JP2016051805A - 有機薄膜太陽電池およびその製造方法、電子機器 - Google Patents

有機薄膜太陽電池およびその製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】製造プロセスが簡略化され、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池およびその製造方法、および有機薄膜太陽電池を搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10上に配置された透明電極層11と、透明電極層11上に配置された有機層14と、有機層14に配置された金属電極層16と、金属電極層16上に配置されたパッシベーション層26と、パッシベーション層26上に配置された光硬化樹脂層34と、光硬化樹脂層34上に配置されたバリアフィルム36とを備える有機薄膜太陽電池100およびその製造方法、およびこの有機薄膜太陽電池100を搭載した電子機器。
【選択図】図5

Description

本実施の形態は、有機薄膜太陽電池およびその製造方法、電子機器に関する。
極薄、軽量、フレキシブルを特徴とする有機薄膜太陽電池は、常温、大気圧下でインクジェット法などの印刷法により製造されるため、形状の自由度が高く、意匠性に優れた太陽電池が実現可能である。
特表2007−534119号公報
本実施の形態は、単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルムをUV硬化樹脂で貼り合せることで、製造プロセスが簡略化され、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池およびその製造方法、および有機薄膜太陽電池を搭載した電子機器を提供することにある。
本実施の形態の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置された透明電極層と、前記透明電極層上に配置された有機層と、前記有機層上に配置された金属電極層と、前記金属電極層上に配置されたパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に配置された光硬化樹脂層と、前記光硬化樹脂層上に配置されたバリアフィルムとを備える有機薄膜太陽電池が提供される。
本実施の形態の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された透明電極層と、前記透明電極層上に配置された有機層と、前記有機層上に配置された金属電極層と、前記金属電極層上に配置されたパッシベーション層と、前記パッシベーション層上に配置された光硬化樹脂層と、前記光硬化樹脂層上に配置されたバリアフィルムとを備える有機薄膜太陽電池セルを複数個直列に接続した有機薄膜太陽電池が提供される。
本実施の形態の他の態様によれば、上記の有機薄膜太陽電池を備える電子機器が提供される。
本実施の形態の他の態様によれば、基板上に透明電極層を形成する工程と、前記透明電極層上に有機層を形成する工程と、前記有機層上に金属電極層を形成する工程と、前記金属電極層上にパッシベーション層を形成する工程と、前記パッシベーション層上に光硬化樹脂層を介してバリアフィルムを形成する工程とを有する有機薄膜太陽電池の製造方法が提供される。
本実施の形態は、単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルムをUV硬化樹脂で貼り合せることで、製造プロセスが簡略化され、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池およびその製造方法、および有機薄膜太陽電池を搭載した提供することにある。
(a)多層積層保護膜によるセル封止を用いた比較例に係る有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池セルの模式的断面構造図、(b)図1(a)において、多層積層保護膜に異物が混入した状態の模式的断面構造図。 比較例に係る有機薄膜太陽電池において、耐熱性および耐湿性試験における発電量の時間変化特性。 比較例に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、(a)受光面側の模式的平面パターン構成図、(b)図3(a)のI−I線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、基板上に透明電極層をパターン形成する工程図、(c)透明電極層上に有機層をパターン形成する工程図。 比較例に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、(a)図3(a)のI−I線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、有機層上に第2電極層をパターン形成する工程図、(b)デバイス全面に多層積層保護膜によるパッシベーション層を形成する工程図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池セルの模式的断面構造図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の原理的な構成および動作を説明する模式図。 図6に示された有機薄膜太陽電池の各種材料のエネルギーバンド構造図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において適用する、(a)PEDOTの化学構造式、(b)PSSの化学構造式。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において適用する、(a)p型材料となるP3HTの化学構造式、(b)n型材料となるPCBMの化学構造式。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、耐熱性および耐湿性試験における発電量の時間変化特性。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、光連続照射試験における発電量の時間変化特性(AS:アモルファスシリコン太陽電池、OTF:有機薄膜太陽電池)。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、(a)端子取出し面側の模式的平面パターン構成図、(b)図12(a)のII−II線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、基板上に透明電極層をパターン形成する工程図、(c)透明電極層上に有機層をパターン形成する工程図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、(a)図12(a)のII−II線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、有機層上に第2電極層をパターン形成する工程図、(b)デバイス全面にパッシベーション層を形成する工程図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、図12(a)のII−II線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、パッシベーション層上に光硬化樹脂層を介してバリアフィルムを貼り付ける工程図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、(a)基板上にマトリックス状に配置された4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの模式的鳥瞰図、(b)モジュールダイシング工程図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、耐熱性(高温保存)試験における発電量の時間変化特性(AS:アモルファスシリコン太陽電池、OTF:有機薄膜太陽電池)。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、(a)熱衝撃サイクル試験に適用した温度プロファイル例、(b)温度サイクル試験に適用した温度プロファイル例。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、(a)4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側の模式的平面パターン構成図、(b)4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの等価回路表現。 