JP2012003902A - 走査型電子顕微鏡及びその制御方法 - Google Patents

走査型電子顕微鏡及びその制御方法 Download PDF

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【課題】本発明は、小型で高効率の二次信号電子の検出系を実現することを目的とする。
【解決手段】一次電子線を走査するために用いる偏向器を用い、試料から放出される二次信号電子に対してのみ偏向作用する電磁界を重畳的に発生する。すなわち、一次電子線に対しては電界の偏向作用と磁界の偏向作用が相殺され、かつ、二次信号電子に対しては偏向作用が働く電界及び磁界を重畳させるオフセット電流及びオフセット電圧を、一次電子線を走査させる電界又は磁界を発生する偏向器に発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、走査型電子顕微鏡に関し、例えば集束した一次電子線で試料表面を走査する各種の電子顕微鏡の制御技術に関する。
試料表面の観察には、一般に、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)が使用される。SEMは、例えば電界放出型の電子源から放出される一次電子線を加速した後、静電または磁界レンズで集束し、試料表面にスポットビームを形成する。このスポットビームを試料表面上で二次元的に走査すると、スポットビームの入射位置から二次電子、反射電子等の二次信号電子が発生する。SEMは、この二次信号電子を検出し、その信号強度を一次電子線の走査と同期走査されるモニターの輝度変調入力とする。この結果、モニターには、試料表面の二次元走査像(SEM像)が表示される。
近年、半導体デバイスの微細化が進んでいる。これに伴い、半導体デバイスの検査にも、光学顕微鏡の代わってSEMが用いられ始めている。代表的な装置には、微細な回路パターンを有する基板(ウェハ)のパターンを測長する測長SEM、ウェハ上の欠陥や異物を検査するレビューSEM等がある。
半導体デバイスは、(1) シリコン基板上にレジストを塗布し、フォトマスクを使って特定のパターンを転写するリソグラフィ工程と、(2) パターン通りにシリコン基板を微細加工するエッチング工程との繰り返しにより製造される。このため、製造される半導体デバイスの歩留まりの向上には、製造プロセスの安定稼働が必須である。そのためには、インライン検査によって欠陥を早期に発見し、不良を解決することが必要不可欠である。
このような状況の中、測長SEMやレビューSEMにおいては、高速かつ高S/Nで取得された画像を迅速に解析し、検査または計測できることが求められている。また、ムーアの法則に従って微細化が進む半導体デバイスでは、近年、微細化と共に更なる高集積化を進めるために3次元的立体構造を有する新たなデバイスが開発されている。3次元的立体構造には、深い溝のライン&スペース、高アスペクトのコンタクトホール等がある。このため、検査装置や計測装置においても、このような新しいデバイスに対して、信頼性の高い検査や計測を実現できる仕組みが求められている。
SEMで取得される画像は、電子ビームのランディングエネルギー、照射電流量、試料帯電の状態、SEM光学系の対物レンズが形成する電位分布、磁界分布などに依存するとともに、検出系の形態によっても大きく依存する。また、試料から放出される電子の放出エネルギー、放出角度を選択的に取得すれば、SEM像として、特定のコントラスト像を取得できることが知られている。代表的なコントラスト像には、試料表面の凹凸情報を反映させた陰影コントラスト像、試料の帯電状態を反映させた電位コントラスト像、材料の二次電子放出比の違いを反映させた材料コントラスト像などがある。新構造、新材料の半導体デバイスに対しても、試料から放出される2次電子や反射電子などの信号電子の検出効率を向上することが高S/N像を取得する上で重要である。また、特定の信号を取捨選択することにより、検査、計測ニーズに合致した画像を提供することができる。
一方、半導体デバイスにおいては、試料にダメージを与えないように数百eVから1keV程度の低照射エネルギーで高分解能を実現することが求められている。これに伴い、検査装置や計測装置におけるSEM光学系の設計も最適化されている。例えば試料に負電位(リターディング電圧)を印加する手法の採用がある。この場合、電子源から放出された高エネルギーの一次電子線は、数百eVから1keV程度に減速された状態で試料に照射される。従って、試料ダメージを抑制しつつ高分解能化を実現することができる。また、対物レンズに正電位の電極(ブースティング電極)を配置する手法の採用がある。この場合、一次電子は、高加速状態で対物レンズ内を通過し、高分解能化が実現される。
これらの装置構成の場合、試料から放出される2次電子や反射電子などの二次信号電子は、リターディング電位やブースティング電極によって加速され、対物レンズの上方に引き上げられる。このため、対物レンズよりも上方に配置した信号検出器で信号を取得するTTL(Through The Lens)方式が一般的である。
