JP2012003193A - 現像装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二成分現像剤が収容されるハウジング50に、開口部88、89を介して連通する供給室58と攪拌室59が設けられ、供給室58に配された供給スクリュー52により現像剤をG1方向に搬送しつつ現像ローラに供給し、攪拌室59に配された攪拌スクリュー53により現像剤をG2方向に搬送することにより、ハウジング50の内部を現像剤が循環搬送する現像装置において、画像形成時に供給室58の領域M1における現像剤の平均搬送速度をV1、攪拌室59の領域M2における現像剤の平均搬送速度をV2、領域M2よりも下流に位置する領域M3における現像剤の平均搬送速度をV3としたとき、V1<V2<V3の関係になるように構成されている。
【選択図】図3
Description
現像器は、通常、現像剤を担持する現像ローラと、螺旋羽根が設けられた搬送スクリューなどで現像剤を循環搬送する循環路を有する構成になっている。
現像ローラは、感光体ドラムに対向配置され、担持する現像剤により感光体ドラム上の静電潜像をトナーで現像する。
このような循環搬送の構成では、それぞれの連通路のところで現像剤が留まることが多く、連通路で現像剤が溜まると、第1と第2の搬送路において現像剤の液面(嵩の高さ)が上流側よりも下流側の方が高くなって現像剤の液面が安定しないことが多くなる。
現像剤の液面を安定させる現像器の構成として、特許文献1には、水平面に沿って隣接配置される第1と第2の現像剤搬送路の両方において、搬送路のうち下流側の端部だけ、これよりも上流の領域に比べて現像剤の搬送速度が大きくなるように、搬送スクリューにのうち、下流側の端部だけ螺旋羽根のピッチを大きくした構成が開示されている。
現像器は、通常、主走査方向(搬送されるシートの搬送方向に直交する幅方向に相当)に沿って長尺状の構成になっているため、現像器を小型化する場合、その筐体(ハウジング)の長手方向の長さを短くすることや、ハウジングの幅を狭くすることが考えられる。
現像器のハウジングをより狭幅化するということは、ハウジングにおける現像剤の収容容量が少なくなって、収容する現像剤量を減らさなければならなくなる。
少ない量の現像剤を、小型化前の構成と同じ量だけ感光体ドラムに供給する方法の一つに、ハウジング内の現像剤の循環速度をより高速化して現像ローラに供給する単位時間当たりの現像剤量を多くする方法がある。現像剤の循環速度を高速化する方法としては、搬送スクリューの回転速度をより高速化することが考えられる。
また、現像器では、現像によりトナーが消費されると、その消費分の相当量のトナーを補給する動作が行われるが、消費と補給の時間的なずれにより、ある程度、ハウジング内の現像剤量が増減することが繰り返される。
ところが、小型化により現像剤の全体量が少なくなった状態で、その全体量が多い構成と同じ量の現像剤の増減が生じると、増減量の、全体量に対する割合が大きくなり、現像剤量が減ったときに現像ローラへの現像剤の供給不足が生じ易くなる。現像ローラへの現像剤の供給不足が生じると、高濃度画像の濃度低下など現像性能の低下に繋がる。
特許文献1の現像器では、現像剤量を減らすと、その分だけ第1と第2搬送路の両方で全体的に現像剤の液面が低下することが想定されるが、現像剤の全体量が少なくなるので、現像剤量の増減が生じると、その増減量の、全体量に対する割合が大きくなって、現像ローラへの現像剤の供給不足が生じ易くなる。また、現像剤の搬送速度を上げれば、帯電量不足のトナーが現像ローラに供給され易くなるという問題がある。
ここで、前記パドルの前記現像剤搬送方向における幅と、前記第2連通部の前記現像剤搬送方向における幅とが略等しいことを特徴とする。
さらに、前記第1搬送部材と第2搬送部材は、それぞれ同じピッチを有する螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、前記第2搬送部材の方が前記第1搬送部材よりも回転数が高く、前記第2搬送部材の軸部には、軸方向への現像剤の搬送を抑制するための複数のパドルが当該軸方向に沿って間隔をおいて、当該軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されており、前記第2搬送部材における前記上流側の領域に存する部分に設けられたパドルの方が、下流側の領域に存する部分に設けられたパドルよりも高さが高いことを特徴とする。
