JP2012001868A - 繊維用処理剤、この処理剤を用いた繊維の処理方法、ならびにこの処理方法で処理された繊維からなる繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗カビ作用を繊維に付与するための処理剤、そして抗カビ作用を付与した繊維であって、洗濯耐久性に優れたものを提供する。
【解決手段】ピロクトオラミンを抗カビ成分として含む繊維用処理剤を調整し、この繊維用処理剤を用いた吸尽加工により繊維にピロクトオラミンを吸収させると、抗カビ作用を付与した繊維であって、洗濯耐久性に優れたものが得られることを見いだした。
【選択図】なし
【解決手段】ピロクトオラミンを抗カビ成分として含む繊維用処理剤を調整し、この繊維用処理剤を用いた吸尽加工により繊維にピロクトオラミンを吸収させると、抗カビ作用を付与した繊維であって、洗濯耐久性に優れたものが得られることを見いだした。
【選択図】なし
Description
本発明は、繊維に対し抗カビ作用を付与することができる処理剤、この処理剤を用いた繊維の処理方法、抗カビ作用が付与された繊維からなる繊維製品に関する。
近年、抗カビ作用が付与された繊維からなる繊維製品が種々提案されており、このようなものとして、抗カビ作用を謳った靴下や下着などの衣料品がある。
このような衣料品に用いられる繊維は、抗カビ作用を発揮する薬剤で処理することにより、抗カビ作用が発揮されるように加工されており、加工に用いられる薬剤として、例えばピロクトオラミンが特許文献1に開示されている。しかし、この薬剤は洗濯耐久性が不充分であり、十分な抗カビ作用を発揮するものではなかった。
このような衣料品に用いられる繊維は、抗カビ作用を発揮する薬剤で処理することにより、抗カビ作用が発揮されるように加工されており、加工に用いられる薬剤として、例えばピロクトオラミンが特許文献1に開示されている。しかし、この薬剤は洗濯耐久性が不充分であり、十分な抗カビ作用を発揮するものではなかった。
靴下や下着などの衣料品は、何度も洗濯されて繰り返して使用されるため、抗カビ作用が洗濯回数に応じて低下することは好ましくない。そのため、抗カビ作用を繊維に付与するための処理剤、そして抗カビ作用を付与した繊維であって、洗濯耐久性に優れたものが求められている。
本願出願人は、鋭意検討の結果、ピロクトオラミンまたはピロクトオラミンとジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウムの1種または2種を含有する処理剤を用いて、繊維を処理すると、抗カビ作用の洗濯耐久性が良好な繊維となることを見いだした。
本発明の繊維用処理剤は、ピロクトオラミンを抗カビ成分として含むものである。更に、またはピロクトオラミンとジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウムの1種または2種以上を含むことによって、抗カビ作用が向上する。
ここで、繊維用処理剤は、ピロクトオラミンを溶解させる溶媒成分と、繊維用処理剤を水に添加した際に、ピロクトオラミンが溶解した溶媒成分を乳化させる乳化剤と、を含むことが好ましい。
さらに、本発明にかかる繊維用処理剤を用いた繊維の処理方法は、繊維用処理剤を水に添加して処理剤水溶液を調整するステップと、処理剤水溶液を20℃〜50℃に加温するステップと、20℃〜50℃に加温された処理剤水溶液に、繊維を15分〜30分間浸漬させて、ピロクトオラミンを繊維に吸収させるステップと、ピロクトオラミンを吸収させた繊維を、脱水処理ののちに、70℃〜100℃で乾燥させるステップと、乾燥後の繊維を、100℃〜140℃で1〜5分間熱処理するステップと、を含む構成とした。
ここで、処理剤水溶液を調整するステップでは、処理剤水溶液に浸漬させる繊維重量に対するピロクトオラミンの濃度を、2%〜4%owfに調整し、繊維重量に対する水の量が、1:10〜1:30に調整されることが好ましい。
さらに、本発明は、上記の処理方法で処理された繊維からなる繊維製品であるものとした。
本発明にかかる処理剤を用いて繊維を処理すると、抗カビ作用を付与した繊維であって、洗濯耐久性に優れたものが得られる。
[処理剤]
