JP6473149B2 - 超音波治療装置及び超音波治療システム - Google Patents

超音波治療装置及び超音波治療システム Download PDF

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Description

本発明は、超音波治療装置及び超音波治療システムに係り、高密度焦点式超音波(HIFU:High Intensity Focused Ultra sound)を生体に設定される対象部位に照射して治療する超音波治療装置及び超音波治療システムに関する。
HIFU治療は、高密度に集束した超音波を治療対象部位に設定した焦点に照射して病変部を局所的に加熱し、その病変部の組織を熱凝固させて血流の遮断効果が高い塞栓治療を実現する侵襲性の低い治療として知られている。例えば、生体の直腸内に治療プローブを挿入し、治療対象部位の病変部にHIFUを照射して治療することが提案されている。
また、特許文献1に紹介されているHIFUを用いた超音波治療装置は、マルチチャンネル発生器から供給される超音波の電気信号(以下、超音波信号という。)で複数の治療振動子(トランスジューサ)をそれぞれ駆動する治療プローブが提案されている。これによれば、各治療振動子から発する超音波の振幅、周波数及び位相をそれぞれ独立に制御することにより、焦点位置を移動させて広範囲の治療対象部位を治療することができる。
一般に、HIFU治療は、超音波強度が強いパルス状のトリガ超音波を照射した後、続いてトリガ超音波より強度が弱い連続波(CW)の加熱超音波を所定時間照射する治療超音波サイクルを繰り返すことにより、所定の治療超音波エネルギを治療対象部位に照射して治療する。
特許第4519905号公報 特開2011-115461号公報
Palmeri ML, Wang MH, Dahl JJ, Frinkley KD, et al. Quantifying hepatic shear modulus in vivo using acoustic radiation force. Ultrasound in Medicine & Biology 2008;34:546-58.
しかし、特許文献1では、HIFUビームの照射経路上にある生体表面(皮膚)で火傷が発生するおそれを回避することについては考慮されていない。
すなわち、特許文献1では、マルチチャンネルを構成する複数の治療振動子の全てから、焦点に向けてトリガ超音波を照射し、続いて加熱超音波を照射している。通常、治療プローブと生体表面との間に、例えば脱気水を満たした水袋を介在させてHIFUを照射する。この場合、水と生体表面(皮膚)の音響インピーダンスが極端に違うため、水と生体表面の境界でトリガ超音波が反射して治療超音波エネルギが蓄積され、キャビテーション現象により泡が発生する。その泡に続いて加熱超音波が照射されると泡が破壊され、その破壊熱により皮膚が火傷するおそれがある。皮膚火傷が生じると、治療超音波の伝搬が阻害されて治療対象部位に治療超音波が照射されなくなるだけでなく、正常組織へのダメージが問題となる。
本発明が解決しようとする課題は、皮膚火傷のおそれを効果的に回避することができる超音波治療装置及び超音波治療システムを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の超音波治療装置及び超音波治療システムは、治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部とを備え、前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明は、複数のチャンネルを、トリガ超音波を照射するチャンネルと加熱超音波を照射するチャンネルとに分割し、治療超音波サイクルを繰り返す度にトリガ超音波を照射するチャンネルを切り替えることを特徴とする。つまり、一のチャンネルからトリガ超音波を照射し、続いて同一のチャンネルから加熱超音波を照射すると、トリガ超音波により発生した泡が加熱超音波に破壊されて泡の破壊熱が発生することに鑑み、本発明はトリガ超音波と加熱超音波を送出するチャンネルを異ならせたことを特徴とする。言い換えれば、体表面近傍におけるトリガ超音波の伝搬経路(超音波ビーム)と、加熱超音波の伝搬経路(超音波ビーム)を治療超音波サイクルごとに異ならせる。
本発明のように、トリガ超音波と加熱超音波を送出するチャンネルを異ならせても、各チャンネルの超音波ビームは治療対象部位に設定された焦点に集束される。そして、トリガ超音波により焦点に発生した気泡に、異なる伝搬経路から加熱超音波が照射され、その気泡が破壊されることから、焦点部の組織が熱凝固して超音波治療を行うことができる。
本発明によれば、効果的に皮膚火傷を回避できる。
本発明の一実施形態の超音波治療システムの全体構成を示す図 本発明の一実施形態の超音波治療装置のブロック構成図 本発明の一実施形態の超音波プローブの構成を説明する図 本発明の一実施形態の治療プローブの複数の治療振動子から送出される治療超音波ビームと、複数の治療振動子(チャンネル)の配置を示す図 治療超音波サイクルを説明する図 HIFU治療を説明する図 本発明の一実施形態の超音波治療システムのナビゲーションガイド表示機能を説明する図 本発明の一実施形態の超音波治療システムの治療手順を示すフローチャート 図8のフローチャートに示した本発明の一実施形態の特徴部に係る部分の詳細なフローチャート 焦点から体表面までの距離に応じてトリガ超音波と加熱超音波を分割照射するチャンネル群の分割を説明する図 トリガ超音波と加熱超音波を分割照射するチャンネル群の分割数と、分割照射に係るチャンネル単位の治療超音波エネルギの補償値を求める方法を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例1を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例2を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例3を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例4を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例5を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例6を説明する図 本発明の特徴であるトリガ超音波と加熱超音波を分割照射する実施例7を説明する図 本発明の超音波治療システムのグラフィックユーザインタフェイス(GUI)の表示の一例を示す図
本発明に係る超音波治療装置は、治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部とを備え、前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行うことを特徴とする。
また、前記治療プローブ制御部は、前記焦点に向けて照射する治療超音波エネルギの目標値に合わせて、前記治療超音波サイクルを構成する前記トリガ超音波と前記加熱超音波の治療超音波エネルギを補償することを特徴とする。
また、前記治療超音波エネルギの目標値は、前記各チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本治療超音波エネルギであることを特徴とする。
また、前記治療プローブ制御部は、前記焦点から前記生体の体表面までの距離を計測し、該計測した距離が予め定めた最小値と最大値の範囲内である場合に前記分割照射を行い、前記計測した距離が前記最大値を超えている場合は、前記分割照射に代えて全ての前記チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本照射を行うことを特徴とする。
また、前記治療プローブの複数のチャンネルの配置構成画像を表示するモニタを備え、該モニタには、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとが、異なる表示形態で表示されることを特徴とする。