図18(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。 実施の形態の変形例に係る有機薄膜太陽電池において、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側の模式的平面パターン構成図。 図20のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化開放電圧の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化飽和電流の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化曲線因子の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化最大発電量の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、開放電圧の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、飽和電流の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、曲線因子の時間変化特性。 実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、最大発電量の時間変化特性。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、(a)4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側の電極接続関係を説明する平面構成図、(b)図30(a)に対応する等価回路表現。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、(a)4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側のカソード電極・アノード電極の模式的平面構成図、(b)図31(a)のV−V線に沿う模式的断面構造図、(c)図31(a)のVI−VI線に沿う模式的断面構造図。 図31(a)に示す4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールにおいて、(a)光電流の導通経路を示す模式図、(b)等価回路表現における光電流の導通方向を示す図、(c)電流電圧特性の模式図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の作成手順を示すフローチャート。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の量産化製造工程の一工程であって、基板上に透明電極層のストライプパターンを形成した状態を示す模式的鳥瞰構造図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の量産化製造工程の一工程であって、ストライプ状の透明電極層上に正孔輸送層をスピンコートにより製膜した状態を示す模式的鳥瞰構造図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の量産化製造工程の一工程であって、正孔輸送層上にバルクへテロ接合有機活性層をスピンコートにより製膜した状態を示す模式的鳥瞰構造図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の量産化製造工程の一工程であって、バルクへテロ接合有機活性層上にストライプ状の透明電極層と直交させて第2電極層のストライプパターンを形成した状態を示す模式的鳥瞰構成図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、複数のセルCijをマトリックス状に配置した例を示す模式的平面パターン構成図。 実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法において、(a)正孔輸送層およびバルクへテロ接合有機活性層を形成する際のスピンコート法を示す概略図、(b)形成された正孔輸送層およびバルクへテロ接合有機活性層の例を示す模式的鳥瞰構成図。
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
以下の実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
[比較例]
多重積層保護膜によるセル封止を用いた比較例に係る有機薄膜太陽電池100Aおよび有機薄膜太陽電池セル1Aの模式的断面構造は、図1(a)に示すように表され、図1(a)において、多重積層保護膜に異AB物が混入した状態の模式的断面構造は、図1(b)に示すように表される。
比較例に係る有機薄膜太陽電池100Aは、図1(a)に示すように、基板10と、基板10上に配置された透明電極層11と、透明電極層11上に配置された有機層14と、有機層14上に配置された金属電極層16と、金属電極層16上に配置されたパッシベーション層26・28・30・32とを備える。
ここで、パッシベーション層26・28・30・32は多重積層保護膜を構成する。パッシベーション層26・30は、SiN膜若しくはSiON膜などで構成された無機保護膜を備え、パッシベーション層28・32は、樹脂層などで構成された有機保護膜を備える。図1(a)に示された多重積層保護膜の厚さTMは、例えば、約10μmである。
多重積層保護膜によるセル封止を用いた比較例に係る有機薄膜太陽電池セル1Aは、モジュールが薄くて軽いが、多重積層保護膜の形成プロセスが全4工程・約2時間と長い。また、多重積層保護膜の厚さTMが薄いため、引っ掻きなどの機械的衝撃に弱い。さらに、多重積層保護膜の形成プロセスが長いため、プロセス中に異物ABが発生し易く、図1(b)に示すように、またプロセス中の異物のために耐湿性に乏しい。
比較例に係る有機薄膜太陽電池100Aにおいて、耐熱性および耐湿性試験[JIS C 8938]における発電量の時間変化特性例は、図2に示すように表される。評価光源は、蛍光灯の明るさ1000(lux)を適用している。耐熱性試験は、70℃で500時間実施した。耐湿性試験は、60℃かつ湿度90%で500時間実施した。
図2において、黒丸(●)プロットは、周囲温度70℃の条件に対応し、白丸(○)プロットは、周囲温度60℃かつ湿度90%の条件に対応している。破線ラインLLは、規格化最大発電量Pmax(a.u.)が初期状態から10%低下するレベルに相当する。
耐熱性試験結果では、規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図2に示すように、時間t(h)が0〜1100時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っている。
一方、耐湿性試験結果では、規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図2に示すように、時間t(h)が約100時間を超過すると、10%低下する破線ラインLLを下回っている。
(製造方法)
比較例に係る有機薄膜太陽電池100Aの製造方法の一工程であって、受光面側の模式的平面パターン構成は図3(a)に示すように表され、図3(a)のI−I線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、基板10上に透明電極層11をパターン形成する工程は図3(b)に示すように表され、透明電極層11上に有機層14をパターン形成する工程は図3(c)に示すように表される。
さらに、比較例に係る有機薄膜太陽電池100Aの製造方法の一工程であって、図3(a)のI−I線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、有機層14上に金属電極層16をパターン形成する工程は図4(a)に示すように表され、デバイス全面に多層積層保護膜によるパッシベーション層26・28・30・32を形成する工程は図4(b)に示すように表される。
(a)まず、図5(b)に示すように、ウェツトエッチングにより、透明電極層(TCO)11をパターニングする。透明電極層11のパターニング工程では、時間と手間のかかるポジレジストを用いた王水エッチングを実施するため、5工程、例えば、約120分を要する。
