JP2012023116A - ウェーハ支持治具及び軸状部材並びにシリコンウェーハの熱処理方法 - Google Patents

ウェーハ支持治具及び軸状部材並びにシリコンウェーハの熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウェーハの熱処理時において、スリップの発生を抑制すること。
【解決手段】ウェーハ3を熱処理炉内で熱処理するときに該ウェーハ3の下面と一端が当接して該ウェーハを下から支持する石英材を主材とする軸状部材11を備え、軸状の第1の部材25の外周面を該第1の部材25よりも屈折率が小さい第2の部材27で包囲するととともに両端面から第1の部材25が露出してなること。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱処理時にウェーハを下面から支持するウェーハ支持治具及び軸状部材並びにシリコンウェーハの熱処理方法に係り、特にウェーハにおけるスリップ転位の発生を抑制するために好適なウェーハ支持治具に関する。
シリコンウェーハ(以下、ウェーハと略す。)を用いたデバイス製造工程、或いは、ウェーハ自体の加工工程においては、例えば、ウェーハ中に含まれる酸素析出物の濃度分布を制御すること等を目的として、ウェーハに熱処理が施される。このような熱処理工程では、赤外線ランプを光源としウェーハを加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いた急速熱処理が知られている。RTAの熱処理炉内には、ウェーハが1枚ずつ収容され、赤外線ランプから赤外光が照射されることにより、ウェーハは、例えば1000℃以上の高温領域まで急速加熱された後、急速冷却される。この熱処理方法によれば、処理時間を短くすることができ、生産性を高めることができる。
ところが、ウェーハに急速熱処理を施した場合、ウェーハの表面にはスリップ転位(以下、スリップと略す。)が発生し、これが半導体素子の製造工程で歩留まり低下の原因となっている。このようなスリップの発生は、ウェーハの面内温度不均一による熱応力の発生が一つの要因である。例えば、熱処理中のウェーハは、その下面が3本のピン状の軸状部材の上に載置され、チャンバー内に収容された状態で赤外光が照射されるが、軸状部材は赤外光を吸収しない石英材で形成されているため、ウェーハの温度まで上がることがない。つまり、ウェーハの熱は低温側の軸状部材に向けて放熱されるため、ウェーハには局部的に温度が低い領域が発生する。そのため、ウェーハには熱応力が発生し、スリップが生じ易くなる。
このような熱処理時におけるスリップの発生を防ぐため、様々な試みがなされている。例えば、特許文献1では、ウェーハの下面を支持する石英材からなる軸状部材の先端部、つまりウェーハと当接する先端部の面積を小さくすること、及び先端部の形状を円錐状等にすることが記載されている。これによれば、熱処理中において、ウェーハから軸状部材への放熱を抑制できるため、ウェーハの局部的な温度の低下を抑制し、熱応力によるスリップの発生を抑制することができる。
一方、特許文献2には、ウェーハの下面を支持するピン状の軸状部材において、先端の材質を、赤外光を吸収するシリコン材質とすることが記載されている。これによれば、石英材で形成される軸状部材と比べて、熱処理時の軸状部材の温度を上げることができ、ウェーハから軸状部材への放熱を抑制できるため、ウェーハの局部的な温度の低下を抑制し、熱応力によるスリップの発生を抑制することができる。
特開2006−5177号公報 特開2008−166763号公報
ところで、特許文献1によれば、ウェーハの下面に向けて下方から照射された赤外光は、軸状部材を下から支持する支持部材等の表面で散乱してしまうため、軸状部材と対向するウェーハの領域には赤外光が照射される量が少ない領域が生じる。これにより、ウェーハから軸状部材への放熱を抑制しても、ウェーハには温度が低い領域が発生するため、熱応力によるスリップが発生するおそれがある。
また、特許文献2によれば、熱処理時において、軸状部材の温度を高めることができるが、軸状部材は、これを保持する構造部材等と接しており、軸状部材の熱が構造部材に放熱されるため、軸状部材の温度はウェーハの温度まで上がることがない。このため、ウェーハから軸状部材への放熱を完全になくすことはできない。また、軸状部材の下面に入射した赤外光は、シリコン材に吸収されるため、ウェーハには赤外光が照射される量が少ない領域が発生する。このため、ウェーハには局部的に温度が低い領域が生じてしまい、結果として熱応力によるスリップが発生するおそれがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ウェーハの熱処理時において、ウェーハの面内温度を均一化させて、スリップの発生を抑制することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のウェーハ支持治具は、ウェーハを熱処理炉内で熱処理するときに該ウェーハの下面と一端が当接して該ウェーハを下から支持する石英材を主材とする軸状部材を備えたウェーハ支持治具であって、軸状部材は、軸状の第1の部材の外周を該第1の部材よりも屈折率が小さい第2の部材で包囲するととともに両端面から第1の部材が露出してなるものとする。
