JP2017022867A - モータ駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ始動時に固定磁界を発生させ回転子を位置決めしてから始動することにより位置センサを持たないモータの始動性を改善し、回転子の位置を確認制御することで加減速運転、高速運転、並びに定速運転等の運転性能を向上させたモータ駆動方法を提供する。【解決手段】CPU5は上位コントローラ6からの回転指令により、停止状態の3相ブラシレスモータに一定時間2相通電するセットアップ通電を、通電パターンを変えて2回行い、回転子2をゼロクロス点から30°ずれた所定位置に位置決めし、1相60°バイポーラ矩形波通電パターンからセットアップ理論停止位置より進行方向に一つ進んだ区間を選択して通電する1相180°通電の始動通電を行い、回転子の理論停止位置から位相差90°進んだ位置のゼロクロス点を検出することで始動通電を完了し、その後は位相差60°ごとのゼロクロス点検出により1相60°バイポーラ矩形波通電を行う。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば回転子位置センサを省略した6線式3相ブラシレスモータを用いたモータ駆動方法に関する。尚、以下の説明では特に断りがない場合は位相角に関する記載は電気角で表記されているものとする。また回転子の位置に関する記載については回転子S磁極の方向を基準とする。
図9に現状の3相センサレスブラシレスDCモータの一実施例を示す。回転軸51には回転子52が一体に設けられ、界磁として2極の永久磁石53が設けられている。固定子54には120°位相差(機械角)で極歯54aが各々形成されており、極歯54aにはコイル(U相,V相,W相)が巻き付けられている。各コイルの一端は共通接続に結線して中性点(コモン)としリード線cにて、他端はリード線u、v、wで駆動回路の出力手段に配線されている。
図10に現状のモータ駆動回路の一実施例を示す。
制御手段としてのCPU55はマイクロコンピュータで上位コントローラ56から回転指令RUNが入力されるとモータ駆動を制御する。具体的には、コンパレータ1〜3の出力に応じてゲート出力OUT1〜6を切り替えて2相120°バイポーラ矩形波通電などを行う。またセンサレス駆動のための回転子位置センシング機能あるいはオープンループ始動機能、回転時の励磁切り替え遅延機能、速度制御のためのPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)機能なども備える。モータ出力部57は、各相コイルと接続するブリッジ回路B1〜B3を3個備え、各相を正方向通電または逆方向通電またはハイインピーダンス状態とする。
ゼロクロス点検出部58(ゼロクロス点検出手段)は相端とコモン間に発生する誘起電圧を比較する3個のゼロクロスコンパレータCOMP1〜3で構成される。ゼロクロスコンパレータ出力信号SU〜SWは、PWM制御におけるノイズ除去を行うローパスフィルタLPFを経由してCPU55(制御手段)へ出力される。
尚、6線式3相ブラシレスモータのセンサレス駆動方法について以下の先行文献が存在する(特許文献1参照)。
特開2004−364359号公報
上述した背景技術に示す3相ブラシレスモータのセンサレス駆動方法には、以下に述べる技術的課題があった。
(1)コギング法による始動
現状の始動方法として、回転子位置とは無関係に任意の励磁パターンを選択し強制的に励磁して回転子を振動させその瞬間に誘起電圧ゼロクロス点を検出するコギング法がある。しかしコギング法で始動するためには大きなトルクで強制励磁して加速しなければ誘起電圧を検出できず振動や逆転が発生しスムーズな始動は望めない。さらに回転子位置とは無関係に励磁パターンが選ばれるためトルクの少ない位置で通電した場合は始動に失敗することもある不安定な方法であり、始動電流や始動時間の微妙な設定が要求され汎用性に欠け、特に粘性負荷に弱い。
(2)セットアップ法による始動
あるいは一定時間、固定磁界を発生し、回転子を特定の位置に移動させ、その位置から始動するセットアップ法がある。しかしながら、2相120°通電で始動する場合、摩擦などで回転子の停止位置に誤差が発生すると大幅に始動トルクが低下し、回転速度が小さすぎてゼロクロスを検出できず始動エラーを起す場合がある。さらに通電方式上、ゼロクロス点から30°位相が遅れた位置で励磁切り替えする必要があり、遅れ時間は前回の通電周期から推定によって求めているが始動時は前回データがなくあらかじめ設定した時間に基づいているため摩擦や負荷の変動に対応できず始動エラーを起しやすい。あるいは通電周波数を徐々に上げ同期をとりながら始動するオープンループ法もあるが始動時間がかかり消費電流も多くまた脱調しやすい不安定な方法である。
(3)2相120°矩形波通電
モータ始動後は、2相120°通電し、固定子巻線の非通電相の誘起電圧を監視してゼロクロスを検出し、そこから30°位相が遅れた位置で励磁切り替えする2相120°矩形波通電方式が主流である。位相角30°の遅れ時間は直前の通電周期から推定して求められる。推測に基づく方式のため励磁切り替えタイミングは不確実であり急激な速度変化や負荷変動に対して許容範囲が狭くなり、加減速の許容範囲や高速回転の限界が低くなる。例えば最高回転数はセンサ付きモータに比べて概ね半分程度となる。また、過負荷状態やフルブレーキ状態などが一瞬でも発生するとゼロクロス点を見失い停止してしまう問題もある。