このようなTTL方式のSEM検出系に適する技術には、特許文献1及び2に記載される技術がある。すなわち、電磁界直交型偏向器(ExB偏向器またはウィーンフィルタ)によって一次電子線と二次信号電子を分離する技術がある。図2の上段に、ExB偏向器200の配置構成を示す。ExB偏向器200は、一対の偏向電極205と一対の偏向コイル210を、一次電子線に対して直交するように配置する。この配置により、図2の下段に示すように、一次電子線220に対して電界Eの向きと磁界Bの向きが直交する方向に作用する。ExB偏向器200では、電界Eと磁界Bの大きさが最適化されている。これにより、一次電子線220に作用する偏向作用は相殺される一方で、二次信号電子230だけは信号検出器の側に導かれるように偏向される。すなわち、一次電子線220の軸外収差を抑制しつつ、二次信号電子230だけを光軸から離軸させて信号検出器で検出することができる。
図3に、TTL方式のSEM検出系にExB偏向器を採用した従来構成例を示す。図に示すように、一次電子線4は対物レンズ7で集束されて試料10に衝突する。これにより、二次電子や反射電子などの二次信号電子12(図中、太線矢印で示す。)が発生する。二次信号電子12は、試料10からの放出角度及び放出エネルギーの違いにより、ある広がりを持った二次信号電子群22として対物レンズ7の上方に加速される。この際、二次信号電子群22は、上方に末広がりに進行する。この二次信号電子群22は、反射板9に試料面側から衝突する。この衝突により、低エネルギーの変換二次電子15が発生する。この低エネルギーの変換二次電子15は、ExB偏向器16による偏向作用により信号検出器17に進行方向が偏向される。なお、図中、13は偏向コイルであり、19は加速電極である。
図4に、他の従来構成例を示す。図4は、信号検出器17よりも試料寄りにExB偏向器16を配置する装置を表している。この場合、信号検出器17は、ExB偏向器16で偏向された二次信号電子12を直接検出することができる。ただし、この検出を実現するには、一次電子線4の光軸に対する二次信号電子12の離軸量が大きい必要がある。このため、大きい偏向量を可能とする強電磁界の発生がExB偏向器16に必要となる。しかし、この強電磁界は一次電子線4にも作用する。すなわち、一次電子線4に対しても異なる方向に引き合う作用が大きくなる。この結果、一次電子線4の色収差が増大し、分解能の劣化が発生する。そこで、色収差を相殺するように、更にもう一つのExB偏向器20を配置し、色収差を打消すような手法が採用されている。
特開2001−142045号公報 特開2001−332038号公報
ところが、従来構成には、以下に示すような技術的に改善すべき点がある。例えば図3のSEMの場合、二次信号電子12の検出ロスが発生する。この検出ロスは、試料10から垂直方向に進行する二次信号電子12が反射板9に形成された孔をそのまま通過することで発生する。孔をそのまま通過する二次信号電子12は変換二次信号15を発生させないためである。このことは、信号検出器17が、試料10の表面からほぼ光軸に沿って戻ってくる二次信号電子12を検出できないことを意味する。結果的に、例えば高アスペクト比を有するコンタクトホール等のように深い穴底から垂直方向に進行する二次信号電子12を信号検出器17は検出することができず、必要な情報が損失してしまう。
一方、図4のSEMの場合、高エネルギーを有する二次信号電子12の軌道を一次電子線の光軸から大きく偏向する必要がある。偏向角を大きくするには、大きな電圧と電流が必要である。そこで、電界及び磁界の発生に必要な電圧及び電流を低減するためにも、ExB偏向器16を試料10の近くに配置することが望まれる。ところが、TTL方式のSEM光学系は、試料10に印加するリターディング電圧や対物レンズ内に配置したブースティング電極に印加する高電圧を試料10の近くに印加する。このため、対物レンズ7の近傍にExB偏向器16を配置することは、耐電圧設計の観点から難しい。また、TTL方式のSEM光学系は、リターディング電位やブースティング電極が形成する静電レンズにより一次電子線の制御を最適化する。このため、対物レンズ内にExB偏向器を配置することは設計上容易でない。さらに、ExB偏向器16を対物レンズの上方に配置する場合、検出可能な量まで二次信号電子12を離軸するには、ExB偏向器16から信号検出器17までの距離が十分長いことが必要になる。このため、SEM光学系の鏡体長が長くならざるを得ない。さらに、二次信号電子分離用のExB偏向器16に加え、色収差打消し用のExB偏向器20を配置する場合(図4)には、更に鏡体長を長くする必要がある。しかし、鏡体長が長くなると、振動特性などの環境性能に対する影響が大きくなる。また、ExB偏向器を鏡体内に2つ配置すると、製作部品の数や制御電源の数が増加し、製造コストが増加する。
そこで、本発明者は、小型でありながら検出効率が高い二次信号電子検出系を実現する。
本発明は、一次電子線に対する偏向作用が相殺される一方で、試料から発生する二次信号電子に対しては偏向作用が働く電界及び磁界を、一次電子線の偏向走査及び/又はイメージシフトする電界又は磁界を重畳的に発生する、偏向コイルの内側に偏向電極を重畳的に配置した電磁界偏向器を有する走査型電子顕微鏡を提供する。
