JP2012016281A - 電動機駆動システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】還流ダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子を少なくとも2個直列接続したアーム部を、直流電圧部にn(n≧2)個並列に接続し、かつ、アーム部のスイッチング素子同士の接続点を出力端子として界磁付き電動機に接続したシステムにおいて、出力端子よりも正極側のスイッチング素子群を上アーム、負極側のスイッチング素子群を下アームとした時に、インバータの運転開始直前に、上アームまたは下アームの全スイッチング素子にオン信号、オフ信号を連続的に与えた時に各オン信号によって通流する電流の異常に基づいて、電動機または電動機−インバータ間のケーブルが故障していると判定し、故障不検出時にはインバータの運転を開始し、故障検出時にはインバータを運転せずに電動機を停止させる。
【選択図】図1
Description
インバータ10は、電解コンデンサ等からなる直流電圧部11に、還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子(ここではIGBT)を2個直列接続してなるアーム部を三相分並列に接続して構成されている。図において、Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzはスイッチング素子、Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dzは還流ダイオードである。
このような電動機駆動システムは例えば特許文献1等に記載されており、その構成及び制御方法は公知であって広く実用化されているため、これらの説明は省略する。
図5の構成では、電動機駆動システムの停止状態において、インバータ10の全スイッチング素子に対してこれらをオフにするための信号(オフ信号)が制御装置(図示せず)から与えられている。
界磁付き電動機Mを発電機として用いる場合、図示するように直流電圧部11の電圧を阻止する極性でダイオード12を挿入することにより、スイッチング素子群に短絡故障が生じても上記ダイオード12の作用によって直流電圧部11の電圧が維持されるという特徴がある。なお、この構成は、特願2004−158548に開示されている。
特に、この状態ではスイッチング素子が短絡故障しているため制御不能であり、電動機Mが外力によって回されている限り大電流は流れ続けてしまう。
そこで本発明の解決課題は、これらの短絡故障その他の故障を速やかに検出すると共に、故障検出時にはシステムを安全に停止させるようにした電動機駆動システムを提供することにある。
還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続してなるアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn個並列に接続し、かつ、前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続してなる電動機駆動システムにおいて、
前記出力端子よりも前記直流電圧部の正極側にあるスイッチング素子群を上アーム、負極側にあるスイッチング素子群を下アームとした場合に、
インバータの運転開始直前に、前記上アームまたは下アームの何れか一方の全スイッチング素子に対してオン信号、オフ信号を連続的に与えた時に各オン信号によって通流する電流の異常に基づいて、電動機、または電動機とインバータとの間のケーブルが故障していると判定する故障判定を行い、故障を検出しない場合にはインバータの運転を開始し、故障を検出した場合にはインバータを運転させずに電動機の回転を停止させる措置を採るような起動シーケンスを有するものである。
運転中に電動機の電流が規定値以上となった場合にはインバータの運転を停止させる過電流停止手段を備え、
この過電流停止手段によりインバータの運転を停止した後に、
全スイッチング素子にオフ信号が与えられた状態で電動機に規定値以上の電流が通流する場合に、全スイッチング素子のうちの少なくとも1個が故障していると判定するスイッチング素子故障判定を行い、スイッチング素子の故障を検出した場合には、電動機の回転を停止させる措置またはインバータと電動機との電気的接続を遮断する措置の少なくとも一方を採り、スイッチング素子の故障を検出しない場合には、前記起動シーケンスを実行するものである。
まず、図1は本発明の実施形態を示す構成図である。図1において、インバータ31を構成する三相各相(U,V,W相)のうちU相、W相の交流出力線30u,30wには、電流検出器CTu,CTwがそれぞれ接続されており、これらの電流検出器CTu,CTwの出力はスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzをオンオフ制御するための制御装置20に入力されている。
なお、インバータ31の他の構成は図5と同一であるが、図6に示したように直流電圧部11の電圧を阻止する極性でダイオード(以下、直流部ダイオードという)を挿入しても良い。
界磁付き電動機Mは、例えば永久磁石同期電動機である。