また、前記治療プローブは、半球状の凹面が同心円状の複数の円環領域に分割され、更に前記円環領域を径方向に分割されてなる複数の領域のそれぞれに前記チャンネルが形成され、前記各チャンネルの超音波送出面の面積が均等に形成されていることを特徴とする。
また、前記治療プローブ制御部は、前記複数のチャンネルを複数含むチャンネル群に分け、一の前記チャンネル群に属する前記チャンネルから前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射した後、続いて他の前記チャンネル群に属する前記チャンネルから前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する治療超音波サイクルを繰り返し、該治療超音波サイクルの繰返しごとに、前記トリガ超音波を照射する一の前記チャンネル群を他の前記チャンネル群の一に切り替えることを特徴とする。
また、前記治療プローブ制御部は、前記焦点に向けて照射する治療超音波エネルギの目標値に合わせて、前記トリガ超音波の振幅、周波数あるいは照射時間の少なくとも一つ、又は前記加熱超音波の振幅、周波数又は照射時間の少なくとも一つを調整して治療超音波エネルギを補償することを特徴とする。
また、前記治療超音波エネルギの目標値は、前記各チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基準治療超音波エネルギであることを特徴とする。
また、前記治療プローブ制御部は、前記焦点から前記生体の体表面までの距離を計測し、該計測した距離が予め定めた最小値と最大値の範囲内である場合に前記分割照射を行い、前記計測した距離が前記最大値を超えている場合は、前記分割照射に代えて全ての前記チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本照射を行うことを特徴とする。
また、前記複数のチャンネルの数をnとし、前記チャンネル群が有する複数のチャンネルの数をmとした場合、前記治療プローブ制御部は、前記トリガ超音波の振幅をn/m倍すること、又は前記トリガ超音波の周波数を整数倍して前記トリガ超音波の治療超音波エネルギを調整することにより、前記治療超音波エネルギを補償することを特徴とする。
また、前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波エネルギを補償すると、前記トリガ超音波のエネルギ又は前記加熱超音波のエネルギが予め設定された上限値を超える場合、その旨の警報を音声、音又は画像情報により報知することを特徴とする。
また、前記上限値は、前記チャンネルと前記焦点との間に位置する前記生体の体表面の火傷を防止する値に設定されることを特徴とする。
また、本発明に係る超音波治療システムは、治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部と、前記治療プローブの中心部に設けられ、前記生体との間で撮像用の超音波を送受する複数の撮像振動子を有してなる撮像プローブと、前記撮像プローブの受信信号から生成される前記焦点を含む超音波画像を生成する超音波画像構成部と、前記超音波画像を表示する表示部と、を備え、前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行うことを特徴とする。
また、前記治療プローブの位置を検出する三次元位置検出器と、前記生体の前記治療対象部位を含めた三次元ボリューム画像データが蓄積されたメモリと、前記三次元位置検出器により検出された前記治療プローブの位置に基づいて、前記三次元ボリューム画像データから前記超音波画像の断層面に対応するナビゲーション画像を生成して前記表示部に表示するナビゲーション画像構成部とを有する医用画像装置を備え、前記医用画像装置は、前記各チャンネルと前記焦点を結ぶ治療超音波ビームの模擬画像を生成して前記ナビゲーション画像に重ねて描出する治療超音波ビーム描出部を備え、前記治療プローブ制御部は、前記表示部に表示された前記超音波画像に基づいて、前記焦点から前記生体の体表面までの距離を計測し、該計測した距離が予め定めた最小値と最大値の範囲内である場合に前記分割照射を行い、前記計測した距離が前記最大値を超えている場合は、前記分割照射に代えて全ての前記チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本照射を行うことを特徴とする。
以下、図面を用いて本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の超音波治療システムの全体構成を示す。医用画像装置の一つである磁気共鳴撮像(MRI)装置1は、例えば、垂直磁場永久磁石方式のMRI装置である。しかし、垂直磁場永久磁石方式のMRI装置に限られるものではなく、その他の方式のMRI装置、CT装置、PET装置、超音波画像装置、等々の周知の医用画像装置を適用することができる。
本実施形態のMRI装置1は、図示のように、垂直な静磁場を発生させる上部磁石3と下部磁石5、これら磁石を連結するとともに上部磁石3を支持する支柱7、位置検出デバイス9、アーム11、モニタ13、14、モニタ支持部15、基準ツール17、パーソナルコンピュータ19、ベッド21、MRI制御部23などを含んで構成されている。MRI装置1の図示しない傾斜磁場発生部は、領斜磁場を発生させる。更に、MRI装置1は、静磁場中の患者24に核磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器、患者24からの核磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備えている。
位置検出デバイス9は、超音波プローブ37の三次元の位置及び姿勢(以下、位置と総称する。)を検出する三次元位置検出器である。すなわち、位置検出デバイス9は、2台の赤外線カメラ25と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードを含んで構成され、超音波プローブ37に取り付けられたポインタ27の三次元位置を検出する。これにより、ポインタ27は、超音波プローブ37の位置及び傾き(以下、位置と総称する。)を検出する機能とともに、超音波画像とMR画像の撮像断層面の指示デバイスとして機能する。
また、位置検出デバイス9は、アーム11により移動可能に上部磁石3に連結され、MRI装置1に対する配置を適宜変更可能に形成されている。モニタ13には、術者29が把持するポインタ27により指示された患者24の断層面の超音波画像が表示される。モニタ13は、モニタ支持部15により赤外線カメラ25と同様に上部磁石3に連結されている。基準ツール17は、赤外線カメラ25の座標系とMRI装置1の座標系をリンクさせるもので、3つの反射球35を備え、上部磁石3の側面に設けられている。
パーソナルコンピュータ19には、赤外線カメラ25が検出して算出したポインタ27の位置情報が、超音波プローブ37の位置データとして、例えば、RS232Cケーブル33を介して送信される。MRI制御部23は、ワークステーションで構成され、図示しないRF送信器、RF受信器などを制御する。また、MRI制御部23は、パーソナルコンピュータ19と接続されている。パーソナルコンピュータ19では、赤外線カメラ25が検出して算出したポインタ27の位置データをMRI装置1での撮像範囲の位置データに変換し、MRI制御部23へ送信する。位置データは、撮像シーケンスの撮像断面の制御に反映される。新たな撮像断面で取得されたMR画像はモニタ13に表示される。また、MR画像は映像記録装置34に同時記録される。
超音波治療装置40は、ポインタ27が取り付けられた超音波プローブ37で得られた超音波画像を専用のモニタ38に映し出すようになっている。また、超音波画像はパーソナルコンピュータ19に転送されて画像処理が行われ、術者用モニタ13、14に映し出される。超音波プローブ37はMRI装置1の磁場内でも作動可能なセラミックなどの非磁性体で形成されている。また、超音波プローブ37は、図3で説明するように、HIFUの治療超音波を照射する治療プローブ37aと、超音波画像撮像用の撮像プローブ37bが備えられている。
