JP2012003193A - 現像装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化を図りつつ現像性能の低下を防止できる現像装置を提供すること。
【解決手段】二成分現像剤が収容されるハウジング50に、開口部88、89を介して連通する供給室58と攪拌室59が設けられ、供給室58に配された供給スクリュー52により現像剤をG1方向に搬送しつつ現像ローラに供給し、攪拌室59に配された攪拌スクリュー53により現像剤をG2方向に搬送することにより、ハウジング50の内部を現像剤が循環搬送する現像装置において、画像形成時に供給室58の領域M1における現像剤の平均搬送速度をV1、攪拌室59の領域M2における現像剤の平均搬送速度をV2、領域M2よりも下流に位置する領域M3における現像剤の平均搬送速度をV3としたとき、V1<V2<V3の関係になるように構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、現像装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
複写機やプリンタなどの画像形成装置は、像担持体として例えば感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像器を備える。
現像器は、通常、現像剤を担持する現像ローラと、螺旋羽根が設けられた搬送スクリューなどで現像剤を循環搬送する循環路を有する構成になっている。
現像ローラは、感光体ドラムに対向配置され、担持する現像剤により感光体ドラム上の静電潜像をトナーで現像する。
現像剤の循環路としては、第1搬送路と、第1搬送路の現像剤搬送方向とは反対方向に現像剤を搬送する第2搬送路と、第1搬送路の下流側と第2搬送路の上流側を連通する第1連通路と、第2搬送路の下流側と第1搬送路の上流側を連通する第2の連通路からなり、現像剤を循環搬送させつつ、第1搬送路に沿って配された現像ローラに現像剤を供給する構成をとるものが多い。
第1と第2の搬送路のそれぞれには、現像剤を搬送する搬送スクリューが設けられているが、第1と第2の連通路には、搬送スクリューが設けられておらず、現像剤は、第1と第2の搬送路に設けられた搬送スクリューによる搬送力で循環搬送される。
このような循環搬送の構成では、それぞれの連通路のところで現像剤が留まることが多く、連通路で現像剤が溜まると、第1と第2の搬送路において現像剤の液面(嵩の高さ)が上流側よりも下流側の方が高くなって現像剤の液面が安定しないことが多くなる。
現像剤の液面が安定しなくなると、現像ローラの軸方向両端で現像剤量に片寄りが生じ、例えば現像剤量の少なくなる方の端部側で現像性能が低下するおそれが生じる。
現像剤の液面を安定させる現像器の構成として、特許文献1には、水平面に沿って隣接配置される第1と第2の現像剤搬送路の両方において、搬送路のうち下流側の端部だけ、これよりも上流の領域に比べて現像剤の搬送速度が大きくなるように、搬送スクリューにのうち、下流側の端部だけ螺旋羽根のピッチを大きくした構成が開示されている。
この構成をとれば、搬送スクリューの下流側の端部で現像剤の搬送速度が速くなるので、連通路に入る直前で現像剤の移動速度が増して、その勢いで現像剤が連通路を通過し易くなり、連通路で溜まり難くなるというものである。
特開2007−334101号公報
ところで、画像形成装置は、オフィス等に設置されることから装置の小型化の要請が強い。画像形成装置の小型化を図る方法の一つとして、画像形成装置の主要部を担う現像器を小型化することがある。
現像器は、通常、主走査方向(搬送されるシートの搬送方向に直交する幅方向に相当)に沿って長尺状の構成になっているため、現像器を小型化する場合、その筐体(ハウジング)の長手方向の長さを短くすることや、ハウジングの幅を狭くすることが考えられる。
ところが、画像形成装置の小型化には、システム速度や使用するシートの大きさなど画像形成に関する機能を変えないことが条件とされることがほとんどである。この条件を満たそうとすると、ハウジングを長手方向に短縮化することができず、元々の長尺状であったものを、より狭幅化する方法をとることになる。
現像器のハウジングをより狭幅化するということは、ハウジングにおける現像剤の収容容量が少なくなって、収容する現像剤量を減らさなければならなくなる。
システム速度を小型化前と同じとすると、感光体ドラムへの現像剤の単位時間当たりの供給量も小型化前と同じ量にしなければ、その前後で同じ現像性能を得られない。
少ない量の現像剤を、小型化前の構成と同じ量だけ感光体ドラムに供給する方法の一つに、ハウジング内の現像剤の循環速度をより高速化して現像ローラに供給する単位時間当たりの現像剤量を多くする方法がある。現像剤の循環速度を高速化する方法としては、搬送スクリューの回転速度をより高速化することが考えられる。
ところが、搬送スクリューの回転速度を上げれば上げるほど現像剤の乱流が発生して、搬送スクリューの回転速度に対して現像剤の単位時間当たりの搬送量がリニアに変化しなくなるため、搬送スクリューの回転速度を高速化するだけでは現像剤の循環速度を速めることは困難である。
また、現像器では、現像によりトナーが消費されると、その消費分の相当量のトナーを補給する動作が行われるが、消費と補給の時間的なずれにより、ある程度、ハウジング内の現像剤量が増減することが繰り返される。
ハウジング内の現像剤量の増減が生じると、その増減に応じて現像ローラへの現像剤の供給量も増減することになる。現像剤の全体量がある程度多ければ、現像剤の増減量の、全体量に対する割合が少なくて済み、現像ローラへの供給量にあまり影響を与えない。
ところが、小型化により現像剤の全体量が少なくなった状態で、その全体量が多い構成と同じ量の現像剤の増減が生じると、増減量の、全体量に対する割合が大きくなり、現像剤量が減ったときに現像ローラへの現像剤の供給不足が生じ易くなる。現像ローラへの現像剤の供給不足が生じると、高濃度画像の濃度低下など現像性能の低下に繋がる。
また、新たに補給されたトナーは、搬送中に攪拌されることにより帯電される必要があるが、搬送スクリューの回転速度を高速化すれば、それだけ現像剤の移動速度が速くなって、必要な帯電量に至っていない状態で現像ローラに供給されることが生じ易くなる。帯電量不足になると、いわゆる白ベタ部のかぶりなど現像性能の低下を招く。
特許文献1の現像器では、現像剤量を減らすと、その分だけ第1と第2搬送路の両方で全体的に現像剤の液面が低下することが想定されるが、現像剤の全体量が少なくなるので、現像剤量の増減が生じると、その増減量の、全体量に対する割合が大きくなって、現像ローラへの現像剤の供給不足が生じ易くなる。また、現像剤の搬送速度を上げれば、帯電量不足のトナーが現像ローラに供給され易くなるという問題がある。
このような問題は、いわゆるトリクル現像方式の現像装置を用いる場合に、特に発生し易い。トリクル現像方式は、ハウジングの補給口から新たなキャリアを含む現像剤をハウジング内に少量ずつ補給しつつ、補給により過剰となった現像剤の一部をハウジングの排出口からオーバーフローにより外に排出させる方式であり、ハウジング内に収容される現像剤の全体量が増減し易いからである。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、装置小型化を図りつつ現像性能の低下を防止できる現像装置および画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る現像装置は、第1搬送路に配され、回転により、トナーを含む現像剤を搬送する第1搬送部材と、前記第1搬送路における現像剤搬送方向の下流側と第1連通路を介して連通すると共に上流側と第2連通路を介して連通する第2搬送路に配され、回転により、現像剤を搬送する第2搬送部材とを有し、前記第1搬送路と前記第2搬送路とが前記第1と第2の連通路を介して連通してなる循環路内で現像剤を循環させつつ、前記第1搬送路に沿って配された現像剤担持体に現像剤を供給する現像装置であって、前記第2搬送路を現像剤搬送方向の上流側の領域とこれよりも下流の下流側の領域とに分けたときに前記上流側の領域に補給用のトナーが補給され、前記第1搬送部材と第2搬送部材が回転駆動されたときの、前記循環路内における前記第1搬送部材による現像剤の平均搬送速度をV1、前記第2搬送部材のうち前記上流側の領域に存する部分による現像剤の平均搬送速度をV2、前記下流側の領域に存する部分による現像剤の平均搬送速度をV3としたとき、V1<V2<V3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする。
また、前記第1搬送路から分岐された排出路と、前記第2搬送路における前記上流側の領域に合流する供給路と、を備え、前記現像剤は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であり、前記補給用のトナーに加えて補給用のキャリアを、前記供給路を介して前記第2搬送路に供給しつつ、前記第1搬送路を搬送される現像剤の一部を、前記排出路を介して外部に排出する現像方式であることを特徴とする。
