本発明にとって好適な安定剤としては、メレム、メラム、メロン及びそれらの混合物のようなメラミン縮合物、メラミンのシアヌル酸塩、リン酸塩及びポリリン酸塩のようなメラミン誘導体、又はこれらの化合物同士若しくはこれらの化合物とメラミンとの混合物も挙げられる。これらの添加剤は特に、上記のものと同じであっても異なっていてもよいメカニズムによる安定化効果を有するものである。
上記の各種安定化用添加剤はまた、それらを含む組成物の特性に対して別の効果を有していてもよい。かくして、リン化合物によって導入される難燃特性を改善するものであってよい。同様に、ある種の機械的特性及び物理化学的特性を改善するものであってもよい。
本発明の1つの特徴に従えば、安定化用化合物対リン含有難燃剤の重量比は30%〜80%の範囲にする。
本発明に従えば、難燃剤及び安定剤の2種の化合物を難燃性にすべきポリマー中に導入する前に予備混合することができる。
また、難燃性にすべきポリマーにこれらの2種の化合物を別々に添加することもできる。
しかしながら、この具体例においては、リン含有難燃剤化合物の前に安定化用化合物を添加するのが有利であろう。
本発明の好ましい具体例に従えば、リン含有化合物又は難燃剤を多孔質固体状支持体上に含浸させる。この場合、上に示した重量比は、安定剤の重量と多孔質支持体上に含浸させたリン含有化合物の重量との間で決定される。
この具体例においては、多孔質支持体上に安定化用化合物をリン含有化合物と同時に含浸させることもでき、また、連続した含浸工程に従って含浸させることもできる。
用語「含浸」とは、難燃剤化合物が、任意のタイプの結合(例えば粒子の多孔質構造が存在する場合におけるこの多孔質構造中への吸収、難燃剤化合物の少なくとも1つの層による粒子の表面の湿潤若しくは該表面における難燃剤化合物の吸着、又は化学的若しくは物理化学的結合による粒子表面への難燃剤化合物の固定若しくはグラフト)によって、固体状基材(substrat)に少なくとも一時的に結合することを意味する。
かくして、かかる吸着又は固定は、難燃剤化合物の特性に適合する表面特性を示す固体状基材を選択することによって促進される。例えば、親水性表面特性を有する基材は、親水性の性状を有する難燃剤化合物と組み合わせるのが有利であり、疎水性の性状を有する化合物については逆となる。
さらに、前記の固体状基材の粒子には、有利には、該粒子の表面における難燃剤化合物の吸着を促進する元素又は基を含ませることができる。
用語「固体状基材」又は「多孔質支持体」とは、好ましくはポリマーの加工のための温度において固体状の無機基材(より特定的には無機酸化物)を意味するものとする。
前記無機酸化物は、シリカ、アルミナ、シリカ/アルミナ、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム又は酸化チタンから選択することができる。この無機酸化物は、完全に又は部分的に水酸化物化又は炭酸塩化されたものであることができる。
これらの基材の中で、小さい粒子又は凝塊(agregat)の形で熱可塑性材料中に分散させることができるもの、有利には5μmより小さい直径又は寸法を示す分散粒子を与えるもの、より一層有利には分散粒子の少なくとも80%(数を基準)が1μm未満の直径又は寸法を示すものが好ましい。
かかる分散体は、このような寸法特徴をすでに示す粒子をポリマー中に混合することによって得ることもでき、また、より一層有利には数を基準として少なくとも80%が1μm未満の直径又は寸法を示す粒子又は凝塊の凝集によって形成される基材の粒体又は凝集体(agglomerat)を用いることによって得ることもできる。これらの粒体又は凝集体は、ポリマーに添加した後に分散体を製造するために加えられる剪断力の作用下において、解凝集して個々の凝塊又は粒子となり、かくしてポリマー中の難燃剤の非常に良好な分散を達成することを可能にする。
後者の具体例において、前記凝集体又は粒体は、難燃剤化合物を少なくとも凝塊又は粒子の表面に吸着させるために、個々の凝塊又は粒子の間で高い比表面積及び高い多孔性を示すのが好ましい。これらの凝塊又は粒子はまた、難燃剤化合物又は難燃剤が吸着されるのを可能にする多孔性をも示すことができる。
この具体例において、前記粒体又は凝集体の平均直径又は寸法は臨界的なものではなく、難燃特性を有する組成物を(特に該組成物をポリマーに添加する際に)容易に取り扱うことができるようにするために選択されるのが有利である。さらに、これら粒体の平均直径又は寸法はまた、難燃剤化合物の添加及び吸着を容易にするため、例えば異なる粒体間の粘着を防止するために、選択される。この理由で、難燃剤化合物は、良好な流動性を示しながら粉塵を発生することのない粉末の形で添加することができる。
指標として、平均直径D50が60μmより大きい粒体、有利には80μm〜300μmの範囲である粒体が好ましい。
