JP2011518850A - ジアミノジフェニルアルカンの製造方法 - Google Patents

ジアミノジフェニルアルカンの製造方法 Download PDF

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Abstract

ジアミノジフェニルアルカンの製造方法であって、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい芳香族アミンを不均一系触媒の存在下にC1〜C3−アルデヒドと反応させ、その際、触媒は、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体をベースとする、メソ孔を有する酸性のイオン交換体であり、かつ触媒はDIN 54403により測定して2〜6eq/kgの濃度で酸性中心を有しており、かつ触媒粒子の平均孔径はASTM D 4222により測定して10〜32nmであり、かつ形成される反応混合物中の多環式化合物の含有率は、>10〜≦15質量%である、ジアミノジフェニルアルカンの製造方法。

Description

本発明は、ジアミノジフェニルアルカン、特にジアミノジフェニルメタンを製造する方法に関する。
酸性触媒を用いて、芳香族アミン、たとえばアニリンと、アルデヒドとの縮合によりジアミノジフェニルアルカンを製造することは公知である。
この反応は、まず芳香族アミン(アニリン)とアルデヒドとからN−アルキル化合物が形成されるように行われる。次いでこの前縮合物を酸性触媒の存在下にさらにアミナールへと反応させる。このアミナールは引き続き、酸性触媒の作用下にジアミノジフェニルアルカンへと転位される。
この反応の際に、ジアミノジフェニルアルカンの種々の異性体が生じる。2,2′−ジアミノジフェニルアルカン、2,4′−ジアミノジフェニルアルカンおよび4,4′−ジアミノジフェニルアルカンからなる混合物が生じる。さらに副生成物として、3〜6個の環を有する高級縮合生成物ならびにN−アルキル化合物が生じる。
公知の従来技術によれば、得られたジアミノジフェニルアルカンをさらに、ジイソシアネート、たとえばジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたはジイソシアナトジフェニルメタン、もしくはその他のジイソシアネートへと加工する。これらの化合物は重要な塗料原料であり、またたとえばポリウレタンを製造するための原料生成物である。
従来技術ではしばしばジアミノジフェニルアルカンの製造は、アニリンとアルデヒドとの、特にアニリンとホルムアルデヒドとの縮合により実施される。その際、反応の変法に応じてまずアニリンとホルムアルデヒドとから縮合生成物を製造し、該生成物を次いで酸、たとえば塩酸の存在下に転位させるか、あるいはまた縮合をすでに酸の存在下に転位条件下で実施する。
この方法の欠点は、鉱酸を用いた均一系触媒反応において、酸の中和の際に生じる廃水が発生することである。さらに、水性の鉱酸は製造装置における腐食の問題につながる。従って従来技術においてはさらに、相応する不均一系触媒を使用する方法が開発された。この場合、酸性のイオン交換体以外に、酸性の、合成もしくは天然の酸化ケイ素もしくは酸化アルミニウム、たとえばゼオライトまたは粘土鉱物も使用される。
US4,294,981では、このような方法において縮合を水性の強酸の存在下に実施しており、その後、溶剤抽出によって酸を除去している。転位はふたたび強酸の、ただしより少ない量での存在下に実施される。ケイソウ土、粘土またはゼオライトがこの反応段階で触媒として使用される。
DE−A−1230033は、ジアミノジフェニルアルカンの製造方法を記載している。この場合、ケイ素を含有する粘土、合成二酸化ケイ素・酸化アルミニウム触媒、または酸化マグネシウム・酸化アルミニウム触媒が使用される。
ジアミノジフェニルアルカンを製造するための別の反応法は、DE−A−1493431に記載されている。ここでは二酸化ケイ素、二酸化ケイ素・酸化アルミニウムまたは酸処理した酸化アルミニウムが触媒として使用されている。有利にはシリカゲルまたはベントナイト状粘土、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムが含まれており、かつ有利には酸活性化されている。
US4,071,558は、ジアミノジフェニルアルカンを製造するための製造方法を記載しており、この場合、酸により活性化された粘土触媒、二酸化ケイ素・酸化アルミニウム含有の分解触媒または二酸化ケイ素・酸化マグネシウム触媒が使用される。
US4,039,580は、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合を触媒の不在下に実施し、次いで縮合生成物をケイソウ土、粘土またはゼオライトの存在下にさらにジアミノジフェニルメタンへと反応させる方法を記載している。US4,039,581もまた、同様の反応を記載している。
酸化マグネシウムまたは酸化アルミニウム、粘土触媒または二酸化ケイ素触媒の群からの触媒は、これらの高価な価格、低い活性、変動する品質および不十分な触媒寿命に基づいて有利でないことが実証されている。