本発明によれば、一次電子線の偏向走査に使用する電界又は磁界空間内で一次電子線から二次信号電子のみを分離することができる。すなわち、一次電子線の偏向走査と二次信号電子の分離を光軸上の同一空間内で実現可能とする。
形態例に係る走査型電子顕微鏡の概略構成を示す図。 電磁界直交側偏向器(ExB偏向器)の構造と動作原理を説明する図。 反射板を用いる間接型検出系の概略構成を説明する図(従来例)。 二次信号電子を直接分離する直接型検出系の概略構成を説明する図(従来例)。 走査重畳型ExB偏向器を間接型検出系に適用した構成を示す図。 走査重畳型ExB偏向器を光軸方向から見た図。 走査重畳型ExB偏向器の制御信号例を説明する図。 走査重畳型ExB偏向器を直接型検出系に適用した構成を示す図。 二段構成の走査重畳型ExB偏向器による二段階の偏向動作を説明する図。 走査重畳型ExB偏向器をイメージシフト動作に連動させる例を説明する図。 走査重畳型ExB偏向器を用いた二次信号電子の分別方法を説明する図。 走査重畳型ExB偏向器を用いた二次信号電子の他の分別方法を説明する図。 走査重畳型ExB偏向器を用いた二次信号電子の他の分別方法を説明する図。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
(装置の構成)
図1に、実施例に係るSEMの構成例を示す。なお、以下の実施例は、いずれもSEMを前提に説明するが、本発明は、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)への適用も可能である。また、本実施例の場合には、二次信号電子の分離に反射板を使用する間接型検出系を実装するSEMについて説明する。
陰極1と第一陽極2の間には、高電圧制御電源30から引き出し電圧が印加される。この引き出し電圧により、所定のエミッション電流が陰極1から引き出される。なお、引き出し電圧の大きさは、制御演算装置40(制御プロセッサ)により制御される。陰極1と第二陽極3の間には、高電圧制御電源30から加速電圧が印加される。陰極1から放出された一次電子線4はこの加速電圧により加速され、後段のレンズ系に導かれる。なお、加速電圧の大きさは、制御演算装置40により制御される。
一次電子線4は、集束レンズ5によって集束される。集束レンズ5は、集束レンズ制御電源31により制御される。なお、集束レンズ制御電源31は、制御演算装置40により制御される。集束レンズ5を通過した一次電子線4は、絞り板8に入射する。この絞り板8は、一次電子線4のうち不要な領域を除去するために用いられる。このため、絞り板8の中央部分には、所定の大きさの孔が形成されている。絞り板8を通過した一次電子線4は、集束レンズ6及び対物レンズ7により試料10の表面に微小スポットとして集束される。集束レンズ6は、集束レンズ制御電源32により制御される。また、対物レンズ7は、対物レンズ制御電源36により制御される。また、集束レンズ制御電源32と対物レンズ制御電源36は、いずれも制御演算装置40により制御される。
図1に示すSEMは、一次電子線4を減速して(すなわち、低エネルギー化して)試料10に照射し、試料ダメージを抑制しつつ高分解能化を実現するリターディング電圧印加方式に対応する。すなわち、試料台11を介して試料10に負電圧(リターディング電圧)を印加して一次電子線4を減速させる方式に対応する。なお、試料10に与える負電圧は、試料印加電源37より与えられる。また、図1に示すSEMは、対物レンズ7の磁界中で一次電子線4を加速し、高分解能化を実現するブースティング電圧印加方式にも対応する。すなわち、対物レンズ7の加速電極19に正の電圧を印加して一次電子線4を加速する方式に対応する。なお、正電圧は、加速電極電源38より与えられる。試料印加電源37及び加速電極電源38も、制御演算装置40により制御される。
一次電子線4は、走査用の偏向コイル13により試料10に対して二次元的に走査される。偏向コイル13は、偏向コイル制御電源33により制御される。この実施例の場合、偏向コイル13は、光軸方向に対して二段に配置される。偏向コイル13は、観察倍率の変更にも用いられる他、試料上を走査しながら観察位置を移動する用途(いわゆるイメージシフト)にも用いられる。
偏向コイル13の内側(光軸上の同じ位置)には、対応する偏向電極14が重畳的に配置される。偏向電極14は、偏向電極制御電源34により制御される。偏向コイル制御電源33と偏向電極制御電源34は、制御演算装置40により制御される。本明細書においては、この偏向コイル13の内側に偏向電極14を重畳配置した構造の電磁界偏向器を、従来型のExB偏向器と区別するために「走査重畳型ExB偏向器」と呼ぶ。
この実施例の場合、偏向コイル13には、走査用の電流とオフセット電流を重畳した電流が供給される。このため、偏向コイル13には、オフセット電流に走査用の電流を合成した電流に応じて変化する磁界Bが発生される。偏向電極14には、磁界Bに直交する向きに電界Eを発生させるようにオフセット電圧が印加される。オフセット電流とオフセット電圧の大きさは、それぞれに応じて発生される磁界Bと電界Eによる偏向作用が一次電子線4では相殺され、二次信号電子12に限り作用するように定められる。
