JP2012002887A - プラスチックミラー積層体及びプラスチックミラー積層体の製造方法 - Google Patents

プラスチックミラー積層体及びプラスチックミラー積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】経済性やミラー特性に優れたプラスチックミラー積層体及びプラスチックミラー積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート12と、紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層11と、金属蒸着層10bと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aと、を順次に含むプラスチックミラー積層体50等であって、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を0.2μm以下の値、あるいは0.2μmを超えた値とし、かつ、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、紫外線硬化性樹脂からなる硬化前接着剤層が予め形成してあるとともに、当該硬化前接着剤層を紫外線硬化させて、紫外線硬化物からなる接着剤層としてある。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチックミラー積層体及びプラスチックミラー積層体の製造方法に関し、特に、表面粗さ(Rz)の値が0.2μmを超えるバッキングシートであっても使用可能なプラスチックミラー積層体及びそのようなプラスチックミラー積層体の製造方法に関する。
従来、熱硬化性樹脂からなる接着剤層を介して、バッキングシートと、金属蒸着層を形成したポリエステル基材と、を積層したプラスチックミラー積層体や、そのようなプラスチックミラー積層体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、優れた鏡面反射特性を得るために、金属蒸着層側のポリエステル基材の表面粗さ(Rz:JISB0601−1994に準拠)が0.2μm以下の値であるバッキングシートを用いたプラスチックミラー積層体や、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下の値となるようにバッキングシートに表面平滑化処理を施す工程を含むプラスチックミラー積層体の製造方法が開示されている。より具体的には、図10に示すように、異なる非結晶ポリエチレンテレフタレート樹脂1012b、1012a,1012bを含む3層構造の第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート1012と、熱硬化性樹脂からなる接着剤層1011と、金属蒸着層1010bと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート1010aと、を順次に含むプラスチックミラー積層体1058が開示されている。
また、このプラスチックミラー積層体1058の製造方法として、押出キャスティング製法により製造した第1のポリエチレンテレフタレート樹脂1012に、図11に示す加熱装置1041および冷却装置1046を備えた鏡面エンボスロール成形器1044により表面平滑化処理を施す工程と、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート1010aの上に金属蒸着層1010bを形成する工程と、金属蒸着層1010bの上に熱硬化性樹脂を塗布して接着剤層1011を形成し、接着剤層1011を介して第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート1012及び第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート1010を積層して、プラスチックミラー積層体1058とする工程と、プラスチックミラー積層体1058をロール状に席巻きする工程と、を含むプラスチックミラー積層体1058の製造方法が開示されている。
特開2007−213034号公報(全文、全図)
しかしながら、特許文献1に開示されたプラスチックミラー積層体の場合、バッキングシートである第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとして、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下の値である特殊3層構造のポリエステル基材を使用しなければならず、経済的に不利になりやすいという問題が見られた。
また、プラスチックミラー積層体を製造するにあたり、接着剤層を構成する熱硬化性樹脂が十分に硬化するまで、ロール状に席巻したプラスチックミラー積層体を、長期時間にわたって、所定温度条件に放置する処理、いわゆる養生(加熱養生と称する場合がある。)させなければならないという問題もみられた。
しかも、プラスチックミラー積層体をロール状に席巻した状態で養生するために、ロール中心付近のプラスチックミラー積層体が、カールした状態で塑性変形してしまい、その部分を破棄せざるを得ないという問題もみられた。
その上、熱硬化性樹脂を均一に塗布するために、相当量の有機溶剤が通常配合されていることから、そのような有機溶剤によって、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを構成する高分子結晶構造が劣化する場合が見られた。そのため、特許文献1に開示されたプラスチックミラー積層体を製造するにあたり、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート上に形成された金属蒸着層に対して、熱硬化性樹脂を塗布せざるを得ず、それによって、金属蒸着層が汚染され、結果として、ミラー特性が低下する場合が見られた。
そこで、本発明の発明者は鋭意努力し、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、予め紫外線硬化性樹脂を含む接着剤層を形成することによって、多種多様な第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートが使用できるとともに、それからプラスチックミラー積層体を構成した場合に、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)の値にかかわらず、優れた鏡面反射特性が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、表面粗さ(Rz)の値が0.2μm以下はもちろんのこと、表面粗さ(Rz)の値が0.2μmを超えるような、安価なポリエステル基材であっても、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとして用いることができ、よって、経済性に優れ、かつ、ミラーとしての特性にも優れたプラスチックミラー積層体及びそのようなプラスチックミラー積層体の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、厚さが150〜800μmの第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、厚さが1〜100μmの紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層と、厚さが0.001〜10μmの金属蒸着層と、厚さが25〜200μmの第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を順次に含むプラスチックミラー積層体であって、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を0.2μm以下の値、あるいは0.2μmを超えた値とし、かつ、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、紫外線硬化性樹脂からなる硬化前接着剤層が予め形成してあるとともに、当該硬化前接着剤層を紫外線硬化させて、紫外線硬化物からなる接着剤層としてあることを特徴とするプラスチックミラー積層体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このように接着剤層を紫外線硬化性樹脂から構成したことにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに予め接着剤層を形成することが可能となり、これにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面を平滑化(レベリング)することができる。したがって、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下のポリエステル基材はもちろんのこと、表面粗さ(Rz)が0.2μmの値を越えたような、比較的安価なポリエステル基材であったとしても、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとして十分使用することができる。
また、接着剤層が紫外線硬化性樹脂から構成されているために、熱硬化性樹脂の場合と比較して、接着剤が十分に硬化するまでの時間を極めて短くすることができる。よって、プラスチックミラー積層体を実質的に養生させる必要がなくなり、かつ、巻締めに起因した問題も生じ得ず、製造コストを抑えることができる。
さらにまた、金属蒸着層の上でなく、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに対して、予め接着剤層が形成してあることから、金属蒸着層を汚染する要因をなくすことができる。
よって、このように第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとして、安価な各種ポリエステル基材を使用することができ、その上、製造コストが著しく低下することから、経済性に優れ、かつ、ミラー特性に優れたプラスチックミラー積層体を提供することができる。
また、本発明のプラスチックミラー積層体を構成するにあたり、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートが、非結晶質グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂シート(以下、「PET−G」と略記する。)の単層構造体であることが好ましい。
このように、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートが、比較的安価な所定単層構造体であることにより、製造コストをより低く抑えることができる。
また、本発明のプラスチックミラー積層体を構成するにあたり、紫外線硬化性樹脂が、少なくとも反応性ビニルオリゴマーと、反応性ビニルモノマーと、光開始剤と、を含むことが好ましい。
このように紫外線硬化性樹脂を構成することにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに対して塗布した場合に、所定のレベリング性を発揮することができるとともに、適度な紫外線硬化性や接着特性を得ることができる。
また、本発明のプラスチックミラー積層体を構成するにあたり、紫外線硬化性樹脂が、スペーサー粒子を含むことが好ましい。
このような紫外線硬化性樹脂とすることにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとを圧着する際のはみ出し等を効果的に抑制することができる。
なお、チクソトロピー性を発揮するスペーサー粒子であれば、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに対して塗布した場合に、所定のレベリング性を十分に発揮できるとともに、圧着する際のはみ出し等の抑制との間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明のプラスチックミラー積層体を構成するにあたり、紫外線硬化性樹脂の粘度を100〜10、000mPa・sec(測定温度25℃)の範囲内の値とすることが好ましい。
このような紫外線硬化性樹脂とすることにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに対して塗布した場合に、所定のレベリング性を十分に発揮することができるとともに、圧着する際のはみ出し等の抑制との間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明の別の態様は、厚さが150〜800μmの第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、厚さが1〜100μmの紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層と、厚さが0.001〜10μmの金属蒸着層と、厚さが25〜200μmの第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を順次に含むプラスチックミラー積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするプラスチックミラー積層体の製造方法である。
