JP2012019001A - 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、その製造方法、ならびに太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対して、有機過酸化物(B)0.1〜5重量部、及びポリリン酸塩系難燃剤(C)5〜100重量部を含むことを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物などにより提供する。オレフィン系樹脂材料(X)は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)またはエチレン−ビニルエステル共重合体(A2)から選ばれるエチレン共重合体(A)であることが好ましい。ポリリン酸塩系難燃剤(C)は、イントメッセント系難燃剤であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
太陽光発電は、一般にシリコン、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレンなどの太陽電池素子を上部透明保護材と下部基板保護材とで保護し、太陽電池素子と保護材とを樹脂製の封止材で固定し、パッケージ化した太陽電池モジュールを用いるものであり、水力、風力などと比べて規模は小さいものの、電力が必要な場所に分散して配置できることから、発電効率等の性能向上と価格の低下を目指した研究開発が推進されている。また、国や自治体で住宅用太陽光発電システム導入促進事業として設置費用を補助する施策が採られることで、徐々にその普及が進みつつある。しかしながら、更なる普及には一層の低コスト化が必要であり、そのため従来型のシリコンやガリウム−砒素などに代わる新たな素材を用いた太陽電池素子の開発だけでなく、太陽電池モジュールの製造コストをより一層低減する努力も地道に続けられている。
そして、太陽電池素子の封止作業では、太陽電池素子を樹脂製の封止材でカバーした後、数分から十数分程度加熱して仮接着し、オーブン内において有機過酸化物が分解する高温で数分から1時間加熱処理して接着させている(たとえば、特許文献2参照)。
例えば、ハロゲン系難燃剤は、難燃効果が高いものの燃焼して腐食性ガスを発生して太陽電池素子に悪影響を与える恐れがある。また、水酸化マグネシウムなどの無機水酸化物からなる難燃剤は、難燃効果を得るためには多量に配合する必要があり、それにより透明性を損ない、更に、多量の無機水酸化物を混合する過程で発熱を伴い有機過酸化物の分解を誘発する問題が生じる。そのため、混練工程を2度に分けて行い、しかも難燃剤を封止材の下部にのみ配合することが提案されているが(特許文献5)、生産効率および難燃性の面で十分とはいえない。
このように従来の技術では、難燃性を有し、かつ透明性を害せず、生産効率も損なわない難燃性に優れた太陽電池封止材用樹脂組成物を得ることはできなかった。
(a1)密度が0.86〜0.92g/cm3
(a2)190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.05〜50g/10分
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜第5のいずれかの発明において、上部封止材層と下部封止材層の少なくとも2層以上で構成される封止材であって、少なくとも下部封止材層が前記太陽電池封止材用樹脂組成物からなる太陽電池用封止材が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、オレフィン系樹脂材料(X)、有機過酸化物(B)およびポリリン酸塩系難燃剤(C)を含む樹脂組成物を、該有機過酸化物の急速分解温度以下の温度で溶融押し出しし、シート成形することを特徴とする太陽電池封止材の製造方法が提供される。
一方、本発明の第9の発明によれば、第6又は第7の発明の太陽電池用封止材を含むことを特徴とする太陽電池モジュールが提供される。
また、オレフィン系樹脂材料として、シングルサイト触媒で製造された分子量分布の狭い特定のエチレン・α−オレフィン重合体を用いることで、加工性と表面外観が良好な太陽電池封止材が得られる。
さらに、架橋剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤,光安定剤などの添加剤を配合することにより、難燃性を有するだけでなく、耐熱性、透明性、柔軟性、接着性等の太陽電池用封止材に要求される諸性能を保持した太陽電池封止材が得られ、太陽電池モジュールの生産性も大幅に向上させることができる。
本願発明においてオレフィン系樹脂材料(X)とは、エチレン共重合体(A)、すなわちエチレンを主成分とし、これと共重合可能な単量体との共重合体であって、より具体的には、エチレンと酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルの共重合体、エチレンとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステルの共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸の共重合体またはそのアイオノマー、エチレン・ビニルエステル・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマー、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体またはそのアイオノマー、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンの共重合体またはその酸変性体、あるいはこれらの2種以上の混合物などを例示することができる。これらエチレン共重合体(A)には、必要に応じて、他のポリオレフィン系樹脂を併用することができる。
これらの中では、特にエチレン・ビニルエステルの共重合体(A1)、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)及びエチレン・α―オレフィン共重合体(A3)が好ましい。
