JP2012012235A - 光学素子の成形装置及び成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、光学素子のプレス成形時の加熱処理において、ガラス素材の加熱状態を均一にして、得られる光学素子を所望の形状に成形する光学素子の成形装置及び成形方法を提供する。
【解決手段】ガラス素材を収容した成形型を順次移動させて、加熱、プレス、冷却の各処理を施すために、円周方向に順番に並べて配置された加熱室P2〜P4、プレス室P5及び冷却室P6〜P8からなる複数の処理室と、複数の処理室の下方に配置され、間歇的に回転して成形型を回転移動できる回転テーブルと、回転テーブル上に載置され、上部に前記成形型を固定可能で、前記スリットを通して前記成形型を前記処理室内に保持できる突起部を有する試料台と、加熱室において、回転テーブル上に載置された成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることができる回転手段と、を有する光学素子の成形装置。
【選択図】図1
【解決手段】ガラス素材を収容した成形型を順次移動させて、加熱、プレス、冷却の各処理を施すために、円周方向に順番に並べて配置された加熱室P2〜P4、プレス室P5及び冷却室P6〜P8からなる複数の処理室と、複数の処理室の下方に配置され、間歇的に回転して成形型を回転移動できる回転テーブルと、回転テーブル上に載置され、上部に前記成形型を固定可能で、前記スリットを通して前記成形型を前記処理室内に保持できる突起部を有する試料台と、加熱室において、回転テーブル上に載置された成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることができる回転手段と、を有する光学素子の成形装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、成形型を回転テーブルで周方向に移動させながらプレス成形する光学素子の成形装置及び成形方法に係り、特に、加熱処理時に、ガラス素材を均一に加熱させるようにした光学素子の成形装置及び成形方法に関する。
現在、ガラスレンズなどの光学素子を製造する方法として、ガラス素材をプレス成形し、成形面を研磨せずにそのまま使用可能としたプレス成形方法が、簡便な操作により光学素子を得られることからよく用いられている。
例えば、ガラス素材及び成形型を回転テーブル上に載せ、回転テーブルを回転させながら、ガラス素材を加熱軟化させる加熱室、加熱軟化したガラス素材をプレス成形するプレス室、プレス成形されたガラス素材を冷却する冷却室、という円周方向に順番に配置された各処理室で所定の処理を順次行うようにした光学素子の成形装置が知られている(特許文献1参照)。
この成形装置は、処理室を取り囲むケース内側側面全体にヒータを配置するとともに、ケースの底板に形成されたスリットを通って試料台が処理室内に位置するように構成することで、処理室からスリットを通って外側へ逃げる熱量を少なくしている。そして、このような装置構成とすることで、処理室内の成形型とガラス素材を均一に加熱し、プレス後の、ガラスの熱収縮によるくぼみ(ヒケ)の発生を防止でき、高い形状精度の光学素子を得ようとするものである。
特許文献1記載の成形装置における加熱室内の加熱手段は、回転テーブル上の成形型を側面から加熱できるように、その加熱室を形成する側壁に沿って配置されている。言い換えれば、この加熱手段は成形型の進行方向に沿って成形型の両脇に設けられている。
このような加熱手段の配置から成形型を加熱すると、成形型において、進行方向に対する左右部分は加熱されやすく、進行方向に対する前後部分は加熱が十分になされない場合がある。その場合、成形型の加熱が一様に行われず、その内部に収容されているガラス素材においても、その左右前後に対応する位置の加熱状態が成形型の加熱状態を反映し、ガラス素材を一様に加熱できず温度分布が生じてしまうことがあった。
ガラス素材が一様に加熱されず温度分布が生じてしまうと、ガラス素材の温度が不均一な状態で、プレス、冷却が行われることとなり、その影響により、得られる光学素子の形状不良が生じる等の問題があった。