(1)塗布手段によって、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下、あるいは0.2μmを超えた値である第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、紫外線硬化性樹脂を塗布して、硬化前接着剤層を形成する工程
(2)蒸着手段によって、金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを準備する工程
(3)圧着手段によって、硬化前接着剤層を介して、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート及び前記第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを圧着する工程
(4)紫外線硬化手段によって、所定量の紫外線を照射して、硬化前接着剤層を、紫外線硬化させ、紫外線硬化物からなる接着剤層とする工程
すなわち、このように、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに紫外線硬化性樹脂を塗布することにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に凹凸があったとしても、容易に平滑化することができる。したがって、表面粗さ(Rz)が0.2μmの値を越えた第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートであっても、そのまま使用することができる。
また、紫外線硬化性樹脂を用いることにより、熱硬化性樹脂を用いた場合と比較して、接着剤が十分に硬化するまでの時間を極めて短くすることができる。よって、プラスチックミラー積層体を養生させる工程を省略でき、かつ、巻締めに起因した問題も生じ得ず、製造コストを抑えることができる。
さらに、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に紫外線硬化性樹脂を塗布するために、金属蒸着層が汚染される要因を排除することができる。
また、本発明のプラスチックミラー積層体の製造方法を実施するにあたり、工程(3)における圧着手段が、所定厚さを制御するための楔部材であるコッターを備えており、当該コッターを介して、紫外線硬化樹脂を塗布した第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を圧着することが好ましい。
このように圧着処理することによって、紫外線硬化樹脂の粘度を相当低下させた場合であっても、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を圧着する際の紫外線硬化樹脂のはみ出しを抑制することができる。
また、本発明のプラスチックミラー積層体の製造方法を実施するにあたり、工程(4)における紫外線硬化手段が、直径200〜1600mmの大径ドラムおよび紫外線照射装置を含み、大径ドラムに対して、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートおよび前記金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの圧着物(硬化前のプラスチックミラー積層体)を巻きつけた状態で、紫外線照射装置から所定量の紫外線を照射するとともに、大径ドラムの内部に装着した冷却装置によって、冷却しながら紫外線硬化樹脂を硬化させることが好ましい。
このように紫外線硬化樹脂を均一かつ所定温度で硬化させることによって、過度な歪の発生やカールの発生を抑制して、プラスチックミラー積層体の歩留まりを向上させることができる。
第1の実施形態のプラスチックミラー積層体の構成例を示す図である。 (a)〜(c)は、バッキングシートの構成例を示す図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態のプラスチックミラー積層体の変形例を示す図である。 (a)〜(b)は、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)と、鏡面光沢度及び拡散反射率との関係を示す図である。 プラスチックミラー積層体の製造装置の概略図である。 圧着手段およびコッターを説明するために供する図である。 紫外線硬化手段を説明するために供する図である。 プラスチックミラー積層体の製造装置の概略図である。 (a)〜(d)は、プラスチックミラー積層体の製造方法を説明するために供する図である。 従来のプラスチックミラー積層体の構成を説明するために供する図である。 鏡面エンボスロール成形器について説明するために供する図である。
以下、図面を参照して、本発明のプラスチックミラー積層体及びプラスチックミラー積層体の製造方法について具体的に説明する。ただし、かかる実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものについては同一の部材を示しており、適宜繰り返しの説明については省略されている。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1に例示するように、厚さが150〜800μmの第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート12と、厚さが1〜100μmの紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層11と、厚さが0.001〜10μmの金属蒸着層10bと、厚さが25〜200μmの第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aと、を順次に含むプラスチックミラー積層体50である。
そして、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート12の表面粗さ(Rz:JIS B0601−1994に準拠して測定、以下同様である。)を0.2μm以下の値、あるいは0.2μmを超えた値とし、かつ、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート12の表面に、紫外線硬化性樹脂からなる硬化前接着剤層11´が予め形成してあるとともに、当該硬化前接着剤層11´を紫外線硬化させて、紫外線硬化物からなる接着剤層11としてあることを特徴とするプラスチックミラー積層体50である。
1.第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート
まず、図1に示すプラスチックミラー積層体50における第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート(以下、「バッキングシート」と称する場合がある。)12は、プラスチックミラー積層体50の基材であって、所定の機械的強度や耐久性を発揮するために設けられており、さらには、ミラー機能を発揮する金属蒸着層における平滑性を確保し、それによって、良好なミラー特性を得るために設けられている。
以下、かかるバッキングシート12の構成例について、何れにおいても、バッキングシート12の表面に、紫外線硬化性樹脂からなる硬化前接着剤層11´が予め形成してある例であるが、図2(a)〜(c)を参照しながら説明する。
(1)基本構成
(1)−1 単層構造体
バッキングシート12は、図2(a)に示すように、ポリエチレンテレフタレート樹脂シートからなる単層構造であることが好ましい。
より具体的には、単層構造のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの場合、非結晶質グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂シート(PET−G)からなる単層構造であることが好ましい。
この理由は、このようなポリエチレンテレフタレート樹脂からなる単層構造であれば、経済性に優れているばかりか、厚さや光透過率等の調整が容易になって、良好なミラー特性が得られるためである。
すなわち、図2(a)に示すように、バッキングシート12であるPET−Gの表面に、重力作用によってレベリングしやすい紫外線硬化性樹脂が塗布されていることから、PET−Gの表面に、多少の凹凸部(凸部または凹部)31、あるいは膨れ部32があったとしても、表面が平滑な硬化前接着剤層11´を形成することができる。
より具体的には、市販のPET−Gは、外観的には極めて平滑性が保たれているように見えても、現実的には、直径が数μmオーダーの微細な凹凸部31、あるいは巻き取り時に発生すると思われる数mm〜数cmオーダーの膨れ部32がシート原反のいたる処で頻繁に見出されている。
そして、そのような市販のPET−Gであっても、その表面に、硬化前接着剤層11´を形成することにより、重力作用によってレベリング効果が発揮され、表面が平滑化されたバッキングシート12として用いることができる。
したがって、このようなPET−Gは、例えば表面平滑化処理を施してなる後述する複合層構造のシートと比べて製造コストが低く、経済的に極めて有利である。
また、プラスチックミラー積層体は、主たる用途である建築内装用壁装材(建築用壁装材)として使用される場合には、プラスチックミラー積層体は当該用途にミラー積層体単体で使用されることは少ない。
すなわち、例えば、1800mm(H)×900mm(W)×12mm(D)というような寸法形状の中質繊維板(MDF)あるいは高圧縮繊維板(HDF)等の下地材の厚み方向や長辺2辺の小口を巻き込む形態にラッピングされて使用されることが多い。
そのために、バッキングシート12は、2次加工性(折り曲げ性、打ち抜き性、接着性等)に優れていなければならないが、PET−Gであれば、このような2次加工性にも優れているという利点もある。
次いで、図2(b)に示す2層構造体のバッキングシート12´について説明する。2層構造のバッキングシート12´の接着剤層側に位置する上層12aは、PET−Gを含むシート層であり、下層12bは、非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下「A−PET」と略記する。)を含むシート層である。
このように、PET−Gのみならず、異なる非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂層であるA−PETを含むことにより、バッキングシート12´の弾性率や光透過率等を所定範囲内の値に容易に調整することができる。
すなわち、所定の鏡面エンボスロール成形器によって、PET−Gと、A−PETと、を積層するにあたり、鏡面エンボスロール成形器による所定温度の表面平滑化処理を同時実施することができ、それにより、結晶状態を制御して、所定範囲の弾性率等に調整することができる。
また、このような2層構造のバッキングシート12´の表面平滑性は、単層構造のPET−Gと比べて、より優れたものと言える。
したがって、比較的厚いプラスチックミラー積層体を構成し、長尺化した場合であっても、ロール状に席巻することができ、さらには、高圧縮繊維板や中質繊維板の表面に容易に追従させて積層し易くなる。
次いで、図2(c)に示す3層構造体のバッキングシート12´´について説明する。かかる3層構造のバッキングシート12´´における上層12aは、PET−Gを含むシート層であり、中間層12bは、A−PETを含むシート層であり、下層12aもまた、PET−Gを含むシート層である。
このような3層構造のバッキングシート12´´は、一般的には、GAG−PETシートと称されており、GAG−PETシートの表面平滑性は、単層構造や二層構造のバッキングシートと比べて、遙かに優れたものと言える。
すなわち、このように異なる非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む多層シート構造とすることによって、表面平滑性、弾性率、光透過率等を所定範囲に容易に調整することができる。
したがって、比較的厚いプラスチックミラー積層体を構成し、長尺化した場合であっても、ロール状に席巻することができ、さらには、高圧縮繊維板や中質繊維板の表面に容易に追従させて積層することがさらに容易になる。
なお、図示しないものの、バッキングシートとしては、4層以上の構造体であっても利用可能である。
