JP2012045198A - 治療支援装置及び治療支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】治療前に組織変性が生じる部位の分布を確認してから治療を行える治療支援装置及びシステムを提供する。
【解決手段】被検体画像912、913において病変部位が撮像された領域を含む特定領域916、926を設定し、集束超音波を照射するプローブの位置を検出する。そのプローブから照射される音響放射圧による信号に基づいて、治療予定領域918、928を算出する。その治療予定領域918と特定領域916、926とを比較し、治療予定領域918、928が特定領域916、926からはみだしている場合に警告を行う。
【選択図】図9

Description

本発明は、治療支援装置及び治療支援システムに係り、特に、温熱治療に伴う正常組織への負荷を軽減する技術に関する。
特許文献1には、磁気共鳴撮像装置(以下「MRI装置」という)と、集束超音波を照射する治療プローブと、その治療プローブの三次元位置検出装を行う位置検出装置と、を備え、MRI装置から得られた3Dボリューム画像と、治療プローブの三次元位置と、超音波屈折率とに基づいて、治療プローブを正確な位置(病変部位に集束超音波が当たる位置)に誘導する手術支援装置が開示されている。
特開2010−69006号公報
しかし、集束超音波による温熱治療中に、病変部位の周囲に位置する正常組織への熱伝導が生じ、正常組織の変性という副作用が懸念されるという問題があった。特に、集束超音波により加熱される部位は、必ずしも集束超音波の焦点から全方位に等距離に分布するわけではなく、集束超音波の進行方向や加熱対象となる部位の熱伝導率などにも依存するため、治療プローブを正確な位置に誘導するだけでは、温熱治療により生じる組織変性の分布を予想することは困難であった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、集束超音波による温熱治療時における正常組織への過負荷を抑制する治療支援装置及びシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る治療支援装置は、医用画像撮像装置により被検体内部の病変部位を撮像して得られた被検体画像において、前記病変部位が撮像された病変領域を含む特定領域を設定する特定領域設定手段と、音響放射圧及び集束超音波を照射するプローブの位置を検出する位置検出手段と、前記音響放射圧による信号に基づいて前記集束超音波により前記被検体の組織変性が生じると推定される部位の位置情報を取得する情報取得手段と、前記プローブの位置と、前組織変性が生じると推定される部位の位置情報と、に基づいて、前記被検体画像において前記組織変性が生じると推定される部位が撮像された治療予定領域を算出する治療予定領域算出手段と、前記治療予定領域が前記特定領域からはみだしている場合に警告を行う警告手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る治療支援システムは、被検体を撮像する医用画像撮像装置と、音響放射圧及び集束超音波を照射するプローブを備えた超音波診断治療装置と、前記医用画像撮像装置により被検体内部の病変部位を撮像して得られた被検体画像において、前記病変部位が撮像された病変領域を含む特定領域を設定する特定領域設定手段と、前記プローブの位置を検出する位置検出手段と、前記超音波診断治療装置が、前記プローブから照射される音響放射圧による信号に基づいて前記被検体の組織変性が生じると推定した部位の位置情報を取得する情報取得手段と、前記プローブの位置と前組織変性が生じると推定した部位の位置情報と、に基づいて、前記被検体画像において前記組織変性が生じると推定された部位が撮像された治療予定領域を算出する治療予定領域算出手段と、前記治療予定領域が前記特定領域からはみだしている場合に警告を行う警告手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、集束超音波による温熱治療時における正常組織への過負荷を抑制することができる。
本実施形態に係る治療支援システムの概略構成図 MRI、超音波交互撮像時における撮像断面構成図 治療プローブの構成を示す模式図 超音波診断装置の構成を示すブロック図 超音波診断治療装置による治療処理及び治療画像を示す模式図 治療支援プログラムの構成を示すブロック図 本実施形態に係る治療支援システムの処理の流れを示すフローチャート 手術前に表示される画面表示例を示す模式図 手術・治療時における画面の一例を示す模式図 集束超音波装置を用いた治療予定領域の表示処理を示す模式図 ARFIを用いた術前における治療予定領域の算出及び警告処理を示す説明図であって、(a)は理想的な治療領域を示し、(b)は再計算後の治療領域を示し、(c)は負荷領域に対する警告を示し、(d)は禁忌領域と治療予定領域との重複に対する警告を示す。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。同一機能を有する構成及び同一の処理内容の手順には同一符号を付し、その説明の繰り返しを省略する。
本実施形態の説明に先立ち、本実施形態に適用される基礎技術について説明する。3次元ボリューム撮像を行う医用画像撮像装置として、MRI装置がある。このMRI装置は、連続的に被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴信号(以下、MR信号と称する)を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化するものである。現在、臨床で普及しているMRI装置の撮像対象は、被検体の主たる構成物質、プロトンである。MRIは、プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
一般的なMRI装置は、患者の周囲に静磁場を発生する磁石と、この空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイルと、この領域に高周波磁場を発生するRFコイルと、患者が発生するMR信号を検出するRF受信コイルを含み構成されている。傾斜磁場コイルは、X、Y、Zの3方向の傾斜磁場コイルで構成され、傾斜磁場電源からの信号に応じてそれぞれ傾斜磁場を発生する。RFコイルは、RF送信部の信号に応じて高周波磁場を発生する。RFコイルの信号は、信号検出部で検出され、信号処理部で信号処理され、また計算により画像信号に変換される。画像信号は、表示部で断層像として表示される。傾斜磁場電源、RF送信部、信号検出部などは、制御部で制御され、制御のタイムチャートは一般にパルスシーケンスと呼ばれている。患者は、ベッドに横たわってRF受信コイル、RFコイル傾斜磁場コイルなどで囲まれた装置内の空間に搬送され、断層面の撮像が行われる。
