JP5462649B2 - 運転行動支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の移動体を運転するドライバの運転行動を支援する運転行動支援装置に関する。
近年、自動車等の移動体を運転するドライバに対して、省燃費運転や安全運転を支援することを目的として、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作を評価し、省燃費運転や安全運転に繋がる運転操作の良否の判定を行なったり、音声や表示にてドライバにアドバイスを提示する装置が開発されている。
例えば、特許文献1には、燃費が向上する運転操作又は自車両の走行状態を抽出し、抽出された運転操作又は走行状態に応じて、運転操作又は走行状態についてのアドバイスを運転者に報知する装置が開示されている。
特開2008−163781号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の技術では、ドライバが装置からのアドバイスに従って運転操作を行えば、省燃費運転等が可能であるが、周囲の交通環境を把握して運転することに精一杯である運転初心者等は、装置のアドバイス通りに操作できない場合がある。このため、単に省燃費や安全運転等の情報をドライバに提示するのみでは、ドライバの運転行動に対する支援の効果を十分に期待することはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、装置のアドバイスに従った運転操作が行えないドライバに対しても、制御介入によってドライバの運転行動を有効に支援することのできる運転行動支援装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による運転行動支援装置は、移動体を運転するドライバの運転行動を支援する運転行動支援装置であって、所定の評価指針に基づいて現在の運転状態が属するフェーズを判別する運転状態フェーズ判別部と、ドライバの運転操作を評価し、上記運転状態のフェーズ毎に運転操作の評価値を算出する運転操作評価部と、上記運転操作評価部の評価結果に基づいて、ドライバの運転操作に対する上記移動体の制御特性を変更する制御特性変更部とを備え、上記操作評価部の評価結果をドライバに提示した上で、評価結果が所定期間或いは所定区間にわたって所定の評価値以下の場合、当該評価の運転操作に関する制御特性を変更するとともに、当該制御特性の介入度合を所定の評価値以下の評価値が持続する期間或いは区間の大小に応じて変更することを特徴とする。
本発明によれば、装置のアドバイスに従った運転操作が行えないドライバに対しても、制御介入によってドライバの運転行動を有効に支援することができ、省燃費運転や安全運転等に係るドライバの運転スキル向上を促進することが可能となる。
運転行動支援装置の概略構成図 運転開始から終了までのアシスト機能の遷移を示す説明図 リアルタイムアシストの表示画面を示す説明図 評価値の表現例を示す説明図 区間評価の表示例を示す説明図 区間評価の値域を示す説明図 アクセル特性マップの説明図 制御特性変更処理のフローチャート ブレーキ特性マップの説明図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明による運転行動支援装置は、自動車等の車両に搭載されてドライバの運転操作を評価し、その評価結果に基づいて車両の制御特性を変化させることにより、省燃費運転や安全運転を支援するものである。本実施の形態においては、どのような運転操作が省燃費又は燃費を悪化させることに繋がるかをドライバに対して情報提示すると共に、ドライバの運転操作の評価結果に基づいて車両の制御特性を変化させ、ドライバの省燃費運転を支援する例について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の運転行動支援装置1は、マイクロコンピュータを中心として構成されるコントローラ1aと、省燃費運転に係る情報をドライバへ提示するためのディスプレイ1bとを備えて構成されている。コントローラ1aは、エンジン制御装置100、スロットル制御装置110、変速制御装置120、ブレーキ制御装置130等の車両制御に係る他の装置に車内ネットワーク等を介して接続され、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作に対するドライバに対する運転支援が必要であると判断した場合、アクセルやブレーキに対する制御特性の変更を送信する。