以上説明したように、ブラシレスモータのセンサレス駆動には推定要素が含まれるため、モータ始動時・回転時の両面で不確実性があり、始動性・加速性能・高速性能などでセンサ駆動に劣るという問題があった。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、モータ始動時に固定磁界を発生させ回転子を所定位置に位置決めしてから始動することにより位置センサを持たないモータの始動性を改善し、回転子の位置を確認制御することで加減速運転、高速運転及び定速運転等の多様なセンサレス駆動の運転性能を向上させたモータ駆動方法を提供することにある。
永久磁石界磁を備えた回転子と、前記永久磁石界磁に対向配置され120°位相差で配置された極歯を有する固定子の各極歯に巻線を設けて相間を結線することなく独立して配線された6線式3相ブラシレスモータを用いたモータ駆動方法であって、上位コントローラからの回転指令によりモータ駆動信号を出力制御する制御手段と、前記制御手段の出力指令により、前記固定子巻線に対して相ごとに正方向通電または逆方向通電するためのHブリッジ回路を3相分備えたモータ出力手段と、各相巻線両端に発生する誘起電圧を差動入力して前記制御手段によって誘起電圧のゼロクロス点を各々検出するゼロクロス点検出手段と、を具備し、前記制御手段は、ゼロクロス点により区切られる位相差60°区間で一相のみを正方向通電あるいは逆方向通電する1相60°バイポーラ矩形波通電パターンから、前記ゼロクロス点検出手段の出力により一つを選択し前記モータ出力手段に出力指令を送出することでセンサレス駆動を行い、モータ始動前に一定時間2相通電にて固定磁界を発生させて前記回転子をゼロクロス点から位相差30°ずれた位置に位置決めするセットアップ通電を行うステップと、前記1相60°バイポーラ矩形波通電パターンからセットアップ理論停止位置より進行方向に一つ進んだ区間を選択して通電する1相180°通電の始動通電を行うステップと、回転子の理論停止位置から位相差90°進んだ位置のゼロクロス点を検出することで始動通電を完了し、その後は位相差60°ごとのゼロクロス点検出により前記1相60°バイポーラ矩形波通電を行うステップと、を含むことを特徴とする。
上記モータ駆動方法を用いれば、ブラシレスモータ始動前に固定子巻線に一定時間2相通電にて固定磁界を発生させることにより回転子位置が一義的に決まるため、モータを回転子位置から確実に始動させてセンサレス駆動を行うことができる。
前記1回目のセットアップ通電を行なった通電相の組み合わせと異なる通電相の組み合わせを選択して2回目のセットアップ通電を行うことが好ましい。
これにより1回目のセットアップ通電により、回転子が理論停止位置から位相角で180°離れた位置で回転子が停止することを防ぎ、2回目のセットアップ通電で必ず理論停止位置近傍に回転子を移動させることができる。
セットアップ通電後の始動通電時に、当該始動通電相以外相も通電する2相通電あるいは3相通電を一定時間行って始動トルクを増加することが望ましい。
これにより、モータの始動トルク不足を解消し、確実な始動を実現することができる。
前記制御手段に、予め1電気角分の通電パターンを一定角度ごとに通電電流量と通電方向で表した通電データ群を記憶したルックアップテーブルを設けておき、ゼロクロス点検出ごとに区間時間を測定しルックアップテーブル60°分のデータ数で除して今回区間の通電周期とし、通電周期ごとにテーブルアドレスを歩進しながら回転子位置に該当するルックアップテーブルのデータを読み出して励磁し、ゼロクロス点検出前に今回区間データを読み終わったら最終区間データを出力し続け、ゼロクロス点を検出したら未読区間データがあっても今回区間データの出力を打ち切るルックアップテーブル通電を行うことが好ましい。
これにより、モータ始動後、ルックアップテーブルに従った励磁切り替えを行うことで定速度運転における安定した運転が可能となる。
このとき、モータ始動後、前々回と前回の区間時間の変動が任意に設定した閾値以内のときは、ゼロクロス点に同期してルックアップテーブル通電方式を選択し、閾値を超えたらゼロクロス点に同期して1相60°バイポーラ矩形波通電方式を選択してクローズドループ制御を行うことが好ましい。
これにより、急激な速度変動によるモータの脱調を防止することができる。
モータ始動後、前記ルックアップテーブル通電方式により正弦波通電する際、ゼロクロス点の発生する通電相への通電をゼロクロス点発生前に打ち切って非通電相とし、当該非通電相のゼロクロス点検出により今回区間データの出力を終了することが好ましい。
これにより、モータ始動後、ルックアップテーブルに従った通電区間ごとに速度変動があっても通電制御を追従させることができる。
モータ始動前にゼロクロスコンパレータ出力によりモータの静止判定し、回転と判定した場合はゼロクロスコンパレータ出力で決まる通電相から1相60°バイポーラ矩形波通電を行い、静止と判定した場合は前記セットアップ通電から始まる一連の始動手順を行うことが好ましい。
これにより、モータ始動前にモータの静止判定をすることで、モータの回転状態に応じた通電方式を選択してセンサレス駆動することができる。
尚、1相60°バイポーラ矩形波通電の励磁切り替え時は、最高回転数時の60°周期よりわずかに短い時間をゼロクロス点検出マスク時間として設定し、ゼロクロス点を検出できる限界の低速回転時の60°周期よりわずかに長い時間をゼロクロス点監視時間として設定し、当該ゼロクロス点監視時間を経過してゼロクロス点を検出できない場合はエラーと判定し前記モータの静止判定に戻ることが好ましい。
これにより、励磁切り替え時のスパイクノイズを避けてゼロクロス点が検出可能となるので、安定した高速運転が可能となる。
