JP2012042530A - 長尺状光学フィルムの製造方法、及び長尺状円偏光板の製造方法 - Google Patents

長尺状光学フィルムの製造方法、及び長尺状円偏光板の製造方法 Download PDF

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【課題】高精細なパターン状の光学異方性層を有する長尺状の光学フィルムを、連続的且つ安定的に製造可能な方法を提供する。
【解決手段】長尺状支持体、及びその上に、少なくとも1種の光学特性が互いに異なる複数の領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムの製造方法であって、
複数の搬送ローラにより連続的に搬送される長尺状の支持体上に、感光性組成物を供給し、感光性組成物の感光性膜を形成する第1の工程、及び支持体上の感光性膜をパターン露光する第2の工程、を少なくとも含み、前記第2の工程において、2つの搬送ローラ間に配置されたドラムの表面に支持体が押し付けられた状態で、その上に配置された感光性膜に対してパターン露光を行うことを特徴とする長尺状光学フィルムの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、3D画像表示システム等に有用な、高精細なパターン状の光学異方性層を有する長尺状光学フィルム及び長尺状円偏光板を、連続的且つ安定的に製造可能な方法に関する。
立体画像を表示する3D用画像表示装置には、右眼用画像及び左眼用画像を、例えば、互いに反対方向の円偏光画像とするための光学部材が必要である。かかる光学部材の作製には、偏光膜の吸収軸、位相差膜の遅相軸等が互いに異なる領域を規則的に配置するパターン形成技術が必要であり、種々提案されている(例えば、特許文献1〜6)。
しかし、パターン光学異方性層を連続的に、長尺状の支持体上に形成する方法については提案されていない。さらに、パターン光学異方性層を有する長尺状の光学フィルムと、長尺状の偏光膜とを、ロール・ツー・ロールで貼合して、連続的に長尺状の円偏光板を製造する方法についても提案されていない。
一方、連続的に長尺状光学フィルム等を製造可能な方法についても提案されているが(例えば、特許文献7及び8)、パターン形成技術を簡易且つ安定的に連続的に実施する方法については提案されていない。
特開平10−90675号公報 特開平10−153707号公報 特開平11−84385号公報 特開2007−52310号公報 特開2007−71952号公報 特開2009−223001号公報 特開平9−73081号公報 特開2004−333720号公報
安定的且つ経済的に長尺状パターン位相差フィルムを製造可能にするためには、ロール・ツー・ロールによる製造が有利である。高精度にパターニングされたパターン位相差フィルムを製造するために、パターン露光を実施する際には、フィルムの被露光面と、フォトマスク、及び光源の相対位置を一定に保つ必要がある。しかし、連続的に搬送される長尺状フィルムに対しては、その相対的位置関係を維持しつつ、パターン露光を行うのが困難である。
本発明は、3D画像表示システム等に有用な、高精細なパターン状の光学異方性層を有する長尺状の光学フィルムを、連続的且つ安定的に製造可能な方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、3D画像表示システム等に有用な長尺状の円偏光板を、連続的且つ安定的に製造可能な方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 長尺状支持体、及びその上に、少なくとも1種の光学特性が互いに異なる複数の領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムの製造方法であって、
複数の搬送ローラにより連続的に搬送される長尺状の支持体上に、感光性組成物を供給し、感光性組成物の感光性膜を形成する第1の工程、及び
支持体上の感光性膜をパターン露光する第2の工程、
を少なくとも含み
前記第2の工程において、2つの搬送ローラ間に配置されたドラムの表面に支持体が押し付けられた状態で、その上に配置された感光性膜に対してパターン露光を行うことを特徴とする長尺状光学フィルムの製造方法。
[2] 前記第2の工程において、ドラムの中心軸に対して平行な位置に配置された露光スリットを通して感光性膜をパターン露光することを特徴とする[1]の方法。
[3] 前記パターン露光を、搬送方向に対して直交方向に透光部と遮光部とが交互に配置されたストライプ状フォトマスクを介して行うことを特徴とする[1]又は[2]の方法。
[4] 前記ドラムが冷却装置を有していることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 前記感光性組成物が、光硬化性液晶組成物であって、第2の工程が、露光により光硬化性液晶組成物の光硬化反応を進行させ、その配向状態を固定する工程であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 長尺状の支持体が、配向処理された配向膜を有し、前記第1の工程において、配向膜の配向処理面に、前記光硬化性液晶組成物を供給することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7] 前記配向膜が、ラビング処理されたラビング配向膜であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 前記第1の工程前に、少なくとも下記1−1)及び1−2)工程
1−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上にラビング配向膜を形成する工程
1−2)ラビング配向膜を一方向にラビング処理する工程、を実施し;
前記第1の工程が、下記1−3)工程
1−3)長尺状の透明支持体上に形成されたラビング配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程、であり;
前記第1及び第2の工程の間に、少なくとも下記1−4)工程
1−4)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、膜中の液晶をラビング方向に対して、直交配向させる工程、を実施し;
前記第2の工程が、下記1−5)工程
1−5)直交配向状態の液晶を含有する光硬化性液晶組成物膜に、フォトマスク下で、パターン露光して、露光領域の光硬化反応を進行させて直交配向状態を固定化する工程、であり;
前記第2の工程の後に、少なくとも下記1−6)及び1−7)工程
1−6)光硬化性液晶組成物膜を温度T(但し、T<T)℃で加熱して、未照射領域の膜中の液晶を、ラビング方向に対して平行配向させる工程
1−7)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、光硬化反応を進行させて、平行配向状態を固定化し、パターン光学異方性層を形成する工程、を実施することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 前記感光性組成物が、光配向膜用組成物であって、第2の工程が、露光により該組成物の膜に光配向能を発現させる工程であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの方法。
[10] 第2の工程の後に、前記光配向膜上で光硬化性液晶組成物からなるパターン光学異方性層を形成する第3の工程を実施することを特徴とする[9]の方法。
[11] 前記第1の工程が、下記2−1)工程
2−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上に、光配向膜用組成物を塗布して、光配向膜を形成する工程、であり;
前記第1の工程と第2の工程との間に、少なくとも下記2−2)工程
2−2)光配向膜に、偏光を全面照射して、光配向膜に第1の方向の配向能を発現させる工程、を実施し;
前記第2の工程が、下記2−3)工程
2−3)光配向膜に対して、2−2)工程の偏光と直交する方向の偏光を、フォトマスク下で、パターン露光し、露光部の光配向膜に第1の方向と直交する方向の配向能を発現させてパターン光配向膜を形成する工程、であり;
前記第2の工程の後に、少なくとも下記2−4)〜2−6)工程
2−4)パターン光配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程
2−5)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、光硬化性液晶組成物膜中の液晶を、第1及び第2の方向に発現された光配向膜の配向能に従って、それぞれパターン配向させる工程
2−6)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、パターン配向状態を固定化して、パターン光学異方性層を形成する工程、
を実施すること特徴とする[1]〜[4]、[9]及び[10]のいずれかの方法。
[12] 前記光硬化性液晶組成物が、少なくとも1種のディスコティック液晶を含有することを特徴とする[5]〜[8]、[10]及び[11]のいずれかの方法。
[13] 前記光硬化性液晶組成物中の液晶化合物が棒状液晶であることを特徴とする[5]〜[8]、[10]及び[11]のいずれかの方法。
[14] 前記パターン光学異方性層が、互いに直交する面内遅相軸を有する第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、前記第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの方法。
[15] [1]〜[14]のいずれかの方法を実施して、長尺状支持体、及びその上に、面内遅相軸が互いに直交する第1及び第2の位相差領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムを作製すること、
作製された長尺状光学フィルムと長尺状直線偏光膜とを、長尺状光学フィルムの第1及び第2の位相差領域の面内遅相軸と、長尺状直線偏光膜の吸収軸方向とを45°にして、連続的に貼合すること、
を少なくとも含む、長尺状円偏光板の製造方法。
[16] 3D画像表示システムに用いられる円偏光板の製造方法であることを特徴とする[15]の方法。
本発明によれば、3D画像表示システム等に有用な高精細なパターン状の光学異方性層を有する長尺状の光学フィルムを、連続的且つ安定的に製造可能な方法を提供することができる。
また、本発明によれば、3D画像表示システム等に有用な長尺状の円偏光板を、連続的且つ安定的に製造可能な方法を提供することができる。
本発明の製造方法により製造される光学フィルムの一例の断面模式図である。 本発明に係わるパターン光学異方性層の一例の上面模式図である。 本発明の製造方法により製造される円偏光板の一例の断面模式図である。 実施例で作製した光学フィルムの光学特性の評価結果の一例を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書では、「可視光」とは、380nm〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、本明細書中、「感光性組成物」とは、紫外線等の光照射によって、重合反応、架橋反応等の化学反応が進行する組成物のみならず、光異性化、光分解等、結合の形成を伴わずに、光照射部と光非照射部の物性に差が生じる組成物に対しても用いるものとする。
また、本明細書では、光学異方性層の「少なくとも1種の光学特性が異なる」とは、面内レターデーションRe、厚み方向レターデーションRth、及び遅相軸等の光軸の方向等、光学異方性層の光学特性そのもの、又は光学特性に影響を与える物性等のいずれか1種又は2種以上が異なることをいうものとする。
1. 長尺状光学フィルムの製造方法
本発明は、3D画像表示システム等に有用な、高精細なパターン状の光学異方性層を有する長尺状光学フィルムの製造方法に関する。具体的には、本発明は、
長尺状支持体、及びその上に、少なくとも1種の光学特性が互いに異なる複数の領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムの製造方法であって、
複数の搬送ローラにより連続的に搬送される長尺状の支持体上に、感光性組成物を供給し、感光性組成物からなる感光性膜を形成する第1の工程、及び
支持体上の感光性膜をパターン露光する第2の工程、
を少なくとも含み
前記第2の工程において、2つの搬送ローラ間に配置されたドラムの表面に支持体が押し付けられた状態で、その上に配置された感光性膜に対してパターン露光を行うことを特徴とする長尺状光学フィルムの製造方法に関する。
本発明では、支持体をドラム上に押し付け、被露光面を固定した状態でパターン露光を行っているので、連続的に搬送しつつも、高い精度でパターン露光を実施することができる。パターン露光の際の位置ズレは、面内レターデーションRe等のバラツキ、及びパターン間の境界領域の欠陥を生じさせる。本発明の方法によれば、パターン露光時の位置ズレの発生を抑制できるので、面内レターデーション等のバラツキがなく、及びパターン間の境界領域に欠陥のない、パターン光学異方性層を有する光学フィルムを、高い生産性で製造することができる。
本発明の製造方法では、複数の搬送ローラにより、ポリマーフィルム等の支持体を連続的に搬送しつつ、第1及び第2の工程を実施する。本発明に利用可能な搬送ローラは、例えば、円筒状を呈しており、回転軸Aを有し、この回転軸Aに対して回転方向ωに回転可能なものである。搬送ローラの回転軸Aはフィルムの搬送方向と直交していることが好ましい。また、搬送ローラは、駆動ローラであっても、従動ローラであってもよく、また双方を利用してもよい。さらに、支持体の搬送時における張力を調整可能な、テンションローラとして作用するローラであってもよい。また、支持体を上下から挟み込む構成(ローラー対)を搬送ローラとして用いてもよい。
支持体としては、ポリマーフィルムを用いることができる。利用可能なポリマーフィルムについては、後述する。長尺状のポリマーフィルムは、例えば、ロール状に巻き上げられた状態で保管・運搬等されるのが一般的である。本発明でも、ロール状に巻き上げられた形態の長尺状ポリマーフィルムを用いて、連続的に送り出し、搬送してもよい。
第1の工程では、支持体上に感光性組成物を供給し、感光性組成物からなる感光性膜(例えば、感光性組成物の塗布液を塗布して供給する態様では、塗膜)を形成する。支持体として用いられるポリマーフィルムの表面に供給してもよいし、また、第1の工程の前に、ポリマーフィルムの表面に、機能層(例えば、ラビング配向膜)を形成し、当該機能層の表面に、感光性組成物を供給してもよい。感光性組成物の一例は、液晶を含有する光硬化性液晶組成物である。また、感光性組成物の他の例は、液晶の配向制御に用いられる光配向膜用組成物である。前者は、光硬化反応性という感光性を示し、後者は光配向性能の発現という感光性を示す。それぞれを用いた本発明の製造方法の各態様については、後述する。
第2の工程では、支持体上に形成された感光性膜を、パターン露光する。本発明では、パターン露光を、2つの搬送ローラ間に配置されたドラムの表面に支持体が押し付けられた状態で、その上に配置された感光性膜に対して行うことに一つの特徴がある。支持体をドラムに押し付ける手段については特に制限はない、例えば、静電気力によって支持体をドラム上に押し付けてもよいし、またドラムの表面に細孔を形成し、ドラム中心部に向かう気流を形成することで、支持体をドラム上に押し付けてもよい。さらに、種々の部材によって外力を加えることで、支持体をドラム上に押し付けてもよい。さらに、ドラムの上流及び下流に配置されている2つの搬送ローラの配置及びその搬送方向等によって、支持体がドラム上に押し付けられるように構成することも可能である。
本発明に使用するドラムについては特に制限はない。一例は、円筒状を呈しており、回転軸Aを有し、この回転軸Aに対して回転方向ωに回転可能なドラムである。ドラムの回転軸Aはフィルムの搬送方向と直交していることが好ましく、その回転軸を、ドラムの上流及び下流に配置された2つの搬送ローラの回転軸と、平行に設置されていることが好ましい。
ドラムの材質についても特に制限はない。表面が十分に平滑であることが好ましい。フィルムが搬送されるのとともに、ドラムも回転して、ドラムと支持体の接触位置が変化しない構成とするのが好ましい。ドラムの直径の好ましい範囲は、露光時に用いられる露光スリットの幅によって異なるが、該スリット幅の1〜500倍であることが好ましく、2〜200倍であることがより好ましい。ドラムは軸方向の長さ(ドラム幅)が支持体の幅より長いことが好ましい。
ドラムは、その温度を調節可能に構成されていてもよい。例えば、ドラムを加熱する加熱手段として、その中心部にヒータが配置されていてもよい。また、ドラムを冷却する冷却手段として、ドラムの内部に、冷媒を循環させるための配管、この冷媒を循環させるためのポンプも備えていてもよい。一例では、ドラムの温度を測定するための温度センサが設けられ、該温度センサによって測定されたドラムの温度に基づいて、加熱手段及び/又は冷却手段を制御する制御部を備える構成である。制御部は、温度センサによって測定されたドラムの温度に基づいて、加熱手段及び/又は冷却手段を制御し、ドラムの温度が一定の温度になるように、又は所定の温度範囲外にならないように制御する。ドラムの温度を適切な範囲に維持することにより、より安定的にパターン露光を実施することができる。
パターン露光は、例えば、光源と感光性膜の被露光面との間に配置されたフォトマスクを介して光照射することで実施することができる。フォトマスクは、所望の光学異方性層のパターンに応じて、設計・製造される。ストライプ状、又は格子状に、透光部及び遮光部が配置されやフォトマスク等を利用することができる。フォトマスクを介してパターン露光を実施する一態様では、搬送方向に対して直交方向に、透光部と遮光部が交互に配置されたストライプ状フォトマスクを介して前記パターン露光を行う。即ち、本態様では、ストライプ状フォトマスクは、そのストライプ模様を搬送方向と平行にして配置される。
本発明では、光源と感光性膜の被露光面との間に設けられた露光スリットを通して、パターン露光するのが好ましく、特に、ドラムの中心軸に対して平行な位置に配置された露光スリットを通して感光性膜をパターン露光することが好ましい。この構成とすることで、光源からの光が平行化され、より安定的にパターン露光を実施することができる。
パターン露光に用いられる露光用光源については特に制限はない。感光性膜の感光性波長域、及び露光により生じる感光性膜の変化(例えば化学変化、異性化)等に応じて、適切な波長域の光を適切な強度で発光可能な光源が選択されるであろう。
光源とともに、レンズ及び/又は鏡を含む光学系を備えていてもよい。また、偏光をパターン露光する態様では、光源とフォトマスクとの間に、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)、ブリュースター角を利用した反射型偏光子を配置するのが好ましい。又は、偏光を発光するレーザー光源を利用してもよい。また、フィルタや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
また、本発明では、被露光面を、ドラムの軸と平行な方向から光照射可能となるように、光源を配置・構成するのが好ましい。
また、本発明では、感光性膜の被露光面、フォトマスク、露光スリット、光源等の相対位置を測定するセンサを配置してもよい。該センサによって検出される相対的位置関係を示すデータに基づいて、搬送ローラによる搬送速度、ドラムの回転速度、フォトマスク及び/または露光スリットの位置等のファクタを制御する制御系を備えているのが好ましい。該制御系は、センサによって検出されるデータに基づいて、相対的位置関係を一定とするように、又は所定の範囲外とならないように、上記ファクタのいずれかを制御する。
本発明の製造方法の実施には、特開平9−73081号公報に記載の諸条件、装置を適用することができる。