そこで、本発明は、上記問題を解消するために、光学素子のプレス成形時の加熱処理において、ガラス素材の加熱状態を均一にして、得られる光学素子を所望の形状に成形する光学素子の成形装置及び成形方法の提供を目的とする。
本発明の光学素子の成形装置は、ガラス素材を収容した成形型を順次移動させて、加熱、プレス、冷却の各処理を施すために、円周方向に順番に並べて配置され、それぞれ下部にスリットを有する、加熱室、プレス室及び冷却室を含む複数の処理室と、前記複数の処理室の下方に配置され、間歇的に回転して、前記成形型を前記複数の処理室内に順に配設可能とした回転テーブルと、前記回転テーブル上に載置され、上部に前記成形型を固定可能で、前記スリットを通して前記成形型を前記処理室内に保持できる突起部を有する試料台と、前記加熱室において、前記回転テーブル上に載置された前記成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることができる回転手段と、を有することを特徴とする。
本発明の光学素子の成形方法は、上記光学素子の成形装置を用い、ガラス素材を収容した成形型を固定した試料台を回転テーブル上に載置し、前記回転テーブル上の成形型を、回転テーブルを回転させることで前記複数の処理室に順次移動させて、加熱、プレス、冷却の各処理を行う光学素子の成形方法において、前記加熱処理の際に、前記成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることを特徴とする。
本発明の光学素子の成形装置及び成形方法によれば、ガラス素材の加熱処理を、ガラス素材に温度分布が生じさせないように均一に行うことができ、その後のプレス、冷却処理において形状不良の発生を抑制し、光学素子の製造歩留まりを向上できる。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。本発明の光学素子の成形装置の概略構成を示した平面透視図を図1に示した。
図1に示したように、本発明の光学素子の成形装置は、ガラス素材を収容した成形型を装置内外へ出し入れする取出し・挿入室P1、該成形型を順次移送させて、加熱、プレス、冷却の各処理を施すために、円周方向に順番に並べて配置された加熱室P2〜P4、プレス室P5及び冷却室P6〜P8からなる複数の処理室を有し、これらの各処理室は炉体1の内部に設けられている。
また、各処理室は常時非酸化性ガスの雰囲気下となるようにされており、これら処理室の内部を、ガラス素材が収容された成形型が回転テーブルに載って順次移動するように構成されている。
ここで、P2は第1の加熱室、P3は第2の加熱室、P4は第3の加熱室、P5はプレス室、P6は第1の冷却室、P7は第2の冷却室、P8は第3の冷却室である。これらの処理室はシャッターによってそれぞれ区画して、他の部屋の温度に影響を受けないような設計が好ましい。なお、取出し・挿入室P1及び第3の冷却室P8は、ガラス素材の温度が室温付近の温度で良いため、特別に区画されていなくてもよい。ここで、第1の加熱室P2、第2の加熱室P3、第3の加熱室P4、第1の冷却室P6、第2の冷却室P7及び第3の冷却室P8は、ガラス素材の温度を調整するための部屋である。
次に、上記取出し・挿入室、処理室及び成形型の構造と作用を順を追って説明する。
取出し・挿入室P1は、P2〜P8と共通の炉体1に覆われて形成されており、この取出し・挿入室P1の炉体上部には、成形型を炉体内に挿入及び取出しできる取出し・挿入口が設けられている。また、炉体1内部には、回転テーブル2が設けられており、この回転テーブル2はその中央に回転軸とインデックスマシンを備えている。このとき、回転軸は、図1に示した複数の処理室が配置された円周の中心に位置する。
回転テーブル2上には試料台3が、回転テーブル2の外周部に形成された穴2aに嵌め込まれて、所定の位置に配置されるようになっている。また、試料台3はガラス素材を収容した成形型4を固定する突起部を有し、その突起部の上部に成形型4が固定されている。このとき、試料台3は、成形型4が炉体1内の処理室のほぼ中央に保持されるように、背の高い台として形成されている。
