JP2011518557A - オキシダーゼを用いて麺類生地を調製する方法 - Google Patents

オキシダーゼを用いて麺類生地を調製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生地を調製する方法に関する。特に本発明は、シート化によって加工し得る生地(すなわちシート化可能生地)を製造する方法に関する。より詳細には本発明は、常態では粘性過剰であるために生地を加工できない水添加レベルである、シート化可能生地を製造する方法に関する。本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含み、前記水量は前記オキシダーゼ不在下では粘性のために生地を加工できない量である、シート化可能生地を調製する方法を提供する。

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は生地を調製する方法に関する。特に本発明は、シート化によって加工し得る生地(すなわちシート化可能生地)を製造する方法に関する。なおもより詳細には、本発明は、常態では粘性過剰になって生地を加工できない水添加レベルで、シート化可能生地を製造する方法に関する。本発明は、本発明の方法に従って得ることができる生地、ならびに(アジア)麺類またはラップなどの生地包含製品をさらに提供する。
[背景技術]
アジア麺類は、使用成分、関与する工程、およびそれらの消費パターンにおいて、パスタ製品とは異なる。パスタは、セモリナ(通常デュラム小麦から製粉される粗挽き小麦粉)と水からできており、加圧下で金属ダイを通して押し出される。調理後、パスタはソースと共に食されることが多い。アジア麺類は、小麦粉(硬質および軟質小麦)、水、および塩からできたシート化された生地からの細い麺線を特徴とする。それぞれの製品には卵を添加して、よりしっかりとした構造を与え得る。
アジア麺類は、例えば原料に基づいて、使用塩に基づいて、サイズに基づいて、または加工方法に基づいて分類し得る。
配合中のアルカリ塩の不在または存在に基づいて、麺類は、白色(塩含有)または黄色(アルカリ塩含有)麺類に分類され得る。
麺類はまた、生、乾燥、茹でるまたは蒸すなどの使用される加工に基づいても分類し得る。
機械製ならびに手作り麺類の基本的加工段階は次のとおりである。
−原料を混合し、
−脆い生地を寝かせ、
−生地をシート化して2枚の生地シートにし、
−2枚のシートを1枚に折り合わせ、
−生地シートを規定厚に徐々にシート化し、細長く切って麺線にする。
これらの工程後、麺類を例えばウェービング、蒸煮、(湯通し)煮沸、洗浄、脱水または乾燥(例えば風乾またはフライ乾燥)によってさらに加工する。
混合工程では、小麦粉などの成分、水、塩、およびその他の任意の成分を加工して、小さく均一な粒度の脆い生地にする。より高い水添加レベルは、生地クラムとそれに続くシートの滑らかさおよび均一性などのいくつかの望ましい特性と関連付けられている。しかし水添加レベルが高すぎる生地は加工するには粘着過剰になるので、生地に添加し得る水量には限界がある。
混合後、折り合わせる前に生地片を20〜40分間寝かせる。生地の寝かせは、水が生地粒子に均等に浸透するのを助け、シート化後により滑らかでムラがより少ない生地をもたらす。
寝かせた脆い生地片を典型的に2つの部分に分割し、それぞれ一対のシート化ロールに通過させて麺生地シートを形成する。次に2枚のシートを合わせ(折り合わせ)、第2のシート化ロールの対に通過させて単一シートを形成する。
さらなる生地シート化は、ロール開度が減少していく一連の4〜6対のロール上で行われる。麺の細断は裁断機上で行われる。シートをスリッターで所望幅の麺線に切断する。様々なスリッターを使用することにより、麺類は角形または丸形のどちらかであり得る。いくつかのタイプの麺類では、麺類製造工程がこれで完了する。麺線はカッターで所望の長さに切断される。即席麺類の製造では、蒸煮および切断の前に麺線をウェービングする。
機械を使用すると添加水量が制限されるため、機械製麺類は典型的に、粘弾性、滑らかさ、味覚およびその他の特徴についての質が悪い。
上述のように、さもなければシート化段階で加工するには粘つくので、麺類生地の水添加レベルは低い。
機械によって製造し得て、水含量が増大された生地を調製する方法(そしてそれに続く麺類またはラップなどの製品)に対する明らかな必要性がある。
本明細書の目的は、加工性を失うことなく麺類生地中の水量を増大させることである。
本発明は、本質的に生地の機械加工性に悪影響を与えることなく、特に機械製生地(そしてそれに由来する製品)中の水量を増大させる方法と手段を提供する。
意外にも発明者らは、生地の調製および加工中にオキシダーゼを使用すると、所望の加工性を同時に保ちながら生地中の水量を増大できることを発見した。より高い水添加レベルの使用は、より良い混合、より良いシート化、そして一般により均質な生地をもたらす。得られた生地から調製された麺類またはラップは、改善された弾性と滑らかさを有する。
麺類用途におけるグルコースオキシダーゼ(オキシダーゼの一例)の使用については、かなり長きにわたって知られている。
例えば中国特許第1788604号明細書(CN100334969Cとしても公開される)は、精製トウモロコシ粉がプロテアーゼおよびグルコースオキシダーゼによるトウモロコシの酵素分解によって得られる、複数の特殊トウモロコシ粉組成物について記載する。これによっていわゆる精製トウモロコシ粉がもたらされる。精製トウモロコシ粉を引き続いて点心用特殊トウモロコシ粉の調製で使用し、組成物は0.00005〜0.0001のグルコースオキシダーゼ(質量比)を含む。この文献は小麦粉とは関係がなく、水吸収増大時の麺生地シート化加工性とも関係がない。トウモロコシ粉は小麦グルテンによって強化され、穀物粉の特性が改善される。さらにグルコースオキシダーゼは、添加グルテンの機能性を改善する(架橋形成)ために添加され、すなわち中国特許第1788604号明細書は、穀粉強化剤としてのグルコースオキシダーゼの使用について記載する。
別の例は、中国特許第1759690A号明細書である。この文献は、グルコースオキシダーゼ、カゼイン酸ナトリウム、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムの相乗効果を利用して、表面が滑らかで味がよく、調理が容易であってスープ中で崩れず溶け出しにくいことを特徴とする麺類を調製し得ることを記載する。定義された目的は、麺類の蒸煮および調理品質ならびに栄養を改善するように、専用製麺粉のための複合酵素改質剤を提供することである。生地の含水量を増大させる可能性については言うまでもなく、生地品質に関する開示はない。この文献はまた、グルテンの網状構造を強化するためのグルコースオキシダーゼの使用にも言及する。オキシダーゼを使用して、生地の水吸収レベルを増大させ得ることは開示されていない。
さらなる例は、Feng Wenrui(Application of glucose oxidase in noodle processing,Science and technology of food industry,第21巻,6号,2000年,67〜68頁)からの発表である。この文献は、グルコースオキシダーゼを添加すると改善される、生地のいくつかの流動学的特性(最大引張強度、伸展性、およびエネルギー)について記載する(表1)。全ての例は、通常の(すなわち増大していない)含水量であると見なされる33〜34%の含水量に言及する。この文献は、含水量増大およびグルコースオキシダーゼの影響について記載していない。
本発明の発明者らは、意外にもグルコースオキシダーゼを使用して、生地調製中に水量を増大させ、同時に生地の許容可能な加工性をも保ち得ることを発見した。
pGBFINZGLをもたらす、ZGLペニシリウムグルコースオキシダーゼ遺伝子のアスペルギルス(Aspergillus)発現ベクターpGBFIN−5中におけるクローニングの略図である。 pGBFINZGLの5日間の成長後における、培養上清のSDS−PAGE分析のクーマシー染色を示す。 3日間の培養後のZGL形質転換体#1培養濾液中のZGL発現(NuPAGE 4〜12%Bis−Trisゲル)を示す。 精製(NuPAGE 4〜12%Bis−Trisゲル)後のZGLのプールサンプルの純度を示す。 ZGL活性のpH依存性を示す。 ZGL活性の温度依存性を示す。
[配列説明]
配列番号1:PenGOXゲノム配列
配列番号2:PenGOXコード配列
配列番号3:PenGOXタンパク質配列
配列番号4および5:プライマー配列
[発明の詳細な説明]
本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含み、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量である、シート化可能生地を調製する方法を提供する。
「シート化可能生地」という用語は、シーティングマシンによって加工し得る生地を指すのに使用される。「シート化可能生地」、「機械加工可能生地」、「加工可能生地」という用語は、本明細書で同義的に使用される。生地の加工は、典型的に一対のシート化ロールに生地を通過させて、生地シートを形成することを伴う。好ましくはシート化の第一段階は、寝かせた調製(すなわち混合)生地の2つの部分に対して実施される。形成された2枚のシートを典型的に合わせて(折り合わせて)第2のロールシートの対に通過させ、1枚の合わせたシートを形成する。上記の合わせた生地を典型的に、ロール開度が減少していく複数のシート化ロールの対を通して加工する。したがって本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記生地はシート化ロールを通して少なくとも2回、なおもより好ましくは3回、より好ましくは3回以上(すなわち少なくとも3回)加工される。最も好ましい実施形態では、使用されるシート化ロールのロール開度は減少していく。最終シート化ロール幅、ひいては最終シート厚は製造される製品に左右され、当業者によって容易に選択され得る。
「シート化可能生地」、「機械加工可能生地」、「加工可能生地」という用語は、典型的にシート化ロールに粘着しない生地を指す。さらに本用語は、水、小麦粉、およびオキシダーゼなどの化合物を単に混合して調製される生地、ならびに寝かせた生地、または1つまたは複数のシート化ロールによって加工された生地を指す。
「生地」という用語は、本明細書での用法では典型的にシート化または圧延加工を受ける、小麦粉および水および塩などの任意の成分から調製される酵母不含有生地(すなわち非発酵生地)を指す。より具体的には「生地」という用語は、本明細書での用法では典型的に麺類、ラップおよび/または点心を調製するのに適した生地を指し、すなわち好ましくは上記の生地は、シート化可能な麺生地、シート化可能なラップ生地またはシート化可能な点心生地である。
なおもより好ましい実施形態では、生地という用語は本明細書での用法ではパスタ生地を含まない。好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを穀物粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量はオキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記生地は(イタリアン)パスタ生地でない。パスタの非限定的例は、スパゲティまたはタリアテーレである。
シート化可能生地の調製に関わる工程の一部または全部は手で(手動で)実施し得るが、好ましい実施形態では本発明に従った方法は機械によって実施され、すなわち好ましい実施形態では本発明に従った方法は、機械製シート化可能生地を調製する方法である。
本発明に従った方法で使用される穀物粉は、典型的に硬質または軟質小麦粉であり、(イタリアン)パスタの調製のために典型的に使用されるセモリナ粉ではない。なおもより好ましい実施形態では、本発明に従った方法で使用される小麦粉は良質であり、すなわち(小麦粉の品質を改善するための)小麦グルテンの別途の添加は必要でない。当業者はどの小麦粉が良質であり、どれが良質でないかを明白に判定できる。したがって本発明は、好ましくはある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記小麦粉は小麦グルテンによる強化を必要としない品質である。
好ましい実施形態では、小麦粉は非デュラム小麦粉である。
使用される水は重要でないと見なされる。水道水または飲用水が、本発明に従った方法で使用するのに適する水源である。
水、小麦粉、およびオキシダーゼを一緒に合わせる順序は重要でない。例えばオキシダーゼは水(の一部)に添加し得て、またはそれに溶解し得て、得られた組み合わせを任意に残量の水と合わせて、引き続いて小麦粉に添加し得る。別の例としては、小麦粉を水に添加して(またはその逆)、オキシダーゼを水と小麦粉の混合物に添加する。成分は通常、横型または縦型ミキサーの助けを借りて混合する。
小麦粉は典型的に大量バッチで製造され、別個の生地調製のために1バッチのより少量部分を使用する。小麦粉の保存状態が良好であれば、前記小麦粉の最大水添加レベルは大量バッチについて1回だけ判定すればよく、得られた最大水添加レベル結果は、大量バッチからの別個の生地調製のための情報として使用し得る。異なる生地の調製は、1日の間で同日に実施し得て、または例えば2週間以内、2ヶ月以内または半年以内などの特定の期間内に実施し得る。しかし小麦粉の保存が最適でなかった場合、または生地製造者が最大水添加レベルを(再度)チェックしたい場合は、本発明に従った方法は、最大水添加レベルを判定する追加的ステップを補足し得る。したがって好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記方法は出発小麦粉に基づいて最大水添加レベルを判定または事前判定する(すなわち異なる構成要素を互いに添加して混合する前に)ステップをさらに含み、前記添加水量は判定された最大水添加レベルを超える。
水吸収レベル、水添加レベル、および含水量という用語は、本明細書で同義的に使用される。水吸収レベルおよび水添加レベルという用語は、典型的に「ベーカーズパーセント」として表わされ、含水量という用語は典型的に(小麦粉の量に対する)真の百分率で表わされる。ベーカーズパーセントは配合百分率と称されることもあり、パン製造で典型的に使用される成分の比率を示す方法である。合計が100%になる通例の百分率を表す方法に反して、成分は100%である小麦粉の%重量で示される。全ての成分は小麦粉と比較したそれらの重量によって測定される。したがって小麦粉は常に100%を占めて、全てのその他の成分が合計を100%よりも高くする。例えばレシピが10ポンドの小麦粉および5ポンドの水を必要とする場合、対応する百分率は100%および50%になる。
「前記水量はオキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量である」という語句は、オキシダーゼの添加なしで同量の水を使用した場合、生地が機械、特にシート化ロールに粘着するため適切に加工できないという事実を指す。これは例えば実施例4および表1で例証される。オキシダーゼなしに生地を通常の含水量(実施例4、32〜34%)で調製すれば、生地の加工性は良好である。含水量を増大させると(実施例4、36〜38%まで)、オキシダーゼなしの生地は自動工程では粘性過剰である。有効量のオキシダーゼを添加すると、生地は良好な機械加工適性特性を有する。生地の含水量をなおもさらに増大させると(実施例4、40%まで)、オキシダーゼなしの生地は機械に粘着するためもはや加工できない。しかし有効量のオキシダーゼを添加すると、得られた生地は許容可能な機械加工適性を有する。これらの結果から、通常の含水量を超えて含水量を増大させると、生地加工性特性は不良でありまたは許容すらできないことが明らかである。加工性不良は、有効量のオキシダーゼを使用することで回避し得る。本発明に従った方法のためには、有効量のオキシダーゼと水添加レベル増大(すなわち最大水添加レベルを超えるレベル)との複合作用が重要である。
代替表現では、本発明は、
−生地の小麦粉に有効量のオキシダーゼを添加するステップを含む(麺類)生地粘性を低下させる方法を提供し、前記粘性は生地中の水添加レベル増大の効果であり(それに起因する);または
−一定量の水およびオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含む、(麺類)生地を調製する方法を提供し、前記オキシダーゼの存在は本質的に上記の生地の加工性に影響することなく、水を取り込む能力の増大をもたらし、水吸収レベルが出発原料に基づいて(事前)判定された最大のレベルを超え;または