このようなMRI装置を用いた心臓イメージングや、手術時の穿刺モニタリング、経皮的治療などに使用されるI−MRI装置(interventinal−MRI装置、または、Intraoperative−MRI装置の略称)では、リアルタイムで撮像する断層面を任意に設定したいという要望がある。撮像する断層面を任意に選択する手法として、グラフィカルユーザインタフェース(以下「GUI」と略記する。)にMRI画像を表示して、画面上のボタンをクリックして、次に撮像する断層面を決定する方法や、3次元マウスなどを使う方法などが提案されている。これらの方法では、撮像する断層面の位置や向きをマウスなどの入力手段で調整、設定しなければならず煩雑なので、MRI装置としては、より簡便に撮像する断層面の位置や向きを調整、設定できることが望ましい。その手法として、術具に先端部にポインタを設け、3次元位置検出装置にてポインタの位置を検出し、これに基づいて、断層面を自動的に調整する技術がある。
一方、位置検出装置と過去に撮像したボリュームデータを用いた手術ナビゲーションシステムは、手術時に患者に対してポインタなどにより指定される位置を、当該位置を含む患者の直交3平面それぞれを断面とする断層画像上に表示することにより手術操作をナビゲーションするシステムであり、脳神経外科手術などの高精度の外科手術に適用されている。
ここで、このような手術ナビゲーションシステムにおける患者の断層画像は、予め、MRI装置によって撮像した3次元のデータであるボリュームデータにより生成される。一方、ポインタによる指定位置を定めるために必要とされるポインタの位置検出の方式には、機械式、光学式、磁気式、超音波式などの方式がある。上記I-MRIと3次元手術ナビゲーションシステムとを組み合わせ手術ナビゲーションシステムを構成することも行われている。
更に、MRIによる高速撮像シーケンスの応用のひとつとして、フルオロスコピー(透視撮像)と呼ばれるリアルタイム動態画像化法が臨床応用されつつある。フルオロスコピーでは、1秒以下程度の周期で撮像と画像再構成を繰り返すことにより、あたかもX線透視撮像のように体内組織の動態抽出や体内に外部から挿入した器具の位置把握に用いることができる動態画像を生成・表示する。この応用は3次元高速撮像にも応用されている。方法として、Rawデータを間引いて撮像し、以前のデータを用いて補完・再構成する技術がある。例えば、TR = 1、 Phase Encode = 100とすれば、100ms毎に1画像を連続取得することができる。
また、治療装置として用いる超音波診断装置は、被検体内に超音波を送受信し得られた反射エコー信号を用いて診断部位について2次元超音波画像或いは3次元超音波画像を形成して表示するものである。超音波診断装置は、被検体に超音波を照射し受信する振動子素子を備えた超音波探触子と、超音波信号を送受信する超音波送受信部と、受信信号に基づいて2次元超音波画像(Bモード画像)或いは3次元超音波画像を構成する超音波画像構成部と、超音波画像構成部構成された超音波画像を表示する表示部素を制御する制御部と、制御部に指示を与えるコントロールパネルとを有している。現在、超音波画像処理の技術は進歩しており、探触子に向かう方向の血流を赤色で、遠ざかる方向の血流を青色で表示するカラードップラー法が開発されている。利点としては、早い血流と遅い血流とを同時に表示できるだけでなく、カラーゲインを調節して速度が早いほど明るく表示することで血流を評価することができる点がある。
更に超音波診断装置は、被検体内部の生体組織の構造を例えばBモード像として表示するだけでなく、最近、被検体の体表面から圧迫装置もしくは探触子で人為的に生体内部組織を圧迫し、時系列的に隣接する2フレーム(連続2フレーム)の超音波受信信号の相関演算を利用して、各点における変位を求め、さらにその変位を空間微分することによって歪みを計測し、この歪みデータを画像化する手法、更には、外力による応力分布と歪みデータから、生体組織のヤング率等に代表される弾性率データを画像化する手法が現実的になってきている。このような歪み及び弾性率データ(以下、弾性フレームデータ)を基にした弾性画像によれば、生体組織の硬さや柔らかさを計測して表示することができる。このような機能は一般的にはエラストグラフィと呼ばれる。
一方、超音波は、体外あるいは体腔内から集束させることにより侵襲性の低い治療を行うことが原理的に可能である。直腸内に配置した超音波発生器を用いた泌尿器領域の部位の治療についても従来から超音波を用いた装置が考案されている。
例えば、前立腺は直腸内に配置した超音波発生器を用いて治療可能である。前立腺に関する疾患で超音波による治療が適する例としては、前立腺肥大症が挙げられる。前立腺肥大症は前立腺の少なくとも一部が肥大することで尿道が屈曲し、患者に顕著な尿流の閉塞、切迫尿、頻尿をもたらす疾患であり、治療法としては外科手術により患部を除去する手法、レーザ照射により患部を焼き切る手法などが考案されている。これらの手法に対し、より簡便でまた早い術後の回復が期待できる手法として、集束超音波を用いた治療装置も考案されている。この治療装置は、治療用の連続波の発生および超音波断層像を得るためのパルス波の発生という二つの役割を併せもつ集束型超音波発生源を含む治療用プローブ、および治療用プローブに接続された超音波診断装置と集束超音波発生用の電源、超音波を反射することを特徴とする尿道用カテーテルから構成されている。治療は、まずカテーテルを尿道から膀胱までいれた状態で超音波断層装置プローブを直腸に挿入し、前立腺付近の超音波断層像を得、治療予定部位をあらかじめ決定しておく。次に、治療用プローブを直腸に挿入し、治療用プローブからの超音波パルス信号により前立腺付近の超音波診断像を得る。本治療装置においては、超音波断層像用超音波発生源は連続波を照射する治療用超音波発生源を兼ねることから、診断画像用のパルス波発生に最適化することが困難であり、良質な断層像を得ることが困難である。このため、本治療装置においては超音波を反射する特徴を有するカテーテルを用いて、カテーテルから強い反射信号が得られるよう構成されている。カテーテルの位置を断層像中で確認することにより、先ほどの超音波断層装置プローブを用いて得られた断層像中において示された治療予定部位の、本治療装置を用いて得られた断層像中での位置を確認する。以上の操作の後に、治療用プローブから治療用超音波を治療予定部位に照射する。一回の超音波照射は通常数秒間であり、複数の部位を治療する場合には、通常十数秒間の間隔を設ける。治療効果は、超音波照射により組織が熱凝固する温度以上に加熱されることにより得られると考えられている。