また、プラスチックミラー積層体の用途や態様にもよるが、バッキングシートは、無色透明であっても良く、あるいは、着色透明であっても、着色不透明であっても良い。バッキングシートが透明であって、紫外線を透過することができれば、後述する紫外線硬化手段160において、バッキングシートに塗布された紫外線硬化性樹脂を、かかるバッキングシートを介して硬化させることができる。
(2)バッキングシートの表面粗さ(Rz)
利用可能な形態例として示した図2(a)〜図2(c)のバッキングシートにおいて、直径が数μmオーダーの微細な凹凸部がある場合には、JIS B0601−1994に準拠した表面粗さ(Rz)を0.2μm以下の値に制御することが困難である。
にもかかわらず、本願発明において、このようなバッキングシート12であっても問題なく使用することができる。
すなわち、バッキングシート12の表面において、接着剤層や、後述するレベリング層が予め設けてあることから、これらの層を形成する際に、所定のレベリング効果を発揮することができる。
したがって、比較的安価であるPET−G等であっても、特殊な表面平滑処理等を行うことなく、十分に用いることができ、所定の鏡面反射特性を得ることができる。よって、優れた鏡面反射特性を得るために、利用可能なバッキングシートについて、バッキングシートの表面粗さ(Rz)が0.2μm以下の値であるといった制約を受けないと言える。
ただし、本願発明のバッキングシートにおいて、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下であるバッキングシートを排除するものではなく、それ自体は比較的高価なバッキングシートであっても、プラスチックミラー積層体の構成部品として使用することができる。
すなわち、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下であるバッキングシートを用いた場合、所定の鏡面反射特性を効果的に得ることができる。
また、バッキングシート側に紫外線硬化性樹脂を塗布して、予め接着剤層を形成してあることから、相当の時間と費用がかかる養生工程を不要とすることができ、極めて経済的である。
その上、養生工程における巻締めに起因した塑性変形問題も生じ得ず、結果として、比較的高価なバッキングシートを使用したとしても、製造コストを著しく低下することができる。
(3)表面処理(弾性率調整処理)
また、バッキングシートに対して、接着剤等を積層する前に、予め、表面処理して、弾性率を所定範囲に調整することもさらに好ましい。
すなわち、加工原反としてのバッキングシートに含まれる非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂固有のガラス転移点温度(Tg)付近、あるいはそれ以上の温度に加熱するとともに、所定圧力で押圧して、表面処理を施すことができる。
このように表面処理を施すことにより、所定厚さを有するものの、結晶状態が適宜制御されて、プラスチックミラー積層体を構成した場合に、長尺状にして、ロール状に席巻することが可能となる。
また、バッキングシートの結晶状態が適宜制御されていることから、比較的厚い場合であっても、高圧縮繊維板等の表面に対して、優れた追従性を示すことができ、建材等の用途にも使用することができる。
(4)厚さ
また、バッキングシート12の厚さを、通常、150〜800μmの範囲内の値とする。
この理由は、かかるバッキングシートの厚さが150μm未満となると、耐久性や機械的特性が著しく低下する場合があるためである。したがって、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
一方、バッキングシート12の厚さが800μmを超えると、高圧縮繊維板等に対する追従性が低下する場合があるためである。したがって、同様に、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
したがって、バッキングシート12の厚さを300〜700μmの範囲内の値とすることが好ましく、400〜600μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.接着剤層
(1)基本構成
本実施形態は、接着剤層11を、所定の紫外線硬化性樹脂から構成したことを特徴とする。
かかる紫外線硬化性樹脂は、紫外線の照射により硬化反応がスタートし、それにともない流動性を失って固体又はゲル状態になる光硬化性樹脂(光硬化性樹脂組成物を含む)をいう。そして、このような紫外線硬化性樹脂には、ポリエステル基材の結晶構造を破壊し得るような有機溶剤を含まれていないか、あるいは、有機溶剤が含まれていたとしても、その有機溶剤の量はポリエステル基材に影響を与え得ない微量である。
よって、図1に示すように、接着剤層11をこのような紫外線硬化性樹脂から構成したことにより、紫外線硬化性樹脂からなる硬化前接着剤層11´を、バッキングシート12に対して、予め形成することが可能になる。
このため、本実施形態のように、接着剤層11が、バッキングシート及びポリエチレンテレフタレート樹脂シートを接着する機能を有するに加えて、バッキングシート12の表面をレベリングする機能を兼ね備えることが可能となる。
ここで、紫外線硬化性樹脂としては、少なくとも反応性ビニルオリゴマーと、反応性ビニルモノマーと、光開始剤と、を含むことが好ましいが、これら以外の他の配合成分として、可溶性アクリル樹脂、それ以外の樹脂(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等)、無機材料、各種添加剤、希釈剤、帯電防止剤、導電材料等を所定量含むこともできる。
以下、紫外線硬化性樹脂を構成する反応性ビニルオリゴマー、反応性ビニルモノマー、光開始剤、および可溶性アクリル樹脂について、中心的に説明する。
(1)−1 反応性ビニルオリゴマー
紫外線硬化性樹脂の反応性ビニルオリゴマーの種類としては特に制限されるものではないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートリゴマー、アクリル樹脂(メタ)アクリレートオリゴマー等の一種単独または二種以上の組み合わせである。
また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることによって、各種シートに幅広く適用することができるが、このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、骨格に脂環式ウレタンまたは脂肪族ウレタン構造を有する2官能ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
この理由は、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することにより、適度な強度や柔軟性を付与することができるためである。
また、2官能ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とすることにより、接着剤層の軟化温度やガラス転移温度の調整が容易になるためである。逆に言えば、一般的に3官能ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とした場合には、架橋密度が高くなり、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10との接着性が乏しくなる傾向があるためである。
また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量(GPCを用いて測定)を1,000以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が1,000未満の値になると、圧着時や硬化時の流動性の調整が困難となって、はみ出しやすくなったり、あるいは、バッキングシート12のみならず、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10に対する密着性が低下したりする場合があるためである。
但し、かかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が過度に大きくなると、取り扱い性が低下したり、紫外線による硬化反応が過度に低下したりする場合がある。
したがって、かかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量を2,000〜30,000の範囲内の値とすることがより好ましく、3,000〜10,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−2 反応性ビニルモノマー
また、反応性ビニルモノマーの種類についても特に制限されるものではないが、例えば、数平均分子量が800未満である(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。そして、種類に関してより具体的に言えば、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、N−メチルピロリドン、ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、イソボニル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、反応性ビニルモノマーの配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、30〜300重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、反応性ビニルモノマーの配合量が30重量部未満の値になると、紫外線による硬化反応が過度に遅くなったり硬化収縮が大きくなったりするため、圧着時や硬化時における接着剤層の流動性の調整が困難となって、はみ出しやすくなったり、あるいは、バッキングシート12のみならず、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10に対する密着性が低下したりする場合があるためである。
一方、反応性ビニルモノマーの配合量が300重量部を超えると、紫外線による硬化反応が過度に早くなったり、硬化収縮が大きくなったりして、逆に、バッキングシート12のみならず、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10に対する密着性が低下する場合があるためである。
したがって、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、反応性ビニルモノマーの配合量を80〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましく、100〜180重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)−3 光開始剤
光開始剤の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2- ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロへキシル-フェニル-ケトン、ベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ〔2-ヒドロキシ-2-メチル1-[4-(メチルビニル)フェニル]プロパノン〕等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、光開始剤の配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる光重合開始剤の添加量が0.1重量部未満の値となると、紫外線硬化時に十分な硬化反応が得られず、圧着時や硬化時における接着剤層の流動性の調整が困難となって、はみ出しやすくなったり、あるいは、バッキングシート12のみならず、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10に対する密着性が低下したりする場合があるためである。
一方、かかる光重合開始剤の添加量が30重量部を超えると、紫外線硬化時における反応を制御したり、あるいは、紫外線照射前における反応を抑制したりするのが困難となる場合があるためである。
したがって、光開始剤の配合量を、反応性ビニルオリゴマー100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜8重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−4 可溶性アクリル樹脂
また、接着剤としての紫外線硬化性樹脂を構成するにあたり、(メタ)アクリレートモノマーやオリゴマーに対して、可溶性を示すアクリル樹脂を、所定量配合することが好ましい。
