JP2011528910A5 - - Google Patents

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センス鎖中の一般塩基またはミスマッチを使用したsiRNAサイレンシング活性の亢進
本発明の一態様は、siRNAとして有用であり、標的核酸に対するセンス鎖およびアンチセンス鎖を有する2本鎖核酸に関し、該センス鎖は、1つ以上の修飾核酸塩基、またはアンチセンス鎖との1つ以上のミスマッチ塩基対形成を含有する。本発明の別の態様は、非天然核酸塩基を含む少なくとも1つのヌクレオシドを含む1本鎖オリゴヌクレオチドに関する。本発明の別の態様は、遺伝子サイレンシングの方法であって、それを必要とする哺乳動物にセンス鎖およびアンチセンス鎖を含有する治療有効量の2本鎖オリゴヌクレオチドを投与することを含み、センス鎖は、1つ以上の修飾核酸塩基、またはアンチセンス鎖との1つ以上のミスマッチ塩基対形成を含有する、方法に関する。
オリゴヌクレオチドおよびその類似体は、プローブ、プライマー、リンカー、アダプター、および遺伝子断片としての使用を含む、分子生物学における種々の使用のために開発されている。これらの多くの用途において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸配列と特異的にハイブリッド形成する。ハイブリダイゼーションは、ワトソン・クリック塩基対および/またはフーグスティーン塩基対を介した、RNAまたはDNAへのオリゴヌクレオチドの配列特異的水素結合である。そのような塩基対の塩基は、相互に相補的であると言われる。
2本鎖RNA分子(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として知られる高度に保存された制御機構により、遺伝子発現を阻止することができる。手短に述べると、酵素であるRNA IIIダイサーは、dsRNAを約22個のヌクレオチドの低分子干渉RNA(時折短干渉RNAまたはsiRNAとも称される)にプロセシングする。そして、siRNAの1本の鎖(「アンチセンス鎖」)がガイド配列として機能し、そのアンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むメッセンジャーRNA(mRNA)のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)による切断を誘導する。このアンチセンス鎖がこのプロセスで切断されるか、または別様に分解されることはなく、このアンチセンス鎖を含むRISCは、その後、さらなるmRNAの切断に影響を及ぼす。
RISC会合プロセスの間、パッセンジャー(またはセンス)鎖は、概して9位と10位との間で切断され、その後、相補的なガイド(またはアンチセンス)鎖から分離されて、有効なRISC複合体を生成する(非特許文献1を参照)。パッセンジャー鎖は、RISC会合の過程において切断され、パッセンジャー鎖中のこの推定上の切断部位における特定の化学修飾は、サイレンシング活性をひどく損ない得る(非特許文献2を参照)。オリゴヌクレオチドが、特定の用途に適応される特化された特性を有するように合成され得ることが非常に所望される。siRNAのサイレンシング活性を含むsiRNAの効力を改善するための、センス鎖の中心領域(例えば、切断部位の前後の領域、例えば、切断部位の両側2ヌクレオチド、例えば、ヌクレオチド9〜12)中の、一般塩基2,4−ジフルオロトルイルまたは5−ニトロインドール等の特定の塩基修飾を担持するヌクレオチドの配置、あるいはこの中心領域中の1つ以上のミスマッチの配置、あるいはその両方が、本明細書に記載される。
Matranga,C.et al.(2005)Passenger−Strand Cleavage Facilitates Assembly of siRNA into Ago2−Containing RNAi Enzyme Complexes.Cell 123,607−620 Leuschner P.J.F.,Ameres S.L.,et al.(2006).Cleavage of the siRNA passenger strand during RISC assembly in human cells.EMBO reports 7,314−20
本発明の一態様は、2本鎖短干渉リボ核酸(siRNA)分子に関し、それぞれの鎖が、例えば、19〜29ヌクレオチド長等の約15〜約30ヌクレオチド長であり、少なくとも1つのヌクレオチドは、修飾されているかまたは非天然の塩基を含む。本発明は、概して増加したRNAiサイレンシング活性を提供する阻害性RNA剤(iRNA剤)を提供する。一実施形態において、iRNA剤は、標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、アンチセンス鎖に相補的であり、センス鎖の5’末端から9〜12位に少なくとも1つの修飾核酸塩基を含有する、センス鎖と、を含有する。増加したRNAiサイレンシング活性は、概して該修飾核酸塩基を含有しない対応するiRNA剤に対して決定され、IC50を測定することによって決定される。修飾核酸塩基は、例えば、非天然核酸塩基であるか、一般核酸塩基であるか、または核酸塩基は、脱塩基性、すなわち、脱塩基ヌクレオシド/ヌクレオチドである。例えば、修飾核酸塩基は2’−デオキシ核酸塩基であり得る。幾つかの実施形態において、修飾核酸塩基は、任意に置換されるジフルオロトリル(例えば、2,4−ジフルオロトリル)、任意に置換されるインドリル(例えば、5−ニトロインドール)、任意に置換されるピロリル、または任意に置換されるベンズイミダゾリルである。修飾核酸塩基を含有するiRNA剤は、対応する非修飾iRNA剤、または1つ少ないミスマッチ塩基対形成を有する対応するiRNA剤のIC50値の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%以下のIC50値を示す。IC50は、インビトロシステムで測定される。代替として、IC50はインビボシステムで測定される。修飾核酸塩基は、センス鎖の5’末端から9、10、11、または12位にあり得る。
本発明の別の態様は、2本鎖短干渉リボ核酸(siRNA)分子に関し、それぞれの鎖が、例えば、19〜29ヌクレオチド長等の約15〜約30ヌクレオチド長であり、2本鎖siRNA分子内には少なくとも1つの塩基対ミスマッチが含有される。本発明は、概して増加したRNAiサイレンシング活性を提供する1つ以上のミスマッチを含有するiRNA剤を提供する。一実施形態において、本発明は、増加したRNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤を提供し、該iRNA剤は、標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、該アンチセンス鎖に相補的であり、センス鎖の5’末端から9〜12位に該アンチセンス鎖との1つ、2つ、または2つを超えるミスマッチ塩基対形成を含有するセンス鎖と、を含有し、増加したRNAiサイレンシング活性は、IC50を測定することによって決定される、該アンチセンス鎖とのより少ないミスマッチ塩基対形成を有するか、またはミスマッチ塩基対形成を有さない、iRNA剤に対してである。実施形態において、iRNA剤は、センス鎖の5’末端から9、10、11、もしくは12位、またはその組み合わせの位置にミスマッチを含有する。ミスマッチ塩基対は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、もしくはU:T、またはそれらの組み合わせであり得る。当該技術分野において既知の他のミスマッチ塩基対形成もまた、本発明において可能である。特定の実施形態において、iRNA剤は、2’−デオキシ核酸塩基であるミスマッチ対形成中の少なくとも1つの核酸塩基を含有し、好ましくは、2’−デオキシ核酸塩基はセンス鎖にある。
本明細書に記載されるiRNA剤のそれぞれの鎖は、独立して、少なくとも約15核酸塩基長であり、かつ約30核酸塩基長以下である。例えば、それぞれの鎖は、19〜29ヌクレオチド長、19〜25核酸塩基長、または21〜23核酸塩基長である。幾つかの実施形態において、センス鎖およびアンチセンス鎖は、それぞれ21核酸塩基長である。また、少なくとも1つの終端に1本鎖オーバーハングを含有するiRNA剤も提供される。1本鎖オーバーハングは、例えば、1つ、2つ、3つ、または3つを超える核酸塩基を含有する。
本発明の別の態様は、少なくとも本明細書に記載される2本鎖iRNA剤の鎖を含有する1本鎖オリゴヌクレオチドに関する。
別の態様において、本発明は、細胞を本明細書に開示されるiRNA剤と接触させることにより、細胞中の標的遺伝子の発現を減少させる方法を提供する。
本発明の別の態様は、遺伝子サイレンシングの方法であって、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の2本鎖iRNA剤を投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、siNA、例えば、非天然核酸塩基を含む1つ以上の修飾ヌクレオシドを含有するか、または1つ以上のミスマッチ塩基対形成を含有するsiRNAまたは他の核酸の、siNAの送達のための組成物および方法に関する。本発明の別の態様は、遺伝子の内因性発現を抑制する方法に関し、該方法は、細胞を、有効量の本発明の組成物またはiRNA剤と接触させることを含み、有効量とは、該遺伝子の内因性発現を部分的または実質的に抑制する量である。
親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖上のミスマッチ範囲、9〜12位)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖上のミスマッチ範囲、1〜4位)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖上のミスマッチ範囲、4〜7位)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中のミスマッチ範囲、7〜8位および13〜14位)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖上のミスマッチ範囲、15〜18位)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖上のミスマッチ範囲、18〜19位)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 親二重鎖AD−1000と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中10位および11位の2,4−ジフルオロトルイルリボヌクレオチド)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す(3つのプレートの平均)。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中9位および12位の2,4−ジフルオロトルイルリボヌクレオチド)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中9〜12位の2,4−ジフルオロトルイルデオキシリボヌクレオチド)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中9〜12位の5−ニトロインドールリボ−およびデオキシリボヌクレオチド)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中9〜12位のリボ−およびデオキシリボネブラリン(deoxyribonebularine))によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中9〜12位のリボ−およびデオキシリボイノシン)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(Lucセンス鎖中9〜12位のリボ−およびデオキシリボ−2−アミノプリン)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 対応するsiRNA二重鎖の熱安定性に対してプロットされた全ての修飾にわたるIC50値を示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(該鎖中9〜12位に脱塩基修飾2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3−リン酸塩を含有するsiRNA)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果、および対応するIC50値をグラフとして示す。 HeLa Dual Lus細胞中の親二重鎖(AD−1000)と比較した、修飾siRNA(センス鎖中の(a)9−11位および(b)12位にバルジを含有するsiRNA)によるホタル発現のサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。 親二重鎖(AD−19044)と比較した、センス鎖の9−10位および9−12位に、それぞれミスマッチ塩基対形成および2,4−ジフルオロトルイルリボヌクレオチドを含有するsiRNAによる、HeLa細胞中のPTENの容量依存的なサイレンシングアッセイからの結果をグラフとして示す。
発明を実施するための概要
本発明の一態様は、特に2本鎖siNAのセンス鎖に、修飾ヌクレオチドまたはミスマッチ塩基対形成を含有するsiRNAおよびsiNA組成物、ならびにこれらの組成物を使用して細胞、組織、または哺乳動物における標的遺伝子の発現を阻害するための方法を提供する。本発明はまた、siRNA組成物を使用して、標的遺伝子の異常発現、またはその突然変異型によって引き起こされる、哺乳動物における疾病を治療するための組成物および方法を提供する。
RISCによる除去のために特定のmRNA配列を標的とする核酸を含有する組成物が、本明細書に記載される。特に、核酸塩基修飾(一般塩基等)またはミスマッチ塩基対形成のいずれかを含有する2本鎖iRNA剤を含有する組成物である。理論に限定されるものではないが、核酸塩基修飾またはミスマッチの存在が、おそらく推定上の切断部位での二重鎖の局所的不安定化によって、RISC会合中のセンス鎖の除去を促進すると考えられる。
一態様において、本発明は、(a)標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、(b)該アンチセンス鎖に相補的であり、標的切断部位領域に対応する領域に少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む、センス鎖と、を含む、増加したRNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤を提供し、該増加したRNAiサイレンシング活性とは、インビトロまたはインビボのいずれかで測定されるそれぞれのIC50値を比較することによって決定される、対応する非修飾RNAi剤に対してである。
一実施形態において、ヌクレオチドを含む修飾核酸塩基は、本明細書に記載される、糖修飾および骨格修飾の群から選択される少なくとも1つの修飾をさらに含む。一実施形態において、修飾核酸塩基を含むヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態において、修飾核酸塩基は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の1位にある。
一実施形態において、修飾核酸塩基は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の2位にある。
一実施形態において、修飾核酸塩基は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の3位にある。
一実施形態において、修飾核酸塩基は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の4位にある。
別の態様において、本発明は、(a)標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、(b)該アンチセンス鎖に相補的であり、標的切断部位領域に対応する領域に該アンチセンス鎖との1つまたは2つ以上のミスマッチ塩基対形成を含む、センス鎖と、を含む、増加したRNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤を提供し、該増加したRNAiサイレンシング活性とは、インビトロまたはインビボのいずれかで測定されるそれぞれのIC50値を比較することによって決定される、対応する非修飾RNAi剤に対してである。
一実施形態において、ヌクレオチドを含む修飾核酸塩基は、本明細書に記載される糖修飾および骨格修飾の群から選択される少なくとも1つの修飾をさらに含む。一実施形態において、修飾核酸塩基を含むヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態において、ミスマッチは、センス鎖の5’末端から切断部位領域の1位にある。
一実施形態において、ミスマッチは、センス鎖の5’末端から切断部位領域の2位にある。
一実施形態において、ミスマッチは、センス鎖の5’末端から切断部位領域の3位にある。
一実施形態において、ミスマッチは、センス鎖の5’末端から切断部位領域の4位にある。
本明細書における「標的切断部位」とは、本iRNA剤を利用することにより、RISC機構によって切断される標的遺伝子またはセンス鎖の骨格結合を意味する。そして、標的切断部位領域は、その切断部位の両側に少なくとも1つまたは少なくとも2つのヌクレオチドを含む。センス鎖について、標的切断部位は、センス鎖自体がRNAi機構によって切断される標的であった場合、切断されるであろうセンス鎖の骨格結合である。標的切断部位は、当該技術分野において既知の方法、例えば、Soutschek et al.,Nature(2004)432,173−178に詳述されるような5’−RACEアッセイを使用して、決定することができる。当該技術分野において十分理解されているように、円錐状の2本鎖RNAi剤の切断部位領域は、2本の21ヌクレオチド長鎖(該鎖は、3’末端に2ヌクレオチドの1本鎖オーバーハングを有する、19個の連続する塩基対の2本鎖領域を形成する)を含み、切断部位領域は、センス鎖の5’末端から9〜12位に相当する。
別の態様において、本発明は、(a)標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、(b)該アンチセンス鎖に相補的であり、標的切断部位領域に対応する領域に少なくとも1つの修飾を含む、センス鎖と、を含む、増加したRNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤を提供し、該増加したRNAiサイレンシング活性は、インビトロまたはインビボのいずれかで測定されるそれぞれのIIC50値を比較することによって決定される、対応する非修飾RNAi剤に対してであり、該修飾は、該二重鎖を局所的に不安定化させる。
一実施形態において、ヌクレオチドを含む修飾核酸塩基は、本明細書に記載される糖修飾および骨格修飾の群から選択される少なくとも1つの修飾をさらに含む。一実施形態において、修飾核酸塩基を含むヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態において、局所的不安定化修飾は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の1位においてである。
一実施形態において、局所的不安定化修飾は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の2位においてである。
一実施形態において、局所的不安定化修飾は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の3位においてである。
一実施形態において、局所的不安定化修飾は、センス鎖の5’末端から切断部位領域の4位においてである。
定義
別様に指定されるか、または文脈から暗示されない限り、以下の用語および語句は、以下に提供される意味を含む。別様に明示的に指定されるか、または文脈から明白でない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が関連する当該技術分野において得た意味を除外しない。本定義は、特定の実施形態の説明を補助するために提供され、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるため、特許請求される発明を限定する意図はない。
本明細書で使用される、「アンチセンス鎖」という語句は、目的の標的核酸と実質的にまたは100%相補的であるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、RNA、DNA、またはキメラRNA/DNAであるポリヌクレオチドを含み得る。例えば、アンチセンス鎖は、全体または部分的に、メッセンジャーRNAの分子、mRNAではないRNA配列(例えば、マイクロRNA、piwiRNA、tRNA、rRNA、およびhnRNA)、またはコードもしくは非コードのいずれでもよいDNAの配列に相補的であり得る。「アンチセンス鎖」という語句は、2本の別個の鎖から形成されるポリヌクレオチド、ならびにヘアピン構造を形成することができる単分子ポリヌクレオチドの両方のアンチセンス領域を含む。「アンチセンス鎖」および「ガイド鎖」という用語は、本明細書で互換可能に使用される。
「センス鎖」という語句は、全体または部分的に、メッセンジャーRNAまたはDNA配列等の標的核酸と同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを指す。該センス鎖は、機能的なリボタンパク質RISCに組み込まれない。「センス鎖」および「パッセンジャー鎖」という語句は、本明細書で互換可能に使用される。
「二重鎖」という語句は、センス鎖およびアンチセンス鎖等の別個の鎖を含む2つ以上のポリヌクレオチドの2つの領域間、または単一の連続するポリヌクレオチドの2つの領域間の相補性領域を含む。
「相補的」という語句は、ポリヌクレオチドの相互に塩基対を形成する能力を指す。塩基対は、典型的には逆平行のポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド単位間の水素結合によって形成される。相補的ポリヌクレオチド鎖は、ワトソン・クリック様式(例えば、aからt、aからu、cからg)、または安定な二重鎖の形成を可能とする任意の他の様式の塩基対であり得る。「完全な相補性」または100%の相補性とは、1つのポリヌクレオチド鎖の各ヌクレオチド単位が、第2のポリヌクレオチド鎖の各ヌクレオチド単位と水素結合し得る状況を指す。完全未満の相補性とは、2本の鎖の全てではなく、一部のヌクレオチド単位が相互に水素結合し得る状況を指す。「実質的な相補性」とは、非相補的であるように選択されるオーバーハング等のポリヌクレオチド鎖の領域を除外して、90%以上の相補性を示すポリヌクレオチド鎖を指す。
「センス鎖の5’末端から」という語句は、その鎖の最も5’側の位置に位置するセンス鎖のヌクレオチドに対する、そのセンス鎖の所与のヌクレオチドの相対位置を含む。
「第1の5’終端ヌクレオチド」という語句は、第1の5’終端アンチセンスヌクレオチドおよび第1の5’終端アンチセンスヌクレオチドを含む。「第1の5’終端アンチセンスヌクレオチド」とは、センス鎖上に対応する相補的塩基を有するアンチセンス鎖の塩基に対する、最も5’側の位置に位置するアンチセンス鎖のヌクレオチドを指す。故に、2本の別個の鎖からなる2本鎖ポリヌクレオチドでは、アンチセンス鎖上のいずれかの5’オーバーハングの一部である塩基以外の最も5’側の塩基を指す。第1の5’終端アンチセンスヌクレオチドがヘアピン分子の一部である場合、「終端」という用語は、アンチセンス領域内の最も5’側の相対位置を指し、故に、アンチセンス領域の最も5’側のヌクレオチドである。「第1の5’」終端センスヌクレオチド」という語句は、アンチセンスヌクレオチドに関して定義される。2本の別個の鎖からなる分子では、それは、アンチセンス鎖上に対応する相補的塩基を有するセンス鎖の塩基に対する、その鎖の最も5’側の位置に位置するセンス鎖のヌクレオチドを指す。故に、2本の別個の鎖からなる2本鎖ポリヌクレオチドでは、センス鎖上のいずれかの5’オーバーハング一部である塩基以外の最も5’側の塩基である。
「ヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、またはそれらの修飾型、ならびにそれらの類似体を含む。ヌクレオチドには、プリン類、例えば、アデニン、ヒポキサンチン、グアニン、ならびにそれらの誘導体および類似体と、ピリミジン類、例えば、シトシン、ウラシル、チミン、ならびにそれらの誘導体および類似体と、を含む種が含まれる。
「シュードウラシル」または「5−ウラシル」という用語は、R、R、およびRが水素であるときの、
Figure 2011528910
を指す。置換シュードウラシルは、以下の通り定義される:Rが水素ではないとき、それは1−置換シュードウラシルであり、Rが水素ではないときは3−置換シュードウラシルであり、Rが水素ではないときは6−置換ウラシルである。「2−(チオ)シュードウラシル」、「4−(チオ)シュードウラシル」、および「2,4−(ジチオ)シュードウラシル」という用語は、それぞれ
Figure 2011528910
を指す。好適なR、R、およびRには、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、ウレイド、または共役基が含まれるが、限定されない。
「2’−修飾」および「2’−修飾ヌクレオチド」という語句は、例えば、−F、−H、−CH、−CHCH、−OCH、−OCHCH、−OCHCHOMe、−OCHC(=O)NHMe、−OCH−(4’−C)(いわゆる「LNA糖修飾」)、または−OCHCH−(4’−C)(いわゆる「ENA糖修飾」)によって置き換えられるヒドロキシル基(2’−OH)等の2’位で修飾される、糖部分、例えばリボシル部分を有するヌクレオチド単位を指す。例えば、「2’−フルオロ修飾」および「2’−フルオロ修飾ヌクレオチド」という語句は、ヒドロキシル基(2’−OH)がフルオロ基(2’−F)によって置き換えられるように2’位で修飾される糖部分、例えばリボシル部分を有するヌクレオチド単位を指す。米国特許第6,262,241号、および同第5,459,255号の各明細書(これらの両方が参照により組み込まれる)は、とりわけ2’−フルオロ修飾ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの合成方法に注目している。
「ホスホロチオエートヌクレオチド間結合」という語句は、P=O基のP=S基による置換を指し、ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を指す。オリゴヌクレオチド中に存在するヌクレオチド間結合のうちの1つ、幾つか、または全てがホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり得る。米国特許第6,143,881号、同第5,587,361号、および同第5,599,797号の各明細書(これらの全てが参照により組み込まれる)は、とりわけホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドに注目している。
本明細書で使用される「1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル」という用語は、R、R、R、R、R10、およびR14が水素であるときの、
Figure 2011528910
を指す。置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イルは、R基と同様に付番される(例えば、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イルは、Rが水素ではない化合物である)。本明細書で使用される「1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル」という用語は、R、R、R、R、R10、およびR14が水素であるときの、
Figure 2011528910
を指す。本明細書で使用される「1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン(phenthiazin)−1−イル」という用語は、R、R、R、R、R10、およびR14が水素であるときの、
Figure 2011528910
を指す。本明細書で使用される「1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル」という用語は、R、R、R、R、R10、およびR14が水素であるときの、
Figure 2011528910
を指す。好適なR、R〜R10、およびR14には、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、ウレイド、または共役基が含まれるが、限定されない。
本明細書で使用される、「アミノアルキルヒドロキシ」とは、−O−アルキル−アミノ(例えば、−OCHCHNH)を指す。本明細書で使用される、「グアニジウムアルキルヒドロキシ」とは、−O−アルキル−グアニジウム(例えば、−OCHCHN(H)C(=NH)NH)を指す。
本明細書で使用される、「アミノカルボニルエチレニル」は、
Figure 2011528910
を指す(例えば、両方のRが水素であるとき、
Figure 2011528910
)。本明細書で使用される、「アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル」は、
Figure 2011528910
を指す(例えば、3つの全てのRが水素であるとき、
Figure 2011528910
)。好適なRには、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、ウレイド、または共役基が含まれるが、限定されない。本明細書で使用される「1,3,5−(トリアザ)−2,6−(ジオキサ)−ナフタレン「という用語は、R、R、R、およびR10が水素であるときの、
Figure 2011528910
を指す。好適なR、R、R、およびR10には、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、ウレイド、または共役基が含まれるが、限定されない。
「オフターゲット」という用語、および「オフターゲット効果」という語句は、所与の標的を対象とするsiRNAまたはshRNAが、別のmRNA配列、DNA配列、または細胞タンパク質もしくは他の部分と直接または間接的のいずれかで相互作用することによって、意図しない影響を引き起こすいずれの場合をも指す。例えば、「オフターゲット効果」は、他の転写物と該siRNAまたはshRNAのセンス鎖および/またはアンチセンス鎖との間で、部分的相同性または相補性により該他の転写物が同時に分解されるときに生じ得る。
「医薬的に許容される担体または希釈剤」という語句は、siRNA、dsRNA、dsDNA、shRNA、マイクロRNA、アンチマイクロRNA、アンタゴmir(antagomir)、アンチmir(antimir)、アンチセンス、アプタマー、またはdsRNA/DNAハイブリッド等の核酸治療薬の細胞への導入を促進する核酸治療薬を含み、溶媒または分散剤、コーティング、抗感染症薬、等張剤、および本発明のポリヌクレオチドおよび2本鎖ポリヌクレオチドの吸収時間または放出を媒介する薬剤が含まれるが、限定されない。「医薬的に許容される」という語句は、ヒトを含む動物における使用に対しての、政府、例えば、米国連邦政府、非米国政府、もしくは米国州政府の規制当局による承認、または米国薬局方もしくは任意の他の一般的に認められている薬局方の一覧への組み込みが含まれる。
「サイレンシングする」および「〜の発現を阻害する」という用語、ならびに関連する用語および語句は、第1の細胞または細胞群と実質的に同一であるが、そう治療されなかった第2の細胞または細胞群(すなわち、対照細胞)と比較して、標的遺伝子が転写され、標的遺伝子の発現が阻害されるように治療された第1の細胞または細胞群から単離され得る標的遺伝子から転写されるmRNAの量の減少によって顕在化する、siRNAまたはsiNAによる遺伝子標的の発現の少なくとも部分的な抑制を指す。
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素の任意のラジカルを指す。「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖であり得、示された数の炭素原子を含み(これらにはプロピル、アリール、またはプロパルギルが含まれるが、限定されない)、任意選択的にN、O、またはSともに挿入され得る、飽和または不飽和の非芳香族炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C10は、その基が中に1〜10個(1および10を含む)の炭素原子を有し得ることを示す。「アルコキシ」という用語は、−O−アルキルラジカルを指す。「アルキレン」という用語は、二価のアルキル(すなわち、−R−)を指す。「アルキレンジオキソ」という用語は、Rがアルキレンを表す−O−R−O−の構造の二価の種を指す。「アミノアルキル」という用語は、アミノで置換されたアルキルを指す。「メルカプト」という用語は、−SHラジカルを指す。「チオアルコキシ」という用語は、−S−アルキルラジカルを指す。
「アリール」という用語は、それぞれの環の0、1、2、3、または4個の原子が置換基によって置換され得る、6炭素の単環式または10炭素の二環式芳香族環系を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。「アリールアルキル」という用語、または「アラルキル」という用語は、アリールで置換されたアルキルを指す。「アリールアルコキシ」という用語は、アリールで置換されたアルコキシを指す。
本明細書で用いられる「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素、例えば3〜8個の炭素、および例えば3〜6個の炭素を有し、飽和および部分的に不飽和の環状炭化水素基を含み、シクロアルキル基は、任意選択的にさらに置換されてもよい。シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれるが、限定されない。
「ヘテロアリール」という用語は、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子、または三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ、炭素原子およびN、O、またはSの1〜3、1〜6、または1〜9個のヘテロ原子)、それぞれの環の0、1、2、3、または4個の原子は、置換基によって置換されてもよい、芳香族の5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式環系を指す。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリルもしくはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルもしくはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル等が挙げられる。「ヘテロアリールアルキル」という用語、または「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを指す。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルコキシを指す。
「ヘテロシクリル」という用語は、単環式の場合1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合1〜6個のヘテロ原子、または三環式の場合1〜9個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ、炭素原子およびN、O、またはSの1〜3、1〜6、または1〜9個のヘテロ原子)、それぞれの環の0、1、2、または3個の原子は、置換基で置換されてもよい、非芳香族の5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式環系を指す。ヘテロシクリル基の例としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル等が挙げられる。
「オキソ」という用語は、炭素と結合するときカルボニルを形成し、窒素と結合するときN酸化物を形成し、硫黄と結合するときスルホキシドもしくはスルホンを形成する、酸素原子を指す。「チオ」という用語は、炭素と結合するときチオカルボニルを形成する、硫黄原子を指す。
「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、それらのいずれも、置換基によってさらに置換され得る。
「置換基」という用語は、その基の任意の原子がアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基上で「置換」される基を指す。好適な置換基としては、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、ウレイド、または共役基が含まれるが、限定されない。
多くの場合、本発明の化合物の調製中に保護基が使用される。本明細書で使用される、「保護された」という用語は、示された部分が、その上に付加される保護基を有することを意味する。本発明の幾つかの特定の実施形態において、化合物は1つ以上の保護基を含有する。本発明の方法では、多種多様の保護基を用いることができる。概して、保護基は化学的官能性を特定の反応条件に対して不活性にし、残りの分子を実質的に損傷することなく、分子のかかる官能基に付加およびそこから除去され得る。