(b)次に、図5(c)に示すように、スピンコート法による製膜と高密度プラズマエッチングによるパターニングにより、有機層14を形成する。有機層14は、正孔輸送層とバルクヘテロ接合有機活性層との積層構造で形成されるため、有機層14の塗布形成は、2工程、約60分を要する。ここで、スピンコート法は、材料使用効率が悪く、また、直接塗り分けできないため、高密度プラズマエッチングによるパターニング工程が必要になる。
(c)次に、図4(a)に示すように、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、金属電極層16を形成する。金属電極層16の形成には、1工程、約2分を要する。さらに、酸素プラズマにより余分な有機層を除去すると共に、アルミニウムの最表面に酸化被膜処理を実施しても良い。
(d)次に、図4(b)に示すように、大気中の水分と酸素による劣化を抑えるため、CVD技術を用いてSiN膜による封止を実施する。さらに、SiN膜のスポットなどの不良を無くし、モジュールの背面を平滑化するため、樹脂素材をスピンコート法などで塗布し、UV照射により硬化させる。以下、要求するモジュール耐久性に応じて、上記の作業工程を繰り返し、パッシベーション層26・28・30・32からなる多重積層保護膜を形成する。ここで、多重積層保護膜によるセル封止には、4工程、約120分を要する。
多重積層保護膜によるセル封止を用いた比較例に係る有機薄膜太陽電池ではセル劣化の原因となる酸素・水分からセルを保護するため、無機物と有機物からなる多重積層保護膜によりセル封止を行っていた。しかし、多重積層保護膜は厚さが約10μm程度と非常に薄いため、モジュールを軽量化できるという利点があったが、多重積層保護膜の形成が煩雑で時間を要するほか、引っ掻きなどの機械耐性が弱く、プロセス中の異物などにより特に耐湿性に十分でない。
[実施の形態]
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100および有機薄膜太陽電池セル1の模式的断面構造は、図5に示すように表される。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、図5に示すように、基板10と、基板10上に配置された透明電極層11と、透明電極層11上に配置された有機層14と、有機層14上に配置された金属電極層16と、金属電極層16上に配置されたパッシベーション層26と、パッシベーション層26上に配置された光硬化樹脂層34と、光硬化樹脂層34上に配置されたバリアフィルム36とを備える。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100においては、煩雑で時間のかかる多重積層保護膜に代わり、セルを単層保護膜で封止し、耐久性に優れたバリアフィルムを光硬化樹脂を用いて貼り合せた構成を備える。
ここで、バリアフィルム36は、例えば、シートガラスを備えていても良い。シートガラスの厚さLSは、約50μmである。
また、バリアフィルム36は、例えば、プラスチックフィルムを備えていても良い。
パッシベーション層26は、例えば、SiN膜若しくはSiON膜を備えていても良い。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、基板10に対して面直方向に配置され、バリアフィルム36、光硬化樹脂層34およびパッシベーション層26を貫通して、透明電極層11と接続された取り出し端子電極2(+)を備えていても良い(図19参照)。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、基板10の端面に配置され、端面で透明電極層11と接続された取り出し端子電極2(+)を備えていても良い(図21参照)。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、基板10と、基板10上に配置された透明電極層11と、透明電極層11上に配置された有機層14と、有機層14上に配置された金属電極層16と、金属電極層16上に配置されたパッシベーション層26と、パッシベーション層26上に配置された光硬化樹脂層34と、光硬化樹脂層34上に配置されたバリアフィルム36とを備える有機薄膜太陽電池セル1を複数個直列に接続したモジュール構成を備えていても良い。
また、有機層14は、正孔輸送層と、正孔輸送層上に配置されたバルクへテロ接合有機活性層とを備えていても良い(図15、図18、図20参照)。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、図5に示すように、ITO付きガラス基板10上に発電層となる約数100nm程度の厚さを有する有機層14を積層し、金属電極層16として、アルミニウムなどの金属層を蒸着して作られる。
金属電極層16として形成された純アルミニウムは、酸化され易いため、耐久性を持たせるために、表面に形成された不動態膜を形成しても良い。
基板10上には、正孔輸送層・バルクヘテロ接合有機活性層などの有機層14が配置されるため、不動態膜の形成によって、パッシベーション層26を形成する際に、これらの有機層14に損傷を与えることを防止可能である。
パッシベーション層26上に配置されたパッシベーション層28は、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池セル1の保護層としての役割を有する。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100においては、パッシベーション層26は、化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によるSiNやSiONなどの無機パッシベーション膜で形成可能である。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、パッシベーション層26の単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルム36を光(UV)硬化樹脂層34で貼り合せることで、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池を提供することができる。
(動作原理)
有機薄膜太陽電池セル1の動作原理を説明する模式図は、図6に示すように表される。また、図6に示された有機薄膜太陽電池セル1の各種材料のエネルギーバンド構造は、図7に示すように表される。図6および図7を参照して、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池セル1の原理的な構成と、その動作について説明する。
図6の左図に示すように、有機薄膜太陽電池セル1は、基板10と、基板10上に配置された透明電極層11と、透明電極層11上に配置された有機層14(正孔輸送層12および正孔輸送層12上に配置されたバルクへテロ接合有機活性層14A)と、有機層14上に配置された金属電極層16とを備える。金属電極層16は、例えば、アルミニウム(Al)で形成され、カソード電極層となる。
ここで、バルクへテロ接合有機活性層14Aは、図6の右図に示すように、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。ここで、p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。
(a)まず、光を吸収すると、バルクへテロ接合有機活性層14A内で、励起子が生成される。
(b)次に、励起子は、バルクへテロ接合有機活性層14A内のpn接合界面において、自発分極によって、電子(e−)と正孔(h+)の自由キャリアに解離する。
(c)次に、解離した正孔(h+)は、アノード電極となる透明電極層11に向けて走行し、解離した電子(e−)は、カソード電極層16に向けて走行する。
(d)結果として、カソード電極層16・透明電極層11間には、逆方向電流が導通して、開放電圧VOCが発生し、有機薄膜太陽電池セル1が得られる。
有機薄膜太陽電池セル1において、正孔輸送層12に適用するPEDOT:PSSの内、PEDOTの化学構造式は、図8(a)に示すように表され、PSSの化学構造式は、図8(b)に示すように表される。
有機薄膜太陽電池セル1において、バルクヘテロ接合有機活性層14Aに適用されるP3HTの化学構造式は、図9(a)に示すように表され、バルクヘテロ接合有機活性層14Aに適用されるPCBMの化学構造式は、図9(b)に示すように表される。
