実施の形態1.
本発明の実施の形態1では、軸流/斜流型室内機において、消音ユニットの構成要素のうち、騒音検出マイクロホン(本発明の騒音検出装置に相当)、制御スピーカー(本発明の制御音出力装置に相当)及び消音効果検出マイクロホン(本発明の消音効果検出装置に相当)を熱交換器の下流側に備えている。このため、送風機で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホンに及ぼす影響を低減でき、制御スピーカーから発した制御音が制御点へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。したがって、本実施の形態1に係る軸流/斜流型室内機は、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。さらに、本実施の形態1に係る軸流/斜流型室内機は、信号処理回路のコストを削減することも可能となっている。
以下、更に詳しく説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機40と称する)を示す縦断面図である。この図1は、図の左側を室内機40の前面側として示している。図1に基づいて、室内機40の構成について説明する。この室内機40は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。なお、図1を含め、以下の図4,図6〜図14,図18,図20,図21,図24,図25は、図の左側を室内機の前面側として示している。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1では、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
室内機40は、主に、室内空気を内部に吸い込むための吸込口2及び空調空気を空調対象域に供給するための吹出口3が形成されているケーシング1と、このケーシング1内に収納され、吸込口2から室内空気を吸い込み、吹出口3から空調空気を吹き出すファン4と、吸込口2からファン4までの風路に配設され、冷媒と室内空気とで熱交換することで空調空気を作り出す熱交換器5と、を有している。そして、これらの構成要素によりケーシング1内に空気流路(矢印A)が連通されている。
吸込口2は、ケーシング1の上部に開口形成されている。吹出口3は、ケーシング1の下部(より詳しくは、ケーシング1の前面部下側)に開口形成されている。ファン4は、吸込口2の下流側でかつ、熱交換器5の上流側に配設されており、例えば軸流ファン又は斜流ファン等で構成されている。熱交換器5は、ファン4の風下側に配置されている。この熱交換器5には、例えばフィンチューブ型熱交換器等を用いるとよい。また、吸込口2には、フィンガーガード6やフィルター7が設けられている。さらに、吹出口3には、気流の吹出し方向を制御する機構、例えば図示省略のベーン等が設けられている。ここで、ファン4が、本発明の送風機に相当する。
室内機40は、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73及び信号処理装置80で構成されている消音ユニットを備えている。
騒音検出マイクロホン71は、ファン4の送風音を含む室内機40の運転音(騒音)を検出するものであり、熱交換器5の下流側に取り付けられている。消音効果検出マイクロホン73は、吹出口3から出てくる騒音を検出して消音効果を検出するものであり、熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に取り付けられている。また、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー72が、ケーシング1の側面(より詳しくは、熱交換器5の下側であって消音効果検出マイクロホン73の近く)に設けられている。また、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73は、ケーシング1の壁から空気流路の中央に向くように配置されている。
なお、消音効果検出マイクロホン73の設置位置は、吹出口3のノズル部分に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば、消音効果検出マイクロホン73を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、本実施の形態1では、制御スピーカー72がケーシング1の側面に取り付けられているが、ケーシング1の前面又は背面に制御スピーカー72を取り付けてもよい。また、騒音検出マイクロホン71は必ずしも熱交換器5の下流側に設けられている必要はなく、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が熱交換器5の下流側に設けられていれば本発明を実施できる。
また、騒音検出マイクロホン71と消音効果検出マイクロホン73の出力信号は、制御スピーカー72を制御する信号(制御音)を生成するための信号処理装置80に入力されている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る信号処理装置を示す構成図である。騒音検出マイクロホン71から入力された電気信号は、マイクアンプ81により増幅され、A/D変換器82によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。消音効果検出マイクロホン73から入力された電気信号は、マイクアンプ81により増幅され、A/D変換器82によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。このようにして変換された各々のデジタル信号は、FIRフィルター88及びLMSアルゴリズム89に入力される。FIRフィルター88では、騒音検出マイクロホン71で検出した騒音が消音効果検出マイクロホン73が設置されている制御点に到達したときの騒音と同振幅・逆位相となるように補正をかけた制御信号を生成する。この制御信号は、D/A変換器84によりデジタル信号からアナログ信号に変換された後、アンプ85により増幅され、制御スピーカー72から制御音として放出される。
(動作説明)
このように構成された室内機40の動作について説明する。
始めに、室内機40内における空気の流れについて簡単に説明する。
まず、室内空気は、ファン4によってケーシング1の上部に形成されている吸込口2から室内機40内に流れ込む。このとき、フィルター7によって空気に含まれている塵埃が除去される。この室内空気は、熱交換器5を通過する際に熱交換器5内を導通している冷媒によって加熱又は冷却されて空調空気となる。そして、空調空気は、ケーシング1の下部に形成されている吹出口3から室内機40の外部、つまり空調対象域に吹き出されるようになっている。
このような構成によれば、フィルター7を通過した空気がファン4に流入する。つまり、ファン4に流入する空気は、従来の空気調和機の室内機に設けられたファンに流入する空気(熱交換器を通過した)よりも、流れの乱れが少ないものとなる。このため、従来の空気調和機と比べ、ファン4の羽部外周部を通過する空気は、流れの乱れが少ないものとなる。したがって、本実施の形態1に係る空気調和機は、従来の空気調和機の室内機と比べ、騒音を抑制することができる。
また、室内機40は、ファン4が熱交換器5の上流側に設けられているので、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制することができる。また、吹出口3にファン等の複雑な構造物がないため、逆流等により発生する結露の対策も容易となる。
続いて、消音ユニットによる室内機40の運転音の制御方法について説明する。室内機40におけるファン4の送風音を含む運転音(騒音)は、熱交換器5を通過し、騒音検出マイクロホン71で検出される。騒音検出マイクロホン71で検出された騒音は、マイクアンプ81、A/D変換器82を介してデジタル信号となり、FIRフィルター88とLMSアルゴリズム89に入力される。
FIRフィルター88のタップ係数はLMSアルゴリズム89により逐次更新される。LMSアルゴリズム89では、式1(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従い、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
なお、h:フィルターのタップ係数、e:誤差信号、x:フィルター入力信号、μ:ステップサイズパラメーターである。また、ステップサイズパラメーターμはサンプリングごとのフィルター係数更新量を制御するものである。
このようにLMSアルゴリズム89でタップ係数が更新されてFIRフィルター88を通過したデジタル信号は、D/A変換器84にてアナログ信号に変換され、アンプ85で増幅され、制御スピーカー72から制御音として室内機40内の空気流路に放出される。
一方、室内機40の熱交換器5の下流側である吹出口3のノズル部分に取り付けられた消音効果検出マイクロホン73には、ファン4から空気流路を通って伝播してきた騒音に、同じく熱交換器5の下側に設置された制御スピーカー72から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。消音効果検出マイクロホン73で検出した信号は、上述したLMSアルゴリズム89の誤差信号eとして扱われる。そして、この誤差信号eがゼロに近づくようにフィードバック制御され、FIRフィルター88のタップ係数が適宜更新される。その結果、FIRフィルター88を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
ここで、高い消音効果を得るためには、騒音検出マイクロホン71で検出した音と消音効果検出マイクロホン73で検出した音のコヒーレンスが高い必要がある。しかしながら、ファン4の羽根車の回転による気流乱れが起こっている領域(例えば、室内機40ではファン4と熱交換器5との間の空気流路)に騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を設置すると、本来の騒音以外の成分である気流乱れによる圧力変動成分を検出してしまい、両マイクロホン間のコヒーレンスが低下してしまう。
そこで、本実施の形態1に係る室内機40では、騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設置している。軸流/斜流型室内機である室内機40は、熱交換器5の上流側にファン4を設置することができるので、騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73とファン4との間に熱交換器5を設置することができる。このように騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を設置すると、ファン4で発生した気流乱れが熱交換器5のフィンを通過することにより抑えられるため、騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73では気流乱れによる影響を低減することができる。したがって、騒音検出マイクロホン71と消音効果検出マイクロホン73との間のコヒーレンスが上昇し、高い消音効果を得ることができる。
図3は、騒音検出マイクロホン及び消音効果検出マイクロホンの設置位置による両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。ここで、図3(a)は、騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の上流側(より詳しくはファン4と熱交換器5との間)に設けた場合の両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。また、図3(b)は、騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設けた場合の両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。図3(a)と図3(b)を比較すると、ファン4が熱交換器5の上流側にあるような室内機40では、騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器の下流側に設けることで、両マイクロホン間のコヒーレンスが上昇することが分かる。
また、消音効果には、制御スピーカー72の設置位置から消音効果検出マイクロホン73の設置位置(制御点)までの距離も影響する。つまり、消音効果には、制御スピーカー72から放出された制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)に到達するまでの伝達経路の長さも影響する。より詳しくは、制御スピーカー72から放出された制御音は、制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)に到達するまでの伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化する。伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化してしまい、制御音が騒音と同振幅・逆位相ではなくなると、消音効果が低下してしまう。
このような伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するため、一般的なFiltered−Xアルゴリズムでは、制御音の伝達経路を予め求めておき、制御音を生成する過程で補正をかけることで上記の問題点を解消している。しかしながら、伝達経路が長くなると、求める伝達経路のフィルタータップ数が長くなってしまい、演算処理が増えてしまう。さらに、気温等の変化により音速が変化した場合等、伝達経路が長いと、求めた伝達経路と実際の伝達経路との誤差が大きくなってしまい、消音効果が低下してしまう。
このため、伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するためには、制御スピーカー72と消音効果検出マイクロホン73とを近くに設置することが好ましい。このように制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を設置することにより、制御音の伝達距離を短くすることができ、振幅特性及び位相特性の変化を小さく抑えることができる。つまり、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を近くに設置することにより、精度の高い音波の重ねあわせが可能となるため、高い消音効果を得ることができる。そこで、本実施の形態1に係る室内機40では、消音効果検出マイクロホン73の設置位置である熱交換器5の下流側に、制御スピーカー72を設けている。このため、制御スピーカー72から放出された制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)に到達するまでの伝達経路を短縮することができ、高い消音効果を得ることができる。
