JP2012008328A - トナー、並びにその製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の吐出孔から、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を吐出して液滴化する吐出液滴化手段と、前記液滴化したトナー組成液を固化させ粒子を形成する粒子形成手段と、前記吐出孔内のトナー組成液と前記吐出孔の内壁との間のメニスカスを制御するメニスカス制御手段と、を有することを特徴とするトナーの製造装置である。
【選択図】図1
Description
しかしながら、前記懸濁重合法及び前記乳化重合凝集法には、使用可能な樹脂の汎用性が低いという問題がある。
しかしながら、前記ポリマー溶解懸濁法においては、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、トナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存して環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生したり、これを除去するために非常に大量の洗浄水を必要とするという問題がある。
しかしながら、従来の噴霧造粒法により得られる粒子は、比較的粗く大きなものであり、また、粒度分布も広いため、トナーそのものの特性を劣化させるという問題がある。
しかしながら、前記トナーの製造方法及び装置にあっては、一つの圧電体を用いて一つのノズルからの液滴吐出しか行うことができず、単位時間当たりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題がある。
しかしながら、前記トナーの製造方法及び装置にあっても、一つの圧電体を用いて一つのノズルからの液滴吐出しか行うことができず、単位時間当たりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題がある。
しかしながら、前記トナー製造方法は、一つの圧電体に対して複数の吐出孔を設けた場合、圧電体の振動が各吐出孔にまで伝わる速度が圧電体からの距離により異なるため、各吐出孔から吐出される液滴にタイムラグが生じ、吐出孔間で吐出量が異なってしまうという問題がある。
しかしながら、前記トナーの製造方法及び製造装置のように、複数の吐出孔から液滴を吐出する場合、全ての吐出孔内のトナー組成液のメニスカスに均一に圧力をかけることは難しく、吐出しないタイミング(不吐出時)では一部の吐出孔でメニスカスの圧力が下がりすぎてトナー組成液の貯留部に移動しやすい。その結果、吐出孔から貯留部へ気泡が侵入して気泡のメニスカスが液の吐出を妨害するため、吐出が断続的になってしまうという問題がある。特に、生産に際して、前記液滴吐出部を複数配置する場合は、メニスカスの全てを均一な高さに維持することが難しく、水頭圧もばらつくため、メニスカスに加わる力も更にばらつく結果、吐出の断続が顕著に発生するという問題がある。
<1> 複数の吐出孔(ノズル、貫通孔)から、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を吐出して液滴化する吐出液滴化手段と、前記液滴化したトナー組成液を固化させ粒子を形成する粒子形成手段と、前記吐出孔内のトナー組成液と前記吐出孔の内壁との間のメニスカスを制御するメニスカス制御手段と、を有することを特徴とするトナーの製造装置である。
<2> メニスカス制御手段が、吐出孔内のトナー組成液に電圧を印加する電圧印加手段である前記<1>に記載のトナー製造装置である。
<3> トナー組成液吐出時と不吐出時とで前記トナー組成液に印加する電圧を制御する電圧制御手段を更に有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<4> トナー組成液吐出時と不吐出時において印加する電圧の差が1.3V〜6.5Vである前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナー製造装置である。
<5> 電圧印加手段が、電圧を印加してエレクトロウェッティング現象を引き起こす手段である前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナー製造装置である。
<6> 吐出液滴化手段が振動発生手段を有し、該振動発生手段が、複数の吐出孔が形成された吐出構造体領域の周囲に円環状に設けられ、振動を発生する円環状振動発生手段である前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<7> 吐出孔内壁の各々に絶縁膜を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<8> 絶縁膜が撥液膜である前記<7>に記載のトナーの製造装置である。
<9> 撥液膜がSiO2膜とSiO2膜上にパーフルオロアルキル基を有し、かつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する化合物が結合した膜である前記<8>に記載のトナー製造装置である。
<10> メニスカス制御手段が、吐出孔の径方向のメニスカスを制御する手段である前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<11>液滴化したトナー組成液を帯電させる帯電手段を更に有する前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナー製造装置を用いてトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法である。
<13> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナー製造装置を用いて製造されたことを特徴とするトナーである。
以下、本発明のトナーの製造装置の説明を通じて、本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーの詳細についても明らかにする。
本発明のトナーの製造装置は、少なくとも、吐出液滴化手段と、粒子形成手段と、メニスカス制御手段と、を有してなり、更に必要に応じて、その他の手段を有してなる。
前記吐出液滴化手段は、複数の吐出孔から、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を吐出して液滴化する手段である。
前記吐出液滴化手段は、貯留部と、液滴吐出部と、を有する。
前記貯留部は、後述する樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を貯留する。
