JP2012023407A - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成され、金属基材からなる第2電極層とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
この問題を解決する手法として、封止基板内に配線を埋設する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、構造が複雑になり製造工程が煩雑になる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、透明基板と、上記透明基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成され、金属基材からなる第2電極層とを有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。図1に示す例において、有機薄膜太陽電池1は、透明基板2と、透明基板2上に形成された第1電極層3と、第1電極層3上に形成された光電変換層4と、光電変換層4上に形成され、金属基材からなる第2電極層5とを有している。光電変換層4および第2電極層5は同面積となっている。
また本発明によれば、第2電極層が金属基材からなり水分や酸素に対してバリア性を有するので、第2電極層の上から封止基板を用いて封止を行う必要がない。したがって、第1電極層および第2電極層から容易に外部回路に電力を取り出すことが可能である。さらには、有機薄膜太陽電池の構造を単純化することができ、製造工程を簡素化することが可能である。
また、金属基材が金属箔である場合、金属箔は厚みが薄くても水分や酸素に対してバリア性を有するので、フレキシブル性を有する有機薄膜太陽電池とすることができる。したがって、高価なガスバリアフィルムを要することなく、安価にフレキシブル有機薄膜太陽電池を得ることができる。
本発明における第2電極層は、光電変換層上に形成され、金属基材からなるものである。通常、第2電極層は、光電変換層で発生した電子を取り出すための電極(電子取出し電極)とされる。
ここで、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製:PERMATRA)を用いて測定した値である。また、酸素透過度は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製:OX−TRAN)を用いて測定した値である。
なお、金属箔とは、フレキシブル性を有するものをいう。また、金属板とは、フレキシブル性を有さないものをいう。
ここで、金属基材がフレキシブル性を有するとは、JIS Z 2248の金属材料曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
本発明においては、上記第1電極層および上記第2電極層の間に、上記光電変換層の外周に沿って、絶縁性を有する接着剤層が形成されていることが好ましい。第1電極層および第2電極層間での短絡を防ぐために、第1電極層および第2電極層の間で光電変換層が形成されていない部分には必ず接着剤層が形成されていることが好ましい。
接着剤が熱硬化型樹脂である場合には、例えば、接着剤の塗布後、光電変換層上に金属基材(第2電極層)を熱圧着し、接着剤を熱硬化させることで、接着剤層を形成することができる。接着剤が熱可塑型樹脂である場合には、例えば、接着剤の塗布後、光電変換層上に金属基材(第2電極層)を熱圧着し、接着剤を加熱して冷却することで、接着剤層を形成することができる。また、接着剤が光硬化型樹脂である場合には、例えば、接着剤の塗布後、光電変換層上に金属基材(第2電極層)を熱圧着し、接着剤を光硬化させることで、接着剤層を形成することができる。接着剤が光硬化型樹脂である場合、接着剤を光硬化させた後に、さらに熱硬化させてもよい。
本発明に用いられる光電変換層は、第1電極層と第2電極層との間に形成されるものである。なお、「光電変換層」とは、有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する機能を有する部材をいう。
本発明における光電変換層の第1態様は、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であり、電子供与性材料および電子受容性材料を含有するものである。この光電変換層では、光電変換層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるため、単独で光電変換層として機能する。
導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。また、導電性高分子の電子伝達機構は、主にπスタッキングによる分子間のホッピング伝導であるため、高分子の主鎖方向のみならず、光電変換層の膜厚方向への電荷輸送も有利である。さらに、導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることで湿式塗工法により容易に成膜可能であることから、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず低コストで製造できるという利点がある。
なお、例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4-phenyleneethynylene-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)-1,4-phenyleneethene-1,2-diyl-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)ethene-1,2-diyl])の合成方法については、Macromolecules, 35, 3825 (2002) や、Mcromol. Chem. Phys., 202, 2712 (2001) に詳しい。
また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeCl3(III)、AlCl3、AlBr3、AsF6やハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
中でも、光電変換層用塗工液の塗布方法は、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法であることが好ましい。主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法としては、例えば、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法を挙げることができる。印刷法は有機薄膜太陽電池の大面積化に好適である。
乾燥処理の方法として、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥、赤外線加熱乾燥等、一般的な方法を用いることができる。
本発明における光電変換層の第2態様は、電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものである。以下、電子受容性層および電子供与性層について説明する。
本態様に用いられる電子受容性層は、電子受容性の機能を有するものであり、電子受容性材料を含有するものである。
本態様に用いられる電子供与性層は、電子供与性の機能を有するものであり、電子供与性材料を含有するものである。