従って比較的最近の従来技術では、ジアミノジフェニルアルカンを製造するために触媒として、酸性基を有するイオン交換体が提案されている。たとえばEP0043933A1は、4,4′−ジアミノジフェニルメタンを高い割合で、および2,4′−ジアミノジフェニルメタンを低い割合で含有するポリアミン混合物の製造方法を記載しており、この場合、触媒としてジビニルベンゼン/スチレン共重合体をベースとするイオン交換体が使用されている。このイオン交換体は、スルホン酸基を有し、2〜40m2/gの比表面積および0.5〜40nmの細孔幅を有する。触媒のための酸性基として、スルホン酸基が使用されている。この方法における収率は60〜78%の範囲である。スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体触媒により、4,4′−ジアミノジフェニルメタンを高い含有率で含有するジアミノジフェニルメタンを製造することができる。この異性体は特にその後の加工のために、つまりジフェニルメタン系列の相応するジイソシアネート(これはポリウレタンを製造する際の出発材料であるか、または塗料原料として使用される)への反応のために必要とされるものである。該刊行物はさらに、2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン化合物および2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン化合物の割合はできる限り少なくなくてはならないことを記載している。というのも、これらの異性体は、ポリイソシアネート分野における多くの適用分野にとって望ましくないからである。EP0043933の従来技術によれば得られたジアミノジフェニルメタン化合物は、直接ホスゲン化に供されて相応するジイソシアネートを製造している。
EP0043933に記載されているジアミノジフェニルアルカンの製造法は、収率が低く、反応温度が高いにもかかわらず、工業的に認容できる収率を達成するためにはきわめて長い反応時間が必要であるという欠点を有している。もう1つの欠点は、従来技術による方法では、2,4′−異性体が低い割合で生じるにすぎないことである。
芳香族イソシアネート以外に、いくつかの特定の分野では、相応する脂肪族イソシアネートが特に重要である。
脂肪族イソシアネートの製造法における次の段階は、ジアミノジフェニルアルカンの芳香族環の水素化である。
ジアミノジフェニルメタンを水素化する際に、4,4′−異性体から、4,4′−トランス/トランス、シス/シスおよびシス/トランス−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)が生じる。トランス/トランス−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンの含有率は、ジイソシアネートの結晶化傾向に著しい影響を与える。PACMからホスゲン化またはその他の方法により製造されるジイソシアネートにおいて、生成物のトランス/トランス−4,4′−割合が高すぎる場合には、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンはすでに室温で結晶を形成し、このような結晶形成はポリウレタンへのその後の加工にとっての妨げとなる。従って更なる加工の前に、4,4′−異性体の含有率を認容可能な値へと低減し、結晶形成が生じないようにするためには高価な方法工程を実施しなくてはならない。これは通常2,4′−異性体の富化によって行われる。
ジアミノジフェニルメタンを製造する際の異性体含有率に対するもう1つの要求は、2,2′−異性体ができる限り低い割合で存在していなくてはならないということである。というのも、この異性体は、後のポリウレタンへの加工工程で重合反応における鎖長の中断の原因となるからである。
この付加的なコストを回避するために、この反応経路にとってはジアミノジフェニルメタンの製造の際にすでに特定に異性体比を達成することが重要である。
これまでの従来技術によれば、この異性体比は、これらの異性体をその後の加工のために必要とされる比率で提供することができるためには、ジアミノジフェニルメタンを高価な方法で精製し、かつ蒸留することによって達成されている。
従って本発明の技術的な課題は、脂肪族ジイソシアネートへのその後の加工のために、およびポリウレタンへの相応する反応のために必要とされる特定の異性体比を直接生じるジアミノジフェニルアルカンの製造方法を提供することである。本発明のもう1つの技術的な課題は、経済的に運転する方法を開発することである。というのも、短い反応時間が必要であり、所望の異性体収率につながるからである。同時に塩により負荷された廃水の発生もまた回避すべきである。
この技術的課題は、ジアミノジフェニルアルカンの製造方法であって、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい芳香族アミンを不均一系触媒の存在下にC1〜C3−アルデヒドと反応させ、その際、触媒は、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体をベースとする、メソ孔を有する酸性のイオン交換体であり、かつ触媒はDIN 54403により測定して2〜6eq/kgの濃度で酸性中心を有しており、かつ触媒粒子の平均孔径はASTM D 4222により測定して10〜32nmであり、かつ形成される反応混合物中の多環式化合物の含有率は、>10〜≦15質量%である、ジアミノジフェニルアルカンの製造方法によって解決される。
有利な実施態様では、イオン交換体の酸性中心の濃度が、DIN 54403により測定して、4.4〜5.7eq/kg(eq/kgとは、イオン交換体1kgあたりの当量を意味している)、および特に有利には4.7〜5.6eq/kgである。
この酸性中心は有利には酸基であり、特に有利にはスルホン酸基である。