また、前記第1搬送部材と第2搬送部材は、螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、前記第1搬送部材における螺旋羽根のピッチをP1、前記第2搬送部材における螺旋羽根のうち、上流側の領域に存する部分におけるピッチをP2、下流側の領域に存する部分におけるピッチをP3としたとき、P1<P2<P3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする。
本発明は、像担持体上の静電潜像を現像する現像部を有する画像形成装置であって、前記現像部として、上記の現像装置を備えることを特徴とする。
従って、現像剤量がある程度変動しても、第1搬送路では第2搬送路よりも、その変動量の、第1搬送路上に存する現像剤量に対する割合が少なくて済むので、第1搬送路では現像剤量の変動の影響を受け難くなり、現像剤担持体への現像剤の供給量が現像性能に影響を及ぼすまで低下するのを防止することができる。
〔実施の形態1〕
<プリンタの全体構成>
図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の全体構成を示す概略図である。
画像プロセス部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の再現色に対応した作像部10Y〜10Kを有する。作像部10Yは、感光体ドラム11と、その周囲に配された帯電器12、露光部13、現像部14、一次転写ローラ15、クリーナ16などを備えている。
露光部13は、帯電された感光体ドラム11をレーザ光Lにより露光走査して、感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。
現像部14は、トリクル現像方式によるものであり、キャリアとトナーを含む二成分現像剤が収容され、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーで現像する。これにより感光体ドラム11上にY色のトナー像が作像される。
中間転写ベルト21は、駆動ローラと従動ローラに張架されて、駆動ローラの駆動力により同図の矢印で示す方向に循環走行される。
給送部30は、上記の作像タイミングに合わせて、給紙カセットからシートSを1枚ずつ繰り出して、繰り出されたシートSを搬送路31上を二次転写ローラ22に送る。
各色トナー像が二次転写された後のシートSは、定着部40まで搬送され、定着部40において加熱、加圧されることにより、その表面のトナーがシートSの表面に融着して定着された後、排紙ローラ32によって排紙トレイ33上に排出される。
<現像部の構成>
図2は、現像部14の構成例を示す横断面図である。
現像ローラ51は、供給室58の、感光体ドラム11に対向する位置に設けられた開口部に配置されており、円筒形の現像スリーブ511と、現像スリーブ511の内部に軸方向に沿って挿通されるマグネットローラ512を備えている。
現像スリーブ511は、ハウジング50の開口部を介して感光体ドラム11と対向する部分が開口部から露出すると共に、矢印Bで示す方向に回転自在にハウジング50に保持され、静止しているマグネットローラ512の周りを、マグネットローラ512の磁力により表面に現像剤Dを保持(担持)しつつ回転する。
攪拌スクリュー53は、攪拌室59に配置され、軸方向に平行な姿勢で回転自在にハウジング50に支持されており、矢印Jで示す方向に回転することにより攪拌室59内の現像剤Dを供給スクリュー52による搬送方向とは反対の方向に攪拌しつつ搬送する。
図3は、図2のE−E線における現像部14の矢視断面図であり、図4は、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53に対する回転駆動力の伝達機構の構成例を示す側面図である。なお、図3では、現像剤Dを省略している。
以下、供給室58と攪拌室59のそれぞれについて、各室のうち、軸方向に開口部88の設けられている領域m1と、開口部89の設けられている領域m2と、それらの間の領域m3とからなる領域を領域M1という。また、軸方向に、供給室58のうち、領域M1を除く領域を領域N1といい、攪拌室59のうち、領域Mを除く領域を領域N2という。