上に挙げた無機基材の中では、ある種のシリカがこれらの特徴を示し、かくして特に好ましい。
かくして、0.05μm〜1μmの範囲の直径又は寸法を有する粒子又は凝塊の形において分散特性を示すある種のシリカが、本発明の実施において好ましいであろう。
さらに、本発明にとって特に好適な無機基材は、粒体又は凝集体が高い多孔性及び高い比表面積を示すものである。かくして、好ましい基材は、少なくとも0.5ミリリットル/g、好ましくは少なくとも2ミリリットル/gの総孔容積を示す粒体を有するものである。この孔容積は、Micromeritics社のAutopore III 9420多孔度測定機を用いる下記の手順に従う水銀多孔度測定法によって測定される:
試料を前もってオーブン中で200℃において2時間乾燥させる。次いで測定を製造業者から提供された取扱説明書に記載された手順に従って実施する。Washburnの関係式を用い、140°の接触角度θ及び485ダイン/cmの表面張力γで、孔直径又は孔寸法を計算する。
有利には、直径又は寸法が1μm又はそれ未満である孔についての孔容積が少なくとも0.50ミリリットル/gである無機基材又は多孔質支持体が好ましい。
本発明の1つの好ましい具体例に従えば、無機基材はシリカ、有利には非晶質シリカである。シリカは、沈降シリカ及びヒュームドシリカと称されるシリカをもたらす2つの主な方法を含めて、様々な方法によって得られる。シリカはまた、ゲルの形で調製することもできる。
CTAB法に従って測定して50m2/gより高い比表面積を有するシリカが好ましい。
沈降シリカは、少なくとも50μm又は150μmより大きい寸法を有する粒体を形成する凝集粒子の形で提供することができるので、好ましい。
これらは、実質的に球状のビーズ又は粒体の形で提供することができ、例えばヨーロッパ特許公開第0018866号公報に記載されたように噴霧によって得ることができる。このシリカは、Microperleの一般名で販売されている。顕著な流動性及び分散性並びに高い含浸容量を示すかかるシリカは、特にヨーロッパ特許公開第966207号、同第984772号及び同第520862号各公報並びに国際公開WO95/09127号及び同WO95/09128号各パンフレットに記載されている。
その他のタイプのシリカ、例えばフランス国特許出願第01/16881号明細書に記載されたものも、本発明にとって好適であることができ、これは熱分解法シリカ又はか焼若しくは表面処理によって部分的に脱ヒドロキシルしたシリカである。
固体状無機基材として用いられるシリカのこれらの例は、指標として、好ましい具体例として記載しているだけである。他の方法によって得られ且つ本発明を実施するのに好適な多孔性及び分散性を示すその他のシリカを用いることもまた可能である。
本発明に従えば、難燃化用添加剤(即ち相手を難燃性にするための添加剤)は、難燃剤化合物を無機基材粒子上に吸着させて成るものである。本発明の1つの好ましい具体例において、この吸着は、粒体又は凝集体に含浸させることによって達成される。この含浸は、任意の慣用の手段によって、例えば基材を液体状態の又は溶剤中に分散若しくは溶解している形の難燃剤化合物と混合することによって、実施される。後者の場合、溶剤は基材の含浸の後に蒸発によって除去される。
用語「難燃剤」又は「難燃剤化合物」とは、1種若しくはそれより多くの難燃剤化合物、又は難燃性を示す系を形成する化合物の混合物を意味するものとする。
無機酸化物は沈降シリカであるのが好ましく、例えばRhodia社より商品名Tixosil 38A、Tixosil 38D又はTixosil 365の下で販売されているシリカであることができる。
沈降シリカは、ヨーロッパ特許公開第520862号公報、国際公開WO95/09127号パンフレット又は同WO95/09128号パンフレットに記載されたシリカのような高分散性シリカであることができ、それによってポリマー中へのその分散を促進し、得られる材料の機械的特性に対してプラスの効果を有するものである。これは、例えばRhodia社より商品名Z1165 MP又はZ1115 MPの下で販売されているシリカであることができる。
沈降シリカは特に、実質的に球状ビーズの形であって特に少なくとも80μm、例えば少なくとも150μmの平均寸法を有するものとして提供することができ、これは例えばヨーロッパ特許公開第0018866号公報に記載されたようにノズル式噴霧器を用いて得られる。これは、例えばMicroperleシリカであることができる。この形は、ヨーロッパ特許公開第966207号及び同第984772号各公報に記載されたように、粉末の流動性及び含浸容量を最適化することができる。これは、例えばRhodia社からのTixosil 38X又はTixosil 68シリカであることができる。