繊維を処理剤水溶液に浸漬し、処理剤水溶液に含まれる薬剤成分を繊維に吸収させる吸尽加工に用いられる繊維の処理剤は、薬剤成分と、溶媒成分と、分散剤としての非イオン界面活性剤と、を含む。
吸尽加工に際しては、処理剤を水で希釈して処理剤水溶液を調整し、これに繊維を浸漬させることで、薬剤成分を繊維に吸収させる。
繊維を処理剤水溶液に浸漬し、処理剤水溶液に含まれる薬剤成分を繊維に吸収させる吸尽加工に用いられる繊維の処理剤は、薬剤成分と、溶媒成分と、分散剤としての非イオン界面活性剤と、を含む。
吸尽加工に際しては、処理剤を水で希釈して処理剤水溶液を調整し、これに繊維を浸漬させることで、薬剤成分を繊維に吸収させる。
[薬剤成分]
実施の形態にかかる処理剤に用いられる薬剤であって、抗カビ作用を発揮する薬剤は、ピロクトオラミン(化学名:1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)ピリドンモノエタノールアミン塩)である。処理剤に含まれるピロクトオラミンは1〜15重量%である。
ただし、処理剤に含まれる薬剤は、ピロクトオラミンのみに限定されるものではなく、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、などのうちの少なくとも一つが、0〜30重量%さらに含有されていても良い。
実施の形態にかかる処理剤に用いられる薬剤であって、抗カビ作用を発揮する薬剤は、ピロクトオラミン(化学名:1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)ピリドンモノエタノールアミン塩)である。処理剤に含まれるピロクトオラミンは1〜15重量%である。
ただし、処理剤に含まれる薬剤は、ピロクトオラミンのみに限定されるものではなく、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、などのうちの少なくとも一つが、0〜30重量%さらに含有されていても良い。
[溶媒成分、非イオン界面活性剤]
吸尽加工の途中で薬剤成分が析出すると、必要量の薬剤成分が繊維に吸収されなくなる。
実施の形態では、薬剤成分を溶解させる溶媒成分と、処理剤を水に添加して処理剤水溶液を調整した際に、薬剤成分を溶解させた溶媒成分を乳化させる乳化剤(非イオン界面活性剤)と、が処理剤に含まれており、処理剤がこれらを含むことで、吸尽加工の途中で薬剤成分が析出することが好適に防止されている。
吸尽加工の途中で薬剤成分が析出すると、必要量の薬剤成分が繊維に吸収されなくなる。
実施の形態では、薬剤成分を溶解させる溶媒成分と、処理剤を水に添加して処理剤水溶液を調整した際に、薬剤成分を溶解させた溶媒成分を乳化させる乳化剤(非イオン界面活性剤)と、が処理剤に含まれており、処理剤がこれらを含むことで、吸尽加工の途中で薬剤成分が析出することが好適に防止されている。
溶媒成分としては、ポリエチレングリコール類(PEG200、400、600)、アルコール類(メタノール、エタノール)、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエーテル類(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ケトン類(アセトン、ジメチルケトン)、酢酸エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル)などのうちの少なくとも一つ以上からなるものが、好適に利用できる。処理剤に含まれる溶媒成分は40〜94重量%である。
乳化剤(非イオン界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、ショ糖エステルなどの非イオン界面活性剤のうちの少なくとも一つ以上が、好適に利用できる。処理剤に含まれる乳化剤(非イオン界面活性剤)は40〜94重量%である。
実施の形態の処理剤には、薬剤成分としてピロクトオラミンおよびジデシルジメチルアンモニウムクロライドが、溶媒成分としてプロピレングリコールが、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルが含まれている。
