JP2011523957A - ヘキサフルオロイソプロパノールを生成する連続方法 - Google Patents

ヘキサフルオロイソプロパノールを生成する連続方法 Download PDF

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Abstract

ヘキサフルオロイソプロパノールを生成する連続方法であって、液体フィード流を生成するために、ヘキサフルオロアセトンをヘキサフルオロイソプロパノールおよび水素と接触させるステップと;固定化された水素化触媒が入っている反応器に液体フィード流を導入して、ヘキサフルオロアセトンをヘキサフルオロイソプロパノールに変換し、生成物流を形成するステップと;少なくとも一部分のヘキサフルオロイソプロパノールを生成物流から回収するステップとを含む方法を提供する。好ましくは、一部分の生成物流がリサイクルされる。反応器は、充填床または撹拌槽型反応器とすることができる。

Description

ヘキサフルオロイソプロパノール(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、本明細書ではHFIPと略す)は、医薬品および農業化学品の中間体として、エレクトロニクスおよび分析用途においては種々のポリマーを溶解するその能力のため溶媒または清浄剤として使用される。HFIPは強い水素結合を示し、酸素、二重結合、またはアミン基などの受容部位を有する大部分の分子と結合し、溶解する。強い水素結合のため、多くのエーテルおよびアミンを用いると、安定で蒸留可能な複合体が形成される。HFIPは、水および大部分の有機溶媒に可溶である。揮発性(沸点:58.2℃)および極性の材料であり、高密度、低粘度、および低表面張力を示す。HFIPは、UV光を通過させ、低屈折率を有する。
典型的には、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)は、例えばスラリー触媒の入っているバッチ式反応器を用いて、ヘキサフルオロアセトン(HFA)および/またはHFA水和物を水素化することによって調製される。このようなプロセスは生産能力が制限され、サイクル時間が比較的長くなり、触媒の摩耗、触媒細粒の除去、および触媒の回収が問題となる。
勝原らの米国特許第4,564,716号明細書には、バッチ水素化プロセスの典型である不均一触媒系を用いたHFA水和物の水素化プロセスが記載されている。勝原らは、有毒なHFAを高濃度で反応することの懸念を削減し、反応温度(70℃〜100℃)において低沸点HFA(−28℃)を含むのに必要とされるはずの圧力を下げるため、HFAではなくHFAの水和物を水素化するということを開示する。このプロセスにおいて、触媒は、バッチの終わりに反応器に沈降する。次いで、液体生成物の一部分を取り出すが、約10%の触媒がその液体と共に取り出されるので、触媒を添加して、初期仕込みを埋め合わせる必要があり、触媒の回収が複雑になる。
バッチ水素化には、連続プロセスに比べて欠陥があり、例えば各々のバッチを加熱および冷却するのに、エネルギーおよびサイクル時間が必要である。その結果、バッチプロセスにおける反応時間は、全サイクル時間のわずか一部分であり、したがってこの反応器の生産性は、連続システムの生産性よりはるかに低い。
河合らの英国特許第2,073,181号明細書には、HFAと水素の混合物を、30℃〜140℃で固体触媒の固定床に通すことによってHFIPを生成するためのHFAの連続気相水素化プロセスが記載されている。バッチプロセスに比べて改良点があるが、気相水素化プロセスにも欠点がある。発熱性水素化反応から放出される熱により、触媒床全体にわたって大幅な温度上昇が見られる。この温度上昇は、触媒床にホットスポットを生じる可能性があり、フッ化水素酸の生成を含めて、副生成物の生成、および触媒寿命の短縮を招く恐れがある。
上記に挙げた用途においてHFIPの需要が急増している。利用可能なHFA水素化方法を改良することが望ましい。本発明は、このような方法を提供する。
本発明は、ヘキサフルオロイソプロパノールを生成する連続方法であって、(a)ヘキサフルオロアセトンを、混合装置中でヘキサフルオロイソプロパノールおよび水素と接触させて液体フィード流を生成するステップと、(b)固定化された水素化触媒が入っている反応器に液体フィード流を導入して、ヘキサフルオロアセトンをヘキサフルオロイソプロパノールに変換し、生成物流を形成するステップと、(c)を生成物流からヘキサフルオロイソプロパノールの少なくとも一部を回収するステップとを含む方法を提供する。本方法は、スタートアップと対照的に定常状態操作に適用する。すなわち、スタートアップ中に、混合装置と反応器とを備えた反応器システムは充填され、ヘキサフルオロイソプロパノールは回収されない。
反応器は、充填床またはスラリー反応器とすることができる。好ましくは、反応器は充填床反応器である。少なくとも一部分の生成物流を、混合装置に再循環して、ステップ(a)におけるHFIPを供給することによってリサイクルすることが有利である。
本発明で有用な充填床反応器を備えた連続反応器システムの流れ図である。