上述したモータ駆動方法を用いれば、2相励磁によるセットアップ通電を2回行うことで確実に回転子を特定位置に配置し、1相180°通電のクローズドループ制御にて始動することから、極めて確実な始動が可能であり、短時間で立ち上がり消費電力も低減することができる。
また、従来の3線式のモータは接続を間違えると逆回転し、周辺装置の破損や動圧軸受の破損などの事故につながるおそれがあったが、本発明によれば、誤配線時にはモータが始動しないため、安全性も向上する。
また、モータ始動後も1相60°通電のクローズドループ制御にて回転することから、センサ付きモータと同等の確実性を持つ。そのため従来であれば脱調してしまう大きな加減速運転や高速運転などの多様なセンサレス駆動が可能となる。
更には、定速回転時はルックアップテーブル通電方式を行って、高効率な2相120°バイポーラ矩形波駆動や低振動な正弦波駆動など様々な駆動方式が任意に選択することができる。またルックアップテーブルのアドレスを後方にずらすだけで進角制御ができ、モータ効率が向上する。従来のルックアップテーブルは速度変動時に脱調する可能性があったが、本案によれば自動的にクローズドループ制御に戻り脱調することはない。
モータは位置センサ関係やコモン結線などの配線作業が不要となり配線構造が簡略化される。また、駆動回路も制御手段にセンサレス駆動のための回転子位置センシング機能あるいはオープンループ始動機能、回転時の励磁切り替え遅延機能などが不要となり低コスト化を図ることが可能である。
2相120°バイポーラ矩形波通電のタイミングチャート図である。 1相60°バイポーラ矩形波通電のタイミングチャート図である。 モータの始動手順を示す説明図である。 3相165°正弦波通電のタイミングチャート図である。 6線式3相センサレスモータの説明図である。 図5のモータのセンサレス駆動回路の説明図である。 モータ駆動方法の一例を示すフローチャート図である。 実機の駆動波形を示す波形図である。 従来の3相センサレスブラシレスDCモータの説明図である。 図9のモータのセンサレス駆動回路の説明図である。
以下、本発明に係るモータ駆動方法の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本願発明は、永久磁石界磁を備えた回転子と、前記永久磁石界磁に対向配置され120°位相差で配置された極歯を有する固定子の各極歯に巻線を設けて相間を結線することなく独立して配線された6線式3相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動方法に広く適用することができる。
以下では、3相DCブラシレスモータを駆動するモータ駆動方法についてモータの構成と共に説明する。
図5に本発明に係る3相DCブラシレスモータの一実施例を示す。一例として回転子として2極永久磁石界磁を備え、固定子として3スロットを設けた固定子コアを備えた3相DCブラシレスモータを例示する。モータはインナーロータ型でもアウターロータ型でもいずれでもよい。
図5において、回転子軸1には回転子2が一体に設けられ、界磁として2極の永久磁石3が設けられている。固定子4には120°位相差(機械角)で極歯4a(U相,V相,W相)が永久磁石3に対向して配置されている。固定子4の各極歯4a(U相,V相,W相)に巻線u−uu、v−vv,w−wwを設けて相間を結線することなく独立して後述するモータ出力部7に配線された6線式3相ブラシレスモータとなっている。3相のコイル対同士は結線されず隔離(絶縁)されている。そのため非通電相は通電相の影響をまったく受けない。また例えば中性点(コモン)といった巻線同士の結線が不要である。従来はコイル巻線の絶縁被覆を除去しはんだ付けし再度絶縁するといった工数が必要であったが、本発明によれば不要となりモータ組立工数が低減できる。
次に、3相DCブラシレスモータのモータ駆動装置(DRIVER;モータ駆動手段)の構成例を図6に示す。駆動方式は1相60°バイポーラ矩形波励磁である。CPU5(中央演算処理装置;制御手段)は、上位コントローラ6からの回転指令(RUN)によりモータ駆動信号を出力端子OUT1〜OUT6から出力制御する。尚、回転子2の位置を検出する位置センサ(ホールIC等)は省略されている。
モータ出力部7(モータ出力手段)は、CPU5の出力指令により、固定子巻線u−uu(U相巻線)、v−vv(V相巻線),w−ww(W相巻線)に対して相ごとに正方向通電または逆方向通電するためのフルブリッジ回路(Hブリッジ回路;HB1〜HB3)を3相分備えている。また、コイルハイインピーダンス時に電源電圧E/2の電位にバイアスするために、電源及び接地に接続する高抵抗を設けた。
ゼロクロス点検出部8(ゼロクロス点検出手段)は、3相分のゼロクロスコンパレータCOMP1〜COMP3を備え、各相巻線両端に発生する誘起電圧を差動入力してCPU5によって誘起電圧のゼロクロス点を各々検出する。ゼロクロスコンパレータCOMP1〜COMP3の出力信号SU〜SWは、PWMノイズ除去のローパスフィルタLPFを経由してCPU5へ出力される。