そして、処理剤全体に占める各成分の重量%は、ピロクトオラミンが1〜15重量%、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドが0〜30重量%、プロピレングリコールが40〜94重量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが5〜15重量%である。
そして、処理剤全体に占める各成分の重量%は、ピロクトオラミンが1〜15重量%、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドが0〜30重量%、プロピレングリコールが40〜94重量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが5〜15重量%である。
[繊維]
薬剤を吸尽加工により吸収させる繊維は、種々のものが利用可能である。綿、麻、羊毛、そして絹などの天然繊維や、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリル、ビニリデン、ポリアセテート、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、T/C、ナイロン、アクリル、レーヨン、そしてポリプロピレンなどの合成繊維が例示される。
薬剤を吸尽加工により吸収させる繊維は、種々のものが利用可能である。綿、麻、羊毛、そして絹などの天然繊維や、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリル、ビニリデン、ポリアセテート、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、T/C、ナイロン、アクリル、レーヨン、そしてポリプロピレンなどの合成繊維が例示される。
[薬剤成分の繊維への吸尽加工(吸収処理)]
吸尽加工の条件を示す主なパラメータには、薬剤添加量(%owf)、浴比、処理温度、処理時間がある。
薬剤添加量(%owf)は、繊維重量あたりの薬剤添加量(%owf)であり、繊維を浸漬させる処理剤水溶液における薬剤成分の濃度を意味する。ちなみに、吸尽加工における一般的な薬剤添加量は、0.1%〜10%owfである。本願発明処理剤を使用する場合は、2%owf〜4%owfである。
吸尽加工の条件を示す主なパラメータには、薬剤添加量(%owf)、浴比、処理温度、処理時間がある。
薬剤添加量(%owf)は、繊維重量あたりの薬剤添加量(%owf)であり、繊維を浸漬させる処理剤水溶液における薬剤成分の濃度を意味する。ちなみに、吸尽加工における一般的な薬剤添加量は、0.1%〜10%owfである。本願発明処理剤を使用する場合は、2%owf〜4%owfである。
浴比は、繊維重量に対する水の量であり、例えば浴比1:10とは、繊維重量1に対して10倍量相当の水が処理剤溶液に含まれていることを意味する。ちなみに、吸尽加工における一般的な浴比は、1:10〜1:30である。
処理温度および処理時間は、繊維を処理剤水溶液に浸漬させて薬剤を繊維に吸収させる際の温度および時間である。吸尽加工における一般的な処理温度は60℃〜80℃であり、本願発明処理剤では20℃〜50℃である。また、吸尽加工における一般的な処理時間は20分〜40分であり、本願発明処理剤は15分〜30である。
[処理剤水溶液]
実施の形態では、薬剤成分を含む処理剤を水で希釈して、薬剤成分の濃度が1〜10%owf好ましくは2〜4%owfの処理剤水溶液を調整する。
例えば、ピロクトオラミンを10重量部、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドを20重量部含む処理剤の場合、ピロクトオラミンとジデシルジメチルアンモニウムクロライドとの濃度を2%owfとし、浴比を1:15にすると、薬剤成分の全量が繊維に吸収された場合の付着量が、繊維の単位重量あたり0.2%重量となり、微量の抗カビ剤の付着量にて洗濯耐久性の優れた抗カビ加工繊維が提供できる。
実施の形態では、薬剤成分を含む処理剤を水で希釈して、薬剤成分の濃度が1〜10%owf好ましくは2〜4%owfの処理剤水溶液を調整する。
