JP2011521945A - 薬物送達システム - Google Patents
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Abstract
本発明は、(a)生体適合性重合体と、(b)前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基を含む薬物送達システムに関する。本発明により製造された、疎水性基がコンジュゲーションされた生体適合性重合体からなる薬物送達システムは、水に対する溶解度が非常に低い合成薬物の吸着に有用に使用できる。また、本発明による薬物送達システムは、高分子物質にコンジュゲーションされた疎水性基の含量調節を通じて、吸着された薬物の放出速度などを調節することができる長所がある。したがって本発明は、今後新しく開発される疎水性合成薬物や、既に開発が完了されたものの、低い生体利用率問題により開発に困難を抱えている薬物を対象に適用が可能な汎用的基盤技術(broad-spectrum platform technology)を提供する。本発明による薬物送達システムは、生体利用率の低い疎水性薬物を薬物送達システムと吸着させて、体内への伝達を可能にすると同時に、体内で薬物の徐放出性特性を有することにより、将来患者たちに相当な治療便宜性を提供することができる。
本発明による薬物送達システムは、蛋白質医薬品にも適用が可能である。毎日あるいは2〜3日に1回ずつ注射投与をしなければならない、特許満了された1世代蛋白質薬物は、これまで患者便宜性改善のために努力した結果、最近は、1週に1回乃至一ヶ月に1〜2回投与する2世代注射剤形まで開発されて市販されている。本特許上の1世代蛋白質とは、遺伝子組み換え技法で製造されて商業化された天然型蛋白質に基づいた生物医薬品を意味し、2世代蛋白質とは、このような1世代蛋白質の体内半減期の増加または徐放出を通じての治療期間の延長効果などの目的で、剤形技術あるいは分子構造の変形により改善された生物医薬品(Biopharmaceuticals)を意味する。本発明は、蛋白質自体の変形や特別な分子構造の導入を要求する既存の技術とは違って、1世代または2世代蛋白質薬物を、薬物送達システムと単純混合及び吸着して使用することにより、このような目的を容易に達成できる強力な手段を提供している。したがって、本発明による技術を蛋白質薬物に適用する場合、次世代薬物開発期間が非常に短縮できるはずであり、疎水性合成薬物の利用価値向上にも効果的に寄与することができる。究極的には、本発明の技術は、製品競争力のある徐放出型蛋白質及び合成医薬品などの新薬開発に非常に有用に適用できる。
本発明による薬物送達システムは、蛋白質医薬品にも適用が可能である。毎日あるいは2〜3日に1回ずつ注射投与をしなければならない、特許満了された1世代蛋白質薬物は、これまで患者便宜性改善のために努力した結果、最近は、1週に1回乃至一ヶ月に1〜2回投与する2世代注射剤形まで開発されて市販されている。本特許上の1世代蛋白質とは、遺伝子組み換え技法で製造されて商業化された天然型蛋白質に基づいた生物医薬品を意味し、2世代蛋白質とは、このような1世代蛋白質の体内半減期の増加または徐放出を通じての治療期間の延長効果などの目的で、剤形技術あるいは分子構造の変形により改善された生物医薬品(Biopharmaceuticals)を意味する。本発明は、蛋白質自体の変形や特別な分子構造の導入を要求する既存の技術とは違って、1世代または2世代蛋白質薬物を、薬物送達システムと単純混合及び吸着して使用することにより、このような目的を容易に達成できる強力な手段を提供している。したがって、本発明による技術を蛋白質薬物に適用する場合、次世代薬物開発期間が非常に短縮できるはずであり、疎水性合成薬物の利用価値向上にも効果的に寄与することができる。究極的には、本発明の技術は、製品競争力のある徐放出型蛋白質及び合成医薬品などの新薬開発に非常に有用に適用できる。
Description
本発明は、薬物送達システムに関する。より詳細には、本発明は、蛋白質、ペプチド及び疎水性薬物を運搬するための薬物送達システムに関する。
合成医薬、特に水に対する溶解度が極めて低い疎水性の合成薬物は、それ自体の薬効性は非常に優れているが、生体利用率は極めて低く、これを生体内に効果的に伝達しながらも、同時に体内利用率を高めるために、製薬業界及び学界では絶えまない努力を尽くしてきた。
例えば、1967年Research Triangle Institute(RTI)で最初に発見したパクリタキセル(paclitaxel)は、肺癌、乳癌、卵巣癌及び進展されたカポシ肉腫などに対する広範囲抗癌剤として使用され、1992年米国で販売承認を受けた代表的な抗癌剤である。商品名タキソールとしてもよく知られたこの抗癌剤は、イチイの皮から発見される天然抗癌物質であって、癌細胞のβ−チューブリン(β-tubulin)に結合し、癌細胞内微細繊維(microtubules)の結合及び解離活動を邪魔することにより、癌細胞の増殖活動を抑制する。優れた抗癌性を有しているにもかかわらず、パクリタキセルは、水に対する溶解度が極めて低く(0.3g/mL)、注射剤として開発するには困難を抱えている。
前記の問題点を克服するために、最近開発された方法は、薬物をクレモフォア(cremophore)ELとエタノールの50:50混合物に分散して、これを生理食塩水で希釈して静脈投与する方法である。しかし、水溶液に希釈されたパクリタキセルは、物理的安定性が12〜24時間に過ぎず、結局は沈殿化が進行され、生体利用率が非常に低下するようになる。このように、抗癌剤を始めとした一部合成薬物が示す高い疎水性は、成功的な医薬品開発に大きい障害要素として作用する(Biomolecules 8: 202-208(2007))。
一方、疎水性抗癌剤のような合成薬物に比べて相対的に高い受容性を有した蛋白質医薬品は、水に対する溶解度改善よりは、患者の便宜性増大観点で薬物送達システムの導入を積極推進してきた。即ち、これは、頻繁に注射を打たれなければならない不便を改善するもので、毎日注射または2〜3日毎に1回注射する形態から、究極的に週1回以上または一ヶ月に1〜2回という方式に変更するなど、最終の薬物使用者の便宜性改善に目標をおいている。また、剤形観点では、注射直後薬物の初期過多放出を制限することにより、薬物の過多放出(initial burst)による副作用を最小化する技術が要求されている状況である。
最近、このような技術的目的を達成するために、様々な新技術が開発されたが、まず1)蛋白質薬物自体のアミノ酸配列を一部変形して適用する技術、2)蛋白質薬物にPEGまたは抗体のFc部位などをコンジュゲーションさせて体内における半減期を延長する技術、3)蛋白質結晶化技術を通じて体内で徐放出を具現する技術、4)新規蛋白質剤形を通じて究極的に蛋白質薬物の徐放出効果を誘導する技術、5)鼻、口腔粘膜または経口投与を通じて体内吸収を誘導する技術などが蛋白質医薬品開発に適用されてきた。
特に、このような目的を達成するための研究開発方向として、生分解性または生体適合性に優れた高分子物質を利用して薬物伝達に応用しようとする努力は絶え間なく展開されている。
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
本発明者らは、薬物自体の疎水性により水に対する溶解度が低くて、薬物としての利用価値が低い合成医薬の利用価値を高めると同時に、水溶性の蛋白質医薬品に対して非常に安定的に体内に薬物を伝達するような薬物送達システム(DDS)を開発するために鋭意研究した。特に、治療目的上、薬物が頻繁に注射されるべき場合において、本発明は、注射頻度を短縮しながら、体内で長期間薬物の徐放出効果を誘導する薬物送達システムを開発するために鋭意研究した。その結果、生体適合性高分子に疎水性基を導入して薬物送達システムを製造し、これに薬物を搭載する場合は、薬物送達システムに高い効率で薬物が吸着されて運搬されて、薬物の徐放性が達成されることを確認することにより、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、薬物送達システムを提供することにある。
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
本発明の様態によると、本発明は、(a)生体適合性重合体と、(b)前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基を含む薬物送達システムを提供する。
本発明者らは、薬物自体の疎水性により水に対する溶解度が低くて、薬物としての利用価値が低い合成医薬の利用価値を高めると同時に、水溶性の蛋白質医薬品に対して非常に安定的に体内に薬物を伝達するような薬物送達システム(DDS)を開発するために鋭意研究した。特に、治療目的上、薬物が頻繁に注射されるべき場合において、本発明は、注射頻度を短縮しながら、体内で長期間薬物の徐放出効果を誘導する薬物送達システムを開発するために鋭意研究した。その結果、生体適合性高分子に疎水性基を導入して薬物送達システムを製造し、これに薬物を搭載する場合は、薬物送達システムに高い効率で薬物が吸着されて運搬されて、薬物の徐放性が達成されることを確認した。
本発明の薬物送達システムは、生体適合性重合体と、前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基を含む。
本発明で利用できる生体適合性重合体(biocompatible polymer)は、当業界で通常的に利用されるあらゆる生体適合性重合体を含む。
好ましくは、本発明に適した生体適合性重合体は、合成重合体または天然重合体である。
本発明の好ましい具現例によると、前記生体適合性重合体としての合成重合体は、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート;PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4−ヒドロキシ酸)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリアンヒドライド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(チロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリフォスファゼン、PHA−PEG、エチレンビニールアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、シリコン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−アルファオレフィン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、アクリル重合体及び共重合体、ビニールハライド重合体及び共重合体、ポリビニールクロライド、ポリビニールエーテル、ポリビニールメチルエーテル、ポリビニリデンハライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロアルケン、ポリパーフルオロアルケン、ポリアクリロニトリル、ポリビニールケトン、ポリビニールアロマチックス、ポリスチレン、ポリビニールエステル、ポリビニールアセテート、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂とエチレン−ビニールアセテート共重合体、ポリアミド、アルキド樹脂、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリアクリル酸−co−マレイン酸である。