前記貯留部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒形状、角型形状、などが挙げられる。
前記貯留部の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、容器のみからなる単層構造、容器本体と表面層とからなる2重構造、積層構造、などが挙げられる。
前記容器の材質とトナー組成液と接する表面層の材質とは異なっていてもよい。
前記トナー組成液と接する表面層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、セラミックス、プラスチック、などが挙げられる。これらの中でも、トナー組成液に溶解しない、かつトナー組成液の変性をおこさないものが好ましい。
前記貯留部の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記液滴吐出部は、吐出孔を複数有する吐出構造体に、振動発生手段により振動を付加して、前記吐出孔内のトナー組成液を液滴状に吐出する。
前記液滴吐出部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー組成液の貯留部内に存在する液の共振現象を利用して液滴状にするものが好ましい。この場合、貯留部内液の共振周波数が、吐出孔を複数有する吐出構造体を含む貯留部を構成する構造体の共振周波数よりも低いことが、液室内の液の圧力が均等に昇圧され、均一な液滴形成の点から好ましい。
前記吐出構造体は、少なくともトナー組成液を吐出するために設けられた吐出孔を複数有し、更に必要に応じて、その他の構成を有する。
前記吐出構造体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、振動の点で、薄膜やプレート(板)が好ましい。
前記吐出構造体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜500μmが好ましい。
また、前記吐出構造体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、均一に振動させる点で、円形が好ましい。
また、前記吐出構造体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属板が好ましい。
前記吐出構造体は、全体に後述する絶縁体の撥液膜が形成されていてもよい。
前記吐出構造体は、該吐出構造体の最外周部に設けられたフレームと接合部を介して接合固定させている。
前記接合部の部材の弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、吐出孔における同心円状の均一な振動状態が得られ、液滴吐出状態が安定化し、均一な粒径分布のトナーを得ることができる点で、108Pa以上が、好ましい。弾性率の高い接合材料を用いるのは、吐出構造体の最外周部と吐出構造体をしっかりと固定するといった目的を達成するためである。これは端部固定の円形膜の振動がその最外周部の完全固定を前提として成立するためであり、振動手段からの振動を均一に吐出構造体に伝播させるためである。
前記吐出構造体及びフレームは、前記絶縁体の撥液膜又は前記絶縁体の接合部剤により電気的に絶縁されている。
前記吐出孔は、吐出構造体が液滴を吐出させる方向に凸形状に形成されて、凸形状に形成された部分に複数形成されていることが、膜の均一振動を実現し、均一な液滴形成の点で、好ましい。
前記吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2個〜3,000個が好ましい。また、前記隣接する吐出孔の間隔(ピッチ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、均一な粒子を吐出させる点で、等間隔が好ましい。
前記吐出孔の形状としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、均一な粒子を大量に吐出させる点で、均一であることが好ましい。
前記吐出孔の開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜30μmが、吐出孔からトナー組成液の液滴を吐出(噴射)させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる点で、好ましい。また、前記吐出孔の開口径が吐出液滴の体積をほぼ決まるため、固化したトナーの粒径を約6μmとする際には、前記吐出孔の開口径としては、8μm〜12μmが好ましい。なお、前記吐出孔の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
前記吐出孔の内壁各々には、絶縁膜が形成されていることが、電圧印加を行う点で、好ましい。なお、吐出孔内壁だけでなく、吐出構造体全体に絶縁膜が形成されていてもよい。
また、前記絶縁膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、撥液膜が好ましい。
前記撥液膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、SiO2膜と、該SiO2膜上にパーフルオロアルキル基を有し、かつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する化合物が結合した膜が好ましい。
前記撥液膜の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜100nmが好ましく、10nm〜20nmがより好ましい。前記撥液膜の膜厚が10nm以上であることが、耐久性の観点から好ましい。前記膜厚が、10nm未満であると、分子が蒸着されない箇所がピンホールのように発生し、不均一な膜となり、撥液性が不十分となることがあり、100nmを超えると、上層部が剥がれやすく、駆動中に剥がれたものが吐出孔を閉塞してしまうおそれがある。また前記撥液膜は、前記トナー組成液に対する接触角が、40°以上が好ましい。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系溶剤が好適である。前記フッ素系溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン;フロリナートFC−72(住友スリーエム株式会社製)などが挙げられる。
前記振動発生手段は、少なくとも吐出構造体の吐出孔が形成された領域の周囲に設けられ、前記吐出構造体を振動させて前記吐出孔内のトナー組成液を液滴状に吐出させる振動発生手段(電気機械変換手段)である。
前記振動発生手段の吐出構造体における配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒度分布の少ないトナーを効率的に製造できる点で、吐出構造体の変形可能領域(フレームに固定されていない領域)内の吐出孔が形成された領域の周囲に、円環状に設けられていることが好ましい。