エチレン・ビニルエステル共重合体(A1)は、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニル等のビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。
エチレン50〜99.5重量%に対して、ビニルエステルが0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。ビニルエステルが、好ましくは3〜50重量%、とくに5〜40重量%の割合で共重合されたものを用いるのがよい。この共重合体において、極性単量体の重合割合が少ないものは、融点が高く低温度でシート成形しにくいという欠点があり、また無機系充填剤との親和性に劣り、一方あまり極性単量体の共重合割合が多いものを用いると、強度が弱くまたべたつきが多くなるので望ましくない。
これらはまた、シートの押出成形性、得られるシートの外観やべたつき等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜50g/10分、0.1〜40g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体(A2)は、エチレンと特定量の不飽和カルボン酸エステルとの共重合体であって、不飽和カルボン酸エステルが15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%の割合で共重合されているものを用いるのがよい。この共重合体において、極性単量体の重合割合が少ないものは、融点が高く低温度でシート成形しにくいという欠点があり、また無機充填剤との親和性に劣り、一方あまり極性単量体の共重合割合が多いものを用いると、強度が弱くまたべたつきが多くなるので望ましくない。
これらはまた、シートの押出成形性、得られるシートの外観やべたつき等を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜50g/10分、0.1〜40g/10分のものを使用するのが望ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A3)としては、エチレンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体が挙げられ、他のα−オレフィンの1種または2種以上を副成分とし、必要に応じて、ジエンモノマーを少量共重合させた共重合体を包含するものであり、特に、X線による結晶化度40%以下のα−オレフィン系重合体、とりわけ、密度が0.86〜0.92g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
α−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらα−オレフィンの含有量は、3〜40モル%の範囲で選択されることが好ましい。これらα−オレフィンは、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
装置:日本電子製JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
これらの中ではとくに、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等の二元共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体等の三元共重合体が好ましい。
(a1)密度が0.86〜0.92g/cm3
(a2)190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.05〜50g/10分
一方、密度が0.86g/cm3未満であると、シートが柔らかすぎて取り扱い作業性が低下し、かつ耐熱性が劣るものとなる。また、密度が0.92g/cm3を超えると、シートの柔軟性が損なわれるおそれが生じ、かつ、透明性が劣るものとなるおそれが生じる。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
(但し、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
ここで、ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)は、例えば、E.W.Hansen,R.Blom,and O.M.Bade,Polymer,36巻4295頁(1997年)を参考に、13C−NMRスペクトルから算出することができる。
本発明では、エチレン・α−オレフィン共重合体のコモノマーによる分岐数(N)が式(a)を満たすポリマー構造となっているので、剛性と架橋効率のバランスが良好である。
式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
式(a’’): −0.67×E+75 ≧ N ≧ −0.67×E+54
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体が式(a)を満たすためには、エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、又は1−ヘキセンから選択するのが好ましい。また、気相法、高圧法を用いて製造するのが好ましく、特に、高圧法を選択するのがより好ましい。
より具体的には、シートの引張弾性率のEを固定して、分岐数のNを増減させるためには、主にエチレンと共重合させるコモノマーの炭素数を変更する方法によることができる。エチレンに対して、1−ブテン又は1−ヘキセンの量が60〜80wt%となるように混合し、メタロセン触媒を使用して、重合温度130〜200℃で反応させ、エチレン・α−オレフィン共重合体を製造することが好ましい。
これにより、エチレン・α−オレフィン共重合体の分岐数Nが適度に調整でき、得られるシートの引張弾性率Eが、40MPa以下となって、式(a)が示す範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。