また、音響放射圧を利用して軟部組織を微小変位させ、その変位量を超音波で測定することにより組織の硬さを測定する手法(Acoustic Radiation Force Impulse:ARFI)が開発されており、生体への影響について調査ならびに検討が行われている。ARFIの適用例として、例えば心臓イメージングがある。心臓イメージングでは、応力源としての心臓の運動を用いて変位率が求められる。応力は音響手段により印加されることもある。音響放射力イメージングARFIにより、損傷部位ないし病変部位と周囲組織との剛性の差が表現される。強いプッシングパルスの放射力は標的領域にミクロレベルの変位を引き起こす。2次元のスペックル追跡により組織の運動のミリ秒オーダーの期間にわたる変位が求められる。
対象物の機械的特性に空間的変化が存在するため、変位力の空間分布における変化をモデリングするのは困難である。これは、変位画像の信号雑音比SNRが低下し、ひいては歪みなどの変位を基礎とした予測の精度が低下するからである。同様に、屈折界面または異所性領域を介した音速の空間的変化や減衰性または反射性の高い組織も、シャドーイングや焦点外れなどを発生させ、変位前画像および変位後画像での幾何学的歪みをモデリングしにくくする。このため信号雑音比SNRひいては超音波画像の精度が低下してしまうのである。音響放射力イメージングARFIでは、音響放射源のフォーカシングおよびフィールドの送信深度の有限範囲に起因して、変位力の空間的な非均一性が生じる。上記基礎技術を前提として、以下、本発明の実施形態を説明する。
以下、図1に基づいて、本実施形態に係る治療支援システムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係る治療支援システムの概略構成図である。
本実施形態に係る治療システム10は、主に、核磁気共鳴撮像装置(以下、MRI装置と称する)1と超音波診断治療装置40とが、パーソナルコンピュータ19に連結される。そして、超音波診断治療装置40に接続された治療プローブ36に取り付けられたポインタ27を位置検出デバイス9が連続的に追随し、ポインタ27の位置情報を転送することで、MRI(またはCT)装置1と治療プローブ36の位置とが連結される。パーソナルコンピュータ19は、MRI装置1からのMRI画像と、超音波診断治療装置40からの超音波画像と、を取得し、それらを用いたナビゲーション画像を生成・表示する。
MRI装置1は、手術室100内に設置され、パーソナルコンピュータ19及びこれに接続されたモニタ20、制御部23、映像記録装置34は、手術室に隣接する操作室101内に備えられる。そして、モニタ13、14は、術者29が視認し、モニタ20は、操作室101内の操作者(図示を省略)が視認する。パーソナルコンピュータ19に接続された映像記録装置34は、術中の動画像(映像信号)を同時記録する。モニタ38には、超音波診断治療装置40からの超音波画像が表示される。
図1のMRI装置1は、垂直磁場方式0.3Tの永久磁石MRI装置であり、患者の周囲に垂直な静磁場を発生する上部磁石3と下部磁石5とが支柱7により垂直方向に並べて配置される。上部磁石3と下部磁石5との間に構成された開口部32内に、被検体24がベッド21に載置されて搬送される。また、MRI装置1は、図示を省略するものの、この静磁場空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部を備える。この斜磁場発生部は、領斜磁場をパルス的に発生させ、最大傾磁場強度15mT/mで、スルーレート20mT/m/msである。更に、MRI装置1は、静磁場中の被検体24に核磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器、被検体24からの核磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備え、これらは12.8MHzの共振型の傾斜磁場コイルにより構成される。傾斜磁場コイルは、X、Y、Zの3方向の傾斜磁場コイルで構成され、傾斜磁場電源からの信号に応じてそれぞれ傾斜磁場を発生する。
位置検出デバイス9は、間隔をおいて(視差を持たせて)設けられた複数の赤外線カメラ25、25と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードを含んで構成され、断層面指示デバイスであるポインタ27の位置及び姿勢を検出するものである。この位置検出デバイス9は、アーム11により移動可能に上部磁石3に連結され、MRI装置1に対する配置を適宜変更することができる。また、ポインタ27の位置検出の方式には、上記に限らず、機械式、光学式、磁気式、超音波式などの方式を用いてもよい。
基準ツール17は、ポインタ27とMRI装置1との相対的な位置関係を検出するために、赤外線カメラ25の座標系とMRI装置1の座標系をリンクさせるもので、3つの反射球からなるマーカ35を備え、上部磁石3の側面に設けられている。マーカは、反射球に代えて、発光ダイオードなどの光源でもよい。
パーソナルコンピュータ19には、赤外線カメラ25が検出し算出したポインタ27の情報が、術具位置データとして、例えば、RS232Cケーブル33を介して送信される。
モニタ13、14は、術者29が把持する治療プローブ36に備えられたポインタ27により指示された被検体24の断層面の画像を表示するもので、モニタ支持部15により、赤外線カメラ25同様、上部磁石3に連結されている。
制御部23は、ワークステーションで構成され、MRI装置1と電気的に接続される。そして、図示しないRF送信器、RF受信器などを制御する。更に制御部23は、パーソナルコンピュータ19と接続されている。パーソナルコンピュータ19では赤外線カメラ25が検出し算出したポインタ27の位置から治療プローブ36の位置データを取得し、その位置データをMRI装置1で利用可能な位置データに変換し、制御部23へ送信する。位置データは、撮像シーケンスの撮像断面へ反映される。新たな撮像断面で取得された画像は液晶モニタからなるモニタ13、14及びモニタ20に表示される。例えば断層面指示デバイスであるポインタ27を治療プローブ36にとりつけ、治療プローブ36のある位置を常に撮像断面とする様に構成した場合、モニタ13、20には治療プローブ36の先端を含む断面が表示されることになる。また、集束超音波の焦点がある位置を常に撮像断面とするように構成してもよい。
次に、図2に基づいて、MRI、超音波交互撮像時の処理を説明する。図2は、MRI、超音波交互撮像時における撮像断面構成図である。術者29が治療プローブ36による画像情報を用いて、被検体24のターゲットに対してアプローチを行う。画像情報はモニタ13、14、20に表示される。ここで、治療プローブ36には位置を検出するためのポインタ27が取り付けられており、位置検出デバイス9を用いて位置をトラッキングする。これより、治療プローブ36から照射される超音波202を含む超音波撮像断面200とMRI撮像断面201は同一断面になり、それぞれ交互に撮像を行って画像情報を取得することで、MRI装置1によるフルオロスコピー撮像によるリアルタイム動画像の撮像面201(上記「MRI撮像断面201」と同義)を、超音波撮像断面200と一致させることができる。但し、MRI装置1と超音波診断治療装置40を交互に撮像するシステムは、各装置の撮像時間を干渉することなく規程時間毎に交互に撮像するものである。また、超音波診断治療装置は通常の撮像の他に血流方向を描出する撮像と組織の硬さを計測する方法も必要に応じて併用される。