CPU5は、ゼロクロス点により区切られる位相差60°区間で一相のみを正方向通電あるいは逆方向通電する1相60°バイポーラ矩形波通電パターンから、ゼロクロスコンパレータCOMP1〜COMP3の出力により一つを選択しモータ出力部7(フルブリッジ回路;HB1〜HB3)に出力信号を送出することで位置センサを設けない3相DCブラシレスモータMに対してセンサレス駆動を行う。CPU5はマイクロコンピュータが用いられ、上位コントローラ6から回転指令(RUN)が入力されると、モータ駆動を制御する。また、CPU5は、ゼロクロスコンパレータCOMP1〜COMP3の出力に応じてゲート出力OUT1〜6を切り替えて1相60°バイポーラ矩形波通電の他、2相120°バイポーラ矩形波通電、3相正弦波通電などを行うこともできる。速度制御はゲート出力OUT1〜6をPWM制御することで行う。尚、U相,V相,W相巻線の相間は電気的には接続されていないが、磁気回路は同等であるため発生トルクも従来のモータと同等に扱える。以上の構成により、3相ブラシレスモータを用いて1相バイポーラ通電が可能になる。
以下、モータ駆動方法の一例について図1乃至図8を参照して説明する。
先ず、モータ始動方法の改善について説明する。モータ始動時は誘起電圧が発生しないため回転子位置検出は困難である。そこで、本実施形態では、2相通電にて一定時間励磁して固定磁界を発生させ回転子位置決めするセットアップ通電法を用いる。モータ始動前に一定時間2相通電にて固定磁界を発生させて回転子をゼロクロス点から位相差30°ずれた位置に位置決めするセットアップ通電を行う。
図1に示す2相120°矩形波通電の波形を用いてセットアップ通電法の原理を説明する。図1で横軸は電気角を表し、電気角360°をゼロクロス点で60°の区間にわけ励磁シーケンス順に区間番号1〜6を振ってある。U〜Wは極歯4aに巻かれたコイル(巻線)である。実線は2相120°バイポーラ矩形波通電波形で中心線より上側は正方向通電、下側は逆方向通電を表す。破線は誘起電圧波形で一定電流を流したときのトルクに等しく中心線より上側は正方向回転する正トルクが発生することを表す。下側に位置するときは逆方向回転する負トルクが発生するが、通電を逆方向にすれば正トルクが発生し回転子2(図5参照)は正転する。SU~SWはゼロクロスコンパレータ出力波形で、ZX0〜ZX300は誘起電圧波形ゼロクロス点である。ZX0点はU相極歯4aが回転子S磁極に向いている位置であり、誘起電圧は固定子4(図5参照)の鎖交磁束より90°進んでいる。本実施形態ではこの位置を0°としている。
回転子位置に関わりなく例えば区間2前半の通電パターンを出力すると、U相は正方向通電、V相は逆方向通電される。W相は非通電である。1相ごとに見ると、U相トルクによる回転力はU相波形の上段に記載の矢印の向きに発生し、区間1〜3では正転、区間4〜6では逆転し、ゼロクロス点ZX0はトルクが離れる方向に発生する不安定点であり、そのため回転子2(図5参照)は安定点であるZX180近傍に静止する。同様にV相トルクはV相矢印の向きに発生し、回転子2はゼロクロス点ZX120に静止する。W相は回転に関与しない。2相(U相及びV相)の合成トルクにより最終的に回転子2は150°の位置にて最大トルク/2の保持力で静止し、回転子位置が特定される。このように固定子4に固定磁界を発生させることにより、回転子位置が一義的に定まることがセットアップ通電による位置決めの原理である。
しかしながら、上述したセットアップ通電には、デッドポイントがある。図1において330°付近に回転子2が位置していた場合、2相(U相及びV相)のトルクが拮抗して停止したままとなる。回転子2(図5参照)がデッドポイントで停止したことはCPU5では判断できないため正常な始動は不可能となる。そこで、別の通電パターンで2回目のセットアップ通電を行う。これにより1回目のセットアップ通電でデッドポイントに停止しても、2回目のセットアップ通電ではデッドポイント位置で大きなトルクが発生するので、回転子2が必ず回転し、期待する停止位置に移動する。これにより、位置センサを設けない3相ブラシレスモータの確実な始動が可能になる。
例えば1回目のセットアップ通電にて区間6の前半のW相を正方向、U相を逆方向に通電するW−U励磁を行うと、回転子2(図5参照)は位相角30°に移動しデッドポイントは位相角210°に発生し、回転子2は位相角210°付近に留まる可能性がある。引き続き2回目のセットアップ通電を行い前記U−V励磁を行うと、位相角30°及び210°の双方で大きなトルクが発生するので回転子2は必ず150°の位置に移動する。
一方、2相通電によるセットアップの理論停止位置はゼロクロス点から位相角で30°ずれた位置である。そこから始動を開始した場合は、最初のゼロクロス発生まで30°しかない。しかも実際の停止位置は摩擦や粘性負荷によりばらついており30°以下になる場合もある。従って加速期間が短すぎて誘起電圧が小さくゼロクロス点を検出できない場合も発生する。そこで本実施形態では、加速期間を拡大するために、始動時の最初の1励磁のみ、理論停止位置の区間から1相180°矩形波の始動通電を行い、理論停止位置から90°進んだゼロクロス点を検出して通電を打ち切ることとする。これにより始動時の加速期間は90°に拡大できる。
図2を参照して説明すると、セットアップ通電にて回転子が150°(二点鎖線位置)に静止しているとした場合、この位置は区間3であり本来ならW相逆方向励磁となるが区間4の通電を選択しV相励磁とする。これは即ち1相180°通電をしたことになる。そして理論停止位置から90°進んだゼロクロス点ZX240にて通電を打ち切る。これにより通電区間は150°から240°までの90°となり、従来の30°より3倍長い区間で加速できる(図3;3)始動通電参照)。従って回転子2の回転速度も上がり大きな誘起電圧で確実にゼロクロス点を検出できる。
