JP2012007333A - 軒樋と竪樋の接合部構造 - Google Patents

軒樋と竪樋の接合部構造 Download PDF

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【課題】従来のように水封部材を設けたり、竪樋の径を大きくすることなく、雨水が軒樋から竪樋の内部を自然流下する場合よりも単位時間当たりの排水量を増加させることを可能にする軒樋と竪樋の接合部構造を提供する。
【解決手段】軒樋1と竪樋2の接合部の構造Aであって、雨水の流路Rとなる内部に、内周面から内側に突出する突部6を備えて形成され、一定流量以上の雨水が軒樋1から竪樋2に流入する際に、突部6が抵抗となって軒樋1内に雨水の滞留を生じさせ、滞留した雨水から作用する圧力が突部6による抵抗力を上回って、滞留した雨水が軒樋1から竪樋2に流下するとともに下方に負圧を生じさせ、突部6で生じさせた負圧によって、滞留した雨水を引っ張って竪樋2に流下させるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軒樋と竪樋の接合部構造に関する。
従来、住宅などには、屋根から流れ落ちる雨水を受ける軒樋と、軒樋に繋げられ、軒樋に集められた雨水を排水管などに導くための竪樋とを備えた雨樋(雨樋装置)が設置されている。また、竪樋は、熱膨縮などによる変位・変形を吸収するために、その下端部側を排水管に取り付けた筒状の排水管カバー(竪樋保護カバー)に上下方向に摺動可能に繋げて設けられている。
一方、この種の雨樋には、住宅などの外観を損なうことなく単位時間当たりの排水量を増加させて、大雨時でも好適に雨水を排水管などに排出できるようにすることが求められている。
これに対し、サイフォンの原理を利用することにより、従来の雨樋よりも単位時間当たりの排水量を増加させることを可能にした雨樋が提案、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。このサイフォンの原理を利用した雨樋は、排水管カバー内に、排水管カバーとの間に隙間をあけて有底筒状の水封部材(有底筒体)が配設され、竪樋の下端部を水封部材内に挿入して、竪樋から流出する雨水を水封部材で受けるように構成されている。
このように構成した雨樋においては、水封部材内の水位が竪樋の下端部(下端面)の位置に達した状態で竪樋の下端部の開口が水封部材内の雨水により封鎖されるため、軒樋から竪樋に大量の雨水が流入したときには、雨水が竪樋内に溜まる。そして、竪樋内に溜まる雨水が増えてゆき、竪樋の下端部の位置において、竪樋内に溜まった雨水から作用する圧力が水封部材内の雨水から作用する圧力よりも大きくなると、竪樋内に溜まった雨水がその自重によって水封部材内に落下し、水封部材内の雨水が溢れ出し、水封部材と排水管カバーの間の隙間を流下して排水管に排出される。このとき、竪樋内に溜まった雨水がサイフォン現象によって順次下方に引っ張られ、自然落下するときの流速よりも大きな流速で竪樋内を流下することになる。これにより、竪樋の径を大きくすることなく(住宅などの外観を損なうことなく)、単位時間当たりの排水量を増加させることが可能になる。
特開2005−330666号公報
しかしながら、サイフォンの原理を利用した上記従来の雨樋においては、排水管カバー内に水封部材を設けることで、従来よりも大きな排水管カバーが必要になる。このため、大きな排水管カバーが住宅などの外観に影響を与えたり、また、外壁などに突起物がある場合に、大きな排水管カバーが突起物に干渉して製品自体の取り付けができなくなるおそれがあった。
なお、竪樋の径を小さくして、水封部材ひいては排水管カバーを小さくすることも考えられるが、この場合には、竪樋に異物が詰まりやすくなるという不都合が生じてしまう。
