JP2012007357A - 上枠及びこれを用いた上レール固定構造 - Google Patents

上枠及びこれを用いた上レール固定構造 Download PDF

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Abstract

【課題】上レールを固定する際における作業性を向上し得る上枠及び上レール固定構造を提供する。
【解決手段】上枠1は、建具6を案内する上レール10と、この上レールが仮保持された状態で本固定される上枠材20とを備え、前記上枠材における上レールの固定面部21aには、仮保持用の係合突起25が設けられている一方、前記上レールの上板部11には、前記係合突起に係合する仮保持用の係合孔15が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、建具を案内する上レールを備えた上枠及びこれを用いた上レール固定構造に関する。
従来の建具を案内する上レールの固定構造としては、建物の壁部に開設された開口部に固定された開口枠の上枠材に対してビス止めして固定する構造とされていた(例えば、下記特許文献1参照)。または、開口部の天井下地材などに対して直接、ビス止めして固定する構造とされていた(例えば、下記特許文献2参照)。
特開2008−106538号公報 特開2006−194026号公報
ところで、上レールは比較的に長尺であるため、長手方向に沿って複数箇所にビス止め等を行う必要がある。しかしながら、上記のような固定構造では、上レールを下方側から作業者が保持したまま固定作業を行う必要があり、上レールが長尺であることと相俟って、面倒な作業となり、作業性の改善が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、上レールを固定する際における作業性を向上し得る上枠及び上レール固定構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る上枠は、建具を案内する上レールと、この上レールが仮保持された状態で本固定される上枠材とを備え、前記上枠材における上レールの固定面部には、仮保持用の係合突起が設けられている一方、前記上レールの上板部には、前記係合突起に係合する仮保持用の係合孔が設けられていることを特徴とする。
本発明においては、前記上レールを、前記建具の吊り下げランナーをスライド自在に収容保持する構造としてもよい。
また、本発明においては、前記上レールと前記上枠材とを、略同長さとし、前記上枠材に、前記上レールが嵌め込まれる凹溝部を長手方向に沿って形成し、この凹溝部の溝底を前記固定面部とし、前記上枠材の係合突起と前記上レールの係合孔とを上下方向に沿って係合する構造としてもよい。
また、本発明においては、前記上枠材の係合突起を、前記係合孔に弾性変形を伴い係合し、該係合孔の孔縁に係止する係止部を有した構造としてもよい。
また、本発明においては、前記上枠材の係合突起と、前記上レールの係合孔とを、少なくとも長手方向の両端部近傍部位にそれぞれ対応させて設けるようにしてもよい。
また、本発明においては、前記上レールの前記上板部に、本固定用の固定止具が挿通される取付孔を更に設けるようにしてもよい。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る上レール固定構造は、本発明に係る上枠を用いた上レール固定構造であって、枠下地に固定された前記上枠材の係合突起が前記上レールの係合孔に係合して該上レールが仮保持された状態で、この上レールの上板部を介して前記上枠材の固定面部に固定止具が止着されて前記上レールが前記上枠材に本固定される構造とされていることを特徴とする。
本発明に係る上枠及びこれを用いた上レール固定構造は、上述のような構成としたことで、上レールを固定する際における作業性を向上させることができる。
(a)〜(c)は、いずれも本発明の一実施形態に係る上枠を用いた上レール固定構造の一例を模式的に示し、(a)は、一部破断分解概略斜視図、(b)は、図2(b)におけるX部に対応させた一部破断分解概略拡大縦断面図、(c)は、(b)に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。 (a)は、同上枠が施工された状態を模式的に示す概略正面図、(b)は、(a)におけるY−Y線矢視に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。 (a)は、同上枠を模式的に示す一部破断分解概略底面図、(b)は、同上枠を模式的に示す一部破断概略底面図である。