始動時は静摩擦により大きなトルクが必要であるが、従来方法は通常運転と同じトルクで始動している。さらに本実施形態は1相通電であることからトルクが不足する場合も考えられる。そこで始動時の最初の励磁に限って、一定時間2相あるいは3相を通電して始動を開始し始動トルクを増強する複数相通電を行ってもよい(図3;4)複数相通電参照)。
複数相通電を長時間行うとゼロクロス検出ができなくなるのでタイマーを用いて短時間で通電を停止する必要がある。停止位置誤差を考慮すると通電時間は回転子が始動時に60°回転する時間以下に設定する。これにより十分なトルクで始動時の静摩擦領域を通過できるので確実な始動が可能となる。
具体例について図2を参照して説明する。今、セットアップ通電により150°付近つまり区間3の中央部に回転子2が静止していたとする。本実施形態では始動通電はV相を正方向通電する区間4の通電パターンが選択される。ここでV相通電に加えてW相逆方向通電を短時間行うと大きな始動トルクが得られ始動が確実に行える。さらにU相正方向通電を加えればよりトルクは増加する。例えば150°の位置ではV相のみの始動に比べて2相通電なら3倍、3相通電なら4倍の始動トルクが得られる。特にゼロクロス点ZX120側に偏って停止していた場合はV相トルクが小さいことから複数相通電は効果的である。これにより、従来は±10°程度であった停止位置の許容範囲が±30°程度に拡大される。即ち回転子2が回転移動中であっても始動通電が可能となることからセットアップ通電時間を短く設定できる。
以上のように、本実施形態は、一定時間2相通電するセットアップ通電を、通電パターンを変えて2回行い、確実に回転子2をゼロクロス点から30°ずれた位置に位置決めし、理論停止位置の区間から1相180°通電する始動通電を行い、理論停止位置から90°進んだゼロクロスまで通電して加速期間を90°とし、さらに始動通電時のみ一定時間複数相通電して始動トルクを増加する始動方法を採用する。
以上の始動動作の手順をまとめると以下の通りになる。
(静止判定)
図6において、CPU5はまずモータの静止判定を行う。3相分のゼロクロスパレータCOMP1〜3の出力を繰り返し読み、一定時間内にゼロクロス点を検出したらモータ回転中と判定し回転フラグをセットし、一定時間ゼロクロス点を検出しない場合は、回転フラグをリセットする。
CPU5は、一定時間経過後は、コンパレータ出力を読み込むと共に上位コントローラ6(図6参照)から回転指令(RUN)を読み、 回転指令があれば直ちに始動シーケンスに進み、回転指令が入力されない場合には静止判定に戻る。
(始動シーケンス)
図3に始動シーケンスの一例を模式的に図示する。図3は、2極モータの回転子を軸方向から見たイメージ図であり、矢印は回転子の回転を表す。ZX0〜ZX300はゼロクロス点の位相角を示す。
CPU5は、回転フラグを見てリセット状態(モータ静止中)ならば、以下の始動シーケンス1)を実行して始動動作に入る。回転フラグがセット状態(モータ回転中)ならば、ゼロクロスパレータCOMP1〜3の出力から回転子位置を特定し、以下のシーケンス5)に移行し、始動通電は行わずに通常通電を開始する。
1)セットアップ通電1
W相を正方向、U相を逆方向に一定時間通電するセットアップ通電により、回転子は30°近傍に移動する。あるいはデッドポイント210°付近にとどまる。
2)セットアップ通電2
U相を正方向、V相を逆方向に一定時間通電するセットアップ通電により、回転子は30°あるいは210°から必ず150°近傍に移動し静止する。
3)始動通電
回転子位置決め後、理論停止位置である区間3より1区間先の区間4の1相60°バイポーラ矩形波通電パターンにて1相180°の始動通電を行い、90°の期間加速しゼロクロス点ZX240を検出する。なおゼロクロス点ZX180は検出しない。
4)複数相通電
始動通電時に一定時間、複数相に通電して大きなトルクを発生させる。通電期間がZX240にかからないように通電時間は短時間とする。
5)通常通電
始動通電後は、通常の1相60°バイポーラ矩形波通電を行ってモータを加速する。
(始動エラー処理)
始動通電時に一定時間ゼロクロス点が検出されなければ始動エラーと判定し、前回と異なる2相通電パターンにてセットアップ通電1に戻る。所定の回数だけセットアップ通電1を行った場合は、始動動作を停止すればモータの焼損を防止することができる。
(確認制御による加減速運転及び高速運転)
従来のセンサレス2相120°矩形波通電は前回の通電周期から今回の通電周期を推定しながら回転していることから、急激な速度変動に追従できない問題がある。具体的には励磁切り替え後30°回転したところでゼロクロス点に到達するが、励磁切り替え直後はスパイクノイズが発生するためマスク期間を設ける必要がありゼロクロス検出期間の開始はその分遅くなる。加速時は前回周期より今回周期のほうが短くなることからゼロクロス点が推定位置より前方に来ることになりマスク期間側に近づいてくる。ゼロクロス点がマスク期間にかからないようにするためには加速度を小さくせざるを得ない。またゼロクロス点を見失った場合、回転子2の位置情報を持っていないことから1通電周期程度で何らかのリカバリーが必要となるためゼロクロス点監視の打ち切り時間も規定しなければならない。従って急激な減速が発生し監視時間を超えた場合は、例えば急停止して始動シーケンスへ戻るなどのリカバリー動作が発生し連続回転ができない。
さらに高速回転になると通電周期は短くなりスパイクノイズは大きくなるためゼロクロス検出可能な時間帯は狭くなるが、2相通電ではスパイクノイズのマスク時間は30°が限界であり、速度変動を見込むとせいぜい15°程度が限界でありそれにより最高回転数が規定される。しかし1相通電であれば励磁切り替え後つぎのゼロクロス発生まで60°あり、マスク時間は最大60°まで許容されることからマスク可能時間は45°程度となり、従来に比べて2倍以上の高速回転が可能となる。