本発明における第1電極層は、透明基板上に形成され、上記第2電極層と対向する電極である。第1電極層は、通常、光電変換層で発生した正孔を取り出すための電極(正孔取出し電極)とされる。本発明においては、第1電極層側が受光面となる。
図4に例示するように第1電極層3がパターン状の補助電極3aと透明電極3bとが積層されたものである場合には、透明電極のシート抵抗が比較的高い場合であっても、補助電極のシート抵抗を十分に低くすることで、第1電極層全体としての抵抗を低減することができる。したがって、発生した電力を効率良く集電することができる。
以下、透明電極および補助電極について説明する。
本発明に用いられる透明電極は、透明基板上に形成されるものである。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
この透明電極の膜厚としては、単層である場合はその膜厚が、複数層からなる場合は総膜厚が、0.1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、中でも1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄いと、透明電極のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より厚いと、全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性があるからである。
本発明に用いられる補助電極は、透明基板上にパターン状に形成されるものである。補助電極は、通常、透明電極よりも抵抗値が低い。
また、フレーム部の線幅は、補助電極全体の面積等に応じて適宜選択される。
一方、例えばスピンコート法により光電変換層を形成する場合、遠心力により均質な膜とするので、補助電極の厚みが比較的厚くても、補助電極のエッジを覆うことができる。また、スピンコート法の場合、回転数によって厚みを調整することができるので、補助電極の厚みが比較的厚くても、均質な膜を得ることができる。
よって、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法により光電変換層を形成する場合には、上記範囲が特に好ましいのである。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
透明基板上に透明電極および補助電極の順に積層されている場合には、補助電極を接着剤層と接するように配置することができる。また、例えば図4に示すように、透明基板上に補助電極3aおよび透明電極3bの順に積層されている場合には、補助電極3a上に透明電極3bが積層されていない領域を設けることにより、補助電極3aを接着剤層6と接するように配置することができる。
金属薄膜のパターニング方法としては、所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトエッチング法等を挙げることができる。
本発明に用いられる透明基板としては、特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。
中でも、透明基板が透明樹脂フィルム等のフレキシブル材であることが好ましい。透明樹脂フィルムは、加工性に優れており、製造コスト低減や軽量化、割れにくい有機薄膜太陽電池の実現において有用であり、曲面への適用等、種々のアプリケーションへの適用可能性が広がるからである。
本発明においては、図5に例示するように、光電変換層4と第1電極層3との間に正孔取出し層7が形成されていてもよい。正孔取出し層は、光電変換層から正孔取出し電極への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層から正孔取出し電極への正孔取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
これらの中でも、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、トリフェニルジアミン(TPD)が好ましく用いられる。
本発明においては、図5に例示するように、光電変換層4と第2電極層5との間に電子取出し層8が形成されていてもよい。電子取出し層は、光電変換層から電子取出し電極への電子の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、光電変換層から電子取出し電極への電子取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、上述した構成部材の他にも、必要に応じて後述する構成部材を有していてもよい。例えば、本発明の有機薄膜太陽電池は、保護シート、充填材層、バリア層、保護ハードコート層、強度支持層、防汚層、高光反射層、光封じ込め層、封止材層等の機能層を有していてもよい。また、層構成に応じて、各機能層間に接着層が形成されていてもよい。
なお、これらの機能層については、特開2007−73717号公報等に記載のものと同様とすることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池モジュールは、上述の有機薄膜太陽電池が複数個直列または並列に接続されていることを特徴とするものである。
[実施例1]
厚み125μmのPETフィルム基板の上にPVD法によりSiO2の薄膜を形成し、その上面に圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法(パワー:3.7kW、酸素分圧:73%、製膜圧力:0.3Pa、製膜レート:150nm/min、基板温度:20℃)により透明電極であるITO膜(膜厚:150nm、シート抵抗:20Ω/□)を成膜した。
次に、上記光電変換層上に厚み10μmのアルミニウム板を熱ラミネート法にて積層して、金属電極とした。その後、絶縁性接着剤を熱硬化させた。これにより、ITO膜とアルミニウム板の接触部分は絶縁性接着剤を用いて接着された。
得られた有機薄膜太陽電池では、ITO膜に正極用の金属クリップ、アルミニウム板に負極用の金属クリップを接触させることにより、外部回路に電力を取り出した。
2 … 透明基板
3 … 第1電極層
3a … 補助電極
3b … 透明電極
4 … 光電変換層
5 … 第2電極層
6 … 接着剤層
7 … 正孔取出し層
8 … 電子取出し層
10 … 有機薄膜太陽電池モジュール
Claims (3)
- 透明基板と、
前記透明基板上に形成され、透明電極およびパターン状の金属からなる補助電極が順不同に積層された第1電極層と、
前記第1電極層上に形成された光電変換層と、
前記光電変換層上に形成され、金属基材からなる第2電極層と、
前記第1電極層および前記第2電極層の間に、前記光電変換層の外周を囲むように、かつ前記補助電極および前記第2電極層に接するように形成され、絶縁性を有する接着剤層と
を有し、前記補助電極が、メッシュ部と、前記メッシュ部の周囲に配置されたフレーム部とを有することを特徴とする有機薄膜太陽電池。 - 前記金属基材が金属箔であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
- 請求項1または請求項2に記載の有機薄膜太陽電池が複数個直列または並列に接続されていることを特徴とする有機薄膜太陽電池モジュール。
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