本発明では、上記(a1)〜(a4)の条件を満たすポリマーの中でも、190℃における10kg荷重でのMFR測定値(I10)と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値(I2.16)との比(I10/I2.16)が7.0未満であるものを使用する。このような長鎖分岐に特徴があるポリマー構造となっている共重合体を用いることにより、剛性と架橋効率のバランスが良好なものとなる。これに対して、FRが7.0以上であると、太陽電池封止材として、架橋する際の架橋効率が悪くなる傾向にある。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のFRは、7.0未満であり、好ましくは、6.5未満、より好ましくは、6.3未満である。ただし、FRが5.0未満であると、太陽電池封止材として、十分な剛性が得られ難くなることがある。特性(a6)のフローレシオ(FR)は、5.0〜6.2であることが最も好ましい。
また、Mz/Mnは、2.0以上が好ましく、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上である。ただし、Mz/Mnが8.0を超えると、透明性が悪化する。(Mz/Mn)を所定の範囲に調整するには、適当な触媒系を選択する方法等によることができる。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本
(カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いて、ポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
上記MFRが0.05g/10分未満では、高速成形時の加工性が悪化し、生産性が低下する懸念が生じる。また、MFRが50g/10分を超える場合には、機械的強度の低下等が起こり、シートの薄肉化等ができないなどの懸念が生じる。
エチレン・α−オレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズ等が挙げられる。
また、バナジウム触媒としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハライドとを触媒成分とする触媒が挙げられる。
本発明における他のポリオレフィン系樹脂とは、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレンをはじめ、チーグラー触媒、バナジウム触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等のイオン重合法による密度0.86〜0.91g/cm3未満の超低密度ポリエチレン、また、0.91〜0.94g/cm3未満の直鎖状低密度ポリエチレン、あるいは0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン、さらにはエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィン共重合体、及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
本発明のオレフィン系樹脂材料に、これら他のポリオレフィン系樹脂を配合することで、柔軟性や成形加工性等を付与することができる。
上記高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(LDPE)は、190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.05〜100g/10分、好ましくは0.1〜70g/10分、さらに好ましくは0.5〜50g/10分である。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりシート成形がし易い。
密度は、0.905〜0.940g/cm3、好ましくは0.910〜0.938g/cm3、さらに好ましくは0.912〜0.935g/cm3である。
溶融張力は、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。
また、Mw/Mnは、3.0〜15、好ましくは4.0〜10である。溶融張力、Mw/Mnは、樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であれば、シート成形がし易い。なお、ここでいうMw/Mnは、GPC分析による重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)である。
本発明に係るイオン重合による直鎖状ポリエチレンとは、密度0.86〜0.97g/cm3のエチレン単独重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体として、0.86〜0.91g/cm3未満の超低密度ポリエチレン(VLDPE)、0.91g/cm3〜0.94g/cm3未満の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、0.94g/cm3以上の直鎖状中・高密度ポリエチレン(MDPE・HDPE)等が挙げられる。
これらの中でも、特に柔軟性、透明性等の点から超低密度ポリエチレン(VLDPE)および低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
超低密度ポリエチレン(VLDPE)および低密度ポリエチレン(LLDPE)の分子量分布(Mw/Mn)は、2.0〜6.0、好ましくは2.5〜5.0、より好ましくは2.8〜4.0の範囲である。この範囲であると、柔軟性、透明性等のバランスのとれたシートの提供が可能である。
本発明に係るエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。
本発明に係るプロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフイン共重合体であって、アイソタックチックプロピレン単独重合体、シンジオタクチックプロピレン重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等のα−オレフィンとのランダム重合体、ブロック重合体等が例示される。これらの中でも、柔軟性、透明性等の点から、ランダム重合体が好ましい。
