以下に、本発明に係る運転評価装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、運転評価装置の概略構成を示す模式的ブロック図、図2は、目標速度と実速度との比較の一例を表す線図、図3は、目標加(減)速度と実加(減)速度との比較の一例を表す線図、図4は、理想目標と運転者の実際の操作とが大きく異なる場合を表す線図、図5は、インジケータで表示する瞬時評価結果の一例、図6は、表示装置で表示する区間評価結果の一例、図7は、表示装置で表示する全体評価結果の一例、図8は、運転評価装置における運転評価制御の一例を表すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態の運転評価装置1は、典型的には、車両10に搭載され、運転者による車両10の運転を評価するものである。運転評価装置1は、例えば、所定の走行区間において、理想目標に応じた理想的な操作と運転者の実際の操作とを比較し運転評価を行う。これにより、この運転評価装置1は、例えば、運転者の低燃費運転評価として、運転者による瞬時的なアクセル操作やブレーキ操作を評価するいわゆるエコインジケータや運転履歴等から総合的に運転者の運転を評価する場合などでは、評価する走行状況における必然的な操作と無駄な操作との区別ができないような場合であっても、より適正な運転評価を行うことができるものである。
具体的には、図1に示すように、運転評価装置1は、状態検出装置2と、目標軌跡生成装置3と、評価演算装置4と、通知装置としての評価結果出力装置5とを備える。
なお、目標軌跡生成装置3、評価演算装置4は、例えば、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。目標軌跡生成装置3、評価演算装置4は、例えば、この運転評価装置1を搭載する車両10の各部を制御するECUと電気的に接続され、このECUを介して相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成としてもよいし、あるいは、このECUと一体で構成されてもよい。すなわち、目標軌跡生成装置3、評価演算装置4は、ECUによって兼用されてもよい。
状態検出装置2は、運転評価装置1が搭載されている車両10の状態や先読み情報等を検出するものであり、各種センサなどを含んで構成される。状態検出装置2は、車両10に搭載される種々のアクチュエータ6や目標軌跡生成装置3、評価演算装置4に電気的に接続されており、相互に種々の信号や制御指令等の情報の授受を行うことができる。ここでの状態検出装置2は、先読み情報取得部21、運転状態取得部22、運転操作取得部23等を含んで構成される。
先読み情報取得部21は、先読み情報を取得する。先読み情報取得部21は、例えば、車載カメラ、レーダ、GPS装置、ナビゲーション装置、車車間通信機器、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタなどからの情報を受信する装置などによって構成される。先読み情報取得部21は、例えば、先行車両情報、後続車両情報、道路勾配情報、路面状態情報、道路形状情報、信号情報、制限車速情報、道路曲率情報、工事・交通規制情報、渋滞情報、緊急車両情報、事故履歴データベースに関する情報等のいずれかを含む先読み情報を取得する。
運転状態取得部22は、車両10の運転状態に関する情報を取得する。運転状態取得部22は、例えば、種々のセンサなどを含んで構成される。運転状態取得部22は、例えば、車両10に搭載される種々のアクチュエータ6の運転の状態や車両10の車輪速、速度(車速)、ヨーレート、加速度、減速度、操舵角等の車両10の自車状態量を表す情報を取得する。
ここで、車両10の走行を実現する種々のアクチュエータ6は、例えば、燃料を燃焼させることで車両10に駆動力を発生させる走行用駆動源として機能するエンジン61、力行により車両10に駆動力を発生させる走行用駆動源及び回生により車両10に制動力を発生させる回生装置として機能するモータジェネレータ(以下、特に断りのない限り単に「MG」と略記する)62、エンジン61やMG62による回転出力を変速する変速機63、油圧により車両10に制動力を発生させる油圧ブレーキ装置64、蓄電可能な蓄電装置として機能するバッテリ65等を含んで構成される。運転状態取得部22は、これらアクチュエータ6の作動状態も適宜取得する。アクチュエータ6は、例えば、この他にも不図示のEPS(Electric Power Steering)装置やVGRS(Variable Gear Ratio Steering)装置などを含んでいてもよい。
運転操作取得部23は、運転者による車両10に対する入力(ドライバ入力)、すなわち、運転者による車両10に対する実際の操作に関する情報を取得する。運転操作取得部23は、例えば、アクセル開度センサやブレーキペダルセンサなどを含んで構成される。運転操作取得部23は、例えば、加速要求操作としてのアクセル操作の操作量(例えば、アクセル開度)に関する情報、減速要求操作としてのブレーキ操作の操作量(例えば、ブレーキペダル踏力)などの運転者の実際の運転操作を表す情報を取得する。また、運転操作取得部23は、例えば、現在のアクセル操作の操作量、ブレーキ操作の操作量、車速等に基づいて、現在、運転者が車両10に要求している加減速度であるドライバ要求加減速度を演算することもできる。このドライバ要求加減速度は、例えば、運転者が今現在、どれぐらいの加減速度を要求しているのかを示す物理量に相当する。
目標軌跡生成装置3は、状態検出装置2が検出した情報に基づいて、種々の公知の手法を用いて車両10の走行の目標となる理想目標を生成する。
本実施形態の車両10の走行の目標となる理想目標とは、車両10の加速走行と惰性走行とを繰り返す走行、典型的にはいわゆるフリーランを含む走行の目標となる理想的な走行である。さらに言えば、車両10の走行の目標となる理想目標とは、例えば、燃費(単位走行距離における燃料消費量)の向上のため、車両10の走行用駆動源としてのエンジン61、MG62等での燃料、電力等の消費を停止しこの車両10を惰性走行させるいわゆるフリーラン(滑空、惰性走行)が反映された燃費走行であり、加速走行と惰性走行とを交互に繰り返す等、理想的な燃費性能を実現できる走行である。
言い換えれば、上記車両10の理想目標は、車両10の燃費走行に対して最適となる理想の走行の目標であり、基本的には車両10の走行の出発点から終点までの車両10の目標軌跡と、燃費向上のうえでこの軌跡における理想の目標速度パターン、目標加速度パターン(例えば、特定の位置に応じて関連付けられた目標の速度パターン、目標の加速度パターン)等からなる。目標軌跡生成装置3は、例えば、先読み情報取得部21が取得する先読み情報等に応じて走行計画を作成し、車両10の理想の目標軌跡、目標速度パターン、目標加速度パターンを生成する。
目標軌跡生成装置3は、例えば、運転者の希望、車両10側のパワートレーン条件、走行状況等の所定の目標タスクを与えた場合に、その中で燃費走行において最適と評価される結果を導き出すロジックを含んで構成される。目標軌跡生成装置3は、例えば、そのロジック演算によって車両10の理想的な目標軌跡と、この軌跡における理想の目標速度パターン、目標加速度パターン等が得られる。一例として、目標軌跡生成装置3は、例えば、所定のゴール地点と希望の到着時間を設定した場合、その条件を満たす範囲で、最も燃費が良いと評価された速度パターン、加速度パターンを車両10の目標速度パターン、目標加速度パターンとする。
なお、目標軌跡生成装置3は、上記の例示に限らず、例えば、不図示の入力装置を介して手動にて車両10の理想的な目標速度パターン、目標加速度パターンを入力したり、データベースに蓄積したりして、最適化などの処理により車両10の理想の目標軌跡、目標速度パターン、目標加速度パターン等を演算するものであってもよい。目標軌跡生成装置3は、一例として、道路形状情報(コーナー曲率、路面μ情報、勾配など)と、運転者の希望するタスク(旅行時間(希望到達時間)、最大Gなど)、周辺環境条件(周辺車両、信号、渋滞有無など)が与えられた場合、その中で燃費最適と評価される結果を導くロジックによって、目標軌跡、目標速度、目標加速度等の走行パターンを得る。
評価演算装置4は、車両10の走行の理想目標と、車両10に対する運転者の実際の操作との比較に基づいて、運転者の操作に応じた運転(以下、これを単に「運転者の運転」という場合がある。)を評価する。評価演算装置4は、目標軌跡生成装置3が生成した車両10の走行の理想目標に応じた理想目標値と、状態検出装置2の運転操作取得部23などが検出する車両10に対する実際の操作に応じた実操作値とを取得し、理想目標値と実操作値との比較に基づいて、運転者の運転を評価する。