−ある量の水、およびオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含み、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、本質的に生地の加工性に影響することなく、(麺類)生地中の最大水添加レベルを増大させる方法を提供する。
生地の相対粘性は、当業者によって容易に測定され得る。これに限定することなく、3種類の測定法についてより詳細に記載する。第1の方法は、生地表面から金属プローブを分離するのに必要なエネルギー量を測定する。これは例えばTA−TX2テクスチャ分析器を使用し、引き続いて曲線下面積またはピーク値を測定することで測定し得る。第2の方法は複数の異なるプローブ(例えば異なる材料からできたおよび/または異なる形を有する)を使用して、どのプローブがいかなる生地の粘着もなしに生地から解放され得るかを確立する。異なるプローブの助けにより、検定セットを確立し得る(例えばプローブ1、2、および3が生地から解放される場合、生地はシート化または圧延工程で使用するのに適する)。第3の方法は特定加工段階における生地の損失量を測定し、どのような損失が、許容可能なシート化または圧延効率をもたらすかを確立する。
使用される方法に関係なく、生地は好ましくは最初にシート(すなわち平坦な生地表面)に加工され、さもなければ再現可能な測定は不可能である。したがって言及される方法のいずれかに従って特性解析し得て、ひいては機械シート化におそらく適する生地と、全く使い物にならず、すなわち特性解析ですら可能でない生地との間には違いがある。
記載される測定法のいずれかを使用して、生地粘性を定義し得る。「粘性」または「相対粘性」という用語は、典型的に生地のシート化中の粘性を指す。発明者らは、オキシダーゼ不在下で水添加レベルを32から38%に増大させると、粘性が37から74に増大することを測定した。オキシダーゼ存在下では、粘性は水32%では23であり、水38%では46である。46の粘性は(オキシダーゼ不在下で)34%の水の添加がある生地に見られる粘性に等しく、すなわち本発明の方法の助けを借りて(オキシダーゼ存在下で)調製される生地の粘性に影響することなく、少なくとも4%の追加的な水を添加し得る。
上述の方法のいずれでも、使用されるオキシダーゼは、1タイプのオキシダーゼまたは異なるタイプのオキシダーゼの組み合わせであり得る。好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性(または上の代替表現のいずれか)のために生地を加工できない量であり、オキシダーゼである1タイプの酵素のみが使用される。
上で概説したように、本発明に従った方法は、最大水添加レベルを判定するステップを含み得る。このレベル判定後、本発明に従った方法は、典型的に有効量のオキシダーゼと合わせた1〜10%の追加的な水を添加する(すなわち最大水添加レベルに加えて添加する)。追加的な水量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10%、またはその間のあらゆる値であり得る。好ましくは2、3、4、5、6、7、8または9%などの2〜9%またはその間のあらゆる値の追加的な水を添加する。さらにより好ましい実施形態では、本発明に従った方法は、3、4、5、6、7、または8%などの3〜8%またはその間のあらゆる値の追加的な水の添加を伴う。好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記水量は最大水添加レベルを1〜10%超える。上で概説したように、最大水添加レベルは出発原料に左右される最大水添加レベルが例えば33%(出発原料に基づく)である場合、本発明の方法に従って添加される水量は34〜43%である。
言及される水の百分率は、重量%または容積%を指す。典型的に製造業者は堅牢性および容易さのために重量%を使用する。
本発明に従った方法で使用するのに適したオキシダーゼ酵素は、2つの要求事項を満たさねばならない。それらは(例えば麺類)生地中で高頻度に見られる条件下で活性でなくてはならず、またそれらは生地マトリックス中に適切な基質を見つけなくてはならない。この点において、白色および黄色麺類間には違いがある。白色麺生地中のpHが中性からわずかに酸性(穀物生地の天然のpH)であるのに対し、アルカリ性麺類は、アルカリ性塩使用のためにpHレベルがはるかに高い。したがってこれらの工程で使用されるオキシダーゼ酵素の適合性は、ある程度それらのpH活性プロフィールに左右される。当業者はpH依存性曲線を明白に判定して、特定の一連の条件下における最適のオキシダーゼを選択できる。
好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記オキシダーゼは糖、特にグルコースを酸化できる酵素(グルコースオキシダーゼなど)である。グルコースオキシダーゼは当業者にとって容易に入手できる。
別の適切なオキシダーゼは、イソアミルアルコールオキシダーゼと少なくとも45%同一のアミノ酸を有するタンパク質である。このオキシダーゼについては下でより詳細に論じる。
限定することなく、ここで3つの特定のオキシダーゼの説明を提供する。
(1)アスペルギルス(Aspergillus)からのオキシダーゼ(AspGOXと称される)
(2)ペニシリウム(Penicillium)からのグルコースオキシダーゼ(PenGOXまたはZGLと称される)
(3)イソアミルアルコールオキシダーゼと少なくとも45%アミノ酸同一性を有する、アスペルギルス(Aspergillus)からのオキシダーゼ(ZLRまたはoxi 01と称される)。
[アスペルギルス(Aspergillus)からのオキシダーゼ(AspGOX)]
グルコースオキシダーゼ一般およびアスペルギルス(Aspergillus)からのグルコースオキシダーゼは、例えばDSM Food Specialties(Bakezyme GO)およびNovozymes(Gluzyme)によって市販される。
[ペニシリウム(Penicillium)からのオキシダーゼ(PenGOX)]
適切なペニシリウム(Penicillium)からのオキシダーゼの一例は、グルコースオキシダーゼ活性を有する単離ポリペプチドであり、
(a)それは配列番号3と少なくとも80%アミノ酸配列が同一のアミノ酸配列を有し;または
(b)それは配列番号1または2に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされ;または
(c)それは配列番号1または2の核酸配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ、それは少なくとも60ヌクレオチドにわたり少なくとも80%または90%同一であり、または
(d)それは配列番号1または2の核酸配列に相補的な核酸配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる。
ペニシリウム(Penicillium)グルコースオキシダーゼポリペプチドの一つの利点は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中におけるこのグルコースオキシダーゼポリペプチドの過剰発現が、工業培地中で非常に良好な生産性を与えることである。一般に異種性酵素の発現は、相同的酵素の発現よりもはるかに低い。意外にも発明者らは、異種性酵素の生産性が、相同的なアスペルギルス(Aspergillus)酵素よりもはるかに高いことを発見した。さらにこの酵素は活性であり、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酵素をその全用途において置き換え得る。これはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコースオキシダーゼの生産に関わる問題のほとんどが、アスペルギルス(Aspergillus)酵素の特異性に起因し、上で考察したような宿主生物または培養条件に起因しないことを暗示する。
本明細書で定義されるように、グルコースオキシダーゼ活性とはEC1.1.3.4、過酸化水素の形成を伴うグルコースのグルコン酸への酸化を指す。グルコースオキシダーゼは、酵素によって発生する過酸化水素を判定することでアッセイし得る。これは蛍光プローブまたは比色分析などの当該技術分野で知られているあらゆる適切な手段によって測定してもよい。一実施形態では、グルコースオキシダーゼ活性は、COBAS MIRA分析器によって相対的に測定される。ペルオキシダーゼの影響下では、形成した過酸化水素が水に還元される一方で、2,2’−アジノ−ビス−3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸(ABTS)を酸化して、分光光度法により405nmで測定され得る緑色の複合体を形成する。結果は公式に付与された活性があるグルコースオキシダーゼ調製品と関連付けられる。活性はSRU(Sarrett単位)で表される。1 SRU単位は、30℃において過剰な酸素、カタラーゼ、およびpH5.4のリン酸緩衝液中の3.3%グルコース溶液の存在下で、ワールブルク検圧計内において10m/分の酸素取り込みを与える酵素の量と定義される。
ペニシリウム(Penicillium)グルコースオキシダーゼは、特に乳糖またはガラクトースなどのその他の糖であるその他の基質を有してもよい。好ましい実施形態では、ペニシリウム(Penicillium)のグルコースオキシダーゼは、基質として、その他の基質よりもグルコースに対する選択性を有する。より好ましい実施形態では、ペニシリウム(Penicillium)のグルコースオキシダーゼはその主要活性としてグルコースオキシダーゼ活性を有する。
本明細書で定義されるように、本発明に従った方法で使用されるオキシダーゼは、内因的に産生されるポリペプチドまたは組み換えポリペプチドであり、それは本質的にその他の非グルコースオキシダーゼポリペプチドを含まず、典型的にSDS−PAGEによる測定で、少なくとも約20%純粋、好ましくは少なくとも約40%純粋、より好ましくは少なくとも約60%純粋、なおもより好ましくは少なくとも約80%純粋、さらにより好ましくは約90%純粋、最も好ましくは約95%純粋である。オキシダーゼは、遠心分離およびクロマトグラフィー法によって、または粗製溶液から純粋タンパク質を得るために当該技術分野で知られているあらゆるその他の技術によって単離されてもよい。オキシダーゼは、オキシダーゼの意図される目的を妨げないキャリアまたは希釈剤と混合してもよいものと理解され、したがって、この形態のオキシダーゼはなおも単離されていると見なされる。それは一般に、調製品中のタンパク質重量を基準にして、例えば30%、40%、50%、80%、90%、95%または99%以上など、20%以上がPenGOXであるオキシダーゼを調製品中に含む。
好ましくはオキシダーゼは、グルコースオキシダーゼ活性がある酵素をコードする遺伝子を保有する微生物から得られる。より好ましくは前記ポリペプチドは、微生物から分泌される。なおもより好ましくは、微生物は真菌であり、最適には糸状菌である。好ましい微生物はペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)種のものなどのペニシリウム(Penicillium)属である。
好ましくは単離されたペニシリウム(Penicillium)オキシダーゼは、配列番号3と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、なおもより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有して、グルコースオキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列を有する。
本発明の目的で、2つ以上のアミノ酸配列間の同一性の程度をBLAST Pタンパク質データベース検索プログラム(Altschulら,1997年,Nucleic Acids Research 25:3389〜3402頁)によって、matrix Blosum 62、expected threshold 10、word size 3、gap existence cost 11、およびgap extension cost 1で判定する。
前記オキシダーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列または実質的に相同的な配列、またはグルコースオキシダーゼ活性を有するどちらかの配列の断片を含んでもよい。一般に、配列番号3で示される天然アミノ酸配列が好ましい。
ペニシリウム(Penicillium)オキシダーゼはまた、配列番号3のポリペプチドの天然変異体または種相同体を含んでもよい。
変異体は、例えば真菌、細菌、酵母または植物細胞中で自然発生するオキシダーゼであり、変異体はグルコースオキシダーゼ活性および配列番号3のタンパク質と実質的に類似の配列を有する。「変異体」という用語は、配列番号3のグルコースオキシダーゼと同一の本質的特性または基本的生物学的機能性を有するオキシダーゼを指し、対立遺伝子変異体を含む。好ましくは変異体オキシダーゼは、配列番号3のオキシダーゼと少なくとも同一レベルのグルコースオキシダーゼ活性を有する。変異体は、配列番号3のオキシダーゼと同一株から、または同一属または同一種の異なる株からのどちらかの対立遺伝子変異体を含む。
同様にペニシリウム(Penicillium)オキシダーゼの種相同体は、グルコースオキシダーゼであり別の種中で自然発生する、類似した配列の同等なタンパク質である。
変異体および種相同体は、本明細書に記載される手順を使用して、このような手順を例えば細菌、酵母、真菌または植物細胞などの適切な細胞源に対して実施して単離され得る。配列番号3のオキシダーゼの変異体または種相同体を発現するクローンを得るために、プローブを使用して、酵母、細菌、真菌または植物細胞からできたDNAライブラリーを精査することもまた可能である。既知の遺伝子の変異体および種相同体を単離するのに使用し得る方法については文献で広く記載されており、当業者に知られている。これらの遺伝子を従来の技術によって操作して、その後それ自体既知である組み換えまたは合成技術によって生成されてもよい、本発明のポリペプチドを発生させ得る。
配列番号3のオキシダーゼ、および変異体および種相同体の配列はまた、改変して本発明のオキシダーゼを提供し得る。アミノ酸置換は、例えば1、2または3〜10、20または30の置換であってもよい。また同数の欠失および挿入があってもよい。これらの変更はオキシダーゼの機能に不可欠な領域の外側に加えてもよく、このような修飾オキシダーゼはそのグルコースオキシダーゼ活性を保つ。
上述のオキシダーゼは、配列番号3で記載される配列の断片をはじめとする、前述の全長オキシダーゼの断片、およびその変異体の断片を含む。このような断片は、典型的にグルコースオキシダーゼとしての活性を保つ。断片は、少なくとも50、100または200アミノ酸の長さであってもよく、またはこのアミノ酸の数は、配列番号3で示される全長配列に満たなくてもよい。
オキシダーゼは、通常、下述するように組み換え的に作られるが、必要ならばそれらは合成手段によって生成され得る。合成および組み換えポリペプチドは、例えばそれらの同定または精製を助けるヒスチジン残基またはT7タグの付加によって、またはそれらの細胞からの分泌を促進するシグナル配列の付加によって修飾されてもよい。
したがって変異体配列は、配列番号3のオキシダーゼがそれから単離された株以外のペニシリウム(Penicillium)株に由来するものを含んでもよい。本明細書に記載されるように、グルコースオキシダーゼ活性を探し、クローニングおよび配列決定することで、その他のペニシリウム(Penicillium)株から変異体を同定し得る。ペプチドが配列番号3のグルコースオキシダーゼの基本的生物学的機能性を保ちさえすれば、変異体は、タンパク質配列内に単一アミノ酸またはアミノ酸群の欠失、修飾または付加を含んでもよい。
例えば1、2または3〜10、20または30の置換などの、アミノ酸置換を行ってもよい。修飾ポリペプチドは、一般にグルコースオキシダーゼとしての活性を保つ。保存的アミノ酸置換を行ってもよく、このような置換については当該技術分野で良く知られている。
より短いまたはより長いポリペプチド配列は本発明の範囲内であり、すなわちこのようなポリペプチドを本発明に従った方法で使用し得る。例えば少なくとも50アミノ酸または100、150、200、300、400、500、600、700または800までのアミノ酸の長さのペプチドは、それが配列番号3のグルコースオキシダーゼの基本的生物学的機能性を実証しさえすれば、本発明の範囲内に入ると見なされる。特にしかし排他的でなく、本発明のこの態様はタンパク質が完全なタンパク質配列の断片である状態を包含する。