超音波治療装置40は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで形成されるHIFUコントローラ49と、HIFUコントローラ49から出力されるHIFUの超音波信号を増幅するパワーアンプ50を備えて構成されている。パワーアンプ50から出力される超音波信号は、超音波プローブ37の治療プローブ37aに供給される。これにより治療プローブ37aから患者24にHIFU(高密度焦点式超音波)を照射して、HIFU治療を行うようになっている。
図2に、超音波治療装置40の主要部のブロック構成を示す。超音波治療装置40は、撮像プローブ37bに超音波信号を送受信する超音波送受信部44と、受信信号に基づいてHIFUの焦点を含む二次元超音波画像(例えば、Bモード画像)或いは三次元超音波画像を構成する超音波画像構成部45と、超音波画像構成部45で構成された超音波画像を表示する表示部であるモニタ38、各構成要素を制御する超音波制御部47と、超音波制御部47に指示を与えるコントロールパネル48とから構成されている。
超音波画像構成部45は、超音波送受信部44により撮像プローブ37bから患者24内に超音波を送受信して得られた反射エコー信号を用い、治療対象部位を含む二次元超音波画像或いは三次元超音波画像を形成してモニタ38に表示するようになっている。
HIFUコントローラ49は、超音波治療装置40を超音波画像装置として動作させる場合は、超音波制御部47を介して撮像プローブ37bを駆動して患者24に撮像用の弱い超音波を照射する。すなわち、超音波制御部47は、超音波治療装置40を診断装置として動作させる場合は患者24に照射する超音波のエネルギを弱める。一方、超音波治療装置40を治療装置として動作させる場合は、超音波制御部47は、HIFUコントローラ49を介して、患者24に照射する超音波のエネルギを強めるように、照射する超音波の大きさを制御する。
すなわち、HIFUコントローラ49は、本発明の治療プローブ制御部を構成し、超音波制御部47から出力される指令に基づいてHIFUの超音波信号をパワーアンプ50に出力する。パワーアンプ50は、HIFUの超音波信号を増幅して治療プローブ37aに出力する。これにより、治療プローブ37aから患者24の所定部位に治療用の強い超音波が照射される。つまり、HIFUコントローラ49とパワーアンプ50は、治療プローブ37aの治療超音波を発するチャンネルを構成する治療振動子39(図3)を複数備えた治療プローブ37aから照射される治療超音波ビームの強度(エネルギ)を、それぞれ制御するようになっている。なお、治療プローブ37aから発する超音波周波数は、2MHzや1MHzと必要に応じて使い分けることができ、HIFUコントローラ49により制御される。
また、HIFUコントローラ49は、超音波治療装置40と連動しており、HIFUビーム照射前後の治療対象部位の状態遷移が分かるようになっている。HIFUビーム照射前には、超音波治療装置40内部で診断画像を用いて、患者24の体表面である皮膚を描出する画像処理を行う機能も有している。超音波治療装置40で生成した情報はHIFUコントローラ49と共有することができる。
なお、図1,2の例では、超音波治療装置40に超音波診断装置を組み込んで構成したが、超音波診断装置と超音波治療装置を別々の装置として構成してもよい。また、超音波治療装置40とHIFUコントローラ49を別々の装置としているが、一体の装置として構成することもできる。
図3と図4に、本発明の特徴部に係る超音波プローブ37の一実施形態の構成図を示す。図3(a)は、超音波プローブ37の中心軸を通る面における断面図、図3(b)は超音波プローブ37の超音波送出面側から見た正面図である。同図から明らかなように、超音波プローブ37は、凹球面に形成された治療プローブ37aと、凹球面の中心軸に配設された超音波画像の撮像用の撮像プローブ37bを備えて形成されている。撮像プローブ37bは、治療対象部位の焦点を含む扇形領域601の断層画像(超音波画像)を撮像して描出するための撮像用の超音波探触子である。
治療プローブ37aは、複数の治療振動子39からなるチャンネルCを二次元平面又は三次元曲面に配列して形成することができる。しかし、本実施形態の治療プローブ37aは、図4(b)に示すように、凹球面を同心円状の複数の円環領域に分割し、さらに円環領域を径方向に分割してなる複数の領域に、それぞれ治療振動子39を配設して形成されている。各治療振動子39は治療超音波ビームのチャネルCを形成している。
言い換えれば、治療プローブ37aは、治療超音波ビームを送出する複数の治療振動子39を備えたマルチチャネルで形成されている。ここで、複数の治療振動子39の数は、図示例では簡単化のため40個の例を示しているが、治療振動子39の数は2のべき乗が一般的であり、例えば、512個や1024個のものが用いられている。撮像プローブ37bは、治療対象部位の焦点を含む断層面を撮像して描出するための撮像用の超音波探触子である。
図4(b)において、分割された複数の治療振動子39を治療超音波照射チャンネル(以下、単に、チャンネルと略す。)と称して説明する。同図に示すように、凹球面を同心円状の複数の円環領域i(図示例では、i=5)に分割し、さらに円環領域を径方向に複数の領域j(図示例では、j=8)に分割して、複数n(n=1,2・・・の任意の自然数。)のチャンネルCijが設けられている。各チャンネルCijから射出される治療超音波ビーム404aは焦点403に集束される。つまり、各チャンネルCijから送出される治療超音波の位相をそれぞれ独立に制御することにより、複数の治療超音波ビーム404aの送出角度を制御して焦点403に集束できる。また、治療超音波の位相制御により、焦点403は、三次元(前後、左右、深度方向)に移動させることができる。
図5に、治療プローブ37aから照射するHIFUの基本パターンを示す。図示のように、HIFUは、超音波強度が強いトリガ超音波801に続けて、トリガ超音波801より強度が弱い加熱超音波802を照射する治療超音波サイクルを、複数回繰り返し照射する。つまり、トリガ超音波801を設定されたトリガ時間t1、加熱超音波802を設定された加熱時間t2照射する治療超音波サイクルを繰り返して、焦点403にHIFUをトータル設定時間T照射することで治療を行う。
ここで、従来は、各チャンネルCijを基本的に同一の治療超音波サイクルにより駆動して治療を行う。また、トリガ超音波801は、気泡を発生させるための瞬間的な高強度パルスであり、加熱超音波802は発生された気泡を破壊して熱凝固を誘発する連続波(CW)で構成されている。例えば、振幅a1のトリガ超音波801がトリガ時間t1(例えば、数μsec)照射され、その後に振幅a2の加熱超音波802が加熱時間t2照射される。
この治療超音波サイクルの定義方法は、1秒間に繰り返す回数:Pulse Repetition Frequency (PRF)とトータル設定時間Tで表記され、これによってHIFU強度が定義される。すなわち、トリガ超音波801と加熱超音波802の振幅、周波数、及びそれらの照射時間を制御することにより、HIFU強度あるいは治療超音波ビーム404aの強度(治療超音波エネルギ)を制御することができる。
例えば、トリガ時間t1を長く、PRFを少なく設定することで気泡生成が容易に発生しやすくなるが、HIFUビーム404が通過する皮膚にエネルギが集中して火傷を発生させる可能性が高くなる。しかし、治療対象部位の焦点403における焼灼範囲は大きくなり、治療効果を向上させることができるという、相反する特徴がある。つまり、トリガ超音波801が1秒間にPRF回×トリガ時間t1だけ照射されると、トリガ超音波801の照射時間に比例してキャビテーション発生率が向上するが、続いて照射される加熱超音波802により気泡の破壊熱による皮膚火傷の懸念が増大する。なお、気泡を生成するパルスと、生成した気泡の径を増大させるパルスを生体の対象領域に送信する内容が、特許文献2に紹介されている。これにより、低侵襲かつ血流の遮断効果が高い塞栓治療を実現できるとしている。
次に、高密度焦点式超音波(HIFU)を照射して治療を実施する概要について、図6を参照して説明する。図6(a)に示すように、治療プローブ37aの各治療振動子39から送出される治療超音波ビーム404aの束であるHIFUビーム404は、焦点403に集束させて照射される。