前記振動発生手段を構成する圧電体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3、等の単結晶、などが挙げられる。これらの中でも、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が、振動制御性の点で、好ましい。
前記振動発生手段は、前記吐出構造体と接合部を介して接合固定させている。
前記接合部の部材の弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、108Pa以上が、吐出孔における同心円状の均一な振動状態が得られ、液滴吐出状態が安定化し、均一な粒径分布のトナーを得ることができる点で、好ましい。弾性率の高い接合材料を用いるのは、振動発生手段と吐出構造体をしっかりと固定するといった目的を達成するためである。
前記粒子形成手段は、液滴化した液滴(トナー組成液)を固化させ粒子を形成する手段である。
前記粒子形成手段は、少なくとも捕集手段を有し、更に必要に応じて、乾燥手段、その他の手段を有する。
前記捕集手段は、液滴を気流によって捕集する手段である。この場合、液滴の吐出される吐出孔周辺に、該吐出孔に向けて気流を導入するシュラウドを設け、トナー流の周囲に搬送気流を有して、この搬送気流により、吐出されたトナー群の群速度を増加させるように、また、吐出初速度が高い場合には逆に減少させるようにすることが、吐出されたトナーが固化するまでの乾燥工程中に互いに衝突することによる合着を効率よく防止し、得られるトナー群は合一物が極めて少なく、歩留などを含む生産性を向上させることができる点で、好ましい。
前記気流に用いられる気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素ガス、空気、などが挙げられる。
前記乾燥手段は、流動床乾燥、真空乾燥等の二次乾燥を行う手段である。有機溶剤がトナー中に残留すると、耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく、加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する必要がある。
前記メニスカス制御手段は、吐出構造体に形成された吐出孔内のトナー組成液と前記吐出孔の内壁との間のメニスカスを制御する手段である。
前記メニスカス制御手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば電圧印加手段、温度制御手段、などが挙げられる。
また、前記メニスカス制御手段としては、吐出孔内壁とトナー組成液の径方向のメニスカスを制御する手段が好ましい。
前記電圧印加手段は、吐出構造体に形成された吐出孔内のトナー組成液に電圧を印加する手段である。
前記電圧印加手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電圧を印加してエレクトロウェッティング現象を引き起こす手段が好ましい。
前記電圧を印加してエレクトロウェッティング現象を引き起こす手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導体の前記貫通孔内壁に電極、絶縁膜の順に積層した状態で電極とトナー組成液との間に電界をかける手段、などが挙げられる。
また、前記印加電圧手段は、トナー組成液のメニスカスをトナー組成液の吐出時と不吐出時とで電圧を制御する電圧制御手段を更に有することが好ましい。
トナー組成液の吐出時と不吐出時において印加する電圧の差としては、特に制限がなく、トナー組成液と吐出孔内壁のメニスカスを制御できる限り、適宜選択することができるが、1.3V〜6.5Vが、吐出孔から流路への気泡の侵入及び前記吐出構造体の吐出側表面へのトナー組成液の漏れを防止する点で、好ましい。
前記温度制御手段は、吐出構造体に形成された吐出孔内のトナー組成液と前記吐出孔の内壁の温度を制御する手段である。
前記温度制御手段は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ペルチェ素子が好ましい。
前記ペルチェ素子による温度制御は、温度を下げることによって固体の表面エネルギーが大きくなることを利用する。
前記ペルチェ素子に用いる半導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Sb2Te3、Bi2Te3、Sb2Se3が挙げられる。これらに不純物をドーピングすることによってn型やp型の半導体を形成できる。
前記ペルチェ素子の電極に用いる金属としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、金、銅、ニッケル、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、他の電圧印加手段、帯電手段、などが挙げられる。
本発明のトナー製造装置は、前記振動発生手段に電圧を印加する他の電圧印加手段を更に有することが好ましい。
前記振動発生手段に印加された電圧に対して、前記トナー組成液に印加された電圧は、メニスカスに貯留部側へ最も大きな力が加わる位相とトナー組成分散液への印加電圧の最大の位相を合わせることが、吐出孔から流路への気泡の侵入を防ぐ点で、好ましい。
本発明のトナー製造装置は、液滴化したトナー組成液を帯電させる帯電手段を更に有することが、液滴化したトナー同士を凝集(合着)させない点で、好ましい。
前記帯電手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、気相側に配置され、吐出孔の径より大きい径の孔を有する環状導体膜に電圧を印加する手段など、が挙げられる。
トナーの製造装置1は、トナー組成液を複数の均一な径の吐出孔から周期的に吐出し、気相中で液滴化する液滴噴射ユニット2と、液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から吐出される液滴化されたトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子Tを形成する粒子形成手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tがチューブ7を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部5と、トナー組成液10を収容する原料収容部6と、原料収容部6内から液滴噴射ユニット2に対してトナー組成液10を送液する送液管(配管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ100とを備えている。