本発明では、関心のあるタンパク質が、増殖培地中に能動的に分泌されることが特に有用である。分泌タンパク質は常態では、プレタンパク質として当初に合成され、引き続いて分泌過程においてプレ配列(シグナル配列)が除去される。分泌過程は基本的に、原核生物と真核生物で類似している。能動的に分泌されたプレタンパク質が膜を通過して、特異的シグナルペプチダーゼによってシグナル配列が除去され、成熟タンパク質が(再度)折り畳まれる。シグナル配列についても一般構造が認識され得る。分泌のためのシグナル配列はプレタンパク質のアミノ末端に位置して、一般に15〜35アミノ酸の長さである。アミノ末端は、好ましくは正に帯電したアミノ酸を含有し、好ましくは酸性アミノ酸を含まない。この正に帯電した領域は、膜のリン脂質の負に帯電した頭部基と相互作用すると考えられる。この領域に、疎水性の膜貫通コア領域が続く。この領域は一般に10〜20アミノ酸の長さであり、主に疎水性アミノ酸からなる。荷電したアミノ酸は、常態ではこの領域内に存在しない。膜貫通領域には、シグナルペプチダーゼ認識部位が続く。認識部位はアミノ酸からなり、小型〜超小型が好まれる。小型アミノ酸はアラニン、グリシン、セリンまたはシステインであり得る。超小型はあらゆるアミノ酸であり得る。
別の実施形態では、単離されたオキシダーゼ(PenGOX)は、配列番号1または2に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされる。
なおもさらに別の実施形態では、単離されたオキシダーゼはポリヌクレオチド配列によってコードされ、このポリヌクレオチド配列は配列番号1または2の核酸配列とハイブリダイズし、またはそれとハイブリダイズでき、少なくとも60ヌクレオチドにわたり少なくとも80%または少なくとも90%同一である。
好ましくは、単離されたオキシダーゼはポリヌクレオチド配列によってコードされ、このポリヌクレオチド配列は配列番号1または2の核酸配列とハイブリダイズし、またはそれとハイブリダイズでき、少なくとも100ヌクレオチドにわたり少なくとも80%または少なくとも90%同一である。より好ましくは、単離されたオキシダーゼはポリヌクレオチド配列によってコードされ、このポリヌクレオチド配列は、配列番号1または2の核酸配列とハイブリダイズし、またはハイブリダイズでき、少なくとも200ヌクレオチドにわたり少なくとも80%または少なくとも90%同一である。
別の実施形態では、単離されたオキシダーゼは、配列番号1または2に相補的な核酸ストランドとハイブリダイズするポリヌクレオチド配列によってコードされる。
本発明の文脈で、ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシー条件下、より好ましくは中程度のストリンジェンシー条件下、最も好ましくは高ストリンジェンシー条件下で行われる。
「ハイブリダイズできる」という用語は、本発明の標的ポリヌクレオチドが、プローブ(例えば配列番号1に記載のヌクレオチド配列、またはその断片または配列番号1の補体、またはその断片)として使用される核酸と、バックグラウンドを顕著に超えるレベルでハイブリダイズし得ることを意味する。
オキシダーゼをコードする上述の全てのポリヌクレオチドは、本発明に包含される。したがってさらなる態様では、本発明は本明細書に記載されるようなオキシダーゼをコードするポリヌクレオチドについて記載する。ポリヌクレオチド配列は、RNA、またはゲノムDNA、合成DNAまたはcDNAをはじめとするDNAであってもよい。好ましくはヌクレオチド配列はDNAであり、最も好ましくはゲノムDNA配列である。ポリヌクレオチドはその中に、ペプチド核酸をはじめとする合成または修飾ヌクレオチドを含んでもよい。典型的にポリヌクレオチドは、選択的条件下で、配列番号1または配列番号2のコード配列またはコード配列の補体とハイブリダイズできるヌクレオチドの隣接配列を含む。このようなヌクレオチドは、当該技術分野で良く知られている方法に従って合成し得る。配列番号1または2とハイブリダイズするまたはハイブリダイズできる単離されたポリヌクレオチドもまたは、本発明の一部である。
ポリヌクレオチドは、配列番号2のコード配列またはコード配列の補体とバックグラウンドを顕著に超えるレベルでハイブリダイズし得る。バックグラウンドハイブリダイゼーションは、例えばcDNAライブラリー中に存在するその他のcDNAのために起きるかもしれない。記載されるようなポリヌクレオチドと配列番号2のコード配列またはコード配列の補体との相互作用によって発生するシグナルレベルは、典型的にその他のポリヌクレオチドと配列番号2のコード配列との相互作用の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも50倍、なおもより好ましくは少なくとも100倍である。ハイブリダイゼーションを実施するのに使用される技術は、一般的実験手引き書(Sambrookら (1989年)Molecular cloning:a laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press)で詳細に述べられており、したがって当該技術分野で知られている。例えば相互作用の強度は、例えば32Pなど、プローブを放射性標識することで測定してもよい。選択的ハイブリダイゼーションは、典型的に、低ストリンジェンシー(約40℃で0.3M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウム)、中程度ストリンジェンシー(例えば約50℃で0.3M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウム)または高ストリンジェンシー(例えば約60℃で0.3M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウム)条件を使用して達成されてもよい。
ポリヌクレオチドはまた、配列番号3のオキシダーゼまたはその変異体をコードし得る合成遺伝子を含む。遺伝子のコドン使用頻度を生産宿主中の好ましいバイアスに適合させることが好ましい場合もある。合成遺伝子をデザインし構築する技術が、一般に利用できる(すなわちhttp://www.dnatwopointo.com/)。
[アスペルギルス(Aspergillus)からのオキシダーゼ(ZLRまたはoxi 01)]
国際公開第2007/090675号パンフレットは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から単離された新しいオキシド還元酵素について記載する。本発明では、本発明に従った方法におけるオキシダーゼとして、配列番号013のタンパク質、配列番号001含む遺伝子ならびにその完全なcDNA配列(配列番号007)が極めて有用である。コードされるタンパク質は、コウジカビ(Aspergillus oryzae)のmreAタンパク質(イソアミルアルコールデヒドロゲナーゼとして注釈されている)と47%のアミノ酸同一性を有する。
言及されるオキシダーゼのいずれも、天然のオキシダーゼ産生微小生物によって得られ、またはあらゆる適切な産生生物によって組み換え的に得られる。以下の段落では、修飾タイプ、生成手段などの本発明に従った方法で使用し得るオキシダーゼに関わる一般情報を提供する。ペニシリウム(Penicillium)オキシダーゼの配列番号2が明示的に参照される。しかしこれらの段落は、AspGOXまたはZLRなどであるがこれに限定されるものではない、その他のオキシダーゼ配列にも等しく当てはまる。
本明細書で使用される「オキシダーゼ」という用語は、あらゆる機能的同等物またはその機能性断片もまた指し得る。機能性断片は完全なオキシダーゼの一部分であり、それは元の活性の少なくとも一部をなおも有する。機能的同等物は、例えばそのアミノ酸配列中に単数または複数の変異を含むオキシダーゼ変異体であり、その変異は活性に影響せず、またはほとんど影響しない。
[修飾]
ポリヌクレオチドのいくつかの異なるタイプの修飾が、当該技術分野で知られている。これらとしては、メチルホスホン酸およびホスホロチオエート主鎖、および分子の3’および/または5’末端へのアクリジンまたはポリリジン鎖の付加が挙げられる。本発明の目的では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、当該技術分野で利用できる任意の方法によって修飾されてもよいものと理解される。
当業者は通例の技術を使用して、本明細書に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列に影響しないヌクレオチド置換をして、その中でオキシダーゼが発現されるあらゆる特定の宿主生物のコドン使用頻度を反映させてもよいものと理解される。
例えば配列番号2のコード配列は、例えば1、2または3〜10、25、50、100以上の置換のヌクレオチド置換によって修飾されてもよい。代案として、またはさらに、配列番号2のポリヌクレオチドは、1つ以上の挿入および/または欠失によって、および/または一端または両端の延長によって修飾されてもよい。修飾ポリヌクレオチドは一般に、グルコースオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。例えばポリペプチドに言及して後で論じるように、修飾配列が翻訳される場合、縮重置換を行ってもよく、および/または保存的アミノ酸置換をもたらす置換を行ってもよい。
[相同体]
例えば配列番号2のDNAコード配列の補体と選択的にハイブリダイズできるヌクレオチド配列は、本発明に従った方法での使用に含まれ、一般に少なくとも60、好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも200の隣接ヌクレオチドの領域にわたり、または最も好ましくは配列番号2の全長にわたり、配列番号2のコード配列と少なくとも50%または60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。同様に、活性グルコースオキシダーゼをコードして、配列番号2のDNAコード配列の補体の断片と選択的にハイブリダイズできるヌクレオチドもまた、本発明に包含される。前述の同一性程度および最小サイズのあらゆる組み合わせを使用してポリヌクレオチドを定義してもよく、よりストリンジェントな組み合わせ(すなわちより長い範囲にわたるより高い同一性)が好ましい。したがって例えば60、好ましくは100ヌクレオチドにわたり少なくとも80%または90%同一のポリヌクレオチドは、本発明の一態様を形成し、200ヌクレオチドにわたり少なくとも90%同一のポリヌクレオチドについても同様である。
BLASTPおよびBLAST Nアルゴリズムを使用して、配列同一性を計算し、または配列を整列し得る(例えばそれらのデフォルト設定で同等なまたは対応する配列を同定するなど)。
BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、クエリー配列中において、データベース配列中で同一長のワードと位置合わせした際に、いくつかの正値の閾値スコアTにマッチしまたはそれを満たす、長さWのshort wordを同定することにより、最初に高スコア配列ペア(HSP)を同定することを伴う。Tは隣接ワードスコア閾値と称される。これらの初期隣接ワードヒットは、それらを含有するHSPを見つける検索を開始するためのシードの役割を果たす。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増大し得る限り、各配列に沿って両方向で延長する。各方向へのワードヒットの延長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値からX量低下し;1つ以上の負のスコア残基アラインメントの蓄積のために累積スコアがゼロ以下になり;または各配列の末端に達した場合に停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を特定する。DNA対DNA比較からのBLASTNプログラムは、デフォルトとして、word length(W)11、expectation(E)10、および双方のストランドの比較を使用する。タンパク質対タンパク質比較のためのBLASTPプログラムは、デフォルトとして、word length(W)3、BLOSUM62 scoring matrix、gap extension penalty 1があるgap existence penalty 11、expectation(E)10を使用する。
BLASTアルゴリズムは、2配列間の類似性の統計学的分析を行う。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶発する確率の目安を提供する、最少確率和(P(N))である。例えば第1の配列と第2の配列との比較における最少確率和が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であれば、配列は類似した別の配列と見なされる。
[プライマーおよびプローブ]
本明細書で記載されまたは言及されるポリヌクレオチドは、プライマーとして、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして、代案の増幅反応のためのプライマーとして使用してもよく、または例えば放射性または非放射性標識を使用して従来の手段によって明示用標識で標識されたプローブとして使用してもよく、またはポリヌクレオチドはベクターにクローンしてもよい。このようなプライマー、プローブ、およびその他の断片は、長さが例えば少なくとも20、25、30または40など、少なくとも15ヌクレオチドである。それらは典型的に長さが40、50、60、70、100、150、200または300ヌクレオチドまでであり、または配列番号2のコード配列にわずかな数のヌクレオチド(5または10ヌクレオチドなどの)が足りない長さにさえ達する。
一般にプライマーは、所望の核酸配列の1回に1ヌクレオチドずつの段階的製造を伴う合成手段によって生成される。これを達成する技術およびプロトコルは、当該技術分野で容易に利用できる。より長いポリヌクレオチドは、一般に組み換え手段を使用して、例えばPCRクローニング技術を使用して生成される。これは一組のプライマー(典型的に約15〜30ヌクレオチド)を作成して、クローンするグルコースオキシダーゼの所望領域を増幅するステップと、プライマーを酵母、細菌、植物、原核生物または真菌細胞から得られる、例えばペニシリウム(Penicillium)株のmRNA、cDNAまたはゲノムDNAに接触させるステップと、所望領域の増幅に適した条件下でポリメラーゼ連鎖反応を実施するステップと、増幅された断片を(例えば反応混合物をアガロースゲル上で精製して)単離するステップと、増幅されたDNAを回収するステップを伴う。増幅されたDNAが適切なクローニングベクターにクローンし得るように、適切な制限酵素認識部位を含有するようにプライマーをデザインしてもよい。
代案としては、分泌されたグルコースオキシダーゼまたはその変異体のコード領域を包含する合成遺伝子を構築し得る。多くの位置で改変されているが、なおも同一タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、好都合にはこれらの技術を使用してデザインし構築し得る。これはコドン使用頻度を好ましい発現宿主に適応させ得て、この宿主中でのタンパク質生産性を改善し得るという利点を有する。またmRNAの安定性または低下した回転率を改善するように、遺伝子のポリヌクレオチド配列を変化させ得る。これは所望のタンパク質またはその変異体の改善された発現をもたらし得る。さらに分泌効率、安定性、タンパク質分解脆弱性、温度最適、比活性またはタンパク質の工業生産または用途のためのその他の関係ある特性に好ましい効果を有する変異がタンパク質配列中で起きるように、合成遺伝子中でポリヌクレオチド配列を変化させ得る。合成遺伝子を構築してコドン使用頻度を最適化するサービスを提供する会社が、一般に利用できる。
このような技術を使用して、本明細書に記載されるグルコースオキシダーゼ配列をコードするポリヌクレオチドの全部または一部を得てもよい。イントロン、プロモーター、およびトレーラー領域は本発明の範囲内であり、また類似様式によって(例えば組み換え手段、PCRまたはクローニング技術によって)、真菌、酵母、細菌、植物または原核細胞のゲノムDNAから開始して得てもよい。
ポリヌクレオチドまたはプライマーは、明示用標識を保持してもよい。適切な標識としては、32Pまたは35Sなどの放射性同位体、蛍光性標識、酵素標識、またはビオチンなどのその他のタンパク質標識が挙げられる。このような標識は、本発明のポリヌクレオチドまたはプライマーに添加してもよく、当業者に知られている技術を使用して検出してもよい。