ここでは、理想目標値は、例えば、上述した理想目標に応じた車両10の目標速度及び目標加速度を含み、実操作値は、車両10に対する運転者の実際の操作に応じた車両10の実速度及び実加速度を含む。つまりここでは、評価演算装置4は、少なくとも速度と加速度の2つのパラメータを用いて運転を評価する。すなわち、評価演算装置4は、理想目標値である車両10の目標速度と実操作値である車両の実速度との比較、及び、理想目標値である車両10の目標加速度と実操作値である車両10の実加速度との比較に基づいて、運転者の運転を評価する。
さらに言えば、評価演算装置4は、理想目標(その走行状況における最適な走り方)と実際の操作に応じた運転(実際の走り方)との比較を行い、適切なタイミング(例えば、運転者の操作区間の終了毎や1トリップ全体の終了毎)で具体的な運転者の運転評価を行う。ここでは、評価演算装置4は、少なくとも、理想目標に応じて区間分けされる理想目標所定区間における理想目標値と、車両10に対する実際の操作に応じて区間分けされる実操作所定区間における実操作値との比較に基づいて、運転者の操作に応じた運転を評価する。
具体的には、評価演算装置4は、機能概念的に、理想目標解析部41、実操作解析部42、比較評価部43、出力制御部44などを含んで構成される。
理想目標解析部41は、目標軌跡生成装置3が生成した理想目標の解析を行う。理想目標解析部41は、理想目標における走行の区間分けを行う。理想目標解析部41は、理想目標に応じて理想目標所定区間を区間分けする。理想目標解析部41は、目標軌跡生成装置3が生成した目標軌跡、目標速度、目標加速度等に応じた走行パターンを、運転者に対する明示的な区間として、理想目標所定区間ごとに区分けする。運転者に対する明示的な理想目標所定区間としては、例えば、理想目標における加速走行区間、定常走行区間、減速走行(惰性走行)区間(あるいは発進から停止までの1区間)などがある。つまり、目標軌跡生成装置3が生成した目標軌跡は、目標速度、目標加速度等に応じて加速走行区間、定常走行区間、減速走行区間などの理想目標所定区間に区分けされ、抽出される。
そして、理想目標解析部41は、目標軌跡生成装置3が生成した目標軌跡、目標速度、目標加速度等の理想目標の走行パターンから、加速走行区間、定常走行区間、減速走行区間などに区分けされた各理想目標所定区間のリファレンスデータを抽出する。理想目標解析部41は、例えば、理想目標所定区間における理想目標値として、各理想目標所定区間に入るタイミングと速度、区間ごとの目標速度(最大速度、最小速度)、最大加減速度、理想燃料消費量などのリファレンスデータを抽出する。
実操作解析部42は、状態検出装置2の運転操作取得部23などが検出する運転者による車両10に対する実際の操作の解析を行う。実操作解析部42は、運転者による車両10に対する実際の操作に応じた走行の区間分けを行う。実操作解析部42は、運転操作取得部23が取得した実速度、実加速度等に応じた走行パターンを、実操作所定区間ごとに区分けする。実操作所定区間としては、例えば、上記の理想目標所定区間に対応して、実際の操作に応じた運転における加速走行区間、定常走行区間、減速走行区間(あるいは発進から停止までの1区間)などがある。つまり、運転者による車両10に対する実際の操作に応じた実際の走行軌跡は、実速度、実加速度等に応じて加速走行区間、定常走行区間、減速走行区間などの実操作所定区間に区分けされ、抽出される。
一例として、実操作解析部42は、1回のアクセル操作のONからOFFまでの区間を1つの実操作所定区間として特定し、特定した実操作所定区間における実速度、実加速度等に基づいて加速走行区間、定常走行区間、減速走行(惰性走行)区間のいずれかに区分けする。なお、実操作解析部42は、例えば、1回の加速の山、すなわち、アクセル操作ONからアクセル操作OFFの後、エンジンブレーキやブレーキ操作などを介して次のアクセル操作ONまでの区間を1つの実操作所定区間として特定してもよいし、運転操作取得部23が演算するドライバ要求加減速度に応じて1つの実操作所定区間を特定してもよい。実操作解析部42は、例えば、ドライバ要求加減速度に応じて実操作所定区間を特定する場合、ドライバ要求加減速度が正(ドライバ要求加減速度>α)であれば加速走行区間、負(ドライバ要求加減速度<−α)であれば減速走行区間、ゼロ付近(ドライバ要求加減速度<|α|)であれば定常走行区間、などとして各実操作所定区間を特定し、抽出する。実操作解析部42は、基本的には理想目標解析部41によって区分けされる理想目標所定区間と対応するような形式で、運転者の操作に応じて1つの実操作所定区間を区分けすればよい。
そして、実操作解析部42は、取得した実速度、実加速度等の運転者による実際の操作に応じた運転の走行パターンから、加速走行区間、定常走行区間、減速走行区間などに区分けされた各実操作所定区間における実際の操作に応じた比較データを抽出する。実操作解析部42は、上記の理想目標値に対応して、例えば、実操作所定区間における実操作値として、各実操作所定区間が始まる実際のタイミングと速度、区間ごとの実速度(最大速度、最小速度)、最大加減速度、燃料消費量などの比較データを解析する。
比較評価部43は、理想目標と実際の操作に応じた運転との比較により、運転者の操作に応じた運転を評価する。比較評価部43は、理想目標解析部41が解析した理想目標値と実操作解析部42が解析した実操作値との比較により、運転者の運転を評価する。
出力制御部44は、比較評価部43による評価の結果を評価結果出力装置5に出力する。
そして、評価結果出力装置5は、評価演算装置4による運転の評価結果を出力する。評価結果出力装置5は、運転の評価結果を視覚及び/又は聴覚で認識可能に出力する。評価結果出力装置5は、例えば、視覚情報を伝えるインジケータ51、ナビゲーション装置に付属しているLCD画面等の表示装置52、音声、警告音等の聴覚情報を発するスピーカやブザーなどの音声出力装置53等を含んで構成される。なお、評価結果出力装置5は、ハンドル振動、座席振動、ペダル反力などの触覚情報を出力する不図示の触覚情報出力装置等を含んで構成されてもよい。
ここでは、比較評価部43は、瞬時的な評価や総合的な評価だけでなく、理想目標解析部41、実操作解析部42によって区分けされた各区間の評価を適宜行い、出力制御部44は、各区間における評価を適宜のタイミング、例えば、各区間が終わったタイミングで評価結果出力装置5に出力する。これにより、この運転評価装置1は、上述したように、瞬時的な評価や総合的な評価では困難であった評価、例えば、評価する走行状況における必然的な操作と無駄な操作との区別が可能となる。
なお、この運転評価装置1は、理想目標解析部41、実操作解析部42によって区分けされた各区間の区分けの仕方によって、より細かな区間評価を行ったり、逆により大雑把な区間評価を行ったりなどの調節を行うことができる。例えば、より単純な区間評価を行う場合には、理想目標解析部41、実操作解析部42は、目標軌跡、実際の走行軌跡を加速走行区間と減速走行区間の2つに区分する。また、例えば、より詳細な区間評価を行う場合には、理想目標解析部41、実操作解析部42は、区分けする区間として、さらに定常走行区間や発進から停止までの1区間なども加える。
比較評価部43は、具体的には、瞬時評価部45、区間評価部46、全体評価部47などを含んで構成される。
瞬時評価部45は、運転者の操作に応じた運転の瞬時的な評価を行う。瞬時評価部45は、評価を行う時点での瞬間的な理想目標値と実操作値とを比較し、比較結果に基づいて運転者の操作に応じた運転を評価する。すなわち、瞬時評価部45は、評価を行うその時点での目標速度、目標加速度等と実速度、実加速度等とを比較し、比較結果に応じてアクセル操作やブレーキ操作の必要性や適否などを評価する。この結果、運転評価装置1は、評価を行うその瞬間において運転者のアクセル操作やブレーキ操作が必要であるかどうかや操作自体が適切であるかどうか等を評価することができる。例えば、瞬時評価部45は、瞬時評価として、評価を行うその時点での目標速度に対して実速度が小さければ、運転者の運転の評価として、アクセル操作の操作量の増加(アクセルペダルの踏み込み)が必要である旨の評価を行う。
区間評価部46は、運転者の操作に応じた運転の各区間における評価を行う。区間評価部46は、理想目標解析部41によって区分けされた各理想目標所定区間における理想目標値と、実操作解析部42によって区分けされた各実操作所定区間における実操作値とをそれぞれ比較し、各区間の評価をそれぞれ行う。すなわち、区間評価部46は、各理想目標所定区間における目標速度、目標加速度等と各実操作所定区間における実速度、実加速度等とを比較し、比較結果に応じてアクセル操作やブレーキ操作の必要性や適否を評価する。
区間評価部46は、一例として、各区間における目標速度と実速度との乖離度、各区間に入るタイミングとそのときの速度、アクセル操作に応じた目標加速度と実加速度との乖離度、ブレーキ操作に応じた目標減速度(負の加速度)と実減速度との乖離度などの指標を用いて、各理想目標所定区間を基準として、実操作所定区間ごとに運転者の実際の操作に応じた運転を評価する。