本発明の好ましい具現例によると、前記生体適合性重合体としての合成重合体は、生分解性/生体適合性重合体であり、これは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート;PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4−ヒドロキシ酸)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリアンヒドライド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(チロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリフォスファゼン及びPHA−PEGを含む。
本発明の好ましい具現例によると、前記生体適合性重合体としての天然重合体は、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、アルギネート、イヌリン、デンプンまたはグリコゲンであり、より好ましくは、キトサンまたはセルロースであって、最も好ましくは、キトサンである。
本発明で生体適合性重合体を表現するために使用される用語は、その誘導体を包括する。例えば、用語‘セルロース’及び‘デキストラン’は、その誘導体であるカルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルデキストランを包括する意味を有する。
本発明で利用される生体適合性重合体は、特に制限された分子量を有せず、好ましくは、1,000kDa以下、より好ましくは、300kDa以下、最も好ましくは、100kDa以下の平均分子量を有する。各高分子物質の特性及び吸着しようとする蛋白質または合成薬物の物性などを考慮し、最終目的に合わせて選択して薬物送達システムを製造することができる。
本発明の最も大きい特徴は、薬物送達システムに利用される生体適合性重合体に疎水性特性を有するグループをコンジュゲーションさせることである。
本発明に適した疎水性基は、特に制限されず、好ましくは、炭素数4個以上の脂肪族化合物または芳香族化合物である。
炭素数4個以上の脂肪族化合物が疎水性基に利用される場合、好ましくは、炭素数5個以上の脂肪族化合物、より好ましくは、炭素数5〜30個、最も好ましくは、炭素数5〜20個の脂肪族化合物が利用される。
本発明の好ましい具現例によると、疎水性基は、1〜3個(好ましくは、1〜2個)のフェニル基を有する芳香族化合物である。
本発明の好ましい具現例によると、重合体にコンジュゲーションされた疎水性基は、炭素数4個以上のアルキル、炭素数4個以上のアルケニル、炭素数3個以上のシクロアルキル、炭素数4個以上のアルコキシ、アリール、カルボキシアリール、アリールホスフェート、アリールアミン、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルケニルまたはアルキルアリールである。
用語‘アルキル’は、指定された炭素数を有する直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を意味する。用語‘アルケニル’は、指定された炭素数を有する直鎖または分岐鎖不飽和炭化水素基を示す。用語‘シクロアルキル’は、指定された炭素数を有するサイクリック炭化水素ラジカルを意味し、好ましくは、‘C3〜C8シクロアルキル’であり、これは、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルを含む。用語‘アルコキシ’は、−Oアルキル基を意味する。
用語‘アリール’は、全体的にまたは部分的に不飽和された置換または非置換のモノサイクリックまたはポリサイクリック炭素環を意味し、例えば、モノアリールまたはビアリールである。モノアリールは、炭素数5〜6を有することが好ましく、ビアリールは、炭素数9〜10を有することが好ましい。最も好ましくは、前記アリールは、置換または非置換されたフェニルである。モノアリール、例えば、フェニルが置換される場合は、多様な位置で多様な置換体により置換がなされるが、例えば、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C4置換または非置換された直鎖または分岐鎖アルキル、C1−C4直鎖または分岐鎖アルコキシ、アルキル置換サルファニル、フェノキシ、C3−C6シクロへテロアルキルまたは置換または非置換アミノ基により置換可能である。ビアリール、例えば、ビフェニル(ジフェニル)またはナフチルは、多様な位置で多様な置換体により置換が可能であって、好ましくは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C4置換または非置換された直鎖または分岐鎖アルキル、C1−C4直鎖または分岐鎖アルコキシ、または置換または非置換アミノ基により置換可能であって、より好ましくは、アルキル基置換アミノ基により置換可能である。
用語‘ヘテロアリール’は、ヘテロサイクリック芳香族基であって、ヘテロ原子としてN、OまたはSを含むものである。好ましくは、ヘテロアリールは、ヘテロ原子としてNを含むヘテロビアリールである。
用語‘アリールアルキル(アラルキル)’は、一つまたはそれ以上のアルキル基による構造に結合されたアリール基を意味し、好ましくは、ベンジル基である。用語‘アルキルアリール’は、一つまたはそれ以上のアリール基からなる構造に結合されたアルキル基を意味する。用語‘アリールアルケニル’は、一つまたはそれ以上のアルキル基による構造に結合されたアリール基を意味し、例えばフェニルエテニル基である。
より好ましくは、重合体にコンジュゲーションされた疎水性基は、アリール、カルボキシアリール、アリールホスフェート、アリールアミン、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルケニルまたはアルキルアリールであり、より好ましくは、アリール、最も好ましくは、モノアリールまたはビアリールである。
本発明の薬物送達システムを他の方式で表現すると、生体適合性重合体は、アミノ基を有しており、前記疎水性基は、前記アミノ基にアミド(amide)結合されており、前記薬物送達システムは、下記化学式Iで表される:
(式中、R1は、生体適合性重合体の主骨格を示し、R2は、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルケニルまたはアルキルアリールである。)
生体適合性重合体にコンジュゲーションされているアミノ基は、重合体が元々有していた作用基であるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入された作用基である。疎水性基にあるC=Oは、疎水性基由来のものであるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入されたものである。
生体適合性重合体にコンジュゲーションされているアミノ基は、重合体が元々有していた作用基であるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入された作用基である。疎水性基にあるC=Oは、疎水性基由来のものであるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入されたものである。
選択的に、生体適合性重合体は、カルボキシル基を有しており、前記疎水性基は、前記カルボキシル基にアミド(amide)結合されており、前記薬物送達システムは、下記化学式IIで表される:
(式中、R1は、生体適合性重合体の主骨格を示し、R2は、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルケニルまたはアルキルアリールである。)
化学式IIで生体適合性重合体にコンジュゲーションされているN−Hは、疎水性基由来のものであるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入された作用基である。疎水性基にあるアミノ基は、重合体が元々有している作用基であるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入されたものである。
化学式IIで生体適合性重合体にコンジュゲーションされているN−Hは、疎水性基由来のものであるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入された作用基である。疎水性基にあるアミノ基は、重合体が元々有している作用基であるか、あるいは他の物質(例えば、リンカー)により導入されたものである。
本発明の具体的な具現例を、幾つかの物質に限定して反応式1を参照して説明すると、以下のようである:
本発明の薬物送達システムの製造に適用が可能な陽イオン性(アミン基)生体適合性天然高分子は、キトサン及びキトオリゴ糖(chitooligosaccharide)物質が使用できる。
本発明による高分子にコンジュゲーションされる疎水性結合基は、モノフェニル基またはジフェニル基(C6H5-C6H5)を有する供与体(donor)が使用できる。疎水性結合基の選択及びコンジュゲーションは、高分子の構造的特徴や吸着させようとする薬物の特性、そして最終的に製造された薬物送達システムの全般的な物性などを考慮し、薬物送達システムの構成によって選択して組み合わせて使用することができる(参照:反応式1)。
アミン基を有した高分子物質にコンジュゲーションできる適した疎水性結合基は、安息香酸(benzoic acid)、ジフェニルホスフェート(diphenyl phosphate)、3,3−ジフェニルプロピオン酸(3,3-diphenylpropionic acid)、2−フェニルアセト酸(2-phenylacetic acid)、ジフェニルアセト酸(diphenylacetic acid)などが使用できる。
カルボキシル基を有した高分子にコンジュゲーションできる適した疎水性結合基は、2,2−ジフェニルエチルアミン(2,2-diphenylethylamine)、1,2−ジフェニルエチルアミン(1,2-diphenylethylamine)、3,3−ジフェニルプロピルアミン(3,3-diphenylpropylamine)、2−アミノビフェニル(2-aminobiphenyl)、アミノジフェニルメタン(aminodiphenylmethane)、ベンジルアミン(benzylamine)、ジフェニルアミン(diphenylamine)、フェニルベンジルアミン(N-phenylbenzylamine)などが使用できる。