また、軸流/斜流型室内機である室内機40は、熱交換器5の上流側にファン4を設置することができるので、騒音源となるファン4をケーシング1内の上方に設置することができる。このため、ファン4からの騒音が吹出口3から放出されるまでの騒音の伝達経路を長くすることができる。このため、制御スピーカー72を熱交換器5の下流側に設置することにより、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。つまり、騒音検出マイクロホン71で検出した音に対する制御音を生成するまでの演算時間を長くとることができるため、演算速度を高速にする必要がなくなる。したがって、本実施の形態1に係る室内機40は、A/D変換器82や信号処理を行うデジタルシグナルプロセッサーのスペックを低くすることができるため、コストを削減することができる。
なお、本実施の形態1では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
以上、本実施の形態1に係る室内機40は、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、ファン4に流入する空気の流れは乱れの少ないものとなる。このため、室内機40は、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。さらに、室内機40は、消音ユニットの構成要素のうち、少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えている。このため、室内機40は、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。このため、室内機40は、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態1に係る室内機40においては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けている。このため、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態1に係る室内機40においては、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。このため、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機40のコストを削減することができる。
実施の形態2.
熱交換器5を以下のように構成することにより、さらに騒音を抑制することが可能となる。なお、本実施の形態2では上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図4は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50と称する)を示す縦断面図である。図4に基づいて、室内機50の熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
図4に示すように、熱交換器5を構成している前面側熱交換器9と背面側熱交換器10とは、室内機50の前面側から背面側にかけての縦断面(つまり、室内機50を右側から見た縦断面。以下、右側縦断面ともいう)において、対称線8で分断されている。対称線8は、この断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。つまり、前面側熱交換器9は対称線8に対して前面側(紙面左側)に、背面側熱交換器10は対称線8に対して背面側(紙面右側)に、それぞれ配置されている。そして、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10は、前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との間の間隔が空気の流れ方向に対して狭まるように、つまり右側縦断面において熱交換器5の断面形状が略V型となるように、ケーシング1内に配置されている。
すなわち、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10は、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して傾斜を有するように配置されているのである。さらに、背面側熱交換器10の風路面積は、前面側熱交換器9の風路面積よりも大きくなっていることを特徴としている。本実施の形態2では、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さが前面側熱交換器9の長手方向長さよりも長くなっている。これにより、背面側熱交換器10の風路面積は、前面側熱交換器9の風路面積よりも大きくなっている。なお、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のその他の構成(図4における奥行き方向の長さ等)は、同じとなっている。つまり、背面側熱交換器10の伝熱面積は、前面側熱交換器9の伝熱面積よりも大きくなっている。また、ファン4の回転軸11は、対称線8の上方に設置されている。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50の消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
以上、このように構成された室内機50は、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50は、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態2に係る室内機50においては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態2に係る室内機50は、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態2に係る室内機50においては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態2に係る室内機50は、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50のコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態2に係る室内機50においては、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれには、風路面積に応じた量の空気が通過する。つまり、背面側熱交換器10の風量は前面側熱交換器9の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態2に係る室内機50は、実施の形態1に係る室内機40と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機50は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態2に係る室内機50においては、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれには、伝熱面積に応じた量の空気が通過することとなる。このため、熱交換器5の熱交換性能が向上する。
なお、図4に示す熱交換器5は、別々に形成された前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10により略V型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器9の長手方向長さとなる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器10の長手方向長さとなる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。
また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10で構成する場合)、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
図5は、熱交換器5の構成例を説明するための概略図である。この図5は、右側縦断面から見た熱交換器5を示している。なお、図5に示す熱交換器5の全体形状は略Λ型となっているが、熱交換器の全体形状はあくまでも一例である。
図5(a)に示すように、熱交換器5を複数の熱交換器で構成してもよい。図5(b)に示すように、熱交換器5を一体型の熱交換器で構成してもよい。5(c)に示すように、熱交換器5を構成する熱交換器を、さらに複数の熱交換器で構成してもよい。また、図5(c)に示すように、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を、垂直に配置してもよい。図5(d)に示すように、熱交換器5の形状を曲線形状としてもよい。
また、本実施の形態2では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態3.
熱交換器5は、以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態3では上述した実施の形態2との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図6は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50aと称する)を示す縦断面図である。図6に基づいて、室内機50aの熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50aは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態3の室内機50aでは、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態2の室内機50と相違している。
熱交換器5は、3つの熱交換器で構成されており、これら各熱交換器は、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器5は、右側縦断面において略N型となっている。ここで、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器9a及び熱交換器9bが前面側熱交換器9を構成し、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器10a及び熱交換器10bが背面側熱交換器10を構成する。つまり、本実施の形態3では、熱交換器9b及び熱交換器10bが一体型の熱交換器で構成されている。なお、対称線8は、右側縦断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さが前面側熱交換器9の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器10の風量は、前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器9を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器10を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50aの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
以上、このように構成された室内機50aは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50aは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態3に係る室内機50aにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態3に係る室内機50aは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態3に係る室内機50aにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態3に係る室内機50aは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50aのコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態3に係る室内機50aにおいては、背面側熱交換器10の風量が前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態2と同様に、風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態3に係る室内機50aは、実施の形態1に係る室内機40と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機50aは、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態3に係る室内機50aにおいては、熱交換器5の形状を右側縦断面において略N型とすることにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態2よりも小さくすることが可能となる。このため、本実施の形態3に係る室内機50aは、実施の形態2に係る室内機50と比べ、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図6に示す熱交換器5は、別々に形成された3つの熱交換器により略N型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器5を構成する3つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、熱交換器5を構成する3つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器9の長手方向長さとなる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器10の長手方向長さとなる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。
また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態3では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態4.