代表的なヒドロキシル保護基は、例えば、Beaucage et al.(Tetrahedron 1992,48,2223−2311)によって開示されている。さらなるヒドロキシル保護基、ならびに他の代表的な保護基が、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Chapter 2,2d ed.,John Wiley&Sons,New York,1991、およびOligonucleotides And Analogues A Practical Approach,Ekstein,F.Ed.,IRL Press,N.Y,1991に開示されている。
ヒドロキシル保護基の例としては、t−ブチル、t−ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、2−トリメチルシリルエチル、p−クロロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、p−ニトロベンジル、トリフェニルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、ベンゾイルフォルメート、酢酸塩、クロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ピバロエート(pivaloate)、安息香酸塩、p−フェニルベンゾエート、9−フルオレニルメチルカーボネート、メシル酸塩、およびトシル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
酸処理に安定なアミノ保護基は、塩基処理で選択的に除去され、反応性アミノ基を選択的に置換に利用可能にするために使用される。かかる基の例は、Fmoc(E.Atherton and R.C.Sheppard in The Peptides,S.Udenfriend,J.Meienhofer,Eds.,Academic Press,Orlando,1987,volume 9,p.1)、ならびにNsc基によって例示される種々の置換カルバミン酸スルホニルエチル(Samukov et al.,Tetrahedron Lett.1994,35,7821;Verhart and Tesser,Rec.Trav.Chim.Pays−Bas 1987,107,621)である。
さらなるアミノ保護基には、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エトキシカルボニル(Bpoc)、t−ブトキシカルボニル(BOC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)等のカルバメート保護基;ホルミル、アセチル、トリハロアセチル、ベンゾイル、およびニトロフェニルアセチル等のアミド保護基;2−ニトロベンゼンスルホニル等のスルホンアミド保護基;ならびにフタルイミドおよびジチアスクシノイル等のイミンおよび環状イミド保護基が含まれるが、これらに限定されない。これらのアミノ保護基の等価物もまた、本発明の化合物および方法に包含される。
siRNA組成物
1つ以上の短干渉リボ核酸(siRNA)分子を含有するsiRNA組成物が、本明細書に提供される。これらのsiRNAは、1本鎖または2本鎖であり得る。概して、それぞれのsiRNA鎖は、約10ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、またはそれ以上)〜約35ヌクレオチド長(例えば、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、またはそれ以上)になる。好ましくは、それぞれの鎖は、約19〜約29ヌクレオチド長である。
2本鎖siRNA(「dsiRNA」)組成物は、少なくとも実質的な相補性を有する2本の1本鎖を含有する。例えば、第1の鎖および第2の鎖は、それぞれ約19〜約29ヌクレオチド長であり、17〜25個の塩基対の二重鎖を形成することができる。鎖のオーバーハング等の領域は、概して非相補的であるように選択され、形成される二重鎖には含まれない。siRNA組成物は、1つ以上の終端デオキシチミジン(dT)ヌクレオチド塩基を有する1本または2本の鎖を含有し得る。概して、これらのdTヌクレオチドはオーバーハング領域に含まれ、二重鎖構造は形成しないか、またはそれには寄与しない。
一般塩基2,4−ジフルオロトルイルまたは5−ニトロインドール等の特定の塩基修飾を担持する、1本鎖RNA分子が本明細書に記載される。さらなる非限定的な塩基修飾が、本明細書の実施例1および2等において提供される。これらの修飾は、概してセンス鎖の中心領域(例えば、標的切断部位、例えば、ヌクレオチド9〜12に対応する領域)内にある。また、1本鎖RNA分子の第2の1本鎖RNA分子との結合が、100%未満のヌクレオチドで生じるような、1つ以上のミスマッチヌクレオチドを担持する1本鎖RNA分子も記載される。
本明細書で使用される、「1本鎖siRNA化合物(single strand siRNA compound)」または「1本鎖siRNA化合物(single stranded siRNA compound)」とは、単一分子で構成されるsiRNA化合物である。これには、鎖内対形成によって形成される二重鎖領域が含まれてもよく、例えば、ヘアピンまたはパンハンドル構造であってもよく、あるいはそれらが含まれてもよい。1本鎖siRNA化合物は、標的分子に関するアンチセンスであり得る。特定の実施形態において、1本鎖siRNA化合物は、5’リン酸化されるか、または5’プライム終端にホスホリル類似体を含む。5’−リン酸修飾には、RISCによって媒介される遺伝子サイレンシングと適合性であるものが含まれる。好適な修飾としては、5’−一リン酸塩((HO)(O)P−O−5’);5’−二リン酸塩((HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−三リン酸塩((HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化)(7m−G−O−5’−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−アデノシンキャップ(Appp);および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N−O−5’−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−モノチオリン酸塩(ホスホロチオエート;(HO)(S)P−O−5’);5’−モノジチオリン酸塩(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P−O−5’)、5’−ホスホロチオレート((HO)(O)P−S−5’);ならびに酸素/硫黄置換一リン酸、二リン酸、および三リン酸塩類の任意のさらなる組み合わせ(例えば、5’−α−チオ三リン酸塩、5’−γ−チオ三リン酸塩等)、5’−ホスホルアミデート((HO)(O)P−NH−5’、(HO)(NH)(O)P−O−5’)、5’−アルキルホスホン酸塩類(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5’−、(HO)(O)P−5’−CH−)、5’−アルキルエーテルホスホン酸塩類(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH−)、エトキシメチル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5’−)が挙げられる(これらの修飾は、2本鎖iRNAのアンチセンス鎖にも用いることができる)。
1本鎖siRNA化合物は、RISCに進入し、RISCによって媒介される標的mRNAの切断に関与し得る十分な長さであり得る。1本鎖siRNA化合物は、少なくとも14ヌクレオチド長であり、他の実施形態では、少なくとも15、20、25、29、35、40、または50ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、200、100、または60ヌクレオチド長未満である。
ヘアピンsiRNA化合物は、少なくとも17、18、19、29、21、22、23、24、または25ヌクレオチド対以上の二重鎖領域を有する。二重鎖領域は、200、100、または50以下の長さであり得る。特定の実施形態において、二重鎖領域の範囲は、15〜30、17〜23、19〜23、および19〜21ヌクレオチド対の長さである。ヘアピンは、幾つかの実施形態では3’、そして特定の実施形態ではヘアピンのアンチセンス側に、1本鎖オーバーハングまたは終端不対領域を有し得る。幾つかの実施形態において、オーバーハングは2〜3ヌクレオチド長である。
本明細書で使用される、「2本鎖siRNA化合物」は、鎖間ハイブリダイゼーションが二重鎖構造の領域を形成し得る、1本を超え、場合によっては2本の鎖を含む、siRNA化合物である。
2本鎖siRNA化合物のアンチセンス鎖は、少なくとも14、15、16、17、18、19、25、29、40、または60ヌクレオチド長以上であり得る。それは、200、100、または50ヌクレオチド長以下であり得る。範囲は、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド長であり得る。
2本鎖siRNA化合物のセンス鎖は、少なくとも14、15、16、17、18、19、25、29、40、または60ヌクレオチド長以上であり得る。それは、200、100、または50ヌクレオチド長以下であり得る。範囲は、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド長であり得る。
2本鎖siRNA化合物の2本鎖部分は、少なくとも14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、29、40、または60ヌクレオチド対以上の長さであり得る。それは、200、100、または50、ヌクレオチド対以下の長さであり得る。範囲は、15〜30、17〜23、19〜23、および19〜21ヌクレオチド対の長さであり得る。
多くの実施形態において、ds siRNA化合物は十分大きいため、内因性分子、例えば、ダイサーによって切断されて、より低分子のds siRNA化合物、例えば、siRNA剤を産生することができる。
2本鎖siRNA化合物のアンチセンス鎖およびセンス鎖のうちの1つまたは両方を修飾することが望ましくあり得る。ある場合にはそれらは同一の修飾または同類の修飾を有するが、他の場合にはセンス鎖およびアンチセンス鎖が異なる修飾を有し、例えば、場合によってはセンス鎖のみを修飾することが望ましい。例えば、不活性化するためにセンス鎖のみを修飾することが望ましくあり得、例えば、センス鎖は、センス鎖を不活性化し、活性なsiRNA/タンパク質またはRISCの形成を阻止するように修飾され得る。これは、例えば、5’−O−メチルリボヌクレオチドでの修飾による、センス鎖の5’−リン酸化を阻止する修飾によって達成することができる(Nyaeknen et al.,(2001)ATP requirements and small interfering RNA structure in the RNA interference pathway.Cell 107,309−321を参照)。また、例えば、O−Meではなく単にHによって5’−OHを置換することによる、リン酸化を阻止する他の修飾も使用することができる。代替として、5’−リン酸塩に付加されて、それをホスホジエステル結合に変える、大きな嵩高い基が付加されてもよいが、これは、ホスホジエステラーゼがそのような結合を切断し、機能的なsiRNAの5’末端を遊離させ得るため、さほど望ましくはない場合がある。アンチセンス鎖修飾には、5’リン酸化、ならびに本明細書で説明される他の5’修飾のいずれも、特に上記の1本鎖iRNA分子に関する部分で説明された5’修飾が含まれる。
センス鎖およびアンチセンス鎖は、ds siRNA化合物が、分子の1つまたは両方の末端に1本鎖または不対領域を含むように、選択することができる。故に、ds siRNA化合物は、オーバーハング、例えば、1つもしくは2つの5’もしくは3’オーバーハング、または2〜3個のヌクレオチドの3’オーバーハングを含有するように対形成される、センス鎖およびアンチセンス鎖を含有し得る。多くの実施形態が3’オーバーハングを有するだろう。特定のssiRNA化合物は、1本鎖オーバーハングを有し、幾つかの実施形態では、各末端に1または2または3ヌクレオチド長の3’オーバーハングを有する。オーバーハングは、1本の鎖が他方より長い結果、または同一長さの2本の鎖がねじれた結果であり得る。5’末端はリン酸化され得る。
幾つかの実施形態において、二重鎖領域の長さは、15〜30、または18、19、20、21、22、および23ヌクレオチド長、例えば、上で説明されたssiRNA化合物の範囲内である。ssiRNA化合物は、長さおよび構造において、長いdsiRNAからの天然のダイサープロセシング産物に類似する。また、ssiRNA化合物の2本の鎖が結合、例えば、共有結合される実施形態も含まれる。ヘアピン、または必要とされる2本鎖領域を提供する他の1本鎖構造、および3’オーバーハングもまた、本発明の範囲内である。
ds siRNA化合物およびssiRNA化合物を含む、本明細書に記載される単離されたsiRNA化合物は、標的RNA、例えば、mRNA、例えば、タンパク質をコードする遺伝子の転写物のサイレンシングを媒介することができる。簡便に、そのようなmRNAもまた、本明細書ではサイレンシングされるmRNAとして言及する。そのような遺伝子もまた、標的遺伝子として言及する。概して、サイレンシングされるRNAは、内因性遺伝子または病原遺伝子である。さらに、mRNA以外のRNA、例えば、tRNA、およびウイルスRNAもまた、標的とされ得る。
本明細書で使用される、「RNAiを媒介する」という語句は、配列特異的な様式で、標的RNAをサイレンシングする能力を指す。理論に拘束されることを望むものではないが、サイレンシングには、RNAi機構もしくはプロセス、およびガイドRNA、例えば、21〜23個のヌクレオチドのssiRNA化合物が用いられると考えられる。
本明細書で使用される、「特異的にハイブリッド形成可能」および「相補的」とは本発明の化合物と標的RNA分子との間で安定かつ特異的な結合が生じるのに十分な程度の相補性を示すために使用される用語である。特異的結合は、特異的結合が所望される条件下、すなわち、インビボアッセイもしくは治療的処置の場合、生理的条件下、またはインビトロアッセイの場合、アッセイが行われる条件下で、オリゴマー化合物の非標的配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性を必要とする。非標的配列は、典型的には少なくとも5ヌクレオチド異なる。
一実施形態において、siRNA化合物は、siRNA化合物が標的mRNAによってコードされるタンパク質の産生をサイレンシングするように、標的RNA、例えば、標的mRNAに対して「十分相補的」である。別の実施形態において、siRNA化合物は、標的RNAに対して「正確に相補的」であり、例えば、標的RNAおよびsiRNA化合物がアニーリングし、例えば正確に相補な領域にワトソン・クリック塩基対のみで形成されるハイブリッドが形成される。「十分に相補的」な標的RNAは、標的RNAに正確に相補的である、(例えば、少なくとも10個のヌクレオチドの)内部領域を含み得る。さらに、幾つかの実施形態において、siRNA化合物は、一つのヌクレオチドの差異を特異的に区別する。この場合、siRNA化合物は、正確な相補性が、(例えば、その7ヌクレオチド内において)1つのヌクレオチドの差異の領域に見出される場合のみ、RNAiを媒介する。
本明細書で使用される、「オリゴヌクレオチド」という用語は、例えば100、200、300、または400ヌクレオチド長未満の核酸分子(RNAまたはDNA)を指す。
本明細書に説明されるRNA剤には、非修飾RNA、および例えば、効力を改善するように修飾されたRNA、ならびにヌクレオシド代替物のポリマーが含まれる。非修飾RNAは、核酸の構成成分、すなわち糖、塩基、およびリン酸塩部分が、天然に生じる、例えば人体において天然に生じるものと同一または本質的に同一である、分子を指す。当該技術分野では、しばしば珍しいか、または普通ではないが、天然に生じるRNAは修飾RNAとして言及する(例えば、Limbach et al.,(1994)Summary:the modified nucleosides of RNA,Nucleic Acids Res.22:2183−2196を参照)。しばしば修飾RNAと称される(明らかに、それらが典型的には転写後修飾の結果であるため)、そのような珍しいか、または普通でないRNAは、本明細書で使用される非修飾RNAの用語の範囲内である。修飾RNAとは、核酸の構成要素、すなわち糖、塩基、およびリン酸塩部分のうちの1つ以上が、天然に生じるものとは異なる、例えば、人体において生じるものとは異なる、分子を指す。それらは修飾「RNA」として言及されるが、当然、修飾のために、RNAではない分子を含む。ヌクレオシド代替物は、ハイブリダイゼーションが、リボリン酸塩(ribophosphate)骨格、例えば、リボリン酸塩骨格の非荷電模倣体で見られるものと実質的に類似するような正しい空間的関係に塩基が提示されることを可能にする、非リボリン酸塩コンストラクトでリボリン酸塩骨格が置換される、分子である。上記の全ての例が、本明細書において説明される。
以下の説明の多くは、1本鎖分子に言及する。本発明の多くの実施形態において、2本鎖siRNA化合物、例えば、部分的に2本鎖であるsiRNA化合物が想定される。故に、以下に記載される1本鎖構造からなる2本鎖構造(例えば、2つの別個の分子が2本鎖領域を形成するように接触されるか、または2本鎖領域が分子内対形成(例えば、ヘアピン構造)によって形成される)は、本発明の範囲内であることが理解される。長さは、本明細書の他の箇所に記載する。
核酸はサブユニットからなるポリマーであるため、以下に記載される修飾の多くは、核酸内で繰り返される位置で生じ、例としては、塩基、もしくはリン酸塩部分、またはリン酸塩部分の非結合Oの修飾である。場合によっては、修飾は、核酸中の全ての対象位置で生じるが、多くの場合はそうではない。例として、修飾は、3’または5’終端位置のみで生じ得るか、終端領域、例えば、終端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5、もしくは10個のヌクレオチドでのみ生じ得る。修飾は、2本鎖領域、1本鎖領域、または第1の鎖および第2の鎖の両方で生じ得る。修飾は、RNAの2本鎖領域でのみ生じてもよく、またはRNAの1本鎖領域でのみ生じてもよい。例えば、非結合O位置でのホスホロチオエート修飾は、一方もしくは両方の終端のみで生じ得、終端領域、例えば、終端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5、もしくは10個のヌクレオチドでのみ生じ得、あるいは2本鎖領域および1本鎖領域、特に終端で生じ得る。一方または両方の5’末端がリン酸化されてもよい。
幾つかの実施形態において、例えば、安定性を亢進すること、オーバーハングに特定の塩基を含めること、あるいは1本鎖オーバーハング、例えば、5’もしくは3’オーバーハング、または第1の鎖および第2の鎖の両方に修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチド代替物を含めることが可能である。例えば、オーバーハングにプリンヌクレオチドを含めることが望ましくあり得る。幾つかの実施形態において、3’または5’オーバーハングの全てまたは幾つかの塩基が、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾される。修飾には、例えば、リボース糖の2’OH基での修飾の使用、例えば、リボヌクレオチドではなくデオキシリボヌクレオチド、例えば、デオキシチミジンの使用、およびリン酸基における修飾、例えば、ホスホチオエート修飾が含まれ得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
修飾およびヌクレオチド代替物を、以下に示される足場iを参照して、以下に説明する。
Figure 2011528910
上に提示される足場iは、リボ核酸の一部分を表す。基本的な構成成分は、リボース糖、塩基、終端リン酸塩、およびリン酸ヌクレオチド間リンカーである。塩基が天然に生じる塩基、例えば、アデニン、ウラシル、グアニン、またはシトシンであり、糖が非修飾2’ヒドロキシルリボース糖であり(AがOであり、RがHであり、RがOHである)、かつW、X、Y、およびZが全てOである場合、式iは、天然に生じる非修飾オリゴリボヌクレオチドを表す。
非修飾オリゴリボヌクレオチドは、用途によっては最適とはいえない場合があり、例えば、非修飾オリゴリボヌクレオチドは、例えば、細胞ヌクレアーゼによって分解されがちであり得る。ヌクレアーゼは、核酸ホスホジエステル結合を加水分解することができる。しかし、上記RNA構成成分の1つ以上への化学修飾は、改善された特性を付与することができ、例えば、オリゴリボヌクレオチドをヌクレアーゼに対してより安定にさせることができる。
修飾核酸およびヌクレオチド代替物には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る:
(i)変化、例えば、非結合(XおよびY)リン酸酸素のうちの1つもしくは両方の、ならびに/または結合(WおよびZ)リン酸酸素の1つ以上の置換(リン酸塩が終端位置にあるとき、WまたはZの位置のうちの1つは、リン酸塩を天然に生じるリボ核酸のさらなる要素に結合しない。しかし、用語を簡潔にするために、別様に記される場合を除き、核酸の5’末端のWの位置および核酸の3’末端の終端Zの位置は、本明細書で使用される「結合リン酸酸素」の用語の範囲内である)、
(ii)変化、例えば、リボース糖の構成物の、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの置換(すなわち、Rから−Fおよび/またはAからS)、
(iii)リン酸塩部分の「脱リン酸」リンカーによる一斉置換、
(iv)天然に生じる塩基の非天然塩基による修飾または置換、
(v)リボース−リン酸塩骨格の置換または修飾、
(vi)RNAの3’末端または5’末端の修飾、例えば、終端リン酸基の除去、修飾、もしくは置換、または部分、例えば、蛍光標識された部分の、RNAの3’もしくは5’のいずれかの末端への共役、および、
(vii)糖(例えば、6員環)の修飾。
この文脈において使用される置換、修飾、変化等という用語は、いずれのプロセスの限定も意味せず、例えば、修飾とは、参照または天然に生じるリボ核酸から開始して、修飾リボ核酸を産生するようにそれを修飾しなければならないことを意味してはおらず、むしろ修飾とは、単に、天然に生じる分子との差異を示す。
いくつかの化学物質の実際の電子構造を、1つの限界構造(すなわち、ルイス構造)のみによって適切に表すことはできないことが理解される。理論に束縛拘束されることを望むものではないが、実際の構造は、むしろ、集合的に共鳴構造として知られる、2つ以上の限界構造の何らかのハイブリッドまたは加重平均であり得る。共鳴構造は個別的な化学物質ではなく、紙上にしか存在しない。それらは特定の化学物質に関する結合電子および非結合電子の配置または「局在性」においてのみ相互に異なる。1つの共鳴構造が、他のものよりもより大きな程度でそのハイブリッドに関与することが可能であり得る。故に、本発明の実施形態の書面およびグラフによる説明は、当該技術分野において特定の種について主要な共鳴構造として認識されるものの観点からなされる。例えば、いずれのホスホロアミデート(非結合酸素と窒素との置換)も、X=OおよびY=Nで表される。
具体的な修飾について、以下でより詳細に説明する。
リン酸基
リン酸基は、陰性に荷電する種である。電荷は、その2つの非結合酸素原子上(すなわち、上記式1のXおよびY)に等しく分布する。しかし、リン酸基は、酸素を異なる置換基で置き換えることにより修飾することができる。RNAリン酸基骨格への、この修飾がもたらす1つの結果は、オリゴリボヌクレオチドの、核酸分解に対する増加した耐性である。理論に拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態において、非荷電リンカーまたは荷電リンカーを、非対称の電荷分布で導入することが望ましい場合がある。
修飾リン酸基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレナート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミダート、アルキルまたはアリールホスホン酸塩、およびホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、両方の非結合酸素が硫黄により置換されている。XおよびYのうち1つのみが変更されている場合とは異なり、ホスホロジチオエートにおけるリン中心は、オリゴリボヌクレオチドジアステレオマーの形成を排除する、アキラルである。ジアステレオマーの形成は、個々のジアステレオマーが、ヌクレアーゼに対する異なる耐性を示す、調製物をもたらし得る。さらに、キラルリン酸基を含有するRNAのハイブリダイゼーション親和性は、対応する非修飾のRNA種と比較して低くなり得る。したがって、理論に拘束されることを望むものではないが、キラル中心を除去する、XおよびY双方の修飾、例えばホスホロジチオエートの形成は、それらがジアステレオマー混合物を生成することができないという点で、望ましくあり得る。したがって、Xは、S、Se、B、C、H、N、あるいはOR(Rはアルキルまたはアリールである)のうちのいずれかであり得る。したがって、Yは、S、Se、B、C、H、N、あるいはOR(Rはアルキルまたはアリールである)のうちのいずれかであり得る。Xおよび/またはYの硫黄による置換が可能である。
リン酸リンカーは、結合酸素(すなわち、式1におけるWまたはZ)を窒素(架橋ホスホロアミダート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、および炭素(架橋メチレンホスホン酸塩)と置き換えることにより、修飾することができる。この置換は、W(3’)またはZ(5’)位の、端末酸素において生じ得る。
候補作用物質は、下記のように、その適合性について評価することができる。
糖基
修飾RNAは、リボ核酸の全て、あるいは一部の糖基の修飾を含み得る。例えば、2‘ヒドロキシル基(OH)は、多数の異なる「オキシ」あるいは「デオキシ」置換基により修飾または置換され得る。理論に拘束されるわけではないが、ヒドロキシル基は、もはや脱プロトン化されて2’アルコキシドイオンを形成することがないので、改善された安定性が予期できる。2’アルコキシドは、リンカーのリン原子への分子内求核攻撃によって、分解を触媒することができる。再び、理論に拘束されることを望むものではないが、幾つかの実施形態については、2’位でのアルコキシド形成が不可能である変更を導入することが望ましい場合がある。
「オキシ」−2’ヒドロキシル基修飾の例には、アルコキシまたはアリールオキシ(OR、例えばR=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CHCHO)CHCHOR;例えば、メチレン架橋で、2’ヒドロキシルが同じリボース糖の4’炭素に連結される、「固定した(locked)」核酸(LNA);O−アミン(アミン=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、あるいはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)およびアミノアルコキシ、O(CHアミン、(例えば、アミン=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、あるいはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)が挙げられる。ここで特記すべきことは、メトキシエチル基(MOE)、(PEG誘導体である、OCHCHOCH)のみを含有するオリゴヌクレオチドは、ロバストなホスホロチオエート修飾されたものと同等のヌクレアーゼ安定性を示す。
「デオキシ」修飾は、水素(すなわち、デオキシリボース糖、これは、部分的ds RNAのオーバーハング部に対して特に適合する);ハロ(例えば、フルオロ);アミノ(NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、あるいはアミノ酸);NH(CHCHNH)CHCH−アミン(アミン=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、あるいはジヘテロアリールアミノ);NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、あるいは糖)、シアノ;メルカプト;アルキル−チオ−アルキル;チオアルコキシ;およびアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニル(任意で、例えば、アミノ官能基で置換され得る)を含む。特定の実施形態の他の置換基は、2’−OCH、2’−O−アリル、2’−C−アリル、および2’−フルオロを含む。
糖基は、リボース中の対応する炭素と逆の立体化学的配置を有する1つ以上の炭素も含有することもできる。したがって、修飾RNAは、例えばアラビノースを糖として含有するヌクレオチドを含み得る。
修飾RNAは、「脱塩基」糖をも含み得る。これはC−1’位において核酸塩基を欠くものである。これらの脱塩基糖は、1つ以上の糖の構成原子に修飾をさらに含むことができる。
ヌクレアーゼに対する耐性を最大とするために、2’修飾を、1つ以上のリン酸リンカー修飾(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わせて用いることができる。所謂「キメラ」オリゴヌクレオチドは、2つ以上の異なる修飾を含有するものである。
天然糖環は、6員環に拡張することもできる。さらに、糖の酸素は、硫黄により置換され得る。
候補修飾は、下記のように評価することができる。
リン酸基の置換
リン酸基は、リン非含有のコネクタによって置換され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、荷電性ホスホジエステル基は、核酸分解における反応の中心部であるため、荷電性ホスホジエステル基の中性構造的擬態との置換は、亢進されたヌクレアーゼ安定性を与えるはずであると考えられる。再び、理論に拘束されることを望むものではないが、幾つかの実施形態では、荷電性リン酸基が中性部分によって置換される変化を導入することが望ましくあり得る。
リン酸基を置換し得る部分の例としては、シロキサン、炭酸塩、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホナート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。特定の実施形態において、置換はメチレンカルボニルアミノおよびメチレンメチルイミノ基を含み得る。
候補修飾は、下記のように評価することができる。
リボリン酸骨格の置換
オリゴヌクレオチド−擬態骨格はまた、リン酸塩リンカーおよびリボース糖が、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシドまたはヌクレオチド代替物によって置換されるように構成され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、反復的に荷電された骨格の欠如は、ポリアニオン(例えば、ヌクレアーゼ)を認識するタンパク質との結合を弱めることが考えられる。再び、理論に拘束されることを望むものではないが、幾つかの実施形態では、塩基が中性代替物骨格によって連結される変化を導入することが望ましくあり得る。
例としては、モフィリノ、シクロブチル、ピロリジン、およびペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代替物が挙げられる。特定の実施形態において、PNA代替物が使用され得る。
候補修飾は、下記のように評価することができる。
終端修飾
オリゴヌクレオチドの3’および5’末端が修飾され得る。そのような修飾は、3’末端、5’末端、または分子の両末端において行われ得る。これらは、全終端リン酸塩、もしくはリン酸基の原子の1つ以上の修飾、または置換を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドの3’および5’末端は、例えば、フルオロフォア(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3またはCy5色素)または保護基(例えば、硫黄、シリコン、ホウ素、またはエステルに基づいた)等の標識部分といった、他の官能分子実体と共役させられ得る。官能分子実体は、リン酸基および/またはスペーサーを通じて糖と結合され得る。スペーサーの終端原子は、リン酸基の連結原子、または糖のC−3’もしくはC−5’O、N、S、もしくはC基に結合し得るか、またはそれらを置換し得る。代替として、スペーサーは、ヌクレオチド代替物(例えば、PNA)の末端原子に結合し得るか、またはそれを置換し得る。これらのスペーサーまたはリンカーには、例えば、−(CH−、−(CHN−、−(CHO−、−(CHS−、−O(CHCHO)CHCHO−(例えば、n=3または6)脱塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、またはモルホリノ、またはビオチンおよびフルオレセイン試薬が含まれ得る。スペーサー/リン酸塩官能分子実体−スペーサー/リン酸塩配列がsiRNA化合物の2本の鎖の間に挿入されるとき、この配列は、ヘアピン−タイプRNA薬剤におけるヘアピンRNAループを置換し得る。3’末端は−OH基であり得る。理論に拘束されることを望むものではないが、特定の部分の共役は、輸送、ハイブリダイゼーション、および特異性特性を改善し得ることが考えられる。再び、理論に拘束されることを望むものではないが、ヌクレアーゼ耐性を改善する終端変化を導入することが望ましくあり得る。終端修飾の他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、クロス−リンカー(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン−1−イル)、およびペプチド共役(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル,置換されアルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進体(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾール共役、テトラアザ大環状のEu3+複合体)が挙げられる。
終端修飾は、本明細書の他の部分で述べられるように、活性を調節するため、または分解に対する耐性を調節するためを含む、幾つもの理由で追加され得る。活性を調節するために有用な終端修飾は、リン酸塩またはリン酸塩類似体による5’末端の修飾を含む。例えば、ある実施形態においてsiRNA化合物、特にアンチセンス鎖は、5’リン酸化されるか、または5’プライム終端におけるホスホリル類似体を含む。5’−リン酸修飾には、RISCによって媒介される遺伝子サイレンシングと適合性であるものが含まれる。好適な修飾としては、5’−一リン酸塩((HO)(O)P−O−5’);5’−二リン酸塩((HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−三リン酸塩((HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’)、5’−グアノシンキャップ(7−メチル化または非メチル化)(7m−G−O−5’−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N−O−5’−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−モノホスホロジチオエート塩(ホスホロチオエート;(HO)(S)P−O−5’);5’−モノホスホロジチオエート塩(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P−O−5’)、5’−ホスホロチオレート((HO)(O)P−S−5’);ならびに酸素/硫黄置換一リン酸、二リン酸、および三リン酸塩類の任意のさらなる組み合わせ(例えば、5’−α−チオ三リン酸塩、5’−γ−チオ三リン酸塩等)、5’−ホスホロアミデート((HO)(O)P−NH−5’,(HO)(NH)(O)P−O−5’)、5’−アルキルホスホン酸塩類(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5’−,(OH)2(O)P−5’−CH−)、5’−アルキルエーテルホスホン酸塩類(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH−)、エトキシメチル等、例えば、RP(OH)(O)−O−5’−)が挙げられる。
終端修飾はまた、分布をモニターするために有用であり得、そのような場合、追加される群は例えば、フルオレセインまたは例えば、Alexa488等の、Alexa色素等の、フルオロフォアを含み得る。終端修飾はまた、吸収を亢進するために有用であり得、このための有用な修飾にはコレステロールが含まれる。終端修飾はまた、RNA剤を別の部分に架橋結合するために有用であり得、このための有用な修飾にはマイトマイシンCが含まれる。
候補修飾は、下記のように評価することができる。
塩基