本発明で使用する高分子物質と疎水性基のコンジュゲーションにはカルボジイミド(carbodiimides)を使用する。コンジュゲーション反応に使用されるカルボジイミドとしては、EDC(or EDAC; 1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride)、EDC/sulfo-NHS (N-Hydroxysulfosuccinimide)、CMC (1-cyclohexyl-3-(2-morpholinoethyl)carbodiimide)のような水溶性物質の他にDCC(dicyclohexyl carbodiimide)、DIC(diisopropyl carbodiimide)のような非水溶性物質が単独または適切な条件下で水溶性/非水溶性物質の適切な組み合わせを通じて使用できる。
以上のように、本発明における高分子鎖にコンジュゲーションできる選択的な疎水性結合基は、体内で高分子が分解されるかコンジュゲーション部位が加水分解されて、疎水性結合基が遊離された時、体内で深刻な毒性を示さない物質などから構成される。
高分子物質に結合される疎水性基は、好ましくは、10mM〜300mM範囲で結合されて、より好ましくは、20mM〜200mM範囲で結合されることを特徴とする。
本発明の薬物送達システムは、特に蛋白質、ペプチド及び非親水性化学薬物を運搬するのに適している。
本発明の薬物送達システムにより運搬される蛋白質またはペプチドは、特に制限されず、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達蛋白質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合蛋白質またはその結合ドメイン、抗原、付着蛋白質、構造蛋白質、調節蛋白質、毒素蛋白質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンなどを含むが、これらに限定されるものではない。より詳細には、本発明の薬物送達システムにより運搬される蛋白質またはペプチドは、インシュリン、IGF−1(insulin-like growth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポイエチン、G−CSFs(granulocyte-colony stimulating factors)、GM−CSFs(granulocyte/macrophage-colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファ及びベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、インターロイキン−2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ジノルフィンA(dynorphin A)(1-13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH−II(growth hormone releasing hormone-II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン(oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカリド(sincalide)、テルリプレシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセディン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone-releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T−20(enfuvirtide)、サイマルファシン(thymalfasin)及びジコノチドを含む。
本発明の薬物送達システムにより運搬される蛋白質またはペプチドは、特に制限されず、例えば、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール、アクロニシン、アドゼレシン、アラノシン、アルデスロイキン(aldesleukin)、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アモナフィド、アムプリゲン(ampligen)、アムサクリン、アンドロゲン、アングイジン(anguidine)、アフィジコリングリシナート、アサレイ(asaley)、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、カルメットグラン桿菌(BCG)、Baker's Antifol(ベイカーズアンチフォル)、ベータ−2−デオキシチオグアノシン、ビサントレンHCl、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、BWA 773U82、BW 502U83/HCl、BW 7U85メイレート、セラセミド(ceracemide)、カルベチマー(carbetimer)、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキノキサリン-スルフォナミド、クロロゾトシン、クロモマイシンA3、シスプラチン、クラドリビン、コルチコステロイド、コリネバクテリウムパヴム(Corynebacterium parvum)、CPT−11、クリスナトール、シクロシチジン、シクロフォスファミド、シタラビン、シテムベナ、ダビスマレアート、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、デアザウリジン、デクスラゾキサン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアジコン、ジブロモダルシトール(dibromodulcitol)、ジデムニンB(didemnin B)、ジエチルジチオカルバメート、ジグリコアルデヒド、ジヒドロ−5−アザシチジン、ドキソルビシン、エキノマイシン、エダトレキセート、エデルホシン、エフロミチン(eflomithine)、エリオット(Elliott)溶液、エルサミトルシン、エピルビシン、エソルビシン、リン酸エストラムスチン、エストロゲン、エタニダゾール、エチオホス、エトポシド、ファドラゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、酢酸フラボン、フロクスリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、フルオゾール(FluosolTM)、フルタミド、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、酢酸ゴセレリン、ヘプスルファム、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ホモハリントニン、硫酸ヒドラジン、4-ヒドロキシアンドロステンジオン、ヒドロジウレア(hydrozyurea)、イダルビシンHCl、イフォスファミド、4−イポメアノール、イプロプラチン(iproplatin)、イソトレチノイン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソール、ロマスチン、ロニダミン、マイタンシン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、メノガリル、メルバロン、6−メルカプトプリン、メスナ(mesna)、カルメットグラン桿菌メタノール抽出物、メソトレキセート、N−メチルホルムアミド、ミフェプリストン、ミトグアゾン、マイトマイシン−C、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、単球/マクロファージコロニー刺激因子、ナビロン、ナフォキシジン、ネオカルジノスタチン、酢酸オクトレオチド、オルマプラチン(ormaplatin)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パラ(pala)、ペントスタチン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ピラルビシン、ピリトレキシム、塩酸ピロキサントロン(piroxantrone hydrochloride)、PIXY−321、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium)、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロゲスチン、ピラゾフリン、ラゾキサン、サルグラモスチム、セムスチン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン(spiromustin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、スラミンナトリウム、タモキシフェン、タキソテール、テガフール、テニポシド、テレフタルアミジン、テロキシロン(teroxirone)、チオグアニン、チオテパ、チミジン注射剤、チアゾフリン、トポテカン、トレミフェン(tremifene)、トレチノイン、塩酸トリフルオペラジン、トリフルリジン、トリメトレキセート、ウラシルマスタード、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンゾリジン、ヨシ864(Yoshi 864)及びゾルビシンである。
本発明の好ましい具現例によると、生体適合性重合体及び疎水性基間のコンジュゲーションは、リンカーによりなされる。