真菌サンプル中でグルコースオキシダーゼまたはその変異体を検出または配列決定するための核酸ベース試験中で、標識または未標識ポリヌクレオチドまたはプライマー(またはその断片)を使用してもよい。このような検出試験は、一般にハイブリダイズ条件下で、関心のあるDNAを含有することが疑われる真菌サンプルを本発明のポリヌクレオチドまたはプライマーを含むプローブに接触させるステップと、サンプル中のプローブと核酸の間で形成されたあらゆる二本鎖を検出するステップとを含む。検出はPCRなどの技術を使用して達成してもよく、またはプローブを固体担体に固定して、プローブとハイブリダイズしないサンプル中のあらゆる核酸を除去し、次にプローブとハイブリダイズするあらゆる核酸を検出することで達成してもよい。代案としては、サンプル核酸を固体担体上に固定してプローブをハイブリダイズし、あらゆる非結合プローブの除去後に、このような担体に結合するプローブの量を検出してもよい。
本明細書に記載されるプローブは、好都合には適切な容器中に試験キットの形態で包装されてもよい。このようなキット中では、キットがそのためにデザインされるアッセイ様式において必要であるならば、プローブを固体担体に結合させてもよい。キットはまた、プローブするサンプルを処理してプローブをサンプル中の核酸にハイブリダイズするための適切な試薬、対照試薬、説明書などを含んでもよい。本明細書に記載されるプローブおよびポリヌクレオチドはまた、微小アッセイで使用してもよい。
好ましくはポリヌクレオチドは、ポリペプチドと同じく、特にペニシリウム(Penicillium)属の真菌である真菌などの生物から得られる。
[ポリヌクレオチド生成]
配列番号1または2と100%の同一性を有さないが、本発明の範囲内であるポリヌクレオチドは、いくつかのやり方で得られる。したがって本明細書に記載されるグルコースオキシダーゼ配列の変異体は、例えばオキシダーゼ源として論じたものなどの一連の様々な生物からできたゲノムDNAライブラリーをプローブすることにより得てもよい。さらにグルコースオキシダーゼのその他の真菌、植物または原核生物相同体を得てもよく、このような相同体およびその断片は一般に配列番号1または2とハイブリダイズできる。このような配列は、その他の種からのcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをプローブすることにより、そして(前述の)低、中程度から高ストリンジェンシー条件下において、配列番号1または2の全部または一部を含むプローブで、このようなライブラリーをプローブすることにより得てもよい。配列番号1または2の全部または一部を含む核酸プローブを使用して、本明細書で記載されるオキシダーゼ源として記載されるものなどのその他の種からのcDNAまたはゲノムのライブラリーをプローブしてもよい。
種相同体はまた、保存アミノ酸配列をコードする変異体および相同体中の配列を標的とするようにデザインされたプライマーを使用する、縮重PCRを使用して得てもよい。プライマーは1つ以上の縮重位置を含有し得て、既知の配列に対する単一配列プライマーを用いた配列のクローニングで使用されるものよりも低いストリンジェンシー条件で使用される。
代案としては、このようなポリヌクレオチドは、(例えばグルコース)オキシダーゼ配列またはその変異体の部位特異的変異誘発によって得てもよい。これは例えばその中でポリヌクレオチド配列が発現される特定の宿主細胞に関して、コドン選択を最適化するためにサイレントコドン変化が配列に必要な場合に有用かもしれない。制限酵素認識部位を導入するために、またはポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特質または機能を変更するために、その他の配列変化を加えてもよい。
本発明は本発明のポリヌクレオチドおよびその補体を含む、二本鎖ポリヌクレオチドを含む。
本発明は、ハイブリダイズすることが一般に望ましいが、配列番号1または配列番号2の配列とハイブリダイズしない上述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドについてもまた記載する。さもなければ所望ならば、このようなポリヌクレオチドを上述のように標識し、使用し、作成してもよい。
[組み換えポリヌクレオチド]
本発明はまた、本明細書で言及されるポリヌクレオチドを含む、クローニングベクターおよび発現ベクターをはじめとするベクターについて記載し、別の態様では、本発明は、例えば本発明のポリペプチドの発現が起きる、または本発明の配列によってコードされるポリペプチドの発現が起きる条件下で、このようなベクターを生育させ、適切な宿主細胞に形質転換または形質移入する方法について記載する。宿主細胞のゲノムにとって異種性であるポリヌクレオチド、またはベクターを含む宿主細胞もまた提供される。「異種性」という用語は、通常、宿主細胞に関して、ポリヌクレオチドが天然では宿主細胞のゲノム中に生じない、またはポリペプチドが天然では細胞によって産生されないことを意味する。好ましくは宿主細胞は、例えばクリヴェロミセス(Kluyveromyces)属、ピチア(Pichia)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、カンジダ(Candida)属またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母細胞などの酵母細胞であり、または例えばアスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、クリソスポリウム(Chrysosporium)属またはフザリウム(Fusarium)属などの糸状菌細胞である。
本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、核酸コンストラクトの一部であってもよく、適切な発現宿主中でポリペプチド産生を誘導する1つ以上の制御配列と作動的に連結する。典型的にこのようなコンストラクトは、組み換え発現ベクター中で使用される。
[ベクター]
その中に発現カセットが挿入されるベクターは、好都合には組み換えDNA処置を施されてもよいあらゆるベクターであってもよく、ベクターの選択はその中にそれが導入される宿主細胞に左右されることが多い。したがってベクターは、自己複製ベクター、すなわち染色体外存在として存在するベクターであってもよく、その複製はプラスミドなどの染色体の複製から独立している。代案としては、ベクターは、宿主細胞に導入されると宿主細胞ゲノムに一体化して、それが一体化した染色体と共に複製されるものであってもよい。
好ましくはポリヌクレオチドがベクター中にある場合、それは宿主細胞によるコード配列の発現を提供できる制御配列と作動的に連結し、すなわちベクターは発現ベクターである。「作動的に連結する」という用語は、記載される構成要素がそれらの意図される様式で機能できる関係にある並置を指す。コード配列と「作動的に連結する」プロモーター、エンハンサーまたはその他の発現調節シグナルなどの制御配列は、産生条件下でコード配列の発現が達成されるように配置される。
ベクターには、例えばプラスミド、コスミド、ウィルスまたはファージベクターの場合、複製起点、任意にポリヌクレオチド発現のためのプロモーター、そして任意にエンハンサーおよび/またはプロモーター制御因子が備わっていてもよい。ターミネーター配列が存在してもよく、ポリアデニル化配列があってもよい。ベクターは、例えば細菌プラスミドの場合はアンピシリン抵抗性遺伝子、または哺乳類ベクターではネオマイシン抵抗性遺伝子などの1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子を含有してもよい。ベクターは例えば生体外でRNA生成のために使用してもよく、または宿主細胞を形質移入または形質転換するために使用し得る。
ポリペプチドをコードするDNA配列は、好ましくは、その中でDNA配列が宿主細胞中におけるDNA配列発現を誘導できる発現シグナルと作動的に連結する、発現コンストラクトの一部として適切な宿主に導入される。発現コンストラクトによる適切な宿主の形質転換のためには、当業者に良く知られている形質転換手順が利用できる。発現コンストラクトは、宿主の形質転換のために、選択可能なマーカーを保持するベクターの一部として使用し得て、または発現コンストラクトは、選択可能なマーカーを保持するベクターと一緒に別個の分子として同時形質転換される。ベクターは、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子を含有してもよい。
好ましい選択可能なマーカーとしては、宿主細胞の欠陥を補完し、または薬剤抵抗性を与えるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらとしては、例えばほとんどの糸状菌および酵母の形質転換のために使用し得る、アセトアミダーゼ遺伝子またはcDNA(A.ニデュランス(A.nidulans)、コウジカビ(A.oryzae)、またはA.ニガー(A.niger)からのamdS、niaD、facA遺伝子またはcDNA)などの用途の広いマーカー遺伝子、またはG418、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、フレオマイシンまたはベノミル抵抗性(benA)などの抗生物質に対する抵抗性を提供する遺伝子が挙げられる。代案としては、例えば対応する変異宿主株を必要とする、URA3(S.セレヴィシエ(S.cerevisiae)からの、または別の酵母からの類似遺伝子)、pyrGまたはpyrA(A.ニデュランス(A.nidulans)またはA.ニガー(A.niger)からの)、argB(A.ニデュランス(A.nidulans)またはA.ニガー(A.niger)からの)またはtrpCなどの栄養要求性マーカーなどの特異的選択マーカーを使用し得る。好ましい実施形態では、選択マーカー遺伝子を含まないポリペプチドを産生する形質転換宿主細胞が得られるように、発現コンストラクトの導入後に選択マーカーが形質転換宿主細胞から除去される。
その他のマーカーとしては、ATPシンセターゼサブユニット9(oliC)、オロチジン−5’−リン酸−脱炭酸酵素(pvrA)、細菌G418抵抗性遺伝子(酵母中で有用であるが糸状菌中では有用でない)、アンピシリン抵抗性遺伝子(大腸菌(E.coli))、ネオマイシン抵抗性遺伝子(バシラス(Bacillus))、およびグルクロニダーゼ(GUS)をコードする大腸菌(E.coli)uidA遺伝子が挙げられる。ベクターは例えばRNA生成のために、または宿主細胞を形質移入または形質転換するために、生体外で使用してもよい。
ほとんどの糸状菌および酵母では、発現コンストラクトは好ましくは、安定した形質転換体を得るために宿主細胞ゲノムに一体化される。しかし特定の酵母では、安定した高レベルの発現のために、その中に発現コンストラクトを組み込み得る適切なエピソームベクター系もまた利用できる。これらの例としては、それぞれサッカロミセス(Saccharomyces)およびクリヴェロミセス(Kluyveromyces)の2μm、CEN、およびpKD1プラスミドに由来するベクター、またはAMA配列(例えばアスペルギルス(Aspergillus)由来のAMA1)を含有するベクターが挙げられる。発現コンストラクトを宿主細胞ゲノムに一体化させる場合、コンストラクトは、ゲノム中のランダム遺伝子座で一体化され、または相同的組換えを使用して所定の標的遺伝子座で一体化され、その場合、標的遺伝子座は好ましくは高度に発現される遺伝子を含む。高度に発現される遺伝子は、例えば誘導条件下でそのmRNAが総細胞mRNAの少なくとも0.01%(w/w)を構成し得る遺伝子であり、または代案としては、その遺伝子産物が総細胞タンパク質の少なくとも0.2%(w/w)を構成し得る遺伝子であり、または分泌遺伝子産物の場合は、少なくとも0.05g/lのレベルで分泌され得る。
所定の宿主細胞のための発現コンストラクトは、通常、第1の態様のポリペプチドをコードする配列のコード鎖に対して5’末端から3’末端への連続した順序で互いに作動的に連結する以下の要素を含有する。(1)所定の宿主細胞中でポリペプチドをコードするDNA配列の転写を誘導できるプロモーター配列、(2)好ましくは5’非翻訳領域(リーダー)、(3)任意にポリペプチド分泌を所定の宿主細胞から培地へ誘導できるシグナル配列、(4)好ましくは活性形態の成熟ポリペプチドをコードするDNA配列、および好ましくは(5)ポリペプチドをコードするDNA配列下流で転写を終結できる転写終結領域(ターミネーター)。
ポリペプチドをコードするDNA配列の下流において、好ましくは発現コンストラクトはまた、1つ以上の転写終結部位を含有してターミネーターとも称される3’非翻訳領域を含有する。ターミネーターの起源はそれほど重要でない。ターミネーターは、例えばポリペプチドをコードするDNA配列に天然であり得る。しかし好ましくは細菌ターミネーターは細菌宿主細胞中で使用され、酵母ターミネーターは酵母宿主細胞で使用され、糸状菌ターミネーターは糸状菌宿主細胞で使用される。より好ましくはターミネーターは、その中でポリペプチドをコードするDNA配列が発現される宿主細胞に内在性である。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの増強された発現はまた、例えば選択された選択された発現宿主からの関心のあるタンパク質の発現レベル、所望ならば分泌レベルを増大させる役割を果たし、および/またはオキシダーゼ発現の誘導性制御を提供する役割を果たし、プロモーター、シグナル配列、およびターミネーター領域などの異種性調節領域の選択によって達成してもよい。
オキシダーゼをコードする遺伝子に天然であるプロモーターの他に、その他のプロモーターを使用してオキシダーゼの発現を誘導してもよい。プロモーターは、所望の発現宿主中においてオキシダーゼの発現を誘導するその効率について選択してもよい。
プロモーター/エンハンサーおよびその他の発現調節シグナルは、そのために発現ベクターがデザインされる宿主細胞に適合するように選択してもよい。例えば原核生物プロモーター、特に大腸菌(E.coli)株での使用に適したものを使用してもよい。哺乳類細胞中においてオキシダーゼの発現を実施する場合、哺乳類プロモーターを使用してもよい。例えば肝細胞特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターもまた使用してもよい。例えばモロニーマウス白血病ウィルス長末端反復配列(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウィルス(RSV)LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウィルス(CMV)IEプロモーター、単純ヘルペスウィルスプロモーターまたはアデノウィルスプロモーターなどのウィルス性プロモーターもまた使用してもよい。
適切な酵母プロモーターとしては、S.セレヴィシエ(S.cerevisiae)GAL4およびADHプロモーター、およびS.ポンベ(S.pombe)nmt1およびadhプロモーターが挙げられる。哺乳類プロモーターとしては、カドミウムなどの重金属に応えて誘導され得るメタロチオネインプロモーターが挙げられる。SV40ラージT抗原プロモーターまたはアデノウィルスプロモーターなどのウィルス性プロモーターもまた使用し得る。これらのプロモーターは、全て当該技術分野で容易に利用できる。
β−アクチンプロモーターなどの哺乳類プロモーターを使用してもよい。組織特異的プロモーター、特に内皮またはニューロン細胞特異的プロモーター(例えばDDAHIおよびDDAHIIプロモーター)が特に好ましい。例えばモロニーマウス白血病ウィルス長末端反復配列(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウィルス(RSV)LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウィルス(CMV)IEプロモーター、アデノウィルス、HSVプロモーター(HSV IEプロモーターなど)、またはHPVプロモーター、特にHPV上流調節領域(URR)などのウィルス性プロモーターもまた使用してもよい。ウィルス性プロモーターは当該技術分野で容易に利用できる。