なお、領域M1は、後述のように現像剤Dの循環路を構成する領域に相当し、領域N1は、トリクル現像方式による現像剤Dの排出路の領域に相当し、領域N2は、補給用の新たな現像剤Dの供給路の領域に相当する。
<供給スクリュー52について>
供給スクリュー52は、回転軸61と、螺旋羽根62、63、64と、複数のパドル65を有する。回転軸61は、軸方向両端部が供給室58の軸方向両側壁に軸受部材(不図示)などを介して回転自在に支持されると共に、同図右側の端部が側壁の外に延出されており、その延出されている軸部分にギア83(図4)が取着され、ギア83からの回転駆動力により矢印C方向(図2)に回転駆動される。
螺旋羽根62と64は、回転軸61の回転により供給室58内の現像剤Dを矢印G1方向に搬送する方向に螺旋の巻き方向が設定されているが、螺旋羽根63は、矢印G1とは反対の方向に現像剤Dを搬送する方向に巻き方向が設定されている。
複数のパドル65は、それぞれが回転軸61の外周面から軸方向に直交する方向に沿って突出されると共に軸方向に沿って平行な板状の部材からなり、回転軸61の外周面上であり軸方向に螺旋羽根62の羽根部分と羽根部分との間に立設されており、軸方向に搬送される現像剤Dに対して軸周り(周方向)に現像剤Dを掬うように回転移動することにより、螺旋羽根62による現像剤Dの搬送を抑制する機能を有する。
パドル65の高さ(回転軸61の外周面から軸に直交する方向の突出量)を高くすると、パドル65に掬われる粒子の量が増えるので、搬送速度の抑制の効果が大きくなる。同様に、パドルの数や軸方向長さによっても抑制効果が変わる。
<攪拌スクリュー53について>
攪拌スクリュー53は、回転軸71と、螺旋羽根72と、大きさの異なる3種類のパドル73、74、75を有する。
螺旋羽根72は、回転軸71におけるm1領域を除く領域、すなわちM3、M2、N2領域に存する軸部分の外周面に沿って螺旋状に設けられてなり、回転軸71の回転によって、攪拌室59内の現像剤Dを矢印G2で示す方向(矢印G1とは反対の方向)に搬送する。なお、螺旋羽根72と螺旋羽根62は、ピッチと外径が同じになっている。
パドル73は、回転軸71におけるM2、N2領域に存する軸部分の外周面上に軸方向に間隔をあけて螺旋羽根72の羽根部分と羽根部分との間に立設されており、パドル74は、回転軸71におけるM3領域に存する軸部分の外周面上に軸方向に間隔をあけて螺旋羽根72の羽根部分と羽根部分との間に立設されている。
領域M2も領域M3も同じピッチの螺旋羽根72により現像剤Dが搬送され、パドルの高さがH2<H1なので、パドル74の設けられているM3領域の方が、パドル73の設けられているM2領域よりも現像剤Dの搬送速度が速くされることになる。
それぞれのパドル75は、攪拌室59内において回転軸71の回転によって螺旋羽根72により領域m1まで搬送されて来た現像剤Dを掬って持ち上げるようにすることにより、その現像剤Dを、開口部88を介して供給室58に搬送する機能を有している。なお、パドル75の、開口部88に対する軸方向長さは、特に限定されないが、掬い上げた現像剤Dのより多くを開口部88に搬送できることが望ましく、この点からすればパドル75の軸方向長さを開口部88の軸方向長さと等しくすることが好ましい。
<各スクリューの駆動伝達機構について>
供給スクリュー52と攪拌スクリュー53に回転駆動力を付与するための駆動伝達機構は、図4に示すようにギア81〜ギア84などからなる。
駆動モータ45の回転駆動力がギア81からアイドルギア82を介してギア83、ギア84に順に伝達されることにより、ギア83が同図の矢印C方向に回転し、ギア84が同図の矢印J方向に回転する。これにより、供給スクリュー52が矢印C方向に回転駆動され、攪拌スクリュー53が矢印J方向に回転駆動される。
<現像剤の流れの説明>
現像ローラ51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53がそれぞれ回転駆動されることにより、ハウジング50内の現像剤Dが図5に示すように搬送される。
同図に示すように、供給室58内の現像剤Dは、領域M1において供給スクリュー52の螺旋羽根62により同図の右方向(矢印G1方向)に搬送され、領域M1における現像剤搬送方向の下流側の端部で、開口部89を介して攪拌室59に搬送されるものと領域N1に搬送されるものとに分岐される。