本発明は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を混合装置と反応器とを備えた反応器システム中で生成する連続液相方法を含む。本方法は、(a)液体フィード流を生成するために、ヘキサフルオロアセトン(HFA)を、混合装置中でヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)および水素と接触させるステップと、(b)固定化された水素化触媒が入っている反応器に、フィード流を導入して、HFAをHFIPに変換して、生成物流を形成するステップと、(c)少なくとも一部分のHFIPを生成物流から回収するステップとを含む。少なくとも一部分の生成物流を、混合装置に再循環することによってリサイクルして、ステップ(a)におけるHFIPを供給することが好ましい。
HFA/HFIPと水素の接触ステップ
本発明の方法における第1のステップは、HFAを混合装置中でHFIPおよび水素と接触させて、液体フィード流を生成することである。HFAには、HFIPと水素とを同時に接触させてもよく、または順序はどちらでもよいが順次に接触させてもよい。HFIPは、溶媒として添加してもよく、または一部分の水素化生成物流として、すなわちリサイクル流として添加してもよい。この接触ステップにおける温度、圧力、およびHFAとHFIPの相対量は、HFAがHFIPに溶解し、混合物がHFAのHFIP溶液となるように設定される。
フィード流は、実質的に液体の形である。好ましくは、水素がHFA/HFIP液体溶液に溶解している。しかし、液体流は気相中の水素を若干含むことがある。水素は、HFA/HFIP溶液を飽和させる量および速度で添加されることが好ましい。
接触ステップは、混合装置中で行うことができる。「混合装置」は、広義には、HFAとHFIPおよび水素との接触が混合効果を生じるようにして行われる任意のシステムを意味する。例えば、HFIPおよびHFAおよび水素のフィードラインの交差部に、混合装置を配置することができる。さらに典型的には、混合装置は混合容器である。好ましくは、混合装置は、オートクレーブなどの機械撹拌槽、またはインラインスタティックミキサーからなる群から選択される。
好ましい方法において、混合槽であるオートクレーブに、HFA、HFIP、および水素を連続フィードおよび同時フィードして、HFA、HFIP、および水素を含む液体フィード流を生成する。HFAは、ピストンポンプを用いてフィードする。水素をフィードし、圧力を300〜2000ポンド/インチ2ゲージ(以降「psig」、2.17〜13.9MPa)、好ましくは400〜1500psig(2.86〜10.4MPa)、より好ましくは600〜1000psig(4.24〜7.00MPa)に維持する。混合装置のヘッドスペースにおいて、水素圧を測定し、所望の圧力範囲内に維持する。撹拌によって、物質移動抵抗を防止し、水素で実質的に飽和された混合槽中に液体HFIPを保持するのに十分な適切な混合がもたらされる。接触ステップで生成されたフィード流は、HFIP、HFA、および水素を含む。
水素気泡が接触ステップ(a)中に形成され、フィード流中に存在する可能性がある。このような気泡が形成されるとき、本発明の方法は、好ましくはフィード流をステップ(b)の反応器に導入する前に、接触ステップ(a)中に形成される水素気泡をフィード流から分離し、したがって効率の低下およびパス当たりの変換率の低下を普通なら引き起こす可能性がある過剰水素の反応器への同伴を防止するステップをさらに含む。
スタートアップ時には、定常状態とは対照的に、流は最高100%のHFIPを含む。別段の注記のない限り、%はすべて、モル%として規定される。スタートアップ時には、流は0%に近いHFAしか含まない。システムに100%のHFIPを加え、定常状態操作のためにHFAを所望の濃度までゆっくりと高めることができると認められる。したがって、本発明の方法は、ステップ(a)の前に、HFIPを混合装置および反応器に連続フィードし、HFIPを反応器から混合装置に再循環させるステップを含むスタートアップ手順を含んでもよい。本プロセス中に、熱を混合装置に加えて、HFIPを加熱する。
定常状態操作中には、フィード流は、70から100%近くまで、好ましくは85から98%、より好ましくは93〜97%のHFIPを含む。定常状態中に、フィード流は、0%近くから30%、好ましくは2〜15%、HFA、より好ましくは3〜7%のHFAを含む。
溶解している水素、すなわちHFAおよびHFIPを含む液体フィード流に溶解している水素を含めて、水素は、0〜10%、好ましくは2〜6%の量で存在する。溶解度は圧力に依存する。
接触ステップは、フィード流の温度が75℃〜160℃、好ましくは100℃〜150℃、より好ましくは120℃〜140℃となるような温度で行われる。好ましい方法において、フィード流の温度は、水素化生成物流からの冷却装置中の熱を除去し、冷却された生成物流を接触ステップに再循環させることによって、連続操作中、設定または選択された温度に維持される。