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本実施形態に係る上枠及びこれを用いた上レール固定構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
本実施形態に係る上枠1は、図2(a)に示すように、住居等の建物の内壁8に開設された開口の内周に沿って配設される開口枠Aの上枠として配設され、片引き式の引戸(建具)6の上端部6aに沿って配設された例を示している。
開口は、柱材や間柱、横桟(まぐさ)、飼木、床下地などの枠下地9(図2(b)参照)によって正面視して略矩形状に形成されており、この枠下地9に対して開口枠Aが固定される。
内壁8は、柱材や間柱、横桟、胴縁等で骨組みされた壁下地としての構造体の手前面及び背面に壁材を添設して構成されており、図例では、戸袋納めとされた引戸6を収納する戸袋空間を区画するように壁材を設けている。この壁材としては、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボードの表面に、壁クロスや壁紙、その他の表面化粧材等を貼着して構成されたものとしてもよい。
開口枠Aは、図例では、一対の縦枠2,3(戸先側縦枠2及び戸尻側縦枠3)と、これら縦枠2,3の上端部間に架設された本実施形態に係る上枠(鴨居)1と、これら縦枠2,3間の略中間部に設けられた一対の中間縦枠(方立材)4,4とを備えている(図3も参照)。
戸先側縦枠2は、引戸6によって閉塞または開放される出入り口としての開口部の戸先側の枠下地に固定されて上下方向に沿って配設される。
戸尻側縦枠3は、引戸6が収納される戸袋空間の収納方向末端側の枠下地に固定されて上下方向に沿って配設されている。この戸尻側縦枠3は、図例では、内壁8の壁厚方向(見込み方向)の両端部が、戸袋空間を区画する手前側の壁材及び背面側の壁材のそれぞれの裏面に当接乃至は近接して配設される。
これら戸先側縦枠2及び戸尻側縦枠3は、それぞれの上端部の内方側面に、後記する上枠1の上枠材20の長手方向両側端面22,23がそれぞれ当接し、木ねじや釘等の固定止具によって、上枠材20に対して、それぞれ連結固定される(図3も参照)。また、これら戸先側縦枠2及び戸尻側縦枠3は、上下方向の適所に固定止具が止着されて枠下地に対して固定される。
一対の方立材4,4は、図2(b)に示すように、戸袋空間の収納方向基端側において、引戸6の引込口としての戸袋口を形成するように見込み方向に空隙を隔てて、それぞれ上下方向に沿って配設される。これら方立材4,4は、その上端部が、上枠材20に形成された切欠部24,24(図3参照)に係合し、上枠材20乃至は枠下地9に対して固定止具によって連結固定される。また、これら方立材4,4の下端部は、床面を形成する床材や床下地材などに固定止具によって固定される。
上枠1は、引戸6を案内する上レール10と、この上レール10が固定される上枠材20とを備えている。
上枠材20は、図3に示すように、略矩形平板状とされ、長手方向の略中間部に、方立材4,4の上端部が係合する切欠部24,24を幅方向両側に有している。この上枠材20の切欠部24,24の長手方向戸先側の部位は、その幅寸法が、戸先側縦枠2の幅寸法(見込み方向に沿う寸法)に合わせた寸法とされた幅広部とされている。一方、上枠材20の切欠部24,24の長手方向戸尻側の部位は、その幅寸法が、戸尻側縦枠3の幅寸法に合わせた寸法とされた幅狭部とされている。
また、この上枠材20の下面には、下方に向けて開口し、上レール10が嵌め込まれる凹溝部21が当該上枠材20の長手方向の全長に亘って設けられている(図1も参照)。この凹溝部21の溝底21aが上レール10を固定するための固定面部となる。
凹溝部21の溝底21aの溝幅方向略中央部には、上レール10を仮保持するための仮保持用の係合突起25が長手方向に沿って間隔を空けて複数箇所に設けられている。これら係合突起25は、図例では、当該上枠材20の長手方向両端部近傍部位のそれぞれと、長手方向略中間部位との三箇所に設けられた例を示している。
係合突起25は、図1に示すように、溝底21aから下方に向けて突設されており、図例では、略円柱形状で溝底21aに当接した小径部26と、この小径部26の下方側に連成された係止部としての大径爪部27とを有している。大径爪部27は、下方に向けて先細り状の略逆円錐台形状とされており、小径部26に連成された側(上方側)の底部の径が小径部26よりも大きく形成され、下方側の底部の径が小径部26と略同径乃至は小径部26の径よりも小さく形成されている。