また、図6(b)に示すように、1つの焦点403にHIFUビーム404を照射して治療(焼灼)される範囲は、例えば直径Φが5〜10mmである。したがって、HIFUビーム照射による治療を行う際は、図6(c)に示すように、HIFUビーム404の照射位置である焦点403の位置を順次移動させて、治療対象領域(ターゲット)402の全域にHIFUビーム404を照射する。その際、超音波プローブ37の中心に取り付けられた撮像プローブ37bにより撮像される超音波画像で治療の様子をモニタリングする。
ただし、治療とモニタリングを同時に行うと互いにノイズとして画像に現れてしまう。そこで、治療プローブ37aと撮像プローブ37bを交互に動作させることによりノイズがない明瞭な診断画像を取得する。なお、非特許文献1に示すようなARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)による焦点可視化を行うことで理想的な焼灼領域に対して、生体組織内の実際の影響領域が算出され、三次元計測を行うことで立体的な治療予定領域を算出できる。
次に、図7を参照して、本実施形態のナビゲーションガイド表示機能を説明する。術者29は患者24に対して、HIFUコントローラ49にパワーアンプ50を介して接続された治療プローブ37aの焦点403を治療対象部位(ターゲット)の1点に合わせる。
つまり、位置検出デバイス9に取り付けられた赤外線カメラ25にてポインタ27の位置から超音波プローブ37の位置を検出し、ナビゲーション画面531〜534に、治療プローブ37aの焦点403及びHIFUビーム404の模擬画像がそれぞれ表示される。術者29はナビゲーション画面531〜534を見ながら、超音波プローブ37の位置を操作して、治療プローブ37aの焦点403をターゲットに合わせる。ナビゲーション画面構成は、例えば、3軸断面(Axial、 Sagittal、Coronal)のナビゲーション画面531〜533の他に、三次元のボリュームレンダリング画面534等を用いることができるが、自由にカスタマイズできる。また、術者29は、事前に治療対象部位である治療予定領域536、及び警告領域とマージン等をそれぞれ設定しておく。なお、ナビゲーション画像は超音波画像装置の他、MRI装置などの医療画像装置により撮像された三次元の画像ボリュームデータを用いて構成することができる。
また、ナビゲーション画像には、超音波プローブ37の模擬画像の他に、術前プラニング(手術シミュレーション)情報537も画像上に重畳表示することができる。また、ボリュームレンダリング画面534の場合は、治療予定領域536を立体的に表示することができる。さらに、ナビゲーション画面531〜534上の治療予定領域536や警告領域内に入った場合に警告を発する機能を備えることができる。また、例えば、治療予定領域536が警告領域内に入った場合に、ナビゲーション画面の画像や治療パラメータを自動的に変更する機能を備えることができる。
上述した操作を、MRI装置のガントリ内部で実施する場合、上述した情報を超音波治療システムに対して連続かつリアルタイムにフィードバックし、治療対象領域における超音波プローブ37の模擬画像を含む同一のMRI撮像断面画像508及び超音波画像509を表示させることができる。つまり、術者29はMRI装置1による二次元リアルタイム画像とナビゲーションによる三次元画像情報を必要に応じて治療に利用することができる。MRI装置1の高速撮像シーケンスの応用のひとつとして、フルオロスコピー(透視撮像)と呼ばれるリアルタイム動態画像化法が臨床応用されつつある。フルオロスコピーでは、1秒以下程度の周期で撮像と画像再構成を繰り返すことにより、あたかもX線透視撮像のように体内組織の動態抽出や体内に外部から挿入した器具の位置把握に用いることができる動態画像を生成して表示する。この応用は三次元高速撮像にも応用されている。
図8に、本発明の超音波治療システムの一実施形態の処理手順のフローチャートを示す。まず、MRI装置1を用いて複数の三次元ボリューム撮像及び三次元画像の再構成を行う(S1)。次いで、三次元画像から画像処理にて治療が必須な特定領域(セグメンテーション)を描出する(S2)。描出された特定領域を含む画像に基づいてHIFUビーム照射を可とする領域と、不可とする領域を判別して設定する(S3)。次に、治療予定領域及びそれらを含むマージン領域を設定する(S4)。HIFUビーム照射に関して必要なパラメータを入力後(S5)、HIFU治療計画を実施して超音波プローブ37の位置のシミュレーションを行う(S6)。治療計画後にナビゲーション等の手術支援誘導機能を起動し(S7)、手術を開始する(S8)。
手術時は、超音波プローブ37の位置の変化に追随して、治療プローブ37aの焦点位置403及びHIFUビーム照射経路であるHIFUビーム404を示す模擬画像をナビゲーション画像上に重畳表示する(S9)。これにより、術者29は、モニタ38及びGUIに表示される画像や数値情報を用いて、超音波プローブ37を治療予定位置(目的位置)へ誘導する(S10)。誘導後は、MR画像(例えば、血流画像)又は超音波画像(エラストグラフィ)にてターゲットの位置を確認する(S11)。
次に、超音波画像、MR画像あるいは他の医用画像から生体の体表面(皮膚)を描出する(S12)。次いで、位置検出デバイス9により検出された治療プローブ37aの位置から焦点403の位置を描出し、焦点403から体表面(皮膚)までの距離を算出する(S13)。このとき、予め記憶されている各治療振動子39の位置データを割出し、各治療振動子39から送出されて焦点403に至る治療超音波ビーム404aの模擬画像を超音波画像とMR画像の少なくとも一方、又は他の医用画像に重ねて描出して、焦点403から体表面(皮膚)までの距離を算出することができる。この画像例を、図10に示す。
次に、ステップS14において、焦点403から体表面(皮膚)までの距離に応じて、トリガ超音波と加熱超音波を分割して照射するチャンネルのチャンネル群Gの分割数Nを決める(S14)。具体的には、図10に示すように、焦点403から体表面501までの距離Lが予め設定された距離範囲(最小値Xmin〜最大値Xmax)内か否かを判断し、範囲内であれば距離Lに応じてチャンネルのチャンネル群Gの分割数Nを決める。例えば、図10(a),(b)に示すように、Xmin〜Xmaxの範囲内に設定された複数の距離X1,X2、・・・、Xmに挟まれる区間Xmin〜X1、X1〜X2、・・・、Xm〜Xmaxに対応して、分割数Nを設定しておく。
ここで、最大値Xmaxは、複数のチャンネルの全てからトリガ超音波に続けて加熱超音波を照射しても皮膚火傷のおそれがない距離である。したがって、L>Xmaxであれば、トリガ超音波と加熱超音波を分割して照射する必要のない距離である。つまり、各チャンネルから焦点に向かう治療超音波ビーム404aは、焦点403に近づくにつれて先細りの角錐状に形成される。そのため、焦点403に近くなるにつれて治療超音波ビーム404aの断面積が小さくなり、治療超音波ビーム404aのエネルギ密度が高くなる。そのため、体表面501の位置が焦点403に近づくにつれて皮膚火傷のおそれが生ずる。一方、体表面501が焦点403から遠く離れ、治療超音波ビーム404aの体表面におけるエネルギ密度が、皮膚火傷を起こすおそれがないほど低くなることに基づいて最大値Xmaxを設定する。なお、最大値Xmaxに代えて、逆に、治療プローブ37aの各チャンネルから体表面501までの距離の最小値を設定し、各チャンネルから体表面501までの距離がその最小値以下であれば、治療超音波ビーム404aのエネルギ密度が皮膚火傷を起こすおそれがないほど低いと判定するようにしてもよい。
また、最小値Xminは、トリガ超音波と加熱超音波を分割して照射しても、皮膚火傷の可能性がある距離である。つまり、体表面501が焦点403に近く、最小値Xmin以下の場合、治療超音波ビーム404aのエネルギ密度が高くなるだけでなく、複数のチャンネルから照射されるトリガ超音波又は加熱超音波の波面の一致度が高くなって治療超音波ビーム404aの強度が高くなる。そのため、例えトリガ超音波を照射するチャンネルと、加熱超音波を照射するチャンネルを異ならせて分割照射しても、皮膚火傷の可能性が残る距離である。
