JP2012041313A - 忌避剤 - Google Patents

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Abstract


【課題】ヒトデ成分による虫等の忌避効果を、家庭における害虫等に対しても享受できるように、持ち運びに便利かつ家庭にて設置可能なパッケージ状の忌避剤を提供する。
【解決手段】通気孔を有する筐体と、該筐体に収納されるヒトデの処理固形物とによりパッケージ状の忌避剤を構成する。該ヒトデの処理固形物は、そのヒトデ成分が該通気孔を介して空気中に発散されることが可能な状態に該筐体内に収納されている。筐体内は主室と副室とに区分され、両室のうち一方または両方に該ヒトデの処理固形物が収納されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主には家庭用として用いられる、害虫や害獣に対する忌避剤に関する。
昔から、ヒトデそのものやヒトデを粉末にして土壌上や土壌中に散布すると、それに含まれるサポニン等の成分(以下、「ヒトデ成分」とする)により、虫や獣に対する忌避効果があることが知られている。この忌避効果に着目して、例えば、特許文献1や特許文献2に示すような忌避剤及び忌避剤に利用する成分抽出や忌避剤の製造装置等が開発されている。
特許文献1には、ペースト状にしたヒトデの水溶液を液分と固形分とに分離し、液分より製造した液状防虫剤を、農地、ゴルフ場、飛行場の滑走路周辺等に散布すること、また、粉末状の固形分については、堆肥や土中の虫に対する忌避剤として、土壌に撒くことが開示されている。
また、特許文献2には、最終的に肥料化することを目的として農地に撒かれる忌避剤としてのヒトデ粉末、及びそれを製造するための製造装置が開示されている。
特開2009−196899号公報 特開2003−183108号公報
上述の特許文献1、2に示すように、ヒトデを利用した忌避剤は、液状或いは固形物として、それをそのまま野外の目的地に散布するものとなっていた。
したがって、従来のヒトデを利用した忌避剤を、家庭内における害虫(ゴキブリ、ムカデ、ナメクジ等)を忌避するものとして用いることはできなかった。
ここで、ヒトデの忌避効果は、その成分が空気中に発散されることでも発揮されることがわかっており、一方で、そのように成分が空気中に発散されていても人体には無害で悪臭もない。したがって、ヒトデ成分の空気中への発散が可能な状態にパッケージ化することで、家庭用の忌避剤として提供でき、家庭においてその優れた防虫効果を享受することが可能となる。また、近年繁殖するオニヒトデを駆除した後のその処理物の用途を広げることにも繋がる。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の如き手段を用いる。すなわち、本発明は、請求項1に記載されるように、通気孔を有する筐体と、該筐体に収納されるヒトデの処理固形物とによりパッケージ状に構成される忌避剤であり、該ヒトデの処理固形物は、そのヒトデ成分が該通気孔を介して空気中に発散されることが可能な状態に該筐体内に収納されている。
請求項2に記載されるように、前記筐体には、前記ヒトデの処理固形物に加えて、トウガラシの処理固形物を、そのトウガラシ成分が前記通気孔を介して空気中に発散されることが可能な状態に収納することが考えられる。
この場合において、請求項3に記載されるように、該トウガラシの処理固形物を、該ヒトデの処理固形物と混在した状態で該筐体に収納することが考えられる。
或いは、請求項4に記載されるように、該トウガラシの処理固形物を、該ヒトデの処理固形物より分離した状態で該筐体に収納することが考えられる。
請求項5に記載されるように、前記ヒトデの処理固形物は、粒状物または球状物とすることが考えられる。
請求項6に記載されるように、前記ヒトデの処理固形物は、ヒトデ成分が通過可能な素材よりなる袋材に収納された状態で、前記筐体内に収納されることが考えられる。
この場合において、請求項7に記載されるように、前記袋材の素材に、ヒトデ成分を含ませることが考えられる。