また、熱交換器5は以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態4では上述した実施の形態2及び実施の形態3との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2及び実施の形態3と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図7は、本発明の実施の形態4に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50bと称する)を示す縦断面図である。図7に基づいて、室内機50bの熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50bは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態4の室内機50bでは、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態2及び実施の形態3に示す室内機と相違している。
熱交換器5は、4つの熱交換器で構成されており、これら各熱交換器は、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器5は、右側縦断面において略W型となっている。ここで、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器9a及び熱交換器9bが前面側熱交換器9を構成し、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器10a及び熱交換器10bが背面側熱交換器10を構成する。なお、対称線8は、右側縦断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さが前面側熱交換器9の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器10の風量は、前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器9を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器10を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50bの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
以上、このように構成された室内機50bは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50bは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態4に係る室内機50bにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態4に係る室内機50bは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態4に係る室内機50bにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態4に係る室内機50bは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50bのコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態4に係る室内機50bにおいては、背面側熱交換器10の風量が前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態2及び実施の形態3と同様に、風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態4に係る室内機50bは、実施の形態1に係る室内機40と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機50bは、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、熱交換器5の形状を右側縦断面において略W型とすることにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態2及び実施の形態3よりも小さくすることが可能となる。このため、本実施の形態4に係る室内機50bは、実施の形態2及び実施の形態3に係る室内機と比べ、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図7に示す熱交換器5は、別々に形成された4つの熱交換器により略W型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器5を構成する4つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、熱交換器5を構成する4つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器9の長手方向長さとなる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器10の長手方向長さとなる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態4では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態5.
また、熱交換器5は以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態5では上述した実施の形態2〜実施の形態4との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2〜実施の形態4と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図8は、本発明の実施の形態5に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50cと称する)を示す縦断面図である。図8に基づいて、室内機50cの熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50cは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態5の室内機50cでは、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態2〜実施の形態4に示す室内機と相違している。より詳しくは、本実施の形態5の室内機50cは、実施の形態2と同様に、2つの熱交換器(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)で構成されている。しかしながら、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の配置の仕方が実施の形態2に示す室内機50と相違している。
つまり、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10は、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。また、対称線8よりも前面側に前面側熱交換器9が配置されており、対称線8よりも背面側に背面側熱交換器10が配置されている。そして、熱交換器5は、右側縦断面において略Λ型となっている。
なお、対称線8は、右側縦断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さが前面側熱交換器9の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器10の風量は、前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器9を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器10を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50cの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
このように構成された室内機50cは、その内部の空気流れが以下のようになる。
まず、室内空気は、ファン4によってケーシング1の上部に形成されている吸込口2から室内機50c内に流れ込む。このとき、フィルター7によって空気に含まれている塵埃が除去される。この室内空気は、熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)を通過する際、熱交換器5内を導通している冷媒によって加熱又は冷却されて空調空気となる。このとき、前面側熱交換器9を通過する空気は、室内機50cの前面側から背面側に流れる。また、背面側熱交換器10を通過する空気は、室内機50cの背面側から前面側に流れる。熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)を通過した空調空気は、ケーシング1の下部に形成されている吹出口3から室内機50cの外部、つまり空調対象域に吹き出される。
以上、このように構成された室内機50cは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50cは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態5に係る室内機50cにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態5に係る室内機50cは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態5に係る室内機50cにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態5に係る室内機50cは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50cのコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態5に係る室内機50cにおいては、背面側熱交換器10の風量が前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態2〜実施の形態4と同様に、風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態5に係る室内機50cは、実施の形態1に係る室内機40と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機50cは、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態5に係る室内機50cにおいては、背面側熱交換器10から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態5に係る室内機50cは、熱交換器5を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態5に係る室内機50cは、実施の形態2に係る室内機50と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態5に係る室内機50cは、実施の形態2に係る室内機50と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図8に示す熱交換器5は、別々に形成された前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器9の長手方向長さとなる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器10の長手方向長さとなる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態5では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態6.
また、熱交換器5は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態6では上述した実施の形態2〜実施の形態5との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2〜実施の形態5と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図9は、本発明の実施の形態6に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50dと称する)を示す縦断面図である。図9に基づいて、室内機50dの熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50dは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態6の室内機50dでは、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態2〜実施の形態5に示す室内機と相違している。より詳しくは、本実施の形態6の室内機50dは、実施の形態3と同様に、3つの熱交換器で構成されている。しかしながら、これら3つの熱交換器の配置の仕方が実施の形態3に示す室内機50aと相違している。
つまり、熱交換器5を構成する3つの熱交換器のそれぞれは、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器5は、右側縦断面において略И型となっている。ここで、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器9a及び熱交換器9bが前面側熱交換器9を構成し、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器10a及び熱交換器10bが背面側熱交換器10を構成する。つまり、本実施の形態6では、熱交換器9b及び熱交換器10bが一体型の熱交換器で構成されている。なお、対称線8は、右側縦断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さが前面側熱交換器9の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器10の風量は、前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器9を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器10を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50dの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
以上、このように構成された室内機50dは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50dは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態6に係る室内機50dにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態6に係る室内機50dは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態6に係る室内機50dにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態6に係る室内機50dは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50dのコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態6に係る室内機50dにおいては、背面側熱交換器10の風量が前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態2〜実施の形態5と同様に、風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態6に係る室内機50dは、実施の形態1に係る室内機40と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機50dは、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態6に係る室内機50dにおいては、背面側熱交換器10から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態6に係る室内機50dは、熱交換器5を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態6に係る室内機50dは、実施の形態3に係る室内機50aと比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態6に係る室内機50dは、実施の形態3に係る室内機50aと比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
また、熱交換器5の形状を右側縦断面において略И型とすることにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態5よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態5と比べ、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図9に示す熱交換器5は、別々に形成された3つの熱交換器により略И型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器5を構成する3つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、熱交換器5を構成する3つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器9の長手方向長さとなる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器10の長手方向長さとなる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態6では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態7.
また、熱交換器5は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態7では上述した実施の形態2〜実施の形態6との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2〜実施の形態6と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図10は、本発明の実施の形態7に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50eと称する)を示す縦断面図である。図10に基づいて、室内機50eの熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50eは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態7の室内機50eでは、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態2〜実施の形態6に示す室内機と相違している。より詳しくは、本実施の形態7の室内機50eは、実施の形態4と同様に、4つの熱交換器で構成されている。しかしながら、これら4つの熱交換器の配置の仕方が実施の形態4に示す室内機50bと相違している。
つまり、熱交換器5を構成する4つの熱交換器のそれぞれは、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器5は、右側縦断面において略M型となっている。ここで、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器9a及び熱交換器9bが前面側熱交換器9を構成し、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器10a及び熱交換器10bが背面側熱交換器10を構成する。なお、対称線8は、右側縦断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さが前面側熱交換器9の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器10の風量は、前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器9を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器10を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50eの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
以上、このように構成された室内機50eは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50eは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態7に係る室内機50eにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態7に係る室内機50eは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態7に係る室内機50eにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態7に係る室内機50eは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50eのコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態7に係る室内機50eにおいては、背面側熱交換器10の風量が前面側熱交換器9の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態2〜実施の形態6と同様に、風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態7に係る室内機50eは、実施の形態1に係る室内機40と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機50eは、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態7に係る室内機50eにおいては、背面側熱交換器10から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態7に係る室内機50eは、熱交換器5を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態7に係る室内機50eは、実施の形態4に係る室内機50bと比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態7に係る室内機50eは、実施の形態4に係る室内機50bと比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
また、熱交換器5の形状を右側縦断面において略M型とすることにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態5及び実施の形態6よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態5及び実施の形態6と比べ、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図10に示す熱交換器5は、別々に形成された4つの熱交換器により略M型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器5を構成する4つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、熱交換器5を構成する4つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器9の長手方向長さとなる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器10の長手方向長さとなる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態7では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態8.