液滴吐出部11は、複数の吐出孔(ノズル)15が形成された吐出構造体(薄膜、ノズルプレート)16と、この吐出構造体16を振動させる円環状の振動発生手段(電気機械変換手段)17とで構成されている。ここで、吐出孔15の内壁には絶縁体が形成されている。吐出構造体16は、最外周部(図4の斜線を施して示す領域)をフレーム14に接合固定している。
このとき、撓み振動と同期してリード線50を通じて前記駆動回路とは別の駆動回路52による同じ周波数の駆動電圧により、トナー組成液と吐出孔内壁の間に電界が生じることで、トナー組成液と吐出孔内壁のメニスカスが、エレクトロウェッティング現象により変化し、吐出孔から気泡が入ることなく、断続的にならずに吐出し続ける。特に、この液滴噴射ユニットの例のように前記吐出構造体を電気機械変換手段で直接振動させるユニットでは、メニスカスが変位しやすく吐出が断続的になりやすいため、トナー組成液と吐出孔内壁のメニスカスの制御が有効である。
液滴吐出部11は、貯留部12に臨む複数の吐出孔15を有する吐出構造体16の変形可能領域16A内の吐出孔15を設けた領域の周囲に円環状の振動発生手段17が配されていることによって、例えば図5に示すように振動発生手段17Aが吐出構造体16の周囲を保持している構成に比べて、相対的に吐出構造体16の変位量が大きくなり、この大きな変位量が得られる比較的大面積(直径1mm以上)の領域に複数の吐出孔15を配置することができ、これら複数の吐出孔15より、一度に多くの液滴を安定的に形成して吐出することができるようになる。
次に、吐出液滴化手段としての液滴噴射ユニット2によるトナー組成液を液滴状にして周期的に吐出させるメカニズムについて説明する。
上述したように液滴噴射ユニット2は、貯留部12に臨む複数の吐出孔15を有する吐出構造体16に、機械的振動手段である振動発生手段17によって発生した振動を伝播させて、吐出構造体16を周期的に振動させ、比較的大面積(直径1mm以上)の領域に複数の吐出孔15を配置し、それら複数の吐出孔15より液滴を周期的に、安定に形成して吐出することができるようになる。
図7A及び図7Bに示すような単純円形膜である吐出構造体16の周辺部12Aを固定した場合、基本振動は周辺が節になり、図8に示すように、吐出構造体16の中心Oで変位ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。
また、図9及び図10に示すような、より高次のモードが存在することが知られている。これらのモードは、円形膜内に、同心円状に節を1乃至複数持ち、実質的に軸対称な変形形状である。また、図11に示すように、中心部が凸形状12Cとすることで液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能である。
吐出構造体16が振動すると、円形膜各所に設けられた吐出孔近傍の液体には、吐出構造体の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(トナー組成液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスと吐出構造体の振動速度Vmの積で下記式(1)の方程式を用いて表される。
Pac(r,t)=Zr・Vm(r,t) (1)
吐出構造体の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、吐出構造体の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、吐出構造体上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる吐出構造体の振動形態は、軸対象である。したがって、実質的には半径(r)座標の関数となる。
液滴化を可能とする吐出構造体の振動周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば20kHz〜2.0MHzなどの領域が用いられる。その中でも、50kHz〜500kHzの範囲が、好ましい。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、トナー組成液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
前記音圧の変位量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10kPa以上が、微粒子分散促進作用がより好適に発生する点で好ましい。また、トナー組成液の条件として、粘度20mPa・s以下、界面張力20mN/m〜75mN/mの領域において、サテライトの発生開始領域が同様であった点で、前記音圧の変位量は、500kPa以下であることが必要となる。その中でも、100kPa以下が、好ましい。
前記サテライトとは、主に形成される液滴のおよそ2分の1の直径の吐出液滴である。
電圧印加により吐出孔(ノズル)15の内壁とトナー組成液とのメニスカスが調整される。
トナー組成液のメニスカスに加わる力Fは、振動時には(1)式に吐出孔内壁でのラプラス圧と静水圧を加えた下記式(2)となる。
F=Pac(r,t)・S+2γcosθ/Rn―ρgh (2)
Sはメニスカスの表面積、γはトナー組成液の表面張力、θはトナー組成液と吐出孔内壁の接触角、Rnは吐出孔半径、ρはトナー組成液の密度、gは重力加速度、hはメニスカスとつながっているトナー組成液の水頭差である。なお、鉛直上向きを正とする。ラプラス圧は、ラプラス圧以外の他の合力に抗する向きにθが動き、メニスカスを保持しようとする。即ち、図12Aのように、ラプラス圧以外の他の合力(2γcosθ/Rn―ρgh)が正のとき、ラプラス圧(Pac(r,t)・S)は負となり、図12Bのように、ラプラス圧以外の他の合力が負のとき、ラプラス圧は正となる。
F>0を満たすときメニスカスは流路に移動し、このとき気泡が侵入する。F<0を満たすときメニスカスは気相側に噴出する。したがって、Pac(r,t)が正に最大のときラプラス圧による抗力の限界を超えずF=0を満たし、Pac(r,t)が負に最大のときラプラス圧による抗力の限界を超えてF<0を満たすことが必要である。
cosθ’=cosθ+εrε0V2/2γd (3)
θ’は電圧印加時の接触角、θは電圧印加前の接触角、εrは絶縁体の比誘電率、ε0は真空の誘電率、Vは印加電圧、γは液体と空気との表面張力、dは絶縁体の厚さである。
上記式(3)から、電圧を印加すると液滴の接触角が減少し、濡れやすくなることが分かる。これは、液滴103に電圧を印加すると、液滴と絶縁膜の界面近傍の液滴と絶縁膜にそれぞれ正負逆の電荷が引き寄せられ、液滴と絶縁膜の間の表面張力が小さくなることに起因する。