図8に戻って、ステップS14で分割した複数のチャンネル群Gについて、治療超音波サイクルごとに、チャンネル群Gを切り替えてトリガ超音波を照射し、これに続いて残りの全てのチャンネル群Gに加熱超音波を照射するHIFU治療を開始する。同時に、MR画像あるいは超音波診断画像によるモニタリングを行い、治療経過を適宜記録する(S15)。この治療超音波サイクルによる治療処理を治療対象領域の各焦点403について複数回繰り返し、治療効果確認(S16)後に追加治療必要性の有無を確認(S17)して追加治療が必要であればステップS9へ不要の場合は終了となる(S18)。なお、図8のステップS12〜S14までの処理は、治療プローブ制御部であるHIFUコントローラ49により実行される。
次に、図9を参照して、HIFUコントローラ49により実行される処理のうち、上記のステップS14の詳細な処理手順を説明する。ステップS13で算出した焦点403から体表面501までの距離Lが、予め定めた距離範囲の最大値Xmax以上か否かを判断する(S21)。ステップS21の判断で、L≧Xmaxであれば、ステップS22に進んで、術者にHIFU治療に関係する設定条件を画像情報あるいは音声情報などにより通知して治療の最終判断ないし決定を促して、ステップS15に戻る。すなわち、L≧Xmaxであれば、トリガ超音波と加熱超音波からなるHIFUを、全てのチャンネルから焦点403に繰り返し照射することを許容する。本明細書では、トリガ超音波と加熱超音波からなる図5のHIFUを基本治療超音波サイクルと称する。
一方、ステップS21の判断で、距離Lが最大値Xmax未満の場合は、体表面(皮膚)の火傷が懸念される最小値Xmin以下か否かを判断する(S23)。この判断がL≦Xminの場合は、HIFUビーム照射不可であることを術者に通知するとともに、治療プローブ37aの移動を勧告し(S24)ステップS9へ進む。
また、ステップS21の判断で距離Lが最大値Xmax未満であり、かつステップS23の判断で距離Lが設定値の最小値Xmin超の場合、つまりXmin<L<Xmaxの場合は、複数のチャンネルの全てからトリガ超音波と加熱超音波を連続して照射すると皮膚が火傷する可能性がある。そこで、トリガ超音波と加熱超音波を異なるチャンネルから分割して照射する本発明を適用して、皮膚火傷を回避する(S25)。
次に、図9のステップS26において、焦点403へ照射する治療超音波エネルギを目標値である基本治療超音波エネルギに補償する。すなわち、トリガ超音波と加熱超音波を異なるチャンネルから分割して照射すれば、トリガ超音波又は加熱超音波を照射しないチャンネルがあるから、焦点403に照射される治療超音波エネルギが減少する。このような分割治療超音波サイクルを繰り返しても、焦点403に照射される治療超音波エネルギが目標値に達する時間が長くなる。そこで、ステップS26において、焦点403に照射する治療超音波エネルギを目標値に保持するように、各チャンネルから照射する単位治療超音波エネルギを増加する補償処理をする。
次に、ステップS26にて、補償後の各チャンネル単位の治療超音波エネルギ(強度)を予め定めた上限値Ecmaxと比較して、皮膚火傷の可能性が懸念されるか否か判定する。皮膚火傷の懸念があれば、ステップS28に進んで、HIFUビーム照射不可であることを術者に通知するとともに、治療プローブ37aの移動を勧告しステップS9へ進む。一方、各チャンネル単体の治療超音波の強度を補償しても、皮膚火傷の懸念がなければ、術者に設定変更後の条件を通知して治療の最終判断決定を促す(S22)。
以下、本発明の特徴部に係るトリガ超音波と加熱超音波の分割照射と、分割した各チャンネル単位の治療超音波エネルギの補償について、実施例に基づいて詳細に説明する。
(トリガ超音波と加熱超音波の分割照射)
図12に、治療プローブ37aの複数nのチャンネルを、複数mのチャンネルを含むチャンネル群Gに分割して、トリガ超音波と加熱超音波をチャンネル群Gに分割して照射する本発明の実施例1を示す。いま、図10(a)において、焦点403から体表面501までの距離Lが、Xmin<L<Xmaxの範囲内であれば、距離Lに応じて複数nのチャンネルを複数mのチャンネルを含むチャンネル群G1〜G4に分割する。また、Xmin〜Xmaxの範囲に、複数の中間距離Xi(iは、自然数)を設定し、距離Lが属する距離区分Xiごとに、チャンネル群Gの分割数N(n/m)を一義的に設定しておく。例えば、距離LがX2〜Xmaxの距離区分に属する場合は、治療プローブ37aの複数n(図示例では、n=40)のチャンネルを複数m(図示例では、m=10)のチャンネルを含むN(=n/m)個の扇形のチャンネル群G1〜G4に分割する。これにより、図12に示す実施例1のように、トリガ超音波を分割照射するチャンネル群Gの分割数(N=4)が設定される。なお、実施例1では、1つのチャンネル群Gに、互いに隣接する2つの扇形状の複数のチャンネルが含まれる例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、各チャンネル群Gはm個のチャンネルを含むように設定すれば、互いに隣接しないチャンネルを含めてチャンネル群Gを分割設定できる。チャンネル群Gの分割は、HIFUコントローラ49にて予め設定された手順に従って、自動的に行われるようになっている。
そして、図12(a)に示すように、それぞれm(=10)個のチャンネルを含むチャンネル群G1に属する全てのチャンネルからトリガ超音波を照射させる。これに続いて、同図(b)に示す残りの(N−1)の3個のチャンネル群G2〜G4から加熱超音波を照射させる。次に、チャンネル群G2に属する全てのチャンネルからトリガ超音波を照射させ、これに続いて残りのチャンネル群G1,G3〜G4から加熱超音波を照射させる。このようにして、トリガ超音波を照射させるチャンネル群G1→G2→G3→G4に順次切り替えながら、トリガ超音波を照射させなかった残りのチャンネル群G(N−1)個から加熱超音波を照射させる。つまり、実施例1は、図5に示した基本治療超音波サイクルを、パルス状のトリガ超音波801と、連続波の加熱超音波802とを分離した分割治療超音波サイクルにより、それぞれ異なるチャンネル群G1〜G 4から分割して照射する。これにより、皮膚火傷を回避して治療超音波を焦点に照射することができる。なお、焦点403に照射される治療超音波エネルギが目標値に達するまで、分割治療超音波サイクルを繰り返すことは言うまでもない。
また、チャンネル群Gの分割数Nは、例えば図11(a)のように設定されたグラフを用いて求めることができる。同図(a)は、横軸が焦点から体表面までの距離Lであり、縦軸がチャンネル群Gの分割数Nを表す。そして、図中の曲線は距離Lに応じてチャンネル群Gの分割数N(=n/m)を決めるために、予め設定した設定曲線104である。したがって、同図(a)の横軸の距離Lに対応する設定曲線104上の点105における縦軸のチャンネル群Gの分割数Nを求める。
他方、図10(a)に示した例において、距離LがX2〜Xmaxの距離区分に属する場合は、予めチャンネル群Gの分割数Nを1/4に設定しておけばよい。これにより、HIFUコントローラ49にて自動でトリガ超音波を分割照射するチャンネル群Gの分割数Nを決めることができる。(各チャンネル単位の治療超音波エネルギの補償)
ここで、トリガ超音波と加熱超音波を異なるチャンネルから分割して照射することにより減少する治療超音波エネルギの補償について、実施例に基づいて説明する。いま、図12の実施例1のように、4個のチャンネル群G1~G4に分割し、更に1個のチャンネル群(例えば、G1)からトリガ超音波を照射し、残りのチャンネル群(例えば、G2〜G4)から加熱超音波を分離して照射する場合、基本治療超音波サイクルのトリガ超音波801と加熱超音波802のままでは焦点403に照射される治療超音波エネルギが減少する。具体的には、トリガ超音波のエネルギが(1/N=1/4)に減少し、加熱超音波のエネルギが(N−1/N)=3/4に減少する。そこで、トリガ超音波のエネルギを4倍、加熱超音波のエネルギを4/3倍することにより、目標とする基本治療超音波サイクルのエネルギを焦点403に照射(投入)することができる。つまり、複数nのチャンネルを複数mのチャンネルを有する複数Nのチャンネル群Gに分割し、更に一のチャンネル群Gからトリガ超音波を照射し、残りの(N−1)のチャンネル群Gから加熱超音波を分割して照射する治療超音波サイクルは、基本治療超音波サイクルのエネルギよりも減少する。
