JP2012004239A - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性が高く長期使用に耐えると共に、効率低下を抑えて光電変換効率を高く維持することができる有機薄膜太陽電池を提供する。
【解決手段】ガスバリアフィルム基板と、少なくとも、正極、有機光電変換層、金属酸化物層、及び鉄よりも貴な金属を含む負極をこの順序で含む有機発電積層体と、第1のガスバリア層とを備えている。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂フィルムを基板として有する有機薄膜太陽電池に関し、詳しくは、基板としてのガスバリアフィルムとガスバリア層とで光電変換部が封止された有機薄膜太陽電池に関する。
近年、エネルギー問題を解決するための有力な手段として、太陽光を電気に変換する太陽光発電が注目されている。太陽光発電を行なう発電モジュールは、一般に、太陽光が入射する側の基板であるガラスの上に光電変換を行なう部位を配し、これをガスバリア性の材料で封止することにより保護する構造を有している。
太陽電池は、各種構造のものが開発されるに至っており、最近では、低コスト、軽量、フレキシブル化が期待される有機薄膜太陽電池が注目されている。有機薄膜太陽電池の構成としては、2つの異種電極間に、光電変換機能を持った単層もしくは複数層の有機薄膜を配置してなるものが一般的である。この有機薄膜太陽電池は、プラスチック製フィルムを基板とすることで、軽量フレキシブル化が可能であるという利点を有している。
上記のような期待に応えるため、太陽電池の基板として、樹脂材料であるプラスチック製フィルムを用いる検討がなされている。
その一方、一般に、有機光電子デバイスは、無機光電子デバイスに比べて耐久性が低いとされている。特に、大気中から侵入する酸素や水蒸気といった腐食性のガスによる劣化を受けやすいという問題がある。このような状況下、従来から用いられているガラス基板に代替して樹脂材料を用いた場合、プラスチック製フィルムは、水蒸気や酸素等の透過がガラス基板ほど抑えられないため、電極の腐食など経時劣化が大きく、太陽電池の耐久性は著しく低下してしまう。そのため、これまで基板として樹脂材料が期待されながら実装することが不可能であったというのが実情である。
有機薄膜太陽電池は従来、発電効率が良いとの理由から、負極としてアルミニウムのような仕事関数の小さい金属が用いられてきた。ところが、仕事関数の小さい金属は、一般にイオン化傾向が大きいため、大気中の酸素や水蒸気によって腐食しやすく、耐久性に劣る。
負極の劣化防止の観点では、以下のような技術が提案されている。正極とアルミニウムからなる負極との間に有機光電変換層を配した電池構造に構成する場合に、有機光電変換層とアルミニウム極との間に酸化チタン層を設けた構造にすることで、負極の劣化を抑え、変換効率が向上することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、このような負極の劣化を抑制する他の方法として、従来より有機光電子デバイスをガスバリア層の間に挟んで封止する技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、アルミニウムよりもイオン化傾向が小さく腐食しにくい金属(例えば銀、銅)を用いると、耐久性を向上させることができる。
米国特許第6,664,137号明細書
Advanced Materials; Volume 19 Issue 18, Air-Stable Polymer Electronic Devices (p 2445-2449), K. Lee, J. Y. Kim, S. H. Park, S. H. Kim, S. Cho, A. J. Heeger.
しかしながら、このようなイオン化傾向の小さい金属では、仕事関数が大きくなるので、開放電圧が低下し、変換効率が低下する等の課題がある。すなわち、耐久性向上の点でアルミニウムより銀や銅などのイオン化傾向の小さい金属は有利である一方、光電変換効率の点で著しく不利になる。したがって、従来、負極の腐食を抑え耐久性を高めると同時に変換効率をも高く保つといった相反関係にある技術の両立は困難とされていた。
また、上記の非特許文献1のように、正極とアルミニウムからなる負極との間に有機光電変換層を配した電池構造に構成する場合に、有機光電変換層とアルミニウム極との間に酸化チタン層を設けた構造にすることで、負極の劣化を抑えることができるが、それでも耐久性が充分とはいえない。
さらに、上記特許文献1に記載の技術のように、ガスバリア材料を用いて封止する方法のみでは、耐久性が不充分である。
そのため、腐食しにくい金属を負極として用いようとすると、変換効率が低下する結果を来たし、またアルミニウムと有機光電変換層との間に酸化チタン等の無機酸化物層を設けた構造にしても耐久性が充分とはいえず、変換効率を低下させずに、耐久性を向上させる技術としては未だ確立されるに至っていないのが現状である。
前述の通り、実用上許容可能とされる性能まで考慮すると、基板としてプラスチック製フィルムを備えた有機薄膜太陽電池では、種々の工夫によっても耐久性が充分とはいえず、従来の技術のみでは、長期の使用に耐えないという欠点がある。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、耐久性が高く長期使用に耐えると共に、効率低下を抑えて光電変換効率を高く維持することができる有機薄膜太陽電池を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
上記課題のもとに本発明者が鋭意検討を行なった結果、有機薄膜太陽電池を構成する基板をガスバリアフィルム基板とし、該ガスバリアフィルム基板から離れた側の電極の外側にもガスバリア層を設けるだけでなく、負極と有機光電変換層との間に金属酸化物層を配設した構造にすると共に負極を鉄よりも貴な(イオン化傾向の小さい)金属を用いて構成することで、単に負極としてイオン化傾向の小さな金属を用いた場合に生じる変換効率の低下を抑えることができ、有機薄膜太陽電池の変換効率の低下防止と寿命向上とに向上効果がみられるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
具体的には、以下の手段により前記課題を解決し得るものである。
<1> ガスバリアフィルム基板と、少なくとも、正極、有機光電変換層、金属酸化物層、及び鉄よりも貴な金属を含む負極をこの順序で含む有機発電積層体と、第1のガスバリア層と、を備えた有機薄膜太陽電池である。
<2> 前記金属酸化物層の伝導帯のエネルギー準位が−4.5eVよりも高い前記<1>に記載の有機薄膜太陽電池である。
<3> 前記負極が、水素よりもイオン化傾向が小さい金属又は合金を含む前記<1>又は前記<2>に記載の有機薄膜太陽電池である。
<4> 前記負極が、銅、銀、及びこれらを含む合金の少なくとも一種を含む前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池である。
<5> 前記金属酸化物層の金属酸化物が、酸化チタン及び酸化亜鉛の少なくとも一方を含む前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池である。
<6> 前記ガスバリアフィルム基板は、樹脂フィルムと第2のガスバリア層とを含み、前記第2のガスバリア層が、前記樹脂フィルムに接して設けられた有機ポリマー層と該有機ポリマー層上に設けられた無機層とを含む前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池である。
<7> 前記第1のガスバリア層の前記有機発電積層体が配されていない側に樹脂フィルムを更に備えており、前記第1のガスバリア層は、前記樹脂フィルムに接して設けられた有機ポリマー層と該有機ポリマー層上に設けられた無機層とを含む前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池である。