例えば、ピロクトオラミンを10重量部、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドを20重量部含む処理剤の場合、ピロクトオラミンとジデシルジメチルアンモニウムクロライドとの濃度を2%owfとし、浴比を1:15にすると、薬剤成分の全量が繊維に吸収された場合の付着量が、繊維の単位重量あたり0.2%重量となり、微量の抗カビ剤の付着量にて洗濯耐久性の優れた抗カビ加工繊維が提供できる。
[添加剤]
この処理剤水溶液を調整した際に、添加剤を添加しても良い。かかる場合には、処理剤水溶液のpHを4.0±1に調整したのちに、吸尽加工を行うことが好ましい。
このようにすると、最終的に得られる薬剤成分を吸収させた繊維における洗濯耐久性が向上する。繊維に吸収されたピロクトオラミンが水に不溶化するからである。
ここで、リン酸、乳酸、クエン酸、りんご酸、酢酸等の有機酸が、添加剤として好適に利用される。なお、有機酸の代わりに無機酸を用いた場合にも、同様の効果が奏されるが、繊維処理剤としての利用を考えると、強酸よりも弱酸の方が望ましい。
この処理剤水溶液を調整した際に、添加剤を添加しても良い。かかる場合には、処理剤水溶液のpHを4.0±1に調整したのちに、吸尽加工を行うことが好ましい。
このようにすると、最終的に得られる薬剤成分を吸収させた繊維における洗濯耐久性が向上する。繊維に吸収されたピロクトオラミンが水に不溶化するからである。
ここで、リン酸、乳酸、クエン酸、りんご酸、酢酸等の有機酸が、添加剤として好適に利用される。なお、有機酸の代わりに無機酸を用いた場合にも、同様の効果が奏されるが、繊維処理剤としての利用を考えると、強酸よりも弱酸の方が望ましい。
[処理剤を用いた繊維の処理]
上記の処理剤を用いた繊維の処理方法は、処理剤を水に添加して処理剤水溶液を調整するステップと、処理剤水溶液を20℃〜50℃に加温するステップと、20℃〜50℃に加温された処理剤水溶液に、繊維を15分〜30分間浸漬させて、ピロクトオラミンを繊維に吸収させるステップと、ピロクトオラミンを吸収させた繊維を、脱水処理ののちに、70℃〜100℃で乾燥させるステップと、乾燥後の繊維を、100℃〜140℃で1〜5分間熱処理するステップと、を含む。
上記の処理剤を用いた繊維の処理方法は、処理剤を水に添加して処理剤水溶液を調整するステップと、処理剤水溶液を20℃〜50℃に加温するステップと、20℃〜50℃に加温された処理剤水溶液に、繊維を15分〜30分間浸漬させて、ピロクトオラミンを繊維に吸収させるステップと、ピロクトオラミンを吸収させた繊維を、脱水処理ののちに、70℃〜100℃で乾燥させるステップと、乾燥後の繊維を、100℃〜140℃で1〜5分間熱処理するステップと、を含む。
前記したように処理剤には乳化剤が含まれているので、処理剤を水に添加すると、薬剤成分を溶解した溶媒成分が乳化する。よって、薬剤成分が析出することが好適に防止されている。
ここで、処理剤水溶液に浸漬させる繊維重量に対するピロクトオラミンの濃度は、2%〜4%owfであることが好ましい。
2%owf未満になると、最終的に得られる繊維、繊維製品における抗カビ作用が十分でない。4%owfを超えると、処理剤水溶液における薬剤成分の量が、繊維に吸収されうる量を超えてしまう(飽和してしまう)。
ここで、処理剤水溶液に浸漬させる繊維重量に対するピロクトオラミンの濃度は、2%〜4%owfであることが好ましい。
2%owf未満になると、最終的に得られる繊維、繊維製品における抗カビ作用が十分でない。4%owfを超えると、処理剤水溶液における薬剤成分の量が、繊維に吸収されうる量を超えてしまう(飽和してしまう)。
また、処理剤水溶液では、繊維重量に対する水の量が、1:10〜1:30に調整されることが好ましい。
1:10よりも少なくなると、薬剤の繊維への吸収が不均一となる。1:30よりも多くなると、薬剤成分の濃度が小さくなって、繊維に吸収される薬剤の量が不十分となる。
1:10よりも少なくなると、薬剤の繊維への吸収が不均一となる。1:30よりも多くなると、薬剤成分の濃度が小さくなって、繊維に吸収される薬剤の量が不十分となる。
また、繊維を薬剤水溶液に浸漬させる際の温度は、吸尽加工の通常の処理温度60℃〜80℃よりも低い、20℃〜50℃であることが好ましい。
20℃よりも低くなると、繊維に吸収される薬剤の量が不十分となる。