さらに、前記第1搬送路を構成する供給室と、前記第2搬送路を構成する攪拌室と、を備え、前記第1搬送部材は、前記供給室に収容され、前記第2搬送部材は、前記攪拌室に収容され、前記供給室と攪拌室は、これらが仕切りで区画される部分と、前記現像剤搬送方向に前記仕切りを挟んだ両側のそれぞれに前記供給室と攪拌室とを連通する第1と第2の開口部とが設けられてなり、前記第1と第2の連通路は、前記第1と第2の開口部であり、前記攪拌室が前記供給室より斜め下方若しくは直下に位置する構成、または斜め上方若しくは直上に位置する構成であることを特徴とする。
また、前記第2搬送部材の、前記第2の連通部に対向する部分には、前記第2搬送路を搬送される現像剤を、前記第2連通部を介して前記第1搬送路に送り込むためのパドルが、前記第2搬送部材の軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されていることを特徴とする。
ここで、前記パドルの前記現像剤搬送方向における幅と、前記第2連通部の前記現像剤搬送方向における幅とが略等しいことを特徴とする。
また、前記第2搬送部材のうち、前記上流側の領域に存する部分とは、前記第2搬送路における現像剤搬送方向の中点の位置よりも上流に存する部分であり、前記第2搬送部材のうち、前記下流側の領域に存する部分とは、前記第2搬送路における前記中点の位置よりも下流に存する部分であることを特徴とする。
さらに、前記第1搬送部材と第2搬送部材は、それぞれ同じピッチを有する螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、前記第2搬送部材の方が前記第1搬送部材よりも回転数が高く、前記第2搬送部材の軸部には、軸方向への現像剤の搬送を抑制するための複数のパドルが当該軸方向に沿って間隔をおいて、当該軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されており、前記第2搬送部材における前記上流側の領域に存する部分に設けられたパドルの方が、下流側の領域に存する部分に設けられたパドルよりも高さが高いことを特徴とする。
ここで、前記第2搬送部材の回転数が前記第1搬送部材の回転数に対して1.1倍〜1.3倍の範囲内であることを特徴とする。
また、前記第1搬送部材と第2搬送部材は、螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、前記第1搬送部材における螺旋羽根のピッチをP1、前記第2搬送部材における螺旋羽根のうち、上流側の領域に存する部分におけるピッチをP2、下流側の領域に存する部分におけるピッチをP3としたとき、P1<P2<P3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする。
また、前記第1搬送部材と第2搬送部材は、同速で回転駆動されることを特徴とする。
本発明は、像担持体上の静電潜像を現像する現像部を有する画像形成装置であって、前記現像部として、上記の現像装置を備えることを特徴とする。
このように現像剤の平均搬送速度をV1<V2<V3の関係を満たすように構成すれば、第1搬送路上に存する現像剤量と第2搬送路上に存する現像剤量の割合を、第1搬送路の方が第2搬送路よりも大きくすることができる。
従って、現像剤量がある程度変動しても、第1搬送路では第2搬送路よりも、その変動量の、第1搬送路上に存する現像剤量に対する割合が少なくて済むので、第1搬送路では現像剤量の変動の影響を受け難くなり、現像剤担持体への現像剤の供給量が現像性能に影響を及ぼすまで低下するのを防止することができる。
そして、第2搬送路では上流側の領域の方が下流側の領域よりも搬送速度が低速にされるので、補給されたトナーが第2搬送路の上流側の領域において低速で搬送される間に攪拌により現像に必要な帯電量まで帯電されることが可能になり、下流側の領域を介して第1搬送路に到達したときに帯電量不足になることを防止することができ、もって装置の小型化を図りつつ現像性能の低下を防止することが可能になる。
実施の形態1に係るプリンタの全体構成を示す概略図である。 プリンタに備えられる現像部の構成例を示す横断面図である。 図2のE−E線における現像部の矢視断面図である。 現像部に備えられる供給スクリューと攪拌スクリューへの回転駆動力の伝達機構の構成例を示す図である。 現像部内において現像剤が搬送されている様子を示す模式図である。 現像剤の循環路のうち、3つの領域における現像剤の平均搬送速度を示す図である。 現像部内における現像剤の液面の様子を示す模式図である。 各搬送領域と現像剤平均搬送速度との関係を概念的に示す図である。 供給、攪拌スクリューの一構成例を示す図である。 各搬送領域での現像剤の平均液面高さの変動の様子を模式的に示す図である。 実施例と比較例における画像品質の良否を示す図である。 実施の形態2に係る現像部の構成例を示す図である。 実施の形態2に係る駆動伝達機構の構成例を示す図である。
以下、本発明に係る現像装置と画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
〔実施の形態1〕
<プリンタの全体構成>
図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の全体構成を示す概略図である。
同図に示すようにプリンタ1は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、中間転写ベルト21を備える中間転写部20と、給送部30および定着部40を備え、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置(不図示)からのジョブの要求に基づき、カラーのプリントを実行することができる。
画像プロセス部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の再現色に対応した作像部10Y〜10Kを有する。作像部10Yは、感光体ドラム11と、その周囲に配された帯電器12、露光部13、現像部14、一次転写ローラ15、クリーナ16などを備えている。
帯電器12は、矢印Aで示す方向に回転する感光体ドラム11の周面を帯電させる。
露光部13は、帯電された感光体ドラム11をレーザ光Lにより露光走査して、感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。
現像部14は、トリクル現像方式によるものであり、キャリアとトナーを含む二成分現像剤が収容され、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーで現像する。これにより感光体ドラム11上にY色のトナー像が作像される。
一次転写ローラ15は、感光体ドラム11上のY色トナー像を中間転写ベルト21上に静電作用により転写させる。クリーナ16は、転写後に感光体ドラム11Y上に残った残留トナーを清掃する。他の作像部10M〜10Kについても作像部10Yと同様の構成であり、同図では符号が省略されている。
中間転写ベルト21は、駆動ローラと従動ローラに張架されて、駆動ローラの駆動力により同図の矢印で示す方向に循環走行される。
作像部10Y〜10K毎に、対応する色のトナーが感光体ドラム11上に作像され、その作像されたトナー像それぞれが中間転写ベルト21上に転写される。このY〜Kの各色の作像動作は、各色のトナー像が、走行する中間転写ベルト21の同じ位置に重ね合わせて転写されるように上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
給送部30は、上記の作像タイミングに合わせて、給紙カセットからシートSを1枚ずつ繰り出して、繰り出されたシートSを搬送路31上を二次転写ローラ22に送る。
2次転写ローラ22に送られたシートSが二次転写ローラ22と中間転写ベルト21の間を通過する際に、中間転写ベルト21上に形成された各色トナー像が2次転写ローラ22の静電作用によりシートSに一括して二次転写される。
各色トナー像が二次転写された後のシートSは、定着部40まで搬送され、定着部40において加熱、加圧されることにより、その表面のトナーがシートSの表面に融着して定着された後、排紙ローラ32によって排紙トレイ33上に排出される。
作像部10Mの下方に設けられている駆動モータ45は、プリンタ1に含まれるそれぞれの回転体、ここでは感光体ドラム11や中間転写ベルト21、一次転写ローラ15などを回転させる駆動源として用いられ、これら回転体は、図示しない駆動伝達機構を介して駆動モータ45からの駆動力を受けて回転駆動される。
<現像部の構成>
図2は、現像部14の構成例を示す横断面図である。
同図に示すように現像部14は、ハウジング50と、現像ローラ51と、供給スクリュー52と、攪拌スクリュー53と、規制部材54などを備える。ハウジング50〜規制部材54は、現像ローラ51の軸方向(紙面垂直方向に相当:以下、軸方向という。)に沿って長尺状になっている。なお、上記のように現像部14は、Y〜K色で基本的に同じ構成であるので、以下ではK色用の現像部14について説明し、他の色用の現像部14については、その説明を省略する。
ハウジング50は、その内部にキャリアとトナーを含むK色用の二成分現像剤Dが収容されており、隔壁(仕切り)57を介して上部の供給室58と下部の攪拌室59に区画されてなる。供給室58には、現像ローラ51と供給スクリュー52が収容され、攪拌室59には、攪拌スクリュー53が収容される。
現像ローラ51は、供給室58の、感光体ドラム11に対向する位置に設けられた開口部に配置されており、円筒形の現像スリーブ511と、現像スリーブ511の内部に軸方向に沿って挿通されるマグネットローラ512を備えている。