本発明で利用されるリンカーは、当業界でリンカーとして利用されるいかなる化合物でも可能であり、蛋白質またはペプチドにある作用基の種類によって適したリンカーを選択することができる。例えば、リンカーは、N−スクシンイミジルヨードアセテート(N-succinimidyl iodoacetate)、N−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセテート(N-Hydroxysuccinimidyl Bromoacetate)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(m-Maleimidobenzoyl-N-hydroxysuccinimide ester)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(m-Maleimidobenzoyl-N-hydroxysulfosuccinimide ester)、N−マレイミドブチリルオキシスクシンアミドエステル(N-Maleimidobutyryloxysuccinamide ester)、E−マレイミドカプロン酸ヒドラジド・HCl(E-Maleimidocaproic acid hydrazide・HCl)、[N−マレイミドカプロイルオキシ−スクシンアミド]([N-(E-maleimidocaproyloxy)-succinamide])、[N−マレイミドカプロイルオキシ]−スルホスクシンアミド]([N-(E-maleimidocaproyloxy)-sulfosuccinamide])、マレイミドプロピロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Maleimidopropionic Acid N-Hydroxysuccinimide Ester)、マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(Maleimidopropionic Acid N-Hydroxysulfosuccinimide Ester)、マレイミドプロピオン酸ヒドラジド・HCl(Maleimidopropionic Acid Hydrazide・HCl)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(N-Succinimidyl-3-(2-pyridyldithio)propionate)、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)アミノベンゾエート(N-Succinimidyl-(4-iodoacetyl)aminobenzoate)、スクシンイミジル−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-l-carboxylate)、スクシニミジル−4−(マレイミドフェニル)ブチレート(Succinimidyl-4-(p-maleimidophenyl)butyrate)、スルホスクシンイミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(Sulfosuccinimidyl-(4-iodoacetyl)aminobenzoate)、スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Sulfosuccinimidyl-4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate)、スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(Sulfosuccinimidyl-4-(p-maleimidophenyl)butyrate)、m−マレイミド安息香酸ヒドラジド・HCl(m-Maleimidobenzoic acid hydrazide HCl)、4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシル酸ヒドラジド・HCl(4-(N-Maleimidomethyl)cyclohexane-l-carboxylic acid hydrazide・HCl)、4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド・HCl(4-(4-N-maleimidophenyl)butyric acid hydrazide・HCl)、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(N-succinimidyl 3-(2-pyridyldithio) propionate)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(Bis(sulfosuccinimidyl)suberate)、1,2−ジ[3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン(1,2-Di[3’-(2’pyridyldithio)propionamido]Butane)、ジスクシンイミジルスベレート(Dissuccinimidyl Suberate)、ジスクシンイミジルタルタレート(Dissuccinimidyl Tartarate)、ジスルホスクシンイミジルタルタレート(Disulfosuccinimdiyl Tartarate)、ジチオ−ビス−(スクシンイミジルプロピオネート)(Dithio-bis-(succinimidyl propionate))、3,3’−ジチオ−ビス−(スルホスクシンイミジル−プロピオネート)(3,3'-Dithio-bis-(sulfosuccinimidyl-propionate))、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート(Ethylene Glycol bis(Succinimidylsuccinate))及びエチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(Ethylene Glycol bis(Sulfosuccinimidylsuccinate))を含むが、これらに限定されるものではない。
リンカーを利用する本発明の具現例を、反応式2を参照して例示すると下記のようである:
本発明の目的を達成するのにおいて、上述のカルボキシル基またはアミン基を有した高分子物質の各反応基位置に、直接疎水性結合基とカルボジイミド(carbodiimides, zero-length cross-linkers)を使用して化学的にコンジュゲーションされた薬物送達システムを製造することができる。しかし、本発明は、本発明の目的に使用できる高分子物質の選択的活用度を増加させるために、高分子が有した反応基の変更を通じても本発明の目的を達成することができる。例えば、アミン基を有するキトサン高分子に適切なスペーサー(spacer)またはリンカー(linker)をコンジュゲーションさせて、キトサンのアミン基を末端カルボキシル基に変更した後、これに適切な結合基を反応し、本発明の目的に合うように製造することができ(参照:反応式2)、その反対の場合である、カルボキシル基を有するカルボキシメチルセルロースに適切なスペーサーまたはリンカーをコンジュゲーションさせて、末端アミン基を有したカルボキシメチルセルロースを製造して、本発明に使用することができる。
本発明の好ましい具現例によると、本発明の薬物送達システムは、前記運搬する薬物を徐放出(sustained release)する。
本発明の好ましい具現例によると、疎水性基は、生体適合性重合体1重量を基準に、0.5〜20重量、より好ましくは1〜12重量が重合体に結合される。
本発明の好ましい具現例によると、本発明の薬物送達システムは、(i)生体適合性重合体に結合される疎水性基種類、(ii)生体適合性重合体に結合される疎水性基の結合量、(iii)薬物を吸着する薬物送達システムの含量、またはこれらの組み合わせによって薬物の徐放出性を多様に調節することができる。
本発明の薬物送達システムは、薬剤学的組成物に製造できて、この場合、薬剤学的に許容される担体を利用する。薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
本発明の薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により様々である。
薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、または多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよく、分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。
本発明の戦略によって重合体の鎖にコンジュゲーションされた疎水性基、例えば、モノまたはジフェニル基は、低分子性合成医薬品や蛋白質医薬品(biopharmaceuticals)に対して疎水性(hydrophobic)相互作用に基づいてコンジュゲーションし、これにより、水に対する溶解度が低い薬物に対しては吸着力を増加させて、体内への投入量を大きい幅で向上させることができると同時に、重合体鎖全体にかけて幅広くコンジュゲーションされた疎水性基の作用により、該当薬物の分散性を大きく向上させて、薬物が重合体物質に均一に吸着されるようにする長所がある。
以上の重合体物質と該当薬物間の吸着増進及び均一な分散効果の他に、本発明による二次的効果は、薬物が吸着された薬物送達システムが体内に投与された時、該当薬物の徐放出を誘導することである。これは、体内に存在する分解酵素システムにより、重合体物質が非常に遅く分解されるからであって、生体適合性高分子が分解されつつ、重合体鎖に吸着された薬物が、時間が経つにつれて徐々に放出されるからである。
本発明による薬物送達システムの製造において、生体適合性天然または合成高分子と疎水性を有する結合基は、それぞれの種類が非常に多様であって、それらがコンジュゲーションされる組み合わせによって、最終的に現れる薬物送達システムの物理化学的性質がそれぞれ異なるため、使用者の目的に合わせて選択し製造して、使用することができるという長所がある。
本発明の特徴及び利点を要約すると、次のようである:
本発明により製造された疎水性基がコンジュゲーションされた生体適合性重合体からなる薬物送達システムは、水に対する溶解度が非常に低い合成薬物の吸着に有用に使用できる。また、本発明による薬物送達システムは、高分子物質にコンジュゲーションされた疎水性基の含量調節を通じて、吸着された薬物の放出速度などを調節することができる長所がある。したがって本発明は、今後新しく開発される疎水性合成薬物や、既に開発が完了されたものの、低い生体利用率問題により開発に困難を抱えている薬物を対象に適用が可能な汎用的基盤技術(broad-spectrum platform technology)を提供する。本発明による薬物送達システムは、生体利用率の低い疎水性薬物を薬物送達システムと吸着させて、体内への伝達を可能にすると同時に、体内で薬物の徐放出性特性を有することにより、将来患者たちに相当な治療便宜性を提供することができる。
本発明により製造された疎水性基がコンジュゲーションされた生体適合性重合体からなる薬物送達システムは、水に対する溶解度が非常に低い合成薬物の吸着に有用に使用できる。また、本発明による薬物送達システムは、高分子物質にコンジュゲーションされた疎水性基の含量調節を通じて、吸着された薬物の放出速度などを調節することができる長所がある。したがって本発明は、今後新しく開発される疎水性合成薬物や、既に開発が完了されたものの、低い生体利用率問題により開発に困難を抱えている薬物を対象に適用が可能な汎用的基盤技術(broad-spectrum platform technology)を提供する。本発明による薬物送達システムは、生体利用率の低い疎水性薬物を薬物送達システムと吸着させて、体内への伝達を可能にすると同時に、体内で薬物の徐放出性特性を有することにより、将来患者たちに相当な治療便宜性を提供することができる。
