JP2012007727A - ガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置 - Google Patents

ガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスを主成分とする材料を用いた場合の接合強度や気密性の低下を防止できるとともに、熱サイクル等によって装置に熱が加わった場合でも、シール部分における気密性を確保することができるガスシール複合体及びガスシール複合体を備えた装置を提供すること。
【解決手段】水素製造装置1のガスシール複合体7は、環状の一対の第1部材43、45と第1部材43、45の間に挟まれた環状の第2部材47から構成されている。第1部材43、45は、膨張黒鉛からなる耐熱性のガスケットである。第1部材43、45は、空間41内にて、押圧金具9の押圧によって圧縮された状態に保持されている。また、第2部材47は、ガラスリングである。このガラスリングは、水素製造装置1の使用温度で軟化して周囲に密着し、第1部材43、45とともに、水素分離筒3との外周面と取付金具5の内周面との間をガスシールする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置、特に、ガス分離装置(例えば水素製造装置)や固体酸化物形燃料電池などに使用されるガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置に関する。
従来より、高温におけるセラミックス部材と金属部材との気密な接合に関して、例えば原料ガスから所望のガスを選択して分離することにより純度の高い所望のガスを分離するガス分離装置や、高温でのシール性を求められる固体酸化物形燃料電池(SOFC)等において、各種のガスシール構造の開発が行われていた。
例えば燃料電池に供給する水素を製造する装置として、下記特許文献1に記載の様に、例えば表面に水素透過膜を備えた水素分離管を収納容器内に配置した水素製造装置(水素分離装置)が開発されている。
この水素製造装置では、水素透過膜の支持体として、主としてセラミックスからなる改質触媒兼支持体を用いた試験管形状の水素分離筒が用いられるとともに、水素分離筒を固定する取付金具等が用いられていた。そして、この水素製造装置では、セラミックス製の水素分離筒と取付金具との間のガスシールを行うために、例えば膨張黒鉛からなるシール材が用いられていた。
この種のガスシールを行う技術としては、下記特許文献2に記載の様に、燃料電池のガスシールを行う接合部に、無機接着剤とガラスを混合した状態で塗布し、温度を上げることによって、多孔質な無機接着剤とその細孔内に充填された溶融ガラスによってシールする技術が知られている。
また、下記特許文献3には、使用温度域が固相線以上、液相線以下になる2元系以上の酸化物(ガラス)を使用し、使用温度域で固相と液相が共存した状態でシールする方法が開示されている。
更に、下記特許文献4には、外周部に溝を形成した筒状のセラミックス部材とセラミックス部材の溝内に挿入されたリング状の金属板とを用いるとともに、金属板の挿入部の少なくとも一部を包み込むように溝内に充填されたガラスを用いて、セラミックス部材と金属板との間を気密して接合する技術が開示されている。
また、下記特許文献5には、シール部分の熱膨張率を合わせるために、ガラスにセラミックスフィラーを混合する技術が開示されている。
また、下記特許文献6には、ろう材を使用した技術が開示されている。
特開2009−184883号公報 特開平3−67466号公報 特開平5−325999号公報 特許第3941542号公報 特許第3378452号公報 特開2006−273658号公報
しかしながら、上述した従来技術では、ガス分離装置、SOFC等におけるガスシール構造のガスシール性に関しては、必ずしも十分ではないという問題があった。
例えば、溶融ガラス及び結晶化ガラスを使用した場合、金属部品とセラミックス部品を接触させ、その間にガラスを肉盛りしたり、メニスカスを形成して接合及びガスシールを行うが、その際には、室温時にリング或いはペースト状のガラスを接合部に配置し、温度を上げてガラスを溶融し、その後温度を下げて使用される。しかし、その場合、接合温度が使用温度に近いと、使用時に接合強度が不十分になり、力が加わると外れてしまうという問題があった。また、同様にろう材を使用した場合も、ろう材の接合温度が、使用温度に近いと、使用時に接合が不十分となり、力が加わると外れてしまうという問題があった。
また、接合温度を高くすると、被接合物である金属部品やセラミックス部品に大きな負荷を与えてしまい、(例えば脆くなったり破損の発生等のように)機能が変質して気密性(ガスシール性)が低下する可能性があった。
更に、ガラスと被接合物との間に熱膨張差があると、被接合物の変形にガラスが耐えられず、クラックや剥離が生じ、結果として気密性を保てないことがあった。
その上、ガラス接合は、ガラス表面が使用雰囲気に曝されるため、ガラスが変質して気密性を保てなくなったり、ガラスが揮発して気密性が保てなくなるという問題もあった。
一方、ガスケットを使用した場合、ガスケットを金属部品とセラミックス部品との間で圧縮(締め付け)することによって、気密性を保っているが、締め付け圧が弱いとリークが生じ、気密性を保つことができない。しかし、締め付け圧が強すぎると、金属部品又はセラミックス部品の変形や破損が発生する恐れがあり、結果的に気密性を保てないという問題があった。
また、初期に気密が保たれていても、熱サイクルによる部品の膨張、収縮によって締め付けが緩み、締め付け圧が不十分になって気密性が保てないという問題もあった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ガラスを主成分とする材料を用いた場合の接合強度や気密性の低下を防止できるとともに、熱サイクル等によって装置に熱が加わった場合でも、シール部分における気密性を確保することができるガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置を提供することである。
(1)本発明は、第1態様として、金属部材と該金属部材に対向して配置される相手部材との間に配置されて、該金属部材と該相手部材との間隙をガスシールするガスシール複合体において、前記金属部材と前記相手部材との間に配置されて該金属部材と該相手部材との間隙をそれぞれガスシールする少なくとも2個の第1部材と、ガラスを主成分とし、前記金属部材と前記相手部材との間隙を閉塞するように前記2個の第1部材の間に配置された第2部材と、を有するとともに、前記第2部材は、前記第1部材が昇華点を有する部材の場合にはその昇華点より低い温度で少なくとも一部が前記金属部材及び/又は相手部材の表面の形状に追従可能な軟化状態となり、前記第1部材が融点及び軟化点を有する部材の場合にはその軟化点より低い温度で少なくとも一部が前記軟化状態となり、前記第1部材が融点のみを有する部材の場合にはその融点より低い温度で少なくとも一部が前記軟化状態となる特性を有することを特徴とする。
本第1態様では、金属部材と相手部材との間に、ガスシールを行う2個の第1部材と、その両第1部材の間に配置されたガラスを主成分とする第2部材とを備えており、第2部材は、(温度上昇により)第1部材が昇華する前又は溶融する前又は軟化する前に軟化状態となる性質を有している。
ここで、軟化状態とは、金属部材や相手部材の表面の形状に追従可能な柔軟な状態を示しており、例えばガラスの場合には、軟化点以上又は転移点以上となって、外力等に応じて柔軟に変形可能な状態となることをいう。
従って、ガスシール複合体を、(第1部材が昇華又は溶融又は軟化しない状態で)第2部材が軟化状態となる温度で使用することにより、例えば単に第1部材のみを使用する場合に比べて、又は、単にガラスを使用してガスシールする場合に比べて、高い気密性が得られる等の優れた効果を奏する。