なお、50℃以下、実際には40℃以下の温度条件で浸漬させても、十分な量の薬剤が繊維に吸収される。
20℃よりも低くなると、繊維に吸収される薬剤の量が不十分となる。
なお、50℃以下、実際には40℃以下の温度条件で浸漬させても、十分な量の薬剤が繊維に吸収される。
ピロクトオラミンを吸収させた繊維は、70℃〜100℃で乾燥させることが好ましい。70℃よりも低くなると、繊維に残留する水分量が多くなり、100℃を超えると、繊維の変色が懸念されるからである。
ピロクトオラミンを吸収させた繊維を熱処理するステップでは、100℃〜140℃で1分〜5分熱処理することが好ましい。かかる熱処理を行うことで、繊維に吸収させたピロクトオラミンの繊維への定着性が良好となる。
本発明にかかる処理剤(処理剤A、B)を用いた吸尽加工により得られた試験試料1、2、6、7と、従来例にかかる処理剤(処理剤R1、R2、R3)を用いた吸尽加工により得られた試験試料3、4、5、8、9、10について、抗カビ試験を行った。
なお、試験試料1〜10は、綿布、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングの3の繊維について、それぞれ3つずつ作成し、試験試料の抗カビ試験を行った。
なお、試験試料1〜10は、綿布、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングの3の繊維について、それぞれ3つずつ作成し、試験試料の抗カビ試験を行った。
下記表1には、試験試料の作成に使用した処理剤と、その際の薬剤成分濃度(%owf)との関係が示されている。
[処理剤Aの調整]
オクチルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤):10重量部、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン界面活性剤)10重量部、
プロピレングリコール(溶媒成分):70重量部、に対し、
ピロクトオラミン(薬剤成分):10重量部を加熱溶解させて処理剤Aを調整した。
オクチルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤):10重量部、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン界面活性剤)10重量部、
プロピレングリコール(溶媒成分):70重量部、に対し、
ピロクトオラミン(薬剤成分):10重量部を加熱溶解させて処理剤Aを調整した。
[処理剤Bの調整]
オクチルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤):10重量部、
プロピレングリコール(溶媒成分):60重量部に対し、
ピロクトオラミン(薬剤成分):10重量、
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(薬剤成分):20重量部、を加熱溶解させて処理剤Bを調整した。
オクチルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤):10重量部、
プロピレングリコール(溶媒成分):60重量部に対し、
ピロクトオラミン(薬剤成分):10重量、
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(薬剤成分):20重量部、を加熱溶解させて処理剤Bを調整した。
[処理剤R1の調整]
オクチルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤):10重量部、
プロピレングリコール(溶媒成分):40重量部に対し、
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(薬剤成分):50重量部、を溶解させて処理剤R1を調整した。
オクチルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤):10重量部、
プロピレングリコール(溶媒成分):40重量部に対し、
