JP2009234026A - 静電吸引型インクジェットヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】 静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、低電圧でインクをノズル先端に供給し、所要の印字品質をもつ記録印字を行えるようにする。
【解決手段】 エレクトロウェッティング効果を利用してインク液の表面張力を制御することにより、ノズル10内のインクの排出とノズル内へのインクの選択的供給を行い、ノズル先端に供給されたインクを静電吸引して飛翔させて記録印字を行うようにする。また、ノズル内側形状を先端に行くほど細くなるようにして、毛細管力に傾斜を持たせる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクを帯電させて静電吸引し、インクを飛翔させて印字用紙に記録印字を行う静電吸引型インクジェットヘッドに関する。
この種の静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、従来から種々の構造のものが知られている。例えば、ノズルの側面部に電極を設け、ノズル内溶液との間に制御された電圧を印加することにより、エレクトロウェッティング効果により、溶液をノズル先端部へ供給させている。そして、このノズル先端部に供給された帯電溶液の吐出径を小さくすることにより電界を集中させ、鏡像力によってインク滴として飛翔させ、画像を印字用紙に印字するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−165587号公報
しかし、上述した従来構造では、絶縁物であるノズル壁を利用してエレクトロウェッティング効果を得ているため、壁厚、材質に制限があり、十分な効果を得るためには印加電圧を大きくする必要がある。これは、エレクトロウェッティング(EWOD:Electro Wetting On Dielectrics)効果は絶縁体の厚さが薄いほど、またその誘電率が高いほど顕著になるからである。
また、鏡像力を利用してインク滴を飛翔させるために、ノズル先端と印字用紙との距離を非常に小さくする必要がある。
さらに、インク吐出口がノズルであるために、目詰まりし易いという問題もある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、低電圧でインクをノズル先端に選択的に供給し、それを静電吐出させることにより所要の印字品質をもつ記録印字を行う静電吸引型インクジェットヘッドを得ることを目的とする。
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、インク液の表面張力を制御することにより、ノズル内のインクの排出とノズル内へのインクの選択的供給を行い、ノズル先端に供給されたインクを静電吸引して記録を行うことを特徴とする。
本発明(請求項2記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、インク液の表面張力を制御することにより、スリット内のインクの排出とスリット内へのインクの選択的供給を行い、スリット先端に供給されたインクを静電吸引して記録を行うことを特徴とする。
本発明(請求項3記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、請求項1または請求項2において、インク液の表面張力の制御を、エレクトロウェッティング効果を利用して行うことを特徴とする
本発明(請求項4記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、ノズル内側形状を先端に行くほど細くなるようにして、毛細管力に傾斜を持たせることを特徴とする。
本発明(請求項5記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、スリット間隔を先端に行くほど細くなるようにして、平行平板状毛細管力に傾斜を持たせることを特徴とする。
本発明(請求項6記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、導電性インクの液面に選択的に微小な波を起こし、そこに一様な電界を印加して、エッジ効果により電界を液面の波の凸部に集中させ、静電力が増加し凸部がさらに成長することにより、テーラーコーンを形成し、その先端から飛翔するインク滴により記録を行うように構成したことを特徴とする。
