JP2012015779A - 圧電振動子の製造方法及び圧電振動子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 圧電振動素子と素子搭載部材と蓋部材とを備えた圧電振動子の製造方法であって、素子搭載部材ウェハの一方の主面に接合パターンと搭載パッドを設け他方の主面に外部端子を設けるパターン形成工程と、蓋部材ウェハの一方の主面に凹部を形成する凹部形成工程と、蓋部材ウェハの他方の主面に溝部を形成する溝部形成工程と、圧電振動素子を搭載パッドに搭載する圧電振動素子搭載工程と、素子搭載部材ウェハと蓋部材ウェハとを重ね合わせる積層工程と、接合パターンと蓋部材ウェハとが接触する部分に溝部側から1064nmの波長のレーザ光を照射して素子搭載部材ウェハと蓋部材ウェハとを接合するウェハ接合工程と、532nmの波長のレーザ光を照射して素子搭載部材ウェハと蓋部材ウェハとを切断するウェハ切断工程とで構成されることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【選択図】 図4
Description
特許文献2で開示されている発明は、凹部を有する素子搭載部材と凹部内に収容され素子搭載部材に搭載される圧電振動素子とニッケルメッキされた平板状の金属からなる蓋部材とから構成される圧電振動子について、素子搭載部材と蓋部材とをシーム溶接やレーザ溶接で封止することが提案されている。
ここで、素子搭載部材の凹部が設けられる主面に設けられるメタライズ層は、素子搭載部材の主面側から厚みが10μm〜50μmのタングステンからなる下地層、下地層の上に厚みが10μm〜20μmの銀ろうからなるろう材印刷層、ろう材印刷層の上に厚みが3μm〜6μmのNi層、Ni層の上に0.3μm〜3μmのAu層から構成されている。
したがって、従来の圧電振動子の製造方法では、素子搭載部材にヒビが入ると圧電振動素子を囲う空間内の気密性が保てなくなる恐れがある。
また、蓋部材を個々に設けて素子搭載部材に接合する場合は、蓋部材を素子搭載部材に重ねた状態で位置ずれを防止するために行われる仮付けに手間がかかり、生産性が向上しにくくなっている。
したがって、レーザ光の照射で接合と切断とを行うことができるので、圧電振動子の製造が容易となり生産性を向上させることができる。
素子搭載部材10は、例えば、材料としてガラスセラミックス、アルミナセラミックスが用いられ(以下、「セラミックス」という。)、平板状でかつ四角形状に形成されている。
素子搭載部材10は、一方の主面の縁部分に後述する蓋部材30と接合するための接合パターンSが設けられている。
なお、この素子搭載部材10は、2つの貫通孔Hが設けられており、この貫通孔Hを介して搭載パッドPと外部端子Gとが電気的に接続される。
この圧電振動素子20は、励振電極22と接続している引回しパターン23と素子搭載部材10に設けられた搭載パッドPに導電性接着材Dにより接合される。
これにより、圧電振動素子20は素子搭載部材10に搭載される。
この蓋部材30は、素子搭載部材10に設けられる接続パターンSに対応するようにフランジ部Fが環状に設けられている。このフランジ部Fは、接合パターンSにより素子搭載部材10と接合される。
なお、凹部31内は、例えば、真空状態となっている。
本発明の実施形態に係る圧電振動子の製造方法は、例えば、パターン形成工程、凹部形成工程、溝部形成工程、圧電振動素子搭載工程、積層工程、ウェハ接合工程、ウェハ切断工程を含んで構成されている。
貫通孔Hは、例えば、従来周知のレーザ装置を用いて、貫通孔Hを形成する位置にレーザ光を照射することで形成することができる。
図2(a)に示すように、パターン形成工程は、素子搭載部材10となる部分が複数設けられた素子搭載部材ウェハ10Wの一方の主面の各素子搭載部材10となる部分に蓋部材ウェハ30Wと接合するための環状の接合パターンSと接合パターンSに囲まれ圧電振動素子20との電気的接続に用いる2つ一対の搭載パッドPとこれら搭載パッドPと電気的に接続し素子搭載部材ウェハの他方の主面に外部端子Gを設ける工程である。
なお、単にパターンという場合は、少なくとも接合パターンの形状と搭載パッドの形状と外部端子の形状と接続のための引き回し状態(図示せず)を指す。
(図示せず)、Ni層の上に厚みが0.01μm〜0.05μmのAu層(図示せず)を設けて構成されている。なお、搭載パッドPは、接合パターンSと同時に形成してもよい。
このような構成の接合パターンSは、Cu層がCr層とNi層とAu層の他の層よりも桁違いに厚く構成されているので、これらCr層とNi層とAu層の熱膨張による歪みを考慮する必要がなくなる。したがって、接合パターンSの熱膨張を考慮する際は、Cu層の変形を考慮するだけでよいこととなる。