この係合突起25は、本実施形態では、天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂エラストマーなどのエラストマー系材料や軟質合成樹脂材料などの弾性変形可能な弾性材料から形成されている。また、この係合突起25は、中央部に貫通された木ねじ等の固定止具28によって上枠材20の溝底21aに固着されている。
上レール10は、図1及び図3に示すように、上枠材20の長さ寸法と略同長さとされ、上枠材20の凹溝部21に嵌め込まれるようにして固定される。この上レール10の幅寸法は、凹溝部21に嵌め込み可能な程度で、この凹溝部21の幅寸法と略同寸法とされている。
また、上レール10は、上枠材20の凹溝部21の溝底21aに当接して固定される上板部11と、この上板部11の幅方向両側縁から垂れ下がるように連成された両側板部12,12とを備えている。これら両側板部12,12は、上枠材20の凹溝部21の溝側面21b,21bに近接乃至は当接して配設される。
また、図例では、上レール10は、これら上板部11及び両側板部12,12によって縦断面形状が、下方に向けて開口する略コ字状とされ、その長手方向両端部は、長手方向外方側に向けて開口している。このコ字状の内方空間に、引戸6の上端部6aに連結固定される吊り下げランナー7の転動部(ローラー)7a等が長手方向端部の上記開口から挿入され、収容される。
上板部11の幅方向略中央部には、上枠材20の係合突起25に係合する仮保持用の係合孔15が当該上レール10の長手方向に沿って間隔を空けて複数箇所に設けられている。これら係合孔15は、図例では、上枠材20の係合突起25が設けられた部位に対応させて、その長手方向両端部近傍部位のそれぞれと、長手方向略中間部位との三箇所に設けられた例を示している。
この係合孔15は、上下方向(上板部11の厚さ方向)に貫通形成されており、図例では、係合突起25の形状に対応させて、略円形状とされている。この係合孔15の径は、上枠材20の係合突起25の小径部26と略同径乃至は小径部26の径よりも僅かに大きく形成されている。これら係合孔15及び上枠材20の係合突起25を設ける部位や個数、形状等は、後記するように吊り下げランナー7を収容保持した上レール10を、上枠材20の係合突起25によって仮保持可能なように設定すればよい。
また、本実施形態では、この上板部11の幅方向略中央部に、本固定用の固定止具16が挿通される、上下方向に貫通した取付孔14を、当該上レール10の長手方向に沿って間隔を空けて複数箇所(図例では4箇所)に設けている。
側板部12,12の下縁部には、当該上レール10の幅方向内方側に向けて突出する案内片13,13が当該上レール10の長手方向の全長に亘ってそれぞれに設けられている。
これら案内片13,13に、吊り下げランナー7のローラー7aが当該上レール10の長手方向に沿って転動自在に支持されることで、吊り下げランナー7が上レール10に収容保持されることとなる。
なお、開口枠Aを構成する一対の縦枠2,3、一対の方立材4,4及び上枠材20は、合板やLVL等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系材料から形成されたものとしてもよい。または、合成樹脂系材料や金属系材料等から形成されたものとしてもよい。
また、上枠1の上レール10は、アルミニウムやステンレス、炭素鋼等の適宜の金属材料から押出成形や鋳造成形または切削加工等によって一体的に成形された金属製としてもよい。または、硬質合成樹脂製としてもよい。
吊り下げランナー7は、公知のもので、上レール10の案内片13,13に支持されるローラー7aや引戸6の上端部6aに設けられたカップ部に連結固定される取付固定部等を有し、引戸6の上端部6aの戸幅方向両側端部近傍に固定される。
引戸6は、上記構成とされた開口枠Aに開閉自在に建て付けられる。また、この引戸6の下端部には、図2(b)に示すように、床面に向けて開口したガイド凹溝6bが引戸6の戸幅方向に沿って形成されており、このガイド凹溝6bには、床面に固定された固定ピン5が挿入(遊挿)されて、引戸6の開閉方向に沿う移動がガイドされる。
次に、上記構成とされた上枠1を含む開口枠Aの施工手順の一例について説明する。
