本発明の治療システムは、以下で詳細に説明するが、画像診断装置と超音波診断装置と治療装置とを備えて構成されている。治療装置での被検者に対する治療位置は、以下で説明する第一の実施形態及び第二の実施形態の場合、第一の治療計画部位に基づいて決定した第二の治療計画部位の情報を取り込んで治療位置を確定するようになっている。また、以下で説明する第三の実施形態の場合では、第一の治療計画部位及び第二の治療計画部位の双方の情報を取り込んで治療位置を確定するようになっている。
上記第一の治療計画部位は、画像診断装置で撮像されたマルチスライス画像のボリュームデータから断層像データを抽出してなるリファレンス画像に基づいて指定した部位であり、第二の治療計画部位は、超音波診断装置の超音波探触子により獲得した超音波画像に基づいて指定した部位であるものとする。
治療装置は、超音波治療装置、放射線治療装置、ハイパーサーミア治療装置のいずれかが好適であるものとし、第一の実施形態及び第二の実施形態では超音波治療装置を例に、第三の実施形態では放射線治療装置を例に挙げて説明する。
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の治療システム(超音波治療システム)の第一の実施形態を示す構成図である。
図1において、第一の実施形態における本発明の治療システム(超音波治療システム)1は、その主要部として、画像診断装置2と、超音波診断装置3と、超音波治療装置4とを備えて構成されている。また、治療システム1は、治療プローブ5と、モニタ6とを備えて構成されている。以下、各構成について説明する。
上記画像診断装置2は、本形態において、超音波画像のリファレンス画像となるボリュームデータを取得するための装置であって、特に限定するものではないが、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)や磁気共鳴撮影装置(MRI装置)などが適用されている。CT画像やMRI画像は、周知の如く超音波画像よりも高画質であることから、画質が劣る超音波画像のリファレンス画像として適している。画像診断装置2は周知構成の装置であるものとし、ここでは詳細な説明を省略する。
画像診断装置2と超音波診断装置3は、例えばネットワークを介して接続されている。画像診断装置2は、ネットワークを介してリファレンス画像となるボリュームデータを超音波診断装置3へ転送することができるように構成されている。言い換えれば、超音波診断装置3は、ボリュームデータを画像診断装置2から転送することができるように構成されている。ボリュームデータの転送は、上記ネットワークに限らず、例えば、可搬性記憶媒体を用いるようにしても当然によいものとする。
上記超音波診断装置3は、受波整相回路7と、超音波画像記憶部8と、加算器9と、ボリュームデータ記憶部10と、スキャン面座標算出部11と、スキャン面座標記憶部12と、リファレンス画像算出部13とを備えて構成されている。また、超音波診断装置3は、治療プローブ5に含まれる診断用の超音波探触子14を備えて構成されている。
尚、超音波診断装置3に備えられる一般的な機能についてはその図示が省略されているものとする。すなわち、図1には、超音波診断装置3の主要部の機能のみが示されているものとする(超音波治療装置4及び治療プローブ5も同様に主要部の機能のみが図示されているものとする)。
受波整相回路7は、治療プローブ5の超音波探触子14に接続されている。受波整相回路7は、超音波探触子14により被検者の生体内から受信した超音波の受信信号の位相を調整して生体内の所望部位からの受信信号を強調した信号に変換するように構成されている。受波整相回路7からは、上記強調した受信信号が出力されるようになっている。受波整相回路7から出力された後、上記強調した受信信号に基づいて診断画像(超音波画像)が生成されるようになっており、その生成された診断画像は、超音波画像記憶部8に記憶されるようになっている。診断画像は、超音波画像記憶部8に記憶された後、加算器9に送られ、その加算器9によりリファレンス画像とともにモニタ6に出力表示されるようになっている(図3参照)。
ボリュームデータ記憶部10は、画像診断装置2で得られたリファレンス画像となるボリュームデータをネットワークや可搬性記憶媒体を経由して、超音波診断装置3内に記憶しておくための記憶手段として備えられている。ボリュームデータ記憶部10は、書き換え可能なメモリを有しており、ボリュームデータに対する記憶領域や各種の情報記憶領域を備えている。ボリュームデータ記憶部10には、ボリュームデータの他に、治療済みの部位に関する情報、すなわち、超音波照射済み座標情報も記憶されている(超音波照射済み座標情報については後述する)。
スキャン面座標算出部11は、後述する位置センサ16により検出された治療プローブ5の位置及び傾き情報から、被検者に対する超音波スキャン面の位置及び傾きを算出し、これに基づいてリファレンス画像となるボリュームデータに対するスキャン面の位置及び傾き情報を算出することができるように構成されている。スキャン面座標算出部11は、スキャン面の例えば一隅のx、y、z座標データ及びスキャン面のx、y、z軸周りの回転角度からなるスキャン面座標データを算出するために備えられている。
スキャン面座標記憶部12は、スキャン面座標算出部11で算出されたスキャン面座標データを入力して記憶することができるように構成されている。スキャン面座標記憶部12は、リファレンス画像算出部13に接続されている。そのリファレンス画像算出部13は、スキャン面座標記憶部12を介してスキャン面座標データを入力するとともに、超音波スキャン面と同一断面のリファレンス画像を、ボリュームデータ記憶部10に記憶してあるボリュームデータから再構成することができるように構成されている。