この理由は、このような可溶性アクリル樹脂は、硬化反応には直接関与しないものの、所定量配合することによって、紫外線硬化性を間接的に制御することができ、また、配合成分間の相溶性が向上したり、さらには、基材等に対する密着性についても向上するためである。
ここで、可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量を30,000〜150,000の範囲内の値することが好ましい。
この理由は、かかる可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が30,000未満の値になると、添加効果が発現しなかったり、紫外線硬化性の間接的な制御が困難になったり、さらには、基材との密着性が低下したりする場合があるためである。
一方、かかる可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が150,000を超えた値になると、レベリング性が過度に低下したり、粘度が高くなって、ハンドリング性が低下したり、さらには、紫外線硬化性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量を50,000〜100,000の範囲内の値とすることがより好ましく、60,000〜80,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる可溶性アクリル樹脂として、室温で、粉末状態のアクリル樹脂を使用することが好ましい。
この理由は、かかる可溶性アクリル樹脂の取り扱いが容易になるばかりか、反応性ビニルモノマー((メタ)アクリレートモノマー)や反応性ビニルオリゴマー((メタ)アクリレートオリゴマー)に対する溶解時間を短くすることができるためである。
したがって、可溶性アクリル樹脂が粉末状態の場合、その平均粒径を0.01〜4mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.03〜3mmの範囲内とすることがより好ましく、0.05〜2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、可溶性アクリル樹脂の平均粒径は、JIS Z 8901に準じて、顕微鏡法や画像処理法により測定し、算出することができる。
また、可溶性アクリル樹脂のモノマー成分として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリルアミド、ヒドロキシメタクリルアミドヒドロキシメタクリルアミド、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリルアミド、ヒドロキシアクリルアミド等の少なくとも一つであることが好ましい。
さらに言えば、アクリル樹脂が、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリルアミド、ヒドロキシメタクリルアミド等のメタクリレートモノマーやメタクリルアミドを主成分(例えば、モノマー全体量の80重量%以上)としてなるアクリル重合体であることが好ましい。
なお、このような可溶性アクリル樹脂の配合量を、紫外線硬化性樹脂の全体量に対して、1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましく、5〜25重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)厚さ
また、接着剤層11の厚さを、通常、1〜100μmの範囲内の値とする。
この理由は、かかる接着剤層の厚さが1μm未満となると、耐久性や機械的特性が著しく低下する場合があるためである。したがって、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
一方、かかる接着剤層の厚さが100μmを超えると、高圧縮繊維板等に対する追従性が低下する場合があるためである。したがって、同様に、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
したがって、接着剤層の厚さを5〜60μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜40μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)スペーサー粒子
また、紫外線硬化性樹脂が、スペーサー粒子を含むことが好ましい。
この理由は、このようなスペーサー粒子を含んだ紫外線硬化性樹脂とすることにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとを圧着する際のはみ出し等を効果的に抑制することができる。
また、チクソトロピー性を発揮しやすいスペーサー粒子、例えば、シリカ粒子や凝集シリカ粒子であれば、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに対して塗布した場合に、所定のレベリング性を十分に発揮できるとともに、圧着する際のはみ出し等の抑制との間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、スペーサー粒子の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、シリカ粒子、凝集シリカ粒子、シリカゲル粒子、ガラス中空粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、プラスチック粒子(PMMA粒子、ポリエチレン粒子、ポリスチレン粒子等)等の一種単独または二種以上の組み合わせである。
そして、スペーサー粒子の平均粒径(例えば、JIS Z 8901に準拠測定)を、0.01〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるスペーサー粒子の平均粒径が0.01μm未満となると、添加量にもよるが、過度に小さくなって、スペーサー効果を発揮することが困難となる場合があるためである。一方、かかるスペーサー粒子の平均粒径が30μmを超えると、添加量にもよるが、紫外線硬化性樹脂を塗布した際のレベリング効果が低下したり、接着性が低下したりして、ミラー特性についてまで、低下する場合があるためである。
したがって、スペーサー粒子の平均粒径を0.1〜20μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜10μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、スペーサー粒子を添加する場合、その添加量を、紫外線硬化性樹脂の全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)紫外線硬化性樹脂の粘度
また、紫外線硬化性樹脂の粘度を100〜10、000mPa・sec(測定温度25℃)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような粘度の紫外線硬化性樹脂とすることにより、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに対して塗布した場合に、所定のレベリング性を十分に発揮することができるとともに、圧着する際のはみ出し等の抑制との間のバランスを、さらに良好なものとすることができるためである。
より具体的には、紫外線硬化性樹脂の粘度が、100mPa・sec未満の値になると、使用可能な配合成分の種類等が過度に制限されたり、また、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとを圧着する際に、所定場所からはみ出しやすくなる場合があるためである。
一方、紫外線硬化性樹脂の粘度が、10、000mPa・secを超えると、均一に塗布することが困難となったり、紫外線硬化性樹脂を塗布した際のレベリング効果が低下したりする場合があるためである。
したがって、紫外線硬化性樹脂の粘度を200〜5、000mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、300〜2、000mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.金属蒸着層
(1)基本構成
また、図1に示すように、後述する第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aに対して、所定の金属蒸着層10bが形成されており、真空金属蒸着PETフィルム10を構成している。
すなわち、真空金属蒸着PETフィルム10において、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aの表面に、高真空条件下で、高純度のアルミニウムを1400℃以上に加熱蒸発させ、例えば、オプティカルデンシティ(OD)が2.5〜3.5のアルミ蒸着層が、金属蒸着層10bとして設けられている。
なお、このような金属蒸着層を構成する金属種としては、アルミニウム単独に制限されるものではなく、アルミニウムと、銅、銀、ニッケル、ステンレス、クロム、鉄等とのいずれかの金属を含むアルミニウム合金や、これら金属単体であっても良い。
(2)厚さ
また、金属蒸着層の厚さは、通常、0.001〜10μmの範囲内の値である。
この理由は、かかる金属蒸着層の厚さが0.001μm未満となると、耐久性や機械的特性が著しく低下する場合があるためである。したがって、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成するミラー用の建築材料として使用できない場合があるためである。
一方、金属蒸着層の厚さが10μmを超えると、高圧縮繊維板等に対する追従性が低下し、割れや曇り等が発生する場合があるためである。したがって、同様に、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
したがって、金属蒸着層の厚さを0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜0.5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、オプティカルデンシティ(OD)を上述した範囲内に調整するためには、金属蒸着層の厚さを400〜500Å(=0.04〜0.05μm)とすることがより好ましい。
(3)パターニング
また、図3(a)に示すように、金属蒸着層10b´をパターニングすることも好ましい。
すなわち、パターニングされた金属蒸着層10b´であれば、プラスチックミラー積層体50´´における装飾効果を向上させることもできるし、文字や記号に対応してパターニングすることによって、情報性を向上させることもできる。
4.第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート
(1)基本構成
図1に示す第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aは、通常、可視光透過率が90%以上の全光線透過率(JIS K−7105に準拠)を有する光学系PET樹脂フィルムである。
すなわち、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとして、このような光学系PET樹脂フィルムを使用する理由は、所定の可視光透過率が確保されなければ、フィルム層内での反射光路(往復路)での透過光の乱反射や透過損失等を含めた光量減衰や損失を伴う場合があるためである。すなわち、鏡としての透明感や深み等、そもそも鏡が本来備えていなければならない特性そのものを損なう場合があるからである。
よって、プラスチックミラー積層体を設計する場合、金属蒸着層を担持する役割を担うベースフィルムである第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aは、当該ベースフィルム層を光線が反射することによって鏡としての機能を発現させる基本部材であるといえる。
なお、プラスチックミラー積層体に、本来の鏡と同等な役割を期待する為には、全光透過率(JIS K−7105に準拠)を以て示すと、少なくとも90%の値とすることが好ましく、92%以上の値とすることがより好ましい。
(2)厚さ
また、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値である。
この理由は、かかる第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの厚さが25μm未満となると、耐久性や機械的特性が著しく低下する場合があるためである。したがって、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
一方、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの厚さが200μmを超えると、高圧縮繊維板等に対する追従性が低下する場合があるためである。したがって、同様に、高圧縮繊維板等の表面に積層して構成する建築材料として使用できない場合があるためである。