(1)第1の実施形態
次に、感光性組成物として、光硬化性液晶組成物を用いる、本発明の製造方法の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、一方向にラビング処理されたラビング配向膜を利用する。ラビング配向膜は、ラビング処理によって配向制御能を発現する。一例では、ラビング膜のラビング方向と、液晶を配向させる際の加熱条件に従って、配向軸が決定する。通常、一方向にラビング処理された配向膜上で液晶を配向させると、液晶は、ラビング方向に対して、その遅相軸を平行にして、又は直交にして配向する。その状態でパターン露光すると、露光部の光硬化反応が進行し、配向状態が固定される。未露光部は、固定されていないので、加熱条件を変えることによって、例えば、配向膜材料、液晶、及び配向制御剤のいずれか2つ又は3つの材料間の親和性が変化し、露光部の配向状態とは異なる配向状態に転移可能になる。加熱条件を変化させて、未露光部を所望の異なる配向状態に転移させた後、露光して、光硬化反応を進行させると、該配向状態が固定される。この様にして、パターン光学異方性層を形成することができる。以下、この実施形態について具体的に説明する。
第1の実施形態では、
前記第1の工程前に、少なくとも下記1−1)及び1−2)工程
1−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上にラビング配向膜を形成する工程
1−2)ラビング配向膜を一方向にラビング処理する工程、を実施し;
前記第1の工程が、下記1−3)工程
1−3)長尺状の透明支持体上に形成されたラビング配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程、であり;
前記第1及び第2の工程の間に、少なくとも下記1−4)工程
1−4)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、膜中の液晶を、ラビング方向に対して直交配向させる工程、を実施し;
前記第2の工程が、下記1−5)工程
1−5)直交配向状態の液晶を含有する光硬化性液晶組成物膜に、フォトマスク下で、パターン露光して、露光領域の光硬化反応を進行させて直交配向状態を固定化する工程、であり;
前記第2の工程の後に、少なくとも下記1−6)及び1−7)工程
1−6)光硬化性液晶組成物膜を温度T(但し、T<T)℃で加熱して、未照射領域の膜中の液晶を、ラビング方向に対して平行配向させる工程
1−7)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、光硬化反応を進行させて、平行配向状態を固定化し、パターン光学異方性層を形成する工程、を実施する。
上記各工程は一貫して連続して行ってもよいし、特定の工程終了時に、例えば、一旦ロール状に巻き取った後に、再度送り出し、次工程を実施してもよい。前者の態様が、生産性の観点で好ましい。
以下、各工程について詳細に説明する。
1−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上にラビング配向膜を形成する工程
本発明に利用可能な「ラビング配向膜」とは、ラビングによって、液晶分子の配向規制能を有するように処理された膜を意味する。ラビング配向膜には、液晶分子を配向規制する配向軸があり、当該配向軸に従って、液晶分子が配向する。
配向膜の作製においては、搬送される長尺状の支持体の表面に配向膜用組成物を、連続的に供給し、例えば連続的に塗布して、配向膜を形成するのが好ましい。
なお、ラビング配向膜の形成に利用可能な材料については後述する。
1−2)ラビング配向膜を一方向にラビング処理する工程
本工程では、支持体上に形成された配向膜の表面に、一方向にラビング処理を施す。一例では、長手方向(搬送方向)に対して45°の方向にラビング処理する。ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。ラビングローラを用いて実施するのが好ましい。ラビングローラの直径は、ハンドリング適性、及び布寿命の観点から、100mm〜500mmであることが好ましく、200mm〜400mmであることが更に好ましい。ラビングローラの幅は、搬送するフィルムの幅よりも広いことが好ましく、フィルム幅×√2以上であることが好ましい。ラビングローラの回転数は、発塵の観点から低く設定することが好ましく、液晶化合物の配向性にもよるが、100rpm〜1000rpmであることが好ましく、250rpm〜850rpmであることがさらに好ましい。
ラビングローラの回転数を低くしても液晶組成物の配向性を維持するには、ラビング時に、配向膜を加熱することが好ましい。加熱温度は、配向膜表面の膜面温度で、(素材のTg−50℃)〜(素材のTg+50℃)であることが好ましい。ポリビニルアルコールからなる配向膜を使用する場合は、ラビングの環境湿度を制御することが好ましく、25℃の相対湿度として25%RH〜70%RHであることが好ましく、30%RH〜60%RHであることが更に好ましく、35%RH〜55%RHであることがより更に好ましい。
ラビング工程における支持体の搬送速度は、生産性の観点と液晶の配向性の観点から、10m/分〜100m/分であることが好ましく、15m/分〜80m/分であることが更に好ましい。搬送は、従来、フィルムの搬送に用いられる種々の装置を用いて行うことができ、特に搬送方式については制限されない。
ラビング密度については、「液晶便覧」(丸善社発行)に詳細な記載がある。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラの接触長、rはローラの半径、nはローラの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
よって、ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラの接触長を長く、ローラの半径を大きく、ローラの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
1−3)長尺状の透明支持体上に形成されたラビング配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程
本実施形態において、1−3)工程は、本発明の製造方法の第1の工程である。本工程において用いる光硬化性液晶組成物は、パターン光学異方性層となるための材料を含む組成物であり、少なくとも1種の液晶化合物を含有する。また、光硬化性であるために、光硬化反応可能な成分を含有していて、液晶化合物が、光硬化反応可能な成分であってもよいし、また別途、光重合性モノマー、光架橋剤等を含んでいてもよい。前記光硬化性液晶組成物の一例は、重合性基を有する液晶化合物の少なくとも1種、及び配向制御剤の少なくとも1種を含有する光硬化性液晶組成物である。その他、重合開始剤及び増感剤を含有していてもよい。使用可能な各成分の具体例については、後述する。
前記光硬化性組成物は、塗布液として調製されているのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
均一性の高い光学異方性層を作製するためには、塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であるのが更に好ましい。この低表面張力を実現するには、該塗布液に、界面活性剤、又はフッ素化合物、特に、下記(1)のモノマーに相当する繰り返し単位及び下記(2)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体等のフッ素系ポリマーを含有することが好ましい。
(1)下記一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
(2)ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/又はポリ(オキシアルキレン)メタクリレート
前記一般式[1]において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子又は−N(R)−を表し、mは1〜6の整数、nは2又は3の整数を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
光学異方性層形成用塗布液中に添加する前記フッ素系ポリマーの重量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましい。さらに、前記フッ素系ポリマーの添加量は、液晶化合物を主とする塗布組成物(溶媒を除いた塗布成分)に対して0.005〜8質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量が上記範囲であると、フッ素系ポリマーの添加効果が得られ、且つ塗膜の乾燥性も良好となるので好ましい。
前記塗布液のラビング処理面への塗布方法については、特に制限はなく、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法により実施することができる。塗布量は、光学異方性層の所望の厚みに基づいて適宜決定することができる。
前記光硬化性液晶組成物を塗布した後、所望により加熱して、溶媒を除去し乾燥することによって、光硬化性液晶組成物膜が形成される。
1−4)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、ラビング方向に対して、液晶の長軸を直交配向させる工程
本工程では、光硬化性液晶組成物膜中の液晶分子を、温度T℃で、配向膜のラビング方向に対して、液晶を直交配向させる。棒状液晶では、その分子の長軸を、ラビング方向に対して直交にして水平直交配向させるのが好ましい。ディスコティック液晶では、その円盤面を膜面に対して垂直にして、且つ円盤面がラビング軸に対して直交にして垂直直交配向させるのが好ましい。後述する1−7)工程では、ラビング方向に対して、液晶を平行配向させる。これにより、面内遅相軸が互いに直交する第1及び第2の位相差領域が形成される。さらに、これらの工程における液晶の配向状態によって、光学異方性層の光学特性(Re及びRth)が決定される。前記光学異方性層は、λ/4板、即ち直線偏光を円偏光に変換する機能を有する光学異方性層であるのが好ましい。
本工程では、塗布された塗布液を乾燥するのと同時に又は乾燥した後に、温度T℃で液晶を直交配向させる。液晶組成物は、乾燥時の加熱によってもしくは乾燥後の加熱によって、所望の配向となる。乾燥温度は、塗布液に用いた溶媒の沸点ならびに支持体及び配向膜の素材を考慮して決定することができる。液晶組成物の配向温度T℃は、用いる液晶組成物の液晶相−固相転移温度に応じて決定することができる。液晶組成物として、ディスコティック液晶化合物を用いる場合は、配向温度T℃は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましく、70〜90℃がより好ましい。ただし液晶の種類によって、好ましい配向温度は変動するであろう。加熱は、所定の温度の温風を送風することによって、又は所定の温度に維持された加熱室内を搬送することによって実施できる。
1−5)直交配向状態の液晶を含有する光硬化性液晶組成物膜に、フォトマスク下で、パターン露光して、露光領域の光硬化反応を進行させて直交配向状態を固定化する工程
本実施形態では、1−5)工程は、本発明の製造方法の第2の工程であり、即ち、光硬化性液晶組成物膜を、支持体をドラム上に押し付けた状態で、パターン露光する。この露光により、露光部の直交配向状態が固定される。フォトマスクは、光学異方性層の所望の形状及び配置のパターンに応じて、設計・製造される。立体画像表示用の画像表示装置に用いられる態様では、前記第1及び第2の位相差領域が、互いの短辺の長さがほぼ等しい帯状又は格子状であり、かつ交互に繰り返しパターニングされていることが好ましく、当該パターンになる様に、フォトマスクが選択される。
光硬化性液晶組成物の光硬化反応進行のためには、紫外線を照射するのが好ましい。フォトマスク下での紫外線照射では、露光量は、50〜1000mJ/cm程度であることが好ましく、50〜200mJ/cm程度であることがさらに好ましい。パターン解像度を向上させるためには、室温で露光することが好ましい。
1−6)光硬化性液晶組成物膜を温度T(但し、T<T)℃で加熱して、未照射領域の膜中の液晶を、ラビング方向に対して平行配向させる工程
本工程では、光硬化性液晶組成物膜を温度T(但し、T<T)℃で加熱することで、未露光領域の膜中の液晶を直交配向状態から平行配向状態へ転移させる。温度T℃では、配向膜材料、液晶、及び配向制御剤のいずれか2つ又は3つの相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。温度T℃まで上昇すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。これらの状態を達成する温度T℃及びT℃の好ましい範囲は、使用する各材料によって変動し、一概に決めることはできない。一例では、T℃は、70〜90℃であるのが好ましい。一方、T℃は、配向膜の配向規制力が確保でき、支持体として用いるポリマーフィルムを劣化させない程度であれば、前記液晶化合物の等方相転移温度以上であってもよい。
1−7)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、光硬化反応を進行させて、平行配向状態を固定化し、パターン光学異方性層を形成する工程
1−6)工程により、T℃まで加熱して、液晶の分子を平行配向状態とした後、再び、光硬化膜を紫外線露光して、1−5)工程で未露光であった領域の光硬化反応を進行させ、その配向状態を固定する。これにより、面内遅相軸が互いに直交する第1及び第2の位相差領域を有するパターン光学異方性層が形成される。
本工程では、光硬化性膜を全面露光してもよい。露光量は、200〜2000mJ/cm程度であることが好ましく、500〜1000mJ/cm程度であることがさらに好ましい。
なお、本工程では、パターン露光をする必要はないので、支持体をドラム上に押し付けて露光する必要はない。勿論、支持体をドラム上に押し付けた状態で、全面露光を実施してもよい。
第1の位相差領域と第2の位相差領域の正面レターデーション値(Re)、膜厚方向のレターデーション値(Rth)を等しくするため、1−5)及び1−7)工程における露光時の温度を制御することが好ましい。例えば、1−5)工程は、温度T℃で実施してもよいし、室温程度まで温度を下げてから実施してもよい。また、1−7)工程は、温度T℃で実施してもよいし、T℃より低い温度にしてから実施してもよい。但し、1−7)工程は、T℃より高い温度で実施するのが好ましい。
1−5)及び1−7)工程では、液晶化合物の重合反応を進行させるために紫外線を照射する。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)あるいはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が好ましく用いられる。各工程の照射エネルギーの好ましい範囲については、上記した通りであるが、一般的には、10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、25〜800mJ/cmであることがさらに好ましい。照度は、一般的には、10〜1000mW/cmであることが好ましく、20〜500mW/cmであることがより好ましく、40〜350mW/cmであることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。
上記1−7)の工程を実施した後、パターン光学異方性層が形成された長尺状の光学フィルムをロール状に巻き取ってもよい。巻き取りは、例えば、連続的に搬送される長尺状の光学フィルムを、円筒状の芯に巻きつけることによって行ってもよい。ロール形態であると、長尺状に連続的に製造した場合にも、その取り扱いが容易である。そのままの形態で保管・搬送できる。
また、1−3)工程を実施した後、何れかの時点において、形成した光硬化性液晶組成物膜の上に、保護層を設けることもできる。例えば、あらかじめ作製した保護層用フィルムを、長尺状に作製された光硬化性液晶組成物膜の表面に連続的にラミネートしてもよい。保護層の設置は、1−7)工程の実施後に行われることが好ましい。
また、上記1−2)工程では、配向膜の表面を除塵しながら、ラビングローラ等を用いてラビング処理してもよい。及び/又は上記1−2)工程の後、1−3)工程の前に、ラビング処理した配向膜の表面を除塵する工程を実施してもよい。
及び/又は上記1−7)工程の後に、形成した光学異方性層の光学特性を連続的に測定することにより検査する検査工程を含んでいてもよい。
(2)第2の実施形態
次に、感光性組成物として、光配向膜用組成物を用いる、本発明の製造方法の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、パターン露光により配向能が発現されたパターン光配向膜を形成する。全面に偏光を露光した後、該偏光と直交する偏光をパターン露光することにより、互いに直交する方向に配向制御能を有するパターン光配向膜が形成できる。当該パターン光配向膜上で液晶を配向させると、液晶は、各パターンの配向制御能の方向に沿って配向する。その状態を固定することにより、パターン光学異方性層を形成することができる。以下、この実施形態について具体的に説明する。
第2の実施形態では、
前記第1の工程が、下記2−1)工程
2−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上に、光配向膜用組成物を塗布して、光配向膜を形成する工程、であり;
前記第1の工程と第2の工程との間に、少なくとも下記2−2)工程
2−2)光配向膜に、偏光を全面照射して、光配向膜に第1の方向の配向能を発現させる工程、を実施し;
前記第2の工程が、下記2−3)工程
2−3)光配向膜に対して、2−2)工程の偏光と直交する方向の偏光を、フォトマスク下で、パターン露光し、露光部の光配向膜に第1の方向と直交する方向の配向能を発現させてパターン配向膜を形成する工程、であり;
前記第2の工程の後に、少なくとも下記2−4)〜2−6)工程
2−4)パターン光配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程
2−5)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、光硬化性液晶組成物膜中の液晶を、第1及び第2の方向に発現された光配向膜の配向能に従って、それぞれパターン配向させる工程
2−6)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、パターン配向状態を固定化して、パターン光学異方性層を形成する工程、
を実施する。
上記各工程は一貫して連続して行ってもよいし、特定の工程終了時に、例えば、一旦ロール状に巻き取った後に、再度送り出し、次工程を実施してもよい。前者の態様が、生産性の観点で好ましい。
以下、各工程について詳細に説明する。
2−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上に、光配向膜用組成物を塗布して、光配向膜を形成する工程
本実施形態において、2−1)工程は、第1の工程である。本工程において、光配向膜用組成物に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本態様では、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルが好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルである。
光配向膜用組成物は、塗布液として調製するのが好ましい。塗布液の調製に使用可能な溶媒については、特に制限はなく、例えば、前記第1の実施形態に用いられる光硬化性液晶組成物を塗布液として調製する場合に用いられる溶媒の例と同様である。