本明細書に記載される宿主細胞中で転写を誘導できる多様なプロモーターを使用し得る。好ましくはプロモーター配列は、先に定義された高度に発現される遺伝子に由来する。プロモーターが好ましくはそれに由来し、および/または発現コンストラクト組み込みのための好ましい所定標的遺伝子座に含まれる、好ましい高度に発現される遺伝子の例としては、以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、グリセルアルデヒド−リン酸脱水素酵素(GAPDH)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ピルビン酸キナーゼ(PYK)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)などの解糖作用酵素をコードする遺伝子、ならびにアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルコール(メタノール)オキシダーゼ、延長因子、およびリボソームタンパク質をコードする遺伝子。適切な高度に発現される遺伝子の特定例としては、例えばクリヴェロミセス(Kluyveromyces)種からのLAC4遺伝子、それぞれハンゼヌラ(Hansenula)およびピチア(Pichia)からのメタノールオキシダーゼ遺伝子(AOXおよびMOX)、A.ニガー(A.niger)およびA.アワモリ(A.awamori)からのグルコアミラーゼ(glaA)遺伝子、コウジカビ(A.oryzae)TAKA−アミラーゼ遺伝子、A.ニデュランス(A.nidulans)gpdA遺伝子、およびT.リーセイ(T.reesei)セロビオヒドロラーゼ遺伝子が挙げられる。
真菌発現宿主で使用するのに好ましい強力な構成および/または誘導性プロモーターの例は、キシラナーゼ(xlnA)、フィターゼ、ATPシンセターゼサブユニット9(oliC)、トリオースリン酸イソメラーゼ(tpi)、アルコールデヒドロゲナーゼ(AdhA)、アミラーゼ(amy)、アミログルコシダーゼ(glaA遺伝子からのAG)、アセトアミダーゼ(amdS)、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(gpd)プロモーターの真菌遺伝子から得られるものである。
使用してもよい強力な酵母プロモーターの例としては、アルコールデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ラクターゼ、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ、原形質膜ATPアーゼ(PMA1)、およびトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られるものが挙げられる。
使用してもよい強力な細菌プロモーターの例としては、アミラーゼおよびSPo2プロモーターならびに細胞外プロテアーゼ遺伝子からのプロモーターが挙げられる。
使用してもよい植物細胞に適したプロモーターとしては、ノパリンシンターゼ(nos)、オクトピンシンターゼ(ocs)、マンノピンシンターゼ(mas)、リブロース小サブユニット(rubisco ssu)、ヒストン、イネアクチン、ファゼオリン、カリフラワーモザイクウィルス(CMV)35Sおよび19S、およびサーコウィルスプロモーターが挙げられる。
ベクターは、RNAを生じさせるポリヌクレオチドに隣接する配列をさらに含んでもよく、このRNAは、真核生物ゲノム配列、好ましくは真菌ゲノム配列、または酵母ゲノム配列からの配列と相同的な配列を含む。これにより相同的組換えによって、オキシダーゼを真菌または酵母ゲノムに導入できるようになる。特に真菌配列で挟まれた発現カセットを含むプラスミドベクターを使用して、真菌細胞にオキシダーゼを送達するのに適したベクターを調製し得る。これらの真菌ベクターを使用した形質転換技術は、当業者に知られている。
[宿主細胞および発現]
さらなる態様では、本発明は、オキシダーゼをコードするコード配列のベクターによる発現に適した条件下において、上述の発現ベクターで形質転換または形質移入された宿主細胞を培養するステップと、発現されたポリペプチドを回収するステップとを含む、本発明に従った方法で使用するためのオキシダーゼを調製する方法について記載する。ポリヌクレオチドは、発現ベクターなどの組み換え複製可能なベクターに組み込み得る。ベクターを使用して、適合性宿主細胞中で核酸を複製してもよい。したがってさらなる実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドを複製可能なベクターに導入し、ベクターを適合性宿主細胞に導入し、ベクター複製をもたらす条件下で宿主細胞を生育させることにより、本発明のポリヌクレオチドを作成する方法について記載する。適切な宿主細胞としては、大腸菌(E.coli)などの細菌と、酵母と、哺乳類細胞系と、例えばSf9細胞などの昆虫細胞および真菌(例えば糸状菌)細胞などのその他の真核細胞系とが挙げられる。
好ましくはオキシダーゼは分泌タンパク質として生成され、その場合、発現コンストラクト中のオキシダーゼの成熟形態をコードするDNA配列は、シグナル配列をコードするDNA配列と作動的に連結してもよい。分泌タンパク質をコードする遺伝子が野性型株中にシグナル配列を有する場合は、好ましくは使用されるシグナル配列は、オキシダーゼをコードするDNA配列にとって天然(相同的)である。代案としてはシグナル配列はオキシダーゼをコードするDNA配列にとって外来性(異種性)であり、その場合シグナル配列は好ましくは、その中でDNA配列が発現される宿主細胞に内在性である。酵母宿主細胞に適切なシグナル配列の例は、酵母MFalpha遺伝子に由来するシグナル配列である。同様に糸状菌宿主細胞に適切なシグナル配列は、例えばA.ニガー(A.niger)glaA遺伝子などの糸状菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子に由来するシグナル配列である。このシグナル配列は、アミログルコシダーゼ((グルコ)アミラーゼとも称される)プロモーターそれ自体と組み合わせて、ならびにその他のプロモーターと組み合わせて使用してもよい。ハイブリッドシグナル配列もまた、本発明の文脈で使用してもよい。
好ましい異種性分泌リーダー配列は、真菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子(glaA;例えばアスペルギルス(Aspergillus)からの18および24アミノ酸バージョンの双方)、MFalpha遺伝子(例えばサッカロミセス(Saccharomyces)、およびクリヴェロミセス(Kluyveromyces)などの酵母)またはαアミラーゼ遺伝子(バシラス(Bacillus))起源のものである。
ベクターを上述の適切な宿主細胞に形質転換または形質移入して、本発明のオキシダーゼの発現を提供してもよい。この過程は、オキシダーゼの発現に適した条件下で上述の発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養するステップと、発現されたポリペプチドを任意に回収するステップを含んでもよい。
したがって本発明のさらなる態様は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドまたはベクターによって形質転換または形質移入された、またはそれを含む宿主細胞について記載する。好ましくはポリヌクレオチドはベクター中に運び込まれ、それによってポリヌクレオチドの複製および発現が可能になる。細胞は前記ベクターに適合するように選択され、例えば原核生物(例えば細菌)、または真核生物真菌、酵母または植物細胞であってもよい。
本発明は、ポリペプチドをコードするDNA配列の組み換え発現の手段によって、本発明のオキシダーゼを生成する方法を包含する。この目的のため、適切な相同的または異種性宿主細胞中でポリペプチドを経済的に生成できるように、本明細書に記載されるDNA配列を遺伝子増幅のため、および/またはプロモーター、分泌シグナル配列などの発現シグナル交換のために使用し得る。相同的な宿主細胞は、本明細書で、同一種である、またはDNA配列が由来する種と同一種内の変異体である宿主細胞と定義される。
適切な宿主細胞は、好ましくは細菌などの原核微生物、またはより好ましくは例えば酵母または糸状菌などの真菌、または植物細胞などの真核生物である。操作がよりし易いことから、一般に糸状菌細胞よりも酵母細胞が好ましい。
バシラス(Bacillus)属からの細菌は、培地中にタンパク質を分泌するそれらの能力のために、異種性宿主として非常に適切である。宿主として適するその他の細菌は、ストレプトミセス(Streptomyces)属およびシュードモナス(Pseudomonas)属からのものである。ポリペプチドをコードするDNA配列発現のための好ましい酵母宿主細胞は、サッカロミセス(Saccharomyces)属、クリヴェロミセス(Kluyveromyces)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、ピチア(Pichia)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、または分裂酵母(Schizosaccharomyces)類の1つである。より好ましくは、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クリヴェロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)(クリヴェロミセス・マルキシアナス変種ラクチス(Kluyveromyces marxianus)var.lactisとしてもまた知られている)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)種からなる群から選択される。
しかしオキシダーゼをコードするDNA配列の発現にとって最も好ましいのは、糸状菌宿主細胞である。好ましい糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、フザリウム(Fusarium)属、クリソスポリウム(Chrysosporium)属、ディスポロトリカム(Disporotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アクレモニウム(Acremonium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、サーモアスクス(Thermoascus)属、ミセリオフトラ(Myceliophthora)属、スポロトリカム(Sporotrichum)属、チエラビア(Thielavia)属、およびタラロミセス(Talaromyces)からなる群から選択される。より好ましくは糸状菌宿主細胞は、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、ショウユコウジカビ(Aspergillus sojae)またはアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)種のものであり、または(RaperおよびFennell,The Genus Aspergillus,The Williams & Wilkins Company,Baltimore,293〜344頁,1965年によって定義される)アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)群からの種のものである。これらとしては、以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)、アスペルギルス・アクレアツス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルスフォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、およびアスペルギルス・フィクウム(Aspergillus ficuum)、およびトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)種、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)種、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)種、クリソスポリウム・ラクノウエンス(Chrysosporium lucknowense)種、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)種、アクレモニウム・アラバメンセ(Acremonium alabamense)種、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)種、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)種、スポロトリカム・セルロフィルム(Sporotrichum cellulophilum)種、ディスポロトリカム・ディモルフォスポラム(Disporotrichum dimorphosporum)種、およびチエラビア・テルレストリス(Thielavia terrestris)種のもの。
好ましい発現宿主の例は、アスペルギルス(Aspergillus)種(特に欧州特許出願公開第A−184,438号明細書および欧州特許出願公開第A−284,603号明細書に記載されるもの)およびトリコデルマ(Trichoderma)種などの真菌;特に枯草菌(Bacillus subtilis)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)などのバシラス(Bacillus)種(特に欧州特許出願公開第A−134,048号明細書および欧州特許出願公開第A−253,455号明細書に記載されるもの)、シュードモナス(Pseudomonas)種などの細菌;クリヴェロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)などのクリヴェロミセス(Kluyveromyces)種(特に欧州特許出願公開第A−096,430号明細書および欧州特許出願公開第A−301,670号明細書に記載されるもの)およびサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)種などの酵母である。
宿主細胞は植物細胞を含み、したがって本発明は、本発明の1つ以上の細胞を含有する、植物およびその部分などの遺伝子導入生物に及ぶ。細胞は本明細書に記載されるオキシダーゼの1つを異種性に発現してもよく、または本明細書で言及されるポリヌクレオチドの1つ以上を異種性に含有してもよい。したがって遺伝子導入(または遺伝子改変)植物は、そのゲノム中に本明細書に記載されるポリペプチドをコードする配列が(典型的に安定して)挿入されていてもよい。植物細胞の形質転換は、例えばアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)からのTiまたはRiプラスミドを使用して、既知の技術を使用して実施し得る。したがってプラスミド(またはベクター)は植物を感染させるのに必要な配列を含有してもよく、Tiおよび/またはRiプラスミドの誘導体を用いてもよい。
宿主細胞はポリペプチドを過剰発現してもよく、過剰発現を操作する技術は良く知られており、本発明の目的で使用し得る。したがって宿主は、ポリヌクレオチドの2つ以上のコピーを有してもよい。
代案としては、葉、根または茎などの植物部分の直接感染を生じさせ得る。この技術では、感染させる植物を例えば植物をかみそりの刃で切る、植物に針で孔を開ける、または植物を研磨材で擦ることで、傷付け得る。次に創傷にアグロバクテリウム(Agrobacterium)を接種する。植物または植物部分を次に適切な培地上で生育させ、成熟植物にさせ得る。形質転換細胞の遺伝子改変植物への再生は、例えば抗生物質を使用して形質転換された芽を選択し、適切な栄養素、植物ホルモンなどを含有する培地上で芽を継代培養することにより、既知の技術を使用して達成し得る。
[宿主細胞の培養および組み換え生産]
本発明はまた、グルコースオキシダーゼを発現するように改変された細胞またはその変異体について記載する。このような細胞としては、一過性の、または好ましくは安定に改変された哺乳類細胞または昆虫細胞などの高等真核細胞系、酵母および糸状菌細胞などの下等真核細胞、または細菌細胞などの原核細胞が挙げられる。
例えばバキュロウィルス発現系中など、細胞系中でまたは膜上でオキシダーゼを一過性に発現させることもまた可能である。オキシダーゼを発現するように適合されたこのようなシステムもまた、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書に記載されるポリペプチドの生成は、1つ以上のポリヌクレオチドによって形質転換された微生物発現宿主を従来の栄養素発酵培地中で培養することによりもたらし得る。