したがって、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの厚さを30〜180μmの範囲内の値とすることが好ましく、40〜150μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.レベリング層
(1)基本構成
また、図3(b)に示すように、バッキングシート12と、接着剤層11と、の間に、レベリング層14を備えることも好ましい。
すなわち、バッキングシート12の表面を平滑化する機能を発揮するレベリング層14を、接着剤層11とは別に備えることが好ましい。
これにより、表面粗さ(Rz)が0.2μmの値を越えた比較的安価なポリエステル基材であったとしても、未加工状態のままバッキングシートとして用いることができる。また、接着剤層によるレベリング効果の発現が少なくなっても、未加工状態のままバッキングシートが使用できるため、接着剤層に使用可能な紫外線硬化性樹脂の種類や態様についての制約が少なくなる。
また、レベリング層は、バッキングシートの表面に形成してなるために、バッキングシートの特性を低下させないことが前提条件となる。このような条件を満たし、バッキングシートの表面をレベリングする機能を発揮できれば、レベリング層の種類は特に制限されない。
すなわち、レベリング層としては、レベリング性に優れた紫外線硬化性樹脂であるのが好ましいが、接着剤層を構成する紫外線硬化性樹脂と同一構成であっても、異なっていても良い。
例えば、レベリング層を構成する紫外線硬化性樹脂としては、レベリング性をより多く発揮すべく、硬化前においては、接着剤層を構成する紫外線硬化性樹脂の粘度よりも、低い粘度を有することが好ましい。
なお、含まれる有機溶剤が極微少量であれば、熱硬化性樹脂であっても、レベリング層を構成することができる。
(2)厚さ
また、レベリング層を設ける場合、その厚さを0.1〜20μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるレベリング層の厚さが0.1μm未満となると、バッキングシートの表面をレベリングする機能が発揮されない場合があるためである。一方、かかるレベリング層の厚さが20μmを超えると、接着性が低下したり、高圧縮繊維板等に対する追従性が低下したりする場合があるためである。
したがって、レベリング層の厚さを0.5〜10μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
6.その他
第1の実施形態であるプラスチックミラー積層体は、上述した実施形態以外に、各種層を設けることも好ましい。
(1)指紋隠蔽層
図3(c)に示すように、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10aに設けた金属蒸着層10bとの反対側、すなわち、最表面となるように、指紋隠蔽層10cを備えることが好ましい。
すなわち、指紋隠蔽層10cを表面に備えることによって、金属蒸着層10bに指紋がついて、ミラー特性が低下したり、空気中で、酸化されるのを防ぎ、更には、バッキングシート12との間の接着を、より強固かつ確実なものとすることができる。
また、指紋隠蔽層10cの厚さを1〜20μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、指紋隠蔽層の厚さが1μm未満の値になると、指紋隠蔽層の基材に対する密着性や機械的強度が低下したり、あるいは均一な厚さに形成することが困難になったりする場合があるためである。一方、指紋隠蔽層の厚さが20μmを超えた値になると、全体を均一に光硬化させることが困難になったり、指紋隠蔽性が低下したりする場合があるためである。
したがって、指紋隠蔽層の基材に対する密着性や機械的特性と、指紋隠蔽性等とのバランスがさらに良好なものとすることから、指紋隠蔽層の厚さを2〜18μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜15μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、指紋隠蔽層としては、一例であるが、全体量に対して、3官能以上の光硬化性モノマーを5〜70重量%と、3官能以上の光硬化性オリゴマーを15〜90重量%と、残余成分と、を含む指紋隠蔽層を形成するための指紋隠蔽用光硬化性樹脂組成物であって、光硬化させた際に、JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が32〜50dyn/cmの範囲内の値である指紋隠蔽用光硬化性樹脂組成物から構成してあることが好ましい。
すなわち、シリコーン系添加剤やフッ素系添加剤等を実質的に含むことなく、特定の光硬化性モノマーと、特定の光硬化性オリゴマーと、を所定量含む指紋隠蔽用光硬化性樹脂組成物であって、光硬化させた際に、濡れ張力が所定範囲の値である指紋隠蔽層を形成することから、指紋を構成する皮脂については選択的に排除する一方、指紋を構成する水分と容易になじんで、水分を主とした薄膜とすることができる。
したがって、指紋が付着した場合であっても、水分は転写するものの、皮脂については実質的に転写しないことより、指紋を目立なくすることができる。また、付着した指紋が、水分を主としていることから、指紋のふき取り性が良好になって、プラスチックミラー等における優れた反射特性を得ることができる。
また、かかる指紋隠蔽用光硬化性樹脂組成物が、光開始剤をさらに含むとともに、当該光開始剤の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、特定の光硬化性モノマーと、特定の光硬化性オリゴマーと、光開始剤とを含む合計量に対して、このように所定量の光開始剤を含むことにより、紫外線硬化が可能となるばかりか、形成される指紋隠蔽層の固さや機械的強度のみならず、濡れ張力についても容易に制御することができる。
また、かかる指紋隠蔽用光硬化性樹脂組成物が、水酸基含有化合物をさらに含むとともに、当該水酸基含有化合物の添加量を、全体量に対して、0.1〜40重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、特定の光硬化性モノマーと、特定の光硬化性オリゴマーと、光開始剤と、水酸基含有化合物と、を含む合計量に対して、このように所定量の水酸基含有化合物を含むことにより、形成される指紋隠蔽層の固さや機械的強度のみならず、濡れ張力の値についても容易に制御することができる。
さらにまた、かかる指紋隠蔽用光硬化性樹脂組成物が、光硬化性オリゴマーの全体量を100重量%としたときに、当該光硬化性オリゴマー中に、6官能以上の光硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを30重量%以上含むことが好ましい。
このように所定量の光硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことにより、形成される指紋隠蔽層の固さや機械的強度のみならず、濡れ張力の値についても容易に制御することができる。
(2)装飾層や着色層
また、図示しないものの、装飾機能(着色機能)を発揮するように、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートや第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの所定面等に、文字、図形、記号等からなる装飾層を設けることが好ましい。
また、着色層は、着色剤を添加してなるシート層として構成することもできる。例えば、厚さ0.1〜50μmの着色層を、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートや第2のポリエチレンテレフタレート樹脂の各表面、あるいは接着剤層の表面に形成することができる。
さらには、着色層は、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートや第2のポリエチレンテレフタレート樹脂の内部に着色剤を添加して、構成することもできるし、接着剤層中に、着色剤を添加して構成してもよい。
7.鏡面光沢度および拡散反射率
また、本実施形態のプラスチックミラー積層体において、ミラー特性の一つとして、鏡面光沢度の値(JISZ8741に準拠測定)を1900以上の値とすることが好ましい。
この理由は、プラスチックミラー積層体に、本来のガラス鏡と同等な役割を期待する為である。すなわち、このような鏡面光沢度の値は、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートや第2のポリエチレンテレフタレート樹脂に挟まれた金属蒸着層の表面の平滑性が高く確保され、光学系PET樹脂フィルム内での反射光路(往復路)での透過光の乱反射や透過損失等を含めた光量減衰や損失が少なくされることで、実現することができる。
但し、過度に、かかる鏡面光沢度の値を大きくしようとすると、使用可能な第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートや第2のポリエチレンテレフタレート樹脂、あるいは、接着剤としての紫外線硬化性樹脂の種類の選択が過度に狭められたり、製造における歩留まりが過度に低下したりする場合がある。
したがって、鏡面光沢度の値を1920〜2000の範囲内の値とすることが好ましく、1940〜1980の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
一方、本実施形態のプラスチックミラー積層体において、別なミラー特性として、拡散反射率(JISZ8741に準拠測定)があるが、具体的に、拡散反射率の値を0.5以下の値とすることが好ましい。
この理由は、プラスチックミラー積層体に、本来のガラス鏡と同等な役割を期待する為である。
但し、過度に、かかる拡散反射率の値を小さくしようとすると、使用可能な第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートや第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート、あるいは、接着剤としての紫外線硬化性樹脂の種類の選択が過度に狭められたり、製造における歩留まりが過度に低下したりする場合がある。
したがって、拡散反射率の値を0.01〜0.3の範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜0.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、図4(a)および(b)を参照して、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)と、それを用いてなるプラスチックミラー積層体における鏡面光沢度および拡散反射率との関係をそれぞれ概念的に説明する。
すなわち、図4(a)の横軸には、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を採って示してあり、縦軸に、それを用いてなるプラスチックミラー積層体における鏡面光沢度の値を採って示してある。
そして、ラインAが、接着剤としての紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮された場合、より具体的には、本願発明に対応した特性曲線である。すなわち、紫外線硬化性樹脂を第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに塗布した後、実施例1等と同様に、最終的に、プラスチックミラー積層体を構成した場合の、その鏡面光沢度の値を示してある。
また、ラインBが、接着剤としての紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮されない場合、より具体的には、従来の熱硬化性接着剤を第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに塗布した場合や、紫外線硬化性樹脂を第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに塗布した場合に対応しており、そして、最終的に、プラスチックミラー積層体を構成した場合の鏡面光沢度の値を示してある。
かかるラインAおよびラインBの比較から判断して、紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮された場合には、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)にかかわらず、良好な鏡面光沢度の値、すなわち、1900以上の値となることが理解される。