<8> 前記第1のガスバリア層及び前記第2のガスバリア層の少なくとも一方は、少なくとも2層の有機ポリマー層と少なくとも2層の無機層とが、前記樹脂フィルムの表面に有機ポリマー層が接触するように交互に積層されている前記<6>又は前記<7>に記載の有機薄膜太陽電池である。

<9> 前記正極と前記有機光電変換層との間に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸〔PEDOT−PSS;=Polystyrenesulfonate doped PEDOT(poly(3, 4-ethylenedioxythiophene))〕を含む正孔捕集層を更に有する前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池である。
<10> 前記正極と前記有機光電変換層との間に、酸化モリブデン及び酸化バナジウムの少なくとも一方を含む正孔捕集層を更に有する前記<1>〜前記<9>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池である。
本発明によれば、耐久性が高く長期使用に耐えると共に、効率低下を抑えて光電変換効率を高く維持することができる有機薄膜太陽電池を提供することができる。更に、太陽電池として、フレキシブルな有機薄膜太陽電池の提供が可能になる。
本発明の第1の態様に係る有機薄膜太陽電池の構成例を示す図である。 本発明の第2の態様に係る有機薄膜太陽電池の構成例を示す図である。 本発明の第3の態様に係る有機薄膜太陽電池の構成例を示す図である。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池について詳細に説明する。
尚、本願明細書において、「〜」はその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含むことを意味するものとし、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む意味である。
本発明の有機薄膜太陽電池は、ガスバリアフィルム基板と、少なくとも、正極、有機光電変換層、金属酸化物層、及び鉄よりも貴な金属を含む負極をこの順序で含む有機発電積層体と、ガスバリア層とを設けて構成されており、有機発電積層体がガスバリアフィルム基板とガスバリア層とによって外気から遮断されるようになっている。
従来より、電池内部をガスバリアフィルム基板とガスバリア層を設けて封止する技術が知られているが、これのみでは大気中から侵入する酸素や水蒸気の影響で腐食等による耐久性低下に対する抑制効果が足りない。そのため、従来汎用のアルミニウムを、より難腐食性の銀などの鉄より貴な金属(イオン化傾向が小さい金属)に代替することで耐久性を向上させ得る一方、このような金属では光電変換効率は低下してしまう。このような状況下、本発明においては、ガスバリアフィルム基板とガスバリア層とを設けて内部を封止することに加え、鉄よりも貴な(イオン化傾向の小さい)金属を負極に用い且つこの負極と有機光電変換層との間に金属酸化物層を配設した構造とすることにより、素子の解放電圧を低下させず、すなわち光電変換効率の低下を防ぎながら、耐久性を効果的に高めることが可能になる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、典型的には基本構造として、樹脂フィルム/第2のガスバリア層/正極/有機層/金属酸化物層/負極/第1のガスバリア層の構成、又は樹脂フィルム/第2のガスバリア層/負極/金属酸化物層/有機層/正極/第1のガスバリア層の構成を有している。また、本発明の有機薄膜太陽電池は、ガスバリアフィルム基板を2枚用いた構成、すなわち例えば樹脂フィルム/第2のガスバリア層/正極/有機層/金属酸化物層/負極/保護層/接着剤層/第1のガスバリア層/樹脂フィルムの構成であってもよい。この場合、有機発電積層体を接着剤から保護するために保護層を設けてもよい。また更に、前記構成に加えて、別の基板や任意の機能層を有してもよい。
本発明の有機薄膜太陽電池は、例えば、ITO等の光透過性(特に太陽光の吸収が低い透明性)の導電層を備えたガスバリアフィルム基板の導電層を正極とし、その上に有機層、金属酸化物層、負極及びガスバリア層を順次設置することによって製造されたものであってもよい。また、導電層を備えたガスバリアフィルム基板の導電層を正極とし、その上に有機層、金属酸化物層、負極を設置して光電変換素子を形成し、これにガスバリアフィルム基板を接着層を介して貼り合わせて製造されたものでもよい。ここで、接着剤層に用いる接着剤としては、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等を用いることができる。接着剤の硬化条件等については、接着剤の種類等に応じて適宜定めることができ、例えば「接着剤データブック第2版、日本接着学会編、日刊工業新聞社」の記載を参照することができる。
本発明の有機薄膜太陽電池の構成例を図1〜図3に示す。但し、本発明の有機薄膜太陽電池は、これらに示される構成に限定されるものでない。
本発明の有機薄膜太陽電池の第1の態様は、図1に示されるように、基材1aにガスバリア層1bが設けられたガスバリアフィルム基板1の上に、積層構造の有機発電積層体2が設けられ、この発電積層体を覆うようにガスバリア層5が設けられて構成されている。
本発明の有機薄膜太陽電池の第2の態様は、図2に示されるように、基材1aにガスバリア層1bが設けられたガスバリアフィルム基板1の上に、有機発電積層体2が設けられ、この発電積層体を覆うように設けられた保護層3の表面にガスバリア層5が設けられて構成されている。
本発明の有機薄膜太陽電池の第3の態様は、図3に示されるように、基材1aにガスバリア層1bが設けられたガスバリアフィルム基板1の上に、有機発電積層体2が設けられ、該有機の発電積層体を覆うように設けられた保護層3の表面に、ガスバリアフィルム基板10が接着剤層4を介して設けられて構成されている。このガスバリアフィルム基板10は、基材10aにガスバリア層10bが設けられてなり、ガスバリア層10bの表面で接着剤層4と接着されている。
(ガスバリアフィルム基板)
本発明の有機薄膜太陽電池は、支持基材として、酸素や水蒸気等の透過を遮断するガス遮断性を有するガスバリアフィルム基板を備えている。ガスバリアフィルム基板は、フィルムによっては樹脂フィルムのみで構成されてもよいが、好ましくは、樹脂フィルム上に少なくとも1層のガスバリア層を設けて構成される。ガスバリア層は、少なくとも1層の有機ポリマー層と少なくとも1層の無機層とを設けて構成された態様が好ましい。
−樹脂フィルム−
本発明の有機薄膜太陽電池に用いられる樹脂フィルムは、有機ポリマー層、無機層等を保持できる樹脂フィルムであれば、材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。具体的には、樹脂フィルムとしては、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂を用いて成形されたフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムは、耐熱性を有する素材を用いて形成されていることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上及び/又は線熱膨張係数が40ppm/℃以下で耐熱性の高い透明な素材を用いて形成されることが好ましい。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような素材としては、熱可塑性樹脂の例として、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製の ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC(例えば特開2001−150584号公報に記載の化合物):162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC(例えば特開2000−227603号公報の化合物):225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC(例えば特開2000−227603号公報の化合物):205℃)、アクリロイル化合物(例えば特開2002−80616号公報に記載の化合物:300℃以上)、ポリイミド、等が挙げられる〔なお、括弧内の温度はTgを示す〕。