具体的には、現像剤Dが供給室58内の領域M1を搬送中に、図2に示すマグネットローラ512の磁極N1(キャッチ極)の磁力によって、現像スリーブ511の周面に担持される。現像スリーブ511の周面上に担持された現像剤Dは、現像スリーブ511の回転により、規制部材54と現像スリーブ511間の隙間を通過する際に規制部材54によりその通過量を規制され、磁極S1の位置を通過して、感光体ドラム11と対向する現像位置Fに一定量が搬送される。
<現像剤の補給について>
図5に示すように、攪拌室59において領域M1よりも現像剤搬送方向の上流に位置する領域N2は、新たな現像剤Dの補給用の供給路98を構成している。
具体的には、キャリアの補給については、現像ローラ51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53の回転中に一定量、一定時間(例えば数秒)毎に補給される。キャリアの補給により、ハウジング50内の現像剤Dの量が増加することになるが、その補給量に相当する量の現像剤Dが排出口90から外部に排出されるので、ハウジング50内において現像剤量が増加し続けることがなく、ある程度の大きさの変動幅内で、現像剤量が多くなったり少なくなったりすることが繰り返される。
そして、攪拌スクリュー53により攪拌室59内の第2搬送路96を攪拌搬送される際に、現像剤Dに含まれるキャリアとトナーの各粒子同士が接触帯電して、帯電された状態で供給室58に搬送される。
<現像剤の搬送速度について>
上記のように、(a)供給スクリュー52と攪拌スクリュー53の双方は、螺旋羽根のピッチが同じであり、(b)攪拌スクリュー53の方が供給スクリュー52よりも回転数が高く、(c)パドルの高さがH2<H1の関係を有するように構成されているので、攪拌スクリュー53の方が供給スクリュー52よりも現像剤Dの搬送速度が速く、かつ攪拌スクリュー53を領域M2に存する部分とこれよりも現像剤搬送方向下流である領域M3に存する部分とに分けると、攪拌スクリュー53における領域M3に存する部分の方が領域M2に存する部分よりも現像剤Dの搬送速度が速くなることになる。
<現像剤の液面について>
領域単位で現像剤の搬送速度に大小をつけることにより、画像形成動作中でのハウジング50内の現像剤Dの液面は、図7の模式図に示す状態で均衡するようになる。
これに対して、攪拌室59の領域M2では、現像剤Dが少なくなっており、現像剤Dの液面112も軸方向の略全体に亘って低くなっている。
このような現像剤量の大小(現像剤Dの液面の高低)が生じるのは、領域M1〜M3の現像剤搬送速度がV1<V2<V3の関係を有するように構成しているからである。
一方、領域M2では、現像剤Dの搬送速度V2が領域M1の搬送速度V1よりも速いので、その速度差の分だけ領域M2の方が領域M1よりも現像剤Dが速く通過して、領域M2の方が領域M1よりも現像剤Dの留まる時間が短くなる。従って、領域M2の方が領域M1よりも現像剤量が少なくなって現像剤Dの液面112が下がることになる。
このような各領域M1〜M3の液面の様子は、循環路内の複数の領域で現像剤の搬送速度が異なる場合に、最も搬送速度の遅い領域を基準に他の領域の液面が決まっていき、時間経過と共にその液面が安定して均衡することに基づく結果によるものと想定される。
搬送能力を調べる方法として、ここでは領域毎に、その領域に存する現像剤量X〔g〕をその領域を現像剤が通過するのに要する時間T〔秒〕で除した値を、搬送能力を示す値とする方法を用いた。
(2)タイマーのカウントを開始した後、地点Aに所定量のトナーを投入する。
(3)地点Aにトナーが投入された瞬間に、地点Aにおける現像剤の濃度が、投入されたトナー量の分だけ上がる(センサによる濃度波形に一のピークが現れる状態になる)ので、その濃度が上がった時点のタイマーのカウント値T1を読みとる。
(4)地点Bにおける現像剤の濃度が上がった時点でのタイマーによるカウント値T2を読みとって、(T2−T1)の値を求める。この(T2−T1)の値は、投入されたトナーが一の領域における地点Aから現像剤搬送方向に地点Bに到達するまでに要する時間になり、現像剤が一の領域を通過するのに要する時間に相当するので、この(T2−T1)の値を上記の時間Tとする。この(T2−T1)の値の算出を領域別に行い、各領域に対する時間Tを求める。領域別に、循環搬送中に一周毎に(T2−T1)の値を測定して、その平均値を時間Tとしても良い。