請求項1記載の軒樋と竪樋の接合部構造は、軒樋と竪樋の接合部の構造であって、雨水の流路となる内部に、内周面から内側に突出する突部を備えて形成され、一定流量以上の雨水が前記軒樋から前記竪樋に流入する際に、前記突部が抵抗となって前記軒樋内に雨水の滞留を生じさせ、滞留した雨水から作用する圧力が前記突部による抵抗力を上回って前記滞留した雨水が前記軒樋から前記竪樋に流下するとともに下方に負圧を生じさせ、前記突部で生じさせた負圧によって前記滞留した雨水を引っ張って前記竪樋に流下させるように構成されていることを特徴とする。
請求項1記載の軒樋と竪樋の接合部構造においては、雨水の流路となる内部に、流路面積を減少させるように内周面から内側に突出する突部を備えることで、一定流量以上の雨水が軒樋から竪樋に流入する際に、突部が抵抗となって乱流を生じさせ、この突部の上方の軒樋内に雨水の滞留を生じさせることができる。そして、滞留した雨水から作用する圧力(滞留した雨水の自重)が突部による抵抗力を上回って、滞留した雨水が突部を備えた接合部を急激に流下することにより、突部から下方に負圧を生じさせることができる。このため、接合部を流下する雨水の流速を増大させることが可能になるとともに、軒樋に流入して滞留した雨水を継続的(持続的)に引っ張って流下させることが可能になる。これにより、従来のように水封部材を設けたり、竪樋の径を大きくすることなく、軒樋から竪樋を通じて導水される雨水が竪樋の内部を自然流下する場合よりも単位時間当たりの排水量(雨水の計画排水量、雨水の処理能力)を増加させることが可能になる。
また、このようなベンチュリ効果(あるいはベンチュリ効果に類似の効果)を発揮する突部が軒樋と竪樋の接合部内に設けられているため、住宅などの外観に影響を与えたり、外壁などにある突起物に干渉して製品自体の取り付けに支障をきたすことなく、単位時間当たりの排水量を増加させることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る軒樋と竪樋の接合部構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る軒樋と竪樋の接合部構造を示す断面図であり、雨水が軒樋から竪樋に流入し、突部によって乱流が生じた状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る軒樋と竪樋の接合部構造を示す断面図であり、突部によって乱流を生じさせることにより、接合部の一部が満水状態になることを示す図である。 本発明の一実施形態に係る軒樋と竪樋の接合部構造を示す断面図であり、軒樋に滞留した雨水が接合部を急激に流下する状態を示す図である。
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る軒樋と竪樋の接合部構造について説明する。本実施形態は、住宅などに設置される雨樋(雨樋装置)の軒樋と竪樋の接合部構造に関するものであり、特に、住宅などの外観を損なうことなく、単位時間当たりの排水量を増加させることを可能にする軒樋と竪樋の接合部構造に関するものである。
本実施形態の軒樋と竪樋の接合部構造(接合部)Aは、図1に示すように、軒樋1の下端1aに、軸線O1方向を上下方向に向けて配設される竪樋2の上端部2aを繋げ、軒樋1の内部と竪樋2の内部を連通させて保持するための構造であり、軒樋1の下端面1aに形成したドレン孔1bに挿通して軒樋1に取り付けられる略円筒状のドレンキャップ3と、ドレンキャップ3の軒樋1の下端面1aから下方に突出した部分に一体に接続して配設される略円筒状の接合部材4と、上端側を接合部材4に係合させ、下端側を竪樋2の上端部2a側に係合させ、接合部材4(及びドレンキャップ3)を介して軒樋1と竪樋2を接合させつつ保持するための略円筒状のソケット5とを備えて構成されている。