HFIPは、溶媒とHFAの水素化の生成物との両方である。フィード流中のHFIPの濃度が高いほど、発熱性の水素化反応によるシステム中の温度を調節する能力が改善され、HFAの蒸気圧が実質的に低下する。
HFA、HFIP、および水素を含むフィード流は、触媒床断面積に対して10から320kg/分/フィート2(108から3440kg/分/m2)、好ましくは50〜250kg/分/フィート2(538から2690kg/分/m2)、最も好ましくは130〜200kg/分/フィート2(1400から2150kg/分/m2)の速度で触媒充填床反応器にフィードすることができる。
水素化
水素化ステップ(b)は、1つまたは複数の反応器中で行うことができる。1つを超える反応器を使用するとき、反応器を直列、並列、または並列と直列の両方に配列することができる。反応器は、充填床またはスラリー反応器とすることができる。
好ましくは、反応器は充填床反応器である。固定床反応器である充填床反応器の利点は、触媒から反応物質と生成物の分離が簡易であることである。
水素化ステップは、触媒が水素化ステップ中スラリーで存在する1つまたは複数の完全混合槽型反応器で行ってもよい。撹拌槽型反応器を使用するとき、触媒をバスケットに保持して、触媒を液体生成物流から分離するプロセス段階の追加を回避することができる。
HFA、HFIP、および溶解水素を含む液体フィード流を、1つまたは複数の反応器に導入し、そこでHFAの水素化が行われて、生成物流中にHFIPが生成する。
1つまたは複数の充填床反応器を使用するとき、反応器は向流構成または順流構成とすることができる。充填床に水素ガスが蓄積すると、湿潤触媒の有効表面積およびパス当たりの反応変換率を低下させるおそれがあるが、水素化ステップを向流構成で行うと、水素ガス蓄積の可能性を最小限に抑制する利点がある。水素化ステップを順流構成で行うと、充填床の流動化および触媒細粒同伴の可能性が最小限に抑制される。水素気泡が接触ステップ中に形成され、順流構成で操作が行われるとき、本方法は、好ましくは反応器の入口にある気体/液体分離装置中で水素気泡を分離するステップをさらに含む。
触媒床への液体フィードおよび触媒床の温度は、HFA変換率に大幅に影響を及ぼす。温度が高くなると、変換率が高くなる。触媒床温度は、75℃から160℃、好ましくは120℃から150℃である。温度が低くなると、変換率が低くなるが、温度が高くなると、過剰の圧力が生じ、触媒寿命の短縮または酸フッ化物副生成物の生成の可能性がある。
反応器中の作業圧力は、混合装置中の圧力と実質的に同じである。
生成物流はHFIPを含み、未反応の水素および/または未反応のHFAをさらに含むことがある。定常状態操作中に、この生成物流の一部分を、生成物流から例えば「T」またはスプリッターを介して側流として取り出し、接触ステップに再循環させることができる。この部分が、フィード流中に存在するHFIPのすべてまたは一部分を提供することができる。
断熱反応器構成では、再循環速度を高くすると、触媒床全体にわたる温度上昇が小さくなり、逆に再循環速度を低くすると、触媒床全体にわたる温度上昇が大きくなる。
本発明の水素化ステップは、接触ステップ(a)で生成された液体HFA/HFIP/水素フィード流を水素化触媒と接触させるステップを含む。このステップにおいて、HFIPはフィード混合物の溶媒または希釈液として働く。次いで、フィード流を水素化触媒と接触させる。
本発明の水素化ステップは、好ましくはフィードと水素を反応させるための触媒を充填した栓流型、管型、または他の固定床反応器など充填床反応器中で行われる。充填床反応器は、本明細書において上述したように単一の充填床、または直列もしくは並列に配列された複数の充填床、あるいはそれらの組合せとすることができると理解されたい。追加の水素は必要でなく、したがって細流床操作は回避される。
水素化ステップにおいて、フィード流(HFA/HFIP/水素混合物)は実質的に水素ガスを含まない液体フィード流である。フィード流は、HFAを水素およびHFIPと接触させて、水素飽和液体フィードを生成することによって生成することができる。あるいはまたはさらに、HFAと水素およびHFIPを接触させた後、分離ステップにおいて、例えば公知の気体/液体分離方法で水素ガスをフィード流から除去することができる。水素ガスを含まない液体フィード流を生成するプロセスは、米国特許第6,123,835号明細書;同第6,428,686号明細書;同第6,881,326号明細書;および同第7,291,257号明細書に開示されるものなど、公知である。
HFIP溶媒/希釈液に可溶な水素の百分率は、HFA反応物質に可溶な水素の百分率より高い。好ましくは、反応に必要とされる水素はすべて、充填床反応器の溶液上流で利用可能となり、したがって水素ガスを反応器内に循環させる必要がなくなる。