この現象を利用して上記式(2)のcosθを制御する。例えば吐出構造体(薄膜、ノズルプレート)16とフレーム14が金属である場合、吐出孔内壁に絶縁体である撥液膜を形成し、撥液膜又は接合部材により吐出構造体16とフレーム14を絶縁する。吐出構造体16とフレーム14の間に電圧を印加すると吐出孔内のトナー組成液メニスカスは濡れやすくなるので、Pac(r,t)・Sが正に最大のときメニスカスが内壁に保持されやすくなる。その一方、Pac(r,t)・Sが負に最大のときに前記電界を0Vとすることで、メニスカスは相対的に気相側に動き、トナー組成液が噴出しやすくなる。このようにしてメニスカスを制御することができる。
本発明のトナーは、本発明の前記トナーの製造装置を用いて製造されたトナーであり、粒度分布が単分散なものが得られる。前記トナー粒子の粒度分布(重量平均粒径/数平均粒径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.00〜1.15の範囲内にあるのが好ましい。これらの中でも、1.00〜1.05が、より好ましい。前記粒度分布は、1.15を超えると、粒子系のばらつきが大きく、各粒子間の帯電性が不均一になり、地肌汚れ等の異常画像を生じる他、粒状度等の画質低下が生じることがある。
また、前記トナー粒子の重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜20μmの範囲内にあることが好ましい。これらの中でも、3μm〜10μmが、より好ましい。前記質量平均粒子が、3μm未満であると、強帯電を帯びた微粉粒子が多くなり、キャリアに強固に付着するなどしてキャリアの帯電サイトを奪い現像性の低下、つまりは異常画像の発生を引き起こすばかりでなく、吸引することで人体にも影響を及ぼすことがある。
前記トナー組成液は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有し、更に必要に応じて、磁性体、ワックス、及び流動性向上剤等のその他の成分を含有するトナー材料を、溶媒に分散乃至溶解させたものである。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン単量体、アクリル単量体、メタクリル単量体等からなるビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの架橋剤の含有量としては、前記ビニル樹脂を形成する他のモノマー成分に対して、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.03質量%〜5質量%がより好ましい。
これらの中でも、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基、及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物が、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点で、好ましい。また、これらの中でも、スチレン共重合体、スチレン−アクリル共重合体となるモノマーの組み合わせ、がより好ましい。
前記ビニル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gが特に好ましい。
前記3価以上の多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gが特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂を構成するモノマーのうちビニル樹脂と反応し得るものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。
前記ビニル樹脂を構成するモノマーのうち、ポリエステル樹脂と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するもの、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類、などが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、その他の樹脂を併用する場合、酸価が0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gである樹脂を60質量%以上含有するものが好ましい。
前記酸価は、以下の方法(I)〜(IV)により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(I)試料は予め樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、樹脂及び架橋された樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5g〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により樹脂の酸価を求める。
(II)300mLのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150mLを加え溶解する。
(III)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(IV)この時のKOH溶液の使用量をSmLとし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をBmLし、下記式(4)で算出する。fは、KOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W (4)
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記着色剤のトナーに対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
また、トナー中に、着色剤に対する分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜10質量%の割合で配合することが好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記マスターバッチ用の樹脂のアミン価としては、1〜100が好ましく、10〜50がより好ましい。前記アミン価が1未満である、及び、前記アミン価が100を超えると、顔料分散性が不十分となることがある。なお、前記アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、前記マスターバッチは、フラッシング法を用いて製造してもよい。前記フラッシング法とは、着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法である。この場合、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がない。