なお、前述の例とは異なり、電界型の偏向電極14を走査用の偏向器として使用することもできる。その場合にも、偏向電極14に印加されるオフセット電圧と偏向コイル13に供給されるオフセット電流を適切に制御することにより、一次電子線4から二次信号電子12だけを分離することができる。また、この実施例を含め、偏向コイル13及び偏向電極14で構成される走査重畳型ExB偏向器が光軸方向に2段配置される構成について説明する。しかし、後述するように2段構成の走査重畳型ExB偏向器を前提とする実施例以外は、走査重畳型ExB偏向器が1段だけの構成でも良い。
一次電子線4の入射により試料10から発生した二次電子、反射電子等の二次信号電子23は、対物レンズ7による引上げ磁界又は試料10に印加されたリターディング電位や加速電極19に印加したブースティング電位による引上げ電界の作用を受けて対物レンズ7の上方に進行する。このとき、二次信号電子23は、偏向コイル13と偏向電極14が形成する直交電磁界を通過する。前述したように、ここでの直交電磁界は、二次信号電子23のみを偏向するように作用し、二次信号電子23を一次信号線4の光軸から離軸させる。
離軸した二次信号電子23は反射板9に衝突し、変換二次電子15に変換される。ここで注目すべきは、二次信号電子23及び二次信号電子群24の全てを反射板9に入射させることができる点である。このことは、図3に示した従来型のSEMと同サイズの鏡体においても、検出精度が向上できることを意味している。なお、反射板9には一次電子線4を通過させる所定サイズの孔が形成されている。
試料側に飛び出した変換二次電子15は、反射板9の試料側に配置されたExB偏向器16により偏向され、信号検出器17において検出される。ExB偏向器16の直交電磁界は、一次電子線4に対する偏向作用を相殺し、変換二次電子23のみに偏向作用が及ぶように制御されている。信号検出器17の検出信号は信号増幅器18で増幅された後、制御演算装置40を通じて画像メモリ41に転送される。画像メモリ41に格納された検出データは、一次信号線の走査と同期して走査される像表示装置42にSEM像として表示される。なお、制御演算装置40は、記憶装置43にレシピその他の検査に必要なデータを格納する。
図5に、本実施例に係る間接検出型の二次信号電子検出系の詳細構成を示す。まず、走査重畳型ExB偏向器が一次電子線の偏向のみに使用される場合における二次信号電子の軌道を説明する。すなわち、オフセット電圧とオフセット電流が、走査重畳型ExB偏向器に印加されていない場合における二次信号電子の軌道を説明する。
この場合、試料10から陰極1(電子源)側に上がってくる二次電子や反射電子は、試料10からの放出角度や放出エネルギーの違いによりある広がりを持つ。このため、図5においては、この広がりを二次信号電子群22(波線)として図示する。また、二次信号電子群22の中心軌道を二次信号電子12(点線)として図示する。
図5に示すように、オフセット電圧とオフセット電流が印加されない場合、二次信号電子12は、反射板9に形成された孔をそのまま通過する。従って、この場合、信号検出器17は、二次信号電子12に起因した変換二次電子を検出することができない。
一方、走査重畳型ExB偏向器にオフセット電圧とオフセット電流が走査信号に対して重畳的に印加される場合、二次信号電子12と二次信号電子群22は、走査重畳型ExB偏向器の内部空間で偏向される。偏向後の二次信号電子12と二次信号電子群22は、それぞれ二次信号電子23と当該二次信号電子23を中心起動に持つ二次信号電子群24となる。図5に示すように、二次信号電子23と二次信号電子群24は、全て反射板9に衝突し、変換二次電子15を発生する。このため、二次信号電子12の検出ロスを回避することができる。
もっとも実際には、一次電子線4は、試料10上を走査するために対物レンズ7の中心磁界を通るように振り戻し制御される。このため、特に大角偏向で低倍率のSEM像を取得する場合、一次電子線4は光軸から大きく離軸した軌道を持つ。従って、厳密には、走査重畳型ExB偏向器の電界及び磁界が一次電子線4の走査軌道に影響を与える。このため、SEM像の外周部に偏向歪みが生じたり、当該領域部分の色収差が増大する可能性がある。結果的に、分解能が劣化する可能性がある。
従って、望ましい実施例においては、偏向歪みが生じるような低倍率時には、走査重畳型ExB偏向器の制御を切り(オフセット電圧及びオフセット電流の印加を停止し)、偏向歪みが生じない高倍率時にのみ走査重畳型ExB偏向器による電磁界制御を実行すれば良い。なお、低倍率においては、一次電子線4のビームスポット径よりも画素分解能の方がSEM分解能として支配的である。従って、画素分解能>ビームスポット径となる領域、つまりビームスポット径の色収差による劣化が像分解能に影響のない倍率では、走査重畳型ExB偏向器による電磁界制御を実施しても良い。これらの電磁界制御の切り替えは、制御演算装置40により実現すれば良い。
(走査重畳型ExB偏向器の詳細構成と制御動作)