アデニン、グアニン、シトシン、およびウラシルは、RNAに見出される最も一般的な塩基である。これらの塩基は、改善された特性を有するRNAを提供するために、修飾または置換され得る。例えば、ヌクレアーゼ耐性オリゴリボヌクレオチドは、これらの塩基、または合成および天然核酸塩基(例えば、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン、イソグアニシン、またはツベルシジン)、ならびに上記の修飾のいずれか1つによって調製され得る。代替として、上記塩基のいずれの置換または修飾類似体、および「一般塩基」が採用されてもよい。例としては、2−(ハロ)アデニン、2−(アルキル)アデニン、2−(プロピル)アデニン、2−(アミノ)アデニン、2−(アミノアルキル)アデニン、2−(アミノプロピル)アデニン、2−(メチルチオ)−N−(イソペンテニル)アデニン、6−(アルキル)アデニン、6−(メチル)アデニン、7−(ジアザ)アデニン、8−(アルケニル)アデニン、8−(アルキル)アデニン、8−(アルキニル)アデニン、8−(アミノ)アデニン、8−(ハロ)アデニン、8−(ヒドロキシル)アデニン、8−(チオアルキル)アデニン、8−(チオl)アデニン、N−(イソペンチル)アデニン、N−(メチル)アデニン、N、N−(ジメチル)アデニン、2−(アルキル)グアニン、2−(プロピル)グアニン、6−(アルキル)グアニン、6−(メチル)グアニン、7−(アルキル)グアニン、7−(メチル)グアニン、7−(ジアザ)グアニン、8−(アルキル)グアニン、8−(アルケニル)グアニン、8−(アルキニル)グアニン、8−(アミノ)グアニン、8−(ハロ)グアニン、8−(ヒドロキシル)グアニン、8−(チオアルキル)グアニン、8−(チオl)グアニン、N−(メチル)グアニン、2−(チオ)シトシン、3−(ジアザ)−5−(アザ)シトシン、3−(アルキル)シトシン、3−(メチル)シトシン、5−(アルキル)シトシン、5−(アルキニル)シトシン、5−(ハロ)シトシン、5−(メチル)シトシン、5−(プロピニル)シトシン、5−(プロピニル)シトシン、5−(トリフルオロメチル)シトシン、6−(アゾ)シトシン、N−(アセチル)シトシン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウラシル、2−(チオ)ウラシル、5−(メチル)−2−(チオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−2−(チオ)ウラシル、4−(チオ)ウラシル、5−(メチル)−4−(チオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−4−(チオ)ウラシル、5−(メチル)−2、4−(ジチオ)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)−2、4−(ジチオ)ウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−(アルキル)ウラシル、5−(アルキニル)ウラシル、5−(アリールアミノ)ウラシル、5−(アミノアリル)ウラシル、5−(アミノアルキル)ウラシル、5−(グアニジンアルキル)ウラシル、5−(1、3−ジアゾール−1−アルキル)ウラシル、5−(シアノアルキル)ウラシル、5−(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5−(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5−(ハロ)ウラシル、5−(メトキシ)ウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−(メトキシカルボニルメチル)−2−(チオ)ウラシル、5−(メトキシカルボニル−メチル)ウラシル、5−(プロピニル)ウラシル、5−(プロピニル)ウラシル、5−(トリフルオロメチル)ウラシル、6−(アゾ)ウラシル、ジヒドロウラシル、N−(メチル)ウラシル、5−ウラシル(すなわち、シュードウラシル)、2−(チオ)シュードウラシル、4−(チオ)シュードウラシル、2,4−(ジチオ)シュードウラシル、5−(アルキル)シュードウラシル、5−(メチル)シュードウラシル、5−(アルキル)−2−(チオ)シュードウラシル、5−(メチル)−2−(チオ)シュードウラシル、5−(アルキル)−4−(チオ)シュードウラシル、5−(メチル)−4−(チオ)シュードウラシル、5−(アルキル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、5−(メチル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1−置換シュードウラシル、1−置換2(チオ)−シュードウラシル、1−置換4−(チオ)シュードウラシル、1−置換2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−シュードウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−2(チオ)−シュードウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−4−(チオ)シュードウラシル、1−(アミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1−(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−シュードウラシル、1−(アミノアルキルアミノ−カルボニルエチレニル)−2(チオ)−シュードウラシル、1−(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−4−(チオ)シュードウラシル、1−(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジンアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジンアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジンアルキル−ヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジンアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、1,3,5−(トリアザ)−2,6−(ジオキサ)−ナフタレン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌバラリン、ツベルシジン、イソグアニシン、イノシニル、2−アザ−イノシニル、7−ジアザ−イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンズイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニル、3−(メチル)イソカルボスチリリル、5−(メチル)イソカルボスチリリル、3−(メチル)−7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、7−(アザ)インドリル、6−(メチル)−7−(アザ)インドリル、イミジゾピリジニル、9−(メチル)−イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、プロピニル−7−(アザ)インドリル、2,4,5−(トリメチル)フェニル、4−(メチル)インドリル、4,6−(ジメチル)インドリル、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニル、ジフルオロトリル、4−(フルオロ)−6−(メチル)ベンズイミダゾール、4−(メチル)ベンズイミダゾール、6−(アゾ)チミン、2−ピリジノン、5−ニトロインドール、3−ニトロピロール、6−(アザ)ピリミジン、2−(アミノ)プリン、2,6−(ジアミノ)プリン、5−置換ピリミジン、N−置換プリン、N−置換プリン、O−置換プリン、置換1,2,4−トリアゾール、またはそれらのいかなるO−アルキル化もしくはN−アルキル化誘導体が挙げられる。
さらなるプリンおよびピリミジンには、参照により本明細書で組み込まれる、米国特許第3,687,808号明細書に開示されるようなもの、Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858−859,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990、およびEnglisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613.によって開示されるようなものが含まれる。
概して、塩基変化は安定性を促進するためには使用されないが、それらは他の理由で有用であり得、例えば、6−ジアミノプリンおよび2アミノプリン等の幾つかは蛍光性である。修飾塩基は、標的特異性を弱め得る。これはsiRNA化合物の設計において考慮に入れることができる。
候補修飾は、下記のように評価することができる。
カチオン基
修飾は、1つ以上のカチオン基の糖、塩基、および/またはリン酸塩もしくは修飾リン酸骨格部分のリン原子への結合を含み得る。カチオン基は、天然、特異、または一般塩基上の置換機能を有するあらゆる原子に結合され得る。好ましい位置とは、ハイブリダイゼーションを阻害しない、すなわち、塩基対形成に必要とされる水素結合相互作用を阻害しない位置である。カチオン基は例えば糖のC2’位、または環状もしくは非環状糖代替物における類似した位置を通じて結合され得る。カチオン基には、例えば、O−アミン(アミン=NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、へテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)等から生じるプロトン化アミノ基;例えば、O(CHアミン,(例えば、アミン=NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、へテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)等のアミノアルコキシ;アミノ(例えば、NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、へテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸);またはNH(CHCHNH)CHCH−アミン(アミン=NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、へテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ)が含まれ得る。
iRNA剤内の例示的修飾および配置
幾つかの修飾は好ましくは、例えば、鎖の内部位置、iRNA剤の鎖の5’または3’末端上等の、特定の位置におけるiRNA剤上の修飾が含まれ得る。iRNA剤上の修飾の好ましい位置は、薬剤に好ましい特性を与え得る。例えば、特定の修飾の好ましい位置は、最適な遺伝子サイレンシング特性、またはエンドヌクレアーゼもしくはエキソヌクレアーゼ活性に対する増加した耐性を与え得る。本明細書および以下に記載される修飾は、単一修飾もしくは複数のリボヌクレオチドに対して含まれる修飾の単一タイプであり得るか、または修飾は、1つ以上の本明細書および以下に記載される他の修飾と組み合わされ得る。例えば、多重鎖iRNA剤の1本の鎖上の修飾は、多重鎖iRNA剤の別の鎖上の修飾と異なり得る。同様に、1本の鎖上の2つの異なる修飾は、iRNA剤の異なる鎖上の修飾と異なり得る。他の追加的な固有の修飾を、無制限に、iRNA剤の鎖の中に組み込むことができる。
iRNA剤は、iRNA鎖上のいかなるヌクレオチドの骨格修飾をも含み得る。例えば、iRNA剤は、iRNA剤の1つ以上のヌクレオチドの間の結合の中の、ホスホロチオエート結合またはP−アルキル修飾を含み得る。ヌクレオチドは、例えば、センス鎖もしくはアンチセンス鎖の最後の位置にあるヌクレオチド等の、終端ヌクレオチド、または内部ヌクレオチドであり得る。
iRNA剤は、例えば、2’または3’糖修飾等の糖修飾を含み得る。例示的糖修飾には、例えば、2’−O−メチル化ヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド(例えば、2’−デオキシフルオロヌクレオチド)、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、2’−O−NMA、2’−DMAEOE、2’−アミノプロピル、2’−ヒドロキシ、または2’−アラ−フルオロもしくはロックされた核酸(LNA)、拡張核酸(ENA)、ヘキソース核酸(HNA)、またはシクロヘキセン核酸(CeNA)が含まれる。2’修飾は好ましくは、2’−OMe、およびより好ましくは、2’−デオキシフルオロである。修飾が2’−OMeであるとき、修飾は好ましくは、センス鎖上の修飾であり得る。修飾が2’−フルオロであるとき、修飾はiRNA剤のいかなる鎖上の修飾でもあり得る。2’−アラ−フルオロ修飾は好ましくは、iRNA剤のセンス鎖上の修飾であり得る。IRNA剤は、例えば、3’−OMe修飾等の、3’糖修飾を含み得る。好ましくは3’−OMe修飾は、iRNA剤のセンス鎖上の修飾であり得る。
iRNA剤は、5’−メチル−ピリミジン(例えば、5’−メチル−ウリジン修飾または5’−メチル−シチジン)修飾を含み得る。
本明細書に記載される修飾は、一重のiRNA剤上に組み合わされ得る。.例えば、iRNA剤は、ホスホロチオエート結合、および例えば、2’−OMeまたは2’−F 修飾等の、2’糖修飾を有し得る。別の例においては、iRNA剤は、少なくとも1つの5−Me−ピリミジン、および例えば、2’−Fまたは2’−OMe修飾等の、2’糖修飾を含み得る。
iRNA剤は、3’脱塩基カチオン修飾等の、カチオン修飾等の、核酸塩基修飾を含み得る。カチオン修飾は、iRNA剤の終端ヌクレオチドの1つ以上において、例えば、アルキルアミノ−dT(例えば、C6アミノ−dT)、アリールアミノ共役、ピロリジン共役、フタルアミド、ポルフィリン、またはヒドロキシプロリノール共役等であり得る。アルキルアミノ−dT共役が、iRNA剤の終端ヌクレオチドに結合されるとき、共役は好ましくは、iRNA剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖の3’末端に結合される。ピロリジンリンカーがiRNA剤の終端ヌクレオチドに結合されるとき、リンカーは好ましくは、センス鎖の3’もしくは5’末端、またはアンチセンス鎖の3’末端に結合される。ピロリジンリンカーがiRNA剤の終端ヌクレオチドに結合されるとき、リンカーは好ましくは、センス鎖の3’−または5’末端上にあり、アンチセンス鎖の5’末端上にはない。
iRNA剤は、親油物質、テルペン、タンパク質結合剤、ビタミン、炭水化物、またはペプチド等の、少なくとも1つの共役を含み得る。例えば、共役は、ナプロキセン、ニトロインドール(またはスタッキング相互作用に寄与する別の共役)、葉酸、イブプロフェン、またはC5ピリミジンリンカーであり得る。共役はまた、グリセリド脂質共役(例えば、ジアルキルグリセリド誘導体)、ビタミンE共役、またはチオ−コレステロールであり得る。概して、および以下でそれとは反対の注記がある場合を除き、共役がセンス鎖またはアンチセンス鎖の終端ヌクレオチド上にあるとき、共役は好ましくは、センス鎖の5’または3’末端上、またはアンチセンス鎖の5’または3’末端上にあり、かつ好ましくは、共役はアンチセンス鎖の3’末端上にはない。
共役がナプロキセンであり、かつ共役がセンス鎖またはアンチセンス鎖の終端ヌクレオチド上にあるとき、共役は好ましくは、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’または3’末端上にある。共役がコレステロールであり、かつ共役がセンス鎖またはアンチセンス鎖の終端ヌクレオチド上にあるとき、コレステロール共役は好ましくは、センス鎖の5’または3’末端上にあり、かつ好ましくは、アンチセンス鎖上には存在しない。コレステロールは、ピロリジンリンカー、セリノールリンカー、ヒドロキシプロリノールリンカー、またはジスルフィド結合によって、iRNA剤と共役させられ得る。dU−コレステロール共役はまた、ジスルフィド結合によってiRNA剤と共役させられ得る。共役がコラン酸であり、かつ共役がセンス鎖またはアンチセンス鎖の終端ヌクレオチド上にあるとき、コラン酸は好ましくは、センス鎖の5’もしくは3’末端、またはアンチセンス鎖の3’末端に結合される。一実施形態では、コラン酸は、センス鎖の3’末端、およびアンチセンス鎖の3’末端に結合される。
iRNA剤の1つ以上のヌクレオチドは、2’−5’結合を有し得る。好ましくは、2’−5’結合は、センス鎖上にある。2’−5’結合がiRNA剤の終端ヌクレオチド上にあるとき、2’−5’結合はセンス鎖の5’末端上に生じる。
iRNA剤は、好ましくは、アンチセンス鎖上ではなく、センス鎖上でL糖を含み得る。
iRNA剤は、メチルホスホン酸修飾を含み得る。メチルホスホン酸がiRNA剤の終端ヌクレオチド上にあるとき、メチルホスホン酸はiRNA剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖の3’末端にある。
iRNA剤は、1つ以上のリボヌクレオチドを、デオキシリボヌクレオチドと置換することによって修飾され得る。好ましくは、隣接するデオキシリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合によって連結され、iRNA剤は、センス鎖またはアンチセンス鎖上に、4つを上回る連続したデオキシリボヌクレオチドを含まない。
iRNA剤は、例えば、2,4−ジフルオロトルイルウラシル等の、ジフルオロトルイル(DFT)修飾、またはイノシン置換に対するグアニジンを含み得る。
iRNA剤には、少なくとも1つの、ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである5’−ウリジン−アデニン−3’(5’−UA−3’)ジヌクレオチド、または5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである末端5’−ウリジン−グアニン−3’(5’−UG−3’)ジヌクレオチド、または5’−シチジンが2’−修飾ヌクレオチドである末端5’−シチジン−アデニン−3’(5’−CA−3’)ジヌクレオチド、または5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである末端5’−ウリジン−ウリジン−3’(5’−UU−3’)ジヌクレオチド、または5’−シチジンが2’−修飾ヌクレオチドである末端5’−シチジン−シチジン−3’(5’−CC−3’)ジヌクレオチド、または5’−シチジンが2’−修飾ヌクレオチドである末端5’−シチジン−ウリジン−3’(5’−CU−3’)ジヌクレオチド、または5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである末端5’−ウリジン−シチジン−3’(5’−UC−3’)ジヌクレオチドが含まれ得る。iRNA剤内の化学修飾ヌクレオチドは、2’−O−メチル化ヌクレオチドであり得る。幾つかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチド、2’−デオキシフルオロヌクレオチド、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、2’−O−NMA、2’−DMAEOE、2’−アミノプロピル、2’−ヒドロキシ、または2’−アラ−フルオロ、またはロックされた核酸(LNA)、拡張核酸(ENA)、ヘキソース核酸(HNA)、またはシクロヘキセン核酸(CeNA)であり得る。これらの修飾を含むiRNA剤は、修飾ジヌクレオチドがiRNA剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖の末端上に生じるとき、エキソヌクレアーゼ活性に対して特に安定化され、他の場合にはエンドヌクレアーゼ活性に対して特に安定化される。
iRNA剤は、例えば、iRNA剤の一方の末端が、3’または5’オーバーハングを有し、かつiRNA剤の他方の末端が平滑末端である等の、一重のオーバーハングを有し得るか、または例えば、iRNA剤の両末端が、ジヌクレオチドオーバーハング等の、3’または5’オーバーハングを有する等、iRNA剤は二重のオーバーハングを有し得る。別の代替形態においては、iRNA剤の両末端が平滑末端を有し得る。不対ヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートジヌクレオチド結合を有し得、不対ヌクレオチドの少なくとも1つは、2’位において化学修飾され得る。iRNA剤の二重鎖領域は、センス鎖およびアンチセンス鎖の1つまたは両方の上で、ホスホロチオエートジヌクレオチド結合を含み得る。多重鎖iRNA剤の種々の鎖は、例えば、ヘキサエチレングリコールリンカー、ポリ−(オキシホスフィニコ−オキシ−1,3−プロパンジオール)リンカー、アリルリンカー、またはポリエチレングリコールリンカー等の、化学リンカー等の、リンカーによって結合され得る。
ヌクレアーゼ耐性モノマー
iRNA剤は、例えば、対象の体の中に見出されるエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼ等の、ヌクレアーゼによる分解を阻害するために修飾されたモノマーを含み得る。これらのモノマーは、本明細書でNRM、すなわちヌクレアーゼ耐性促進モノマーもしくは修飾(nuclease resistance promoting monomers/modifications)として言及される。多くの場合において、これらの修飾は、例えば、血清アルブミン等の輸送タンパク質等の、タンパク質、もしくはRISC(RNA−誘導性サイレンシング複合体)の一員と相互作用する機能、または第1および第2配列が、互いとの二重鎖を形成する、もしくは例えば、標的分子等の別の配列との二重鎖を形成する機能等の、iRNA剤の他の特性もまた調節する。
理論に拘束されることを望むものではないが、糖、塩基、および/またはiRNA剤の中のリン酸骨格の修飾は、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ耐性を亢進し得、輸送タンパク質およびRISC複合体の機能的構成要素の1つ以上との相互作用を亢進し得ることが考えられる。好ましい修飾は、エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼ耐性を増加させ、したがってRISC複合体との相互作用の前にiRNA剤の半減期を延長させるが、同時にRNA剤にRISC複合体の中のエンドヌクレアーゼ活性に対する耐性を与えないような修飾である。再び、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、アンチセンス鎖の3’および/または5’末端、またはその近辺における修飾の配置は、上で説明された好ましいヌクレアーゼ耐性基準を満たすiRNA剤をもたらし得ることが考えられる。再び、依然としていかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、例えば、センス鎖の中心等への修飾の配置は、オフターゲットを比較的受けにくいiRNA剤をもたらすことが考えられる。
本明細書に記載される修飾は、例えば、iRNA剤、担体オリゴヌクレオチド等の、本明細書に記載されるいかなるRNAおよびRNA様分子にも組み込むことができる。iRNA剤は、ハイブリッドセンス鎖およびアンチセンス鎖を備える二重鎖を含み得、ここにおいてアンチセンス鎖および/またはセンス鎖は、本明細書に記載される修飾の1つ以上を含み得る。アンチセンス鎖は、3’末端および/もしくは5’末端ならびに/または鎖のいずれかの末端から1〜6(例えば、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2)ヌクレオチドが生じる1つ以上の位置における修飾を含み得る。センス鎖は、3’末端および/もしくは5’末端ならびに/または鎖の2つの末端の間の介在位置のいずれか1つの位置における修飾を含み得る。iRNA剤はまた、2つのハイブリッドアンチセンス鎖を備える二重鎖を含み得る。第1および/または第2のアンチセンス鎖は、本明細書に記載される修飾の1つ以上を含み得る。したがって、1つおよび/または両方のアンチセンス鎖は、3’末端および/または5’末端および/または鎖のいずれかの末端から1〜6(例えば、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2)ヌクレオチドが生じる1つ以上の位置における修飾を含み得る。特定の構造は以下に説明される。
以上で説明された、好ましいヌクレアーゼ耐性基準を満たすiRNA剤を産生するために有用であり得る修飾は、次の糖、塩基、および/またはリン酸骨格の化学修飾および/または立体化学的修飾の1つ以上を含み得る。
(i)キラル(S)チオアート。したがって、好ましいNRMは、例えば、SpまたはRp等、酸素によって通常占められる位置である、非架橋位置においてヘテロ原子を含有する修飾リン酸基の特定のキラル構造に関する、濃縮体または純粋体を有するヌクレオチド二量体を含む。ヘテロ原子はS、Se、Nr、またはBrであり得る。ヘテロ原子がSであるとき、濃縮された、またはキラルとして純粋なSp結合が好まれる。濃縮とは、少なくとも70、80、90、95、または99%の好ましい形態を意味する。そのようなNRMは、以下でより詳しく説明される。
(ii)カチオン基の1つ以上の糖、塩基、および/またはリン酸塩もしくは修飾リン酸骨格部分のリン原子への結合。したがって、好ましいNRMは、カチオン基で誘導体化された、終端位置におけるモノマーを含む。アンチセンス配列の5’末端は、終端−OHまたはリン酸基を有すべきなので、このNRMは、好ましくは、アンチセンス配列の5’末端においては使用されない。基は、例えば、ピリミジンの5’位、またはプリンの7位等、他の鎖上の相補的塩基と相互作用する面から離れて、H結合形成およびハイブリダイゼーションへの干渉を最小限に抑える塩基上の位置において結合されるべきである。これらは、以下でより詳しく説明される。
(iii)終端における非リン酸塩結合。したがって、好ましいNRMは、例えば、切断に対して、リン酸塩結合が付与するよりも大きい耐性を付与する4原子の結合等の、非リン酸塩結合を含む。例としては、3’CH2−NCH−O−CH2−5’および3’CH2−NH−(O=)−CH2−5’が挙げられる。
(iv)3’−架橋チオリン酸塩および5’−架橋チオリン酸塩。したがって、好ましいNRMは、これらの構造を含み得る。
(v)L−RNA、2’−5’結合、逆結合、a−ヌクレオシド。したがって、他の好ましいNRMには、LヌクレオシドおよびLヌクレオシドから生じる二量体ヌクレオチド;2’−5’リン酸塩、非リン酸塩、および修飾リン酸塩結合(例えば、チオリン酸塩、ホスホロアミデート、およびボロノリン酸塩);例えば、3’−3’または5’−5’結合等の、逆結合を有する二量体;例えば、本明細書に記載されるα結合を有する構造等の糖上の1’部位においてα結合を有するモノマーが含まれる。
(vi)共役基。したがって、好ましいNRMは、例えば糖、塩基、または骨格を通じて、モノマーと共役させられる、本明細書に記載される標的部分または共役リガンド等を含み得る。
(vii)脱塩基結合。したがって、好ましいNRMは脱塩基モノマー、例えば、本明細書に記載されるような脱塩基モノマー(例えば、核酸無塩基モノマー)、本明細書に記載されるような芳香族またはヘテロ環状またはポリヘテロ環状芳香族モノマーを含み得、ならびに、
(viii)5’−ホスホン酸および5’−リン酸塩プロドラッグ。したがって、好ましいNRMは、好ましくは終端位置、例えば、リン酸基の1つ以上の原子が保護基と誘導体化される位置である、5’位等におけるモノマーを含み、かかる保護基または複数の保護基は、対象の体の中の構成要素、例えば、対象の体の中に存在するカルボキシエステラーゼまたは酵素の活性の結果として除去される。例えば、カルボキシエステラーゼが保護分子を開裂し、チオアートアニオンの産生をもたらし、チオアートアニオンがリン酸塩のOに隣接する炭素を攻撃し、保護リン酸塩の産生をもたらすような、リン酸塩プロドラッグである。
1つ以上の異なるNRM修飾を、iRNA剤の中、またはiRNA剤の配列の中へ導入することができる。NRM修飾は、配列またはiRNA剤の中で1回以上使用され得る。幾つかのNRMはハイブリダイゼーションに干渉するため、組み入れられた合計数は、iRNA剤の二重鎖形成の許容レベルが維持されるような数であるべきである。
幾つかの実施形態では、NRM修飾は、終端切断部位、または対象内の所望の配列または遺伝子を標的にしない、配列(センス鎖または配列)の切断領域に導入される。これはオフターゲットサイレンシングを弱め得る。
候補RNAの評価
薬剤または修飾分子、および対照分子を適切な条件に曝露することによって、ならびに選択された特性の存在に関して評価することによって、選択された特性に関して、例えば、修飾RNA等の、候補RNA剤を評価し得る。例えば、分解物に対する耐性は、次のように評価することができる。候補修飾RNA(および対照分子、通常非修飾型)は、例えば、ヌクレアーゼ等の、分解剤を含む環境に曝露される等、分解条件に曝露され得る。例えば、例として、治療的使用において遭遇するかもしれない環境に類似した生体サンプル、例えば、血液、または例えば、無細胞ホモジネートもしくは破壊細胞等の、細胞分画等の生体サンプルを使用し得る。候補および対照は次いで、多数のアプローチのいずれかによって、分解に対する耐性に関して評価することができる。例えば、候補および対照は、曝露前に、例えば、放射性もしくは酵素標識、またはCy3またはCy5等の蛍光性標識で標識化され得る。対照および修飾RNAは、分解剤、および任意に例えば、不活性化、例えば、熱不活性化等の、対照分解剤を用いて培養され得る。物理的パラメータ、例えば、修飾および対照分子のサイズが次いで決定される。それらは、分子がその原長を維持しているかどうかを査定するために、物理的方法によって、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはサイジングカラムによって、決定され得るか、または機能的に査定され得る。代替として、非標識修飾分子の長さを分析するために、ノーザンブロット解析が使用され得る。
機能的検定もまた、候補剤を評価するために使用され得る。機能的検定は、修飾が、分子の遺伝子発現を封じる機能を変化させるかどうかを決定するために、最初に、または先の非機能的検定(例えば、分解に対する耐性についての検定)の後に応用され得る。例えば、細胞、例えば、マウスまたはヒトの細胞等の、哺乳類の細胞は、例えば、GFP、および蛍光性タンパク質をコードする転写物(例えば、国際公開第00/44914号パンフレットを参照)と相同の候補RNA剤等の、蛍光性タンパク質を発現するプラスミドと共にトランスフェクトされ得る。例えば、GFP mRNAと相同の修飾dsiRNAについては、例えば、薬剤が追加されない対照および/または非修飾RNAが追加される対照等の、トランスフェクションが候補dsiRNAを含まないような対照細胞と比較しながら、細胞蛍光の減少をモニターすることによって、GFP発現を阻害する機能について検定することができる。遺伝子発現に対する候補薬剤の有効性については、修飾および非修飾dssiRNA化合物の存在下で、細胞蛍光を比較することによって査定することができる。
代替の機能的検定では、内在性マウス遺伝子と相同の候補dssiRNA化合物、例えば、c−mos等の、母方で発現した遺伝子等が、薬剤の生体内遺伝子発現を阻害する機能(例えば、国際公開第01/36646号パンフレットを参照)を査定するために、未成熟のマウス卵母細胞に注入され得る。卵母細胞の表現型、例えば、減数第二分裂中期の停止を維持する機能は、薬剤が発現を阻害していることの指標としてモニターされ得る。例えば、c−mos mRNAのdssiRNA化合物による切断は、卵母細胞が減数分裂中期の停止を終了し単為発生を開始するする要因となるであろう(Colledge et al.Nature 370:65−68、1994、Hashimoto et al.Nature,370:68−71,1994)。標的RNAレベルに対する修飾剤の効果は、負の対照と比較しながら、標的mRNAのレベルの減少について検定するために、ノーザンブロットによって検証され得るか、または標的タンパク質のレベルの減少について検定するために、ウエスタンブロットによって検証され得る。対照は、薬剤が追加されていない細胞および/または非修飾RNAが追加された細胞を含み得る。
リガンド
標的部分、エンドソーム溶解剤、およびPK調節体等の、多種多様な実体は、種々の場所、例えば、3’末端、5’末端、3’および5’の両末端において、内部でまたはそれらの組み合わせで、iRNA剤に結合され得る。iRNA剤の1つのみの鎖または両鎖は、本明細書に記載される修飾に加えて、1つ以上のリガンドを備え得る。共役の好ましい方法、共役に好ましいモノマー、および好ましいリガンドは、同時係属の、2004年8月10日に出願された米国特許出願第10/916,185号、2004年9月21日に出願された同第10/946,873号、2004年11月9日に出願された同第10/985,426号、2007年8月3日に出願された同第11/833,934号、2005年8月27日に出願された同第11/115,989号、2005年8月29日に出願された同第11/119,533号、および2005年8月4日に出願された同第11/197,753号の各明細書に説明される。さらなる好ましいリガンドおよびリガンド共役モノマーは、2007年12月4日に出願された米国仮特許出願第60/992,309号および2007年12月13日に出願された同第61/013,597号に説明される。
生理的効果
本明細書に記載されるsiRNA化合物は、治療の毒性を決定することを、ヒトおよび非ヒトの両方の動物配列との相補性によって容易化するように設計され得る。これらの方法によって、siRNAは、ヒトからの核酸配列、かつ少なくとも1つの非ヒトである動物、例えば、齧歯類、反すう類、または霊長類等の、非ヒトである哺乳動物からの核酸配列と十分に相補的な配列からなることができる。例えば、非ヒトである哺乳動物は、マウス、ラット、犬、ブタ、ヤギ、羊、牛、サル、ボノボ、チンパンジー、アカゲザル、またはカニクイザルであってもよい。siRNA化合物の配列は、相同遺伝子内の配列、例えば、非ヒトである哺乳動物およびヒトの癌または腫瘍抑制遺伝子と相補的であり得る。非ヒトである哺乳動物におけるsiRNA化合物の毒性を決定することによって、ヒトにおけるsiRNA化合物の毒性を推定することができる。より厳密な毒性試験では、siRNAは、ヒトおよび1種を超える、例えば、2種または3種またはそれ以上の非ヒトである動物と相補的であり得る。
本明細書に記載される方法は、siRNA化合物のヒトに対するいかなる生理的効果、例えば、毒性効果等の、いかなる望ましくない効果、またはあらゆる有益なもしくは所望される効果を相互に関連付けるためにも使用され得る。
siRNAの細胞吸収を増加させること
細胞吸収および/またはsiRNAの細胞内標的を増加させる、共有結合された共役を含む、種々のsiRNA組成物が本明細書に記載される。
siRNA化合物、およびsiRNAの細部内への吸収に影響を及ぼす薬剤を投与することを含む、本発明の方法がさらに提供される。薬剤は、siRNA化合物が投与される前、後、またはそれと同時に投与され得る。薬剤は、共有または非共有でsiRNA化合物に結合され得る。薬剤は、例えば、リポ多糖類、p38 MAP キナーゼの活性化因子、またはNF−κBの活性化因子であり得る。薬剤は、細胞に過渡効果をもたらし得る。薬剤は、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、微小フィラメント、および/または中間フィラメントを破壊することによって、siRNA化合物の細部内への吸収を増加させることができる。薬剤は、例えば、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビンであり得る。薬剤はまた、例えば、炎症反応を活性化することによって、siRNA化合物の所与の細胞または組織への吸収を増加させることができる。そのような効果を有する例示的薬剤には、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1β、CpGモチーフ、γインターフェロン、またはより一般的にはトール様受容体を活性化させる薬剤が含まれる。
siRNA産生
SiRNAは、種々の方法によって、例えば、一括で、産生され得る。例示的方法には、有機合成およびRNA切断、例えば、インビトロ切断、が含まれる。
有機合成。SiRNAは、1本鎖RNA分子、または各それぞれの2本鎖RNA分子を単独で合成することによって形成され得、その後、構成要素の鎖は次いでアニールされ得る。
大型のバイオリアクター、例えば、OligoPilot II from Pharmacia Biotec AB(Uppsala Sweden)は、所与のsiRNAに対して大量の特定のRNA鎖を産生するために使用され得る。OligoPilotII反応器は、1.5モル過剰のみのホスホラミダイトヌクレオチを使用して、ヌクレオチドを効率的に結合させることができる。RNA鎖を形成するために、リボヌクレオチドアミダイトが使用される。モノマー追加の標準サイクルが、siRNAに対して21〜23ヌクレオチド鎖を合成するために使用され得る。典型的には、例えば、固相担体および脱保護から放たれた後に、2本の相補的鎖が単独で産生され、次いでアニールされる。
有機合成を、個別siRNA種を産生するために使用することができる。種の、特定の標的遺伝子に対する相補性は、正確に特定され得る。例えば、種は多型、例えば、一重のヌクレオチド多型、を含む領域に相補的であり得る。さらに、多型の位置を、正確に定められ得る。幾つかの実施形態では、多型は例えば、終端の1つまたは両方から少なくとも4、5、7、または9ヌクレオチド等の、内部領域に位置する。
dsiRNA切断。siRNAはまた、より大きいsiRNAを切断することによって生成され得る。切断は、インビトロまたはインビボで媒介され得る。例えば、インビトロで切断することによってiRNAを産生するために、次の方法が使用され得る。
インビトロ転写。dsiRNAは、核酸(DNA)セグメントを両方向に転写することによって産生される。例えば、HiScribe(登録商標)RNAi転写物キット(New England Biolabs)は、T7促進によって、いずれかの側面に位置するベクトルにクローン化される核酸セグメントに対して、dsiRNAを産生するためのベクトルおよび方法を提供する。dsiRNAのための2つの相補的鎖のT7転写物に対して、別個の鋳型が生成される。鋳型は、T7RNAポリメラーゼの追加によってインビトロで転写され、dsiRNAが産生される。PCRおよび/または他のRNAポリメラーゼ(例えば、T3またはSP6ポリメラーゼ)を使用する同様の方法はまた、組み換え酵素の調製を汚染し得る内毒素であり得る。