また、熱交換器5は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態8では上述した実施の形態2〜実施の形態7との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2〜実施の形態7と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図11は、本発明の実施の形態8に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50fと称する)を示す縦断面図である。図11に基づいて、室内機50fの熱交換器の配置の仕方について説明する。この室内機50fは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態8の室内機50fでは、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態2〜実施の形態7に示す室内機と相違している。より詳しくは、本実施の形態8の室内機50fは、実施の形態5と同様に、2つの熱交換器(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)で構成され、右側縦断面において略Λ型となっている。しかしながら、本実施の形態8では、前面側熱交換器9の圧力損失と及び背面側熱交換器10の圧力損失とを異ならせることにより、前面側熱交換器9の風量と及び背面側熱交換器10の風量とを異ならせている。
つまり、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10は、ファン4から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。対称線8よりも前面側に前面側熱交換器9が配置されており、対称線8よりも背面側に背面側熱交換器10が配置されている。そして、熱交換器5は、右側縦断面において略Λ型となっている。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器10の長手方向の長さと前面側熱交換器9の長手方向長さとは同じになっている。そして、背面側熱交換器10の圧力損失が前面側熱交換器9の圧力損失よりも小さくなるように、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の仕様を決定している。前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10としてフィンチューブ型熱交換器を用いる場合、例えば、右側縦断面における背面側熱交換器10の短手方向長さ(フィンの幅)を、右側縦断面における前面側熱交換器9の短手方向長さ(フィンの幅)よりも小さくするとよい。また例えば、背面側熱交換器10のフィン間距離を、前面側熱交換器9のフィン間距離よりも大きくするとよい。また例えば、背面側熱交換器10のパイプ径を、前面側熱交換器9のパイプ径よりも小さくするとよい。また例えば、背面側熱交換器10のパイプ本数を、前面側熱交換器9のパイプ本数よりも少なくするとよい。なお、対称線8は、右側縦断面における熱交換器5の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50fの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
以上、このように構成された室内機50fは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50fは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態8に係る室内機50fにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態8に係る室内機50fは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態8に係る室内機50fにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態8に係る室内機50fは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50fのコストを削減することができる。
さらに、本実施の形態8に係る室内機50fにおいては、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれには、圧力損失に応じた量の空気が通過する。つまり、背面側熱交換器10の風量は前面側熱交換器9の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態8に係る室内機50fは、右側縦断面における背面側熱交換器10の長さを長くすることなく、実施の形態1に係る室内機40よりもさらに騒音を抑制することが可能となる。また、室内機50fは、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
なお、図11に示す熱交換器5は、別々に形成された前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器5の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。つまり、対称線8よりも背面側に配置された熱交換器の圧力損失を、対称線8よりも前面側に配置された熱交換器の圧力損失よりも小さくすればよい。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの圧力損失の和が、前面側熱交換器9の圧力損失となる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの圧力損失の和が、背面側熱交換器10の圧力損失となる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10で構成する場合)、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態8では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態9.
また、上述した実施の形態2〜実施の形態8において、ファン4を以下のように配置してもよい。なお本実施の形態9では上述した実施の形態2〜実施の形態8との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2〜実施の形態8と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図12は、本発明の実施の形態9に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50gと称する)を示す縦断面図である。図12(a)〜図12(c)に基づいて、室内機50gにおけるファン4の配置の仕方について説明する。この室内機50gは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態9に係る室内機50gの熱交換器5は、実施の形態5の室内機50cと同様の配置となっている。しかしながら、本実施の形態9に係る室内機50gは、ファン4の配置の仕方が実施の形態5の室内機50cと相違している。
すなわち、本実施の形態9に係る室内機50gは、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の風量や伝熱面積に応じて、ファン4の配置位置が決定されている。
また、図12(a)〜図12(c)のいずれの場合も、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50gの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
例えば、図12(a)に示す状態(右側縦断面において、ファン4の回転軸11と対称線8との位置が略一致している状態)において、前面側熱交換器9よりも伝熱面積の大きな背面側熱交換器10の風量が不足する場合がある。このように背面側熱交換器10の風量が不足すると、熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)は、所望の熱交換性能を発揮できない場合がある。このような場合、図12(b)に示すように、ファン4の配置位置を背面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)の熱交換性能が向上する。
また例えば、図12(a)に示す状態において、背面側熱交換器10の圧力損失が大きい場合等、背面側熱交換器10の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。このように背面側熱交換器10の風量が不足すると、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度よりも曲がらない場合がある。このような場合、図12(b)に示すように、ファン4の配置位置を背面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
また例えば、前面側熱交換器9の伝熱面積が背面側熱交換器10の伝熱面積よりも大きい場合がある。このような場合、図12(c)に示すように、ファン4の配置位置を前面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)の熱交換性能が向上する。
また例えば、図12(a)に示す状態において、前面側熱交換器9の風量が必要以上に大きくなる場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。このため、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度以上に曲がってしまう場合がある。このような場合、図12(c)に示すようにファン4の配置位置を前面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
また、本実施の形態9に係る室内機50gは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50gは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態9に係る室内機50gにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態9に係る室内機50gは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態9に係る室内機50gにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態9に係る室内機50gは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50gのコストを削減することができる。
なお、図12に示す熱交換器5は、別々に形成された前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器5の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さ(又は圧力損失)の和が、前面側熱交換器9の長手方向長さ(又は圧力損失)となる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さ(又は圧力損失)の和が、背面側熱交換器10の長手方向長さ(又は圧力損失)となる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10で構成する場合)、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態9では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態10.
また、上述した実施の形態2〜実施の形態9において、ファン4を以下のように配置してもよい。なお本実施の形態10では上述した実施の形態2〜実施の形態9との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態2〜実施の形態9と同一部分には同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図13は、本発明の実施の形態10に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50hと称する)を示す縦断面図である。図13に基づいて、室内機50hにおけるファン4の配置の仕方について説明する。この室内機50hは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態10に係る室内機50hの熱交換器5は、実施の形態5の室内機50cと同様の配置となっている。しかしながら、本実施の形態10に係る室内機50hは、ファン4の配置の仕方が実施の形態5の室内機50cと相違している。
すなわち、本実施の形態10に係る室内機50hは、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の風量や伝熱面積に応じて、ファン4の傾斜が決定されている。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機50hの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
例えば、前面側熱交換器9よりも伝熱面積の大きな背面側熱交換器10の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペース上の制限により、ファン4を前後方向に移動させて風量調整を行えない場合がある。このように背面側熱交換器10の風量が不足すると、熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)は、所望の熱交換性能を発揮できない場合がある。このような場合、図13に示すように、右側縦断面において、ファン4を背面側熱交換器10側に傾斜されるとよい。
このように構成することにより、ファン4を前後方向に移動させられない場合でも、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器5(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10)の熱交換性能が向上する。
また例えば、背面側熱交換器10の圧力損失が大きい場合等、背面側熱交換器10の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。さらに、ケーシング1内のスペース上の制限により、ファン4を前後方向に移動させて風量調整を行えない場合がある。このように背面側熱交換器10の風量が不足すると、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度よりも曲がらない場合がある。このような場合、図13に示すように、右側縦断面において、ファン4を背面側熱交換器10側に傾斜されるとよい。
このように構成することにより、ファン4を前後方向に移動させられない場合でも、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
また、本実施の形態10に係る室内機50hは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、実施の形態1と同様に、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。また、室内機50hは、消音ユニットの構成要素のうち少なくとも制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に備えているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン73の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となり、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態10に係る室内機50hにおいては、騒音検出マイクロホン71も熱交換器5の下流側に設けているので、実施の形態1と同様に、ファン4で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73に及ぼす影響を低減できる。このため、本実施の形態10に係る室内機50hは、実施の形態1と同様に、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態10に係る室内機50hにおいては、実施の形態1と同様に、熱交換器5の上流側であってケーシング1内の上方にファン4を設けることができる。このため、ファン4からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン71と制御スピーカー72との距離を長くとることができる。したがって、本実施の形態10に係る室内機50hは、実施の形態1と同様に、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機50hのコストを削減することができる。
なお、図13に示す熱交換器5は、別々に形成された前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器5の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さ(又は圧力損失)の和が、前面側熱交換器9の長手方向長さ(又は圧力損失)となる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さ(又は圧力損失)の和が、背面側熱交換器10の長手方向長さ(又は圧力損失)となる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10で構成する場合)、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態10では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、消音効果検出マイクロホン73で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置80は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置80は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
実施の形態11.