上記のうち、特に透明性を求める観点からは、脂環式ポレオレフィン等を用いるのが好ましい。
本発明の有機薄膜太陽電池に用いられる樹脂フィルムは、通常は透明性を有していることが求められ、光線透過率としては通常80%以上であり、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、光線透過率は、JIS−K7105に記載の方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出される値である。
樹脂フィルムの厚みに関しては、特に制限はないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。この樹脂フィルムは、ガスバリア性を持つ積層体からなるガスバリア層を有する態様が好ましい。本発明に好適なガスバリア性を持つ積層体については後述する。また、樹脂フィルムは、導電層やプライマー層等の機能層を有していてもよい。
また、本発明の有機薄膜太陽電池は、前記樹脂フィルムを用いたガスバリアフィルム基板を備えるが、該ガスバリアフィルム基板が設けられた側と反対側(特にその最表面)に樹脂フィルムを設ける場合も、上記と同様の樹脂フィルムが好適に用いられる。
−ガスバリア層−
ガスバリア層は、有機薄膜太陽電池に悪影響を及ぼす大気中の酸素や水蒸気の透過を防ぐための層である(以下、この層を「第2のガスバリア層」ともいう。)。
ガスバリア層の種類については、特に制限はなく、各種の有機層や無機層を用いて構成することができるが、例えば、少なくとも1層の有機層(以下、「有機ポリマー層」ともいう。)と、少なくとも1層の無機層とを有するガスバリア層とを設けた形態が挙げられる。ガスバリア層は、水蒸気透過率の値として0.001g/m/day以下であることが好ましい。このようなガスバリア能は、具体的には、少なくとも2層の有機ポリマー層と少なくとも2層の無機層とが、有機層/無機層/有機層・・・のように交互に積層された構造が形成されることによって達成することができる。中でも好ましくは、既述の樹脂フィルムの表面に接触する有機ポリマー層と、この有機ポリマー層の上に設けられた無機層とを有する態様で形成されたガスバリア層である。更には、既述の樹脂フィルムの表面に有機ポリマー層が接触するように、少なくとも2層の有機ポリマー層と、少なくとも2層の無機層と、が有機層/無機層/有機層・・・のように交互に積層されたガスバリア層が好ましい。
(1)有機ポリマー層
本発明における有機ポリマー層は、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他有機珪素化合物(例えば、有機シランガスを原料としてCVD法で作製される炭化珪素や酸化炭化珪素等)を用いた層である。有機ポリマー層は、一種単独の材料からなっていてもよいし、混合物からなるものでもよい。また、2層以上の有機ポリマー層が積層されたものでもよい。この場合、各層が同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、米国公開特許第2004−46497号明細書に記載されるように、有機ポリマー層は、無機層との界面が明確でなく、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
有機ポリマー層は、(メタ)アクリレート重合体を用いた層であることが好ましい。(メタ)アクリレート重合体は、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする重合性組成物を重合して得られる重合体のことである。
前記「(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする重合性組成物」は、(メタ)アクリレートモノマーを1種類含むものでもよいし、数種の(メタ)アクリレートモノマーの混合物を含むものであってもよい。(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、200〜2000であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。
以下、(メタ)アクリレートモノマーの具体例を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
[酸性モノマー]
本発明における前記重合性組成物には、酸性モノマーが含まれていてもよい。酸性モノマーを含めることにより、層間密着性が向上する。酸性モノマーとは、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸等の酸性基を有するモノマーをいう。
本発明で用いられる酸性モノマーは、層間密着性の点で、カルボン酸基又はリン酸基を含有するモノマーが好ましく、カルボン酸基又はリン酸基を含有する(メタ)アクリレートがより好ましく、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
以下、本発明において好適な酸性モノマーの具体例を示す。但し、本発明においては、これら制限されるものではない。
[その他の重合性成分・ポリマー]
前記(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする重合性組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、(メタ)アクリレート以外のモノマー(例えば、スチレン誘導体、無水マレイン酸誘導体、エポキシ化合物、オキセタン誘導体など)や、各種のポリマー(例えば、ポリエステル、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル等)を含んでもよい。
[重合開始剤]
本発明における「(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする重合性組成物」は、重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。
光重合開始剤の例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT)、同じくオリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
有機ポリマー層の厚みは、特に制限されるものではないが、通常は1層につき、100〜5000nmであり、好ましくは200〜2000nmである。また、有機ポリマー層を2層以上有する場合、それぞれの有機ポリマー層は同一の層であっても、異なる層であってもよい。
〜有機ポリマー層の形成方法〜
有機ポリマー層の形成方法については、特に制限はないが、例えば、溶液塗布法や真空成膜法により形成することができる。溶液塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。
本発明においては、ポリマーを溶液塗布してもよいし、特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報に記載されているような、無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。
本発明では、通常、重合性化合物を含む組成物を光照射して硬化させるが、照射する光としては、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは、0.1J/cm以上が好ましく、0.5J/cm以上がより好ましい。