本発明による薬物送達システムは、蛋白質医薬品にも適用が可能である。毎日あるいは2〜3日に1回ずつ注射投与をしなければならない、特許満了された1世代蛋白質薬物は、これまで患者便宜性改善のために努力した結果、最近は、1週に1回乃至一ヶ月に1〜2回投与する注射剤形まで開発されて市販されている。本発明は、蛋白質自体の変形や特別な分子構造の導入を要求する既存の技術とは違って、1世代蛋白質薬物を、薬物送達システムと単純混合及び吸着して使用することにより、このような目的を容易に達成できる強力な手段を提供している。したがって、本発明による技術を蛋白質薬物に適用する場合、次世代薬物開発期間が非常に短縮できるはずであり、疎水性合成薬物の利用価値向上にも効果的に寄与することができる。究極的には、本発明の技術は、製品競争力のある徐放出型蛋白質及び合成医薬品などの新薬開発に非常に有用に適用できる。
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1:キトサン−安息香酸コンジュゲートの製造
生体適合性高分子物質のキトサンを原料物質として使用した。製造に使用されたキトサンの規格は、脱アセチル化度が84.5%であって、分子量大きさは、20〜50kDの水溶性キトサンである(ミレバイオテック、韓国)。注射用蒸留水に溶解された0.2%水溶性キトサン溶液を用意した後、容器AとBにそれぞれ40mlずつ分株して、10%安息香酸(Sigma)溶液を、最終濃度がそれぞれ15mM及び30mMになるようにAとB容器に分株した。キトサン高分子鎖に存在するアミン基と添加した安息香酸を共有結合させるために、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride, EDC(sigma)を使用した。コンジュゲーション反応は、10mM MES緩衝液(pH 5.5)で進行した。反応溶液に添加したEDCは、安息香酸が充分コンジュゲーションされるように、Aには30mM、Bには50mMの濃度で添加した。それぞれの反応容器にEDC及びMES緩衝液を添加する前に、各溶液のpHは、1mMまたは5mMの塩酸または苛性ソーダを添加して、各溶液のpHを5.0〜5.5になるように調節した。コンジュゲーション反応は、室温に各容器を保管し、少なくとも10時間以上進行した。コンジュゲーション反応が完了した直後、A容器内の溶液は、pHが約6.6、B容器内の溶液は、pHが約7.0であった。卓上用遠心分離機を使用して上澄液を除去した後、沈殿物を50%エタノール溶液で洗浄した後、同一条件で再び遠心分離し、反応残余物を除去した沈殿物を得た。各沈殿物の容器に注射用蒸留水を40mlを添加して充分分散した後、遠心分離を通じて上澄液を除去し、沈殿物を回収した。各沈殿物が含まれた容器に蒸留水40mlを添加して再び分散し、氷酢酸50lを添加して溶液のpHを4.3〜4.4に合わせた後、冷蔵保管した。
生体適合性高分子物質のキトサンを原料物質として使用した。製造に使用されたキトサンの規格は、脱アセチル化度が84.5%であって、分子量大きさは、20〜50kDの水溶性キトサンである(ミレバイオテック、韓国)。注射用蒸留水に溶解された0.2%水溶性キトサン溶液を用意した後、容器AとBにそれぞれ40mlずつ分株して、10%安息香酸(Sigma)溶液を、最終濃度がそれぞれ15mM及び30mMになるようにAとB容器に分株した。キトサン高分子鎖に存在するアミン基と添加した安息香酸を共有結合させるために、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride, EDC(sigma)を使用した。コンジュゲーション反応は、10mM MES緩衝液(pH 5.5)で進行した。反応溶液に添加したEDCは、安息香酸が充分コンジュゲーションされるように、Aには30mM、Bには50mMの濃度で添加した。それぞれの反応容器にEDC及びMES緩衝液を添加する前に、各溶液のpHは、1mMまたは5mMの塩酸または苛性ソーダを添加して、各溶液のpHを5.0〜5.5になるように調節した。コンジュゲーション反応は、室温に各容器を保管し、少なくとも10時間以上進行した。コンジュゲーション反応が完了した直後、A容器内の溶液は、pHが約6.6、B容器内の溶液は、pHが約7.0であった。卓上用遠心分離機を使用して上澄液を除去した後、沈殿物を50%エタノール溶液で洗浄した後、同一条件で再び遠心分離し、反応残余物を除去した沈殿物を得た。各沈殿物の容器に注射用蒸留水を40mlを添加して充分分散した後、遠心分離を通じて上澄液を除去し、沈殿物を回収した。各沈殿物が含まれた容器に蒸留水40mlを添加して再び分散し、氷酢酸50lを添加して溶液のpHを4.3〜4.4に合わせた後、冷蔵保管した。
実施例2:キトサン−安息香酸コンジュゲートの蛋白質吸着度測定
実施例1で製造した15mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質を2mg(薬物送達システムA、1ml)ずつ取って、それぞれ別途の容器に入れて表1のように処理した。表1による各製造溶液を遠心分離して沈殿物を回収した後、上澄液をSDS−PAGEで分析し、上澄液に存在する蛋白質量を決定した。本実施例の評価用蛋白質は、ヒト成長ホルモンを使用した。
実施例1で製造した15mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質を2mg(薬物送達システムA、1ml)ずつ取って、それぞれ別途の容器に入れて表1のように処理した。表1による各製造溶液を遠心分離して沈殿物を回収した後、上澄液をSDS−PAGEで分析し、上澄液に存在する蛋白質量を決定した。本実施例の評価用蛋白質は、ヒト成長ホルモンを使用した。
試験結果、実施例1により製造された薬物送達システムの場合、キトサン高分子2mg基準当たり、約0.4mgの蛋白質を吸着することができることを確認して、同一な方式で30mM安息香酸がコンジュゲーションされた試料Bを評価した結果、試料Aよりさらに優れた蛋白質吸着能力を有していることを確認した。これは、高分子鎖にコンジュゲーションされる疎水性基の含量が増加するほど、吸着される蛋白質の量も増加され得ることを意味する。
実験例1:キトサン−安息香酸において疎水性基の蛋白質吸着確認実験
試料AとBの蛋白質吸着力は、疎水性基である安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子由来であることを確認するために、安息香酸がコンジュゲーションされたキトサンと、安息香酸がコンジュゲーションされていない原料キトサンを使用して、同等条件下で比較評価を行った。表2のキトサンは、実施例1で使用したものと同一な原料物質であって、安息香酸がコンジュゲーションされたキトサンは、実施例1で製造された試料Aを使用した。表2の内容による各溶液を遠心分離して沈殿物を回収し、上澄液に存在する蛋白質をSDS−PAGEで分析して、上澄液に存在する蛋白質含量の変化を評価した。本実験例の評価用蛋白質は、リン成長ホルモンを使用した。
試料AとBの蛋白質吸着力は、疎水性基である安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子由来であることを確認するために、安息香酸がコンジュゲーションされたキトサンと、安息香酸がコンジュゲーションされていない原料キトサンを使用して、同等条件下で比較評価を行った。表2のキトサンは、実施例1で使用したものと同一な原料物質であって、安息香酸がコンジュゲーションされたキトサンは、実施例1で製造された試料Aを使用した。表2の内容による各溶液を遠心分離して沈殿物を回収し、上澄液に存在する蛋白質をSDS−PAGEで分析して、上澄液に存在する蛋白質含量の変化を評価した。本実験例の評価用蛋白質は、リン成長ホルモンを使用した。
図1の1−5番及び6−10番のバンドを比較してみると、3−5番で明確な蛋白質含量変化を確認することができ、これを通じて、蛋白質を吸着する能力は、キトサン−安息香酸のコンジュゲートそのものであり、比較評価した原料キトサンによる蛋白質吸着は、全くないことを確認した。したがって、本蛋白質吸着性実験における主要吸着能力は、高分子物質にコンジュゲーションされた疎水性基により提供されていることを確認した。
実験例2:キトサン−安息香酸コンジュゲートにおいてキトサン高分子にコンジュゲーションされる結合基の構造的特徴による蛋白質の吸着能力確認
キトサン高分子物質にコンジュゲーションされる結合基を、安息香酸から4−スルホ安息香酸(4-sulfobenzoic acid)に変更して、実験例1と同一な方法で製造した後、蛋白質吸着能力を調べた。その結果を見ると、15mM 4−スルホ安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子は、蛋白質吸着力が全くないことを確認した。これを通じて、実験例1の蛋白質を吸着する主な能力は、キトサン高分子にコンジュゲーションされる結合基の構造的特徴と非常に関連があり、その主な吸着力は、結合基が提供する疎水性であることを確認した。
キトサン高分子物質にコンジュゲーションされる結合基を、安息香酸から4−スルホ安息香酸(4-sulfobenzoic acid)に変更して、実験例1と同一な方法で製造した後、蛋白質吸着能力を調べた。その結果を見ると、15mM 4−スルホ安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子は、蛋白質吸着力が全くないことを確認した。これを通じて、実験例1の蛋白質を吸着する主な能力は、キトサン高分子にコンジュゲーションされる結合基の構造的特徴と非常に関連があり、その主な吸着力は、結合基が提供する疎水性であることを確認した。
実験例3:蛋白質がコンジュゲーションされたキトサン−安息香酸において蛋白質の徐放性放出分析
実施例1で製造した15mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質1mlに対して、200μgのリン成長ホルモン及び0.4ml TPP(1mg/ml)を添加して、蛋白質をキトサン−安息香酸コンジュゲートに吸着させた後、遠心分離を通じてコンジュゲートを沈殿物として回収した。5ml PBSで満たされた容器を多数用意した後、回収したそれぞれの沈殿を1ml PBSで充分分散し、5ml PBSで満たされた容器にそれぞれの沈殿物分散液を1mlずつ入れて、充分混合した。キトサン−安息香酸コンジュゲートに吸着された蛋白質がPBS溶液内でどのような放出パターンを示すかを究明するために、常温で6日間長期露出させながら、周期的にコンジュゲートから溶液上に放出された蛋白質量を測定した。蛋白質含量分析は、BSAを標準品として、発色試薬は、ブラドフォード(Bradford)溶液を使用して、初期に投入した蛋白質総量(200μg)に対して、各分析時点における定量された蛋白質量を比率で換算した。