(6)領域毎にその領域における現像剤の搬送能力を、X/T〔g/秒〕として算出する。なお、上記とは異なる方法を用いて搬送能力を検出することもできる。
ハウジング50内における現像剤の液面の分布は、図7に示す分布と略同じになった。
ここで、現像剤量の変動とは、トリクル現像方式により新たな現像剤が補給されつつ排出される動作と、画像形成中に現像によりトナーが消費されると新たなトナーが補給される動作とが時間経過に連れて繰り返されることにより生じるものである。
領域M1における現像剤の液面が最も高く、領域M2における現像剤の液面が最も低くなっているのは、上記の図7と同じである。
すなわち、上記のように循環路101では現像剤Dの搬送速度の最も遅い領域M1を基点に他の領域M2、M3に存在する現像剤量の割合が振り分けられる。現像剤Dの搬送速度V1〜V3は、現像剤量が変動しても変わらないので、全体の現像剤量が変動した場合、その変動量に応じて領域M1を基点に領域M2、M3への現像剤量の割合が決まる。
従って、全体の現像剤量が標準時から減少しても、最も搬送速度の遅い領域M1を基点に領域M2、M3よりも多くの量の現像剤が領域M1に集まった状態で安定(現像剤の量の変動が収束)するようになるので、図10の波形部分131に示すように、現像剤量が標準時から減少したことにより領域M1での液面が下降し始めても、その下降が直ぐに収まって(下降状態が長く続かず)、僅かな変動幅内で変動する状態が維持され、標準時からの低減量が少なくて済み、液面高さの下降も少なくて済む。
領域M3では、領域M1と連通する開口部88を先頭に、これよりも領域M3における現像剤搬送方向の上流側に現像剤Dが滞留する状態になっていることは変動前と変わらず、領域M2よりも現像剤量が多い状態が続く。このため、領域M3では標準時からの現像剤Dの液面高さの下降量が少なくなっている(図10の波形部分133)。
従って、全体の現像剤量が標準時から増加した場合、領域M1の現像剤量はある程度増えるが(図10の波形部分141)、増加により領域M1に収容しきれなくなった分の現像剤Dは、もともと現像剤量の割合の少なかった領域M2、M3に回されるようになって領域M2とM3における現像剤量が増えるので(図10の波形部分142、143)、領域M1の現像剤量が過多になって、その液面が極端に上昇するといったことは生じない。
このように循環路101のうち、現像ローラ51に現像剤Dを供給する領域M1(第1搬送路95)とは別の領域M2(第2搬送路96における上流側の部分)で、現像剤量が変動したときのその変動量を吸収するように構成することにより、供給室58(第1搬送路95)では現像剤Dの液面が標準時と大きく変わらない(変動が少ない)状態で現像剤Dを搬送することが可能になる。
補給用の現像剤は、攪拌室59内を攪拌搬送される際に粒子間の摩擦接触等により帯電し、この帯電量は、攪拌搬送される時間をより長くした方が多くなるので、領域M2における搬送速度V2をV3よりも遅くすることにより、現像に必要な帯電量を確保することができ、現像剤Dの帯電量不足による現像性能の低下も防止することができる。
<実施例と比較例における現像性能について>
図11は、現像剤Dの平均搬送速度V1〜V3の大小関係を本実施の形態と同じ関係を有する構成(実施例)と、これとは異なる関係を有する構成(比較例1〜3)における現像性能(追随性、供給性、かぶり)の良否を実験した結果を示す図である。
現像部14では、上記のように供給室58内の現像剤Dは、現像ローラ51の磁極N1で磁力により担持され、現像ローラ51に担持されたまま現像位置Fに至り、現像位置Fを通過した後、磁極N3で開放されることが連続的に行われる。
そこで、実験では、N枚、例えば200枚のA4サイズのシートを連続通紙して各シートに略全面にK(ブラック)色のベタ画像を形成するジョブを実行したときに、1枚目からN枚目を通して、シート上に形成されたベタ画像の濃度が所定濃度を維持しているか否かにより、画像濃度の追随性の良否を判断するようにした。なお、所定濃度としては、最大(最も濃い)濃度より薄いが、人の目で見たときにブラック色のベタ画像と見える程度の濃度とした場合の例を示している。