インビトロ切断。一実施形態では、この方法によって生成されるRNAは、インビトロでsiRNAに開裂される末端iRNAを除去するために、例えば、Dicerまたは同等のRNAeIIIに基づく活性を使用して、入念に精製される。例えば、dsiRNAは、Drosophilaからのインビトロ抽出で、または例えば、精製されRNAseまたはRISC複合体(RNA−誘導性サイレンシング複合体)等の、精製された構成要素を使用して培養され得る。例えば、Ketting et al Genes Dev 2001 Oct 15;15(20):2654−9.、およびHammond Science 2001 Aug 10;293(5532):1146−50.を参照のこと。
dsiRNA切断は概して、複数のsiRNA種を産生し、各々は特定の21〜23ヌクレオチド長のdsiRNA原分子のフラグメントである。例えば、重複領域に相補的な配列を含むsiRNAs、およびdsiRNA原分子の隣接する領域が存在し得る。
合成方法にかかわらず、siRNAは、製剤に適切な溶液内(例えば、水性および/または有機溶液)で調製され得る。例えば、SiRNA調製は、沈殿させて、純粋な再蒸留水の中で再溶解し、凍結乾燥させることができる。乾燥したsiRNAは次いで、意図される製剤プロセスに適切な溶液の中で再び懸濁され得る。
製剤
本明細書に記載されるsiRNA化合物は、対象への投与用に製剤化することができる。これらの製剤、組成物、および方法は、修飾iRNA化合物と共に実施され得、かかる実施は本発明の範囲内であることが理解される。
製剤化されるsiRNA組成物は、種々の状態を呈し得る。幾つかの例においては、組成物は少なくとも部分的な結晶性、均一な結晶性、および/または無水(例えば、水分80、50、30、20、または10%を下回る)である。別の例では、siRNAは例えば、水を含む溶液等の、水相である。
水相または結晶性組成物は、例えば、送達手段に組み入れられ、例えば、リポソーム(特に水相に対して)または粒子(例えば、結晶性組成物に適切であるような微粒子)であり得る。概して、siRNA組成物は、本明細書に記載される、意図される投与方法と適合する方法で製剤化される。例えば、特定の実施形態において、組成物は、次の方法の少なくとも1つによって調製される:噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、蒸発、流動床乾燥、またはこれらの技術の組み合わせ;または脂質の超音波処理、凍結乾燥、凝縮、および他の自己集合。
SiRNA調製は、別の薬剤、例えば、別の治療剤、またはsiRNAを安定化させる薬剤、例えば、siRNAと複合してiRNPを形成するタンパク質との組み合わせで製剤化され得る。さらに他の薬剤には、キレート剤、例えば、EDTA(例えば、Mg2+等の二価カチオンを除去するため)、塩、RNAse阻害剤(例えば、RNAsin等の特異性の広いRNAse阻害剤)等が含まれる。
一実施形態では、SiRNA調製には、別のsiNA 化合物、例えば、第2の遺伝子に対して、または同じ遺伝子に対してRNAiを媒介し得る第2のsiRNAが含まれる。さらに他の調製には、少なくとも3、5、10、20、50、または100以上の異なるsiRNA種が含まれ得る。かかるsiRNAは、RNAiを同様の数の異なる遺伝子に対して媒介し得る。
一実施形態では、SiRNA調製は、少なくとも第2の治療剤(例えば、RNAまたはDNA以外の薬剤)が含まれる。例えば、HIV等の、ウイルス性疾患の治療のためのsiRNA組成物は、既知の抗ウイルス剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤または逆転写酵素阻害剤)を含み得る。
別の例では、癌の治療のためのsiRNA組成物はさらに、化学療法剤を含み得る。
例示的な製剤は以下に説明される。
リポソーム。説明を簡略化するために、本項内の製剤、組成物、および方法は主に非修飾iRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらの製剤、組成物、および方法は、 他のsiRNA化合物、例えば、修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かつかかる実施は本発明の範囲内にあることは理解され得る。siRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)調製物は、例えば、リポソームまたはミセル等の、膜状の分子集合体における送達のために製剤化され得る。本明細書で使用される「リポソーム」という用語は、例えば、1つの二重層または複数の二重層等の、少なくとも1つの二重層に配列される、両親媒性脂質からなる小胞に言及する。リポソームは、親油性物質および水性内部から形成される膜を有する単層および多重層の小胞を含む。水性部分は、siRNA組成物を含む。親油性物質は、水性外部から水性内部を分離し、水性外部は、典型的にはsiRNA組成物を含まないが、幾つかの例においては含み得る。リポソームは、作用部位への活性成分の運搬および送達に有用である。リポソーム膜は、生物学的膜と構造的に類似しているため、リポソームが組織に応用されるとき、リポソーム二重層は細胞膜の二重層と融合する。リポソームと細胞の融合が進行すると、siRNAを含む内部水性内容物は、siRNAが特異的に標的RNAに結合し、RNAiを媒介し得る場所である細胞の中へ送達される。場合によっては、例えば、siRNAを特定の細胞タイプに誘導するために、リポソームはまた特異的に標的とされる。
SiRNAを含有するリポソームは、種々の方法によって調製され得る。一例では、リポソームの脂質構成要素は、脂質構成要素と共にミセルが形成されるように、洗剤の中に溶解する。例えば、脂質構成要素は、両親媒性カチオン性脂質または脂質共役であり得る。洗剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性であってもよい。例示的洗剤には、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、およびラウロイルサルコシンが含まれる。SiRNA調製物は次いで、脂質構成要素を含むミセルに追加される。脂質上のカチオン基は、siRNAと相互作用し、siRNAの周囲に凝縮して、リポソームを形成する。凝縮後、洗剤はsiRNAのリポソーム調製を産生するために、例えば、透析によって除去される。
必要な場合、凝縮を支援する担体化合物が、例えば、制御添加によって、凝縮反応の間に追加され得る。例えば、担体化合物は、核酸(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)以外のポリマーであり得る。pHもまた、凝縮を助けるために調節され得る。
送達手段の構造的構成要素として、ポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む、安定的なポリヌクレオチド送達手段を産生するための方法のさらなる説明は、例えば、国際公開第96/37194号パンフレットに記述される。リポソーム形成はまた、Felgner、P.L.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 8:7413−7417,1987;米国特許第4,897,355号および同第5,171,678号の各明細書、Bangham、et al.M.Mol.Biol.23:238,1965;Olson、et al.Biochim.Biophys.Acta 557:9,1979;Szoka、et al.Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194,1978;Mayhew,et al.Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984;Kim,et al.Biochim.Biophys.Acta 728:339,1983;およびFukunaga,et al.Endocrinol.115:757,1984.に説明される例示的方法の1つ以上の態様を含み得る。送達手段としての用途で、適切なサイズの脂質凝集体を調製するために一般的に使用される技術には、 超音波処理、ならびに凍結融解および押出が含まれる(例えば、Mayer,et al.Biochim.Biophys.Acta 858:161,1986を参照)。微少溶液操作が、 一貫して小さく(50〜200nm)、比較的均一の凝集体が所望される場合に使用され得る(Mayhew,et al.Biochim.Biophys.Acta 775:169,1984)。これらの方法は、SiRNAのリポソームへの調製のパッケージングに容易に適合される。
pH感受性または負荷電性のリポソームは、核酸分子と複合するよりはむしろ核酸分子を封入する。核酸分子および脂質は共に同様の荷電性を有するため、複合体の形成よりはむしろ反発が生じる。それにもかかわらず、幾つかの核酸分子はこれらのリポソームの水性内部に封入される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子を培養物の中の細胞単層にコードするDNAを送達するために、使用されている。外因性遺伝子の発現は、標的細胞の中に検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,19,(1992)269−274)。
リポソーム組成物の1つの主要タイプには、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質が含まれる。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は概して、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成され、一方でアニオン性融合リポソームは主に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。リポソーム組成物の別のタイプは例えば、大豆PC、および卵PC等のホスファチジルコリン(PC)から形成される。別のタイプは、リン脂質および/またはホスファチジルコリン、および/またはコレステロールの混合物から形成される。
リポソームをインビトロおよびインビボで、細胞へ導入する他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号および同第5,171,678号の各明細書、国際公開第94/00569号、同第93/24640号、および同第91/16024号の各パンフレット、Felgner,J.Biol.Chem.269:2550,1994;Nabel,Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307,1993;Nabel,Human Gene Ther.3:649,1992;Gershon,Biochem.32:7143,1993、およびStrauss EMBO J.11:417,1992が挙げられる。
一実施形態では、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームは、細胞膜と融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、プラズマ膜とさほど効率的に融合することはできないが、インビボでマクロファージによって取り込まれ、siRNAをマクロファージに送達するために使用され得る。
リポソームのさらなる利点としては、天然リン脂質から獲得されるリポソームは生体適合性および生分解性であること、リポソームは広範囲の水および脂溶性剤を組み込むことができること、リポソームは被包されたsiRNAを、それらの内部コンパートメントにおいて、代謝および分解から保護することができること、(Rosoff,in “Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker (Eds.),1988,volume 1,p.245)が挙げられる。リポソーム製剤の調製における重要な考慮点は、リポソームの脂質表面電荷、小胞サイズ、および水性容積である。
正電荷合成カチオン性脂質、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)は、組織培養物細胞の細胞膜の負荷電性脂質と融合し、結果的にsiRNAの送達をもたらすことができる、脂質−核酸複合体を形成するために、核酸と自発的に相互作用する、小さいリポソームを形成するために使用され得る(例えば、Felgner,P.L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 8:7413−7417,1987、ならびにDOTMAの説明およびそのDNAとの用途については米国特許第4,897,355号明細書を参照)。
DOTMA類似体、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、DNA−複合小胞を形成するために、リン脂質と組み合わせて使用され得る。Lipofectin(登録商標)(Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、高アニオン性核酸を、複合体を形成するために負荷電性ポリヌクレオチドと自発的に相互作用する正電荷DOTMリポソームを含む、生体の組織培養物細胞へ送達するのに有効な薬剤である。十分な正電荷リポソームが使用されるとき、結果として生じる複合体の正味電荷もまた正である。この方法で調製される正電荷複合体は、負荷電性細胞表面と自発的に結合し、プラズマ膜と融合し、機能的核酸を、例えば、組織培養物細胞に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質である、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3,3−(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana)は、オレオイル部分が、エーテル結合よりはむしろエステルによって結合されるという点で、DOTMAと異なる。
他の報告されているカチオン性脂質化合物には、例えば、脂質の2つのタイプのうちの1つと共役させられ、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイラミド(「DOGS」)(Transfectam(登録商標)、Promega、Madison、Wisconsin)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミル−アミド(「DPPES」)(例えば、米国特許第5,171,678号を参照)等の化合物を含む、カルボキシスペルミンを含む、種々の部分と共役させられているものが含まれる。
別のカチオン性脂質共役には、DOPEと組み合わせて、リポソームに製剤化されているコレステロール(「DC−Chol」)を有する脂質の誘導体化が含まれる(Gao,X.and Huang,L.,Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280,1991を参照)。ポリリシンをDOPEに共役させることによって生成されるリポポリリシンは、血清の存在下におけるトランスフェクションに有効であることが報告されている(Zhou,X.et al.,Biochim.Biophys.Acta 1065:8,1991)。ある種の細胞株について、共役されるカチオン性脂質を含むこれらのリポソームは、DOTMA含有組成物よりも低い毒性を示し、かつより効率的なトランスフェクションを提供するといわれている。他の市販のカチオン性脂質産物には、DMRIEおよびDMRIE−HP(Vical,La Jolla,California)およびLipofectamine(DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Maryland)が含まれる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質は、国際公開第98/39359号および同第96/37194号の各パンフレットに説明される。
リポソーム製剤は、局所投与に特に適し、リポソームは、他の製剤に比べて幾つかの利点を提供する。かかる利点には、投与される薬剤の高い体内吸収に関連する副作用の低減、投与される薬剤の所望の標的における蓄積増加、およびsiRNAを皮膚へ投与する機能が含まれる。幾つかの実施においては、リポソームは、siRNAを表皮細胞に送達するため、またsiRNAの、皮膚組織、例えば、皮膚への浸透を亢進するために使用される。例えば、リポソームは局所的に応用され得る。リポソームとして製剤化される薬剤の、皮膚への局所送達が、記述されている(例えば、Weiner et al.,Journal of Drug Targeting,1992,vol.2,405−410、およびdu Plessis et al.,Antiviral Research,18,1992,259−265;Mannino,R.J.、およびFould−Fogerite,S.,Biotechniques 6:682−690,1988;Itani,T.et al.Gene 56:267−276.1987;Nicolau,C.et al.Meth.Enz.149:157−176,1987;Straubinger,R.M.and Papahadjopoulos,D.Meth.Enz.101:512−527,1983;Wang,C.Y.and Huang,L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855,1987を参照)。
非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤およびコレステロールを備える系もまた、 薬剤の皮膚への送達におけるそれらの実用性を決定するために、調査されている。Novasome I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)およびNovasome II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を備える非イオン性リポソーム製剤は、マウス皮膚の真皮へ薬剤を送達するために使用された。そのようなsiRNAを有する製剤は、皮膚疾患を治療するのに有用である。
siRNAを含むリポソームは、大いに変形可能であるように形成され得る。そのような変形機能は、リポソームが、リポソームの平均半径より小さい孔を通じて浸透することを可能にする。例えば、トランスフェロソームは変形可能リポソームの一種である。トランスフェロソームは、表面縁活性化因子、通常は界面活性剤を、標準リポソーム組成物に追加することによって形成され得る。siRNAを含むトランスフェロソームは、例えば、siRNAを皮膚中のケラチン生成細胞に送達するために、感染によって、皮下に送達され得る。無傷の哺乳類の皮膚を通過するために、脂質小胞は、好適な経皮的勾配の影響以下で、各々50nmを下回る直径を有する一連の細孔を通過しなければならない。さらに、脂質特性に起因して、これらのトランスフェロソームは自己最適化(例えば、皮膚等の孔の形状に適応する)、自己修復することができ、またしばしば寸断化することなくそれらの標的に到達することができ、たびたび自己装填式であり得る。
本発明に適する他の製剤は、2008年1月2日に出願された米国仮特許出願第61/018,616号、2008年1月2日に出願された同第61/018,611号、2008年3月26日に出願された同第61/039,748号、2008年4月22日に出願された同第61/047,087号、および2008年5月8日に出願された同第61/051,528号の各明細書に説明される。2007年10月3日に出願された国際出願第PCT/US2007/080331号パンフレットもまた、本発明に適する製剤を説明する。
界面活性剤 説明を簡略化するために、本項内の製剤、組成物、および方法は主に非修飾iRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらの製剤、組成物、および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、修飾iRNA化合物と共に実施され得、かかる実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。界面活性剤は、乳化剤(微乳化剤を含む)およびリポソーム(上を参照)等の製剤に広範な用途を見出す。siRNA(または例えば、siRNAにプロセスされ得るより大きいdsiRNA等の前駆体、またはsiRNAもしくは前駆体をコードするDNA)組成物は、界面活性剤を含み得る。一実施形態では、siRNAは、界面活性剤を含む乳化剤として製剤化される。天然および合成の両方の、多くの異なるタイプの界面活性剤の特性を分類および序列する最も一般的な方法は、親水性/新油性バランス(HLB)を用いることである。親水性基の本質は、製剤に使用される異なる界面活性剤を分類する最も有用な手段を提供する(Rieger,in “Pharmaceutical Dosage Forms,” Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1988,p.285)。
界面活性剤分子がイオン化されない場合、それは非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品に広範な用途を見出し、また広範囲のpH値で用いることができる。概してそれらのHLB値は、それらの構造に応じて2〜約18の範囲に及ぶ。非イオン性界面活性剤には、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、およびエトキシ化エステル等の非イオン性エステルが含まれる。非イオン性アルカノールアミドならびに脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、およびエトキシ化/プロポキシル化ブロックポリマー等のエーテルもまた、この類に含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤類の最も一般的な員である。
水に溶解または分散されるとき、界面活性剤分子が負の電荷を担う場合、界面活性剤は、アニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤には、せっけん等のカルボキシレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキル硫酸塩およびエトキシ化アルキル硫酸塩等の硫黄酸のエステル、アルキルベンゼンスルホナート、アシルイセチオン酸塩、アシルタウレートおよびスルホサクシネート等のスルホナート、ならびにリン酸塩が含まれる。アニオン性界面活性剤類の最も重要な員は、アルキル硫酸塩およびせっけんである。
水に溶解または分散されるとき、界面活性剤分子が正の電荷を担う場合、界面活性剤は、カチオン性として分類される。カチオン界面活性剤には、第4級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが含まれる。第4級アンモニウム塩は、この類の最も使用される員である。
界面活性剤分子が正または負のどちらの電荷をも担う能力を有する場合、界面活性剤は、両性として分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン、およびリン脂質が含まれる。
薬剤製品、製剤、および乳化剤における界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,in “Pharmaceutical Dosage Forms,” Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1988,p.285)。
ミセルおよび他の膜状の製剤 ミセルおよび他の製剤の説明を簡略化するために、本項内の製剤、組成物、および方法は主に非修飾iRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらのミセルおよび他の製剤、組成物、および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、修飾iRNA化合物と共に実施され得、かかる実施は本発明の範囲内であることが理解され得る。SiRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)組成物は、ミセル製剤として提供され得る。「ミセル」は本明細書で、特定のタイプの分子集合体として定められ、かかる分子集合体において両親媒性分子は、分子の全ての疎水性部分が内側に向けられ、親水性部分を周囲の水相と接触させるように、球体構造で配列される。環境が疎水性である場合、逆配列が存在する。
経皮膜を通じる送達に好適な混合ミセル製剤は、siRNA組成物の水性溶液、アルカリ金属C〜C22アルキル硫酸塩、およびミセル形成化合物を混合することによって調製され得る。例示的なミセル形成化合物には、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の医薬として許容可能な塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ボラージオイル、月見草油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシンおよびそれらの医薬として許容可能な塩、グリセリン、ポリグリセリン、リシン、ポリリシン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテルおよびそれらの類似体、ポリドカノールアルキルエーテルおよびそれらの類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、ならびにそれらの混合物が含まれる。ミセル形成化合物は、アルカリ金属アルキル硫酸塩の追加と同時に、またはその後に追加され得る。混合ミセルは、より小さいサイズのミセルを提供するための、激しい混合を除く、実質的にあらゆる種類の成分の混合により生じる。
1つの方法において、siRNA組成物、および少なくともアルカリ金属アルキル硫酸塩を含む第1ミセル組成物が調製される。第1ミセル組成物は次いで、混合ミセル組成物を形成するために、少なくとも3つのミセル形成化合物と混合される。別の方法においては、ミセル組成物は、siRNA組成物、アルカリ金属アルキル硫酸塩、およびの少なくとも1つのミセル形成化合物を混合することによって調製され、その後激しい混合と共に、残留ミセル形成化合物が追加される。
フェノールおよび/またはm−クレゾールは、製剤を安定化し、細菌増殖から保護するために、混合ミセル組成物に追加されてもよい。代替として、フェノールおよび/またはm−クレゾールは、ミセル形成成分と共に追加されてもよい。グリセリン等の等張剤もまた、混合ミセル組成物の形成後に追加され得る。
ミセル製剤の噴霧としての送達のために、製剤はエアロゾルディスペンサーに入れることができ、当該ディスペンサーは噴射剤で充満させられる。噴射剤は圧力下にあり、ディスペンサーの中で液状である。成分の比率は、水性および噴射剤相が1つになる、すなわち、1つの相が存在するように、調節される。2つの相が存在する場合、内容物の一部を分注する前に、例えば計量弁を通じて、ディスペンサーを振る必要がある。医薬品の分注用量は、計量弁から微細な噴霧の状態で発射させられる。
噴射剤は、水素含有クロロフルオロ炭素、水素含有フルオロ炭素、ジメチルエーテル、およびジエチルエーテルを含み得る。特定の実施形態において、HFA134a(1,1,1,2 テトラフルオロエタン)が使用されてもよい。
必須成分の特定の濃度は、比較的容易な実験によって決定され得る。口腔を通じる吸収については、注射を通じるまたは胃腸管を通じる投与のための用量の、例えば少なくとも2倍、または3倍に、用量を増加させることが望ましい。
粒子。説明を簡略化するために、本項内の粒子、製剤、組成物、および方法は、主に修飾iRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらの粒子、製剤、組成物、および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、非修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かつかかる実施は本発明の範囲内にあることは理解され得る。別の実施形態では、siRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)調製物は、例えば、微粒子等の粒子に組み入れられてもよい。微粒子は、噴霧乾燥によって産生することができるが、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはこれらの技術の組み合わせを含む、他の方法によって産生されてもよい。さらなる説明については以下を参照のこと。
持続放出製剤 本明細書に記載されるsiRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)は、例えば、徐放等の制御放出のために製剤化され得る。制御放出は、siRNAを、その放出を妨げる構造または物質内に配置することによって達成され得る。例えば、siRNAは、多孔質母材内または侵食性母材内に配置され得、それらのいずれもsiRNAの、ある期間にわたる放出を可能にする。
ポリマー粒子、例えば、微粒子内のポリマーは、細胞によって取り込まれる、siRNAの持続放出貯留層として使用され得、siRNAは、生分解を通じてのみ微粒子から放出される。この実施形態におけるポリマー粒子はしたがって、食作用を排除するのに十分な大きさであるべきである(例えば、10μmより大きい、または20μmより大きい)。そのような粒子は、より小さい粒子を形成する方法と同じ方法によって産生することができるが、第1および第2乳化剤の混合は激しさが少ない。すなわち、より低い均質化速度、渦混合速度、または超音波処理設定を、10μmではなく100μm前後の直径を有する粒子を得るために使用することができる。混合時間もまた、変化させることができる。
より大きい微粒子は、筋肉内、皮下、皮内、静脈内、もしくは腹腔内注射によって;吸入を介して(鼻腔内または肺内);経口で;または移植によって送達されるために、懸濁液、粉末、または移植可能な固体として製剤化され得る。これらの粒子は、比較的長期間にわたる徐放が所望されるときの、siRNAの送達に有用である。分解率、および結果としての放出率は、ポリマー製剤によって異なる。
微粒子は、流体懸濁液媒介が、微粒子境界を自由に浸透するか、かん流させられることを可能にする孔、空隙、空洞、欠陥、または他の間質腔を含んでもよい。例えば、有孔微小構造は、中空、多孔質の、噴霧乾燥されたミクロスフェアを形成するために使用することができる。
siRNA(例えば、siRNA)を含有するポリマー粒子は、例えば、二重の乳化剤技術を使用しながら形成され得る。第1に、ポリマーは有機溶媒の中に溶解させられる。ポリマーは、ポリ乳酸co−グリコール酸(PLGA)であってもよく、65:35、50:50、または75:25の乳/グリコール酸重量比率を有する。次に、水性溶液中に懸濁した核酸のサンプルが、ポリマー溶液に追加され、2つの溶液は、第1乳化剤を形成するために混合させられる。溶液は、ボルテックスまたは振動によって混合させることができ、混合物内で超音波分解することができる。核酸が、切断、せん断、または分解の形の損傷を最小限に受ける一方で、依然として適切な乳化剤の形成を可能にする、あらゆる方法が可能である。例えば、凝結#3において、1/8”微小先端プローブを有するVibra−cell model VC−250超音波処理器を用いて、許容できる結果が獲得され得る。
噴霧乾燥。SiRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)は、噴霧乾燥によって調製され得る。噴霧乾燥されたsiRNAは、対象に投与されるか、さらなる製剤を受けることができる。siRNAの医薬組成物は、分散性粉末組成物、例えば、医薬組成物を提供するのに十分な条件化で、siRNAを含む均一水性混合物を噴霧乾燥することによって調製され得る。噴霧乾燥のための物質にはまた、医薬として許容可能な賦形剤、または分散性を向上させる量の、生理的に許容できる水溶性タンパク質の1つ以上が含まれる。噴霧乾燥された産物は、siRNAを含む分散性粉末であり得る。
噴霧乾燥は、液体またはスラリー物質を乾燥した微粒子型に変換するプロセスである。噴霧乾燥は、吸入を含む種々の投与経路に粉末物質を提供するために使用され得る。例えば、M.Sacchetti and M.M.Van Oort in:Inhalation Aerosols:Physical and Biological Basis for Therapy,A.J.Hickey,ed.Marcel Dekkar,New York,1996.を参照のこと。
噴霧乾燥は、液滴の微細なミストおよび乾燥液滴を形成するための噴霧溶液、乳化剤、または懸濁液を含み得る。ミストは、それが乾燥ガスと接触するような乾燥室(例えば、器、タンク、管、またはコイル)の中へ投じられ得る。ミストは、固体または液体の孔形成剤を含み得る。溶媒および孔形成剤は、液滴から乾燥ガスへと蒸発して液滴を凝固させ、同時に固体全体にわたって孔を形成する。固体(典型的には粉末状、微粒子型)は次いで、乾燥ガスから分離され、回収される。
噴霧乾燥は、蒸発および液体液滴の乾燥を生じさせるために、十分に分散された液体および十分な空気容量(例えば、熱気)を1つにすることを含む。噴霧乾燥するための調製物は、選択される噴霧乾燥器具を使用して噴霧され得るいかなる溶液、コース懸濁液、スラリー、コロイド分散、またはペーストでもあり得る。典型的に、供給物は、溶媒を蒸発させ乾燥した産物をコレクターへ運搬する、フィルターを通した温風の気流の中へ噴霧される。使用済みの空気は次いで、溶媒と共に排出される。所望の産物を提供するために、幾つかの異なるタイプの器具を使用することができる。例えば、Buchi Ltd.またはNiro Corp.よって製造される商用の噴霧乾燥機は、効果的に所望のサイズの粒子を産生することができる。
噴霧乾燥された粉末粒子は、およそ球体の形状、ほぼ均一のサイズ、およびしばしば中空であり得る。組み入れられた薬剤および噴霧乾燥条件に応じて、形状に、ある程度の不規則性が見られうる。多くの例において、噴霧乾燥されたミクロスフェアの分散安定性は、膨張剤(または発泡剤)をそれらの産生において使用すると、より有効であるようである。ある実施形態は、分散または連続相(他の相は本質的に水性である)として、膨張剤を有するエマルションを含んでもよい。膨張剤は、約5000〜15,000psiの圧力で、例えば、市販の微小流動化剤を使用して、界面活性剤溶液と共に分散されてもよい。このプロセスは、エマルションを形成し、エマルションは典型的に、水性連続相において分散される水不混和発泡剤のサブミクロンの液滴を備える、組み入れられた界面活性剤によって安定化され得る。当該および他の技術を使用する、そのような分散の形成は、一般的であり、当業者に周知である。発泡剤は、噴霧乾燥プロセスの間に蒸発し、概して中空の、空気力学的に軽い多孔質ミクロスフェアを後に残す、フッ素化され化合物(例えば、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロ臭化オクチル、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタン)であってもよい。以下でより詳しく述べられるように、他の好適な発泡剤には、クロロホルム、フレオン、および炭化水素が含まれる。窒素ガスおよび二酸化炭素もまた、好適な発泡剤として企図される。
有孔微小構造は、上述のように発泡剤を使用して形成されてもよいが、幾つかの例においては、発泡剤は必要とされず、薬剤および界面活性剤の水性分散物は、直接噴霧乾燥されることが理解されるであろう。そのような場合、製剤は概して中空の、比較的多孔質の微粒子の形成につながるプロセスの条件(例えば、高温)に適する。さらに、薬剤は、それをそのような技術における用途に特に好適であるようにさせる、特別な物理化学特性(例えば、高い結晶性、高い融点、表面活性等)を有し得る。
有孔微小構造は任意に、1つ以上の界面活性剤を伴うか、または1つ以上の界面活性剤を備えてもよい。さらに、混和界面活性剤は任意に、懸濁液媒介液体相と組み合わされてもよい。界面活性剤の使用がさらに、分散安定性を増加、製剤手順を簡素化、または投与直後の生物学的利用性を増加させ得ることを、当業者は理解するであろう。当然のことながら、液体相における1つ以上の界面活性剤の組み合わせの使用、および有孔微小構造に関連する1つ以上の界面活性剤の組み合わせを含む、界面活性剤の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれるものとして企図される。「伴うまたは含む」とは、構造的母材または有孔微小構造が、組み入れ、吸着し、吸収し、界面活性剤によってコーティングされるか形成され得ることを意味する。
使用に好適な界面活性剤には、構造的母材と懸濁液媒介物との界面に層を形成することによって、安定的呼吸分散の形成および維持を補助する、あらゆる化合物または組成物が含まれる。界面活性剤は、単一の化合物、または補助界面活性剤の場合のように、化合物のいかなる組み合わせも含み得る。特にある種の界面活性剤は、噴射剤中で実質的に不溶性であり、非フッ素化され、また飽和および不飽和脂質、非イオン性洗剤、非イオン性ブロックコポリマー、イオン界面活性剤、およびそのような薬剤の組み合わせからなる群から選択される。前述の界面活性剤に加えて、好適な(すなわち、生体適合性の)フッ素化界面活性剤は、本明細書の教示と適合し、また所望の安定化調製を提供するために使用され得ることを強調することができる。