実施例1で製造した15mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質1mlに対して、200μgのリン成長ホルモン及び0.4ml TPP(1mg/ml)を添加して、蛋白質をキトサン−安息香酸コンジュゲートに吸着させた後、遠心分離を通じてコンジュゲートを沈殿物として回収した。5ml PBSで満たされた容器を多数用意した後、回収したそれぞれの沈殿を1ml PBSで充分分散し、5ml PBSで満たされた容器にそれぞれの沈殿物分散液を1mlずつ入れて、充分混合した。キトサン−安息香酸コンジュゲートに吸着された蛋白質がPBS溶液内でどのような放出パターンを示すかを究明するために、常温で6日間長期露出させながら、周期的にコンジュゲートから溶液上に放出された蛋白質量を測定した。蛋白質含量分析は、BSAを標準品として、発色試薬は、ブラドフォード(Bradford)溶液を使用して、初期に投入した蛋白質総量(200μg)に対して、各分析時点における定量された蛋白質量を比率で換算した。
表3のインビトロ蛋白質放出試験結果から確認できるように、PBS溶液内で3日までは放出量が増加されるが、3日以後は、初期投入量の約60%程度がそのままコンジュゲートに吸着され、放出が遅延されていることを示している。
また、実施例1と同様な製造方法により、25mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質を製造して、初期に吸着させた蛋白質の量は100μgに低め、観察時間は約90時間まで短縮した場合、蛋白質放出は、与えられた溶液内で1時間内に23.5%まで直ちに放出されて、以後はほぼ一定な水準を維持した(表4)。本結果は、約90時間が経過した時点で、初期投入量に対して約75%以上の蛋白質が、25mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質にそのまま吸着されていることを示している。これは、コンジュゲーションされた安息香酸の含量が増加されるにつれて、全体的な薬物送達システムの疎水性も同時に増加し、それにより、時間によって放出される蛋白質の比率は大きく減少していることを示している。
実験例4:キトサン−安息香酸コンジュゲートに対するBSAの吸着性及び放出パターン調査
実験例3で使用した25mM安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質を使用し、BSAの吸着性評価及び時間による試験管内におけるBSA蛋白質放出パターンを調べた。各コンジュゲート1ml相当の沈殿物に対して100μgのBSA蛋白質を加えて、薬物送達システムに吸着させる段階を経た後、これを、5mlずつ用意したそれぞれの放出試験溶液(PBS緩衝液)に添加して充分攪拌し、インビトロ放出評価を行った。本評価は室温で行って、観察期間は四日間であり、周期的にブラドフォード溶液を利用した蛋白質定量分析法を通じて、薬物送達システムから放出されたBSA蛋白質量を測定した。放出試験溶液のpHによるBSA放出パターンの変化を観察するために、5ml放出試験溶液は、60mMのナトリウムアセテート(pH 5.2)、PBS及び50mM Tris(pH 8.5)の3種で構成して評価した。表5の結果から、各試験溶液のpHによってBSA蛋白質の放出パターンに差があり、一時間が経過してから放出量は持続的に増加されていることが分かる。また、試験二日目以後は、三つの溶液から全て50%以上の蛋白質が放出されたことを確認した(図2)。
実験例3で使用した25mM安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン高分子物質を使用し、BSAの吸着性評価及び時間による試験管内におけるBSA蛋白質放出パターンを調べた。各コンジュゲート1ml相当の沈殿物に対して100μgのBSA蛋白質を加えて、薬物送達システムに吸着させる段階を経た後、これを、5mlずつ用意したそれぞれの放出試験溶液(PBS緩衝液)に添加して充分攪拌し、インビトロ放出評価を行った。本評価は室温で行って、観察期間は四日間であり、周期的にブラドフォード溶液を利用した蛋白質定量分析法を通じて、薬物送達システムから放出されたBSA蛋白質量を測定した。放出試験溶液のpHによるBSA放出パターンの変化を観察するために、5ml放出試験溶液は、60mMのナトリウムアセテート(pH 5.2)、PBS及び50mM Tris(pH 8.5)の3種で構成して評価した。表5の結果から、各試験溶液のpHによってBSA蛋白質の放出パターンに差があり、一時間が経過してから放出量は持続的に増加されていることが分かる。また、試験二日目以後は、三つの溶液から全て50%以上の蛋白質が放出されたことを確認した(図2)。
実施例3:ナトリウムカルボキシメチルセルロース−ジフェニルアミンコンジュゲートまたはヒアルロン酸−ジフェニルアミンコンジュゲートを利用した薬物送達システムの製造
代表的な陰イオン性生体適合性高分子物質であるナトリウムカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose sodium)及びヒアルロン酸(hyaluronic acid)を対象に、実施例1と同様な方法により薬物送達システムを製造した。即ち、ナトリウムカルボキシメチルセルロース25mgを水に溶かして、最終濃度が20mMになるようにジフェニルアミン(diphenylamine)を適当量添加して充分攪拌した。最終濃度50mMのMES緩衝液(pH 5.2〜5.5)下で最終濃度が20mMになるようにカルボジイミド(carbodiimide, EDC)を添加した。反応溶液の最終容量は50mlであり、本混合液を室温で24時間以上放置して薬物送達システムを製造した。コンジュゲーション反応が完了された薬物送達システムは、遠心分離を通じて沈殿物を回収して、沈殿物洗浄過程を通じて最終的に薬物送達システムを製造した。また、同一な条件及び方法により、ヒアルロン酸に50mMジフェニルアミンがコンジュゲーションされた薬物送達システムをさらに製造した。
代表的な陰イオン性生体適合性高分子物質であるナトリウムカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose sodium)及びヒアルロン酸(hyaluronic acid)を対象に、実施例1と同様な方法により薬物送達システムを製造した。即ち、ナトリウムカルボキシメチルセルロース25mgを水に溶かして、最終濃度が20mMになるようにジフェニルアミン(diphenylamine)を適当量添加して充分攪拌した。最終濃度50mMのMES緩衝液(pH 5.2〜5.5)下で最終濃度が20mMになるようにカルボジイミド(carbodiimide, EDC)を添加した。反応溶液の最終容量は50mlであり、本混合液を室温で24時間以上放置して薬物送達システムを製造した。コンジュゲーション反応が完了された薬物送達システムは、遠心分離を通じて沈殿物を回収して、沈殿物洗浄過程を通じて最終的に薬物送達システムを製造した。また、同一な条件及び方法により、ヒアルロン酸に50mMジフェニルアミンがコンジュゲーションされた薬物送達システムをさらに製造した。
実験例5:キトサン−安息香酸コンジュゲートの高圧滅菌処理時、蛋白質吸着能力に対する影響調査
実施例1と同様な製造方法を使用し、0.2%の水溶性キトサン溶液50mlに対して20mMの安息香酸、30mMの安息香酸または50mMの安息香酸がコンジュゲーションされた薬物送達システムを製造した。また、0.2%のキトオリゴ糖溶液50mlに対して50mM安息香酸がコンジュゲーションされた薬物送達システムをさらに製造した。製造されたそれぞれの薬物送達システムをPBS緩衝液に充分分散させた後、各溶液を1mlずつエッペンドルフチューブ(eppendorf tube)に分株して、高圧蒸気滅菌を行った。高圧滅菌処理されたそれぞれの試料は、常温で一定時間放置して冷やした後、遠心分離を通じて薬物送達システムを沈殿で回収した。回収された沈殿物に200μgのリン成長ホルモンを添加し、充分吸着させた後、遠心分離して上澄液を取った。上澄液内に存在する蛋白質を定量し、初期投入量に対する蛋白質含量比率を求めた。蛋白質吸着は、PBS(pH 7.2)条件で行った。
実施例1と同様な製造方法を使用し、0.2%の水溶性キトサン溶液50mlに対して20mMの安息香酸、30mMの安息香酸または50mMの安息香酸がコンジュゲーションされた薬物送達システムを製造した。また、0.2%のキトオリゴ糖溶液50mlに対して50mM安息香酸がコンジュゲーションされた薬物送達システムをさらに製造した。製造されたそれぞれの薬物送達システムをPBS緩衝液に充分分散させた後、各溶液を1mlずつエッペンドルフチューブ(eppendorf tube)に分株して、高圧蒸気滅菌を行った。高圧滅菌処理されたそれぞれの試料は、常温で一定時間放置して冷やした後、遠心分離を通じて薬物送達システムを沈殿で回収した。回収された沈殿物に200μgのリン成長ホルモンを添加し、充分吸着させた後、遠心分離して上澄液を取った。上澄液内に存在する蛋白質を定量し、初期投入量に対する蛋白質含量比率を求めた。蛋白質吸着は、PBS(pH 7.2)条件で行った。
表6の結果から分かるように、キトオリゴ糖コンジュゲートを除いては、全て誤差範囲内で高圧滅菌処理が薬物送達システムの蛋白質吸着能力に大きい影響を与えないことを確認した。
実験例6:ナトリウムカルボキシメチルセルロース−ベンジルアミンコンジュゲートの蛋白質吸着性調査
実施例1と同様な薬物送達システムの製造方法によって、0.1%ナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液50mlに対して50mMのベンジルアミンを化学的にコンジュゲーションさせて薬物送達システムを製造した。本薬物送達システムを使用してリン成長ホルモン及び白血球成長促進因子に対する蛋白質吸着性を比較評価した。吸着は、薬物送達システム1mlの沈殿物に対して各蛋白質を200μgずつ添加して、リン成長ホルモンはPBS緩衝液(pH 7.2)で、白血球成長促進因子は10mMナトリウムアセテート緩衝液(pH 4.0)で、それぞれ吸着及び蛋白質定量を行った。各試料に対する蛋白質吸着比率結果、本実施例の薬物送達システムは、リン成長ホルモンに対しては全く吸着を示さなかったが、白血球成長促進因子蛋白質に対しては、初期投入量に対して約4.5%が上澄液に存在することから、約95.5%が薬物送達システムに吸着されたことを確認した。
実施例1と同様な薬物送達システムの製造方法によって、0.1%ナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液50mlに対して50mMのベンジルアミンを化学的にコンジュゲーションさせて薬物送達システムを製造した。本薬物送達システムを使用してリン成長ホルモン及び白血球成長促進因子に対する蛋白質吸着性を比較評価した。吸着は、薬物送達システム1mlの沈殿物に対して各蛋白質を200μgずつ添加して、リン成長ホルモンはPBS緩衝液(pH 7.2)で、白血球成長促進因子は10mMナトリウムアセテート緩衝液(pH 4.0)で、それぞれ吸着及び蛋白質定量を行った。各試料に対する蛋白質吸着比率結果、本実施例の薬物送達システムは、リン成長ホルモンに対しては全く吸着を示さなかったが、白血球成長促進因子蛋白質に対しては、初期投入量に対して約4.5%が上澄液に存在することから、約95.5%が薬物送達システムに吸着されたことを確認した。
実験例7:キトサン−安息香酸コンジュゲートのインビトロ放出試験及び薬物動力学試験