本実施の形態11では、実施の形態1〜実施の形態10における騒音検出マイクロホン71と消音効果検出マイクロホン73とを集約した騒音・消音効果検出装置として騒音・消音効果検出マイクロホン86を配置した空気調和機について説明する。なお、本実施の形態11において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態10と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図14は、本発明の実施の形態11に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機50iと称する)を示す縦断面図である。この室内機50iは、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
本実施の形態11に係る室内機50iの熱交換器5は、実施の形態5の室内機50cと同様の配置となっている。
本実施の形態11に係る室内機50iと実施の形態5に係る室内機50cとの異なる点は、能動的消音に用いられるマイクロホンが異なる点である。より詳しくは、実施の形態5に係る室内機50cは、二つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73)を用い、信号処理装置80にて制御音の生成を行っていた。一方、本実施の形態11の室内機50iでは、これら騒音検出マイクロホン71及び消音効果検出マイクロホン73を一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン86に置き換えている。また、動的消音に用いられるマイクロホンが異なることによって信号処理の方法が異なるため、本実施の形態11の室内機50iは、実施の形態5に係る室内機50cの信号処理装置80とは異なる信号処理装置87を用いている。
つまり、本実施の形態11に係る室内機50iは、制御スピーカー72、騒音・消音効果検出マイクロホン86及び信号処理装置87で構成されている消音ユニットを備えている。
騒音・消音効果検出マイクロホン86は、熱交換器5の下流にある吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に取り付けられている。この騒音・消音効果検出マイクロホン86は、ファン4の送風音を含む室内機50iの運転音(騒音)に、制御スピーカー72から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する。また、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー72が、ケーシング1の側面(より詳しくは、熱交換器5の下側であって騒音・消音効果検出マイクロホン86の近く)に設けられている。また、制御スピーカー72及び騒音・消音効果検出マイクロホン86は、熱交換器5の下側に、ケーシング1の壁から空気流路の中央に向くように配置されている。
なお、騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置は、吹出口3のノズル部分に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン86を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、本実施の形態11では、制御スピーカー72がケーシング1の側面に取り付けられているが、ケーシング1の前面又は背面に制御スピーカー72を取り付けてもよい。
また、騒音・消音効果検出マイクロホン86の出力信号は、制御スピーカー72を制御する信号(制御音)を生成するための信号処理装置87に入力されている。
図15は、本発明の実施の形態11に係る信号処理装置を示す構成図である。騒音・消音効果検出マイクロホン86により音声信号から変換された電気信号は、マイクアンプ81により増幅され、A/D変換器82によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、LMSアルゴリズム89に入力される。また、FIRフィルター88の出力信号にFIRフィルター90を畳み込んだ信号との差分信号が、FIRフィルター88とLMSアルゴリズム89に入力される。次に、差分信号は、FIRフィルター88でLMSアルゴリズム89により算出されたタップ係数による畳み込み演算が施された後、D/A変換器84によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、アンプ85により増幅され、制御スピーカー72から制御音として放出される。
次に、室内機50iの運転音の抑制方法について説明する。ファン4の送風音を含む運転音(騒音)に制御スピーカー72から出力される制御音を干渉させた後の音は、熱交換器5の下流側に設けられた騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出される。騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出された騒音は、マイクアンプ81、A/D変換器82を介してデジタル信号となる。
実施の形態1〜実施の形態10に記述した運転音の抑制方法と同等の抑制方法を行うには、FIRフィルター88に消音したい騒音を入力する必要がある。また、LMSアルゴリズム89には、式1にも示した通り、入力信号となる消音したい騒音と誤差信号となる制御音を干渉させた後の音を入力する必要がある。しかし、騒音・消音効果検出マイクロホン86では制御音を干渉させた後の音しか検出することができないため、騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出した音から消音したい騒音を作り出すことが必要となる。
図16は、騒音と制御音との干渉後の音の波形(図16中のa)、制御音の波形(図16中のb)、及び騒音の波形(図16中のc)を示したものである。音の重ね合わせの原理からb+c=aとなる。したがって、aからcを得るためには、aとbとの差分を取ればよい。すなわち、騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出した干渉後の音と制御音との差分から、消音したい騒音を作り出すことができる。
図17は、FIRフィルター88から出力される制御信号が制御音となって制御スピーカー72から出力された後、騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出され、信号処理装置87に入力されるまでの経路を示した図である。FIRフィルター88から出力される制御信号は、D/A変換器84、アンプ85、制御スピーカー72から騒音・消音効果検出マイクロホン86までの経路を経て、騒音・消音効果検出マイクロホン86、マイクアンプ81、A/D変換器82の経路を経ている。
この経路がもつ伝達特性をHとすると、図15のFIRフィルター90は、この伝達特性Hを推定したものである。FIRフィルター88の出力信号に対してFIRフィルター90を畳み込むことで、制御音を騒音・消音効果検出マイクロホン86にて検出した信号bとして推定でき、騒音・消音効果検出マイクロホン86にて検出した干渉後の音aとの差分を取ることで消音したい騒音cが生成される。
このようにして生成した消音したい騒音cが、入力信号として、LMSアルゴリズム89及びFIRフィルター88に供給される。LMSアルゴリズム89でタップ係数が更新されたFIRフィルター88を通過したデジタル信号は、D/A変換器84にてアナログ信号に変換され、アンプ85で増幅され、制御スピーカー72から制御音として室内機50i内の空気流路に放出される。
一方、室内機50iの熱交換器5の下流側である吹出口3のノズル部分に取り付けられた騒音・消音効果検出マイクロホン86には、ファン4から空気流路を通って伝播してきた騒音に、同じく熱交換器5の下側に設置された制御スピーカー72から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出した信号は、上述したLMSアルゴリズム89の誤差信号eとして扱われる。そして、この誤差信号eがゼロに近づくようにフィードバック制御され、FIRフィルター88のタップ係数が適宜更新される。その結果、FIRフィルター88を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
ここで、高い消音効果を得るためには、騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出した音が気流乱れによる圧力変動成分を検出しないようにすることが必要である。
そこで、本実施の形態11に係る室内機50iでは、騒音・消音効果検出マイクロホン86を熱交換器5の下流側に設置している。軸流/斜流型室内機である室内機50iは、熱交換器5の上流側にファン4を設置することができるので、騒音・消音効果検出マイクロホン86とファン4との間に熱交換器5を設置することができる。このように騒音・消音効果検出マイクロホン86を設置すると、ファン4で発生した気流乱れが熱交換器5のフィンを通過することにより抑えられる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン86は、気流乱れによる影響が低減され、高い消音効果を得ることができる。
また、消音効果には、制御スピーカー72の設置位置から騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置(制御点)までの距離も影響する。つまり、消音効果には、制御スピーカー72から放出された制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置)に到達するまでの伝達経路の長さも影響する。より詳しくは、制御スピーカー72から放出された制御音は、制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置)に到達するまでの伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化する。伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化してしまい、制御音が騒音と同振幅・逆位相ではなくなると、消音効果が低下してしまう。
このような伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するため、一般的なFiltered−Xアルゴリズムでは、制御音の伝達経路を予め求めておき、制御音を生成する過程で補正をかけることで上記の問題点を解消している。しかしながら、伝達経路が長くなると、求める伝達経路のフィルタータップ数が長くなってしまい、演算処理が増えてしまう。さらに、気温等の変化により音速が変化した場合等、伝達経路が長いと、求めた伝達経路と実際の伝達経路との誤差が大きくなってしまい、消音効果が低下してしまう。
このため、伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するためには、制御スピーカー72と騒音・消音効果検出マイクロホン86とを近くに設置することが好ましい。このように制御スピーカー72及び騒音・消音効果検出マイクロホン86を設置することにより、制御音の伝達距離を短くすることができ、振幅特性及び位相特性の変化を小さく抑えることができる。つまり、制御スピーカー72及び騒音・消音効果検出マイクロホン86を近くに設置することにより、精度の高い音波の重ねあわせが可能となるため、高い消音効果を得ることができる。そこで、本実施の形態11に係る室内機50iでは、騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置である熱交換器5の下流側に、制御スピーカー72を設けている。このため、制御スピーカー72から放出された制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置)に到達するまでの伝達経路を短縮することができ、高い消音効果を得ることができる。
なお、図14に示す熱交換器5は、別々に形成された前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器5の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10を一体型の熱交換器で構成してもよい(図5参照)。また例えば、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図5参照)。一体型熱交換器の場合、対称線8を基準に、前面側が前面側熱交換器9となり、後面側が背面側熱交換器10となる。また、前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器9を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さ(又は圧力損失)の和が、前面側熱交換器9の長手方向長さ(又は圧力損失)となる。背面側熱交換器10を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さ(又は圧力損失)の和が、背面側熱交換器10の長手方向長さ(又は圧力損失)となる。
また、熱交換器5を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器5を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図5参照)。また、熱交換器5を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10で構成する場合)、熱交換器5の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。また、右側縦断面における熱交換器5の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図5参照)。
また、本実施の形態11では、信号処理装置80にFIRフィルター88とLMSアルゴリズム89を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン86で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置87は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置87は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、制御スピーカー72及び騒音・消音効果検出マイクロホン86を熱交換器5の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
以上、本実施の形態11に係る室内機50iは、熱交換器5がファン4の下流側に設けられている軸流/斜流型室内機であるため、ファン4に流入する空気の流れは乱れの少ないものとなる。このため、室内機50iは、ファン4から発生する騒音を抑制することができる。さらに、室内機50iは、消音ユニットの構成要素のうち、少なくとも制御スピーカー72及び騒音・消音効果検出マイクロホン86を熱交換器5の下流側に備えている。このため、室内機50iは、ファン4で発生した気流の乱れが騒音・消音効果検出マイクロホン86に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー72から発した制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン86の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。このため、室内機50iは、消音ユニットによって精度の高い騒音制御を行うことができる。
実施の形態12.