上記治療プローブ5は、超音波探触子14と、超音波振動子15とを備えて構成されている。また、このような治療プローブ5の所定位置には、位置センサ16が取り付けられている。超音波探触子14は、診断用超音波を送受信することができるように構成されている。また、超音波探触子14は、周知の超音波診断装置に用いられるものと同様、例えば、コンベックス型のように複数の診断用振動子素子が一列に配列されて構成されている。超音波振動子15は、治療用超音波を送信することができるように構成されている。また、超音波振動子15は、複数の治療用振動子素子からなり、超音波探触子14と一体になるように構成されている。
位置センサ16は、超音波探触子14の三次元的な位置及び傾きを検出するために治療プローブ5に取り付けられている。位置センサ16は、超音波探触子14が被検者のどの部位に位置しているかを知るための情報を得るために設けられている。位置センサ16は、位置及び傾きを検出するために、例えば、図示していないソースから三次元空間に発生する磁気信号を検知する磁気センサ等を備えて構成されている。位置センサ16は、磁気センサを備えることから、三次元的な位置及び傾きを検出することができる機能を有している。尚、位置センサ16は磁石式に限らず、例えば、光を利用したものなど、周知の位置センサを用いることができるものとする(背景技術の欄で挙げた特許文献1の特開平10−151131号公報にも位置センサについての記載がある)。
上記超音波治療装置4は、操作器17と、治療部位制御部18と、治療用パルス発生回路19と、治療用超音波遅延回路20と、増幅器21とを備えて構成されている。操作器17は、モニタ6に出力表示されたリファレンス画像及び超音波画像に基づいて治療部位などの諸条件を指示するために備えられている。操作器17は、特に限定するものではないが、キーボードやマウスやトラックボール等の諸条件指示に好適なもので構成されている。
治療部位制御部18は、超音波治療装置4の各種制御、例えば治療用超音波ビームの焦点位置制御等を行えるように構成されている。治療部位制御部18は、マイクロコンピュータの機能を有している。治療用パルス発生回路19は、治療部位制御部18からの制御により治療用の超音波振動子15を駆動させる信号である治療用超音波駆動パルス(以下、治療用パルスと略記する)をそれぞれの超音波振動子15に供給することができるように構成されている。治療用超音波遅延回路20は、治療部位制御部18からの制御によりそれぞれの超音波振動子15に供給する治療用パルスの位相を調整し、超音波振動子15から照射される治療用超音波ビームの焦点位置を制御することができるように構成されている。
治療部位制御部18により設定された治療用超音波ビームの焦点位置は、超音波画像記憶部8及びボリュームデータ記憶部10に記憶されるようになっている。尚、記憶された焦点位置の情報は、超音波照射済み座標情報として用いられるようになっている。
超音波振動子15には、治療用パルス発生回路19で発生した治療用パルスが治療用超音波遅延回路20及び増幅器21を介して供給されるようになっている。つまり、治療用パルスは、治療用超音波遅延回路20において超音波振動子15のために遅延制御されるとともに、増幅器21によって高エネルギーの治療用パルスに変換されて各超音波振動子15に供給されるようになっている。
次に、上記構成の治療システム(超音波治療システム)1に基づき、超音波治療を行う場合の動作について説明する。治療システム1は、例えば、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置2を用いて予め撮像した被検者患部のボリュームデータから治療部位を設定する治療計画モードと、その治療計画モードで設定された治療部位断面、及び治療を行う治療プローブ5で得られた超音波診断画像により、治療用超音波を照射して治療部位の細胞を壊死させて、実際の治療を行う治療モードとを有している。
操作者は、先ず、治療計画モードを実行する。図2は治療計画モードのフローチャートを示している。治療計画モードとして、ステップS1では初期設定を行う。初期設定は、治療計画で用いる画像を取得する範囲を決める他、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置2の画像取得パラメータを設定する。ステップS2では、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置2を用いて被検者の三次元ボリュームデータを取得する。ステップS2で三次元の画像データを取得した後、ステップS3では、治療部位の設定を行う。これは、取得したボリュームデータを見ながら被検者の患部を診断し、治療を要する部位、すなわち焼灼範囲を設定してボリュームデータ上にマーキングすることを行う。マーキングで囲まれた部位は、後にリファレンス画像として表示された際に治療計画部位を示すものとなる。ステップS4では、マーキングした部分をボリュームデータに重ねて表示させ、治療部位が正しく設定されたか否かを確認する。以上のデータは、その後、超音波診断装置3のボリュームデータ記憶部10に転送され、そしてボリュームデータ記憶部10の所定記憶領域に記憶される。