成形型4の出し入れは、試料台3を持ち上げるためのピストンロッド5により、下方から試料台3を昇降可能とし、試料台3の突起部を取出し・挿入口6から炉体1外へ突出させることで行う。このとき、回転テーブル2における試料台3を載置位置には、ピストンロッド5が通過できる穴が設けられている。
まずは、試料台3を取出し・挿入口6から突出させた状態で、その突き出た試料台3の突起部上部に成形型4を固定し、ピストンロッド5を下降させて、成形型4の固定された試料台3を回転テーブル上に載置する。
このとき、炉体1内部に空気等が侵入しないように、取出し・挿入口6の外部には、窒素等の非酸化性ガスが充填される空間7を設けておく。この空間7には、成形型4の取出し・挿入を行わないときにも、非酸化性ガスで満たされるようにしておき、炉体1内部に空気等が侵入しないようにしておく。なお、取出し、挿入の操作時には、試料台3の成形型4固定部分を、空間7を通過しさらに上部に突出させて成形型4の取り外し及び固定ができるようになっている。
試料台3に固定された成形型4の状態を図3に示した。成形型4はスリーブ41、その中で滑動可能である上型42、及び下型43からなり、上型42と下型43の間にガラス素材44が挿入されている。このガラス素材44は最終製品に近似した形に予備成形したプリフォームでもよいし、このような予備成形をしていないガラス成形素材でもよい。下型43の底部に形成された凹部43aを、試料台3の上面に形成された凸部3aに嵌め込むことにより、成形型4が試料台3にセットされる。この嵌め込み部の寸法を一定にすることにより、成形型4の大きさ、種類等が変わっても同一の試料台3を使用できる。
この取出し・挿入室P1において、成形型4が炉体1内部に導入されたら、回転テーブル2を間歇的に回転させ、次のように順次各処理室の処理を行って、ガラス素材に光学素子形状を付与する。
取出し・挿入室P1において成形型4が挿入されたら、まず、シャッターS1を開いて(このときS1〜S6の全部が開く)、回転テーブル2を所定角度回転させる。この所定角度は、成形型4が第1の加熱室P2の所定位置に配置されるように回転させるものであり、図1の配置である場合には45度である。このとき、各処理室は同一の大きさに設けられている。
第1の加熱室P2に移動した成形型4は、所定時間加熱処理が施され、これにより成形型4及びその内部に収容されたガラス素材を加熱する。
図4は第1の加熱室P2のIV-IV線に沿った断面図であり、第2の加熱室P3、第3の加熱室P4、第1の冷却室P6、第2の冷却室P7も温度が違うのみで全く同じ構造となっている。この第1の加熱室P2は周囲をケース12によって取り囲まれており、このケース12は炉体1に固定されている。ケース12の底板12aには周方向に延びるスリット12bが形成され、このスリット12bを通して、試料台3の突起部がその上部に固定した成形型4を第1の加熱室P2内に保持している。ケース12内には、ヒータ13とリフレクター14が配置されている。スリット12bは、複数の処理室の底面に、成形型の進行を妨げないように進行路に沿って設けられている。言い換えれば、スリット12は、回転テーブルの回転動作により水平移動する試料台3の突起部の回転移動を妨げないように設けられている。
このように、試料台3を通過させるためのスリット12bがケース12の底板12aに形成されているので、ケース12の内側側面全体にヒータ13を配置でき、したがって、成形型4及びその中に収容されたガラス素材44を均一に加熱できる。また、第1の加熱室P2内で最も温度が低い場所である、ケース12内の底板12aに、試料台3通過用スリット12bを形成しているため、ケース12内の第1の加熱室P2からケース外側へ逃げる熱量か少ない。したがって、第1の加熱室P2内の温度分布が均一になる。さらに、成形型4を第1の加熱室P2のほぼ中央に配置してヒータ13の熱輻射を均一に受けるようにするために、成形型4を載せる試料台3の背の高さが高くなっている。