図6及び図7を使用して、走査重畳型ExB偏向器の構成と制御を説明する。図6は、走査重畳型ExB偏向器を、陰極1(電子源)側から試料側を見た場合におけるxy平面上の偏向コイル13と偏向電極14の配置構成例を示している。図6の(a)と(b)は、4極の偏向コイル13と4極の偏向電極14で構成される走査重畳型ExB偏向器の構成例を示している。2極の偏向コイル13と2極の偏向電極14が、x軸方向とy軸方向のそれぞれについて対面するように配置されている。この走査重畳型ExB偏向器は、対をなす2極の間に発生する電界Eと磁界Bが直交するように、互いに直交する位置の2極に電流と電圧が印加される。
図6の(a)は、x軸のマイナス側に二次信号電子を偏向するための印加電圧と印加電流の制御例を示している。この場合、図示するように、x軸のプラス方向に電界の向きが発生するように偏向電極14の電圧を制御し、同時に、y軸のマイナス方向に磁界の向きが発生するように偏向コイル13の電流を制御する。
図6の(b)は、y軸のプラス側に二次信号電子を偏向するための、印加電圧と印加電流の制御例を示している。この場合、図示するように、y軸のマイナス方向に電界の向きが発生するように偏向電極14の電圧を制御し、同時に、x軸のマイナス方向に磁界の向きが発生するように偏向コイル13の電流を制御する。
このように、直交する電界の向きと磁界の向きを適切に制御することにより、一次電子線4が偏向作用を受けない状態で、二次信号電子12だけをあらゆる方向及び角度で偏向できる。このことは、SEMの鏡体内に複数の検出器を配置する場合にも、電圧と電流の制御だけにより、信号検出器の位置に合わせて自由に偏向角度を変えることができることを意味する。なお、筐体内に配置する信号検出器が1つの場合にも、信号検出器の配置位置の自由度が従来装置に比して格段に向上する。
なお、偏向コイル13と偏向電極14の構成は、図6の(a)及び(b)に示す4極子に限らない。例えば図6の(c)に示すように、多極子を用いた構成でも良い。因みに、図6の(c)は、偏向電極14が8極子である。従って、電磁界の周辺部分の歪みを少なくできる。同様に、偏向コイル13を多極子とすることも可能である。
図7は、図6の(b)に示す電磁界の発生に好適な偏向コイル13と偏向電極14の制御例である。なお、図6の(b)では、走査用の偏向コイル13が独立した4つのコイルで実現されるように表しているが、通常は、対向する偏向コイル13を同じコイル線を使って同方向に磁界が形成されるように製作する。従って、図7では、x軸方向とy軸方向の2方向の出力電流についてのみ示している。
図7の(a)及び(b)に示すように、一次電子線4が試料10を走査してSEM像を得るためのコイル電流は、x軸方向とy軸方向を独立に制御した三角波で表される。ただし、実施例に係る走査重畳型ExB偏向器の制御には、走査用のコイル電流にオフセット電流を加算する必要がある。図6の(b)の場合には、y軸方向に二次信号電子を偏向する。このため、図7の(a)に示すように、x軸方向に対面する偏向コイル13にのみオフセット電流を重畳している。
また、y軸方向に二次信号電子を偏向するため、図7の(c)〜(f)に示すように、y軸方向に対面する位置の偏向電極14にはオフセット電圧を印加するが、x軸方向に対面する位置の偏向電極14にはオフセット電圧を印加しない。
なお、走査重畳形ExB偏向器は、偏向コイル13と同じ位置に別のコイルを重ね巻きすることによっても実現できる。すなわち、オフセット電流専用コイルと走査電流専用コイルを重ね巻きし、各コイルに別々の磁界を発生させることも可能である。ただし、偏向コイル制御電源33を用い、走査用の信号電流(三角波)にオフセット電流を重畳する方がコスト的にも容易である。
(まとめ)
以上説明したように、本実施例に係る走査重畳形ExB偏向きをSEMに実装することにより、従来装置と同じ鏡体長を有するSEMでありながら、二次信号電子23の検出ロスを低減できる。すなわち、小型でありながら高効率の二次信号検出系を実現でき、SEM像の品質を高めることができる。また、二次信号電子23の検出ロスを高める構成を採用する従来装置に比べ、鏡体長を短縮できる。このため、SEMの小型化と振動特性などの対環境性能を向上できる。
また、偏向電極14に印加する電圧と偏向コイル13に供給する電流の制御により、任意の方向に二次信号電子23を偏向できるため、信号検出器17の筐体内における配置上の自由度を高めることができる。この自由度の向上は、鏡体長を短縮するのに有利である。
(実施例2)
この実施例では、二次信号電子23を直接偏向する直接型検出系を有するSEMを説明する。図8に、本実施例に係るSEMのうち二次信号検出系のみを示す。すなわち、不図示の構成部分は、図1に示す構成と同じである。
この実施例の場合、信号検出器17は、例えばシンチレータ、ライトガイド及びフォトマルチプライヤで構成される検出器でも、半導体検出器などを用いて直接検出するタイプの検出器でも良い。ただし、信号検出器17の検出面は、少なくとも二次信号電子23の広がりよりも大きいことが必要である。この条件を満たす限り、信号検出ロスは発生しないため、S/Nの高いSEM像を取得できる。