このようなコントローラ1aの機能は、主として、図示しない各種センサ類やスイッチ類からの信号に基づいて、車両の運転状態を「加速」と「巡航」と「減速」との3つのフェーズに分けて判別する運転状態フェーズ判別部2、各運転状態フェーズ毎にドライバの運転操作を評価する運転操作評価部3、運転操作評価部3による評価結果に基づいて、運転操作をどのように又はどの程度改善すれば良いのかが直感的に把握できるような情報をディスプレイ1bへの画像表示によって提示する情報提示部4、各運転状態フェーズの評価履歴を管理し、ドライバの苦手とする操作がアクセル操作とブレーキ操作との何れかであるか若しくは双方であるかを判定して運転支援の要否を判定する運転支援判定部5、運転支援判定部5の判定結果に応じてアクセル操作やブレーキ操作に対する制御特性の変更を指示する制御特性変更部6によって構成されている。
尚、情報提示部4は、ディスプレイ1bへの画像表示を主としてドライバへの情報提示を行うが、その他、ランプ発光、ブザー音、音声等による情報提示を併用するようにしても良い。
以下、運転行動支援装置1の各部の機能について説明する。
先ず、運転状態フェーズ判別部2は、省燃費運転の観点から予め設定した評価指針を用いて、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作、車両状態等から、現在の運転状態が「加速」と「巡航」と「減速」との何れのフェーズに属するかを判別する。本実施の形態においては、運転状態を判別する評価指針は、以下のように設定され、これらの評価指針に基づく運転状態の判別結果が情報提示部4へ送られてディスプレイ1bに表示され、ドライバが現在の運転状態を容易に把握することが可能となる。
(A1)加速
以下の指針Ai1,Ai2,Ai3を評価し、現在の運転状態が加速状態であるか否かを判別する。
指針Ai1…車両発進時にクリープを用いているか
指針Ai2…じわじわとアクセルを踏み込んでいるか
指針Ai3…低エンジン回転数、低アクセル開度で加速しているか
具体的には、下記の条件Aj1,Aj2を判定条件として、これらの条件を共に満足するとき、現在の運転状態を「加速」と判定する。
条件Aj1…アクセルオン
条件Aj2…車両加速度A1以上
(B1)巡航
以下の指針Bi1,Bi2,Bi3を評価し、現在の運転状態が巡航状態であるか否かを判別する。
指針Bi1…無駄な加減速がなく、一定速度で走行しているか
指針Bi2…ラフなアクセル操作がなく、一定速度で走行しているか
指針Bi3…高シフト位置で走行しているか
具体的には、下記の条件Bj1,Bj2を判定条件として、これらの条件を共に満足するとき、現在の運転状態を「巡航」と判定する。
条件Bj1…アクセルオン
条件Bj2…車両加速度A1未満
(C1)減速
以下の指針Ci1,Ci2を評価し、現在の運転状態が減速状態であるか否かを判別する。
指針Ci1…アクセルオフで減速しているか
指針Ci2…弱いブレーキでゆっくり減速しているか
具体的には、下記の判定条件Cj1を満足するとき、現在の運転状態を「減速」と判定する。
条件Cj1…アクセルオフ
次に、運転操作評価部3は、運転状態の各フェーズ毎に、運転操作評価値Eval(t)を計算し、アクセルの踏まな過ぎ、適度なアクセル操作、アクセルの踏み過ぎ、ラフなアクセル操作、滑らかなアクセル操作、ブレーキの踏み過ぎ、適度なブレーキ操作といったドライバの運転操作を評価する。各フェーズ毎の運転操作評価値Eval(t)は、例えば、以下の(A2),(B2),(C2)に従って計算する。
(A2)加速状態における運転操作評価値
ブレーキオフから設定時間T1が経過するまでは車両発進時の評価指針Ai1を評価する。具体的には、アクセルオンまでの時間ACConを取得し、以下の(1)式により、運転操作評価値Eval(t)を計算する。
Eval(t)
=100×(T1−t)/T1 :ACCon<T1
=0 :ACCon≧T1 …(1)
アクセルオンからは、設定時間T2が経過するまでアクセル踏み込みに関する評価指針Ai2を評価する。具体的には、アクセルオンからの時間ACC(t)に応じてエンジン回転数EG(T)が直線的に変化し、設定時間に達したとき、エンジン回転数EG(t)が設定回転数Naccになる直線関数F(t)を定義し、以下の(2)式により運転操作評価値Eval(t)を計算する。尚、(2)式におけるC1は定数である。