次に、図3、4、5に基づいて、超音波診断治療装置の構成を説明する。図3は、治療プローブの構成を示す模式図である。図4は、超音波診断装置の構成を示すブロック図である。図5は、超音波診断治療装置による治療処理及び治療画像を示す模式図である。
超音波診断治療装置40は、2次元超音波画像(Bモード画像)或いは3次元超音波画像を撮像する超音波診断装置40aと、集束超音波を照射する超音波治療装置40bと、の両機能を備えた装置である。
超音波診断装置40aには診断用プローブ36aが接続され、超音波送受信部43から送信された超音波45が照射される。
超音波治療装置40bは、主に、集束超音波を生成するジェネレータと、生成された集束超音波を増幅させるアンプとを備える。超音波治療装置40bには、治療用プローブ36bが接続され、治療用プローブ36bから集束超音波46が照射される。
図3に示すように、治療プローブ36は、治療用プローブ36bに診断用プローブ36aを内包し、超音波画像を撮像するための超音波45と焦点47に集束する集束超音波46の中心軸とが一致するように位置させ、一体化させて構成する。
超音波診断装置40aは、図4に示すように、被検体24内に超音波を送受信し得られた反射エコー信号を用いて診断部位について2次元超音波画像或いは3次元超音波画像を形成して表示するもので、被検体24に超音波を照射し受信する振動子素子を備えた診断用ローブ36aと、超音波信号を送受信する超音波送受信部43と、受信信号に基づいて2次元超音波画像(Bモード画像)或いは3次元超音波画像を構成する超音波画像構成部44と、超音波画像構成部44により構成された超音波画像を表示するモニタ38と、各構成要素を制御する制御部42と、制御部42に指示を与えるコントロールパネル41とを有している。
ここで、各構成要素を具体的に説明する。診断用プローブ36aは、振動子素子が超音波探触子の長軸方向に1〜mチャンネル分配列される。ここで、短軸方向にもk個に切断されて1〜kチャンネル分配列されている場合、短軸方向の各振動子素子(1〜kチャンネル)に与える遅延時間を変えることにより、短軸方向にも送波や受波のフォーカスがかけられるようになっている。また、短軸方向の各振動子素子に与える超音波送信信号の振幅を変えることにより送波重み付けがかけられ、短軸方向の各振動子素子からの超音波受信信号の増幅度又は減衰度を変えることにより受波重み付けがかけられるようになっている。さらに、短軸方向のそれぞれの振動子素子をオン、オフすることにより、口径制御ができるようになっている。
なお、この診断用プローブ36aは、超音波送受信部43から供給される駆動信号に重畳して印加されるバイアス電圧の大きさに応じて超音波送受信感度つまり電気機械結合係数が変化する、例えばcMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)を適用できる。cMUTは、半導体微細加工プロセス(例えば、LPCVD:Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により製造される超微細容量型超音波振動子である。
超音波送受信部43は、診断用プローブ36aに送信信号を供給すると共に受信した反射エコー信号を処理するもので、その内部には、診断用プローブ36aを制御し超音波ビームの打ち出しをさせる送波回路と、この打ち出された超音波ビームの被検体内からの反射エコー信号を受信し生体情報を収集する受波回路と、これらを制御する制御回路とを有している。
超音波画像構成部44は、超音波送受信部43で処理した反射エコー信号を超音波断層像に変換するもので、順次入力される反射エコー信号に基づいて超音波画像を形成するデジタルスキャンコンバータと、超音波画像を記憶する磁気ディスク装置及びRAMとからなる記憶装置とから成り、超音波送受信部43で受信した反射エコー信号を信号処理し、2次元超音波画像や3次元超音波画像、各種ドプラ画像に画像化して出力する。
モニタ38は、超音波画像構成部44で作成された画像を、表示制御部を介して入力し超音波画像として表示するもので、例えばCRTモニタ、液晶モニタから成る。
そして、制御部42は、前記各構成要素の動作を制御するもので、ユーザインターフェース回路とのインターフェースを有する制御用コンピュータシステムより構成されている。この制御部42は、それに含まれるユーザインターフェース及び該ユーザインターフェースからの情報等から超音波送受信部43を制御する。また、超音波送受信部43で受信した生体情報を超音波画像構成部44に転送したり、超音波画像構成部44で画像化した情報を表示制御部に伝送したりといった制御を行う。
診断及び治療を行う際には、図5に示すように、集束超音波46の焦点が病変部位50に一致するように治療プローブ36を被検体24の体表面に接触させる。この状態で、超音波治療診断装置40により2次元又は3次元画像を撮像すると、集束超音波46の経路に沿った治療画像200が撮像される。病変部位50は、治療画像200においてターゲット領域203として撮像される。
次に図6に基づいて、本実施形態に係る治療支援システムに用いられる治療支援プログラムについて説明する。図6は、治療支援プログラムの構成を示すブロック図である。治療支援プログラムは、パーソナルコンピュータ19の図示しない記憶装置に格納され、パーソナルコンピュータ19に備えられた図示しないメモリにロードされてCPUにより実行されることにより、各プログラムとパーソナルコンピュータ19を構成するハードウェアとが協働してプログラムが備える機能を実現する。
