で補正係数を算出する構成としてもよい。
一実施形態では補正係数算出処理を行う毎に燃料噴射量や残量を初期化あるいは更新する例を示したが、数回に一回の割合で燃料噴射量や残量を初期化あるいは更新するようにしてもよい。また、ユーザからの操作に基づいて初期化あるいは更新する構成としてもよい。また、補正しない燃費と補正した燃費とを対比可能に提示する構成とし、例えば診断装置9にて両者の差分を診断可能な構成とし、補正の確かさを確認するようにしてもよい。
一実施形態では車両1の姿勢が水平であるか否かを判定したが、車両1の姿勢が前回の補正係数の算出時と予め定められている許容範囲内で一致するか否かを判定する一致判定部を制御部10に設けてもよい。つまり、車両1の姿勢が前回補正係数を算出したときと一致する場合に、補正係数を算出するようにしてもよい。なお、姿勢が一致するか否かを判定するのは燃料の残量を正確に測定するためであるので、許容範囲は、燃料タンク7の構造や燃料センサ8の構造等に基づいて適宜設定すればよい。このとき、エンジンECU2は、図2に示す補正係数算出処理のステップS3において、水平を判定する代わりに、一致を判定すればよい。
車両1の姿勢が前回の算出時と同じ姿勢であれば、燃料タンク7内の燃料の傾斜も前回と同じ状態となっていると考えられる。そして、車両1の姿勢が一致すれば燃料の残量を同じ条件で測定できることから、補正係数を正しく算出することができると考えられる。これにより、例えば、自宅の駐車場が傾斜している等、そもそも水平でない場所に車両1が駐車されるような場合であっても補正係数を算出することができ、車両用燃費算出装置を適用可能な状況を広げることができる。また、仮に前回の姿勢と一致する場合であっても、燃料タンク7内の燃料の残量を測定することが困難であると考えられる限界値を設定可能とし、その限界値を超えて姿勢が傾いている場合には補正係数の算出を行わないようにしてもよい。
一実施形態で示した車両用燃費算出装置としてのエンジンECU2の構成は一例であり、図1に示す構成要件以外のものを備えていてもよい。また、エンジンECU2を兼用するのではなく、単独のECUにて車両用燃費算出装置を構成してもよい。
図面中、1は車両、2はエンジンECU(車両用燃費算出装置)、3aは加速度センサ(姿勢検知部)、4aはインジェクタ(燃料噴射弁)、5は車内通信バス(インターフェース)、7は燃料タンク、10は制御部(姿勢検知部)、10aは補正係数算出部、10bは燃費算出部、10cは経過時間判定部、10dは残量判定部、10eは水平判定部、10fは給油判定部、11は記憶部、C,C0〜CNは補正係数、F1、F2は燃料の残量、Iは燃料噴射量、Kは走行距離、Pは燃費を示す。

Claims (9)

  1. 燃料噴射量および走行距離に基づいて燃費を算出する燃費算出部(10b)と、
    燃料タンク(7)内の燃料の変化量に基づいて、前記補正係数算出部(10a)において燃費を算出する際の補正係数を算出する補正係数算出部(10a)と、
    を備えることを特徴とする車両用燃費算出装置。
  2. 車両1の動力が停止されてからの経過時間が予め定められている基準時間を超えたか否かを判定する経過時間判定部(10c)を備え、
    前記補正係数算出部(10a)は、前記経過時間判定部(10c)により経過時間が基準時間を超えたと判定されると、補正係数を算出することを特徴とする請求項1記載の車両用燃費算出装置。
  3. 前記燃料タンク(7)内の燃料の残量が予め定められている基準範囲内にあるか否かを判定する残量判定部(10d)を備え、
    前記補正係数算出部(10a)は、前記残量判定部(10d)により残量が規準範囲内にあると判定されると、補正係数を算出することを特徴とする請求項1または2記載の車両用燃費算出装置。
  4. 車両(1)の姿勢を検知する姿勢検知部(3a、10)と、
    前記姿勢検知部(3a、10)で検知した車両(1)の姿勢が、予め定められている許容範囲内で水平であるか否かを判定する水平判定部(10e)と、を備え、
    前記補正係数算出部(10a)は、前記姿勢判定部(3a、10)により車両(1)の姿勢が許容範囲内で水平であると判定されると、補正係数を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の車両用燃費算出装置。
  5. 車両(1)の姿勢を検知する姿勢検知部(3a、10)と、
    前記姿勢検知部(3a、10)で検知した車両(1)の姿勢が、前回の補正係数の算出時と予め定められている許容範囲内で一致するか否かを判定する一致判定部と、を備え、
    前記補正係数算出部(10a)は、前記一致判定部により車両(1)の姿勢が許容範囲内で一致すると判定されると、補正係数を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の車両用燃費算出装置。
  6. 前回の補正係数の算出時から給油があったか否かを判定する給油判定部(10f)を備え、
    前記補正係数算出部(10a)は、前記給油判定部(10f)により給油がなかったと判定されると、補正係数を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の車両用燃費算出装置。
  7. 前記補正係数算出部(10a)で算出された補正係数を時系列で複数記憶する記憶部(11)を備え、
    前記補正係数算出部(10a)は、前記記憶部(11)に記憶されている複数の補正係数を用いて、燃費の算出に用いる補正係数を算出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の車両用燃費算出装置。
  8. 外部の装置(9)と接続するためのインターフェース(5)を備え、
    前記補正係数算出部(10a)で算出した補正係数を、前記外部の装置(9)に出力可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の車両用燃費算出装置。
  9. 外部の装置(9)と接続するためのインターフェース(5)を備え、
    前記外部の装置(9)から補正係数を設定あるいは変更可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の車両用燃費算出装置。
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