なお、混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
前記溶媒としては、樹脂及び着色剤が分散乃至溶解可能な有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又は他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)これらの混合物、などが挙げられる。
前記異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂に対して、10質量%〜200質量%が好ましく、20質量%〜150質量%がより好ましい。また、前記磁性体の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜2μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、前記磁性体の磁気特性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20エルステッド〜150エルステッド、飽和磁化50emu/g〜200emu/g、残留磁化2emu/g〜20emu/gが好ましい。
なお、前記磁性体としては、着色剤としても使用することができる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
さらに、前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物、などが挙げられる。
これらの中でも、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックス、が好ましい。
前記ワックスの使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
前記可塑化作用を有するワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。前記離型作用を有するワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、融点の高いワックス、分子の構造が直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のもの、などが挙げられる。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、静電潜像担持体又はキャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性、電気特性又は物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤;各種金属石けん;フッ素系界面活性剤;フタル酸ジオクチル;酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等の導電性付与剤;酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体;ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤;ケーキング防止剤;現像性向上剤、などが挙げられる。
前記その他の成分は、帯電量コントロール等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理してもよい。また、前記無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。
前記現像剤としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子等、などが挙げられる。
前記現像剤の配合量は少量が好ましい。
前記現像剤を調製する場合には、現像剤の流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、流動性や現像性、帯電性を補助する目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機微粒子、高分子系微粒子、などが挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜2μmが好ましく、5μm〜500mμがより好ましい。
前記BET法による比表面積としては、20〜500m2/gが好ましい。
前記無機微粒子のトナー粒子に対する添加量は、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2質量%がより好ましい。
前記表面処理剤としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック;フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ;微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、又はこれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカがより好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均一次粒径として、0.001μm〜2μmが好ましく、0.002μm〜0.2μmがより好ましい。
前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIE社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名):Franso1(Fransi1社商品名)、などが挙げられる。
さらに、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体として、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法が好ましい。
前記流動性向上剤をBET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30m2/g以上が好ましく、60m2/g〜400m2/gがより好ましい。
前記表面処理された微粉体の比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20m2/g以上が好ましく、40m2/g〜300m2/gがより好ましい。
前記クリーニング性向上剤としては、特に制限なく、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するものであれば適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー粒子、などが挙げられる。