Eval(t)=0−100× F(t)−EG(t) /C1 …(2)
それ以降は、加速に関する評価指針Ai3を評価し、以下の(3)式により運転操作評価値Eval(t)を計算する。尚、(3)式におけるC2,C3,C4は定数である。
Eval(t)
=0 :EG(t)<Nacc,ACC(t)<C2
=0+50×(EG(t)−Nacc)/C3 :EG(t)≧Nacc
=0+50×(ACC(t)−C2)/C4 :ACC(t)≧C2
=0+50×(EG(t)−Nacc)/C3
+50×(ACC(t)−C2)/C4 :EG(t)≧Nacc,ACC(t)≧C2
…(3)
(B2)巡航状態における運転操作評価値
一定速度での走行に関する評価指針Bi1とアクセル操作に関する評価指針Bi2とを評価し、過去T3秒間の車速の分散量Vvarとアクセル開度の分散量ACCvarとを計算する。更に、シフト位置に関する評価指針Bi3を評価し、過去T3秒間のシフト位置に応じた補正量Cshtを決定する。そして、補正量Csht、所定の重み係数α,βを用いて、以下の(4)式により運転操作評価値Eval(t)を計算する。
Eval(t)=0+α×Vvar+β×ACCvar+Csht …(4)
尚、補正量Cshtは、例えば、5速の場合、4,5速を補正量Csht=0として、以下のように決定する。但し、C5,C6,C7は定数である(C5>C6>C7)。
1速 :Csht=−C5
2速 :Csht=−C6
3速 :Csht=−C7
4,5速:Csht=0
(C2)減速状態における運転操作評価値
アクセルオフのコースト走行状態では、評価指針Ci1を評価し、以下の(5)式により運転操作評価値Eval(t)を計算する。
Eval(t)=0 …(5)
また、ブレーキオン時には、評価指針Ci2を評価し、アクセルオフ時の車速Vaccoffを計測すると共に、アクセルオフによる減速の最適時間Tbstを車速のテーブル等から算出し、ブレーキオンまでの時間Brkonを取得する。そして、以下の(6)式により、運転操作評価値Eval(t)を計算する。
Eval(t)
=0−100×Brk(t)/C8 :t<(Tbst−Brkon)
=0−100×(Ax(t)−C9) :t≧(Tbst−Brkon) …(6)
但し、Brk(t):時間tにおけるブレーキ圧力
Ax(t) :時間tにおける車両減速度
C8,C9 :定数
情報提示部4は、「加速」、「巡航」、「減速」の各運転状態のフェーズ及びドライバの運転操作の評価結果に基づいて、ディスプレイ1bに表示する画像表示を設定する。走行中の評価は、ドライバが運転状態を容易に理解することができ、また、運転操作がどのように又はどの程度改善すれば省燃費運転になるかをドライバが直感的に捉えやすい画像表示としてドライバに提示される。
本実施の形態においては、車両イメージを用いた表示アクションにより、走行中の評価結果をドライバに提示する。すなわち、図2に示すように、ディスプレイ1bの表示画面には、車両イメージとして所定のモデル車両10を表示し、このモデル車両10の車体の表示姿勢を、運転状態のフェーズに応じて変化させる。この運転状態のフェーズに応じた表示アクションは、図3に示すように、巡航状態のモデル車両10を基準として幾何学的な画像回転を行い、「加速」、「減速」の表示アクションを設定する。
具体的には、図3(b)に示すように、巡航状態でモデル車両10を水平に保持した画像10aを表示させ、この画像10aを基準として、加速時には、図3(a)に示すように、モデル車両10の前部サスペンションをリフトした画像10b、減速時には、図3(c)に示すように、モデル車両10の後部サスペンションをリフトした画像10cを、それぞれ表示させる。
尚、「加速」、「減速」の表示アクションとして、画面上のモデル車両10の走行路面を傾けるようにしても良い。
また、運転操作の評価結果に対する表示アクションとして、図4に示すように、モデル車両10の表示位置を、運転操作評価値Eval(t)の値に応じてリニアに変更する。具体的には、画面中央を、運転操作評価値Eval(t)=0のときのモデル車両10の表示位置、画面右端を運転操作評価値Eval(t)=100のときのモデル車両10の表示位置、画面左端を運転操作評価値Eval(t)=−100のときのモデル車両10の表示位置として、運転操作評価値Eval(t)の値に応じてモデル車両10の表示位置を決定する。
