JP2012029458A - 電動機 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定子の鉄心に加わる圧縮応力に起因する鉄損特性の劣化(鉄損の増加)を抑制した、電動機全体の鉄損劣化が小さく高効率な電動機を提供する。
【解決手段】固定子形状に加工した電磁鋼板を積層した固定子を焼き嵌めあるいは圧入によりケースに固定した電動機において、上記固定子は、Si含有量が3.5mass%以上で、外径がケースの内径より大きい電磁鋼板Aと、外径がケースの内径より小さい電磁鋼板Bとを交互にあるいは数枚おきに積層してなるものであることを特徴とする電動機。
【選択図】図3

Description

本発明は、高効率の電動機に関するものであり、具体的には、電磁鋼板を積層した固定子を電動機のケース(ハウジング)に固定する際、固定子に加わる圧縮応力による鉄損特性の低下を最小限にとどめた高効率の電動機に関するものである。
近年、地球温暖化や化石燃料の枯渇の影響を受けて、エネルギー消費量の削減が重要視されるようになってきている。斯かる状況の下、電力の多くを消費している各種電動機のエネルギー効率を向上することは急務となってきている。そのため、電動機の効率向上を目的として、固定子の鉄心や回転子鉄心の素材となる電磁鋼板の特性改善、特に、鉄損特性の改善(鉄損低減)に大きな力が注がれてきた。
ところで、内部回転子型と呼ばれる電動機は、一般に磁石を埋め込んだ円柱状の回転子(ロータ)と、その外周に位置する固定子(ステータ)およびそれらを内蔵する電動機のケース(ハウジング)とからなり、上記回転子や固定子の鉄心は、打ち抜き等で所定の形状に加工した電磁鋼板を積層した後、それらを接着やかしめなどの方法で固着して作られている。なお、上記固定子の鉄心は、ティース部とその外側に位置するヨーク部とからなり、ティース部に巻線を施した後、電動機のケースに固定される。
上記固定子をケースに固定する方法には幾つかあるが、焼き嵌めによる方法や圧入による方法が一般的である。焼き嵌めによる方法は、固定子の外径より僅かに小さい内径を持つ電動機のケースを加熱して熱膨張させた後、その内径部分に固定子を挿入する方法であり、その後、ケースが室温まで冷却すると、ケース内径が収縮して固定子が固定される。一方、圧入による方法は、固定子を、固定子の外径より僅かに小さい内径を有する電動機ケースの内径部分に負荷を加えて挿入し、固着する方法である。
しかし、これらの方法を用いて固定子をケースに固定すると、固定子の鉄心の外周には、ケース内面からの大きな圧縮応力が加わり、その結果、固定子のヨーク部周方向、すなわち磁路に沿った方向にも大きな圧縮応力が発生することになる。そして、電動機の固定子にこのような大きい圧縮応力が加わると、電動機の効率が著しく低下する。
固定子に圧縮応力が加わると電動機の特性が劣化する原因は、主に、鉄心材料である電磁鋼板の鉄損特性の応力依存性にあると考えられている。すなわち、非特許文献1によれば、電磁鋼板の磁路方向に沿って圧縮応力を加えると鉄損が増大し、透磁率が低下することが記載されていることから、固定子に加わった圧縮応力により鉄心材料である電磁鋼板の鉄損が増加し、透磁率が低下する結果、所望の磁束密度を得るために大きな巻線電流が必要となり、電動機の損失が増加し、効率が低下するものと解釈される。
上記のような圧縮応力による電動機の特性劣化を最小限にとどめる技術としては、特許文献1に、固定子のスロット外周側に位置するヨークの外周に切欠き部を設け、ティース外周側に位置する貫通穴の外周にリブを設けて、リブの回転方向両端部をR面取り形状とすることで、焼き嵌めあるいは圧入によって固定子鉄心に加わる圧縮応力を低減した電動機が提案されている。
特開2005−80451号公報
谷良浩ら、「電磁鋼板の応力下における磁気特性の測定」、電気学会マグネティツクス研究会資料、MAG−03−191