不動態膜は、金属電極層16の酸化膜で構成される。また、金属電極層16の酸化膜は、金属電極層16の表面を酸素プラズマ処理することによって、形成可能である。不動態膜の厚さは、例えば、約10オングストローム〜約100オングストロームである。
金属電極層16は、Al、W、Mo、Mn、Mgの何れかの金属で構成されていても良い。金属電極層16をAlで形成する場合には、不動態膜は、アルミナ(Al23)膜となる。
金属電極層16の表面に不動態膜を備える有機薄膜太陽電池セル1は、有機層14内に水分や酸素が侵入した場合であっても、金属電極層16がその水分・酸素によって酸化する事態を防止することができる。これにより、有機太陽電池の劣化を抑制することができ、耐久性を高めることができる。
(ガスバリア性)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において適用した50μm厚のシートガラスの例は太陽電池で必要なガスバリア性のグレードを満足している。
(ピンセットによる引っ掻き試験)
比較例に係る多重積層保護膜によるセル封止では、ピンセットによる引っ掻き試験の結果、キズが生じていたが、シートガラスによるセル封止では、ピンセットによる引っ掻き試験の結果、キズは生じていない。
(耐熱性および耐湿性試験)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、耐熱性および耐湿性試験における発電量の時間変化特性は、図10に示すように表される。評価光源は、蛍光灯の明るさ1000(lux)を適用している。
耐熱性試験は、70℃で500時間実施した。
耐湿性試験は、60℃かつ湿度90%で500時間実施した。
図10において、黒丸(●)プロットは、周囲温度70℃の条件に対応し、白丸(○)プロットは、周囲温度60℃かつ湿度90%の条件に対応している。破線ラインLLは、規格化最大発電量Pmax(a.u.)が初期状態から10%低下するレベルに相当する。規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図10に示すように、時間t(h)が0〜500時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っている。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池は、周囲温度70℃の耐熱性試験および周囲温度70℃かつ湿度90%の耐湿性試験のいずれも充足している。
(光連続照射試験)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、光連続照射試験における発電量の時間変化特性は、図11に示すように表される。試験光源は35mW/cm2(波長λ=365nm)を使用し、評価光源は、蛍光灯の明るさ1000(lux)を適用している。
光連続照射試験は、連続光照射を180分実施した。
図11において、黒丸(●)プロットOTFは、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池に対応し、白丸(○)プロットASは、アモルファスシリコン太陽電池に対応している。
アモルファスシリコン太陽電池においては、規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図11に示すように、時間t(h)が0〜50時間までは、10%低下ラインを上回っているが、50時間を経過すると、10%以上低下している。
一方、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池においては、規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図11に示すように、時間t(h)が0〜180時間までほぼフラットな特性を示している。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池は、図11に示すように、光連続照射試験を充足し、光耐性を十分に有する。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池は、封止にバリア性の高いバリアフィルムを採用することで、優れた耐熱性・耐湿性、引っ掻き耐性、および光耐性を備える。
(製造方法)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、ITO付きガラス基板10上に発電層となる数100nm程度の有機層14を積層し、アルミニウムなどの金属を蒸着して形成される。金属電極層として形成された純アルミニウムは酸化され易いため、耐久性を持たせるために、CVD法によるSiNやSiONなどの無機パッシベーション層26の単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルム36を光(UV)硬化樹脂層34で貼り合せることで、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池を提供することができる。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法の一工程であって、端子取出し面側の模式的平面パターン構成は図12(a)に示すように表され、図12(a)のII−II線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、基板10上に透明電極層11をパターン形成する工程は図12(b)に示すように表され、透明電極層11上に有機層14をパターン形成する工程は図12(b)に示すように表される。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法の一工程であって、(a)図12(a)のII−II線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、有機層14上に金属電極層16をパターン形成する工程は、図13(a)に示すように表され、デバイス全面にパッシベーション層26を形成する工程は、図13(b)に示すように表される。
さらに、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法の一工程であって、図12(a)のII−II線に沿う部分の模式的断面構造に対応し、パッシベーション層26上に光硬化樹脂層34を介してバリアフィルム36を貼り付ける工程は、図14に示すように表される。
さらに、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一工程であって、基板10上にマトリックス状に配置された4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの模式的鳥瞰構成は、図15(a)に示すように表され、モジュールダイシング工程は、図15(b)に示すように表される。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法は、図12〜図14に示すように、基板10上に透明電極層11を形成する工程と、透明電極層11上に有機層14を形成する工程と、有機層14上に金属電極層16を形成する工程と、金属電極層16上にパッシベーション層26を形成する工程と、パッシベーション層26上に光硬化樹脂層34を介してバリアフィルム36を形成する工程とを有する。
バリアフィルム36は、シートガラスを備えていても良い。
また、バリアフィルム36は、プラスチックフィルムを備えていても良い。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法は、基板10に対して面直方向に配置され、バリアフィルム36、光硬化樹脂層34およびパッシベーション層26を貫通して、透明電極層11と接続される取り出し端子電極2(+)を形成する工程を有していても良い。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法は、基板の端面に配置され、端面で透明電極層11と接続される取り出し端子電極2(+)を形成する工程を有していても良い。
また、有機層14を形成する工程は、スピンコート法若しくはインクジェット法による形成工程を有していても良い。
また、有機層14を形成する工程は、正孔輸送層を形成する工程と、正孔輸送層上にバルクへテロ接合有機活性層を形成する工程とを有していても良い。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法は、金属電極層表面に不動態膜を形成する工程を有していても良い。