まず、上枠1の上枠材20の長手方向の各端面22,23を、各縦枠2,3の上端部内側面に突き合わせ、これら縦枠2,3の上端部の外側面から木ねじ等の固定止具を螺入して、上枠材20と各縦枠2,3とを連結して組み付けるようにしてもよい。また、上枠材20の切欠部24,24に各方立材4,4の上端部を係合させ、木ねじ等の固定止具を螺入してこれら方立材4,4を上枠材20に連結して組み付けるようにしてもよい。また、このように組み付けた状態で、上記開口の内周に沿わせるようにして枠下地9に対してこれらを固定するようにしてもよい。
次いで、図1(a)、(b)に示すように、上枠1の上レール10に、引戸6に連結固定する前の吊り下げランナー7を収容保持させた状態で、この上レール10を、上方に移動させるようにして上枠材20の凹溝部21に嵌め込む。なお、図1(a)では、吊り下げランナー7の図示を省略している。
この際、上枠材20の係合突起25と、上レール10の係合孔15とを係合させることで、上レール10が上枠材20に対して仮保持される(図1(c)参照)。上枠材20の係合突起25は、上記したように弾性変形可能とされているので、この係合の際、大径爪部27が弾性変形を伴って上レール10の係合孔15に係合する。この係合により、この大径爪部27の上方側底部が係合孔15の孔縁に係止して、上レール10が上枠材20に仮保持される。つまり、本実施形態では、これら上枠材20の係合突起25と上レール10の係合孔15とは、上下方向に沿って係合する構造とされている。
上記のように、上枠材20に対して仮保持された上レール10の上板部11の取付孔14に対して本固定用の固定止具16を挿通し、この固定止具16を上枠材20の凹溝部21の溝底21aに止着して、上レール10を上枠材20に対して本固定するようにしてもよい(図3(b)参照)。
次いで、上レール10に収容保持された吊り下げランナー7に、引戸6の上端部6aを連結してこの引戸6を開口枠Aに対して建て付けるようにしてもよい。そして、戸袋空間を区画する壁材等を添設して内壁8を形成するようにしてもよい。
なお、上記施工手順は一例であり、各部材、各部の機能を阻害しない限りにおいて、別手順でなされるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る上枠1を用いた上レール10の固定構造によれば、上レール10を固定する際における作業性を向上させることができる。
すなわち、上枠材20を開口の枠下地9に固定した後、この上枠材20の係合突起25に対して上レール10の係合孔15を係合させることで、上レール10を上枠材20に対して仮保持させることができる。従って、このように仮保持させた状態で固定止具16を止着させることで、上レール10を上枠材20に対して本固定でき、上レール10を固定する際における作業性を向上させることができる。つまりは、本固定用の固定止具16の止着作業を、言わば手放し状態で行え、一人作業でも容易に上レール10の固定作業を行うことができる。
また、本実施形態では、上レール10を、引戸6の吊り下げランナー7をスライド自在に収容保持する構造としている。従って、吊り下げランナー7を上レール10に収容保持させた状態で、上レール10を上枠材20に対して仮保持させることができ、作業性を向上させることができる。特に、このような吊り下げランナー7を収容保持させた上レール10は比較的、重くなる傾向があり、また、上レール10を固定した後に吊り下げランナー7を上レール10に収容保持させることが困難な場合がある。つまり、図例のように、上レール10の長手方向両側には、一対の縦枠2,3が配設されるため、吊り下げランナー7の上レール10への挿入が困難となる。本実施形態によれば、このような場合にも、吊り下げランナー7を収容保持させた上レール10を上枠材20に対して仮保持させることができるので、上レール10を容易に上枠材20に対して本固定することができる。
さらに、本実施形態では、上レール10と上枠材20とを略同長さとし、上枠材20に上レール10が嵌め込まれる凹溝部21を長手方向に沿って形成している。従って、上レール10を上枠材20の凹溝部21に嵌め込むことで、上レール10を見栄え良く上枠材20に対して固定することができる。また、このように上レール10を見栄え良く納めることが可能でありながらも、上枠材20の係合突起25と上レール10の係合孔15とは、上下方向に沿って係合する構造とされているので、上レール10を上枠材20に対して上下の容易な動きで仮保持させることができる。つまり、これら係合突起25と係合孔15とが上下方向に沿って係合する構造とされたものではなく、当該上枠の長手方向や幅方向に沿ってスライドさせて係合させる構造とされた係合突起と係合孔とを採用することも可能ではある。しかしながら、このような構造では、上枠材の凹溝部内において上レールのスライド移動を許容し得るスペースが必要となり、見栄えが悪くなり、また、スライド移動させる動作が必要となる。本実施形態によれば、このようなことがなく、見栄え良くかつ容易に上レール10を上枠材20に対して仮保持させることができる。