すなわち、軸状部材は、第1の部材の外周面の周囲を、第1の部材よりも屈折率が低い第2の部材で包囲して形成されるため、軸状部材の一端に入射した赤外光は、第1の部材の外周面、つまり第1の部材と第2の部材との境界面で反射しながら他端に向かって透過する。したがって、軸状部材に入射した赤外光は、軸状部材と対向するウェーハの面に向けて損失なく照射されるため、ウェーハの局部的な温度の低下を防ぎ、ウェーハの面内温度均一性を高めることができる。一方、第1の部材の外周面は第2の部材で保護されているため、長期間使用してもその境界面が劣化することがなく、赤外光の散乱が経時的に増加することもない。したがって、このような軸状部材を有するウェーハ支持治具を用いることにより、ウェーハの熱応力の発生に起因するスリップの発生を長期間に渡って抑制することができる。
ところで、ウェーハの直径が大きくなり、これに伴って荷重が大きくなると、荷重を分散させるため、軸状部材がウェーハと接する端面を大きくしなければならなくなる。しかし、このようにすると、ウェーハから軸状部材への放熱量が増加し、ウェーハには局部的な温度の低下が生じ易くなる。この点、本発明によれば、軸状部材のウェーハと接する端面が大きくなっても、その分、軸状部材を介して多くの赤外光をウェーハに照射させることができるため、ウェーハの局部的な温度低下を抑制することができる。
この場合において、第1の部材は少なくとも一端部の断面が円錐台状に形成されてなるものとする。このように形成することで、ウェーハと当接する端面の面積を小さくすることができ、また、第1の部材を透過する赤外光を第1の部材と第2の部材との境界面で反射させながら集光させてウェーハに照射することができるため、ウェーハの局部的な温度低下をより効果的に抑制することができる。
また、ウェーハ支持治具は、第2の部材を石英材からなる平板状のベース板の一方の面から突出させてベース板と一体的に形成するとともに第1の部材をベース板に貫通させて形成してなるものとしてもよい。これによれば、ベース板の下方から照射された赤外光は、ベース板において反射や散乱等を起こすことなく、第1の部材の下端に直接入射するため、より多くの赤外光をウェーハに照射することができる。
また、第1の部材は、石英材中にゲルマニウムが添加されてなるものとする。このように石英材中に添加することで、屈折率を上昇させる元素としては、他にもリンやアルミニウム等があるが、これらの元素に比べて、ゲルマニウムは石英内部での赤外光の吸収が少なく、より多くの赤外光を透過できる点で優れている。
また、本発明の軸状部材は、ウェーハを熱処理炉内で熱処理するときにウェーハの下面と一端が当接してウェーハを下から支持する石英材を主材とするものであり、軸状の第1の部材の外周面を第1の部材よりも屈折率が小さい第2の部材で包囲するととともに両端面から第1の部材が露出してなるものとする。
また、このような軸状部材を用いたシリコンウェーハの熱処理方法としては、熱処理炉内において、複数の軸状部材によりシリコンウェーハを下から支持した状態で、酸素、アルゴン、ヘリウム、窒素、アンモニア、水蒸気のうちのいずれか1種のガス又はこれらのガスのうち2種以上を混合した混合ガスの雰囲気中、30℃/sec以上150℃/sec以下の昇降温速度で、1150℃以上1400℃以下の温度まで急速昇温し、1sec以上60sec以下の時間保持した後、急速降温することを特徴とする。このような熱処理方法によれば、シリコンウェーハ中の酸素析出物の濃度分布を制御しながら、スリップの発生を効果的に抑制することができる。
本発明によれば、ウェーハの熱処理時において、スリップの発生を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態のウェーハ支持治具を収容した熱処理装置の概略構成を説明する側断面図である。 本発明の第1の実施形態のウェーハ支持治具において、軸状部材の構成を示す側断面図である。 図2の軸状部材を構造部材で保持した状態を示す側断面図である。 本発明の第1の実施形態のウェーハ支持治具を用いてウェーハを支持し、該ウェーハを熱処理するときの作用を説明する図である。 本発明の第2の実施形態のウェーハ支持治具において、軸状部材の構成を示す側断面図である。 本発明の第2の実施形態のウェーハ支持治具を用いてウェーハを支持し、該ウェーハを熱処理するときの作用を説明する図である。 本発明の第3の実施形態のウェーハ支持治具において、軸状部材を拡大して示す側断面図である。 本発明の第3の実施形態のウェーハ支持治具を用いてウェーハを支持し、該ウェーハを熱処理するときの作用を説明する図である。 従来のウェーハ支持治具を用いてウェーハを支持し、該ウェーハを熱処理するときの作用を説明する図である。 実施例1及び比較例1の軸状部材の構成を示す側断面図である。 実施例2の軸状部材の構成を示す側断面図である。 実施例3〜7及び比較例2、3の軸状部材の構成を示す側断面図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなるウェーハ支持治具の一実施形態について説明する。本実施形態のウェーハ支持治具は、例えば、枚葉式のRTA装置等に好適に用いられる。図1は、本発明のウェーハ支持治具を用いてウェーハを熱処理するRTA装置の概略断面図である。
本実施形態のRTA装置は、加熱ランプを熱源として急速熱処理を行うことが可能になっている。ここで、急速熱処理とは、急速昇温及び急速降温を意味し、例えば、昇温速度又は降温速度が10〜250℃/sec、好ましくは30〜150℃/sec、より好ましくは50〜70℃/secの急速加熱又は急速冷却を伴う熱処理のことをいう。本実施形態では、酸素、アルゴン、ヘリウム、窒素、アンモニア、水蒸気のうちいずれか1種のガス、或いは、これらのガスのうち2種以上を混合した混合ガスの雰囲気中で、1000℃〜1400℃、好ましくは1150℃〜1400℃の温度で1sec〜300sec、好ましくは1〜60secの時間保持する条件で熱処理を行うものとする。すなわち、熱処理温度は1400℃を超えるとスリップが発生しやすくなり、1150℃以上であれば酸素析出濃度の制御が容易になるため、1150℃〜1400℃の温度で処理することが好ましい。また、保持時間は1sec未満であると酸素析出濃度を効果的に制御できず、60sec以下であればスリップの抑制が容易になるため、1sec〜60secの時間保持することが好ましい。