或いは、請求項8に記載されるように、前記袋材の素材に、トウガラシ成分を含ませることが考えられる。
請求項9に記載されるように、前記筐体内において、ヒトデの処理固形物と前記通気孔との間に、ヒトデ成分の該通気孔を介しての空気中への発散を防ぐシール材を容易に除去可能に介装することが考えられる。
請求項10に記載されるように、前記筐体は、本体と蓋体とを接合してなるものとし、該本体の内部には、前記ヒトデの処理固形物を収納する室を形成し、該蓋体には、該本体への接合時に該室に対峙する位置にて前記通気孔を形成することが考えられる。
さらに、請求項11に記載されるように、前記本体の内部には、ヒトデの処理固形物を収納する前記室より隔離される第二室を構成することが考えられる。
本発明は、上記手段を用いることにより、以下の如き効果を奏する。まず、本発明は、請求項1に記載の如くパッケージ状の忌避剤とすることにより、持ち運びが簡単で、家庭内に容易に設置できるものとなっており、家庭向けの忌避剤としての利便性を有している。忌避剤の筐体はその内部に収納するヒトデの処理固形物を保護し、その忌避効果を長期間持続させる。筐体内のヒトデの処理固形物からは、ヒトデ成分が、該通気孔を介して空気中に発散されるので、設置した忌避剤の周辺には、その忌避効果により、ゴキブリ、ムカデ、ナメクジ等の害虫がよりつかない。したがって、該忌避剤の設置場所や設置個数を適切に選択することで、家庭における虫等に対する忌避効果を向上或いは最適化できる。
本発明に係る前記忌避剤は、請求項2に記載の如く構成することにより、ヒトデ成分による忌避効果をトウガラシ成分による忌避効果で補完できる。例えば、ネズミに対してはヒトデ成分による忌避効果は薄いが、トウガラシ成分による忌避効果が高いことがわかっており、ヒトデの処理固形物とトウガラシの処理固形物との両方を筐体に収納してなる忌避剤により、ネズミに対する忌避効果をも発揮することができる。このようにして、忌避対象とする虫や獣の種類を増やすことができ、一つの忌避剤を用いて非常に多くの種類の虫や獣を家庭より退散させることができ、効率的かつ高い忌避効果を得ることができる。
トウガラシの処理固形物を筐体に収納する場合において、請求項3に記載の如く構成することにより、筐体の限られた範囲で通気孔を構成している場合にも、該通気孔よりヒトデ成分及びトウガラシ成分の両方とも空気中に発散させることができるので、上記の両成分による高い忌避効果を効率的に発揮させることができる。
或いは、請求項4に記載の如く構成することにより、例えば筐体内を複数の室に区画し、ヒトデの処理固形物とトウガラシの処理固形物とをそれぞれの室に別々に収納することが考えられ、異なる成分同士の間での影響(例えば効果の相殺や化学反応等)を回避することができる。また、ヒトデ成分を発散する通気孔の開口面積と、トウガラシ成分を発散する通気孔の開口面積とを、それぞれともに大きく確保することができ、それぞれの成分による忌避効果をともに大きく確保することができる。
本発明に係る前記忌避剤は、請求項5に記載の如く構成することで、その忌避効果を高めるとともに効果持続期間を長くすることができる。すなわち、粒状物や球状物は、その単体間の隙間が大きく確保されるため、限られた容量からでもヒトデ成分の発散量を多くすることができ、これにより、忌避効果が高まるものである。なお、上記のトウガラシの処理固形物についても、同様の構成とすることで、そのトウガラシ成分による忌避効果について、同様の効果を得ることができる。
本発明に係る前記忌避剤は、請求項6に記載の如く構成することで、筐体にヒトデの処理固形物を収納する際は、該ヒトデの処理固形物を収納する袋材を該筐体内に収納するだけですむので、忌避剤としてのパッケージの組立行程が簡略化される。また、各袋材におけるヒトデの処理固形物の収納量を決めておくことにより、筐体へのヒトデの処理固形物の収納量について簡単に定量化することができる。また、仮に筐体が破壊された場合にも、ヒトデの処理固形物の散乱を防ぐことができる。そして、ヒトデ成分が通過可能な素材で該袋材を構成することで、ヒトデ成分の発散を確保でき、また、その通過量を調整して素材を構成することで、その発散量をコントロールできる。なお、トウガラシの処理固形物も、同様に袋材に収納することで、トウガラシ成分について同様の効果を奏することができる。