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(薬剤成分):50重量部、を溶解させて処理剤R1を調整した。
[処理剤R2の調整]
ピリチオン亜鉛:50重量部に対し、
分散剤:3重量部、
キサンタンガム:0.1重量部、
水:46.9重量部を加えて、湿式粉砕機による12時間の粉砕処理により、ピリチオン亜鉛の平均粒径が1μm以下である処理剤R2を調整した。
ピリチオン亜鉛:50重量部に対し、
分散剤:3重量部、
キサンタンガム:0.1重量部、
水:46.9重量部を加えて、湿式粉砕機による12時間の粉砕処理により、ピリチオン亜鉛の平均粒径が1μm以下である処理剤R2を調整した。
[処理剤R3の調整]
メチル−N−ベンズイミタゾール−2−イル−カーバメイト:30重量部に対し、
分散剤:3重量部、
キサンタンガム0.1重量部、
水:66.9重量部を加えて、湿式粉砕機による6時間の粉砕処理により、メチル−N−ベンズイミタゾール−2−イル−カーバメイトの平均粒径が1〜2μmである処理剤R3を調整した。
メチル−N−ベンズイミタゾール−2−イル−カーバメイト:30重量部に対し、
分散剤:3重量部、
キサンタンガム0.1重量部、
水:66.9重量部を加えて、湿式粉砕機による6時間の粉砕処理により、メチル−N−ベンズイミタゾール−2−イル−カーバメイトの平均粒径が1〜2μmである処理剤R3を調整した。
[試験試料1]
処理剤Aを用いて、薬剤成分であるピロクトオラミンの濃度が2%owfであり、浴比が1:15となる処理剤水溶液を調整し、40℃に加温した処理剤水溶液に、綿布を20分間浸漬させて、綿布に薬剤成分を吸収させた。薬剤成分を吸収させた綿布を、脱水処理のちに80℃の乾燥機内で乾燥させ、乾燥後の綿布の熱処理を、130℃で3分間行って試験試料1を作成した。
なお、綿布の代わりに、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングを用いる場合も、同様の方法にて試験試料を作成した。
処理剤Aを用いて、薬剤成分であるピロクトオラミンの濃度が2%owfであり、浴比が1:15となる処理剤水溶液を調整し、40℃に加温した処理剤水溶液に、綿布を20分間浸漬させて、綿布に薬剤成分を吸収させた。薬剤成分を吸収させた綿布を、脱水処理のちに80℃の乾燥機内で乾燥させ、乾燥後の綿布の熱処理を、130℃で3分間行って試験試料1を作成した。
なお、綿布の代わりに、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングを用いる場合も、同様の方法にて試験試料を作成した。
[試験試料2]
処理剤Bを用いて、薬剤成分であるピロクトオラミンとジデシルジメチルアンモニウムクロライドの濃度が2%owfであり、浴比が1:15となる処理剤水溶液を調整し、40℃に加温した処理剤水溶液に、綿布を20分間浸漬させて、綿布に薬剤成分を吸収させた。薬剤成分を吸収させた綿布を、脱水処理のちに80℃の乾燥機内で乾燥させ、乾燥後の綿布の熱処理を、130℃で3分間行って試験試料2を作成した。
なお、綿布の代わりに、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングを用いる場合も、同様の方法にて試験試料を作成した。
処理剤Bを用いて、薬剤成分であるピロクトオラミンとジデシルジメチルアンモニウムクロライドの濃度が2%owfであり、浴比が1:15となる処理剤水溶液を調整し、40℃に加温した処理剤水溶液に、綿布を20分間浸漬させて、綿布に薬剤成分を吸収させた。薬剤成分を吸収させた綿布を、脱水処理のちに80℃の乾燥機内で乾燥させ、乾燥後の綿布の熱処理を、130℃で3分間行って試験試料2を作成した。
なお、綿布の代わりに、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングを用いる場合も、同様の方法にて試験試料を作成した。
[試験試料3]
処理剤R1を用いて、薬剤成分であるジデシルジメチルアンモニウムクロライドの濃度が2%owfであり、浴比が1:15となる処理剤水溶液を調整し、80℃に加温した処理剤水溶液に、綿布を20分間浸漬させて、綿布に薬剤成分を吸収させた。薬剤成分を吸収させた綿布を、脱水処理のちに80℃の乾燥機内で乾燥させ、乾燥後の綿布の熱処理を、130℃で3分間行って試験試料3を作成した。