図1に示すように、熱処理装置は、石英からなるチャンバー1の内部にシリコンウェーハ3(以下、ウェーハ3と略す。)が収容される空間が形成され、チャンバー1の外側の上方には複数の加熱ランプ5aが平面状に配列され、外側の下方には複数の加熱ランプ5bが平面状に配列されている。チャンバー1内には、ウェーハトレイ7が設置され、ウェーハトレイ7の上にはウェーハ支持治具が設けられている。
ウェーハ支持治具は、ベース板9と軸状部材11とを有して構成され、より具体的には、ウェーハトレイ7の上に支持部材等を介してベース板9が設置され、そのベース板9の上にはウェーハ3の下面と当接して支持する3つの軸状部材11が立設されている。これらの軸状部材11は円形のウェーハ3の自重を分散し安定して支持するため、例えば上面視で略120度の間隔となるように配置されている。チャンバー1、ウェーハトレイ7、ベース板9はいずれも石英材から形成され、軸状部材11は後述するように石英材を主材として形成される。
チャンバー1には不活性ガスや反応ガス等をチャンバー1内に導入するガス導入口13とチャンバー内のガスを外部に排気するガス排気口15が設けられている。また、チャンバー1にはウェーハ3をチャンバー1内に搬送するための開口部17が設けられている。開口部17は、ウェーハ3がチャンバー1内に搬送された後、図示しないオートシャッターにより蓋がされるようになっている。チャンバー1の外部には、ウェーハ3の温度の測定が可能なパイロメータ19が配置されている。
チャンバー1内には、設置されたウェーハ3と同じ高さ位置で、ウェーハ3の外周面から所定距離(例えば2mm)離れた位置に、ウェーハ3を取り囲むようにリング形状のガードリング33が設けられている。このガードリング33は、例えばシリコン材により形成され、複数に分割された構造部材をリング状に配列させて全体としてリング形状となるように構成されているが、リング状に一体的に形成されていてもよい。昇温後の一定温度の熱処理中及び降温中はウェーハ3の外周側からの放熱が中心部からの放熱よりも多く、ウェーハ3面内での温度均一性が悪くなるが、ウェーハ3をガードリング33で包囲することにより、ウェーハ3の外周側からの放熱を抑制し、ウェーハ面内温度の均一性を高めることができる。
チャンバー1内に設置されたウェーハ3は、熱処理時において、ウェーハ支持治具の上に支持された状態で、ウェーハトレイ7に対して浮上しながら回転するようになっている。チャンバー1にはガス導入口13とは別の経路でガスが導入され、このガスがベース板9の下方等に作用することで、ベース板9とその上に軸状部材11を介して支持されたウェーハ3を浮上させるとともに所定の回転力を付与して回転させるようになっている。このようにウェーハ3を回転させることにより、加熱ランプ5a,5bの設置位置とウェーハ設置位置との相対関係や、その他RTA装置内に設けられる部材との相対関係によるウェーハ面内温度の不均一化を抑制することができる。
加熱ランプ5a,5bはハロゲンランプであり、波長0.7〜3ミクロンの赤外光を主に発光させるものである。この加熱ランプ5a,5bは、それぞれ所定の配列面をなして所定の間隔で平面状に配列され、各配列面が互いに平行になるように対向配置されている。チャンバー1内に配置されたウェーハ3、ベース板9、ウェーハトレイ7の各面は、いずれも加熱ランプ5a,5bの配列面と平行になるように配置されている。本実施形態では、加熱ランプ5a,5bをウェーハ3の上方と下方にそれぞれ設ける例を説明したが、少なくともウェーハの下方から赤外光を照射する加熱ランプ5bが設けられていればよい。
次に、軸状部材11の構成について図面を参照して説明する。本実施形態では、ベース板9上に3個の軸状部材11が立設され、ウェーハ3の下面に軸状部材11の一端面(変更はしておりません。別紙コメントを参照ください)が当接することにより、ウェーハ3が3点で支持されるようになっている。軸状部材11は4つ以上用いてもよいが、ウェーハ3の自重を分散して安定に保持するためには3つあれば十分である。
図2は、軸状部材11の全体構成を示す側断面図である。図に示すように、軸状部材11は、円柱状に形成された胴部21と、円錐台状に形成された先端部23とが軸方向で一体的に形成された形状をなしている。軸状部材11は、両端に渡って延在する第1の部材25の外周面を第2の部材27が包囲して形成され、第2の部材27は第1の部材25の外周面全体に好ましくは均一な厚みで形成されている。軸状部材11の両端面は互いに平行な平面に形成される。軸状部材11の両端面からは第1の部材25が露出され、この露出する第1の部材25は第2の部材27と面一になっている。第1の部材25は必ずしも第2の部材27と面一になっていなくてもよいが、赤外光の散乱を防ぐためには、面一であることが望ましい。軸状部材11の両端を平面とすることにより、下端面がベース板9の上面と接触し、上端面がウェーハ3の下面と接触する。これにより、軸状部材11の下面には赤外光が散乱することなく入射するため、赤外光の入射する量が最大となり、また、軸状部材11の上面からウェーハ3に向けて放射される赤外光の量が最大となる。そして、軸状部材11の第1の部材25と第2の部材27の境界を含む面がウェーハ3の下面と接触することにより、軸状部材11の下面から第1の部材25に入射した赤外光を漏らさずウェーハ3に照射することができる。なお、本実施形態では、軸状部材11からウェーハ3に照射する赤外光の量を最大とするため、軸状部材11の両端を平面としているが、スリップの発生に影響を与えない範囲内で、軸状部材11の両端又は一方の端面を平面以外の曲面等で形成することも可能である。