重合性化合物として(メタ)アクリレート系化合物を用いる場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行なうのが特に好ましい。
(2)無機層
本発明における無機層は、無機物で構成され、ガスバリア性を有する層であれば特に制限はない。無機物としては、一般に、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、亜鉛、スズの酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、水素化物等が挙げられる。これらは、純物質でもよいし、複数組成からなる混合物や傾斜材料層でもよい。これらのうち、アルミニウムの酸化物、窒化物もしくは酸窒化物、又は珪素の酸化物、窒化物もしくは酸窒化物が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が特に好ましい。
無機層の形成方法としては、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも適用することができる。例えば、ゾル−ゲル法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などが適しており、具体的には、特許第3400324号、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報に記載の方法を適用することができる。特に、珪素の化合物を成膜する場合、誘導結合プラズマCVD、電子サイクロトロン共鳴条件に設定したマイクロ波と磁場を印加したプラズマを用いたPVD又はCVDのいずれかの形成方法を採用することが好ましく、誘導結合プラズマCVDによる形成方法を採用することが最も好ましい。誘導結合プラズマCVDや電子サイクロトロン共鳴条件に設定したマイクロ波と磁場を印加したプラズマとを用いたCVD(ECR−CVD)は、例えば、化学工学会、CVDハンドブック、p.284(1991)に記載の方法にて実施することができる。また、電子サイクロトロン共鳴条件に設定したマイクロ波と磁場を印加したプラズマとを用いたPVD(ECR−PVD)は、例えば、小野他、Jpn.J.Appl.Phys.23、No.8、L534(1984)に記載の方法にて実施することができる。前記CVDを用いる場合の原料としては、珪素供給源としてシラン等のガスソースや、ヘキサメチルジシラザン等の液体ソースを用いることができる。
無機層の平滑性としては、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。このため、無機層の成膜はクリーンルーム内で行なわれることが好ましい。クリーン度は、クラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
なお、Ra値は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)のDFMモードに基づいて測定される値である。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層につき、通常は5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層は、複数のサブレイヤーからなる積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述した通り、米国公開特許第2004−46497号明細書に記載されているように、無機層は、有機ポリマー層との界面が明確でなく、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
〜有機ポリマー層と無機層の積層〜
有機ポリマー層と無機層との積層は、所望の層構成に応じて、有機ポリマー層と無機層を互いに接するように順次繰り返し製膜することにより行なうことができる。無機層を、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの真空製膜法で形成する場合、有機ポリマー層も前記フラッシュ蒸着法のような真空製膜法で形成することが好ましい。ガスバリア層を製膜する間、途中で大気圧に戻すことなく、常に1000Pa以下の真空中で有機ポリマー層と無機層を積層することが特に好ましい。圧力は、100Pa以下であることがより好ましく、50Pa以下であることが更に好ましく、20Pa以下であることが特に好ましい。
特に、本発明は、少なくとも2層の有機ポリマー層と、少なくとも2層の無機層とを交互に積層した層構成を有する態様が好ましく、この場合の交互積層構造は、樹脂フィルム側から有機ポリマー層/無機層/有機ポリマー層/無機層の順に積層していても、無機層/有機ポリマー層/無機層/有機ポリマー層の順に積層していてもよい。この中でも、太陽電池として発電させたときの発電効率がより向上させ得る観点から、樹脂フィルム側から有機ポリマー層/無機層/有機ポリマー層/無機層・・・の順に、少なくとも2層の有機ポリマー層と少なくとも2層の無機層とが交互に積層された態様が最も好ましい。
(有機発電積層体)
本発明の有機薄膜太陽電池は、有機発電積層体を設けて構成されている。
この有機発電積層体は、少なくとも一対の電極と、対をなす電極間に設けられた有機光電変換層及び金属酸化物層とを備えている。具体的には、対をなす電極の一方は正極をなし、また他方は負極をなしており、正極と負極の間には、1層又は2層以上の有機光電変換層と、1層又は2層以上の金属酸化物層とが設けられている。
有機発電積層体を構成する一対の電極は、太陽電池という性質上、少なくとも一方の電極が透明性を有していることが好ましい。ここで、透明性を有するとは、太陽光に曝されたときに発電が行なえる程度に太陽光が電池内部に透過する性質をいい、太陽光の透過量が大きいことが好ましく、後述するように好ましくは透過率が60%以上の場合である。
電極間に設けられる有機光電変換層は、光を吸収して電子と正孔を発生させる機能を有する。最も単純な発電積層体は、正極/有機光電変換層/金属酸化物層/負極の構成であり、有機光電変換層は、正孔輸送材料と電子輸送材料の混合層である。この構成では、正孔輸送材料と電子輸送材料は相分離していることが好ましい。また、発電積層体としては、正極/正孔輸送層/電子輸送層/金属酸化物層/負極の構成や、正極/正孔輸送層/混合層/電子輸送層/金属酸化物層/負極の構成も例示される。混合層は、正孔輸送材料と電子輸送材料の混合層であって、相分離していることが好ましい。
正極と正孔輸送層との間、又は負極と電子輸送層との間(詳細には負極と金属酸化物層との間)には、電荷ブロック層や電荷注入層等の補助層を有していてもよい。各層は複数の二次層に分かれていてもよい。また、本発明の有機薄膜太陽電池は、正孔輸送層と電子輸送層の組を複数組有する、いわゆるタンデム型構成を採ってもよい。タンデム型に構成された素子は、開放電圧が高く変換効率が高い点で特に好ましい。その際、中間層として再結合層が配される。すなわちタンデム型の素子の典型例として、正極/正孔輸送層/電子輸送層/再結合層/正孔輸送層/電子輸送層/金属酸化物層/負極の構成が例示される。
本発明では、上記の層以外に、必要に応じて他の層を設けてもよい。
他の層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
以下、有機光電変換層を構成する正極、負極、有機光電変換層(正孔輸送層、電子輸送層等の有機層)、及びそれ以外の他の層について説明する。
(1)正極
正極は、正孔を受容する電極としての機能を有していればよく、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
正極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。正極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらと導電性金属酸化物との積層物などが挙げられる。