リン脂質を含む、天然および合成由来両方の脂質は、構造的母材を形成するために、異なる濃度で使用されてもよい。概して、相溶性脂質は、約40℃を超える、ゲルから液体結晶相への転移温度を有するものを備える。特定の実施形態において、組み入れられる脂質は、比較的長鎖の(すなわち、C〜C22)飽和脂質であり、リン脂質を備え得る。開示される、安定化調製に有用な例示的リン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジル−コリン、ジステロイルホスファチジルコリン、短鎖ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドン等の脂質含有ポリマー鎖、脂質含有硫酸化単糖、二糖、および多糖類、パルミチン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸等の脂肪酸、コレステロール、コレステロールエステル、およびコレステロールヘミコハク酸が含まれる。それらの優れた生体適合性特性に起因して、リン脂質、ならびにリン脂質およびポロキサマの組み合わせが、本明細書に開示される安定的分散における用途に特に好適である。
相溶性非イオン性洗剤は、ソルビタントリオレエート(Spans(登録商標)85)、セスキオレイン酸ソルビタン、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸モノエステルを含むソルビタンエステル、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、ならびにショ糖エステルを備える。他の好適な非イオン性洗剤は、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents (McPublishing Co.,Glen Rock,N.J.)を使用して容易に特定され得る。ある種のブロックコポリマーには、ポロキサマ188(Pluronic F68)、ポロキサマ407(Pluronic F−127)、およびポロキサマ338を含む、ポリオキシエチレンならびにポリオキシプロピレンのジブロックおよびトリブロックコポリマーが含まれる。スルホコハク酸ナトリウム、および脂肪酸せっけん等のイオン界面活性剤もまた活用され得る。特定の実施形態において、微小構造は、オレイン酸またはそのアルカリ塩を備えてもよい。
前述の界面活性剤に加えて、特に例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物等の、siRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)の送達の場合に、カチオン界面活性剤または脂質を使用することができる。好適なカチオン性脂質の例としては、DOTMA、N−[−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム、DOTAP,1,2−ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン、およびDOTB、1,2−ジオレイル−3−(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロールが挙げられる。ポリリシン等のポリカチオンアミノ酸、およびポリアルギニンもまた企図される。
噴霧プロセスについて、回転噴霧化、圧力噴霧化、および二流噴霧化といった噴霧方法が使用され得る。これらのプロセスに使用されるデバイスの例としては、株式会社大和ケミカルによって製造される、「Parubisu[発音表記]Mini−Spray GA−32」および「Parubisu Spray Drier DL−41」、または大川原化工機株式会社によって製造される、「Spray Drier CL−8」、「Spray Drier L−8」、「Spray Drier FL−12」、「Spray Drier FL−16」、もしくは「Spray Drier FL−20」が、回転円盤噴霧器を使用する噴霧方法に使用され得る。
噴霧される物質を乾燥させるために使用されるガスに対して、特定の制限が設けられないが、空気、窒素ガスまたは不活性ガスを使用することが推奨される。噴霧される物質を乾燥させるために使用されるガスの流入の温度は、それが噴霧される物質の熱非活性化を引き起こさないような温度である。温度の範囲は、例えば、約50℃と100℃の間等、約50℃〜約200℃の間で異なり得る。噴霧される物質を乾燥させるために使用される出口ガスの温度は、例えば、0℃と90℃の間、および例えば0℃と60℃の間等、約0℃と約150℃の間で異なり得る。
噴霧乾燥は、呼吸できる粒子サイズ、低水分内容、および容易なエアロゾル化を可能にする流動特性を有する、均一構造の、実質的な非結晶性粉末をもたらす条件下で行われる。場合によっては、結果として生じる粉末の粒子サイズは、質量の約98%を超える部分が約10μm以下の直径を有する粒子状であり、質量の約90%が5μmを下回る直径を有するような粒子サイズである。代替として、質量の約95%が10μmを下回る直径を有し、粒子の質量の約80%が5μmを下回る直径を有する粒子を有する。
SiRNA調製を含む、分散性の医薬に基づく乾燥粉末は任意に、呼吸および経肺投与に好適な、医薬担体または賦形剤と組み合わされてもよい。そのような担体は、患者に送達されている粉末中のsiRNA濃度を下げることが所望されるとき、単に膨張性剤としての機能を果たしてもよいが、またsiRNAのより効率的および再現性のある送達を提供するため、ならびに製造および粉末充填を促進するための、流動機能および一貫性等の、siRNAの取扱適性を改善するために、siRNA組成物の安定性を亢進する機能、ならびに粉末分散デバイス内の粉末の分散性を改善する機能を果たしてもよい。
そのような担体物質は、噴霧乾燥前に、すなわち、精製されたバルク溶液に担体物質を追加することによって、薬剤と組み合わされてもよい。そのようにして、担体粒子は、均一粉末を産生するために薬剤粒子と同時に形成される。代替として、担体は、単独で乾燥粉末状に調製され、混合によって乾燥粉末剤と組み合わされてもよい。粉末担体は通常、結晶性(水吸収を避けるために)であるが、場合によっては、非結晶性、または結晶性および非結晶性の混合物であり得る。担体粒子のサイズは、薬剤粉末の流動機能を改善するために選択されてもよく、典型的に25μm〜100μmの範囲に及ぶ。担体物質は、上述の範囲内のサイズを有する結晶性ラクトースであってもよい。
以上の方法のいずれかによって調製される粉末は、後に続く使用のために、従来の方法で噴霧乾燥機から回収される。医薬および他の目的としての用途のために、スクリーリングまたは他の従来の技術によって、形成され得たあらゆる凝集体を分離することがしばしば望ましい。医薬用途のために、乾燥粉末製剤は通常、1回の用量に測定され、1回の用量はパッケージに密封される。そのようなパッケージは、以下で詳しく説明されるように、乾燥粉末吸入器における分散に特に有用である。代替として、粉末は、複数用量容器にパッケージ化され得る。
疎水性および他の薬剤、ならびに構成要素の噴霧乾燥の方法については、米国特許第5,000,888号、同第5,026,550号、同第4,670,419号、同第4,540,602号、および同第4,486,435号の各明細書(これらの全てが参照により組み込まれる)に説明される。Bloch and Speison(1983)Pharm.Acta Helv 58:14−22は、ヒドロクロロチアジドおよびクロルタリドン(親油性剤)、ならびにジオキサン−水および2−エトキシエタノール−水の共沸溶媒の中の親水性アジュバント(ペンタエリスリトール)の噴霧乾燥を教示する。日本特許第806766号、日本特許第7242568号、日本特許第7101884号、日本特許第7101883号、日本特許第71018982号、日本特許第7101881号、および日本特許第4036233号の各公報を含む、日本特許出願抄録のいくつかは、親水性−疎水性産物の混合物の噴霧乾燥に関連している。親水性−疎水性産物の混合物の噴霧乾燥に関連する、他の外国特許公開は、仏国特許第2594693号、独国特許第2209477号の各明細書、および国際公開第88/07870号パンフレットを含む。
一態様において、本発明は、(a)吸入によって対象の疾患を治療するのに好適な、siRNA化合物の治療有効量、(b)炭水化物およびアミノ酸からなる群から選択される、医薬として許容可能な賦形剤、および(c)任意に、生理的に許容できる、水溶性ポリペプチドの分散性向上量を含む、対象によって吸入されるのに好適な組成物である、噴霧乾燥されたsiRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物、(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を特徴とする。
一実施形態では、賦形剤は炭水化物である。炭水化物は、単糖類、二糖類、三糖類、および多糖類からなり得る。幾つかの実施形態では、炭水化物は、ブドウ糖、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルビトール、およびソルボースからなる群から選択される単糖類である。別の実施形態では、炭水化物は、ラクトース、マルトース、ショ糖、およびトレハロースからなる群から選択される二糖類である。
別の実施形態では、賦形剤はアミノ酸である。一実施形態では、アミノ酸は疎水性アミノ酸である。幾つかの実施形態では、疎水性アミノ酸は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンからなる群から選択される。さらに別の実施形態では、アミノ酸は極性アミノ酸である。幾つかの実施形態では、アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リシン、システイン、グリシン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から選択される。
一実施形態では、分散性向上ポリペプチドは、ヒトの血清アルブミン、ラクトアルブミン、トリプシノーゲン、およびポリアラニンからなる群から選択される。
一実施形態では、噴霧乾燥されたsiRNA化合物組成物は、10ミクロンを下回る質量中央径(MMD)を有する粒子を含む。別の実施形態では、噴霧乾燥されたsiRNA化合物組成物は、5ミクロンを下回る質量中央径を有する粒子を含む。さらに別の実施形態では、噴霧乾燥されたsiRNA化合物組成物は、5ミクロンを下回る空気動力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含む。
凍結乾燥 SiRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)の調製は、凍結乾燥によって行われ得る。凍結乾燥は、凍結後に、水が組成物から昇華される凍結乾燥プロセスである。凍結乾燥プロセスに伴う特定の利点は、水性溶液の中で比較的不安定な生物製剤および医薬が、温度の上昇なしに乾燥させられ得(それによって有害な熱効果を除外する)、次いで安定性問題がほとんどないような乾燥状態で貯蔵される。本発明に関して、かかる技術は特に、生理的活性を損なわないような、核酸の有孔微小構造への組み入れと適合する。凍結乾燥された微粒子を提供する方法は、当業者に知られており、本明細書の教示に従った分散相溶性微小構造を提供するために、過度の実験は明らかに必要ないであろう。したがって、凍結乾燥プロセスが、所望の多孔率およびサイズを有する微小構造を提供するために使用され得る限りにおいて、それらは本明細書の教示に適合し、また本発明の範囲内にあるものとして明確に企図される。
医薬組成物
一態様において、本発明は、siRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物を含む、医薬組成物を特徴とし(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)、標的RNAに相補的な、例えば、実質的におよび/または厳密に相補的なヌクレオチド配列を含む。標的RNAは、内在性のヒト遺伝子の転写物であり得る。一実施形態では、siRNA化合物は、(a)19〜25ヌクレオチド長、例えば、21〜23ヌクレオチド、であり(b)内在性標的RNAに相補的であり、および、任意に(c)少なくとも1つの1〜5ヌクレオチド長の3’オーバーハングを含む。一実施形態では、医薬組成物は、エマルション、マイクロエマルション、クリーム、ゼリー、またはリポソームであり得る。
一例では、医薬組成物は、siRNA化合物を局所送達剤と混合されて含む。局所送達剤は、複数の微小小胞であり得る。微小小胞は、リポソームであり得る。幾つかの実施形態では、リポソームは、カチオン性リポソームである。
別の態様では、医薬組成物は、siRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を局所浸透促進剤と混合されて含む。一実施形態では、局所浸透促進剤は脂肪酸である。脂肪酸は、アラキドン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはC1−10アルキルエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、またはそれらの医薬として許容可能な塩であり得る。
別の実施形態では、局所浸透促進剤は、胆汁酸塩である。胆汁酸塩は、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロ‐24,25‐ジヒドロ‐フシド酸ナトリウム、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、またはそれらの医薬として許容可能な塩であり得る。
別の実施形態では、浸透促進剤はキレート剤である。該キレート剤は、EDTA、クエン酸、サリチル酸、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9、β−ジケトンのN−アミノアシル誘導体、またはその混合物であり得る。
別の実施形態では、浸透促進剤は、界面活性剤、例えばイオン性または非イオン性界面活性剤である。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテル、ペルフルオロ化合物の乳化剤またはその混合物であり得る。
別の実施形態では、浸透促進剤は、不飽和環状尿素、1−アルキル−アルコン、1−アルケニルアザシクロ−アラカノン、ステロイド性の抗炎症剤、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。さらに別の実施形態では、浸透促進剤は、グリコール、ピロール、アゾン、またはテルペンであり得る。
一態様では、本発明は、iRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む、経口送達に好適な形態の医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、経口送達は、胃腸管の細胞または領域、例えば小腸、大腸(例えば、大腸癌を治療するために)等に対してiRNA剤組成物を送達するのに使用され得る。経口送達の形態は、錠剤、カプセルまたはゲルカプセルであり得る。一実施形態では、医薬組成物のsiRNA化合物は、細胞接着タンパク質の発現を調節し、細胞の増殖速度を調節し、または真核生物の病原体またはレトロウイルスに対抗する生物活性を有する。別の実施形態では、医薬組成物は、哺乳類の胃内で、錠剤、カプセルまたはゲルカプセルが溶解するのを実質的に抑制する腸溶性材料を包含する。幾つかの実施形態では、腸溶性材料はコーティング剤である。コーティング剤は、酢酸フタル酸、プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、トリメリト酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または酢酸フタル酸セルロースであり得る。
別の実施形態では、経口薬剤形態の医薬組成物は、浸透促進剤を含む。浸透促進剤は、胆汁酸塩または脂肪酸であり得る。胆汁酸塩は、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、およびそれらの塩であり得る。脂肪酸は、カプリン酸、ラウリン酸またはそれらの塩であり得る。
別の実施形態では、経口薬剤形態の医薬組成物は、賦形剤を含む。一例では、賦形剤はポリエチレングリコールである。別の例では、賦形剤はプレシロールである。
別の実施形態では、経口薬剤形態の医薬組成物は、可塑剤を含む。可塑剤は、フタル酸ジエチル、トリアセチンセバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、またはクエン酸トリエチルであり得る。
一態様では、本発明は、siRNA化合物および送達手段を包含する医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、siRNA化合物 は、(a)19〜25ヌクレオチド長、例えば、21〜23ヌクレオチドであり、(b)内在性標的RNAに相補的であり、かつ任意に(c)少なくとも1つの1〜5ヌクレオチド長の3’オーバーハングを含む。
一実施形態では、送達手段は、siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を、局所の投与経路により細胞に送達し得る。送達手段は、微小小胞であり得る。一例では、微小小胞はリポソームである。幾つかの実施形態では、リポソームはカチオン性リポソームである。別の例では、微小小胞はミセルである。一態様では、本発明は、siRNA剤、例えば2本鎖siRNA剤またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む、注射可能な薬剤形態の医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、医薬組成物の注射可能な薬剤形態は、殺菌水溶液または分散液および殺菌粉末を含む。幾つかの実施形態では、殺菌溶液は、水、生理食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、またはプロピレングリコール等の希釈剤を含み得る。
一態様では、本発明は、siRNA剤、例えば2本鎖siRNA剤またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む、経口薬剤形態の医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、経口薬剤形態は、錠剤、カプセルおよびゲルカプセルからなる群から選択される。別の実施形態では、医薬組成物は、哺乳類の胃内で、錠剤、カプセルまたはゲルカプセルが溶解するのを実質的に抑制する腸溶性材料を包含する。幾つかの実施形態では、腸溶性材料はコーティング剤である。コーティングは、酢酸フタル酸、プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、酢酸セルローストリメリット酸、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または酢酸フタル酸セルロースであり得る。一実施形態では、経口薬剤形態の医薬組成物は、浸透促進剤、例えば、本明細書に記載される浸透促進剤を含む。
別の実施形態では、経口薬剤形態の医薬組成物は、賦形剤を含む。一例では、賦形剤はポリエチレングリコールである。別の例では、賦形剤はプレシロールである。
別の実施形態では、経口薬剤形態の医薬組成物は、可塑剤を含む。可塑剤は、フタル酸ジエチル、トリアセチンセバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、またはクエン酸トリエチルであり得る。
一態様では、本発明は、siRNA剤、例えば2本鎖siRNA剤またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む、直腸薬剤形態の医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、直腸薬剤形態は浣腸剤である。別の実施形態では、直腸薬剤形態は坐剤である。
一態様では、本発明は、siRNA剤、例えば2本鎖siRNA剤またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む、膣内薬剤形態の医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、膣内薬剤形態は坐剤である。別の実施形態では、膣内薬剤形態は、泡沫剤、クリームまたはゲルである。
一態様では、本発明は、siRNA剤、例えば2本鎖siRNA剤またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む、経鼻薬剤形態の医薬組成物を特徴とする。一実施形態では、siRNA化合物は、粒子、例えばミクロスフェア等のマクロ粒子内に組み入れられ得る。粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、またはこれらの技法の組合せにより産生され得る。ミクロスフェアは、懸濁液、粉末、または移植可能な固形として製剤化され得る。
病気および疾病の治療方法
対象は、規定された量のsiRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えば、ssiRNA化合物にプロセスされ得るより大きいsiRNA化合物)の投与によって治療することができ、それは例えば、結晶性粒子等の微粒子の集合等の、粉末形態である組成物である。組成物は、例えば、1つ以上の異なる内在性標的RNAに対して特異的な、複数のsiRNA化合物を含み得る。この方法は、本明細書に記載される他の特徴を含み得る。
対象は、噴霧乾燥を含む方法、すなわち、液体溶液、エマルション、または懸濁液を噴霧し、液滴を直ちに乾燥ガスに曝露し、結果として生じる多孔質の粉末粒子を回収することによって調製される、規定された量のsiRNA化合物によって治療することができる。組成物は、例えば、1つ以上の異なる内在性標的RNAに対して特異的な、複数のsiRNA化合物を含み得る。この方法は、本明細書に記載される他の特徴を含み得る。
一態様では、本発明は、本発明のsiRNAの投与から恩恵を受け得る疾病の危険性があるか、そのような疾病に罹患した対象を治療する方法を提供する。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されている病気または疾病に依存する。
遺伝子。対象の遺伝子発現は、siRNA化合物を含む医薬組成物を投与することによって調節され得る。
転写複合体低酸素誘導因子(HIF)は、酸素ホメオスタシスの主要調節因子である。低酸素は、酸素輸送および鉄代謝、赤血球生成、血管新生、解糖、およびグルコース吸収、転写、代謝、pH調節、成長因子シグナル伝達、ストレスに対する反応、および細胞接着を含む多くの細胞および生理的プロセスに関与している遺伝子の発現を誘導する。これらの遺伝子産物は、酸素の低酸素組織への送達を増加すること、または酸素を必要としない代替的代謝経路(解糖)を活性化することのいずれかに関与する。低酸素誘導経路はまた、通常の細胞プロセスに必要とされることに加えて、血管新生、不死化、遺伝子不安定性、組織侵襲、および転移を可能にするか、または補助することによって、腫瘍の成長を補助し得る(Harris,Nat.Rev.Cancer,2002,2,38−47;Maxwell et al.,Curr.Opin.Genet.Dev.,2001,11,293−299)。転写因子である低酸素誘導因子1(HIF−1)は、低酸素に対する恒常性反応において、DNA配列 5’−TACGTGCT−3’に結合することによって、および低酸素条件下で、インビボで多数の遺伝子の転写を活性化することによって、必須の役割を果たす(Wang and Semenza,J.Biol.Chem.,1995,270,1230−1237)。低酸素誘導因子−1 αは、91〜94kDaのβサブユニットと複合する120kDaのαサブユニットからなる、ヘテロ二量体であり、これらの両方はベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックスを含有する。低酸素誘導因子−1α(HIF−1α、HIF1α、HIF1A、HIF−1A、HIF1−A、およびMOP1とも呼ばれる)をコードする遺伝子は、1995年にクローン化された(Wang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1995,92,5510−5514)。HIF1αをコードする核酸配列は、米国特許第5,882,914号明細書に開示および請求されており、組み換えDNAを発現する発現ベクトル、および該ベクトルを含有する宿主細胞も同様である(Semenza,1999)。米国特許第7,217,572号明細書(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、配列番号189で、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列:GTGCAGTATT GTAGCCAGGC(配列番号)を開示し、配列番号446で、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列:CCTCATGGTC ACATGGATGA(配列番号)を開示する。
STAT3の異常発現または構成的発現は、幾つかの疾病プロセスに伴う。STAT3は、細胞形質転換に関与することが示されている。STAT3の構成的活性および/または過剰発現は、骨髄腫、乳癌、前立腺癌、脳腫瘍、頭部および頸部癌、黒色腫、特に慢性骨髄性白血病および複数の骨髄腫等の白血病およびリンパ腫を含む、幾つかの形態の癌に関与するようである。Niu et al.,Cancer Res.,1999,59,5059−5063.EGFRを過剰発現する乳癌細胞株は、リン酸化STAT3を構成的に発現する(Sartor,C.I.,et al.,Cancer Res.,1997,57,978−987;Garcia,R.,et al.,Cell Growth and Differentiation,1997,8,1267−1276)。活性化されたSTAT3レベルはまた、低悪性度の神経膠芽腫および髄芽腫の中においても上昇が観測された(Cattaneo,E.,et al.,Anticancer Res.,1998,18,2381−2387)。米国特許第7,307,069号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、配列番号184で、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列:TTGGCTTCTC AAGATACCTG(配列番号)を開示し、配列番号342で、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列:GACTCTTGCA GGAAGCGGCT(配列番号)を開示する。
ハンチントン病は、運動疾患、認知欠損、および精神症状によって特徴付けられる進行性の神経変性疾患である(Martin and Gusella,N.Engl.J.Med.315:1267−1276(1986)。ハンチントン病についての実際の機構は、依然として定義が難しいが、ハンチントン病は、IT15またはハンチントン(HD)と呼ばれる遺伝子内のグルタミンリピートの膨張を要因とする、常染色体優性神経変性疾患であることが示されている。この遺伝子は、広範に発現し、通常の発達に必要とされるが、ハンチントン病の病理は、依然として十分に理解されていない理由で、脳に限定される。ハンチントン遺伝子産物は、患者のおよび対象群において同様のレベルで発現し、該疾患の遺伝子は、ポリグルタミンリピートの拡張が、恐らく他の細胞のタンパク質との相互作用を通じて、毒性の機能獲得を誘導することを示唆する。米国特許第7,320,965号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、ヒトのハンチントン遺伝子の発現を阻害するためのアンチセンス鎖を、配列番号793で、開示する:CUGCACGGUU CUUUGUGACT T(配列番号)。
タンパク質、脂質、およびmRNAの、細胞内の特定の位置への細胞内輸送、ならびに分裂細胞の中の染色体の正しい配列および分離は、細胞が機能するために必須である。キネシン(KIF)と呼ばれるタンパク質のスーパーファミリーは、ミオシンおよびダイニンと共にに、小胞および細胞小器官を、ATPによって供給されるエネルギーによって、微小管に沿って結合および輸送する分子エンジンとして機能する。KIFは、イーストからヒトに及ぶ多くの種の中で特定されている。モータードメインを備えるアミノ酸配列は、真核門の間で比較的よく保存されており、一方でモータードメインの外側の領域は、カーゴに結合する機能を果たし、アミノ酸配列においてKIFの間で異なる。キネシンの微小細管に沿った動きは、プラスまたはマイナス方向のいずれの方向にも生じ得るが、いかなる所与のキネシンも1つの方向にのみ移動することができ、それはモーターおよび微小細管の極性によって媒介される作用である。KIFは、モータードメインの位置に応じて、アミノ終端ドメイン、中間モータードメイン、およびカルボキシl終端ドメインの、3つの主要タイプに分類されており、それぞれはN−キネシン、M−キネシン、およびC−キネシンとして言及される。これらは、45の既知のヒトおよびマウスのキネシン遺伝子の系統発生解析に基づき、さらに14類に分類される(Miki et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2001,98,7004−7011)。そのようなキネシンの1つであるキネシン様1は、N−2(bimCとも呼ばれる)キネシンファミリーの一員であり、双極紡錘体の中の微小管に沿ってそれらの動きを誘導することによって、染色体を分離することに関与する。有糸分裂の間に、微小細管双極紡錘体は、重複染色体を娘細胞に均等に分配する機能を果たす。キネシン様1は、最初にキナーゼ p34cdc2によってリン酸化され、分裂前期における双極紡錘体の中心体分離および集合に必須である(Blangy et al.,Cell,1995,83,1159−1169)。齧歯類ニューロンにおいて、キネシン様1は、それらの終端有糸分裂のかなり後に発現し、発達している軸索および樹状突起内での微小細管の行動を調節することに関与する(Ferhat et al.,J.Neurosci.,1998,18,7822−7835)。ヒトのキネシン様1をコードする遺伝子(KNSL1、Eg5、HsEg5、HKSP、KIF11、甲状腺相互作用タンパク質5、およびTRIP5とも呼ばれる)は、1995年にクローン化された(Blangy et al.,Cell,1995,83,1159−1169)。キネシン様1の阻害は、有糸分裂においてキネシン様1が保有する中心的役割を理由として、癌における細胞増殖を停止するための標的として示唆されている。キネシン様1の発現は、他の病状にも寄与し得る。キネシン様1のB細胞白血病への寄与は、キネシン様1遺伝子の付近におけるレトロウイルス挿入突然変異に続く、キネシン様1の上方調節された発現の結果として、マウスにおいて立証されている(Hansen and Justice,Oncogene,1999,18,6531−6539)。有糸分裂紡錘体集合における、一連のタンパク質に対する自己抗体が、ヒト血清の中で検出されており、これらの自己抗体は、手根管症候群、レーノー現象、全身性硬化症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、多発性筋炎、および多発動脈炎を含む、自己免疫疾病に関連づけられている。これらの自己抗原の1つは、キネシン様1であり、全身性エリテマトーデスにおいて特定されている(Whitehead et al.,Arthritis Rheum.,1996,39,1635−1642)。米国特許第7,199,107号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、ヒトのキネシン−1遺伝子の発現を阻害するためのアンチセンス鎖を、配列番号122で、開示する:ACGTGGAATT ATACCAGCCA(配列番号)。
異常血管新生を疎外するための、幾つかの治療戦略が存在し、それらはVEGFの産生または効果を低減するよう試みる。例えば、抗VEGFまたは抗VEGF受容体抗体(Kim E S et al.(2002),PNAS USA 99:11399−11404)、およびVEGF結合について、内皮細胞受容体と競合する、可溶性のVEGF「トラップ」(Holash J et al.(2002),PNAS USA 99:11393−11398)が開発されている。VEGF遺伝子発現に対して向けられる、典型的なVEGF「アンチセンス」またはアプタマー治療もまた、提案されている(Uhlmannらの米国出願公開第2001/0021772号明細書、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、これらの治療に使用される抗血管新生剤は、VEGFまたはVEGF受容体における化学量論減少のみをもたらすことができ、薬剤は典型的に、疾病組織による異常に高いVEGF産生に圧倒される。したがって、有効な抗血管新生治療を用いて達成される結果は、満足できるものとはなっていない。米国特許第7,345,027号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、ヒトのVEGF遺伝子の発現を阻害するためのアンチセンス鎖を、配列番号78で、開示する:GUGCUGGCCUUGGUGAGGUTT(終端の2つのTsはオーバーハングである;配列番号)。
NF−κBまたは核因子κBは、多数の炎症性および抗アポトーシス遺伝子の発現を誘発することによって、炎症疾病において必須の役割を果たす転写因子である。これらには、IL−1、IL−2、IL−11、TNF−α、およびIL−6等のサイトカイン、IL−8、GRO1およびRANTESを含むケモカイン、ならびにCOX−2を含む他の炎症性分子が含まれる。Pahl H L,(1999)Oncogene 18,6853−6866;Jobin et al,(2000)Am.J.Physiol.Cell.Physiol.278:451−462.静止状態で、NF−κBは、IκB複合体として、細胞のサイトゾルの中に存在する。タンパク質のIκBファミリーは、その核局在化シグナルの機能に干渉し、NF−κBの阻害剤としての機能を果たす(see for example U.Siebenlist et al,(1994) Ann.Rev.Cell Bio.,10:405)。細胞活性化に続いて、IκB−NF−κB複合体の阻害が起こると、NF−κBは、核へ移行し、遺伝子転写を活性化する。IκB−NF−κB複合体の阻害およびそれに続くNF−κBの活性化は、IκB分解によって開始される。NF−κBの活性化因子は、周囲のリシンにユビキチン化のための標的をもたらし、それによってIκBプロテアソーム破壊をもたらす各IκBにおける、2つのアミノ終端セリンの部位特定のリン酸化を媒介する。NF−κBは次いで、核に自由に移行し、DNAに結合し、炎症反応標的遺伝子の宿主の活性化をもたらす。(Baldwin,A.,Jr.,(1996)Annu Rev Immunol 14:649−683,Ghosh,S.et al,(1998)Annu Rev Immunol 16,225−260.)NF−κBサブユニットは、細胞質と核の間を動的に往復するが、IκBαの中の優性作用核移行シグナルは、それらが細胞質へ送り返されるよう計らうことを最近の証拠は示している。NF−κBは主に転写活性化因子であるとみなされているが、ある種の状況下では、それはまた抑制遺伝子発現に直接関与し得る(Ghosh,S.et al(1998)Annu.Rev.Immunol.,16:225−260で概説される)。米国特許第7,235,654号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、配列番号3で、siRNAを開示する:GUCUGUGUAU CACGUGACGN N(ここでNは2’−デオキシ−チミジンである、配列番号)。
高コレステロール血症および心疾患に関与するリスク因子の制御は、学界および産業界において多くの研究の焦点となっている。.高レベルの循環血漿低比重リポタンパクコレステロールは、高コレステロール血症および心疾患の進行における、独立したリスク因子として特定されているため、多くの戦略は、この動脈硬化リポタンパク質内で運搬されるコレステロールのレベルを下げることに向けられている。アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)酵素は、コレステロールエステルの、遊離コレステロールおよび脂肪アシルCoAからの合成を触媒する。これらの酵素はまた、細胞遊離ステロールの濃度調整に関与する(Buhman et al.,Biochim.Biophys.Acta,2000,1529,142−154;Burnett et al.,Clin.Chim.Acta,1999,286,231−242;Chang et al.,Annu.Rev.Biochem.,1997,66,613−638;Rudel et al.,Curr.Opin.Lipidol.,2001,12,121−127;Rudel and Shelness,Nat.Med.,2000,6,1313−1314)。Changらは、1993年にヒトACAT遺伝子の第1例をクローン化した(Chang et al.,J.Biol.Chem.,1993,268,20747−20755)。この原型のACAT酵素は現在、ACAT−1として既知である。それに続き、Meinerらの研究は、哺乳動物における2つ以上のACAT遺伝子の存在を示唆した(Meiner et al.,J.Lipid Res.,1997,38,1928−1933)。現在、アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ−2として知られている、第2のヒトACATアイソフォームのクローン化および発現は、近年達成された(Oelkers et al.,J.Biol.Chem.,1998,273,26765−26771)。マウスアシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ−2もまた、特定され、かつクローン化されている(Cases et al.,J.Biol.Chem.,1998,273,26755−26764)。米国特許第7,335,764号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ−2をコードする核酸分子を標的とするsiRNAを、配列番号25(GCACGAAGGA TCCCAGGCAC(配列番号))、26(GGATCCCCTC ACCTCGTCTG(配列番号10))、および27(GTTCTTGGCC ACATAATTCC(配列番号11))で開示する。