第1の部材25は、石英中にゲルマニウムが添加されており、石英だけからなる第2の部材27よりも赤外線に対する屈折率が大きくなっている。具体的には、第1の部材25と第2の部材27との屈折率の差の第2の部材27の屈折率に対する比率を比屈折率差とすると、この比屈折率差は0.3%〜2.3%の範囲が好適である。0.3%より小さいと赤外光を効率よく集光することができず、2.3%より大きくなるとゲルマニウム等を添加して石英を作製することが困難になる。この比屈折率差に対応するゲルマニウム濃度は5mol%〜25mol%となる。第1の部材25の外周面、つまり屈折率が異なる境界面29は、所定の面粗度、例えば、赤外光を透過させる際に光の散乱による影響が生じない程度の面粗度、例えば鏡面に形成され、第2の部材27により外側から保護されるようになっている。この境界面29は、胴部21における境界面29aと先端部23における境界面29bとから形成され、境界面29aは軸方向に沿って真直ぐ延びているのに対し、境界面29bは軸方向に沿って先細りとなるように斜めに延びている。第1の部材25に取り込まれた光を軸方向に損失なく透過させるためには、境界面29での赤外光の反射率を高める必要がある。本実施形態では、ゲルマニウムの添加率等を調整して、所定の反射率を得るために屈折率の差を調整するようにしている。このように、軸状部材11には、第2の部材17の内側に光の反射面となる境界面29が両端に渡って形成されるため、入射した赤外光を損失なくウェーハ3まで到達させることができる。
図3に示すように、軸状部材11は、炉内における回転等に伴う位置ずれや倒れ等を防ぐため、ベース板9の上に固着された構造部材31に支持されるようになっている。つまり、ベース板9の上にはリング状に形成された構造部材31の一端面が固着されており、その構造部材31の内側の空間内に軸状部材11の胴部21が挿入されることで、軸状部材11がベース板9の上に支持される。本実施形態の軸状部材11は、このような単純な構造で用いられるため、従来のRTA装置の構造を大きく変更することなく、ウェーハ3を支持する軸状部材11を交換するだけでウェーハ3の局部的な温度低下を抑制することができる。
次に、本実施形態のウェーハ支持治具を用いてウェーハ3をRTA装置内で熱処理するときの動作について説明する。まず、ウェーハ3を開口部17からチャンバー1内に搬入し、3本の軸状部材11の上端面の上に載せてから、開口部17の蓋を閉じる。このとき、ウェーハ3は、水平の状態、つまり各赤外光5a,5bの配列面と平行になるように配置されている。続いて、熱処理中にウェーハ3が不純物と反応するのを防ぐため、ガス導入口13から不活性ガス又は反応ガスを導入しながら、加熱ランプ5a,5bの加熱によりウェーハ3の熱処理を行う。
ここで、本発明に係る軸状部材11の作用を解り易く説明するために、まず、従来の軸状部材を用いたときの作用について図9を参照して説明する。従来の軸状部材35は、本実施形態の軸状部材11と外形形状が同一であるが、1種類の石英材のみから形成され、屈折率が異なる境界面29を内部に有していない点で本実施形態の軸状部材11と相違する。
加熱ランプ5aから照射された赤外光(矢印a)は、チャンバー1を透過してウェーハ3の上面に入射することで、ウェーハ3を上面側から加熱する。一方、加熱ランプ5bから照射された赤外光(矢印b)は、チャンバー1、ウェーハトレイ7(図1)、ベース板9を順次透過した後、軸状部材35や構造部材31の下端面に入射する。ところが、軸状部材35やこれを保持する構造部材31に入射した赤外光(矢印c)は、これらを透過する際に外面にて散乱するため、ウェーハ3に到達する赤外光は大幅に減少する。また、軸状部材35や構造部材31は石英材からなり赤外光を吸収しないため、ウェーハ3よりも温度が低い。このため、ウェーハ3の熱はウェーハ3と軸状部材35との接触点を介して軸状部材35に放熱される(矢印d)。その結果、ウェーハ3において軸状部材35が当接する領域は局部的に温度が低下し、その周囲との温度差に起因する熱応力により、スリップが発生し易くなる。
本実施形態の軸状部材11によれば、図4に示すように、例えば、軸状部材33の下面から入射した赤外光(矢印c)は、第1の部材25において、境界面29aの内側を透過した後、境界面29bの内側を透過することにより、軸中心方向へ集光されてウェーハ3に照射される。特に、斜めに形成される境界面29bは、赤外光cを集光させる効果が大きい。第1の部材25に入射した赤外光は、軸状部材11の表面で散乱することなく境界面29で反射し、境界面29の内側だけを透過する。これにより、ウェーハ3に入射する単位面積当たりの光量は、軸状部材11が接する領域を除いた他の領域よりも、軸状部材11が接する領域の方が多くなる。したがって、ウェーハ3の熱が軸状部材11へ放熱されたとしても、その放熱する領域には、集光された赤外光cが照射されて熱が補填されるため、結果としてウェーハ3の局部的な温度の低下が抑制され、面内温度均一性を向上させることができる。これにより、ウェーハ3における熱応力の発生が抑制されるため、スリップの発生を防ぐことができる。
また、本実施形態では、ウェーハ3の直径が大きく、荷重の大きなウェーハを支持するときは、その荷重を分散させるために、軸状部材11は、ウェーハ3と当接する先端面の面積が大きなものが用いられるが、その場合でも、面積が大きくなる分、軸状部材11を介してより多くの赤外光がウェーハ3に照射されるため、ウェーハ3から軸状部材11に放熱する量が増えたとしても、結果としてウェーハ3の局部的な温度低下を抑制することができ、スリップの発生を抑制することができる。