具体的には、供給室58内に存在する現像剤量がある程度多ければ、最大濃度の画像形成により多くのトナーが短時間に消費されても、そのトナー消費後の現像剤Dが現像ローラ51の磁極N3から開放されると、トナーが消費されていない(トナー消費前の)現像剤Dを直ぐに供給室58から現像ローラ51に供給することができる。
現像時に単位時間当たりのトナー消費量が多くなるほど、現像ローラ51への現像剤Dの供給不足が生じ易くなり、単位時間当たりのトナー消費が最も大きくなるのは、最大濃度のベタ画像を形成する場合である。
すなわち、実施例では、現像剤Dの搬送速度がV1<V2<V3の関係を有しており、これにより、ハウジング50内の現像剤Dのうち、供給室58の方が攪拌室59よりも現像剤量の割合が大きくなって、供給室58により多くの現像剤を搬送することができる。
例えば、比較例1(V1=V2=V3)と比較例2(V1>V2=V3)は、供給性が不良になっている。これは、比較例1、2において、領域M1における現像剤Dの搬送速度V1が領域M1〜M3の中で最も遅い速度になっていないからである。
すなわち、比較例1、2では、搬送速度V1が領域M2における搬送速度V2と同じかV2より速くなっており、このように搬送速度V1を速くすると、領域M1(供給室58)において現像剤Dの滞留を作り出し難く、供給室58に存在する現像剤量の割合を高くすることができなくなる。また、上記のように最も搬送速度の遅い領域を基点に現像剤Dの配分が決まるので、比較例1、2共、実施例に比べて領域M1の液面が下がり、領域M2の液面が上がるようになる。
比較例3(V1<V2=V3)では、追随性と供給性が良好になっている。これは、領域M1における現像剤Dの搬送速度V1が最も搬送速度が遅いことから、供給室58に存在する現像剤量の割合を実施例と同様に高めることができるからである。
また、V3だけを極端に大きくする、例えば攪拌スクリュー53のピッチを現像剤搬送方向下流の部分だけ極端に大きくする構成をとれば、攪拌室59(第2搬送路96)において開口部88に送られる現像剤量が増大するが、その一方で供給室58ではV1が遅いので、開口部88のところで現像剤Dが凝集されたようになる。
従って、現像剤Dがスムーズに循環搬送されつつ、各領域での現像剤の液面が図10に示すようなバランスのとれる範囲内でV1<V2<V3の関係が決められることになる。
従って、装置小型化に伴って現像部に収容される現像剤量を従来よりも少なくせざるを得なくなったとしても、従来のように循環路の全体を同じ液面に維持しようとする構成をとる場合に比べて、現像剤量の変動に起因する現像性能の低下を防止することができる。
また、上記では、トリクル現像方式の現像部の構成例を説明したが、現像剤量が標準より少なくなった場合にも現像性能の低下を防止することができるという効果を奏することは、トリクル現像方式ではない通常の方式(二成分現像剤においてトナーを補給するがキャリアを補給せず、現像剤も排出しない方式)において、現像装置の小型化により現像剤量が少なくなった構成にも適用可能であることを意味するので、トリクル現像方式に限られず、現像装置一般に適用しても、上記と同様の効果を得られることになる。
補給口91は、攪拌室59の領域M2における現像剤搬送方向の上流側の端部に設けるとすれば良い。補給口91から補給されたトナーは、領域M2を搬送される間に現像に必要な量まで帯電される。
上記実施の形態1では、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53を同じピッチのものを用いるとしたが、本実施の形態2では、異なるピッチのものを用いるとしており、この点で実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図12に示すように、供給スクリュー201の螺旋羽根における領域M1に位置する部分のピッチをP1、攪拌スクリュー202の螺旋羽根における領域M2に位置する部分のピッチをP2、領域M3に位置する部分のピッチをP3とすると、P1<P2<P3の関係になっている。
供給スクリュー201と攪拌スクリュー202の回転数が同じで、螺旋羽根のピッチの大小関係がP1<P2<P3の関係になっているので、現像剤Dの搬送速度V1〜V3は、上記実施の形態1と同様にV1<V2<V3の関係を満たすものになる。