正極に透明性が要求される場合、正極としては、導電性の金属酸化物が好ましい。特に、生産性、高導電性、透明性等の点からは、ITO、ATO、FTO、IZO、及びこれらの複合体を用いて形成されるのが好ましい。
正極は、有機光電変換層側に正孔捕集層を有していることが好ましい。正孔捕集層の具体例としては、PEDOT−PSS、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウムが好適に挙げられ、正孔の移動度、価電子帯のエネルギー準位の点で、PEDOT−PSSや、酸化モリブデン、酸化バナジウムが好ましい。
また、正孔捕集層の価電子体のエネルギー準位は、正極の仕事関数よりも大きく、光電変換層の正孔輸送材料の価電子帯の準位より小さいことが好ましい。正極として正孔捕集電極層まで含めた場合、後述の負極と比較して正極の方が仕事関数が大きいことが好ましく、具体的には、正極となる材料の主成分の仕事関数が4.6eVより大きいことが好ましい。
正極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、正極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法にしたがって、前記ガスバリアフィルム基板上に形成することができる。
本発明の有機薄膜太陽電池において、正極の形成位置としては特に制限はなく、太陽電池の用途に応じて適宜選択することができる。この場合、正極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、パターニングにより一部に形成されていてもよい。なお、正極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行なってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行なってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等を行なってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行なってもよい。
正極の厚みとしては、正極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常は10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
正極の抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、20Ω/□以下がより好ましい。正極が透明性を有している場合、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明性の正極側から光を取りこむためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明性の正極については、「透明電極膜の新展開」(沢田豊監修、シーエムシー刊、1999)に詳述があり、ここに記載される事項も本発明に適用することができる。
(2)負極
負極は、大別すると、金属の場合と、仕事関数調整機能としての酸化物と金属とを組み合わせた場合とがある。本発明における負極は、金属が腐食による劣化を受け難いように、鉄よりも貴な金属を含む。「鉄よりも貴な金属」とは、金属とその水和イオンとの間の酸化還元電位が鉄よりも大きい金属のことであり、具体的には、標準酸化還元電位が標準水素電極に対して−0.5Vよりも大きい金属である。標準酸化還元電位は、耐腐食性の観点から、0Vより大きいことが好ましく、0.5Vより大きいことがより好ましい。
なお、標準酸化還元電位は、標準水素電極を陰極反応、電極電位を求めたい酸化還元反応を陽極反応にそれぞれ使い、電池を組み立てたときの電池の起電力(電極電位を求めたい酸化還元反応に関与する物質の活量(あるいは分圧)が全て1の場合)により求められる。
耐腐食性の観点で好ましい金属の例としては、インジウム、コバルト、ニッケル、スズ、銅、銀、金が挙げられる。一方、負極は、有機層もしくは金属酸化物層から電子を受容する機能が求められるため、仕事関数が小さいことが好ましい。この意味において、本発明における負極に用いる金属又は合金の例としては、銀(仕事関数:4.31eV)、銅(仕事関数:4.65eV)、インジウム(仕事関数:4.12eV)、又はこれらを含む合金がより好ましく、特に銀、銅、又はこれらを含む合金が好ましい。また、銀とインジウムとの合金も、同様に特に好ましい例として挙げることができる。
仕事関数調整機能としての酸化物と金属とを組み合わせたものを負極として用いてもよい。この場合、例えば、酸化亜鉛や酸化チタン、ホウ素やアルミニウムをドープして導電性を向上させた酸化亜鉛等の導電性酸化物と、鉄よりも貴な金属とを組み合わせた負極が挙げられる。
負極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行なうことができる。負極の形成は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、負極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法にしたがって行なうことができる。例えば、負極の材料として用いる金属等の1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等することにより形成することができる。負極を形成するに際してのパターニングは、正極と同様の方法が適用可能である。
本発明において、負極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。また、負極と有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層とみることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。負極の厚みは、負極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
(3)有機光電変換層
有機光電変換層は、正孔輸送材料と電子輸送材料とを有する混合層であり、いわゆるバルクヘテロ層と呼ばれる層である。有機光電変換層は、(正極)正孔輸送層/電子輸送層(負極)の構造、あるいは(正極)正孔輸送層/混合有機層/電子輸送層(負極)の構造に構成されてもよい。ここで、混合有機層は、前記混合層と同様であり、詳細は後述する。
正極と正孔輸送層との間、又は負極と電子輸送層との間に、電荷ブロック層や電荷注入層、励起子拡散防止層等の補助層を有していてもよい。各層は、複数の二次層に分かれていてもよい。また、本発明の有機薄膜太陽電池は、正孔輸送層と電子輸送層との組を複数組有する、いわゆるタンデム型構成を採ってもよい。タンデム型素子は、通常は直列接続型であって、開放電圧が高く変換効率が高い点で特に好ましい。その際、中間層として再結合層が配される。すなわちタンデム型素子の典型として、正極/混合有機層/再結合層/混合有機層/負極である構成や、正極/正孔輸送層/電子輸送層/再結合層/正孔輸送層/電子輸送層/負極である構成を例示することができる。また、並列接続のタンデム素子も可能である。
本発明における有機光電変換層には、必要に応じて、他の層を設けてもよい。
なお、本明細書中において、混合有機層、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層や電荷注入層、励起子拡散防止層など、有機化合物を用いる層を総じて「有機光電変換層」と称する。
各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
(4)正孔輸送層
正孔輸送層は、正極又は正極側へ正孔を受け取り輸送する機能を有する層である。