治療モードについて説明する。治療プローブ5を被検者の体表面に接触させて、又は術中に開腹した状態の臓器表面に接触させて、生体内の患部に向け診断用超音波ビームを照射する。診断用超音波ビームを照射した領域から反射される診断用超音波の反射エコーは、治療プローブ5の超音波探触子14により受信される。その受信信号は、受波整相回路7において診断用超音波ビーム毎に整相処理され、さらに、断層面の二次元の診断画像が生成され、そして、超音波画像記憶部8に入力される。また、位置センサ16は、超音波送受信と同期して治療プローブ5の位置に応じたスキャン面座標データをスキャン面座標算出部11にて算出し、その算出したスキャン面座標データをスキャン面座標記憶部12へ逐次記憶する。また、スキャン面座標記憶部12からスキャン面座標データを読み込み、リファレンス画像算出部13にて、超音波画像と、予め画像診断装置2にて撮像しデータを記憶したボリュームデータ記憶部10から再構成することにより得られる同一断面のリファレンス画像とを生成する。生成されたリファレンス画像は、加算器9に送られ、超音波画像とともに同時にモニタ6に出力表示される(図3参照)。この時、治療計画モードでマーキングした焼灼範囲や、既に照射を行った箇所も同時にリファレンス画像、或いはリファレンス画像と超音波画像の双方に重畳するような状態で表示される(治療済み部位を表示することにより、再度治療を行ってしまうことや、治療もれを防止する)。
このようにして操作者は、治療プローブ5を動かし、モニタ6に表示されたリファレンス画像で、治療計画モードにより照射箇所を設定した箇所がリファレンス画像上に現れると、治療プローブ5をその位置で保持して治療を実行する。図3において、引用符号22は臓器、23は治療計画部位を示しているものとする。
上記治療モードについて図4を参照しながら説明する。図4は治療モードのフローチャートを示している。操作者は、診断モードにより診断画像をリアルタイムでリファレンス画像と超音波画像をモニタ6に表示し、既に設定してある治療計画部位を示すマーキングを探す。マーキングが表示されたリファレンス画像に現れると治療モードを開始する。
ステップS11では、初期設定を行う。その初期設定は、例えば、治療用超音波の強度、モニタ6上に表示される照射済みマークの大きさなどを設定する。照射済みマークは、治療用超音波を照射した時に、治療用超音波が照射された焦点位置に表示されるマークであって、その大きさは、治療用超音波を照射した際に、治療用超音波が照射された生体内の細胞が、一回の照射で凝固壊死を起こす体積などに合わせて例えば決定されている。照射済みマークは、上記超音波照射済み座標情報を基にして作成されている。
ステップS12では、モニタ6上の診断画像を見ながら治療計画部位の設定を行う。つまり、治療用超音波の焦点位置をセットする。治療計画部位の設定は、例えば、操作者がマウスなどを操作して、モニタ6の画面上でポインタなどを超音波画像の所望の位置まで移動して行う。尚、この時、治療計画モードで設定された箇所以外に治療計画部位をセットしようとすると、警告が発せられるようにシステム構成をしても良いものとする。
ステップS13では、ステップS12でセットした治療用超音波の焦点位置が治療計画モードで設定した焦点域内に入っているか否かを判断する。焦点域内に入ってない場合には(ステップS13でno)、ステップS14に移行して警告を発生し(術者の負担軽減及び患者の安全性向上)、再びステップS12からの処理を実行する。尚、警告を発生するだけでステップS15へ移行しても良いものとする。ステップS13で焦点域内に入っている場合には(ステップS13でyes)、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、超音波画像記憶部8に記憶されている超音波画像に基づいて、セットされた診断画像上での治療計画部位の座標を計算し、治療部位を確定する。治療計画部位の座標計算は、上記ポインタの移動とともに同時に計算し、算出しておくことも可能である。さらに、セットされた治療計画部位の座標から、治療用超音波の焦点位置を計算し、超音波振動子15に供給する治療用パルスに対し、各超音波振動子15に供給する治療用パルスの遅延時間を求め、治療用超音波遅延回路20に指令を送信し、フォーカス処理を行うことも可能である。
ステップS16では、治療用超音波の照射を行う。これは、治療用超音波の照射命令を治療用パルス発生回路19に送信し、治療用パルス発生回路19は、超音波振動子15を駆動させる治療用パルスを治療用超音波遅延回路20に送信して行う。治療用超音波遅延回路20は、治療用パルス発生回路19から出力される治療用パルスに基づいて、各超音波振動子15に供給する治療用パルスを遅延時間に従って順次出力する。治療用パルスは、治療用超音波遅延回路20で電子フォーカスされて超音波振動子15に送信され、超音波振動子15は、治療用超音波遅延回路20で遅延処理された治療用パルスにより振動する。これにより治療用超音波が照射される。この時、治療部位に同時刻に治療用超音波が到達するように各超音波振動子15からの治療用超音波の射出タイミングが制御される。
超音波振動子15から射出される治療用超音波は、焦点位置、すなわちステップS12でセットした治療計画部位、言い換えれば、ステップS15で確定した治療部位に集束する。治療部位には、強力な超音波エネルギーが与えられ、その治療部位は、治療用超音波で加熱され焼灼される。これにより、病変部位が治療される。
ステップS17では、超音波照射済み座標情報をボリュームデータ記憶部10へ転送し記憶させる処理を行う。そして、ステップS18では、治療モードを続行するか終了するかの判断を行う。治療が終了ならば(ステップS18でyes)治療モードを終了し、治療が終了していなければ(ステップS18でno)再びステップS12からの処理を実行する。
以上説明したように、本発明の治療システム(超音波治療システム)1では、リファレンス画像や超音波画像を基にして被検者の治療位置に係る治療計画を緻密に策定し、これを超音波治療装置4に反映させて正確な治療を行えるように構成されている。