また、塗布方法についても特に制限はない。上記第1の実施形態の1−3)工程における利用可能な塗布方法の例と同様である。
塗布後に、所望により加熱して、溶媒を除去し乾燥することで、光配向膜が形成される。
2−2)光配向膜に、偏光を全面照射して、光配向膜に第1の方向の配向能を発現させる工程
光配向膜は、光照射によって配向制御能が発現される配向膜である。本工程に従って、光配向膜に偏光が全面照射されると、偏光の方向に基づいて、第1の方向に一様に配向制御能が発現される。
2−3)光配向膜に対して、2−2)工程の偏光と直交する方向の偏光を、フォトマスク下で、パターン露光し、露光部の光配向膜に第1の方向と直交する方向の配向能を発現させてパターン配向膜を形成する工程
本工程は、本発明の製造方法の第2の工程であり、即ち、光配向膜を、支持体をドラム上に押し付けた状態で、パターン露光する。本工程により、互いに直交する方向、第1及び第2の方向に配向制御能が発現された、パターン光配向膜が形成される。一例では、第1及び第2の方向のいずれか一方が、長手方向(搬送方向)に対して+45°の方向であり、他方が−45°の方向である。
2−2)及び2−3)工程において用いる偏光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルタや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、直線偏光の場合、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。前記光の入射角度は、前記光配向材料によって異なるが、例えば、0〜90°(垂直)、好ましくは40〜90°である。照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
本態様では、前記2−3)工程の後、少なくとも下記2−4)〜2−6)
2−4)パターン光配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程
2−5)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、光硬化性液晶組成物膜中の液晶を、第1及び第2の方向に発現された光配向膜の配向能に従って、それぞれパターン配向させる工程
2−6)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、パターン配向状態を固定化して、パターン光学異方性層を形成する工程、
を実施する。
前記2−4)工程に利用される光硬化性液晶組成物ついては、前記第1の実施形態における1−3)工程に用いられる光硬化性液晶組成物と同様であり、また塗布液の調製に用いられる溶媒の例、塗布方法の例についても同様である。
前記2−5)工程では、光硬化性液晶組成物は、パターン光配向膜の第1及び第2の方向に発現された配向制御能に従って、配向制御される。前記2−2)工程の全面露光に利用する偏光の方向と、及び2−3)工程のパターン露光に利用する偏光の方向は、互いに直交しているので、互いに直交する方向である第1及び第2の方向に沿って、配向制御能が発現されている。よって、前記パターン光配向膜上に配置された光硬化性液晶組成物膜中の液晶は、第1及び第2の方向に従って、長軸を互いに直交にして配向制御され、パターン配向状態になる。
前記2−5)工程では、光硬化性液晶組成物の塗布液を乾燥するのと同時にまたは乾燥した後に、液晶転移温度以上の温度T℃で前記液晶組成物を配向させる。液晶組成物は、乾燥時の加熱によってもしくは乾燥後の加熱によって、所望の配向となる。乾燥温度は、塗布液に用いた溶媒の沸点ならびに支持体および配向膜の素材を考慮して決定することができる。液晶組成物の配向温度T℃は、用いる液晶組成物の液晶相−固相転移温度に応じて決定することができる。液晶組成物として、ディスコティック液晶化合物を用いる場合は、配向温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。加熱は、所定の温度の温風を送風することによって、または所定の温度に維持された加熱室内を搬送することによって実施できる。
前記2−6)工程では、光硬化性液晶組成物膜を光照射して、パターン配向状態を固定化する。これにより、パターン光学異方性層が形成される。本工程での光照射は、全面露光にて行うことができる。本工程は、前記第1の実施形態の前記1−6)工程と同様に実施することができる。本工程では、パターン露光をする必要はないので、支持体をドラム上に押し付けて露光する必要はない。勿論、支持体をドラム上に押し付けた状態で、全面露光を実施してもよい。
上記2−6)工程を実施した後、パターン光学異方性層が形成された長尺状の光学フィルムをロール状に巻き取ってもよい。巻き取りは、例えば、連続的に搬送される長尺状の光学フィルムを、円筒状の芯に巻きつけることによって行ってもよい。ロール形態であると、長尺状に連続的に製造した場合にも、その取り扱いが容易である。そのままの形態で保管・搬送できる。
また、第1の実施形態と同様、上記2−6)工程の後に、形成した光学異方性層の光学特性を連続的に測定することにより検査する検査工程を含んでいてもよい。
(3)本発明の製造方法により製造される光学フィルム
本願発明の製造方法により製造される光学フィルムの一例は、透明支持体上に、配向処理された配向膜と、重合性基を有する液晶を主成分とする配向制御された液晶組成物から形成された光学異方性層とを少なくとも有する光学フィルムであって、前記光学異方性層が、互いに直交する面内遅相軸を有する第1相差領域及び第2位相差領域を含み、前記第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であることを特徴とする光学フィルムである。本態様の光学フィルムは、立体画像表示用の画像表示装置の視認側偏光子のさらに外側に配置され、当該光学フィルムの第1及び第2の位相差領域のそれぞれを通過した偏光画像が、偏光メガネ等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。従って、左右画像が不均一とならないように、第1及び第2の位相差領域は、互いに等しい形状であるのが好ましく、またそれぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
前記光学フィルムの断面模式図を図1に及び上面図を図2に示す。図1及び図2に示す光学フィルム10は、透明支持体16、配向膜14、及び光学異方性層12を有し、光学異方性層12は、画像表示装置内の一列の画素ごとに交互に、第1及び第2の位相差領域12a及び12bが、均等且つ対称に配置されたパターン光学異方性層であるある。第1及び第2の位相差領域12a及び12bは、互いに直交する面内遅相軸a及びbをそれぞれ有する。円偏光を利用する態様では、光学フィルム10のReはλ/4であるのが好ましく、具体的には、110〜165nmであるのが好ましい。Reは、120〜145nmであることがより好ましく、130〜145nmであることが特に好ましい。透明支持体16が、位相差フィルムである場合は、透明支持体16のReも含めて、光学フィルム全体としてReが前記範囲であるのが好ましい。一方、Rthは小さいほど、クロストークを軽減する観点では好ましく、具体的には、光学フィルム全体として、Rthの絶対値は、20nm以下であるのが好ましい。
光学フィルム10が有する配向膜14は、好ましくはラビング配向膜であって、第1の位相差領域12aの面内遅相軸a又は第2の位相差領域12bの面内遅相軸bと一致した方向にラビング処理された配向膜である。ラビング配向膜は一般的には、ある程度の厚みがあっても配向規制力を維持できるので、透明支持体16の表面に凹凸があっても、それを補償する厚みの配向膜を形成することで、平坦化することができる。配向膜は光配向膜であっても構わないが、配向規制力を十分に発揮するためには、厚みを薄くする必要があり、透明支持体の凹凸を平坦化するには、厚みが不足する場合がある。透明支持体の凹凸を平坦化し、パターン光学異方性層を安定的に作製するという観点では、ラビング配向が好ましい。
前記光学フィルムが有するパターン光学異方性層の厚みについては特に制限されないが、通常、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
本発明の製造方法により製造される長尺状光学フィルムは、ロール状に巻き上げられた態様であってもよい。本発明の製造方法により製造された長尺状光学フィルムは、所望の形状に切断された後、光学フィルムとして画像表示システム(特には3D画像表示システム)に組み込まれてもよいし、また偏光膜と貼合する等、他の構成部材と一体化した後に、画像表示システムに組み込むこともできる。長尺状光学フィルムの形態については特に制限はない。帯状の長尺状の形態に連続生産されるであろう。一例では、長さ2500m以上、3900m以上の態様であり、大画面液晶表示装置用とするためには、幅は1300mm以上とすることが好ましい。後述する長尺状円偏光板についても同様である。
(4)本発明の長尺状光学フィルムの製造方法に利用可能な種々の材料
以下、本発明の光学フィルムの製造方法に利用可能な種々の材料について説明する。
透明支持体:
本発明では、透明支持体として、面内方向の位相差がほとんどない部材を用いることが好ましい。一例は、Reが0〜10nmのポリマーフィルムである。
本発明に使用可能な透明支持体を形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、前記透明支持体を形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
また、前記透明支持体を形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることができる。
透明支持体として用いるポリマーフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般的には、10〜1000μmであることが好ましく、40〜500μmであることがより好ましく、40〜200μmであることが特に好ましい。
以下に、前記透明支持体の例として、主にセルロースアシレートについて詳細を説明するが、その技術的事項は、他の高分子フィルムについても同様に適用できることは明らかである。
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載されているが、本発明は、該記載に制限されるものではない。
セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。更には置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれ更に置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できる。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、更にのぞましくは2.65〜3.00である。また、セルロースの水酸基に置換するアシル置換基がアセチル基のみからなる場合には、フィルムの光学異方性が低下できることに加え、更に添加剤との相溶性、使用する有機溶剤への溶解性の観点で置換度が2.80〜2.99であることが好ましく、2.85〜2.95であることがより好ましい。
セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であるのが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることが更に好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下である。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%の含水率が知られている。セルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートの合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
セルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
支持体として用いるフィルムの作製には、セルロースアシレートとともに、種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、光学特性調整剤など)を使用することができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程(セルロースアシレート溶液の作製工程)における何れでもよいが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
これらの添加剤の添加量を調整することにより、0≦Re(550)≦10を満たすセルロースアシレートフィルムを作製することができ、当該フィルムを支持体として用いることで、支持体の光学特性の影響をほとんど受けずに、本発明の光学フィルム中に含まれる全ての前記第1及び第2の位相差領域のReを、110nm≦Re(550)≦165nmの範囲にすることができる。Re値は、120≦Re(550)≦145であることが好ましく、130≦Re(550)≦145であることが特に好ましい。
また、後述する光学異方性層との関係では、前記透明支持体のRthと光学異方性層(λ/4板)のRthの合計が|Rth|≦20nmを満たすために、透明支持体は、−150nm≦Rth(630)≦100nmを満たすことが好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物を、少なくとも一種含有することものぞましい態様である。
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を利用することで、光学的異方性を低下させることができる。光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
低位相差のセルロースアシレートフィルムを作製するためには、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制して光学的異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値として更に好ましい範囲は、1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.− Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。なお本明細書に記載のlogPの値は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
光学的異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また光学的異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学的異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、更に好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学的異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学的異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートに対し0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
光学的異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学的異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ作製工程の最後に行ってもよい。
光学的異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80〜99%である。当該化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面及び中心部の化合物量を測定して求めることができる。
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の具体例としては、例えば、特開2006−199855号公報の[0035]〜[0058]記載の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
本発明の光学フィルムは、視認側に配置されるので、外光の影響、特に紫外線の影響を受けやすい。そのために、透明支持体として利用されるポリマーフィルム等には、紫外線(UV)吸収剤を添加するのが望ましい。
UV吸収剤は、中でも、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|及び|Rth(400)−Rth(700)|の双方を低下させる化合物が好ましく、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%使用するのがよい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるために、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|及び|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れていることが要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
UV吸収剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
UV吸収剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
セルロースアシレートフィルムのUV吸収剤の具体例としては、例えば、特開2006−199855号公報の[0059]〜[0135]に記載の化合物が挙げられる。
前記セルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上が更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下が更に好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ調製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、更にメインのセルロースアシレート溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。これらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤微粒子の添加量は1mあたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムには、光学的に異方性を低下する化合物、UV吸収剤の他に、用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。更にまた、赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れの時期でも良いが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加するのがよい。更にまた、各添加剤の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