本発明(請求項7記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、請求項6において、エレクトロウェッティング効果を利用して低電圧で撥水、親水の表面性を制御し、液面のメニスカスに変化を起こさせ、インクの液面に微小な波を起こし、これをインク飛翔のトリガーとして利用することを特徴とする。
本発明(請求項8記載の発明)に係る静電吸引型インクジェットヘッドは、請求項6または請求項7において、スリット状のインク吐出口の上下に誘電体層で絶縁された画素電極を持ち、スリット先端部を撥水コーティングしたライン型スリットヘッド構成とすることを特徴とする。
以上説明したように本発明に係る静電吸引型インクジェットヘッドによれば、エレクトロウェッティング効果を利用して、低電圧でインクをノズル先端に選択的に供給し、それを静電吐出させて記録を行うようにしているので、以下に種々優れた効果がある。
すなわち、本発明によれば、インク液の表面張力を制御することにより、ノズル内のインクの排出とノズル内へのインクの選択的供給を行い、ノズル先端に供給されたインクを静電吸引して記録を行うので、毛細管内壁とインク液の接触角が90°より大きい場合は毛細管内へのインク液の浸透は起きず、インク液の表面張力を低下させ、接触角を90°より小さくすると毛細管内への浸透が起きる現象を利用してインクの選択的供給を行うことができる。
特に、ノズル内壁にエレクトロウェッティング効果用の電極と高誘電率誘電体の薄膜を形成しているので、低電圧でエレクトロウェッティング効果の発現が可能である。
また、本発明によれば、高誘電率誘電体薄層の表面に撥水コーティングを施し(誘電体が撥水性の場合はコーティングは不要)、電圧オフの時はノズル内からインクをインク室に排出し、電圧を印加することによりインクをノズル先端に所要の状態で供給することができる。
さらに、本発明によれば、ノズル内側形状を先端に行くほど細くなるようにすることで、毛細管力に傾斜を持たせ、これにより電圧オフの時はノズルの表面張力と撥水性表面により、ノズル内のインクをインク室への排出を促し、電圧オンの時はノズル先端部へのインクの供給を補助する。
さらに、本発明によれば、インク液の表面張力の制御を、エレクトロウェッティング効果を利用して行い、つまりノズル内壁に、エレクトロウェッティング用の電極と誘電体の薄層を形成し、その表面に撥水コーティングを施す(誘電体が撥水性の場合はコーティングは不要)構成としているので、誘電体の膜厚が薄いほど、誘電率が大きいほどエレクトロウェッティング効果は大きくなり、低電圧化が可能になる
また、別の本発明によれば、エレクトロウェッティング効果を利用して、スリット上下に配置した微細電極に沿ってスリット先端までインクを選択的に供給し、それを静電吐出させて記録を行うので、インク液の表面張力を制御することで、スリット内のインクの排出とスリット内へのインクの選択的供給を行い、スリット先端に供給されたインクを静電吸引して記録を行うことができる。
特に、本発明によれば、インクの流路が全てスリット間であり、ノズル方式に比べ目詰まりの発生が非常に少ないという利点がある。
すなわち、本発明によれば、毛細管内壁とインク液の接触角が90°より大きい場合は毛細管内へのインク液の浸透は起きず、インク液の表面張力を低下させ、接触角を90°より小さくすると毛細管内への浸透が起きる現象を利用してインクの選択的供給を行うことができる。
また、本発明によれば、インク液の表面張力の制御を、エレクトロウェッティング効果を利用して行うことから、スリット内壁に、エレクトロウェッティング用の電極と誘電体の薄層を形成し、その表面に撥水コーティングを施す(誘電体が撥水性の場合はコーティングは不要)構成とし、このとき誘電体の膜厚が薄いほど、誘電率が大きいほどエレクトロウェッティング効果は大きくなり、低電圧化が可能になる
また、本発明によれば、スリット間隔を先端に行くほど細くなるようにして、平行平板状毛細管力に傾斜を持たせ、これにより電圧オフの時はインクの表面張力と撥水性表面により、スリット内のインクをインク室への排出を促し、電圧オンの時はスリット先端部へのインクの供給を補助することができる。
さらに、別の本発明によれば、エレクトロウェッティング効果により液面のメニスカスを変化させて、インク滴の飛翔のトリガーとしているから、導電性インクの液面に選択的に微小な波を起こし、そこに一様な電界を印加すると、エッジ効果により電界が液面の波の凸部に集中し、静電力が増加し凸部がさらに成長し、ついにはテーラーコーンが形成され、その先端から飛翔するインク滴により所要の記録を行うことができる。
さらに、本発明によれば、エレクトロウェッティング効果を利用して低電圧で表面性(撥水・親水)を制御し、液面のメニスカスに変化を起こさせ、インクの液面に微小な波を起こし、これをインク飛翔のトリガーとして利用するので、インクの流路が全てスリット間であり、ノズル方式に比べ目詰まりの発生が非常に少ない。