そこで、焦点に投入される治療超音波エネルギを目標値に補償するために、各チャンネル単位の治療超音波エネルギを増加補償する必要がある。ここで、
トリガ超音波エネルギ:e1(単位時間当たり)
加熱超音波エネルギ:e2(単位時間当たり)
トリガ時間:t1
加熱時間:t2
PRF:(=初期設定値×任意の自然数倍)
周波数調整係数:k(初期値=1、任意の自然数)
全チャンネル数:n
チャンネル群Gのチャンネル数:m
チャンネル群Gの分割数:N(=n/m)
と定義する。
前述したように、各チャンネルの超音波送出面積は均等とすると、分割治療超音波サイクルの各チャンネル単位の治療超音波エネルギEは、式(1)で表すことができる。
E=[{(e1×t1)1/N}
+{(e2×t2)×(N−1)/N}]PRF (1)
つまり、各チャンネル単体の治療超音波エネルギEは、トリガ超音波を照射するチャンネル群Gの分割数Nに応じて、トリガ超音波エネルギが1/Nに減少し、加熱超音波エネルギが(N−1)/Nに減少する。この減少分は、式(2)に示すように、例えば、トリガ超音波のエネルギをN倍し、加熱超音波の強度をN/(N−1)倍すれば補うことができる。Ecは、チャンネル単体の治療超音波エネルギ補償値である。
Ec=[{(e1×t1)1/N}×N
+{(e2×t2)×(N−1)/N}×1/N]PRF (2)
図11(a)の設定曲線104は、式(2)をグラフ化したものである。
本発明の各チャンネル単位の治療超音波エネルギ補償値Ecは、上式(2)に限定されるものではなく、下式(3)に示すEc´のように、トリガ超音波の周波数を変えてもよい。トリガ超音波の周波数調整係数kを変えるとトリガ時間t1が1/kになり、治療超音波サイクル時間を一定とすると、加熱時間t2は自動的にt3に変わる。
Ec´={(e1×t1/k)+(e2×t3)}PRF (3)
これによれば、トリガ超音波エネルギが1/kとなり、基本治療超音波サイクルの治療超音波エネルギEとほぼ同等のEc´=E×96%に補償される。このように各チャンネル単位で治療超音波エネルギを補償することにより、焦点に照射(投入)される治療超音波エネルギを同一又はほぼ同一に保ちながら、体表面の皮膚のダメージを1/Nに低減できる。また、トリガ超音波801と加熱超音波802のエネルギを補償することにより、HIFU治療時間の長大化を抑制することができる。
各チャンネル単位の治療超音波エネルギの補償は、HIFUコントローラ49において、図11(b)に示す設定曲線106に従って自動的に行うことができる。同図(b)は、横軸がトリガ超音波を照射するチャンネル群Gの分割数Nであり、縦軸がチャンネルの単体の超音波強度(エネルギ)を示す。図中の曲線はチャンネル群Gの分割数Nに対応するチャンネルの単体の超音波強度(エネルギ)を決めるために予め設定した設定曲線106である。
焦点403から体表面501までの距離Lに対応して図11(a)の設定曲線104により、同時にトリガ超音波を照射するチャンネル群Gの分割数Nが求められると、図11(b)の横軸のトリガ超音波を分割照射するチャンネル群Gの分割数Nに対応する設定曲線106との交点107が求まる。交点107に対応する縦軸の各チャンネル単位の治療超音波エネルギE(又はE´)が求まる。なお、図11(b)の縦軸のEmaxは、チャンネル単位の治療超音波エネルギEの上限値であり、Emax以上のトリガ超音波エネルギでは、スポット的な体表面の火傷が懸念される値として設定される。したがって、Emaxに対応する設定曲線106との交点108は、チャンネル群Gをそれ以上分割できない最大チャンネル群Gの分割数Nmaxに対応する。このことから、図11(b)にハッチングを付して示した領域は、HIFUビーム照射可能な範囲である。この範囲内であれば、術者に対して最終的に「HIFUビーム照射可能です」というメッセージが表示され、術者指示に従いHIFU治療が行われる。
本実施例1によれば、複数のチャンネルを4つのチャンネル群Gに分割し、1つのチャンネル群Gのチャンネルからトリガ超音波を焦点に照射し、このトリガ超音波に続けて残りの3つのチャンネル群Gのチャンネルから加熱超音波を焦点に照射し、次にトリガ超音波を照射するチャンネル群Gを切り替えて、同様に治療超音波サイクルを繰り返していることから、体表面の火傷などによるダメージを1/4(=1/N)に軽減できる。その結果、トリガ超音波と加熱超音波を体表面の皮膚火傷にさえぎられることなく、焦点に照射することができるので、HIFU治療効率が向上して、かつ治療精度を向上することができる。
また、分割治療超音波サイクルにおいて、トリガ超音波又は加熱超音波を照射しないチャンネル群Gの分だけ、焦点に投入される治療超音波エネルギが低下する。この点、本実施例によれば、分割照射により低下する治療超音波エネルギを補償しているために、各チャンネル単位の治療超音波エネルギを増やして補償しているから、皮膚火傷を回避でき、かつHIFU治療時間の長大化を抑制することができる。
図13に、実施例1のチャンネル群Gの分割形態を異ならせた本発明の実施例2を示す。本実施例は、複数n(=40)のチャンネルを、複数m(=10)のチャンネルからなる複数N(=4)のチャンネル群Gに分割する点は同じである。本実施例では、図13に示すように、複数m(=10)のチャンネルの位置を実施例1とは異なり、治療プローブ37aの中心角度位置が互いにずれた2つの扇形領域をチャンネル群Gとしている。つまり、2つの扇形領域に含まれる複数mのチャンネルからなるチャンネル群Gに分割したことを特徴とする。本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施例によれば、トリガ超音波が照射される2つの扇形領域をチャンネル群Gが位相角方向(周方向)に離れているので、近接する領域のダメージを低減することができる。
図14に、実施例1のチャンネル群Gの分割形態を異ならせた本発明の実施例3を示す。本実施例は、複数n(=40)のチャンネルを、複数m(=10)のチャンネルからなる複数N(=4)のチャンネル群Gに分割する点は同じである。実施例1では隣り合う2つの扇形領域のチャンネルをチャンネル群Gとして分割している。本実施例では隣り合う2つの扇形領域からなるチャンネル群Gの一部(中心側の2つのチャンネル)を周方向にずらして、つまり、中心領域のチャンネルと外側領域のチャンネルを周方向にずらしていることが特徴である。本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図15に、本発明の実施例4の治療プローブ37aの複数nのチャンネルを、複数mのチャンネルを含むチャンネル群Gに分割して、トリガ超音波と加熱超音波をチャンネル群Gに分割して照射する図を示す。本実施例は、実施例1と同様n=40であるが、チャンネル群Gの分割数N=8とし、m=5としている点が実施例1と異なる。本実施例は、距離Lが図10(b)のように、Xmin<L<X2の範囲に該当する例である。すなわち、実施例1よりも体表面501が焦点403側に近いことから、チャンネル群Gの分割数Nを多くして、皮膚火傷を回避する点で、実施例1と異なる。本実施例は、図16に示すように、複数nのチャンネルを、放射状にm=5のチャンネルからなるN=8のチャンネル群Gに分割し、トリガ超音波を8個のチャンネル群Gに分割して照射するようにしたものである。
また、本実施例では、図示矢印で示すように、分割治療超音波サイクルに従ってトリガ超音波を照射するチャンネル群Gの順番を、隣り合うチャンネル群Gではなく、超音波プローブ37aの凹球面の位相角で180°離れたチャンネル群Gにしたことを特徴とする。これにより、隣接するチャンネル群Gに対応する体表面へのダメージを少なくすることができる。
また、本実施例によれば、各チャンネル単位の治療超音波エネルギの補償は、式(2)に示したように、トリガ超音波の振幅を8倍してトリガ超音波エネルギを補い、加熱超音波の振幅を8/7倍して加熱超音波エネルギを補う必要がある。また、図15に示すように、分割治療超音波サイクルは、少なくとも8回繰り返すことになる。