実施例1と同様な薬物送達システム製造方法によって、0.2%キトサン溶液50mlに対して、それぞれ15mM、20mM、25mMまたは30mM濃度の安息香酸を化学的にコンジュゲーションさせて、薬物送達システムを製造した。これを使用して、白血球成長促進因子蛋白質を対象にインビトロ放出試験を行って、その結果に基づいて、体内薬物動力学(pharmacokinetics)試験を行った。
実施例1と同様な薬物送達システム製造方法によって、0.2%キトサン溶液50mlに対して、それぞれ15mM、20mM、25mMまたは30mM濃度の安息香酸を化学的にコンジュゲーションさせて、薬物送達システムを製造した。これを使用して、白血球成長促進因子蛋白質を対象にインビトロ放出試験を行って、その結果に基づいて、体内薬物動力学(pharmacokinetics)試験を行った。
実験例8:白血球成長促進因子蛋白質を対象としたインビトロ放出試験
15mM、20mM、25mMまたは30mMの安息香酸がコンジュゲーションされたそれぞれの薬物送達システム0.5mlを遠心分離して沈殿物を回収し、本沈殿物に200μgの白血球成長促進因子蛋白質を入れて、10mMナトリウムアセテート(pH 4.0)で最終0.5mlになるように調節した。それぞれの溶液を均一に分散させた後、室温で約1〜2分間放置し、蛋白質が薬物送達システムに充分吸着されるようにした。その後、遠心分離を行って、上澄液を取った後、溶液内蛋白質定量分析を行った。蛋白質定量分析の標準品は、試験と同一な白血球成長促進因子蛋白質を使用して、薬物送達システムに吸着されず、上澄液に存在する蛋白質の量を、初期投入量に対する比率で換算し、表7に示した。
15mM、20mM、25mMまたは30mMの安息香酸がコンジュゲーションされたそれぞれの薬物送達システム0.5mlを遠心分離して沈殿物を回収し、本沈殿物に200μgの白血球成長促進因子蛋白質を入れて、10mMナトリウムアセテート(pH 4.0)で最終0.5mlになるように調節した。それぞれの溶液を均一に分散させた後、室温で約1〜2分間放置し、蛋白質が薬物送達システムに充分吸着されるようにした。その後、遠心分離を行って、上澄液を取った後、溶液内蛋白質定量分析を行った。蛋白質定量分析の標準品は、試験と同一な白血球成長促進因子蛋白質を使用して、薬物送達システムに吸着されず、上澄液に存在する蛋白質の量を、初期投入量に対する比率で換算し、表7に示した。
実験例9:キトサン−安息香酸コンジュゲートの薬物動力学分析
前記実験における20mM安息香酸コンジュゲート及び蛋白質が含まれた試料0.5mlを用意し、8週齢SDラットに皮下注射で投与して、日付別に血液を採取し、血液内に存在する白血球成長促進因子蛋白質の含量を酵素−結合免疫吸着方法(ELISA)で分析した(Enzyme Immunoassay, E. T. Maggio, ed., CRC Press, Boca Raton, Florida, 1980;及びGaastra, W., Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA), in Methods in Molecular Biology, Vol. 1, Walker, J.M. ed., Humana Press, NJ, 1984)。25mM及び30mM安息香酸コンジュゲートに対しても同一な過程を通じて生体内薬物動力学分析を行った。実験結果、図3及び図4から分かるように、生体内の結果と生体外の結果が傾向的に一致していることを確認して、25mM以上の安息香酸コンジュゲートの場合は、体内で1日目に次いで、6日目にも蛋白質放出を示していることを確認した。
前記実験における20mM安息香酸コンジュゲート及び蛋白質が含まれた試料0.5mlを用意し、8週齢SDラットに皮下注射で投与して、日付別に血液を採取し、血液内に存在する白血球成長促進因子蛋白質の含量を酵素−結合免疫吸着方法(ELISA)で分析した(Enzyme Immunoassay, E. T. Maggio, ed., CRC Press, Boca Raton, Florida, 1980;及びGaastra, W., Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA), in Methods in Molecular Biology, Vol. 1, Walker, J.M. ed., Humana Press, NJ, 1984)。25mM及び30mM安息香酸コンジュゲートに対しても同一な過程を通じて生体内薬物動力学分析を行った。実験結果、図3及び図4から分かるように、生体内の結果と生体外の結果が傾向的に一致していることを確認して、25mM以上の安息香酸コンジュゲートの場合は、体内で1日目に次いで、6日目にも蛋白質放出を示していることを確認した。
実験例10:キトサン−安息香酸コンジュゲート、キトオリゴ糖−安息香酸コンジュゲート、及びこの二つのコンジュゲートの混合液の蛋白質吸着性の比較
実施例1と同様な製造方法によって、0.2%キトサン50ml及び0.2%キトオリゴ糖50ml溶液に対してそれぞれ50mM安息香酸をコンジュゲーションさせて、最終的に得たそれぞれの薬物送達システムをもって以下の評価を行った。
実施例1と同様な製造方法によって、0.2%キトサン50ml及び0.2%キトオリゴ糖50ml溶液に対してそれぞれ50mM安息香酸をコンジュゲーションさせて、最終的に得たそれぞれの薬物送達システムをもって以下の評価を行った。
本実験例で製造されたキトサン−50mM安息香酸コンジュゲート1ml(CTS-50と表記)、キトオリゴ糖−50mM安息香酸コンジュゲート1ml(OCTS-50と表記)及びこの二つのコンジュゲートの混合液2ml(MIX-50と表記)を、別個の容器に多数個用意し、遠心分離して沈殿物を回収した。各沈殿物にPBSに溶解された200μg/mlのBSAを1mlずつ添加して分散し、蛋白質を薬物送達システムに吸着させた。各容器は、冷蔵保管しながら1,3,5及び7日目に試料を取った後、遠心分離して得た上澄液内蛋白質含量を測定して、初期投入量に対する、測定された蛋白質含量比率を求めて、表8に示した。
実験結果からみて、OCTS−50は、CTS−50より蛋白質吸着性がさらに優れていることが分かり、MIX−50は、相対的に高い蛋白質吸着性を示した。一方、時間による薬物送達システムからの蛋白質累積放出量は、OCTS−50を除いては、全て徐々に増加する傾向を示した。
実験例11:薬物送達システムの総含量と放出される蛋白質の量的関係
前記実験で製造されたキトサン−50mM安息香酸コンジュゲートをそれぞれ1ml、2ml及び3mlずつ別途の容器に数個用意して、遠心分離してそれぞれの沈殿物を得た。用意された各沈殿物に、PBSに溶解された200μg/mlのBSAを1mlずつ添加して分散し、蛋白質を、沈殿された薬物送達システムに吸着させた。各容器は、冷蔵保管しながら1,2,3及び4日目に各試料を遠心分離して得た上澄液内蛋白質含量を測定して、初期投入量に対する、放出された蛋白質含量比率を求めて表9に示した。
前記実験で製造されたキトサン−50mM安息香酸コンジュゲートをそれぞれ1ml、2ml及び3mlずつ別途の容器に数個用意して、遠心分離してそれぞれの沈殿物を得た。用意された各沈殿物に、PBSに溶解された200μg/mlのBSAを1mlずつ添加して分散し、蛋白質を、沈殿された薬物送達システムに吸着させた。各容器は、冷蔵保管しながら1,2,3及び4日目に各試料を遠心分離して得た上澄液内蛋白質含量を測定して、初期投入量に対する、放出された蛋白質含量比率を求めて表9に示した。
図5から分かるように、与えられた蛋白質量に対して、処理された薬物送達システムの総含量が増加するほど、試験管内で放出される蛋白質の量は減少する傾向を示した。
実施例4:キトサン−ベンジルアミンコンジュゲートの製造
100mgのキトサン粉末を、適切な量のエタノールまたはメタノールが添加された100mMナトリウムアセテート緩衝液(pH 6.0)またはリン酸緩衝液(pH 6.0〜6.3)に充分溶解させた後、最終濃度が50mM以上の無水コハク酸(succinic anhydride)溶液になるように適切な量の無水コハク酸粉末を添加する。溶液のpHは6前後に維持調節しながら、室温で24時間以上反応を進行した。反応が完了した後、反応基が変形されたキトサンは、透析を通じて回収した。純粋な水に充分透析した後、得られたキトサンは、実施例1の方法に基づいて30mMベンジルアミンをコンジュゲーションさせることにより、薬物送達システムを製造した。
100mgのキトサン粉末を、適切な量のエタノールまたはメタノールが添加された100mMナトリウムアセテート緩衝液(pH 6.0)またはリン酸緩衝液(pH 6.0〜6.3)に充分溶解させた後、最終濃度が50mM以上の無水コハク酸(succinic anhydride)溶液になるように適切な量の無水コハク酸粉末を添加する。溶液のpHは6前後に維持調節しながら、室温で24時間以上反応を進行した。反応が完了した後、反応基が変形されたキトサンは、透析を通じて回収した。純粋な水に充分透析した後、得られたキトサンは、実施例1の方法に基づいて30mMベンジルアミンをコンジュゲーションさせることにより、薬物送達システムを製造した。
実験例12:キトサン−安息香酸コンジュゲートの蛋白質吸着力に対するpH影響の評価
本発明によるキトサン−安息香酸で構成された薬物送達システムが蛋白質と吸着する最適のpH条件を調べるために、それぞれ20mM、30mM及び40mMキトサン−安息香酸コンジュゲートを実施例1の方法によって製造した。各場合において、キトサン含量基準に2mg相当の薬物送達システムに対して、リン成長ホルモン200μg及びBSA200μgをそれぞれpH 5.2とpH 7.2の条件で吸着させて、上澄液の蛋白質含量を調べた(図6)。本実験では、蛋白質吸着時、TPPを処理せずに行った。放出試験溶液は、20mMナトリウムアセテート(pH 5.2)と20mMのTris(pH 7.5)を使用した。
本発明によるキトサン−安息香酸で構成された薬物送達システムが蛋白質と吸着する最適のpH条件を調べるために、それぞれ20mM、30mM及び40mMキトサン−安息香酸コンジュゲートを実施例1の方法によって製造した。各場合において、キトサン含量基準に2mg相当の薬物送達システムに対して、リン成長ホルモン200μg及びBSA200μgをそれぞれpH 5.2とpH 7.2の条件で吸着させて、上澄液の蛋白質含量を調べた(図6)。本実験では、蛋白質吸着時、TPPを処理せずに行った。放出試験溶液は、20mMナトリウムアセテート(pH 5.2)と20mMのTris(pH 7.5)を使用した。
図8及び図9から分かるように、各蛋白質毎に、薬物送達システムに吸着するのにおいて、吸着される溶液のpHによって吸着結果の差を示していることを確認した。リン成長ホルモンは、酸性及び弱アルカリ条件で比較的よく吸着されて、BSAは、薬物送達システムに対して、酸性では吸着がよくなされず、弱アルカリ条件では吸着力が比較的優れていた。
実験例13:キトサン−安息香酸コンジュゲートの自体毒性評価