しかしながら、固定子を電動機のケースに確実に固定するためには、ある程度の圧縮応力が加わることは避けられない。また、特許文献1の技術では、電磁鋼板に加わる圧縮応力をある程度緩和しているとはいえ、その圧縮応力は磁束が通る固定子鉄心のヨーク部にまで及んでいるため、電動機の特性劣化は免れ得ないという問題がある。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定子の鉄心に加わる圧縮応力に起因する鉄損特性の劣化(鉄損の増加)を抑制した、電動機全体の鉄損劣化が小さく高効率な電動機を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決するため、固定子の鉄心を構成する電磁鋼板の鉄損特性の応力依存性に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、鉄損特性の応力感受性の異なる2種類の電磁鋼板を用いて、異なる外径を有する固定子形状に加工した2種類の電磁鋼板(以降、この鋼板を「積層鋼板」ともいう。)を作製し、すなわち、応力感受性の小さい電磁鋼板を用いて大きな外径の積層鋼板を、応力感受性の大きい電磁鋼板を用いて小さな外径の積層鋼板を作製し、これらを交互にあるいは数枚おきに積層し、あるいはさらに、上記積層鋼板をティース部で固着して固定子を作製することで、固定子鉄心全体の圧縮応力による鉄損劣化を抑制することが可能となり、ひいては電動機の効率を大きく改善することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、固定子形状に加工した電磁鋼板を積層した固定子を焼き嵌めあるいは圧入によりケースに固定した電動機において、上記固定子は、Si含有量が3.5mass%以上で、外径がケースの内径より大きい電磁鋼板Aと、外径がケースの内径より小さい電磁鋼板Bとを交互にあるいは数枚おきに積層してなるものであることを特徴とする電動機である。
本発明の電動機における上記電磁鋼板BのSi含有量は、上記電磁鋼板AのSi含有量より低いことを特徴とする。
また、本発明の電動機における上記電磁鋼板AのSi含有量は3.5〜6.5mass%、電磁鋼板BのSi含有量は3.5mass%未満であることを特徴とする。
また、本発明の電動機における上記固定子は、積層した電磁鋼板がティース部において固着されてなるものであることを特徴とする。
また、本発明の電動機における上記固定子は、電磁鋼板Aと電磁鋼板Bとが1:1〜5の比率で積層されてなるものであることを特徴とする。
本発明によれば、鉄損特性の応力依存性が異なる電磁鋼板を用いて異なる外径の固定子形状に加工した後、これらを積層して固定子の鉄心を作製することで、固定子全体としての鉄損が小さく、高効率の電動機を提供することが可能となるので、省資源、省エネルギーの向上に大きく寄与する。
焼き嵌めにより固定子を電動機のケースに固定する方法を説明する図である。 外径の異なる2種類の電磁鋼板を積層した本発明の固定子を説明する図である。 外径の異なる2種類の電磁鋼板を積層した本発明の固定子の上面図および断面図である。
まず、本発明の技術思想について説明する。
非特許文献1に記載されているように、固定子に圧縮応力が加わると電動機の特性が劣化する原因は、主に鉄心材料である電磁鋼板の鉄損特性の応力依存性にある。したがって、電動機の特性劣化を抑制するには、固定子の鉄心に圧縮応力を加えないことが望ましい。しかし、固定子を電動機のケースに固定するためには、ある程度の圧縮応力が加わることは避けられない。
また、固定子鉄心を焼き嵌めや圧入によって電動機のケースに固定するには、打ち抜き等で固定子の形状に加工した電磁鋼板(積層鋼板)の外径が、ケース内径より僅かに大きいことが必要であり、その差が大きいほど、大きな固定力が得られる。しかし、その反面、固定子鉄心を構成する積層鋼板には、より大きな圧縮応力が加わることになる。
そこで、固定子の形状に加工した外径の大きさが異なる2種類の積層鋼板、即ち、1つはケース内径より大きい外径、もう1つはケース内径より小さい外径を有する2種類の積層鋼板を作製し、これらを交互にあるいは数枚おきに積層して固定子を構成した場合には、それぞれの積層鋼板に加わる圧縮応力の大きさは外径の大きさに応じて変化する、すなわち、大きい外径の積層鋼板には大きな圧縮応力が加わり、小さい外径の積層鋼板には圧縮応力は加わらないか、加わったとしても小さくなることが予想される。
ところで、上記電磁鋼板の鉄損特性の応力依存性は、電磁鋼板全てにおいて同じ特性を示すものではなく、例えば、Si含有量に応じて磁歪定数が変化し、それに応じて磁気特性の応力依存性も変化することが知られている。