このように袋材を用いる忌避剤において、請求項7に記載の如く構成することにより、ヒトデの処理固形物から発散されるヒトデ成分に加え、袋材からもヒトデ成分が発散され、通気孔を介してのヒトデ成分の発散効果を一層高めることができ、また、筐体におけるヒトデ成分の保持量も多くなるので、その忌避効果をより長期化できる。なお、トウガラシの処理固形物を収納する袋材についてトウガラシ成分を含ませることで、トウガラシ成分について同様の効果を得ることができる。
或いは、請求項8に記載の如く構成することにより、ヒトデの処理固形物からのヒトデ成分の発散に加え、袋材からはトウガラシ成分が発散され、通気孔を介して、ヒトデ成分及びトウガラシ成分を空気中に発散させることができ、両成分による忌避効果を奏することができる。また、トウガラシの処理固形物を筐体に収納しなくても、トウガラシ成分による忌避効果を確保できる。ここで、請求項2〜4に記載のようにヒトデの処理固形物に加えてトウガラシの処理固形物を筐体に収納した場合と、請求項8に記載のようにヒトデの処理固形物を収納した袋材にトウガラシ成分が含まれている場合とでは、筐体におけるヒトデ成分・トウガラシ成分間での保持量比、及び、ヒトデ成分・トウガラシ成分それぞれの保持量に違いがあり、また、トウガラシの処理固形物を筐体に収納した場合でも、請求項3に記載のようにヒトデの処理固形物と混在させた場合と、請求項4に記載のようにヒトデの処理固形物とは分離した場合とでも、当該保持量比やそれぞれの成分の保持量に違いがあるので、ヒトデ成分とトウガラシ成分との両方の忌避効果を発揮させる忌避剤を構成する場合には、用途や設置場所等に応じて、請求項2〜4、8のいずれの構成を選択すればよいかを考えればよい。なお、逆に、トウガラシの処理固定物を収納する袋材の素材にヒトデ成分を含ませることも考えられる。
本発明に係る前記忌避剤は、請求項9に記載の如く構成することにより、設置及び使用の前はシール材にて筐体内に収納されるヒトデの処理固形物からのヒトデ成分の無駄な発散を抑止することができ、設置・使用時において、そのシール材を除去することで、容易かつ迅速にヒトデ成分の発散効果を得ることができる。
本発明に係る前記忌避剤は、請求項10に記載の如く構成することにより、筐体を本体と蓋体とに分離することで、ヒトデの処理固形物を本体の該室内に収納することによる、その筐体への収納作業が容易になり、また、ヒトデの処理固形物を本体の該室に収納した後は、蓋体を本体に接合することで、容易にヒトデの処理固形物を収納した状態の筐体を構成することができ、また、該室に対峙するよう蓋体に構成された通気孔より、該室内に収納されるヒトデの処理固形物からのヒトデ成分が発散される状態となる。なお、該室内に、ヒトデの処理固形物に加え、或いはヒトデの処理固形物に代えて、トウガラシの処理固形物を収納することで、蓋体と本体との接合後、蓋体の通気孔よりトウガラシ成分を発散させることができる。
さらに、請求項11に記載の如く構成することにより筐体内に確保される第二室内には、例えば、請求項4に記載のようにヒトデの処理固形物とトウガラシの処理固形物とを分離して筐体内に収納する場合に、第二室にトウガラシの処理固形物を収納することが考えられる。この場合には、蓋体における、該第二室に対峙する位置にも、トウガラシ成分を発散させるための通気孔を形成することが考えられる。或いは、第二室に、ヒトデの処理固形物のヒトデ成分の発散効果を高めるため、或いは長くその効果を発揮させるための、例えば、温度や湿度を適度に保持する物質や部材を収納することも考えられる。このように、筐体内に第二室を確保することで、その忌避効果の質やバリエーションの向上を図ることができる。