治療支援プログラムは、被検体24の3次元ボリュームデータを取得する画像データ取得部19aと、3次元ボリュームデータに基づいて3次元ボリューム画像(以下「3D画像」という)を3次元再構成する画像再構成部19bと、被検体画像から病変部位が撮像された病変領域を含む特定領域を抽出する特定領域抽出部19cと、位置検出デバイス9からの位置情報に基づいて、治療プローブ36及び被検体24の実空間上の位置をもとめ、これをMRI装置1が使用可能な検出空間の座標系に変換し、更に検出空間の座標系を被検体の再構成画像上の座標系に変換して、被検体の再構成画像と治療プローブ36及び被検体24の実空間上の座標とを一致させる位置検出処理部19dと、術具の経路、特に本実施形態では、治療プローブ36の芯線の延長方向や先端位置を、位置検出デバイス9が求めたポインタ27の傾き等のパラメータに基づいて算出したり、実際の治療プローブの位置から集束超音波の予想経路を求めたり、また推奨される集束超音波の経路や治療プローブの位置を算出する経路算出部19eと、被検体の再構成画像に特定領域の位置や治療プローブ36の位置を重畳表示したナビゲーション画像を生成するナビゲーション画像生成部19fと、超音波診断治療装置40が音響放射圧の信号に基づいて集束超音波により組織変性が生じると推定した部位の位置を示す情報(以下「ARFI情報」という)を取得し、ARFI情報と位置検出処理部19dが算出した治療プローブ36の被検体画像における位置とに基づいて、被検体画像において組織変性が生じると推定した部位が撮像された治療予定領域の位置を算出する治療予定領域算出部19gと、特定領域から治療予定領域がはみ出している場合、及び治療予定領域が組織変性を禁止する禁忌領域と重複している場合に警告を行う警告部19iと、特定領域から治療済領域及び治療予定領域を差分して、残治療領域を算出する残治療領域算出部19jと、ナビゲーション画像や再構成画像をモニタ13、14、20へ表示制御する表示制御部19lと、治療経過情報を記憶するログ記憶部19mと、ログ記憶部19mの情報をもとにログ情報を再生表示するログ生成部19lと、禁忌領域の設定を行う禁忌領域設定部19nと、を備える。
本実施形態では、画像データ取得部19aは、MRI装置1から3次元ボリュームデータを取得し、画像再構成部19bが3D画像を再構成するが、予め撮像された3次元ボリュームデータを、ボリュームデータ記憶部19hに格納しておき、画像再構成部19bが記憶された3次元ボリュームデータの再構成処理を行ってもよい。この場合、画像データ取得部19aは必須ではない。また、本実施形態では、画像データ取得部19aは、超音波診断治療装置40から2次元のリアルタイム画像データも取得する。
次に、図7に基づいて、本実施形態に係る治療支援システムによる処理の流れを説明する。図7は、本実施形態に係る治療支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、被検体24の腹部内にある病変部位(例えば腫瘍)を、集束超音波により加熱治療を行う場合を例に挙げて説明する。
治療支援システム10により術前シミュレーションをするときには、モニタ20には、術前シミュレーション時の画面が表示される。図8に基づいて、術前シミュレーション時の画面例について説明する。図8は、手術前に表示される画面表示例を示す模式図である。画面80は、被検体24の画像が表示される画像表示領域81と、治療計画情報が表示される治療計画情報領域82と、操作ボタンが表示されるボタン領域83と、を含む。
ボタン領域83には、MRI装置1及び超音波診断治療装置40により被検体の3Dボリューム撮像を行うためのボタン「3DScan(MRI)」831及び「3DScan(US)」833と、MRI装置1及び超音波診断治療装置40により撮像された各3D画像のうち、病変部位が撮像された領域である特定領域を検出するためのボタン「特定領域描出(MRI)」832及び「特定領域描出(US)」834と、治療パラメータを入力するためのボタン「治療パラメータ入力」835と、HIFUによる治療計画を立てるためのボタン「HIFU治療計画(プローブ位置計算)」836と、が備えられる。以下、図7のフローチャートのステップ順に沿って説明する。
(ステップS1)
操作者が「3DScan(MRI)」831を押し下げると、MRI装置1は、被検体24の病変部位を含む腹部領域をMRI装置1により3次元ボリューム撮像(以下「3D撮像」という。)を行う。画像データ取得部19aが3次元ボリューム画像データ(以下「3Dデータ」という。)を読み込む。画像再構成部19bは、3Dデータの3次元再構成を行って、アキシャル画像810、サジタル画像811、コロナル画像812、ボリュームレンダリング画像813を生成する。これらMRI装置1により得られた3Dデータに基づく3D画像(以下「3D画像(MRI)」という。)は、画像表示領域81に表示される。同様に、操作者が「3DScan(US)」832を押し下げると、超音波診断治療装置40が、3D撮像を行い、画像データ取得部19aがその3Dデータを読み込む。画像再構成部19bは、超音波診断治療装置40により得られた3Dデータに基づく3D画像(以下「3D画像(US)」という。)を生成する(S1)。また、本実施形態では、リアルタイム画像として超音波診断治療装置40による超音波画像やMRI装置1によるフルオロスコピー撮像によるMRI画像も画像データ取得部19aに送信される。
(ステップS2)
操作者が「特定領域抽出(MRI)」832を押し下げると、特定領域抽出部19cは、画像再構成部19bが生成した3D画像(MRI)から、濃度値や形状を基に特定領域を抽出(臓器毎のセグメンテーション)を行う。特定領域の抽出は、特定領域抽出部19cによる自動抽出に代えて、モニタ20に表示されたアキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像、ボリュームレンダリング画像のいずれか上において、操作者が制御部23に備えられた図示しないマウスを用いて入力してもよい。同様に、操作者が「特定領域抽出(US)」834も押し下げて、3D画像(US)から特定領域を抽出(セグメンテーション)する(S2)。
また、ボリューム情報およびセグメンテーション情報は治療計画情報画面82にも表示される。治療計画情報画面82は、腫瘍領域(治療領域)823、それらを含むマージン領域822(以下腫瘍領域823マージン領域822とを含む領域を特定領域という。)を設定する画面821と治療情報を表示する領域824とを含む。画面821はxyzの3軸の方向を指定することで、別視点/角度からみた画面821へ切り替えることができる。更に、特定領域の設定は、MRI、超音波画像のそれぞれにおいても設定できる。実際の手術時には手術の経過を表示することができ、治療経過・生体情報の他にログとして腫瘍領域と治療領域の差も情報としてリアルタイム表示することができる。
(ステップS3)
操作者は「治療パラメータ入力」835を押し下げ、治療に必要なパラメータを入力する(S3)。治療に必要なパラメータとは、例えば、集束超音波の照射治療時間、治療インターバルタイム(集束超音波による加熱部位の冷却待機時間)などである。
(ステップS4)
操作者は、「HIFU治療計画(プローブ位置計算)」836を押下し、特定領域のうち、集束超音波の照射ターゲットとなる位置を指定する(S4)。
(ステップS5)
「HIFU治療計画(プローブ位置計算)」836の押下に応動して、位置検出処理部19dが、術具(本実施形態における治療プローブ36)とその初期位置の登録処理(レジストレーションという)を開始する。
位置検出処理部19dは、ポインタ27の実空間上のMRI装置1に対する相対的な座標を、基準ツール17を基準に算出する。