マグネットローラ512は、複数の磁極、例えばN1、S1、N2、S2、N3の形成された部分が周方向に順に並ぶように設けられてなり、回転不可となるように軸方向の端部がハウジング50に固定されている。各磁極は、軸方向に沿って延在されている。
現像スリーブ511は、ハウジング50の開口部を介して感光体ドラム11と対向する部分が開口部から露出すると共に、矢印Bで示す方向に回転自在にハウジング50に保持され、静止しているマグネットローラ512の周りを、マグネットローラ512の磁力により表面に現像剤Dを保持(担持)しつつ回転する。
供給スクリュー52は、供給室58内において現像ローラ51を挟んで感光体ドラム11に対向する位置に配置され、軸方向に平行な姿勢で回転自在にハウジング50に支持されており、矢印Cで示す方向に回転することにより供給室58内の現像剤Dを軸方向に沿って搬送しつつ、現像ローラ51に供給する。
攪拌スクリュー53は、攪拌室59に配置され、軸方向に平行な姿勢で回転自在にハウジング50に支持されており、矢印Jで示す方向に回転することにより攪拌室59内の現像剤Dを供給スクリュー52による搬送方向とは反対の方向に攪拌しつつ搬送する。
規制部材54は、その先端が現像ローラ51の表面との間に所定の間隙を有するように配置され、現像位置Fで現像ローラ51の表面上の現像剤量が適切な量になるようにその間隙を通る現像剤Dの量を規制する。
図3は、図2のE−E線における現像部14の矢視断面図であり、図4は、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53に対する回転駆動力の伝達機構の構成例を示す側面図である。なお、図3では、現像剤Dを省略している。
図3に示すように、ハウジング50に設けられている供給室58と攪拌室59は、軸方向に沿って長尺で筒状に形成され、隔壁57により仕切られているが、一方端側(同図左側)に設けられた開口部88を介して相互に連通すると共に、他方端側(同図右側)に設けられた開口部89を介して相互に連通する構成になっている。
以下、供給室58と攪拌室59のそれぞれについて、各室のうち、軸方向に開口部88の設けられている領域m1と、開口部89の設けられている領域m2と、それらの間の領域m3とからなる領域を領域M1という。また、軸方向に、供給室58のうち、領域M1を除く領域を領域N1といい、攪拌室59のうち、領域Mを除く領域を領域N2という。
さらに、軸方向に領域M1の一方端の位置を基準位置α0、他方端の位置を位置α3、領域m1とm3の境界位置を位置α1、位置α0とα3の中間(中点)の位置を位置α2としたとき、位置α2〜α3間を領域M2、位置α1〜α2間を領域M3という。
なお、領域M1は、後述のように現像剤Dの循環路を構成する領域に相当し、領域N1は、トリクル現像方式による現像剤Dの排出路の領域に相当し、領域N2は、補給用の新たな現像剤Dの供給路の領域に相当する。
<供給スクリュー52について>
供給スクリュー52は、回転軸61と、螺旋羽根62、63、64と、複数のパドル65を有する。回転軸61は、軸方向両端部が供給室58の軸方向両側壁に軸受部材(不図示)などを介して回転自在に支持されると共に、同図右側の端部が側壁の外に延出されており、その延出されている軸部分にギア83(図4)が取着され、ギア83からの回転駆動力により矢印C方向(図2)に回転駆動される。
螺旋羽根62〜64は、回転軸61の外周面に沿って螺旋状に設けられてなり、螺旋羽根62は、領域M1に配され、螺旋羽根63、64は、領域N1に配されている。
螺旋羽根62と64は、回転軸61の回転により供給室58内の現像剤Dを矢印G1方向に搬送する方向に螺旋の巻き方向が設定されているが、螺旋羽根63は、矢印G1とは反対の方向に現像剤Dを搬送する方向に巻き方向が設定されている。
螺旋羽根63は、螺旋羽根62の巻き方向に対して逆巻きになっており、螺旋羽根62により矢印G1方向に搬送されて来る現像剤Dに対して逆向きの搬送力を与える。螺旋羽根63を通過する現像剤量は、螺旋羽根62による搬送力と螺旋羽根63による逆向きの搬送量の差分により決まり、ここでは螺旋羽根62により搬送される現像剤Dのうち、ごく一部のみが螺旋羽根63を通過して螺旋羽根64に送られるようになっている。
螺旋羽根64は、領域N1において螺旋羽根63を通過した一部の現像剤Dを矢印G1方向に搬送しつつ、供給室58の領域N1内の軸方向端部に設けられている排出口90(破線で示している。)から、搬送される現像剤Dを現像部14の外部に排出させる。なお、外部に排出された現像剤Dは、図示しない回収タンクなどに回収される。
複数のパドル65は、それぞれが回転軸61の外周面から軸方向に直交する方向に沿って突出されると共に軸方向に沿って平行な板状の部材からなり、回転軸61の外周面上であり軸方向に螺旋羽根62の羽根部分と羽根部分との間に立設されており、軸方向に搬送される現像剤Dに対して軸周り(周方向)に現像剤Dを掬うように回転移動することにより、螺旋羽根62による現像剤Dの搬送を抑制する機能を有する。
具体的には、軸方向に搬送されている現像剤Dのトナーやキャリアの粒子のうち、回転するパドル65に当たらずにパドル65の設けられている位置を通過することができた粒子は、そのまま羽根部分の面に沿って軸方向に搬送されるが、パドル65に当たってパドル65の側面で掬われた粒子は、パドル65と一緒に周方向に回転搬送により分散、攪拌されることになり、螺旋羽根62による軸方向の搬送力を与えられなくなる。
つまり、パドル65があると、現像剤Dのうち、螺旋羽根62による軸方向の搬送力が付与される粒子と付与されない粒子が存在することになり、これらの粒子が混在して現像剤Dの搬送が行われる。現像剤中に軸方向の搬送力が付与されない粒子の割合が増えれば、それだけ現像剤Dの平均の搬送速度が下がって抑制されたようになるものである。
パドル65の高さ(回転軸61の外周面から軸に直交する方向の突出量)を高くすると、パドル65に掬われる粒子の量が増えるので、搬送速度の抑制の効果が大きくなる。同様に、パドルの数や軸方向長さによっても抑制効果が変わる。
本実施の形態では、それぞれのパドル65は、同じ大きさのものであり、螺旋羽根62の1ピッチの範囲に2つのパドル65が設けられるが、これに限られず、攪拌室59による現像剤Dの搬送速度との関係に基づいて個数や大きさなどが適したものに設定される。
<攪拌スクリュー53について>
攪拌スクリュー53は、回転軸71と、螺旋羽根72と、大きさの異なる3種類のパドル73、74、75を有する。
回転軸71は、軸方向両端部が攪拌室59の軸方向両側壁に軸受部材(不図示)などを介して回転自在に支持されると共に、同図右側の端部が側壁の外に延出されており、その延出されている軸部分にギア84(図4)が取着され、ギア84からの回転駆動力により矢印J方向(図2)に回転駆動される。
螺旋羽根72は、回転軸71におけるm1領域を除く領域、すなわちM3、M2、N2領域に存する軸部分の外周面に沿って螺旋状に設けられてなり、回転軸71の回転によって、攪拌室59内の現像剤Dを矢印G2で示す方向(矢印G1とは反対の方向)に搬送する。なお、螺旋羽根72と螺旋羽根62は、ピッチと外径が同じになっている。
パドル73〜75は、それぞれが複数個、配されている。
パドル73は、回転軸71におけるM2、N2領域に存する軸部分の外周面上に軸方向に間隔をあけて螺旋羽根72の羽根部分と羽根部分との間に立設されており、パドル74は、回転軸71におけるM3領域に存する軸部分の外周面上に軸方向に間隔をあけて螺旋羽根72の羽根部分と羽根部分との間に立設されている。
パドル73とパドル74は、軸方向長さが同じであり、回転軸71の単位長さ当たりの配設個数も同じであるが、高さが領域M3に設けられているパドル74の方が領域M2に設けられているパドル73よりも低くなっている。パドル73の高さをH1、パドル74の高さをH2とすると、H2<H1の関係を有している。
領域M2も領域M3も同じピッチの螺旋羽根72により現像剤Dが搬送され、パドルの高さがH2<H1なので、パドル74の設けられているM3領域の方が、パドル73の設けられているM2領域よりも現像剤Dの搬送速度が速くされることになる。
パドル75は、回転軸71におけるm1領域に存する(開口部88に対向する)軸部分の外周面上に当該軸部分を挟んで両側にそれぞれ立設され、その高さH3(>H1)が螺旋羽根72の高さ(回転軸71の外周面から当該軸に直交する方向における高さ)と略同じ大きさになっている。
それぞれのパドル75は、攪拌室59内において回転軸71の回転によって螺旋羽根72により領域m1まで搬送されて来た現像剤Dを掬って持ち上げるようにすることにより、その現像剤Dを、開口部88を介して供給室58に搬送する機能を有している。なお、パドル75の、開口部88に対する軸方向長さは、特に限定されないが、掬い上げた現像剤Dのより多くを開口部88に搬送できることが望ましく、この点からすればパドル75の軸方向長さを開口部88の軸方向長さと等しくすることが好ましい。
<各スクリューの駆動伝達機構について>
供給スクリュー52と攪拌スクリュー53に回転駆動力を付与するための駆動伝達機構は、図4に示すようにギア81〜ギア84などからなる。