例えば、区間評価部46は、区間評価として、理想目標値(目標速度、目標加(減)速度)に対する実操作値(実速度、実加(減)速度)の乖離度を累積した値を算出し、この乖離度を累積した値に基づいて運転者の実際の操作に応じた運転を評価する。上記種々の乖離度の計算は、例えば、理想目標値と実操作値との差分をそのまま積分して図2、図3等で例示するような面積部分を計算したり、理想目標値に対する実操作値の割合を百分率で計算したりするなどして行うことができる。
例えば、区間評価部46は、図2に例示する面積部分を計算することで、各区間において目標速度と実速度との乖離度を累積した値を算出する。そして、区間評価部46は、例えば、「目標速度−実速度」の差分が正のものを累積した値(図2中S21に相当)に応じて、この区間ではこの分だけ実速度が不足していた、と評価する。また、区間評価部46は、例えば、「目標速度−実速度」の差分が負のものを累積した値(図2中S22に相当)に応じて、この区間ではこの分だけ実速度が高すぎた、と評価する。また、区間評価部46は、例えば、「目標速度−実速度」の差分の絶対値を累積した値に応じて、この区間ではこの分だけ目標速度に対して実速度が乖離していた、と評価する。
また、例えば、区間評価部46は、各区間に入るタイミングとそのときの実速度を理想目標におけるタイミングと目標速度と比較して、加減速タイミングや速度を評価する(図2参照)。これにより、運転評価装置1は、運転者がどのような走りが理想的なのかをより好適にイメージさせることができるようになる。
また、例えば、区間評価部46は、図3に例示する面積部分を計算することで、各区間において目標加(減)速度と実加(減)速度との乖離度を累積した値を算出し運転者のアクセル操作やブレーキ操作を評価する。そして、区間評価部46は、例えば、「目標加(減)速度−実加(減)速度」の差分が正のものを累積した値(図3中S31に相当)に応じて、この分だけこの区間での加(減)速が不足していた、と評価する。また、区間評価部46は、例えば、「目標加(減)速度−実加(減)速度」の差分が負のものを累積した値(図3中S32に相当)に応じて、この分だけこの区間で加(減)速しすぎていた、と評価する。また、区間評価部46は、例えば、「目標加(減)速度−実加(減)速度」の差分の絶対値を累積した値に応じて、この分だけこの区間で目標加(減)速度に対して実加(減)速度が乖離していた、と評価する。
なお、区間評価部46は、例えば、図4に例示するように、理想目標と運転者の実際の操作とが大きく異なり、目標速度に対して実速度が大きく乖離してしまっているような場合には、理想目標における理想燃料消費量に対する実際の燃料消費量などからこの区間における運転者の操作の必要性や適否を評価するとよい。区間評価部46は、例えば、図4のように、車両10が赤信号などで停止する必要があり、理想目標では減速走行(惰性走行)区間であるのに、実際には定常走行区間として無駄に走行してしまった場合には、この区間での理想燃料消費量と実際の燃料消費量との関係から必要性の度合い、すなわち、どの程度無駄な走行であったかを評価するとよい。
全体評価部47は、運転者の操作に応じた運転の走行全体における評価を行う。全体評価部47は、区間評価部46による各区間の評価を走行全体、例えば、1トリップ(出発地点から目標地点までの走行)で1つのまとまった単位で取りまとめて、全体評価を行う。全体評価部47は、例えば、運転者の操作に応じた走行履歴などと照らし合わせることで種々の操作の因果関係を評価することもできる。
全体評価部47は、例えば、全体評価に用いる実操作値として、状態検出装置2等から走行距離、平均速度、燃費(燃料消費量)等の一般的な評価指標や停止回数、加減速回数、各区間の出現回数、減速中のブレーキ操作回数、加減速時間、減速時間中のフューエルカット時間(フリーラン時間)、エンジンブレーキ使用頻度等を取得、演算する。全体評価部47は、これらの指標を用いて、1トリップ走行全体において、実際にはどんなような運転であったかを評価する。
また、全体評価部47は、例えば、上記実操作値とこれと対応する理想目標値とを比較して、理想目標に対する運転者の操作に応じた運転の改善余地等を評価する。この場合、全体評価部47は、例えば、理想目標値に対する実操作値の割合を評価したり、区間評価で用いた値をさらに走行全体で累積(積算)して評価をしたり、あるいは、各理想目標値と各実操作値との比較の結果に対して、例えば、燃費寄与度に応じて重み付けを行って総合的に評価したりするようにしてもよい。また、全体評価部47は、例えば、運転者の実際の走行履歴と理想目標とを照らし合わせることで、ある区間で運転者が操作を行った結果、加速や減速が必要になったか、そもそも加速や減速が必要だったか、などを評価する。
そして、出力制御部44は、瞬時評価部45による瞬時評価の結果、区間評価部46による区間評価の結果、全体評価部47による全体評価の結果等を評価結果出力装置5に出力する。評価結果出力装置5は、評価結果を運転者に通知し、これにより、運転者が走行計画に基づき運転する際の利便性を向上する。なお、評価結果出力装置5が通知する評価項目は、運転者の運転技量や燃費走行熟練度などのレベルに応じて選択可能であるようにしてもよい。
例えば、評価結果出力装置5は、インジケータ51が瞬時評価の結果を表示し、表示装置52が区間評価、全体評価の結果を表示する。
インジケータ51は、一例として、図5に例示するように、瞬時評価の内容を視覚的に通知する。インジケータ51は、例えば、図5の最上段に図示するように、瞬時評価の結果と対応付けられた点灯可能な区画を複数(奇数個が好ましい)並べて構成された表示器である。インジケータ51は、瞬時評価の結果を所定の区画の点灯により表示する。インジケータ51は、瞬時評価の結果に対応する区画を定義(決定)し、例えば、図5の中段から下段に図示するように、定義した区画を点灯させる。インジケータ51は、例えば、理想目標値と実操作値との乖離度を視覚的に表す。このとき、評価結果出力装置5は、例えば、アクセル操作が多すぎるなど、運転者による無駄な操作が多いと評価されたような場合には、音声出力装置53を介して警告音を出力するようにしてもよい。
表示装置52は、一例として、図6に例示するように、区間評価の内容を視覚的に通知する。表示装置52は、例えば、1つの実操作所定区間が終了するごと、あるいは、運転者による1つの操作が終了するごとに、適宜のタイミングで各区間ごとの区間評価の内容を逐次、視覚的に表す。図6は、加速走行区間における表示の一例を表しており、表示装置52は、図中上段に当該区間に入るタイミングとそのときの速度(実線が実際の操作に応じた速度、点線が理想目標における目標速度)を表示している。また、表示装置52は、図中下段に評価対象となった区間における燃料消費量、平均速度、平均加速度等の各実操作値、各理想目標値(理想燃料消費量、目標速度、目標加速度等)に対する各実操作値(実燃料消費量、実速度、実加速度等)の乖離度に相当する「評点」などを表示している。またここでは、表示装置52は、運転者に対して、この区間での区間評価に基づいて、次の区間では加速タイミングに意識して必要最小限の加速をするようにアドバイスしている。
なお、区間評価部46は、例えば、下記の数式(1)〜(5)を用いて、適宜重み付けを行って上記の各評点を算出してもよい。また、区間評価部46は、例えば、下記の数式(6)〜(7)を用いて、適宜重み付けを行って上記以外の各評点を算出してもよい。
燃料消費量の評点=(理想燃料消費量/実際の燃料消費量)×100 ・・・(1)
平均速度の評点=100−|理想目標の平均速度[km/h]−実平均速度[km/h]|×10 ・・・(2)
平均加速度の評点=100−|理想目標の平均加速度[m/s2]−実平均加速度[m/s2]|×100 ・・・(3)
加速開始タイミングの評点=100−|理想目標の開始タイミング[s]−実開始タイミング[s]|×10 ・・・(4)
区間開始時・終了時速度の評点=100−|理想目標の区間開始時・終了時速度[km/h]−実区間開始時・終了時速度[km/h]|×5 ・・・(5)
速度の乖離度の評点=100−速度の乖離度の面積[km/h・s] ・・・(6)
加速度の乖離度の評点=100−加速度の乖離度の面積[m/s2・s] ・・・(7)
また、区間評価部46は、上記のような数式を用いて評点を算出する場合、各係数を走行時間などの運転状態に応じて変えるようにしてもよい。また、区間評価部46は、これらの評点に閾値を設けて、各項目を「○」、「△」、「×」等の運転者に分り易い記号を決定し、表示装置52は、当該記号を表示するようにしてもよい。この場合、閾値は、運転者の平均値や燃費寄与度に対する重要度などに基づいて適宜設定されればよい。