本発明に係る忌避剤R(その筐体1)の斜視図である。 該筐体1より蓋体3を除去し、シール6を剥がしている状態におけるパッケージ状忌避剤Aの斜視図であって、本体2の内部構造を示す図である。 該蓋体3の平面図である(該忌避剤R及び該筐体1の平面図でもある)。 該本体2の平面図である(該蓋体3を取り除いた状態における忌避剤R及び筐体1の平面図でもある)。 該蓋体3の底面図である(該本体2を取り除いた状態における忌避剤R及び筐体1の底面図でもある)。 該本体2の底面図である(該忌避剤R及び該筐体1の底面図でもある)。 図3を該筐体1の平面図とした場合における該筐体1の図3中F線矢視正面図である。 該本体2と該蓋体3とに上下分離した状態における該筐体1の図3中F線矢視正面分解図である。 図3を該筐体1の平面図とした場合における該筐体1の図3中S線矢視側面図である。 該本体2と該蓋体3とに上下分離した状態における該筐体1の図3中S線矢視側面分解図である。 図3を該忌避剤Rの平面図とした場合における該忌避剤Rの図3中X−X線矢視断面図である。 該筐体1を該本体2と該蓋体3とに上下分離し、シール6を外した状態における該忌避剤Rの図3中X−X線矢視断面分解図である。 図3を該忌避剤Rの平面図とした場合における該忌避剤Rの図3中Y−Y線矢視断面図である。 該筐体1を該本体2と該蓋体3とに上下分離し、シール6を外した状態における該忌避剤Rの図3中Y−Y線矢視断面分解図である。
本発明に係るパッケージ状忌避剤Rの概略について、図1、図2等より説明する。忌避剤Rは、筐体1内に、忌避成分組成物5を収納してなるものであって、筐体1に設けた通気孔を介して、筐体1内の忌避成分組成物5より発散される忌避成分を大気中に放散することで、筐体1の周囲に虫や獣等に対する忌避効果をもたらすよう構成されている。筐体1内には後述の如く主室Aと副室Bとが形成されている。本願では、忌避剤Rの実施例として、図2等の如く主室Aのみに忌避成分組成物5を収納した構成としているが、後述の如く、副室Bにも忌避成分組成物を収納してもよいし、また、副室Bのみに忌避成分組成物を収納したものや、筐体1内を前述の如き二室に分けることなく、全体を一室の構成にして、ここに忌避成分組成物を収納したもの等も考えられる。
忌避剤Rを構成する筐体1は、本体2と蓋体3とを着脱自在に接合してなるものである。まず、この筐体1の構成について図1〜図14より説明する。なお、この筐体1の説明については、本体2の底面を水平にし、その上に蓋体3を被せ、該本体2に蓋体3を接合して筐体1が構成されることを前提とする。
筐体1の本体2及び蓋体3の構成素材としては、内蔵する忌避成分に対する耐腐食性や、外部からの圧力等に対する耐久性や、本体2と蓋体3との後述の如き着脱自在の嵌合を確保するための弾性等を有することが求められ、好ましくは、プラスチック(合成樹脂)材が考えられるが、要求される性質を備える素材であれば、どのような素材でもよい。
本体2は、図6〜図14に示すように、水平の底板部2aを有している。該底板部2aの下面の適宜箇所からは半球状の脚部2fを下方突出しており、該脚部2fを設置対象面に接触させることで忌避剤Aを設置するものとしている。脚部2fを設けずに底板部2aの下面を直接に設置対象面に接触させるものとしてもよい。また、本実施例の筐体1はこのような構造を有する据置き型となっているが、筐体1に把手を設けて吊下げ型に構成してもよい。
本体2の底板部2aは、図4、図6等に示す如く平面視略四角形であって、その四角形の四辺に該当する端部より4つの鉛直板部を上方に延設し、これら四つの鉛直板部にて平面視略四角枠形状の外枠部2bを形成している。また、図2、図4、図11〜図14に示すように、平面視で該外枠部2bに囲まれるように、底板部2aより、四つの鉛直板部を上方に延設し、これら四つの鉛直板部にて平面視略四角形状の内枠部2cを形成している。こうして、本体2内において、底板部2a及び内枠部2cにて囲まれる平面視略四角形状で上方開放状の主室Aと、内枠部2c周りにて底板部2aと外枠部2bとで囲まれる平面視略四角枠形状で上方開放状の副室Bとが構成されている。すなわち、外枠部2bは、副室Bの外周壁となっており、内枠部2cは、主室Aの外周壁となるとともに副室Bの内周壁となっており、底板部2aは、主室A及び副室Bの底壁となっている。