さらにまた、本実施形態では、上枠材20の係合突起25を、上レール10の係合孔15に弾性変形を伴い係合し、この係合孔15の孔縁に係止する大径爪部27を有した構造としている。従って、上レール10を上枠材20に対して仮保持させる際に、係合突起25と係合孔15とをスムーズに係合させることができる。
また、本実施形態では、上枠材20の係合突起25と、上レール10の係合孔15とを、少なくとも長手方向の両端部近傍部位にそれぞれ対応させて設けている。従って、比較的に長尺とされる上レール10の長手方向の両端部を、上枠材20に仮保持させることができるので、上レール10を安定して仮保持させることができる。
さらに、本実施形態では、上レール10の上板部11に、本固定用の固定止具16が挿通される取付孔14を設けている。従って、施工現場で下孔加工等を行う必要がなく、また、孔加工等を施すことなく固定止具を捩じ込む態様とした場合と比べて、上レール10の固定の際における作業性をより向上させることができる。
なお、本実施形態では、戸袋納めとされた片引き式の引戸6に対応させた形状の上枠材20を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、袖壁納めや引き違い、引き分け(両引き)等、建具の納め態様やスライド態様、枚数に応じた形状の上枠材とすればよく、また、それに応じた本数の上レールを設けるようにすればよい。
また、上レール10に案内される建具としては、引戸6に限られず、複数枚の戸板を折り畳み自在に連結した折戸や、間仕切壁等を建具としてもよい。
さらに、図例では、上枠材20を含む開口枠Aの各部材を、固定枠形状のものとした例を示しているが、ケーシング額縁を備えたいわゆるケーシング枠としてもよく、また、適所に面取りや戸じゃくり溝等を設けたものとしてもよい。
さらにまた、図例では、上レール10を下向きに開口し、両側板部12,12に、吊り下げランナー7のローラー7aを案内する案内片13,13を連成したものとしているが、このような態様に限られない。例えば、上レールは、吊り下げランナーの形状や構造に応じて、略L字状とされたものや、横向きに開口した略コ字状とされたものとしてもよい。
さらには、図例では、下枠(敷居)を備えない上吊式の開口枠Aを示しているが、このような態様に限られず、引戸の下端部に戸車を設け、この戸車をガイドするレールを備えた下枠乃至は下レールを更に備えた開口枠としてもよい。この場合、上枠の上レールには、吊り下げランナーのローラーを案内する案内片を設けずに、建具の上端部または上端部に設けられた案内片、さらには上端部に設けられたピボット等を受け入れる空間を有した上レールとしてもよい。
また、本実施形態では、上枠材20の凹溝部21に、上レール10の全体が嵌め込まれて収容された例を示しているが、このような態様に限られず、上レールの一部が上枠材の凹溝部の溝縁から下方に突出するようなものとしてもよい。さらには、上枠材に凹溝部を設けずに、上枠材の平坦な下面を、上レール10の上板部11が当接固定される固定面部としてもよい。
さらに、本実施形態では、上枠材20の係合突起25を、略円柱形状の小径部(基部)26と略逆円錐台形状の大径爪部(係止部)27とを有したものとし、これに対応させて、上レール10の係合孔15を略円形状とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、係合突起を、略多角柱形状の基部と略逆多角錐台形状の係止部とを有したものとし、これに対応させて上レールの係合孔を略多角形状としてもよい。
さらにまた、本実施形態では、上枠材20の係合突起25を、弾性材料で略全体が中実状に形成されたものを例示しているが、このような態様に限られない。例えば、半径(軸心)方向に拡縮し得る中空状とされたものとしてもよく、さらには、係合突起自体を、上枠材の下面(または凹溝部の溝底)から下方に向けて突設され、先端部に爪部を有した複数の係止爪片からなるものとしてもよい。
また、係合孔に上下方向に沿って係合する係合突起としては、このような弾性変形を伴い係合するものに限られず、ダボ状のものとし、係合孔に圧入(かち込み)されて係合し、上レールを仮保持する構造としてもよい。