また、本発明によれば、スリット状のインク吐出口の上下に誘電体層で絶縁された画素電極を持ち、スリット先端部を撥水コーティングしたライン型スリットヘッド構成としているので、構造が非常に単純であり、フォトリソグラフィ技術により、容易に高解像度のヘッドが実現できる。
図1(a),(b)は本発明に係る静電吸引型インクジェットヘッドの一実施形態を示す。
これらの図において、符号10はマルチノズルヘッドを構成する1つのノズルであり、このノズル10を構成する基材の内面には、ノズル電極11、誘電体層12、撥水(インク)層13が形成されている。
ここで、ノズル10とノズル電極11は画素ごとに1個持ち、Sw1素子、Sw2素子は画素ごとに1個持つか、時分割制御方式により、複数画素に1個の割合で持つように構成してもよい。
また、15はインク室であり、その背面側には共通駆動電極16と共通制御電極17とが設けられている。さらに、18は印字用紙、19は対向電極である。
なお、上述した電極には、制御電源Vc、共通駆動電源Vk、バイアス電源Vb等が適宜接続されている。さらに、Sw3素子はヘッド1全体で全画素共通に1個持つ。
図2は上述したインクジェットヘッドの動きを説明するものであり、ここにおいて、インク室15にはインクタンク(図示せず)より、毛細管力やポンプ(図示せず)によりインクが充填されている
このような構成において、同図(a)で示す状態Aでは、Sw1素子をA側、Sw3素子をF側、Sw2素子をD側に切替え、インク内の電荷を放電させる。これにより、インク液は放電することにより、標準の表面張力状態になっており、撥水(インク)層表面のノズル10内には進入できずに、ノズル10入口に待機する。
同図(b)に示す状態Bでは、記録する画素に対応するSw2素子をE側に切替える。インク液とノズル電極11の間に電圧が印加され、エレクトロウェッティング効果が発現し、インクの表面張力が低下し、インクがノズル10内に浸透し、先端部に供給される。
なお、制御電圧を印加しない場合は、インクは状態Aを保っている。
上述した表面張力の低下を接触角の関係で表すと次式(数1)のように表される。
Figure 2009234026
たとえばエポキシ樹脂に高誘電率フィラー(チタン酸バリウム等)を高充填した高誘電率絶縁シート(比誘電率=45、膜厚=10μm)利用してヘッドを構成し、インクの表面張力を標準的な値として20mN/m、電圧オフ時の接触角を90°として接触角の変化をみると、次の表1のようになる。
Figure 2009234026
すなわち、接触角90°の撥水(インク)性の状態から親水(インク)性へと低電圧の印加で移行する。
ノズル内への浸透現象は次のLucas-Washburnの式(数2)で表される。
Figure 2009234026
これより、表1の例で15Vの印加電圧で接触角が77.0°に変化した場合のインクのノズル10内への浸透距離、浸透時間を求めると表2のようになる。
ここでは、ノズルを直径100μmの毛細管とみなした。
Figure 2009234026
このような状態において、A4用紙、横送り、600dpi、30ppmとすると、1ドットラインの印字は325μs以内の処理時間にする必要がある。
また、インクの浸透、排出を考える必要があるから、それぞれを約150μs以内に終了する必要がある。この時、表2より、この時間(150μs)で浸透距離は約900μmが可能である。よって、これらの条件のときは、印字ドットと非印字ドットでノズル内の液面先端の位置の差で900μmが確保でき、ノズルの長さをこの900μmとする。
次に、同図(c)に示す状態Cでは、Sw1素子をB側に、Sw2素子をC側に切替える。その後に、Sw3素子をG側に切替え、共通駆動電極に共通駆動電源を印加することにより、状態Bでノズル先端まで移動したインクのみを静電吐出させる。
次に、Sw1素子をA側、Sw2素子をD側、Sw3素子をF側に切替え、状態Aに戻し、次の印字に待機する。
この時、インク内の電荷を放電させることによって、インクの表面張力が標準値に戻り、ノズル10の内壁の撥水(インク)性とノズル10の内径の傾きにより、ノズル10内のインクはインク室15に排出される。
次に、以上のように、画像データに対応して状態A〜状態Cを繰り返して印字を行う。
また、ノズル10先端と記録媒質の距離はノズル10先端の液面の電気流体的な不安定性を利用した従来の静電吸引型インクジェット方式と同様であり、0.2mm〜2mm程度が可能である。
以上のような構成によれば、10〜20V程度の低電圧で印字画素ドットを選択することができる。
特に、従来の静電吸引方式に比べて非常に低電圧であり、切替え素子が安価に構成できる。
また、ノズル先端と記録媒質の距離は2mm程度までは可能であり、設計性、製造性が向上する。