Lp(a)は、2つのジスルフィド結合された個別のタンパク質、すなわちアポリポタンパク質(a)(またはApoA)、およびアポリポタンパク質B(またはApoB)を含有する(Rainwater and Kammerer,J.Exp.Zool.,1998,282,54−61)。アポリポタンパク質(a)は、Lp(a)の生理的濃度を排他的に制御することが示されている、LPA遺伝子によってコードされる、独特のアポリポタンパク質である(Rainwater and Kammerer,J.Exp.Zool.,1998,282,54−61)。そのサイズは、LPA遺伝子におけるKringle 4をコードする5.5 kb配列の縦列反復配列数が対立遺伝子間で異なることに起因して、変動する(Rainwater and Kammerer,J.Exp.Zool.,1998,282,54−61)。アポリポタンパク質(a)の発現増加によって引き起こされる、Lp(a)のプラズマレベル上昇は、アテローム性動脈硬化症のリスク上昇、および高コレステロール血症(Seed et al.,N.Engl.J.Med.,1990,322,1494−1499)、心筋梗塞(Sandkamp et al.,Clin.Chem.,1990,36,20−23)、および血栓症(Nowak−Gottl et al.,Pediatrics,1997,99,E11)を含む、その症状に関連する。さらに、Lp(a)のプラズマ濃度は、遺伝的因子に強く影響され、またほとんどの薬剤および食事療法に不応性である(Katan and Beynen,Am.J.Epidemiol.,1987,125,387−399;Vessby et al.,Atherosclerosis,1982,44,61−71.)。Lp(a)レベル上昇に対する薬物療法は、限定的にしか成功しておらず、アフェレーシス療法が依然として最も有効な治療法である(Hajjar and Nachman,Annu.Rev.Med.,1996,47,423−442)。米国特許第7,259,150号明細書(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、アポリポタンパク質(a)の発現を阻害するためのsiRNAを、配列番号23で、開示する(ACCTGACACC GGGATCCCTC(配列番号12))。
特定の実施形態において、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、例えば、タンパク質チロシン、セリンまたはトレオニンキナーゼ遺伝子、適合タンパク質遺伝子、Gタンパク質スーパーファミリー分子をコードする遺伝子、または転写因子をコードする遺伝子等のキナーゼである、成長因子または成長因子受容体遺伝子をサイレンシングする。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、PDGFβ遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPDGFβ発現を特徴とする疾患、例えば、精巣癌および肺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、Erb−B遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないErb−B発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、Src遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないSrc発現を特徴とする疾患、例えば、大腸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、CRK遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないCRK発現を特徴とする疾患、例えば、大腸癌および肺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、GRB2遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないGRB2発現を特徴とする疾患、例えば、偏平上皮細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、RAS遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないRAS発現を特徴とする疾患、例えば、膵臓癌、大腸癌および肺癌、ならびに慢性白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、MEKK遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないMEKK発現を特徴とする疾患、例えば、偏平上皮細胞癌、黒色腫、もしくは白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、JNK遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないJNK発現を特徴とする疾患、例えば、膵臓癌もしくは乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、RAF遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないRAF発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌もしくは白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、Erk1/2遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないErk1/2発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、PCNA(p21)遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPCNA発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、MYB遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないMYB発現を特徴とする疾患、例えば、大腸癌もしくは慢性骨髄性白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、c−MYC遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないc−MYC発現を特徴とする疾患、例えば、バーキットリンパ腫もしくは神経芽細胞腫を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、JUN遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないJUN発現を特徴とする疾患、例えば、卵巣癌、前立腺癌、もしくは乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、FOS遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないFOS発現を特徴とする疾患、例えば、皮膚癌もしくは前立腺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、BCL−2遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないBCL−2発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌、前立腺癌、もしくは非ホジキンリンパ腫を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、サイクリンD遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサイクリンD発現を特徴とする疾患、例えば、食道癌および大腸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、VEGF遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないVEGF発現を特徴とする疾患、例えば、食道癌および大腸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、EGFR遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないEGFR発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、サイクリンA遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサイクリンA発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌および子宮頸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、サイクリンE遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサイクリンE発現を特徴とする疾患、例えば、肺癌および乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、WNT−1遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないWNT−1発現を特徴とする疾患、例えば、基底細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、βカテニン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないβカテニン発現を特徴とする疾患、例えば、腺癌または肝細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、c−MET遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないc−MET発現を特徴とする疾患、例えば、肝細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、PKC遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPKC発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、NFKB遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないNFKB発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、STAT3遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないSTAT3発現を特徴とする疾患、例えば、前立腺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、サバイビン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないサバイビン発現を特徴とする疾患、例えば、子宮頸癌または膵臓癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、Her2/Neu遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないHer2/Neu発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、トポイソメラーゼI遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないトポイソメラーゼI発現を特徴とする疾患、例えば、卵巣癌および大腸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、トポイソメラーゼIIα遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないトポイソメラーゼII発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌および大腸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、p73遺伝子の突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp73発現を特徴とする疾患、例えば、大腸直腸腺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、p21(WAF1/CIP1)遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp21(WAF1/CIP1)発現を特徴とする疾患、例えば、肝臓癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、p27(KIP1)遺伝子における突然変異を
サイレンシングし、したがって、望ましくないp27(KIP1)発現を特徴とする疾患、例えば、肝臓癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、PPMID遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないPPMID発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、RAS遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないRAS発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、カベオリンI遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないカベオリンI発現を特徴とする疾患、例えば、食道偏平上皮細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、MIB I遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないMIB I発現を特徴とする疾患、例えば、男性の乳癌(MBC)を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、MTAI遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないMTAI発現を特徴とする疾患、例えば、卵巣癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、M68遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないM68発現を特徴とする疾患、例えば、食道、胃、大腸および直腸のヒト腺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
ある実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、腫瘍抑制遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、化学療法剤と組み合わせて、アポトーシス活性を促進する方法として使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、p53腫瘍抑制遺伝子における突然変異をサイレンシングし、したがって、望ましくないp53発現を特徴とする疾患、例えば、胆嚢癌、膵臓癌および肺癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、p53ファミリーの一員であるDN−p63をサイレンシングし、したがって、望ましくないDN−p63発現を特徴とする疾患、例えば、偏平上皮細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、pRb腫瘍抑制遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないpRb発現を特徴とする疾患、例えば、口腔偏平上皮細胞癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、APC1腫瘍抑制遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないAPC1発現を特徴とする疾患、例えば、大腸癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、BRCA1腫瘍抑制遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないBRCA1発現を特徴とする疾患、例えば、乳癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、PTEN腫瘍抑制遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPTEN発現を特徴とする疾患、例えば、過誤腫、グリア細胞腫、前立腺癌および子宮内膜癌を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、MLL融合遺伝子、例えばMLL‐AF9をサイレンシングし、したがって、望ましくないMLL融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、急性白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、BCR/ABL融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないBCR/ABL融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、急性および慢性白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。.
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、TEL/AML1融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないTEL/AML1融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、小児期急性白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、EWS/FLI1融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないEWS/FLI1融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、ユーイング肉腫を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、TLS/FUS1融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないTLS/FUS1融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、粘液脂肪肉腫を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、PAX3/FKHR融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないPAX3/FKHR融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、粘液脂肪肉腫を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
別の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、AML1/ETO融合遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないAML1/ETO融合遺伝子発現を特徴とする疾患、例えば、急性白血病を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
血管新生。別の態様では、本発明は、例えば、癌等の血管新生阻害から恩恵を受け得る疾病または疾患の危険性があるか、そのような疾病または疾患に罹患した対象、例えばヒトを治療する方法を提供する。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されている血管新生関連遺伝子のタイプに依存する。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、αv−インテグリン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないαv−インテグリン発現を特徴とする疾患、例えば、脳腫瘍または上皮を起原とする腫瘍を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、Flt−1受容体遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないFlt−1受容体を特徴とする疾患、例えば、癌およびリウマチ関節炎を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、チューブリン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないチューブリンを特徴とする疾患、例えば、癌および網膜新血管新生を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
幾つかの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、チューブリン遺伝子をサイレンシングし、したがって、望ましくないチューブリンを特徴とする疾患、例えば、癌および網膜新血管新生を有するか、またはその危険性がある対象を治療するのに使用することができる。
ウイルス性疾患。さらに別の態様では、本発明は、ウイルス感染に関連する疾病または疾患の危険性があるか、そのような疾病または疾患に罹患した対象を治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されているウイルス性疾患のタイプに依存する。幾つかの実施形態では、核酸は、ウイルス遺伝子を標的とし得る。他の実施形態では、核酸は、宿主遺伝子を標的とし得る。
したがって、本発明は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した患者、またはHPVにより媒介される疾患、例えば、子宮頸癌の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。HPVは、子宮頸癌の95%に関連付けられ、したがって抗ウイルス療法は、これらの癌およびウイルス感染の他の症状を治療するための魅力的な方法である。幾つかの実施形態では、HPV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HPV遺伝子は、E2、E6またはE7の群のうちの1つである。幾つかの実施形態では、HPV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した患者、あるいはHIVにより媒介される疾患、例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、HIV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HIV遺伝子は、CCR5、Gag、またはRevである。幾つかの実施形態では、HIV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、遺伝子はCD4またはTsg101である。
本発明はまた、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染した患者、あるいはHBVにより媒介される疾患、例えば、肝硬変および肝細胞癌の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、HBV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、標的とされるHBV遺伝子は、HBVコアタンパク質のテール領域、pre−cregious(pre−c)領域、またはcregious(c)領域の群のうちの1つをコードする。別の実施形態では、標的とされるHBV−RNA配列は、ポリ(A)テールを含んで構成される。ある実施形態では、HBV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、A型肝炎ウイルス(HAV)に感染した患者、あるいはHAVにより媒介される疾患の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、HAV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した患者、あるいはHCVにより媒介される疾患、例えば、肝硬変の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、HCV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HCV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、D型、E型、F型、G型またはH型を含む肝炎ウイルス株の群のいずれかに感染した患者、あるいはこれらの肝炎株のいずれかにより媒介される疾患の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、D型、E型、F型、G型またはH型肝炎ウイルス遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、D型、E型、F型、G型またはH型肝炎ウイルスの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に感染した患者、あるいはRSVにより媒介される疾患、例えば、乳児における下気道感染および小児喘息、例えば高齢者における肺炎および他の合併症の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、RSV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、標的とされるHBV遺伝子は、遺伝子N、LまたはPの群のうちの1つをコードする。幾つかの実施形態では、RSV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法は、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染した患者、あるいはHSVにより媒介される疾患、例えば、陰部ヘルペスおよび単純ヘルペス、ならびに主に免疫不全状態の患者における生命にかかわる疾患または視覚障害をもたらす疾患の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、HSV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、標的とされるHSV遺伝子は、DNAポリメラーゼまたはDNAヘリカーゼ−プライマーゼをコードする。幾つかの実施形態では、HSV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、ヘルペスサイトメガロウイルス(CMV)に感染した患者、あるいはCMVにより媒介される疾患、例えば、先天性ウイルス感染および免疫不全状態の患者における病的状態の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。好ましい実施形態では、CMV遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、CMV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ヘルペスエプスタイン・バーウイルス(EBV)に感染した患者、あるいはEBVにより媒介される疾患、例えば、NK/T−細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫およびホジキン病の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、EBV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、EBV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ヒトヘルペスウイルス8型とも呼ばれる、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)に感染した患者、あるいはKSHVにより媒介される疾患、例えば、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、およびAIDS関連原発性滲出液リンパ腫の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、KSHV遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、KSHV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、JCウイルス(JCV)に感染した患者、あるいはこのウイルスに関連した疾病または疾患、例えば、進行性多病巣性白質脳症(PML)を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、JCV遺伝子の発現が低減される。ある実施形態では、JCV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ミクソウイルスに感染した患者、あるいはミクソウイルスにより媒介される疾患、例えば、インフルエンザの危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、ミクソウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、ミクソウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ライノウイルスに感染した患者、あるいはライノウイルスにより媒介される疾患、例えば、通常の風邪の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、ライノウイルス遺伝子の発現が低減される。ある実施形態では、ライノウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、コロナウイルスに感染した患者、あるいはコロナウイルスにより媒介される疾患、例えば、通常の風邪の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、コロナウイルス遺伝子の発現が低減される。ある実施形態では、コロナウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、フラビウイルスである西ナイルウイルスに感染した患者、あるいは西ナイルウイルスにより媒介される疾患の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、西ナイルウイルス遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、西ナイルウイルス遺伝子は、E、NS3、またはNS5である。幾つかの実施形態では、西ナイルウイルスの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、フラビウイルスであるセントルイス脳炎ウイルスに感染した患者、あるいはこのウイルスに関連した疾患もしくは疾患、例えば、ウイルス性出血熱または神経系疾患の危険性があるか、またはそのような疾患もしくは疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、セントルイス脳炎ウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、セントルイス脳炎ウイルスの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ダニ媒介性脳炎フラビウイルスに感染したか、あるいはダニ媒介性脳炎ウイルスにより媒介される疾患、例えば、ウイルス性出血熱および神経系疾患の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、ダニ媒介性脳炎ウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、ダニ媒介性脳炎ウイルスの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、通常ウイルス性出血熱および神経系疾患をもたらすマレー渓谷脳炎フラビウイルスに感染した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、マレー渓谷脳炎ウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、マレー渓谷脳炎ウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、デング熱フラビウイルスに感染した患者、あるいはこのウイルスに関連した疾病または疾患、例えば、デング熱出血性熱を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、デング熱ウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、デング熱ウイルスの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、シミアンウイルス40(SV40)に感染した患者、あるいはSV40により媒介される疾患、例えば、腫瘍形成の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、SV40遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、SV40複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、ヒトT細胞白血球ウイルス(HTLV)に感染した患者、あるいはこのウイルスに関連した疾病または疾患、例えば、白血病およびミエロパシーを治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、HTLV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、HTVL1遺伝子は、Tax転写活性化因子である。幾つかの実施形態では、HTLV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、モロニーマウス白血病ウイルス(Mo−MuLV)に感染した患者、あるいはMo−MuLVにより媒介される疾患、例えば、T細胞白血病の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、Mo−MuLV遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、Mo−MuLV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、脳心筋炎ウイルス(EMCV)に感染した患者、あるいはEMCVにより媒介される疾患、例えば、心筋炎の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。EMCVは、マウスおよびブタにおいて心筋炎を引き起こし、ヒト心筋細胞に感染することができる。したがって、このウイルスは、異種移植を受けた患者に関する問題事項である。幾つかの実施形態では、EMCV遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、EMCV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、麻疹ウイルス(MV)に感染した患者、MVにより媒介される疾患、例えば、麻疹の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を包含する。幾つかの実施形態では、MV遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、MV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)に感染した患者、あるいはVZVにより媒介される疾患、例えば、水疱瘡または帯状ヘルペス(帯状疱疹とも呼ばれる)の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、VZV遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、VZV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、アデノウイルスに感染した患者、あるいはアデノウイルスにより媒介される疾患、例えば、気道感染の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、アデノウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、アデノウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、黄熱病ウイルス(YFV)に感染した患者、あるいはYFVにより媒介される疾患、例えば、気道感染の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、YFV遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、好ましい遺伝子は、E、NS2AまたはNS3遺伝子を含む群のうちの1つであり得る。幾つかの実施形態では、YFV複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ポリオウイルスに感染した患者、あるいはポリオウイルスにより媒介される疾患、例えば、ポリオの危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、ポリオウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、ポリオウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明の方法はまた、ポックスウイルスに感染した患者、あるいはポックスウイルスにより媒介される疾患、例えば、天然痘の危険性があるか、またはそのような疾患に罹患した患者を治療することを提供する。幾つかの実施形態では、ポックスウイルス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、ポックスウイルス複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