本発明に係る官能基含有ポリオレフィン系樹脂とは、下記の官能基含有化合物(a)〜(f)とオレフィンとの共重合体、またはポリオレフィン系樹脂にラジカル発生剤の存在下で官能基含有化合物(a)〜(f)変性グラフトして得られる官能基変性ポリオレフィン系樹脂を包含するものである。
官能基含有ポリオレフィン系樹脂は、一種でも、二種以上の併用であってもよい。
本発明に係る官能基含有ポリオレフィン系樹脂の官能基含有化合物は、エポキシ基含有化合物(a)、不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体(b)、エステル基含有化合物(c)、ヒドロキシル基含有化合物(d)、アミノ基含有化合物(e)、及びシラン基含有化合物(f)の群から選択される少なくとも1種の化合物であり、エポキシ基含有化合物(a)、又は不飽和カルボン酸基含有化合物またはその誘導体(b)が好ましい。
エポキシ基含有化合物としては、例えばフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、エポキシ化植物油などが挙げられる。
本発明において使用する不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基または酸無水基含有化合物から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
例えば、一塩基性不飽和カルボン酸、二塩基性不飽和カルボン酸、ならびに、これらの金属塩、アミド、イミド、エステルおよび無水物が挙げられる。一塩基性不飽和カルボン酸の炭素数は20個以下、好ましくは15個以下、また二塩基性不飽和カルボン酸の炭素数は30個以下、好ましくは25個以下であり、誘導体の炭素数は30個以下、好ましくは25個以下である。これら不飽和カルボン酸基含有化合物およびその誘導体の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびその無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸およびその無水物、ならびにメタクリル酸グリシジルが好ましく、特に無水マレイン酸、5−ノルボルネン酸無水物が、樹脂組成物の接着性能が優れることから好適である。
エステル基含有化合物としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどが例示でき、特に好ましいものとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルを挙げることができる。
エステル基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C)中に、5.0〜40.0重量%が好ましく、より好ましくは10〜30.0重量%、特に好ましくは15.0〜25.0重量%である。この範囲の含有量であれば、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C)の柔軟性や接着性が発現する。
これらエチレン共重合体のMFRは、0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜45g/10分の範囲で選択される。
ヒドロキシル基含有化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C)中に、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%である。この範囲の含有量であれば、未反応モノマーが増加することなく、十分な接着性能を付与することができる。
アミノ基含有化合物としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂(C7)中に、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%である。この範囲の含有量であれば、未反応モノマーが増加することなく、十分な接着性能を付与することができる。
シラン基含有化合物としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリスメチルエチルケトオキシムシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン等のビニルシラン類、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等のアクリルシラン類、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等のメタクリルシラン類、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のスチリルシラン類等の不飽和シラン化合物が挙げられる。
なお、これらの不飽和シラン化合物は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
シラン基含有化合物の含有量は、官能基含有ポリオレフィン系樹脂中に、0.01〜5重量%である。好ましくは、0.01〜3重量%、より好ましくは0.01〜1重量%である。この範囲の含有量であると、ガラス等の保護材との十分な接着が得られ、また、体積固有抵抗値の低下を抑えることができる。
他のポリオレフィン系樹脂は、封止材の機能、例えば接着性、加工性との性能を向上させるために配合することができる任意成分である。なお、官能基含有ポリオレフィン系樹脂のうち酸素原子、窒素原子などが含まれているものは、オレフィン系重合体(A)よりも多少なりとも難燃性能が高い。
本発明に係る有機過酸化物は、オレフィン系樹脂材料(X)の架橋剤であって、有機、無機のラジカル発生剤を使用することが可能である。有機過酸化物としては、分解温度(半減期が1時間である温度)が70〜180℃、とくに90〜160℃の有機過酸化物を用いることがが好ましい。
このような有機過酸化物として、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
本発明では、オレフィン系樹脂材料(X)に、難燃剤としてポリリン酸塩系難燃剤(C)を配合する。ポリリン酸塩系難燃剤(C)の種類は、オレフィン系樹脂材料(X)に難燃性を付与できるものであれば限定されないが、具体的には塩基性含窒素化合物とリン酸との塩が好ましい。