正孔輸送層は、単層であっても複数層の積層であってもよい。正孔輸送層の少なくとも一層は、光を吸収して電子と正孔を発生する電荷発生能を有していることが好ましい。正孔輸送層は、1種又は2種以上の正孔輸送材料を用いて形成することができる。
前記正孔輸送材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、Chem. Rev. 2007, 107, 953-1010にHole Transport materialとして記載されている化合物群が挙げられ、具体例としては下記が挙げられる。
電荷発生能を有する正孔輸送層の材料としては、例えば、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などが挙げられ、これらの例として、Chem. Rev. 1993, 93, 449-406に記載のものが挙げられる。
正孔輸送層の形成方法としては、溶剤塗布法、真空蒸着法などが挙げられる。溶剤塗布法としては、例えば、スピンコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート等を挙げることができる。
正孔輸送層の厚みとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、2nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのがさらに好ましい。正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(5)電子輸送層
電子輸送層は、負極又は負極側へ電子を輸送する機能を有する層である。
電子輸送層は、単層であっても複数層の積層であってもよい。電子輸送層の少なくとも一層は、光を吸収して電荷を発生する電荷発生能を有していることが好ましい。電子輸送層は、1種又は2種以上の電子輸送材料を用いて形成することができる。
前記電子輸送材料は、例えば、フラーレン誘導体、パラフェニレンビニレン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びこれらから誘導されるイミド類やヘテロ環類、8−キノリノール誘導体の金属錯体、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等が挙げられる。
電荷発生能を有する電子輸送層の材料としては、フラーレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ペリレンテトラカルボン酸無水物から誘導されるイミド類やヘテロ環類、が挙げられる。それらの例としては、Chem. Rev. 2007, 107, 953-1010にElectron Transport Materialsとして記載されているものが挙げられ、具体例としては下記が挙げられる。
さらに、フェナントロリン誘導体の具体例については、特表2008−522413号公報に記載されている。
電子輸送層の形成方法としては、溶剤塗布法、真空蒸着法などが挙げられる。溶剤塗布法の具体例については、既に述べた通りである。
電子輸送層の厚みとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、2nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのがさらに好ましい。電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(6)混合有機層
正孔輸送層と電子輸送層の中間に、正孔輸送材料と電子輸送材料との両方を含む混合有機層を配することができ、この態様は有機薄膜太陽電池の変換効率をより向上させる点で好ましい。混合比は変換効率が高くなるように調整されるが、通常は質量比(正孔輸送材料:電子輸送材料)で20:80〜80:20の範囲から選ばれる。
正孔輸送材料及び電子輸送材料の詳細については、既述の通りである。
このような混合有機層の形成方法は、例えば、真空蒸着による共蒸着法を適用することができる。あるいは、両方の有機材料が溶解する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。溶剤塗布法の具体例については、既に述べた通りである。
(7)再結合層
上記したようなタンデム型の素子の場合、複数の個々の光電変換層を直列に接続するために、再結合層が設けられる。再結合層としては、導電材料の薄層を用いることができる。導電材料としては金属が好適であり、好ましい金属として、金、銀、アルミニウム、白金、酸化ルテニウム等が挙げられる。これらのうち、銀が好ましい。
再結合層の膜厚は、通常は0.01〜5nmであり、0.1〜1nmが好ましく、0.2〜0.6nmが特に好ましい。再結合層の形成方法については、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成することができる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、有機層の結晶化や有機混合層の相分離促進を目的として、種々の方法でアニールを行なってもよい。アニール方法としては、蒸着中の基板温度を50℃〜150℃に加熱する方法や、塗布後の乾燥温度を50℃〜150℃とする方法などが挙げられる。また、電極形成が終了した後に50℃〜150℃に加熱ことによりアニール処理してもよい。
(8)金属酸化物層
本発明の有機薄膜太陽電池は、有機発電積層体の構成層として、有機光電変換層と負極との間に金属酸化物層が配置されている。
本発明における金属酸化物層は、有機光電変換層と負極の間に位置して有機光電変換層で発生した電子を負極に渡す機能を有している。ここで、有機光電変換層中の電子輸送材料のLUMOよりも金属酸化物の伝導帯のエネルギー準位の方が低く、さらに金属酸化物の伝導帯よりも負極のエネルギー準位が低いことが好ましい。金属酸化物としては、従来公知の金属酸化物を用いることが可能であるが、光電変換させたときの変換効率に優れる点で、伝導帯のエネルギー準位が−4.5eVよりも高い金属酸化物が好ましく、更には、酸化チタン(伝導帯準位:-4.2eV)、酸化亜鉛(伝導帯準位:-4.1eV)がより好ましい。
本発明においては、この金属酸化物層が有機光電変換層と負極との間に配置されていることにより、セルのVocの低下を防ぐことができた結果、光電変換効率の低下を防ぎながらも、負極にアルミニウム以外の腐食しにくい金属を使用でき、より貴な金属を用いることが可能になる。
なお、伝導帯のエネルギー準位の測定方法は、紫外線光電子分光装置(UPS)を用いて半導体の価電子帯(VB)を求め、別途、拡散反射紫外可視吸収スペクトルの吸収端からバンドギャップ(Eg)を求めることで、その差から伝導帯(CB)のエネルギー準位を算出することができる。
(9)保護層
本発明における有機発電積層体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、MgO、SiO、SiO、Al、Y、TiO等の金属酸化物、SiN等の金属窒化物、SiN等の金属窒化酸化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシリレン等のポリマー等が挙げられる。これらのうち、金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物が好ましく、珪素、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物が特に好ましい。保護層は単層でも多層構成であってもよい。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、真空紫外CVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。本発明においては、保護層が導電性層として使用されてもよい。
(ガスバリア層)