また、表示装置52は、一例として、図7に例示するように、全体評価の内容を視覚的に通知する。表示装置52は、例えば、1つのトリップが終了すると、適宜のタイミングで今回の走行全体での全体評価の内容を視覚的に表す。表示装置52は、図中上段に1トリップの走行全体において燃費悪化要因となった時間帯(図中ハッチ部分)とそのときの速度(実線が実際の操作に応じた速度、点線が理想目標における目標速度)を表示している。表示装置52は、例えば、図中「○」で示すように信号等で停止した場合などの燃費悪化要因に対して、その前の領域にハッチをかけることで燃費悪化要因との因果関係を視覚的に表示する。また、表示装置52は、図中下段に走行全体での各実操作値、「評点」の平均などを表示している。またここでは、表示装置52は、運転者に対して、この走行での全体評価に基づいて、次の走行では加速タイミングを意識してアクセル・ブレーキ操作をするようにアドバイスしている。
なお、評価結果出力装置5の評価結果の通知に伴った運転者へのアドバイスは、それぞれの評価項目に対して、それぞれ出力されてもよいし、幾つかの評価項目を組み合わせ出力されてもよい。これにより、この運転評価装置1は、より効果的なアドバイスを行うことができる。例えば、評価結果出力装置5は、定常走行区間で速度の乖離度の評点が予め設定される第1閾値より小さい場合には「速度を一定に保ちましょう」などの通知を行う。例えば、評価結果出力装置5は、加速走行区間で平均速度の評点が予め設定される第2閾値より小さく、かつ、平均加速度の評点が予め設定される第3閾値より小さい場合には「きびきびとした加速をしましょう」などの通知を行う。例えば、評価結果出力装置5は、減速走行区間で減速タイミングが遅く、減速タイミングの評点が予め設定される第4閾値より小さく、かつ、平均減速度の評点が予め設定される第5閾値より小さい場合には「早めのアクセルOFFで減速度を弱めましょう」などの通知を行う。これらのアドバイスや評価は、表示装置52で表示しても良いし、音声出力装置53で音声として出力してもよい。また、評価結果出力装置5は、これらのアドバイスや評価とあわせて運転者の操作に応じた走行履歴も通知することで、運転者のどの操作を改善の対象とすべきなのか等を好適に運転者に通知することができる。
次に、図8のフローチャートを参照して運転評価装置における運転評価制御の一例を説明する。
まず、目標軌跡生成装置3は、状態検出装置2が検出した先読み情報等に基づいて、種々の公知の手法を用いて車両10の走行の目標となる理想目標を生成する(ST1)。目標軌跡生成装置3は、理想目標に応じた目標軌跡、目標速度、目標加速度等の走行パターンを得る。
次に、評価演算装置4の理想目標解析部41は、ST1で生成された理想目標における走行の区間分けを行う(ST2)。理想目標解析部41は、理想目標に応じて理想目標所定区間を区間分けする。
そして、理想目標解析部41は、各理想目標所定区間における理想目標値として、各理想目標所定区間に入るタイミングと速度、区間ごとの目標速度(最大速度、最小速度)、最大加減速度、理想燃料消費量などのリファレンスデータを抽出する(ST3)。上記ST2及びST3は、理想目標の解析工程に相当する。
次に、実操作解析部42は、運転者による車両10に対する実際の操作に応じた走行の区間分けを行う(ST4)。実操作解析部42は、運転操作取得部23が取得した実速度、実加速度等に応じた走行パターンを、実操作所定区間ごとに区分けする。
そして、実操作解析部42は、各実操作所定区間における実操作値として、各実操作所定区間が始まる実際のタイミングと速度、区間ごとの実速度(最大速度、最小速度)、最大加減速度、燃料消費量などの比較データを抽出する(ST5)。上記ST4及びST5は、運転者による車両10に対する実際の操作の解析工程に相当する。
次に、比較評価部43は、理想目標と実際の操作に応じた運転との比較により、運転者の操作に応じた運転を評価する(ST6)。このとき、瞬時評価部45は、運転者の操作に応じた運転の瞬時的な評価を行い、区間評価部46は、運転者の操作に応じた運転の各区間における評価を行い、全体評価部47は、運転者の操作に応じた運転の走行全体における評価を行う。
そして、出力制御部44は、比較評価部43による評価の結果を評価結果出力装置5に出力し、評価結果出力装置5は、評価演算装置4による運転の評価結果をそれぞれ適切なタイミングで出力し(ST7)、終了する。
以上で説明した実施形態に係る運転評価装置1によれば、車両10の加速走行と惰性走行とを繰り返す走行の目標となる理想目標に応じた理想目標値と、車両10に対する実際の操作に応じた実操作値との比較に基づいて、運転者の実際の操作に応じた運転を評価する。したがって、運転評価装置1は、適正に運転を評価することができ、例えば、走行計画に基づき運転者が運転する際の利便性を向上することができ、フリーラン等を含む燃費走行に最適な運転操作を運転者に促すことができる。例えば、この運転評価装置1は、瞬時的な評価や総合的な評価では困難であった評価、例えば、評価する走行状況における必然的な操作と無駄な操作との区別ができ、また、より適切なタイミングで運転者の運転評価を行うことができ、運転者に対して理想的な走行をよりイメージさせ易くすることができる。
[実施形態2]
図9は、目標速度と実速度との比較の一例を表す線図、図10は、速度差と評価値との関係の一例を表す線図である。実施形態2に係る運転評価装置は、瞬時評価の内容が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、主要な構成については適宜図1を参照する(以下で説明する実施形態も同様である。)。
実施形態2に係る運転評価装置201は、瞬時評価部45が瞬時評価として、目標速度と実車速とを比較しこれに基づいて運転者のアクセル操作の度合い(アクセルペダルの踏み込み度合い)の評価を行うことで、瞬時評価の改善を図っている。
瞬時評価部45は、典型的には、目標速度と実車速とを比較し、実車速が目標速度より低い場合にはアクセル操作が足りていないと評価し、実車速が目標速度より高い場合には、アクセル操作が過剰であると評価する。
一例として、瞬時評価部45は、図9に例示するように、理想目標に応じた目標速度(図9中点線で図示)と運転者の操作(ドライバ操作)に応じた実速度(図9中実線で図示)との差分をとり、速度差を算出する。このとき、瞬時評価部45は、運転者の操作のタイムラグなどを考慮して少し先の目標速度と実車速を先読みして速度差を算出してもよい。
瞬時評価部45は、図10に例示する速度差−評価値マップ(不図示の記憶部に予め記憶)を用いて、速度差から評価値を算出する。なお、この評価値は、下記の数式(8)を用いて線形的に算出しても良い。数式(8)において、γは、インジケータ51に表示する際の所定の係数であり、任意に予め設定される係数である。
評価値=γ×(目標速度−実速度) ・・・(8)
出力制御部44は、瞬時評価部45による瞬時評価の結果として上記評価値を評価結果出力装置5に出力する。そして、評価結果出力装置5は、例えば、インジケータ51がこの評価値に応じた所定の区画を点灯させ、運転者に対して瞬時評価の結果を視覚的に表す。
したがって、運転評価装置201は、目標速度と実速度との速度差に応じた評価値に基づいてインジケータ51が動作することで、理想目標と実際の操作に応じた運転との違いや理想目標に近づくための操作の仕方等を運転者に対してより分り易く提示することができる。この結果、この運転評価装置201では、例えば、理想目標に近づくための加速・減速の開始・終了タイミングの判断や目標速度のためにはどれぐらい加速が必要であるかなどの判断を運転者自身が的確に行えるようにすることができる。また、運転評価装置201は、いわゆる燃費走行にかかわらず、目標速度と実速度との関係を視覚的に分り易く運転者に提供することができる。
[実施形態3]
図11は、エンジン回転数、エンジントルクと加速効率との関係を表す加速効率マップの一例、図12は、最高加速効率における車速と加速度との関係を表す加速効率マップの一例、図13は、運転評価装置における運転評価制御の一例を表すフローチャートである。実施形態3に係る運転評価装置は、瞬時評価の内容が実施形態1、2とは異なる。
実施形態3に係る運転評価装置301は、瞬時評価部45が瞬時評価として、さらに加速時などにおけるエンジン61の熱効率等の加速効率に基づいて運転者の運転を評価する。
ここでは、評価演算装置4は、少なくとも速度と加速効率の2つのパラメータを用いて運転を評価する。評価演算装置4は、理想目標値である車両10の目標速度と実操作値である車両10の実速度との比較、及び、加速効率に基づいて、運転者の操作に応じた運転を評価する。すなわち、瞬時評価部45は、理想目標に応じた車両10の目標速度と車両10に対する実際の操作に応じた車両10の実速度との差分(速度偏差)と、車両10に対する実際の操作に応じた車両10の加速効率とに基づいて、運転者の操作に応じた運転を評価する。
瞬時評価部45は、瞬時評価として、目標速度と実車速との比較と実際の加速効率とに基づいて運転者のアクセル操作の度合い(アクセルペダルの踏み込み度合い)の評価を行い、これにより瞬時評価の改善を図っている。瞬時評価部45は、例えば、目標速度と実速度との差分(速度偏差)が大きくても、運転者による操作に応じた走行が高加速度で加速効率が相対的に悪い場合にはアクセル操作が過剰であると評価し、低加速度で加速効率が相対的に悪い場合にはアクセル操作が足りていないと評価する。