具体的には、Siの含有量が6.5mass%の電磁鋼板では、磁歪定数がほぼゼロとなるので、応力感受性は低くなる。ここで、応力感受性が低いとは、応力による磁気特性の変化が小さい、すなわち、圧縮応力による鉄損特性の劣化(鉄損の増加)が小さいことを意味する。しかし、Si含有量が6.5mass%の鋼は、硬くて脆く、圧延して製造することが困難であるため、浸珪法や温間圧延等、特殊な方法で製造する必要がある。また、Si含有量が増加すると、飽和磁束密度が低下するという問題点もある。一方、Si含有量が低い通常の電磁鋼板は、応力感受性が高い反面、飽和磁束密度が高いという特性を有する。したがって、それぞれの鋼板が有する特性に応じて、使い分けることが好ましい。
そこで、大きな圧縮応力が加わる積層鋼板と、小さな圧縮応力が加わる積層鋼板に、応力感受性の異なる電磁鋼板をそれぞれ配置する、すなわち、大きな圧縮応力が加わる積層鋼板には、応力感受性の低い電磁鋼板を、一方、小さな圧縮応力が加わる積層鋼板には、通常の応力感受性の大きい電磁鋼板を用いることで、固定子全体として、圧縮応力による電磁鋼板の鉄損特性の劣化を抑制できる可能性がある。
しかしながら、上記のような鉄損特性の劣化を抑制する効果が得られるのは、積層した電磁鋼板が互いに固着されていない場合である。すなわち、通常の固定子のように、積層した電磁鋼板が接着やかしめで固着されている場合には、積層鋼板同士が拘束しあっているため、圧縮応力が上下の鋼板まで及ぶことになる。そのため、上記のように外径の異なる電磁鋼板を交互に積み重ねたとしても、外径の揃った電磁鋼板を積層した場合と圧縮応力の加わり方に大きな変化はない。
一方、積層した固定子鉄心は、固着しなければ、焼き嵌めなどの方法でケースに挿入した際、一部の鋼板が反ったり座屈したりして変形し、固定子の中心軸がずれを起こすおそれがある。そこで、本発明は、積層した電磁鋼板の固着を、鋼板全面で行うのではなく、固定子のティース部分のみで行うことで、反りや座屈を発生させることも、回転子とのギャップの精度も低下させることもなく、所望の固定強度を確保できることを見出した。
すなわち、ティース部のみで固着することで、固定子の固定によって電動機ケースから大きい外径の積層鋼板に加わる圧縮応力を大きくし、小さい外径の積層鋼板に加わる圧縮応力を弱めることができる。しかも、ティース部のみで固着した場合には、小さい外径の積層鋼板のティースの根元部分には、上下に積層した外径の大きい積層鋼板から、径方向の内側に向かって小さいながらも引張応力を受けるので、ティース部分の鉄損をより低減することができる。
上記のように、鉄損特性の応力感受性の異なる2種類の電磁鋼板を用いて、異なる外径を有する固定子形状に加工した2種類の電磁鋼板(積層鋼板)を作製し、すなわち、応力感受性の小さい電磁鋼板を用いて外径の大きな積層鋼板を、応力感受性の小さい電磁鋼板を用いて外径の小さな積層鋼板を作製し、これらを交互にあるいは数枚おきに積層し、ティース部のみで固着して固定子を作製することで、焼き嵌めあるいは圧入により固定子に加わる圧縮応力の大きさを積層鋼板ごとに変えて、固定子鉄心全体の圧縮応力による鉄損劣化を低減し、電動機の効率を改善することが可能となる。
本発明は、上記知見に基づき、さらに検討を加えてなされたものである。
以下、本発明についてさらに説明する。
本発明の電動機は、固定子形状に加工した電磁鋼板を積層した固定子を、電動機のケース(ハウジング)に固定した構造のものであることが必要である。
上記固定子を電動機のケースに固定する方法としては、焼き嵌めによる方法あるいは圧入による方法が一般的である。図1は、固定子を電動機のケースに焼き嵌めにより固定する方法を模式的に説明した図であり、(a)は、固定子1の外径より僅かに小さい内径を有する電動機ケース2を加熱し、熱膨張させて大きくした電動機ケース2の内径部分に固定子1を装入した状態を、また、(b)は、上記電動機ケース2が冷却して収縮し、固定子1がケース2に固定された状態を示したものである。また、圧入による方法は、固定子1の外径より僅かに小さい内径を有する電動機ケース2を加熱することなく、その内径部分に固定子1を、荷重を加えて挿入する方法である。これらの方法では、いずれの場合も固定子の外径に、圧縮応力が加わった状態となる。