ギア81は、現像ローラ51の回転軸513(現像スリーブ511の回転軸に相当)の一方端に取り付けられており、現像部14が装置本体に装着されたときに、装置本体側の駆動伝達機構に設けられたギア(不図示)と歯合し、駆動モータ45からの駆動力が当該ギアを介して伝達される。これにより、ギア81が矢印B方向に回転して、ギア81の回転により現像スリーブ511が同方向に回転駆動される。
ギア83は、供給スクリュー52の回転軸61に取り付けられており、アイドルギア82を介してギア81に歯合されている。ギア84は、攪拌スクリュー53の回転軸71に取り付けられており、ギア83に歯合されている。
駆動モータ45の回転駆動力がギア81からアイドルギア82を介してギア83、ギア84に順に伝達されることにより、ギア83が同図の矢印C方向に回転し、ギア84が同図の矢印J方向に回転する。これにより、供給スクリュー52が矢印C方向に回転駆動され、攪拌スクリュー53が矢印J方向に回転駆動される。
本実施の形態では、ギア84の歯数をギア83の歯数よりも少なくすることにより、攪拌スクリュー53の方が供給スクリュー52よりも単位時間当たりの回転数が高くなるように設定されている。例えば、攪拌スクリュー53の回転数が供給スクリュー52の回転数に対して1.1倍〜1.3倍の範囲になるように設定される。このように供給スクリュー52と攪拌スクリュー53とで回転速度を異ならせている理由については、後述する。
<現像剤の流れの説明>
現像ローラ51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53がそれぞれ回転駆動されることにより、ハウジング50内の現像剤Dが図5に示すように搬送される。
図5は、現像剤Dの搬送方向を矢印により示す模式図である。
同図に示すように、供給室58内の現像剤Dは、領域M1において供給スクリュー52の螺旋羽根62により同図の右方向(矢印G1方向)に搬送され、領域M1における現像剤搬送方向の下流側の端部で、開口部89を介して攪拌室59に搬送されるものと領域N1に搬送されるものとに分岐される。
なお、領域N1の入口には、逆巻きの螺旋羽根63が配置されているので、領域N1に入ろうとする現像剤Dのうち、そのほとんどが螺旋羽根63を通過できず、現像剤搬送方向上流側に押し返されて、開口部89を介して攪拌室59に送られ、残りのごく一部のみが螺旋羽根63を通過して螺旋羽根64に送られる。螺旋羽根63を通過して螺旋羽根64に送られた現像剤Dは、螺旋羽根64により領域N1(現像剤の排出路97)を搬送されて、排出口90を介して外部に排出される。
開口部89を介して攪拌室59に搬送された現像剤Dは、領域M1において攪拌スクリュー53により同図の左方向(矢印G2方向)に搬送され、現像剤搬送方向の下流側の端部である開口部88のところでパドル75により掬い上げられるようにして開口部88を介して供給室58に搬送される。供給室58に搬送された現像剤Dは、供給スクリュー52により同図の右方向(矢印G1方向)に搬送される。
このように領域M1において供給室58における現像剤搬送方向の下流側と攪拌室59における現像剤搬送方向の上流側とを開口部89で連通しつつ、攪拌室59における現像剤搬送方向の下流側と供給室58における現像剤搬送方向の上流側とを開口部88で連通することにより、供給室58の内空間における供給スクリュー52により現像剤Dが搬送される領域M1(第1搬送路95)と、攪拌室59の内空間における攪拌スクリュー53により現像剤Dが搬送される領域M1(第2搬送路96)とが、開口部88、89(第1、第2連通路)を介して連通する。これにより、供給室58内と攪拌室59内に現像剤Dの循環路101が形成され、この循環路101を現像剤Dが循環搬送される。
循環路101のうち、供給室58内における領域M1を現像剤Dが搬送される際に、現像剤Dの一部が現像ローラ51に供給される。
具体的には、現像剤Dが供給室58内の領域M1を搬送中に、図2に示すマグネットローラ512の磁極N1(キャッチ極)の磁力によって、現像スリーブ511の周面に担持される。現像スリーブ511の周面上に担持された現像剤Dは、現像スリーブ511の回転により、規制部材54と現像スリーブ511間の隙間を通過する際に規制部材54によりその通過量を規制され、磁極S1の位置を通過して、感光体ドラム11と対向する現像位置Fに一定量が搬送される。
現像位置Fに搬送された現像剤Dは、磁極N2によって穂立ちされ、感光体ドラム11上の静電潜像の現像に供される。現像に供された後、現像位置Fを通過した現像剤Dは、磁極S2を通過した後、磁極N3の位置を通過するときにマグネットローラ512の磁力から開放されて、供給スクリュー52に回収され、循環路101に戻る。
<現像剤の補給について>
図5に示すように、攪拌室59において領域M1よりも現像剤搬送方向の上流に位置する領域N2は、新たな現像剤Dの補給用の供給路98を構成している。
本実施の形態では、現像部14とは別に、補給用の現像剤としてキャリアとトナーを別々に収容するホッパ(不図示)と、ハウジング50内の現像剤Dの濃度を検出する濃度センサ(不図示)が配置されている。当該ホッパから補給用のキャリアとトナーがそれぞれ補給口91(破線)から攪拌室59の供給路98に補給される構成になっている。
具体的には、キャリアの補給については、現像ローラ51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53の回転中に一定量、一定時間(例えば数秒)毎に補給される。キャリアの補給により、ハウジング50内の現像剤Dの量が増加することになるが、その補給量に相当する量の現像剤Dが排出口90から外部に排出されるので、ハウジング50内において現像剤量が増加し続けることがなく、ある程度の大きさの変動幅内で、現像剤量が多くなったり少なくなったりすることが繰り返される。
トナーの補給については、画像形成動作時など現像ローラ51等の回転駆動中に濃度センサによりトナーとキャリアの比率が検出される。検出された比率からトナー量が少ないことが判断されると、予め決められた比率になるようにその比率にするのに必要な量のトナーがホッパからハウジング50に補給される。なお、上記の補給制御は、装置本体に備えられた制御部(不図示)が担当するが、補給制御方法は一例であり、これに限られず、トリクル現像方式を実現できる方法であれば、他の補給制御方法を用いるとしても良い。
補給口91を介して攪拌室59の供給路98に供給された現像剤(キャリアとトナー)は、攪拌室59の第2搬送路96における現像剤搬送方向の上流側に位置する領域M2の上流側の端部(位置α3)において、供給室58から開口部89を介して搬送されて来た現像剤Dと合流する。
そして、攪拌スクリュー53により攪拌室59内の第2搬送路96を攪拌搬送される際に、現像剤Dに含まれるキャリアとトナーの各粒子同士が接触帯電して、帯電された状態で供給室58に搬送される。
<現像剤の搬送速度について>
上記のように、(a)供給スクリュー52と攪拌スクリュー53の双方は、螺旋羽根のピッチが同じであり、(b)攪拌スクリュー53の方が供給スクリュー52よりも回転数が高く、(c)パドルの高さがH2<H1の関係を有するように構成されているので、攪拌スクリュー53の方が供給スクリュー52よりも現像剤Dの搬送速度が速く、かつ攪拌スクリュー53を領域M2に存する部分とこれよりも現像剤搬送方向下流である領域M3に存する部分とに分けると、攪拌スクリュー53における領域M3に存する部分の方が領域M2に存する部分よりも現像剤Dの搬送速度が速くなることになる。
すなわち、図6に示すように現像剤Dの循環路101内において、供給スクリュー52の領域M1に存する部分による現像剤Dの平均搬送速度をV1、攪拌スクリュー53のうち、領域M2に存する部分(上流側の部分)による現像剤Dの平均搬送速度をV2、領域M3に存する部分(下流側の部分)による現像剤Dの平均搬送速度をV3とすると、V1<V2<V3の関係を満たすことになる。
ここで、平均搬送速度とは、画像形成動作中(現像動作中)に領域毎に、その領域内において複数の測定地点をとって各測定地点における単位時間当たりに通過する現像剤の搬送速度を平均化した速度をいう。測定地点をより多数とした方が平均値の精度が向上する。なお、領域内のある特定の箇所、例えば軸方向中央の一箇所の速度を平均値に近似できるような場合には、その一箇所における速度を平均値に用いるとしても良い。以下、平均搬送速度を搬送速度と略していう場合がある。
<現像剤の液面について>
領域単位で現像剤の搬送速度に大小をつけることにより、画像形成動作中でのハウジング50内の現像剤Dの液面は、図7の模式図に示す状態で均衡するようになる。
すなわち、供給室58の領域M1では、供給室58内が現像剤Dで略一杯になるように軸方向の全体に亘って現像剤量が多くなっており、現像剤Dの液面111も軸方向の全体に亘って高くなっている。
これに対して、攪拌室59の領域M2では、現像剤Dが少なくなっており、現像剤Dの液面112も軸方向の略全体に亘って低くなっている。
攪拌室59の領域M3では、現像剤搬送方向の上流側の部分で現像剤Dの液面113が領域M2と略同じになっているが、これよりも下流側の部分では高くなり、現像剤量も攪拌室59が略一杯になる程度まで多くなっている。
このような現像剤量の大小(現像剤Dの液面の高低)が生じるのは、領域M1〜M3の現像剤搬送速度がV1<V2<V3の関係を有するように構成しているからである。
すなわち、領域M1では、現像剤Dの搬送速度V1が他の領域M2、M3の搬送速度V2、V3よりも遅いので、現像剤Dが他の領域M2、M3に比べて滞留気味になり、現像剤量が多めになって液面111も高い状態が維持される。
