JP2012006025A - 連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 壁部と、該壁部の上端部位に溶鋼注入部位側を向く庇状部と、を有する堰を設置したタンディッシュを用いて連続鋳造するにあたり、介在物の浮上分離を従来に比較して確実に行う。
【解決手段】 鋼の連続鋳造において、取鍋からの溶鋼注入流がタンディッシュ底部に衝突する溶鋼注入部位5と、タンディッシュ1から鋳型2への溶鋼流出口6との間に、前記溶鋼注入部位を四方向から囲むとともに、1.0mm以上の開口幅の切り欠きを一箇所以上有する、タンディッシュの底部から上方に伸びる壁部8と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向いた庇状部9と、を有する堰7が、(1)式の関係を満たす条件の設置位置及び堰高さで配置されたタンディッシュを用いる。但し、(1)式において、hは、庇状部を有する堰の高さ(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。 0.3≦X/h≦5.5…(1)
【選択図】 図1

Description

本発明は、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法に関し、詳しくは、タンディッシュにおいて、脱酸生成物などの酸化物系非金属介在物の浮上分離を促進させて溶鋼の清浄性を高める方法に関する。
鋼の連続鋳造では、取鍋内の溶鋼を一旦タンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼を滞留させた状態で、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入して鋳片を製造している。タンディッシュは、複数ヒートの連続鋳造を継続する際の取鍋交換時の溶鋼の供給機能、及び、複数の鋳型への溶鋼の分配機能を有するのみならず、タンディッシュ内に所定量の溶鋼を滞留させることで、タンディッシュから鋳型への溶鋼流出量が精度良く制御される、更には、溶鋼中に懸濁する脱酸生成物などの酸化物系非金属介在物(以下、単に「介在物」と記す)の浮上分離が促進されるなどの機能を有している。特に、近年の高品質の鉄鋼材料の要求から、タンディッシュにおいて介在物を効率的に浮上分離する技術が広く行われている。
タンディッシュにおける介在物の浮上分離方法は、タンディッシュ内に堰を設置し、堰によって溶鋼の流動を制御する方法が一般的である。例えば、特許文献1には、下部に貫通孔を有し、タンディッシュの底部からタンディッシュ内の溶鋼湯面上にまで伸びる堰を、取鍋からの溶鋼の注入部位を挟んでタンディッシュ内の2箇所に相対して配置し、タンディッシュ内を受鋼領域と鋼準静止領域とに分離し、鋼準静止領域での介在物の浮上分離を目的とするタンディッシュが開示されている。
特許文献2には、タンディッシュの底部に接する2個の貫通孔を有する堰によりタンディッシュ内を受鋼側と出鋼側とに分離し、且つ、前記堰の下流側にダム状の堰(下堰という)を配置し、更に、タンディッシュの長辺長さLと短辺長さWとの比L/Wを2〜7、受鋼側の容積比率を全体の10〜40%とするタンディッシュが開示されている。
また、特許文献3には、耐熱性組成物から形成されるタンディッシュ衝突パッドであって、該パッドが衝突面を備えたベースと、該ベースから上方に伸び且つ前記溶融金属の流れを受け入れるための上側開口部を備えた内部空間を完全に囲む無端の外側側壁部とを有し、前記外側側壁部が前記開口部へ向けて内方に且つ上方に伸びる少なくとも第1部分を備えた環状の内面を含むタンディッシュ衝突パッドが開示されている。
特許文献3の技術を改善する技術も提案されており、特許文献4には、取鍋から注入される溶融金属流がタンディッシュ底部に衝突する部分に設置される、タンディッシュ内溶融金属の流動制御パッドであって、溶融金属流の衝突部を囲んでタンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部と、該壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部とを有し、タンディッシュの長辺内壁と対向する側の壁部に、切り欠きを有する流動制御パッドが開示されている。
また、特許文献5には、特許文献3の衝突パッドは一体構造の耐火物であることから、衝突パッドに代えて堰とするべく、取鍋からタンディッシュへの溶融金属流に相対してタンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部と、該壁部の上端部位から溶融金属流へ向かって伸びる庇状部と、を有する流動制御用堰であって、前記壁部の高さh及び庇状部の幅dが、0.1≦d/h≦1.0なる関係式を満足する堰が開示されている。