組み換え宿主細胞は、当該技術分野で知られている手順を使用して培養してもよい。プロモーターと宿主細胞との各組み合わせで、ポリペプチドをコードするDNA配列の発現に貢献する培養条件が利用できる。所望の細胞密度またはポリペプチド力価に達したら培養を停止し、既知の手順を使用してポリペプチドを回収する。
発酵培地は、炭素源(例えばグルコース、マルトース、糖蜜など)、窒素源(例えば硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムなど)、有機窒素源(例えば酵母抽出物、麦芽エキス、ペプトンなど)、および無機栄養源(例えばリン酸、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄など)を含有する既知の培地を含み得る。任意に(使用発現コンストラクトに依存する)誘導物質を含めてもよく、または引き続いて添加してもよい。
適切な培地の選択は、発現宿主の選択に基づいてもよく、および/または発現コンストラクトの制御要件に基づいてもよい。適切な培地は当業者に良く知られている。培地は、所望ならば、その他の潜在的汚染微生物よりも形質転換された発現宿主にとって有利な追加的構成要素を含有してもよい。特にグルコースオキシダーゼでは、グルコースを欠くが、その代わりに果糖などの異なる炭素源を使用した培地を使用してもよい。
発酵は0.5〜30日間にわたり実施してもよい。発酵は0℃〜45℃の範囲である適切な温度、および例えばpH2〜10でのバッチ、連続または流加工程であってもよい。好ましい発酵条件としては、20℃〜37℃の範囲の温度および/または3〜9のpHが挙げられる。適切な条件は、通常、発現宿主および発現されるタンパク質の選択に基づいて選択される。
発酵後、必要ならば遠心分離または濾過の手段によって、発酵ブロスから細胞を除去し得る。発酵停止後または細胞除去後、次にオキシダーゼを回収してもよく、所望ならば従来の手段により精製し単離してもよい。グルコースオキシダーゼは、真菌菌糸体から、または培養された真菌細胞によってその中にグルコースオキシダーゼが放出された培養ブロスから精製し得る。
[オキシダーゼの改変]
本明細書に記載されるオキシダーゼは、例えば翻訳後改変など化学的に改変されてもよい。例えばそれらは(1回以上)グリコシル化されてもよく、または改変アミノ酸残基を含んでもよい。それらはまた、それらの精製を助けるヒスチジン残基の付加によって、または細胞からの分泌を促進するシグナル配列の付加によって、修飾されてもよい。オキシダーゼは、アミノ末端メチオニン残基などのアミノまたはカルボキシル末端延長、約20〜25残基までの小型リンカーペプチド、またはポリヒスチジントラクト、抗原エピトープまたは結合領域など、精製を促進する小型延長を有してもよい。
オキシダーゼは明示用標識で標識してもよい。明示用標識は、ポリペプチドを検出できるようにするあらゆる適切な標識であってもよい。適切な標識としては、例えば125I、35Sなどの放射性同位体、酵素、抗体、ポリヌクレオチド、およびビオチンなどのリンカーが挙げられる。
オキシダーゼを改変して非天然アミノ酸を含めてもよく、またはポリペプチドの安定性を増大させてもよい。タンパク質またはペプチドが合成手段によって製造される場合、このようなアミノ酸は製造中に導入してもよい。タンパク質またはペプチドはまた、合成または組み換え生産に続いて改変してもよい。
オキシダーゼはまた、D−アミノ酸を使用して生成してもよい。このような場合、アミノ酸はCからNへの配向において逆順で連結される。これはこのようなタンパク質またはペプチドを製造するために、当該技術分野で慣習的である。
いくつかの側鎖修飾は当該技術分野で知られており、オキシダーゼ側鎖に行ってもよい。このような修飾としては、例えばアルデヒドとの反応による還元性アルキル化によるアミノ酸の修飾と、それに続くNaBHでの還元、アセトイミド酸メチルでのアミジン化、または無水酢酸でのアシル化が挙げられる。
本明細書に記載される配列はまた、「第二世代」酵素の構築のための出発原料として使用してもよい。「第二世代」グルコースオキシダーゼは、変異誘発技術(例えば部位特異的変異誘発または遺伝子シャフリング技術)によって改変されて、本発明によって生成されるものなどの野生型グルコースオキシダーゼまたは組み換えグルコースオキシダーゼのものとは異なる特性を有するグルコースオキシダーゼである。例えば特定の方法で使用するのにより良く適するように、それらの温度または最適pH値、比活性、基質親和性または熱安定性を改変してもよい。
オキシダーゼ活性に必須のアミノ酸、ひいては好ましくは置換対象は、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発などの当該技術分野で知られている手順に従って同定してもよい。後者の技術では、分子中の各残基に変異を誘導して、得られた変異体分子を生物学的活性(例えばグルコースオキシダーゼ活性)について試験し、分子活性に重要なアミノ酸残基を同定する。酵素基質相互作用部位はまた、核磁気共鳴、結晶構造解析または光親和性標識などの技術による測定で、結晶構造分析によっても判定し得る。
遺伝子シャフリング技術は、ポリヌクレオチド配列に変異を導入する無作為な方法を提供する。発現後、特性が最良の分離株を再度単離して、最度合わせてシャフリングして遺伝的多様性を増大させる。この手順を数回繰り返すことで、大いに改善されたタンパク質をコードする遺伝子を単離し得る。好ましくは類似した機能があるタンパク質をコードする遺伝子ファミリーで、遺伝子シャフリング手順を開始する。本発明で提供されるポリヌクレオチド配列ファミリーは、分泌オキシダーゼ特性を改善する遺伝子シャフリングに良く適する。
代案としてはNTG処理による変異誘発またはUV変異誘発などの古典的ランダム変異誘発技術と選択を使用して、タンパク質の特性を改善し得る。変異誘発は、単離されたDNAに直接実施し得て、または関心のあるDNAで形質転換された細胞に実施し得る。代案としては、当業者に知られているいくつかの技術によって、単離されたDNAに変異を導入し得る。これらの方法の例は、誤りがちなPCR、反復欠損宿主細胞中でのプラスミドDNA増幅などである。
酵母および糸状菌宿主細胞の使用によって、組み換えオキシダーゼ生成物に最適な生物学的活性を与えるために必要とされるかもしれない翻訳後修飾(例えばタンパク質分解処理、ミリスチル化、グリコシル化、トランケーション、およびチロシン、セリンまたはスレオニンリン酸化)を提供することが期待される。
[調製]
本明細書に記載されるオキシダーゼは、単離形態であってもよい。オキシダーゼは、オキシダーゼの意図される目的を妨げないキャリアまたは希釈剤と混合してもよいものと理解され、なおも単離されていると見なされる。オキシダーゼはまた実質的に精製された形態であってもよく、その場合、それは一般に、調製品中のタンパク質の例えば80%、90%、95%、98%または99%超など、70%超が特定オキシダーゼである調製品中のポリペプチドを構成する。
オキシダーゼは、それらの天然の細胞環境外にある形態で提供されてもよい。したがってそれらは上で考察したように、実質的に単離または精製されてもよく、または例えばその他の真菌種、動物、植物または細菌細胞などのそれらが自然界では発生しない細胞中にあってもよい。
[コーディング遺伝子の検出および単離]
ペプチドモチーフを使用して、このペプチドモチーフを含有するタンパク質をコードする遺伝子を同定し得る。1つのペプチドモチーフの代わりに2つ以上のペプチドモチーフの組み合わせもまた使用して、ペプチドモチーフを含有するタンパク質をコードする遺伝子を同定し得る。したがって特定の(グルコース)オキシダーゼをコードする1つまたはいくつかのペプチドモチーフが同定される場合、1つまたはいくつかのこれらのペプチドモチーフの組み合わせを使用して、(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子を同定できる。Patscan(http://www−unix.mcs.anl.gov/compbio/PatScan/HTML/)のようなプログラムを使用して、DNAデータバンクからの翻訳DNA配列を検索し、またはタンパク質配列データバンクからのタンパク質配列を検索するために、ペプチドモチーフを使用し得る。アミノ酸配列は、ウェブサイトに記載される特別な書式で入力しなくてはならない。実施し得る別の方法は、http://myhits.isb−sib.ch/cgi−bin/のようなプログラムを使用して、DNAデータバンクからの翻訳DNA配列、またはタンパク質配列データバンクからのタンパク質配列を検索するためのモチーフ配列の使用である。このプログラムでは、検索フィールドにいわゆるProsite形式でモチーフを入力し、タンパク質配列中のまたは翻訳DNA配列中のモチーフの存在についてデータベースを検索する。この方法を使用して、有用な(グルコース)オキシダーゼをコードする真菌遺伝子を同定し得る。次にこれらの方法の1つを使用して同定される遺伝子を当業者に知られているプログラムを使用してタンパク質配列に翻訳し、それらのアミノ末端におけるシグナル配列の存在について調べ得る。シグナル配列を検出するためには、SignalP(http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)のようなプログラムを使用できる。共通配列および予測されたシグナル配列の双方を含有するタンパク質配列を探すことは、このような酵素の工業生産にとって大きな利点となる。
ペプチドモチーフを使用して(グルコース)オキシダーゼ遺伝子を同定する別の可能性は、その中でグルコースオキシダーゼ遺伝子の同定が望まれる生物からの好ましいコドン使用頻度を用いて、モチーフのアミノ酸配列のヌクレオチド配列への逆翻訳に基づいてオリゴヌクレオチドプライマーをデザインし、このオリゴヌクレオチドを遺伝子ライブラリーとのハイブリダイゼーションのために使用し、または逆転写mRNAプール上のPCRプライマー中で使用することである。遺伝子配列が未知の場合は、ペプチド配列モチーフを使用して(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子を単離できる。方法については、この目的で使用し得る縮重オリゴヌクレオチドプライマーのデザインに関する文献で記載される(Sambrookら(1989年)Molecular cloning:a laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press)。またプローブまたはプライマーとして縮重オリゴヌクレオチドを使用して、生物から遺伝子を単離する方法についても記載されている。
ペプチドモチーフをコードするオリゴヌクレオチドは、(グルコース)オキシダーゼ特性をコードする遺伝子の単離に有用である。このような一群のオリゴヌクレオチドの縮重は、ヌクレオチドが未知である位置へのイノシン(I)塩基導入によって減少させてもよい。さらにオリゴヌクレオチドプライマーの特異性にわずかな影響を及ぼすだけで縮重を減少させるために、シトシン(C)およびチミジン(T)塩基の双方が可能な位置をウラシル(U)によって置換してもよく、アデニン(A)およびグアニン(G)の双方が可能な位置にはグアニンのみを導入してもよい。さらにコドン選択が知られている生物中で、グルコースオキシダーゼをコードする遺伝子の存在をスクリーニングするために、オリゴヌクレオチドのデザインにおいてコドン選択を考慮することで、オリゴヌクレオチドの縮重をさらに減少させ得る。当業者はこれをどのように行うかを知っている。さらに縮重なしのオリゴヌクレオチドプライマーの全ての可能な組み合わせを別々に合成し、個々のスクリーニング実験で使用してもよい。
最初に汎用ベクター中において、関心のある種からゲノム、cDNAまたはESTライブラリーを構築する。ライブラリー構築の適切な方法については、文献(Sambrookら(1989年)Molecular cloning:a laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載される。第2に、ライブラリーから単離されたDNA上で組み換えDNA挿入断片の境界において、ベクター中でプライムする1つの汎用オリゴヌクレオチドと共に、上述の縮重オリゴヌクレオチドをPCR反応で使用する。単一縮重オリゴヌクレオチドプライマーのみが利用できる場合に所望の遺伝子を単離する有用な戦略については、文献に記載される(例えばMinambres ら(2000年)Biochem.Biophys.Res.Commun.272、477〜479頁;PCR Technology(1989年)H.A.Erlich編,99〜104頁、Stockton Press)。第3に、PCR増幅断片を次に標識して、従来の手段によってライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして使用する。次に全長遺伝子を所望の生産宿主生物中における(グルコース)オキシダーゼの過剰発現に適した発現ベクターにサブクローンし得る。
異なるアプローチでは、(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子の存在についてスクリーンされた種からライブラリーが入手できない場合、異なる縮重プライマーを用いたPCRによって、または単一縮重プライマーを用いた3’−RACEによって遺伝子の一部を増幅し得る。このためには単一縮重プライマーを遺伝子特異的プライマーとして使用して、関心のある種からRNAを単離して3’−RACE反応で使用する。3’−RACEによる、1つの縮重オリゴヌクレオチドと1つのユニバーサルプライマーを使用した未知のcDNAの一部分の増幅については、以前に記載される(国際公開第99/38956号パンフレット)。
小型ペプチドのみからの情報を使用して全長遺伝子を単離する伝統的方法は、その上にライブラリーが複製されたフィルターへの標識縮重オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションである。縮重オリゴヌクレオチドを使用した遺伝子ライブラリーのスクリーニング法、およびこれらのオリゴヌクレオチドの最適ハイブリダイゼーション条件を計算しまたは判定する方法は、文献で広範に記載されている(Sambrookら(1989年))。この方法のために上述のオリゴヌクレオチドを使用して、異なる種からのグルコースオキシダーゼをコードする遺伝子を単離してもよい。
この方法の変法では、最初に部分的遺伝子ライブラリーを構築し得る。このためにはDNAを分画し、その後、(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子を含有するDNA断片を上述の標識オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって検出する。これらの断片を単離して、(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子に富んだ部分的遺伝子ライブラリーの構築において使用する。次にこのライブラリーを従来の手段によってスクリーニングし得る。この方法では、ゲル電気泳動法による分画前に、ゲノムDNAが最初に制限酵素で消化される一方、cDNAは直接分画し得る。
グルコースオキシダーゼをコードする遺伝子を単離する異なる方法は、共通配列のペプチドのいずれかに対して産生させた抗体を使用することである。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。小型ペプチドに対して特異的な抗体の生成法は、文献で広範に記載されている(Harlow,EおよびLane,D(1988年)Antibodies;a laboratory manual,ISBN 0−87969−314−2)。
発現ライブラリーは、大腸菌(E.coli)または酵母などの都合よい宿主中で挿入断片を発現するのに適したベクターに、cDNAまたはゲノムDNAをクローニングすることによって、関心のある種から構築し得る。発現ベクターは、λファージベースであってもでなくてもよい。発現ライブラリーによって生成される抗原の免疫検出、および抗原を発現する特定クローンの精製方法は公開されている。この方法を使用して、コンセンサスモチーフのペプチドのいずれかに対して特異的な抗体を使用して、このモチーフを包含する(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子を単離できる。
本発明に記載される情報を考慮するならば、実質的に、多数の異なる方法を使用して、(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子を単離してもよい。先行技術の方法と比較して、ペプチドモチーフ配列情報を使用する利点は、新しい活性(グルコース)オキシダーゼをコードする遺伝子を同定し得る速度と相対的な容易さである。