上述したように、これらの固定方法では、固定子の鉄心を構成する積層された電磁鋼板(積層鋼板)の外径はケース内径より大きくしてあり、焼き嵌め法では、上記積層鋼板の外径とケース内径との差を「焼き嵌め代」と呼んでいる。この焼き嵌め代は、大きければ大きいほど固定子をケースに固定する力を大きくすることができるが、固定子鉄心を構成する積層鋼板が受ける圧縮応力も大きくなるため、鉄損劣化を低減する上ではできるだけ小さいことが望ましい。そこで、上記焼き嵌め代は、固定子の外径の大きさや、積層厚みにもよるが、概ね20μm以上200μm以下の範囲に設定されているのが普通である。
次に、本発明の電動機における上記固定子は、固定子形状に加工した外径が、ケースの内径より大きい電磁鋼板(以降、「積層鋼板A」ともいう)と、ケースの内径より小さい電磁鋼板(以降、「積層鋼板B」ともいう)とを交互にあるいは数枚おきに積層したものであることが特徴である。
すなわち、従来の電動機における固定子の鉄心は、打ち抜き外径が全て同じ寸法をもつ電磁鋼板(積層鋼板)で構成されていたため、固定子を構成する積層鋼板はすべて同じ圧縮応力を受け、積層方向(厚さ方向)における圧縮応力にはほとんど変化はないと考えられる。
そこで、本発明では、外径寸法のみが異なり、その他の部分の寸法が同じ2種類の積層鋼板Aおよび積層鋼板Bを準備し、これらを図2に示すように交互に積層して固定子を作製する。図2において、Aは、外径がケース内径より大きい積層鋼板Aを、Bは打ち抜き外径がケース内径より小さい積層鋼板Bを示す。
また、図3は、図2のように電磁鋼板を積層して形成した固定子1を、焼き嵌めあるいは圧入による方法で電動機のケース2の内径部分に固定した状態を模式的に示したものであり、外径寸法の大きい積層鋼板Aは、ケース2の内面に圧接しており、その結果、ケース2から径方向内側へ圧縮応力を受けている。一方、外径がケース内径より小さい積層鋼板Bは、ケース2の内面と接していない。そのため、積層鋼板が固着されていない場合には、電磁鋼板Bにはケースからの圧縮応力が直接加わらない状態となっている。
しかし、実際問題として、積層した電磁鋼板が固着されていなければ、ケースに挿入した際、固定子を構成する鋼板が変形したり、ずれを起こしたりするおそれがあるので、接着やかしめ等による鋼板同士を固着することが好ましい。しかし、従来の固着方法では、鋼板同士がティース部とヨーク部のほぼ全面において固着されているため、本発明のように、大小異なる外径の電磁鋼板を積層した場合には、小さい外径の電磁鋼板にも圧縮応力が加わってしまう。
そこで、本発明では、積層鋼板の固着を、図3に示したティース部4のみで行うこととした。このように、積層鋼板を固着する範囲をティース部に限定することで、外径の小さい積層鋼板Bのヨーク部分には圧縮応力が及ばないようにすることができる。しかも、積層鋼板Bは、積層鋼板Aとティース部で接しているので、径方向の内側に向かって弱い引張応力を受けることになり、その結果、非特許文献1に記載されるように、応力範囲によっては鉄損が低下することも期待できる。
なお、上記積層鋼板の固着は、必ずしも必須ではなく、例えば、ティース部4の周囲には、通常、銅線が巻かれるが、積層鋼板と電気絶縁するため、樹脂製のボビンが取り付けられることが多く、ボビンの設計によっては、固着なしでも積層鋼板を固定でき、ずれを防止することが可能である。また、積層した電磁鋼板を固着する方法は、接着やかしめ等いずれの方法でもよく、特に限定しないが、鋼板に歪みが加わらない接着による方法が好ましい。
また、上記積層鋼板AとBの外径差は、できるだけ小さいことが望ましい。積層鋼板Bの外径が固定後のケース内径より小さければ、ケース内面からの圧縮応力は直接受けることはない。しかし、積層鋼板AとBの外径差が大きくなると、ケース内面に接する積層鋼板Aの端部が折れや座屈等の変形を起こすおそれがある。そこで、上記外径差は、大きくても積層鋼板Aの板厚程度であることが好ましい。
次に本発明の電動機の固定子を構成する上記電磁鋼板Aは、Si含有量が3.5mass%以上であることが必要である。