また、回転テーブル2がケース12の外側下方に配置され、ケース12によって取り囲まれた高温雰囲気の第1の加熱室P2内に配置挿入されていないので、回転テーブル2が熱によって変形しない。そのため、後述のプレス時に成形型を所定のプレス位置に正確に移動できる。
なお、上記試料台3に遮熱効果をもたせるために、試料台3を中空に形成し、その中に熱絶縁物を挿入したり、遮熱板を試料台3のフランジ部上面に配置したりできる。さらに、回転テーブル2の中に水冷機構を設けてもよい。さらに、本図では省略してあるが、試料台3の先端突起部3a(図3参照)内に熱電対を配し、その導線を回転テーブル2の回転軸に導いて、試料台先端部、すなわち成形型4の底部の温度測定をしてもよい。
第1の加熱室での加熱が終了した後は、シャッターS2が開いて回転テーブル2が所定角度で回転し、第2の加熱室P3に達する。この第2の加熱室での加熱により、成形型4とガラス素材44はプレス温度に近づく。次いで、第3の加熱室P4で成形型4とガラス素材44をプレス温度まで昇温し軟化させ、プレス室P5に移動させる。
ここで、第1の加熱室P2はヒータ13により高温に保たれているため、成形型4及びガラス素材44は急速に加熱される。ところが、ヒータ13は成形型4の進行方向に対して左右の位置にのみ配置されているため、その前後方向の加熱が不十分となる場合があり、成形型4及びその内部に収容されているガラス素材44に温度分布が生じることもあった。これは、第2の加熱室P3及び第3の加熱室P4も第1の加熱室P2と同構造で構成されているから同じ問題が生じる。
そこで、本発明の光学素子の成形装置においては、さらに、加熱室内で回転テーブル2上に載置された成形型4を、鉛直軸を回転軸として自転させることができる回転手段が設けられている。ここで、自転とは、回転テーブル上に載置された成形型4の場所を移動させずに、その場で回転させることをいう。このような自転は、円柱形状をした成形型4の中心を通る鉛直軸又はそれに近い鉛直軸を回転軸として、成形型4を回転させることで達成できる。
なお、この回転手段は、プレス直前においてガラス素材を均熱化できていればよいため、第3の加熱室P4に設けることが必須であり、さらに、第1の加熱室P2及び第2の加熱室P3にも設けることが好ましい。
このような回転手段としては、試料台3自体を自転させるか、又は試料台3のうち成形型4を固定した突起部を自転させることができ、成形型4をその場で回転可能とするものであれば何ら制限なく使用できる。例えば、歯車、ベアリング等を利用して、試料台3又はその突起部へ回転力を与えて成形型4を自転させることができるものであればよい。
図5には、歯車としてかさ歯車を適用した回転手段を例示したが、この回転手段は、試料台3の台座部分3bに設けられた歯車形状と、その歯車の駆動手段として用いられる駆動用歯車15と、から構成されている。駆動用歯車15を、側方から台座部分3bの歯車形状に接近させて噛み合わせ、駆動用歯車15の軸を回転させることで、試料台3を自転させる。このとき試料台3に固定された成形型4も自転することとなる。また、ここではかさ歯車を例示したが、平歯車等の形状であってもよい。
さらに、図6には、他の回転手段として、ベアリングを利用したものを例示した。図6では、回転テーブル2と、試料台3との間にベアリング16を設けることで、試料台3が自由に自転できるようになっている。試料台3を載せたベアリング16は回転テーブル2上に載置される。このとき、外部から試料台3が自転する回転力を与える駆動手段として回転ロッド17を設ける。この回転ロッド17を、回転テーブル2の穴2aとベアリング16の中央部の穴を通して試料台3の下面に接触させ、先端の凹凸と試料台3の下面に対応して形成された凹凸とを合わせて、回転ロッド17の軸を回転させることで、試料台3を自転させる。このとき試料台3に固定された成形型4も自転することとなる。