メソ孔を有するイオン交換体とは、ASTM D 4222により測定して2〜50nmの平均孔径を有するイオン交換体であると理解される。しかし本発明によれば触媒粒子がASTM D 4222により測定して10〜32nmの平均孔径を有するメソ孔を有するイオン交換体を使用する。
ASTM D 4222により測定されるイオン交換体の孔径は、有利には15〜30nmであり、特に有利には22〜30nmである。
これらの樹脂の特性、特に比表面積、多孔度、安定性、および交換容量は、製造法によって変動しうる。従ってたとえば細孔の大きさおよびその分布は、孔形成剤の添加によって影響を受ける。孔形成剤は、重合法におけるラジカル懸濁重合の間に関与しない不活性の有機物質、たとえば溶剤または沈殿剤である。これらは重合の後にふたたびポリマーから除去され、架橋剤成分と共に、多孔度の程度に影響を与える。孔形成剤はモノマーのための溶剤として、および生じるポリマーのための沈殿剤として役立つ。孔形成剤として懸濁重合ではたとえばイソプロパノール、トルエン、ヘプタン、パラフィンロウ、ベンジン、アミルアルコールまたはニトロメタンが使用される。
ジビニルベンゼン/スチレン共重合体の酸性樹脂を使用することができ、これらはDuolite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、Amberlite(登録商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)という商品名で市販されている。
アルデヒドとして有利にはホルムアルデヒドを使用する。ホルムアルデヒドは、ホルマリン水溶液として、あるいはまた気体状でホルムアルデヒドとして使用することができる。さらに、反応条件下でホルムアルデヒドを生じる物質、たとえばトリオキシメチレンまたはパラホルムアルデヒドもまた使用することができる。有利には反応のためにホルマリン水溶液を使用する。
芳香族アミンとして、置換された、または置換されていないアミンを使用することができる。有利には、アミンは、置換されている場合には、パラ位に置換基を有していないほうがよい。適切な芳香族アミンはたとえばN−メチルアニリン、N−エチルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、o−アニシジン、2,3−キシリジン、3,5−キシリジン、o−シクロヘキシルアニリン、o−ベンジルアニリン、アルファ−ナフチルアニリン、メチルメルカプトアニリン、またはアニリンである。特に有利には芳香族アミンとしてアニリンを使用する。
本発明による製造法では、以下の組成および異性体比が得られ、これらの組成および異性体比の分布は以下のとおりである:
4,4′−ジアミノジフェニルアルカン 64〜85質量%、
2,4′−ジアミノジフェニルアルカン 3〜20質量%、有利には7〜17質量%、
2,2′−ジアミノジフェニルアルカン ≧1.0質量%〜≦2質量%。
本発明による方法によれば、有利には以下の異性体組成のジアミノジフェニルメタンが製造される:
4,4′−ジアミノジフェニルメタン 64〜85質量%、
2,4′−ジアミノジフェニルメタン 3〜20質量%、有利には7〜17質量%、
2,2′−ジアミノジフェニルメタン ≧1.0質量%〜≦2質量%。
ジアミノジフェニルアルカン、特にジアミノジフェニルメタンの異性体混合物中の多環式化合物の割合は、>10質量%〜≦15質量%、有利には<15質量%である。多環式化合物とは、本発明の範囲では、2以上の芳香族環、特にフェニル環を有する分子であると理解するものとする。
ジアミノジフェニルアルカン、特にジアミノジフェニルメタンの異性体混合物中のN−メチル化合物による不純物は、≦1.0質量%、有利には≦0.5質量%、特に有利には≦0.3質量%である。
この異性体分布は、ジアミノジシクロヘキシルメタンを経由して相応するジイソシアナトジシクロヘキシルメタン化合物へとさらに加工するためには特に適切である。本発明による方法で得られる異性体比は、ジイソシアネート化合物中のその後の異性体比も決定する。
本発明による方法によりすでにジアミノジフェニルアルカンの製造の際に、コストがかかり、かつ高価な付加的な分離法により、このような異性体比を初めて調整する必要なしに、要求される異性体比が達成される。従ってこれらの精製法もまた不利である。というのも、生成物は極めて反応性の物質であるため、精製または蒸留の際にも可能な副反応が生じうるからである。
本発明による方法のもう1つの利点は、不所望の副生成物、特にN−メチル化合物の割合が、極めて低いことである。N−メチル化合物はジイソシアネートへのその後の加工の際に、不所望のモノイソシアネートひいては生成物の品質劣化につながる。
触媒として酸性イオン交換体を用いて作業する従来技術による方法は、4,4′−ジアミノジフェニルアルカンの明らかにより高い異性体割合につながる。たとえば刊行物EP0043933の実施例における相応する含有率は、94質量%、92質量%、および91質量%である。しかしこのような異性体含有率は高すぎる。というのも、脂肪族ジイソシアネート化合物へとさらに加工する際に、望ましくない結晶化が生じるからである。
従って、EP0043933により得られるジアミノジフェニルアルカンは付加的な方法工程、たとえば蒸留によって、4,4′−ジアミノジフェニルアルカン64〜85質量%、2,4′−ジアミノジフェニルアルカン3〜20質量%、および2,2′−ジアミノジフェニルアルカン≧1.0質量%〜≦2質量%の所望の異性体比に調整する必要がある。