一方、領域M2では、現像剤Dの搬送速度V2が領域M1の搬送速度V1よりも速いので、その速度差の分だけ領域M2の方が領域M1よりも現像剤Dが速く通過して、領域M2の方が領域M1よりも現像剤Dの留まる時間が短くなる。従って、領域M2の方が領域M1よりも現像剤量が少なくなって現像剤Dの液面112が下がることになる。
領域M3では、現像剤Dの搬送速度V3が領域M2の搬送速度V2よりも速いが、搬送速度が最も遅い領域M1と開口部88を介して連通しており、領域M1では上記のように現像剤Dが滞留気味になっているので、領域M1の入口に当たる開口部88の位置では領域M1の搬送速度であるV1程度まで搬送速度が落ちて、開口部88を先頭にこれよりも現像剤搬送方向の上流側に現像剤Dが滞留することが生じ易くなる。
領域M3では、開口部88における滞留の影響を受けて、領域M3における現像剤搬送方向の上流の部分での液面113が領域M2と略同じ程度になり、これよりも下流の部分では、上流の部分よりも液面113が高めになった状態で維持される。
このような各領域M1〜M3の液面の様子は、循環路内の複数の領域で現像剤の搬送速度が異なる場合に、最も搬送速度の遅い領域を基準に他の領域の液面が決まっていき、時間経過と共にその液面が安定して均衡することに基づく結果によるものと想定される。
図8は、現像剤の移動方向に各領域M1〜M3と現像剤平均搬送速度V1〜V3との関係を概念的に示す図である。同図に示すように、領域M1から現像剤移動方向(現像剤搬送方向下流)に領域M2、M3を介して領域M1に戻るまでに間に、領域毎に現像剤Dの搬送速度がV1、V2、V3に変わって行き、領域M3とM1との連通部で搬送速度がV3からV1に落ちることがわかる。
一例として、現像剤量を300〔g〕、供給スクリュー52の螺旋羽根62の直径を16〔mm〕、ピッチを30〔mm〕、攪拌スクリュー53の螺旋羽根72の直径を16〔mm〕、ピッチを30〔mm〕、パドル65の高さH0を5〔mm〕、パドル73の高さH1を5〔mm〕、パドル74の高さH2を3〔mm〕として、各領域において1秒間にどれだけの現像剤量を搬送できるかを示す搬送能力を調べる実験を行った。
なお、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53には、図9に示すものが用いられており、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53は、単位回転当たりに搬送可能な現像剤量が同じであり、攪拌スクリュー53の回転数を供給スクリュー52の回転数に対して上記の1.1倍〜1.3倍の範囲にした。
搬送能力を調べる方法として、ここでは領域毎に、その領域に存する現像剤量X〔g〕をその領域を現像剤が通過するのに要する時間T〔秒〕で除した値を、搬送能力を示す値とする方法を用いた。
具体的には、(1)トナーとキャリアが一定の比率(濃度)である現像剤を循環搬送させ、領域毎に、その領域における現像剤搬送方向の最上流の地点Aと最下流の地点Bでの現像剤の濃度(トナーとキャリアの比率)をセンサを用いて濃度波形をモニターする。
(2)タイマーのカウントを開始した後、地点Aに所定量のトナーを投入する。
(3)地点Aにトナーが投入された瞬間に、地点Aにおける現像剤の濃度が、投入されたトナー量の分だけ上がる(センサによる濃度波形に一のピークが現れる状態になる)ので、その濃度が上がった時点のタイマーのカウント値T1を読みとる。
投入されたトナーは、循環路を搬送されている現像剤と一緒に循環路に沿って搬送されるが、もともとハウジング内に収容されている現像剤は、全体に亘って濃度が一定になっているので、現像剤の全体のうち、投入されたトナーの存在する部分だけが濃度(トナーのキャリアに対する比率)の高い部分になり、その濃度の高い部分が循環路に沿って移動する状態になる。
従って、地点Bにおける現像剤の濃度が瞬間に上がった時点(濃度波形にピークが現れた時点)を検出すれば、その検出時点が、濃度の高い部分(投入されたトナーの存する部分)が地点Bを通過した時点であることを判断できることになる。
(4)地点Bにおける現像剤の濃度が上がった時点でのタイマーによるカウント値T2を読みとって、(T2−T1)の値を求める。この(T2−T1)の値は、投入されたトナーが一の領域における地点Aから現像剤搬送方向に地点Bに到達するまでに要する時間になり、現像剤が一の領域を通過するのに要する時間に相当するので、この(T2−T1)の値を上記の時間Tとする。この(T2−T1)の値の算出を領域別に行い、各領域に対する時間Tを求める。領域別に、循環搬送中に一周毎に(T2−T1)の値を測定して、その平均値を時間Tとしても良い。
(5)各領域に対する時間Tの測定後に、現像剤の循環搬送を停止させて、領域毎に、その領域における地点Aから現像剤搬送方向に地点Bまでの間に存する現像剤を取り出して、取り出した現像剤の量を計測して、その計測値を上記の現像剤量Xとする。
(6)領域毎にその領域における現像剤の搬送能力を、X/T〔g/秒〕として算出する。なお、上記とは異なる方法を用いて搬送能力を検出することもできる。
上記の実験結果として、領域M1では約25〔g/秒〕、領域M2では約30〔g/秒〕、領域M3では約35〔g/秒〕になった。M1、M2、M3になるに連れて値が大きくなっているのは、現像剤Dの搬送速度をV1<V2<V3の関係を満たすようにしたからであると考えられる。
ハウジング50内における現像剤の液面の分布は、図7に示す分布と略同じになった。
現像剤の全体量300〔g〕のうち、供給室58に約180〔g〕、攪拌室59に約120〔g〕が存するようになり、供給室58では、現像ローラ51に担持される現像剤量が約60〔g〕、供給スクリュー52により搬送される現像剤量が約120〔g〕になった。供給室58と攪拌室59における現像剤量の割合は、画像形成動作中にある程度、変動するが、ハウジング50内の全現像剤量のうち、略60〜70〔%〕の現像剤Dが現像ローラ51の周辺に存在する構成になることが確認された。
図10は、時間経過に伴ってハウジング50内の現像剤量が変動したときに、各領域M1〜M3における現像剤Dの平均液面高さが変動する様子を模式的に示す図である。
ここで、現像剤量の変動とは、トリクル現像方式により新たな現像剤が補給されつつ排出される動作と、画像形成中に現像によりトナーが消費されると新たなトナーが補給される動作とが時間経過に連れて繰り返されることにより生じるものである。
同図に示すように、現像剤の平均液面高さは、領域M1が最も高く、領域M2が最も低くなっており、現像剤量が変動した場合を見ると液面の変動量(減少時の液面と増加時の液面との差)は、領域M1が最も小さく、領域M2が最も大きくなっていることが判る。
領域M1における現像剤の液面が最も高く、領域M2における現像剤の液面が最も低くなっているのは、上記の図7と同じである。
現像剤量の変動時に液面の変動量が領域M1で最も小さいのは、次の理由による。
すなわち、上記のように循環路101では現像剤Dの搬送速度の最も遅い領域M1を基点に他の領域M2、M3に存在する現像剤量の割合が振り分けられる。現像剤Dの搬送速度V1〜V3は、現像剤量が変動しても変わらないので、全体の現像剤量が変動した場合、その変動量に応じて領域M1を基点に領域M2、M3への現像剤量の割合が決まる。
領域M1は、現像剤Dの搬送速度が最も遅いので、領域M2、M3よりも現像剤Dが滞留し易く、現像剤量の割合は、領域M1(供給室58)の方が領域M2、M3(攪拌室59)よりも大きくなる。
従って、全体の現像剤量が標準時から減少しても、最も搬送速度の遅い領域M1を基点に領域M2、M3よりも多くの量の現像剤が領域M1に集まった状態で安定(現像剤の量の変動が収束)するようになるので、図10の波形部分131に示すように、現像剤量が標準時から減少したことにより領域M1での液面が下降し始めても、その下降が直ぐに収まって(下降状態が長く続かず)、僅かな変動幅内で変動する状態が維持され、標準時からの低減量が少なくて済み、液面高さの下降も少なくて済む。
領域M2では、全体の現像剤量が減少している中で、領域M1に多くの現像剤Dが集められるために、その分、領域M2を搬送される現像剤量が減って、標準時からの液面高さの下降が顕著になる(図10の波形部分132)。
領域M3では、領域M1と連通する開口部88を先頭に、これよりも領域M3における現像剤搬送方向の上流側に現像剤Dが滞留する状態になっていることは変動前と変わらず、領域M2よりも現像剤量が多い状態が続く。このため、領域M3では標準時からの現像剤Dの液面高さの下降量が少なくなっている(図10の波形部分133)。
逆に、全体の現像剤量が標準時から増加した場合でも、最も搬送速度の遅い領域M1を基点に領域M2、M3の現像剤量が決まることは変わらない。
従って、全体の現像剤量が標準時から増加した場合、領域M1の現像剤量はある程度増えるが(図10の波形部分141)、増加により領域M1に収容しきれなくなった分の現像剤Dは、もともと現像剤量の割合の少なかった領域M2、M3に回されるようになって領域M2とM3における現像剤量が増えるので(図10の波形部分142、143)、領域M1の現像剤量が過多になって、その液面が極端に上昇するといったことは生じない。