一例として、瞬時評価部45は、理想目標に応じた目標速度と運転者の操作に応じた実速度との差分をとり、速度差を算出する。
そして、瞬時評価部45は、例えば、運転操作取得部23が算出する現在の実際のドライバ要求加減速度(要求トルク)に基づいて、運転者による実際の操作に応じた車両10の加速効率を算出する。瞬時評価部45は、例えば、図11に例示するようなエンジン61の熱効率マップ(不図示の記憶部に予め記憶、以下も同様)を用いて現在の実際の要求エンジントルクとエンジン回転数とに応じて定まる動作点から上記加速効率を算出すればよい。加速効率は、例えば図11中、最高効率(理想目標の目標加速効率に相当)の領域を基準として、高エンジン回転数側ではアクセル操作が過剰であることに起因して悪化(例えば変速段が低くて悪化)する一方、低エンジン回転数側ではアクセル操作が足りていないことに起因して悪化(例えば変速段が高くて悪化)する。
また、瞬時評価部45は、例えば、図12に例示するような加速効率マップを用いて、現在の実際の車速と加速度とから加速効率を算出してもよい。図12の加速効率マップは、最高加速効率(目標加速効率に相当)における車速と加速度との関係を記述したものであり、所定の車速において、最高加速効率となる加速度を記述したものである。瞬時評価部45は、現在の実際の速度において最高加速効率となる加速度と現在の実際の加速度との偏差に応じて、現在の加速効率を算出することができる。
そして、瞬時評価部45は、例えば、目標速度と運転者の操作に応じた実速度との差分に応じた速度評価値と、最高効率に対する実際の加速効率に応じた効率評価値を算出し、これら速度評価値、効率評価値に基づいて、運転者の操作に応じた運転、運転者のアクセル操作などを評価する。
そして、出力制御部44は、瞬時評価部45による瞬時評価の結果として上記評価値を評価結果出力装置5に出力する。そして、評価結果出力装置5は、例えば、インジケータ51などを介して運転者に対して瞬時評価の結果を視覚的に表したり、表示装置52、音声出力装置53を介して文字情報や音声情報によって「速度超過」や「アクセル過多」などの情報を提示したりする。
このとき、瞬時評価部45は、車両10の状態に応じて、速度偏差に応じた速度評価値と加速効率に応じた効率評価値とに重み付けをし、この重み付けした後の速度評価値と効率評価値とに基づいて、運転者の操作に応じた運転を評価してもよい。例えば、瞬時評価部45は、実速度の目標速度への追従性重視の走行や加速効率重視の走行など、状態に応じて各項目に対して重み付けを行って評価値を算出、補正して、運転の評価に用いてもよい。これにより、運転評価装置301は、より状況に適した瞬時評価を行うことができる。また、瞬時評価部45は、単純にアクセル操作の適否を評価するのであれば、評価に用いる項目として、速度評価値、効率評価値のいずれか一方、あるいは両方を状況に合わせて適宜つかいわければよい。例えば、瞬時評価部45は、下記の数式(9)を用いて、瞬時評価における評価値を算出する。数式(9)において、αは、重み付けのための係数(α<1)であり、車両10の状態などに応じて設定される係数である。
評価値=α×速度評価値+(1−α)×効率評価値 ・・・(9)
例えば、瞬時評価部45は、目標速度よりも実速度が高いときには運転者による加速操作自体が必要ないので、加速効率に応じた効率評価値の重みを小さくし、速度偏差に応じた速度評価値を主体とした評価とし、これに応じて、評価結果出力装置5は、例えば、アクセル操作を弱めるように促す通知を行う。また例えば、瞬時評価部45は、目標速度と実速度とがほぼ同等であるときには加速効率に応じた効率評価値の重みを大きくし、目標速度よりも実速度が低いときには目標速度と実速度との速度差を提示すると共にその目標速度に対して適切な加速操作を促すために、速度評価値と効率評価値との両方を重視するような重み付けをする。
また、燃費走行に未だ詳しくない運転者に対して、加速効率の良い加速を促し実際に加速効率の良い加速を実行させること自体、困難である可能性もあるため、瞬時評価部45は、例えば、単純に実加速度が低い場合も効率評価値を相対的に良くするなど、運転者の運転レベルに合わせて評価値の計算手法や重み付けをかえるようにしてもよい。また例えば、車両10がいわゆるMT車両である場合は、瞬時評価部45は、例えば、変速機63の現在のギア段などを考慮して瞬時評価を行うと共に、評価結果出力装置5は、評価結果に応じて、加速効率が向上するようにアップシフトやダウンシフトなどの変速操作を促すようにアドバイスしてもよい。
次に、図13のフローチャートを参照して運転評価装置における運転評価制御の一例を説明する。なおここでは、基本的には瞬時評価のみを説明する。
まず、評価演算装置4の瞬時評価部45は、理想目標の目標速度と現在の実速度との差分(速度偏差)を計算する(ST21)。
次に、瞬時評価部45は、現在の加速効率を計算する(ST22)。
次に、瞬時評価部45は、目標速度と現在の実速度との差分に応じた速度評価値と、加速効率に応じた効率評価値とに対して所定の重み付けを行って最終的な評価値を算出する(ST23)。
そして、出力制御部44は、瞬時評価部45による瞬時評価の結果として上記評価値を評価結果出力装置5に出力し、評価結果出力装置5は、これに応じて瞬時評価の結果を通知し(ST24)、終了する。
したがって、運転評価装置301は、目標速度と実速度との速度差と加速効率とに基づいて運転を評価することで、例えば、速度だけでなく、運転者の実際の操作に応じてその速度にいたるまでの加速の仕方の適否等も評価することができ、これにより、より燃費向上に則した運転評価を行うことができる。この結果、この運転評価装置301では、例えば、現時点ではどのようなアクセル操作がより燃費向上に貢献できるかなどを運転者に容易に提供することができ、加速効率を考慮しつつ理想目標に近い運転を促すことができる。
[実施形態4]
図14は、エネルギの計算を説明するための線図、図15は、運転評価装置におけるエネルギの切り分け制御の一例を表すフローチャート、図16は、表示装置で表示する評価結果の一例である。実施形態4に係る運転評価装置は、エネルギ単位で評価を行う点で実施形態1〜3とは異なる。
実施形態4に係る運転評価装置401は、区間評価部46が区間評価として、アクチュエータ6で発生、損失するエネルギに基づいて運転者の実際の操作に応じた運転を評価することで、より詳細な評価を行い、区間評価の改善を図っている。なお、以下で説明するエネルギ単位での評価は、瞬時評価部45による瞬時評価、全体評価部47による全体評価に適用してもよい。
ここでは、評価演算装置4は、運転者の実際の操作をエネルギ単位で解析して運転を評価する。理想目標値は、例えば、理想目標に応じて、車両10の走行を実現するアクチュエータ6で発生又は損失する目標エネルギを含み、実操作値は、車両10に対する実際の操作に応じてアクチュエータ6で発生又は損失する実エネルギを含む。つまりここでは、区間評価部46は、少なくとも理想目標値である目標エネルギと実操作値である実エネルギとの比較に基づいて、運転者の操作に応じた運転を評価する。
そして、この区間評価部46は、目標エネルギと実エネルギとの比較、評価を加速時と減速時とで分けて行う。つまりここでは、目標エネルギは、例えば、理想目標に応じて車両10の加速時に発生する目標加速エネルギ及び車両10の減速時に損失する目標減速エネルギを含み、実エネルギは、車両10に対する実際の操作に応じて車両10の加速時に発生する実加速エネルギ及び車両10の減速時に損失する実減速エネルギを含む。
さらにここでは、この区間評価部46は、目標エネルギと実エネルギとの比較、評価を複数のアクチュエータ6毎に分けて行うことが好ましい。つまり、理想目標値は、理想目標に応じて、車両10の走行を実現する複数のアクチュエータ6毎に発生又は損失する目標エネルギを含み、実操作値は、車両10に対する実際の操作に応じて複数のアクチュエータ6毎に発生又は損失する実エネルギを含むことが好ましい。区間評価部46は、複数のアクチュエータ6毎に、それぞれ目標エネルギと実エネルギとの比較を行い、この比較に基づいて運転者の操作に応じた運転を評価することが好ましい。
具体的には、理想目標解析部41は、理想目標に応じてアクチュエータ6での目標加速エネルギ、目標減速エネルギを算出する。実操作解析部42は、運転者の実際のアクセル操作、ブレーキ操作に応じてアクチュエータ6での実加速エネルギ、実減速エネルギを算出する。そして、区間評価部46は、区間評価として、各アクチュエータ6において目標加速エネルギと実加速エネルギ、あるいは、目標減速エネルギと実減速エネルギとを比較し、比較結果に基づいて運転者の操作に応じた運転を評価する。