続いて、図5ないし図8を参照しながら本発明の第二の実施形態を説明する。図5は本発明の治療システムの第二の実施形態を示す構成図である。尚、上述の第一の実施形態と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して説明を省略するものとする。
図5において、第二の実施形態における本発明の治療システム(超音波治療システム)31は、その主要部として、画像診断装置2と、超音波診断装置32と、超音波治療装置4とを備えて構成されている。また、治療システム31は、治療プローブ5と、モニタ6とを備えて構成されている。治療システム31は、後述するが、特に動脈に対して超音波を照射し塞栓を起こすことで、その動脈に依存している病変部組織を治療することができるように構成されている。
上記画像診断装置2と超音波診断装置32は、例えばネットワークを介して接続されている。画像診断装置2は、ネットワークを介してリファレンス画像となるボリュームデータを超音波診断装置32へ転送することができるように構成されている。言い換えれば、超音波診断装置32は、ボリュームデータを画像診断装置2から転送することができるように構成されている。ボリュームデータの転送は、上記ネットワークに限らず、例えば、可搬性記憶媒体を用いるようにしても当然によいものとする。ボリュームデータの他には、血管位置座標データ(後述する)等が例えば転送されるようになっている(一例であるものとする)。
上記超音波診断装置32は、受波整相回路7と、血流速度検出回路33と、超音波画像記憶部8と、加算器9と、ボリュームデータ記憶部10と、スキャン面座標算出部11と、スキャン面座標記憶部12と、リファレンス画像算出部13とを備えて構成されている。また、超音波診断装置32は、治療プローブ5に含まれる診断用の超音波探触子14を備えて構成されている。超音波診断装置32は、第一の実施形態の超音波診断装置3に対して血流速度検出回路33を追加するとともに、これを制御する構成のものとなっている。
尚、超音波診断装置32に備えられる一般的な機能についてはその図示が省略されているものとする。すなわち、図5には、超音波診断装置32の主要部の機能のみが示されているものとする。
血流速度検出回路33は、超音波探触子14及び超音波画像記憶部8の間に介在する受波整相回路7に接続されている。血流速度検出回路33は、受波整相回路7から出力される受信信号(超音波探触子14により被検者の生体内から受信した超音波の受信信号の位相を調整して生体内の所望部位からの受信信号を強調した信号)を入力することができるように構成されている。血流速度検出回路33は、ある特定の箇所の血流速度を求めたり、血流速度分布を演算したりすることができるような回路として構成されている。ある特定の箇所の血流速度を求める回路としては、いわゆるパルスドプラ回路が挙げられる。また、血流速度分布を演算する回路としては、いわゆるカラーフローマッピング回路が挙げられる。血流速度検出回路33からの出力情報は、超音波画像記憶部8に入力するようになっている。超音波画像記憶部8においては、血流速度検出回路33からの出力情報が診断画像に重畳されて、この状態で記憶されるようになっている。
リファレンス画像算出部13は、スキャン面座標記憶部12を介してスキャン面座標データを入力するとともに、超音波スキャン面と同一断面のリファレンス画像を、ボリュームデータ記憶部10に記憶してあるボリュームデータ(ここでは血管位置座標データに基づくものとする)から再構成することができるように構成されている。
上記構成の治療システム(超音波治療システム)31に基づき、超音波治療を行う場合の動作について説明する。治療システム31は、例えば、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置2を用いて予め撮像した被検者患部のボリュームデータから血管の走行状態を抽出し、効果的な治療を行うために、組織との関係から塞栓する血管を設定する(治療部位を設定する)治療計画モードと、その治療計画モードで設定された血管へ治療用超音波を照射して血管を塞栓する治療モードとを有している。
操作者は、先ず、治療計画モードを実行する。図6は治療計画モードのフローチャートを示している。特にステップとして示してないが、最初に治療計画モードとして初期設定を行う。初期設定は、治療計画で用いる画像を取得する範囲を決める他、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置2の画像取得パラメータを設定する。このような初期設定終了後、ステップS21では、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置2を用いて被検者の三次元ボリュームデータを取得する。三次元ボリュームデータの取得の際は、例えば造影剤を用いた方法により血管を強調した画像として取得することが好ましいものとする。ステップS21で三次元ボリュームデータを取得した後、ステップS22では、取得した三次元ボリュームデータから血管の走行状態を抽出する。
ここで、血管の走行状態の抽出は、手動又は自動のいずれかの方法で行うものとする。自動的に血管の走行状態を抽出する方法としては、例えば特開平8−89501号公報に開示された方法(画像データから血管を追跡する方法)が一例として挙げられるものとする。尚、ステップS22は、画像診断装置2で処理する他に超音波診断装置32側でも処理することができるものとする。ステップS22は、画像診断装置2又は超音波診断装置32のいずれかで処理できるものとする。