位置検出処理部19dは、位置検出デバイス9の各カメラ25、25の撮像した各画像中の基準ツール17のマーカ35の位置の変位より各マーカ35の、位置検出デバイス9に対して初期的に定義された検出空間上の座標を求める。そして、この各マーカ35の座標を基準に、検出空間の定義を、MRI装置1において定義されている検出空間に一致するよう修正する。すなわち、同じ実空間の座標に対応する、位置検出処理部19dの検出する検出空間上の座標と、MRI装置1が用いる検出空間上の座標とが一致するようにする。
次に、位置検出処理部19dは、位置検出デバイス9の各カメラ25、25の撮像した各画像中のポインタ27の位置の変位より各ポインタ27の検出空間上の座標や、ポインタ27先端の座標を算出する。また、本実施形態では、位置検出処理部19iにおいて、各マーカ27の検出空間上の座標よりポインタ27の指示方向、すなわちポインタ27の向きをも算出する。経路算出部19eは、ポインタ27の向きから集束超音波の中心軸(z軸)方向を算出して照射経路を求める。
次に、位置検出処理部19dは、被検体24上に置かれた被検体マーカ(腹部撮像の場合は例えば被検体の剣状突起上に位置させておく)を指示している状態に対して算出したポインタ27の先端の検出空間の座標より、ボリュームデータ記憶部19hに記憶されているボリュームデータの画像系の座標と検出空間上の座標との関係式、すなわち、検出空間上の現在の患者の剣状突起がある位置と、ボリュームデータ中において被検体24の剣状突起が写り込んだ位置(画像系の座標)と、を対応づける関係式を求め、これをレジストレーション結果として記憶する。より具体的には、たとえば、その時点でポインタ27の先端で指示している被検体マーカのボリュームデータ中の座標への、算出したポインタ27の先端の検出空間の座標の変換を行う、または、その逆の変換を行う座標変換式を求め、これをレジストレーション結果として記憶する。検出空間の座標は、モニタ20に表示される画像における画像上の座標に変換される。
被検体マーカの被検体24に対する位置が不変であれば、ステップS1において、MRI装置1とは異なる装置、例えばX線CT装置により被検体マーカを装着した被検体24を撮像してもよい。異なる装置で得た3次元ボリューム画像にも、被検体マーカが写り込んでいるため、ベッド21に載置した被検体24の被検体マーカをポインタ27の先端で指して位置を検出することにより、ベッド21に載置した被検体24の実空間座標と、X線CT装置で撮像したときに被検体24の実空間座標とが異なっていても、ベッド21に載置した被検体24の被検体マーカの実空間座標を検出空間上の座標に変換し、変換後の座標と3次元ボリューム画像に写り込んだ被検体マーカの画像上の座標とを一致させることができ、3次元ボリューム画像上にポインタ27から得られる画像を、画像上の座標を一致させて表示することができる。X線CT装置から得た3次元ボリューム画像を用いる場合には、特定領域抽出部19cは、CT値を基に、特定領域の自動抽出を行ってもよい。
また、被検体24にポインタを取り付けられない場合は、レーザを用いたサーフェススキャン法を用いてもよい。このサーフェススキャン法では、術前にレーザによるサーフェススキャンを行って被検体形状を取得・記録し、そのデータを基にレジストレーションを行い、手術中は随時レーザにより被検体形状を取得し続けることによりポインタ装着と同じ効果が得られる。これにより、被検体24の呼吸動・体動による位置ズレが生じた場合でも、レーザによるサーフェス再スキャンの結果に基づいて撮像断面を自動追従・補正することで、常に三次元空間と画像画素の位置関係を一定に保つことができる。
レジストレーションが終了すると、治療パラメータに応じて仮プローブ位置815および照射経路816の補正が行われる。ナビゲーション画像生成部19fは、再構成画像810、811、812、813内のターゲット814にマーキングを行い、再構成画像上に補正の結果に基づくプローブ位置815と照射経路816とを重畳表示する(S5)。以後、手術が終了するまで、位置検出処理部19dによる治療プローブ36の位置検出と、ナビゲーション画像生成部19fによるナビゲーション画像の更新表示を随時継続し、治療プローブ36の追従表示を行う。
(ステップS6)
術者は、被検体24の生体情報を取得するためのモニタ(同期ユニット)を装着し、生体情報(例:血圧・心拍数・発汗・体温等の異常上昇や意識の喪失)の術中モニタリングを開始する(S6)。
(ステップS7)
手術を開始する(S7)。手術開始に伴い、モニタには、手術・治療時における画面90が表示される。図9は、手術・治療時における画面の一例を示す模式図である。画面90は、リアルタイム画像を表示するリアルタイム画像領域91と、ナビゲーション画像を表示するナビ画像領域92と、各種ボタンが配列されるボタン領域93とを備える。
ボタン領域93には、「Planning」ボタン931、「生体情報」ボタン932、「超音波画像」ボタン933、「ナビゲーション画像」ボタン934、「MRI画像」ボタン935、「ARFI(治療予定領域)」ボタン936、「治療開始」ボタン937、「画像情報」ボタン938、及び「ログ」ボタン939が備えられる。
(ステップS8)
術者29が治療プローブ36の位置を移動させると、位置検出デバイス9及び位置検出処理部19dが治療プローブ36のリアルタイム位置を追従して検出し、ナビゲーション画像生成部19fが、ナビゲーション画像上に治療プローブ36の位置を重畳表示する(S8)。
(ステップS9)
術者29は、GUI及び数値情報を用いて治療プローブ36を目的位置へ誘導する(S9)。術者29は、ステップS8において治療プローブ36の位置を移動させた後、「Planning」ボタン931を押し下げると、経路算出部19eが手術経路(本実施形態では集束超音波の中心軸の経路)を算出(補正)する。補正されると、GUIで表示されている経路も修正表示される。また、「Planning」ボタン931の付加機能として、未(残)治療領域に対する治療の経路を算出する機能もあり、未(残)治療領域へのアプローチ経路を自動的に算出することもできる。
また、「生体情報」ボタン932を押し下げると、画面914内にステップS6以後、随時モニタリングして得られるリアルタイムの被検体24の情報、例えば、脈、呼吸、血圧情報等の患者情報や、手術経過時間及び治療経過情報が表示される。更に、画面914には、手術に関するリアルタイム情報、例えば術具種類、術具の状態(使用中/停止等)情報、治療割合(%)、加熱治療に伴う治療部位の拡張(膨張)率が表示される。画面914は、図9ではリアルタイム画像領域91に表示したが、表示箇所はこれに限らず、適宜変更可能である。また生体情報の表示は、本ステップに限らず、随時「生体情報」ボタン932を押し下げることにより行うことができる。
(ステップS10)