一方、接着剤としての紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮されない場合には、鏡面光沢度の値が、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)に相当影響されることが理解される。そのため、良好な鏡面光沢度の値、例えば、1900以上の値とするためには、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を0.1〜0.2μm程度に小さくしなければならないと言える。
また、図4(b)の横軸には、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を採って示してあり、縦軸に、それを用いてなるプラスチックミラー積層体における拡散反射率の値を採って示してある。
そして、ラインAが、接着剤としての紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮された場合に対応した特性曲線である。すなわち、紫外線硬化性樹脂を第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに塗布した後、実施例1等と同様に、最終的に、プラスチックミラー積層体を構成した場合の、その拡散反射率の値を示してある。
また、ラインBが、接着剤としての紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮されない場合に対応した特性曲線である。すなわち、従来の熱硬化性接着剤を第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに塗布した場合や、紫外線硬化性樹脂を第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに塗布した後、実施例1等と同様に、最終的に、プラスチックミラー積層体を構成した場合の、その拡散反射率の値を示してある。
かかるラインAおよびラインBの比較から判断して、紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮された場合には、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)にかかわらず、良好な拡散反射率の値、すなわち、0.5以下の値となることが理解される。
一方、接着剤としての紫外線硬化性樹脂のレベリング効果が発揮されない場合には、拡散反射率の値が、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)に相当影響されることが理解される。そのため、拡散反射率の値を0.5以下とするためには、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を少なくとも0.1〜0.2μm程度に小さくしなければならないと言える。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、厚さが150〜800μmの第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、厚さが1〜100μmの紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層と、厚さが0.001〜10μmの金属蒸着層と、厚さが25〜200μmの第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を順次に含むプラスチックミラー積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするプラスチックミラー積層体の製造方法である。
(1)塗布手段によって、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下、あるいは0.2μmを超えた値である第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、紫外線硬化性樹脂を塗布して、硬化前接着剤層を形成する工程
(2)蒸着手段によって、金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを準備する工程
(3)圧着手段によって、硬化前接着剤層を介して、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート及び第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを圧着する工程
(4)紫外線硬化手段によって、所定量の紫外線を照射して、硬化前接着剤層を、紫外線硬化させ、紫外線硬化物からなる接着剤層とする工程
以下、第2の実施形態の製造方法に関する発明を、プラスチックミラー積層体の製造装置およびプラスチックミラー積層体の製造方法に分けて、具体的に説明する。
1.プラスチックミラー積層体の製造装置
まず、本発明のプラスチックミラー積層体の製造方法を実施するための、プラスチックミラー積層体の製造装置について、図5〜図9を参照しつつ説明する。
図5に示すように、このプラスチックミラー積層体の製造装置は、第1のシート供給手段101と、第2のシート供給手段102と、塗布手段103と、圧着手段105と、紫外線硬化手段160と、を主たる要素として備える。
(1)第1のシート供給手段
第1のシート供給手段101の構成については、原反ロールに巻かれた状態で、バッキングシート12を連続的に供給できる構成であれば、特に制限されるものではない。したがって、例えば、図5に示すように、原反ロール状に巻かれたバッキングシート12を連続的に繰り出し可能な駆動ロール101であることが好ましい。
(2)第2のシート供給手段
図5に示す第2のシート供給手段102の構成についても、原反ロールに巻かれた状態で、バッキングシート12に対して積層される第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10を連続的に供給できる構成であれば、特に制限されるものではない。
したがって、第2のシート供給手段102として、図5に示すように、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートが、原反ロール状に巻かれた状態で所定位置に載置されるとともに、当該第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを連続的に繰り出し可能な駆動ロールの構成であることが好ましい。
また、第2のシート供給手段102は、図5や図6に示すように、圧着手段105によって、バッキングシート12に対して積層される、真空金属蒸着PETフィルム10を供給するための構成部材であることから、当該圧着手段105の近傍に配置してあることが好ましい。
(3)塗布手段
(3)−1 塗布装置
また、図5に示す塗布手段103は、例えば、リバースロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、アプリケータコーター、ナイフコーター、バーコーター等の一種単独または二種以上のコーターヘッドの組み合わせであることが好ましい。
より具体的には、図5に示すように、塗布手段103は、シート供給手段101の後段に設置されており、バッキングシート12の送出経路上に、コーターヘッド(図示せず)を配して、シート供給手段101から連続的に送り出されるバッキングシート12の表面に対して、接着剤層11を構成するための紫外線硬化性樹脂を均一な厚さに塗布するように構成してあることが好ましい。
(3)−2 乾燥手段
また、紫外線硬化性樹脂に溶剤等が含まれる場合における乾燥手段104としては、ヒーター、電熱オーブン、赤外線ランプ、加熱空気、加熱蒸気、遠赤外線ヒーター等の一種単独または二種以上の組み合わせであることが好ましい。
より具体的には、図5に示すように、かかる乾燥手段104は、塗布手段103の後段に,複数の乾燥炉104aを連ねて設置してあり、個別に温度調節が可能なように、小部屋として構成されている。
そして、バッキングシート12が、各乾燥炉内104aを通過する過程で、その表面に塗布された紫外線硬化性樹脂から溶剤等を乾燥するように構成することができる。
(4)圧着手段
図5及び図6に示す圧着手段105としては、紫外線硬化性樹脂からなる接着剤層11を含むバッキングシート12に対して、接着剤層11を介して、真空金属蒸着PETフィルム10を積層できる構成であれば特に制限されるものではないが、例えば、ラミネータ装置であることが好ましい。
より具体的には、図6に示すように、かかる圧着手段105としてのラミネータ装置は、上下に配した金属製の押圧ローラー105aと合成ゴム製の押圧ローラー105bからなり、バッキングシート12と、真空金属蒸着PETフィルム10を、両押圧ローラー間に引き入れ、紫外線硬化性樹脂からなる接着剤層(図示せず)が形成されたバッキングシート面と、真空金属蒸着PETフィルム10の金属蒸着面とを貼り合わせ、一体的になるように圧着する構成である。
また、圧着手段105において、図6に示すように、所定厚さを制御するためのストッパーとしての機能を発揮する楔部材であるコッター172aおよびこれと当接するコッターピン172bを設けて、コッター172a(コッターピン172bを含む。)を介して、紫外線硬化性樹脂からなる接着剤層(図示せず)を含むバッキングシート12および真空金属蒸着PETフィルム10を貼り合わせることが好ましい。
例えば、金属製の押圧ローラー105aと、合成ゴム製の押圧ローラー105bとの間に、先端が先細りした金属製の楔部材であるコッター172aが設けてある。
一方、金属製の押圧ローラー105aには、上下動するコッターピン172bが、金属製の押圧ローラー105aに対して、一体的に設けてある。
そして、金属製の押圧ローラー105aと、合成ゴム製の押圧ローラー105bとの間の距離、すなわち、クリアランスが多少変動したとしても、コッターピン172bが、コッター172aの表面(斜面)に先に当接することによって、ストッパーとしての機能を発揮し、押圧ローラー105aと、押圧ローラー105bとの間の距離であるクリアランスが所定値以下となることを防止する構成である。
すなわち、このようにコッター(コッターピンを含む。)を設けることによって、圧着手段105によって、紫外線硬化性樹脂が所定場所からはみ出ることなく、プラスチックミラー積層体をさらに安定的かつ連続的に生産することができる。
(5)紫外線硬化手段
図5及び図7に示す第2の紫外線硬化手段160としては、紫外線照射量(露光量)が比較的多く必要とされることから、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、高圧キセノンランプ、超高圧キセノンランプ等であることが好ましい。
なお、紫外線硬化性樹脂からなる接着剤層が厚い場合、あるいは、紫外線が照射される側のフィルムが厚い場合は、接着剤層の深部まで紫外線が届きずらくなるため、長波長領域の紫外線が多く照射されるメタルハライドランプを用いることがより好ましい。
(6)その他
プラスチックミラー積層体の製造装置については、各種変形することができるが、例えば、紫外線照射手段と、大径ドラムの外周との間の距離が、可変に構成してあることが好ましい。これにより、紫外線照射量をきめ細かく制御することができ、また、製造装置の使い勝手性についても、向上させることができる。
ただし、図8に示すように、紫外線照射手段と、大径ドラムの外周との間の距離を固定して構成しても構わない。
また、紫外線硬化手段160の後段に、プラスチックミラー積層体50の巻取り装置108を設けたり、圧着手段105の後段に、プラスチックミラー積層体50の切断装置を設けたりすることもできる。
2.プラスチックミラー積層体の製造方法
次に、上述したプラスチックミラー積層体の製造装置100により実施されるプラスチックミラー積層体50の製造方法について、図9(a)〜(d)を参照しつつ説明する。
(1)接着剤層形成工程
(1)−1 バッキングシートの準備
図9(a)に示すバッキングシート12は、表面粗さ(Rz)の値が0.2μmを超える、例えば、市販のPET−G樹脂シートであっても、そのまま使用可能である。このようなPET−Gは、表面平滑化処理を施してなる複合層構造のシート、例えば、GAG−PETと比べて、製造コストが低く、経済的に有利である。
そして、図5に示す第1のシート供給手段101により、バッキングシート12は、原反ロールに巻かれた状態で連続的に供給可能である。
(1)−2 レベリング層の形成
次いで、図示しないものの、バッキングシート12にレベリング層14を形成する工程を実施することが好ましい。
例えば、ロールコーターによって、バッキングシートの表面に対して、接着剤と同一または類似の紫外線硬化樹脂を、0.5〜5μm程度塗布することによって、レベリング層を形成することができる。