水素化反応は、極めて発熱性が大きく、その結果大量の熱が反応器中で発生する。反応器の温度は、リサイクル流を使用することによって制御することができる。一部分の反応器流出液を反応器の前面に戻してリサイクルし、新しいフィードおよび水素とブレンドすることができる。本方法は、直列に配列された2つ以上の反応器を使用した多段階方法とすることができ、新しい水素をそれぞれの反応器の入口で添加することができる。リサイクル流は、一部の熱を吸収し、反応器を介して温度上昇を低下させる。新しいフィード温度およびリサイクルの量を制御することによって、反応器温度を制御することができる。さらに、リサイクル流は、HFIPなど、反応させた成分を含むので、リサイクル流は、不活性希釈液としても働く。場合によっては、仕上げ用反応器を使用して、例えば少量の残留HFAを水素化することができる。
触媒
それぞれの反応器は、固定化された水素化触媒をその中に含む。「固定化された触媒」は、本明細書では、反応器内に床もしくはバスケット中などに保持され、またはその他の方法で反応器内の適切な位置に固定され、別の方法段階として液体生成物流から分離する必要がない静止触媒と定義される。触媒は、触媒金属または触媒金属の混合物を含む形成された触媒粒子である。触媒金属を、金属酸化物、混合金属酸化物、または炭素などの担体に分散してもよい。明確にするため、金属酸化物という用語はシリカを包含する。本明細書では、モノリス触媒も考えられる(例えば、米国特許第6,506,361号明細書を参照のこと)。
触媒金属は、水素化活性を有し(「活性金属」)、周期表の第IB、VIB、VIIBおよびVIII族の金属からなる群から選択される。好ましくは、触媒は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。より好ましくは、触媒はニッケルを含む。金属は、0価の酸化状態でも、酸化物などの化合物の形でもよい。金属は、担持されても、担持されなくてもよい。金属はラネー型であってもよい。
場合によっては、金属プロモーターを、本発明の方法において触媒金属と共に使用してもよい。好適な金属プロモーターとしては、スズ、銅、銀、および金が挙げられる。これらのプロモーターは、周期表の第VIII族金属と組み合わせて使用することができる。プロモーターは、典型的には触媒金属の約10重量%未満の量で使用される。
担体は、触媒の単位重量当たり高濃度の活性部位を実現することができる(外部および内部)全表面積の大きい多孔質固体である。担体は、好ましくは50nm以下である比較的小さい直径の孔を有することが好ましい。好ましい担体は20m2/gより大きい表面積を有し、より好ましくは、担体は75m2/gより大きい表面積を有し、さらにより好ましくは、担体は少なくとも100m2/gの表面積を有する。触媒の担体は、触媒金属の機能を高めることができる。担持触媒は、触媒金属がより効率的に使用されるので一般に好ましい。一般に、表面積は300m2/g未満である。
好適な担体としては、金属酸化物、複合金属酸化物、および炭素が挙げられる。酸化物担体としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、珪藻土、チタニア、チタニア−アルミナ、チタニア−シリカ、ジルコニア、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、および硫酸バリウムが挙げられる。炭素としては、活性炭、グラファイト、およびカーボンフィブリルナノチューブが挙げられる。担体の組合せを使用してもよい。好ましくは、担体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、活性炭、ケイ酸カルシウム、グラファイト、および珪藻土からなる群から選択される。より好ましくは、担体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ケイ酸カルシウム、および珪藻土からなる群から選択される。
触媒金属と担体の相対的割合は、クリティカルではないが、重要である。触媒金属が少なすぎる場合、初期の活性は所望の活性より低く、触媒が最高活性に到達するには長い活性化期間が必要となる可能性がある。金属の重量パーセントが高くなると、反応が速くなることを理解されたい。担持触媒中の触媒金属の好ましい含有量範囲は、担持触媒の全重量に対して約0.1重量%から約90重量%である。好ましくは、触媒金属の濃度は、約0.2重量%から約75重量%である。より好ましくは、触媒金属の濃度は、約0.5重量%から約60重量%である。
特に、触媒金属またはその酸化物と担体構造が、例えばスピネル相を形成することによって相互作用すると、より高濃度の触媒金属が必要である。より高濃度というのは、触媒金属含有量が、好ましくは担持触媒の全重量に対して45から60重量%であることを意味する。非相互作用型担体については、金属濃度がより低く、好ましくは担持触媒の全重量に対して0.5から10重量%の触媒金属である。相互作用型担体としては、ニッケルおよびコバルトを含めてある種の触媒金属の場合アルミナおよびシリカが挙げられる。非相互作用型担体としては、パラジウムおよび白金の場合アルミナ、ならびにニッケルおよびコバルトの場合ジルコニアが挙げられる。当業者は、どの担体がどの金属と相互作用するかを認識し、それに応じて触媒金属/担体組成物を選択するであろう。