更に、特許文献6には、取鍋からタンディッシュへの溶鋼流がタンディッシュ底部に衝突する部分に、該溶鋼流の衝突部を囲んでタンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部と、該壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部とを有する流動制御パッドの配置されたタンディッシュを用い、溶鋼注入速度Q(m3/min)、庇部を除いた流動制御パッド上面の面積S1(m2)及び流動制御パッド底面の面積S2(m2)が、0.5<(Q/S2)×(S1/S2)<5.0なる関係式を満足する条件で連続鋳造する高清浄鋼鋳片の製造方法が開示されている。
特開昭53−6231号公報 特開平10−216909号公報 特表平9−505242号公報 特開2004−1077号公報 特開2004−98066号公報 特開2004−154803号公報
特許文献1〜6によって、タンディッシュにおける介在物の浮上分離は大幅に改善され、堰を設置しない場合に比較して溶鋼の清浄性は大幅に向上した。特に、特許文献3〜6では、「開口部へ向けて内方に且つ上方に伸びる環状の内面」、または、「壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部」により、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入流は注入部位側に戻るように攪拌されることで、溶鋼注入流が減速され、介在物の浮上分離を阻害する、タンディッシュ内での短絡流及び高速流が解消されて、介在物の浮上に寄与している。
しかしながら、特許文献3〜6においても、未だ改善の余地がある。即ち、特許文献5を例にとれば、取鍋からの溶鋼注入流は、タンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部に衝突することによって流れの向きを変え、更にその上部の庇状部によって注入部位側に戻るように攪拌されるが、溶鋼注入部位と障害物となる壁部つまり堰との距離及び堰の高さが適切でない場合には、取鍋からの溶鋼注入流は堰に衝突することなく、或いは衝突したとしても一部分のみが衝突し、溶鋼流出口から鋳型へ流出することになる。この場合には、堰の効果は得られず、タンディッシュ内での介在物の浮上分離の促進は期待できない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、タンディッシュの溶鋼注入部位と溶鋼流出口との間に、タンディッシュ底部から上方に伸びる壁部と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向く庇状部と、を有する堰を設置したタンディッシュを用いて連続鋳造するにあたり、庇状部を有する堰の設置位置及びこの堰の高さを最適化することで、介在物の浮上分離を従来に比較して確実に行うことができ、その結果、介在物起因の製品欠陥を大幅に低減することのできる、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法は、アルミニウムで脱酸された溶鋼を取鍋から一旦タンディッシュに注入し、次いでタンディッシュから鋳型に注入して鋼鋳片を連続鋳造するにあたり、取鍋からの溶鋼注入流がタンディッシュ底部に衝突する溶鋼注入部位と、タンディッシュから鋳型への溶鋼流出口との間に、前記溶鋼注入部位を四方向から囲むとともに、1.0mm以上の開口幅の切り欠きを一箇所以上有する、タンディッシュの底部から上方に伸びる壁部と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向いた庇状部と、を有する堰が、下記の(1)式の関係を満たす条件の設置位置及び堰高さで配置されたタンディッシュを用いることを特徴とする。
0.3≦X/h≦5.5…(1)
但し、(1)式において、hは、庇状部を有する堰の高さ(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
第2の発明に係る連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法は、第1の発明において、前記タンディッシュは、前記堰と前記溶鋼流出口との間に、下方に開口部を有する上堰または上方に開口部を有する下堰が、下記の(2)式の関係を満たす位置に少なくとも1つ配置されていることを特徴とする。
0.5≦d/X≦10…(2)
但し、(2)式において、dは、庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面から該堰の溶鋼流出口側に隣り合う堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
第3の発明に係る連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法は、第1または第2の発明において、前記取鍋から前記タンディッシュの溶鋼注入部位に、下記の(3)式の関係を満たす内径を有するロングノズルを用いて溶鋼を注入することを特徴とする。