このとき、同時に、運転操作の評価結果を視覚的に表現する処理を行い、運転操作の良し悪しをドライバが直感的に把握できるようにする。このため、図2〜図4に示すように、画面下部に表示されるバーグラフ11、モデル車両10の表示色及び表示サイズ、モデル車両10に付加するマーク12等を設定する。バーグラフ11は、表示画面の下部横方向に配設される表示バー11aと、モデル車両10の下部中心位置に配置され、運転操作評価値Eval(t)の値に応じてモデル車両10の中心位置を示しながら横方向に移動する三角形のインジケータ11bとを有している。
表示バー11aは、中央部がEval(t)=0に対応する評価値の高い部分を示し、この評価値の高い部分の画面左側を減速側で評価値の低い部分(左端でEval(t)=−100)、画面右側を加速側で評価値の低い部分(右端でEval(t)=100)として設定し、表示バー11aとインジケータ11bとで運転操作の評価結果を視覚的に把握可能としている。
また、モデル車両10の表示色、モデル車両10の表示色やモデル車両10の後部上方に付加表示されるマーク12は、ドライバが表示画面を常に注視できるものではないことに対応するものである。例えば、運転操作の評価値が低い状態から高い状態へ短い時間間隔で遷移した場合、ドライバが画面を注視していないと見逃してしまう。そこで、このような場合、過去に評価が低い状態があったことをドライバへ提示することを目的として、モデル車両10の表示色を、運転操作の評価の良し悪しに応じて変更する。
例えば、図4(b)に示すように、適度なアクセル操作、滑らかなアクセル操作、適度なブレーキ操作といった評価値の高い状態では、モデル車両10(但し、図4(b)においては巡航状態を示す画像10a)を緑色系の表示色で表示する。一方、図4(a)や図4(c)に示すように、ブレーキの踏み過ぎ、アクセルの踏まな過ぎ、アクセルの踏み過ぎ、ラフなアクセル操作といった評価値の低い状態では、モデル車両10(但し、図4(a)においては減速状態を示す画像10c、図4(c)においては加速状態を示す画像10b)の表示色を赤色系の警告的な表示色に変更する。
尚、モデル車両10の表示位置が評価値の低い位置に移動した場合には、画面中央にモデル車両10の残像を表現する領域10'を残しておくことにより、評価値が下がったことを強調してドライバの注意を喚起する。
また、モデル車両10の後部上方に表示するマーク12は、図4(a)に示すように、減速側での評価値の低い運転操作を強調表現する汗マーク12a、図4(b)に示すように、評価値の高い良い運転操作を強調表現する音符マーク12b、図4(c)に示すように、加速側での評価値の低い運転操作を強調表現するガスマーク12cの3種類のマークが備えられている。
これらのマーク12a,12b,12cを評価値に応じて変更し、点滅表示することにより、ドライバが運転操作の良し悪しを直感的に把握すると共に、評価方向が加速側、減速側のどちらだったかを容易に認識することが可能となる。評価が低い状態を表現するモデル車両10の表示色とマーク12による表示は、評価値が高い状態に戻っても継続させ、所定時間(例えば、約2秒程度)経過後に元の表示に戻す。これにより、ドライバは表示画面を常に注視していなくても過去の運転操作の評価を把握することができ、効果的に省燃費運転スキルを向上させることができる。
また、ドライバが常に表示画面を注視できないことへの対応として、良い運転操作を継続して行なっている場合には、その継続時間に応じた表示アクションを行う。例えば、予め保有する車両メージデータを基準として、運転操作評価値が高い状態(良い運転操作)が継続した場合、その継続時間に応じてモデル車両10を徐々に拡大する、或いは、モデル車両10の周辺領域を、良い運転操作の継続時間に応じた周期でブリンクする。
尚、ブリンクによる表示アクションは、モデル車両10自体をブリンクさせても良く、或いはモデル車両10を含む領域全体をブリンクさせても良い。また、この拡大或いはブリンクによる表示アクションは、良い運転操作から外れてしまった場合、直ちに停止する(急激に元の大きさに戻す、或いはブリンクを停止する)。