この具体例においては、そして安定剤の性状に応じて、難燃剤を含浸させた固体状粒子を安定剤と混合することができる。また、多孔質固体状粒子上に難燃剤及び安定剤を同時含浸させることも可能である。
前記リン含有化合物又は難燃剤は、周囲温度(約25℃)において液状の物質であるのが有利である。この液状物質は、当業者に周知の任意の液状難燃剤から選択することができるが、オルトリン酸及びポリリン酸は除くものとする。
ホスホン酸並びにそれらのエステル及び塩、リン酸エステル又はホスフィン酸並びにそれらのエステル及び塩のようなリンをベースとする液状難燃剤を特に挙げることができる。
特に、粘性があり、粘着性があり且つ/又は取扱いや取り除きが困難な液状難燃剤を用いることができる。
用語「粘性液体」とは、25℃の温度において100cPより高い粘度、好ましくは25℃の温度において1000cPより高い、より一層好ましくは25℃の温度において10000cPより高い粘度を有する任意の液体を意味するものとし、この粘度は、測定される粘度に適した回転速度及びスピンドル(mobile)を有するブルックフィールドタイプの装置によって測定される。例えば、粘度が100cP付近である場合には、円筒状スピンドル及び50rpmの回転速度を用いる。
本発明にとって好適な難燃剤化合物としては、例えば次式:
のメチルホスホン酸ビス[(5−エチル−2−メチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチル]エステル単独、又はこの化合物と次式:
のメチルホスホン酸メチル(5−エチル−2−メチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルエステルとの混合物、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ポリリン酸エステル、ジエチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、メチルn−プロピルホスフィン酸並びにそれらの混合物、エステル及び塩を挙げることができる。
例として、Amgard 1045の商品名で販売されている粘性液体(メチルビス(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン)ホスホン酸とメチル(5−エチル−2−メチル−2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホ)ホスホン酸との混合物)(これはRhodia社より販売されており、その商品シートに示された粘度は、25℃において500000cPであり、110℃において1000cPである);Fyrolflex RDP(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))(これはAkzo社より販売されており、その商品シートに示された粘度は25℃において600cPである);及びFyrolflex BDP(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))(これはAkzo社より販売されており、その商品シートに示された粘度は25℃において12450cPである)を挙げることができる。
また、例として、Rhodia社よりAmgard CU若しくはAmgard CTの商品名で販売されている化合物若しくは組成物(これらは、商品シートに示された粘度が25℃において500000cP、110℃において1000cPであり、Amgard 1045中に存在する物質を異なる割合で含有する)、Akzo社よりFyrolflexの商品名で販売されているジフェニルホスフェートエステル誘導体(その商品シートに示された粘度は25℃において12450cPである)又はGreat Lakes Chemical社よりRheophos DPの商品名で販売されているものを挙げることもできる。最後に、大八化学工業株式会社はCR 741、CR 733及びCR 741Sの名前でポリリン酸エステルを販売している。
上に示したように、これらの化合物は例えばシリカのような基材上に直接含浸させることもでき、溶剤(例えば水又は例えばケトン、アルコール、エーテル、炭化水素及びハロゲン化溶剤のような有機溶剤)中に溶解させることもできる。
本発明の別の主題事項は、様々なポリマー、特に熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー又はエラストマーのようなポリマーを難燃性にするために上記の難燃剤系を使用することにある。
ポリマーやコポリマーが熱可塑性である場合、これはポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、スチレンポリマー、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリ(塩化ビニル)及びそれらの誘導体、ポリ(フェニルエーテル)、ポリウレタン、ポリエポキシド又はそれらのブレンドから選択されるポリマーであることができる。