また、可塑剤については、後述の実施例の中には、可塑剤を添加したものとしていないものがあるが、光学的に異方性を低下する化合物などが可塑剤としての効果を及ぼす化合物の場合には、可塑剤を添加する必要がないのは言うまでもない。
前記セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート溶液を用いた溶液製膜法により製造するのが好ましい。セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよく、更には冷却溶解法あるいは高温溶解方法、更にはこれらの組み合わせで実施される。セルロースアシレート溶液の調製、更には溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
前記セルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、更に好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
前記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来のセルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmが更に好ましい。
透明支持体として用いられるポリマーフィルムの性質:
以下に、本発明において透明支持体として用いられるポリマーフィルムの好ましい性質について説明する。
[Re及びRth]
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、又は測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。
式(11)
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(11)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
式(12):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(12)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[湿度膨張係数]
前記ポリマーフィルムの湿度膨張係数は、熱膨張係数との組合せにより、適宜、設定することができるが、3.0×10−6〜500×10−6/%RHが好ましく、4.0×10−6〜100×10−6/%RHがより好ましく、5.0×10−6〜50×10−6/%RHが更に好ましく、5.0×10−6〜40×10−6/%RHが最も好ましい。
なお、熱膨張係数は、ISO11359−2に準じて測定することができ、サンプルを室温から80℃まで昇温させた後、60℃から50℃に降温するときのフィルムの長さの傾きから算出することができる。
また、湿度膨張係数を測定する際には、弾性率が最大となる方向を長手方向として切り出した長さ25cm(測定方向)、幅5cmのフィルム試料を用意し、該試料に20cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度10%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をLとする)。次いで、試料を25℃、相対湿度80%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をLとする)。これらの測定値を用いて下記式により湿度膨張係数を算出する。
湿度膨張係数[/%RH]={(L−L)/L}/(R−R
[弾性率]
前記ポリマーフィルムの弾性率は特に限定されないが、1〜50GPaが好ましく、5〜50GPaがより好ましく、7〜20GPaが更に好ましい。弾性率はポリマーの種類、添加剤の種類及び量、延伸によって制御することができる。
なお、弾性率は、長さ150mm、巾10mmのフィルム試料を用意し、25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、ISO527−3:1995の規格に準じ、初期試料長100mm、引張速度10mm/minにて測定し、応力−歪み曲線の初期の傾きから求めた引張り弾性率である。フィルム試料の長さ方向と幅方向の取り方によって一般に弾性率は異なるが、本発明では弾性率が最大となる方向でフィルム試料を用意して測定した値を本発明の弾性率として表記する。なお、音速が最大となる方向における弾性率をE1、それと直交する方向における弾性率をE2としたとき、それらの比(E1/E2)は、フィルムのしなやかさを保ちつつも寸法変化を小さくする観点から、1.1〜5.0であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。
なお、本発明において音速(音波伝播速度)が最大となる方向は、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、配向性測定機(SST−2500:野村商事(株)製)を用いて、超音波パルスの縦波振動の伝搬速度が最大となる方向として求めた。
[全光透過率、ヘイズ]
本発明において、サンプルを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、ヘイズメーター(NDH 2000:日本電色工業(株)製)を用いて測定した値を全光透過率、及びヘイズとした。
前記ポリマーフィルムの全光透過率は、光源からの光を効率的に使用して、パネルの消費電力を低減する観点から、高いほうが好ましく、具体的には85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、92%以上であることが更に好ましい。また、本発明のフィルムのヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが更にまた好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。
[引裂き強度]
本発明において、引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)は、フィルムの遅相軸と平行な方向、及び直交する方向を長手方向として、それぞれ64mm×50mmの試料を切り出し、25℃、相対湿度60%にて2時間調湿後、軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定し、小さい方の値をフィルムの引裂き強度とした。
前記ポリマーフィルムの引裂き強度は、フィルムの脆さの観点から、3〜50gであることが好ましく、5〜40gであることがより好ましく、10〜30gであることが更に好ましい。
ラビング配向膜:
ラビング配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、種々の鹸化度のものが存在する。本発明では、鹸化度85〜99程度のものを用いるのが好ましい。市販品を用いてもよく、例えば、「PVA103」、「PVA203」(クラレ社製)等は、上記鹸化度のPVAである。ラビング配向膜については、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行、特許第3907735号公報の段落番号[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコールを参照することができる。ラビング配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
前記配向膜は、架橋されたポリマーからなる層であるのが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーであっても、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。上記配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱又はPH変化等により、ポリマー間で反応させて形成する;又は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成する;ことができる。
架橋されたポリマーからなる配向膜は、通常、上記ポリマー又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、支持体上に塗布した後、加熱等を行なうことにより形成することができる。
ラビング工程において、配向膜の発塵を抑制するために、架橋度を上げておくことが好ましい。前記塗布液中に添加する架橋剤の量(Mb)に対して、架橋後に残存している架橋剤の量(Ma)の比率(Ma/Mb)を1から引いた値(1−(Ma/Mb))を架橋度と定義した場合、架橋度は50%〜100%が好ましく、65%〜100%が更に好ましく、75%〜100%がさらに好ましい。
前記配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。勿論双方の機能を有するポリマーを使用することもできる。上記ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。重合度としては、100〜3000のも範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)、N(CH・Cl、C、H19COO、SO、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH、COOR、C等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。重合度としては、100〜3000のも範囲が好ましい。これらの中で、好ましくは鹸化度80〜100%の未変性〜変性ポリビニルアルコールであり、より好ましくは鹸化度85〜95%の未変性ないし重合性基を導入したポリビニルアルコールである。
光学異方性層:
本発明では、光学異方性層の形成に光硬化性液晶組成物を利用する。前記組成物は、少なくとも一種の液晶化合物を含有する。
[液晶化合物]
利用可能な液晶化合物の例には、棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物が含まれる。棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
重合性基を有する液晶を用いてもよく、重合性基を有するディスコティック液晶がより好ましい。
本発明に使用可能な棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも用いることができる。言い換えると、棒状液晶化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
また、棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
また、棒状液晶としては、例えば、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、同11−513019号及び特願2001−64627号などの各公報及び明細書に記載の化合物の中から選んで用いることができる。
本発明に用いる棒状液晶化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基が最も好ましい。
前記低分子棒状液晶化合物としては、下記一般式(X)で表される化合物が好ましい。
一般式(X)
−L−Cy−L−(Cy−L−Cy−L−Q
式中、Q及びQはそれぞれ独立に重合性基を表し、L及びLはそれぞれ独立に二価の連結基を表し、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し、Cy、Cy及びCyはそれぞれ独立に二価の環状基を表し、nは0、1又は2である。
式中、Q及びQがそれぞれ表す重合性基の例には、付加重合(開環重合を含む)可能な官能基及び縮合重合が可能な官能基が含まれる。
本発明に使用可能なディスコティック液晶化合物の例には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics
lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
なお、ディスコティック液晶化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ディスコティック液晶化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記式で表される化合物であるのが好ましい。
D(−L−Q)
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
前記式において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好まし。前記アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
前記式中の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)は、不飽和重合性基又はエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが最も好ましい。
前記式において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
また、ディスコティック液晶化合物として、下記式(I)で表わされる化合物を用いるのが好ましい。
一般式(I): D(−L−H−Q)
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Hは二価の芳香族環又は複素環であり、Qは重合性基であり、nは3〜12の整数を表す。
Lは、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基が好ましく、*−CH=CH−又は*−C≡C−のいずれか一方を少なくとも一つ以上含む二価の連結基であることが特に好ましい。ここで、*は一般式(I)中のDに結合する位置を表す。
Hは、芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましく、ピリジン環が特に好ましい。Hは、芳香族環が特に好ましい。
重合性基Qの重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。中でも、(メタ)アクリレート基、エポキシ基が好ましい。
さらに、ディスコティック液晶は、下記一般式(II)又は(III)で表されるディスコティック液晶であることが特に好ましい。
式中、L、H、Qは、前記一般式(I)におけるL、H、Qとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
式中、Y、Y、及びYは、後述する一般式(IV)におけるY11、Y12、及びY13と同義であり、その好ましい範囲も同一である。また、L、L、L、H、H、H、R、R、及びRも、後述する一般式(IV)におけるL、L、L、H、H、H、R、R、Rと同義であり、その好ましい範囲も同一である。
後述するように、一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物(及び後述する式(IV)で表される化合物)のように、分子内に複数個の芳香環を有しているディスコティック液晶は、配向制御剤として用いられるピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物等のオニウム塩との間に分子間π−π相互作用が起こるため、垂直配向を実現できる。特に、例えば、一般式(II)において、Lが、*−CH=CH−又は*−C≡C−のいずれか一方を少なくとも一つ以上含む二価の連結基である場合、及び、一般式(III)において、複数個の芳香環及び複素環が単結合で連結される場合は、該連結基により結合の自由回転が強く束縛されることにより分子の直線性が保持されるため、液晶性が向上すると共に、より強い分子間π−π相互作用が起こり安定な垂直配向が実現できる。
前記ディスコティック液晶としては、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
式中、Y11、Y12及びY13は、それぞれ独立に置換されていてもよいメチン又は窒素原子を表す。
11、Y12及びY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基で置き換わってもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がより好ましい。
11、Y12及びY13は、化合物の合成の容易さ及びコストの点において、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることがさらに好ましい。
、L及びLは、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。
、L及びLが二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−,−S−、−C(=O)−、−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
、L及びLにおける二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基と呼ぶことがある)である。環状基は5員環、6員環、又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。環状基は、芳香族環及び複素環がより好ましい。なお、本発明における2価の環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい(以下、同じ)。
、L及びLで表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
、L及びLで表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
、L及びLとしては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−及び*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−及び*−C≡C−二価の環状基−が好ましく、単結合が最も好ましい。ここで、*は一般式(IV)中のY11、Y12及びY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
一般式(I)中、H、H及びHは、それぞれ独立に一般式(IV−A)又は(IV−B)の基を表す。
一般式(IV−A)中、YA及びYAは、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
*は上記一般式(IV)におけるL〜L側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(IV)におけるR〜R側と結合する位置を表す。
一般式(IV−B)中、YB及びYBは、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
*は上記一般式(IV)におけるL〜L側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(IV)におけるR〜R側と結合する位置を表す。
一般式(IV)中、R、R及びRは、それぞれ独立に下記一般式(IV−R)を表す。
一般式(IV−R)
*−(−L21−Qn1−L22−L23−Q
一般式(IV−R)中、*は、一般式(IV)におけるH〜H側と結合する位置を表す。
21は単結合又は二価の連結基を表す。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