本発明による方法のもう1つの利点は、その環境学的および経済的な実施にある。有利には触媒反応は80〜140℃、特に有利には80〜130℃、およびとりわけ有利には80〜120℃の範囲の反応温度で実施される。触媒反応のために必要とされる反応時間は有利には30分〜5時間、特に有利には0.75時間〜4.5時間、および特に有利には0.75〜3.0時間である。
この反応時間は、EP0043933と比較して著しく短い。当該刊行物の実施例からは、ここでの反応時間は最大20時間であり、従って本発明による方法よりもほぼ20倍の長さであることが明らかである。反応温度は同様の高さであり、このことは、反応を実施するためのエネルギーコストが約20倍高いことを意味している。
従って本発明による方法は、安価に、かつ経済的に実施することができ、かつ短い反応時間に基づいて、時間単位あたりの反応率がより大きいという利点を有している。
本発明による方法の収率もまた、従来技術によるものよりも高い。たとえばEP0043933による収率は実施例では60〜78質量%である。これに対して本発明による方法では、実施例に規定されているとおり、80〜95質量%の全収率が得られている。
有利には出発物質である芳香族アミンおよびアルデヒドを、5:1〜15:1、有利には7:1〜12:1、およびとりわけ有利には10:1のモル比で使用する。アミンを過剰で使用することが有利である。というのも、このことにより選択率が向上されるからである。過剰のアミンは、反応終了後に留去することができる。
触媒として、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体をベースとする、メソ孔を有する酸性イオン交換体を使用する。触媒は乾燥した状態でも湿った状態でも使用することができる。酸性基として有利にはスルホン酸基を使用する。触媒はたとえば、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合および硫酸/オレウムを用いたスルホン化により製造される。
本発明による方法は有利に連続的に、不連続的に、または半連続的に実施することができる。
有利な実施態様では、反応の実施は攪拌容器、攪拌容器のカスケード、流れ管、1もしくは複数の固定床反応器、またはカラム中で実施することができる。触媒反応は、不均一系触媒を用いて実施される。
本発明による方法を実施するために、出発物質である芳香族アミンおよびアルデヒドを連続的に、または不連続的に混合する。次いで触媒反応を80〜140℃の範囲の温度で実施する。引き続き、ジアミノジフェニルアルカンの異性体混合物を慣用の分離法によって単離する。
以下の例は本発明を詳細に説明するためのものである。
実施例
1.アニリン93.1gおよび湿った状態の、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂Amberlyst 35Wet10gを、N2雰囲気下に攪拌容器に添加し、かつ撹拌下に120℃に加熱した。この温度でホルムアルデヒド溶液(水中37質量%のホルムアルデヒド)8.1g(これは10:1のアニリン/ホルマリンモル比に相当する)を、60分以内に計量供給した。使用したイオン交換樹脂は、製造元の製品データシートによれば、少なくとも5.2eq/kgの酸性中心の濃度と、300Å(30nmに相当)の平均孔径を有していた。
反応生成物の組成(ガスクロマトグラフィーによる分析、過剰で存在するアニリンを除去した後で)は以下のとおりである:2,2−MDA 0.9質量%、2,4−MDA 16.8質量%、4,4−MDA 70.6質量%、N−メチル−MDA 0.06質量%、および多環式化合物11.7質量%。収率は88.2質量%であった。
2.アニリン93.1gおよび湿った状態の、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂Amberlyst 39Wet10gを、N2雰囲気下に攪拌容器に添加し、かつ撹拌下に120℃に加熱した。この温度でホルムアルデヒド溶液(水中37質量%のホルムアルデヒド)8.1g(これは10:1のアニリン/ホルマリンモル比に相当する)を、60分以内に計量供給した。使用したイオン交換樹脂は、製造元の製品データシートによれば、少なくとも5.0eq/kgの酸性中心の濃度と、230Å(23nmに相当)の平均孔径を有していた。
反応生成物の組成(ガスクロマトグラフィーによる分析、過剰で存在するアニリンを除去した後で)は以下のとおりである:2,2−MDA 1.5質量%、2,4−MDA 17.9質量%、4,4−MDA 66.8質量%、N−メチル−MDA 0.06質量%、および多環式化合物13.8質量%。収率は86.1質量%であった。
3.アニリン93.1gおよび湿った状態の、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂Amberlyst 70Wet10gを、N2雰囲気下に攪拌容器に添加し、かつ撹拌下に120℃に加熱した。この温度でホルムアルデヒド溶液(水中37質量%のホルムアルデヒド)8.1g(これは10:1のアニリン/ホルマリンモル比に相当する)を、60分以内に計量供給した。使用したイオン交換樹脂は、製造元の製品データシートによれば、少なくとも2.55eq/kgの酸性中心の濃度と、220Å(22nmに相当)の平均孔径を有していた。
反応生成物の組成(ガスクロマトグラフィーによる分析、過剰で存在するアニリンを除去した後で)は以下のとおりである:2,2−MDA 1.1質量%、2,4−MDA 15.9質量%、4,4−MDA 69.4質量%、N−メチル−MDA 0.03質量%、および多環式化合物13.6質量%。収率は86.3質量%であった。