また、本実施形態の軸状部材11は、屈折率の異なる境界面29が第2の部材27で保護されているため、例えば、軸状部材11の洗浄や長時間使用等により、境界面29が経時劣化したり、磨り減ることがない。このため、長期間使用しても境界面29は当初の面状態、つまり研磨面が維持されるため、長期間に渡って光の散乱を防ぐ効果が持続され、しかも、境界面29を定期的に研磨する等の作業が不要となるため、メンテナンスコストの増加を防ぐことができる。
また、本実施形態の軸状部材11は、互いに平行な両端面がそれぞれベース板9及びウェーハ3と密着するとともに加熱ランプ5a,5bの配列面と平行に配置されている。このため、加熱ランプ5bから照射された赤外光bが軸状部材11の下端面で反射することによる損失を抑制できるため、赤外光bを損失なく軸状部材11に入射させることができる。
また、本実施形態の軸状部材11は、第1の部材25の石英中にゲルマニウムを添加しているが、これはリンやアルミニウム等のように石英の屈折率を高める他の元素と比べて、ゲルマニウムは、石英内部での赤外光の吸収が少なく、より多くの赤外光を透過できるためである。したがって、第1の部材25の透過率を所定の範囲内に保持することができ、しかも、第1の部材25の屈折率を第2の部材27の屈折率よりも大きくできるのであれば、他の元素を第1の部材又は第2の部材に添加してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のウェーハ支持治具の構成について説明する。図5は、本実施形態の軸状部材37の全体構成を示す側断面図である。図に示すように、本実施形態のウェーハ支持治具が第1の実施形態と異なる点は、軸状部材37が全体で円錐台状をなしており、軸状部材11のように円柱状の胴部を有していない点にある。なお、その他の構成については第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
軸状部材37は、ウェーハ3と当接する上端面が第1の実施形態の軸状部材11の上端面と同じ面積であるのに対し、ベース板9と当接する下端面は、軸状部材11の下端面よりも面積が大きくなっている。このため、図6に示すように、加熱ランプ5b(図1)から照射された赤外光bは、より広い領域から軸状部材37の下端面に入射し、第1の部材25を透過する際に斜めに形成される境界面29cで反射して集光しながら上端面よりウェーハ3に照射される。このため、ウェーハ3には、単位面積当たりの入射する赤外光cの量が、第1の実施形態よりも多くなる。したがって、ウェーハ3の局部的な温度低下を一層抑制することができ、それに伴って熱応力の発生を一層抑制できるため、スリップの発生をより効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態の軸状部材37は、第1の実施形態の軸状部材11と比べてベース板9上での安定性が高いため、図6のように構造部材11を用いなくてもよいが、炉内における回転等に伴う位置ずれや倒れ等を防ぐため、軸状部材11と同様に、ベース板9の上に固着された構造部材31に支持された状態で使用してもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態のウェーハ支持治具について説明する。図7は、本実施形態のウェーハ支持治具において軸状部材39の部分を拡大して示す側断面図である。図に示すように、本実施形態のウェーハ支持治具が他の実施形態と異なる点は、軸状部材39のうち、第1の部材25がベース板9を貫通するとともに第2の部材27がベース板9と一体的に形成されていることにある。なお、その他の構成については他の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
軸状部材39は、第2の実施形態と同様、全体で円錐台状をなしており、ベース板9の上面側から突出するようにして形成される。第1の部材25はベース板9を貫通してベース板9の下面側に面一で露出されており、第2の部材27はベース板9と連続的に形成される。このように構成されるため、図8に示すように、加熱ランプ5bから照射された赤外光bは、ウェーハトレイ7(図1)を透過した後、ベース板9を透過することなく直接、軸状部材39の下端面に入射する。そして、第1の部材25を透過する際に斜めに形成される境界面29dで反射して集光しながら上端面よりウェーハ3に照射される。したがって、赤外光bは、ベース板9で散乱することがないため、第2の実施形態の軸状部材37よりも多くの赤外光cを軸状部材39に入射させることができる。これにより、ウェーハ3には単位面積当たりでさらに多くの赤外光cが入射されるため、ウェーハ3の局部的な温度低下とこれに伴う熱応力の発生をより一層抑制することができ、スリップの発生をより確実に防ぐことができる。
以上述べたように、上記の実施形態では、軸状部材として3つの実施形態を説明したが、少なくとも、第1の部材25と第2の部材27との間の境界面29が両端に渡って形成されていれば、必ずしも第1の部材25の一部又は全部が円錐台状に形成されていなくてもよく、例えば、第1の部材25が両端に渡って円柱状に形成されていてもよい。この場合、第1の部材25に入射した赤外光は、軸中心方向へ集光されずに透過するが、境界面29を有していれば、少なくとも赤外光を散乱させることなく、第1の部材25を透過した赤外光をウェーハ3に照射することができる。したがって、従来構成(図8参照)よりも多くの赤外光をウェーハ3に照射できるため、スリップを抑制することができる。また、第1の部材25が第2の部材27で保護されていれば、境界面29の経時劣化を防ぐことができるため、長期間に渡って光の散乱を抑制し、スリップの発生を抑制する効果が得られる。