触媒は、粒子、好ましくは造形粒子の形をとる。「造形粒子」は、触媒が押出物の形をとることを意味する。押出物としては、円柱、ペレット、または球体が挙げられる。円柱形状は、1つまたは複数の補強リブを備えた中空内部であってもよい。三葉形、クローバ葉形、長方形および三角形形状のチューブ、十字形、ならびに「C」字形状の触媒を使用することができる。
好ましくは、充填床反応器を使用するとき、触媒粒子は直径が約0.01から約0.5インチ(約0.25から約13mm)である。より好ましくは、触媒粒子は直径が約1/32から約1/4インチ(約0.79から約6.4mm)である。
触媒は、多数の業者から市販されている。あるいは、当技術分野で公知の種々の方式で触媒を調製することができる。様々な触媒、例えば三葉形Engelhard 1/16インチ(1.6mm)3F Ni−3288 E(Ni/混合酸化物担体)、または珪藻土担持ニッケル触媒もしくはアルミナ担持ニッケル触媒などの他の不活性担体担持ニッケル触媒を使用することができる。Johnson Matthey HTC Ni500RP三葉形触媒(Ni/アルミナ)など、他の触媒および触媒粒子形状を使用してもよい。プロセス環境で安定である表面積の大きい不活性担体に担持させた、本発明の方法に適した上記の金属触媒を代用してもよい。
広範囲の好適な触媒濃度を使用することができる。反応器当たりの触媒量は、一般に反応器のタイプに依存する。充填床反応器の場合、反応器当たりの触媒の体積は大きいが、スラリー反応器の場合、触媒の体積はより小さい。典型的には、スラリー反応器の場合、触媒は反応器容量の0.1から約30重量%を占める。好ましくは、触媒は反応器容量の1から15重量%である。
触媒再生
触媒の失活は、触媒寿命の不可欠な部分である。したがって、触媒再生は、方法全体の経済面において重要な役割を果たす。本発明において、触媒があるレベルまで失活した後、すなわちHFAの変換率および/またはHFIPの選択性が予め定められた値を下回った後、触媒を再生できることが有利である。触媒を再生することができ、その活性および選択性を実質的にその元の値にもどすことができる。
触媒の再生プロセスは、触媒を水素の存在下に高い温度および圧力で処理し、触媒を酸素含有ガスの存在下に高温で場合によっては処理し、続いて水素処理を高い温度および圧力で行うステップを含む。
回収プロセス段階
生成物流は、定常状態操作中に反応器から連続的に除去される。定常状態では、HFA添加速度を生成物流除去(抜取)速度と一致させることができる。HFA添加速度および生成物流除去速度は、再循環の流れをもたらす。
HFIPは、通常の方法で、HFIPを含む生成物流から回収される。この流は、未反応の水素および/または未反応のHFAをさらに含むことがある。生成物流を冷却し、次の精製のために流の圧力を下げる。したがって、回収ステップは、生成物流を冷却し、生成物流の圧力を下げるステップを含む。冷却し、圧力を下げた流を、次いで気体/液体分離装置にフィードし、HFIPを含む液体流から気相中の水素および少量のHFAおよび/またはHFIPを分離する。さらなる精製は、当業者に公知である蒸留または他の精製方法とすることができる。
勝原の米国特許第4,564,716号明細書に記載されるプロセスと比べて、初期のスタートアップ後に、本発明の連続方法は、常に操作温度で行われ、固定化触媒の利点を有する。固定化触媒の使用によって、ルーチンの触媒取扱い、濾過機器の必要性はなくなり、反応器の全生産性が増加するので、より小さい体積の反応機器が必要になる。液体HFIP流を反応器システムを介して再循環させると、触媒表面への物質移動速度が高くなり、必要とされる触媒の量が最小に抑制され、充填床中のホットスポットの形成が防止され、触媒寿命が改善される。反応器中のHFA濃度は2%以下とすることができるので、HFAを直接水素化することができ、HFAからHFA水和物を作製する必要がなくなる。HFAは毒性および低沸点であるため、このような低濃度ではHFAがより容易にかつ安全に取り扱われる。バッチ式反応器では、初期のHFA濃度がはるかに高くなる。本発明の方法におけるHFA濃度が低下(1桁を超えて低下)すると、HFAの安全性、健康、および環境にとっての危険要因が低減される。
河合らの英国特許第2,073,181号明細書に記載されるプロセスに比べて、本発明の再循環液相プロセスは利点を有する。反応器全体にわたる比較的低い温度上昇により、水素化ステップにおいて優れた温度制御が可能になり、フッ化水素酸生成を含めて、副生成物生成が最小限に抑制され、かつ触媒寿命が改善される。
図1に基づく方法の説明
本発明の方法は、例えば図1に示す機器で影響を受ける可能性がある。当業者は、多くの構成要素が、図1に具体的に示されるものから容易に変更されることを認識するであろう。したがって、図1は、本発明の液相触媒水素化方法を限定するものではない。方法の重要な品目は、混合装置、反応器、再循環ループ、および生成物流の気体/液体分離装置への抜取装置を備えた再循環水素化システムを含む。スタートアップ時には、システムにはHFIPが充填されている。