しかも、本実施例の場合には、図8に示すように、対物レンズ7の近傍に位置する走査用の偏向コイル13を使って走査重畳型ExB偏向器を実現できる。このため、従来装置(図4)に比して、二次信号電子23を光軸から離軸するのに必要な距離の確保が容易になる。このため、従来装置と同じ鏡体長であれば、信号検出器17の配置位置の自由度を高めることができる。また、本実施例に係る構成を採用すれば、従来装置(図4)では必要であったExB偏向器16を無くすことができる。このため、従来装置(図4)に比して鏡体の小型化を実現できる。
(実施例3)
本実施例では、実施例2の変形例について説明する。本実施例は、特に高倍率での高分解能観察が必用となる場合に用いて好適な実施例である。なお、以下に説明する制御技術は、実施例1に係る間接型検出系のSEMにも適用できる。
図9に、本実施例に係るSEMのうち二次信号検出系のみを示す。なお、本実施例においては、2つの走査重畳型ExB偏向器により二次信号電子23を2段階に偏向する制御方式を採用する。従って、本実施例と実施例2の装置構成は同じであり、走査重畳型ExB偏向器を構成する偏向コイル13及び偏向電極14の制御方法だけが異なる。
高倍率での高分解能観察が必用となる場合、一段の走査重畳型ExB偏向器だけを使用すると、当該偏向器で発生する一次電子線4の色収差の影響で分解能の劣化が顕著になる。
そこで、2段目の走査重畳型ExB偏向器を配置し、色収差を打消すように制御する手法を提案する。色収差を打ち消すことにより、分解能の劣化を抑制することが可能になる。
色収差を打消すためには、二段の走査重畳型ExB偏向器を、同様に制御することが理想である。しかし、二段の走査重畳型ExB偏向器を同様に制御した場合、二次信号電子23の軌道は光軸に対して平行になる。この場合、上下段の走査重畳型ExB偏向器の距離が離れていなければ、十分な離軸量を確保することができない。このことは、構造上の制約により、信号検出器17を配置できない事態が生じ得ることを意味する。
そこで、色収差の増加がSEM像の分解能に影響を与えない範囲で、二次信号電子23の軌道を上下段の走査重畳型ExB偏向器で制御することを検討する。この実施例では、試料10側に位置する下段(1段目)の走査重畳型ExB偏向器による偏向角Θ1が、陰極1(電子源)側に位置する上段(2段目)の走査重畳型ExB偏向器による偏向角Θ2と同じかそれよりも大きく(Θ1≧Θ2)なるように偏向角を設定する。なお、偏向角Θ1とΘ2の偏向方向は逆向きに設定する。この場合、色収差を小さくして分解能の劣化を抑制しながらも、信号検出器17を配置できるだけの自由度を高めることができる。勿論、偏向角Θ1と偏向角Θ2の関係を最適化することにより、信号検出器17の配置位置の自由度をより高めることができる。
なお、一次電子線4が高エネルギーに加速されるために色収差の影響を受け難い場合や、低倍率時であって一次電子線4のビームスポット径の増加がSEM分解能に対して無視できるような場合には、偏向角Θ1の偏向方向と偏向角Θ2の偏向方向を同じ方向に揃えることにより、二次信号電子25を一次電子線4の光軸に対して大きく偏向することもできる。勿論、色収差の影響を受け難い場合にも、偏向角Θ1の偏向方向と偏向角Θ2の偏向方向を逆向きに制御しても良い。いずれにしても、色収差の影響を受け難い場合には、二次信号電子の変更可能な角度を大きくできるため、信号検出器17の配置位置の自由度を更に高めることが可能になる。
(実施例4)
本実施例では、実施例2の装置構成を前提に、走査重畳型ExB偏向器を用いたイメージシフト動作について説明する。従って、後述する説明は、実施例1に係る間接型検出系のSEMにも適用できる。
図10に、走査重畳型ExB偏向器を用いたイメージシフト動作の概念を示す。図10の場合にも、本実施例に係るSEMのうち二次信号検出系のみを示している。
視野移動のために走査用の偏向コイル13を使用してイメージシフト動作する場合、一次電子線4の中心軌道は、図10に実線で示すように折れ曲がった軌道を通る。このとき、二次信号電子21には、図10に示すように、対物レンズ7の磁界、リターディング電位、ブースティング電極の電界が作用する。これら磁界及び電界の作用により、二次信号電子21は集束されながら対物レンズの上方へと進行する。さらに、二次信号電子21には、一次電子線4のイメージシフト動作用に形成される電界又は磁界(すなわち、偏向コイル13で形成される磁界又は偏向電極14で形成される電界)が作用し、更に偏向された軌道を通る。
一次電子線4のイメージシフト時に偏向コイル13による磁界を用いるか、偏向電極14による電界を用いるかにより、二次信号電子21には異なる方向に力が作用する。結果的に、二次信号電子21が通る軌道は、作用する力の方向により変化する。このため、信号検出器17が二次信号電子21を検出できない場合が生じ得る。
しかし、本実施例に係る走査重畳型ExB偏向器の場合には、実施例3で説明したように、二次信号電子の軌道制御が容易である。従って、一次電子線4のイメージシフト動作を磁界と電界のいずれを用いるかによらず、二次信号電子を信号検出器17に導くように偏向角を制御することができる。すなわち、イメージシフトに伴い発生する電界又は磁界に応じ、二次信号電子にのみ作用する偏向の方向と偏向角を制御することにより、常に、二次信号電子23が信号検出器17に入射するように軌道を制御できる。