詳しくは、上述したように、溶融ガラスや結晶化ガラスのみを使用した場合には、その接合温度が使用温度に近いと、使用時に接合強度が不十分になり、力が加わると外れてしまうという問題や、接合温度が高くなると、機能が変質して気密性が低下するという問題や、周囲との熱膨張差によってクラックや剥離が生じて気密性が低下するという問題があるが、本第1態様では、その様な問題は生じない。
一方、ガスケットのみを使用した場合には、締め付け圧力によっては、気密性が低下したり、部品の破損等が発生するという問題や、熱サイクルによって気密性が低下するという問題があるが、本第1態様では、その様な問題は生じない。
つまり、本第1態様によれば、ガラスを主成分とする材料を用いた場合の接合強度や気密性の低下を防止できるとともに、熱サイクル等によって装置に熱が加わった場合でも、シール部分における気密性を確保することができるという顕著な効果を奏する。
(2)本発明は、第2態様として、前記第2部材が軟化状態となる温度は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度よりも低く設定されていることを特徴とする。
ここで、第2部材が軟化状態となる温度としては、ガラス転移点(転移温度)を採用できる。つまり、転移点以上であれば、第2部材が変形性を有する(軟化状態となる)ことになり、シール性が現れる。なお、転移点(転移温度)よりも高い温度である軟化点(軟化温度)では、第2部材の粘性が更に低くなり、より変形しやすくなるため、シール性により有利と考えられる。つまり、第2部材が変形し易くなるに連れ、他の部材の表面に対する追従性が高くなり、シール性が向上する。
この軟化温度は、第2部材がガラスの場合は、ガラスの変形流動が開始する温度で、粘性率で約107.6dPa・sである。
ガラスの軟化温度を決定するための粘性率は、貫入法で測定できるが、ここでは、下記の様に、示差熱分析(DTA)曲線の第2吸熱部の裾の温度を軟化温度とする。
また、ガラスの転移点は、ガラスの構造が変化する温度(前述した「変形流動」が始まる軟化温度より低い温度)であり、ガラスの粘性率が1013.3dPa・sになる際の温度で規定されている。なお、このガラスの粘性率は、ビームベンディング法で測定できるが、ここでは、下記の様に、DTA曲線の第1吸熱部の肩の温度を転移点とする。
具体的には、図16に示す様に、対象物(例えばSiO2−B23−MgO−BaO−ZnO)のDTA曲線を作成した場合、第2吸熱部の裾とは、DTA曲線の第2吸熱部において、Heat Flow(熱流量)の変化が鈍化する位置における両側の変曲点の接線が交わる点を示している。また、第1吸熱部の肩とは、DTA曲線の第1吸熱部において、熱流量が急減する位置における両側の変曲点の接線が交わる点を示している。
なお、DTA曲線を作製する際には、例えば、対象物のサンプルを50mgとり、大気雰囲気下で室温から10℃/minで昇温し、標準物質(α−アルミナ)を対象として用いて、DTA曲線を作製する。
これにより、例えば水素製造装置を使用して水素を製造する場合や固体酸化物形燃料電池を使用して発電する場合などに、気密性の低下等の問題の発生を防止できるという顕著な効果を奏する。
ここで、例えば水素製造装置の使用温度としては、例えば350〜700℃の範囲が挙げられる。よって、この場合の第2部材が軟化状態となる温度としては、その使用温度より低い、例えば300〜700℃(但し700℃未満)の範囲が挙げられる。
同様に、例えば固体酸化物形燃料電池の使用温度としては、例えば300〜1000℃の範囲が挙げられる。よって、この場合の第2部材が軟化状態となる温度としては、その使用温度より低い、例えば250〜1000℃(但し1000℃未満)の範囲が挙げられる。
なお、第2部材の材料としては、周知の材料や市販の材料などから、第2部材が用いられる装置の使用温度にて軟化する材料を、適宜選択すればよい。
(3)本発明は、第3態様として、前記第2部材は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度にて、少なくとも一部が前記金属部材及び前記相手部材と接する部位において該金属部材及び/又は該相手部材の表面の形状に追従可能な軟化状態となるように、前記第2部材の組成が設定されていることを特徴とする。
これにより、例えば水素製造装置や固体酸化物形燃料電池を使用する場合には、第2部材は、金属部材や相手部材の表面の形状に追従して変形するので、高い気密性を確保できる。
なお、第2部材が軟化状態となる温度(例えば軟化点)が、例えば水素製造装置を使用する温度(例えば350〜700℃)より低い例えば300〜700℃(但し700℃未満)の範囲の場合には、この第2部材の組成として、例えば主成分をSiO2−B23−R2O、SiO2−B23−RO、SiO2−PbO、SiO2−B23−PbO、SiO2−B23−ZnO、SiO2−ZnO−RO、SiO2−B23−Bi23、B23−ZnO−PbO、B23−Bi23、Bi23−B23、Bi23−ZnO−B23、SiO2−Al23−RO等とするガラスを採用することができる。なお、ここでR2OのRはアルカリ金属(Li、Na、K)の略号、ROのRはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)の略号である(以下同様)。
また、第2部材が軟化状態となる温度(例えば軟化点)が、例えば固体酸化物形燃料電池を使用する温度(例えば300〜1000℃)より低い例えば250〜1000℃(但し1000℃未満)の範囲の場合には、この第2部材の組成として、主成分をSiO2−B23−R2O、SiO2−B23−RO、SiO2−PbO、SiO2−B23−PbO、SiO2−B23−ZnO、SiO2−ZnO−RO、SiO2−B23−Bi23、B23−ZnO−PbO、B23−Bi23、Bi23−B23、Bi23−ZnO−B23、SiO2−Al23−RO等とするガラスを採用することができる。
なお、第2部材の材料としては、周知の材料や市販の材料などから、第2部材が用いられる装置の使用温度にて上述したように追従する材料を、適宜選択すればよい。
(4)本発明は、第4態様として、前記第1部材は、膨張黒鉛、マイカ、又はバーミキュライトからなり、前記第2部材は、ガラスからなることを特徴とする。
ここでは、第1部材と第2部材の好適な使用例を示している。
この膨張黒鉛製の第1部材としては、黒鉛本来の高い耐熱性能に加え、シール性能に優れる稠密構造を有し、且つ、柔軟性及び高い圧縮性並びに弾性復元力を有している。例えば600℃又はそれ以上の高温に長時間曝された場合にも、第1部材自体が顕著に破壊・化学変化しない耐熱・耐化学性能を備えたものが望ましい。
なお、膨張黒鉛としては、下記の物性値を有することが好ましい。
密度(嵩密度)が0.6〜1.9g/cm3、圧縮率(JIS−R3453に準拠)が10〜90%、復元率(JIS−R3453に準拠)が3〜70%、酸化開始温度(空気中での加熱によって重量が1%減少したときの温度)が400℃以上。
また、ガラスとしては、軟化点又は転移点が300〜700℃の範囲のガラスを用いることができる。具体的には、ホウ珪酸ガラス(SiO2−B23−R2O)等を採用できる。
(5)本発明は、第5態様として、前記第2部材は、ガラスであり、該ガラスの転移点は、前記ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度より低く設定されていることを特徴とする。
ここでは、第2部材の好適な使用例を示しており、ガラスの転移点が、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度より低く設定されていることにより、装置が使用される際には、ガラスは軟化状態となって好適にシールすることができる。