該塩を構成するリン酸としては、オルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸などの無機リン酸;ホスホン酸、ホスフィニコカルボン酸などの有機リン酸が挙げられる。これらのうち、オルトリン酸が好ましい。リン酸は縮合されたもの(ポリリン酸)が好ましい。ポリリン酸としては、鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸などが挙げられる。これらポリリン酸の縮合度は通常3〜50であるが、本発明では、これら縮合度によって特に制約されない。本発明ではオルトリン酸の縮合物が特に好ましく用いられる。
一方、該塩を構成する塩基性含窒素化合物としては、メラミン、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物、メラミンの縮合物などが挙げられる。具体的には、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、サクシノグアナミン、メラム、メレム、メトン、メロンなどのトリアジン骨格を有する化合物、およびこれらの硫酸塩、メラミン樹脂などを挙げることができる。これらのうち特にメラミン、メラム、メレム、およびそれらの複塩が好ましい。
上記ポリリン酸アンモニウムは、オルソリン酸アンモニウムと尿素を260℃以上の温度で熱的に縮合させて得られる白色の結晶性粉末である。その構造は、H(n−m)2(NH4)mPnO3n+1で示され、nは平均値20〜400で、リン30%、窒素15%を含むものは難燃効果が高い。したがって、本発明におけるポリリン酸塩系難燃剤(C)は、分子あたりのリンが多いほど難燃効果が高いが、使用樹脂の透明度が犠牲になるので、平均値5〜500程度が適切である。
これに対して、従来のリン酸塩系難燃剤は、リンの量が少ないので熱分解して形成されるリン酸層が薄くなるため、ポリリン酸塩系難燃剤のような難燃性能が発現しないものと考えられる。
このようなイントメッセント系物質としては、反応性化合物として、例えばポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等のポリアルキレンポリアミン類のポリリン酸塩を用い、泡の骨格形成剤として、例えばデキストリン等の炭化水素化合物、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール、ポリ酢酸ビニル等の炭化水素化合物等、発泡剤として、例えば分解性アンモニウム塩、ジシアンアミド、メラミン等のアミド化合物等、ビヒクルとして、例えば水系合成エマルジョン、溶剤系のアルキド樹脂、エポキシ樹脂等を組み合わせたものが挙げられる。このようなイントメッセント系難燃剤としては、例えば、アデカ社製、アデカスタブ FP−2100、FP−2200などの市販品を例示できる。
本発明では、これら無機難燃剤を単独であるいは2種以上混合して使用することができる。
これらの無機難燃剤の中でも、安全性が高い、金属水和化合物、とりわけ水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を好適に使用することができる。最も好ましいものは、加工性に優れた水酸化マグネシウムである。水酸化マグネシウムとしては、海水等からの合成水酸化マグネシウム及びブルーサイト等の水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の両方を好適に使用することができる。
金属水酸化物の平均粒径は、特に制限されるわけではないが、樹脂材料への分散性や均一な難燃性効果の観点から、40μm以下、好ましくは0.1〜20μmであることが望ましい。
また、金属水酸化物は、そのままでもよいが表面処理剤で表面処理を施すと、樹脂材料との相溶性が高まる。表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸又はパルミチン酸等の高級脂肪酸やそのカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の金属塩;パラフィン、ワックス又はその変性物;シランカップリング剤; チタネートカップリング剤等を使用できる。
水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤は、単独で使用すると樹脂に対し多量に配合する必要があり、透明性を損ない、また、混合過程で発熱を伴い有機過酸化物の分解を誘発しやすい問題があるが、本願発明ではポリリン酸塩系難燃剤と併用することで、上記問題を少なくすることができる。
上記無機系難燃剤の配合量は、オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対して、10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の範囲が挙げられる。使用量が少なすぎると難燃性が不十分であり、多すぎると透明性が悪化することがある。
上記リン系難燃剤の配合量は、オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部、更に好ましくは0.5〜25重量部、1〜20重量部の範囲が挙げられる。使用量が少なすぎると難燃性が不十分であり、多すぎると透明性が悪化することがある。
本発明の太陽電池封止材用組成物においては、オレフィン系樹脂材料(X)に対して、さらに架橋助剤(F)、シランカップリング剤(G)、酸化防止剤(H)、紫外線吸収剤(I)及び光安定剤(J)、加工助剤(K)から選ばれる少なくとも一種の添加剤を配合させることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には架橋助剤(F)を配合することができる。架橋助剤は、架橋反応を促進させ、α−オレフィン共重合体の架橋度を高めるのに有効であり、その具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物を例示することができる。
架橋助剤は、オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対し、0〜5重量部程度の割合で配合することができる。