上記したような回転手段により、成形型4及びガラス素材44は第1の加熱室P2で所定時間静止した後、試料台3ごと所定角度で回転され、さらに、そこで前記と同じ時間静止させることを繰り返して、成形型4を360度回転させた後、次の処理室へ移動するようにすればよい。また、ここでの回転回数は4回以上の回数が好ましく、回転角度、速度、回数、静止時間は、ガラス素材44の温度分布が生じなくなる条件となるように適宜設定すればよい。例えば、回転角度90度の場合、この90度回転の移動速度を5秒、90度回転させた後の静止時間も5秒とし、4回回転させることで成形型4を360度回転できる。この回転角度、速度、回数、静止時間は、タクトタイムを考慮し、360度回転させるのにかかる時間をタクトタイムとなるように調整する。
また、成形型内に収容されているガラス素材が回転初期に金型内で位置ずれを起こさないよう、ガラス素材や金型の形状、ガラス素材の質量などによる動き易さに合わせ、回転体の角加速度を適宜調整することが好ましい。
第1〜第3の加熱室での加熱が終了した後、成形型4はプレス室P5に移動させる。
プレス室P5においては、第1の加熱室P2と同様にケース12の中に設けられたヒータ13及びリフレクター14が配置されており、それらに加え、回転テーブル2を下側から支えるための支持棒と、成形型4及び光学素子成形材料44をプレスする加圧棒が設けられている。この支持棒と加圧棒はピストンシリンダ装置のピストンロッドとして形成されている。
プレス室P5においては、第1の加熱室P2と同様にケース12の中に設けられたヒータ13及びリフレクター14が配置されており、それらに加え、回転テーブル2を下側から支えるための支持棒と、成形型4及び光学素子成形材料44をプレスする加圧棒が設けられている。この支持棒と加圧棒はピストンシリンダ装置のピストンロッドとして形成されている。
第3の加熱室P4から移動してきた成形型4と試料台3がプレス室P5内で静止したら、支持棒を上昇させて回転テーブル2を下方から支え、加圧棒を下降させて、上型42の上部から押圧することで、成形型内部に収容され、軟化したガラス素材44を所定圧力で加圧するようになっている。
所定時間加圧した後、加圧棒を上昇させて圧力を解除し、支持棒を下降させ、シャッターS4を開いて成形型4と試料台3を回転テーブル2によって第1の冷却室P6に移送する。このプレス直後の移動に際し、ショックが加わるとガラス素材44の形状にゆがみを生ずることがあるが、本発明の装置ではインデックスマシンによりスムースな回転移送が行われ、ショックは発生しない。ここでいうインデックスマシンとは、回転テーブルを所定角度回転させ、所定時間静止する動作を繰り返して、回転テーブル上の成形型4を各処理室に順次移送させる装置である。この装置により、各処理室における処理時間も十分に確保でき、所定の処理が施される。
加圧後直ちに成形型4を成形体から離して分解しようとすると、成形体は成形型4に密着しているために弱い力では離型ができない。強い力で離型すると成形体の形状にゆがみを生じ、また成形体が割れることが多い。そこで本発明ではさらに、第1と第2の冷却室P6,P7へ成形型4を移して少なくともガラスの転移温度より低くなる温度まで成形型4と共に成形体を冷却し、成形素材自体の収縮によって成形型4と成形体の間に隙間ができるようにする。このとき、ガラスの収縮に対して上型42がその自重によって追随するため、良好な形状精度が得られる。
本実施形態では、さらに、ガスによる急冷機構を設けた第3の冷却室P8で急冷し、成形型4の酸化防止のために250℃以下にして、取出し・挿入室P1に移す。なお、第1〜第3の冷却室P6〜P8においても、上記した回転手段により試料台3ごと成形型4を同様に回転してガラス素材の温度分布を少なくして冷却すると、得られる光学素子の形状不良を抑制でき好ましい。
回転テーブル2の回転により、試料台3に載って処理室内を1周して成形の終わった成形型4が取り出し・挿入室P1に戻って来たら、ピストンロッド5によって試料台3の成形型4を処理室P1から取出し・挿入口6へ上昇させ、試料台3の上部を炉体1外へ突出させ、装置外で処理の終わった成形型4を取り外し、成形された成形素材を取り出す(図1)。
連続的に処理する場合には、さらに未処理のガラス素材が収容された成形型4を試料台3に固定し、炉体1内へ導入し、同様に各処理室での処理をすればよい。この装置において、回転テーブル2上に8個の試料台3を配置し、9〜10個の成形型4を用いて連続的にこの動作を繰り返すことにより、所定間隔で1個のきわめて速い製造速度で成形体が成形される。