前記ポリマー微粒子の体積平均粒径としては、0.01μm〜1μmが好ましい。
−着色剤分散液の調製−
まず、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)17質量部、顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ社製)3質量部、及び酢酸エチル80質量部を一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミル(NPM−PILOT、ウィリー・エ・バッコーフェン社製)を用いて、二次分散させて、粒径が5μm以上の凝集体を完全に除去し、着色剤分散液を調製した。
次に、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤2質量部、及び酢酸エチル80質量部を一次分散させた。なお、ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを用いた。得られた一次分散液を攪拌しながら80℃まで加熱してカルナバワックスを溶解させた後、室温まで冷却して最大径が3μm以下となるようにカルナバワックスを析出させた。更に、ダイノーミルを用いて二次分散させ、最大径が1μm以下になるようワックス分散液を調製した。
次に、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、結着樹脂としてのポリエステル樹脂100質量部、前記着色剤分散液30質量部、前記ワックス分散液30質量部、及び酢酸エチル840質量部を、10分間攪拌し、均一に分散させ、トナー組成分散液を調製した。なお、溶媒希釈により顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
次に、得られたトナー組成分散液500mLを、図2に示すトナーの製造装置の液滴吐出部11の吐出孔(ノズル)15に供給した。
使用した吐出構造体(薄膜、ノズルプレート)16は、外径20.0mm、厚み40μmのニッケル板に、真円形状の直径10μmの吐出孔15を、電鋳法による加工で作製した。
吐出孔15は各吐出孔間の距離が100μmピッチとなるように千鳥格子状に吐出構造体16の中心の直径約3mmの範囲にのみ設けた。
さらに、吐出構造体の表面全体にSiO2膜を形成し、前記SiO2膜上に、ダイキン工業株式会社製オプツール(フッ素系化合物)を蒸着して撥液膜を形成した。撥液膜の膜厚は、非接触式膜厚測定装置(エリプソメーター、溝尻光学株式会社製)を用いて測定したところ、50nmであった。また、撥液膜の接触角は、接触角計(協和界面科学株式会社製、DM500)を用いて測定したところ、前記トナー組成分散液の接触角が58°であった。
振動発生手段17は内径4mm、直径15mm、厚さ2.0mmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であり、吐出構造体16との接合面13b、および吐出構造体16とSUS304で作製したフレーム14との接合面13aは共に、エポキシ樹脂(弾性率1.3×108Pa)を用い、加熱条件170℃×5分間で接合した。
〔トナー作製条件〕
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm3
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
装置内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :115.9kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値:37.5V
トナー組成分散液への印加電圧Sin波p−p値:4.5V
トナー組成分散液への印加電圧Sin波オフセット値:2.25V
吐出時:4.5V、不吐出時:0V
PZTへの印加電圧に対するトナー組成分散液への印加電圧:90°遅れ
なお、「吐出孔振動数」とは、図2では図示される電気的駆動装置51による振動手段17への入力振動周波数である。
また、PZTへの印加電圧に対するトナー組成液への印加電圧を90°遅らせたのは、メニスカスに貯留部側へ最も大きな力が加わる位相と、トナー組成液への印加電圧の最大の位相を合わせるためである。この共振の条件においては、PZTへの印加電圧の位相が0°のとき吐出構造体(ノズルプレート)は気相側に最大に凸となり、吐出構造体(ノズルプレート)が流路側に最大に凸となる。
上記条件で1時間稼動させたところ、気泡の侵入が起きることなく、また吐出も途切れることなく、安定的に吐出された。吐出量は、トナー組成分散液基準で3.51g/分であった。乾燥後のトナー基準では、約0.33g/分であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、サイクロン捕集した後、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量%を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、トナーを作製した。
被覆層材料としてのシリコーン樹脂をトルエンに分散させて、被覆層分散液を調製した後、加温状態にて、芯材(平均粒径50μmの球形フェライト粒子)にスプレーコートし、焼成し、冷却後、被覆層の平均厚み0.2μmのキャリアを作製した。
得られたトナー4質量部に対し、上記キャリア96質量部を混合して二成分現像剤を作製した。
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。
トナー、トナー粒子及び外添剤の粒度分布は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)を用いて測定した。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cm3の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10mL中にノニオン系界面活性剤(和光純薬工業株式会社製、コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(STM社製、UH−50)で20kHz、50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、更に、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4,000〜8,000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させた。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影された。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06−400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行った。