治療プローブ36の誘導後、術者29は、超音波画像(血流画像やエラストグラフィ等)やMRI画像にてターゲット915、925の位置を確認する(S10)。
「超音波画像」ボタン933を押し下げると、超音波診断治療装置40が撮像した超音波画像911、912が表示される。超音波画像911は、治療前の特定領域を撮像した超音波画像であり、超音波画像912は、治療中(リアルタイム)の特定領域を撮像した超音波画像である。
「ナビゲーション画像」934を押し下げると、術前に撮像した3D画像(MRI)、すなわちアキシャル像921、サジタル像922、コロナル像923、ボリュームレンダリング像924を用いたナビゲーション画像が表示される。また、ナビゲーション画像には、治療プローブ36の位置940と、ターゲット925と、その周囲に設けられたマージン領域926、及び集束超音波により組織変性を生じると推定される領域からなる治療予定領域928が重畳表示される。マージン領域926からはみ出した治療予定領域928は、負荷領域929として警告表示される。
なお、ナビ画像領域92に表示される3軸断面画像の中心は、一般的には、ステップS4で指定された治療領域に設定されているが、治療プローブ36の現在位置に応じた特定領域を再構成して表示させることも可能である。
また、MRI内部で治療を行う場合には、「MRI画像」ボタン935が適用される。「MRI画像」ボタン935を押下することで超音波断面画像911、912と同断面をMRI装置1にて撮像することができ、そのMRI画像913は、別画面に示される。MRI画像913上には特定領域915、マージン領域916が表示される。MRI画像913の長所としては、身体の深部まで画像化できることが挙げられる。これより、術者は今後の治療領域を目視して術具の移動と追加治療を行うことができる。治療前後の情報は超音波画像911、912、3軸断面921〜923、及びボリュームレンダリング画像924の他に、数値データとして表示することもできる。
(ステップS11)
ARFIによる三次元治療予定領域を算出し、治療予定領域を表示する(S12)。治療直前に術者29が「ARFI(治療予定領域)」ボタン936を押下することで、集束超音波により加熱される部位が撮像された治療予定領域918が描出される。ARFIによる治療予定領域918の位置は、超音波診断治療装置40が算出して超音波画像911、912に重畳表示する。また、治療予定領域918の位置を示すARFI情報は、超音波診断治療装置40から治療予定領域算出部19gに送られる。そして、ナビゲーション画像生成部19fが、治療予定領域928としてアキシャル像921、サジタル像922、コロナル像923、ボリュームレンダリング像924上に重畳表示する。また、治療予定領域算出部19gは、リアルタイムに撮像されたMRI画像913上にも治療予定領域918を重畳表示する。
治療予定領域918、928のうちマージン領域916、926からはみ出した領域は、正常組織への負荷領域919、929である。そこで、警告部19iは、マージン領域と治療予定領域との広狭を比較し、負荷領域919、929を別色表示することにより、術者29に警告表示する。
図10に基づいて、集束超音波装置を用いた治療予定領域の表示処理を説明する。図10は、集束超音波装置を用いた治療予定領域の表示処理を示す模式図である。集束超音波を照射する治療プローブ36は、ある1点、焦点100に集束するように超音波101が照射される。ここで、ARFIによる焦点可視化を行うことで理想的な焼灼領域(焦点100に相当)に対して、生体組織内の実際の影響領域102が算出される。影響領域102の位置の三次元計測処理103を行うことで、立体的な治療予定領域104を算出することができる。図10では、略三角錐状の治療予定領域104が算出されたが、治療予定領域104の形状は、生体組織内の熱伝導率の分布状況や、集束超音波の進行方向に応じて変化する。
(ステップS12)
術者29は、ARFI実施による治療予定領域918、928および負荷領域919、929の位置をGUI上で視認し、正常組織への負荷の有無を確認する。負荷領域919、929があればステップS13へ、なければステップ14へ進む。
(ステップS13)
負荷領域919、929がある場合には、治療予定領域918、928をGUI上に三次元表示するだけでなく、警告部19iが術者29に対して正常組織に対してダメージを与える可能性の警告を発して判断を促す(S13)。また、経路算出部19eが新しい治療経路(治療計画)を再算出して、ナビゲーション画像上に矢印941を重畳表示して術者29に再提案してもよい。
図11に基づいて、ARFIを用いた術前における治療予定領域の算出及び警告処理について説明する。図11は、ARFIを用いた術前における治療予定領域の算出及び警告処理を示す説明図である。被検体24内における病変部位(腫瘍組織)110に対する超音波治療において、必ずしも理想的な治療領域100(図11(a)参照)が得られるとは限らない。そこで、ARFIを併用することで生体組織の状態に応じた治療予定領域102を求める(図11(b)参照)。ここで、病変部位110に対してマージン領域111を予め設定しておく。警告部19iは、マージン領域111と治療予定領域102との広狭を判断し、マージン領域111を超える治療予定領域102が存在する場合には、その領域を負荷領域112とする。そして、負荷領域112の表示色をマージン領域111に含まれる治療予定領域102と異なる色を用いて表示し、GUI上に表示して術者29に提示する(図11(c)参照)。
また、予め集束超音波による加熱を禁止する禁忌領域113を設定しておき、万一、治療予定領域102が禁忌領域113と重複した場合、警告部19iがより強く警告を行うようにしてもよい(図11(d)参照)。図11(d)では、治療予定領域102と禁忌領域113との重複領域を領域114で示す。これにより、特定領域の周囲に組織変性を禁止する部位がある場合に、その部位への加熱を抑止し、より安全性を向上させることができる。禁忌領域113の設定は、GUI上のナビゲーション画像や、超音波画像、MRI画像上で術者29が予めマウスなどで入力し、禁忌領域設定部19nがその位置を禁忌領域として設定する。また、禁忌領域設定部19nが、重要な血管や隣接する臓器などを禁忌領域として提案表示し、術者29が承認をすることで禁忌領域の設定を行うようにしてもよい。
また、図8及び図9のGUIでは、治療予定領域を輪郭線を用いて描出しているが、治療予定領域を集束超音波の焦点からの距離や、予想される温度変化に応じた輝度(画素値)を用いて描出してもよい。この場合、一般には、集束超音波の焦点に近いほど温度が上昇するため、輝度が明るくなるように描出する。治療予定領域に用いる輝度は、通常の生体組織では見られない輝度を用いることにより、治療予定領域とそうではない領域とを区別することができる。輪郭線ではなく輝度を用いて治療予定領域を描出することにより、治療予定領域の境界が明瞭でない場合にも、輝度を段階的に変化させることでより、実際の治療予定領域を提示することができる。