低速回転においても従来のゼロクロス点監視時間は1通電周期程度の短いものであったが、1相通電であればクローズドループ制御されることから大幅に長くすることができる。回転数に関わらず、ゼロクロス点を検出できる限界の低速度で監視時間を設定でき、最低回転数を大幅に低くできる。なお、ゼロクロス点監視時間を超えてもゼロクロス点が検出されない場合はエラーと判定し始動手順に戻る。
さらにクローズドループ制御されることから、負荷が軽く、急速な立ち上がりが許容できる、逆起定数が大きい、などの条件を満足する場合には、ゼロクロス監視時間を設けず励磁し続けることも可能であり、センサ駆動と同様に軸が回転しない拘束運転も可能である。従って、回転中に過負荷が発生してモータが停止したとしても始動動作に入ることなくそのまま励磁し続け、過負荷が解消されるとスムーズに回転を再開することもできる。このような拘束運転は、従来のセンサレス駆動では考えられないことである。
(加減速運転・高速運転のまとめ)
以上の理由から始動時・加速運転・減速運転などの速度変動時、あるいは高速運転時などは1相60°バイポーラ矩形波通電を行う。また、最高回転数時の60°周期よりわずかに短い時間をゼロクロス検出マスク時間として設定し、励磁切り替え時のスパイクノイズを避ける。また、ゼロクロス点を検出できる限界の低速回転時の60°周期より長い時間をゼロクロス点監視時間として設定し、当該ゼロクロス点監視時間を超えてもゼロクロス点を検出できない場合はエラーと判定し始動手順に戻る。
(ルックアップテーブル通電方式による定速度運転)
一定速度で回転する機器も多く、定速度運転であれば通電周期変動も少ないことから推定に基づく励磁切り替えも実用となる。そこで従来の推定要素の含まれる2相120°矩形波通電や正弦波通電なども可能であるが、あらかじめ通電パターンをルックアップテーブルに記憶しておき、速度変動はないとの前提のもと一定周期でテーブルデータを読み出し励磁するルックアップテーブル(以下LUT)通電方式も考えられる。定速度運転であれば速度変動も少ないことから推定の含まれるLUTであっても安定した運転が可能となる。
LUTを採用すれば任意の通電パターンが登録可能となる。例えば1相〜3相通電、60°〜180°通電、バイポーラ〜ユニポーラ通電、矩形波〜台形波〜正弦波通電、など様々なパターンをLUTに記憶させることができる。
さらにLUTアドレスを後方にずらせば通電位相を進めたことになり容易に進角制御が実現できる。
(速度変動の追従性)
ゼロクロス点により真の回転子位置が得られる。従ってゼロクロス点ごとに回転子位置の補正を行うことができる。そこでLUTによる位置誤差を小さく抑えるためにルックアップテーブルをゼロクロス周期である60°毎に分割して6区間とし、ゼロクロスごとに周期変動を補正することとする。
具体的にはゼロクロス検出時に前回区間の60°通電時間を測定し、ゼロクロス点検出ごとに区間時間を測定しルックアップテーブル60°分のデータ数で除して今回区間の通電周期とし、その通電周期で逐次データを読み出して励磁すればよい。
ゼロクロス点検出前に区間データを読み切ってしまったら最終データを出力し続け、次のゼロクロス点を検出したら未読データがあってもその区間を打ち切る。
こうすれば周期変動は区間ごとに補正され速度変動に対する追従性が向上する。
(確認制御とLUT通電方式の切り替え)
また、CPU5は、1相60°通電もLUT通電も共にゼロクロス点にて通電パターンを切り替えていることから、ゼロクロス点検出時に双方を切り替える事ができる。
従って、定速度運転になったら任意のゼロクロス点でLUT通電方式に切り替えれば自動的に通電方式を変更することができる。急激な速度変動を検出した場合はゼロクロスに同期して上記の1相60°通電に切り換えればただちにクローズドループ制御に戻ることができ脱調を防止できる。
むろん上位コントローラ6(図6参照)により任意に通電方式を選択できることは言うまでもない。
(正弦波通電)
図4に3相165°バイポーラ正弦波通電の例を図示する。尚、正逆回転或いは進角制御を行う場合には、通電開始側も通電しない150°通電パターンとすればよい。本実施形態は各相が分離しており、通電経路に他の相が介在していないことから、通電データにsin値を記憶させればそのとおりに忠実に再現できる優れた特性をもっており、容易に正弦波通電が実現できる。
また、任意の波形を自由に定義できることも大きな特徴であり、本例ではゼロクロス手前15°で通電をやめ非通電相として誘起電圧ゼロクロス点を検出している。これにより通電区間ごとに速度変動に追従させることができる。非通電期間は、使用時に予想される最大の速度変動幅より広くする必要がある。
非通電期間においては当然トルクが発生しないが、正弦波通電はサイン波着磁の磁気回路をサイン波通電していることからトルク特性はsin二乗波形となりゼロクロス点近辺ではトルクがほぼゼロに近く影響は少なく実用上は問題なく使える。
なお、正弦波通電のトルク特性は1相60°バイポーラ矩形波通電のトルク特性に近く、実際電流値なども大差ない。このことから1相60°通電で始動しその後LUT通電による正弦波駆動あるいはベクトル制御に切り替える駆動方式を採用すれば始動の確実性と定速度運転時の静音性を両立でき、優れた駆動方式が実現できる。
(定速運転のまとめ)