次に、図1に示すシステムで本発明の方法の一般操作を説明する。図1は、本発明の方法で使用するのに適した反応器システムの簡略線図である。混合装置1は、機械撹拌槽、液体表面に衝突する液体を流出する噴出口、または1つもしくは複数の静止型混合装置の両側にあるT字管からなることができる。例示するように、混合装置1はオートクレーブである。混合装置1には、水素、HFIP、およびHFAを含む液体が入っている。HFIPおよびHFAを含む水素で飽和された液体流2は、ポンプとして示される移動装置3にフィードされる。混合装置1において、水素物質移動抵抗を防止するのに十分な物質移動を提供することによって、混合装置1中の液体は水素で飽和される。混合装置1は、水素気泡を流2から分離して、移動装置3または充填床反応器5へのガス同伴を最小限に抑制することも行う。
移動装置3は、触媒粒子(図示せず)を入れた充填床反応器5に、液体流4をフィードする。液体流4は、水素、HFA、およびHFIPを含む。充填床反応器5において、HFAの発熱性水素化によりHFIPが生成される。充填床反応器5は単一反応器として示されているが、直列、並列、または直列と並列の両方に配列された複数の充填床を使用してもよい。場合によっては、複数の反応器を使用するとき、反応器システムは、中間水素フィードシステムおよび中間混合装置を個々の充填床間に備えてもよい。それぞれの充填床は、断熱操作が行われるはずである触媒粒子を充填した配管系統、またはチューブ内に触媒を入れたシェルエンドチューブ式熱交換器など、ほぼ等温の操作を可能にする熱伝達装置で構築することができる。
充填床反応器5から、生成物流6が出る。再循環ループは、混合装置1に返流するための側流7として生成物流6の一部分を分流させることによって形成される。流7にリサイクルされる流6の分画を表す流6の割合は、充填床反応器5の構成および所望のHFIP生産速度に応じて、0と1との間のどこでもよく、すなわち、流6はまったく分流されず、または流6はすべて、流7として分流される。
再循環冷却装置8を使用して、望むなら側流7から反応熱を除去することができる。冷却材供給流10を再循環冷却装置8にフィードして、側流7から熱を除去する。冷却材は、冷却材返流11として再循環冷却装置8を出るが、熱交換器または他の好適な装置(図示せず)を介してリサイクルすることができる。側流7は、冷却された後、冷却されたリサイクル流9になり、再循環冷却装置8を出て、混合装置1に返流される。
熱流体を熱媒体供給流12として混合装置1にフィードし、混合装置1の内容物を加熱する。熱流体は、熱媒体返流13として混合装置1を出るが、熱交換器または他の好適な装置(図示せず)を介してリサイクルすることができる。例示する熱流体ではなく、電気などの代替策を使用して、混合装置1に熱を供給できることが認められる。混合装置1中の液体の温度は、混合装置1への熱媒体供給流12および熱媒体返流13中の熱流体の流れを調整することによって、または再循環冷却装置8への冷却材供給流10および冷却材返流11中の冷却材の流れを調整することによって、反応温度設定点で制御される。
水素は、システム圧力を所望の設定点に維持するのに必要とされる水素含有ガス流14として、混合装置1にフィードされる。HFAは、液体HFA流15として、例えば1つまたは複数の定量ポンプとすることができる移動装置16にフィードされる。移動装置16から、液体HFA流17が混合装置1にフィードされて、所望のHFIP生産速度が得られる。
生成物流6から側流7を取り除いた後、生成物流21が生成物流冷却装置19にフィードされる。生成物流冷却装置19を使用して、生成物温度を下げ、圧力を下げたときプロセスからのHFIP損失を最小限に抑制することができる。冷却材供給流18を生成物流冷却装置19に供給して、生成物流21から熱を除去する。冷却材は、冷却材返流20として生成物流冷却装置19を出るが、熱交換器または他の好適な装置(図示せず)を介してリサイクルすることができる。
生成物流21を生成物冷却装置19の上流にある仕上げ用反応器(図1に図示せず)にフィードして、生成物流21中に存在するHFAをさらに低減し、ひいては最終HFIP生成物中のHFA濃度を低減することができる。
生成物流21は、生成物流冷却装置19中で冷却され、冷却された生成物流22になる。冷却された生成物流22は減圧装置23にフィードされる。減圧装置23は、制御弁など好適な任意の減圧装置とすることができる。減圧装置23は冷却された生成物流22の圧力を下げて、生成物流24をもたらす。減圧装置23を使用して、生成物流24の流量を、混合装置1中の液体レベルが設定点に維持されるように調整することができる。減圧装置23を出た生成物流24は、気体/液体分離装置25にフィードされ、ガス流26および液体HFIP生成物流27がもたらされる。ガス流26は主に水素を含むと共に、微量のHFAおよびHFIPを含む。ガス流26はガス洗浄機に移送される。液体HFIP生成物流27は気体/液体分離装置25を出て、回収され、その後に精製される。
材料および試験方法
Engelhard 1/16インチ(1.6mm)3F Ni−3288 E三葉形触媒は、Engelhard(DeMeem,Netherlands)から得られた三葉形のニッケル担持触媒である。担体は、ベントナイト粘土およびアルミナを含む金属酸化物の混合物である。