次に、蒸着技術を用いてCr層の上にCuの薄膜を設けた後に電解めっき技術を用いてCu層を20μm〜50μmの厚みで設ける。
またCu層の上に、Ni層を無電解めっきにて設け、さらに、Ni層の上にAu層の順番でそれぞれ無電解めっきにて設ける。
また、Ni層及びAu層は、搭載パッドP、接続パターンS、外部端子Gの酸化を防止する役割を果たす。
Cu層は、素子搭載部材10の歪みを軽減させる役割を果たす。
凹部形成工程は、蓋部材30となる部分が複数設けられた蓋部材ウェハ30Wの一方の主面の各蓋部材30となる部分に凹部31(図1及び図3(a)参照)を形成する工程である。
蓋部材ウェハ30Wは、コバール又は42アロイが用いられ、板状に形成されている。
この蓋部材ウェハ30Wは、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、一方の主面に凹部31が設けられる。エッチングには、例えば、ウェットエッチングを用いることができ、所定の深さで凹部31を形成することができる。なお、所定の深さとは、圧電振動素子20を素子搭載部材ウェハ10Wの素子搭載部材10となる部分に搭載したときに、圧電振動素子20が蓋部材30に設けた凹部31の奥面31aに接触しない程度の深さをいう。
なお、凹部31は、後述するウェハ切断工程にてこの凹部にレーザ光を照射されて切断された後、フランジ部Fとなる。
溝部形成工程は、前記蓋部材30となる部分が複数設けられた蓋部材ウェハ30Wの他方の主面の各蓋部材30となる部分の間に溝部32(図1及び図3(a)参照)を形成する工程である。
また、この蓋部材ウェハ30Wは、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、凹部31が設けられた一方の主面とは反対側の主面であって隣り合う蓋部材30となる部分の間に溝部32が設けられている。なお、蓋部材ウェハ30Wに設けられる複数の蓋部材30となる部分のうち、最外側に位置する蓋部材30となる部分においては、蓋部材30となる部分の境界部分に溝部32が設けられている。エッチングには、例えば、ウェットエッチングを用いることができ、所定の深さで溝部32を形成することができる。
溝部32の深さを蓋部材ウェハ30Wの厚みの60%〜80%とするのは、溝部32の深さが80%を超えると、溝部形成工程において溝部32の深さにバラツキが生じることがあり、また、後述するウェハ接合工程において隣り合う蓋部材30の間で切断されてしまい良好な接合状態を得られなくなるからである。また、溝部32の深さを蓋部材ウェハ30Wの厚みの60%を下回る場合は、接合の際にレーザ光による熱が伝わりにくくなり、良好な接合状態になりにくくなる恐れがある。したがって、溝部32の深さを蓋部材ウェハ30Wの厚みの60%とすることで、良好な接合状態を得ることができる。
圧電振動素子搭載工程は、図2(b)に示すように、圧電振動素子20を各搭載パッドPに導電性接着剤Dを介して電気的に接続されることで搭載する工程である。
圧電振動素子20に設けられた引回しパターンと素子搭載部材10となる部分に設けられた搭載パッドPとをそれぞれ導電性接着剤Dにて接合する。これにより、圧電振動素子20は、素子搭載部材ウェハ10Wの素子搭載部材10となる部分に搭載されることとなる。
積層工程は、図3(a)及び(b)に示すように、蓋部材30となる部分に設けた凹部31内に圧電振動素子20が入るように素子搭載部材ウェハ10Wと蓋部材ウェハ30Wとを重ね合わせる工程である。
この素子搭載部材ウェハ10Wと蓋部材ウェハ30Wとの重ね合わせは、例えば、真空雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で行われる。
ウェハ接合工程は、図4(a)に示すように、素子搭載部材ウェハ10Wの素子搭載部材10となる部分に設けられた接合パターンPと蓋部材ウェハ30Wの溝部32が設けられた主面とは反対側の主面とが接触する部分であって溝部32にレーザ装置より1064nmの波長のレーザ光Lを照射して素子搭載部材ウェハ10Wと蓋部材ウェハ30Wとを接合する工程である。
レーザ装置は、Yagレーザ、Yvo4レーザ、ファイバーレーザを用いることができる。
1064nmの波長のレーザ光Lは、レーザ光の照射対象物へ照射すると、例えば金属の照射対象物に熱がこもりやすいという特徴がある。したがって、1064nmの波長のレーザ光Lを蓋部材30と接合パターンとが重なる部分に照射することで接合パターンSを容易に溶かすことができ、素子搭載部材10Wと蓋部材ウェハ30Wとの接合状態を良好にすることができる。