ステップS23では、ステップS21で取得した三次元ボリュームデータ及びステップS22で取得した血管データ(ステップS22で抽出した血管の走行状態のデータや血管位置座標データ等)を超音波診断装置3のボリュームデータ記憶部10に転送する。ステップS24では、転送されてボリュームデータ記憶部10の所定記憶領域に記憶されたデータに基づいて治療計画部位の設定を行う。これは、血管を含んだ生体組織のリファレンス画像をモニタ6上に表示しながら強力超音波を照射する箇所を血管上にマーキング等で設定する処理である。尚、モニタ6上に、後述するステップS38の処理で行う照射処理済み座標に基づく照射済み箇所を含めて表示することができるものとする。
ステップS25では、照射箇所として設定した血管位置に基づいて照射箇所の下流域を算出する。これは、血管によって栄養されている箇所を確認するとともに、治療効果を確認するための処理である(栄養されている箇所の上流に治療計画部位が設定されていれば、治療効果が得られると考える)。尚、治療効果シミュレーションとして、設定した照射箇所から自動的にその血管の下流側を表示させて、治療効果を確認する機能を設けても良いものとする。ステップS25の処理は任意であり、治療計画モードに含めなくとも良いものとする。以上により治療計画モードが終了する。
治療モードについて説明する。治療プローブ5を被検者の体表面に接触させて、又は術中に開腹した状態の臓器表面に接触させて、生体内の患部に向け診断用超音波ビームを照射する。診断用超音波ビームを照射した領域から反射される診断用超音波の反射エコーは、治療プローブ5の超音波探触子14により受信される。その受信信号は、受波整相回路7において診断用超音波ビーム毎に整相処理され、さらに、断層面の二次元の診断画像が生成され、そして、超音波画像記憶部8に入力される。
また、位置センサ16は、超音波送受信と同期して治療プローブ5の位置に応じたスキャン面座標データをスキャン面座標算出部11にて算出し、その算出したスキャン面座標データをスキャン面座標記憶部12へ逐次記憶する。また、スキャン面座標記憶部12からスキャン面座標データを読み込み、リファレンス画像算出部13にて、超音波画像と、予め画像診断装置2にて撮像しデータを記憶したボリュームデータ記憶部10から再構成することにより得られる同一断面のリファレンス画像とを生成する。
生成されたリファレンス画像は、加算器9に送られ、超音波画像とともに同時にモニタ6に出力表示される(図7参照)。モニタ6には、リアルタイム超音波画像とリファレンス画像とが表示される。この時、治療計画モードで設定した照射箇所や、既に照射を行った箇所も同時にリファレンス画像、或いはリファレンス画像と超音波画像の双方に重畳するような状態で表示される(治療済み箇所を表示することにより、再度治療を行ってしまうことや、治療もれを防止する)。
このようにして操作者は、治療プローブ5を動かし、モニタ6に表示されたリファレンス画像で、治療計画モードにより照射箇所を設定した箇所がリファレンス画像上に現れると、治療プローブ5をその位置で保持して治療を実行する。図7において、引用符号34は臓器、35は血管を示しているものとする。
上記治療モードについて図8を参照しながら説明する。図8は治療モードのフローチャートを示している。操作者は、診断モードにより診断画像をリアルタイムでリファレンス画像と超音波画像をモニタ6に表示し、既に設定してある治療計画部位となる照射箇所を探す(この時、例えば照射しない血管と区別することができるように、照射箇所には、色を変える等の表示方法が施されるものとする)。照射箇所が表示中のリファレンス画像に現れると治療モードを開始する。
ステップS31では、初期設定を行う。その初期設定は、例えば、治療用超音波の強度や時間、モニタ6上に表示される照射済みマークの大きさなどを設定する。ステップS32では、モニタ6上の診断画像を見ながら強力超音波を照射する位置(治療計画部位)の設定を行う。つまり、治療用超音波の焦点位置をセットする。治療用超音波の焦点位置の設定は、例えば、操作者がマウスなどを操作して、モニタ6の画面上でポインタなどを超音波画像の所望の位置まで移動して行う。
ステップS33では、ステップS32でセットした治療用超音波の照射位置が治療計画モードで設定した照射箇所に入っているか否かを判断する。照射箇所に入ってない場合には(ステップS33でno)、ステップS34に移行して警告を発生し、再びステップS32からの処理を実行する。尚、警告を発生するだけでステップS35へ移行しても良いものとする。ステップS33で照射箇所に入っている場合には(ステップS33でyes)、ステップS35へ移行する。
ステップS35では、超音波画像記憶部8に記憶されている超音波画像に基づいて、セットされた診断画像上での治療計画部位の座標を計算し、治療部位を確定する。治療計画部位の座標計算は、上記ポインタの移動とともに同時に計算し、算出しておくことも可能である。さらに、セットされた治療計画部位の座標から、治療用超音波の焦点位置を計算し、超音波振動子15に供給する治療用パルスに対し、各超音波振動子15に供給する治療用パルスの遅延時間を求め、治療用超音波遅延回路20に指令を送信し、フォーカス処理を行うことも可能である。
ステップS36では、治療用超音波の照射を行う。これは、治療用超音波の照射命令を治療用パルス発生回路19に送信し、治療用パルス発生回路19は、超音波振動子15を駆動させる治療用パルスを治療用超音波遅延回路20に送信して行う。治療用超音波遅延回路20は、治療用パルス発生回路19から出力される治療用パルスに基づいて、各超音波振動子15に供給する治療用パルスを遅延時間に従って順次出力する。治療用パルスは、治療用超音波遅延回路20で電子フォーカスされて超音波振動子15に送信され、超音波振動子15は、治療用超音波遅延回路20で遅延処理された治療用パルスにより振動する。これにより治療用超音波が照射される。この時、治療部位に同時刻に治療用超音波が到達するように各超音波振動子15からの治療用超音波の射出タイミングが制御される。