(6)本発明は、第6態様として、金属部材と該金属部材に対向して配置される相手部材との間に配置されて、該金属部材と該相手部材との間隙をガスシールするガスシール複合体において、前記金属部材と前記相手部材との間に配置されて該金属部材と該相手部材との間隙をそれぞれガスシールする少なくとも2個の第1部材と、金属を主成分とし、前記金属部材と前記相手部材との間隙を閉塞するように前記2個の第1部材の間に配置された第2部材と、を有するとともに、前記第2部材は、前記第1部材が昇華点を有する部材の場合にはその昇華点より低い温度で少なくとも一部が溶融し、前記第1部材が融点及び軟化点を有する部材の場合にはその軟化点より低い温度で少なくとも一部が溶融し、前記第1部材が融点のみを有する部材の場合にはその融点より低い温度で少なくとも一部が溶融する特性を有することを特徴とする。
本第6態様では、金属部材と相手部材との間に、ガスシールを行う2個の第1部材と、その両第1部材の間に配置された金属を主成分とする第2部材とを備えており、第2部材は、(温度上昇により)第1部材が昇華する前又は溶融する前又は軟化する前に少なくとも一部が溶融する性質を有している。
ここで、溶融するとは、第2部材が、単体の金属の場合は融点、合金の場合は固相線を意味する(以下同様)。
従って、ガスシール複合体を、(第1部材が昇華又は溶融又は軟化しない状態で)第2部材の一部が溶融する温度で使用することにより、前記第1態様と同様に、例えば単に第1部材のみを使用する場合に比べて、又は、単にろう材を使用してガスシールする場合に比べて、高い気密性等の優れた効果を奏する。
つまり、本第6態様によれば、金属を主成分とする材料を用いた場合の接合強度や気密性の低下を防止できるとともに、熱サイクル等によって装置に熱が加わった場合でも、シール部分における気密性を確保することができるという顕著な効果を奏する。
(7)本発明では、第7態様として、第2部材が溶融する温度を、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度よりも低く設定することができる。
これにより、例えば水素製造装置や固体酸化物形燃料電池を使用する場合に、気密性の低下等の問題の発生を防止できるという顕著な効果を奏する。
ここで、例えば水素製造装置の使用温度としては、例えば350〜700℃の範囲が挙げられる。よって、この場合の第2部材の融点としては、例えば300〜700℃(但し700℃未満)の範囲が挙げられる。
同様に、例えば固体酸化物形燃料電池の使用温度としては、例えば300〜1000℃の範囲が挙げられる。よって、この場合の第2部材が溶融する温度としては、例えば250〜1000℃(但し1000℃未満)の範囲が挙げられる。
なお、第2部材の材料としては、周知の材料や市販の材料などから、第2部材が用いられる装置の使用温度にて溶融する材料を、適宜選択すればよい。
(8)本発明では、第8態様として、前記第2部材は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度にて、第2部材の少なくとも一部が溶融して金属部材及び相手部材と接する部位において金属部材及び/又は相手部材の表面の形状に追従するように、第2部材の組成を設定することができる。
これにより、例えば水素製造装置や固体酸化物形燃料電池を使用する場合には、第2部材は、金属部材や相手部材の表面の形状に追従して変形するので、高い気密性を確保できる。
なお、第2部材の溶融する温度が、水素製造装置を使用する温度例えば350〜700℃より低い例えば300〜700℃(但し700℃未満)の範囲の場合には、この第2部材の組成として、例えば、BAg−4(固相線670℃)、BAg−5(固相線675℃)、BAg−6(固相線690℃)、BAg−7(固相線620℃)を採用することができる。
また、第2部材の溶融する温度が、例えば固体酸化物形燃料電池を使用する温度(例えば300〜1000℃)より低い例えば250〜1000℃(但し1000℃未満)の範囲の場合には、この第2部材の組成として、例えば、BAg−4(固相線670℃)、BAg−5(固相線675℃)、BAg−6(固相線690℃)、BAg−7(固相線620℃)、Ag(融点962℃)を採用することができる。
なお、第2部材の材料としては、周知の材料や市販の材料などから、第2部材が用いられる装置の使用温度にて上述したように追従する材料を、適宜選択すればよい。
(9)本発明は、第9態様として、前記第1部材は、膨張黒鉛、マイカ、又はバーミキュライトからなり、前記第2部材は金属からなることを特徴とする。
ここでは、第1部材と第2部材の好適な使用例を示している。
(10)本発明は、第10態様として、前記装置の使用温度が、300〜1000℃のであることを特徴とする。
例えば水素製造装置の使用温度としては、350〜700℃が挙げられ、固体酸化物形燃料電池の使用温度としては、300〜1000℃が挙げられる。
(11)本発明は、第11態様として、前記2個の第1部材と前記第2部材とを備えたガスシール複合体は、前記金属部材と前記相手部材とを積層して配置する方向に沿って押圧されるコンプレッションシールであることを特徴とする。
ここでは、コンプレッションシールの構成を例示している。
(12)本発明は、第12態様として、前記2個の第1部材と前記第2部材とを備えたガスシール複合体は、前記2個の第1部材で前記第2部材を挟む向う方向に沿って押圧されるコンプレッションシールであることを特徴とする。
ここでは、コンプレッションシールの構成を例示している。
(13)本発明は、第13態様として、前記第2部材は、前記金属部材と前記相手部材と前記第1部材とに接合していることを特徴とする。
(14)本発明は、第14態様として、金属部材と該金属部材に対向して配置される相手部材との間に、該金属部材と該相手部材との間隙をガスシールする前記請求項1〜13のいずれか1項に記載のガスシール複合体を備えた装置を特徴とする。
この装置としては、例えばガス分離装置(例えば水素分離装置)や固体酸化物形燃料電池などが挙げられる。
ここで、前記各請求項においては、第1部材や第2部材を構成する材料としては、本発明の特性(軟化状態や溶融の特性)を有するものを、例えば周知の材料から選択したり、市販の材料から適宜選択して使用することができる。
また、相手部材としては、セラミックスを主体とした例えば試験管形状の水素分離筒や平板形状の水素分離板が挙げられる。この水素分離筒や水素分離板としては、(改質触媒兼支持体である)多孔質支持管(又は多孔質支持板)の表面に水素透過膜が形成された筒状体(又は板材)や、多孔質支持管(又は多孔質支持板)の表面に、金属の拡散を防止するバリア層が形成され、更にバリア層の表面に水素透過膜が形成された筒状体(又は板材)が挙げられる。
このうち、多孔質支持管(又は多孔質支持板)を構成する材料としては、例えばニッケルとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の混合物の焼結体、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物を主体とする焼結体(Ni−YSZサーメット等)、その他、支持体としての機能と改質触媒としての機能の両機能を合わせ有する多孔質セラミックス、多孔質サーメットなどが挙げられる。
水素透過膜としては、例えばPd膜やPd合金膜などの金属膜が挙げられる。
バリア層の構成材料としては、例えばジルコニア、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、セリア等、もしくはそれらの材料の混合物もしくは化合物を用いることができる。
また、金属部材としては、前記水素分離筒や水素分離板を取り付ける取付部材が挙げられ、この取付部材としては、耐熱性及び耐酸化性を有する例えばSUS405、SUS316、SUS316L、SUS304、SUS430等のステンレスや、コバール、イン
コネル、パーマロイなど、金属製の取付金具などが挙げられる。