図3はマルチノズルヘッドのノズル部構成の変形例を示す。
すなわち、ノズル10の上下壁面は平行とし、上部基材の底面と下部基材の溝の底面に、エレクトロウェッティング用の電極11と誘電体層12を形成する。また、ノズル10の左右側面は先端に行くほど間隔を狭くして、毛細管力に傾斜を持たせる。さらに、ノズル10の内壁は撥水(インク)コーティングを施す。
そして、上部基材と下部基材を別々に加工を施し、最後に接合させて完成させる。
このような構成を採ることによって、マルチヘッドノズルの製造が容易になるのである。
図4ないし図6は本発明に係る静電吸引型インクジェットヘッドの別の実施形態を示すものであり、この実施形態では、ヘッドをスリットヘッド20とし、インクの吐出口を上述した実施形態でのノズルではなく、スリット状インク吐出口21とした場合である。
ただし、それ以外の構成は、前述した実施形態でのノズル10とほぼ同等であるから、同一または相当する部分には同一番号を付して詳細な説明は省略する。
ここで、画素電極22,23は画素ごとに上下1組持ち、Sw1素子、Sw2素子は画素ごとに1個持つか、時分割制御方式により、複数画素に1個の割合で持つように構成してもよい。また、制御電源Vc、共通駆動電源Vk、バイアス電源Vb、共通駆動電極16、共通制御電極17、対向電極19、インク室15、およびSw3素子はヘッド20全体で全画素共通に1個持つ。
上述した構成において、動作は図6に示すようになっている。ここで、このスリットヘッド20の動作は、前述した実施形態でのノズル10の場合とほぼ同じであり、詳細な説明は省略する。
ここで、この実施形態では、画素電極22,23に沿ったスリット間へのインクの浸透であるから、厳密には毛細管浸透現象ではないが、スリット間隔が狭い(100μm程度)ために、前述した実施形態とほぼ同等の現象として近似して考えることができる。
また、この実施形態でのスリット内の液面先端の位置の差で900μmが確保でき、スリット状インク吐出部21の長さをこの900μmとする。
さらに、この実施形態では、インク内の電荷を放電させることによって、インクの表面張力が標準値にもどり、スリット内壁の撥水(インク)性とスリット間隔の傾斜により、スリット内のインクはインク室15に排出されるのである。
そして、画像データに対応して状態A〜状態Cを繰り返して印字を行うのである。
また、スリット先端と記録媒質の距離はノズル先端の液面の電気流体的な不安定性を利用した従来の静電吸引型インクジェット方式と同様であり、0.2mm〜2mm程度が可能である。
このような構成でも、前述した実施形態とほぼ同等の作用効果を奏する。
また、この実施形態では、スリット先端と記録媒質の距離は2mm程度までは可能であり、設計性、製造性が向上する。
さらに、この実施形態では、インクの流路が全てスリット間であり、ノズル方式に比べ目詰まりの発生が非常に少ないという利点がある。
図7は本発明のさらに別の実施形態を示すものであり、この実施形態も、ライン型ヘッドと呼ばれるスリットヘッド20である場合である。
ここで、画素電極22,23は画素ごとに上下一組をもち、誘電体層12により導電性インクとは絶縁されている。
また、スリットの先端は図のように撥水コーティング13を施す。
Sw1素子は画素ごとに1個持つか、時分割制御方式により、複数画素に1個の割合で持つように構成してもよい。
さらに、制御電源Vk、バイアス電源Vb、制御電極25、対向電極19、インク室15およびSw2素子、Sw3素子はヘッド20全体で1個持つ。
また、スリットヘッド20と対向電極19の間に記録用紙18を配置し、対抗電極19に向かって飛翔したインク滴により、この上に記録を行う。
このような実施形態でのスリットヘッド20において、その動作は図8、図9に示すようになっている。
すなわち、インク室15にはインクタンク(図示せず)からポンプ等(図示せず)によりインクが充填される。
ここで、インク室15に加えた正圧と、スリット先端の撥水コーティング13により、スリット先端の液面形状は図のように凸面となるが、この状態で制御電源をON(Sw2をD側)、バイアス電源をON(Sw3を短絡)しても、インクが対向電極に向かって飛翔しないように、これらの電源値を調整しておく。
図8(a)、図9(a)に示す「スタンバイ状態」では、次のようになっている。
すなわち、Sw1素子をA側、Sw2素子をE側に切替え、前ドットの印字動作の時にインク内に注入された電荷を放電させる。インクは放電することにより、エレクトロウェッティング効果がなくなり、スリット先端の液面は凸面となる。また、Sw3素子は開放に切替え、次の印字動作に備える。