Johnson Matthey HTC Ni500RP触媒は、Johnson Matthey Chemicals(Emmerich am Rhein,Germany)から得られた、三葉形のニッケル/酸化ニッケル担持触媒である。担体はアルミナである。
HFAおよびHFIPは、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から得られた。
以下の実施例で使用される好ましい方法のスタートアップ手順および連続操作手順を説明する。実施例は、使用される方法変数を提供する。
実施例は、図1の反応システムと同様の反応システムで行われる。混合装置1は、攪拌装置、加熱手段を装備した設計圧力2000psig(13.9MPa)の1リットルの316ステンレス鋼製オートクレーブであった。Iscoシリンジポンプ16 Model 1000Dを使用して、HFAをオートクレーブにフィードした。ポンプ3は、設計圧力1500psig(10.4MPa)のLewa Ecoflow 319ステンレス鋼製ダイヤフラムポンプであった。反応器5は、16×1インチ(40.6×2.54cm)の316ステンレス鋼製Schedule 80パイプであった。生成物は、容量2.25Lの17×4インチ(43.2×10.2cm)の304ステンレス鋼製気体/液体分離装置25に回収した。使用した触媒は、Engelhard 1/16インチ(1.6mm)3F Ni−3288 E三葉形触媒(41.5g)およびJohnson Matthey HTC NI500 RP三葉形触媒(39.2g)であった。
実施例の方法において、液体HFIP(1.4kg)をオートクレーブ1に加えた。ポンプ3を使用して、HFA、HFIP、および水素を含む液体流2をフィードし、フィード流4を触媒粒子が事前に加えられている充填床反応器5にフィードした。反応器を出た液体生成物流6を側流7に分流し、混合装置1にフィードバックした。電熱を混合装置1に供給して、液体内容物を加熱し、液体温度を反応温度設定点に制御した。
混合装置1の圧力を所望の設定点に維持するのに必要とされる水素供給流14を混合装置1にフィードすることによって、混合装置1中の液体を水素で飽和した。混合装置1へのHFAフィード17の速度を所望の流量に制御する移動装置16を介して、液体HFAフィード流15をフィードした。
冷却材供給流18は、生成物冷却装置19中の生成物流21を冷却し、生成物冷却装置19から冷却材返流20を流出した。混合装置1のレベルを設定点に維持するのに必要とされる、主成分のHFIPと過剰の水素とを含む生成物流21を、充填床反応器5の出口から抜き出した。生成物流22が生成物冷却装置19を通過すると、流温度が下がり、システムの圧力を下げたときプロセスからの生成物損失が最小限に抑制される。制御弁を出た圧力の下がった流24が気体/液体分離装置25に移送される前に、冷却された生成物流22を制御弁減圧装置23にフィードした。分離装置から、主成分の過剰の水素と微量のHFAおよびHFIPとを含有するガス流26をガス洗浄システム機に移送した。液体HFIP生成物27を分離装置から回収し、その後に精製した。
実施例で使用される充填床向流反応器は、内径0.834インチ(2.12cm)および全長10.5インチ(26.7cm)の外径1インチ(2.54cm)のステンレス鋼製チューブを備えた。入口温度および床全体にわたる床の温度を測定するための多素子熱電対を反応器に設置した。触媒床自体は、6インチ(15.2cm)で、1/16インチ(1.6mm)Ni−32880E三葉形触媒(全重量41.5g)からなるものであった。触媒保持メッシュスクリーンを触媒床の頭頂部および底部に直接使用して、主な触媒粒子を適切な位置に保持した。床全体にわたって均一な流動パターンとなるように、1/8インチ(3.2mm)ステンレス鋼製ボールの深さ2から2.5インチ(5.09から6.35cm)の区域をメッシュスクリーンの上および下に配置した。最後に、100マイクロメートルの多孔質金属担体を、フィード入口および生成物出口に隣接した反応器の底部および頭頂部に設置して、内容物を支持し、触媒細粒を反応器内に保持した。
実施例2では、向流構成の代わりに順流構成で反応器を使用した点以外は上述されたのと同じ反応器構成を使用した。床の頭頂部から、反応器フィードを入れ、床の底部から、生成物を取り出した。
実施例9では、6インチ(15.2cm)のJohnson Matthey HTC Ni500 1.2RP三葉形触媒(全重量39.16g)を使用した点以外は本質的に同じ向流反応器構成を使用した。
実施例1
1400gのHFIPを混合装置に加えた。撹拌速度を800回転/分(以降、「rpm」)に設定した。41.5gのEngelhard 1/16インチ(1.6mm)3F Ni−3288 E三葉形触媒を充填床に加えた。表1に詳述するように、条件は以下の通りであった。HFAフィード速度は150g/時であり、反応温度は120℃であり、混合装置圧力は、水素添加を制御することによって600psig(4.24MPa)に維持し、再循環流量は100mL/分であった。充填床中の循環は向流構成であった。定常状態に達した後、実行条件を3時間保持した。11℃の温度上昇が、入口から出口まで充填床全体にわたって観察された。表1に要約されるように、全HFAモル変換率は99.94%であり、残留HFA濃度の測定値は627mg/kgであった(ガスクロマトグラフィーで測定、「GC」面積%)。HFIP生成物の(GC面積%による)純度および対応するHFIP収率は98.74%であった。実行結果を表2に要約する。