0<Z≦2(X−Y)…(3)
但し、(3)式において、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)、Yは、庇状部を有する堰の庇状部の幅(mm)、Zは、ロングノズルの内径(mm)である。
第4の発明に係る連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法は、第3の発明において、前記ロングノズルを、下記の(4)式の関係を満たす浸漬深さで、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬しながら鋳造することを特徴とする。
0.3≦m/X≦2.5…(4)
但し、(4)式において、mは、ロングノズルのタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さ(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
本発明によれば、庇状部を有する堰の設置位置及び堰高さを、これら双方を考慮して最適化するので、タンディッシュにおける介在物の浮上分離が促進され、鋳型に注入される溶鋼の清浄性が高まり、連続鋳造される鋼鋳片の清浄度が向上して、介在物起因の製品欠陥を大幅に低減することが実現される。
本発明の実施の形態を示す図であって、連続鋳造設備のタンディッシュ及び鋳型の部分を示す側断面概略図である。 図1に示すタンディッシュの平面図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す図であって、連続鋳造設備のタンディッシュ及び鋳型の部分を示す側断面概略図、図2は、図1に示すタンディッシュの平面図である。
図1及び図2において、符号1はタンディッシュ、2は鋳型、3は取鍋(図示せず)の底部に取り付けられたロングノズル、4はタンディッシュの底部に取り付けられた浸漬ノズルであり、予めアルミニウムで脱酸され、取鍋内に収容された溶鋼13がロングノズル3を介してタンディッシュ1に注入されながら、タンディッシュ内に所定量の溶鋼13を滞留させた状態で、タンディッシュ内の溶鋼13が浸漬ノズル4を介して鋳型2に注入されて、鋼鋳片14が製造されている。これらの図は、2基の鋳型2で、2条(2ストランド)のスラブ鋳片を連続鋳造する図である。
本発明で使用するタンディッシュ1は、図1及び図2に示すように、取鍋(図示せず)からロングノズル3を介してタンディッシュ1に注入される溶鋼注入流がタンディッシュ1の底部に衝突する位置である溶鋼注入部位5と、タンディッシュ1から鋳型2への溶鋼流出口6との間に、タンディッシュ1の底部から上方に伸びる壁部8と、壁部8の上端部位に溶鋼注入部位側を向いて水平方向に突出した庇状部9と、を有する堰7が配置されている。堰7は、溶鋼注入部位5を囲むように、タンディッシュ1の長辺面側にも配置されている。つまり、溶鋼注入部位5は、外殻が正方形或いは長方形の四角形の堰7によって四方向から囲まれている。但し、堰7には、壁部8及び庇状部9を貫通する、1.0mm以上の開口幅の切り欠き10が少なくも一箇所は設けられており、鋳造終了時には、堰7で囲まれる空間内の溶鋼13が、溶鋼流出口6を向いて排出されるように構成されている。切り欠き10の開口幅を大きくすると堰7の効果が低下するので、切り欠き10の開口幅は30mm以下とすることが好ましい。
ロングノズル3を介して溶鋼注入部位5に注入された溶鋼13は、溶鋼注入部位5に衝突した後、溶鋼注入流の落下エネルギーによってタンディッシュ1の底面に沿って四方を向いて流れるが、堰7の壁部8に衝突して上向き方向となり、更に、堰7の庇状部9によって溶鋼注入部位5を向いた流れになる。溶鋼注入部位5を向いた、四方から来る流れは、互いに衝突し合い、運動エネルギーを消費して減速する。即ち、堰7によって、ロングノズル3を介して注入された高速の溶鋼流は大幅に減速されると同時に、タンディッシュ内の溶鋼流が均一化される。これにより、タンディッシュ内での短絡流及び高速流が解消されて、これらの流れに随伴して溶鋼流出口6から鋳型2に流出する介在物が減少する。つまり、タンディッシュ1における介在物の浮上分離が促進される。
但し、この堰7による作用・効果を得るためには、堰7を、その設置位置及び堰高さが下記の(1)を満足する条件で配置する必要がある。即ち、溶鋼注入部位5から堰7の溶鋼注入部位側の壁面までの距離をX(mm)とし、堰7の高さをh(mm)とすると、距離Xと堰高さhとが、下記の(1)式の関係を満足する範囲内で配置する必要がある。
0.3≦X/h≦5.5…(1)
X/hが0.3未満の場合は、溶鋼注入部位5と堰7との距離が短くなり、換言すれば、堰7で囲まれる空間が狭くなり、堰7の庇状部9による効果をほとんど得られず、堰7で囲まれた空間における溶鋼の減衰効果が期待できない。一方、X/hが5.5を超えると、溶鋼注入部位5と堰7との距離が長くなり、タンディッシュ底面に沿った流れが浮上して、堰7に衝突しないまま堰7を通り過ぎることが起こり、堰7の効果が得られないことが発生する。
