JP5831138B2 - 連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法に関し、詳しくは、タンディッシュにおいて、脱酸生成物などの酸化物系非金属介在物の浮上分離を促進させて溶鋼の清浄性を高める方法に関する。
鋼の連続鋳造では、取鍋内の溶鋼を一旦タンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼を滞留させた状態で、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入して鋳片を製造している。タンディッシュは、複数ヒートの連続鋳造を継続する際の取鍋交換時の溶鋼の供給機能、及び、複数の鋳型への溶鋼の分配機能を有するのみならず、タンディッシュ内に所定量の溶鋼を滞留させることで、タンディッシュから鋳型への溶鋼流出量が精度良く制御される、更には、溶鋼中に懸濁する脱酸生成物などの酸化物系非金属介在物(以下、単に「介在物」と記す)の浮上分離が促進されるなどの機能を有している。特に、近年の高品質の鉄鋼材料の要求から、タンディッシュにおいて介在物を効率的に浮上分離する技術が広く行われている。
タンディッシュにおける介在物の浮上分離方法は、タンディッシュ内に堰を設置し、堰によって溶鋼の流動を制御する方法が一般的である。例えば、特許文献1には、下部に貫通孔を有し、タンディッシュの底部からタンディッシュ内の溶鋼湯面上にまで伸びる堰を、取鍋からの溶鋼の注入部位を挟んでタンディッシュ内の二箇所に相対して配置し、タンディッシュ内を受鋼領域と鋼準静止領域とに分離し、鋼準静止領域での介在物の浮上分離を目的とするタンディッシュが開示されている。
特許文献2には、タンディッシュの底部に接する2個の貫通孔を有する堰によりタンディッシュ内を受鋼側と出鋼側とに分離し、且つ、前記堰の下流側にダム状の堰(下堰という)を配置し、更に、タンディッシュの長辺長さLと短辺長さWとの比L/Wを2〜7、受鋼側の容積比率を全体の10〜40%とするタンディッシュが開示されている。
また、特許文献3には、耐熱性組成物から形成されるタンディッシュ衝突パッドであって、該パッドが衝突面を備えたベースと、該ベースから上方に伸び且つ前記溶融金属の流れを受け入れるための上側開口部を備えた内部空間を完全に囲む無端の外側側壁部とを有し、前記外側側壁部が前記開口部へ向けて内方に且つ上方に伸びる少なくとも第1部分を備えた環状の内面を含むタンディッシュ衝突パッドが開示されている。
特許文献3の技術を改善する技術も提案されており、特許文献4には、取鍋から注入される溶融金属流がタンディッシュ底部に衝突する部分に設置される、タンディッシュ内溶融金属の流動制御パッドであって、溶融金属流の衝突部を囲んでタンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部と、該壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部とを有し、タンディッシュの長辺内壁と対向する側の壁部に、切り欠きを有する流動制御パッドが開示されている。
また、特許文献5には、特許文献3の衝突パッドは一体構造の耐火物であることから、衝突パッドに代えて堰とするべく、取鍋からタンディッシュへの溶融金属流に相対してタンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部と、該壁部の上端部位から溶融金属流へ向かって伸びる庇状部と、を有する流動制御用堰であって、前記壁部の高さh及び庇状部の幅dが、0.1≦d/h≦1.0なる関係式を満足する堰が開示されている。
更に、特許文献6には、取鍋からタンディッシュへの溶鋼流がタンディッシュ底部に衝突する部分に、該溶鋼流の衝突部を囲んでタンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部と、該壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部とを有する流動制御パッドの配置されたタンディッシュを用い、溶鋼注入速度q(m3/分)と、庇状部を除いた流動制御パッド上面の面積A1(m2)と、流動制御パッド底面の面積A2(m2)とが、0.5<(q/A2)×(A1/A2)<5.0なる関係式を満足する条件で連続鋳造する高清浄鋼鋳片の製造方法が開示されている。
特開昭53−6231号公報 特開平10−216909号公報 特表平9−505242号公報 特開2004−1077号公報 特開2004−98066号公報 特開2004−154803号公報