一例として、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、車両10の目標速度、実速度に基づいた運動エネルギの形で目標エネルギ、実エネルギを解析、算出すればよい。この場合、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、下記の数式(10)などを用いて運動エネルギの変化量を算出し、これを例えば、下記の数式(11)などを用いて微小時間毎に積算し各エネルギ量を算出する。数式(10)、(11)において、mは車両10の重量、Vは速度(目標速度、実速度)、αは(1/2)・mなどの係数である。
運動エネルギの変化量=(1/2)・m・Vn 2−(1/2)・m・Vn−1 2 ・・・(10)
エネルギ量=Σα・(Vn 2−Vn−1 2) ・・・(11)
例えば、実操作解析部42は、数式(11)を用いて、実速度が正側に変化した場合には実加速エネルギ量、負側に変化した場合には実減速エネルギ量を算出する。典型的には、発進から停止までの1つの走行全体を考えた場合、加速エネルギ量と減速エネルギ量とは、ほぼ等価になるが、これらを解析、評価することで、より適正な運転の評価を行うことができる。
そして、区間評価部46は、例えば、目標エネルギと実エネルギとの比較、評価を複数のアクチュエータ6などに応じて切り分けて行うことで、運転者の運転の詳細な評価を行うことができる。区間評価部46は、例えば、実減速エネルギを運転者によるブレーキ操作により減速した分と、エンジンブレーキにより減速した分などに分けて評価する。
なお、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、車両10にて生じる駆動力、減速力をエネルギの次元で算出することで、目標エネルギ、実エネルギを解析、算出してもよい。理想目標解析部41、実操作解析部42は、車両10の駆動力や減速力等を推定できる場合には、この駆動力や減速力等から車両10が加速(駆動)に発生するエネルギ(目標加速エネルギ、実加速エネルギ)、減速でロスするエネルギ(目標減速エネルギ、実減速エネルギ)を算出できる。理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、種々の公知の手法により車両10の駆動力(減速力)T[Nm]を推定し、車両10の車輪の回転数をN[rad/s]、サンプリング周期をdtとして[Tn×Nn×dt]を微小時間毎に積算することで、駆動時の加速エネルギ量、減速時の減速エネルギ量を算出することができる。
この場合も、区間評価部46は、例えば、目標エネルギと実エネルギとの比較、評価を複数のアクチュエータ6などに応じて切り分けて行うことで、運転者の操作に応じた運転の詳細な評価を行うことができる。区間評価部46は、例えば、実減速エネルギを運転者によるブレーキ操作により減少した分と、エンジンブレーキにより減速した分などに分けて評価する。またこの場合、この運転評価装置401は、駆動力、減速力に応じて各エネルギ量が算出されることで、車両10の走行抵抗なども加味された実際に車両10が出したパワーの単位に相当する値を用いて運転を評価することができる。
例えば、理想目標解析部41は、運動エネルギの形でエネルギを解析、算出する場合、各理想目標所定区間における目標速度のパターンなどから理想目標に応じた走行を実現するために必要な目標エネルギ量を計算する。そして、理想目標解析部41は、図14に例示するように、例えば、各理想目標所定区間における目標速度や目標加速度のパターンなどから減速エネルギが運転者のブレーキ操作に応じた油圧ブレーキ装置64の動作に伴った油圧ブレーキによる減速エネルギであるのか、アクセル操作OFFによるエンジン61、変速機63の動作に伴ったエンジンブレーキによる減速エネルギであるのか等を切り分ける。また例えば、理想目標解析部41は、車両10にて生じる駆動力、減速力をエネルギの次元で算出する場合、各理想目標所定区間における目標加速度のパターンなどから必要な駆動力(加速度、減速度から計算される)を算出し、これを用いて必要なエネルギを算出する。実操作解析部42もこれとほぼ同様に、各実操作所定区間における実速度や実加速度のパターンなどから運転者の実際の操作に応じた運転での実エネルギ量を計算し、アクチュエータ6に応じてこの実エネルギを切り分ける。
ここで、図15を参照してエネルギの切り分け例を説明する。なお、目標エネルギの切り分けと実エネルギの切り分けとはほぼ同様であるので、ここでは実エネルギの切り分けのみについて説明する。
実操作解析部42は、まず、上述の[Vn 2−Vn−1 2]、もしくは、[Tn]が0より大きいか否かを判定する(ST31)。
実操作解析部42は、[Vn 2−Vn−1 2]、もしくは、[Tn]が0より大きいと判定した場合(ST31:Yes)、ここでの当該区間でのエネルギが加速エネルギであるものとして特定し(ST32)、終了する。
実操作解析部42は、[Vn 2−Vn−1 2]、及び、[Tn]が0以下であると判定した場合(ST31:No)、運転操作取得部23が取得する運転者による車両10に対する実際の操作に関する情報に基づいて、ブレーキ操作がONであるか否かを判定する(ST33)。
実操作解析部42は、ブレーキ操作がONであると判定した場合(ST33:Yes)、ここでの当該区間でのエネルギが油圧ブレーキ装置64の動作に伴った油圧ブレーキによるロスエネルギ(減速エネルギ)であるものとして特定し(ST34)、終了する。
実操作解析部42は、ブレーキ操作がOFFであると判定した場合(ST33:No)、ここでの当該区間でのエネルギがエンジン61、変速機63の動作に伴ったエンジンブレーキによるロスエネルギ(減速エネルギ)であるものとして特定し(ST35)、終了する。
そして、区間評価部46は、区間評価として、目標エネルギと実エネルギとを比較し、運転者の操作に応じた運転の詳細な評価を行う。区間評価部46は、例えば、目標加速エネルギと実加速エネルギとの差分や各アクチュエータ6における目標減速エネルギと実減速エネルギとの差分に応じて、ブレーキ操作による損失がどの程度大きいのかなどを評価する。なお、区間評価部46は、このエネルギ単位での解析において、例えば、目標エネルギに対する実エネルギの割合や、燃費に対する寄与度、他の運転者の平均に対しての評価値を算出し、これに応じて運転者の操作に応じた運転を評価してもよい。
そして、出力制御部44は、区間評価部46によるエネルギ単位での評価も含んだ区間評価の結果を評価結果出力装置5に出力する。そして、評価結果出力装置5は、例えば、表示装置52などを介して運転者に対して評価の結果を視覚的に表したり、音声出力装置53を介して音声情報を提示したりする。図16は、本実施形態において表示装置52で表示する評価結果の一例である。このとき、表示装置52は、例えば、走行履歴等もあわせて表示してもよい。
したがって、運転評価装置401は、エネルギという単位で運転者の操作に応じた運転を評価することで、実際の運転がどの程度、理想目標と異なるのか等を運転者にイメージさせ易い形式で評価することができ、運転者に対して実際の操作に応じた運転と理想目標との比較を認識させ易くさせることができる。また、運転評価装置401は、エネルギ単位で運転者の操作に応じた運転を評価することで、運転者の各操作がエネルギ(燃費)に与える寄与度(影響)を明確に表すことができ、燃費の改善余地や改善に有効な操作を運転者に対して明確にすることができる。
[実施形態5]
図17は、運転評価装置におけるエネルギの切り分け制御の一例を表すフローチャート、図18、図19は、表示装置で表示する評価結果の一例である。実施形態5に係る運転評価装置は、モータジェネレータにおけるエネルギも考慮している点で実施形態4とは異なる。
実施形態5に係る運転評価装置501は、理想目標解析部41、実操作解析部42が加速エネルギについても複数のアクチュエータ6に応じて切り分ける。区間評価部46は、いわゆるハイブリッド車両である車両10において、区間評価として、MG62やバッテリ65などにおけるエネルギにも基づいて運転者の実際の操作に応じた運転を評価することで、より詳細な評価を行い、区間評価の改善を図っている。なお、以下で説明するエネルギ単位での評価は、瞬時評価部45による瞬時評価、全体評価部47による全体評価に適用してもよい。
ここでは、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、加速エネルギをエンジン61による加速エネルギ、MG62による加速エネルギ(エンジン61の非作動状態(燃料の燃焼が停止した状態)における加速エネルギ)などに切り分ける。また、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、減速エネルギを油圧ブレーキ装置64の動作に伴った油圧ブレーキによる減速エネルギ、MG62の動作に伴った回生ブレーキによる減速エネルギ、エンジン61、変速機63の動作に伴ったエンジンブレーキによる減速エネルギなどに切り分ける。