また、本実施形態のドレンキャップ3は、ドレン孔1bに挿通して軒樋1の下端面1aから下方に配設される略円筒状のキャップ本体3aと、キャップ本体3aの上端から径方向外側に突出する円環状のフランジ3bとを備えて形成されている。さらに、キャップ本体3aは、外周面に雄ネジの螺刻を施して雄ネジ部3cを備えるとともに、内周面から径方向内側に突出する突部6を備えて形成されている。また、本実施形態では、突部6が、内周面から内側に向かうに従い漸次上方に傾斜して形成されるとともに、周方向に延びて円環状に形成されている。さらに、ドレンキャップ3は、このような突部6を上下方向に複数並設して(複数段設けて)形成されている。なお、雨水の流路Rとなる内部に流路面積を減少させるように設けられた突部6は、雨水の計画排水量に応じてその形状や配置等が設定される。
接合部材4は、ドレンキャップ3のキャップ本体3aに接続する略円筒状の接合部本体4aと、接合部本体4aの上端から径方向外側に突出する円環状のフランジ4bとを備えて形成されている。また、接合部本体4aは、内周面に雌ネジの螺刻を施して雌ネジ部4cを備えて形成されている。
ソケット5は、その内径が接合部材4の接合部本体4aの外径及び竪樋2の外径と略同等の径寸法で形成されるとともに、上下方向に延びる軸線O1方向略中央に、内周面から径方向内側に突出する円環状の係止部5aを備えて形成されている。
そして、本実施形態の軒樋と竪樋の接合部構造Aにおいて、ドレンキャップ3は、キャップ本体3aを軒樋1の内側からドレン孔1bに挿通すると、フランジ3bが軒樋1の内側の底面1cに当接して係止され、外周面に雄ネジ部3cを形成したキャップ本体3aを軒樋1の下端面1aから下方に突出させた状態で配設される。また、接合部材4は、キャップ本体3aの雄ネジ部3cに雌ネジ部4cを螺合させることにより、ドレンキャップ3に一体に接続される。このとき、雄ネジ部3cと雌ネジ部4cを螺合して緊締すると、ドレンキャップ3のフランジ3bが軒樋1の底面1cに圧接されるとともに接合部材4のフランジ4bが軒樋1の下端面1aに圧接され、これら両フランジ3b、4bで軒樋1を挟み込んで、ドレンキャップ3及び接合部材4が軒樋1に強固に取り付けられる。さらに、ソケット5は、接合部材4の接合部本体4aを上端側から内部に挿入すると、内周面が接合部本体4aの外周面に密着し、接合部材4に係合して取り付けられる。
このように取り付けたソケット5の下端側から竪樋2の上端部2a側を内部に挿入すると、ソケット5の内周面が竪樋2の外周面に密着するとともに係止部5aに竪樋2の上端部2aが当接して、ソケット5に竪樋2が係合する。これにより、ドレンキャップ3、接合部材4、ソケット5からなる接合部構造(接合部)Aを介して、軒樋1と竪樋2が互いの内部を連通させた状態で接合される。
上記のように構成した本実施形態の軒樋と竪樋の接合部構造Aにおいては、図2に示すように、降雨時、軒樋1から接合部Aを通じて竪樋2に流入する雨水Wが、接合部A及び竪樋2の内周面を伝って流下し、排水管に排出される。このとき、接合部Aの内周面に突部6が設けられているため、内周面を伝って流下する雨水Wが少量であっても突部6によって乱流Sがおきる。そして、軒樋1から竪樋2に流入する雨水Wの流量がある一定量を下回っている場合には、乱流Sを生じさせた雨水Wが突部6を通過するとともに竪樋1の内周面を伝って排水管に排出されることになる。
一方、ある一定流量を上回る雨水Wが流入すると、図3に示すように、突部6によって乱流Sがおきることで、接合部Aの一部で満水状態が発生し、徐々に水位が上昇し始め、軒樋1の内部に雨水Wの滞留が生じる。
そして、図4に示すように、滞留した雨水Wの水位が上がり、突部6による抵抗力を上回る一定値以上の圧力(滞留した雨水Wの自重による圧力)が滞留した雨水Wから作用すると、この滞留した雨水Wが圧力によって接合部Aの内部(突部6)を急激に流通(流下)する。