好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であり、前記オキシダーゼはアスペルギルス(Aspergillus)(AspGOXと称される)からのグルコースオキシダーゼ、ペニシリウム(Penicillium)(PenGOXと称される)からのグルコースオキシダーゼ、またはアスペルギルス(Aspergillus)からのオキシダーゼであり、このオキシダーゼはイソアミルアルコールオキシダーゼ(ZLRまたはoxi 01と称される)と、またはあらゆるその組み合わせと少なくとも45%のアミノ酸同一性を有する。適切な組み合わせは、AspGOXとPenGOX、またはAspGOXとZLR、またはPenGOXとZLR、またはAspGOXとPenGOXとZLRである。
好ましくは本発明に従った方法で添加されるオキシダーゼ(総)量は、有効量である。当業者は有効量を明白に判定できる。実験セクションで使用される酵素量は、1500U/gバッチで100ppm(100mg/kg)、すなわち150U/kgである。しかし本発明に従った方法は、このオキシダーゼの特定量に限定されない。典型的に、本発明に従った方法では、50〜185U/kg(の小麦粉)、好ましくは60〜180U/kg、より好ましくは70〜175U/kgを使用する。当業者は効果的なオキシダーゼの量(範囲)を明白に判定できる。
好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含むシート化可能生地を調製する方法を提供し、前記水量はオキシダーゼ不在下ではその粘性(または代替表現のいずれか)のために生地を加工できない量であり、前記生地は麺生地、好ましくはアジア麺生地である。アジア麺類は、典型的に中華タイプ麺類および和食タイプ麺類に分けられる。中華タイプ麺類は一般に硬質小麦粉からできており、明るい黄白色または明るい黄色と固いテクスチャによって特徴付けられる。和食タイプ麺類は、典型的に、タンパク質含量が中程度の軟質小麦粉からできており、黄白色で柔らかく弾力のあるテクスチャを有する。
一般に全ての麺類は、小麦粉、水、および塩を含有する。典型的に、約3部の小麦粉が通常を1部の塩またはアルカリ塩と混合される。したがって好ましい実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップであって、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であるステップを含み、塩を小麦粉に添加するステップをさらに含む、シート化可能生地を調製する方法を提供する。
適切な塩の例は、塩化ナトリウム(白色麺類)、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物である鹹水(黄色麺類)である。麺製造におけるアルカリ塩の使用は、かなり変動する。したがって黄色(アルカリ性)麺類は、典型的に1.5または1%である2%までのレベルのアルカリ塩を用いて典型的に作られるが、0.5%程度に低い場合もあり、白色麺類はアルカリ塩なしに作られ、または0.1%、0.2%または0.3%などの低レベルで作られる。
即席麺類には、通常例えばグアーガムなどの親水コロイドが含まれて、麺類をより固くし、調理または浸漬時の再水和をより容易にする。したがって本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップであって、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量であるステップを含み、好ましくはグアーガムである親水コロイドを小麦粉に添加するステップをさらに含む、シート化可能生地を調製する方法もまた提供する。その他の適切な親水コロイドは、ローカストビーンガム、カラゲナン、寒天、ペクチン、デンプン、変性デンプン、ゼラチン、アルギン酸塩、キサンタンまたはアラビアガムなどであるが、これに限定されるものではないガムおよび多糖類である。
ポリリン酸塩を使用して麺類表面により多くの水が保持できるようにして、より良い口あたりを与えてもよい。添加剤のさらに別の例はデンプンであり、それはいくつかのタイプの即席麺類の調製で使用される。添加剤のさらなる例は卵である。
実施例で詳細に記載されるように、本発明の方法に従って得られる生地は、良好なシート加工性などの特に良好な加工特性を有する。
したがってさらに別の実施形態では、本発明は本発明の方法、すなわちある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含み、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために(または代替表現の方法のいずれかによって)生地を加工できない量である、シート化可能生地を調製する方法によって調製された生地から得られる生地を提供する。
上記の生地は、その水吸収レベルおよび/またはグルコースオキシダーゼの存在によって、その他の生地と区別され得る。したがって本発明は、水レベルが、開始小麦粉に基づく最大の水添加レベルを超えることを特徴とする生地もまた提供する。オキシダーゼの存在は、例えば活性アッセイを実施することで、またはLC−MS分析を使用して検出し得る。
本明細書に記載される方法に従って得られる生地を使用して、麺類、ラップまたは点心またはあらゆるその他の生地製品を調製し得て、生地はシート化または圧延などの加工段階を必要とする。実験セクションで記載されるように、得られた生地を用いて調製される麺類は、改善された弾性および滑らかさなどのいくつかの有利な特徴を有する。調理麺類のテクスチャおよび官能特性は、例えば以下のスコアシステムを使用して、訓練された感覚性のパネルによって判定し得る。外観(0〜10、0は「濁った薄い色」、10は「明るいクリーム色」と表現される)、滑らかさ(0〜10、0は滑らかさが少なく、10は高度な滑らかさ)、固さ(0〜10、0は柔らかく10は固い)、弾性(0〜10、0は低い弾性、10は高度な弾性)、および味と香り(0〜10、0は強い味と香り、および10は薄い味と香り)。
Ta−XT2分析器(Scarsdale,(NY,USA)のTexture Technologies)などのテクスチャ分析器を使用して、最大切断応力および弾性指数について調理後に麺線を評価してもよい。この分析のための有用な設定は、予備試験速度2.0mm/秒、試験速度0.2mm/秒;事後試験速度1.0mm/秒、トリガー力5gである。
弾性および滑らかさなどの所望の特徴は、特に、(調理)即席麺類またはより具体的には即席蒸煮フライ麺類などのそれらの配合中にアルカリ塩が皆無のまたは非常に低レベル(例えば0.1〜0.2%、またはその間のあらゆる値)の麺類に存在した。
蒸煮フライ麺類は、蒸煮によって部分的に調理され、フライ加工によってさらに調理され脱水される。カットされた麺線は、その上の切断ロールよりも低速の、移動する走行ネットコンベヤー内に連続供給される。麺類供給とネット走行間の速度差は、麺線中にユニークなウェーブを作り出す。次に切断された波打つ麺線をトンネル蒸し器に通過させながら蒸す。蒸煮の後、麺類を延ばして麺線をバラバラにして冷却ファンで冷却する。次に麺類を所定の長さに切断し、1食分のサイズにする。麺線を折り畳んで、麺ブロックの二重層を形成してもよい。次にブロックをバスケット内に分配し、それをトンネルフライヤーの移動する鎖に取り付ける。油で揚げるために麺ブロックおよびバスケットを熱い油に浸す。フライヤーから出てくる麺類の温度は、160℃程度に高くなり得る。即時の油酸化を避けるために、それらは迅速な冷却を必要とする。同時に、過剰な油は流れ落ちる。上部にファンがある移動冷却トンネル内で、フライ麺類を室温に冷却する。冷却した麺類とスープの素の小袋を自動包装する。
ポリ袋入りまたは発泡スチロール丼入りの包装に基づく、2つのタイプの即席蒸煮フライ麺類が市販される。袋入り麺類は、通常、食べる前に沸騰し続ける湯の中で約3〜4分間調理され、および丼入りまたは「カップ」麺類は、丼内に熱湯を注ぎ、2〜3分間静置した後にすぐ食べられる。通常、丼タイプ麺類の麺線は、袋タイプよりもさらに細く、水戻しを容易にする。袋および丼タイプ麺類の基本的加工手順は、類似している。しかしこれらの2つのタイプの麺類の加工には、いくつかの違いが存在する。例えば通常、丼タイプ麺類の配合には(小麦粉重量に基づいて)25%までのジャガイモデンプンが含まれて、それらは熱油中で袋タイプ麺類よりもさらに長く揚げられる。
なおもさらなる実施形態では、本発明は、ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含み、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量である、シート化可能生地を調製する方法によって得られる生地を含む麺類を製造する方法を提供する。好ましい実施形態では、前記麺類はアジア麺類であり、なおもより好ましくはそれらの配合中にアルカリ塩が皆無または非常に低レベルの麺類であり、最も好ましい前記麺類は(蒸煮フライ)即席麺類である。
本発明は、最後に記載される方法によって得られる麺類をさらに提供する。
実験的セクションから、このような麺類は改善された弾性および/または滑らかさを有することが明らかであり、したがって本発明は、その小麦粉にオキシダーゼおよび(事前)判定された最大の水吸収レベルを超える水吸収レベルが付与されない麺類と比べて、弾性が改善されていることを特徴とする麺類をさらに提供し、本発明はまたその小麦粉にオキシダーゼおよび(事前)判定された最大の水吸収レベルを超える水吸収レベルが付与されない麺類と比べて、滑らかさが改善されていることを特徴とする麺類も提供する。好ましい実施形態では、前記麺類はアジア麺類であり、なおもより好ましいのはそれらの配合中にアルカリ塩が皆無のまたは非常に低レベルの麺類であり、最も好ましい前記麺類は(蒸煮フライ)即席麺類である。
[実施例]
本発明を制限しない以下の詳細な説明で、本発明についてより詳細に述べる。
[実施例1]
[グルコースオキシダーゼ遺伝子ZGL(PenGOX)のクローニングおよび発現]
ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)CBS455.95株をPDB(ジャガイモデキストロースブロス、ディフコ(Difco))中で摂氏30度で3日間生育させ、供給元の説明書を使用してQ−Biogeneキット(カタログ番号6540−600;Omnilabo International BV(Breda,the Netherlands))を使用して、染色体DNAを菌糸体から単離した。この染色体DNAは、PCRを使用したグルコースオキシダーゼ遺伝子のコード配列増幅のために使用した。
ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)CBS455.95株の染色体DNAからグルコースオキシダーゼ遺伝子ZGLを特的に増幅するために、2つのPCRプライマーをデザインした。プライマー配列は、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)CBS455.95のゲノムDNA中で発見された配列から部分的に得られ、配列番号1に記載される。発明者らはこの配列が、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のグルコースオキシダーゼ配列と<70%の同一性を有することを発見した。発明者らは、分泌されたペニシリウム(Penicillium)グルコースオキシダーゼの効率的な発現および特性決定について、本明細書に記載する。可能なプレ配列およびプロ配列を含む完全なグルコースオキシダーゼタンパク質のタンパク質配列は、配列番号3に記載される。アスペルギルス(Aspergillus)相同体と比較したペニシリウム(Penicillium)酵素の利点は、ペニシリウム(Penicillium)酵素を食品産業での応用に適切な量で容易に過剰発現させ、分泌させ得ることである。
Zgl−dir 5’−CCCTTAATTAACTCATAGGCATCATGAAGTCCACTATTATCACCTC
Zgl−rev 5’−TTAGGCGCGCCCACTGTCGGGATGATCGACCA
第1の、直接PCRプライマー(ZGL−dir)は、Pacl制限部位(配列番号4)を含む23ヌクレオチド配列が先行する、ATG開始コドンに始まる23ヌクレオチドのZJWコード配列を含有する。第2の逆方向プライマー(ZGL−rev)は、Ascl制限部位が先行する、ZGLコード配列の下流領域の逆鎖に相補的なヌクレオチドを含有する(配列番号5)。これらのプライマーを使用して、発明者らはペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)CBS455.95株からの染色体DNAをテンプレートとして、1.9kbサイズの断片を増幅できた。このようにして得られた1.9kbサイズの断片を単離し、PaclおよびAsclで消化して精製した。ZGLコード配列を含むPacl/Ascl断片は、pGBFIN−5(国際公開第99/32617号パンフレット)からのPacl/Ascl phyA断片と交換された。得られたプラスミドは、pGBFINZGLと称されるZGL発現ベクターである(図1を参照のこと)。発現ベクターpGBFINZGLは、全ての大腸菌(E.coli)由来配列を発現ベクターから除去するNotlでの消化によって直線化された。消化されたDNAはフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(24:23:1)抽出を使用して精製し、およびエタノールで沈殿させた。これらのベクターを使用して、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)CBS513.88を形質転換した。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)形質転換手順については国際公開第98/46772号パンフレットで詳しく記載される。アセトアミド含有寒天プレート上の形質転換体をどのように選択するか、そして標的とされるマルチコピー組み込み体をどのように選択するかについてもまた記載される。好ましくは、さらなるサンプル材料の発生のために、発現カセットの複数コピーを含有するA.ニガー(A.niger)形質転換体が選択される。pGBFINZGL発現ベクター30のためには、A.ニガー(A.niger)形質転換体を最初に個々の形質転換体を選択培地プレートに播種し、続いて単一コロニーをPDA(ジャガイモデキストロース寒天:PDB+1.5%寒天)プレート上に播種して、純化した。摂氏30度で1週間の成長後に、2つの個々の形質転換体の胞子を採取した。胞子を冷蔵保存して、液体培地に播種するために使用した。
振盪フラスコ培養中における株の培養によってサンプル材料を作成するために、2つのA.ニガー(A.niger)形質転換体株を使用した。A.ニガー(A.niger)株の培養、および培養ブロスからの菌糸体分離のための有用な方法については、国際公開第98/46772号パンフレットに記載される。培養媒体はCSM−MES(1Lの培地あたり150gマルトース、60gSoytone(ディフコ)、15g(NHSO、1g NaHPOO、1g MgSO7HO、1g L−アルギニン、80mg Tween−80、20g MES、pH6.2)中にあった。発酵4〜8日目に、二連の培養から5mlのサンプルを採取して、Hereaus Labofuge RF中で5000rpmで10分間遠心分離して、上清をさらなる分析まで−20℃で保存した。
SDS−PAGE(図2)で分析すると、pGBFINZGLベクターを含有する形質転換体は、およそ70kDaの見かけ上の分子量のタンパク質の意外にも効率的な分泌を有したことが明らかになった。これはZGLのタンパク質配列から予測された分子量とほぼ同一であるので、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)グルコースオキシダーゼZGLは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から分泌されるときは、シグナル配列の除去後にはグリコシル化はほとんど起きないと発明者らは推測する。これは高度にグリコシル化されているアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコースオキシダーゼと、対照的である。
発酵および下流処理をスケールアップした場合、選択された株をより大量のペニシリウム(Penicillium)グルコースオキシダーゼの単離および精製のために使用し得る。次にこの酵素は例えば本明細書で記載される方法において、さらなる分析のために、および多様な産業上の利用のために使用し得る。