なお、上記の実施形態では、熱処理するウェーハとしてシリコンウェーハを用いる例を説明したが、要は、赤外光の照射により熱処理可能なウェーハであれば、シリコンウェーハに限られるものではなく、例えばシリコンカーバイドウェーハを用いた場合でも、シリコンウェーハと同様にスリップの発生を抑制する効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例1〜7及び比較例1〜3について説明する。実施例1〜7及び比較例1〜3では、それぞれ軸状部材を作製し、その作製した軸状部材を備えたウェーハ支持治具を用いてシリコンウェーハを支持する状態で熱処理を施した。そして、熱処理後のシリコンウェーハの表面を観察し、スリップ発生の有無、発生の程度について評価した。熱処理は、各実施例及び各比較例において、図1と同じ構成のRTA装置を用いて、同じ条件の下で行った。なお、以下のすべての実施例及び比較例では、シリコンウェーハをウェーハと略して説明する。
(RTA装置の概略仕様)
熱処理温度可能範囲:600℃〜1400℃/sec
熱処理時間可能範囲:1〜300sec
昇温速度可能範囲:10〜150℃/sec
降温速度可能範囲:10〜150℃/sec
ウェーハの回転数可能範囲:5〜100rpm
導入可能なガス雰囲気:酸素、アルゴン、ヘリウム、窒素、アンモニア、水蒸気、及びこれらの少なくとも2種を混合した混合ガス
処理可能なウェーハ直径:150mm,200mm,300mm
加熱ランプの配置:ウェーハの上方と下方にそれぞれウェーハと平行な配列面をなすように複数のランプを配置する(図1参照)。
軸状部材の配置:石英製のベース板の上に立設させて載置し、ウェーハの外周から3mm内側の位置に略120°間隔で3個配置した。
(熱処理条件)
温度:1250℃
保持時間:10sec
昇温速度:50℃/sec
降温速度:50℃/sec
ウェーハ回転数:70rpm
雰囲気ガス:酸素ガス100%
ウェーハ直径:300mm
(軸状部材の作製例)
実施例1〜7の軸状部材は、いずれも周知の光ファイバーの製造技術を用いることにより作製できる。具体的には、まず、塩素化合物(四塩化ケイ素ガス)に酸素や水素を混ぜて燃やすと、塩素が酸素と置き換わり、スス状の酸化ケイ素が得られる。次に、これを集めて棒状にし、溶解して固めることにより、高純度で透明な石英ガラス棒が得られる。このとき、少量のゲルマニウムの塩素化合物を酸化ケイ素に混合して燃やすことにより、石英ガラス棒の屈折率を大きくすることができる。屈折率はゲルマニウムの添加量等を調整することにより、調整可能である。こうしてできた屈折率の大きい石英ガラス棒を中心軸にして、その周りにゲルマニウムを含まない酸化ケイ素のススを吹き付け、石英ガラスを太らせる。これにより、屈折率の大きな芯材の部分と、これを覆う屈折率の小さな外郭の部分からなる原型ができるため、これを以下の実施例の各形状に加工する。このように本実施例では、ゲルマニウムを混ぜて芯材の屈折率を高めることにより軸状部材を作製しているが、この方法以外に、例えば、芯材を覆う外郭の部分にフッ素等の屈折率を低下させる元素を添加する方法やこれらを組み合わせる方法も可能である。なお、実施例3〜7は、軸状部材とこれを支持するベース板9とが一体的に形成されているが、これについては、例えばベース板にテーパ状の穴を加工し、この穴内に軸状部材を差し込み焼結させることにより、軸状部材の外周面をベース板の穴内周面に固着させ、一体化させることができる。
次に、各実施例及び比較例における軸状部材の構成を説明する。
(実施例1)
本実施例では、図10に示すように、円錐台状の先端部と円柱状の胴部が一体的に形成された軸状部材を作製した。この軸状部材は、図に示すように、全長が17mm、胴部の長さが12.5mm、先端部の長さが4.5mmに形成される。両端面はいずれも平坦面で互いに平行に形成されるとともに芯材が露出して面一になっている。ウェーハと接する端面の直径は0.5mm、ベース板と接する円錐下の端面の直径は1.6mmである。ベース板に立設させた時の垂直軸(以下、中心軸という)に対する芯材を覆う外郭の円錐の斜面角度は7°(表面はすりガラス面)である。外郭の厚さは0.1mmである。芯材におけるゲルマニウムの含有量は、15mol%であり、芯材と外郭との比屈折率差は約1.5%である。このようにして構成される軸状部材を厚さ2mmのベース板の上に載置し、その軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。ここで、軸状部材は倒れ防止のため、ベース板に固着した構造部材で軸状部材を支持した(図3参照)。
(比較例1)
実施例1と外形形状、外形寸法が同じ軸状部材を、ゲルマニウムを加えない石英材(実施例1の外郭と同じ材質)のみで作製した。この軸状部材の波長1.5μmの赤外光に対する屈折率は1.45である。この軸状部材を厚さ2mmのベース板の上に載置し、その軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。なお、実施例1と同様に、軸状部材は構造部材で支持した。
(実施例2)