本発明におけるシランカップリング剤(G)としては、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロルシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
これらのシランカップリング剤(G)は、オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部、さらに好ましくは0.5〜1重量部で使用される。
本発明で使用される酸化防止剤(H)としては、(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤、(ii)リン系酸化防止剤、(iii)硫黄系酸化防止剤など種々のタイプのものを使用することができるが、とくに(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤の使用が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
リン系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファネートジメチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファネートなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、2,4−ビス−n−オクチルチオ−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾールなどを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。
さらに、サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤は、オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対し、0〜2.0重量部程度配合することが好ましい。
(i)ヒンダードアミン系光安定化剤
本発明において、樹脂組成物には、ヒンダードアミン系光安定化剤を配合することが好ましい。ヒンダードアミン系光安定化剤は、ポリマーに対して有害なラジカル種を補足し、新たなラジカルを発生しないようにするものである。ヒンダードアミン系光安定化剤には、低分子量のものから高分子量のものまで多くの種類の化合物があるが、従来公知のものであれば特に制限されずに用いることができる。
上述したヒンダードアミン系光安定化剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される、結晶核剤、透明化剤、着色剤、分散剤、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明において太陽電池封止材(以下、単に封止材ともいう)とは、上記樹脂組成物をペレット化し、押出成形、カレンダー成形等によって、フィルムもしくはシート化したものである。
本発明の好ましい態様としては、封止材を、太陽電池素子の上部(透明保護材側)に用いる上部封止材層と下部(下部基板保護材側)に用いる下部封止材層の2層構成、もしくは更なる層を加えた3層構成以上の多層構成で構成し、透明性に優れたNOR型ヒンダードアミン系難燃剤などを含有した樹脂組成物を用いて上部封止材層を形成し、他の透明性には劣るが難燃性に優れた難燃剤、例えば無機系難燃剤または本発明のポリリン酸塩系難燃剤を含有した樹脂組成物で下部封止材層を形成する態様が挙げられる。
このような態様によれば、封止材全体の難燃性を担保しつつ、透明性を低下しない太陽電池封止材を得ることができる。
太陽電池モジュールは、この上記の太陽電池封止材を用いれば、太陽電池素子を上下の保護材とともに固定することにより、製作することができる。
このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば、上部透明保護材/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟む構成のもの、下部基板保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部透明保護材を形成させるような構成のもの、上部透明保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えば、フッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に、封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
また、下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層の保護材を例示することができる。このような上部及び/又は下部の保護材には、封止材との接着性を高めるためにプライマー処理を施すことができる。
上記水蒸気バリヤーフィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリプロピレン樹脂から選択された1種の樹脂のフィルム、またはそれらの樹脂の延伸フィルム、並びにそれらの樹脂の表面に無機酸化物を蒸着したフィルム等が挙げられ、特に、無機酸化物を蒸着したフィルムが水蒸気バリヤー性、透明性等が優れるので、好ましい。
本発明に係る金属の酸化物としては、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等を挙げることができる。無機酸化物の薄膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å(5〜200nm)位、好ましくは、100〜1000Å(10〜100nm)位の範囲内で、任意に選択して形成することが望ましい。また、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、無機酸化物の蒸着薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した積層体の状態でもよく、また、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の薄膜を構成することもできる。