21は単結合、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−及び***−C≡C−(ここで、***は一般式(DI−R)中の*側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、又は7員環を有する環状基が好ましく、5員環又は6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基がさらに好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
上記Qのうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイルナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
n1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1もしくは2がさらに好ましい。
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−NH−、**−SO−、**−CH−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、**はQ側と結合する位置を表す。
22は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH−である。L22が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。これらの置換基に置換されることにより、本発明の液晶性化合物から液晶性組成物を調製する際に、使用する溶媒に対する溶解性を向上させることができる。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。L23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L23は、−CH−を1〜16個含有することが好ましく、−CH−を2〜12個含有することがさらに好ましい。
は重合性基又は水素原子を表す。本発明の液晶性化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルム等に用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記式(M−1)〜(M−6)の中、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基がより好ましい。
前記式(IV)の化合物の中でも、下記一般式(IV’)で表される化合物がより好ましい。
一般式(DIV)中、Y11、Y12及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、メチンが好ましく、メチンは無置換であるのが好ましい。
11、R12及びR13は、それぞれ独立に下記一般式(IV’−A)、下記一般式(IV’−B)又は下記一般式(IV’−C)を表す。固有複屈折の波長分散性を小さくしようとする場合、一般式(IV’−A)又は一般式(IV’−C)が好ましく、一般式(IV’−A)がより好ましい。R11、R12及びR13は、R11=R12=R13であることが好ましい。
一般式(IV’−A)中、A11、A12、A13、A14、A15及びA16は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
11及びA12は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
13、A14、A15及びA16は、それらのうち、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。さらに、メチンは無置換であることが好ましい。
11、A12、A13、A14、A15又はA16がメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(IV’−B)中、A21、A22、A23、A24、A25及びA26は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
21及びA22は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
23、A24、A25及びA26は、それらのうち、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。
21、A22、A23、A24、A25又はA26がメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(IV’−C)中、A31、A32、A33、A34、A35及びA36は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
31及びA32は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
33、A34、A35及びA36は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。
31、A32、A33、A34、A35又はA36がメチンの場合、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(IV’−A)中のL11、一般式(IV’−B)中のL21、一般式(IV’−C)中のL31はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−又は−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−C(=O)−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−C≡C−である。特に、小さい固有複屈折の波長分散性が期待できる、一般式(DI−A)中のL11は、−O−、−CO−O−、−C≡C−が特に好ましく、この中でも−CO−O−が、より高温でディスコティックネマチック相を発現できるため、好ましい。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
一般式(IV’−A)中のL12、一般式(IV’−B)中のL22、一般式(IV’−C)中のL32はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、特にハロゲン原子、メチル基、エチル基が好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−CH−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数2〜14であることがより好ましい。炭素数2〜14が好ましく、−CH−を1〜16個有することがより好ましく、−CH−を2〜12個有することがさらに好ましい。
12、L22、L32を構成する炭素数は、液晶の相転移温度と化合物の溶媒への溶解性に影響を及ぼす。一般的に炭素数は多くなるほど、ディスコティックネマチック相(N相)から等方性液体への転移温度が低下する傾向にある。また、溶媒への溶解性は、一般的に炭素数は多くなるほど向上する傾向にある。
一般式(IV’−A)中のQ11、一般式(IV’−B)中のQ21、一般式(IV’−C)中のQ31はそれぞれ独立して重合性基又は水素原子を表す。また、Q11、Q21、Q31は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例については、上記と同様であり、好ましい例も上記と同様である。
前記一般式(IV)で表される化合物の具体例には、特開2006-76992号公報の[0052]の[化13]〜[化43]に記載の例示化合物、並びに特開2007−2220号公報の[0040]の[化13]〜[0063]の[化36]に記載の例示化合物が含まれる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
上記化合物は、種々の方法により合成することができ、例えば、特開2007−2220号公報の[0064]〜[0070]に記載の方法により合成することができる。
前記ディスコティック液晶化合物は、液晶相として、カラムナー相及びディスコティックネマチック相(ND相)を示すことが好ましく、これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が好ましい。
前記ディスコティック液晶化合物の中でも、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現させるものが好ましい。より好ましくは40℃〜280℃であり、さらに好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
前記一般式(IV)で表されるディスコティック液晶は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、後述する、ピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍におけるチルト角を増加させる。特に、一般式(IV’)で表されるディスコティック液晶は、複数個の芳香環が単結合で連結されているため、分子の回転自由度が束縛された直線性の高い分子構造を有しているため、ピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物との間により強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍におけるチルト角を増加させ垂直配向状態が実現できる。
棒状液晶化合物を利用する場合は、棒状液晶を水平配向させるのが好ましい。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の子長軸と層面が平行であることをいう。厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
なお、前記組成物中には、液晶の水平配向を促進する添加剤を添加してもよく、該添加剤の例には、特開2009−223001号公報の[0055]〜[0063]に記載の化合物が含まれる。
ディスコティック液晶を利用する場合は、ディスコティック液晶を垂直配向させるのが好ましい。尚、本明細書において「垂直配向」とは、ディスコティック液晶の円盤面と層面が垂直であることをいう。厳密に垂直であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が70度以上の配向を意味するものとする。傾斜角は85〜90度が好ましく、87〜90度がより好ましく、88〜90度がさらに好ましく、89〜90度が最も好ましい。
なお、前記組成物中には、液晶の垂直配向を促進する添加剤を添加していることが好ましく、該添加剤の例は、前記の通りである。
なお、液晶性化合物を配向させた光学異方性層において、光学異方性層の一方の面におけるチルト角(液晶性化合物における物理的な対象軸が光学異方性層の界面となす角度をチルト角とする)θ1及び他方の面のチルト角θ2を、直接的にかつ正確に測定することは困難である。そこで本明細書においては、θ1及びθ2は、以下の手法で算出する。本手法は本発明の実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層は液晶性化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(液晶性化合物のチルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定及び計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA−21ADH及びKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメータAEP−100((株)島津製作所製)、M150及びM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、及び多層体全体の厚みをdとする。さらに各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1及び他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1及びθ2を算出する。
ここで、no及びneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。
[オニウム塩化合物(配向膜側配向制御剤)]
本発明では、前述のように、重合性基を有する液晶化合物、特に、重合性基を有するディスコティック液晶の垂直配向を実現するために、オニウム塩を含有する光硬化性液晶組成物を用いることが好ましい。オニウム塩は配向膜界面に偏在し、液晶分子の配向膜界面近傍におけるチルト角を増加させる作用をする。
オニウム塩としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)
Z−(Y−L−)Cy・X
式中、Cyは5又は6員環のオニウム基であり、L、Y、Z、Xは、後述する一般式(II)におけるL23、L24、Y22、Y23、Z21、Xに同義であり、その好ましい範囲も同一であり、nは2以上の整数を表す。
5又は6員環のオニウム基(Cy)は、ピラゾリウム環、イミダゾリウム環、トリアゾリウム環、テトラゾリウム環、ピリジニウム環、ピラジニウム環、ピリミジニウム環、トリアジニウム環が好ましく、イミダゾリウム環、ピリジニウム環が特に好ましい。
5又は6員環のオニウム基(Cy)は、配向膜材料と親和性のある基を有するのが好ましい。さらに、オニウム塩化合物は、温度T℃では配向膜材料との親和性が高く、一方、温度T℃では、親和性が低下しているのが好ましい。水素結合は、液晶を配向させる実際の温度範囲内(室温〜150℃程度)において、結合状態にも、その結合が消失した状態になり得るので、水素結合による親和性を利用するのが好ましい。但し、この例に限定されるものではない。
例えば、配向膜材料としてポリビニルアルコールを利用する態様では、ポリビニルアルコールの水酸基と水素結合を形成するために、水素結合性基を有しているのが好ましい。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H.Uneyama and K.Morokuma、Journal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
水素結合性基を有する5又は6員環のオニウム基は、オニウム基の親水性の効果に加え、ポリビニルアルコールと水素結合することによって、配向膜界面の表面偏在性を高めるとともに、ポリビニルアルコール主鎖に対する直交配向性を付与する機能を促進する。好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。更に好ましい水素結合性基としては、アミノ基、ピリジル基を挙げることができる。
例えば、イミダゾリウム環の窒素原子ように、5又は6員環のオニウム環に、水素結合性基を有する原子を含有していることも好ましい。
nは、2〜5の整数が好ましく、3又は4であるのがより好ましく、3であるのが特に好ましい。複数のL及びYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。nが3以上である場合、一般式(1)で表されるオニウム塩は、3つ以上の5又は6員環を有しているため、前記ディスコティック液晶と強い分子間π−π相互作用が働くため、該ディスコティック液晶の垂直配向、特に、ポリビニルアルコール配向膜上では、ポリビニルアルコール主鎖に対する直交垂直配向を実現することができる。
前記一般式(1)で表されるオニウム塩は、下記一般式(2a)で表されるピリジニウム化合物又は下記一般式(2b)で表されるイミダゾリウム化合物であることが特に好ましい。
一般式(2a)及び(2b)で表される化合物は、主に、前記一般式(I)〜(IV)で表されるディスコティック液晶の配向膜界面における配向を制御することを目的として添加され、ディスコティック液晶の分子の配向膜界面近傍におけるチルト角を増加させる作用がある。
式中、L23及びL24はそれぞれ二価の連結基を表す。
23は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−又は−O−CO−AL−CO−O−であるのが好ましく、ALは、炭素原子数が1〜10のアルキレン基である。L23は、単結合、−O−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−又は−O−CO−AL−CO−O−が好ましく、単結合又は−O−がさらに好ましく、−O−が最も好ましい。
24は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−又は−N=N−であるのが好ましく、−O−CO−又は−CO−O−がより好ましい。mが2以上のとき、複数のL24が交互に、−O−CO−及び−CO−O−であるのがさらに好ましい。
22は水素原子、無置換アミノ基、又は炭素原子数が1〜20の置換アミノ基である。
22が、ジアルキル置換アミノ基である場合、2つのアルキル基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環又は6員環が好ましい。R23は水素原子、無置換アミノ基、又は炭素原子数が2〜12のジアルキル置換アミノ基であるのがさらに好ましく、水素原子、無置換アミノ基、又は炭素原子数が2〜8のジアルキル置換アミノ基であるのがよりさらに好ましい。R23が無置換アミノ基及び置換アミノ基である場合、ピリジニウム環の4位が置換されていることが好ましい。
Xはアニオンである。
Xは、一価のアニオンであることが好ましい。アニオンの例には、ハライドイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)及びスルホン酸イオン(例、メタンスルホネートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン)が含まれる。
22及びY23はそれぞれ、5又は6員環を部分構造として有する2価の連結基である。
前記5又は6員環が置換基を有していてもよい。好ましくは、Y22及びY23のうち少なくとも1つは、置換基を有する5又は6員環を部分構造として有する2価の連結基である。Y22及びY23は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい6員環を部分構造として有する2価の連結基であるのが好ましい。6員環は、脂肪族環、芳香族環(ベンゼン環)及び複素環を含む。6員脂肪族環の例は、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環及びシクロヘキサジエン環を含む。6員複素環の例は、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環を含む。6員環に、他の6員環又は5員環が縮合していてもよい。
置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ、炭素原子数が1〜12のアルキル基及び炭素原子数が1〜12のアルコキシ基を含む。アルキル基及びアルコキシ基は、炭素原子数が2〜12のアシル基又は炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。置換基は、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基であるのが好ましい。置換基は2以上であってもよく、例えば、Y22及びY23がフェニレン基である場合は、1〜4の炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基で置換されていてもよい。