上述したように、本発明の電動機では、打ち抜き後の外径寸法の異なる積層鋼板Aと電積層鋼板Bとで、電動機のケースから受ける圧縮応力の大きさが異なる。そこで、大きな圧縮応力を受ける積層鋼板Aには、鉄損特性の応力感受性の低い電磁鋼板を用いることが必要となる。
前述したように、磁気特性の応力感受性は、磁歪定数に関係しており、鋼中のSi含有量が増加するほど磁歪定数は低下し、6.5mass%では磁歪定数はほぼゼロとなる。そのため、Si濃度が6.5mass%では、応力感受性も低くなり、電磁鋼板の応力による鉄損の変化も小さくなる。したがって、本発明では、大きな圧縮応力を受ける積層鋼板Aには、圧縮応力による鉄損劣化が通常の電磁鋼板に比べては小さなSi含有量が3.5mass%以上の電磁鋼板を用いる。しかし、Si濃度が6.5mass%を超えると、鋼が硬質化して割れ易くなり、製造することが困難となる他、飽和磁束密度も低下する。よって、Si含有量の上限は、磁歪定数がゼロとなる6.5mass%とするのが好ましい。より好ましいSi含有量は、4.5〜6.5mass%の範囲である。
一方、打ち抜き外径がケース内径より小さい積層鋼板Bには、積層鋼板AよりSi含有量が少ない通常の電磁鋼板を用いることが好ましい。というのは、Si含有量が多い電磁鋼板は、圧縮応力による鉄損特性の劣化(鉄損の増加)は小さいものの、飽和磁束密度が低くなる。そのため、積層鋼板BにもSi含有量が多い電磁鋼板を用いると、固定子鉄心全体の飽和磁束密度が低下する結果、銅損が増大して、電動機の損失が増加し、効率が低下するおそれがあるからである。これに対して、Si含有量が少ない電磁鋼板は、圧縮応力による鉄損特性の劣化(鉄損の増加)はあるものの、Si含有量が高い電磁鋼板より飽和磁束密度が高い特性を有する。したがって、固定子の鉄心全体としての飽和磁束密度を低下させないためには、積層鋼板Bには、飽和磁束密度の高い材料、すなわちSi含有量が積層鋼板Aより低いものを用いることが好ましい。積層鋼板Bに用いる電磁鋼板の好ましいSi含有量は3.5mass%未満である。ただし、Siの含有量が低くなりすぎると、鉄損が増加するので、Siの下限は1.5mass%程度とするのが好ましい。
積層鋼板Aと積層鋼板Bの積層の仕方は、必ずしも図2や図3に示したような交互(1枚おき)である必要はなく、ケース2の内面と接して圧縮応力を受ける積層鋼板3が座屈等の変形を起こすことがなく、かつ、固定子全体をケースに確実に固定することができる範囲内であれば、積層鋼板Aの比率を減らすことも可能である。ここで、固定子の鉄心を構成する積層鋼板Aと積層鋼板Bとの比を1:Nとすると、上記Nは1〜5の範囲であることが好ましい。Nが1未満では、Si含有量の多い積層鋼板AがSi含有量の低い積層鋼板Bより多くなるため、固定子鉄心全体の飽和磁束密度が低下してしまう。一方、Nが5を超えると、固定子を固定するのに必要な積層鋼板Aが少なくなり過ぎ、十分な固定力を確保することが難しくなるからである。より好ましいNは1〜3の範囲である。
なお、本発明の電動機の固定子鉄心に用いる電磁鋼板(積層鋼板A,B)のSi以外の成分組成については、通常の無方向性電磁鋼板が含有する範囲内であればよく、特に限定しないが、例えば、基本成分としてC:0.0005〜0.0050mass%、Mn:0.01〜1.0mass%、Al:0.0005〜3.5mass%を含有するものが好ましい。また、その他、磁気特性を改善する元素として、Sb,Sn,P,Ti,Zr,V,Nb,Cr等を含有していてもよい。
また、本発明の電動機の固定子鉄心に用いる電磁鋼板(積層鋼板A,B)の板厚は、高いSi含有量であるという観点から、積層鋼板Aには板厚0.05〜0.20mm、積層鋼板Bには板厚0.10〜0.50mmの電磁鋼板を用いることが好ましい。さらに、積層鋼板Aと積層鋼板Bの板厚は、より高い磁束密度を得る観点から、積層鋼板Aより積層鋼板Bの方を厚くするのが好ましい。