なお、金属部材や相手部材は、第1部材や第2部材の軟化点や融点では、軟化したり溶融しない。
第1実施形態のガスシール複合体を適用した水素製造装置を軸方向に沿って破断して模式的に示す断面図である。 第1実施形態の水素製造装置を軸方向に沿って破断して詳細に示す断面図である。 第1実施形態のガスシール複合体を分解して示す斜視図である。 第1実施形態の水素製造装置のガスリークを調べる装置を示す説明図である。 比較例1の水素製造装置を軸方向に沿って破断して示す断面図である。 第2実施形態の水素製造装置を軸方向に沿って破断して示す断面図である。 第3実施形態の水素製造装置を軸方向に沿って破断して示す断面図である。 第4実施形態の水素製造装置を縦方向に沿って破断して示す断面図である。 (a)は第4実施形態のガスシール複合体の配置を示す説明図、(b)は補強板を示す斜視図である。 (a)は第4実施形態における水素分離板の構造を示す説明図であり、(b)はその他の水素分離板の構造を示す説明図である。 第4実施形態の水素製造装置のガスリークを調べる装置を示す説明図である。 第5実施形態の水素製造装置を示す斜視図である。 第5実施形態の水素製造装置の積層構造を分解して示す斜視図である。 第6実施形態のガスシール複合体をSOFCに適用した状態を示す説明図である。 SOFCの発電セルの構成を示す説明図である。 DTA曲線を示すグラフである。
以下、本発明のガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置について、ガスシール複合体を水素製造装置に適用した実施形態を例として説明する。
[第1実施形態]
ここでは、水素製造装置として、原料ガスから水素を分離し、その水素を例えば燃料電池の燃料ガスとして供給する装置(水素分離装置)を例に挙げて説明する。
a)まず、本実施形態のガスシール複合体が使用される水素製造装置の全体構成について説明する。
図1に模式的に示す様に、本実施形態の水素製造装置1は、一端が閉塞された試験管状の水素分離筒3と、水素分離筒3の開放端側が挿入された筒状の取付金具5と、水素分離筒3の外周面と取付金具5の内周面との間に配置された円筒形のガスシール複合体7と、水素分離筒3に外嵌されてガスシール複合体7の先端側(同図上側)を押圧する円筒形の押圧金具9と、押圧金具9に外嵌されて取付金具5に螺合する筒状の固定金具11とを備えている。
以下に、図2に基づいて、水素製造装置1の構成をより詳細に説明する。
図2に詳細に示すように、前記水素分離筒3は、その軸中心の中心孔13に導入された原料ガス(例えばメタンなどの炭化水素ガスと水蒸気の混合ガス及びその反応によって得られた少なくとも水素ガスを含む混合ガス)から、水素を選択的に分離して、水素分離筒3の外周側に供給する部材である。
この水素分離筒3は、一端が閉塞された試験管状の(改質触媒兼支持体である)多孔質支持管15と、多孔質支持管15の外側表面を覆うバリア層19と、バリア層19の外側表面を覆う水素透過膜21とから構成されている。
このうち、多孔質支持管15は、例えばNi-YSZ多孔体からなり、改質触媒として
の役割と水素透過膜21等を支持する役割とを有する通気性を有する試験管状の支持体であり、この多孔質支持管15では、原料ガスを水蒸気改質して改質ガス(例えば水素、二酸化炭素、一酸化炭素)を生成する。
水素透過膜21は、例えばPdAg合金からなり、多孔質支持管15内で改質された改質ガスから水素を選択的に透過して精製する薄膜である。
バリア層19は、例えばYSZ多孔体からなり、多孔質支持管15の金属成分(例えばNi)と水素透過膜21の成分(例えばPd)とが互いに交じり合う(拡散する)ことに
より、水素透過膜21の水素透過性能が劣化することを防止するための多孔質層(相互拡散防止層)である。
また、前記取付金具5は、水素製造装置1の基部を構成する例えばSUS430からなる筒状金具であり、その先端側より、外周にねじ部23を有する先端側筒状部25と、外周側に環状に張り出す鍔部27と、(原料ガスを供給する配管等が接続される)基端側筒状部29とを備えている。
この取付金具5の軸中心には、原料ガスの流路となる貫通孔(中空部)31が形成され、中空部31には、水素分離筒3の基端側(同図右側)の端部が収容されている。詳しくは、中空部31の内径は、先端側筒状部25内側より鍔部27内側が小さく設定されており、鍔部27内側の先端側に凹部33が形成され、この凹部33に水素分離筒3の端部が内嵌している。
前記固定金具11は、軸方向に沿った断面がL字状の例えばSUS430からなる筒状金具であり、径方向に伸びて押圧金具9を基端側に押圧する環状の押圧板35と、押圧板35の外周端から軸方向に沿って基端側に伸び、内周面にねじ部37を有する筒状部39とを備えている。従って、この固定金具11のねじ部37と取付金具5のねじ部23を螺合させて締め付けることにより、押圧金具9を介してガスシール複合体7を、基端側に押圧することができる。
前記押圧金具9は、円筒形状の例えばSUS430からなる筒状金具であり、取付金具5の先端側筒状部25の内周面と水素分離筒3の外周面との間に形成された筒状の空間41内にて、ガスシール複合体7と隣接して配置されている。この押圧金具9の先端側は固定金具11の押圧板35に当接し、その後端側はガスシール複合体7に当接している。
特に、本実施形態では、図3に拡大して示す様に、前記ガスシール複合体7は、環状の一対の第1部材43、45とその第1部材43、45の間に挟まれた環状の第2部材47から構成されている。
このうち、第1部材43、45は、膨張黒鉛からなる内径φ10mm、外径φ13mm、(軸方向の長さ)幅4mmの耐熱性のガスケットA、Bである。この膨張黒鉛の熱膨張係数(熱膨張率)は、およそ1〜25×10-6/℃である。
この第1部材43、45は、前記空間41内にて、押圧金具9の押圧によって圧縮された状態、従って周囲を押圧した状態に保持されているので、この空間41における原料ガスの漏出を防止している。
また、第2部材47は、内径φ10mm、外径φ13mm、幅2mmのガラスリングである。このガラスリングは、ホウ珪酸ガラス(B23−SiO2−R2O)からなり、その軟化点は570℃であり、その熱膨張係数は、10.4×10-6/℃である。なお、この特性を備えたホウ珪酸ガラスとしては、旭硝子製のASF1990Bを使用することができる。
このガラスリングは、水素製造装置1が使用される環境の温度、例えば600℃によって軟化して、周囲に密着し、前記第1部材43、45とともに、水素分離筒3との外周面と取付金具5の内周面との間をガスシールするものである。
なお、前記図2に示す様に、本実施形態の水素製造装置1の内部(詳しくは水素分離筒3の中心孔13)には、内挿管50が配置されている。この内挿管50は、原料ガスを、
水素製造装置1の基端側から水素分離筒3の先端側に供給する部材であり、反応後のオフガス(CO、CO2、H2、メタン、水蒸気)は、内挿管50の外周に沿って水素製造装置1の基端側から排出される。
b)次に、本実施形態の水素製造装置1の製造方法について説明する。
<水素分離筒3の製造方法>
例えば酸化ニッケル60質量部と、イットリア8モル%を固溶させたジルコニア40質量部(8YSZ)とを混合する。更に造孔剤として黒鉛粉(又はコンスターチ)を混合して混合材を作製する。
そして、この混合材を用い、押出成形によって、有底円筒管を成形する。
次に、有底円筒管を乾燥した後に、脱脂処理を行い、1400℃で1時間焼成して、NiO−YSZで形成された多孔質支持管15を作製する。
これとは別に、8YSZとバインダとエタノールを添加して、スラリーを調製する。
次に、このスラリーを、ディップコート法(又はスプレー吹き付け法、印刷法等)により、多孔質支持管15の表面上に塗布してコート層を形成する。
次に、このコート層を1300℃で加熱処理して焼き付けし、バリア層19を形成する。
このバリア層19により被覆された多孔質支持管15を、エタノールで30分間超音波洗浄し、120℃で乾燥させる。