このように供給スクリュー201と攪拌スクリュー202の螺旋羽根のピッチを変える構成をとることにより、同じ大きさの駆動ギアを用いることによるコストメリットと共に組立作業性の容易化を図りつつ、現像剤Dの搬送速度V1〜V3をV1<V2<V3の関係を満たすように構成することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、攪拌室59における軸方向長さの中点の位置(位置α2)を境に上流側を領域M2、下流側を領域M3と分ける構成をとったが、領域M2とM3の境界の位置は中点の位置に限られず、中点の位置から一方端側または他方端側にずれた位置が境界になる構成であっても良い。
(2)上記実施の形態1では、現像剤Dの搬送速度V2<V3の関係を満たすため、攪拌スクリュー53の回転軸71の領域M2に位置する部分に設けられたパドル73の高さH1を、領域M3に位置する部分に設けられたパドル74の高さH2よりも高くする構成をとったが、これに限られない。V2<V3の関係を有することができれば良い。例えば、パドル73、74を設けずに、実施の形態2のように攪拌スクリュー53の螺旋羽根72における領域M2に位置する部分のピッチP2を、領域M3に位置する部分のピッチP3よりも小さくすることが考えられる。また、パドル65、73〜75の形状や大きさ、個数などが上記に限られないことはいうまでもなく、例えばパドルを設けない構成や隣り合うもの同士の形状や大きさが異なるなど装置構成に応じて決めることができる。
(6)上記実施の形態では、回転により現像剤Dを搬送する回転搬送部材として、突条の螺旋羽根が設けられた供給スクリュー52と攪拌スクリュー53の例を説明したが、現像剤Dを搬送可能な回転する搬送部材であれば、螺旋羽根を用いる構成に限られない。例えば、回転軸に螺旋状の溝を有するスクリューなどを用いることも可能である。
(7)上記実施の形態では、本発明に係る現像装置と画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、例えば複写機、ファクシミリ装置、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
また、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53などの各部材の形状、大きさなどは、上記に限られない。また、トリクル現像方式による現像剤の排出量を制限するために、供給スクリュー52に逆巻き部としての螺旋羽根63を設けるとしたが、装置構成によっては、これを設けない構成をとるとしても構わない。
11 感光体ドラム
14、200 現像部
45 駆動モータ
50 ハウジング
51 現像ローラ
52、201 供給スクリュー
53、202 攪拌スクリュー
57 隔壁
58 供給室
59 攪拌室
61 供給スクリューの回転軸
62、63、64 供給スクリューの螺旋羽根
65、73、74、75 パドル
71 攪拌スクリューの回転軸
72 攪拌スクリューの螺旋羽根
83、84、203、204 ギア
88、89 開口部(連通路)
90 排出口
91 補給口
95 第1搬送路
96 第2搬送路
97 現像剤の排出路
98 現像剤の供給路
101 循環路
111、112、113 現像剤の液面
D 現像剤
P ピッチ
Claims (11)
- 第1搬送路に配され、回転により、トナーを含む現像剤を搬送する第1搬送部材と、前記第1搬送路における現像剤搬送方向の下流側と第1連通路を介して連通すると共に上流側と第2連通路を介して連通する第2搬送路に配され、回転により、現像剤を搬送する第2搬送部材とを有し、前記第1搬送路と前記第2搬送路とが前記第1と第2の連通路を介して連通してなる循環路内で現像剤を循環させつつ、前記第1搬送路に沿って配された現像剤担持体に現像剤を供給する現像装置であって、
前記第2搬送路を現像剤搬送方向の上流側の領域とこれよりも下流の下流側の領域とに分けたときに前記上流側の領域に補給用のトナーが補給され、
前記第1搬送部材と第2搬送部材が回転駆動されたときの、前記循環路内における前記第1搬送部材による現像剤の平均搬送速度をV1、前記第2搬送部材のうち前記上流側の領域に存する部分による現像剤の平均搬送速度をV2、前記下流側の領域に存する部分による現像剤の平均搬送速度をV3としたとき、V1<V2<V3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする現像装置。 - 前記第1搬送路から分岐された排出路と、