なお、綿布の代わりに、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングを用いる場合も、同様の方法にて試験試料を作成した。
処理剤R1を用いて、薬剤成分であるジデシルジメチルアンモニウムクロライドの濃度が2%owfであり、浴比が1:15となる処理剤水溶液を調整し、80℃に加温した処理剤水溶液に、綿布を20分間浸漬させて、綿布に薬剤成分を吸収させた。薬剤成分を吸収させた綿布を、脱水処理のちに80℃の乾燥機内で乾燥させ、乾燥後の綿布の熱処理を、130℃で3分間行って試験試料3を作成した。
なお、綿布の代わりに、T/C布(ポリエステル綿混紡)、パンティストッキングを用いる場合も、同様の方法にて試験試料を作成した。
[試験試料4、5]
それぞれ処理剤R2、R3を用いて、上記した試験試料3の作成方法と同じ方法で、試験試料4、5を作成した。
それぞれ処理剤R2、R3を用いて、上記した試験試料3の作成方法と同じ方法で、試験試料4、5を作成した。
[試験試料6、7]
薬剤成分の濃度が4%owfであるという点を除き、上記した試験試料1、試験試料2の作成方法と同じ方法で、試験試料6、7を作成した。
薬剤成分の濃度が4%owfであるという点を除き、上記した試験試料1、試験試料2の作成方法と同じ方法で、試験試料6、7を作成した。
[試験試料8、9、10]
薬剤成分の濃度が4%owfであるという点を除き、上記した試験試料3、試験試料4、試験試料5の作成方法と同じ方法で、試験試料8、9、10をそれぞれ作成した。
薬剤成分の濃度が4%owfであるという点を除き、上記した試験試料3、試験試料4、試験試料5の作成方法と同じ方法で、試験試料8、9、10をそれぞれ作成した。
[抗かび試験(ATP法)]
上記の方法で作成した試験試料1から10の抗カビ試験を、社団法人繊維評価技術協議会が定める抗かび性定量試験法に準じて行った。なお、耐洗濯性試験は、加工上がりとJIS−103法に準じて行った。
なお下記表では、抗カビ活性値を用いて、抗カビ作用の程度を示しており、抗カビ活性値が大きいほど、抗カビ作用が高いことを意味する。
上記の方法で作成した試験試料1から10の抗カビ試験を、社団法人繊維評価技術協議会が定める抗かび性定量試験法に準じて行った。なお、耐洗濯性試験は、加工上がりとJIS−103法に準じて行った。
なお下記表では、抗カビ活性値を用いて、抗カビ作用の程度を示しており、抗カビ活性値が大きいほど、抗カビ作用が高いことを意味する。
また、洗濯0回の場合の抗カビ活性値は、吸尽加工で得られた試験試料での抗カビ性を示しており、洗濯10回の場合の抗カビ活性値は、吸尽加工で得られた試験試料の洗濯を10回行ったのちの抗カビ性を示している。
よって、洗濯を10回行った時点の抗カビ活性値が最も大きい試験試料が、耐洗濯性に優れた、最も良好な抗カビ性を備えていることになる。
なお、ここでは、洗濯が10回行われた時点の抗カビ活性値が2.0以上のものを、合格としている。
なお、ここでは、洗濯が10回行われた時点の抗カビ活性値が2.0以上のものを、合格としている。
上記の表2から明らかなように、本発明にかかる処理剤A、Bを用いて作成した試験試料(綿布)1、2、6、7の場合、従来の処理剤R1〜R3を用いて作成した試験試料よりも高い抗カビ性を示すことが確認された。
また、本発明にかかる処理剤A、Bの場合、薬剤成分を繊維に付着させるためのバインダ成分を含んでいないにも拘わらず、良好な洗濯耐久性が認められた。
また、本発明にかかる処理剤A、Bの場合、薬剤成分を繊維に付着させるためのバインダ成分を含んでいないにも拘わらず、良好な洗濯耐久性が認められた。
上記の表3から明らかなように、本発明にかかる処理剤A、Bを用いて作成した試験試料(T/C)1、2、6、7の場合、従来の処理剤を用いて作成した試験試料よりも高い抗カビ性を示すことが確認された。
また、本発明にかかる処理剤A、Bの場合、薬剤成分を繊維に付着させるためのバインダ成分を含んでいないにも拘わらず、良好な洗濯耐久性が認められた。
また、本発明にかかる処理剤A、Bの場合、薬剤成分を繊維に付着させるためのバインダ成分を含んでいないにも拘わらず、良好な洗濯耐久性が認められた。