ただし、電動機Mの回転速度が高く、従って誘起電圧が高い場合、誘起電圧の線間ピーク値が直流電圧部11の電圧よりも高ければ、上アームの還流ダイオードも順バイアスされることになり、全スイッチング素子が正常であっても電流が流れる。しかし、その場合の電流は上記短絡電流よりも格段に小さいこと、また、図示していない回転子の位置情報または速度センサの速度情報、あるいは流れる電流の周波数情報から、無負荷誘起電圧が直流電圧部11の電圧よりも高くなるほど回転子の回転速度が高いか否かを判断できることから、スイッチング素子の故障によって電流が流れている場合と、電動機Mの回転速度が高いことに起因して電流が流れている場合とは明確に区別可能である。
すなわち、図1に示した構成において、下アームの全スイッチング素子をオンすると電動機Mの端子が短絡されるため、電動機Mが回転していれば無負荷誘起電圧によって電流が通流する。このとき、電動機M、ケーブル及びインバータの全てが正常であり、また、電動機Mの回転速度が一定ならば、前述した特許文献1の段落[0030]〜[0036]に記載されているように、流れる電流は直交2軸の同期回転座標(d−q座標)において近似的に次式により表すことができる。
従って、図2に示すように、固定の間隔、固定の時間幅で下アームの全スイッチング素子に対するオン信号を与え、各オン信号の開始から一定時間経過したときの電流値を計測して三相電流実効値の合計値またはd,q各軸の電流値を求め、これらが一定になるか否かを監視する。
システムの正常時には、id,iqともほぼ均一な波形となっていることが分かる。一方、システムの異常時については、U,V相出力端子が短絡されている場合の動作波形を示しており、電流の振る舞いが正常時と明らかに異なっている。これらの電流波形の相違から、電動機Mやケーブルにおける短絡故障を判定できることが分かる。
前述したように、インバータ停止の状態、すなわちインバータの全スイッチング素子がオフしている状態から、スイッチング素子を適切に操作して通流する電流を観測することにより、電動機Mやケーブルの短絡故障を検出することができる。
この実施形態によれば、インバータの運転開始前に電動機Mやケーブルが正常であることを確認できるため、安全に運転を開始することができる。
通常運転中に、スイッチング素子、電動機M、またはケーブルに短絡故障が発生すると、電動機Mの電流が過大になる。このような場合、電動機Mの電流を過電流検出レベルとしての規定値と常時比較し、電流がこの規定値を超えた場合にインバータを停止する手段を設けておけば、過電流検出時にインバータを停止させることができる。
しかし、過電流が検出されるのは上記の故障の場合に限られず、例えば重負荷が原因であったり、あるいは磁極位置と印加電圧との位相が対応しなくなる、いわゆる脱調が原因である場合もあり得る。従って、運転中の過電流のみをもって電動機Mの回転を停止させるようなシステムとすると、本来停止が不要な場合にもシステムが停止することになり、信頼性の点で問題が生じかねない。
一方、過電流を検出してインバータが停止した後も電動機Mの回転が継続すると、過電流の原因が前述した短絡故障の場合には、重大な故障や災害を引き起こすおそれがある。
この実施形態によれば、図4に示すスイッチング素子の短絡故障判定、及び図3の起動シーケンスにより、スイッチング素子、電動機M、またはケーブルの短絡故障を速やかに検出して必要な措置を採ることができ、しかも、何れの短絡故障も無ければシステムは速やかに再起動されるため、信頼性を高めることができる。
Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz:還流ダイオード
M:界磁付き電動機
CTu,CTw:電流検出器
11:直流電圧部
20:制御装置
30u,30w:交流出力線
31:インバータ
Claims (2)
- 界磁付きn相(nは2以上の整数)電動機をn相インバータにより駆動する電動機駆動システムであって、
還流ダイオードが逆並列接続された自己消弧形スイッチング素子を少なくとも2個直列接続してなるアーム部を、直流電圧部に直接またはダイオードを介してn個並列に接続し、かつ、前記アーム部におけるスイッチング素子同士の接続点を出力端子として電動機に接続してなる電動機駆動システムにおいて、
前記出力端子よりも前記直流電圧部の正極側にあるスイッチング素子群を上アーム、負極側にあるスイッチング素子群を下アームとした場合に、
インバータの運転開始直前に、前記上アームまたは下アームの何れか一方の全スイッチング素子に対してオン信号、オフ信号を連続的に与えた時に各オン信号によって通流する電流の異常に基づいて、電動機、または電動機とインバータとの間のケーブルが故障していると判定する故障判定を行い、故障を検出しない場合にはインバータの運転を開始し、故障を検出した場合にはインバータを運転させずに電動機の回転を停止させる措置を採るような起動シーケンスを有することを特徴とする電動機駆動システム。 - 請求項1に記載した電動機駆動システムにおいて、
運転中に電動機の電流が規定値以上となった場合にはインバータの運転を停止させる過電流停止手段を備え、
この過電流停止手段によりインバータの運転を停止した後に、
全スイッチング素子にオフ信号が与えられた状態で電動機に規定値以上の電流が通流する場合に、全スイッチング素子のうちの少なくとも1個が故障していると判定するスイッチング素子故障判定を行い、スイッチング素子の故障を検出した場合には、電動機の回転を停止させる措置またはインバータと電動機との電気的接続を遮断する措置の少なくとも一方を採り、スイッチング素子の故障を検出しない場合には、前記起動シーケンスを実行することを特徴とする電動機駆動システム。
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