図12〜図15を参照して、有機薄膜太陽電池を複数個(図の例では4個)直列に配置された実施の形態に係る有機薄膜太陽電池の製造方法について説明する。
(a)まず、純水、アセトン、エタノールで洗浄したガラス基板10(例えば、長さ約50mm×幅約50mm×厚さ約0.7mm)をICPエッチャ−に入れ、Oプラズマにより、表面の付着物を取り除く(ガラス基板表面処理)。なお、基板10をガラス基板で形成し、有機層へ光を効率的に誘導するために、ガラス表面に反射防止処理を実施しても良い。なお、ガラス基板として、例えば、ITO付き無アルカリガラス基板を用いても良い。
(b)次に、図12(b)に示すように、ガラス基板10上に、例えば、ITOからなる透明電極層11をパターン形成する。具体的には、例えば、ポジレジストを用いた王水エッチングによるウェツトエッチングにより、TCOをパターニングする。透明電極層11のパターニングは、5工程、約120分要する。結果として、透明電極層11は溝部を挟んだストライプパターンで複数形成される。溝部の形成には、レーザパターニング技術などを適用することもできる。
(c)次に、図12(c)に示すように、各透明電極層11上に、有機層14(正孔輸送層12およびバルクヘテロ接合有機活性層14A)を形成する。有機層14の塗布形成は、2工程で約60分要する。例えば、スピンコート法、スプレー技術、スクリーン印刷技術などによる製膜と高密度プラズマエッチングによるパターニング工程からなる。
(c−1)正孔輸送層12の形成には、スピンコート技術、スプレー技術、スクリーン印刷技術などを適用することができる。ここで、正孔輸送層12の形成工程では、例えば、PEDOT:PSSをスピンコートによって製膜を行い、水分除去のために、アニ−ルを120℃で約10分間行う。溝部の形成には、酸素プラズマエッチング技術、レーザパターニング技術、ナノインプリント技術などを適用することができる。
(c−2)次に、各正孔輸送層12上に、バルクヘテロ接合有機活性層14Aを形成する。バルクヘテロ接合有機活性層14Aの形成工程においては、例えば、P3HTをスピンコートによって製膜を行う。
(d)次に、図13(a)に示すように、有機層14上に金属電極層(カソード電極層)16をパターン形成する。金属電極層16の形成には、例えばAl、W、Mo、Mn、Mgなどの金属層を真空加熱蒸着法により堆積することによって行われる。真空加熱蒸着法の代わりに、スクリーン印刷技術を適用しても良い。金属電極層16の形成工程は、1工程で約2分要する。
(e)次に、図示は省略するが、余分な有機層14をエッチング処理した後、金属電極層16の表面に酸化膜(不動態膜)を形成しても良い。不動態膜は、金属電極層16を酸素プラズマ処理することによって形成することができる。不動態膜の形成は、例えば、高密度プラズマエッチング装置を用いて行うことができる。なお、金属電極層16を酸素プラズマ処理することによって不動態膜を形成すると同時に、有機層14をエッチング処理することも可能である。
(f)次に、図13(b)に示すように、デバイス全面にパッシベーション層26を形成する。ここで、パッシベーション層26は、シリコン窒化膜などをCVD法で形成しても良い。シリコン窒化膜の厚さは、例えば、約0.5μm〜1.5μm程度である。大気中の水分と酸素による劣化を抑えるため、CVDにより形成したSiN膜による封止を行うことで、さらに耐久性を向上可能である。
(g)次に、図14に示すように、パッシベーション層26上に光硬化樹脂層34を介してバリアフィルム36を貼り付ける。ここでは、SiN膜で形成されたパッシベーション層26のスポットなどの不良を無くし、モジュールの背面を平滑化するために、光(UV)硬化樹脂層34をスピンコート法などで塗布し、バリアフィルム36を貼り付けてUV照射により硬化させる。実施の形態に係る有機薄膜太陽電池においては、バリアフィルムの採用で耐久性を確保し、プロセスを、多重積層保護膜の4工程・120分から、2工程・60分へと大幅に簡略化可能である。
(h)次に、図15(a)および図15(b)に示すように、基板10上にマトリックス状に配置された4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールを縦方向のスクライブラインCVL1・CVL2・CVL3・CVL4・…および横方向のスクライブラインCHL1・CHL2・CHL3・CVL4・…・CHLn−1・CHLnに沿ってスクライブする。
(i)次に、図19若しくは図20に示すように、端子電極2(+)を取り出す。
(i−1)すなわち、図19に示すように、基板10に対して面直方向に配置され、バリアフィルム36、光硬化樹脂層34およびパッシベーション層26を貫通してコンタクトホールを形成し、透明電極層11と接続された取り出し端子電極2(+)を形成しても良い。
(i−2)また、図20に示すように、基板10の端面で透明電極層11と接続された取り出し端子電極2(+)を形成しても良い。
(j)次に、図示は省略するが、直列接続された有機薄膜太陽電池のアノード端子A・カソード端子K用の端子電極とのボンディング接合を形成する。ボンディング接合には、例えば、カーボンペースト、Agペーストなどを用いる。端子電極には、例えば、金ワイヤなどで形成可能である。
(k)最後に、図示は省略するが、水分・酸素などが浸入しないように、UV硬化樹脂などでデバイス全体を保護しても良い。
以上の工程により、複数個(図の例では4個)直列に配置された実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100を完成することができる。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100は、パッシベーション層26の単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルム36を光(UV)硬化樹脂層34で貼り合せることで、製造プロセスが簡略化され、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池およびその製造方法を提供することができる。
(耐熱性(高温保存)試験)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、耐熱性(高温保存)試験における発電量の時間変化特性は、図16に示すように表される。試験規格は、JIS C 8938B−1を適用し、保存温度は85℃とした。図16において、白丸(○)プロットOTFは、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池に対応し、正方形(□)プロットASは、アモルファスシリコン太陽電池に対応している。評価光源は、蛍光灯の明るさ1000(lux)を適用している。また、評価素子の形状は、4セル直列構成を備える。
アモルファスシリコン太陽電池においては、規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図16に示すように、時間t(h)が0〜1000時間までほぼフラットな特性を示している。
一方、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池においても、規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図16に示すように、時間t(h)が0〜1000時間までほぼフラットな特性を示している。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池は、図16に示すように、耐熱性(高温保存)試験を充足し、耐熱性を十分に有する。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、熱衝撃サイクル試験に適用した温度プロファイル例は、図17(a)に示すように表され、温度サイクル試験に適用した温度プロファイル例は、図17(b)に示すように表される。
熱衝撃サイクル試験においては、図17(a)に示すように、−20℃・30分〜+60℃・30分の急冷・急加熱の1サイクルを10サイクル実施した。
温度サイクル試験においては、図17(b)に示すように、−20℃〜+90℃の温度変化の1サイクル(4時間)を10サイクル実施した。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池においては、熱衝撃試験、温度サイクル試験、光照射試験、耐熱性試験、耐湿性試験のいずれの試験項目においても、試験終了後、初期特性から10%以内の変動幅を備え、いずれの試験項目も充足している。