本ステップの終了後、ステップS18へ進む。
(ステップS14)
治療予定領域918、928がマージン領域916、926の範囲内(即ち、負荷領域919、929が存在しない)であれば、生体モニタに同期して治療を開始する(S14)。例えば、ステップS3の治療パラメータ入力処理で、呼気時に1秒間を5回治療と設定すれば、患者の呼気に合わせて5回治療が行われることになる。
術者29が、「治療開始」ボタン937を押し下げると、それに連動して「画像情報」ボタン938、「ログ」ボタン939がONとなるが、必要に応じて手動でOFFとすることもできる。この機能により、治療前情報と治療中およびその差分情報(治療経過情報、残治療領域等)が画像情報として表示される。「画像情報」ボタン938を押し下げることで、この差分情報を見ることができる。「ログ情報」ボタン939を押し下げると、ログ生成部19lは、治療経過を記録したログ記憶部19mからログ情報、すなわち、過去に行った治療経過情報を読み出して再生表示する。ログ情報は、治療内容を見直すために使用される。
(ステップS15)
術者29は、治療効果を、リアルタイム画像である超音波画像811、812またはMRI画像813にて確認する(S15)。
(ステップS16)
術者29は、追加治療を行うか否かを判断する(S16)。
(ステップS17)
術者29が「画像情報」ボタン938を押し下げると、残治療領域算出部19jは、マージン916、926から治療予定領域918、928及び治療済領域の差分処理を行い、残治療領域を算出する。ナビゲーション画像生成部19fは、3軸断面821〜823、及びボリュームレンダリング画像824に、算出された残治療領域を重畳表示する(S17)。
(ステップS18)
術者29は、残治療領域を次のターゲットとし、治療プローブ36の位置を移動する。そして、再度「Planning」ボタン931を押し下げて集束超音波の経路を計算し、再シミュレーションを行う。再シミュレーション結果が良好であれば、ステップS10に戻り、ターゲット位置の確認を行い、ステップS11以後の処理を行う(S18)。これを治療が終了するまで繰り返す。
本実施形態に係る手術支援システムによれば、治療用超音波装置を用いた手術において、直前に算出した治療予定領域を用いて治療計画を行い手術に反映することで、誤治療による正常組織の変性という副作用を低減することができる。
上記実施形態では、MRI装置と超音波診断治療装置とを備えた手術支援システムを例に挙げたが、MRI装置に代えて、X線装置、X線CT装置、MRI装置、超音波装置等の医用画像撮像装置を用いてもよい。また、治療装置として超音波診断治療装置を用いたが、穿刺針を用いた温熱治療装置にも適用できる。さらに、上記では加熱治療を例に挙げたが、凍結治療時の冷却に伴う組織変性についても本実施形態に係る手術支援システムを適用できる。更に、本発明は術者の手技による治療の他、ロボット/マニピュレータを用いた間接的な手術の何れにも適用可能である。
1:MRI装置、3:上部磁石、5:下部磁石、7:支柱、9:位置検出デバイス、10:治療支援システム、11:アーム、13:モニタ、15:モニタ支持部、17:基準ツール、19:パーソナルコンピュータ、20:モニタ、21:ベッド、23:制御部、24:被検体、25:赤外線カメラ、27:ポインタ、29:操作者、32:開口部、33:ケーブル、34:映像記録装置、35:反射球、36:治療プローブ、41:同期(時相)計測装置

Claims (6)

  1. 医用画像撮像装置により被検体内部の病変部位を撮像して得られた被検体画像において、前記病変部位が撮像された病変領域を含む特定領域を設定する特定領域設定手段と、
    音響放射圧及び集束超音波を照射するプローブの位置を検出する位置検出手段と、
    前記音響放射圧による信号に基づいて、前記集束超音波により前記被検体の組織変性が生じると推定される部位の位置情報を取得する情報取得手段と、
    前記プローブの位置と、前組織変性が生じると推定される部位の位置情報と、に基づいて、前記被検体画像において前記組織変性が生じると推定される部位が撮像された治療予定領域を算出する治療予定領域算出手段と、
    前記治療予定領域が前記特定領域からはみだしている場合に警告を行う警告手段と、
    を備えたことを特徴とする治療支援装置。
  2. 前記被検体画像上に前記治療予定領域と前記特定領域とを重畳表示する表示手段を更に備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の治療支援装置。
  3. 前記表示手段は、前記治療予定領域の境界線を前記被検体画像上に重畳表示する、又は前記表示手段は、前記治療予定領域を組織変性の程度に応じた輝度を用いて前記被検体画像上に重畳表示する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の治療支援装置。
  4. 前記被検体画像において、前記集束超音波による組織変性を禁止する部位が撮像された領域である禁忌領域を設定する禁忌領域設定手段を更に備え、
    前記警告手段は、前記治療予定領域が前記禁忌領域と重複している場合に、更に警告を行う、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の治療支援装置。
  5. 前記特定領域は、前記病変領域と、前記病変部位の周囲に位置する正常部位であって、前記集束超音波による組織変性を許容するマージン部位が撮像されたマージン領域と、を含んで設定される、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の治療支援装置。
  6. 被検体を撮像する医用画像撮像装置と、
    音響放射圧及び集束超音波を照射するプローブを備えた超音波診断治療装置と、
    前記医用画像撮像装置により被検体内部の病変部位を撮像して得られた被検体画像において、前記病変部位が撮像された病変領域を含む特定領域を設定する特定領域設定手段と、
    前記プローブの位置を検出する位置検出手段と、
    前記超音波診断治療装置が、前記プローブから照射される音響放射圧による信号に基づいて前記被検体の組織変性が生じると推定した部位の位置情報を取得する情報取得手段と、
    前記プローブの位置と前組織変性が生じると推定した部位の位置情報と、に基づいて、前記被検体画像において前記組織変性が生じると推定された部位が撮像された治療予定領域を算出する治療予定領域算出手段と、
    前記治療予定領域が前記特定領域からはみだしている場合に警告を行う警告手段と、
    を備えたことを特徴とする治療支援システム。
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