なお、領域M3より領域M2の液面が大幅に上昇しているのは、領域M3内では開口部88を先頭に現像剤Dが滞留する状態が変動時でも変わらずに続いており、増加した現像剤の多くを引き受けて収容することができず、増加した現像剤の多くが領域M2に存在するようになって、領域M2の現像剤量が大幅に増えたことによるものである。
このように循環路101のうち、現像ローラ51に現像剤Dを供給する領域M1(第1搬送路95)とは別の領域M2(第2搬送路96における上流側の部分)で、現像剤量が変動したときのその変動量を吸収するように構成することにより、供給室58(第1搬送路95)では現像剤Dの液面が標準時と大きく変わらない(変動が少ない)状態で現像剤Dを搬送することが可能になる。
現像剤Dの液面の変動が少ない状態で現像剤Dを搬送することができるということは、それだけ供給室58を搬送される現像剤Dの現像剤量の変動が少ないことを意味するので、トリクル現像方式によりハウジング50内に収容されている現像剤量がある程度変動しても、現像ローラ51に対して現像に必要な量の現像剤Dを供給し続けることができ、現像剤の供給不足による現像性能の低下を防止することができる。
また、図8に示すように領域M2の現像剤Dの搬送速度V2を領域M3の現像剤Dの搬送速度V3よりも遅くしているので、補給用の現像剤が補給口91から補給されたときに攪拌室59の領域M2を介して領域M3に至るまでに要する時間(領域M2を通過する時間)が、領域M2における搬送速度をV3以上の高速にする場合に比べて長くなる。
補給用の現像剤は、攪拌室59内を攪拌搬送される際に粒子間の摩擦接触等により帯電し、この帯電量は、攪拌搬送される時間をより長くした方が多くなるので、領域M2における搬送速度V2をV3よりも遅くすることにより、現像に必要な帯電量を確保することができ、現像剤Dの帯電量不足による現像性能の低下も防止することができる。
<実施例と比較例における現像性能について>
図11は、現像剤Dの平均搬送速度V1〜V3の大小関係を本実施の形態と同じ関係を有する構成(実施例)と、これとは異なる関係を有する構成(比較例1〜3)における現像性能(追随性、供給性、かぶり)の良否を実験した結果を示す図である。
ここで(a)追随性とは、多数枚のシートを連続通紙したときに形成画像の濃度が所定濃度を維持(濃度が追随)しているか否かを示すものである。
現像部14では、上記のように供給室58内の現像剤Dは、現像ローラ51の磁極N1で磁力により担持され、現像ローラ51に担持されたまま現像位置Fに至り、現像位置Fを通過した後、磁極N3で開放されることが連続的に行われる。
供給室58内に存在する現像剤Dの液面が高い状態に維持されれば、現像ローラ51の磁極N1において、より多くの現像剤Dが現像ローラ51に担持され易く、多数枚の連続通紙中のようにある程度の長い時間に亘って現像によりトナーが消費されても、その消費量相当分のトナーを供給室58から安定して現像ローラ51に供給することができ、画像濃度を連続通紙中に亘って維持することができる。
これとは逆に、供給室58内の現像剤Dの液面が低いまたは変動により高低が繰り返されるような場合には、現像ローラ51の磁極N1での現像剤Dの担持が行われ難くなり、現像ローラ51へのトナー供給量に変動が生じて画像濃度の維持が困難になる。
そこで、実験では、N枚、例えば200枚のA4サイズのシートを連続通紙して各シートに略全面にK(ブラック)色のベタ画像を形成するジョブを実行したときに、1枚目からN枚目を通して、シート上に形成されたベタ画像の濃度が所定濃度を維持しているか否かにより、画像濃度の追随性の良否を判断するようにした。なお、所定濃度としては、最大(最も濃い)濃度より薄いが、人の目で見たときにブラック色のベタ画像と見える程度の濃度とした場合の例を示している。
(b)供給性は、最大濃度で画像が形成される際に現像ローラ51に必要な量の現像剤Dが供給されているか否かを示すものである。
具体的には、供給室58内に存在する現像剤量がある程度多ければ、最大濃度の画像形成により多くのトナーが短時間に消費されても、そのトナー消費後の現像剤Dが現像ローラ51の磁極N3から開放されると、トナーが消費されていない(トナー消費前の)現像剤Dを直ぐに供給室58から現像ローラ51に供給することができる。
一方で、供給室58内の現像剤量が少なければ、現像ローラ51に供給すべき現像剤量自体が少ないことから、現像ローラ51への現像剤Dの供給不足が生じるおそれが大きくなる。現像剤の供給不足が生じると、現像時の画像濃度の低下を引き起こす。
現像時に単位時間当たりのトナー消費量が多くなるほど、現像ローラ51への現像剤Dの供給不足が生じ易くなり、単位時間当たりのトナー消費が最も大きくなるのは、最大濃度のベタ画像を形成する場合である。
このような関係から本実験では、複数枚(例えば、3枚)の最大サイズ(例えば、A3サイズ)のシートを連続通紙して各シートに最大濃度のベタ画像を形成するジョブを実行したときに、形成されたベタ画像の中に最大濃度から濃度が低下している(淡くなっている)部分が存在するか否かにより、現像ローラ51への現像剤Dの供給性の良否を判断するとしている。
(c)かぶりは、1枚のシートに対して非画像形成部(いわゆる、白ベタ部)を含む画像を形成したときに、その白ベタ部の領域内にトナーが存在しているか否かを示すものである。白ベタ部は、本来、トナーが存在しない領域のはずであるが、現像部14内で現像剤D(特に、新たに補給されたトナー粒子)の帯電量不足が生じると、白ベタ部であるにも関わらず、帯電量不足の現像剤のうち、一部のトナー粒子が現像時の現像バイアス電圧などにより生じる静電力により感光体ドラム11上の静電潜像のうち、白ベタ部に相当する領域に移り、白ベタ部の領域内に点在したようになってしまう場合があり、これがかぶりという現象になって現れるものである。
本実験では、追随性と供給性については、形成されたベタ画像の濃度を、人が目視したときにベタ画像の濃度低下とは感じない濃度範囲をZ1、濃度低下と感じる範囲に入るが濃度低下の程度が軽い濃度範囲をZ2、濃度低下と感じる範囲であり濃度低下の程度が顕著な濃度範囲をZ3の3段階に分けて、反射濃度計を用いてベタ画像の反射率を計測したときの計測結果が濃度範囲Z1であれば良好(○)、濃度範囲Z2であれば不適(△)、濃度範囲Z3であれば不良(×)としている。
また、かぶりについても同様に、かぶりとは感じない濃度範囲をZ4、かぶりと感じる範囲に入るがその程度が軽い濃度範囲をZ5、かぶりと感じる範囲でありその程度が顕著な濃度範囲をZ6の3段階に分けて、反射濃度計による白ベタ部の反射率の計測結果が濃度範囲Z4であれば良好(○)、濃度範囲Z5であれば不適(△)、濃度範囲Z6であれば不良(×)としている。
同図から実施例(V1<V2<V3)は、追随性、供給性、かぶりの全てについて良好になっている。追随性と供給性が良好なのは、次の理由による。
すなわち、実施例では、現像剤Dの搬送速度がV1<V2<V3の関係を有しており、これにより、ハウジング50内の現像剤Dのうち、供給室58の方が攪拌室59よりも現像剤量の割合が大きくなって、供給室58により多くの現像剤を搬送することができる。
従って、多少の現像剤量の変動が生じても現像ローラ51に十分な量の現像剤Dを供給することができ、多数枚の連続通紙による画像形成動作中でも現像ローラ51にトナーを供給し続けることができる(追随性)。また、最大濃度のベタ画像を形成する場合でも、現像ローラ51への現像剤Dの供給量の不足が生じることがなく、最大濃度を維持することができるからである(供給性)。
さらに、かぶりが良好なのは、供給室58に搬送されるまでの間に現像剤Dを現像に必要な帯電量まで帯電させることができるからである。具体的には、攪拌室59における領域M2の現像剤Dの搬送速度V2を領域M2より下流に位置する領域M3の搬送速度V3よりも遅くしている。従って、補給口91から補給された現像剤D(キャリアとトナー)が領域M2、M3を介して供給室58に至るまでの経路のうち、領域M2を通過する時間を長くとることができるようになり、現像剤Dが領域M2を通過する間に攪拌により、トナー粒子を現像に必要な帯電量まで帯電させることができる。
これに対して、比較例1〜3を見ると、いずれも不良を示す項目が1つ以上ある。
例えば、比較例1(V1=V2=V3)と比較例2(V1>V2=V3)は、供給性が不良になっている。これは、比較例1、2において、領域M1における現像剤Dの搬送速度V1が領域M1〜M3の中で最も遅い速度になっていないからである。
すなわち、比較例1、2では、搬送速度V1が領域M2における搬送速度V2と同じかV2より速くなっており、このように搬送速度V1を速くすると、領域M1(供給室58)において現像剤Dの滞留を作り出し難く、供給室58に存在する現像剤量の割合を高くすることができなくなる。また、上記のように最も搬送速度の遅い領域を基点に現像剤Dの配分が決まるので、比較例1、2共、実施例に比べて領域M1の液面が下がり、領域M2の液面が上がるようになる。
比較例1、2において、供給室58に存在する現像剤量の割合を高くすることができないということは、供給室58内の現像剤量が実施例よりも少なくなることを意味するので、現像剤Dの変動が生じたときに供給室58の液面の変動が大きくなって、現像ローラへの現像剤Dの供給不足が生じ易くなる。
比較例3(V1<V2=V3)では、追随性と供給性が良好になっている。これは、領域M1における現像剤Dの搬送速度V1が最も搬送速度が遅いことから、供給室58に存在する現像剤量の割合を実施例と同様に高めることができるからである。