もっとも、一次電子線4のイメージシフト量が多い場合やイメージシフト位置が異なる場合には、二次信号電子21の軌道も大きく変化する。このため、一つの信号検出器17だけで、イメージシフトの動作領域に対応することは困難な場合もある。このような場合には、複数の信号検出器17を鏡体内に配置し、イメージシフト動作の実行位置及びシフト量に応じて二次信号電子23の検出に使用する信号検出器17を切り替えても良い。
また、走査重畳型ExB偏向器による二次信号電子23の偏向量が大きく、一次電子線4の色収差の影響が懸念される場合には、複数の信号検出器17を光軸周りの内外に配置し、シフト量に応じて検出に使用する信号検出器17を使い分けることが望ましい。例えばイメージシフト量が小さい場合には光軸に近い側(内側)の信号検出器17により二次信号電子23を検出し、イメージシフト量が大きい場合には光軸に遠い側(外側)の信号検出器17により二次信号電子23を検出しても良い。
(実施例5)
本実施例でも、実施例2の変形例を説明する。すなわち、直接型検出系を実装するSEMについて説明する。図11に、本実施例に係るSEMのうち二次信号検出系のみを示す。すなわち、不図示の構成部分は、図1に示す構成と同じである。
本実施例は、走査重畳型ExB偏向器を二次信号電子23の信号分別に使用する例である。走査重畳型ExB偏向器によって離軸された二次信号電子は、実際には、放出角度及び放出エネルギーに応じた広がりを持つ。特に、高エネルギーの二次電子や反射電子は、試料10から放出された方向を維持する。このため、高エネルギーを選択的に検出することで、試料10の凹凸情報を取得することができる。
図11では、信号検出器17の前段に、負電圧を印加したエネルギーフィルタ26を配置する。エネルギーフィルタ26には負電圧が印加されている。ここで、エネルギーフィルタ26は板状の金属導体で構成され、二次信号電子23の拡がりよりも小さいサイズの孔を有している。このため、二次信号電子23のうち低エネルギー側の二次信号電子23はカットされ、高エネルギー側の二次信号電子23だけが孔を通過して信号検出器17に到達する。
前述の通り、試料10から方向性を持って放出された高エネルギーの二次信号電子23はその方向性を維持している。そこで、本実施例では、実施例2〜4に示した走査重畳型ExB偏向器の制御技術を応用し、二次信号電子23にだけ作用する偏向量を連続的に制御する。すなわち、一次電子線4に影響を与えないように、二次信号電子23をエネルギーフィルタ26の表面に沿って走査させる。すると、特定の方向成分を有する(すなわち、高エネルギーを有する)二次信号電子23だけを選択的に信号検出器17において検出することができる。これにより、試料表面の凹凸情報を得ることができる。
(実施例6)
本実施例においても、実施例2の変形例について説明する。図12に、走査重畳型ExB偏向器を用いたイメージシフト動作の概念を示す。図12の場合にも、本実施例に係るSEMのうち二次信号検出系のみを示している。
本実施例は、エネルギーが異なる二次信号電子を分別するための制御技術に対応する。試料10から放出される二次信号電子23は、放出エネルギーの違いにより、走査重畳型ExB偏向器で受ける偏向角度が大きく異なる。このため、低エネルギー側の二次信号電子28と高エネルギー側の二次信号電子29は、図示するように分離される。そこで、低エネルギー側の信号検出器17を光軸に近い側(内側)に配置し、高エネルギー側の信号検出器27を光軸から遠い側(外側)に配置する。配置位置は、エネルギーの違いに応じた偏向角に基づいて決定する。このように、複数の信号検出器17を一次信号線4の光軸からの距離を変えて配置することにより、二次信号電子が有するエネルギーの分別を簡単に実現できる。
なお、走査重畳型ExB偏向器により二次信号電子を大きく偏向すると、色収差が大きくなる。色収差の影響が大きい場合には、図13に示すように、従来型のExB偏向器16を併用して色収差を抑制させても良い。
1…陰極
2…第一陽極
3…第二陽極
4…一次電子線
5…集束レンズ
6…集束レンズ
7…対物レンズ
8…絞り板
9…反射板
10…試料
11…試料台
12…二次信号電子(中心軌道)
13…偏向コイル
14…偏向電極
15…変換二次電子
16…電磁界直交型偏向器(ExB偏向器)
17…信号検出器
18…信号増幅器
19…加速電極
20…第二の電磁界直交型偏向器(ExB偏向器)
21…偏向する前の二次信号電子(中心軌道)
22…偏向する前の二次信号電子群
23…偏向した後の二次信号電子(中心軌道)
24…偏向した後の二次信号電子群
25…大きく偏向した後の二次信号電子の中心軌道
26…エネルギーフィルタ
27…第2の検出器、
28…低エネルギー側の二次信号電子の中心軌道
29…高エネルギー側の二次信号電子の軌道
30…高電圧制御電源
31…集束レンズ制御電源
32…集束レンズ制御電源
33…偏向コイル制御電源
34…偏向電極制御電源
36…対物レンズ制御電源
37…試料印加電源
38…加速電極電源
40…制御演算装置
41…画像メモリ
42…像表示装置