ゼロクロス検出時に前回の60°区間時間を測定しテーブルデータ数/6で割り今回区間のデータあたりの所要時間を演算して出力周期とし、その出力周期で逐次データを読み出して励磁し、ゼロクロス前に区間データを読み切ってしまったら最終データを出力し続け、ゼロクロスを検出したら未読データがあってもその区間を打ち切り、これにより周期変動を区間ごとに補正するルックアップテーブル通電を可能としておき、区間の周期変動が任意に設定した閾値以内のときは、ゼロクロスに同期してLUT通電を選択し、閾値を超えたらゼロクロスに同期して1相60°バイポーラ矩形波通電に切り換えクローズドループ制御を行うことでモータの脱調を防止する。
図7にモータ駆動方法の一例に係るフローチャートを示す。
セットアップ法の始動ルーチンと、1相60°通電の加速ルーチンと、ルックアップテーブル(LUT)通電方式による定速ルーチンからなる基本的な制御プログラムの構成を示すフローチャートである。本実施形態では回転時ゼロクロス点を所定時間検出できないときは異常と判定して再始動としてある。また、定速回転になると自動的にLUT通電方式に切り替わるようにプログラムされている。
CPU5は、スタンバイ時にモータの静止判定を行う。3相分のゼロクロスパレータCOMP1〜3の出力を繰り返し読み、一定時間内にゼロクロス点を検出したらモータ回転中と判定し回転フラグをセットし、一定時間ゼロクロス点を検出しない場合は、回転フラグをリセットする(ステップS1)。
次いで、上位コントローラ6(図6参照)からの回転指令(RUN)の有無を判断する。回転指令がなければステップS1に戻ってスタンバイ状態を継続する(ステップS2)。
ステップS2で回転指令の入力があると、CPU5(図6参照)は、回転フラグを見て回転子2が回転しているか静止しているかを判定する(ステップ3)。回転子2が回転停止していればセットアップ通電(ステップS4)に進行し、回転していれば後述する確認制御運転(ステップS6)に進行する。
ステップ4では、セットアップ通電を2回行う。1回目のセットアップ通電で、例えばW相を正方向、U相を逆方向に一定時間通電することにより、回転子は30°あるいはデッドポイント210°付近にとどまる。また2回目のセットアップ通電で、例えばU相を正方向、V相を逆方向に一定時間通電することにより、回転子は30°あるいは210°から必ず150°近傍に移動し静止する(ステップS4)。
次いで、回転子2を位置決めした後、理論停止位置(150°近傍)を含む図1の区間3より1区間先の区間4の1相60°バイポーラ矩形波通電パターンにて1相180°の始動通電を行い、90°の期間加速しゼロクロス点ZX240を検出する。また、必要に応じて始動通電時に一定時間、複数相に通電して大きなトルクを発生させるようにしてもよい(ステップS5)。
次いで、始動通電後は、図2に示す通常の1相60°バイポーラ矩形波通電によりクローズドループ制御を行って、モータを加速する(ステップS6)。
CPU5は上位コントローラの停止指令に即応するために、ゼロクロス点検出ループ内でも回転指令(RUN)の有無を判断してモータ回転動作を続行するか否かを判定する(ステップS7)。回転指令が継続しているときはステップS8に進行し、回転指令がなければ通電を停止し、ステップS1に戻ってスタンバイ状態となる。
また、CPU5は、タイマーを用いて回転動作の検出を行い、一定時間内にゼロクロス点が検出できなければモータが過負荷で止まるか、ゼロクロス点の検出に失敗したか等の異常が発生したと判定する(ステップS8)。
正常回転であればステップS9に進行し、異常が発生していれば、ステップS3の始動ルーチンに戻る。
次いでCPU5は、ゼロクロスパレータCOMP1〜3の出力からゼロクロス点の有無を検出する(ステップS9)。ゼロクロス点を検出したらステップS10へ進行する。また、ゼロクロス点を検出できない場合には、ステップS7に戻ってゼロクロス点検出を繰り返す。
ゼロクロス点検出時に前回の60°区間時間を測定する(ステップS10)。
次いで、ステップS11に進行して定速回転か判定する。具体的には、前々回と前回の区間時間を比較し、設定されている閾値以内か判別する(ステップ11)。閾値以内つまり定速回転であったら、ステップS12に進行してルックアップテーブル通電を行い、また定速回転でなかったら、ステップS6に戻って1相60°バイポーラ矩形波通電によりクローズドループ制御を行う。
ステップ12のルックアップテーブル通電では、前回の区間時間をテーブルデータ数/6で割り今回区間のデータあたりの所要時間を演算して出力周期とし、その出力周期で逐次データを読み出して励磁し、ゼロクロス前に区間データを読み切ってしまったら最終データを出力し続け、ゼロクロス点を検出したら未読データがあってもその区間の励磁を打ち切る通電動作を繰り返す。CPU5は、ゼロクロスコンパレータCOMP1〜COMP3の出力に応じてゲート出力OUT1〜6を切り替えて1相60°バイポーラ矩形波通電、2相120°バイポーラ矩形波通電、3相正弦波通電などを行う(ステップ12)。なお、ルックアップテーブル通電しながら回転指令チェック・正常回転チェック・ゼロクロスチェックなども行う。ゼロクロス点検出時は、ステップ7へ戻り区間時間測定及び定速判定などを行う。これにより、回転状態に応じて自動的にルックアップテーブル通電と確認制御運転を切り替える。