蓋体3は、図1、図3、図5、図11〜図14に示すように、水平で平面視略四角形状の内天板部3aを有している。また、蓋体3には、図1、図3、図5〜図14に示すように、該内天板部3aを囲むように、水平で平面視略四角枠形状の外天板部3bが形成されている。更に、蓋体3には、図1、図3、図5〜図14に示すように、該外天板部3bの平面視略四角枠形状の外四辺に該当する端部より下方延出される四つの鉛直板部にて構成される平面視略四角枠形状の外枠部3cが形成されている。本実施例では、図1、図11〜図14に示すように、内天板部3aと外天板部3bとが段差状に繋がっていて、外天板部3bが内天板部3aより高くなっているが、両天板部3a・3b間の段差がないように、両者を平坦状に繋げてもよいし、或いは、両者の厚みに差を設けてもよい。
蓋体3の外枠部3cの下端部が本体2の外枠部2bの上端部に嵌合することにより、図1、図7、図9、図11、図13に示す如く、蓋体3と本体2とが接合されて、筐体1となる。これにより、図11、図13に示す如く、内天板部3aは、その下面が該本体2の内枠部2cの上端に押接して、主室Aの天井部となり、外天板部3bは副室Bの天井部となる。
筐体1内に収納した忌避成分組成物5より発散される忌避成分を大気へと発散するため、蓋体3には通気孔3dが形成されている。図1、図3、図5、図11、図12に示すように、本願で示す忌避剤Rに用いられる筐体1の蓋体3においては、主室Aに忌避成分組成物5を収納することに対応して、主室Aに臨む内天板部3aに形成しているが、副室Bにも忌避成分組成物を収納する場合には、蓋体3の外天井部3bや外枠部3cにも通気孔3dを形成してもよい。或いは、本体2にこのような目的の通気孔を設けてもよい。
また、図3の矢印F方向を忌避剤Rの前後方向と見た場合、本実施例の筐体1における本体2内において、主室Aが前後方向で偏った位置に形成されている。すなわち、本体2内において、副室Bが、内枠部2cと外枠部2bとの間で、主室Aの前後左右を囲むように形成されているが、主室Aの前側に配置される副室Bの部分と、主室Aの後側に配置される副室Bの部分とで、前後方向の幅が異なっている。ここで、副室Bのこれらの部分のうち、前後方向の幅の小さい方を、主室Aの前側に配置される前部分、前後方向の幅の大きい方を、主室Aの後側に配置される後部分とする。つまり、本体2内において、主室Aを前寄りに形成しているものとする。蓋体3はそもそも上記のように、本体2に被せた時に、内天板部3aの周縁部が内枠部2cの上端に当接して、内天板部3aが主室Aの天井部、外天板部3bが副室Bの天井部になるように、該内天板部3a・外天板部3bを形成しているので、本体2内において主室Aが前寄りに形成されているのに対応して、蓋体3においても、内天板部3aを前寄りに形成している。すなわち、内天板部3aの前端と外枠部3cの前部との間における外天板部3bの前部が、内天板部3aの後端と外枠部3cの後部との間における外天板部3bの後部よりも、その前後方向の幅が小さくなっている。
このように、本体2内の主室A及び蓋体3の内天板部3aを前後方向で偏った位置に形成することにより、蓋体3を本来とは前後反対にして本体2に被せることにより、本体2内では主室Aが前寄りに配置されているのに対し、蓋体3では内天板部3aが後寄りに配置され、したがって、内天板部3aの一部が、副室Bにおける主室Aの後方側の部分を覆うこととなり、内天板部3aに形成した複数の通気孔3dのうちのいくつかが副室Bに臨むこととなる。このように、蓋体3において内天板部3aのみに通気孔3dを形成している場合にも、蓋体3を前後反対にして本体2に取り付けることにより、通気孔3dが主室Aにも副室Bにも臨む状態とすることができ、主室Aだけでなく副室Bにも忌避成分組成物を充填した場合などに対応できる。