実施の形態1〜実施の形態11で示した室内機のケーシング1内の風路を分割することにより、さらに騒音を抑制することが可能となる。ここで、本実施の形態12において特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態11と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。なお、本実施の形態12〜実施の形態16では、実施の形態5に係る室内機50cのケーシング1内の風路を分割した場合について説明する。実施の形態1〜実施の形態4及び実施の形態6〜実施の形態11で示した室内機のケーシング1内の風路を本実施の形態12〜実施の形態16のように分割することによっても、実施の形態1〜実施の形態4及び実施の形態6〜実施の形態11で示した効果に加えて本実施の形態12〜実施の形態16で示す効果を得ることができる。
図18は、本発明の実施の形態12に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機60aと称する)を示す縦断面模式図である。また、図19は、この室内機60aを示す斜視図である。
なお、図19では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板31を透過させて示している。また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置を想像線(二点鎖線)で示している。そして、信号処理装置80の図示を省略している。
一般的に、空気調和機の室内機は設置スペースに制約があるため、送風ファンを大きくできないことが多い。このため、所望の空気流量を得るために、適度な大きさのファンを複数並列に配置する場合がある。本実施の形態12に係る室内機60aは、図19に示すように、ケーシング1の長手方向(左右方向)に沿って、3個のファン4が並列配置されている。
また、本実施の形態12に係る室内機60aには、隣接したファン4の間に仕切り板31が設けられている。これら仕切り板31は、熱交換器5とファン4の間に設置されている。つまり、熱交換器5とファン4の間の風路が、複数の風路(本実施の形態12では3つ)に分割されている。仕切り板31は、熱交換器5とファン4の間に設置されるため、熱交換器5に接する側の端部が熱交換器5に沿った形状となっている。より詳しくは、熱交換器5はΛ型に配置されているため、仕切り板31の熱交換器5側端部もΛ型となっている。また、仕切り板31のファン4側の端部は、吸込口2やファン4の形状等を考慮し、隣の風路に空気や音が漏れにくい形状としている。本実施の形態12では、仕切り板31のファン4側の端部をファン4の近傍に配置している。
仕切り板31は、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板31を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板31を形成してもよい。
ただし、熱交換器5は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板31が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、仕切り板31と熱交換器5との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板31がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板31を熱交換器5と接するように配置してもよく、熱交換器5のフィンとフィンの間に仕切り板31を挿入してもよい。
また、熱交換器5の下流側には、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。より詳しくは、騒音検出マイクロホン71及び制御スピーカー72は、ケーシング1の側面に設けられている。消音効果検出マイクロホン73は、熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機60aの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
なお、本実施の形態12では、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73及び信号処理装置80により構成される消音ユニットを用いたが、制御スピーカー72、騒音・消音効果検出マイクロホン86及び信号処理装置87で構成される消音ユニットを用いても勿論よい。また、本実施の形態12に係る室内機60aは、複数の流路を通過した騒音(より詳しくは、ファン4から発生する騒音)を1つの消音ユニットで消音しているが、複数の消音ユニットを用いて複数の流路を通過した騒音を消音してもよい。例えば、各流路毎に消音ユニットを設けてもよい。各流路毎に消音ユニットを設けることで、より騒音を抑制することができる。本実施の形態12のように消音ユニットを共通化することで、室内機60aのコストを低減できる。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置は、図18及び図19に示す位置に限定されるものではない。
図20は、本発明の実施の形態12に係る空気調和機の室内機の別の一例を示す縦断面図である。例えば、図20に示すように熱交換器5が固定金具5aによってケーシング1に固定されている場合、騒音検出マイクロホン71を、熱交換器5の下流側となる固定金具5aに設けてもよい。また例えば、制御スピーカー72を熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に設けてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン73を、熱交換器5の下流側となるように、ケーシング1の側面に設けてもよい。
上述のように、熱交換器5とファン4の間の風路を複数の風路(本実施の形態12では3つ)に分割することにより、各ファン4から供給される空気は、各ファン4の下方に形成された風路に流入する。このため、各ファン4から発生する騒音を、分割された各風路毎に分離することができる。つまり、分割された各風路から流出した騒音は隣接したファン4からのクロストークノイズ成分が低減されたものとなる。したがって、騒音検出マイクロホン71と消音効果検出マイクロホン73とのコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、熱交換器5とファン4の間の風路を複数の風路(本実施の形態12では3つ)に分割することにより、所定の周波数よりも短い周波数の騒音を平面波化(一次元化)することができる。より詳しくは、図19に示すように、分割された風路は、平面視において一辺がL1及びL2となった略四角形状に形成されている。つまり、分割された風路の幅が、L1及びL2となっている。このため、例えば、L1<L2とした場合、ファン4で発生した騒音が分割された風路を通過する際、半波長がL1よりも短い周波数fの騒音は、平面波化(一次元化)して伝播する。また、例えば、L1>L2とした場合、ファン4で発生した騒音が分割された風路を通過する際、半波長がL2よりも短い周波数fの騒音は、平面波化(一次元化)して伝播する。
このように、ケーシング1内の風路を仕切り板31で分割することにより、分割された風路の短い側の幅よりも半波長が短い周波数の騒音を、平面波化(一次元化)することができる。なお、ケーシング1内の風路の分割数を多くするほど、より高い周波数まで平面波化(一次元化)することができる。このようにケーシング1内を伝播する騒音を平面波化(一次元化)することにより、ケーシング1内を伝播する騒音の位相が均一となる。このため、騒音に制御音を干渉させた際、両者の位相誤差が小さくなり、さらに騒音を抑制することができる。
なお、平面波化(一次元化)できる周波数fを式で表すと、
f<c/(2*L)
となる。ここで、cは騒音速である。また、Lは、L1及びL2のうち、長さの短い側の値である。
以上、このように構成された室内機60aにおいては、仕切り板31でケーシング1内の風路を分割しているので、分割された各風路から流出した騒音は、隣接したファン4からのクロストークノイズ成分が低減されたものとなる。このため、騒音検出マイクロホン71と消音効果検出マイクロホン73とのコヒーレンスをより上昇させることができるので、実施の形態5に係る室内機50cと比べ、さらに騒音を抑制することが可能となる。また、このように構成された室内機60aにおいては、ケーシング1内を伝播する騒音を平面波化(一次元化)できるので、実施の形態5に係る室内機50cと比べ、さらに騒音を抑制することが可能となる。
また、仕切り板31は、ファン4の効率が高くなるという効果も有する。隣接するファン4から吹き出された空気が下流側において干渉することを抑制できるため、この干渉によって各ファン4で発生するエネルギーのロスを抑制できるからである。
なお、各仕切り板31は一枚の板で形成されている必要はなく、複数の板で形成されていてもよい。例えば、仕切り板31を前面側熱交換器9側と背面側熱交換器10側で二分割してもよい。仕切り板31を構成する各板どうしの接合箇所に隙間がなければ、仕切り板31を一枚の板で形成した場合と同様の消音効果を得られる。仕切り板31を複数に分割することにより、仕切り板31の組み付け性が向上する。
実施の形態13.