なお、mは1又は2であり、2であるのが好ましい。mが2のとき、複数のY23及びL24は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21は、ハロゲン置換フェニル、ニトロ置換フェニル、シアノ置換フェニル、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が2〜20のアルキニル基、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基、炭素原子数が2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基及び炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基からなる群より選ばれる一価の基である。
mが2の場合、Z21は、シアノ、炭素原子数が1〜10のアルキル基又は炭素原子数が1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数4〜10のアルコキシ基であるのがさらに好ましい。
mが1の場合、Z21は、炭素原子数が7〜12のアルキル基、炭素原子数が7〜12のアルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルキル基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルキル基又は炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルコキシ基であることが好ましい。
アシル基は−CO−R、アシルオキシ基は−O−CO−Rで表され、Rは脂肪族基(アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基)又は芳香族基(アリール基、置換アリール基)である。Rは、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基又はアルケニル基であることがさらに好ましい。
pは、1〜10の整数である。pは、1又は2であることが特に好ましい。C2pは、分岐構造を有していてもよい鎖状アルキレン基を意味する。C2pは、直鎖状アルキレン基(−(CH−)であることが好ましい。
式(2b)中、R30は、水素原子又は炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基である。
前記式(2a)又は(2b)で表される化合物の中でも、下記式(2a’)又は(2b’)で表される化合物が好ましい。
式(2a’)及び(2b’)中、式(2)と同一の符号は同一の意義であり、好ましい範囲も同様である。L25はL24と同義であり、好ましい範囲も同様である。L24及びL25は、−O−CO−又は−CO−O−であるのが好ましく、L24が−O−CO−で、且つL25が−CO−O−であるのが好ましい。
23、R24及びR25はそれぞれ、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基である。n23は0〜4、n24は1〜4、及びn25は0〜4を表す。n23及びn25が0で、n24が1〜4(より好ましくは1〜3)であるのが好ましい。
30は、炭素原子数が1〜12(より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基であるのが好ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、特開2006−113500号公報明細書中[0058]〜[0061]に記載の化合物が挙げられる。
以下に、一般式(2’)で表される化合物の具体例を示す。但し、下記式中、アニオン(X)は省略した。
式(2a)及び(2b)の化合物は、一般的な方法で製造することができる。例えば、式(2a)のピリジニウム誘導体は、一般にピリジン環をアルキル化(メンシュトキン反応)して得られる。
オニウム塩は、その添加量が、液晶化合物に対して5質量%を超えることはなく、0.1〜2質量%程度であるのが好ましい。
前記一般式(2a)及び(2b)で表されるオニウム塩は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため前記親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基に、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基(一般式(2a)及び(2a’)において、R22が無置換のアミノ基又は炭素原子数が1〜20の置換アミノ基)が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。前記ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特にディスコティック液晶との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、一般式(2a’)で表されるように、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。
さらに、前記一般式(2a)及び(2b)で表されるオニウム塩を併用すると、ある温度を超えて加熱することで、液晶が、その遅相軸を、ラビング方向に対して平行にして配向する、平行配向を促進することができる。これは、加熱による熱エネルギーでポリビニルアルコールとの水素結合が切断され、オニウム塩が配向膜に均一に分散され配向膜表面における密度が低下し、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向するためである。
[フルオロ脂肪族基含有共重合体(空気界面配向制御剤)]
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、液晶、主に、前記一般式(I)で表されるディスコティック液晶、の空気界面における配向を制御することを目的として添加され、液晶の分子の空気界面近傍におけるチルト角を増加させる作用がある。さらに、ムラ、ハジキなどの塗布性も改善される。
本発明に使用可能なフルオロ脂肪族基含有共重合体としては、特開2004−333852号、同2004−333861号、同2005−134884号、同2005−179636号、及び同2005−181977号などの各公報及び明細書に記載の化合物の中から選んで用いることができる。特に好ましくは、特開2005−179636号、及び同2005−181977号の各公報及び明細書に記載の、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを側鎖に含むポリマーである。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、その添加量が、液晶化合物に対して2質量%を超えることはなく、0.1〜1質量%程度であるのが好ましい。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、フルオロ脂肪族基の疎水性効果により空気界面への偏在性を高めると共に、空気界面側に低表面エネルギーの場を提供し、液晶、特にディスコティック液晶のチルト角を増加させることができる。さらに、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを側鎖に含む共重合成分を有すると、これらのアニオンと液晶のπ電子との電荷反発により液晶化合物の垂直配向を実現することができる。
[重合開始剤]
前記光硬化性液晶組成物は、光重合開始剤を含有しているのが好ましい。光光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示する事ができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
[増感剤]
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
[その他の添加剤]
液晶化合物と共に使用するその他の添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。
液晶化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーは液晶化合物と相溶性を有し、液晶化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して40質量%を超えることはなく、0〜20質量%程度であるのが好ましい。
液晶化合物としてディスコティック液晶化合物を用いる場合は、ディスコティック液晶化合物とある程度の相溶性を有し、ディスコティック液晶化合物に傾斜角の変化を与えられるポリマーを用いるのが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。ディスコティック液晶化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、ディスコティック液晶化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
2.円偏光板の製造方法
本発明は、3D画像表示システム等に有用な、長尺状円偏光板の製造方法にも関する。具体的には、本発明は、
前記本発明の長尺状光学フィルムの製造方法(例えば、第1の実施形態では、前記1−1)〜1−7)工程、及び第2の実施形態では、前記2−1)〜2−6)工程)を実施して、長尺状支持体、及びその上に、少なくとも1種の面内遅相軸が互いに直交する第1及び第2の位相差領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムを作製すること、
長尺状光学フィルム及び長尺状直線偏光膜を、長尺状光学フィルムの第1及び第2の位相差領域の面内遅相軸と、超尺状直線偏光膜の吸収軸方向とを45°にして、連続的に貼合すること、
を少なくとも含む、長尺状円偏光板の製造方法にも関する。
(1)円偏光板の製造方法の実施形態
本発明の円偏光板の製造方法の一例は、
透明支持体であるセルロースアシレートフィルム等の長尺のポリマーフィルムを搬送しつつ、その上に、ラビング配向膜を連続的に形成すること、
ラビング配向膜を、フィルム搬送方向に対して約斜め45度方向に連続的にラビング処理すること、
少なくとも重合性基を有する液晶化合物を含有する光硬化性液晶組成物を、ラビング処理面に塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成すること(前記第1の工程)、
光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、膜中の液晶を、ラビング方向に対して直交配向状態にすること、
フォトマスクの長辺がフィルム搬送方向となっているフォトマスク下で、支持体であるポリマーフィルムをドラムに押し付けた状態で、光硬化性液晶組成物膜に紫外線をパターン露光して、直交配向状態を固定して、第1の位相差領域を形成する工程(前記第2の工程)と、
光硬化性液晶組成物膜を温度T℃(但しT<T)で加熱して、未露光部の膜中の液晶を、ラビング方向に対して平行配向状態にすること、
全面露光して、平行配向状態を固定し、第2の位相差領域を形成し、パターン光学異方性層を形成し、長尺状の光学フィルムを作製すること、
長尺上の光学フィルムと、透過軸が幅方向にある長尺の偏光膜とを、長手方向を一致させて、貼合すること、
を含む方法により製造することができる。
本実施の形態の円偏光板の製造方法によれば、円偏光板を連続生産でき、従来の製造方法よりも製造コストを軽減することができる。また、本実施形態では、ラビング方向がフィルム搬送方向に対して約斜め45度方向であるので、得られた長尺状の円偏光板をななめに打ち抜く必要がなく、その観点でも製造コストを軽減できる。
前記本発明の方法により長尺状の光学フィルムを得た後、そのまま長尺状の直線偏光膜と連続的に貼合してもよいし、一旦ロール状に巻き取った後に、貼合してもよい。ロール状の光学フィルムとロール状の直線偏光膜を、いわゆるロール・ツー・ロール方式で貼合しても勿論よい。さらに得られた長尺状の円偏光板を、さらに巻き上げて、ロール形態で保管・運搬等してもよい。
作製される円偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断された後、画像表示システム(特には3D画像表示システム)に組み込まれる。
また、他の機能層を形成する工程を、実施してもよい。他の機能層の具体例については、後述する。
(2)本発明の方法により製造される円偏光板
本発明の方法により製造される偏光板の一態様は、本発明の光学フィルムと、偏光膜とを含み、前記パターン光学異方性層の第1及び第2の位相差領域のそれぞれの面内遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸方向とが45°であることを特徴とする偏光板である。本態様の偏光板は、立体画像表示用の画像表示装置の視認側偏光板として、光学フィルムを視認側に向けて配置される。
図3に前記円偏光板の一例の断面模式図を示す。図3に示す偏光板20は、偏光膜22の一方の表面に本発明の光学フィルム、及び他方の表面に保護フィルム24を有する。保護フィルム24として利用可能なポリマーフィルムの例は、光学フィルム10の透明支持体として利用可能なポリマーフィルムの例と同様である。
画像表示装置のコントラスト比を高めるためには、円偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。本発明の方法により製造される円偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることがよりさらに好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることがよりさらに好ましい。
(3)本発明の長尺状円偏光板の製造方法に利用可能な種々の材料
以下、本発明の長尺状円偏光板の製造方法に利用可能な種々の材料について説明する。
直線偏光膜:
本発明には、一般的な直線偏光膜(本明細書では、単に「偏光膜」という場合もある)を用いることができる。例えば、ヨウ素や二色性色素によって染色されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子膜を用いることができる。
粘着層または接着剤:
本発明では、光学フィルムと偏光膜との間には、粘着層が配置されていてもよい。光学フィルムと偏光膜との貼合のために用いられる粘着層とは、例えば、動的粘弾性測定装置で測定したG’とG”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。粘着剤については特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤を用いることができる。
また、貼り合せには接着剤を用いてもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を接着剤として用いることができる。中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
粘着剤層及び接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが特に好ましい。
保護膜:
偏光膜の光学フィルムを貼合しない他方の表面には、保護フィルムを配置するのが好ましい。保護膜として利用可能なポリマーフィルムの例としては、光学フィルムの透明支持体として利用可能なポリマーフィルムの例と同様である。
反射防止層:
また、本発明の円偏光板を画像表示装置に用いる場合、視認側表面に反射防止層を設置するのが好ましい。反射防止層は、偏光膜の保護膜の上に配置してもよいし、保護膜を兼ねていてもよい。画像表示装置の視角による色味変化抑制の観点から、反射防止層の内部ヘイズを50%以上にすることが好ましい。これら好ましい具体例としては、特開平2001−33783号公報、特開平2001−343646号公報、及び特開平2002−328228号公報に記載がある。
利用可能な反射防止層の例としては、保護膜上に、少なくとも光散乱層と低屈折率層をこの順で積層した反射防止層、及び中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層をこの順で積層した反射防止層が挙げられる。これは、特に3D画像を表示する場合に、外光反射によるフリッカが発生してしまうのを効果的に防ぐことができるので、好ましい。
更に、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
3.本発明の方法により製造される光学フィルム及び円偏光板の用途
本発明の方法により製造される光学フィルム及び円偏光板は、画像表示装置、特には立体画像表示システムに利用することができる。かかる画像表示装置の一例は、
第1及び第2の偏光膜;
第1及び第2の偏光膜の間に配置される、少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、該一対の基板間の液晶層とを含む液晶セル;及び
第1偏光膜の外側に本発明の光学フィルム;を少なくとも有する画像表示装置であって、
前記第1偏光膜の吸収軸方向と、前記光学フィルムの第1及び第2位相差領域の面内遅相軸がそれぞれ直交することを特徴とする画像表示装置である。
また、本発明の立体画像表示システムの一例は、前記画像表示装置と、前記光学フィルムの外側に配置される第3の偏光板とを少なくとも備え、第3の偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システムである。
前記光学フィルム及び円偏光板は、種々の画像表示装置、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)等、いずれの表示モードの画像表示装置にも利用することができる。
前記光学フィルム又は円偏光板を有する立体画像表示システムの一例は、3D映像とよばれる立体画像を視認者に認識させるため、眼鏡形状の偏光板(第3の偏光板)を通して画像を認識させるシステムである。
前記映像表示システムは、右眼鏡と左眼鏡の遅相軸が直交する偏光眼鏡を含み、前記光学フィルムの前記第1及び第2の位相差領域のいずれか一方から出射された右眼用画像光が右眼鏡を透過し、且つ左眼鏡で遮光され;前記第1及び第2の位相差領域の他方から出射された左眼用画像光が左眼鏡を透過し、且つ右眼鏡で遮光されるように構成されていることが好ましい。
前記偏光眼鏡としては、位相差機能層と直線偏光子を含む偏光眼鏡を利用することができる。なお、直線偏光子と同等の機能を有するその他の部材を用いてもよい。
前記映像表示システムの具体的な構成について説明する。まず、本発明の方法により製造される光学フィルムは、映像表示パネルの交互に繰り返されている複数の第一ライン上と複数の第二ライン上(例えば、ラインが水平方向であれば水平方向の奇数ライン上と偶数ライン上であり、ラインが垂直方向であれば垂直方向の奇数ライン上と偶数ライン上でもよい)に偏光変換機能が異なる前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域を有する。円偏光を表示に利用する場合には、上述の前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域の位相差は、ともにλ/4であることが好ましく、前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域は遅相軸が直交していることがより好ましい。