表1に示したSi含有量が異なる板厚が0.1mmの電磁鋼板からプレス打ち抜きして、外径:156.0mmφ、内径:91mmφ、ヨーク内径:140mmφでティース幅:7mmの固定子鉄心用の積層鋼板Aを作製し、同じく表1に示したSi含有量が異なる板厚が0.2mmの電磁鋼板からプレス打ち抜きして、外径:155.8mmφ、内径:91mmφ、ヨーク内径:140mmφでティース幅:7mmの固定子鉄心用の積層鋼板Bを作製した。次いで、上記積層鋼板Aおよび積層鋼板Bのティース部のみにエポキシ系の熱硬化性樹脂を塗布し、外径90.8mmの円柱と整列用のピンを立設した台座上に、積層鋼板Aと積層鋼板Bを交互(N=1)に各150枚ずつ(合計300枚、積層厚:45mm)積層した後、180℃に加熱して固着し、固定子鉄心とした。次いで、この固定子鉄心のティース部をボビンで覆った後、その上に巻線を施して、電動機用の固定子を作製した。その後、別途用意した、円筒状で外径が180mmφ、内径が155.96mmφ(焼き嵌め代:40μm)のアルミ合金製の電動機ケースを200℃に加熱して熱膨張させた後、上記固定子をケース内径部に挿入し、冷却して焼き嵌めして、表1に示したNo.1〜8の8極12スロットの集中巻きブラシレスDCモータ(埋め込み磁石型、内部回転子型)を作製した。さらに、積層した鋼板を固着しないで上記と同様にしてNo.9のモータを、積層した鋼板を全面で固着して上記と同様にしてNo.10のモータを作製した。
これらの電動機について、回転数:2500rpm、トルク:3Nmにおけるモータ効率を測定し、その結果を表1に併記した。この結果から、固定子の鉄心を構成する電磁鋼板の打ち抜き外径とSi含有量の組み合わせを本発明に適合させることにより、高効率の電動機を得ることができることがわかる。
Figure 2012029458
Si含有量が5.0mass%で板厚が0.1mmの電磁鋼板を積層鋼板Aの素材に用い、Si含有量が3.0mass%で板厚が0.2mmの電磁鋼板を積層鋼板Bの素材に用いて、表2に示した積層比率Nおよび焼き嵌め代以外は実施例1と同様にして、固定子鉄心を作製し、実施例1と同様にしてNo.11〜17の8極12スロットの集中巻きブラシレスDCモータ(埋め込み磁石型、内部回転子型)を作製した。
これらの電動機について、回転数:2500rpm、トルク:3Nmにおけるモータ効率を測定し、その結果を表1に併記した。この結果から、固定子の鉄心を構成する電磁鋼板の積層比率Nおよび焼き嵌め代が本発明の好適範囲にある場合には、より高効率の電動機を得ることができることがわかる。なお、No.15の例は、焼き嵌め代が小さく、十分な固定子の固定力が得られないため、モータ効率は測定することができなかった。
Figure 2012029458
本発明の技術は、永久磁石式同期電動機(ブラシレスDCモータ)のみならず、電磁鋼板を鉄心材料とする電動機、例えば誘導式電動機やスイッチドリラクタンスモータにも好適に適用することができる。
1:固定子
2:電動機のケース(ハウジング)
3:ヨーク部
4:ティース部
A:打ち抜き外径がケース内径より大きい電磁鋼板(積層鋼板A)
B:打ち抜き外径がケース内径より小さい電磁鋼板(積層鋼板B)

Claims (5)

  1. 固定子形状に加工した電磁鋼板を積層した固定子を焼き嵌めあるいは圧入によりケースに固定した電動機において、上記固定子は、Si含有量が3.5mass%以上で、外径がケースの内径より大きい電磁鋼板Aと、外径がケースの内径より小さい電磁鋼板Bとを交互にあるいは数枚おきに積層してなるものであることを特徴とする電動機。
  2. 上記電磁鋼板BのSi含有量は、上記電磁鋼板AのSi含有量より低いことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
  3. 上記電磁鋼板AのSi含有量は3.5〜6.5mass%、電磁鋼板BのSi含有量は3.5mass%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機。
  4. 上記固定子は、積層した電磁鋼板がティース部において固着されてなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動機。
  5. 上記固定子は、電磁鋼板Aと電磁鋼板Bとが1:1〜5の比率で積層されてなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動機。
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