しかしながら、比較例3では、かぶりが不良になっている。これは、領域M2における現像剤Dの搬送速度V2と領域M3における現像剤Dの搬送速度V3とが同じなので、補給された現像剤(キャリアとトナー)が領域M2を通過する時間が実施例よりも短くなってしまい、トナーの帯電量不足が生じて、かぶりが生じたものである。上記では、K色用の現像部14についての実験結果を説明したが、他のY〜C色用の現像部14についても上記と同様の実験結果を得られた。
なお、V1<V2<V3の関係において、例えば供給スクリュー52のピッチを極端に小さくするなどV1だけを極小にする構成をとれば、供給室58の領域M1(第1搬送路95)において現像剤Dが詰まったようになって現像剤Dが循環できなくなる。
また、V3だけを極端に大きくする、例えば攪拌スクリュー53のピッチを現像剤搬送方向下流の部分だけ極端に大きくする構成をとれば、攪拌室59(第2搬送路96)において開口部88に送られる現像剤量が増大するが、その一方で供給室58ではV1が遅いので、開口部88のところで現像剤Dが凝集されたようになる。
さらに、攪拌室59の領域M2(第2搬送路96における現像剤搬送方向上流の部分)では現像剤量が極端に減って、上記の図10に示すような領域M2において現像剤量の変動を吸収するといったことができなくなる。
従って、現像剤Dがスムーズに循環搬送されつつ、各領域での現像剤の液面が図10に示すようなバランスのとれる範囲内でV1<V2<V3の関係が決められることになる。
以上説明したように、本実施の形態に係る現像部14によれば、領域M1〜M3における現像剤Dの平均搬送速度V1〜V3をV1<V2<V3の関係を満たすように構成しているので、(a)攪拌室59よりも供給室58における現像剤量の割合が大きくなり、供給室58により多くの現像剤が存在するようになると共に、(b)攪拌室59においては補給用のトナーが領域M2(上流側)から領域M3(下流側)を介して供給室58に搬送される場合のその領域M2における攪拌時間をより長くとって、搬送中にトナーを現像に必要な量まで帯電させることができる。
トリクル現像方式によりハウジング50内の現像剤量がある程度の幅内で変動しても、現像ローラ51への現像剤Dの供給不足による高濃度画像の濃度低下の発生を防止することができ、かつ補給された現像剤Dの帯電量不足による白ベタ部のかぶりの発生を防止することができるようになる。
従って、装置小型化に伴って現像部に収容される現像剤量を従来よりも少なくせざるを得なくなったとしても、従来のように循環路の全体を同じ液面に維持しようとする構成をとる場合に比べて、現像剤量の変動に起因する現像性能の低下を防止することができる。
なお、上記では、攪拌スクリュー53の回転数を供給スクリュー52の回転数の1.1倍〜1.3倍にしたときに現像性能が良好であった場合の例を説明したが、装置構成によっては、この範囲外の回転数比が好適な構成になる場合もあり得る。
また、上記では、トリクル現像方式の現像部の構成例を説明したが、現像剤量が標準より少なくなった場合にも現像性能の低下を防止することができるという効果を奏することは、トリクル現像方式ではない通常の方式(二成分現像剤においてトナーを補給するがキャリアを補給せず、現像剤も排出しない方式)において、現像装置の小型化により現像剤量が少なくなった構成にも適用可能であることを意味するので、トリクル現像方式に限られず、現像装置一般に適用しても、上記と同様の効果を得られることになる。
この通常の方式をとる場合、現像部14において供給室58に領域N1と攪拌室59に領域N2を設けない構成(領域N1とN2が存在しない分だけ供給室58と攪拌室59が軸方向に短くなる構成)をとれば良い。現像剤Dの排出が不要になるので、排出口90を設ける必要はないが、トナーを補給するための補給口91は必要になる。
補給口91は、攪拌室59の領域M2における現像剤搬送方向の上流側の端部に設けるとすれば良い。補給口91から補給されたトナーは、領域M2を搬送される間に現像に必要な量まで帯電される。
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53を同じピッチのものを用いるとしたが、本実施の形態2では、異なるピッチのものを用いるとしており、この点で実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図12は、本実施の形態2における現像部200に設けられる供給スクリュー201と攪拌スクリュー202の構成を示す図であり、図13は、供給スクリュー201と攪拌スクリュー202を回転駆動させる駆動伝達機構の構成を示す側面図である。
図12に示すように、供給スクリュー201の螺旋羽根における領域M1に位置する部分のピッチをP1、攪拌スクリュー202の螺旋羽根における領域M2に位置する部分のピッチをP2、領域M3に位置する部分のピッチをP3とすると、P1<P2<P3の関係になっている。
また、図13に示すように供給スクリュー52の回転軸61に取り付けられているギア203と、攪拌スクリュー53の回転軸71に取り付けられているギア204は、同じ大きさで同じ歯数のものが用いられており、供給スクリュー201と攪拌スクリュー202の回転数が同じ値になるように設定されている。
供給スクリュー201と攪拌スクリュー202の回転数が同じで、螺旋羽根のピッチの大小関係がP1<P2<P3の関係になっているので、現像剤Dの搬送速度V1〜V3は、上記実施の形態1と同様にV1<V2<V3の関係を満たすものになる。
なお、供給スクリュー201と攪拌スクリュー202には、実施の形態1と同様の形状のパドルが設けられているが、V1<V2<V3の関係を満たす範囲内で、その高さが予め調整されている。装置構成に応じてパドルを配しない構成をとることもできる。
このように供給スクリュー201と攪拌スクリュー202の螺旋羽根のピッチを変える構成をとることにより、同じ大きさの駆動ギアを用いることによるコストメリットと共に組立作業性の容易化を図りつつ、現像剤Dの搬送速度V1〜V3をV1<V2<V3の関係を満たすように構成することができる。
〔変形例〕
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、攪拌室59における軸方向長さの中点の位置(位置α2)を境に上流側を領域M2、下流側を領域M3と分ける構成をとったが、領域M2とM3の境界の位置は中点の位置に限られず、中点の位置から一方端側または他方端側にずれた位置が境界になる構成であっても良い。
攪拌スクリュー53のうち、現像剤搬送方向の上流側の部分(M2領域に存する部分)による現像剤の搬送速度V2と、下流側の部分(領域M3に存する部分)による現像剤の搬送速度V3との間に、V2<V3の関係を有していれば良い。
(2)上記実施の形態1では、現像剤Dの搬送速度V2<V3の関係を満たすため、攪拌スクリュー53の回転軸71の領域M2に位置する部分に設けられたパドル73の高さH1を、領域M3に位置する部分に設けられたパドル74の高さH2よりも高くする構成をとったが、これに限られない。V2<V3の関係を有することができれば良い。例えば、パドル73、74を設けずに、実施の形態2のように攪拌スクリュー53の螺旋羽根72における領域M2に位置する部分のピッチP2を、領域M3に位置する部分のピッチP3よりも小さくすることが考えられる。また、パドル65、73〜75の形状や大きさ、個数などが上記に限られないことはいうまでもなく、例えばパドルを設けない構成や隣り合うもの同士の形状や大きさが異なるなど装置構成に応じて決めることができる。
(3)また、実施の形態1では、供給スクリュー52の回転軸61にパドル65を設けた例を説明したが、これに限られず、パドル65を設けない構成をとるとしても良い。パドルは、現像剤Dの搬送速度の調整に利用できるが、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53の回転数、ピッチの大きさを調整することによりV1<V2<V3の関係を満たすことができれば、パドルを設けない構成をとることもできる。
(4)上記実施の形態では、攪拌スクリュー53における現像剤搬送方向の下流側の端部に設けたパドル75で現像剤Dを掬い上げるとしたが、パドル75を設ける構成に限られない。例えば、パドル75を設けずに、螺旋羽根72を攪拌スクリュー53における現像剤搬送方向の下流側の端部まで延長する構成をとるとしても良い。この場合でも、現像剤の搬送速度V1<V2<V3の関係を満たすようにすれば良い。
(5)上記実施の形態では、図2に示すように供給室58の斜め下方に攪拌室59を配置することにより、現像部14の幅(図2の左右方向長さ)をより狭くして、現像部14を幅方向に小型化する構成例を説明したが、これに限られない。第1搬送路95を構成する供給室58よりも、第2搬送路を構成する攪拌室59を下方に配置する構成をとれば、水平配置する構成よりも小型化を実現できる。例えば、供給室58の直下に攪拌室59を配置する構成が考えられる。なお、装置本体において左右方向にある程度の余裕がある場合には、供給室58と攪拌室59を水平面に沿って配置(水平配置)するとしても良い。
さらに、感光体ドラム11の斜め下方に供給室58が位置し、供給室58の斜め下方に攪拌室59が位置する構成としたが、作像部の構成によっては、感光体ドラム11が最下位に位置し、感光体ドラム11の上方(直上または斜め上方)に供給室が位置し、この供給室の上方に攪拌室が位置する構成をとる場合もあり得る。