円偏光を利用する場合、前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域の位相差値をともにλ/4とし、映像表示パネルの奇数ラインに右眼用画像を表示し、奇数ライン位相差領域の遅相軸が45度方向であるならば、偏光眼鏡の右眼鏡と左眼鏡にともにλ/4板を配置することが好ましく、偏光眼鏡の右眼鏡のλ/4板の遅相軸は具体的には略45度に固定すればよい。また、上記の状況であれば、同様に、映像表示パネルの偶数ラインに左眼用画像を表示し、偶数ライン位相差領域の遅相軸が135度方向であるならば、偏光眼鏡の左眼鏡の遅相軸は具体的には略135度に固定すればよい。
更に、一度前記パターン光学フィルムにおいて円偏光として画像光を出射し、偏光眼鏡により偏光状態を元に戻す観点からは、上記の例の場合の右眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平方向45度に近いほど好ましい。また、左眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平135度(又は−45度)に近いほど好ましい。
また、例えば前記映像表示パネルが液晶表示パネルである場合、液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向が通常、水平方向であり、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸が該フロント側偏光板の吸収軸方向に直交する方向であることが好ましく、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸は鉛直方向であることがより好ましい。
また、前記液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向と、前記パターニング位相差フィルムの奇数ライン位相差領域と偶数ライン位相差領域の各遅相軸は、偏光変換の効率上、45度をなすことが好ましい。
なお、このような偏光眼鏡と、パターニング位相差フィルム及び液晶表示装置の好ましい配置については、例えば特開2004−170693号公報に開示がある。
偏光眼鏡の例としては、特開2004−170693号公報に記載のものや、市販品として、Zalman製、ZM−M220Wの付属品を挙げることができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
1. 実施例1
(透明支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
<セルロースアシレート溶液A組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液Bを調製した。
<添加剤溶液B組成>
下記化合物B1(Re低下剤) 40質量部
下記化合物B2(波長分散制御剤) 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 80質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
<セルロースアセテート透明支持体の作製>
セルロースアシレート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液Bの40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み60μmのセルロースアセテート保護フィルムを作製した。透明支持体のRe(550)は2.0nmであり、Rthは12.3nmであった。
(アルカリ鹸化処理)
セルロースアセテート透明支持体を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/mで塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒータの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したセルロースアセテート透明支持体を作製した。
(アルカリ溶液組成)
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アルカリ溶液組成(質量部)
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水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤
SF−1:C1429O(CHCHO)20H 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
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(ラビング配向膜付透明支持体の作製)
上記作製した支持体の、鹸化処理を施した面に、下記の組成のラビング配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。配向膜の膜厚は0.9μmであった。
<配向膜形成用塗布液の組成>
下記の変性ポリビニルアルコールPVA−1 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
(ラビング処理)
ラビング配向膜を形成した上記支持体を速度20m/分で搬送し、長手方向に対して、回転方向を45°に設定したラビングロール(300mm直径)を650rpmで回転させて、配向膜設置表面にラビング処理を施した。ラビングロールとフィルムの接触長さは、18mmとなうように設定した。
(パターン光学異方性層の形成)
下記組成の光学異方性層用塗布液を用いた。
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光学異方性層塗布液組成(質量部)
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ディスコティック液晶E−1 100.0質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(P−1) 0.4質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 10.0質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3.0質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 300.0質量部
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#3.2のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されているフィルム上の配向膜のラビング処理面に、上記光学異方性層用塗布液を連続的に塗布した。塗布量は4ml/mであった。80℃の加熱ゾーン内を搬送し、膜面温度80℃で1分間乾燥して塗布した組成物を液晶相状態とし均一配向させた後、室温まで冷却した。この様にして、第1の工程を実施した。
次に、光学異方性層用塗膜を有する支持体を、ドラム上に固定した。固定は、ドラムの上流及び下流にそれぞれ配置された搬送ローラにて行った。
支持体上に形成された光学異方性層用塗布液の塗膜から離間して200μm上に、ドラム軸と露光光源とがなす平面と直交にして配置された、200μmピッチのストライプ状フォトマスク、及びフォトマスクと平行にして、支持体上に形成された光学異方性層用塗布液の塗膜から離間して10mm上に配置された露光スリットを通して、空気下にて、100mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を0.1秒間照射して、その配向状態を固定化することにより第1の位相差領域を形成した。フォトマスクのストライプ模様は搬送方向と平行であり、即ちフォトマスクの透光部と遮光部とが搬送方向に対して直交方向に交互に配置されていた。なお、パターン露光中、支持体はドラム上に押し付けられた状態に維持された。台座となるローラには水冷による温度制御機能を設け、支持体温度が露光の全工程にわたり40℃以下となるように制御した。
この様にして、第2の工程を実施した。
続いて、加熱ゾーンを搬送し、膜面温度115℃まで昇温した。一旦等方相にした後、100℃まで降温し、その温度で1分間加熱して均一配向させた。室温まで冷却した後、20mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を20秒間全面照射して、その配向状態を固定化することにより第2の位相差領域を形成した。
最後に、円筒状に巻き取ってロール状の光学フィルムを得た。第1の位相差領域と第2の位相差領域の遅相軸は直交しており、膜厚は、0.9μmであった。光学フィルムから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学フィルムの長手方向に対して、45°となっていた。
パターン化された光学異方性層を、第1の位相差領域又は第2の位相差領域のいずれか一方の遅相軸が、直交位に組合された2枚の偏光板のいずれか一方の偏光軸と平行になるように、偏光板の間に入れ、さらに、位相差530nmの鋭敏色板を、その遅相軸が偏光板の偏光軸と45°の角度をなすように、光学異方性層の上においた。次に、光学異方性層を+45°回転させた状態、及び−45°回転させた状態を偏光顕微鏡(NIKON製 ECLIPE E600W POL)で観察した。観察結果から、+45°回転させた場合、第1の位相差領域の遅相軸と鋭敏色板の遅相軸が平行になっているため、位相差は530nmよりも大きくなり、その色は青色(白黒図面では濃淡の濃い部分)に変化し、一方、第2の位相差領域の遅相軸は鋭敏色板の遅相軸と直交しているため、位相差は530nmよりも小さくなり、その色は黄色(白黒図面では濃淡の淡い部分)に変化していることが明らかになった。−45°回転させた場合、逆の現象となった。+45°回転させた状態で観察された偏光顕微鏡写真を図4に示した。
[光学フィルムの評価]
作製した光学フィルムの任意の100のストライプパターンについて、KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて前記方法に従って、配向膜界面のディスコティック液晶のチルト角、空気界面のディスコティック液晶のチルト角、及びRe、Rthをそれぞれ測定し、平均を求めた。結果を表1に示す。下記表中、垂直とは、チルト角70°〜90°を表す。また、光学フィルムについて、KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、前記方法に従って、光学異方性層の遅相軸の方向を決定した。表1に、光学異方性層の遅相軸と配向膜のラビング方向の方向との関係を示す。
表1に示す結果から、ディスコティック液晶を、ピリジニウム塩化合物、及びフルオロ脂肪族基含有共重合体の存在下で、一方向にラビング処理したPVA系ラビング配向膜上で配向させ、加熱温度を変化させて露光することによって、垂直配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
測定を行った100のストライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有する格子は0であった。
また、パターン化された光学異方性層を、第1の位相差領域又は第2の位相差領域のいずれか一方の遅相軸が、直交位に組合された2枚の偏光板のいずれか一方の偏光軸と平行になるように、偏光板の間に入れ、さらに、位相差530nmの鋭敏色板を、その遅相軸が偏光板の偏光軸と45°の角度をなすように、光学異方性層の上においた。
ストライプパターン境界領域のシュリーレン欠陥は細線としてくっきりと観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有する光学フィルムである事が認められる。
2. 実施例2
用いる光学異方性層塗布液を下記組成の塗布液に変更した以外、実施例1と同様の操作にてパターン化された光学異方性層付光学フィルムの作製を試みた。光学異方性層の膜厚は、0.8μmであった。
<光学異方性層用組成>
ディスコティック液晶E−2 100質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(P−2) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 300質量部
[光学フィルムの評価]
作製した光学フィルムについて、実施例1と同様にして、光学異方性層の遅相軸の方向を決定した。表1に、光学異方性層の遅相軸と配向膜のラビング方向の方向との関係を示す。
表1に示す結果から、ディスコティック液晶を、ピリジニウム塩化合物、及びフルオロ脂肪族基含有共重合体の存在下で、一方向にラビング処理したPVA系ラビング配向膜上で配向させ、加熱温度を変化させて露光することによって、垂直配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
測定を行った100のトライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有する格子は0であった。
また、実施例1と同様にパターン境界領域のシュリーレン欠陥を評価したところ、細線としてくっきりと観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有する光学フィルムである事が認められる。
3. 実施例3
光学異方性層塗布液を下記組成に変更した以外、実施例1と同様の操作にてパターン化された光学異方性層付光学フィルムの作製を試みた。光学異方性層の膜厚は、0.8μmであった。
<光学異方性層用組成>
ディスコティック液晶E−2 100質量部
配向膜界面配向剤(II−2) 1.0質量部
空気界面配向剤(P−2) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 300質量部
[光学フィルムの評価]
作製した光学フィルムについて、実施例1と同様にして、光学異方性層の遅相軸の方向を決定した。表1に、光学異方性層の遅相軸と配向膜のラビング方向の方向との関係を示す。
表1に示す結果から、ディスコティック液晶を、ピリジニウム塩化合物、及びフルオロ脂肪族基含有共重合体の存在下で、一方向にラビング処理したPVA系ラビング配向膜上で配向させ、加熱温度を変化させて露光することによって、垂直配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
測定を行った100のストライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有する格子は0であった。
また、実施例1と同様にパターン境界領域のシュリーレン欠陥を評価したところ、細線としてくっきりと観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有する光学フィルムである事が認められる。
4. 実施例4
光学異方性層塗布液を下記組成に変更した以外、実施例1と同様の操作にてパターン化された光学異方性層付光学フィルムの作製を試みた。光学異方性層の膜厚は、0.8μmであった。
<光学異方性層用組成>
ディスコティック液晶E−3 100質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(P−2) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
メチルエチルケトン 300質量部
[光学フィルムの評価]
作製した光学フィルムについて、実施例1と同様にして、光学異方性層の遅相軸の方向を決定した。表1に、光学異方性層の遅相軸と配向膜のラビング方向の方向との関係を示す。
表1に示す結果から、ディスコティック液晶を、ピリジニウム塩化合物、及びフルオロ脂肪族基含有共重合体の存在下で、一方向にラビング処理したPVA系ラビング配向膜上で配向させ、加熱温度を変化させて露光することによって、垂直配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
測定を行った100のストライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有する格子は0であった。
また、実施例1と同様にパターン境界領域のシュリーレン欠陥を評価したところ、細線としてくっきりと観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有する光学フィルムである事が認められる。
5.実施例5
(光配向膜付透明支持体の作製)
実施例1で作製した支持体の、鹸化処理を施した面に、下記構造の光配向材料E−1 1%水溶液をワイヤーバーで連続的に塗布した。100℃の温風で60秒乾燥し、光配向膜を形成した。配向膜の膜厚は0.1μmであった。
(光配向処理)
光配向膜を形成した上記支持体を速度10m/分で搬送し、基板上10mmに設置された露光スリットを通して、1000mW/cmの偏光紫外線を0.1秒間照射して、第1の位相差領域用の光配向機能を付与した。なお、偏光露光の偏光軸は搬送方向に対して45°とした。
続いて、前後に備えられた搬送ローラにてパターン露光の台座となるローラ(ドラム)上へ連続的に搬送した。台座となるローラ上では、光配向膜を形成した支持体上100μm上に、搬送方向と平行方向に200μmピッチでスリットが刻まれたフォトマスクと、該フォトマスクと平行して基板上10mmに設置された露光スリットを通して、1000mW/cmの偏光紫外線を0.4秒間照射して、第2の位相差領域用の光配向機能を付与した。フォトマスクのストライプ模様は搬送方向と平行であり、即ちフォトマスクの透光部と遮光部とが搬送方向に対して直交方向に交互に配置されていた。なお、偏光露光の偏光軸は搬送方向に対して−45°であり、台座となるローラには水冷による温度制御機能を設け、支持体温度が露光の全工程にわたり40℃以下となるように制御した。また露光中、支持体はローラ上に押し付けられた状態に維持されていた。
(光学異方性層の作製)
下記組成の光学異方性層用塗布液を、#3.2のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、10m/分で搬送されているフィルムの光配向処理した配向膜面に連続的に塗布した。塗布量は4ml/mであった。80℃の加熱ゾーン内を搬送し、膜面温度80℃で1分間乾燥して塗布した組成物を液晶相状態とし均一配向させた後、室温まで冷却した。
最後に、円筒状に巻き取ってロール状の光学フィルムを得た。第1の位相差領域と第2の位相差領域の遅相軸は直交しており、膜厚は、0.9μmであった。光学フィルムから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学フィルムの長手方向に対して、45°となっていた。
(光学異方性層用組成)
棒状液晶I−27 100質量部
水平配向剤A 0.3質量部
光重合開始剤 3.3質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
メチルエチルケトン 300質量部
[光学フィルムの評価]
表1に示す結果から、棒状液晶を、異なる二方向に光配向処理したアゾ系光配向膜上で配向させることによって、水平配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
測定を行った100のストライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有する格子は0であった。
また、実施例1と同様にパターン境界領域のシュリーレン欠陥を評価したところ、細線としてくっきりと観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有する光学フィルムである事が認められる。ただし、光配向膜の膜厚が0.1μmと薄膜であるため、ワイヤーバースジ欠陥が発生した。