実施例1において、下記のようにトナー作製条件を変えた以外は、実施例1と同様にして、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm3
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
装置内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :115.9kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値:37.5V
トナー組成分散液への印加電圧Sin波p−p値:2.0V
トナー組成分散液への印加電圧Sin波オフセット値:1.0V
吐出時:2.0V、不吐出時:0V
PZTへの印加電圧に対するトナー組成分散液への印加電圧:90°遅れ
上記条件で1時間稼動させたところ、気泡が流路を2秒に1個程度流れていくのが確認され、吐出が一部の吐出孔で液滴化する/しないが1秒以内に頻繁に切り替わった。吐出量は、トナー組成分散液基準で3.02g/分であった。乾燥後のトナー基準では、約0.29g/分であった。
実施例1において、下記のようにトナー作製条件を変えた以外は、実施例1と同様にして、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm3
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :115.9kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値:37.5V
トナー組成分散液への印加電圧Sin波p−p値:0V
トナー組成分散液への印加電圧Sin波オフセット値:0V
上記条件で1時間稼動させたところ、気泡が流路を毎秒数個程度流れていくのが確認され、吐出が多くの吐出孔で液滴化する/しないが1秒以内に頻繁に切り替わり、液滴の大きさにムラが見られた。吐出量は、トナー組成分散液基準で1.98g/分であった。乾燥後のトナー基準では、約0.188g/分であった。
また、比較例1は、実施例1と比較してトナー組成分散液への印加電圧が0Vに設定されており、エレクトロウェッティングによるトナー組成分散液と吐出孔内壁の表面張力の低下がなかったため、トナー組成分散液のメニスカスが流路側に入り込む吐出孔が多数存在し、該吐出孔から気泡が侵入したと考えられる。また、実施例2と同様に気泡が複数集まって1つの大きな気泡となり、流路を流れたものと推察されるが、比較例では気泡が侵入する吐出孔が多かったために流れる気泡の数も非常に増えたものと考えられる。
さらに、比較例1は、粒径分布が実施例に比べ広いものとなった。これは吐出孔に頻繁に気泡が入ることでトナー組成分散液の振動状態が均一でなくなり、液滴化する体積にムラができたためと考えられる。
また、本発明のトナーは、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するための現像剤に好適に利用可能である。
2 液滴噴射ユニット
3 粒子形成部(溶媒除去部)
4 トナー捕集部
5 トナー貯留部
6 原料収容部
7 チューブ
8 送液管(配管)
9 排液管
10 トナー組成液
11 液滴吐出部
12 貯留部(液流路)
13a 吐出構造体(ノズルプレート、吐出板)接合部
13b 振動発生手段接合部
14 フレーム(流路部材)
15 吐出孔(ノズル、貫通孔)
16 吐出構造体(薄膜、ノズルプレート、吐出板)
17 振動発生手段(電気機械変換手段)
19 支持部材
20 液供給チューブ(液供給孔)
21 気泡排出チューブ(排出孔)
23 液滴
40 気流
41 気流路形成部材
42 気流路
43 除電装置
50 リード
51 駆動信号発生源(駆動回路)
52 駆動信号発生源(駆動回路)
100 ポンプ
T トナー粒子
101 電極
102 絶縁膜
103 液滴
104 リード線
Claims (13)
- 複数の吐出孔から、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を吐出して液滴化する吐出液滴化手段と、
前記液滴化したトナー組成液を固化させ粒子を形成する粒子形成手段と、
前記吐出孔内のトナー組成液と前記吐出孔の内壁との間のメニスカスを制御するメニスカス制御手段と、を有することを特徴とするトナーの製造装置。 - メニスカス制御手段が、吐出孔内のトナー組成液に電圧を印加する電圧印加手段である請求項1に記載のトナー製造装置。
- トナー組成液吐出時と不吐出時とで前記トナー組成液に印加する電圧を制御する電圧制御手段を更に有する請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造装置。
- トナー組成液吐出時と不吐出時において印加する電圧の差が1.3V〜6.5Vである請求項1から3のいずれかに記載のトナー製造装置。
- 電圧印加手段が、電圧を印加してエレクトロウェッティング現象を引き起こす手段である請求項1から4のいずれかに記載のトナー製造装置。
- 吐出液滴化手段が振動発生手段を有し、該振動発生手段が、複数の吐出孔が形成された吐出構造体領域の周囲に円環状に設けられ、振動を発生する円環状振動発生手段である請求項1から5のいずれかに記載のトナーの製造装置。
- 吐出孔内壁の各々に絶縁膜を有する請求項1から6のいずれかに記載のトナーの製造装置。
- 絶縁膜が撥液膜である請求項7に記載のトナーの製造装置。
- 撥液膜がSiO2膜とSiO2膜上にパーフルオロアルキル基を有し、かつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する化合物が結合した膜である請求項8に記載のトナー製造装置。
- メニスカス制御手段が、吐出孔の径方向のメニスカスを制御する手段である請求項1から9のいずれかに記載のトナーの製造装置。
- 液滴化したトナー組成液を帯電させる帯電手段を更に有する請求項1から10のいずれかに記載のトナーの製造装置。
- 請求項1から11のいずれかに記載のトナー製造装置を用いてトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
- 請求項1から11のいずれかに記載のトナー製造装置を用いて製造されたことを特徴とするトナー。
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