特許文献1〜6によって、タンディッシュにおける介在物の浮上分離は大幅に改善され、堰を設置しない場合に比較して溶鋼の清浄性は大幅に向上した。特に、特許文献3〜6では、「開口部へ向けて内方に且つ上方に伸びる環状の内面」、または、「壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部」により、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入流は溶鋼の注入部位側に戻るように攪拌されることで、溶鋼注入流が減速され、介在物の浮上分離を阻害する、タンディッシュ内での短絡流及び高速流が解消されて、介在物の浮上に寄与している。
しかしながら、特許文献3〜6においても、未だ改善の余地がある。即ち、特許文献5を例にとれば、取鍋からの溶鋼注入流は、タンディッシュの底部から上方へ伸びる壁部に衝突することによって流れの向きを変え、更にその上部に存在する、壁部の上端部位から壁部の囲み中心へ向かって伸びる庇状部によって溶鋼注入部位側に戻るように攪拌されるが、堰によって形成される溶鋼上昇流の流速と、取鍋から堰内に注入される溶鋼の注入流速とが、適切な関係でない場合には、取鍋からの溶鋼注入流を均一に減速することはできず、つまり、堰の効果を十分に得られず、タンディッシュ内での介在物の浮上分離の促進は期待できない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、タンディッシュの溶鋼注入部位と溶鋼流出口との間に、タンディッシュ底部から上方に伸びる壁部と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向いて水平方向に突出した庇状部と、を有する堰を設置したタンディッシュを用いて連続鋳造するにあたり、庇状部を有する堰によって形成される溶鋼上昇流の流速と、取鍋から庇状部を有する堰に注入される溶鋼注入流の流速とを、最適な範囲に制御することで、介在物の浮上分離を従来に比較して確実且つ有効に行うことができ、その結果、介在物起因の製品欠陥を大幅に低減することのできる、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]脱酸された溶鋼を取鍋から一旦タンディッシュに注入し、次いでタンディッシュから鋳型に注入して鋼鋳片を連続鋳造するにあたり、
取鍋からの溶鋼注入流がタンディッシュ底部に衝突する溶鋼注入部位と、タンディッシュから鋳型への溶鋼流出口との間に、前記溶鋼注入部位を四方向から囲んでタンディッシュの底部から上方に伸びる壁部と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向いて水平方向に突出した庇状部と、を有する堰を配置したタンディッシュを用い、
前記堰の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速と、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入流量及び取鍋からタンディッシュへの溶鋼流出孔の開口面積とが、下記の(1)式の関係を満足するように、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を制御しながら鋼鋳片を連続鋳造することを特徴とする、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
u/[Q/(S×ρ)]≦0.3 …(1)
但し、(1)式において、uは、堰の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速(m/分)、Qは、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入流量(トン/分)、Sは、取鍋からタンディッシュへの溶鋼流出孔の開口面積(m2)、ρは、溶鋼の密度(トン/m3)である。
[2]前記堰は、前記壁部から前記庇状部に亘って連続した切り欠きを一箇所以上有し、該切り欠きの開口幅が0.02m以下であることを特徴とする、上記[1]に記載の連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
本発明によれば、庇状部を有する堰を用いて連続鋳造する際に、庇状部を有する堰によって形成される溶鋼上昇流の流速uと、取鍋から庇状部を有する堰に注入される溶鋼注入流の流速(=Q/(S×ρ))との比を最適な範囲に制御するので、タンディッシュにおける介在物の浮上分離が促進され、鋳型に注入される溶鋼の清浄性が高まり、連続鋳造される鋼鋳片の清浄度が向上して介在物起因の製品欠陥を大幅に低減することが実現される。
本発明で使用する連続鋳造設備のタンディッシュ及び鋳型の部分を示す正面断面概略図である。 図1に示すタンディッシュの平面図である。 図1に示すタンディッシュの側面図である。 鋼板での介在物起因の欠陥の発生密度に及ぼすu/[Q/(S×ρ)]の影響を調査した結果を示す図である。 鋼板での介在物起因の欠陥の発生密度に及ぼす切り欠きの開口幅の影響を調査した結果を示す図である。 鋳片での介在物数の調査結果を、本発明例、比較例、従来例で対比して示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す図であって、連続鋳造設備のタンディッシュ及び鋳型の部分を示す正面断面概略図、図2は、図1に示すタンディッシュの平面図、図3は、図1に示すタンディッシュの側面図である。