そして、区間評価部46は、目標エネルギと実エネルギとの比較、評価をこれら複数のアクチュエータ6毎に分けて行う。また、区間評価部46は、さらにハイブリッド車両特有の評価項目、例えば、エンジン61の動作時間(エンジン非作動時間)などに基づいて区間評価を行ってもよい。
具体的には、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、目標軌跡生成装置3が生成した理想目標や運転状態取得部22が取得した車両10の運転状態に関する情報などに基づいて、加速エネルギをエンジン61によるものと、MG62によるものとに切り分ける。例えば、理想目標解析部41、実操作解析部42は、車両10で生じる駆動力のうちエンジン61による駆動力とMG62による駆動力との割合を推定できる場合には、この駆動力割合に基づいてエンジン61による加速エネルギと、MG62による加速エネルギとを切り分ける。また、実操作解析部42は、上記駆動力の割合が推定できないような場合には、エンジン61が非作動状態であるか否かに基づいて切り分けたり、運転操作取得部23が取得する運転者による車両10に対する実際の操作に関する情報、例えば、運転者のアクセル操作の操作量(アクセル開度)などに基づいて切り分けたりすればよい。
同様に、理想目標解析部41、実操作解析部42は、例えば、目標軌跡生成装置3が生成した理想目標や運転状態取得部22が取得した車両10の運転状態に関する情報などに基づいて、減速エネルギを油圧ブレーキによるもの、回生ブレーキによるもの、エンジンブレーキ(回生)によるものなどに切り分ける。なお、この切り分けには、例えば、さらに走行抵抗によるものなどを加えてもよい。また、回生ブレーキによるエネルギには、実際にはバッテリ65に回収される分もあるので、この回収効率を考慮して減速エネルギを切り分けるようにしてもよい。例えば、実操作解析部42は、7割の回収効率であれば、3割はロス分であるとみなし、係数として0.3を乗算して減速による実減速エネルギを算出する。また、実操作解析部42は、運転操作取得部23が取得する運転者による車両10に対する実際の操作に関する情報、例えば、運転者のブレーキ操作の操作量などに基づいて減速エネルギを切り分けてもよい。また、実操作解析部42は、運転操作取得部23が取得する運転者による車両10に対する実際の操作に関する情報、例えば、車両10の実速度とアクセル操作の操作量から回生マップなどを用いて回生量を推定して、これに基づいて減速エネルギを切り分けてもよい。
そして、区間評価部46は、区間評価として、各アクチュエータ6において、切り分けた目標エネルギ(目標加速エネルギ、目標減速エネルギ)と実エネルギ(実加速エネルギ、実減速エネルギ)との比較を行い、この比較に基づいて運転者の操作に応じた運転を評価する。また、区間評価部46は、例えば、さらにエンジン61の動作時間(エンジン非作動時間)などの評価項目も用いて運転者の操作に応じた運転を評価してもよい。
ここで、図17を参照してエネルギの切り分け例を説明する。なお、目標エネルギの切り分けと実エネルギの切り分けとはほぼ同様であるので、ここでは実エネルギの切り分けのみについて説明する。
実操作解析部42は、まず、ここでの当該区間でのエネルギが加速エネルギであるか否かを判定する(ST41)。実操作解析部42は、例えば、図15で説明したように、上述の[Vn 2−Vn−1 2]、もしくは、[Tn]が0より大きいか否かによって加速エネルギであるか否かを判定する。
実操作解析部42は、加速エネルギであると判定した場合(ST41:Yes)、エンジン61がON、すわわち、燃料を消費して動力を出力する作動状態であるか否かを判定する(ST42)。
実操作解析部42は、エンジン61がONであると判定した場合(ST42:Yes)、ここでの当該区間での加速エネルギがエンジン61による加速エネルギであるものとして特定し(ST43)、終了する。
実操作解析部42は、エンジン61がOFFであると判定した場合(ST42:No)、ここでの当該区間での加速エネルギがMG62による加速エネルギであるものとして特定し(ST44)、終了する。
実操作解析部42は、ST41にて加速エネルギでないと判定した場合(ST41:No)、運転者によるブレーキ操作がONであるか否かを判定する(ST45)。
実操作解析部42は、ブレーキ操作がONであると判定した場合(ST45:Yes)、ブレーキ開度(ブレーキ操作の操作量に相当)が予め設定される回生範囲内であるか否かを判定する(ST46)。
実操作解析部42は、ブレーキ開度が回生範囲内であると判定した場合(ST46:Yes)、ここでの当該区間でのエネルギが回生ブレーキによる減速エネルギ(ロスエネルギ)であるものとして特定し(ST47)、終了する。
実操作解析部42は、ST45にてブレーキ操作がOFFであると判定した場合(ST45:No)、ここでの当該区間でのエネルギがエンジンブレーキ(回生)による減速エネルギであるものとして特定し(ST48)、終了する。
実操作解析部42は、ST46にてブレーキ開度が回生範囲内でないと判定した場合(ST46:No)、ここでの当該区間でのエネルギが回生ブレーキによる減速エネルギと、回生ブレーキでまかなえなかった溢れた分を補う油圧ブレーキによる減速エネルギであるものとして特定し(ST49)、終了する。
そして、区間評価部46は、区間評価として、上記のように切り分けた目標エネルギと実エネルギとを比較し、運転者の操作に応じた運転の詳細な評価を行う。出力制御部44は、区間評価部46によるエネルギ単位での評価も含んだ区間評価の結果を評価結果出力装置5に出力する。そして、評価結果出力装置5は、例えば、表示装置52などを介して運転者に対して評価の結果を視覚的に表したり、音声出力装置53を介して音声情報を提示したりする。図18は、本実施形態において表示装置52で表示する評価結果の一例である。また、表示装置52は、例えば、図19に例示するように、評価時点での各アクチュエータ6の目標動作を表示するようにしてもよい。例えば、表示装置52は、評価時点において、理想目標ではブレーキ回生による減速が理想的であるとされる場合には、「ブレーキ回生」の「ON」の欄を強調するようにして表示することで、運転者に理想的な運転を促すことができる。
したがって、運転評価装置501は、エネルギという単位で運転者の操作に応じた運転を評価することで、どの程度、理想目標と異なるのか等を運転者にイメージさせ易い形式で評価することができ、運転者に対して実際の操作に応じた運転と理想目標との比較をし易くさせることができる。そして、運転評価装置501は、ハイブリッド車両である車両10においても適正に運転者の操作に応じた運転を評価することができ、ハイブリッド車両における燃費走行を適正に評価することができる。なお、このハイブリッド車両に適用した上述の運転評価は、例えばいわゆる電気自動車にも応用することができる。
[実施形態6]
図20は、エンジン回転数、エンジントルクと加速効率ロスとの関係を表す加速効率ロスマップ、図21は、加速効率ロスにおける評点マップ、図22、図23は、減速時の評価における評点マップ、図24は、評価結果出力装置で出力するアドバイスの例を説明する図、図25は、表示装置で表示する評価結果の一例である。実施形態6に係る運転評価装置は、エネルギ単位でより詳細な評価を行う点で実施形態4、5とは異なる。
実施形態6に係る運転評価装置601は、区間評価部46が区間評価として、例えば、加速エネルギにおいて、エンジン61の熱効率などの加速効率を考慮して加速効率ロス分のエネルギを反映させて、その上で、理想目標と運転者の実際の操作に応じた運転とを比較し、評価することで、例えば、アクセル操作の操作具合(アクセルペダルの踏み具合等)を評価し、区間評価の改善を図っている。また、区間評価部46は、区間評価として、例えば、減速エネルギにおいて、回生ブレーキによる減速エネルギと油圧ブレーキによる減速エネルギとエンジンブレーキによる減速エネルギとの割合などに基づいて、例えば、ブレーキ操作の操作具合(ブレーキペダルの踏み具合等)を評価し、区間評価の改善を図っている。また、区間評価部46は、理想目標との比較に限らず、全加速エネルギにおける加速効率ロス分の割合、全減速エネルギにおける回生ブレーキ分、油圧ブレーキ分、エンジンブレーキ分の割合等を比較することでも、運転を評価してもよい。なお、以下で説明する運転評価は、瞬時評価部45による瞬時評価、全体評価部47による全体評価に適用してもよい。
例えば、実操作解析部42は、運転者の実際の操作に応じて車両10がエンジン61の出力によって加速している場合、現在のエンジン61の熱効率(実際のエンジン回転数やエンジントルクから算出)等を考慮して、現在出せる最高効率(理想目標の目標加速効率に相当)を100%とした場合の現在の実際の損失分エネルギを加速効率ロスとして算出する。実操作解析部42は、例えば、図20に例示するような加速効率ロスマップを用いて、実際のエンジン回転数NEnと実際のエンジントルクTEnとから、加速効率effn(effn=f(NEn、TEn))のロス分を算出する。