これらの実施例は、要求される異性体比が、更なる精製工程または蒸留工程なしに得られることを示している。反応の選択率(S)は、形成される所望の生成物(P)(ここではMDAの2,2′−異性体、2,4′−異性体および4,4′−異性体の合計)の物質量と、反応したキー成分(K)(ここではホルムアルデヒド)との間の比率から、化学量論値(v)を考慮して計算される。従って、以下の式が該当する:
Figure 2011518850
記載されている分の後に、使用したホルムアルデヒドの完全な反応が達成された。従って反応の選択率は収率と同じである。

Claims (18)

  1. ジアミノジフェニルアルカンの製造方法であって、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい芳香族アミンを不均一系触媒の存在下にC1〜C3−アルデヒドと反応させ、その際、触媒は、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体をベースとする、メソ孔を有する酸性のイオン交換体であり、かつ触媒はDIN 54403により測定して2〜6eq/kgの濃度で酸性中心を有しており、かつ触媒粒子の平均孔径はASTM D 4222により測定して10〜32nmであり、かつ形成される反応混合物中の多環式化合物の含有率は、>10〜≦15質量%である、ジアミノジフェニルアルカンの製造方法。
  2. 前記アルデヒドとして、ホルムアルデヒドを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記アミンとして、アニリンを使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. ジアミノジフェニルメタンを製造することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 得られるジアミノジフェニルアルカンの異性体比が、以下:
    4,4′−ジアミノジフェニルアルカン 64〜85質量%、
    2,4′−ジアミノジフェニルアルカン 3〜20質量%、
    2,2′−ジアミノジフェニルアルカン ≧1.0質量%〜≦2質量%
    のとおりの分布となっていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 得られるジアミノジフェニルメタンの異性対比が、以下:
    4,4′−ジアミノジフェニルメタン 64〜85質量%、
    2,4′−ジアミノジフェニルメタン 3〜20質量%、
    2,2′−ジアミノジフェニルメタン ≧1.0質量%〜≦2質量%
    のとおりの分布となっていることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. N−メチル化合物の含有率が、1質量%以下であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 多環式化合物の含有率が、<15質量%であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  9. 触媒反応の反応温度が、80〜140℃の範囲であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 触媒反応のための反応時間が、30分〜5時間であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. アミン対アルデヒドのモル比が、5:1〜15:1であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 触媒を、乾燥した形または湿潤した形で使用することができることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. プロセスを連続的に、不連続的に、または半連続的に実施することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 反応を、攪拌容器、攪拌容器のカスケード、流れ管、固定床反応器、またはカラム中で実施することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 触媒のための酸性中心として、スルホン酸基を使用することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
  16. イオン交換体の酸性中心の濃度が、DIN 54403により測定して、4.4〜5.7eq/kg、および特に有利には4.7〜5.6eq/kgであることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. イオン交換体の孔径が、ASTM D 4222により測定して、15〜30nm、特に有利には22〜30nmであることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
  18. 触媒反応の反応温度が、80〜130℃、特に有利には80〜120℃の範囲であることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
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