このとき、滞留した雨水Wが急激に接合部Aの内部を流通するとともに、接合部Aの内部、突部6の下方が減圧状態になり(突部6から下方に負圧が生じ)、竪樋1の内部を雨水Wが自然流下する場合よりも、接合部Aを流通する雨水Wの流速が増大する。このように負圧を生じさせて大きな流速で雨水Wが流通するとともに、軒樋1に滞留した雨水Wが順次下方に引っ張られ、継続的に大きな流速で(ひいては大きな流量で)流下してゆくことになる。
そして、このように接合部Aに設けた突部6がベンチュリ効果(ベンチュリ効果と類似の効果)を発揮し、この突部6がきっかけになって大きな流速で雨水Wが流下し続けるため、従来の雨樋のように水封部材を設けたり、竪樋2の径を大きくすることなく、単位時間当たりの排水量が増加することになる。これにより、雨樋(軒樋1及び竪樋2)の雨水処理能力が高まり、大雨などの降雨時に軒樋1から雨水Wが溢れてしまうようなことが抑制される。
したがって、本実施形態の軒樋と竪樋の接合部構造Aにおいては、雨水Wの流路Rとなる内部に、流路面積を減少させるように内周面から内側に突出する突部6を備えることで、一定流量以上の雨水Wが軒樋1から竪樋2に流入する際に、突部6が抵抗となって乱流Sを生じさせ、この突部6の上方の軒樋1内に雨水Wの滞留を生じさせることができる。そして、滞留した雨水Wから作用する圧力(滞留した雨水Wの自重)が突部6による抵抗力を上回って、滞留した雨水Wが突部6を備えた接合部Aを急激に流下することにより、突部6から下方に負圧を生じさせることができる。このため、接合部Aを流下する雨水Wの流速を増大させることが可能になるとともに、軒樋1に流入して滞留した雨水Wを継続的(持続的)に引っ張って流下させることが可能になる。
これにより、従来のように水封部材を設けたり、竪樋の径を大きくすることなく、軒樋1から竪樋2を通じて導水される雨水Wが竪樋2の内部を自然流下する場合よりも、単位時間当たりの排水量(雨水Wの計画排水量、雨水Wの処理能力)を増加させることが可能になる。
また、このようなベンチュリ効果(あるいはベンチュリ効果に類似の効果)を発揮する突部6が軒樋1と竪樋2の接合部A内に設けられているため、住宅などの外観に影響を与えたり、外壁などにある突起物に干渉して製品自体の取り付けに支障をきたすことなく、単位時間当たりの排水量を増加させることが可能になる。
さらに、既設の雨樋(接合部)に対しても、突部6を備えた接合部Aを交換して取り付けることにより容易に本実施形態の作用効果を付与することが可能である。
以上、本発明に係る軒樋と竪樋の接合部構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 軒樋
1a 下端(下端面)
1b ドレン孔
1c 底面
2 竪樋
2a 上端部
3 ドレンキャップ
3a キャップ本体
3b フランジ
3c 雄ネジ部
4 接合部材
4a 接合部本体
4b フランジ
4c 雌ネジ部
5 ソケット
5a 係止部
6 突部
A 軒樋と竪樋の接合部構造(接合部)
O1 軸線
R 流路
S 乱流
W 雨水

Claims (1)

  1. 軒樋と竪樋の接合部の構造であって、
    雨水の流路となる内部に、内周面から内側に突出する突部を備えて形成され、
    一定流量以上の雨水が前記軒樋から前記竪樋に流入する際に、前記突部が抵抗となって前記軒樋内に雨水の滞留を生じさせ、
    滞留した雨水から作用する圧力が前記突部による抵抗力を上回って前記滞留した雨水が前記軒樋から前記竪樋に流下するとともに下方に負圧を生じさせ、
    前記突部で生じさせた負圧によって前記滞留した雨水を引っ張って前記竪樋に流下させるように構成されていることを特徴とする軒樋と竪樋の接合部構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002317536A (ja) * 2001-04-23 2002-10-31 Matsushita Electric Works Ltd 軒樋用ドレン
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