他の病原体。別の態様では、本発明は、病原体、例えば、細菌、アメーバ、寄生生物または真菌などの病原体に感染した対象を治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されている病原体のタイプに依存する。幾つかの実施形態では、核酸は病原体遺伝子を標的とし得る。他の実施形態では、核酸は、宿主遺伝子を標的とし得る。
標的遺伝子は、増殖、細胞壁合成、タンパク質合成、転写、エネルギー代謝、例えばクレブス回路または毒素産生に関与するものであり得る。
したがって、本発明は、マラリアを引き起こすマラリア原虫に感染した患者を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態では、マラリア原虫遺伝子の発現が低減される。別の実施形態では、該遺伝子は、頂端膜抗原1(AMA1)である。幾つかの実施形態では、マラリア原虫の複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、マイコバクテリウム・ウルセランスに感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、ブルーリ潰瘍を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、マイコバクテリウム・ウルセランス遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、マイコバクテリウム・ウルセランスの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、ヒト結核菌に感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、結核を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、ヒト結核菌遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、ヒト結核菌の複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、らい菌に感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、らい病を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、らい菌遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、らい菌の複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、細菌である黄色ブドウ球菌に感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、皮膚および粘膜の感染を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、黄色ブドウ球菌遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、黄色ブドウ球菌の複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、細菌の肺炎連鎖球菌に感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、肺炎または小児期下気道感染を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、肺炎連鎖球菌遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、肺炎連鎖球菌の複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、細菌の化膿連鎖球菌に感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、連鎖球菌性咽頭炎または猩紅熱を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、化膿連鎖球菌遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、化膿連鎖球菌の複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、細菌の肺炎クラミジアに感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、肺炎または小児期下気道感染を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、肺炎クラミジア遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、肺炎クラミジアの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
本発明はまた、細菌の肺炎マイコプラズマに感染した患者、あるいはこの病原体に関連した疾病または疾患、例えば、肺炎または小児期下気道感染を治療する方法を含む。幾つかの実施形態では、肺炎マイコプラズマ遺伝子の発現が低減される。幾つかの実施形態では、肺炎マイコプラズマの複製に必要とされるヒト遺伝子の発現が低減される。
免疫疾患。本発明は、望ましくない免疫応答を特徴とする疾病または疾患、例えば、炎症性の疾病または疾患、あるいは自己免疫性の疾病または疾患の危険性があるか、あるいはそのような疾病または疾患に罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されている免疫疾患のタイプに依存する。
いくつかの実施形態では、疾病または疾患は、例えば、急性心筋梗塞、不安定狭心症、心肺バイパスに伴う虚血もしくは再灌流傷害等の、虚血または再灌流傷害、例えば、経皮的経管的冠状動脈形成術等の血管新生術等の外科的介入、例えば、移植された心臓組織または血管組織等の移植された臓器もしくは組織に対する応答、または血栓溶解である。
幾つかの実施形態では、疾病または疾患は、再狭窄、例えば、経皮的経管的冠状動脈形成術等の血管新生術等の外科的介入に伴う再狭窄である。
ある実施形態では、疾病または疾患は、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎である。
ある実施形態では、疾病または疾患は、感染または傷害に伴う炎症である。
ある実施形態では、疾病または疾患は、喘息、狼瘡、多発性硬化症、糖尿病、例えば、2型糖尿病、関節炎、例えば、関節リウマチまたは乾癬性関節炎である。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、インテグリンまたはインテグリンの共通リガンド、例えばVLA4、VCAM、ICAMをサイレンシングする。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、セレクチンまたはセレクチンの共通リガンド、例えばP−セレクチン、E−セレクチン(ELAM)、I−セレクチン、P−セレクチン糖タンパク質−1(PSGL−1)をサイレンシングする。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、補体系の構成成分、例えばC3、C5、C3aR、C5aR、C3コンバターゼ、C5コンバターゼをサイレンシングする。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、ケモカインまたはケモカイン受容体、例えばTNFI、TNFJ、IL−1I、IL−1J、IL−2、IL−2R、IL−4、IL−4R、IL−5、IL−6、IL−8、TNFRI、TNFRII、IgE、SCYA11、CCR3をサイレンシングする。
他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、GCSF、Gro1、Gro2、Gro3、PF4、MIG、プロ血小板塩基性タンパク質(PPBP)、MIP−1I、MIP−1J、RANTES、MCP−1、MCP−2、MCP−3、CMBKR1、CMBKR2、CMBKR3、CMBKR5、AIF−1、I−309をサイレンシングする。
疼痛。本発明は、急性疼痛または慢性疼痛の危険性があるか、あるいは急性疼痛または慢性疼痛に罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されている疼痛のタイプに依存する。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、イオンチャネルの構成成分をサイレンシングする。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、神経伝達物質の受容体またはリガンドをサイレンシングする。
一態様では、本発明は、神経系の疾病または疾患の危険性があるか、あるいは神経系の疾病または疾患に罹患した対象、例えば、ヒトを治療する方法を特徴とする。概方法は、神経系の疾病または疾患を媒介する遺伝子に相同であり、かつそのような遺伝子を例えば切断によりサイレンシングすることができるsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)を提供することと、siRNA化合物を対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。
神経疾患 ある実施形態では、疾病または疾患は、アルツハイマー病またはパーキンソン病を含む、神経疾患である。この方法は、本発明のsiRNAを、それらを必要としている対象に投与することと、それにより対象を治療することとを含む。投与される核酸は、治療されている神経疾患のタイプに依存する。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、アミロイドファミリー遺伝子、例えばAPP、プレセニリン遺伝子、例えば、PSEN1およびPSEN2、またはI−シヌクレインをサイレンシングする。
幾つかの実施形態では、疾病または疾患は、神経変性疾患のトリヌクレオチドリピート病、例えばハンチントン病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、または脊髄小脳失調、例えばSCA1、SCA2、SCA3(マシャド・ジョセフ病)、SCA7、またはSCA8である。
ある種の他の実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、HD、DRPLA、SCA1、SCA2、MJD1、CACNL1A4、SCA7、SCA8をサイレンシングする。
ヘテロ接合性の喪失。ヘテロ接合性の喪失(LOH)は、LOH領域において配列、例えば遺伝子にヘミ接合性をもたらし得る。これは正常細胞と疾病状態の細胞、例えば癌細胞との間に重大な遺伝的差異をもたらす可能性があり、正常細胞と疾病状態の細胞、例えば癌細胞との間の有用な差異を提供する。この差異は、遺伝子またはその他の配列が正倍数体細胞ではヘテロ接合体であるが、LOHを有する細胞ではヘミ接合体であるために生じ得る。LOHの領域は、多くの場合、喪失すると好ましくない増殖を促進する遺伝子、例えば腫瘍抑制遺伝子、および例えば別の遺伝子、場合によっては正常に機能、例えば、増殖するのに必須の遺伝子を含有する別の配列を含む。本発明の方法は、部分的には、必須遺伝子の1つの対立遺伝子を本発明のsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)で特異的に切断またはサイレンシングすることによる。上記siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、該siRNA化合物が、LOHを有する細胞に見出される必須遺伝子の1つの対立遺伝子を標的にするが、LOHを示さない細胞に存在する別の対立遺伝子はサイレンシングしないように選択される。基本的には、siRNA化合物は2つの対立遺伝子を区別し、選択された対立遺伝子を選択的にサイレンシングする。基本的には、多型、例えばLOHにより影響を受ける必須遺伝子のSNPは、LOHを有する細胞、例えばLOHを有する癌細胞を特徴とする疾患用の標的として使用される。
例えば、当業者は、腫瘍抑制遺伝子に近く、かつ腫瘍抑制遺伝子を含むLOH領域内にある必須遺伝子を特定することができる。ヒトRNAポリメラーゼII、またはPOLR2A、の大サブユニットをコードする遺伝子、腫瘍抑制遺伝子p53に近く位置する遺伝子は、このような遺伝子である。このような遺伝子は、癌細胞ではLOHの領域内に多く存在する。LOH領域内に存在し、多くの癌細胞種では欠けているその他の遺伝子は、複製タンパク質A70kDaサブユニット、複製タンパク質A32−kDa、リボヌクレオチドレダクターゼ、チミジル酸合成酵素、TATA関連因子2H、リボソームタンパク質S14、真核生物の開始因子5A、アラニルtRNAシンテターゼ、システイニルtRNAシンテターゼ、NaK ATPアーゼ、α−1サブユニットおよびトランスフェリン受容体を備える群を含む。
したがって、本発明は、LOHを特徴とする疾患、例えば癌を治療する方法を特徴とする。該方法は、任意に、LOH領域の遺伝子の対立遺伝子の遺伝子型を決定することと、正常細胞における該遺伝子の両対立遺伝子の遺伝子型を決定することと、LOH細胞に見出される対立遺伝子を選択的に切断またはサイレンシングするsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)を提供することと、対象にiRNAを投与すること、それにより疾患を治療することとを含む。
本発明はまた、例えば多型遺伝子の1つの対立遺伝子を選択的にサイレンシング、例えば切断することができるsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)である、本明細書中で開示されるsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)を含む。
別の態様では、本発明は、2つ以上の遺伝子をsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)で切断またはサイレンシングする方法を提供する。これらの実施形態では、siRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、2つ以上の遺伝子に見出される配列に十分な相同性を有するように選択される。例えば、配列AAGCTGGCCCTGGACATGGAGAT(配列番号13)は、マウスのラミンB1、ラミンB2、ケラチン複合体2−遺伝子1、およびラミンA/C間で保存されている。したがって、この配列を標的とするsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)は、該遺伝子集団全体を効率的にサイレンシングするであろう。
本発明はまた、2つ以上の遺伝子をサイレンシングすることができる、本明細書中で開示されるsiRNA化合物(例えば、本明細書に記載される組成物の中のsiRNA)を含む。
送達経路
説明を簡略化するために、本項の製剤、組成物および方法は、主に修飾siRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらの製剤、組成物および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、非修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かかる実施は本発明の範囲内にあることは理解され得る。iRNAを包含する組成物は種々の経路で対象に送達され得る。典型的な経路は、静脈内、局所、経直腸、経肛門、経膣、経鼻、経肺、および経眼経路を含む。
本発明のiRNA分子は、投与に好適な医薬組成物中に組み込まれることが可能である。かかる組成物は、典型的に、1種類または複数種類のiRNAと医薬として許容可能な担体を含む。本明細書で使用される、「医薬として許容可能な担体」という用語は、医薬品の投与と適合する任意かつ全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤、および抗真菌剤、等張な吸収遅延剤等を含むことを意図する。医薬としての活性を有する物質に対してこのような媒体および薬剤を使用することは、当該技術分野で周知である。いかなる従来の媒体および薬剤も該活性化合物と適合しない場合を除き、組成物に従来の媒体および薬剤を使用することが意図される。また、補助的な活性化合物を組成物に組み込むことも可能である。
本発明の医薬組成物は、局所治療または全身治療のどちらが所望されるかによって、かつ治療されるべき領域によって、多様な方法で投与され得る。投与は、局所的(経眼、経膣、経直腸、経鼻、経皮を含む)、経口、または非経口であってよい。非経口投与は、静脈内点滴投与、皮下投与、腹腔内注射もしくは筋肉内注射、または鞘内投与もしくは脳室内投与を含む。
投与の経路および部位は標的指向性を増大するように選択してもよい。例えば、筋細胞を標的とする場合、目的の筋肉に筋肉内注射することは、論理的な選択であろう。エアロゾル形態のiRNAを投与することにより肺細胞を標的とすることもできよう。バルーンカテーテルをiRNAでコーティングすることにより、かつ機械的にDNAを導入することにより血管内皮細胞を標的とすることもできる。
局所投与用の製剤には、経皮貼布剤、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤、および粉末剤を挙げることができる。従来の医薬担体、水溶性基剤、粉末状基剤または油状基剤、増粘剤等が、必要または望ましいものであり得る。コーティングされたコンドーム、グローブ等もまた有用であり得る。
経口投与用の組成物には、粉剤または顆粒剤、水中懸濁液または水溶液、シロップ、エリキシルまたは非水溶性媒体、錠剤、カプセル、薬用キャンディ、またはトローチが含まれる。錠剤の場合、使用可能な担体は、ラクトース、クエン酸ナトリム、およびリン酸塩を含む。デンプン等の種々の錠剤分解物質、ならびに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク等の滑沢剤が、一般に錠剤に使用される。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤は、ラクトースおよび高分子量ポリエチレングリコールである。水溶性の懸濁液が経口使用に必要とされる場合、本発明の核酸組成物は、乳化剤および懸濁剤と組み合わせることができる。所望により、ある種の甘味剤および/または香料剤を添加することができる。
鞘内投与または脳室内投与のための組成物は、緩衝剤、希釈剤、およびその他の好適な添加剤も含有し得る殺菌水溶液を含み得る。
非経口投与のための製剤は、緩衝剤、希釈剤、およびその他の好適な添加剤も含有し得る殺菌水溶液を含み得る。脳室内注射は、例えばリザーバに取り付けられた脳室内カテーテルにより容易となり得る。脳室内で使用される場合、溶質の総濃度が、調製物が等張となるように制御されるべきである。
経眼投与のためには、軟膏または滴下可能な液剤が、アプリケータまたは目薬用容器等の当業者には既知の眼球送達システムにより送達され得る。このような組成物は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリ(ビニルアルコール)等の粘性剤、ソルビン酸、EDTAまたは塩化ベンジルクロニウム等の防腐剤、および通常量の希釈剤および/または担体を含むことができる。
一実施形態では、siRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物の投与、組成物は、例えば、静脈内(例えば、ボーラス投与としてまたは拡散性注入として)、皮内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、脳室内、頭蓋内、皮下、経粘膜、口腔、舌下、内視鏡、直腸、口腔、膣、局所、肺、鼻腔内、尿道、または眼等の非経口である。投与は、対象または別の人、例えば、医療提供者によって提供され得る。薬剤は、測定された用量で、または定用量を送達するディスペンサーで提供される。選択される送達方法は、以下でより詳しく説明される。
直腸投与。本発明はまた、本明細書に記載されるsiRNA化合物の直腸投与または送達に関する方法、組成物、およびキットを提供する。
したがって、本明細書に記載されるsiRNA化合物、例えば、2本鎖 siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)、例えば、本明細書に記載される治療有効量のsiRNA化合物、例えば、40を下回る2本鎖領域、例えば30を下回るヌクレオチドおよび1つまたは2つの1−3ヌクレオチド単鎖3’オーバーハングを有するsiRNA化合物を、例えば、直腸を通じて下部または上部結腸へ導入される等、直腸投与することができる。このアプローチは、炎症疾患、つまり望ましくない細胞増殖、例えば、ポリープ、または大腸癌によって特徴付けられる疾患の治療に特に有用である。
薬剤は、薬剤の送達手段を含む、分注するデバイス、例えば、大腸の検査またはポリープの除去に使用されるデバイスと同様の可塑性の、カメラにより誘導されるデバイスを導入することによって、大腸内の部位に送達され得る。
siRNA化合物の直腸投与はかん腸の手段によって行われる。かん腸のsiRNA化合物は、生理食塩溶液または緩衝溶液の中で溶解することができる。直腸投与はまた、坐剤の手段によって行なわれることができ、それは他の成分、例えば、賦形剤、例えば、ココアバターまたはハイドロプロピルメチルセルロースを含み得る。
経眼送達。本明細書に記載されるいかなるsiRNA化合物も、眼組織に投与され得る。例えば、薬剤は、眼の表面または周囲の組織、例えば、眼瞼内部に適用され得る。それらは、例えば、噴霧、滴剤によって、洗眼または軟膏として局所的に適用され得る。投与は、対象または別の人、例えば、医療提供者によって提供され得る。薬剤は、測定された用量で、または定用量を送達するディスペンサーで提供される。薬剤はまた、眼の内部に投与され得、それを選択される場所または構造に導入することができる、針または他の送達デバイスによって導入され得る。眼治療は、眼または周囲の組織の炎症を治療するために特に望ましい。
局所送達。本明細書に記載されるいかなるsiRNA化合物も、皮膚に直接投与され得る。例えば、薬剤は、局所的に応用され得るか、または例えば、マイクロ針または皮膚内部に浸透するが、例えば、下部の筋肉組織には浸透しない、一連のマイクロ針を用いて、皮膚の層の内部で送達され得る。siRNA化合物組成物の投与は、局所であり得る。局所用途は例えば、組成物を対象の皮膚または表皮に送達する。局所投与は、経皮貼布剤、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤、または粉末剤の形態であり得る。局所投与のための組成物は、リポソーム、ミセル、乳化剤、または他の親油性分子集合体として製剤化され得る。経皮投与は、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、およびソノフォレーシス等の少なくとも1つの浸透促進剤と共に応用され得る。
説明を簡略化するために、本項の製剤、組成物および方法は、主に修飾siRNA化合物に関して述べる。しかしながら、これらの製剤、組成物および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、非修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かつかかる実施は本発明の範囲内にあることは理解され得る。幾つかの実施形態では、siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)は、局所投与を介して対象に送達される。「局所投与」とは、対象の表面に直接製剤を接触させることによって、該対象に送達することを指す。局所送達の最も一般的な形態は皮膚に対してであるが、本明細書中で開示される組成物は、体の別の表面、例えば目、粘膜、体腔の表面、または体内の表面に対して、直接応用することもできる。上述のように、最も一般的な局所送達は皮膚に対してである。この用語は、局所および経皮を含む幾つかの投与経路を包含するが、これらに制限されない。これらの投与の形態は、通常、皮膚の透過障壁への浸透および標的組織または標的層への効率的な送達を含む。局所投与は、組成物が表皮および真皮に浸透し、最終的に全身への送達を達成する手段として使用され得る。また、局所投与は、対象の表皮または真皮に、またはその特定の層に、またはその下の組織に、オリゴヌクレオチドを選択的に送達する手段として使用され得る。
本明細書で使用される、「皮膚」という用語は、動物の表皮および/または真皮を指す。哺乳類の皮膚は、2つの主要かつ明確に異なる層から構成されている。皮膚の外側の層は、表皮と呼ばれる。表皮は、角質層、顆粒層、有棘層、および基底層からなり、角質層は皮膚の表面にあり、基底層は表皮の最も深い部分にある。表皮は、体の場所に応じて50μm〜0.2mmの厚さである。
表皮の下に真皮があり、真皮は表皮よりもはるかに厚い。真皮は、主に繊維束状のコラーゲンから構成されている。このコラーゲン束は、とりわけ、血管、毛細リンパ管、腺、神経終末および免疫学的に活性な細胞に対する支えを提供する。
器官としての上記皮膚の主要な機能の1つは、体内への物質の侵入を制御することである。皮膚の主たる透過障壁は、種々な分化状態の多くの細胞の層から形成される角質層により提供される。角質層での細胞間の空隙は、皮膚透過障壁をさらに増大するように、密閉を提供する格子様の構造に配置構成された様々な脂質で満たされている。
皮膚により提供される透過障壁は、約750Daより大きい分子量を有する分子に対しては主に非透過性である。より大きな分子が皮膚の透過障壁を通過するためには、通常の浸透現象以外の機構が使用されなければならない。
幾つかの要因が、投与される物質に対する皮膚の透過性を決定する。これらの要因は、投与を受けた皮膚の特性、送達剤の特性、薬物と送達剤および薬物と皮膚の両方の間の相互作用、適用された薬物の用量、治療の形態、治療後の計画を含む。選択的に表皮および真皮を標的とするために、薬物が予め選択された層へと浸透することを可能とする、1つまたはそれ以上の浸透促進剤を包含する組成物を配合することが可能なこともある。
経皮送達は、脂質可溶性の治療剤の投与に有用な経路である。真皮は、表皮よりも透過性が高いため、擦過した皮膚、熱傷した皮膚または剥離した皮膚を介すると吸収はより迅速となる。また、皮膚への血流を増加させる炎症およびその他の生理学的な条件も、経皮吸収を増大させる。この経路を介する吸収は、油状手段(塗擦剤)の使用により、または1つ以上の浸透促進剤の使用により増大し得る。経皮経路を介して本明細書中に開示される組成物を送達する別の効率的な方法としては、皮膚の水分補給および制御放出型の局所貼布剤の使用が挙げられる。経皮経路は、全身治療および/または局所治療のための、本明細書中に開示される組成物 を送達する潜在的に効率的な手段を提供する。
加えて、イオントフォレーシス(電場の影響下で生体膜を介してイオン性溶質を移動すること)(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.163)、フォノフォレーシスまたはソノフォレーシス(生体膜、特に皮膚および角膜を横切る種々の治療剤の吸収を増大させるための超音波の使用)(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.166)、ならびに、薬剤の状態および投与部位における保持力に応じた手段特性の最適化(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.168)は、皮膚および粘膜部位を横切って局所投与される組成物の移送を増大させる有用な方法であり得る。
提供される上記組成物および方法は、種々のタンパク質および遺伝子の機能を、培養または保存された真皮組織においてインビトロで、かつ動物において試験するために使用することもできる。したがって、本発明は、あらゆる遺伝子の機能を試験するために適用することができる。また、本発明の方法は、治療的にまたは予防的に使用され得る。例えば、乾癬、扁平苔癬、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、パジェット病、カポジ肉腫、肺線維症、ライム病、ならびにウイルス、真菌およびバクテリアの皮膚感染等の疾病に罹患しているとわかっている動物またはそのような疾病への罹患が疑われる動物の治療のためである。
肺送達。本明細書に記載されるいかなるsiRNA化合物も、肺系統に直接投与され得る。経肺投与は、吸入によって、または送達デバイスの肺系統への導入、例えば、薬剤を分注することのできる送達デバイスを導入することによって、達成され得る。ある実施形態は、吸入による肺送達の方法を使用し得る。薬剤は、吸入され得るほど十分に小さい形態で、例えば、湿潤または乾燥状態で、薬剤を送達するディスペンサーにより、提供され得る。デバイスは、薬剤の測定された用量を送達することができる。対象、または別の人が、薬剤を投与することができる。肺送達は、経肺組織に直接影響する疾患にだけでなく、他の組織に影響する疾患にも有効である。siRNA化合物は、液体または非液体として、例えば、粉末、結晶、または肺送達のためのエアロゾルとして、製剤化され得る。
説明を簡略化するために、本項の製剤、組成物および方法は、主に修飾siRNA化合物に関して述べる。しかしながら、これらの製剤、組成物および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、非修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かつこのような実施は本発明の範囲内にあることは理解され得る。siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を含む組成物は、肺送達により対象に投与され得る。肺送達組成物は、患者により分散剤が吸入され、分散剤内の組成物、例えば、iRNAが肺に到達して肺胞領域を介して直接血液循環へ容易に吸収され得るように、送達され得る。肺送達は、肺の疾病を治療するために、全身送達および局所送達の両方に有効であり得る。
肺送達は、霧状の、エアロゾル化された、ミセル化された、かつ乾燥粉末ベースの製剤の使用など、様々な手法で達成可能である。送達は、液体ネブライザー、エアロゾル吸入器、および乾燥粉末散布デバイスを用いて達成され得る。定量式のデバイスが使用されてもよい。アトマイザーまたは吸入器を使用する利点の1つは、デバイスが内蔵型であるために雑菌混入の可能性が最小限となることである。乾燥粉末散布デバイスは、例えば、容易に乾燥粉末として製剤化され得る薬物を送達する。iRNA組成物は、凍結乾燥粉末または噴霧乾燥粉末として、単独または好適な粉末担体との組み合わせとして安定に貯蔵され得る。吸入用の組成物の送達は、機器に組み入れられた時に、エアロゾル薬の投与中の、服用量の追跡、服用順守の監視、および/または患者に対する服用の誘導を可能にする、タイマー、投与量計測器、時間測定器、または時間表示器などの服用時間計測要素を介して実施され得る。
「粉末」という用語は、微小な分散固形粒子からなる組成物を意味し、上記粒子は自由に流動し、かつ吸入器内で容易に分散されうるとともに、続いて対象によって吸入されて肺へ到達し肺胞内に浸透可能となることを特徴とする。したがって、上記粉末は、「呼吸に適する」と言える。例えば、平均粒径は、直径が約10μm未満であり、比較的均一に球状の形状に分布している。幾つかの実施形態では、直径は、約7.5μm未満であり、幾つかの実施形態では、約5.0μm未満である。通常、粒径分布は、直径が約0.1μm〜約5μmであり、時には約0.3μm〜約5μmである。
「乾燥」という用語は、組成物が、約10重量%(%w)未満の水分含有量、通常は、約5%w未満、場合によっては約3%w未満の水分含有量を有することを意味する。乾燥組成物は、上記粒子が吸入器内で容易に分散可能でエアロゾルを形成するようなものであり得る。
「治療有効量」という用語は、期待される生理的応答を得るために、治療すべき対象内に所望の薬剤濃度を提供するために必要な、組成物中の存在量である。
「生理学的に有効な量」という用語は、所望の症状緩和効果または治療効果を得るために対象に送達される量である。
「医薬として許容可能な担体」という用語は、担体が、肺に対する重大な悪影響である毒性効果を伴わずに、肺に摂取され得ることを意味する。
担体として有用である医薬賦形剤の種類としては、ヒト血清アルブミン(HSA)等の安定剤、糖質、アミノ酸、およびポリペプチド等の充填剤、pH調節剤または緩衝剤、塩化ナトリウム等の塩等が挙げられる。これらの担体は、結晶形態でも非晶質の形態でもよく、またはこれら2つの混合物であってもよい。
特に有用である充填剤としては、適合性の糖質、ポリペプチド、アミノ酸、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好適な糖質としては、ガラクトース、D−マンノース、ソルボース等の単糖類、ラクトース、トレハロース等の二糖類、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン、およびラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン等の多糖類、マンニトール、キシリトール等のアルジトール等が挙げられる。糖質の群としては、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、マルトデキストリン、およびマンニトールが挙げられる。好適なポリペプチドとしては、アスパルテームが挙げられる。アミノ酸としては、アラニンおよびグリシンが挙げられ、幾つかの実施形態では、グリシンが使用される。
本発明の組成物の微量成分である添加剤は、噴霧乾燥中の立体構造の安定性および粉末の分散性の向上のために包含されてもよい。これらの添加剤は、トリプトファン、チロシン、ロイシンおよびフェニルアラニン等の疎水性アミノ酸を含む。
好適なpH調節剤または緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等の、有機酸および塩群から調製される有機塩が挙げられ、幾つかの実施形態では、クエン酸ナトリウムが使用され得る。
ミセル状iRNA製剤の経肺投与は、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロエタン、ジメチルフルオロプロパン、テトラフルオロプロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、およびその他の非CFC噴霧剤およびCFC噴霧剤等の噴霧剤を用いて、高圧ガスによる定量噴霧器で達成され得る。
経口または経鼻送達。本明細書に記載されるいかなるsiRNA化合物も、経口で、例えば、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、薬用キャンディ、トローチ、または液体シロップの形態で投与され得る。さらに、組成物は、口腔の表面に局所的に応用され得る。
本明細書に記載されるsiRNA化合物のいずれも、経鼻で投与され得る。経鼻投与は、送達デバイスの鼻の中への導入、例えば、投薬を分注することのできる送達デバイスを導入することによって、達成され得る。経鼻送達の方法には、例えば、点滴剤による、または鼻腔の表面への局所投与による、噴霧、エアロゾル、液体が含まれる。投薬は、吸入され得るほど十分に小さい形態で、例えば、湿潤または乾燥状態で、投薬を送達するディスペンサーにより、提供され得る。デバイスは、投薬の測定された用量を送達することができる。対象、または別の人が、薬剤を投与することができる。