キトサン−安息香酸間の化学的コンジュゲーションで構成された薬物送達システム構成物の自体毒性を評価するために、生後5週齢雌ICRマウスを群当たり5匹ずつ分けて、A群及びB群を用意した。実施例1と同様な方法により製造された100mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン−安息香酸コンジュゲートを1.6mlずつ遠心分離して得られた沈殿物に、それぞれ生理食塩水0.5mlを添加して均一に分散し、A群の各マウスに皮下注射で接種した。同一な原液を使用してキトサン−安息香酸コンジュゲート3.3mlずつ遠心分離して得られたそれぞれの沈殿物に生理食塩水0.5mlずつを添加して均一に分散した後、B群の各マウスに皮下注射で接種した。マウス体重観察は、試験開始後7日間まで進行して、各評価群の体重を測定して表10に示した。実験結果、A群(137mgキトサン/kg BW、835mg安息香酸/kg BW、合計972mgソリド/kg BW)及びB群(282mgキトサン/kg BW、1,723mg安息香酸/kg BW; 合計2,005mgソリド/kg BW)の体重変化は、過量接種されたのにもかかわらず、7日間各評価群の平均体重増加は、一般的なマウスの体重増加に比べ、特異な差を示さなかった。参考に、同種マウスの正常的な体重は、5週齢雌が21〜25g程度であり、6週齢雌は、23〜28g程度である。これを通じて、本発明による薬物送達システムの自体毒性は殆どないことを確認した。
キトサン−安息香酸間の化学的コンジュゲーションで構成された薬物送達システム構成物の自体毒性を評価するために、生後5週齢雌ICRマウスを群当たり5匹ずつ分けて、A群及びB群を用意した。実施例1と同様な方法により製造された100mMの安息香酸がコンジュゲーションされたキトサン−安息香酸コンジュゲートを1.6mlずつ遠心分離して得られた沈殿物に、それぞれ生理食塩水0.5mlを添加して均一に分散し、A群の各マウスに皮下注射で接種した。同一な原液を使用してキトサン−安息香酸コンジュゲート3.3mlずつ遠心分離して得られたそれぞれの沈殿物に生理食塩水0.5mlずつを添加して均一に分散した後、B群の各マウスに皮下注射で接種した。マウス体重観察は、試験開始後7日間まで進行して、各評価群の体重を測定して表10に示した。実験結果、A群(137mgキトサン/kg BW、835mg安息香酸/kg BW、合計972mgソリド/kg BW)及びB群(282mgキトサン/kg BW、1,723mg安息香酸/kg BW; 合計2,005mgソリド/kg BW)の体重変化は、過量接種されたのにもかかわらず、7日間各評価群の平均体重増加は、一般的なマウスの体重増加に比べ、特異な差を示さなかった。参考に、同種マウスの正常的な体重は、5週齢雌が21〜25g程度であり、6週齢雌は、23〜28g程度である。これを通じて、本発明による薬物送達システムの自体毒性は殆どないことを確認した。
実験例14:キトサン−安息香酸コンジュゲートの疎水性物質に対する吸着性評価
実施例1で製造された15mMの薬物送達システムを使用して、代表的な合成疎水性物質であるBBR−250(Brilliant Blue R-250)をモデルとして吸着性を評価した。BBR−250をエタノールに適宜溶解して、最終2.4〜120μMの定量可能な区間内で吸着性評価を行った。安息香酸がコンジュゲーションされていない原料キトサン物質(キトサン含量として2mg)と15mMキトサン−安息香酸コンジュゲート(キトサン含量として2mg)を用意して、それぞれに対して120μM/mlのBBR−250 1mlを添加して、薬物送達システムにBBR−250を吸着させた後、遠心分離を通じてそれぞれの薬物送達システムを回収して、上澄液に残っているBBR−250の含量を調べた。実験結果、原料キトサンを処理した試料の上澄液は、81μM/mlのBBR−250含量を示して、キトサン−安息香酸コンジュゲートを処理した上澄液は、7.2μM/mlのBBR−250含量を示した。したがって、本発明による薬物送達システムは、低分子量でありながら疎水性物質の代表的モデルであるBBR−250を大部分吸着していることを確認した。
実施例1で製造された15mMの薬物送達システムを使用して、代表的な合成疎水性物質であるBBR−250(Brilliant Blue R-250)をモデルとして吸着性を評価した。BBR−250をエタノールに適宜溶解して、最終2.4〜120μMの定量可能な区間内で吸着性評価を行った。安息香酸がコンジュゲーションされていない原料キトサン物質(キトサン含量として2mg)と15mMキトサン−安息香酸コンジュゲート(キトサン含量として2mg)を用意して、それぞれに対して120μM/mlのBBR−250 1mlを添加して、薬物送達システムにBBR−250を吸着させた後、遠心分離を通じてそれぞれの薬物送達システムを回収して、上澄液に残っているBBR−250の含量を調べた。実験結果、原料キトサンを処理した試料の上澄液は、81μM/mlのBBR−250含量を示して、キトサン−安息香酸コンジュゲートを処理した上澄液は、7.2μM/mlのBBR−250含量を示した。したがって、本発明による薬物送達システムは、低分子量でありながら疎水性物質の代表的モデルであるBBR−250を大部分吸着していることを確認した。
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
Claims (16)
- (a)生体適合性重合体と、(b)前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基を含む薬物送達システム。
- 前記生体適合性重合体は、合成重合体または天然重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達システム。
- 前記生体適合性重合体としての合成重合体は、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート;PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4−ヒドロキシ酸)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリアンヒドライド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(チロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリフォスファゼン、PHA−PEG、エチレンビニールアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、シリコン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−アルファオレフィン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、アクリル重合体及び共重合体、ビニールハライド重合体及び共重合体、ポリビニールクロライド、ポリビニールエーテル、ポリビニールメチルエーテル、ポリビニリデンハライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロアルケン、ポリパーフルオロアルケン、ポリアクリロニトリル、ポリビニールケトン、ポリビニールアロマチックス、ポリスチレン、ポリビニールエステル、ポリビニールアセテート、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂とエチレン−ビニールアセテート共重合体、ポリアミド、アルキド樹脂、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリアクリル酸−co−マレイン酸であることを特徴とする、請求項2に記載の薬物送達システム。
- 前記生体適合性重合体としての天然重合体は、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、アルギネート、イヌリン、デンプンまたはグリコゲンであることを特徴とする、請求項2に記載の薬物送達システム。
- 前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基は、炭素数4個以上の脂肪族化合物または芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達システム。
- 前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基は、1−3個のフェニル基を有する芳香族化合物であることを特徴とする、請求項5に記載の薬物送達システム。
- 前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基は、炭素数4個以上のアルキル、炭素数4個以上のアルケニル、炭素数3個以上のシクロアルキル、炭素数4個以上のアルコキシ、アリール、カルボキシアリール、アリールホスフェート、アリールアミン、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルケニルまたはアルキルアリールであることを特徴とする、請求項5に記載の薬物送達システム。
- 前記重合体にコンジュゲーションされた疎水性基は、アリール、カルボキシアリール、アリールホスフェート、アリールアミン、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルケニルまたはアルキルアリールであることを特徴とする、請求項7に記載の薬物送達システム。
- 前記薬物送達システムは、前記疎水性基に吸着されて運搬される蛋白質、ペプチド及び非親水性化学薬物からなる群から選択される薬物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達システム。
- 前記生体適合性重合体は、30万以下の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達システム。
- 前記薬物送達システムは、前記運搬する薬物を徐放出(sustained release)することを特徴とする、請求項11に記載の薬物送達システム。
- 前記疎水性基は、生体適合性重合体1重量を基準に、0.5〜20重量が重合体に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達システム。
- 前記薬物送達システムは、(i)生体適合性重合体に結合される疎水性基種類、(ii)生体適合性重合体に結合される疎水性基の結合量、(iii)薬物を吸着する薬物送達システムの含量、またはこれらの組み合わせによって薬物の徐放出性を調節することができることを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達システム。
- 前記生体適合性重合体及び疎水性基間のコンジュゲーションは、リンカーによってなされることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれかに記載の薬物送達システム。
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