前記第2搬送路における前記上流側の領域に合流する供給路と、を備え、
前記現像剤は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であり、
前記補給用のトナーに加えて補給用のキャリアを、前記供給路を介して前記第2搬送路に供給しつつ、前記第1搬送路を搬送される現像剤の一部を、前記排出路を介して外部に排出する現像方式であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。 - 前記第1搬送路を構成する供給室と、
前記第2搬送路を構成する攪拌室と、を備え、
前記第1搬送部材は、前記供給室に収容され、
前記第2搬送部材は、前記攪拌室に収容され、
前記供給室と攪拌室は、
これらが仕切りで区画される部分と、前記現像剤搬送方向に前記仕切りを挟んだ両側のそれぞれに前記供給室と攪拌室とを連通する第1と第2の開口部とが設けられてなり、
前記第1と第2の連通路は、前記第1と第2の開口部であり、
前記攪拌室が前記供給室より斜め下方若しくは直下に位置する構成、または斜め上方若しくは直上に位置する構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。 - 前記第2搬送部材の、前記第2の連通部に対向する部分には、
前記第2搬送路を搬送される現像剤を、前記第2連通部を介して前記第1搬送路に送り込むためのパドルが、前記第2搬送部材の軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記パドルの前記現像剤搬送方向における幅と、前記第2連通部の前記現像剤搬送方向における幅とが略等しいことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
- 前記第2搬送部材のうち、前記上流側の領域に存する部分とは、
前記第2搬送路における現像剤搬送方向の中点の位置よりも上流に存する部分であり、
前記第2搬送部材のうち、前記下流側の領域に存する部分とは、
前記第2搬送路における前記中点の位置よりも下流に存する部分であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1搬送部材と第2搬送部材は、
それぞれ同じピッチを有する螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、
前記第2搬送部材の方が前記第1搬送部材よりも回転数が高く、
前記第2搬送部材の軸部には、
軸方向への現像剤の搬送を抑制するための複数のパドルが当該軸方向に沿って間隔をおいて、当該軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されており、
前記第2搬送部材における前記上流側の領域に存する部分に設けられたパドルの方が、下流側の領域に存する部分に設けられたパドルよりも高さが高いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第2搬送部材の回転数が前記第1搬送部材の回転数に対して1.1倍〜1.3倍の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
- 前記第1搬送部材と第2搬送部材は、螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、
前記第1搬送部材における螺旋羽根のピッチをP1、前記第2搬送部材における螺旋羽根のうち、上流側の領域に存する部分におけるピッチをP2、下流側の領域に存する部分におけるピッチをP3としたとき、P1<P2<P3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1搬送部材と第2搬送部材は、
同速で回転駆動されることを特徴とする請求項9に記載の現像装置。 - 像担持体上の静電潜像を現像する現像部を有する画像形成装置であって、
前記現像部として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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