ここで、堰7は、上方に溶鋼13が存在することを前提とした堰であり、従って、堰7の高さhは、少なくとも、堰7を配置する位置でのタンディッシュ内の溶鋼深さ未満とすることが必要である。また、好ましくは、堰7の高さhは、堰7を配置する位置でのタンディッシュ内の溶鋼深さの1/2以下とする。一方、堰7の高さhが余りに低いと、堰7の効果が得られないので、高さhは200mm以上確保することが好ましい。
また、実際の溶鋼注入部位5は「点」ではなく、或る程度の面積を持っており、このような溶鋼注入部位を四方から囲むと同時に、堰7で囲まれる空間の絶対量を確保するために、(1)式を満足した上で、距離Xを300mm以上確保することが好ましい。尚、図1では、面積を有する溶鋼注入部位の中心位置を、溶鋼注入部位5として表示している。
また、本発明で使用するタンディッシュ1は、堰7と溶鋼流出口6との間に、下方に開口部を有する上堰または上方に開口部を有する下堰を、下記の(2)式の関係を満たす位置に少なくとも1つ配置することが好ましい。
0.5≦d/X≦10…(2)
但し、(2)式において、dは、堰7の溶鋼注入部位側の壁面から堰7の溶鋼流出口側に隣り合う堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)、Xは、溶鋼注入部位5から堰7の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
d/Xが0.5未満の場合、堰7の庇状部9による溶鋼流動上昇効果が得られないうちに次の堰に溶鋼13が至るため、介在物の浮上効果が損なわれる。一方、d/Xが10を超えても、介在物の浮上分離効果は飽和し、それ以上に大きくする必要がない。また、d/Xを過剰に大きくすると、長辺面の長いタンディッシュが必要になるという問題点もある。図1及び図2に示すタンディッシュ1では、(2)式を満たす位置に、堰7の側から順に上堰11及び下堰12を、タンディッシュ1の溶鋼注入部位5を挟んだ両側に配置している。
図1に示す、堰7、上堰11及び下堰12を有するタンディッシュ1を使用して溶鋼13を連続鋳造すると、ロングノズル3から注入された溶鋼中の介在物は、堰7により上向き方向の流動を得て、タンディッシュ内の溶鋼湯面に浮上する。また、溶鋼湯面に浮上しなかった介在物は、その後、溶鋼流に乗って上堰11の溶鋼湯面近傍の壁部に至り、溶鋼流は、上堰11によって上向き及び下向きの流れに別れる。上向き流れの溶鋼中の介在物は、溶鋼湯面に浮上し、一方、下向き流れの溶鋼中の介在物は、上堰11のタンディッシュ底部近傍の開口部分から溶鋼流出口6の方向に流れ出る。その後、上堰11の外側にある下堰12により、流れが上向き方向となり、溶鋼湯面への介在物の浮上が促進される。つまり、堰7、上堰11及び下堰12によって溶鋼中の介在物の浮上分離が促進される。
使用するロングノズル3は、その内径が以下の(3)式の条件を満足することが好ましい。
0<Z≦2(X−Y)…(3)
但し、(3)式において、Xは、溶鋼注入部位5から堰7の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)、Yは、堰7の庇状部9の幅(mm)、Zは、ロングノズル3の内径(mm)である。
Zが2(X−Y)を超える場合には、ロングノズル3の内径が相対する庇状部9の間隔よりも大きくなり、ロングノズル3からの溶鋼注入流が堰7の外側に注入されることも起こり、堰7の効果を十分に発揮できず、好ましくない。
また、ロングノズル3を、堰7の設置位置に対して以下の(4)式の関係を満たす浸漬深さで、タンディッシュ内の溶鋼13に浸漬させることが好ましい。
0.3≦m/X≦2.5…(4)
但し、(4)式において、mは、ロングノズル3のタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さ(mm)、Xは、溶鋼注入部位5から堰7の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
m/Xが、0.3未満の場合は、タンディッシュ底面に沿った溶鋼流れが、堰7で囲まれる空間に十分に入り込まないため、堰7を十分に活用できず、堰7による介在物浮上促進効果を十分に得ることができない。一方、m/Xが2.5を超える場合は、堰7の空間内で、注入された溶鋼流動を十分に減衰することができず、堰7の効果が乏しくなるために好ましくない。
以上説明したように、本発明によれば、庇状部9を有する堰7の設置位置及び堰高さを、これら双方を考慮して最適化するので、タンディッシュ1における介在物の浮上分離が促進され、鋳型2に注入される溶鋼13の清浄性が高まり、鋼鋳片14の清浄度が向上して、介在物起因の製品欠陥を大幅に低減することが実現される。
転炉での溶銑の脱炭精錬及びその後のRH真空脱ガス装置での真空脱ガス精錬によって溶製した約250トンのアルミキルド極低炭素鋼を、図1に示す構成の容量70トンのタンディッシュを有するスラブ連続鋳造機を用いて、溶鋼注入速度を5.0トン/(min・ストランド)として鋼のスラブ鋳片に連続鋳造する試験を実施した。