図16に、本発明の実施例5のトリガ超音波と加熱超音波をチャンネル群Gに分割して照射する図を示す。本実施例は、実施例1又は実施例3のチャンネル群Gの分割形態を異ならせた点が異なる。つまり、本実施例は、複数n(=40)のチャンネルを、複数m(=10)のチャンネルからなる複数N(=4)のチャンネル群Gに分割する点は同じである。しかし、一つのチャンネル群Gに属する10個のチャンネルの位置を、位相方向(周方向)に適宜ずらして各チャンネル群Gを構成したことを特徴とする。言い換えれば、外側から中心に向かって円心状に配列されたチャンネルを選択して、チャンネル群Gを構成していることを特徴とする。これにより、チャンネル群Gごとにトリガ超音波を照射しても、隣り合うチャンネルが少ないので、トリガ超音波を照射するチャンネル群Gにより体表面へ与えるダメージを少なくすることができる。
図17に、本発明の実施例6のトリガ超音波と加熱超音波をチャンネル群Gに分割して照射する図を示す。本実施例は、図16の実施例4のチャンネル群Gの分割形態を異ならせた点が異なり、その他の点は実施例4と同様である。本実施例によれば、一のチャンネル群Gに属ずるチャンネルが互いに接していないから、トリガ超音波を照射するチャンネル群Gにより体表面へ与えるダメージを一層少なく、あるいは全く除去することができる。また、本実施例によれば、図示矢印で示すように、トリガ超音波を照射するチャンネル群Gの順番を、隣り合うチャンネル群Gではなく、超音波プローブ37aの凹球面の配置において、可能な限り離れたチャンネル群Gにしたことを特徴とする。これにより、隣接するチャンネル群Gに対応する体表面へのダメージを少なくすることができる。
図18に、本発明のトリガ超音波と加熱超音波をチャンネル群Gに分割する実施例7を示す。本実施例は、治療プローブ37aの複数n(=40)のチャンネルを、複数m(=2)のチャンネルを含む分割数N(=20)のチャンネル群Gに分割することを特徴とする。本実施例によれば、分割数を大きくしたことから、その分だけ体表面へのダメージを1/20に少なくすることができる。しかし、逆に、各チャンネル単位の治療超音波エネルギの補償は、式(2)に示したように、例えばトリガ超音波の振幅を20倍してトリガ超音波エネルギを補うことになるので、トリガ超音波による音圧が体表面等に及ぼす影響を考慮して採用することが肝要である。例えば、トリガ時間(照射時間)の延長、振幅の補償を考慮することで治療効果を保ちつつ、皮膚へのダメージを低減して、低侵襲を実現することができる。
以上、実施例に基づいて、トリガ超音波と加熱超音波を分割して照射する本発明の特徴について説明した。本発明は、要するに、複数のチャンネル(治療振動子39)を、トリガ超音波を照射するチャンネルと加熱超音波を照射するチャンネルとに分割し、治療超音波サイクルを繰り返す度にトリガ超音波を照射するチャンネルを切り替えることを特徴とする。つまり、一のチャンネルからトリガ超音波を照射し、続いて同一のチャンネルから加熱超音波を照射すると、トリガ超音波により発生した泡が加熱超音波に破壊されて泡の破壊熱が発生することに鑑み、本発明はトリガ超音波と加熱超音波を送出するチャンネルを異ならせたことを特徴とする。言い換えれば、体表面近傍におけるトリガ超音波の伝搬経路(超音波ビーム)と、加熱超音波の伝搬経路(超音波ビーム)を治療超音波サイクルごとに異ならせたのである。これにより、パルス状のトリガ超音波が体表面又はその近傍に照射される間は極めて短く(例えば、μsecオーダー)、加熱超音波の加熱時間はトリガ超音波に比べて長いから、次の治療超音波サイクルにおいて、加熱超音波が照射される前に気泡は消滅しているので、加熱超音波による気泡の破壊は生じない。
また、本発明のように、トリガ超音波と加熱超音波を分割して照射すると、全部のチャンネルからトリガ超音波と加熱超音波を焦点に照射する場合に比べて、各チャンネルから焦点に照射される治療超音波サイクル当りの治療超音波エネルギは減少する。そこで、本発明を実施する際は、治療プローブ制御部であるHIFUコントローラ49は、焦点403に向けて照射する治療超音波エネルギの目標値に合わせて、治療超音波サイクルを構成するトリガ超音波と加熱超音波の治療超音波エネルギを補償する。治療超音波エネルギの目標値は、各チャンネルからトリガ超音波に続けて加熱超音波を焦点403に向けて照射する基本治療超音波エネルギとすることができる。
HIFUコントローラ49は、焦点403から生体の体表面501までの距離Lを計測し、距離Lが予め定めた最小値Xminから最大値Xmax の範囲内である場合に分割照射を行う。距離Lが最大値Xmaxを超えている場合は、分割照射に代えて全てのチャンネルからトリガ超音波に続けて加熱超音波を焦点に向けて照射する基本照射を行うことができる。
さらに、モニタ38に治療プローブ37aの複数のチャンネルの配置構成画像を表示し、トリガ超音波を焦点403に向けて照射するチャンネルと、加熱超音波を焦点403に向けて照射するチャンネルとを、異なる表示形態で表示することが好ましい。これによれば、術者は分割照射の内容を簡単に確認することができる。
図19に本発明の手術・治療時のGUI表示例を示す。3D撮像ボタン1201を押下することで、Axial断面1231、Sagittal断面1232、Coronal断面1233、Volume Rendering画面1234に再構成され、セグメンテーションボタン1202を押下することで自動(又は手動)により、セグメンテーション・領域抽出が行われる。さらに、HIFUビーム照射可/不可領域設定ボタン1203を押下することで、描出したセグメンテーション情報に対して、治療すべき領域1219の他に超音波アクセス不可領域1240を識別する。その他、治療計画・マージン設定ボタン1204を押下することで、治療経路1238を予め算出することもでき、治療時にそれに沿うようガイドすることもできる。
これらの情報は、Volume Rendering画面1234上で自由に回転でき、別視点/角度から閲覧することもできる。また、腫瘍領域(治療領域)であるターゲット1219、それらを含むマージン領域1220を設定する。ここで、治療パラメータ設定ボタン1205を押下することで、上記領域に対する治療パラメータを入力することができる。具体的な入力値として、超音波プローブ37の種類、形状、出力強度、チャンネル毎の単位出力強度などがある。実際の手術時には、ナビゲーションボタン1206を押下することで、治療に必要な機器やナビゲーション等の手術支援機能が連動して動作する。HIFUプローブ37の位置を検出して、Axial断面1231、Sagittal断面1232、Coronal断面1233、Volume Rendering画面1234上に重畳表示される。
術者は、事前に求めた治療経路1238を参考に超音波プローブ37を誘導する。その他、超音波プローブ37の過去の経路を表示することができ、情報画面1225に治療経過・生体情報の他にログ情報として腫瘍領域と治療領域の差や治療回数、時間、割合、残治療回数予定も手術情報としてリアルタイム表示することができる。治療直前には、チャンネル群分割計算ボタン1207を押下することで、HIFU焦点403から対表面501までの距離を計測し、図11のグラフを用いてチャンネル群の分割、及びチャンネル単位の治療超音波エネルギの補償を行う。計算結果は、プローブ情報1211として分割数1212として表示されるだけでなく、予め設定したパラメータ1214を用いてアニメーション表示される1213。
ここで、超音波アクセス不可領域1240に超音波経路がある場合には、プローブの位置変更を促す警告機能も有している。治療直前にこれらの情報をナビゲーション画像上に表示することで、術者に対して視覚的に情報伝達する。HIFUビーム照射・効果確認ボタン1208を押下することで、治療用超音波702と画像用超音波601が交互に照射され、ターゲット1219に対する治療済領域1218がリアルタイムに治療情報・超音波画像が表示され、治療画像に各種情報および警告情報を表示することもできる。
例えば、過去に治療した治療済領域1218を重畳表示し、予定しているマージン領域1220を越えている場合や患者に異常が生じた場合には警告を発する機能を自動的にON/OFFすることもできる。ターゲット1219の他に「残治療領域=ターゲット1219−治療済領域1218」及びマージン1220も表示されていることから、術者には視覚的に残治療領域がわかるようになっており、MR撮像と超音波撮像が連動して交互に撮像する機能も備わっている。MR画像上には特定領域、マージン領域、ARFIによる治療予定領域が同じように表示され、組織コントラストの異なる画像が表示される。