6. 実施例6
[光学フィルムの準備]
実施例3で作製したパターン光学異方性層付光学フィルムを使用した。
[反射防止膜の作製]
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
メチルエチルケトン900質量部に対して、シクロヘキサノン100質量部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート(DPCA−20、日本化薬(株)製)750質量部、シリカゾル(MIBK−ST、日産化学工業(株)製)200質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50質量部、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
(中屈折率層用塗布液Aの調製)
ZrO微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶剤組成:メチルイソブチルケトン/メチルエチルケトン=9/1、JSR(株)製])5.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.05質量部、メチルエチルケトン66.6質量部、メチルイソブチルケトン7.7質量部及びシクロヘキサノン19.1質量部を添加して攪拌した。充分に攪拌の後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して中屈折率層用塗布液Aを調製した。
(中屈折率層用塗布液Bの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)4.5質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.14質量部、メチルエチルケトン66.5質量部、メチルイソブチルケトン9.5質量部及びシクロヘキサノン19.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して中屈折率層用塗布液Bを調製した。
屈折率1.36、膜厚90μmとなるように、中屈折率用塗布液Aと中屈折率用塗布液Bとを適量混合し、中屈折率塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
ZrO微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、光重合開始剤含有、溶剤組成:メチルイソブチルケトン/メチルエチルケトン=9/1、JSR(株)製])14.4質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)0.75質量部、メチルエチルケトン62.0質量部、メチルイソブチルケトン3.4質量部、シクロヘキサノン1.1質量部を添加して攪拌した。充分に攪拌の後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して高屈折率層用塗布液Cを調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
上記構造式中、50:50はモル比を表す。
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g及び過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。更にヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は、0.53MPa(5.4kg/cm)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.422、質量平均分子量は50000であった
(中空シリカ粒子分散液Aの調製)
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シエル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31)500質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.51質量部加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2質量%の分散液Aを得た。得られた分散液AのIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5質量%以下であった。
(低屈折率層用塗布液の調製)
各成分を下記のように混合し、メチルエチルケトンに溶解して固形分濃度5質量%の低屈折率層用塗布液Ln6を作製した。下記各成分の質量%は、塗布液の全固形分に対する、各成分の固形分の比率である。
・P−1:パーフルオロオレフィン共重合体(1):15質量%
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製):7質量%
・MF1:国際公開第2003/022906号パンフレットの実施例記載の下記含フッ素不飽和化合物(重量平均分子量1600):5質量%
・M−1:日本化薬(株)製KAYARAD DPHA:20質量%
・分散液A:前記中空シリカ粒子分散液A(アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面修飾した中空シリカ粒子ゾル、固形分濃度18.2%):50質量%
・Irg127:光重合開始剤イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):3質量%
前記光学フィルム上に、前記組成のハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量150mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ12μmのハードコート層Aを形成した。
更に中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの照射量とした。
[円偏光板の作製]
上記にて作製したフィルムに、下記の粘着剤塗布液及び上層塗布液Bを、透明支持体側にそれぞれ20ml/m塗布し、100℃で5分乾燥して粘着剤付きフィルム試料とした。
(粘着剤塗布液)
下記水溶性ポリマー(m) 0.5g
アセトン 40ml
酢酸エチル 55ml
イソプロパノール 5ml
(上層塗布液B)
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製ゴーセノールNH−26)
0.3g
サポニン(メルク社製界面活性剤) 0.03g
純水 57ml
メタノール 40ml
メチルプロピレングリコール 3ml
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ30μmの偏光膜を得た。上記の粘着剤付きフィルムに対し偏光膜を、偏光膜の吸収軸と光学フィルムの遅相軸が45°となるよう、粘着剤を塗設した側に貼り付けた。更に偏光膜のもう一方の側に市販のセルロールアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フィルム(株)製、Re(550)は3nm、|Rth(630)|は50nm)をアルカリケン化処理を行った後、粘着剤層を塗設してから貼り合わせ、円偏光板を作製した。
(画像表示装置への実装評価)
円偏光眼鏡方式の3Dモニター(ZALMAN製)に使用されているパターン位相差板とフロント偏光板をはがし、上記で作製した円偏光板を貼合した。貼り合わせに際しては、円偏光板のストライプと3Dモニターの左/右目用画像を一致させた。
作製した3Dモニターに立体視用画像を映し、右眼用/左眼用の円偏光メガネを通して観察したところ、クロストークのない鮮明な立体画像を観察することができた。
7. 比較例1
[光学フィルムの作製]
製造ラインからドラムを除き、パターン露光する際に、支持体用フィルムをドラム上に固定せずに行った以外は、実施例3と同様の操作にて光学フィルムを作製した。配向膜の膜厚は、0.9μmであり、光学異方性層の膜厚は、0.9μmであった。
[光学フィルムの評価]
作製した光学フィルムの任意の100のストライプパターンについて、KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて前記方法に従って、配向膜界面のディスコティック液晶のチルト角、空気界面のディスコティック液晶のチルト角、及びRe、Rthをそれぞれ測定し、平均を求めた。結果を表1に示す。下記表中、垂直とは、チルト角70°〜90°を表す。また、光学フィルムについて、KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、前記方法に従って、光学異方性層の遅相軸の方向を決定した。表1に、光学異方性層の遅相軸と配向膜のラビング方向の方向との関係を示す。
表1に示す結果から、ディスコティック液晶を、ピリジニウム塩化合物、及びフルオロ脂肪族基含有共重合体の存在下で、一方向にラビング処理したPVA系ラビング配向膜上で配向させ、加熱温度を変化させて露光することによって、垂直配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
但し、測定を行った100のストライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有するストライプが2箇所見出された。
また、実施例1と同様にパターン境界領域のシュリーレン欠陥を評価したところ、境界部分がぼんやりと不明瞭に観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有していない事が認められる。
8. 比較例2
[光学フィルムの作製]
製造ラインからドラム及びスリットを除き、パターン露光する際に、支持体用フィルムをドラム上に固定せず、且つスリットを通さずに行った以外は、光学異方性層の作製方法を下記作製方法に変更した以外、実施例3と同様の操作にて光学フィルムを作製した。配向膜の膜厚は、0.9μmであり、光学異方性層の膜厚は、0.9μmであった。
[光学フィルムの評価]
作製した光学フィルムの任意の100のストライプパターンについて、KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて前記方法に従って、配向膜界面のディスコティック液晶のチルト角、空気界面のディスコティック液晶のチルト角、及びRe、Rthをそれぞれ測定し、平均を求めた。結果を表1に示す。下記表中、垂直とは、チルト角70°〜90°を表す。また、光学フィルムについて、KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、前記方法に従って、光学異方性層の遅相軸の方向を決定した。表1に、光学異方性層の遅相軸と配向膜のラビング方向の方向との関係を示す。
表1に示す結果から、ディスコティック液晶を、ピリジニウム塩化合物、及びフルオロ脂肪族基含有共重合体の存在下で、一方向にラビング処理したPVA系ラビング配向膜上で配向させ、加熱温度を変化させて露光することによって、垂直配向であるとともに、遅相軸が直交した第1の位相差領域と第2の位相差領域を有するパターン化された光学異方性層が得られることが理解できる。
但し、測定を行った100のストライプパターンについて、Reが平均値±5nm以上のバラつきを有するストライプが3箇所見出された。
また、実施例1と同様にパターン境界領域のシュリーレン欠陥を評価したところ、境界部分がぼんやりと不明瞭に観察された。この結果から本実施例の光学フィルムは高精細なパターン状の光学異方性層を有していない事が認められる。
9. 比較例3
(画像表示装置への実装評価)
比較例1で作製した光学フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして円偏光板を作製し、実施例5と同様の方法にて3Dモニターを作製した。
作製した3Dモニターに立体視用画像を映し、右眼用/左眼用の円偏光メガネを通して観察したところ、クロストークが大きく立体画像として認識できなかった。
10. 比較例4
(画像表示装置への実装評価)
比較例2で作製した光学フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして円偏光板を作製し、実施例5と同様の方法にて3Dモニターを作製した。
作製した3Dモニターに立体視用画像を映し、右眼用/左眼用の円偏光メガネを通して観察したところ、クロストークが大きく立体画像として認識できなかった。
10 光学フィルム
12 パターン光学異方性層
14 配向膜
16 透明支持体
20 円偏光板
22 直線偏光膜
24 保護フィルム

Claims (16)

  1. 長尺状支持体、及びその上に、少なくとも1種の光学特性が互いに異なる複数の領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムの製造方法であって、
    複数の搬送ローラにより連続的に搬送される長尺状の支持体上に、感光性組成物を供給し、感光性組成物の感光性膜を形成する第1の工程、及び
    支持体上の感光性膜をパターン露光する第2の工程、
    を少なくとも含み
    前記第2の工程において、2つの搬送ローラ間に配置されたドラムの表面に支持体が押し付けられた状態で、その上に配置された感光性膜に対してパターン露光を行うことを特徴とする長尺状光学フィルムの製造方法。
  2. 前記第2の工程において、ドラムの中心軸に対して平行な位置に配置された露光スリットを通して感光性膜をパターン露光することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記パターン露光を、搬送方向に対して直交方向に透光部と遮光部とが交互に配置されたストライプ状フォトマスクを介して行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ドラムが冷却装置を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記感光性組成物が、光硬化性液晶組成物であって、第2の工程が、露光により光硬化性液晶組成物の光硬化反応を進行させ、その配向状態を固定する工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 長尺状の支持体が、配向処理された配向膜を有し、前記第1の工程において、配向膜の配向処理面に、前記光硬化性液晶組成物を供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記配向膜が、ラビング処理されたラビング配向膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記第1の工程前に、少なくとも下記1−1)及び1−2)工程
    1−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上にラビング配向膜を形成する工程
    1−2)ラビング配向膜を一方向にラビング処理する工程、を実施し;
    前記第1の工程が、下記1−3)工程
    1−3)長尺状の透明支持体上に形成されたラビング配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程、であり;
    前記第1及び第2の工程の間に、少なくとも下記1−4)工程
    1−4)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、膜中の液晶をラビング方向に対して、直交配向させる工程、を実施し;
    前記第2の工程が、下記1−5)工程
    1−5)直交配向状態の液晶を含有する光硬化性液晶組成物膜に、フォトマスク下で、パターン露光して、露光領域の光硬化反応を進行させて直交配向状態を固定化する工程、であり;
    前記第2の工程の後に、少なくとも下記1−6)及び1−7)工程
    1−6)光硬化性液晶組成物膜を温度T(但し、T<T)℃で加熱して、未照射領域の膜中の液晶を、ラビング方向に対して平行配向させる工程
    1−7)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、光硬化反応を進行させて、平行配向状態を固定化し、パターン光学異方性層を形成する工程、を実施することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記感光性組成物が、光配向膜用組成物であって、第2の工程が、露光により該組成物の膜に光配向能を発現させる工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  10. 第2の工程の後に、前記光配向膜上で光硬化性液晶組成物からなるパターン光学異方性層を形成する第3の工程を実施することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記第1の工程が、下記2−1)工程
    2−1)長手方向に搬送される長尺状の透明支持体上に、光配向膜用組成物を塗布して、光配向膜を形成する工程、であり;
    前記第1の工程と第2の工程との間に、少なくとも下記2−2)工程
    2−2)光配向膜に、偏光を全面照射して、光配向膜に第1の方向の配向能を発現させる工程、を実施し;
    前記第2の工程が、下記2−3)工程
    2−3)光配向膜に対して、2−2)工程の偏光と直交する方向の偏光を、フォトマスク下で、パターン露光し、露光部の光配向膜に第1の方向と直交する方向の配向能を発現させてパターン光配向膜を形成する工程、であり;
    前記第2の工程の後に、少なくとも下記2−4)〜2−6)工程
    2−4)パターン光配向膜上に、光硬化性液晶組成物を塗布して、光硬化性液晶組成物膜を形成する工程
    2−5)光硬化性液晶組成物膜を温度T℃で加熱して、光硬化性液晶組成物膜中の液晶を、第1及び第2の方向に発現された光配向膜の配向能に従って、それぞれパターン配向させる工程
    2−6)光硬化性液晶組成物膜を光照射して、パターン配向状態を固定化して、パターン光学異方性層を形成する工程、
    を実施すること特徴とする請求項1〜4、9及び10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記光硬化性液晶組成物が、少なくとも1種のディスコティック液晶を含有することを特徴とする請求項5〜8、10及び11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記光硬化性液晶組成物中の液晶化合物が棒状液晶であることを特徴とする請求項5〜8、10及び11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記パターン光学異方性層が、互いに直交する面内遅相軸を有する第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、前記第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実施して、長尺状支持体、及びその上に、面内遅相軸が互いに直交する第1及び第2の位相差領域を含むパターン光学異方性層を有する長尺状光学フィルムを作製すること、
    作製された長尺状光学フィルムと長尺状直線偏光膜とを、長尺状光学フィルムの第1及び第2の位相差領域の面内遅相軸と、長尺状直線偏光膜の吸収軸方向とを45°にして、連続的に貼合すること、
    を少なくとも含む、長尺状円偏光板の製造方法。
  16. 3D画像表示システムに用いられる円偏光板の製造方法であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
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