すなわち、かかるレベリング層によって、バッキングシート12の表面における凹凸部や膨れ部を覆い隠して、平坦面とすることができる。
(1)−3 紫外線硬化性樹脂の塗布
次いで、図9(b)に示すように、バッキングシート12に対して、塗布手段103によって、紫外線硬化性樹脂51を塗布する。
このように接着剤層11を紫外線硬化性樹脂から構成したことで、バッキングシート12に対して接着剤層11を形成した場合であっても、バッキングシート12を構成する高分子結晶構造等を劣化させる恐れがない。
なお、紫外線硬化性樹脂に溶剤等が含まれる場合には、極力含有量を少なくするとともに、塗布した後、すぐに、そのような溶剤等を蒸発させる乾燥工程を実施することが好ましい。
また、塗布工程では、バッキングシート12に対して、全体的に紫外線硬化性樹脂を塗布することが好ましい。
このように、バッキングシート12の表面に対して、全体的に紫外線硬化性樹脂を塗布することにより、バッキングシート12の表面を接着剤層で確実にレベリングすることができる。したがって、バッキングシート12に紫外線硬化性樹脂を塗布したにも関らず、優れたミラー特性が得られない事態を防止することができる。
ただし、バッキングシート12に対して、部分的に紫外線硬化性樹脂を塗布しても構わない。すなわち、積層体の態様によっては、第1のシートの表面であっても良く、あるいは、両面であっても良い。
(2)真空金属蒸着PETフィルムの準備工程
次いで、金属蒸着層10bを備えた、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート10b、すなわち、真空金属蒸着PETフィルム10を準備する。
すなわち、図5に示す第2のシート供給手段102により、真空金属蒸着PETフィルム10は、原反ロールに巻かれた状態で、連続的に供給可能である。
(3)積層工程
(3)−1 圧着工程
そして、図9(c)に示すように、真空金属蒸着PETフィルム10を、紫外線硬化性樹脂を塗布したバッキングシート12に対して貼り合わせる圧着工程を実施する。
そして、圧着工程を実施する際の圧着条件としては、バッキングシート12に対して、真空金属蒸着PETフィルム10を積層できる条件であれば特に制限されるものではないが、例えば、圧着温度を50〜200℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、圧着温度が80℃未満の値になると、バッキングシート12と、真空金属蒸着PETフィルム10とを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
また、圧着温度が200℃を超えた値になると、バッキングシート12や真空金属蒸着PETフィルム10が熱変形しやすくなって、良好な外観を有する積層体を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、圧着温度を50〜150℃の範囲内の値とすることがより好ましく、60〜100℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、圧着温度としては、貼り合わせる際のロール等の表面温度を意味しており、赤外線温度計や熱電対等を用いて、測定することができる。
さらにまた、圧着圧力については、圧着温度等にもよるが、通常、0.1〜100kgf/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、圧着圧力が0.1kgf/cm2未満の値になると、バッキングシート12と、真空金属蒸着PETフィルム10とを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
また、圧着圧力が100kgf/cm2を超えた値になると、バッキングシート12や真空金属蒸着PETフィルム10が変形しやすくなって、良好な外観を有する積層体を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、圧着圧力を1〜10kgf/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5kgf/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、圧着圧力としては、貼り合わせる際のロール間の圧力を意味しており、圧力計等を用いて、測定することができる。
(3)−2 硬化工程
次いで、図9(d)に示すように、紫外線硬化手段160により、所定量の紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂を硬化させ、バッキングシート12と、真空金属蒸着PETフィルム10と、を積層してなるプラスチックミラー積層体50とする硬化工程を実施する。
そして、大径ドラム106に対して、硬化前のプラスチックミラー積層体55を巻きつけた状態で、紫外線照射装置160から所定量の紫外線を照射するとともに、大径ドラム106の内部に装着した冷却装置(図示せず)によって、プラスチックミラー積層体50を冷却しながら紫外線硬化性樹脂をさらに硬化させることを特徴とする。
この理由は、紫外線硬化手段106において、所定直径の大径ドラムを用いるとともに、冷却装置により、プラスチックミラー積層体50を冷却することによって、紫外線照射に起因した熱変形の発生を制御することができ、平滑性に優れるとともに、内部応力歪が少ないプラスチックミラー積層体50を得るためである。
ここで、紫外線硬化手段160における紫外線照射量を250〜1500mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように紫外線硬化手段160における紫外線照射量を制御することによって、圧着手段105における紫外線硬化性樹脂の粘度やバッキングシート12に対する密着性を、さらに精度良く制御することができるためである。
より具体的には、かかる紫外線照射量が250mJ/cm2未満の値になると、バッキングシート12と、真空金属蒸着PETフィルム10とを、良好に積層することが困難となる場合があるためである。
一方、かかる紫外線照射量が1500mJ/cm2を超えると、バッキングシート12および真空金属蒸着PETフィルム10が熱劣化しやすくなったり、一旦硬化した紫外線硬化性樹脂の硬化収縮が過度に大きくなったりする場合があるためである。
したがって、紫外線硬化手段160における紫外線照射量を300〜1200mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、500〜1000mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
そして、紫外線硬化手段160が、図5および図7に示すように、大径ドラム106および紫外線照射装置160a、160bを含み、直径(L)が200〜1600mmの範囲である大径ドラム106に、プラスチックミラー積層体50を巻きつけた状態で、紫外線照射装置160a、160bから所定量の紫外線を照射するとともに、大径ドラム106の内部に装着した冷却装置111´、例えば、冷却管によって、プラスチックミラー積層体50を冷却しながら、紫外線硬化性樹脂からなる接着剤層11を硬化させることが好ましい。
より具体的には、大径ドラムと、この大径ドラムの外周面を照射面として配置された紫外線を放射する一対の紫外線照射装置からなり、圧着手段105で一体に圧着されたプラスチックミラー積層体50が、大径ドラムの外周を転動する過程で、紫外線照射装置から所定の紫外線を照射することにより、バッキングシート12の表面に塗布された紫外線硬化性樹脂を硬化させる構成が好ましい。
この理由は、紫外線照射装置は、発光に伴って多大な熱を発生することから、このように紫外線硬化手段160において、所定直径の大径ドラムを用いるとともに、冷却装置により、プラスチックミラー積層体50を冷却することによって、紫外線照射に起因した熱変形の発生を制御することができるためである。
その他、冷却装置は、圧着手段105で一体に圧着されたプラスチックミラー積層体50を、大径ドラムの外周に沿って移動する過程で、冷却するためのものであって、一例であるが、大径ドラムの内部に形成された冷却水循環路に冷却水を循環供給するようにして、構成することが好ましい。
(4)その他
その他、所定の巻取り装置により、得られたプラスチックミラー積層体を巻取り、ロール状としたり、あるいは、切断装置により、プラスチックミラー積層体を所定長さに切断したり、あるいは、所定形状に打ち抜いたりすることが好ましい。
さらには、この段階で、被覆部材を用いて、プラスチックミラー積層体を包装することも好ましい。
[実施例1]
1.プラスチックミラー積層体の製造
図5に示すプラスチックミラー積層体の製造装置を用いて、下記工程を経て、本発明のプラスチックミラー積層体を製造した。
(1)接着剤層形成工程
(1)−1 バッキングシートの準備
バッキングシートとして、商品名PET−Gフィルム(シーアイ化成社製、シート幅:1270mm、シート厚:400μm、Rz:0.2μm超)を準備し、第1のシート供給手段に配置した。
(1)−2 紫外線硬化性樹脂の塗布
次いで、第1のシート供給手段からバッキングシートを10m/分の速度で繰り出しながら、当該バッキングシートの片面に、ロールコーターによって、下記配合成分1)〜3)を含んでなる紫外線硬化性樹脂を塗布して、厚さが25μmの硬化前接着剤層を形成した。
1)ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー :100重量部
2)ヒドロキシエチルメタクリレート :137.5重量部
3)光開始剤 :12.5重量部
(2)真空金属蒸着PETフィルムの準備工程
まず、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとして、透明度が90%以上の全光線透過率(JIS K−7105に準拠)を有する光学系PET樹脂フィルム(東洋紡績(株)製:商品名コスモシャイン(A4100)シート幅:1270mm、シート厚:100μm)を準備した。
次いで、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、高真空条件下で、高純度アルミニウムを1400℃以上に加熱して、蒸着した。所定時間経過後、オプティカルデンシティ(OD)が3.0であり、膜厚が450Å(=0.045μm)の金属蒸着層を形成し、真空金属蒸着PETフィルムとした。
そして、得られた真空金属蒸着PETフィルムを、第2のシート供給手段に配置した。
(3)積層工程
(3)−1 圧着工程
次いで、図5に示すコッターを備えた圧着手段により、硬化前接着剤層を形成したバッキングシートの塗布面と、真空金属蒸着PETフィルムの金属蒸着層と、が対向するようにして、積層した。
圧着温度:60℃
圧着時間:1×10-3
圧着圧力:2kgf/cm2
(3)−2 硬化工程
次いで、図5に示す紫外線硬化手段を用いて、大径ドラムに対して、硬化前接着剤層が形成してある第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート(バッキングシート)及び金属蒸着層が形成してある第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート(真空金属蒸着PETフィルム)の圧着物である硬化前のプラスチックミラー積層体を巻きつけた状態で、冷却装置によって、冷却温度としての大径ドラムの表面温度が30℃になるように冷却しながら、下記条件にて、硬化前接着剤層の紫外線硬化性樹脂を硬化させ、実施例1のプラスチックミラー積層体を得た。
紫外線照射装置:160W/cmのメタルハライドランプ
紫外線照射量 :300mJ/cm2
大径ロール直径:600mm
冷却温度: 30℃
2.プラスチックミラー積層体の評価
(1)鏡面光沢度(評価1)
得られたプラスチックミラー積層体につき、JIS Z 8741に準拠して、分光光度計(日本電色工業社製、商品名VG−2000)を用いて鏡面光沢度を測定し、以下の基準に準じて、鏡面光沢度の評価を行った。
◎:鏡面光沢度が1940以上
○:鏡面光沢度が1920〜1940未満
△:鏡面光沢度が1900〜1920未満
×:鏡面光沢度が1900未満
(2)拡散反射率(評価2)
得られたプラスチックミラー積層体につき、分光光度計(日本電色工業社製、商品名VG−2000)を用いて拡散反射率を測定し、以下の基準に準じて、拡散反射率の評価を行った。
◎:拡散反射率が0.1%以下
○:拡散反射率が0.1〜0.2%未満
△:拡散反射率が0.2〜0.5%未満
×:拡散反射率が0.5%以上
(3)180°ピール強度(評価3)
得られたプラスチックミラー積層体につき、JIS Z−0237に準拠して、オートグラフ(島津製作所社製、商品名AGS−J100N)を用いて、バッキングシートと、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの間の180°ピール強度を測定し、以下の基準で評価した。