術者は治療前後の画像情報1231〜1234と手術情報1225から再治療を行うかどうか判断し、必要に応じて再治療する。また、MRIの長所としては、身体の深部まで画像化できることが挙げられる。これより、術者は直前の治療画像を目視して術具の移動と追加治療を行うことができる。治療前後の情報は超音波画像1217、3軸断面1231〜1233およびVolume Rendering画像1234、MRI画像の他に、手術情報1225が全て連動することができる。
治療用超音波プローブは人手による操作のほかに、マニピュレータによる機械操作にも対応している。位置情報は位置検出デバイス9から取得してもマニピュレータによる座標を用いて三次元表示1231〜1234としてもよい。
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲で変形又は変更された形態で実施することが可能であることは、当業者にあっては明白なことであり、そのような変形又は変更された形態が本願の特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1 MRI装置、3 上部磁石、5 下部磁石、7 支柱、9 位置検出デバイス、11 アーム、13、14 モニタ、15 モニタ支持部、17 基準ツール、19 パーソナルコンピュータ、21 ベッド、23 MRI制御部、24 患者、25 赤外線カメラ、27 ポインタ、29 術者、33 RS232Cケーブル、34 映像記録装置、35 反射球、37 超音波プローブ、38 モニタ、40 超音波治療装置、49 HIFUコントローラ、50 パワーアンプ、C チャンネル、G1、G2、G3,G4 チャンネル群

Claims (10)

  1. 治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部とを備え、
    前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行うと共に、前記焦点から前記生体の体表面までの距離を計測し、該計測した距離が予め定めた最小値と最大値の範囲内である場合に前記分割照射を行い、前記計測した距離が前記最大値を超えている場合は、前記分割照射に代えて全ての前記チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本照射を行うことを特徴とする超音波治療装置。
  2. 治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部と、前記治療プローブの複数のチャンネルの配置構成画像を表示するモニタとを備え、
    前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行い、
    前記モニタには、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとが、異なる表示形態で表示されることを特徴とする超音波治療装置。
  3. 治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部とを備え、
    前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行うと共に、前記複数のチャンネルを複数チャンネル群に分け、一の前記チャンネル群に属する前記チャンネルから前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射した後、続いて他の前記チャンネル群に属する前記チャンネルから前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する治療超音波サイクルを繰り返し、該治療超音波サイクルの繰返しごとに、前記トリガ超音波を照射する一の前記チャンネル群を他の前記チャンネル群の一に切り替えることを特徴とする超音波治療装置。
  4. 前記治療プローブ制御部は、前記焦点に向けて照射する治療超音波エネルギの目標値に合わせて、前記トリガ超音波の振幅、周波数あるいは照射時間の少なくとも一つ、又は前記加熱超音波の振幅、周波数又は照射時間の少なくとも一つを調整して治療超音波エネルギを補償することを特徴とする請求項に記載の超音波治療装置。
  5. 前記治療超音波エネルギの目標値は、前記各チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基準治療超音波エネルギであることを特徴とする請求項に記載の超音波治療装置。
  6. 前記治療プローブ制御部は、前記焦点から前記生体の体表面までの距離を計測し、該計測した距離が予め定めた最小値と最大値の範囲内である場合に前記分割照射を行い、前記計測した距離が前記最大値を超えている場合は、前記分割照射に代えて全ての前記チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本照射を行うことを特徴とする請求項に記載の超音波治療装置。
  7. 前記複数のチャンネルの数をnとし、前記チャンネル群が有する複数のチャンネルの数をmとした場合、前記治療プローブ制御部は、前記トリガ超音波の振幅をn/m倍すること、又は前記トリガ超音波の周波数を整数倍して前記トリガ超音波エネルギを調整することにより、前記治療超音波エネルギを補償することを特徴とする請求項に記載の超音波治療装置。
  8. 前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波エネルギを補償すると、前記トリガ超音波のエネルギ又は前記加熱超音波のエネルギが予め設定された上限値を超える場合、その旨の警報を音声、音又は画像情報により報知することを特徴とする請求項に記載の超音波治療装置。
  9. 前記上限値は、前記チャンネルと前記焦点との間に位置する前記生体の体表面の火傷を防止する値に設定されることを特徴とする請求項に記載の超音波治療装置。
  10. 治療超音波を発生する治療振動子からなるチャンネルを複数有してなる治療プローブと、前記治療プローブから生体の治療対象部位に設定される焦点に、トリガ超音波に続けて前記トリガ超音波より強度が弱い加熱超音波を照射する治療超音波サイクルを繰り返す治療プローブ制御部と、前記治療プローブの中心部に設けられ、前記生体との間で撮像用の超音波を送受する複数の撮像振動子を有してなる撮像プローブと、前記撮像プローブの受信信号から生成される前記焦点を含む超音波画像を生成する超音波画像構成部と、前記超音波画像を表示する表示部と、前記治療プローブの位置を検出する三次元位置検出器と、前記生体の前記治療対象部位を含めた三次元ボリューム画像データが蓄積されたメモリと、前記三次元位置検出器により検出された前記治療プローブの位置に基づいて、前記三次元ボリューム画像データから前記超音波画像の断層面に対応するナビゲーション画像を生成して前記表示部に表示するナビゲーション画像構成部とを有する医用画像装置とを備え、
    前記医用画像装置は、前記各チャンネルと前記焦点を結ぶ治療超音波ビームの模擬画像を生成して前記ナビゲーション画像に重ねて描出する治療超音波ビーム描出部を備え、
    前記治療プローブ制御部は、前記治療超音波サイクルごとに、前記トリガ超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルと、前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する前記チャンネルとを異ならせる分割照射を行い、前記表示部に表示された前記超音波画像に基づいて、前記焦点から前記生体の体表面までの距離を計測し、該計測した距離が予め定めた最小値と最大値の範囲内である場合に前記分割照射を行い、前記計測した距離が前記最大値を超えている場合は、前記分割照射に代えて全ての前記チャンネルから前記トリガ超音波に続けて前記加熱超音波を前記焦点に向けて照射する基本照射を行うことを特徴とする超音波治療システム。
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