図1〜3において、符号1はタンディッシュ、2は鋳型、3は取鍋(図示せず)の底部に取り付けられたロングノズル、4はタンディッシュ1の底部に取り付けられた浸漬ノズルであり、予めアルミニウム、珪素、チタンなどの脱酸材で脱酸され、取鍋内に収容された溶鋼11がロングノズル3を介してタンディッシュ1に注入されながら、タンディッシュ内に所定量の溶鋼11を滞留させた状態で、タンディッシュ内の溶鋼11が浸漬ノズル4を介して鋳型2に注入されて、鋼鋳片12が製造されている。これらの図は、2台の鋳型2で、2条(2ストランド)のスラブ鋳片を連続鋳造する図である。
本発明で使用するタンディッシュ1は、図1〜3に示すように、取鍋(図示せず)からロングノズル3を介してタンディッシュ1に注入される溶鋼注入流がタンディッシュ1の底部に衝突する位置である溶鋼注入部位5と、タンディッシュ1から鋳型2への溶鋼流出口6との間に、タンディッシュ1の底部から鉛直方向上方に伸びる壁部8と、壁部8の上端部位に溶鋼注入部位側を向いて水平方向に突出した庇状部9と、を有する、壁部8の水平面への投影外形が矩形である堰7が配置されている。図1に示すように、堰7は、壁部8の溶鋼注入部位側の面と、庇状部9の下面側の面とが、円弧により滑らかに結ばれた形状となっているが、壁部8の溶鋼注入部位側の面と、庇状部9の下面側の面とが、直交する形状であっても構わない。
堰7は、溶鋼注入部位5を四方から囲むように、タンディッシュ1の長辺面側にも配置されている。つまり、溶鋼注入部位5は、水平面への投影外形が正方形或いは長方形の矩形である堰7によって四方向から囲まれている。
また、堰7には、壁部8から庇状部9に亘って連続する切り欠き10が一箇所または2箇所以上設けられており、鋳造終了時には、堰7で囲まれる空間内の溶鋼11が、切り欠き10を通り、溶鋼流出口6に向いて排出されるように構成されている。図1〜3に示すタンディッシュ1では、二箇所に切り欠き10が配置されているが、三箇所以上であっても構わない。また、図2では、切り欠き10がタンディッシュ1の長辺面側に設置されているが、切り欠き10の設置位置はタンディッシュ1の長辺面側に限る必要はなく、タンディッシュ1の短辺面側を向いた面に設置しても構わない。但し、切り欠き10がタンディッシュ1の短辺側を向いた面に設置される場合には、溶鋼流出口6に向かう短絡流が形成されて介在物の浮上が損なわれる虞があるので、切り欠き10はタンディッシュ1の長辺面側に設置することが好ましい。但し、切り欠き10の設置は、本発明を実施する上で必須条件ではなく、設置しなくても構わない。
ロングノズル3を介して溶鋼注入部位5に注入された溶鋼11は、溶鋼注入部位5に衝突した後、溶鋼注入流の落下エネルギーによってタンディッシュ1の底面に沿って四方を向いて流れるが、堰7の壁部8に衝突して上向き方向となり、更に、堰7の上端部の庇状部9によって溶鋼注入部位5を向いた流れになる。溶鋼注入部位5を向いた、四方から来る流れは、互いに衝突し合い、運動エネルギーを消費して減速し、最終的には上昇流を形成する。即ち、堰7によって、ロングノズル3を介して注入された高速の溶鋼流は減速されると同時に、堰7から溶鋼湯面に向かう上昇流を形成し、タンディッシュ内の溶鋼流が均一化される。即ち、堰7から溶鋼湯面に向かう上昇流によって介在物の浮上が促進されるとともに、タンディッシュ内での短絡流及び高速流が解消されて短絡流及び高速流に随伴して溶鋼流出口6から鋳型2に流出する介在物が減少する。つまり、タンディッシュ1における介在物の浮上分離が促進される。
但し、この堰7による作用・効果を得るためには、堰7の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速が、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼注入流の流速に対して所定の範囲内となるように、堰7の形状に応じて、溶鋼11をタンディッシュ1に注入する必要がある。
即ち、堰7を配置したタンディッシュ1において、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼注入流の流速に対する、堰7の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速の比率を種々変更させて鋼鋳片12の清浄化に及ぼす影響を調査した結果、溶鋼中の介在物を効率良く浮上させるためには、堰7の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速と、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼注入流の流速との比率を或る所定の範囲内に制御する必要のあることが分った。