ポリマーが熱可塑性又は熱硬化性ポリアミドである場合、これは、線状ジカルボン酸と線状若しくは環状ジアミンとの重縮合によって得られるポリアミド(例えばPA6.6、PA6.10、PA6.12、PA12.12、PA4.6若しくはMXD6)、又は芳香族ジカルボン酸と線状若しくは芳香族ジアミンとの重縮合によって得られるポリアミド(例えばポリテレフタルアミド、ポリイソフタルアミド若しくはポリアラミド)、及びアミノ酸とそれ自体との重縮合によって得られるポリアミド(このアミノ酸はラクタム環の加水分解による開環によって生じさせたものであることができる)(例えばPA6、PA7、PA11若しくはPA12)より成る群から選択される。また、コポリアミド、特に上記のポリアミドから誘導されたコポリアミド、又はこれらのポリアミド若しくはコポリアミドのブレンドを用いることも可能である。
また、枝分かれポリアミド及び星形ポリアミドを用いることもできる。熱可塑性ポリマーは、ポリアミド6/11、4/6、66/6、6/66、11、12、4、6、6.6、6;9、6;19、6.12、6.18、6.36;分岐状ポリアミド、並びにそれらのコポリマー及びブレンドより成る群から選択することができる。
好ましいポリアミドは、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリカプロラクタム、又はポリ(ヘキサメチレンアジパミド)とポリカプロラクタムとのコポリマー及びブレンドである。
ポリマーがポリエステルである場合、これは例えばポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(プロピレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)若しくはポリ(1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)又はそれらのブレンドであってよい。
ポリマーがスチレンポリマーである場合、これは例えばポリスチレン、スチレン/ブタジエン(SB)、ポリスチレン/アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、又はそれらのコポリマー若しくはそれらのブレンドであってよい。
ポリマーやコポリマーがポリオレフィンである場合、これは例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー又はそれらのブレンドから選択することができる。
ポリマーが熱硬化性である場合、これはポリウレタン、エポキシ樹脂(例えばAraldite)、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂(例えばBakelite)、又はアミノプラスト(例えばFormica)から選択されるポリマーであることができる。
本発明の難燃剤組成物を熱可塑性ポリマー(熱可塑性エラストマーを含む)に添加する場合、これはブレンドすることによって、好ましくは一軸スクリュー又は二軸スクリュー押出機を用いてブレンドすることによって、組み込むことができる。このブレンドは、形材のような物品の形、有利には紐状体の形で押出され、後者は細断されて粒体にされる。粒体は、物品製造プロセスにおいて出発物質として用いられ、射出成形、押出、押出吹込成形等のプロセスのような造形プロセスに難燃性組成物を供給するために、溶融される。
このブレンドはまた、この分野において通常用いられる1種又はそれより多くの添加剤をも含むことができる。
組成物中のリンの重量で表わした難燃剤の総量は、得られるブレンドの総重量に対して1〜20%の範囲、好ましくは5〜15%の範囲で変化する。
液状難燃剤を含浸させた無機酸化物を熱硬化性ポリマー中に組み込む場合、液状難燃剤及びその他の添加剤を含浸させた無機酸化物を重合又は架橋反応の前のモノマー又はオリゴマーの内の1つに組み込むのが有利である。液状難燃剤を含浸させた無機酸化物の使用量は、熱可塑性ポリマーについて記載したものと同じ割合内である。
さらに、例えば成形物品(特に電気分野におけるもの)の製造に用いられる組成物を製造するために一般的に用いられる任意の添加剤を添加することが可能である。
例として、補強用又は増量用充填剤、熱又は光安定化用添加剤、衝撃強さ改善用添加剤、成形助剤、滑剤、顔料又は染料を挙げることができる。このリストは限定的性質を持つものではない。
本発明のその他の詳細及び利点は、以下に純粋に指標として与えた実施例を読み、添付した図面(安定化試験のために用いた瓶の写真)を参照すれば、より一層明らかになるであろう。
例1〜4