◎:ピール強度が20N/25mm以上
○:ピール強度が10〜20N/25mm未満
△:ピール強度が5〜10N/25mm未満
×:ピール強度が5N/25mm未満
[実施例2〜3]
実施例2〜3において、紫外線硬化手段による紫外線照射量の影響を検討した。すなわち、実施例2〜3において、表1に示すように、紫外線硬化手段による紫外線照射量を変えたほかは、実施例1と同様に、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を、表1に示す。
[比較例1〜3]
比較例1〜3において、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、紫外線硬化樹脂を塗布したほかは、実施例1〜3と同様に、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を、表1に示す。
Figure 2012002887
*実施例1〜3においては、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、紫外線硬化樹脂を塗布し、比較例1〜3においては、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、紫外線硬化樹脂を塗布した。
[実施例4〜6]
実施例4〜6において、実施例1〜3におけるバッキングシートの種類の影響を検討した。すなわち、実施例4〜6において、表2に示すように、バッキングシートの種類を、GAG−PET(Rz=0.2μm以下)に変えたほかは、実施例1〜3と同様に、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を、表2に示す。
[比較例4〜6]
比較例4〜6において、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、紫外線硬化樹脂を塗布したほかは、実施例4〜6と同様に、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を、表2に示す。
Figure 2012002887
*実施例4〜6においては、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、紫外線硬化樹脂を塗布し、比較例4〜6においては、第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに、紫外線硬化樹脂を塗布した。
[実施例7〜10]
実施例7〜8において、紫外線硬化性樹脂の種類の影響を検討した。すなわち、実施例7〜8において、表3に示すように、紫外線硬化性樹脂の種類を、それぞれ別の紫外線硬化性樹脂としてのタイプ2およびタイプ3に変えたほかは、実施例2と同様に、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。
また、実施例9〜10において、スペーサー粒子の添加効果を検討した。すなわち、実施例9において、実施例2の紫外線硬化性樹脂に、スペーサー粒子として、シリカ粒子(平均粒径3.9μm)を2重量部添加し、実施例10において、実施例7の紫外線硬化性樹脂に、スペーサー粒子として、シリカ粒子(平均粒径3.9μm)を2重量部添加したほかは、実施例2と同様に、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。それぞれ得られた結果を、表3に示す。
(紫外線硬化性樹脂2(タイプ2))
紫外線硬化性樹脂2(タイプ2)として、市販のロックタイト3736(ヘンケル社製、脂肪族ウレタンアクリレート38重量部/イソボルニルアクリレート36重量部/アクリレートエステル9重量部/ヒドロキシエチルメタクリレート9重量部/光開始剤5重量部/有機リン化合物3重量部)からなる紫外線硬化性樹脂を準備した。
なお、脂肪族ウレタンアクリレートがオリゴマー成分であって、イソボルニルアクリレート、アクリレートエステル、およびヒドロキシエチルメタクリレートがモノマー成分である。
(紫外線硬化性樹脂3(タイプ3))
紫外線硬化性樹脂3(タイプ3)として、ダイアボンドUV145B(ノガワケミカル社製)を準備した。
Figure 2012002887
[比較例7〜8]
比較例7〜8において、接着剤として、ウレタン系熱硬化性樹脂(タイプ4)を用いてプラスチックミラー積層体を構成し、圧着温度60℃、圧着時間1×10-3秒、圧着圧力2kgf/cm2の条件で、熱圧着した。
次いで、比較例7においては、室温1日、40℃3日の条件で、養生し、比較例8においては、室温4日の条件で、養生したほかは、それぞれ実施例1および4と同様の構成になるように、プラスチックミラー積層体を製造し、評価した。
Figure 2012002887
このように構成された本発明のプラスチックミラー積層体およびプラスチックミラー積層体の製造方法によれば、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに予め接着剤層を形成することによって、表面粗さ(Rz)が0.2μmの値を越えた安価なポリエステル基材であったとしても、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートとしてそのまま用いることができるようになった。
さらに、接着剤層が紫外線硬化性樹脂から構成されているために、プラスチックミラー積層体を養生させる必要がなくなり、かつ、巻締めに起因した問題も生じ得ず、製造コストを抑えることができるようになった。
また、第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートに予め接着剤層を形成することができるために、有機溶剤により金属蒸着層が汚染されてしまうこともなくなった。
よって、経済性に優れ、かつ、ミラーとしての特性にも優れたプラスチックミラー積層体を効率的に製造することができるようになった。
10:真空金属蒸着PETフィルム(金属蒸着層が形成された第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート)、10a:第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シート、10b:金属蒸着層、10b´:パターン化された金属蒸着層、10c:指紋隠蔽層、11:接着剤層、11´:硬化前接着剤層、12:第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート(バッキングシート)、13:積層物(硬化前接着剤層が形成された第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート)、31:凹凸部、32:膨れ部、50、50´、50´´、50´´´、:プラスチックミラー積層体(硬化後のプラスチックミラー積層体)、55:硬化前のプラスチックミラー積層体、101:第1のシート供給手段、102:第2のシート供給手段、103:塗布手段、104:乾燥手段、105:圧着手段、105a:金属製の押圧ローラー、105b:合成ゴム製の押圧ローラー、106:大径ドラム、111´:冷却装置、160、160a、160b、160c、160d:紫外線硬化手段、172a:コッター、172b:コッターピン

Claims (8)

  1. 厚さが150〜800μmの第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、厚さが1〜100μmの紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層と、厚さが0.001〜10μmの金属蒸着層と、厚さが25〜200μmの第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を順次に含むプラスチックミラー積層体であって、
    前記第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面粗さ(Rz)を0.2μm以下の値、あるいは0.2μmを超えた値とし、かつ、
    前記第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、前記紫外線硬化性樹脂からなる硬化前接着剤層が予め形成してあるとともに、当該硬化前接着剤層を紫外線硬化させて、前記紫外線硬化物からなる接着剤層としてあることを特徴とするプラスチックミラー積層体。
  2. 前記第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートが、非結晶質グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂シート(PET−G)の単層構造体であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックミラー積層体。
  3. 前記紫外線硬化性樹脂が、少なくとも反応性ビニルオリゴマーと、反応性ビニルモノマーと、光開始剤と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチックミラー積層体。
  4. 前記紫外線硬化性樹脂が、スペーサー粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチックミラー積層体。
  5. 前記紫外線硬化性樹脂の粘度を100〜10、000mPa・sec(測定温度25℃)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチックミラー積層体。
  6. 厚さが150〜800μmの第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、厚さが1〜100μmの紫外線硬化性樹脂の紫外線硬化物からなる接着剤層と、厚さが0.001〜10μmの金属蒸着層と、厚さが25〜200μmの第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を順次に含むプラスチックミラー積層体の製造方法であって、
    下記工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするプラスチックミラー積層体の製造方法。
    (1)塗布手段によって、表面粗さ(Rz)が0.2μm以下、あるいは0.2μmを超えた値である第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの表面に、紫外線硬化性樹脂を塗布して、硬化前接着剤層を形成する工程
    (2)蒸着手段によって、金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを準備する工程
    (3)圧着手段によって、前記硬化前接着剤層を介して、前記第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シート及び前記第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを圧着する工程
    (4)紫外線硬化手段によって、所定量の紫外線を照射して、前記硬化前接着剤層を、紫外線硬化させ、紫外線硬化物からなる接着剤層とする工程
  7. 前記工程(3)における圧着手段が、所定厚さを制御するための楔部材であるコッターを備えており、当該コッターを介して、前記紫外線硬化樹脂を塗布した前記第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、前記金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、を圧着することを特徴とする請求項6に記載のプラスチックミラー積層体の製造方法。
  8. 前記工程(4)における紫外線硬化手段が、直径200〜1600mmの大径ドラムおよび紫外線照射装置を含み、前記大径ドラムに対して、前記第1のポリエチレンテレフタレート樹脂シートおよび前記金属蒸着層を備えた第2のポリエチレンテレフタレート樹脂シートの圧着物を巻きつけた状態で、前記紫外線照射装置から所定量の紫外線を照射するとともに、前記大径ドラムの内部に装着した冷却装置によって、冷却しながら前記紫外線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする請求項6または7に記載のプラスチックミラー積層体の製造方法。
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JP2014149449A (ja) * 2013-02-01 2014-08-21 Fujifilm Corp 反射体およびその製造方法

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