ここで、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼11の注入流量をQ(トン/分)とし、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼流出孔の開口面積をS(m2)とし、溶鋼の密度をρ(トン/m3)とすると、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼注入流の流速はQ/(S×ρ)で表される。ロングノズル3を流下する溶鋼11は、ロングノズル3の上部に設けられるスライディングノズル(図示せず)で流量を制御されており、前記開口面積Sはこのスライディングノズルでの開口面積を用いるものとする。
堰7の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速をu(m/分)とし、堰7の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速(=u)と、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼11の注入流の流速(=Q/(S×ρ))との比(=u/[Q/(S×ρ)])が、鋼板での介在物起因の欠陥の発生密度に及ぼす影響を調査した結果を図4に示す。鋼板の介在物に起因する欠陥の発生密度(欠陥個数密度)は鋼板製品の介在物個数を超音波探傷測定により評価した。尚、堰7の上部開口部とは、四方を庇状部9で囲まれた範囲であり、また、図4は、切り欠き10を設置しないときの結果である。溶鋼上昇流の流速uは、溶鋼中に耐火物製の棒を浸漬させ、その棒に加わる圧力を歪ゲージで測定することにより求めた。
図4に示すように、u/[Q/(S×ρ)]が下記の(1)式を満たす場合に、鋼板における介在物起因の欠陥の発生が少なくなることが分った。尚、u/[Q/(S×ρ)]は介在物浮上分離の尺度と考えることができる。
u/[Q/(S×ρ)]≦0.3 …(1)
u/[Q/(S×ρ)]の値が0.3を超える場合は、堰7からの溶鋼上昇流速が速くなりすぎ、タンディッシュ内の溶鋼表面を擾乱させ、溶鋼湯面上のタンディッシュ内スラグの巻き込みが発生し、これにより清浄性が劣化する。また、u/[Q/(S×ρ)]の値が0.3以下であれば介在物の浮上分離は良好であるが、u/[Q/(S×ρ)]の値が極端に小さいと堰7からの溶鋼上昇流速が遅いために、介在物の浮上分離が不足する場合もあり、好ましくはu/[Q/(S×ρ)]の値を0.01以上とする。
また、図5は、u/[Q/(S×ρ)]の値を0.2の一定とした条件下で切り欠き10の開口幅を変化させ、鋼板での介在物起因の欠陥の発生密度に及ぼす切り欠き10の開口幅の影響を調査した結果を示す図である。図5に示すように、切り欠き10の開口幅が0.02m以下の場合に、介在物起因の欠陥発生が更に少なくなることが分った。これは、開口幅が0.02m以下の切り欠き10を設置することにより、堰7からの上昇流速を均一化することができ、介在物の浮上分離が促進されるからである。切り欠き10の開口幅が0.02mを超えると、堰7からの上昇流速が小さくなり、介在物の浮上分離効果が損なわれる。
ここで、堰7は、上方に溶鋼11が存在することを前提とした堰であり、従って、堰7の高さは、少なくとも、堰7を配置する位置でのタンディッシュ内の溶鋼深さ未満とすることが必要である。また、好ましくは、堰7の高さは、堰7を配置する位置でのタンディッシュ内の溶鋼深さの1/2以下とする。一方、堰7の高さが余りに低いと、堰7の効果が得られないので、堰7の高さは100mm以上確保することが好ましい。
また、実際の溶鋼注入部位5は「点」ではなく、或る程度の面積を持っており、このような溶鋼注入部位を四方から囲むと同時に、堰7で囲まれる空間の絶対量を確保するために、堰7の上部開口部のタンディッシュ長辺方向の長さを、少なくともロングノズル3の下端部内径と同等とし、好ましくはそれ以上とする。尚、図1では、面積を有する溶鋼注入部位の中心位置を、溶鋼注入部位5として表示している。
堰7の設置されたタンディッシュ1を用い、堰7の形状(堰7の上部開口部面積、堰7で囲まれる空間の体積など)に応じて、堰7の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速(=u)と、取鍋からタンディッシュ1への溶鋼11の注入流の流速(=Q/(S×ρ))とが上記の(1)式の範囲を満たすように、タンディッシュ1への溶鋼11の注入を制御しながら連続鋳造することで、ロングノズル3から注入された溶鋼中の介在物は、堰7によって上向き方向の流動を得て、タンディッシュ内の溶鋼湯面に浮上分離する。つまり、堰7によって溶鋼中の介在物の浮上分離が促進され、清浄な鋼鋳片12の製造が可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、庇状部9を有する堰7を用いて連続鋳造する際に、堰7によって形成される溶鋼上昇流の流速(=u)と、取鍋から堰7に注入される溶鋼注入流の流速(=Q/(S×ρ))との比を最適な範囲に制御するので、タンディッシュ1における介在物の浮上分離が促進され、鋳型2に注入される溶鋼11の清浄性が高まり、連続鋳造される鋼鋳片12の清浄度が向上して、介在物起因の製品欠陥を大幅に低減することが実現される。