運転支援判定部5は、各運転状態フェーズの評価履歴を管理し、運転支援の要否を判定する。例えば、加速、巡航、減速といった運転状態毎に評価した結果を、信号待ち等の車両停止毎に統計処理して省燃費運転の観点からランク付けした上でポイント化し、このポイントに基づいて、ドライバのアクセル操作或いはブレーキ操作に対する制御特性の変更が必要であるか否かを判定する。
加速・巡航・減速のランク評価は、以下の(7)式により、ランクレベルRankを0〜100のレベルで計算することにより行う。すなわち、各運転状態のフェーズ毎に、上述したモデル車両10の表示位置から評点Vposxを求め、直近の一区間におけるn個のデータを累積平均することでランクレベルRankを計算する。
Rank=Σ(100−|Vposx|)/n …(7)
そして、ランクレベルRankを所定の閾値と比較し、S,A,B+,B,B-,Cの6段階のランクを、「加速」、「巡航」、「減速」の各運転状態別に決定する。これらのランクS,A,B+,B,B-,Cは、ランクSが最も評価が高いランクであり、ランクCが最も評価の低いランクである。
更に、各ランクS,A,B+,B,B-,Cに対しては、運転操作の良し悪しを所定の数値で表現した各運転状態別のポイント(「加速」、「巡航」、「減速」のポイントDrpt_acc、Drpt_crs,Drpt_brk)が決定される。各ポイントDrpt_acc、Drpt_crs,Drpt_brkは区間毎に累積され平均され、ドライバが苦手とする運転操作が判断される。すなわち、「加速」、「巡航」、「減速」の各運転状態のフェーズにおけるポイントDrpt_acc、Drpt_crs,Drpt_brkの履歴から求められるポイントが所定の基準に達していない場合、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作に対して車両制御の介入による支援が必要であると判断する。
尚、各区間毎の評価では、運転状態別のポイントDrpt_acc、Drpt_crs,Drpt_brkは平均化されて運転操作ポイントDptとして算出される。そして、運転操作ポイントDpt、運転状態別のランクS,A,B+,B,B-,Cに基づいて、区間毎の総合的なポイント(区間エコポイント)が計算され、情報提示部4により、図5に示すような区間毎の表示画面がディスプレイ1bに表示される。これにより、直近の区間の評価をドライバにフィードバックし、省燃費運転スキル向上の効果を高めることができる。
図5の表示画面では、画面中央に、「加速」、「巡航」、「減速」のそれぞれの運転状態別に評価した結果をランク化して表示するランク評価表示領域50が配置されている。また、このランク評価表示領域50の左右には、「加速」、「巡航」、「減速」の各運転状態を総合的に評価し、区間エコポイントの点数を表示する区間エコポイント表示領域51と、当該区間における走行燃費を表示する区間燃費表示領域52とが配置されている。更に、画面上部には、運転操作に対する褒め若しくは改善フレーズ等の運転操作に対して特筆すべき点を一行のフレーズで表示するフレーズ表示領域53が設けられている。
尚、この直近区間の評価結果の表示は、渋滞路走行時等、発進から停止までの一区間の走行距離が極端に短い場合(例えば、100m以内)には、前回の評価結果を用いる。
詳細には、以下の(8)式に示すように、各運転状態別のポイントDrpt_acc、Drpt_crs,Drpt_brkが平均され、運転操作ポイントDptとして算出される。
Dpt=(Drpt_acc+Drpt_crs+Drpt_brk)/3 …(8)
また、以下の(9)式に示すように、区間燃費FEsect、評価が最小のときの燃費(評価最小燃費)FELowerLim、評価が最大のときの燃費(評価最大燃費)FEUpperLimにより、燃費ポイントFptが算出される。
Fpt=50:FEsect<FELowerLim
=50+25×(FEsect−FELowerLim)/(FEUpperLim−FELowerLim):FELowerLim≦FEsect≦FEUpperLim
=75:FEUpperLim<FEsect …(9)
そして、以下の(10)式に示すように、燃費ポイントFptと運転操作ポイントDptとの和として、区間エコポイントEsectが計算される。この区間エコポイントEsect、区間燃費FEsect、運転操作ポイントDpt、評価最小燃費FELowerLim、評価最大燃費FEUpperLimとの関係は、図6に示される。尚、図6中の運転操作ポイントDptは、Dpt=SptがランクS相当、Dpt=CptがランクC相当の値である。