実施の形態12では、ファン4と熱交換器5の間の風路のみを仕切り板31で分割した。ファン4と熱交換器5の間の風路に加え、熱交換器5より下流側となる風路も仕切り板によって分割することが可能である。なお、本実施の形態13において、特に記述しない項目については実施の形態12と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図21は、本発明の実施の形態13に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機60bと称する)を示す縦断面模式図である。
本実施の形態13に係る室内機60bは、ファン4と熱交換器5の間の仕切り板31に加え、熱交換器5と吹出口3との間に仕切り板31aが設けられている。熱交換器5と吹出口3との間に設けられた仕切り板31aは、ファン4と熱交換器5との間に設けられた仕切り板31と同じ数となっており、各仕切り板31の下方に設けられている。より詳しくは、仕切り板31aは、平面視において、仕切り板31と略平行に設けられている。また、仕切り板31aは、平面視において、仕切り板31と概ね重なりあうように設けられている。これにより、仕切り板31aを設けたことによる空気抵抗を抑制している。
熱交換器5はΛ型に配置されているため、仕切り板31aの熱交換器5側端部(上側端部)もΛ型となっている。このとき、熱交換器5と仕切り板31aが接触しないように、仕切り板31aは配置されている。冷房運転時、熱交換器5は低温となる。このため、空気中の水分が結露し、熱交換器5の表面に水滴が付着する。熱交換器5と仕切り板31aが接触していると、熱交換器5の表面に付着した水滴が仕切り板31aに移ってしまう。この仕切り板31aに移ってきた水滴は、仕切り板31を伝わって吹出口3まで移動し、吹出口3から吹き出される空気に同伴され、周囲に飛散してしまう。この水滴の飛散は、使用者に不快な思いをさせる可能性があり、空気調和機にとってあってはならない現象である。このため、熱交換器5の表面に付着した水滴が吹出口3から飛散することを防止するため、熱交換器5と仕切り板31aが接触しないように、仕切り板31aは配置されている。
本実施の形態13に係る室内機60bにおいても、熱交換器5の下流側に、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。より詳しくは、騒音検出マイクロホン71は、熱交換器5の下流側となる固定金具5aに設けられている。制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73は、熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に設けられている。つまり、室内機60bの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。また、本実施の形態13に係る室内機60bでは、分割された風路毎に騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。
なお、本実施の形態13では、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73及び信号処理装置80により構成される消音ユニットを用いたが、制御スピーカー72、騒音・消音効果検出マイクロホン86及び信号処理装置87で構成される消音ユニットを用いても勿論よい。また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置は、図21に示す位置に限定されるものではない。例えば、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を仕切り板31aに設けてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン73を分割された風路の下流側に設ける場合(つまり、分割した風路から流出した空気が合流する箇所に設ける場合)、分割された風路の下流側に設けられた消音効果検出マイクロホン73を実施の形態12のように共通化してもよい。同様に、騒音検出マイクロホン71や制御スピーカー72が分割された風路の下流側に設けられる場合、これらを共通化しても勿論よい。
以上、このように構成された室内機60bにおいては、仕切り板31aを配置することにより、熱交換器5と吹出口3との間においても、ファン4で発生した騒音を平面波化することができる。このため、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を分割された風路内に設置することができる。これにより、本実施の形態13に係る室内機60bは、実施の形態12に係る室内機60aと比べ、騒音検出マイクロホン71と消音効果検出マイクロホン73とのコヒーレンスをさらに上昇させることができる。また、本実施の形態13に係る室内機60bは、実施の形態12に係る室内機60aと比べ、騒音を平面波化(一次元化)することによる騒音抑制効果がさらに向上する。したがって、本実施の形態13に係る室内機60bは、実施の形態12に係る室内機60aと比べ、さらに騒音を抑制することが可能となる。
なお、本実施の形態13では、仕切り板31aの下側端部が吹出口3まで延設された場合を説明したが、仕切り板31aの下側端部は熱交換器5と吹出口3との間にあっても勿論よい。仕切り板31aを設けたことにより、実施の形態12よりも消音効果が向上する。
実施の形態14.
実施の形態12及び実施の形態13では、ファン4の数と風路の分割数とを同数とした。これに限らず、風路の分割数をファン4の数よりも多くしてもよい。なお、本実施の形態14において、特に記述しない項目については実施の形態12又は実施の形態13と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図22は、本発明の実施の形態14に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機60cと称する)を示す斜視図である。この図22では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板31を透過させて示している。また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置を想像線(二点鎖線)で示している。そして、信号処理装置80の図示を省略している。
本実施の形態14に係る室内機60cは、各仕切り板31の間に、仕切り板37が設けられている。つまり、本実施の形態14では、実施の形態12で分割した風路を、仕切り板37によってさらに分割している。仕切り板37は、隣接する仕切り板31の間隔をほぼ均等に分割できる位置に配置される。これら仕切り板37は、仕切り板31と同様に種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板37を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板37を形成してもよい。
仕切り板37の熱交換器5側端部(前面側熱交換器9及び背面側熱交換器10側の端部)の形状は、熱交換器5に沿って略Λ型となっている。仕切り板37が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、熱交換器5は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板37と熱交換器5との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板37がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板37を熱交換器5と接するように配置してもよく、熱交換器5のフィンとフィンの間に仕切り板37を挿入してもよい。
仕切り板37のファン4側端部の形状は、ファン4の出口面と略平行となっている。なお、仕切り板37のファン4側の形状は、ファン4の回転中心付近を高くして周囲に行くほど低くなるような山形形状でもよい。
また、仕切り板37のファン4側端部の高さは、以下のように設定するとよい。
例えば、ファン4と熱交換器5が近い場合、仕切り板37のファン4側端部をファン4に近づけ過ぎると、仕切り板37が空気の流れの抵抗となってしまう。このため、ファン4と熱交換器5が近い場合、仕切り板37のファン4側端部とファン4との距離をできるだけ遠くした方がよい。したがって、ファン4と熱交換器5が近い場合、仕切り板37のファン4側端部の高さは、熱交換器5の上端部(ファン4と最も近接した位置)と同程度の高さとすればよい。仕切り板37のファン4側端部を熱交換器5の傾斜面の途中に配置しても勿論よい。
また例えば、ファン4と熱交換器5との間に十分な距離がある場合、仕切り板37が空気の流れの抵抗となることはない。このため、ファン4と熱交換器5との間に十分な距離がある場合、仕切り板37のファン4側端部の高さを、熱交換器5の上端部(ファン4と最も近接した位置)よりも高くするとよい。仕切り板37のファン4側端部をファン4に近づけることで、ファン4から発生する騒音を平面波化できる範囲が増加する。
本実施の形態14に係る室内機60cにおいても、熱交換器5の下流側に、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。より詳しくは、騒音検出マイクロホン71及び制御スピーカー72は、ケーシング1の側面に設けられている。消音効果検出マイクロホン73は、熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。室内機60cの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
なお、本実施の形態14では、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73及び信号処理装置80により構成される消音ユニットを用いたが、制御スピーカー72、騒音・消音効果検出マイクロホン86及び信号処理装置87で構成される消音ユニットを用いても勿論よい。また、本実施の形態14に係る室内機60cは、複数の流路を通過した騒音を1つの消音ユニットで消音しているが、複数の消音ユニットを用いて複数の流路を通過した騒音を消音してもよい。例えば、各流路毎に消音ユニットを設けてもよい。各流路毎に消音ユニットを設けることで、より騒音を抑制することができる。本実施の形態14のように消音ユニットを共通化することで、室内機60cのコストを低減できる。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置は、図22に示す位置に限定されるものではない。例えば、騒音検出マイクロホン71を、熱交換器5の下流側となる固定金具5aに設けてもよい。また例えば、制御スピーカー72を熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に設けてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン73を、熱交換器5の下流側となるように、ケーシング1の側面に設けてもよい。
以上、このように構成された室内機60cにおいては、分割された風路の幅L1を、実施の形態12に係る室内機60aよりも小さくすることができる。このため、本実施の形態14に係る室内機60cは、実施の形態12に係る室内機60aと比べ、より周波数の高い騒音を平面波化できる。つまり、本実施の形態14に係る室内機60cは、実施の形態12に係る室内機60aと比べ、より高い周波数の騒音に対しても騒音を平面波化(一次元化)することによる騒音抑制効果が得られる。したがって、本実施の形態14に係る室内機60cは、実施の形態12に係る室内機60aと比べ、さらに騒音を抑制することが可能となる。
なお、実施の形態13と同様に、熱交換器5と吹出口3との間の風路で各仕切り板37の下方となる位置に、さらに仕切り板を設けてもよい。このように構成することにより、実施の形態13と同様に、ファン4が発生する騒音を平面波化している区間が広がり、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態15.