Amgard 1045の商品名で販売されている難燃剤化合物50gを安定化用添加剤1重量%と混合する。この混合物を撹拌しながら大気圧において還流下で200℃に30分間加熱する。
冷却後、混合物の最終的な色が添加剤の安定化効果を測定することを可能にする。
実施した試験を下記の表1にまとめる。熱処理の後に得られた混合物の色を図1に示す。図1は、実施した試験において得られた瓶の写真である。
(i)EXM 696の名称でSud Chemie社より販売されているハイドロタルサイト
得られたこれらの結果は、被験添加剤の安定化効果をはっきり示した。
例5〜7(参考例)
ガラスファイバー30重量%を含むポリアミド6.6をベースとする組成物を調製した。
これらの組成物に、様々な量の難燃剤及び安定剤を含ませる。
・シリカ支持体上に含浸させた難燃剤の調製
用いた高多孔度シリカは、Rhodia社から入手されるTixosil 38Xと称されるシリカであり、4.2ミリリットル/gの総孔容積及び2.2ミリリットル/gの作業容積を有する。
含浸用に用いたAmgard濃厚物の量は、シリカ上に含浸させることができる最大量、即ちシリカの飽和が得られる容量である。
含浸は、乾式条件下において行う。より流動性にするために前もって80℃に加熱したAmgard 1045を25ミリリットルずつ滴下する。
シリカ25gを計量する。達成されたAmgard 1045の最大含浸容量は、50ミリリットル、即ち63gだった。
かくして、最終生成物は55%のAmgard 1045及び45%のシリカから成っていた。
これは、粒子寸法分布の直径(D50)が250μmである粉末の形で提供される。粉末粒子寸法分析の分野におけるD50は、粒子の50重量%がそれより小さい直径を有し、50重量%がそれより大きい直径を有する粒子直径又は寸法である。
この化合物を以下においては難燃剤Aと称する。
・ポリアミドをベースとする難燃性組成物の調製
上で得られた難燃剤物質Aを、一軸スクリュー又は二軸スクリュー押出機を用いて、ガラスファイバー30重量%を有する溶融ポリアミド6.6又はポリアミド6マトリックス中に組み込む。このブレンドは一般的に紐状体の形で押出され、これは粒体を作るために細断される。
これらの粒体は、射出成形、型成形若しくは押出吹込成形又はその他の任意の物品造形方法による難燃性成形物品の製造プロセスに供給するための出発物質として用いられる。
ポリアミド組成物の粒体から出発して射出成形によって得られた試験片から、これらの組成物の特性を測定する。
難燃性ポリアミド6.6から作られた試験片の調製
・粒体の調製
ガラスファイバーを30%含むポリアミド6.6組成物を、Leistritz二軸スクリュー押出機を用いて、6〜7kg/時間の供給量で、平均して250℃の温度分布及び約400ミリバールのガス抜きゾーン圧力を加えて、押出した。ダイにおいて測定される材料圧力は、8バール付近とした。
難燃剤A及び安定剤を、計量装置を用いて、ポリマー中の難燃剤Aの割合が最終組成物に対して13〜16重量%になるように添加する。得られた紐状体を細断して粒体にする。
・試験片の調製
上で得られた粒体を標準条件下で85トンBillonプレスを用いて40秒のサイクル時間、80℃の成形温度及び250℃のバレルに加えた温度分布で射出成形することによって、試験片を得る。得られた試験片は、難燃特性を測定するためのUL94試験を実施するための標準化された形状のものである。厚さ0.8mmの試験片が製造された。
ポリアミド試験片の火に対する挙動の測定
上で得られたサンプルの火に対する挙動を、Underwriters Laboratoriesによって発表されてISO規格1210:992(F)に記載されたUL94試験に従って測定する。この試験は、厚さ0.8mmの試験片を用いて実施する。
上記の試験片について得られた結果を下記の表2にまとめる。UL94試験を実施する前に、試験片を相対湿度50%を示す雰囲気中で23℃において48時間保つことによって状態調節した。
さらに、標準化された方法に従ってGWFTを測定した。厚さ1.0mm、表面積80×80mmの寸法の試験片に960℃の温度においてIEC規格60695−2−12に従ってグローワイヤーを押し当てることによって引き起こされる火を鎮める能力を測定する。グローワイヤーを押し当てている間に発火したがしかしグローワイヤーを取り除いた後は30秒以内に自然に鎮火した場合に、その組成物はこの試験に合格したと記録される。グローワイヤーを押し当てている間に発火し、グローワイヤーを取り除いた後30秒以内に自然に鎮火しなかった場合に、その組成物はこの試験に不合格だったと記録される。3つの異なる試験片が連続的に同じ温度に合格したことが確認された場合に、試験に合格したことにする。
得られた組成物の様々な特徴及び特性を、下記の表2に示す。
これらの試験は、メレムの安定化効果及び難燃化特性の改善を示している。