Esect=Fpt+Dpt …(10)
以上により、ドライバがアクセル操作やブレーキ操作が不得手であると判定された場合、制御特性変更部6は、車両制御装置(エンジン制御装置100、スロットル制御装置110、変速制御装置120、ブレーキ制御装置130等)に、ドライバのアクセル操作やブレーキ操作に対する制御介入を指示する。
運転操作が不得手であると判断する条件は、例えば、所定期間(例えば2〜3日)にわたり、あるいは所定区間(例えば20区間)連続して、低レベル(例えばランクB-)以下が続いたとき、または平均レベルが低い(例えばランクB-以下)ときである。このような制御介入の条件が成立したとき、制御介入が必要と判断する。
この制御介入は、段階的に行うことが望ましい。例えば、低レベル以下或いは平均レベルが低い状態が1日続いた場合には30%、2日続いた場合には60%、3日続いた場合には100%、或いは10区間続いた場合には50%、20区間続いた場合には100%の介入等といった段階的な制御介入を行う。
但し、運転中に制御介入により特性が変わるのは好ましくないため、制御介入の条件を満たしたとしても、エンジンを停止するまで、或いは当該区間が終了するまでは、それまでと同じ制御を行うようにしても良い。
その場合、エンジンを停止した際に、次回から制御介入を行う旨を通知する。そして、次回イグニッションをONにしたときに、制御介入をする旨を再び通知し、制御介入を行う。同様に、当該区間の終了後、制御介入を行う旨を通知すると共に、次回発進時から制御介入を行う。これにより、ドライバは制御介入が行われることを確実に把握することができる。
また、制御介入は、受け入れるか否かをドライバに決めさせても良い。ドライバによる図示しないスイッチの操作あるいは音声による回答等で、制御介入を受け入れる意志を示した場合は制御介入を実行する。受け入れない意志を示した場合は制御介入は行わず、必要に応じて後ほど再度確認する等の処置を行う。
この制御介入においては、以下の(1),(2)に示すように、スロットル開度やブレーキ圧の制御特性を通常の制御特性からドライバの操作を支援する特性に変更する。尚、この特性変更の制御介入があった場合には、情報提示部4を介してブザー音やインジケータ表示を行う。これにより、ドライバに適切な操作ができていないことを報知し、運転上達を促すことができる。
(1)アクセル操作が苦手と判定される場合
ドライバが強い加速をする傾向にある場合、スロットル制御装置110に制御変更を指示し、ドライバのアクセル操作に対してスロットル開度が緩やかに開くように変更する。具体的には、図7(a)に示すように、アクセル開度に対するスロットル開度の制御ゲインが一定である通常の制御特性(図中に破線で示す)に対して、図中に実線で示すようにスロットル開度の制御ゲインを低くして過度な加速が行われないように設定する。図7(a)の例では、特にアクセル開度が比較的小さい領域でスロットル開度の変化量を抑制し、低速域での急激な加速を防止するようにしている。
逆に加速が緩やか過ぎる場合は、前方に先行車両等の障害物が無いと判断されるとき、アクセル操作に対するスロットル開度の制御特性を加速しやすい方向へ変更する。すなわち、図7(b)に示すように、図中に破線で示す通常の制御特性に対して、図中実線で示すようにアクセル開度に対するスロットル開度の制御ゲインを高め、アクセルペダルの踏み込み量が不足しがちなドライバに対して、必要な加速が得られるように支援する。
また、一定速走行時にアクセル開度が一定に保てないドライバの場合は、図7(c)に示すように、図中に破線で示す通常の制御特性に対して、図中に実線で示すようにアクセル開度が中開度以上でのスロットル開度の制御ゲインが低くなるような特性に変更する。これにより、ドライバがアクセル開度を一定に保てない場合であっても、スロットル開度の変化を抑制して一定速度が維持し易くなるように支援する。
尚、上記制御は制御介入が100%である場合を示す。制御介入を段階的に変化させるのであれば、制御介入の度合に応じて変更する制御ゲインを修正する。
(2)ブレーキ操作が苦手と判定される場合