本発明の有機薄膜太陽電池は、ガス遮断機能を与えるためのバリア層として、ガスバリア層(本明細書中において、第1のガスバリア層ともいう。)を備えている。このガスバリア層は、既述のガスバリアフィルム基板を構成する第2のガスバリア層と同様に構成することができる。具体的には、少なくとも1層の有機ポリマー層と、少なくとも1層の無機層とを設けることにより、第1のガスバリア層を好適に形成することができる。
中でも好ましくは、既述のガスバリアフィルム基板における第2のガスバリア層と同様、少なくとも2層の有機ポリマー層と少なくとも2層の無機層とが無機層/有機層/無機層・・・のように交互に積層された積層構造を有するガスバリア層である。
(機能層)
本発明の有機薄膜太陽電池は、上記の各層以外に、ガスバリアフィルム基板/有機発電積層体/ガスバリア層を含む積層構造上あるいはその他の位置に、各種の機能層を有していてもよい。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号[0036]〜[0038]に詳しく記載されている。また、機能層の例として、マット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等を挙げることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池の厚さは、50μm〜1mmであることが好ましく、100μm〜500μmであることがより好ましい。
本発明の有機薄膜太陽電池の作製は、「太陽光発電、最新の技術とシステム」(濱川圭弘著、株式会社シーエムシー)等の記載を参照して行なうことができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。従って、本発明は、以下に示す具体例に限定されるものではない。
<ガスバリアフィルム基板の作製>
−ガスバリアフィルム基板(G−1)の作製−
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポン社製、テオネックスQ65FA、厚さ100μm)上に、下記の3種の重合性化合物を合計量で14質量部と、重合開始剤(IRGACURE、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)907、1質量部と、2−ブタノン185質量部とからなる組成物をワイヤーバーにて塗布し、窒素100ppm雰囲気下、紫外線照射量0.5J/cmで照射して硬化させ、有機ポリマー層を形成した。形成された有機ポリマー層の厚みは、400nmであった。
<重合性化合物の組成>
・化合物A:EB−3702(ダイセルサイテック(株)製) ・・・60質量%
・化合物B:EB−150(ダイセルサイテック(株)製) ・・・35質量%
・化合物C:KAYARAD PM−21(日本化薬(株)製;下記化合物)
・・・5質量%
次に、この有機ポリマー層の表面に、膜厚35nmとなるように、Alを真空スパッタ(反応性スパッタリング)により成膜することによりAl膜(無機層)を形成した。
以上のようにして、ガスバリアフィルム基板(G−1)を作製した。
−ガスバリアフィルム基板(G−2)の作製−
ガスバリアフィルム基板(G−1)のPENフィルム上のガスバリアフィルムの上に、さらに、前記同様の方法により、有機ポリマー層1層と無機層(Al膜)1層とを成膜した。
このようにして、有機ポリマー層2層、無機層2層が交互に積層されたガスバリアフィルム基板(G−2)を作製した。
−ガスバリアフィルム基板(G−3)の作製−
ガスバリアフィルム基板(G−2)のPENフィルム上のガスバリアフィルムの上に、さらに、前記同様の方法により、有機ポリマー層1層と無機層(Al膜)1層とを成膜した。
このようにして、有機ポリマー層3層、無機層3層が交互に積層されたガスバリアフィルム基板(G−3)を作製した。
−ガスバリアフィルム基板(G−4)の作製−
前記ガスバリアフィルム基板(G−3)の作製において、無機層であるAl膜をそれぞれSiO膜に代えたこと以外は、ガスバリアフィルム基板(G−3)の作製と同様にして、ガスバリアフィルム基板(G−4)を作製した。
−無機ガスバリアフィルム基板(G−X)の作製−
前記ガスバリアフィルム基板(G−1)の作製において、有機ポリマー層を塗布しなかったこと以外は、ガスバリアフィルム基板(G−1)と同様にして、無機層(Al膜)を1層のみ有する無機ガスバリアフィルム基板(G−X)を作製した。
−水蒸気透過率の測定−
上記で得られたガスバリアフィルム基板の各々について、下記手法によりバリア性能(水蒸気透過率)を測定し、評価した。
[バリア性能]
G.NISATO、P.C.P.BOUTEN、P.J.SLIKKERVEERらSID Conference Record of the International Display Research Conference 1435-1438頁に記載の方法(いわゆるカルシウム法)を用いて、水蒸気透過率(g/m/day)を測定した。このとき、温度を40℃、相対湿度を90%とした。
前記表1から明らかなように、ガスバリアフィルム基板(G−1)〜(G−4)は、ガスバリアフィルム基板(G−X)に比べ、良好なガスバリア能を示した。特にガスバリアフィルム基板(G−2)〜(G−4)は、0.001以下の水蒸気透過能であり、極めて高いガスバリア能を示すことがわかる。
<透明導電フィルムの作製>
前記ガスバリアフィルム基板(G−1〜G−4、G−X)の無機層(Al膜又はSiO膜)の表面に、厚みが100nmになるようにITO膜をスパッタ法で成膜し、パターニングされたITO膜付のフィルム基板を得た。
以下、このフィルム基板を、ITO付フィルム基板(G−1〜G−4又はG−X)と称する。
得られた各ITO付フィルム基板の上に、正孔捕集層を形成するため、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT−PSS)の水分散物(H.C.シュタルク社製、クレビオスP)を塗布した。
次に、塗布後のフィルム基板を130℃で10分間加熱乾燥して、導電性ポリマー層を形成し、透明導電フィルム基板(T−1〜T−4)、及び有機ポリマー層を有しない透明導電フィルム基板(T−X)を作製した。
−表面抵抗率の測定−
これらの透明導電フィルム基板の各導電性ポリマー層の表面抵抗率を、三菱化学(株)製の低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS 7194にしたがって測定したところ、いずれも10Ω/sq以下であった。
(実施例1)
上記で得られた透明導電フィルム基板(T−1〜T−4又はT−X)を用い、以下の手順に従い、図3に示す構成を有する有機薄膜太陽電池を作製した。
−有機薄膜太陽電池(S−1〜S−4、S−X)の作製−
まず、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)200mg、及び[6,6]フェニル−C61−酪酸メチル(PCBM)140mgを、クロロベンゼン10mlと混合し、振盪器にかけて15時間振盪して完全に溶解させ、光電変換層用塗布液を調製した。
次に、オルトチタン酸テトライソプロピル9.6gを2−メトシキエタノール51.8gに溶解し、これに2−アミノエタノール5.1gを添加した。得られた混合液を80℃にて2時間加熱した後、120℃で1時間還流した。放冷後、混合液を2−プロパノールで10倍に希釈し、酸化チタン層用塗布液を調製した。
上記で作製した透明導電フィルム基板(T−1〜T−4)、比較用の透明導電フィルム基板(T−X)を窒素ガンでよくブローした後、各フィルム基板の導電性ポリマー層表面に上記の光電変換層用塗布液0.13mlを、エッペンドルフピペットを使用して滴下し、2000rpmで120秒間、回転させて光電変換層を形成した。乾燥後の光電変換層の膜厚は、90nmであった。
続いて、各フィルム基板上に形成した光電変換層の表面に上記の酸化チタン層用塗布液0.20mlを、エッペンドルフピペットを使用して滴下し、2000rpmで120秒間、回転させた。その後、これをホットプレートを用いて80℃で10分間加熱し、金属酸化物層として酸化チタン層(電子輸送層)を形成した。乾燥後の酸化チタン層の層厚は30nmであり、酸化チタン層の伝導体のエネルギー準位は−4.2eVであった。