次に、バリア層19を覆う様に、無電解メッキ法(又は真空蒸着法、スパッタリング法等)により、Pd等による水素透過膜21を形成する。
次に、水素雰囲気下にて、600℃で3時間還元処理を施し、これにより、水素分離筒3を完成する。
<ガスシール複合体7の製造方法>
・第1部材43、45を製造する場合には、例えば膨張黒鉛製のシートを(図示しない心棒等に)巻き付けることにより、筒状の積層体を形成する(心棒等は後に除去する)。
次に、この積層体を、濃硫酸、硝酸などの酸化剤により酸化処理することによって、膨張黒鉛内の層間距離を例えば100〜300倍程度膨張させる。
その後、この膨張黒鉛を、例えば0.6〜1.9g/cm3の密度範囲となるように、プレス成形により負荷・圧縮する。
・第2部材47を製造する場合には、ホウ珪酸ガラスの粉末(平均粒径10μm)を用い、単軸のプレス成形機を用いてプレス圧力30MPaでペレット状に成形する。ペレット状成形体を、更にCIP成形機を用いて、360MPaで加圧成形後、570℃で焼成する。焼成後のペレットの内径、外径、上面、底面を研削して、所望の寸法のガラスリングとする。
なお、プレス成形時に、ガラス粉末にバインダを混合して造粒しても良い。また、焼成による収縮を予め計算し、リング状にプレス成形し焼成することで、焼成後の加工無く所望形状のガラスリングとしても良い。
<水素製造装置1の組付方法>
取付金具5の中空部31に、第1部材45のガスケットB、第2部材47のガラスリング、第1部材43のガスケットA、押圧金具9の順で内嵌する。
次に、水素分離筒3の開放端側を、押圧金具9、第1部材43のガスケットA、第部材47のガラスリング、第1部材45のガスケットBの各貫通孔を通す様に挿入し、水素分離筒3の端部を取付金具5の凹部33に嵌める。
次に、水素分離筒3の先端側より固定金具11を外嵌し、固定金具11のねじ部37と取付金具5のねじ部23を螺合し、固定金具11により押圧金具9を基端側に締め付けて、水素製造装置1を完成する。
c)この様に本実施形態では、取付金具5の内周面と水素分離筒3の外周面との間に、ガスシール複合体7として、一対の第1部材43、45の間に第2部材47を備えており、この第1部材43、45は、膨張黒鉛製のシートを径方向に巻き付けて積層したものであり、第2部材47は、軟化点が570℃のガラスリングである。
従って、常温においては、第1部材43、45によって、水素分離筒3との外周面と取付金具5の内周面との間からガスが漏出することを防止することができる。
また、水素製造装置1が使用される環境温度が例えば570〜650℃の範囲で(例えば600℃に)上昇し、第2部材47の軟化点以上となった場合には、第2部材47が軟化して(周囲の部材の形状に追従して)周囲に密着し、第1部材43、45とともに、水素分離筒3との外周面と取付金具5の内周面との間からガスが漏出することを防止する。
更に、第2部材47が軟化しても、その周囲は、第1部材43、45、水素分離筒3、及び取付金具5によって囲まれているため、外部に流出することはない。
その上、第2部材47を構成するガラス自体、直接にガスに接触し難いので、ガラスの劣化が生じ難く、その点からも気密性が低下することがないという利点がある。
また、長期間にわたって水素製造装置1を使用する場合には、初期に気密が保たれていても、熱サイクルによる、水素分離筒61、取付金具63、固定金具65、押圧金具67、第1部材43、45の膨張、収縮によって締め付けが緩み、締め付け圧が低下することがあるが、その場合でも、使用時の温度上昇に伴って第2部材47が軟化することにより、十分な気密性を確保することができる。
更に、従来の様に、ガスケットのみを使用した場合には、ガスケットの締め付け圧によっては、不具合が生じることがあるが、本実施形態では、第1部材43、45の間に第2部材47を備えているので、使用時の温度上昇に伴って第2部材47が軟化することにより、十分な気密性を確保することができる。
なお、本実施形態では、第2部材47の材料として、水素製造装置1の使用温度(例えば650℃)より低い温度で軟化する材料を使用したが、それとは別に、水素製造装置1の使用温度で少なくとも一部が溶融する材料を用いてもよい。例えば固相線が620℃のBAg−7からなる第2部材を使用してもよい。
d)次に、本実施形態の水素製造装置1の効果を確認するために行ったガスリークの実験例について説明する。
・この実験例(Heリーク試験)は、図4に示す様に、上述した構造の水素製造装置1をリーク測定装置51に固定して、水素分離筒3との外周面と取付金具5の内周面との間からHeガスが漏出するか否かを調べたものである。
具体的には、水素製造装置1の取付金具5の外周面の中央部分より先端側を、密閉容器53内に収容し、取付金具5の(同図下方の)開放端55側に、0.8MPaGのHeガスを供給し、密閉容器53の先端側(同図上方)の開口部57を石鹸膜流量計59に接続する。そして、この状態で、周囲温度を室温〜600℃に変更する熱サイクル(1回の室温〜600℃までの昇温時間:120分)を10回実施し、その際のHeガスのリーク量を石鹸膜流量計59によって測定した。
この実験の結果、Heガスのリーク量は0であり、本実施例の水素製造装置1の気密性が高いことが確認できた。
・また、比較例1として、図5に示す様に、前記実施例1と同様に、水素分離筒61、取付金具63、固定金具65、押圧金具67、ガスシール複合体69からなる水素製造装置71を製造した。但し、比較例1の水素製造装置71では、ガスシール複合体69は、膨張黒鉛からなる内径φ10mm、外径φ13mm、幅8mmのガスケットのみから構成されている。
そして、この比較例1の水素製造装置71に対して、前記実験例と同様なリーク測定装置を用い、同様な実験条件により、Heリーク試験を行った。
その結果、約0.2cc/minのリークが発生したので、実施例1に比べて気密性が低いことが分かる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のガスシール複合体が使用される水素製造装置について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図6に示す様に、本実施形態の水素製造装置81は、第1実施形態とほぼ同様に、水素分離筒83、取付金具85、固定金具87、押圧金具89、ガスシール複合体91を備えている。
このガスシール複合体91は、第1実施形態と同様に、膨張黒鉛からなる一対の第1部材93、95と、第1部材93、95の間に挟まれたガラスリングからなる第2部材97とから構成されている。
特に、本実施形態では、水素分離筒83の開放端99側(同図下方)の外周は、外側に環状に突出してフランジ101を構成しており、このフランジ101の下端と取付金具85の下側端部から内周側に突出する段部103との間に、膨張黒鉛からなる環状のシール部材105を備えている。
本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
なお、前記第2部材97として、予め(即ち水素製造装置81の通常の使用前に)溶融され冷却されて周囲に追従した形状となったガラスを使用してもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のガスシール複合体が使用される水素製造装置について説明するが、前記第2実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図7に示す様に、本実施形態の水素製造装置111は、第2実施形態とほぼ同様に、水素分離筒113、取付金具115、固定金具117、押圧金具119、ガスシール複合体121を備えている。
特に本実施形態では、水素分離筒113のフランジ125の径が大きいので、そのフランジ125の周囲にガスシール複合体121を配置している。