実施例2
充填床中の循環が順流構成であった点を除いて、条件はすべて、実施例1と同じであった。定常状態における実行時間は6時間であった。9℃の温度上昇が充填床全体にわたって観察された。全HFAモル変換率は99.93%であり、残留HFA濃度は699mg/kgであった(GC面積%による)。実行結果を表2に要約する。
実施例3〜8
表1に示した点を除いて、条件はすべて、実施例1と同じであった。実行結果を表3に要約する。
実施例9
触媒が39.2gのJohnson Matthey HTC Ni500RP三葉形触媒(Ni/アルミナ)であった点を除いて、条件はすべて、実施例1と同じであった。定常状態における実行時間は6.5時間であった。7℃の温度上昇が充填床全体にわたって観察された。(GC面積%による)HFIP生成物の純度は99.61%であり、(GC面積%による)残留HFA濃度は14mg/kgであった。全HFAモル変換率は99.99%より高かった。実行結果を表3に要約する。
Figure 2011523957
Figure 2011523957
表2から、HFIPリサイクルを伴う連続反応器によって、広範囲の操作条件で高いHFA変換率(>99.5%)と共に高いHFIP収率を実現できることがわかる。この性能は、向流操作と順流操作の両方で、かつ異なる触媒で得ることができる。HFIPリサイクルによって、試験されたリサイクル速度が最も遅い場合でさえ、断熱充填床全体にわたって温度上昇が小さくなる(<15℃)。

Claims (10)

  1. ヘキサフルオロイソプロパノールを生成する連続方法であって、
    (a)ヘキサフルオロアセトンを、混合装置中でヘキサフルオロイソプロパノールおよび水素と接触させて、液体フィード流を生成する工程と、
    (b)固定化された水素化触媒が入っている反応器に前記液体フィード流を導入して、前記ヘキサフルオロアセトンをヘキサフルオロイソプロパノールに変換し、生成物流を形成する工程と、
    (c)前記生成物流から前記ヘキサフルオロイソプロパノールの少なくとも一部を回収する工程と
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 工程(a)の前に、前記混合装置および前記反応器にヘキサフルオロイソプロパノールを充填する工程を含むスタートアッププロセスをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)において、水素で飽和されたヘキサフルオロアセトンおよびヘキサフルオロイソプロパノールの溶液を生成するための量および速度で水素を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 水素が、2.17〜13.9MPaの圧力を維持するようにフィードされることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程(a)において水素気泡を形成し、工程(b)の前に前記気泡を分離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. フィード流中のヘキサフルオロイソプロパノールの濃度が85から98モル%であり、ヘキサフルオロアセトンの濃度が2から15モル%であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 接触工程を、フィード流の温度が75℃〜160℃となるような温度で行い、水素化工程(b)を75℃〜160℃の触媒床温度で行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記触媒が触媒金属および担体を含み、前記触媒が触媒金属を含み、前記触媒金属が、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択され、前記担体が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、活性炭、ケイ酸カルシウム、グラファイト、および珪藻土からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記触媒の触媒金属含有量が、前記触媒の全重量を基準として45から60重量%であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記触媒の触媒金属含有量が、前記触媒の全重量を基準として0.5から10重量%であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
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