なお、上記説明は、試料台3には、その中央の一か所でプレス成形ができるように、成形型を固定できる突起部が一つ設けられているが、これを、複数箇所でプレス成形ができるように、成形型を固定できる突起部を複数個有する試料台を用いてもよい。
例えば、図7には、成形型の固定箇所が2つの試料台31を例示したが、このとき、成形型の固定箇所である突起部31aは、回転テーブルによる成形型の進行方向に整列して配置されている。これは、突起部が3つ以上になっても同様である。また、これら突起部はそれぞれ独立して自転可能に設けられており、図7では突起部31aの下部側面に歯車形状31bが施され、突起部31aが独立して自転可能となっている。
このように複数の成形型を固定できるようにした場合、同一のガラス素材を用いる場合にはそれらを同時にプレスして成形してもよい。このとき、その成形型の配置状態に応じて、先端が複数に分岐した加圧棒にしたり、それら複数の成形型を同時に押圧できる幅の広い押し板形状としたりしてもよい。または、それぞれの成形型を独立した加圧棒により押圧できるようにしてもよい。
本発明の光学素子の成形装置及び成形方法は、回転移動方式のプレス成形により光学素子を製造する際に用いることができる。
1…炉体、2…回転テーブル、3…試料台、4…成形型、5…ピストンロッド、6…取出し・挿入口、12…ケース、12a…ケースの底板、12b…スリット、13…ヒータ、14…リフレクター、15…歯車、16…ベアリング、17…回転ロッド
Claims (8)
- ガラス素材を収容した成形型を順次移動させて、加熱、プレス、冷却の各処理を施すために、円周方向に順番に並べて配置され、それぞれ下部にスリットを有する、加熱室、プレス室及び冷却室を含む複数の処理室と、
前記複数の処理室の下方に配置され、間歇的に回転して、前記成形型を前記複数の処理室内に順に配設可能とした回転テーブルと、
前記回転テーブル上に載置され、上部に前記成形型を固定可能で、前記スリットを通して前記成形型を前記処理室内に保持できる突起部を有する試料台と、
前記加熱室において、前記回転テーブル上に載置された前記成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることができる回転手段と、
を有することを特徴とする光学素子の成形装置。 - さらに、前記冷却室において、前記回転テーブル上に載置された前記成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることができる回転手段を有する請求項1記載の光学素子の成形装置。
- 前記回転手段が、前記試料台又は突起部の下部側面に設けられた歯車と、前記歯車の駆動手段と、からなる請求項1又は2記載の光学素子の成形装置。
- 前記回転手段が、前記試料台又は突起部を自転可能にするベアリングと、前記試料台又は突起部を自転させる駆動手段と、からなる請求項1又は2記載の光学素子の成形装置。
- 前記試料台が、前記成形型を固定する突起部を独立して回転可能に複数個有し、
該複数個の突起部が、前記成形型の進行方向に整列して配置されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項記載の成形装置を用い、ガラス素材を収容した成形型を固定した試料台を回転テーブル上に載置し、前記回転テーブル上の成形型を、回転移動させることで前記複数の処理室に順次移動させて、加熱、プレス、冷却の各処理を行う光学素子の成形方法において、
前記加熱処理の際に、前記成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させることを特徴とする光学素子の成形方法。 - さらに、前記冷却処理の際に、前記成形型を、鉛直軸を回転軸として自転させる請求項6記載の光学素子の成形方法。
- 前記試料台又は突起部の自転を所定時間毎に行う請求項6又は7記載の光学素子の成形方法。
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