また、実操作解析部42は、例えば、運転者の実際の操作に応じて車両10がMG62の出力によって加速している場合、エンジン61と比較するとMG62の効率の変化が相対的に小さいため、加速効率ロスが0であるものとして扱うことができる。ただし、実操作解析部42は、例えば、バッテリ65からMG62を介して運動エネルギとなる変換効率のロスを一律の0.9に設定したり、例えば、高回転で効率がよくなるMG62である場合にはこれらの特性を反映させるようにしてもよい。
そして、実操作解析部42は、運転者による実際の操作に応じた実加速エネルギに、上記の加速効率ロス分のエネルギの割合を反映させ、例えば、加速効率の逆数を実加速エネルギに乗算することで、加速効率を反映させた実加速エネルギの総和、実加速エネルギの総和における効率ロス分エネルギなどを算出する。実操作解析部42は、例えば、下記の数式(12)、(13)などを用いて、加速効率を考慮した加速エネルギや加速エネルギにおける効率ロス分エネルギを算出する。
加速効率を考慮した加速エネルギ=α・(Vn 2−Vn−1 2)×(1/effn) ・・・(12)
加速エネルギにおける効率ロス分エネルギ=α・(Vn 2−Vn−1 2)×([1−effn]/effn) ・・・(13)
また、実操作解析部42は、数式(12)、(13)にかえて、例えば、数式(14)、(15)などを用いて、加速効率を考慮した加速エネルギや加速エネルギにおける効率ロス分エネルギを算出してもよい。
加速効率を考慮した加速エネルギ=Tn×Nn×(1/effn)×dt ・・・(14)
加速エネルギにおける効率ロス分エネルギ=Tn×Nn×([1−effn]/effn)×dt ・・・(15)
このようにして、実操作解析部42は、アクチュエータ6の動作状態、ここでは、エンジン61やMG62の効率などに応じて実エネルギを補正し、例えば、運転者の実際の操作に応じた加速効率を考慮して、アクチュエータ6にて発生する実加速エネルギを算出する。また、実操作解析部42は、上記のように、エンジン61による加速とMG62による加速とで実エネルギを変えて、すなわち、アクチュエータ6の種類に応じて実エネルギを補正する。
そして、区間評価部46は、目標加速エネルギと上記のように加速効率を考慮して算出される実加速エネルギ等とを比較し評価することで、例えば、アクセル操作の操作具合を評価することができる。
また一例として、区間評価部46は、理想目標における目標加速効率ロスエネルギ(理想目標値に相当)と、運転者による実際の操作に応じた運転における実加速効率ロス分エネルギ(実操作値に相当)とを比較する。区間評価部46は、例えば、目標加速効率ロスエネルギと実加速効率ロス分エネルギとの絶対値の差分や[実加速効率ロス分エネルギ/目標加速効率ロスエネルギ]などの割合(偏差)から第1評点を算出する。
また、区間評価部46は、例えば、図21に例示するマップを用いて、実加速エネルギの総和(総加速エネルギ)と加速効率ロス分エネルギ(加速効率ロス)との割合(加速効率ロス/総加速エネルギ)から第2評点を算出する。
そして、出力制御部44は、区間評価部46によるエネルギ単位での評価も含んだ区間評価の結果を評価結果出力装置5に出力する。評価結果出力装置5は、例えば、上記の第1評点と第2評点とをそれぞれ表示装置52に表示してもよいし、平均を表示装置52に表示してもよい。また、評価結果出力装置5は、例えば、第2評点に応じて、例えば、「加速時に加速効率を意識して加速しましょう」などのアドバイスをおこなってもよい。
なお、区間評価部46は、例えば、瞬時評価として、実際の加速効率ロス分エネルギが所定以上になった場合などに加速効率ロス分エネルギが過大である旨の評価を行うようにし、評価結果出力装置5は、これに応じて警告ランプ(不図示)を点灯するなどの通知をおこなってもよい。
また、区間評価部46は、目標減速エネルギと上記のように全減速エネルギにおける回生ブレーキ分、油圧ブレーキ分、エンジンブレーキ分の割合等に応じて補正した各実減速エネルギ等とを比較し評価することで、例えば、ブレーキ操作の操作具合を評価することができる。
一例として、区間評価部46は、理想目標の総目標減速エネルギにおける回生ブレーキ分目標減速エネルギ、油圧ブレーキ分目標減速エネルギ、エンジンブレーキ分目標減速エネルギと、総実減速エネルギにおける回生ブレーキ分実減速エネルギ、油圧ブレーキ分実減速エネルギ、エンジンブレーキ分実減速エネルギとをそれぞれ比較し、第3評点を算出する。このとき、区間評価部46は、そもそも総実減速エネルギが総目標減速エネルギより大きい場合や第3評点が所定の閾値よりも小さい場合には、無駄な加速が多いものと評価し、評価結果出力装置5は、例えば、「加速を控えましょう」などのアドバイスを行う。
また、区間評価部46は、例えば、MG62を備えないような車両10において、油圧ブレーキ分実減速エネルギとエンジンブレーキ分実減速エネルギ(アクセル操作・ブレーキ操作共にOFFのときの実減速エネルギ)との割合を比較することで、運転者による減速操作の評価を行うこともできる。区間評価部46は、例えば、図22に例示するマップを用いて、油圧ブレーキ分実減速エネルギ(油圧ブレーキ)とエンジンブレーキ分実減速エネルギ(エンブレ)との割合(エンブレ/油圧ブレーキ)から第4評点を算出する。評価結果出力装置5は、この第4評点に応じて運転者による減速操作の評価結果を通知する。これにより、運転評価装置601は、運転者の操作に応じた減速のうち、比較的に燃費向上につながりやすいエンジンブレーキによる減速を用いるように運転者に対して促すことができる。
また、区間評価部46は、例えば、MG62を備える車両10において、油圧ブレーキ分実減速エネルギと回生ブレーキ分実減速エネルギ、エンジンブレーキ分実減速エネルギとを比較する。この場合、実操作解析部42は、例えば、燃費向上に寄与する減速に対する重み付けを相対的に大きくし、燃費悪化要因となる減速に対する重み付けを相対的に小さくする。言い換えれば、実操作解析部42は、アクチュエータ6の種類に応じて実エネルギを補正する。例えば、実操作解析部42は、油圧ブレーキ分実減速エネルギ、回生ブレーキ分実減速エネルギ、エンジンブレーキ分実減速エネルギのそれぞれに重みα、β、(1−α−β)を付けることで、アクチュエータ6の種類に応じて実減速エネルギを補正する。そして、実操作解析部42は、典型的には、α>β、例えば、α=0.6、β=0.2とした上で、例えば、図23に例示するマップを用いて、油圧ブレーキ分実減速エネルギ(油圧)、回生ブレーキ分実減速エネルギ(回生ブレーキ)、エンジンブレーキ分実減速エネルギ(エンブレ回生)に重み付けを施した指標([α×油圧+β×回生ブレーキ+(1−α−β)×エンブレ回生]/総減速エネルギ)から第5評点を算出する。
そして、出力制御部44は、区間評価部46によるエネルギ単位での評価も含んだ区間評価の結果を評価結果出力装置5に出力する。例えば、評価結果出力装置5は、この第5評点に応じて運転者による減速操作の評価結果を通知する。これにより、運転評価装置601は、運転者の操作に応じた減速のうち、燃費向上に寄与する減速に対する評価を良くし、燃費悪化要因となる減速に対する評価を低くして、比較的に燃費向上につながりやすい減速を運転者に対して促すことができる。
また、例えば、区間評価部46は、総実減速エネルギにおける回生ブレーキ分実減速エネルギ、油圧ブレーキ分実減速エネルギ、エンジンブレーキ分実減速エネルギに対してそれぞれに閾値を設定し大小関係を評価してもよい。そして、評価結果出力装置5は、例えば、総実減速エネルギにおける回生ブレーキ分実減速エネルギ、油圧ブレーキ分実減速エネルギ、エンジンブレーキ分実減速エネルギの大小関係に応じて、図24に例示するようなアドバイスを行うようにしてもよい。これにより、運転評価装置601は、例えば、無駄な加速が多い場合でも油圧ではなく回生でできるだけ回収できるようにアドバイスを行うことができる。
なお、図25は、本実施形態において表示装置52で表示する評価結果の一例である。
したがって、運転評価装置601は、エネルギという単位で運転者の操作に応じた運転を評価することで、どの程度、理想目標と異なるのか等を運転者にイメージさせ易い形式で評価することができ、運転者に対して実際の操作に応じた運転と理想目標との比較をし易くさせることができる。そして、運転評価装置601は、アクチュエータ6の動作状態に応じて実エネルギを補正したり、アクチュエータ6の種類に応じて実エネルギを補正したりすることで、より詳細な運転の評価を行うことができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る運転評価装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述したように、エネルギ単位での評価、アクチュエータ6の動作状態に応じた実エネルギの補正、アクチュエータ6の種類に応じた実エネルギの補正等は、区間評価だけでなく、瞬時評価、全体評価に適用してもよい。