超音波振動子15から射出される治療用超音波は、焦点位置、すなわちステップS32でセットした治療計画部位、言い換えれば、ステップS35で確定した治療部位に集束する。治療部位には、強力な超音波エネルギーが与えられ、その治療部位は、治療用超音波で加熱され焼灼される。これにより、血管35が塞栓される。
ステップS37では、照射した箇所の血流が遮断されたか否かの確認を行う。血流の確認は、例えば超音波診断装置32に内蔵されたカラーフローマッピング機能(血流速度分布を示す機能)や、パルスドプラ機能(血流速度を示す機能)など、血流を測定できる機能であれば何でも良いものとする。本形態では、モニタ6に測定した血流速度に対する血流速度表示欄36を有している。血流の遮断が確認できない時には(ステップS37でno)、再びステップS36からの処理を実行する。血流の遮断が確認できた時には(ステップS37でyes)、次のステップS38の処理に移行する。
ステップS38では、超音波照射済み座標情報をボリュームデータ記憶部10へ転送し記憶させる処理を行う。そして、ステップS39では、治療モードを続行するか終了するかの判断を行う。治療が終了ならば(ステップS39でyes)治療モードを終了し、治療が終了していなければ(ステップS39でno)再びステップS32からの処理を実行する。
以上説明したように、本発明の治療システム(超音波治療システム)31では、リファレンス画像や超音波画像を基にして被検者の治療位置に係る治療計画を緻密に策定し、これを超音波治療装置4に反映させて正確な治療を行えるように構成されている。
補足説明として、超音波断層画像は、一般的にCT、MRIといった他のモダリティによる画像に比べると画質が劣る。そのため、超音波画像を基にして治療箇所を設定する場合、詳細に生体組織を識別し、治療を必要とする箇所を決めることは、CT、MRI画像などに比べて難しい。特に、血管塞栓により治療を行う対象となる血管は、一般的には直径2mm以下程度であるため、一般的な超音波診断装置の断層画像では検出が困難である。本発明は、このような問題点に対処することができる。
続いて、図9ないし図15を参照しながら本発明の第三の実施形態を説明する。図9は本発明の治療システムの第三の実施形態を示す構成図である。
図9において、第三の実施形態における本発明の治療システム(超音波治療システム)51は、その主要部として、画像診断装置52(リファレンス画像系)と、放射線治療装置53(放射線治療系)と、超音波診断装置54(超音波画像系)とを備えて構成されている。以下、各構成について説明する(尚、図12にはシステムの動作がフローチャートで示されている)。
上記画像診断装置52は、本形態において、超音波画像のリファレンス画像となるボリュームデータを取得するための装置であって、特に限定するものではないが、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)や磁気共鳴撮影装置(MRI装置)などが適用されている。画像診断装置52は周知構成の装置であるものとし、ここでは詳細な説明を省略する。
画像診断装置52では、超音波画像のリファレンス画像となるボリュームデータを取得するために、ベッド55に被検者56を横たわらせて周知の方法で撮像する。ここで、画像診断装置52の座標系(リファレンス座標系)をREFとし、画像診断装置52の任意の基準点をREF(0)とする。基準点REF(0)は、本形態において、ベッド55の一角部に設定されている(一例であるものとする)。基準点をREF(0)を設定することにより、画像診断装置2において、被検者56の疾患部位の任意の三次元形態情報を取得することができるようになるとともに、被検者56の疾患部位の任意の部位の位置情報を取得することができるようになる。ベッド55に横たわる被検者56に対する放射線の治療計画部位をREF(1)とする。
放射線治療装置53は、放射線を照射することにより、放射線治療装置53での被検者56の疾患部位に対して放射線治療を行えるように構成した放射線発生装置部57と、被検者56が放射線治療を受けるに際し横たわる移動機構付きベッド58とを備えて構成されている。放射線治療装置53の放射線発生装置部57は、周知の構成であるものとし、ここでは詳細な説明を省略する。移動機構付きベッド58は、被検者56が横たわるベッド59と、ベッド位置移動機構部60とを備えて構成されており、ベッド位置制御ユニット61のベッド位置制御演算装置部62により制御されている。ベッド位置制御演算装置部62は、ベッド位置移動機構部60の上に備えられたベッド59を所望の位置に移動させるための制御信号をベッド位置移動機構部60に対して出力するようになっている。
ここで、放射線治療装置53の座標系(X線治療座標系)をTREとし、放射線治療装置53の任意の基準点をTRE(0)とする。基準点TRE(0)は、本形態において、ベッド59の初期位置の一角部に設定されている(一例であるものとする)。基準点TRE(0)を設定することにより、放射線治療装置53において、被検者56の疾患部位の治療部位の位置情報を確定することができるようになる。ベッド59に横たわる被検者56に対する放射線の治療計画部位をTRE(1)とする。
尚、放射線治療において、被検者56の体位、或いは被検者56のベッド59上での位置、或いは被検者56の状況(例えば、空腹か満腹か、尿の有無、便の有無、病状の変化(腫瘍の増大))などにより、画像診断装置2での撮像時と身体状況が異なってしまうことが多く経験される。