経鼻送達は、鼻組織に直接影響する疾患にだけでなく、他の組織に影響する疾患にも有効である。siRNA化合物は、液体または非液体として、例えば、粉末、結晶、または経鼻送達のために、製剤化され得る。本明細書で使用される、「結晶性」という用語は、結晶の構造または特性を有する固体、すなわち、平面が一定の角度で交差し、通常の内部構造が存在する3次元構造の粒子を説明する。本発明の組成物は、異なる結晶形態を有し得る。結晶形態は、例えば、噴霧乾燥を含む、種々の方法によって調製され得る。
説明を簡略化するために、本項の製剤、組成物および方法は、主に修飾siRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらの製剤、組成物および方法は、他のsiRNA化合物、例えば、非修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かつこのような実施は本発明の範囲内にあることは理解され得る。口腔および鼻腔の膜はいずれも、別の投与経路と比べて有利な点を与える。例えば、これらの膜を介して投与された薬物は、急速に作用を開始し、薬効レベルの血漿中濃度を提供し、肝代謝の初回通過効果を回避し、不都合な胃腸(GI)環境への薬物の暴露を回避する。さらなる利点は、上記膜部位に容易に接近することができるので、薬物を簡単に応用し、局在させ、かつ除去することができることである。
経口送達では、組成物が、口腔の表面に、例えば、舌の腹側表面の膜および口底を含む舌下粘膜、または頬の内面を構成する頬粘膜を標的とするようにすることが可能である。舌下粘膜は比較的透過性が高いため、迅速な吸収と、かつ多くの薬物に対する許容可能な生物学的利用性が得られる。さらに、舌下粘膜は、便利で、許容可能で、かつ容易に接触可能である。
分子が口腔粘膜を介して透過する能力は、分子サイズ、脂質溶解度およびペプチドタンパク質のイオン化に関連すると思われる。1,000ダルトン未満の小さい分子は、迅速に粘膜を通過すると思われる。分子サイズが増加するのに伴い、透過性は急速に減少する。脂質可溶性の化合物は、脂質可溶性でない分子よりも透過性が高い。分子がイオン化されていない、または電荷において中性である場合に、最大吸収が生じる。したがって、荷電分子は、口腔粘膜を介した吸収にとって最も大きな課題となる。
また、iRNAの医薬組成物は、上述のような混合ミセル医薬製剤および噴霧剤を、定量噴霧器から、吸入ではなく口腔内へ噴霧することにより、ヒトの口腔に投与され得る。一実施形態では、上記噴霧器は、医薬製剤および噴霧剤を口腔内へ噴霧する前にまず振とうされる。例えば、薬剤は、口腔に噴霧されるか、例えば、液体、固体、またはゲル形態で、口腔内の表面に直接適用され得る。この投与は、口腔、例えば、歯茎または舌の炎症の治療に特に望ましく、例えば、一実施形態では、口腔投与は、例えば、吸入せず、ディスペンサー、例えば、医薬組成物および噴霧剤を分注する定量噴霧ディスペンサーから、腔内への噴霧によってなされる。
デバイス
別の態様では、本発明は、例えば、デバイスが、siRNA化合物を含む組成物、例えば、2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物、(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)、例えば、内在性転写物をサイレンシングするsiRNA化合物を、分注または投与することができるような、移植可能なデバイス等のデバイスを特徴とする。一実施形態では、デバイスは、組成物でコーティングされる。別の実施形態では、siRNA化合物は、デバイス内に配置される。別の実施形態では、デバイスは、組成物の単位用量を分注するための機構を含む。他の実施形態では、デバイスは、例えば、拡散によって、組成物を連続的に放出する。例示的デバイスには、ステント、カテーテル、ポンプ、人工臓器、または臓器構成要素(例えば、人工心臓、心臓弁等)、および縫合糸が含まれる。
説明を簡略化するために、本項のデバイス、製剤、組成物、および方法は、主に修飾siRNA化合物に関して述べられる。しかしながら、これらのデバイス、製剤、組成物および方法は、別のsiRNA化合物、例えば、非修飾siRNA化合物に関して実施可能であり、かつ、かかる実施は本発明の範囲内にあることが理解され得る。siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)は、例えば、対象へ移植するかまたは別の方法で対象に設置されるデバイス等のデバイス上またはデバイス内へ配置され得る。典型的なデバイスとしては、血管系に導入されるデバイス(例えば血管組織の管腔内に挿入されるデバイス)、またはステント、カテーテル、心臓弁、および別の血管用デバイスを含む、デバイス自体が血管の一部を形成するデバイスが挙げられる。これらのデバイス、例えばカテーテルまたはステントは、肺、心臓または足の血管に配置され得る。
他のデバイスとしては、血管用デバイス以外のデバイス、例えば腹膜、または臓器または腺組織に移植されるデバイス、例えば人工臓器が挙げられる。このデバイスは、siRNAに加えて治療物質を放出することが可能であり、例えば、デバイスはインスリンを放出することができる。
他のデバイスには、股関節等の人工関節、および他の整形外科移植片が含まれる。
一実施形態では、iRNAを含む組成物の単位用量または一定用量が、移植デバイスにより分配される。上記デバイスは、対象の体内であるパラメータを監視するセンサを含むことができる。例えば、上記デバイスはポンプを備え、例えば任意に電子機器と連携されていてもよい。
組織、例えば腎臓等の細胞または器官が、siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を用いてエクスビボで処置され、次いで対象に投与または移植されることも可能である。
上記組織は、自己、同種、または異種の組織であり得る。例えば、組織は、移植片対宿主病を減少させるように処理可能である。他の実施形態では、組織は同種組織であり、その組織における好ましくない遺伝子発現を特徴とする疾患を治療するために処置される。例えば、造血性細胞等の組織、例えば骨髄造血性細胞は、好ましくない細胞増殖を阻害するように処置され得る。
自己組織であれ移植組織であれ、処理された組織の導入は、他の治療と組み合わせることができる。
幾つかの実装形態では、iRNAで処置された細胞は、例えばその細胞が移植片から離れるのを阻止するが、体内の分子がその細胞に到達するのを可能にし、かつその細胞により産生された分子が体内に侵入するのを可能にする半透過性多孔質障壁により、他の細胞から隔離される。一実施形態では、該多孔質障壁は、アルギン酸から形成される。
一実施形態では、避妊用デバイスが、siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)でコーティングされるか、またはsiRNA化合物を含有する。例示的なデバイスとしては、コンドーム、避妊ペッサリー、IUD(移植可能な子宮用デバイス、スポンジ、膣コンドーム、および産児制限器具)が挙げられる。一実施形態では、iRNAは精子または卵を不活性化するように選択される。他の実施形態では、iRNAは、ウイルスまたは病原体RNA、例えばSTDのRNAに相補的であるように選択される。幾つかの例では、iRNA組成物は、殺精子剤を含むことができる。
用量
asiRNA化合物を含む医薬組成物の用量は、例えば、癌または心疾患等の病状の症状を緩和させるために投与され得る。対象は、医薬組成物を用いて、上述のいかなる方法によっても治療され得る。
一態様では、本発明は、対象(例えばヒト対象)に、siRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物、またはssiRNA化合物を投与する方法を特徴とする。該方法は、siRNA化合物、例えばssiRNA化合物、例えば2本鎖ssiRNA化合物であって(a)2本鎖部分が19〜25ヌクレオチド(nt)長、例えば、21〜23ntであり、(b)標的RNA(例えば、内在性標的RNAまたは病原体標的RNA)に相補的であり、かつ任意に(c)少なくとも1つの1〜5ヌクレオチド長の3’オーバーハングを含む、2本鎖ssiRNA化合物を単位用量投与することを包含する。一実施形態では、上記単位用量は、体重1kg当たり1.4mg未満、または体重1kg当たり10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、または0.00001mg未満、および体重1kg当たり200nモル未満のRNA剤(例えば約4.4×1016コピー)、または体重1kg当たり1,500、750、300、150、75、15、7.5、1.5、0.75、0.15、0.075、0.015、0.0075、0.0015、0.00075、0.00015nモル未満のRNA剤である。
規定された量は、疾病または疾患、例えば、標的RNAに関連する疾病または疾患を、治療または抑制するのに効果的な量であり得る。単位用量は、例えば、注射(例えば、静脈内または筋肉内)、吸入投与、または局所投与により投与され得る。幾つかの実施形態では、用量は、体重1kgあたり2、1、または0.1mg未満であり得る。
幾つかの実施形態では、単位用量は、1日に1回未満の頻度、例えば、2,4,8または30日毎よりも低い頻度で投与される。他の実施形態では、単位用量は、ある頻度で投与されない(例えば、規則正しい頻度では投与されない)。例えば、単位用量が単回で投与されてもよい。
RNAiサイレンシングは、siRNAまたはsiNA組成物を投与した後、数日間持続するため、多くの例において、1日当たり1回未満の頻度で、または幾つかの例では、治療計画全体で一回のみの頻度で組成物を投与することが可能である。例えば、幾つかの癌細胞の治療は、一回のボーラス投与によって媒介され得る一方で、慢性ウイルス感染は、例えば、1週間当たり1回以上または1ヶ月当たり1回以下等の、定期的な投与を必要とし得る。
一実施形態では、有効用量が他の従来の治療様式で投与される。一実施形態では、対象はウイルス感染症であり、上記治療様式は、siRNA化合物以外の抗ウイルス剤、例えば、2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物以外である。他の実施形態では、対象がアテローム性動脈硬化症であり、有効用量のsiRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物が、外科的介入と組み合わせて、例えば血管新生術等の外科的介入の後に投与される。
一実施形態では、対象に、初回用量および1またはそれ以上の維持用量のsiRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)が投与される。維持用量は、一般に初回用量より少なく、例えば、初回用量の1/2少ない。維持投与計画は、対象を、1日に体重1kg当たり0.01μg〜1.4mgの範囲、例えば1日に体重1kg当たり10、1、0.1、0.01、0.001、または0.00001mgの用量で治療することを含み得る。維持用量は、例えば、5、10、または30日毎に1回以下で投与される。さらに、治療投与計画は、ある期間中持続され得、それは、特定の疾病の性質、その重症度および患者の全体的な状態により変化し得る。ある実施形態では、用量は、1日当たり1回以下、例えば24、36、48時間以上当たり1回以下、例えば5または8日毎に1回以下で送達され得る。治療に続いて、患者の状態の変動および疾病状態の症状の緩和について、患者をモニタリングすることができる。患者が現在の用量レベルでは有意に応答しない場合には、化合物の用量は増加されてもよいし、または疾病状態の症状の緩和が認められる場合、疾病状態が除去されている場合、または望ましくない副作用が認められる場合には、用量を減らしてもよい。
有効用量は、特定の状況の下で所望される、または適切と考えられるように、単回投与でまたは2回以上の投与で投与され得る。所望により、反復または頻繁な注入を容易にするためには、送達デバイス、例えば、ポンプ、半永久ステント(例えば、静脈内、腹腔内、嚢内または関節内)、またはリザーバを移植することが望ましい。
一実施形態では、siRNA化合物医薬組成物は、複数の種類のsiRNA化合物を含む。別の実施形態では、siRNA化合物の種類が、天然に存在する標的配列に関して別の種類と重複せずかつ隣接しない配列を有する。別の実施形態では、複数の種類のsiRNA化合物は、天然に存在する異なる標的遺伝子に特異的である。別の実施形態では、siRNA化合物は対立遺伝子特異的である。
場合によっては、患者は、siRNA化合物を用いて別の治療様式と併せて治療される。例えば、ウイルス性疾患、例えば、HIVに関連した疾病(例えば、AIDS)を治療中の患者は、そのウイルスに必須の標的遺伝子に特異的なsiRNA化合物を、既知の抗ウイルス剤と併せて投与されてもよい(例えば、プロテアーゼ阻害剤または逆転写酵素阻害剤)。別の実施形態では、癌を治療中の患者は、腫瘍細胞の増殖に必須な標的に特異的なsiRNA化合物を、化学療法と併用して投与されてもよい。
治療の成功に続いて、病状の再発を予防するための維持療法を患者に施すことが望ましく、該療法では、本発明の化合物が、体重1kg当たり0.01μg〜100gの維持用量で投与される(米国特許第6,107,094号明細書を参照)。
siRNA化合物組成物の濃度は、疾患を治療または抑制するのに、またはヒトにおける生理学的状態を調節するのに十分効果的な量である。投与されるsiRNA化合物の濃度または量は、該siRNA化合物および投与方法、例えば、経鼻、経口、経肺に対して決定されたパラメータに依存し得る。例えば、経鼻製剤は、鼻腔の刺激または焼けつきを回避するために、幾つかの成分をかなり低濃度とする必要がある傾向にある。好適な経鼻製剤を提供するために、経口製剤を10〜100倍に希釈するのが望ましいこともある。
疾病または疾患の重症度、事前の治療、対象の通常の健康状態および/または年齢、ならびに別の疾患の存在を含むがこれらに限定されない、ある種の要因が、対象を効果的に治療するのに必要とされる用量に影響を及ぼす可能性がある。さらに、治療上有効な量のsiRNA化合物、例えば2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)を用いた対象の治療は、単一の治療を包含することもできるし、または、例えば、一連の治療を含むこともできる。また、治療に使用されるssiRNA化合物等のsiRNA化合物の有効用量を、特定の治療の経過により増やしても減らしてもよいことは理解されるであろう。本明細書に記載されるような診断検定の結果から、用量を変化させる結果となることがあり、明らかになり得る。例えば、対象は、siRNA化合物組成物の投与後にモニタリングされ得る。モニタリングの情報に基づいて、siRNA化合物組成物の追加量が投与され得る。
数日間〜数ヶ月間続く治療の経過とともに、または治療が効果を上げるかもしくは疾病状態の減少が達成されるまで、薬剤は治療されるべき病状の重症度および応答性によって決まる。最適な投与計画は、患者の体内における薬物蓄積量の測定から算出され得る。当業者は、最適の用量、投与の手順および反復頻度を容易に決定することができる。最適の用量は、個々の化合物の相対的な効能に依存して変化し得るものであり、通常、インビトロおよびインビボの動物モデルで効果的であることが見出されたEC50を基に概算可能である。幾つかの実施形態では、上記動物モデルには、ヒト遺伝子、例えば、標的RNAを産生する遺伝子を発現するトランスジェニック動物が挙げられる。トランスジェニック動物は、対応する内在のRNAを欠いているものであり得る。他の実施形態では、試験用の組成物は、少なくとも内部領域においては、動物モデルの標的RNAとヒトの標的RNAとの間で保存されている配列と相補的であるsiRNA化合物を含む。
本明細書に記載されるsiRNA化合物が、数多くの方法で、哺乳類、特に大型哺乳類、例えばヒト以外の霊長類またはヒトに投与され得ることを、本発明者等は見出している。
キット
ある種の他の態様では、本発明は、siRNA化合物、例えば、2本鎖siRNA化合物またはssiRNA化合物(例えば、前駆体、例えばssiRNA化合物へプロセシングされ得るより大きなsiRNA化合物、あるいは、例えば2本鎖siRNA化合物もしくはssiRNA化合物などのsiRNA化合物またはそれらの前駆体をコードするDNA)の医薬製剤を含有する好適な容器を含むキットを提供する。ある実施形態では、医薬製剤の個々の構成要素は、1つの容器の中に提供されてもよい。代替として、例えば、siRNA化合物調製のための1つの容器、および少なくとも担体化合物のための別の容器等の2つ以上の容器で別々に、医薬製剤の構成要素を提供することが望ましくあり得る。キットは、1つの箱内の1つ以上の容器等、幾つかの異なる構造でパッケージ化され得る。異なる構成要素は、例えば、キットと共に提供される使用説明書に従って組み合わされ得る。構成要素は、例えば、医薬組成物を調整および投与するために、本明細書に記載される方法に従って組み合わされ得る。キットはまた、送達デバイスを含み得る。
本発明は、以下の実施例によりさらに例示されるが、さらなる限定として解釈すべきではない。本出願の全体にわたって引用した、全ての参考文献、係属中の特許出願、および公開された特許の内容は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
本発明が概説されたところで、本発明のある種の態様および実施形態を単に例示する目的で含まれるに過ぎず、本発明を限定するよう意図するものではない以下の実施例の参照によって、本発明がより容易に理解されるであろう。
実施例1−ホタルルシフェラーゼを標的とし、センス鎖中にミスマッチ塩基対形成を含有するsiRNA。
ミスマッチ塩基対形成を含有する2本鎖siRNA剤(本明細書で「二重鎖」とも呼ばれる)および対照の修飾されていない非修飾iRNA配列(二重鎖ID1000)が下記の表1で提供される。以下の表で、鎖Sは、センス鎖に対応し、鎖ASは、アンチセンス鎖に対応する。
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HeLaデュアルルシフェラーゼ(Dual LucまたはHLDL)検定手順
ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼを安定に発現するHeLa細胞を、10%のFBSおよび1×Glutamaxを補充し、96−ウェルプレート(不透明な壁面)に抗生物質なしでDMEM/10%FBS中の10K細胞/ウェルを播種して、DMEM(Invitrogen)中で培養した。細胞の播種の24時間後、Lipofectamineを使用してトランスフェクションを行い、さらにインキュベーションの24時間後、以下に手短に説明するようにルシフェラーゼ検定を行った。
試薬調製(全ての試薬はPromegaから購入された)
1.1瓶のDual−Gloルシフェラーゼ緩衝剤の内容物を、Dual−Gloルシフェラーゼ試薬を産生するために、1瓶のDual−Gloルシフェラーゼ基質に移した。溶液は、基質が完全に溶解するまで、反転によって混合され、この実験に必要な量(45mL)および9mLの部分に等分されて、それらはさらなる使用のために凍結された。
2.0.450mLのDual Glo Stop&Glo基質を、50mLの円錐瓶の中で、1:100で、45mLのDual Glo Stop&Glo緩衝剤に希釈した。
3.両試薬を使用前に室温(rt)に置いた。同様に、細胞は検定を実施する前に、室温で平衡化した。
検定手順:
1.培地は、真空吸引によってプレートされた細胞から除去し、75μL各ウェルのPhenol−Red除去DMEM培地(Invitrogen)と置換した。
2.75μLのDual−Gloルシフェラーゼ試薬を添加し、プレートを撹拌することによって十分に混合した。
3.プレートは、シェーカーで20分間振とうし、次いで、Iva luminescence96wpの設定で、ホタル発光を照度計で測定した。
4.75μLのDual−Glo Stop&Glo試薬を各ウェルに添加し、プレートを撹拌することによって十分に混合した。
5.プレートをシェーカーで15分間振とうし、次いで、Iva luminescence96wpの設定で、ウミシイタケ発光を照度計で測定した。
6.データをExcelにエクスポートし、ウミシイタケからの発光に対する、ホタルからの発光の比率を算出し、治療されていない対照のウェルからの結果に対して正規化した。
結果
上述のように、HeLa細胞に基づくデュアルルシフェラーゼ検定からの結果を使用して導かれたIC50値を以下に一覧にする。図1〜6は、検定から得られた一次データをグラフとして示す。結果は、ミスマッチ塩基対形成の、siRNA効力に対する効果が、ミスマッチ塩基対およびそのセンス鎖上の位置に依存することを示す。明白に、ミスマッチ塩基対(9〜12位)を介するセンス鎖の中心領域の局所不安定化は、この領域外の局所不安定化よりも、効力を亢進させるのにより有効である。このsiRNAに関して、特に9位におけるミスマッチは、親化合物と比較して効力を有意に亢進することが見出された。
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実施例2−修飾核酸塩基を含有するsiRNA
実施例1で上述した結果に基づき、他のヌクレオシド等量式および修飾もまた、本発明の中に包含され、それらはsiRNA二重鎖の局所構造に影響を及ぼし、これらの修飾を含有するiRNA剤の効力および活性を亢進するであろう。非限定的な実施例は、以下で提供され、幾つかの合成および試験されたsiRNAdを、以下の表9〜13に記載する。
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HeLaデュアルルシフェラーゼ(Dual LucまたはHLDL)検定手順
ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼを安定に発現するHeLa細胞を、実施例1に記載されるように培養し、検定を実施した。
結果
上述のように、HeLa細胞に基づくデュアルルシフェラーゼ検定からの結果を使用して導かれたIC50値を以下に一覧にする。図7〜13は、検定から得られた一次データをグラフとして示す。結果は、核酸塩基修飾の、siRNA効力に対する効果が、該修飾ならびにそのセンス鎖上の位置に依存することを示す。このsiRNAに関して、特に10位における核酸塩基修飾は、親化合物に対する効力を有意に亢進することが見出された。
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実施例3−siRNA二重鎖の効力と熱安定性との相関
実施例1および2で上述された結果に基づき、siRNA二重鎖の熱安定性を0.9%の生理食塩溶液中で測定し、それらの対応するIC50値によって表される効力に対してプロットした。図14は、センス鎖の中心位置9〜12のそれぞれについての結果を示す。結果によると、9位、11位、および12位においては、活性と熱安定性との間に有意な相関はなかったが、一方、siRNAの効力は、10位での修飾により、熱安定性の減少に伴い増加すると見られる。
実施例4−脱塩基修飾を含有するsiRNA
実施例1および2で上述された結果に基づき、siRNA二重鎖の局所構造に影響を及ぼし、これらの修飾を含有するiRNA剤の効力および活性を亢進するであろう、脱塩基修飾もまた、本発明に包含される。非限定的な例を以下に提供する。
Figure 2011528910
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HeLaデュアルルシフェラーゼ(Dual LucまたはHLDL)検定手順
ホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼを安定に発現するHeLa細胞を培養し、実施例1に記載するように検定を行った。
結果
上述のように、HeLa細胞に基づくデュアルルシフェラーゼ検定からの結果を使用して導かれたIC50値を以下に一覧にする。図15は、検定から得られた一次データをグラフとして示す。結果は、siRNAの効力に対する脱塩基修飾の効果が、センス鎖上のその位置に依存することを示す。このsiRNAについて、特に10位および12位での脱塩基修飾が、親化合物と比較して効力を亢進することが見出された。
Figure 2011528910
実施例5−バルジを含有するsiRNA
実施例1および2で上述された結果に基づき、siRNA二重鎖の局所構造に影響を及ぼし、これらの修飾を含有するiRNA剤の効力および活性を亢進する、追加ヌクレオチドの組み入れによって形成されるセンス鎖中のバルジもまた、本発明に包含される。非限定的な例を以下に提供する。
Figure 2011528910
HeLaデュアルルシフェラーゼ(Dual LucまたはHLDL)検定手順
ホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼを安定に発現するHeLa細胞を培養し、実施例1に記載するように検定を行った。
結果
上述のように、HeLa細胞に基づくデュアルルシフェラーゼ検定からの結果を使用して導かれたIC50値を以下に一覧にする。図16a、bは、検定から得られた一次データをグラフとして示す。結果は、siRNAの効力に対する脱塩基修飾の効果が、センス鎖上のその位置に依存することを示す。このsiRNAについて、特に10位および12位での脱塩基修飾が、親化合物と比較して効力を亢進することが見出された。
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実施例6−PTENを標的とし、センス鎖中にミスマッチ塩基対形成および核酸塩基修飾を含有するsiRNA
実施例1および2で上述された結果に基づき、siRNAの効力に対して最も顕著な効果を示した修飾の幾つかを内因性遺伝子PTENを標的とするsiRNA二重鎖に適用し、HeLa細胞中でスクリーニングした。合成および試験されたsiRNAの一部を表23に列挙する。
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PTEN検定手順
HeLa細胞を、10%のFBSおよび1×Glutamaxを補充したDMEM(Invitrogen)中で培養し、96−ウェルプレート(不透明な壁面)に抗生物質なしでDMEM/10%FBS中の10K細胞/ウェルで播種した。細胞の播種の24時間後、Lipofectamineを使用してトランスフェクションを行い、さらに24時間のインキュベーション後、以下に手短に説明するようにPTEN検定を行った:
QuantiGene 1.0 Reagent Systemにおいて使用するための標準的なPTENプローブセットを、Panomics,Incから得た。標的遺伝子用のプローブセットは、標的RNAをプレートウェルの表面に捕捉し、次いでDNAシグナル増幅分子とハイブリッド形成する、3つのタイプのオリゴヌクレオチドプローブからなる。それぞれの標的配列について、プローブを設計するソフトウェアアルゴリズムは、CE(捕捉エクステンダー、遺伝子当たり5〜10個)、LE(標識エクステンダー、遺伝子当たり10〜20個)、またはBL(ブロッキングプローブ)に対するアニール用の鋳型としての機能を果たし得る1つ以上の連続領域を特定する。QuantiGene1.0 Reagent System は、製造業者が推奨するプロトコルに従って行った(Panomics,Inc.)。手短に述べると、プローブセットのオリゴヌクレオチド(250fmolのCE、500fmolのBL、および1000fmolのLE)を試料と混合し、混合物を捕捉プローブオリゴヌクレオチドで共有結合的に被覆された96ウェルプレートのアッセイウェルに添加した。終夜53℃でインキュベーションする間に、標的RNAを捕捉した。非結合物質は、2日目に200〜300μlの洗浄緩衝液(0.3g/Lのラウリル硫酸リチウムを含有する0.1倍の標準クエン酸添加生理食塩水)で3回洗浄して除去し、その後DNA増幅分子、次いで3’−アルカリ性ホスファターゼで共役させた標識プローブオリゴヌクレオチドを連続してハイブリダイゼーションし、それぞれのインキュベーション後には3回洗浄した。最後の洗浄後、発光基質のジオキセタンをウェルに添加し、その後の短時間のインキュベーション後、発光シグナルを照度計で測定した。各プローブセットの信号から減算された「無鋳型」背景値はなかった。値は、ハウスキーピング遺伝子であるGAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)値に正規化した。さらに、遺伝子サイレンシングの程度と相関するmRNAレベルを評価するために、正規化値の比率を計算した。
結果
上述のように、HeLa細胞に基づくPTEN検定からの結果を使用して導かれたIC50値を以下に一覧にする。図17は、検定から得られた一次データをグラフとして示す。結果は、ミスマッチ塩基対形成または修飾核酸塩基を有するセンス鎖の中心領域の局所的不安定化が、大幅な効力の亢進をもたらし得るとうい点において、実施例1および2で説明されたホタルルシフェラーゼを標的とするsiRNA配列について得られた知見を裏付けている。この特定の配列について、9位および10位でのミスマッチ塩基対形成または2,4ジフルオロトルイルリボヌクレオチドの導入は、親非修飾化合物と比較して効力を有意に亢進することが見出された。
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参考文献
本明細書で言及された刊行物および特許は、以下に列挙された項目を含み、それぞれの個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれると具体的に個々に示されているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書におけるあらゆる定義を含み、本出願が優先される。
一般参考文献
本発明に従って使用されるオリゴリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオシドは、固相合成を伴い得、例えば、“Oligonucleotide synthesis,a practical approach”,Ed.M.J.Gait,IRL Press,1984、“Oligonucleotides and Analogues,A Practical Approach”,Ed.F.Eckstein,IRL Press,1991(特にChapter 1,Modern machine−aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis,Chapter 2,Oligoribonucleotide synthesis,Chapter 3,2’−O−Methyloligoribonucleotides:synthesis and applications,Chapter 4,Phosphorothioate oligonucleotides,Chapter 5,Synthesis of oligonucleotide phosphorodithioates,Chapter 6,Synthesis of oligo−2’−deoxyribonucleoside methylphosphonates、およびChapter 7,Oligodeoxynucleotides containing modified bases)を参照されたい。他の特に有用な合成手順、試薬、封鎖基、および反応条件は、Martin,P.,Helv.Chim.Acta,1995,78,486−504、Beaucage,S.L.and Iyer,R.P.,Tetrahedron,1992,48,2223−2311、およびBeaucage,S.L.and Iyer,R.P.,Tetrahedron,1993,49,6123−6194、またはその中で参照される参考文献に説明される。国際公開第00/44895号、同第01/75164号、または同第02/44321号の各パンフレットに説明される修飾を、本明細書で使用することができる。
リン酸基の参考文献
ホスフィン酸オリゴリボヌクレオチドの調製は、米国特許第5,508,270号明細書に説明される。アルキルホスホン酸オリゴリボヌクレオチドの調製は、米国特許第4,469,863号明細書に説明される。ホスホラミダイトオリゴリボヌクレオチドの調製は、米国特許第5,256,775号明細書または米国特許第5,366,878号明細書に説明される。ホスホトリエステルオリゴリボヌクレオチドの調製は、米国特許第5,023,243号明細書に説明される。ボラノホスフェートオリゴリボヌクレオチドの調製は、米国特許第5,130,302号および第5,177,198号の各明細書に説明される。3’−デオキシ−3’−アミノホスホロアミデートオリゴリボヌクレオチドの調製は、米国特許第5,476,925号明細書に説明される。3’−デオキシ−3’−メチレンホスホン酸オリゴリボヌクレオチドは、An,H,et al.J.Org.Chem.2001,66,2789−2801に説明される。硫黄架橋ヌクレオチドの調製は、Sproat et al.Nucleosides Nucleotides 1988,7,651、およびCrosstick et al.Tetrahedron Lett.1989,30,4693に説明される。
糖基の参考文献
2’修飾の修飾は、Verma,S.et al.Annu.Rev.Biochem.1998,67,99−134およびその中の全ての参考文献に見出すことができる。リボースへの特定の修飾は、次の参考文献に見出すことができる:2’−フルオロ(Kawasaki et.al.,J.Med.Chem.,1993,36,831−841)、2’−MOE(Martin,P.Helv.Chim.Acta 1996,79,1930−1938)、「LNA」(Wengel,J.Acc.Chem.Res.1999,32,301−310)。
リン酸基の置換の参考文献
本明細書でMMI結合オリゴリボヌクレオシドとしても特定されるメチレンメチルイミノに結合したオリゴリボヌクレオシド、本明細書でMDH結合オリゴリボヌクレオシドとしても特定されるメチレンジメチルヒドラゾに結合したオリゴリボヌクレオシド、および本明細書でアミド−3結合オリゴリボヌクレオシドとしても特定されるメチレンカルボニルアミノに結合したオリゴヌクレオシド、および本明細書でアミド−4結合オリゴリボヌクレオシドとしても特定されるメチレンアミノカルボニルに結合したオリゴヌクレオシド、ならびに例えば、交互にMMIおよびPOまたはPS結合を有する混合骨格化合物は、米国特許第5,378,825号、同第5,386,023号、同第5,489,677号の各明細書、および公開された国際出願第PCT/US92/04294号および第PCT/US92/04305号(それぞれ国際公開第92/20822号パンフレットおよび国際公開第92/20823号パンフレットとして公開される)に説明されるように調製することができる。ホルムアセタールおよびチオホルムアセタールに結合したオリゴリボヌクレオシドは、米国特許第5,264,562号および同第5,264,564号の各明細書に説明されるように調製することができる。エチレンオキシドに結合したオリゴリボヌクレオシドは、米国特許第5,223,618号明細書に説明されるように調製することができる。シロキサン置換は、Cormier,J.F.et al.Nucleic Acids Res.1988,16,4583に説明される。炭酸塩置換は、Tittensor,J.R.J.Chem.Soc.C 1971,1933に説明される。カルボキシメチル置換は、Edge,M.D.et al.J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 1972、1991に説明される。カルバメート置換は、Stirchak,E.P.Nucleic Acids Res.1989,17,6129に説明される。
リン酸塩リボース骨格の置換の参考文献
シクロブチル糖代替化合物は、米国特許第5,359,044号明細書に説明されるように調製することができる。ピロリジン糖代替物は、米国特許第5,519,134号明細書に説明されるように調製することができる。モルホリノ糖代替物は、米国特許第5,142,047号および同第5,235,033号の各明細書、および他の関連する特許情報開示に説明されるように調製することができる。ペプチド核酸(PNA)はそれ自体既知であり、Peptide Nucleic Acids (PNA):Synthesis,Properties and Potential Applications,Bioorganic & Medicinal Chemistry,1996,4,5−23で言及される種々の手順のうちのいずれかに従って調製することができる。これはまた、米国特許第5,539,083号明細書に従って調製することもできる。
終端修飾の参考文献終端修飾は、Manoharan,M.et al.Antisense and Nucleic Acid Drug Development 12,103−128(2002)およびその中の参考文献に説明される。
塩基の参考文献
N−2置換プリンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,459,255号明細書に説明されるように調製することができる。3−デアザプリンヌクレオシド アミダイトは、米国特許第5,457,191号明細書に説明されるように調製することができる。5,6−置換ピリミジンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,614,617号明細書に説明されるように調製することができる。5−プロピニルピリミジンヌクレオシドアミダイトは、米国特許第5,484,908号明細書に説明されるように調製することができる。さらなる参考文献が、塩基修飾に関する上記の項で開示されている場合がある。
等価物
当業者は、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態との多くの等価物を認識または解明することができるだろう。したがって、前述の実施形態は例として提示されているに過ぎず、添付の特許請求項およびその等価物の範囲内で、具体的に説明および特許請求されたものとは別様に本発明を実施可能であることを理解されたい。
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