形成された酸化チタン層(電子輸送層)の上に銀を、真空蒸着機で100nmの厚みに蒸着し、ホットプレートを用いて150℃で10分間加熱することにより負極とした。
このようにして、透明導電フィルム基板(T−1〜T−4)を備えた有機薄膜太陽電池素子基板(D−1〜D−4)と、比較用の透明導電フィルム基板(T−X)を備えた有機薄膜太陽電池素子基板(D−X)とを作製した。
次に、熱硬化型接着剤(ダイゾーニチモリ株式会社製エポテック310)を用いて、上記で作製した有機薄膜太陽電池素子基板(D−1〜D−4又はD−X)と、これとは別に用意した前記ガスバリアフィルム基板(G−1〜G−4又はG−X)とを、各ガスバリアフィルム基板のガスバリア層側が有機薄膜太陽電池素子基板と対向するように配置して貼り合せ、65℃で3時間加熱することにより接着剤を硬化させた。
このようにして、2枚のガスバリアフィルム基板を用いて封止された有機薄膜太陽電池(S−1〜S−4、S−X)を作製した。
作製した有機薄膜太陽電池の有効領域は2mm角、有効面積は0.04cmである。
−有機薄膜太陽電池(S−5)の作製−
前記有機薄膜太陽電池(S−3)の作製において、負極の形成に用いたAgをSnに代えたこと以外は、有機薄膜太陽電池(S−3)と同様にして、有機薄膜太陽電池(S−5)を作製した。
−有機薄膜太陽電池(S−6)の作製−
前記有機薄膜太陽電池(S−1)の作製において、PEDOT−PSSの水分散物の塗布に代えて、酸化モリブデンを5nm蒸着するようにしたこと以外は、有機薄膜太陽電池(S−1)と同様にして、有機薄膜太陽電池(S−6)を作製した。
(比較例1)
実施例1の有機薄膜太陽電池(S−1)の作製において、負極の形成に用いたAgをAlに代えたこと以外は、有機薄膜太陽電池(S−1)と同様にして、有機薄膜太陽電池(S−A)を作製した。
(比較例2)
実施例1の有機薄膜太陽電池(S−1)の作製において、2枚のガスバリアフィルム基板(G−1)を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポン社製、テオネックスQ65FA、厚さ100μm)にスパッタ法で100nm厚のITO膜を成膜してなる、ガスバリア能のない透明導電PENフィルム基板に代えたこと以外は、有機薄膜太陽電池(S−1)と同様にして、有機薄膜太陽電池(S−B)を作製した。
(比較例3)
比較例2の有機薄膜太陽電池(S−B)の作製において、負極の形成に用いたAgをAlに代えたこと以外は、有機薄膜太陽電池(S−B)と同様にして、有機薄膜太陽電池(S−C)を作製した。
(比較例4)
比較例2の有機薄膜太陽電池(S−B)、比較例3の有機薄膜太陽電池(S−C)の作製において、金属酸化物層を設けなかったこと以外は、有機薄膜太陽電池(S−B)又は(S−C)のそれぞれと同様にして、有機薄膜太陽電池(S−D)、有機薄膜太陽電池(S−E)を作製した。
(評価)
上記で得られた各有機薄膜太陽電池について、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表3に示す。
−1.初期光電変換効率−
上記で作製した作製直後の有機薄膜太陽電池について、各々の有機薄膜太陽電池を、L12型ソーラシミュレーター(ペクセルテクノロジーズ社製)を用いてエアマス1.5、100mW/cmの模擬太陽光を照射しながら、ソースメジャーユニット(SMU2400型、KEITHLEY社製)により−0.1Vから+0.7Vまでの電圧範囲において電流値を測定した。
測定により得られた電流電圧特性を、I−Vカーブアナライザー(ペクセルテクノロジーズ社製)を用いて評価し、変換効率を算出した。算出された変換効率を、各有機薄膜太陽電池の初期光電変換効率として下記表3に示す。
ここで、各有機薄膜太陽電池の変換効率の値は、有機薄膜太陽電池(S−1)の変換効率を1に規格化し、その相対値で示した。
−2.耐久性能−
各有機薄膜太陽電池を65℃・相対湿度90%の高温高湿室内に200時間静置した後、上記の「1.初期光電変換効率」と同様に、エアマス1.5、100mW/cmの模擬太陽光を照射しながら電流電圧特性を測定し、静置前の初期光電変換効率に対する変換効率の維持率[%]を下記式により算出した。
変換効率の維持率[%]=(高温高湿経時後の変換効率)/(素子作製直後の初期光電変換効率)×100
前記表3に示すように、本発明の有機薄膜太陽電池は、比較例の有機薄膜太陽電池に対して、高温高湿経時後の変換効率の維持率が高く、優れた耐久性能を示した。特に、有機ポリマー層と無機層とをそれぞれ2層以上積層して構成された有機薄膜太陽電池S−2〜S−4及びS−5は、耐久性能により優れていた。
以上のように、本発明の有機薄膜太陽電池は、高い耐久性を有することが確認された。
本発明の有機薄膜太陽電池は、高い経時安定性を有するため、特に屋外等の温湿度条件が過酷な環境下などでの長期使用が予測される分野、用途に有用である。
1・・・ガラス基板
2・・・有機の発電積層体
3・・・保護層
4・・・接着剤層
5・・・バリア性積層体
6・・・樹脂フィルム
7,7a,7b・・・ガスバリアフィルム

Claims (10)

  1. ガスバリアフィルム基板と、
    少なくとも、正極、有機光電変換層、金属酸化物層、及び鉄よりも貴な金属を含む負極をこの順序で含む有機発電積層体と、
    第1のガスバリア層と、
    を備えた有機薄膜太陽電池。
  2. 前記金属酸化物層の伝導帯のエネルギー準位が−4.5eVよりも高い請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記負極が、水素よりもイオン化傾向が小さい金属又は合金を含む請求項1又は請求項2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 前記負極が、銅、銀、及びこれらを含む合金の少なくとも一種を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  5. 前記金属酸化物層の金属酸化物が、酸化チタン及び酸化亜鉛の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  6. 前記ガスバリアフィルム基板は、樹脂フィルムと第2のガスバリア層とを含み、
    前記第2のガスバリア層が、前記樹脂フィルムに接して設けられた有機ポリマー層と該有機ポリマー層上に設けられた無機層とを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  7. 前記第1のガスバリア層の前記有機発電積層体が配されていない側に樹脂フィルムを更に備えており、
    前記第1のガスバリア層は、前記樹脂フィルムに接して設けられた有機ポリマー層と該有機ポリマー層上に設けられた無機層とを含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  8. 前記第1のガスバリア層及び前記第2のガスバリア層の少なくとも一方は、少なくとも2層の有機ポリマー層と少なくとも2層の無機層とが、前記樹脂フィルムの表面に有機ポリマー層が接触するように交互に積層されている請求項6又は請求項7に記載の有機薄膜太陽電池。
  9. 前記正極と前記有機光電変換層との間に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)を含む正孔捕集層を更に有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  10. 前記正極と前記有機光電変換層との間に、酸化モリブデン及び酸化バナジウムの少なくとも一方を含む正孔捕集層を更に有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
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