(6)上記実施の形態では、回転により現像剤Dを搬送する回転搬送部材として、突条の螺旋羽根が設けられた供給スクリュー52と攪拌スクリュー53の例を説明したが、現像剤Dを搬送可能な回転する搬送部材であれば、螺旋羽根を用いる構成に限られない。例えば、回転軸に螺旋状の溝を有するスクリューなどを用いることも可能である。
また、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53の回転駆動力を装置本体側の駆動モータ45から得るとしたが、例えば現像部14に駆動源を有する場合にはこの駆動源により回転駆動される構成としても良い。また、供給スクリュー52と攪拌スクリュー53が独立して回転駆動される構成であっても構わない。
(7)上記実施の形態では、本発明に係る現像装置と画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、例えば複写機、ファクシミリ装置、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
また、像担持体の例として感光体ドラムを用いる例を説明したが、像担持体はこれに限られず、例えば円筒状や円柱状の他、ベルト状の部材であっても良い。さらに、像担持体に対向配置される現像剤担持体の例として現像ローラ51を用いる例を説明したが、現像剤Dを表面に担持することが可能な部材であればこれに限られない。
また、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53などの各部材の形状、大きさなどは、上記に限られない。また、トリクル現像方式による現像剤の排出量を制限するために、供給スクリュー52に逆巻き部としての螺旋羽根63を設けるとしたが、装置構成によっては、これを設けない構成をとるとしても構わない。
(8)また、供給室58の領域M1(第1搬送路95)における現像剤搬送方向の下流側の端部から開口部89(第1連通路)と領域N1(現像剤の排出路97)とが分岐する構成例を説明したが、分岐する位置はこれに限られず、例えば第1搬送路95の途中から排出路が分岐する構成もとり得る。さらに、攪拌室59の領域N2(現像剤の供給路98)が領域M2における現像剤搬送方向の上流側の端部(第2搬送路96における現像剤搬送方向の上流側の端部)に合流するとしたが、装置構成によっては、領域M2の途中で合流する構成をとることも可能であろう。
また、上述のようにトリクル現像方式に限られず、通常の現像方式にも適用可能である。さらに、キャリアとトナーを含む二成分現像剤は、キャリアとトナーからなるものでも良いし、キャリアとトナーの他に添加剤などが混ぜられるものであっても良い。また、トナーを含みキャリアを含まない一成分現像剤を用いる構成に適用するとしても構わない。また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
本発明は、画像形成装置に備えられる現像装置に広く適用することができる。
1 プリンタ
11 感光体ドラム
14、200 現像部
45 駆動モータ
50 ハウジング
51 現像ローラ
52、201 供給スクリュー
53、202 攪拌スクリュー
57 隔壁
58 供給室
59 攪拌室
61 供給スクリューの回転軸
62、63、64 供給スクリューの螺旋羽根
65、73、74、75 パドル
71 攪拌スクリューの回転軸
72 攪拌スクリューの螺旋羽根
83、84、203、204 ギア
88、89 開口部(連通路)
90 排出口
91 補給口
95 第1搬送路
96 第2搬送路
97 現像剤の排出路
98 現像剤の供給路
101 循環路
111、112、113 現像剤の液面
D 現像剤
P ピッチ

Claims (11)

  1. 第1搬送路に配され、回転により、トナーを含む現像剤を搬送する第1搬送部材と、前記第1搬送路における現像剤搬送方向の下流側と第1連通路を介して連通すると共に上流側と第2連通路を介して連通する第2搬送路に配され、回転により、現像剤を搬送する第2搬送部材とを有し、前記第1搬送路と前記第2搬送路とが前記第1と第2の連通路を介して連通してなる循環路内で現像剤を循環させつつ、前記第1搬送路に沿って配された現像剤担持体に現像剤を供給する現像装置であって、
    前記第2搬送路を現像剤搬送方向の上流側の領域とこれよりも下流の下流側の領域とに分けたときに前記上流側の領域に補給用のトナーが補給され、
    前記第1搬送部材と第2搬送部材が回転駆動されたときの、前記循環路内における前記第1搬送部材による現像剤の平均搬送速度をV1、前記第2搬送部材のうち前記上流側の領域に存する部分による現像剤の平均搬送速度をV2、前記下流側の領域に存する部分による現像剤の平均搬送速度をV3としたとき、V1<V2<V3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする現像装置。
  2. 前記第1搬送路から分岐された排出路と、
    前記第2搬送路における前記上流側の領域に合流する供給路と、を備え、
    前記現像剤は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であり、
    前記補給用のトナーに加えて補給用のキャリアを、前記供給路を介して前記第2搬送路に供給しつつ、前記第1搬送路を搬送される現像剤の一部を、前記排出路を介して外部に排出する現像方式であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記第1搬送路を構成する供給室と、
    前記第2搬送路を構成する攪拌室と、を備え、
    前記第1搬送部材は、前記供給室に収容され、
    前記第2搬送部材は、前記攪拌室に収容され、
    前記供給室と攪拌室は、
    これらが仕切りで区画される部分と、前記現像剤搬送方向に前記仕切りを挟んだ両側のそれぞれに前記供給室と攪拌室とを連通する第1と第2の開口部とが設けられてなり、
    前記第1と第2の連通路は、前記第1と第2の開口部であり、
    前記攪拌室が前記供給室より斜め下方若しくは直下に位置する構成、または斜め上方若しくは直上に位置する構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 前記第2搬送部材の、前記第2の連通部に対向する部分には、
    前記第2搬送路を搬送される現像剤を、前記第2連通部を介して前記第1搬送路に送り込むためのパドルが、前記第2搬送部材の軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
  5. 前記パドルの前記現像剤搬送方向における幅と、前記第2連通部の前記現像剤搬送方向における幅とが略等しいことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
  6. 前記第2搬送部材のうち、前記上流側の領域に存する部分とは、
    前記第2搬送路における現像剤搬送方向の中点の位置よりも上流に存する部分であり、
    前記第2搬送部材のうち、前記下流側の領域に存する部分とは、
    前記第2搬送路における前記中点の位置よりも下流に存する部分であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
  7. 前記第1搬送部材と第2搬送部材は、
    それぞれ同じピッチを有する螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、
    前記第2搬送部材の方が前記第1搬送部材よりも回転数が高く、
    前記第2搬送部材の軸部には、
    軸方向への現像剤の搬送を抑制するための複数のパドルが当該軸方向に沿って間隔をおいて、当該軸部から当該軸に直交する方向に向けて突設されており、
    前記第2搬送部材における前記上流側の領域に存する部分に設けられたパドルの方が、下流側の領域に存する部分に設けられたパドルよりも高さが高いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。
  8. 前記第2搬送部材の回転数が前記第1搬送部材の回転数に対して1.1倍〜1.3倍の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
  9. 前記第1搬送部材と第2搬送部材は、螺旋羽根が設けられた搬送スクリューであり、
    前記第1搬送部材における螺旋羽根のピッチをP1、前記第2搬送部材における螺旋羽根のうち、上流側の領域に存する部分におけるピッチをP2、下流側の領域に存する部分におけるピッチをP3としたとき、P1<P2<P3の関係を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。
  10. 前記第1搬送部材と第2搬送部材は、
    同速で回転駆動されることを特徴とする請求項9に記載の現像装置。
  11. 像担持体上の静電潜像を現像する現像部を有する画像形成装置であって、
    前記現像部として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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