その際に、堰7の設置位置(X=溶鋼注入部位5から堰7の溶鋼注入部位側の壁面までの距離)及び堰高さ(h)、上堰11の設置位置(d=堰7の溶鋼注入部位側の壁面から堰7の溶鋼流出口側に隣り合う堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離)、使用するロングノズルの内径(Z)、ロングノズルの浸漬深さ(m)を種々変更した(水準1〜11)。また、比較のために、堰7を配置していない以外は、水準1と同一のタンディッシュを使用した鋳造試験も実施した(水準12:従来例)。堰7の切り欠きの開口幅は全て10mmとした。鋳造後、超音波探傷測定により鋳片の介在物数を調査した。
表1に、使用したタンディッシュの各種寸法及び鋳片の介在物調査結果を示す。尚、介在物調査結果は、堰7を配置していないタンディッシュを使用した水準12の測定値を基準として指数化して表示した。また、備考欄に、水準1〜11において、本発明の範囲の試験は「本発明例」と表示し、それ以外は「比較例」と表示した。
Figure 2012006025
表1に示すように、本発明を適用することで、スラブ鋳片の介在物数を大幅に削減できることが確認できた。つまり、本発明を適用することにより、タンディッシュにおける介在物の浮上効果を大幅に促進できることが確認できた。
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 ロングノズル
4 浸漬ノズル
5 溶鋼注入部位
6 溶鋼流出口
7 堰
8 壁部
9 庇状部
10 切り欠き
11 上堰
12 下堰
13 溶鋼
14 鋼鋳片

Claims (4)

  1. アルミニウムで脱酸された溶鋼を取鍋から一旦タンディッシュに注入し、次いでタンディッシュから鋳型に注入して鋼鋳片を連続鋳造するにあたり、取鍋からの溶鋼注入流がタンディッシュ底部に衝突する溶鋼注入部位と、タンディッシュから鋳型への溶鋼流出口との間に、前記溶鋼注入部位を四方向から囲むとともに、1.0mm以上の開口幅の切り欠きを一箇所以上有する、タンディッシュの底部から上方に伸びる壁部と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向いた庇状部と、を有する堰が、下記の(1)式の関係を満たす条件の設置位置及び堰高さで配置されたタンディッシュを用いることを特徴とする、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
    0.3≦X/h≦5.5…(1)
    但し、(1)式において、hは、庇状部を有する堰の高さ(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
  2. 前記タンディッシュは、前記堰と前記溶鋼流出口との間に、下方に開口部を有する上堰または上方に開口部を有する下堰が、下記の(2)式の関係を満たす位置に少なくとも1つ配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
    0.5≦d/X≦10…(2)
    但し、(2)式において、dは、庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面から該堰の溶鋼流出口側に隣り合う堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
  3. 前記取鍋から前記タンディッシュの溶鋼注入部位に、下記の(3)式の関係を満たす内径を有するロングノズルを用いて溶鋼を注入することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
    0<Z≦2(X−Y)…(3)
    但し、(3)式において、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)、Yは、庇状部を有する堰の庇状部の幅(mm)、Zは、ロングノズルの内径(mm)である。
  4. 前記ロングノズルを、下記の(4)式の関係を満たす浸漬深さで、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬しながら鋳造することを特徴とする、請求項3に記載の連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
    0.3≦m/X≦2.5…(4)
    但し、(4)式において、mは、ロングノズルのタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さ(mm)、Xは、溶鋼注入部位から庇状部を有する堰の溶鋼注入部位側の壁面までの距離(mm)である。
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