上記の表4から明らかなように、本発明にかかる処理剤A、Bを用いて作成した試験試料(T/C)1、2、6、7の場合、従来の処理剤を用いて作成した試験試料よりも高い抗カビ性を示すことが確認された。
また、本発明にかかる処理剤A、Bの場合、薬剤成分を繊維に付着させるためのバインダ成分を含んでいないにも拘わらず、良好な洗濯耐久性が認められた。
また、本発明にかかる処理剤A、Bの場合、薬剤成分を繊維に付着させるためのバインダ成分を含んでいないにも拘わらず、良好な洗濯耐久性が認められた。
以上の通り、本発明にかかる方法の吸尽加工により薬剤成分を吸収させた繊維は、アオカビ(Penicillium citrinum NBRC 6352)、白癬菌(Trichophyton mentagrophytes NBRC 32409)、クロコウジカビ(Aspergillus niger NBRC 105650)、クロカビ(Cladosporium cladosporioides NBRC 6348)などの真菌に対して効果を発揮する、すなわち高い抗カビ作用を発揮することが確認された。
このため、かかる繊維は、靴下、パンスト、肌着、そして白衣などの衣料品や、シーツ、フロアカーペットなどの各種繊維製品への利用に適用である。
このため、かかる繊維は、靴下、パンスト、肌着、そして白衣などの衣料品や、シーツ、フロアカーペットなどの各種繊維製品への利用に適用である。
従来の吸尽加工では、薬剤成分を繊維に吸収させる際の温度が60℃から80℃と比較的に高いため、蒸気(ボイラー)などの設備がないと加工が出来ない。そのため、吸尽加工に要する環境コストが高くなるという問題があった。
本願にかかる処理剤を用いて吸尽加工を行うと、薬剤成分を繊維に吸収させる際の温度が20℃から50℃で済むので、ボイラーなどの特別な設備を必要としない。そのため、吸尽加工に要する環境コストが安価にすむ。
本願にかかる処理剤を用いて吸尽加工を行うと、薬剤成分を繊維に吸収させる際の温度が20℃から50℃で済むので、ボイラーなどの特別な設備を必要としない。そのため、吸尽加工に要する環境コストが安価にすむ。
さらに、本願発明にかかる処理剤では、処理剤がバインダを含有していなくても、薬剤成分であるピロクトオラミンを繊維に吸収させることができるので、処理剤および処理剤により処理をした繊維(繊維製品)をより安価に提供できるようになる。
Claims (6)
- ピロクトオラミンを抗カビ成分として含む繊維用処理剤。
- 抗カビ成分として更に、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウムから選ばれる、1種または2種以上の成分を、請求項1に記載の抗カビ成分と併用する繊維用処理剤。
- 前記繊維用処理剤は、
前記ピロクトオラミンを溶解させる溶媒成分と、
前記繊維用処理剤を水に添加した際に、前記ピロクトオラミンが溶解した前記溶媒成分を乳化させる乳化剤と、を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維用処理剤。 - 請求項1から請求項3の何れか一項に記載の繊維用処理剤を用いた繊維の処理方法であって、
前記繊維用処理剤を水に添加して処理剤水溶液を調整するステップと、
前記処理剤水溶液を20℃〜50℃に加温するステップと、
20℃〜50℃に加温された前記処理剤水溶液に、繊維を15分〜30分間浸漬させて、前記ピロクトオラミンを前記繊維に吸収させるステップと、
前記ピロクトオラミンを吸収させた前記繊維を、脱水処理ののちに、70℃〜100℃で乾燥させるステップと、
乾燥後の前記繊維を、100℃〜140℃で1〜5分間熱処理するステップと、
を含む繊維の処理方法。 - 前記処理剤水溶液を調整するステップでは、
前記処理剤水溶液に浸漬させる繊維重量に対する前記ピロクトオラミンの濃度を、2%owf〜4%owfに調整し、
前記繊維重量に対する前記水の量が、1:10〜1:30に調整されることを特徴とする請求項4に記載の繊維の処理方法。 - 請求項4または請求項5に記載の処理方法で処理された繊維からなる繊維製品。
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