本実施例では、図11に示すように、全体として円錐台状に形成された軸状部材を作製した。この軸状部材は、実施例1と同様に、全長は17mm、両端面はいずれも平坦面(円形)で互いに平行に形成されるとともに芯材が露出されて面一になっている。ウェーハと接する端面の直径は0.5mm、ベース板と接する円錐下の端面の直径は4.7mmである。中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度は7°(表面はすりガラス面)であり、外郭の厚さは0.1mmである。芯材におけるゲルマニウムの含有量は、15mol%であり、芯材と外郭との比屈折率差は約1.5%ある。このようにして構成される軸状部材を厚さ2mmのベース板の上に載置し、その軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(実施例3)
本実施例では、図12に示すように、円錐台状の軸状部材がベース板と一体的に形成されたウェーハ支持治具を作製した。軸状部材は、ベース板(厚さ2mm)を貫通する部分を含めた全長が19mm、ベース板から突出する部分の全長が17mm、両端面はいずれも平坦面で互いに平行に形成されるとともに芯材が露出されて面一になっている。軸状部材は、ウェーハと接する端面の直径が0.5mm、ベース板の裏面と面一に形成される円錐下の端面の直径が5.2mmである。中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度は7°(表面はすりガラス面)であり、外郭の厚さは0.1mmである。芯材におけるゲルマニウムの含有量は、15mol%であり、芯材と外郭との比屈折率差は約1.5%である。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(実施例4)
実施例3において、ベース板の裏面と面一に形成される軸状部材の円錐下の端面の直径を3.8mm、中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度を5°とする。その他の形状、寸法は実施例3と同じである。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(実施例5)
実施例3において、ベース板の裏面と面一に形成される軸状部材の円錐下の端面の直径を4.5mm、中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度を6°とする。その他の形状、寸法は実施例3と同じである。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(実施例6)
実施例3において、ベース板の裏面と面一に形成される軸状部材の円錐下の端面の直径を5.8mm、中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度を8°とする。その他の形状、寸法は実施例3と同じである。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(実施例7)
実施例3において、ベース板の裏面と面一に形成される軸状部材の円錐下の端面の直径を6.5mm、中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度を9°とする。その他の形状、寸法は実施例3と同じである。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(比較例2)
実施例3において、ベース板の裏面と面一に形成される軸状部材の円錐下の端面の直径を3.2mm、中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度を4°とする。その他の形状、寸法は実施例3と同じである。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
(比較例3)
実施例3において、ベース板の裏面と面一に形成される軸状部材の円錐下の端面の直径を7.2mm、中心軸に対する外郭の円錐の斜面角度を10°とする。その他の形状、寸法は実施例3と同じである。このようにして構成される軸状部材の上にウェーハを載せて熱処理した。
次に、実施例1〜7及び比較例1〜3の熱処理により、ウェーハに形成されたシリコン酸化膜(膜厚140Å)をエリプメータにより測定した。軸状部材が当接するウェーハの支持位置における膜厚と該支持位置から1cm離れた位置での膜厚の平均との差から、支持位置におけるウェーハの温度低下を推測した。膜厚差と推測される温度差の結果を以下に示す。
実施例1:膜厚差2Å → 温度差4℃
実施例2:膜厚差1Å → 温度差2℃
実施例3:膜厚差0.5Å → 温度差1℃
実施例4:膜厚差1Å → 温度差2℃
実施例5:膜厚差0.5Å → 温度差1℃
実施例6:膜厚差0.5Å → 温度差1℃
実施例7:膜厚差2Å → 温度差4℃
比較例1:膜厚差5Å → 温度差10℃
比較例2:膜厚差1Å → 温度差2℃、軸状部材が折れていた。
比較例3:膜厚差5Å → 温度差10℃
次に、XRT(X線トポグラフ法)により、軸状部材が当接するウェーハの支持位置におけるスリップ発生の有無とスリップの長さを測定した結果について以下に示す。また、軸状部材をベース板と一体形成したウェーハ支持治具を用いた実施例4〜7及び比較例2、3について、対比した結果を表1にまとめて示す。
実施例1:支持位置で1mmのスリップが1本発生
実施例2:支持位置で0.5mmのスリップが1本発生
実施例3:スリップ発生なし
実施例4:支持位置で0.5mmのスリップが1本発生
実施例5:スリップ発生なし
実施例6:スリップ発生なし
実施例7:支持位置で1mmのスリップが1本発生
比較例1:支持位置で3mmのスリップが10本発生
比較例2:ウェーハ外周付近で2mmのスリップが20本発生