(端子取出し構造)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池においては、セル劣化の原因となる酸素・水分からセルを保護するため、単層無機保護膜からなるパッシベーション層26に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルム36をUV硬化樹脂層34で貼り合せることで、プロセスを簡略化し、耐久性を確保している。
―コンタクトホール型―
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側の模式的平面パターン構成は、図18(a)に示すように表され、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの等価回路表現は、図18
(b)に示すように表される。また、図18(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造は、図19に示すように表される。
上記の実施の形態では、出力端子を取り出す際に、マイクロニードルでバリアフィルム36を掘削してコンタクトホールを形成し、さらに導電性ペーストなどによりこのコンタクトホールを充填して、出力端子電極2(+)を形成している。
―端面コンタクト型―
一方、実施の形態の変形例に係る有機薄膜太陽電池において、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側の模式的平面パターン構成は、図20に示すように表され、図20のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、図21に示すように表される。
図20および図21に示す例では、モジュール切り出し端面で出力端子電極2(+)を取り出すことができる。すなわち、出力端子電極2(+)と透明電極層11とのコンタクトを出力端子電極2(+)をモジュール切り出し端面に配置し、端面部分CTでとることができる。
掘削時にバリアフィルム36を破損し、バリアフィルム36の割れにより、耐久性を確保することが難しい場合には、端面取出し構造により、歩留りを向上することができる。
実施の形態の変形例においては、コンタクトホール形成時に、バリアフィルム36に割れが発生し易い形状に代わり、透明電極層11をモジュール切り出し端面に配置し、導電性ペーストにより端面部分CTでコンタクトを形成し、バリアフィルム面若しくはガラス基板面での出力端子電極2(+)の取出しを可能とした。ここで、導電性ペーストとしては、例えば、常温乾燥タイプのAgペーストなどを適用可能である。
実施の形態の変形例に係る有機薄膜太陽電池においては、コンタクトホールを形成しないため、バリアフィルム36が割れる可能性が低い。また、封止ののりしろを増やすことができるため、耐久性、特に耐湿性を向上することができる。
(耐湿性試験結果)
耐湿性試験は、60℃かつ湿度90%で500時間実施した。評価光源は、蛍光灯の明るさ1000(lux)―0.106mW/cm2を適用している。また、評価素子の形状は、4セル直列構成を備える。活性層には、P3HT:60PCBMをスピンコートにより形成している。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化開放電圧VOC(a.u.)の時間変化特性は、図22に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。破線ラインLLは、規格化開放電圧VOC(a.u.)が初期状態から10%低下するレベルに相当する。規格化開放電圧VOC(a.u.)は、図22に示すように、時間t(h)が0〜500時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っている。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化飽和電流Jsc(a.u.)の時間変化特性は、図23に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。破線ラインLLは、規格化飽和電流Jsc(a.u.)が初期状態から10%低下するレベルに相当する。規格化飽和電流Jsc(a.u.)は、図23に示すように、時間t(h)が0〜500時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っているのは、サンプルSA8である。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化曲線因子FF(a.u.)の時間変化特性は、図24に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。破線ラインLLは、規格化曲線因子FF(a.u.)が初期状態から10%低下するレベルに相当する。
規格化曲線因子FF(a.u.)は、図24に示すように、時間t(h)が0〜500時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っているのは、サンプルSA1・SA4・SA5・SA6・SA8である。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(相対値)であって、規格化最大発電量Pmax(a.u.)の時間変化特性は、図25に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。破線ラインLLは、規格化最大発電量Pmax(a.u.)が初期状態から10%低下するレベルに相当する。規格化最大発電量Pmax(a.u.)は、図25に示すように、時間t(h)が0〜500時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っているのは、サンプルSA8である。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、開放電圧VOC(V)の時間変化特性は、図26に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。サンプルSA1〜SA8は、開放電圧VOC(a.u.)は、図26に示すように、時間t(h)が0〜500時間まで10%低下する破線ラインLLを上回っている。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、飽和電流Jsc(a.u.)の時間変化特性は、図27に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。時間t(h)が0〜500時間範囲で飽和電流Jsc(μA/cm2)が良好な特性を示すのは、図27に示すように、サンプルSA8である。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、曲線因子FFの時間変化特性は、図28示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。時間t(h)が0〜500時間範囲で規格化曲線因子FFが良好な特性を示すのは、図28に示すように、サンプルSA1・SA4・SA5・SA6・SA8である。
実施の形態およびその変形例に係る有機薄膜太陽電池モジュールの耐湿性試験(環境試験)結果(絶対値)であって、最大発電量Pmax(μW/cm2)の時間変化特性は、図29に示すように表される。ここで、サンプルSA1〜SA7は、コンタクトホール電極取出し構造を備え、サンプルSA8は、端面電極取出し構造を備える。時間t(h)が0〜500時間範囲で最大発電量Pmax(μW/cm2)が良好な特性を示すのは、図29に示すように、サンプルSA8である。
実施の形態の変形例に係る有機薄膜太陽電池は、周囲温度70℃の耐熱性試験および周囲温度60℃かつ湿度90%の耐湿性試験のいずれも充足している。
(4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュール)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100において、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側の電極接続関係を説明する平面構成は、図30(a)に示すように表され、図30(a)に対応する等価回路表現は、図30(b)に示すように表される。