[実施例2]
[アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中で発現される、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)からのグルコースオキシダーゼZGLの発酵、精製、および特性決定]
新鮮なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)ZGL形質転換体#1胞子を使用して、2Lの修正CSM培地(8%マルトース、3%Bacto Soytone、pH5.1)の入った振盪フラスコに接種した。30℃で3日間の培養後、3.5g/l(最終濃度)の安息香酸ナトリウムを添加して30℃に6時間保ち、細胞を死滅させた。10g/lのCaClおよび45g/lの濾過助剤Dicalite BFを培養ブロスに添加して、濾布とフィルターZ−2000およびZ−200(Pall)を使用して濾過を一段階で実施した。フィルター上に残った濾過ケークを1.2Lの無菌のミリQ水で洗浄した。0.22mm GP Express PLUS Membrane(ミリポア)を使用して、培養濾液を無菌濾過した。修正CSM培地中での3日間の培養後のZGL発現を図3に示す。無菌濾液をPellicon XL Cassette Biomax5 (ミリポア)上で限外濾過によって濃縮した。Q−セファロースXK16/20カラム(ゲル容積約30ml)を使用して、限外濾液をAIEXクロマトグラフィーで精製した。以下の緩衝系を使用した。緩衝液A:20mMリン酸ナトリウム、pH8.2、緩衝液B:20mMリン酸ナトリウム、pH8.2+1M NaCl。精製サイクルは次の通りであった。緩衝液A(5カラム体積)での平衡化;サンプル装入;緩衝液A(3カラム体積)での洗浄;緩衝液Aから緩衝液Bへの勾配溶出、20カラム体積、流速5ml/分。溶出液はいくつかの画分に分けて得た。わずかな混入がある画分をプールした。プールしたサンプルの純度をSDSゲル電気泳動法によってチェックした(図4)。このタンパク質溶液をそれに続く活性測定のために使用した。
[酵素特性決定]
100mM D−グルコースを基質として、Amplex Redグルコースオキシダーゼ分析キット(インビトロジェン(Invitrogen))を用いて、比活性アッセイを実施した。
最適pH値を判定するために、適切なpHの50mMの緩衝液中で酵素および基質のインキュベーションを実施した。Amplex Redキットによる反応生成物の検出のために、サンプルをアッセイ反応緩衝液(pH=7.4)で希釈した。使用した緩衝液は次のとおりであった。pH=3.0〜7.5の50mM酢酸−ナトリウム−リン酸緩衝液;pH=8.0〜8.5の50mM Tris−HCl。インキュベーションを25℃で30分間実施した。結果を図5に示す。酵素は5〜6.5の範囲の最適pH値を示したが、全体的に見るとはるかにより極端なpH値で顕著な残効性を示した。酵素の最適pH値は、非常に広いことが明らかである。
温度耐性を試験するために、15、25、37、45、および55℃、pH7.4で30分間インキュベーションを実施した(図6)。最高値はより低温で得られた。
[実施例3]
[酵素溶液の調製]
麺製造試験で使用するために、2種のグルコースオキシダーゼ酵素とオキシダーゼZLRとの3種のオキシダーゼ酵素を使用した。
第1の酵素(GOX)はDSM Food Specialtiesから得られた酵素力価1500U/mlの市販品であり、1UはpH=5.9で1分間に1マイクロモルの過酸化水素を遊離する酵素量である。
第2の酵素(ZGL)はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中で発現し産生される、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)からのグルコースオキシダーゼであった(実施例2参照)。
活性は573U/mlと判定された。
第3の酵素(ZLR)はオキシダーゼであるが、糖オキシダーゼではない。それは小麦粉抽出物に対して活性であり、9,12,13−ヒドロキシ−10−オクタデカン酸が基質として同定された。しかし異なる小麦粉サンプルを使用して、基質可用性が制限的であるかどうかは未知であるため酵素溶液の活性は定量化が困難である。したがってこの酵素はそのタンパク質含量に基づいて投入した。
新鮮なアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)ZLR527−2胞子を使用して、2Lの修正CSM培地(8%マルトース、3%Bacto Soytone、pH5.1)の入った振盪フラスコに接種した。30℃で3日間の培養後、3.5g/l(最終濃度)の安息香酸ナトリウムを添加して30℃に6時間保ち、細胞を死滅させた。10g/lのCaClおよび45g/lの濾過助剤Dicalite BFを培養ブロスに添加して、濾布とフィルターZ−2000およびZ−200(Pall)を使用して濾過を一段階で実施した。フィルター上に残った濾過ケークを1.2Lの無菌のミリQ水で洗浄した。
0.22mm GP Express PLUS Membrane(ミリポア)を使用して、培養濾液を無菌濾過した。
無菌濾液をPellicon XL Cassette Biomax5(ミリポア)上で限外濾過によって濃縮した。
Q−セファロースXK16/20カラム(ゲル容積約30ml)を使用して、限外濾液をAIEXクロマトグラフィーで精製した。以下の緩衝系を使用した。
緩衝液A:50mM酢酸ナトリウム、pH5.6
緩衝液B:50mM酢酸ナトリウム、pH5.6+1M NaCl
精製サイクルは次の通りであった。
緩衝液A(5カラム体積)での平衡化
サンプル装入
緩衝液A(3カラム体積)での洗浄
緩衝液Aから緩衝液Bへの勾配溶出、20カラム体積、流速5ml/分
溶出液はいくつかの画分に分けて得た。わずかな混入がある画分をプールした。プールしたサンプルの純度をSDSゲル電気泳動法によってチェックした。サンプルを限外濾過によって濃縮し、以下の薬剤を添加した。グリセロール(50%)、L−メチオニン(0.1%)、安息香酸ナトリウム(0.1%)、およびCaCl(0.02%)。この濃縮物のタンパク質濃度は、70mg/mlであった。
[実施例4]
[白色麺類の調製におけるグルコースオキシダーゼ応用]
麺生地シートの水吸収および粘性に対するオキシダーゼ酵素の効果を測定するために、2%NaClを含有する白色加塩麺小麦粉を100ppmのGOX、または300ppmのその他の酵素と混合した。
生地クラムを30分間休ませ、次にシート化ロールを使用してシート化した。TA−TX2テクスチャ分析器によって、金属プローブを生地表面から分離するのに必要とされるエネルギー(曲線下面積)を測定することで、生地の粘性を測定した。結果を表1に示す(水分は小麦粉重量の水添加%(v/w)として表される)。
Figure 2011518557

結果から、3種の酵素のいずれを使用しても、含水量増大麺生地の粘性を低下させ得ることが明らかである。同様の結果は、静置時間を10分間に短縮すると得られた。
水吸収レベルの高い生地は、水吸収レベルがより低いものよりもより滑らかでより均質である。しかしオキシダーゼなしで作られた水吸収増大生地は、加工するには粘性過剰であった。
[実施例5]
[グルコースオキシダーゼの応用の品質側面]
一般に麺生地形成は、その含水量によって制限される。約32〜34%の水分が限界であり、それを超えると生地の粘性が機械加工性のためには高くなりすぎる。しかしこれらの水分レベルでは、生地が均質でないことが明確に視認できる。この均質性の欠如は、最終製品に品質低下を引き起こす。
発明者らは、上述したのと同一の使用量レベルでオキシダーゼ酵素を使用して、優れた機械加工性を保ちながら、生地の含水量を増大し得ることを発見した。(1)生白色加塩麺類(生地中に2%のNaCl)、および(2)即席蒸煮フライ麺類(1%NaCl+0.1%アルカリ塩(1:1の炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム混合物)+0.2%グアーガム)の2種の異なるタイプの麺類を調製した。100mlの蒸留水に適量の酵素を添加して、10分後に小麦粉に添加した。その他の構成要素を水の残存部分に溶解した(量は生地の水分含量に左右され、この実験では34および38%を使用した)。生地を大竹縦型ミキサー内で100rpmで10分間混合した。
引き続いて、日本国の株式会社大竹麺機(Ohtake Noodle machine MFG.Co.)によって製造された試験的麺類製造ライン上で生地をシート化した。最初に2枚の生地シート(5.1mmの間隙設定)をラミネートし(5.1mmの間隙設定)、引き続いて得られたシートの厚さを4回の厚さ低下パスによって、最終間隙設定1.0mmに低下させた。
これらの含水量増大生地から調製された即席フライ麺類は、調理後に低水分対照よりもより良いテクスチャ特性(より高い弾性、より高い滑らかさ、およびより低い堅さ)を示す消費可能製品を生じた。調理しすぎに対する抵抗性の改善、および調理中の乾燥物質損失の低下もあった。
含水量を増大させた生地から調製された乾燥麺類もまた、調理後に滑らかさの増大と堅さの低下を示した。この研究で使用した高品質小麦粉では、有益な効果は比較的小さかった。これは、これらの強力粉の生地形成に対する乾燥処置の好ましい効果に帰せられるかもしれない。この効果はタンパク質の含量と質が低い小麦粉を使用した場合に、はるかにより高いことが予期される。
同一レベルのオキシダーゼを用いて生麺類を調製した場合、興味深い観察があった。数時間の保存中に、酸敗臭気が生じた。これはこの高水分系中の(なおも活性である)酵素の高い活性によって引き起こされた、小麦粉中に存在する油の酸化に起因し得る。しかしはるかにより低い使用量では(GOXでは10または1ppmでさえある、またはZGLでは10ppmである)、オキシダーゼは官能特性に悪影響を及ぼすことなく、生麺類の外観に著しい改善を与えた。この効果は水分レベルとは独立していた。酵素処理麺類は24時間後には3時間後の未処理麺類と、3日後には1日後の未処理麺類と同様に見えた。
[実施例6]
[アルカリ性(黄色)麺シートに対するグルコースオキシダーゼの効果]
グルコースオキシダーゼが、含水量を増大させたアルカリ性麺生地中の粘性もまた低下させ得るかどうかを研究するために、前の実施例の白色麺生地の2%NaClの代わりに、1%NaClおよび1%アルカリ塩配合物(1:1の炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム混合物)を用いてアルカリ性麺生地を調製した。高pHにおける活性が市販のGOXと比較して好ましいことから、酵素として(300ppmの)グルコースオキシダーゼZGLおよびオキシダーゼZLRを使用した。TA−TX2テクスチャー分析器を使用して生地の粘性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2011518557

結果から、オキシダーゼを使用して、含水量を増大させたアルカリ性麺生地中の粘性を低下させ得ることが明らかである。
[実施例7]
[白色麺類の調製におけるグルコースオキシダーゼの応用]
麺生地シートの水吸収および粘性に対するペニシリウム(Penicillium)グルコースオキシダーゼ(GOX)の影響を測定するために、2%NaClを含有する白色加塩麺小麦粉を100ppmのグルコースオキシダーゼと混合した。(1)A.ニガー(A.niger)グルコースオキシダーゼ(DSM Food Specialtiesから市販される)、および(2)本明細書に記載されるペニシリウム(Penicillium)グルコースオキシダーゼ(penGOX)の2種のグルコースオキシダーゼを使用した。
生地クラムを30分間休ませ、次にシート化ロールを使用してシート化した。TA−TX2テクスチャ分析器によって、金属プローブを生地表面から分離するのに必要とされるエネルギー(曲線下面積)を測定することで、生地の粘性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2011518557

結果から、グルコースオキシダーゼを使用して、含水量増大麺生地の粘性を低下させ得ることが明らかである。同様の結果は、静置時間を10分間に短縮すると得られた。
水吸収レベルの高い生地は、水吸収レベルがより低いものよりもより滑らかで、より均質であった。しかしGOX酵素なしで作られた水吸収率増大生地は、加工するには粘性過剰であった。
[実施例8]
[黄色麺類の調製におけるグルコースオキシダーゼの応用]
penGOXがアルカリ性食品中でもまた応用できるかどうかを調べるために、1%NaClと1%アルカリ塩(1:1の炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム)を含有する黄色麺類生地に、100ppmの酵素を添加した。A.ニガー(A.niger)グルコースオキシダーゼを対照とした。生地クラムを30分間休ませ、次にシート化ロールを使用してシート化した。生地の粘性をテクスチャ分析器によって測定した。結果を表4に示す。
Figure 2011518557

結果から、通常に利用されるA.ニガー(A.niger)グルコースオキシダーゼを使用できない用途において、penGOXを使用し得ることが明らかである。同様の結果は、静置時間を10分間に短縮した場合に得られた。
一般に麺生地の発達は、その含水量によって制限される。約32〜34%の水分が限界であり、それを超えると生地の粘性が機械加工性のためには高くなりすぎる。しかしこれらの水分レベルでは、生地が均質でないことが明確に視認できる。この均質性の欠如は、最終製品に品質低下を引き起こす。
適切な活性プロフィールがあるグルコースオキシダーゼを使用して、発明者らは優れた機械加工性を保ちながら、生地の含水量が増大できることを発見した。これは白色加塩麺類ではA.ニガー(A.niger)グルコースオキシダーゼおよびpenGOXの双方について、黄色アルカリ性麺類ではpenGOXについて発見された。
含水量が増大されたこれらの生地から調製された麺類はより良いテクスチャ特性、調理しすぎに対する抵抗性、および調理中の乾物減量の低下を示した。即席フライ麺類の場合もまた、より低いフライ油の吸収が観察された。

Claims (15)

  1. ある量の水および有効量のオキシダーゼを小麦粉に添加するステップを含み、前記水量は前記オキシダーゼ不在下ではその粘性のために生地を加工できない量である、シート化可能生地を調製する方法。
  2. 出発小麦粉に基づいて、最大水添加レベルを(事前)判定するステップをさらに含み、前記添加水量が判定された最大水添加レベルを超える、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水量が最大水添加レベルを1〜6%超える、請求項2に記載の方法。
  4. 前記オキシダーゼが、イソアミルアルコールオキシダーゼと少なくとも45%の同一性を有するグルコースオキシダーゼまたはオキシダーゼである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記生地が麺生地、好ましくはアジア麺生地である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 小麦粉に塩を添加するステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 小麦粉に親水コロイド、好ましくはグアーガムを添加するステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得られる生地。
  9. 水レベルが、出発小麦粉に基づく最大水添加レベルを超えることを特徴とする生地。
  10. 請求項8または9に記載の生地を含む麺類を製造する方法。
  11. 請求項10に記載の方法によって得られる麺類。
  12. 小麦粉にオキシダーゼが付与されず水添加レベルが(事前)判定された最大水添加レベルを超えている麺類と比べて、弾性が改善されていることを特徴とする麺類。
  13. 小麦粉にオキシダーゼが付与されず水添加レベルが(事前)判定された最大水添加レベルを超えている麺類と比べて、滑らかさが改善されていることを特徴とする麺類。
  14. アジア麺類である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の麺類。
  15. 即席麺類である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の麺類。
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