レーザ光Lは、蓋部材ウェハ30Wに設けた溝部32の幅と同じ程度に集光されている。これにより、ウェハ接合工程では、素子搭載部材ウェハ10Wと蓋部材ウェハ30Wとが接触する部分を加熱して接合させることができる。このウェハ接合工程により、蓋部材ウェハ30Wが素子搭載部材ウェハ10Wの接合パターンSに歪みが少ない状態で接合される。
ウェハ切断工程は、図4(b)に示すように、溝部32側からYagレーザ、Yvo4レーザ、ファイバーレーザのいずれかを用いて532nmの波長のレーザ光を照射して素子搭載部材ウェハ10Wと蓋部材ウェハ30Wとの接合状態を維持したまま隣り合う蓋部材30となる部分の間及び隣り合う素子搭載部材10の間を切断する工程である。
また、本発明の圧電振動子の製造方法によれば、ウェハ接合工程におけるレーザ光の波長を熱がこもりやすい1064nmとし、ウェハ切断工程におけるレーザ光の波長を熱がこもりにくく切れやすい532nmとしたので、切断の際に熱による歪の発生が軽減し、素子搭載部材にヒビが入るのを防ぐことができる。しかがって、気密性が保たれた圧電振動子の生産性を向上させることができる。
10W 素子搭載部材ウェハ
10 素子搭載部材
20 圧電振動素子
21 水晶片
22 励振電極
23引回しパターン
30W 蓋部材ウェハ
30 蓋部材
31 凹部
32 溝部
D 導電性接着材
P 搭載パッド
S 接合パターン
G 外部端子
H 貫通孔
Claims (3)
- 圧電片の両主面に励振電極が設けられた圧電振動素子とこの圧電振動素子が搭載されるセラミックスからなる素子搭載部材と金属からなる蓋部材とを備えた圧電振動子の製造方法であって、
前記素子搭載部材となる部分が複数設けられた素子搭載部材ウェハの一方の主面の各素子搭載部材となる部分に前記蓋部材と接合するための環状の接合パターンと前記接合パターンに囲まれ前記圧電振動素子との電気的接続に用いる2つ一対の搭載パッドとこれら搭載パッドと電気的に接続し素子搭載部材ウェハの他方の主面に外部端子を設けるパターン形成工程と、
前記蓋部材となる部分が複数設けられた蓋部材ウェハの一方の主面の各蓋部材となる部分に凹部を形成する凹部形成工程と、
前記蓋部材となる部分が複数設けられた蓋部材ウェハの他方の主面の各蓋部材となる部分の間に溝部を形成する溝部形成工程と、
前記圧電振動素子を前記各搭載パッドに導電性接着剤を介して電気的に接続されることで搭載する圧電振動素子搭載工程と、
前記蓋部材となる部分に設けた凹部内に前記圧電振動素子が入るように前記素子搭載部材ウェハと蓋部材ウェハとを重ね合わせる積層工程と、
前記素子搭載部材ウェハの前記素子搭載部材となる部分に設けられた接合パターンと前記蓋部材ウェハの前記溝部が設けられた主面とは反対側の主面とが接触する部分であって前記溝部にレーザ装置より1064nmの波長のレーザ光を照射して前記素子搭載部材ウェハと前記蓋部材ウェハとを接合するウェハ接合工程と、
前記溝部側からレーザ装置より532nmの波長のレーザ光を照射して前記素子搭載部材ウェハと前記蓋部材ウェハとの接合状態を維持したまま隣り合う蓋部材となる部分の間及び隣り合う素子搭載部材の間を切断するウェハ切断工程とを含み、
前記ウェハ切断工程における前記レーザ光を、前記ウェハ接合工程における前記レーザ光よりも前記溝部の底面でピークを最大にしつつ前記ウェハ接合工程における前記レーザ光の熱量よりも小さくして照射することを特徴とする圧電振動子の製造方法。 - 前記接合パターンが、厚みが0.01μm〜0.04μmの下地層となるCr層、Cr層の上に厚みが20μm〜50μmのCu層、Cu層の上に厚みが2μm〜5μmのNi層、Ni層の上に厚みが0.01μm〜0.05μmのAu層を設けて構成され、
前記溝部の深さが、蓋部材ウェハの厚みの60%〜80%で構成され、
前記蓋部材ウェハが、コバール又は42アロイからなることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子の製造方法。 - 圧電片の両主面に励振電極が設けられそれぞれの励振電極と接続し端部側に伸びる引回しパターンが形成されて構成されている圧電振動素子と、
一方の主面に凹部が設けられる蓋部材と、
一方の主面に搭載パッドPと接合パターンSが設けられ、他方の主面に外部端子Gが設けられている素子搭載部材とを備え、
前記接合パターンが、素子搭載部材の一方の主面の縁部分に沿って環状に設けられつつ、厚みが0.01μm〜0.04μmの下地層となるCr層、Cr層の上に厚みが20μm〜50μmのCu層、Cu層の上に厚みが2μm〜5μmのNi層、Ni層の上に厚みが0.01μm〜0.05μmのAu層を設けて構成され、
前記蓋部材の前記素子搭載部材と接合する部分にフランジ部を設けて構成されることを特徴とする圧電振動子。
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