また、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池において、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールの端子取出し面側のカソード電極K1・K2・K3・K4およびアノード電極A1・A2・A3・A4の模式的平面構成は、図31(a)に示すように表わされ、図31(a)のV−V線に沿う模式的断面構造は、図31(b)に示すように表され、図31(a)のVI−VI線に沿う模式的断面構造は、図31(c)に示すように表される。
各有機薄膜太陽電池セルにおいて、有機層141・142・143・144を挟んでアノード電極層111・112・113・114およびカソード電極層161・162・163・164が配置されており、アノード電極層111・112・113・114は、アノード電極A1・A2・A3・A4とそれぞれ接続され、カソード電極層161・162・163・164は、カソード電極K1・K2・K3・K4とそれぞれ接続される。さらに、アノード端子Aはアノード電極A1に接続され、カソード電極K1はアノード電極A2に接続され、カソード電極K2はアノード電極A3に接続され、カソード電極K3はアノード電極A4に接続され、カソード電極K4はカソード端子Kに接続される。
また、図31(a)に示す4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールにおいて、光電流IAKの導通経路は、模式的に図32(a)に示すように表され、等価回路表現における光電流IAKの導通方向は、図32(b)に示すように表され、電流電圧特性の模式図は、図32(c)に示すように表される。
光電流IAKの導通経路は、模式的に図32(a)に示すように、カソード端子K→カソード電極K4・アノード電極A4→カソード電極K3・アノード電極A3→カソード電極K2・アノード電極A2→カソード電極K1・アノード電極A1→アノード端子Aで表される。また、4セル直列構成の有機薄膜太陽電池モジュールにおいて、VOCは開放電圧、ISCは短絡電流、Vm、およびImは最大出力電力を与える時の電圧、および電流を表す。
(有機薄膜太陽電池の作成手順)
図33に示すフローチャートに基づいて、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の作成手順について説明する。
(a)ステップS1では、ITO基板10上に、PEDOT:PSSを塗布する。例えば、0.45μmPTFEメンブレンフィルターでPEDOT:PSS水溶液を濾過し、溶け残りや不純物を取り除き、PEDOT:PSS水溶液をITO基板10上に塗布し、スピンコート(例えば、4000rpm,30sec)する。
(b)ステップS2では、PEDOT:PSSを焼結する。即ち、製膜後、水分除去のために120℃、10分間加熱処理をする。なお、基板10全体に熱が伝わるように予めホットプレートで温めておいたシャーレを被せると良い。ここまでの工程でITO基板10上の透明電極層11上に正孔輸送層12が形成される。
(c)ステップS3では、P3HT:PCBMを塗布する。具体的には、例えば、ジクロロベンゼン(o-dichlorobenzen)にP3HT16mgとPCBM16mgを溶解させる。溶液は、窒素雰囲気中の50℃で一晩攪拌を行った後に、50℃で1分間超音波処理を行う。溶液は窒素置換されたグローブボックス(<1ppmO、HO)内で洗浄処理したITO基板10上にスピンコートを行う。回転数は例えば550rpm・60secの後に2000rpm・1secである。
(d)ステップS4では、プレアニールを行う。即ち、ステップS3の塗布の後、120℃で10分間加熱を行う。なお、基板10全体に熱が伝わるように予めホットプレートで温めておいたシャーレを被せると良い。ここまでの工程で正孔輸送層12上にバルクへテロ接合有機活性層14Aが形成され、有機層14(12+14A)が形成される。
(e)ステップS5では、LiF真空蒸着を行う。具体的には、LiF(純度:99.98%)は、真空度:1.1×10−6torr・蒸着レートが0.1Å/secで真空加熱蒸着を行う。LiFはバルクへテロ接合有機活性層14Aへの電子注入層となる。
(f)ステップS6では、Al真空蒸着を行って有機層14上に第2電極層16を形成する。具体的には、Al(純度:99.999%)は、真空度:1.1×10−6torrで蒸着レートが〜2Å/secで真空加熱蒸着を行う。
(g)ステップS7では、第2電極層16について、電極酸化被膜処理を行う。具体的には、高密度プラズマエッチング装置を用いて酸素プラズマにより第2電極層16表面を酸化し、酸化膜(不動態膜)を形成する。
(h)ステップS8では、パッシベーション封止を行う。具体的には、デバイス全体に、パッシベーション層26を形成して、パッシベーション処理する。
(i)ステップS9では、パッシベーション層26上に光硬化樹脂層34を介してバリアフィルム36を貼り付ける。光(UV)硬化樹脂層34をスピンコート法などで塗布し、バリアフィルム36を貼り付けてUV照射により硬化させる。
(j)ステップS10では、取り出し端子電極2(+)を形成する。取り出し端子電極2(+)のボンディング接合部には、カーボンペースト、Agペーストなどを用いる。
(k)ステップS11では、封止を行う。具体的には、水分・酸素などが浸入しないように、UV硬化樹脂等の樹脂層などで周辺部を保護する。
(量産化工程)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池は、図34〜図38に示すように、複数のセルをマトリックス状に配置し、量産化工程によって製造することもできる。
以下、図34〜図38を参照して説明する。
(a)まず、純水、アセトン、エタノールで洗浄したガラス基板10をICPエッチャ−に入れ、Oプラズマにより、表面の付着物を取り除く(ガラス基板表面処理)。なお、有機活性層へ光を効率的に誘導するために、ガラス基板10の表面に反射防止処理を実施しても良い。
(b)次に、図34に示すように、基板10上に、例えば、ITOからなる透明電極層11を形成する。図34に示す例では、透明電極層11は隙間を挟んだ2本のストライプパターンで形成される。隙間の形成には、レーザパターニング技術などを適用することができる。
(c)次に、図35に示すように、基板10および透明電極層11上に、正孔輸送層12を形成する。正孔輸送層12の形成には、スピンコート技術、スプレー技術、スクリーン印刷技術などを適用することができる。ここで、正孔輸送層12の形成工程では、例えば、PEDOT:PSSをスピンコートによって製膜を行い、水分除去のために、アニ−ルを120℃で約10分間行う。
(d)次に、図36に示すように、正孔輸送層12上に、バルクヘテロ接合有機活性層14Aを形成する。バルクヘテロ接合有機活性層14Aの形成工程においては、例えば、P3HT:PCBMをスピンコートによって製膜を行う。バルクヘテロ接合有機活性層14Aの厚さは、例えば、約100nm〜約200nmである。
(e)次に、図37に示すように、バルクへテロ接合有機活性層14A上に、2本のストライプパターンのカソード電極層16を透明電極層11と直交させて形成する。
カソード電極層16の形成には、例えばAl、W、Mo、Mn、Mgなどを真空加熱蒸着法により堆積することによって行われる。真空加熱蒸着法の代わりに、スクリーン印刷技術を適用しても良い。
(f)次に、図示は省略するが、カソード電極層16の表面に酸化膜(不動態膜)を形成する。不動態膜は、カソード電極層16を酸素プラズマに暴露させて形成することができる。酸素プラズマによる酸化膜の形成は、例えば、プラズマエッチング装置を用いて行うことができる。
(g)次に、図示は省略するが、デバイス全体に、パッシベーション層26およびパッシベーション層26上に光硬化樹脂層34を介してバリアフィルム36を形成する。
以上の工程により、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100を量産化することができる。
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100において、複数のセルCijをマトリックス状に配置した模式的平面パターン構成例は、図38に示すように表される。アノード電極層11で形成されるアノード電極…,Aj, Aj+1,…と、アノード電極…, Aj, Aj+1,…と直交し、カソード電極層16で形成されるカソード電極…,Ki-1, Ki, Ki+1,…の交差部にセル…Cij…が配置されている。アノード電極…, Aj, Aj+1,…と、カソード電極…, Ki-1, Ki, Ki+1,…を選択することによって、交差部に配置されたセル…Cij…の特性をそれぞれ別個に測定することもできる。