詳しくは、押圧部材119の下面とフランジ125の上面とに挟まれるように、環状の第1部材127を備えている。この第1部材127の内周面は水素分離筒113の外周面に当接し、第1部材127の外周面は取付金具115の内周面に当接している。
また、フランジ125の下面と取付金具117の下端にて内側に環状に突出する凸部123の上面とに挟まれるように、他の環状の第1部材129を備えている。この第1部材129の外周面は取付金具115の内周面に当接している。
更に、フランジ125の外周面と取付金具115との内周面との間には、上下の両第1部材127、129に挟まれる様に、第2部材131が配置されている。この第2部材131は、運転中、軟化あるいは溶融して、周囲に密着している。
本実施形態によっても、前記第2実施形態と同様な効果を奏する。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のガスシール複合体が使用される水素製造装置について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
a)まず、本実施形態の水素製造装置の構造を説明する。
図8に示す様に、本実施形態の水素製造装置141は、平板形の装置である。詳しくは、水素製造装置141は、直方体形状の例えばSUS316からなる容器143の内部に、原料ガスから水素を分離する平板状の水素分離板145を配置したものである。
このうち、水素分離板145は、一辺が50mm、厚みが3mmの正方形の板材であり、例えばYSZ多孔体からなるセラミック支持体147の表面に、PdAg合金からなる水素分離膜149を形成したものである(図10(a)参照))。
また、容器143の側方の一方には、原料ガスを水素分離板145で区分された原料ガス側の第1空間(同図下方側)151に供給する原料供給管153が設けられ、側方の他方の側には、同第1空間151から外部にオフガスを排出するためのオフガス排出管155が設けられている。
更に、容器143の一方の主面側には、水素分離板145によって分離された水素を、水素分離板145で区分された水素側の第2空間(同図上方側)157から外部に供給するための水素排出管159が設けられている。
特に本実施形態では、水素分離板145の上面(水素分離膜147側の表面)と容器143の平板状の上板161(同図上側)の下面とは2mmの間隔を保って平行とされており、この水素分離板145と上材161との間には、四角枠状のガスシール複合体163が配置されている。
このガスシール複合体163は、図9(a)に示す様に、同心状に配置された(前記第1実施形態と同様な材料からなる)一対の第1部材165、167と、その間に配置された(前記第1実施形態と同様な材料からなる)第2部材169とから構成されている。具体的には、ガスシール複合体163は、正方形の枠状(外側の1辺39mm×幅5mm×厚み4mm)の外側の第1部材(ガスケットA)165と、外側の第1部材より内側に配置された、同様な正方形の枠状(外側の1辺27mm×幅5mm×厚み4mm)の内側の第1部材(ガスケットB)167と、両第1部材165、167の間に配置された、正方形の枠状(外側の1辺29mm×幅1mm×厚み2mm)の第2部材169とから構成されている。
そして、前記水素分離板145と上材161とは、間にガスシール複合体163を挟んで、周囲をボルト171及びナット173によって固定されている。
なお、水素分離板145の下側とナット173との間には、図9(b)に示す様に、四隅にボルト171が通されるボルト孔175を備えた四角枠状の補強板177が配置されており、この補強板177を介してナット173を締め付けることにより、水素分離板145の破損を防止している。なお、図8では補強板177を破断して示している。
b)次に、本実施形態の水素製造装置141の動作を説明する。
前記図8に示す様に、周囲の温度が600℃の高温の状態で、例えば原料供給管153より容器143内の第1空間151に、例えばH2を含む高圧(例えば0.8MPaG)の原料ガスが供給されると、原料ガスは水素分離板145にて水素と他のガスとが分離され、分離された水素は第2空間157から水素排出管159を介して、外部に供給される。
一方、原料供給管153より第1空間151に供給された原料ガスのうち、水素に分離された残りのガス(オフガス)は、オフガス排出管155を介して外部に排出される。
c)本実施形態においても、ガスシール複合体163は、一対の第1部材(ガスケットA、B)165、167の間に第2部材(ガラスリング)169が配置された構成であるので、第1実施形態と同様に、例えば熱サイクルが加えられた場合でも高い気密性を保持することができるという顕著な効果を奏する。
なお、本実施形態では、水素分離板145として、前記図10(a)に示した構成を採用したが、例えば図10(b)に示す様に、水素分離板181として、(原料ガスを改質する)Ni−YSZ多孔体からなる第1層183とYSZ多孔体からなる第2層185とを積層したセラミック積層体187の表面に、PdAg合金膜からなる水素分離膜189を設けてもよい。
この場合には、原料ガスとして、例えばCH4、H2Oを含むガスを供給すると、Ni−YSZ多孔体によって原料ガスが改質されて水素となり、その水素が水素分離膜189によって分離される。なお、このときには、オフガスとして、CH4、H2O、CO、CO2、H2等を含むガスが排出される。
d)次に、本実施形態の水素製造装置141の効果を確認するために行ったガスリークの実験例について説明する。
・この実験例(Heリーク試験)では、図11に示す様に、水素製造装置141のオフガス排出管155を封止し、水素排出管159を石鹸膜流量計191に接続した。
そして、前記各実験例と同様に、原料供給管153から、0.8MPaGのHeガスを供給し、水素排出管159から排出されるHeガスを石鹸膜流量計191で測定するようにした。そして、この状態で、前記各実験例と同様に、周囲温度を室温〜600℃に変更する熱サイクルを10回実施し、その際のHeガスのリーク量を石鹸膜流量計191によって測定した。
この実験の結果、Heガスのリーク量は0であり、本実施形態の水素製造装置141の気密性が高いことが確認できた。
・また、比較例2として、図示しないが、第4実施形態のガスシール複合体に代えて、正方形の枠状(外側の1辺39mm×幅10mm×厚み4mm)の前記第1部材と同様な材料からなるガスケットのみを用いた水素製造装置を作製した。
そして、この比較例2の水素製造装置を用いて、前記と同様な装置及び条件で、Heリーク試験を行った。
その結果、約1cc/minのリークが発生したので、第4実施形態に比べて気密性が低いことが分かる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のガスシール複合体が使用される水素製造装置について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
本実施形態の水素製造装置は、前記第4実施形態のような平板状の装置を積層したものである。
図12に示す様に、本実施形態の水素製造装置201は、複数の水素分離板203と直方体形状の金属製(例えばSUS316)の薄型容器205とを交互に積層した積層体207を、金属製(例えばSUS316)の外側容器209内に収容したものである。
前記外側容器209には、原料ガスを供給する原料供給管211と、オフガスを排出するオフガス排出管213とが設けられている。また、各薄型容器205の側方には、水素分離板203にて分離された水素を外部に排出するために水素排出管215が設けられている。
なお、前記積層体207が外側容器209に収容される際、原料供給管211側とオフガス排出管213側以外には簡単なガスシールがなされており(図示しない)、原料供給管211側から導入された原料ガスが積層体207の中を透過しないでオフガス排出管213に流れるのを防いでいる。