超音波診断装置54は、診断用の超音波を送受信する探触子63と、探触子63への超音波送信信号を生成し且つ探触子63からの受信信号を基に超音波画像を再構成する診断装置本体64と、診断装置本体64にて再構成された超音波画像を出力表示するモニタ65と、探触子63の三次元位置を計測するため探触子63に取り付けられた位置センサ66と、位置センサ66の三次元位置を感知するための位置検出ユニット67とを備えて構成されている。
ここで、超音波診断装置54の座標系(超音波座標系)をUSとし、超音波診断装置54の任意の基準点をUS(0)とする。基準点US(0)は、本形態において、ベッド59の初期位置の一角部であって、放射線治療装置53の任意の基準点TRE(0)とは別の位置に設定されている(一例であるものとする)。基準点US(0)は、本形態において、放射線治療装置53の座標系において、TRE(2)と三次元的に同一位置に設定されている。
探触子63は、生体内へ超音波送受信を行う振動子が一次元に配列された一次元アレイ探触子、或いは微細に切断された振動子が二次元的に配列された二次元アレイ探触子であり、一次元アレイ探触子の場合には、探触子63を手動、或いは機械的に走査することにより被検者56内の疾患位置が超音波画像でモニタ6に表示されるようになっている。このような設定において、超音波スキャンを停止すべく図示しないフリーズボタンを押すと、探触子63の位置が位置検出ユニット67により検出される。ここで、位置検出ユニット67により検出された超音波診断装置54の座標系での探触子位置をUS(*)とする。
被検者56内の疾患位置を超音波画像で確認した後、モニタ65の画面上で放射線の治療計画部位、或いは疾患部位を特定すべく、診断装置本体64のトラックボール或いはタブレット、或いはモニタ65に設置されたタッチパネルを操作し、そして、放射線の治療計画部位、或いは疾患部位を特定する。これにより放射線の治療計画部位、或いは疾患部位が診断装置本体64において算出される。この放射線の治療計画部位、或いは疾患部位をUS(1)とする。以上により、各座標系の原点及び治療計画部位の設定が完了する。
上記構成において、画像診断装置52から放射線治療装置53の位置関係は、互いにベッド55、59の上に規定された三次元ボリュームデータの行列変換式で表せ、互いに基準点(原点)同士の座標変換をTRE(0)=F(REF(0)) と表すならば、治療計画部位同士の座標変換は、TRE(1)=F(REF(1)) で表される。また、超音波診断装置54の座表系から画像診断装置52の座表系への座標変換は、三次元ボリュームデータの行列変換式で表せ、互いに基準点(原点)同士の座標変換をTRE(0)=G(US(0)) と表すならば、治療計画部位同士の座標変換は、TRE(1)=G(US(1))で表される。
これらの関係により、超音波診断装置54の座表系から放射線治療装置53の座表系への座標変換も可能となり、互いに基準点(原点)同士の座標変換をTRE(0)=H(US(0)) と表すならば、これは、TRE(0)=F(G(US(0))) と表すことができる。超音波診断装置54の座表系から放射線治療装置53の座表系への座標変換は、超音波診断装置54の座表系から一旦、画像診断装置52の座表系に座標変換した上で、画像診断装置52の座表系から放射線治療装置53の座表系へ座標変換すれば良いことになる。同様にして、治療計画部位の超音波診断装置54の座表系から放射線治療装置53の座表系への座標変換は、TRE(1)=H(US(1))=F(G(US(1)))と表すことができる。
ここで、被検者56の体位、或いは被検者56の放射線治療装置53のベッド59に横たわる向き、被検者56の臓器の状態により、放射線の治療計画部位と、実際の疾患部位が異なってしまうことがある。このような場合、超音波画像にて治療計画部位の再観察を実施して、放射線の治療計画部位の再設定を行えばよい。具体的には、超音波画像にて放射線の治療計画部位を観察し、再度放射線の治療計画部位を設定する。この再設定部位を超音波診断装置54の座表系で、US(1′)と表す。上記座標変換の式を用いることにより、放射線治療装置53の座表系での座標が、H(US(1′))=F(G(US(1′)))=TRE(1′)で求められる。
以上により、放射線治療計画時の座標と、実際の被検者の疾患部位の位置ズレが明確になる。そこで、そのズレの分だけ放射線治療装置53のベッド59を移動させれば、疾患部位に正確に放射線照射が可能となり、非疾患部位に対する放射線照射を回避可能となるため、被検者56に対する放射線照射安全性が高まる。
本発明は従来よりも格段に有用となるシステムになっている。すなわち、従来ではリファレンス像のボリュームデータを取得した時と、実際の放射線治療を行う際に、被検者は異なった環境で画像取得と、実際の放射線治療とが実施されていた。具体的に従来では、MRI装置画像撮像環境下で放射線治療を行うことが現実的ではなかった。また、従来では、リファレンス画像取得時と、放射線治療実施時において、被検者の体位の変化や被検者がベッドに横たわる位置のズレに関して十分な配慮がなされていなかった。そのため、従来では、放射線治療計画と実際の放射線治療位置とにズレが生じるという課題があったが、本発明ではこれを解消することができるようになっている。
図9の例においては、探触子63が一次元に振動子を配列させた一次元アレイ探触子であったが、微細な振動子を二次元に配列し、三次元空間上に走査し、三次元超音波データを取得可能な、二次元アレイ探触子を使用した場合の例について以下に説明する(図示は省略する。図9を参考とする)。