(スピンコート法)
実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100の製造方法において、正孔輸送層12および有機層14(12、14A)を形成する際のスピンコート法を示す概略は図39(a)に示すように表され、形成された正孔輸送層12および有機層14(12、14A)の例を示す模式的鳥瞰構成は、図39(b)に示すように表される。
例えば、実施の形態に係る有機薄膜太陽電池100において、比較的小面積の素子を作成する場合には、図39(a)に示すようなスピンコート法を適用することができる。
即ち、図39(a)に示すように、モータ等の駆動源に接続される高速回転可能なスピンドル62と、スピンドル62に固設され基板10を載置するテーブル63とを備えるスピンコーターが用いられる。
そして、テーブル63上に基板10を載置し、モータ等の駆動源を稼働させてテーブル63を例えば2000〜4000rpmで矢印A、B方向に高速回転させる。次いで、スポイト65を用いて、正孔輸送層12やバルクへテロ接合有機活性層14Aを形成する溶液の液滴64を落下させる。これにより、液滴64は遠心力により基板10上に均一な厚さの正孔輸送層12およびバルクへテロ接合有機活性層14A(図39(b)参照)を形成することができる。
(電子機器)
実施の形態においては、単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルムをUV硬化樹脂で貼り合せることで、製造プロセスが簡略化され、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池が提供されることから、モバイル端末機器等の電子機器への搭載が容易になる。特にスマートホンやタブレット端末に代表される電子機器は、外観が重要であるため表示パネルのべゼル(ディスプレイの周辺部)や背面に有機薄膜太陽電池のセルを搭載することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、単層保護膜に機械強度とバリア性に優れたバリアフィルムをUV硬化樹脂で貼り合せることで、製造プロセスが簡略化され、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池およびその製造方法、および有機薄膜太陽電池を搭載した電子機器を提供するができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
本実施の形態の有機薄膜太陽電池は、太陽光発電パネル、モバイル端末向け充電器など幅広い分野に適用可能である。
1、1A…有機薄膜太陽電池セル
10…基板(ITO基板)
11、111・112・113・114…第1電極層(アノード電極層、透明電極層)
12…正孔輸送層
14、141・142・143・144…有機層(正孔輸送層12+バルクヘテロ接合有機活性層14A)
14A…バルクへテロ接合有機活性層
16、161・162・163・164…第2電極層(金属電極層、カソード電極層)
26、28、30、32…パッシベーション層
34…光硬化樹脂層(UV硬化樹脂層)
36…バリアフィルム
62…スピンドル
63…テーブル
64…液滴
65…スポイト
100、100A…有機薄膜太陽電池

Claims (18)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置された透明電極層と、
    前記透明電極層上に配置された有機層と、
    前記有機層上に配置された金属電極層と、
    前記金属電極層上に配置されたパッシベーション層と、
    前記パッシベーション層上に配置された光硬化樹脂層と、
    前記光硬化樹脂層上に配置されたバリアフィルムと
    を備えることを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  2. 前記バリアフィルムは、シートガラスを備えることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記バリアフィルムは、プラスチックフィルムを備えることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 前記基板に対して面直方向に配置され、前記バリアフィルム、前記光硬化樹脂層および前記パッシベーション層を貫通して、前記透明電極層と接続された取り出し端子電極を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  5. 前記基板の端面に配置され、前記端面で前記透明電極層と接続された取り出し端子電極を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  6. 前記パッシベーション層は、SiN膜若しくはSiON膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  7. 基板と、
    前記基板上に配置された透明電極層と、
    前記第1電極層上に配置された有機層と、
    前記有機層上に配置された金属電極層と、
    前記金属電極層上に配置されたパッシベーション層と、
    前記パッシベーション層上に配置された光硬化樹脂層と、
    前記光硬化樹脂層上に配置されたバリアフィルムと
    を備える有機薄膜太陽電池セルを複数個直列に接続したことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  8. 前記有機層は、
    正孔輸送層と、
    前記正孔輸送層上に配置されたバルクへテロ接合有機活性層と
    を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  9. 前記金属電極層は、表面に形成された不動態膜を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池を備えることを特徴とする電子機器。
  11. 基板上に透明電極層を形成する工程と、
    前記透明電極層上に有機層を形成する工程と、
    前記有機層上に金属電極層を形成する工程と、
    前記金属電極層上にパッシベーション層を形成する工程と、
    前記パッシベーション層上に光硬化樹脂層を介してバリアフィルムを形成する工程と
    を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  12. 前記バリアフィルムは、シートガラスを備えることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  13. 前記バリアフィルムは、プラスチックフィルムを備えることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  14. 前記基板に対して面直方向に配置され、前記バリアフィルム、前記光硬化樹脂層および前記パッシベーション層を貫通して、前記透明電極層と接続される取り出し端子電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  15. 前記基板の端面に配置され、前記端面で前記透明電極層と接続される取り出し端子電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  16. 前記有機層を形成する工程は、スピンコート法若しくはインクジェット法による形成工程を有することを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  17. 前記有機層を形成する工程は、
    正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層上にバルクへテロ接合有機活性層を形成する工程と
    を有することを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  18. 前記金属電極層表面に不動態膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
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