また、本発明の封止材を押出コーティングすることによって、太陽電池素子や上部保護材あるいは下部保護材と積層する方法を採用すれば、わざわざシート成形することなく、一段階で太陽電池モジュールを製造することが可能である。したがって、本発明の封止材を使用すれば、モジュールの生産性を格段に改良することができる。
この場合は、封止材層の融点(DSC法)が85℃以上、150℃の貯蔵弾性率が103Pa以上の耐熱性が良好な太陽電池モジュールを得るために、封止材層におけるゲル分率(試料1gをキシレン100mlに浸漬し、110℃、24時間加熱した後、20メッシュ金網で濾過し未溶融分の質量分率を測定)が50〜98%、好ましくは70〜95%程度になるように架橋するのがよい。
(1)メルトフローレート(MFR)
エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
(3)Z平均分子量/数平均分子量(Mz/Mn)
Mz/Mnの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行い、測定条件は、次のとおりである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本
(カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いて、ポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
(4)分岐数:ポリマー中の分岐数(N)は、NMRにより次の条件で測定し、コモノマー量は、主鎖及び側鎖の合計1000個の炭素あたりの個数で求めた。
装置:ブルカー・バイオスピン(株) AVANCEIII cryo−400MHz
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン=8/2混合溶液
<試料量>
460mg/2.3ml
<C−NMR>
・Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒
・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
(5)引張弾性率:厚み0.7mmのプレスシートを用いて、ISO1184−1983に準拠して測定した。尚、引張速度1mm/min、試験片幅10mm、つかみ具間を100mmとし、伸び率1%のときの引張弾性率を求めた。この値が小さい程、柔軟性に優れていることを示す。
(1) シート外観
2軸押出機を用いた溶融混練によって得られたペレットを160℃−0kg/cm2の条件で、3分予熱した後、160℃−100kg/cm2の条件で27分加圧(160℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2の加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmのシートを作製した。このシートの外観を目視によって確認した。シートにむらや発砲がなく均一な状態のものを○とした。なお、2軸押出機を用いて溶融混練できたものを○、溶融混練できなかったものを×とした。
(2)耐熱性
太陽電池モジュールは通常、屋外に設置されるから長期間太陽光に晒され温度上昇する。それにより樹脂製の封止材が流動し、モジュールが変形したりするトラブルを避けるために、耐熱性を有するものでなければならない。耐熱性の評価として150℃で30分架橋したシートのゲル分率を用いた。ゲル分率が高いほど架橋が進行しており、耐熱性が高いと評価できる。ゲル分率が70wt%のものを、耐熱性評価「○」とした。尚、ゲル分率は、当該シートを、約1gを切り取り精秤して、キシレン100ccに浸漬し110℃で24時間処理し、ろ過後残渣を乾燥し精秤して、処理前の重量で割りゲル分率を算出する。
(3)難燃性(酸素指数)
上記のプレス成形条件で、厚み2.0mmのシートを作成した。得られたシートをJIS K7201の方法で酸素指数を測定した。難燃性は、酸素指数が20以上であれば合格と評価した。
(1)樹脂
・エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAと称す)
(酢酸ビニル含量33重量%、MFR30g/10分)
・成分(A1):エチレン・α−オレフィン共重合体
下記の<製造例1>で重合したエチレンと1−へキセンの共重合体(PE−1)を用いた。物性を表1に示す。
・成分(A1):エチレン・α−オレフィン共重合体
下記の<製造例2>で重合したエチレンと1−ブテンの共重合体(PE−2)を用いた。物性を表1に示す。
(2)ポリリン酸塩系難燃剤:ポリアルキレンポリアミン類のポリリン酸塩を含むイントメッセント系難燃剤(アデカ社製、アデカスタブ FP−2200)
(3)有機過酸化物:アルケマ吉富社製、ルペロックス101(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
(4)ヒンダードアミン系光安定化剤:コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(チバ・ジャパン社製、TINUVIN 622LD)
(5)紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
(サンケミカル社製、CYTEC UV531)
(i)触媒の調製
エチレンと1−へキセンの共重合体を製造するための触媒は、特表平7−508545号公報に記載された方法で調製した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0mモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(ii)重合
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が75重量%となるように40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度が150℃を維持するようにその供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約4.3kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量が24重量%、MFRが35g/10分、密度が0.880g/cm3、Mz/Mnが3.7であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。このエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)の特性を表1に示す。