次に、図8(b−1,b−2)、図9(b)に示す「印字/非印字画素選択」のように、印字画素に対応するSw1素子をA側、非印字画素に対応するSw1素子をC側に切替えると同時に、Sw2素子をD側に切替える。すると、制御電極25より電荷が注入され、Sw1素子をA側に切り替えGNDに接続された印字画素に電荷が集中し、エレクトロウェッティング効果が発現し、その部分の濡れ性が親水性に傾き、スリット先端の液面の形状が凹面になる。
ここで、図8(b−1)に示すように、制御電極25と同電位の非印字画素電極部には電荷の集中はなく、濡れ性の変化はなく、撥水性のままで、スリット先端の液面は凸面を保持している。
次に、図8(c−1,c−2)、図9(c)、(d)、(e)に示す「インク滴の飛翔」に示すように、印字画素のSw1素子をB側に切替え、電極をフローティングにすることによりエレクトロウェッティング効果が低下し、液面が凹面から元の凸面に戻ろうとし、この時、図9(c)に示すように、液面表面が波立つ。
この時、Sw3素子を短絡してバイアス電源VbをONすることにより、エッジ効果により電界が表面の波の微小な凸部に集中し、静電力が増加し凸部がさらに細長く成長し、図9(d)に示すように、糸曳き現象が始まる。
糸曳き現象が始まるとついにはテーラーコーンが形成され、図9(e)に示すように、その先端から液滴が対向電極に向かって飛翔を開始し、間にある記録紙に印字される。
一方、エレクトロウェッティング効果の発現していない非印字画素はSw1素子をB側に切替えても、液面表面は波立たず、液面の凸部の曲率が大きく、エッジ効果が働かず、糸曳き現象に成長しないためインク滴の飛翔が起こらない。
以上のように、画像データに対応して上の状態を繰り返して印字を行う。
この濡れ性の変化を接触角の関係で表すと、次式(数1)のように表される。
(たとえばJournalofAppliedPhysics.Vol.92,No.7,2002pp.4080〜4087を参照)
Figure 2009234026
たとえばエポキシ樹脂に高誘電率フィラー(チタン酸バリウム等)を高充填した高誘電率絶縁シート(比誘電率=45、膜厚=10μm)利用してヘッドを構成し、インクの表面張力を標準的な値として20mN/m、電圧オフ時の接触角を110°として接触角の変化をみると、次の表3のようになる。
Figure 2009234026
すなわち、接触角110°の撥水(インク)性の状態から親水(インク)性へと低電圧の印加で移行させることが可能である。
よって、本方式では制御電源の電圧は30V程度で実現でき、他の静電型インクジェット方式に比べて、非常に低電圧で画素の印字/非印字の選択が可能である。
対向電極との距離及び、印加電圧を図10のように考えると、スリット間隔:dは次式(数4)で表される。(たとえば画像電子学会誌17巻第4号1988年、pp.185〜193を参照)
Figure 2009234026
対向電極との距離h:0.5[mm]を確保し、表面張力γ:20[mN/m]、印加電圧Vb:3[kV]とすると、
d>197μm
となるから、スリット間隔は200μm以上とする。
なお、この実施形態では、スリットタイプのヘッド20を想定しているが、画素電極の間を隔壁で区切ってノズルタイプとしても何ら問題なく動作する。
このような実施形態によれば、30V程度の低電圧で印字画素ドットを選択することができる。特に、従来の静電吸引方式に比べて非常に低電圧であり、切替え素子が安価に構成できる。
また、インクの流路が全てスリット間であり、ノズル方式に比べ目詰まりの発生が非常に少ない。
さらに、構造が非常に単純であり、フォトリソグラフィ技術により、容易に高解像度のヘッドが実現できる。
図11は上述した実施形態の変形例を説明するものである。
すなわち、スリット上下の画素電極は通常、同図(a)に示すように対向して配置されるが、これに代えて同図(b)に示すように、対向して配置した画素電極を互い違いに配置してもよい。
このようにすると、それぞれが1画素に対応することにより、駆動電圧値は多少大きくする必要があるが、Sw1素子の必要数が半分になる。
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、静電吸引型インクジェットヘッドを構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