さらに、上枠材の係合突起と、上レールの係合孔とは、上下方向に沿って係合するものに限られず、括れを有した係合突起と、これを受け入れるダルマ孔状の係合孔としたり、L字状の係合突起とこれを受け入れる係合長孔等としたりしてもよい。この場合は、枠下地に固定された上枠材に対して上レールを幅方向または長手方向に沿ってスライドさせることで上枠材の係合突起と上レールの係合孔とを係合させ、上レールを上枠材に対して仮保持させるようにしてもよい。また、この場合は、上枠材の凹溝部内において、または固定された上枠材の下面に対して、上レールの上記スライド移動を許容し得るスペースを上枠材に設けるようにしてもよい。
さらにまた、上枠材20の係合突起25と上レール10の係合孔15とを、少なくとも長手方向の両端部近傍部位にそれぞれ対応させて設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、これらを略中央部位にのみそれぞれ対応させて設ける態様としてもよく、または、長手方向の一端部近傍部位にのみそれぞれ対応させて設ける態様としてもよい。
また、本実施形態では、上レール10に本固定用の固定止具16が挿通される取付孔14を設けた例を示しているが、このような取付孔を予め設けないにようにしてもよい。この場合、下孔加工用の目安となる細凹溝を上レールの上板部の下面に長手方向に沿って形成しておくようにしてもよい。または、下孔等を設けずに、上レールの上板部に対して固定止具を捩じ込み、上枠材に止着させることで、上枠材に仮保持された上レールを上枠材に本固定するようにしてもよい。
さらには、上記ダルマ孔状の係合孔を採用した場合には、上枠材の係合突起を木ねじ等の固定止具とし、ダルマ孔の大径部に固定止具の頭部を挿通させた後、小径部側にスライドさせ、この固定止具を捩じ込むことで本固定するようにしてもよい。つまり、上枠材の係合突起と本固定用の固定止具とを兼用するようにしてもよい。
1 上枠
10 上レール
11 上板部
14 取付孔
15 係合孔
16 固定止具
20 上枠材
21 凹溝部
21a 凹溝部の溝底(固定面部)
25 係合突起
27 大径爪部(係止部)
6 引戸(建具)
7 吊り下げランナー
9 枠下地

Claims (7)

  1. 建具を案内する上レールと、この上レールが仮保持された状態で本固定される上枠材とを備え、
    前記上枠材における上レールの固定面部には、仮保持用の係合突起が設けられている一方、前記上レールの上板部には、前記係合突起に係合する仮保持用の係合孔が設けられていることを特徴とする上枠。
  2. 請求項1において、
    前記上レールは、前記建具の吊り下げランナーがスライド自在に収容保持される構造とされていることを特徴とする上枠。
  3. 請求項1または2において、
    前記上レールと前記上枠材とは、略同長さとされ、前記上枠材には、前記上レールが嵌め込まれる凹溝部が長手方向に沿って形成され、この凹溝部の溝底が前記固定面部とされており、
    前記上枠材の係合突起と、前記上レールの係合孔とは、上下方向に沿って係合する構造とされていることを特徴とする上枠。
  4. 請求項3において、
    前記上枠材の係合突起は、前記係合孔に弾性変形を伴い係合し、該係合孔の孔縁に係止する係止部を有した構造とされていることを特徴とする上枠。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、
    前記上枠材の係合突起と、前記上レールの係合孔とは、少なくとも長手方向の両端部近傍部位にそれぞれ対応させて設けられていること特徴とする上枠。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記上レールの前記上板部には、本固定用の固定止具が挿通される取付孔が更に設けられていることを特徴とする上枠。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載された上枠を用いた上レール固定構造であって、
    枠下地に固定された前記上枠材の係合突起が前記上レールの係合孔に係合して該上レールが仮保持された状態で、この上レールの上板部を介して前記上枠材の固定面部に固定止具が止着されて前記上レールが前記上枠材に本固定される構造とされていることを特徴とする上レール固定構造。
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