図2、図4、図7〜図14に示すように、本体2の外枠2bの上端部は、その外周部が切り欠かれて、残りの内周部が鉛直薄板部2dとして上方突出した状態となっており、一方、図5、図7〜図14に示すように、蓋体3の下端部は、その内周部が切り欠かれていて、残りの外周部が鉛直薄板部3eとして下方突出した状態となっている。本体2と蓋体3との接合の際には、本体2の薄板部2dが蓋体3の薄板部3eの内周りの切欠に嵌入され、蓋体3の薄板部3eが本体2の薄板部2dの外周りの切欠に嵌入される。
さらに、図2、図7、図8、図11、図12に示すように、本体2の薄板部2dの適宜箇所(好ましくは、外枠部2bの前記四つの鉛直板部うち、底板部2aの平面視略直方形の長辺に該当する端部より上方突出する鉛直板部に形成された薄板部2d)に、外側向きに開口する凹部2eを形成しており、一方、該凹部2eに対応して、蓋体3には、図5、図7、図8、図11、図12に示すように、薄板部3eより内側向きに突出する突出部3fを形成している。本体2と蓋体3とを接合するため、前述の如く、蓋体3の薄板部3eが本体2の薄板部2d周りの切欠に嵌入する際に、突出部3fが薄板部2dに押接される。この際、蓋体3の有する弾性により、突出部3fの突出分だけ、外枠部3cが外に押し広げられる。更に蓋体3を本体2に向かってスライドさせることで、突出部3fが薄板部2dに当接したまま摺動し、やがて、図7、図11に示すように、凹部2eに嵌入する。これにより、蓋体3は本体2に対しそれ以上スライドできなくなり、該突出部3fの凹部2eへの嵌入により、押し広げられていた外枠部3cが元に戻って、薄板部2dと薄板部3eとが密着した状態になり、本体2と蓋体3との接合が完了する。
蓋体3を本体2より取り外す際には、例えば、蓋体3の内天板部3aを押し下げると、蓋体3の弾性により、外枠部3cが外に押し広げられ、突出部3fが凹部2eより抜ける。これにより、蓋体3が本体2に対してスライド自在、すなわち、本体2より取り外し自在となる。
次に、図2、図4、図11、図12に示す、筐体1に収納される忌避成分組成物5及びそれを内包する袋材4について説明する。忌避成分組成物5は、虫や獣等に対する忌避効果のある成分を含有するものであり、粉末状でもよいが、粉末だと、筐体1の底部に近い部分に位置する成分が十分に発散されない可能性がある。そこで、粒状や球状の固形物とすることが考えられる。これらの固形物は粉末状のものを固めて構成してもよい。粒状や球状の固形物個々の単体間にて隙間が確保されるので、発散効率が高くなる。したがって、筐体1内の限られた容積の空間(主室Aや副室B)に、必要な量の忌避成分が充填される一方で、充填した忌避成分が効率よく通気孔3dを介して大気に発散されるのである。
忌避成分組成物5として、ヒトデを処理して構成される固形物が考えられる。ヒトデ成分(サポニン等)は、大気に発散されることで、ゴキブリ、ムカデ、ナメクジ等の害虫に対する忌避効果を奏する。また、忌避成分組成物5として、トウガラシを処理して構成される固形物が考えられる。トウガラシ成分(カプサイシン等)は、大気に発散されることで、ゴキブリ、ムカデ等の害虫やネズミに対する忌避効果を奏する。
ネズミに対しては、ヒトデ成分はあまり忌避効果を有しないが、トウガラシ成分は大きな忌避効果を有する。一方で、虫や獣の種類によっては、トウガラシ成分に比べてヒトデ成分の方が忌避効果を奏するものもあると考えられる。したがって、ヒトデの処理固形物のみを忌避成分組成物5として筐体1に収納した忌避剤と、トウガラシの処理固形物のみを忌避成分組成物5として筐体1に収納した忌避剤とを用意して、忌避対象とする虫や獣の種類を特定して、それに見合う忌避剤を提供するものとしてもよいし、ヒトデの処理固形物及びトウガラシの処理固形物の両方を筐体1に収納した忌避剤を構成して、両成分が互いに忌避効果を補うようにし、一つの忌避剤で忌避対象となる獣や虫の種類を広げるものとしてもよい。
図2等に見られる忌避剤Rは、忌避成分組成物5を筐体1内の主室Aのみに充填してなるものである。本実施例では、忌避成分が通過可能な素材よりなる袋材4に忌避成分組成物を詰め、該袋材4を、主室Aを構成する本体2の内枠部2c内に嵌入するものとしているが、袋材4なしに忌避成分組成物5を直接、主室Aに充填してもよい。袋材4は、例えば不織布より構成することが考えられる。また、袋材4自体にヒトデ成分やトウガラシ成分等の忌避成分を含ませることも考えられる。