ドライバが必要以上にブレーキを多用する傾向にある場合、エンジンブレーキの効きを強めて減速感を高めるように制御特性を変更する。この制御特性の変更は、図8のフローチャートに示すように、エンジン制御と変速制御との双方によって実現し、ブレーキ操作を行わずとも良い方向へ制御を変更する。
図8のフローチャートに示す制御変更処理では、先ず、ステップS1において制御変更の有無を調べる。制御変更が無い場合、パワーユニット(P/U)に対する通常制御を実行し、制御変更の場合、ステップS1からステップS2へ進んで、エンジン制御装置100に燃料カットを指示する。
燃料カット後は、ステップS3でアクセルがONされたか否かを調べ、アクセルがONされた場合、通常P/U制御に復帰し、アクセルがONされていない場合、ステップS4で規定時間が経過したか否かを調べる。規定時間が経過していない場合には、ステップS3へ戻ってアクセルのON,OFFに応じた処理を行い、規定時間が経過していない場合、規定時間が経過した場合、ステップS5へ進んで変速制御装置120にトランスミッションの低速段へのシフトダウンを指示する。
また、EBD(Electronic Brake force Distribution)等の電子制御によるブレーキ装置を搭載している場合には、ブレーキペダルの踏力に対するブレーキ圧の特性を変更し、要求減速度に対するブレーキ力とエンジンブレーキとの配分特性を変更する。すなわち、図9に示すように、ブレーキペダルの踏力に対するブレーキ圧の特性を、図中に破線で示す一定の制御ゲインの通常の制御特性から、実線で示すように所定のペダル踏力までブレーキ圧を弱める特性に変更する。これにより、必要以上にブレーキを多用しがちなドライバに対して、緩いブレーキ操作を、エンジンブレーキで補助する制御へ切り換え、ドライバが適正なブレーキ操作を習得し易くする。
尚、上記制御は制御介入が100%である場合を示す。制御介入を段階的に変化させるのであれば、制御介入の度合に応じて変更する制御ゲインを修正する。
このように本実施の形態においては、ブレーキ操作やアクセル操作が不得手で装置のアドバイスに従った操作がうまくできないドライバに対しても、エンジン、変速機、ブレーキ装置等の制御特性を変更してドライバの運転行動を支援するため、省燃費運転に対する支援効果を高めることができる。同様に、安全運転のための支援を行う場合においても、制御介入により、ドライバを有効に安全運転のスキル向上へと導くことが可能となる。
1 運転行動支援装置
1a コントローラ
1b ディスプレイ
2 運転状態フェーズ判別部
3 運転操作評価部
4 情報提示部
5 運転支援判定部
6 制御特性変更部
100 エンジン制御装置
110 スロットル制御装置
120 変速制御装置
130 ブレーキ制御装置

Claims (5)

  1. 移動体を運転するドライバの運転行動を支援する運転行動支援装置であって、
    所定の評価指針に基づいて現在の運転状態が属するフェーズを判別する運転状態フェーズ判別部と、
    ドライバの運転操作を評価し、上記運転状態のフェーズ毎に運転操作の評価値を算出する運転操作評価部と、
    上記運転操作評価部の評価結果に基づいて、ドライバの運転操作に対する上記移動体の制御特性を変更する制御特性変更部とを備え、
    上記操作評価部の評価結果をドライバに提示した上で、評価結果が所定期間或いは所定区間にわたって所定の評価値以下の場合、当該評価の運転操作に関する制御特性を変更するとともに、当該制御特性の介入度合を所定の評価値以下の評価値が持続する期間或いは区間の大小に応じて変更することを特徴とする運転行動支援装置。
  2. 上記フェーズを、加速、巡航、減速の3つのフェーズに分けて判別し、加速、巡航、減速の各フェーズ毎に上記運転操作の評価値を算出することを特徴とする請求項1記載の運転行動支援装置。
  3. 上記制御特性の変更による介入を、ドライバに通知することを特徴とする請求項1又は2記載の運転行動支援装置。
  4. 上記通知を上記移動体の駆動停止時に行い、上記制御特性の変更による介入を次回の駆動開始から行うと共にドライバに再通知することを特徴とする請求項記載の運転行動支援装置。
  5. 上記制御特性の変更による介入は、上記移動体の次回発進時から始まることを特徴とする請求項記載の運転行動支援装置。
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