前記積層体207は、図13に示す様に、水素分離板203と薄型容器205とを、前記第4実施形態と同様なガスシール複合体217を介して積層し、その積層したものを、板厚方向の両側から板材219、221で挟んで、ボルト223等で固定したものである。
このうち、前記ガスシール複合体217は、前記第4実施形態と同様に、四角枠状の外側の膨張黒鉛からなる第1部材(ガスケットA)225と、四角枠状の内側の膨張黒鉛からなる第1部材(ガスケットB)227と、両第1部材225、227の間に配置された、四角枠状のガラスからなる第2部材229とから構成されている。
また、前記水素分離板203は、Ni−YSZ多孔体からなる第1層231と、その両側に配置された、YSZ多孔体からなる第2層233と、PdAg合金膜からなる水素分離膜235とから構成されている。なお、上下両端の水素分離板203は、内側のみ第2層233と水素分離膜235とが形成されている。
更に、前記各薄型容器205の厚み方向の両側(同図上下方向)の中央部分には、上下両側の水素分離膜235側にそれぞれ開口する(第4実施形態の水素排出管の排出孔に相当する)開口部(図示せず)が形成されている。
従って、本実施形態では、前記図12及び図13に示す様に、原料供給管211から外側容器209内に、例えばCH4、H2O等の原料ガスが供給されると、その原料ガスは、水素分離板203の第1層231にて改質されて水素が生成され、その水素は、前記水素分離膜235で分離され、薄型容器205内に取り込まれ、薄型容器205から、水素排出管215を介して外部に排出される。
また、改質後のCO、CO2、CH4、H2、H2O等のオフガスは、オフガス排出管213を介して外部に排出される。
本実施形態によっても、前記第4実施形態と同様な効果を奏するとともに、水素分離板203が多数積層されているので、コンパクトな装置で、多くの水素を分離供給できるという利点がある。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明するが、前記第4実施形態と同様な内容の説明は省略する。
本実施形態は、前記第4実施形態と同様なガスシール複合体を固体酸化物形燃料電池(SOFC)に適用したものである。
具体的には、図14に示す様に、本実施形態は、第4実施形態と同様なガスシール複合体を、直方体形状の(例えばSUS430からなる)金属製の容器301の中に、原料ガスと酸化剤ガス(空気)とを用いて発電を行う板状の発電セル303を配置したSOFC305に適用したものである。
このSOFC305では、容器301の上板307と発電セル303との間に、前記第4実施形態と同様に、四角枠状のガスシール複合体309を配置して、ボルト311及びナット313等で締め付けて固定しており、ガスシール複合体309は、同様に、一対の四角枠状の第1部材(ガスケットA、B)315、317の間に四角枠状の第2部材(ガラスリング)319を配置したものである。なお、第1部材は膨張黒鉛ではなく、例えば、マイカ等を使用できる。
前記容器301の一方の側方には、原料ガスを(同図下側の)燃料ガス流路321に供給する原料供給管323が取り付けられており、他方の側方には、発電後の排ガスを燃料ガス流路から外部に排出するためのオフガス排出管325が取り付けられている。
また、容器301の上板307には、空気を容器301内の(同図上方の)ガスシール複合体319で囲まれた空気流路327に供給するための空気導入管329と、発電後の空気を外部に排出するための空気排出管331が取り付けられている。
なお、前記発電セル303は、図15に示す様に、LSCFからなる空気極333と、GDCからなる反応防止層335と、YSZからなる固体電解質層337と、Ni−YSZ多孔体からなる燃料極339とから構成されている。
このSOFC305では、H2、CH4、H2O、COを含む原料ガスを、原料供給管323を介して燃料ガス流路321に供給するとともに、空気を、空気導入管329を介して空気流路327に供給することにより、発電セル303にて発電を行う。
上述した構成のSOFC305においても、前記第4実施形態と同様なガスシール複合体309を備えていることにより、上板307と発電セル303との間を確実に気密して、原料ガスと空気とを好適に分離することができる。
[第7実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様であり、異なる点を以下に説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置は、使用温度が500℃であり、第2部材として、旭硝子製K304(SiO2−B23−BaOを主成分とするガラス)を使用する。なお、K304の熱膨張係数は11.2×10-6/℃である。
[第8実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様であり、異なる点を以下に説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置は、使用温度が400℃であり、第2部材として、旭硝子製T015(B23−ZnO−PbOを主成分とするガラス)を使用する。なお、T015の熱膨張係数は11.0×10-6/℃である。
[第9実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様であり、異なる点を以下に説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置は、使用温度が1000℃であり、第2部材として、銀を使用する。なお、銀をガラス同様にリング状に加工して使う。
[第10実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様であり、異なる点を以下に説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置は、使用温度が1000℃であり、第2部材として、(ガラスの場合)旭硝子製ASF1762(SiO2−ROを主成分とするガラス)を使用する。なお、ASF1762の熱膨張係数は6.5×10-6/℃である。
[第11実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様であり、異なる点を以下に説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置は、使用温度が800℃であり、第2部材として、BAg−8(固相線780℃)を使用する。なお、銀をガラス同様にリング状に加工して使う。
[第12実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様であり、異なる点を以下に説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置は、使用温度が800℃であり、第2部材として、(ガラスの場合)旭硝子製FF203(SiO2−Al23−ROを主成分とするガラス)を使用する。なお、FF203の熱膨張係数は10.0×10-6/℃である。
[第13実施形態]
本実施形態は、基本的に、第1実施形態と同様である。以下、異なる部分のみ説明する。
図示しないが、本実施形態の水素製造装置に用いられる第2部材は、旭硝子製ASF1941B(SiO2・B23・ROを主成分とするガラス)から構成される。このガラスのガラス転移点は、585℃である。一方、軟化点は、673℃である。
また、本実施形態の水素製造装置を、前記図4に示す様なリーク測定装置に取り付け、使用温度である600℃で、同様なリーク実験を行った。その結果、Heガスのリーク量は0であり、本実施形態の水素製造装置の気密性が高いことが確認できた。つまり、軟化点よりも低い温度(但し転移点以上の温度)でも押圧金具からの膨張黒鉛を介した圧力でガラスの変形が発生し、シールすることができる。