忌避剤Rの主室Aに充填される忌避成分組成物5としては、ヒトデの処理固形物のみからなるもの、トウガラシの処理固形物のみからなるもの、或いは、ヒトデの処理固形物とトウガラシの処理固形物とを混合したものとすることが考えられる。このように、忌避剤Rの主室A内には、一種類の忌避成分組成物を充填してもよいし、複数種類の忌避成分組成物を充填してもよい。
また、忌避剤Rにおいては、図11、図13に示すように、忌避剤として実際に使用するまで、主室Aを覆うようにシール6を蓋体3と本体2との間に介装している。シール6の裏面は粘着面となっていて、本体2の内枠部2cの上端に貼装されており、こうしてシール6を蓋体3の通気孔3dと主室A内の(忌避成分組成物5を内包した)袋材4との間に介装することで、忌避成分組成物5より忌避成分が無駄に通気孔3dを介して大気に放散されるのを防いでいる。実際に忌避剤として使用する際には、図2、図12、図14に示すように、蓋体3を本体2より取り外し、シール6を本体2の内枠部2cより剥がして取り除き、主室Aを上方開放する。この状態で再び蓋体3を本体2に接合することで、内天板部3aに形成された通気孔3dが主室Aに対峙し、袋材4を介して忌避成分組成物5より発散される忌避成分が、通気孔3dを介して大気に放散されて、忌避効果を発揮するのである。
忌避剤Rの他の実施例として、前述の如く、忌避成分組成物5を主室Aにも副室Bにも充填することが考えられる。なお、副室Bに忌避成分組成物5を充填する場合には、袋材を、副室Bの形状に合わせて輪状に構成し、この袋材に詰めた状態で副室Bに充填することが考えられる。この副室B用の袋材も、前述の主室A用の袋材4と同様に、素材や構成として、その内包する忌避成分組成物より発散される忌避成分を通過させるものであればよく、例えば不織布より構成すること、また、例えばアクリル樹脂等で構成すること、また、忌避成分を含ませること等が考えられる。或いは、主室A・副室Bに充填される忌避成分組成物5のうちの一方または両方を、袋材なしで直接、主室Aまたは(及び)副室Bに充填してもよい。
主室A・副室Bの両方に忌避成分組成物5を充填するものとした忌避剤Rにおいて、好ましくは、主室Aに充填される忌避成分組成物5をヒトデの処理固形物のみからなるものとし、副室Bに充填される忌避成分組成物5をトウガラシの処理固形物のみからなるものとすることが考えられる。或いは、忌避成分組成物5をトウガラシの処理固形物、忌避成分組成物5をヒトデの処理固形物とすることも考えられる。さらには、両室A・Bの忌避成分組成物5のうち、いずれか一方、または両方を、ヒトデの処理固形物とトウガラシの処理固形物との混合物とすることも考えられる。このように両室A・Bの忌避成分組成物5ともに当該混合物とする場合は、主室Aの忌避成分組成物5き副室Bの忌避成分組成物5との間で、その混合率が異なるものとしてもよい。このように、主室Aと副室Bとで充填する忌避成分組成物を異ならせることで、主室Aから発散される忌避成分による忌避効果と、副室Bから発散される忌避成分による忌避効果とを異ならせることができる。
また、忌避剤Rにおいて、このように主室A・副室Bの両方に忌避成分組成物を充填する場合には、忌避剤として実際に使用するまで、両室A・Bを覆うようにシール6を蓋体3と本体2との間に介装するものとしてもよく、該シール6の裏面を粘着面として、本体2の内枠部2cの上端及び外枠部2b(の薄板部2d)の上端に貼装するものとしてもよい。こうしてシール6を蓋体3の通気孔3d(この場合には、副室Bに臨む通気孔3dも構成されている)と主室A・副室B内の各忌避成分組成物5(或いはそれを内包した袋材4)との間に介装することで、両室A・Bの忌避成分組成物5より忌避成分が無駄に通気孔3dを介して大気に放散されるのを防いでいる。実際に忌避剤として使用する際には、蓋体3を本体2より取り外し、シール6を本体2の内枠部2c及び外枠部2b(の薄板部2d)より剥がして取り除き、主室A・副室Bを上方開放する。この状態で再び蓋体3を本体2に接合することで、内天板部3aに形成された通気孔3dが主室Aに対峙し、外天板部3b(または外枠部3c)に形成された通気孔3dが副室Bに対峙して、各室の忌避成分組成物5より発散されるそれぞれの忌避成分が、通気孔3dを介して大気に放散されて、それぞれの忌避効果を発揮するのである。