二次元アレイ探触子には、超音波座標系における位置を検出するための位置センサと、その位置センサの三次元位置を感知するための位置検出ユニットとが備えられている。このような二次元アレイ探触子を有する超音波診断装置を用いると三次元ボリュームデータを取得することが可能であるため、疾患部位の三次元ボリュームデータと、探触子位置情報 US(*) を取得することができるようになる。
その取得した超音波三次元ボリュームデータから、疾患部位を探索し、被検者内疾患部位が確認されたならば、モニタ画面上の放射線の治療計画部位、或いは疾患部位を特定すべく、診断装置本体のトラックボール或いはタブレット、或いはモニタに設置されたタッチパネルを操作し、そして、放射線の治療計画部位、或いは疾患部位を特定する。これにより超音波座標系での探触子位置情報 US(*) により、放射線の治療計画部位、或いは疾患部位が一意に算出される。この部位を超音波座標系で、US(1)とする。
後は、図9の例と同様の手段を用いて放射線治療装置53のベッド59の位置を設定し、ベッド59を移動させれば、疾患部位に正確に放射線照射が可能となり、非疾患部位に対する放射線照射を回避可能となるため、被検者56に対する放射線照射安全性が高まる。
尚、実際の放射線治療では、被検者56の呼吸、拍動、体位の移動により、わずかながら疾患部位が常に移動していることが多い。そこで、疾患部位を三次元的に追跡するとともに、ベッド位置制御ユニット61に対し、超音波画像、超音波画像中の疾患位置情報を送信する。また、同時に位置検出ユニット67では、探触子位置情報をベッド位置制御演算装置部62に送信する。ベッド位置制御演算装置部62では、これらの情報(リファレンス画像、リファレンス画像での疾患位置情報、リアルタイム超音波画像、リアルタイム超音波超音波画像中の疾患位置情報、リアルタイム探触子位置情報)を基に、放射線治療系における疾患位置を逐次演算し、ベッド位置の修正移動を行う。これを所望の放射線治療領域に対し所望の放射線量照射まで繰り返すと、より一層有用なシステムになる(図13のシステム動作フローチャート参照)。
図10は上述の図9の治療システムやその他のシステムの変形例を示す構成図である。図10において、変形例となる治療システム(超音波治療システム)51′は、その主要部として、画像診断装置52(リファレンス画像系)と、放射線治療装置53′(放射線治療系)と、超音波診断装置54(超音波画像系)とを備えて構成されている。
放射線治療装置53′は、放射線を照射することにより、放射線治療装置53での被検者56の疾患部位に対して放射線治療を行えるように構成した放射線発生装置部57′と、被検者56が放射線治療を受けるに際し横たわるベッド59′とを備えて構成されている。放射線発生装置部57′は、周知構成のX線管57′aと、そのX線管57′aを移動させるX線管位置可動装置部57′bとを備えて構成されており、X線管位置制御ユニット61′のX線管位置制御演算装置部62′により制御されている。X線管位置制御演算装置部62′は、X線管57′aを所望の位置に移動させるための制御信号をX線管位置可動装置部57′bに対して出力するようになっている。
上記構成において、治療システム51′は、図9の治療システム51のような移動機構付きベッド58のベッド59を移動させるのではなく、X線管57′aを所望の位置に移動させるように構成されている。従って、この場合も当然に上述同様の効果を奏することができる。
図11は上述の図9の治療システムやその他のシステムの更なる変形例を示す構成図である。また、図14はシステム動作フローチャートである。図11において、変形例となる治療システム(超音波治療システム)51″は、図9の治療システム51と構成が同じであるものの、治療効果を判定することができる点が異なっている。
図11及び図14において、放射線治療後、放射線治療部位に正確に放射線が照射されているか、放射線量は適切か、非治療部位に対する放射線照射の影響は無いか、を調べる必要がある。これを実施すべく、放射線照射部位を再度、超音波画像を用いて観察する必要がある。具体的には、放射線治療部位から、超音波画像で観察すべき探触子63(ここでは一次元アレイ探触子)の位置を設定できれば良い。これは、上述の式の逆変換を実施すれば良いことになる。
現在の探触子63の位置をUS(1′)とし、放射線治療系における座標での放射線治療を行った位置をTRE(1)とするならば、探触子63の設定されるべき位置US(1) は、US(1)=H−1(TRE(1))=F−1(G−1(TRE(1)))となる。そこで、US(1′)とUS(1)のズレを超音波診断装置54のモニタ65上に表示すれば、そのズレの情報を基に探触子63の位置を移動させることができる。このようなことを可能にする演算をすることにより、被検者56の放射線治療部位の治療効果判定を行うことが可能となる。
次に、探触子63として二次元アレイ探触子を用いた例を説明する。図15はシステム動作フローチャート(二次元アレイ探触子使用)である。
図11及び図15において、現在の探触子63の位置での走査面の超音波画像をUS(1′)とし、放射線治療系における座標での放射線治療を行った位置をTRE(1)とするならば、探触子63の設定されるべき位置US(1) は、US(1)=H−1(TRE(1))=F−1(G−1(TRE(1)))となる。そこで、US(1′)とUS(1)の差から二次元アレイ探触子走査面の変更情報を超音波診断装置54に送り、実際に超音波診断装置54で所望の断面を走査するようにすれば良い。
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。