一方、比較例3として、前記第13実施形態の水素製造装置を使用し、同様なリーク測定装置によって、570℃(ASF1941Bのガラス転移点を下回る温度)で気密性を測定した。その結果、Heガスのリーク量は約0.2cc/minであった。つまり、第2部材のガラス転移点を下回る温度で使用した場合には、第2部材のシール性が十分でないことが分かった。
[第14実施形態]
本実施形態は、基本的に、第13実施形態と同様である。以下、異なる部分のみ説明する。
本実施形態の水素製造装置を、前記図4に示す様なリーク測定装置に取り付け、一旦700℃(ASF1941Bの軟化点以上の温度)まで昇温し、使用温度である550℃(ガラス転移点未満の温度)で、同様なリーク実験を行った。その結果、Heガスのリーク量は0であり、本実施形態の水素製造装置の気密性が高いことが確認できた。つまり、一旦ガラスが軟化した後は、更に低い温度でのシール性が確保可能であることが分かった。
また、本実施形態の水素製造装置を、第2部材の軟化点以上の溶融点まで昇温してから、その軟化点より低い温度で使用した場合も、同様にガスシール性が確保できた。つまり、一旦溶融したガラスが他の部材に固着して接合されるため、シール性が向上することが分かった。
(その他)
本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記第1〜第4実施形態では、水素製造装置の使用温度(例えば600℃)にて軟化するガラスを使用したが、使用温度(例えば650℃)で少なくとも一部が溶融する金属を主成分とする材料(ろう材、金属単体等:例えばBAg−7)を用いてもよい。なお、同種のガラスであっても、その組成によって軟化状態となる温度(軟化点、転移点)が異なるので、周知の材料等から、所望の軟化状態となる温度を有するものを適宜選択すればよい。
1、71、81、111、141、201…水素製造装置(水素分離装置)
3、61、83、113…水素分離筒
5、63、85、115…取付金具
7、69、91、121、163、217、309…ガスシール複合体
9、67、89、119…押圧金具
11、65、87、117…固定金具
43、45、93、95、127、129、165、167、225、227、315、317…第1部材
47、97、131、169、229、319…第2部材
105、123…シール部材
145、181、203…水素分離板
161、307…上板
305…固体酸化物形燃料電池(SOFC)

Claims (14)

  1. 金属部材と該金属部材に対向して配置される相手部材との間に配置されて、該金属部材と該相手部材との間隙をガスシールするガスシール複合体において、
    前記金属部材と前記相手部材との間に配置されて該金属部材と該相手部材との間隙をそれぞれガスシールする少なくとも2個の第1部材と、
    ガラスを主成分とし、前記金属部材と前記相手部材との間隙を閉塞するように前記2個の第1部材の間に配置された第2部材と、
    を有するとともに、
    前記第2部材は、前記第1部材が昇華点を有する部材の場合にはその昇華点より低い温度で少なくとも一部が前記金属部材及び/又は相手部材の表面の形状に追従可能な軟化状態となり、前記第1部材が融点及び軟化点を有する部材の場合にはその軟化点より低い温度で少なくとも一部が前記軟化状態となり、前記第1部材が融点のみを有する部材の場合にはその融点より低い温度で少なくとも一部が前記軟化状態となる特性を有することを特徴とするガスシール複合体。
  2. 前記第2部材が軟化状態となる温度は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度よりも低く設定されていることを特徴とする請求項1に記載のガスシール複合体。
  3. 前記第2部材は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度にて、少なくとも一部が前記金属部材及び前記相手部材と接する部位において該金属部材及び/又は該相手部材の表面の形状に追従可能な軟化状態となるように、前記第2部材の組成が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のガスシール複合体。
  4. 前記第1部材は、膨張黒鉛、マイカ、又はバーミキュライトからなり、前記第2部材は、ガラスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスシール複合体。
  5. 前記第2部材は、ガラスであり、該ガラスの転移点は、前記ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度より低く設定されていることを特徴とする請求項4に記載のガスシール複合体。
  6. 金属部材と該金属部材に対向して配置される相手部材との間に配置されて、該金属部材と該相手部材との間隙をガスシールするガスシール複合体において、
    前記金属部材と前記相手部材との間に配置されて該金属部材と該相手部材との間隙をそれぞれガスシールする少なくとも2個の第1部材と、
    金属を主成分とし、前記金属部材と前記相手部材との間隙を閉塞するように前記2個の第1部材の間に配置された第2部材と、
    を有するとともに、
    前記第2部材は、前記第1部材が昇華点を有する部材の場合にはその昇華点より低い温度で少なくとも一部が溶融し、前記第1部材が融点及び軟化点を有する部材の場合にはその軟化点より低い温度で少なくとも一部が溶融し、前記第1部材が融点のみを有する部材の場合にはその融点より低い温度で少なくとも一部が溶融する特性を有することを特徴とするガスシール複合体。
  7. 前記第2部材が溶融する温度は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度よりも低く設定されていることを特徴とする請求項6に記載のガスシール複合体。
  8. 前記第2部材は、ガスシール複合体が用いられる装置の使用温度にて、少なくとも一部が溶融して前記金属部材及び前記相手部材と接する部位において該金属部材及び/又は該相手部材の表面の形状に追従するように、前記第2部材の組成が設定されていることを特徴とする請求項6に記載のガスシール複合体。
  9. 前記第1部材は、膨張黒鉛、マイカ、又はバーミキュライトからなり、前記第2部材は金属からなることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のガスシール複合体。
  10. 前記装置の使用温度が、300〜1000℃であることを特徴とする請求項2、3、4、5、7、8、9のいずれか1項に記載のガスシール複合体。
  11. 前記2個の第1部材と前記第2部材とを備えたガスシール複合体は、前記金属部材と前記相手部材とを積層して配置する方向に沿って押圧されるコンプレッションシールであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスシール複合体。
  12. 前記2個の第1部材と前記第2部材とを備えたガスシール複合体は、前記2個の第1部材で前記第2部材を挟む向う方向に沿って押圧されるコンプレッションシールであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスシール複合体。
  13. 前記第2部材は、前記金属部材と前記相手部材と前記第1部材とに接合していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスシール複合体。
  14. 金属部材と該金属部材に対向して配置される相手部材との間に、該金属部材と該相手部材との間隙をガスシールする前記請求項1〜13のいずれか1項に記載のガスシール複合体を備えた装置。
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