転炉での溶銑の脱炭精錬及びその後のRH真空脱ガス装置での真空脱ガス精錬によって溶製した約250トンのアルミキルド極低炭素鋼を、図1に示す構成の容量70トンの2ストランド方式のタンディッシュを有するスラブ連続鋳造設備を用い、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入量を6.0〜13.0トン/分の範囲で変更して、鋼のスラブ鋳片に連続鋳造する試験を実施した。
本発明例では、堰からの溶鋼上昇流の流速及び取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入流の流速が(1)式を満たすように、堰の形状に応じて取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入した。比較例では、堰からの溶鋼上昇流の流速及び取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入流の流速が(1)式の範囲外となるように、堰の形状に応じて取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入した。
また、比較のために、堰を設置していない以外は本発明例と同一のタンディッシュを使用した鋳造試験も実施した(従来例)。表1に、堰からの溶鋼上昇流の流速u、タンディッシュへの溶鋼の注入流量Q、溶鋼流出孔の開口面積S、溶鋼密度ρ及びu/[Q/(S×ρ)]の値を示す。尚、表1には切り欠きの開口幅を併せて示すが、表1に示す切り欠きの開口幅は、二箇所に設置した切り欠きの開口幅の合計値である。
Figure 0005831138
鋳造後、超音波探傷測定により鋳片の介在物数を調査した。図6に、鋳片の介在物数の調査結果を示す。尚、図6は、堰を配置していないタンディッシュを使用した従来例での介在物測定値を基準(=1.0)として指数化して表示している。
図6に示すように、本発明を適用することで、スラブ鋳片の介在物数を大幅に削減できることが確認できた。つまり、本発明を適用することにより、タンディッシュにおける介在物の浮上効果を大幅に促進できることが確認できた。
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 ロングノズル
4 浸漬ノズル
5 溶鋼注入部位
6 溶鋼流出口
7 堰
8 壁部
9 庇状部
10 切り欠き
11 溶鋼
12 鋼鋳片

Claims (2)

  1. 脱酸された溶鋼を取鍋から一旦タンディッシュに注入し、次いでタンディッシュから鋳型に注入して鋼鋳片を連続鋳造するにあたり、
    取鍋からの溶鋼注入流がタンディッシュ底部に衝突する溶鋼注入部位と、タンディッシュから鋳型への溶鋼流出口との間に、前記溶鋼注入部位を四方向から囲んでタンディッシュの底部から上方に伸びる壁部と、該壁部の上端部位に前記溶鋼注入部位側を向いて水平方向に突出した庇状部と、を有する堰を配置したタンディッシュを用い、
    前記庇状部で四方を囲まれた領域を前記堰の上部開口部としたときに、前記堰の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速と、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入流量及び取鍋からタンディッシュへの溶鋼流出孔の開口面積とが、下記の(1)式の関係を満足するように、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を制御しながら鋼鋳片を連続鋳造することを特徴とする、連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
    u/[Q/(S×ρ)]≦0.3…(1)
    但し、(1)式において、uは、堰の上部開口部からの溶鋼上昇流の流速(m/分)、Qは、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入流量(トン/分)、Sは、取鍋からタンディッシュへの溶鋼流出孔の開口面積(m)、ρは、溶鋼の密度(トン/m)である。
  2. 前記堰は、前記壁部から前記庇状部に亘って連続した切り欠きを一箇所以上有し、該切り欠きの開口幅が0.02m以下であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法。
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