或いは、シールを、主室Aを覆う部分と副室Bを覆う部分とに分割できるようにしてもよい。こうすることで、主室A内の忌避成分組成物による忌避効果を発揮する時期と、副室B内の忌避成分組成物による忌避効果を発揮する時期とをずらせること等が可能である。例えば、最初に主室Aを覆う部分を剥がし、主室A内の忌避成分組成物による忌避効果を発揮させ、その忌避効果が弱まってきたら、副室Bを覆う部分を剥がし、副室B内の忌避成分塑性物による忌避効果を発揮させるという実施形態が考えられる。
なお、副室Bについては、上述のように忌避成分組成物を充填する他にも用途が考えられる。例えば、主室Aに充填した忌避成分組成物の発散効果を高めるための保温剤や保湿剤等を副室Bに充填してもよい。また、この場合には、蓋体3の通気孔3dは、内天板部3aのみに設けるものとしてもよい。
R 忌避剤
1 筐体
2 本体
2a 底面部
2b 外枠部
2c 内枠部
2d 薄板部
2e 凹部
2f 脚状突起
A 主室
B 副室
3 蓋体
3a 内天板部(主室天井部)
3b 外天板部(副室天井部)
3c 外枠部
3d 通気孔
3e 薄板部
3f 突起部
4 袋材
5 忌避成分組成物(ヒトデ成分の処理固形物、トウガラシ成分の処理固形物)
6 シール材

Claims (11)

  1. 通気孔を有する筐体と、該筐体に収納されるヒトデの処理固形物とによりパッケージ状に構成され、該ヒトデの処理固形物は、そのヒトデ成分が該通気孔を介して空気中に発散されることが可能な状態に該筐体内に収納されていることを特徴とする忌避剤。
  2. 前記筐体には、前記ヒトデの処理固形物に加えて、トウガラシの処理固形物を、そのトウガラシ成分が前記通気孔を介して空気中に発散されることが可能な状態に収納することを特徴とする請求項1に記載の忌避剤。
  3. 前記トウガラシの処理固形物を、前記ヒトデの処理固形物と混在した状態で前記筐体に収納することを特徴とする請求項2に記載の忌避剤。
  4. 前記トウガラシの処理固形物を、前記ヒトデの処理固形物より分離した状態で前記筐体に収納することを特徴とする請求項2に記載の忌避剤。
  5. 前記ヒトデの処理固形物は、粒状物または球状物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の忌避剤。
  6. 前記ヒトデの処理固形物は、ヒトデ成分が通過可能な素材よりなる袋材に収納された状態で、前記筐体内に収納されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の忌避剤。
  7. 前記袋材の素材に、ヒトデ成分を含ませることを特徴とする請求項6に記載の忌避剤。
  8. 前記袋材の素材に、トウガラシ成分を含ませることを特徴とする請求項6または7に記載の忌避剤。
  9. 前記筐体内において、ヒトデの処理固形物と前記通気孔との間に、ヒトデ成分の該通気孔を介しての空気中への発散を防ぐシール材を容易に除去可能に介装することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の忌避剤。
  10. 前記筐体は、本体と蓋体とを接合してなるものとし、該本体の内部には、前記ヒトデの処理固形物を収納する室を形成し、該蓋体には、該本体への接合時に該室に対峙する位置にて前記通気孔を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の忌避剤。
  11. 前記本体の内部には、ヒトデの処理固形物を収納する前記室より隔離される第二室を構成することを特徴とする請求項10に記載の忌避剤。

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