図8に実機の駆動波形図を示す。上から回転指令波形、U相ゼロクロスコンパレータ出力波形、U相コイル電圧波形である。通電動作は、まずオープンループ制御の2相セットアップ通電にて位置決めしている。その後クローズドループ制御の1相180°通電にて始動(通電開始時に一瞬2相通電あり)、引き続き1相60°通電にて加速し、定速領域に入ると自動的に3相150°sin波通電に切り替わっている。コイル電圧波形から、クローズドループ制御により無駄な振動がなく短時間で始動及び加速し(本例では約160ms)、定速運転に入るとスムーズに駆動方式が切り替わっていることが判る。なお始動時あるいはsin波通電時にコイル波形が上下に広がっている部分はPWM制御により電流制限されていることを反映している。
以上説明したように、本発明に係るモータ駆動方法を用いれば、モータ始動時に固定磁界を発生させ回転子を所定位置に位置決めしてから誘起電圧ゼロクロス点検出によるクローズドループ制御で始動することで、位置センサを持たないモータの始動性を改善し、始動後は回転子の位置を確認制御することで加減速運転、高速運転及び定速運転等の多様なセンサレス駆動の運転性能を向上させることができる。
上述した実施例は永久磁石界磁が2極の位置センサを設けない3相DCブラシレスモータの駆動方法について説明したが、これに限定されるものではなく、更に多極(4極以上)の3相DCブラシレスモータの駆動方法についても同様に適用できる。
1 回転子軸 2 回転子 3 永久磁石 4 固定子 4a 極歯 5 CPU 6 上位コントローラ 7 モータ出力部 8 ゼロクロス点検出部 OUT 出力端子 HB フルブリッジ回路 COMP ゼロクロスコンパレータ SU,SV,SW 出力信号

Claims (7)

  1. 永久磁石界磁を備えた回転子と、前記永久磁石界磁に対向配置され120°位相差で配置された極歯を有する固定子の各極歯に巻線を設けて相間を結線することなく独立して配線された6線式3相ブラシレスモータを用いたモータ駆動方法であって、
    上位コントローラからの回転指令によりモータ駆動信号を出力制御する制御手段と、
    前記制御手段の出力指令により、前記固定子巻線に対して相ごとに正方向通電または逆方向通電するためのHブリッジ回路を3相分備えたモータ出力手段と、
    各相巻線両端に発生する誘起電圧を差動入力して前記制御手段によって誘起電圧のゼロクロス点を各々検出するゼロクロス点検出手段と、を具備し、
    前記制御手段は、ゼロクロス点により区切られる位相差60°区間で一相のみを正方向通電あるいは逆方向通電する1相60°バイポーラ矩形波通電パターンから、前記ゼロクロス点検出手段の出力により一つを選択し前記モータ出力手段に出力指令を送出することでセンサレス駆動を行い、
    モータ始動前に一定時間2相通電にて固定磁界を発生させて前記回転子をゼロクロス点から位相差30°ずれた位置に位置決めするセットアップ通電を行うステップと、
    前記1相60°バイポーラ矩形波通電パターンからセットアップ理論停止位置より進行方向に一つ進んだ区間を選択して通電する1相180°通電の始動通電を行うステップと、
    回転子の理論停止位置から位相差90°進んだ位置のゼロクロス点を検出することで始動通電を完了し、その後は位相差60°ごとのゼロクロス点検出により前記1相60°バイポーラ矩形波通電を行うステップと、
    を含むことを特徴とするモータ駆動方法。
  2. 前記1回目のセットアップ通電を行なった通電相の組み合わせと異なる通電相の組み合わせを選択して2回目のセットアップ通電を行う請求項1記載のモータ駆動方法。
  3. セットアップ通電後の始動通電時に、当該始動通電相以外の相も通電する2相通電あるいは3相通電を一定時間行って始動トルクを増加する請求項1又は請求項2記載のモータ駆動方法。
  4. 前記制御手段に、予め1電気角分の通電パターンを一定角度ごとに通電電流量と通電方向で表した通電データ群を記憶したルックアップテーブルを設けておき、
    ゼロクロス点検出ごとに区間時間を測定しルックアップテーブル60°分のデータ数で除して今回区間の通電周期とし、通電周期ごとにテーブルアドレスを歩進しながら回転子位置に該当するルックアップテーブルのデータを読み出して励磁し、
    ゼロクロス点検出前に今回区間データを読み終わったら最終区間データを出力し続け、
    ゼロクロス点を検出したら未読区間データがあっても今回区間データの出力を打ち切るルックアップテーブル通電を行う請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のモータ駆動方法。
  5. モータ始動後、前々回と前回の区間時間の変動が任意に設定した閾値以内のときは、ゼロクロス点に同期してルックアップテーブル通電方式を選択し、閾値を超えたらゼロクロス点に同期して1相60°バイポーラ矩形波通電方式を選択してクローズドループ制御を行う請求項4記載のモータ駆動方法。
  6. モータ始動後、前記ルックアップテーブル通電方式により正弦波通電する際、ゼロクロス点の発生する通電相への通電をゼロクロス点発生前に打ち切って非通電相とし、当該非通電相のゼロクロス点検出により今回区間データの出力を終了する請求項4又は請求項5記載のモータ駆動方法。
  7. モータ始動前にゼロクロスコンパレータ出力によりモータの静止判定し、回転と判定した場合はゼロクロスコンパレータ出力で決まる通電相から1相60°バイポーラ矩形波通電を行い、静止と判定した場合は前記セットアップ通電から始まる一連の始動手順を行う請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のモータ駆動方法。
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