実施の形態12〜実施の形態14においては、ケーシング1の前後方向に延設された仕切り板を設け、ケーシング1内の風路を分割した。ケーシング1の左右方向に延設された仕切り板をさらに設けることで、ケーシング1内の風路をさらに分割することができる。なお、本実施の形態15において、特に記述しない項目については実施の形態12〜実施の形態14と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図23は、本発明の実施の形態15に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機60dと称する)を示す斜視図である。また、図24は、この室内機60dの縦断面模式図である。なお、図23では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板31を透過させて示している。また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置を想像線(二点鎖線)で示している。そして、信号処理装置80の図示を省略している。
本実施の形態15に係る室内機60dの基本構成は、実施の形態14に係る室内機60cと同様である。以下では、本実施の形態15に係る室内機60dと実施の形態14に係る室内機60cとの差異点について説明する。
本実施の形態15に係る室内機60dは、実施の形態14に係る室内機60cに、ケーシング1内の風路を左右方向に分割する仕切り板38が設けられている。この仕切り板38は、前面側熱交換器9と背面側熱交換器10との間に設けられており、仕切り板31及び仕切り板37と略直角に交わるように配置されている。
本実施の形態15に係る室内機60dにおいても、熱交換器5の下流側に、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73が設けられている。より詳しくは、騒音検出マイクロホン71は、ケーシング1の側面に設けられている。また、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73は、熱交換器5の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル部分)に設けられている。なお、本実施の形態15に係る室内機60dは、熱交換器5と吹出口3との間の風路が前後方向に分割されているため、騒音検出マイクロホン71が各風路に1つずつ設けられている。これらは実施の形態1と同様に信号処理装置80にそれぞれ接続されている。つまり、室内機60dの消音ユニットは、これら騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73、及び信号処理装置80により構成されている。消音ユニットによる運転音の制御方法については実施の形態1で説明した方法と同様である。
なお、本実施の形態15では、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72、消音効果検出マイクロホン73及び信号処理装置80により構成される消音ユニットを用いたが、制御スピーカー72、騒音・消音効果検出マイクロホン86及び信号処理装置87で構成される消音ユニットを用いても勿論よい。また、分割された各風路毎に消音ユニットを設けてもよい。各流路毎に消音ユニットを設けてもよい。各流路毎に消音ユニットを設けることで、より騒音を抑制することができる。本実施の形態15のように消音ユニットを共通化することで、室内機60dのコストを低減できる。
また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置は、図23及び図24に示す位置に限定されるものではない。例えば、騒音検出マイクロホン71を、熱交換器5の下流側となる固定金具5aに設けてもよい。また例えば、制御スピーカー72をケーシング1の側面に設けてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン73を、熱交換器5の下流側となるように、ケーシング1の側面に設けてもよい。
また、ケーシング1の左右方向に風路を分割する場合、仕切り板38の下側端部(吹出口3側端部)の位置は、以下のように設定するとよい。
例えば、図24に示すように、仕切り板38を平板にした場合、仕切り板38の下側端部を下方まで延ばしすぎると、風路の面積が減少して(風路が仕切り板38により塞がれて)、空気の流れの抵抗となってしまう。このため、仕切り板38を平板にした場合、仕切り板38の下側端部の位置は、ノズルの風上側に配置する。
例えば、図25に示すように、仕切り板38の下側がノズルの形状に合わせた曲面となっている場合、仕切り板38の下側端部を吹出口3まで延ばしてもよい。仕切り板38の下側端部を吹出口3まで延ばすことにより、ファン4が発生する騒音を平面波化している区間が広がり、より高い消音効果を得ることができる。この場合、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73を、前後に分割された風路毎に設置するとよい。
以上、このように構成された室内機60dにおいては、分割された風路の幅L2を、実施の形態12〜実施の形態14に係る室内機60a〜60cよりも小さくすることができる。このため、本実施の形態15に係る室内機60dは、実施の形態12〜実施の形態14に係る室内機60a〜60cと比べ、より高い周波数の騒音に対しても騒音を平面波化(一次元化)することによる騒音抑制効果が得られる。したがって、本実施の形態15に係る室内機60dは、実施の形態12〜実施の形態14に係る室内機60a〜60cと比べ、さらに騒音を抑制することが可能となる。
実施の形態16.
実施の形態12〜実施の形態15で示した仕切り板の表面に、後述のような吸音材を設けてもよい。または、仕切り板を吸音材で構成してもよい。なお、本実施の形態16において、特に記述しない項目については実施の形態12〜実施の形態15と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図26は、本発明の実施の形態16に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機60eと称する)を示す斜視図である。この図26では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板31を透過させて示している。また、騒音検出マイクロホン71、制御スピーカー72及び消音効果検出マイクロホン73の設置位置を想像線(二点鎖線)で示している。そして、信号処理装置80の図示を省略している。また、この図26は、実施の形態12に係る室内機60aに吸音材を設けた例を示している。
本実施の形態16に係る室内機60eは、仕切り板31の両面に吸音材39を設けている。この吸音材39の材質は、ウレタン、多孔質の樹脂、多孔質のアルミ等である。このような吸音材39は、低周波の消音効果は小さいが、高周波(例えば1kHz以上)を消音することができる。吸音材39の厚みは、厚いほど低い周波数を吸収できる。しかしながら、室内機60eは、消音ユニットを用いることによって例えば1kHz以下の騒音を消音できる。このため、吸音材39は、例えば2kHzの騒音を吸音する20mm以下の厚みで十分効果を得ることができる。
なお、仕切り板31の材質は、実施の形態12〜実施の形態15と同様に、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板31を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板31を形成してもよい。表面に吸音材39を設けても、仕切り板31による平面波化は実現できる。
以上、このように構成された室内機60eにおいては、消音ユニットでは消音しきれない高周波の騒音も、吸音材39によって消音することができる。