本発明に係る静電吸引型インクジェットヘッドの一実施形態を示し、(a),(b)はマルチノズルヘッドを構成した場合の1つのノズルを示す概略断面図とその要部拡大図である。 (a),(b),(c)は図1のマルチノズルヘッドの動きを説明する説明図である。 図1のマルチノズルヘッドのノズル部の変形例を示し、(a)はその正面図、上面図、後面図、両側面図、(b)はノズル構成を示す上面図、A−A’、B−B’断面図である。 本発明に係る静電吸引型インクジェットヘッドの別の実施形態を示し、(a),(b)は1つのスリット状インク吐出口の詳細図と、その一部拡大図である。 図4の静電吸引型インクジェットヘッドの概略斜視図である。 (a),(b),(c)は図4のマルチノズルヘッドの動きを説明する説明図である。 本発明のさらに別の実施形態を示し、(a)はライン型ヘッドにおける一つのスリット状インク吐出口を示す要部断面図、(b)はそのスリットヘッド部を示す拡大図である。 図7のスリットヘッドでの動作を説明するための図である。 スリット先端のメニスカスの挙動を示す説明図である。 スリット間隔dを説明する説明図である。 スリット先端の正面図である。
符号の説明
10…マルチノズルヘッド(ノズル)、11…ノズル電極、12…誘電体層、13…撥水(インク)層、15…インク室、16…共通駆動電極、17…共通制御電極、18…印字用紙、19…対向電極、20…スリットヘッド、21…スリット状インク吐出口、22,23…画素電極、25…制御電極。

Claims (8)

  1. インク液の表面張力を制御することにより、ノズル内のインクの排出とノズル内へのインクの選択的供給を行い、
    ノズル先端に供給されたインクを静電吸引して記録を行うことを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
  2. インク液の表面張力を制御することにより、スリット内のインクの排出とスリット内へのインクの選択的供給を行い、
    スリット先端に供給されたインクを静電吸引して記録を行うことを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
  3. 請求項1または請求項2記載の静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、
    インク液の表面張力の制御を、エレクトロウェッティング効果を利用して行うことを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、
    ノズル内側形状を先端に行くほど細くなるようにして、毛細管力に傾斜を持たせることを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、
    スリット間隔を先端に行くほど細くなるようにして、平行平板状毛細管力に傾斜を持たせることを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
  6. 導電性インクの液面に選択的に微小な波を起こし、
    そこに一様な電界を印加して、エッジ効果により電界を液面の波の凸部に集中させ、
    静電力が増加し凸部が更に成長することにより、テーラーコーンを形成し、
    その先端から飛翔するインク滴により記録を行うように構成したことを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
  7. 請求項6記載の静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、
    エレクトロウェッティング効果を利用して低電圧で撥水、親水の表面性を制御し、
    液面のメニスカスに変化を起こさせ、
    インクの液面に微小な波を起こし、これをインク飛翔のトリガーとして利用することを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
  8. 請求項6または請求項7記載の静電吸引型インクジェットヘッドにおいて、
    スリット状のインク吐出口の上下に誘電体層で絶縁された画素電極を持ち、
    スリット先端部を撥水コーティングしたライン型スリットヘッド構成とすることを特徴とする静電吸引型インクジェットヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101081570B1 (ko) 2010-03-30 2011-11-08 제주대학교 산학협력단 정전기력 잉크젯 헤드
JP2012008328A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Ricoh Co Ltd トナー、並びにその製造方法及び装置
KR101243113B1 (ko) 2011-01-31 2013-03-12 제주대학교 산학협력단 정전기력 잉크젯 헤드
CN103909731A (zh) * 2013-01-07 2014-07-09 中国科学院理化技术研究所 电渗喷墨装置

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