比較例3:支持位置で3mmのスリップが10本発生
Figure 2012023116
上記の結果より、比較例1〜3では、いずれも長さが2mm以上で、10本以上の多数のスリップが確認された。これに対し、実施例3,5,6はスリップが全く確認されず、他の実施例はスリップの発生が確認されたが、確認されたスリップはいずれも1mm以内の短いものであり、しかも1本のみであった。ここで、実施例1と比較例1は、軸状部材の形状及び寸法が全く同じであり、屈折率が異なる境界面(反射面)を内部に有するか否かの違いのみであるが、比較例1に対して実施例1はスリップの発生率(長さ、発生本数)が格段に低下している。このため、本発明の境界面の効果が確認された。
また、実施例7と比較例3は、軸状部材の斜面角度と円錐下端の直径が異なるのみであるが、実施例7に対して比較例3はスリップの発生率が増大している。これは、比較例3のように斜面角度が大きくなると、下方から入射する赤外光に対して、屈折率が異なる境界面の角度も大きくなることから、芯材に入射する赤外光のうち、境界面で反射して軸中心方向へ集光される光の割合が減少することによる。つまり、境界面の角度が大きくなると、赤外光が境界面を透過して外郭の外周面まで到達し、そこで散乱する割合が大きくなるため、光の損失が多くなる。また、軸状部材の斜面角度が大きくなると、軸状部材が太くなり熱容量が大きくなるため、ウェーハからの放熱があったとしても、軸状部材の温度が上がり難くなる。その結果、熱処理温度が上がるに従って、軸状部材とウェーハとの温度差が大きくなり、ウェーハから軸状部材への放熱量が増加する。このように、ウェーハの支持位置において、赤外光がウェーハに入射する量が減少することに加えて、支持位置におけるウェーハからの放熱量が増加することが、スリップの発生率を高める原因と推測される。
また、実施例4と比較例2は、軸状部材の斜面角度と円錐下端の直径が異なるのみであるが、実施例4に対して比較例2はスリップの発生率が増大している。これは、比較例2のように斜面角度が小さくなると、下方から軸状部材に入射する赤外光の量が減少するため、ウェーハに照射される赤外光の量が減少し、集光された赤外光の放射によるウェーハの温度上昇に比較して、ウェーハから軸状部材へ放熱される熱量の割合が大きくなるため、ウェーハの局部的な温度低下を招くことによる。また、軸状部材の斜面角度が小さくなると、軸状部材が細くなり、強度が不足するため、熱処理時に折れてしまい、ウェーハを水平保持できなくなる。このように熱処理中にウェーハが傾くと、外周に設定されるガードリングとの距離が離れることから、ウェーハの温度が下がり、結果としてウェーハの外周にスリップが入ったものと推測される。
1 チャンバー
3 シリコンウェーハ
5a,5b 加熱ランプ
9 ベース板
11,37,39 軸状部材
21 胴部
23 先端部
25 第1の部材
27 第2の部材
29 境界面
上記課題を解決するため、本発明のウェーハ支持治具は、ウェーハを熱処理炉内で熱処理するときに該ウェーハの下面と一端が当接して該ウェーハを下から支持する石英材を主材とする軸状部材を備えたウェーハ支持治具であって、軸状部材は、軸状の第1の部材の外周を該第1の部材よりも屈折率が小さい第2の部材で包囲するとともに両端面から第1の部材が露出してなるものとする。
次に、軸状部材11の構成について図面を参照して説明する。本実施形態では、ベース板9上に3個の軸状部材11が立設され、ウェーハ3の下面に軸状部材11の一端面が当接することにより、ウェーハ3が3点で支持されるようになっている。軸状部材11は4つ以上用いてもよいが、ウェーハ3の自重を分散して安定に保持するためには3つあれば十分である。

Claims (6)

  1. ウェーハを熱処理炉内で熱処理するときに該ウェーハの下面と一端が当接して該ウェーハを下から支持する石英材を主材とする軸状部材を備えたウェーハ支持治具であって、
    前記軸状部材は、軸状の第1の部材の外周面を該第1の部材よりも屈折率が小さい第2の部材で包囲するととともに両端面から前記第1の部材が露出してなるウェーハ支持治具。
  2. 前記第1の部材は少なくとも一端部の断面が円錐台状に形成されてなる請求項1に記載のウェーハ支持治具。
  3. 前記第2の部材を石英材からなる平板状のベース板の一方の面から突出させて該ベース板と一体的に形成するとともに前記第1の部材を該ベース板に貫通させて形成してなる請求項1又は2に記載のウェーハ支持治具。
  4. 前記第1の部材は、石英材中にゲルマニウムが添加されてなる請求項1乃至3のいずれかに記載のウェーハ支持治具。
  5. ウェーハを熱処理炉内で熱処理するときに該ウェーハの下面と一端が当接して該ウェーハを下から支持する石英材を主材とする軸状部材であって、
    軸状の第1の部材の外周面を該第1の部材よりも屈折率が小さい第2の部材で包囲するととともに両端面から前記第1の部材が露出してなる軸状部材。
  6. 熱処理炉内に収容されたシリコンウェーハを急速加熱及び急速冷却して熱処理するシリコンウェーハの熱処理方法において、
    請求項5に記載の軸状部材を複数用いて前記シリコンウェーハを下から支持した状態で、酸素、アルゴン、ヘリウム、窒素、アンモニア、水蒸気のうちのいずれか1種のガス又はこれらのガスのうち2種以上を混合した混合ガスの雰囲気中、30℃/sec以上150℃/sec以下の昇降温速度で、1150℃以上1400℃以下の温度まで急速昇温し、1sec以上60sec以下の時間保持した後、急速降温することを特徴とするシリコンウェーハの熱処理方法。
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