43…記憶装置

Claims (10)

  1. 電子源と、前記電子源から放出される一次電子線を複数の集束レンズ群によって集束して試料上で走査する光学系と、前記一次電子線の走査によって試料から発生する二次信号電子を検出する検出手段とを有し、前記検出手段の検出信号を用いて試料像を形成する走査型電子顕微鏡において、
    偏向コイルの内側に偏向電極を重畳的に配置した電磁界偏向器と、
    前記電磁界偏向器に発生させる電磁界を制御する制御手段と
    を有し、
    前記電磁界偏向器は、前記一次電子線に対しては電界の偏向作用と磁界の偏向作用が相殺される一方で、前記二次信号電子に対しては偏向作用が働く電界及び磁界を重畳させるオフセット電流及びオフセット電圧と、前記偏向コイル又は前記偏向電極に発生される前記一次電子線の偏向走査用及び/又はイメージシフト用の電界又は磁界とを、前記偏向コイル及び前記偏向電極に重畳的に発生する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記二次信号電子は、前記電磁界偏向器により発生される直交電磁界により偏向される
    ことを特徴とした走査型電子顕微鏡。
  3. 請求項1又は2に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記二次信号電子の検出手段は、
    前記二次信号電子が衝突した反射板より発生される変換二次電子を信号検出器に導く電磁界直交偏向器を有する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  4. 請求項1又は2に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記二次信号電子の検出手段は、
    前記オフセット電流及び前記オフセット電圧の印加により発生される電磁界により偏向された二次信号電子が直接衝突する信号検出器を有する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  5. 請求項1に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記電磁界偏向器が前記一次電子線の光軸に沿って二段に配置され、
    当該二段の電磁界偏向器における前記二次信号電子の偏向方向が互いに逆向きに制御される
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  6. 請求項5に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記二段の電磁界偏向器は、前記一次電子線の高加速時又は低倍率観察時の際、前記二段の電磁界偏向器における前記二次信号電子の偏向方向を互いに同じ向きに制御する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  7. 請求項1又は2に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記電磁界偏向器でイメージシフト用の電界又は磁界が発生されている場合に、イメージシフト位置に応じて前記電磁界偏向器に与えるオフセット電流及びオフセット電圧を制御し、前記二次信号電子を所定方向に偏向制御する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  8. 請求項4に記載の走査型電子顕微鏡において、
    前記信号検出器に対する前記二次信号電子の進行路上に負電位を印加制御できる電極を配置し、エネルギーが高い二次信号電子を選択的に検出する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  9. 請求項4に記載の走査型電子顕微鏡において、
    複数の前記信号検出器をエネルギーが異なる二次信号電子の検出用に対応付け、各信号検出器を二次信号電子が有するエネルギーの違いにより生じる偏向量の違いが現れる領域に別々に配置する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  10. 電子源と、前記電子源から放出される一次電子線を複数の集束レンズ群によって集束して試料上で走査する光学系と、前記一次電子線の走査によって試料から発生する二次信号電子を検出する検出手段とを有し、前記検出手段の検出信号を用いて試料像を形成する走査型電子顕微鏡の制御方法において、
    偏向コイルの内側に偏向電極を重畳的に配置した電磁界偏向器に、
    前記一次電子線に対しては電界の偏向作用と磁界の偏向作用が相殺される一方で、前記二次信号電子に対しては偏向作用が働く電界及び磁界を重畳させるオフセット電流及びオフセット電圧と、前記偏向コイル又は前記偏向電極に発生される前記一次電子線の偏向走査用及び/又はイメージシフト用の電界又は磁界とを重畳的に発生する
    ことを特徴とする走査型電子顕微鏡の制御方法。
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