表1に示す組成、密度、および溶融粘度となるように、製造例1における重合時のモノマー組成、重合温度を変更して重合を行った。反応終了後、1−ブテン含有量=35重量%、MFR=33g/10分、密度=0.870g/cm3、Mz/Mn=3.5であるエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)を得た。このエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)の特性を表1に示す。
EVA100重量部に対して、難燃剤としてポリリン酸塩系化合物30重量部、有機過酸化物を1.5重量部配合した。これを十分に混合し、この組成物を下記条件で溶融混練し、ペレット化をおこなった。樹脂温度・樹脂圧力ともに安定しており押出成形が可能であった。
押出機:TEX35二軸押出機
樹脂温度:110℃
そのペレットを用いて、前述の通りプレス機にて試験片を作成した。得られたシートは添加剤の分散ムラ等もなく、良好な状態であった。その後、難燃性(酸素指数)を測定した。評価結果を表2に示す。
実施例1のEVAの代わりにエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を用いて、難燃剤を20重量部添加した以外は実施例1と同様にペレットを作成した。樹脂温度・樹脂圧力ともに安定しており押出成形が可能であった。
その後作成したシートにおいても添加剤の分散ムラ等なく、良好な状態であった。その後、酸素指数について測定した。評価結果を表2に示す。
EVAの代わりにエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)を用い、難燃剤を35重量部添加した以外は実施例1と同様にペレットを作成した。樹脂温度・樹脂圧力ともに安定しており押出成形が可能であった。
その後作成したシートにおいても添加剤の分散ムラ等なく、良好な状態であった。その後、酸素指数について測定した。評価結果を表2に示す。
難燃剤としてポリリン酸塩系化合物の代わりに、水酸化マグネシウムを200重量部添加した以外は実施例1と同様に溶融混練押出しをおこなったところ、樹脂温度が有機過酸化物の急速分解温度(138℃)以上となり、有機過酸化物が押出機内で分解し、EVAの架橋が起こり、押し出しが不可能となった。評価結果を表2に示す。
難燃剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にペレットを作成した。樹脂温度・樹脂圧力ともに安定しており押出成形が可能であった。
その後作成したシートにおいても添加剤の分散ムラ等なく、良好な状態であった。その後、難燃性について測定した。評価結果を表2に示す。
有機過酸化物を添加しなかった以外は実施例1と同様にペレットを作成した。樹脂温度・樹脂圧力ともに安定しており押出成形が可能であった。
その後作成したシートにおいても添加剤の分散ムラ等なく、良好な状態であった。その後、難燃性について測定した。評価結果を表2に示す。
この結果、表2から明らかなように、実施例1〜3では、ポリリン酸塩系難燃剤を使用した本発明の樹脂組成物であるために、これを押出成形して得られたシートは、外観が良く、難燃性が優れるものであった。
これに対して、比較例1では、無機水酸化物を多量に配合したために樹脂を押し出せず、ペレットが得られず、比較例2では、難燃剤を使用しなかったために難燃性が劣るものとなり、比較例3では、有機過酸化物を使用しなかったために耐熱性が劣るものとなった。
Claims (9)
- オレフィン系樹脂材料(X)100重量部に対して、有機過酸化物(B)0.1〜5重量部、及びポリリン酸塩系難燃剤(C)5〜100重量部を含むことを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 前記オレフィン系樹脂材料(X)が、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)またはエチレン−ビニルエステル共重合体(A2)から選ばれるエチレン共重合体(A)であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)が、下記の特性(a1)〜(a2)を満足することを特徴とする請求項2に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
(a1)密度が0.86〜0.92g/cm3
(a2)190℃、21.18N荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.05〜50g/10分 - 前記ポリリン酸塩系難燃剤(C)が、イントメッセント系難燃剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 前記樹脂材料(X)は、さらに、架橋助剤(F)、シランカップリング剤(G)、酸化防止剤(H)、紫外線吸収剤(I)および光安定剤(J)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物を押出成形してなる太陽電池用封止材。
- 上部封止材層と下部封止材層の少なくとも2層以上で構成される封止材であって、少なくとも下部封止材層が請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物からなることを特徴とする太陽電池用封止材。
- オレフィン系樹脂材料(X)、有機過酸化物(B)およびポリリン酸塩系難燃剤(C)を含む樹脂組成物を、該有機過酸化物の急速分解温度以下の温度で溶融押し出しし、シート成形することを特徴とする太陽電池封止材の製造方法。
- 請求項6又は7に記載の太陽電池用封止材を含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
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