JP2011109963A - ヌードル品種小麦の判定方法 - Google Patents

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恵子 木澤
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Abstract

【課題】ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合されたオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれ、うどん等の麺類の製造に適するヌードル品種小麦の混合割合を、簡便に判定する方法を提供する。
【解決手段】配列番号2および/または配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列を定量することにより、ASW小麦中のヌードル品種小麦の割合を定量する。
【選択図】なし

Description

本発明は、オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦の判定方法に関する。詳細には、オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦に含まれるうどん等の麺類の製造に適するヌードル品種小麦の混合割合を測定する方法に関する。
小麦は国内主要穀類の一つであり、被食部である種子特有の蛋白質や澱粉特性を利用して、様々な食品へと加工される。品種の品質特性によって用途が異なるため、麺用品種やパン用品種、醤油醸造用品種など、それぞれの食品に最適な品種が必要とされる。小麦の自給率が2割に満たない我が国では、カナダ、オーストラリア、アメリカから年間500万t以上を輸入している。
オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW;Australian Standard White、以下「ASW」ということがある)は、うどん等の麺類の製造に適する品種の小麦(ヌードル品種)とAPW(Australian Premium White)等の非ヌードル品種の小麦がブレンドされた、オーストラリア産の麺用小麦銘柄であり、両者のブレンドの割合はASWの規格としてほぼ一定に保たれている。このASWは、うどんの主要原料であるほか、そうめんや即席麺の主原料としても広く流通している。
2008年にオーストラリアの小麦輸出制度がシングルデスク制からライセンス制に移行して、複数の輸出機関が日本向けにASWを輸出するようになったことに伴い、ASWにおけるヌードル品種小麦と非ヌードル品種の割合がこれまでどおりの規格管理水準で維持されていくか確認するための手法の開発が必要になった。
従来、品種の識別は形態や生理特性などの違いで行われてきたが、これらの方法では気象条件や栽培方法等に影響されやすく、正確な識別は困難な場合があった。そのため、遺伝子工学的手法を利用した品種識別法が開発されてきた。小麦の品種判定法としては、例えば、特許文献1において小麦粉から原料小麦品種を判別する方法が報告されている。しかし、この方法は、蛋白質の二次元電気泳動を用いた方法であることから同定が困難である。一方、特許文献2に記載される方法は判定は簡易だが、ASWに含まれる複数のヌードル品種のうち、一品種のCalingiriのみを判定するものであるため、この品種の割合が変動する可能性があるため正確性に欠ける。また、特許文献3に記載の方法は、小麦の品種を判定することは可能であるが、試験サンプルが複数品種を原料とする小麦粉である場合は判定ができない。
一方、小麦穀粒の硬さに関与するピュロインドリン遺伝子には変異型があり、一部の変異型についてはその判別方法も開発されている(例えば、非特許文献1および2参照)。
特開2005-69935号公報 特許4041524号公報 特許4114887号公報
Giroux MJ and Morris CF, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 1998, 95: 6262-6266 Tranquilli G et al., Molecular and General Genetics, 1999, 262: 846-850
本発明は、ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合されたオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中における、うどん等の麺類の製造に適するヌードル品種小麦の混合割合を、簡便に判定する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、小麦試料としてオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)において非ヌードル品種小麦に特異的なピュロインドリン遺伝子の多型、特に配列番号2および/または配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列を定量することにより、複数品種が混合された小麦試料に含まれるうどん等の麺類の製造に適するヌードル品種小麦の混合割合を簡便に判定できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を判定する方法であって、配列番号2の塩基配列で表される遺伝子および/または配列番号3の塩基配列で表される遺伝子における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列を定量することによりASW小麦中のヌードル品種小麦の割合を定量することを含む、前記方法。
(2)配列番号2の第496位における多型部位を用いて、非ヌードル品種小麦を定量することを含む、(1)記載の方法。
(3)配列番号3の第2417位以下における少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を用いて非ヌードル品種小麦を定量することを含む、(1)記載の方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を判定する方法に用いるためのプライマーまたはプローブであって、配列番号2の第496位における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーまたはプローブ。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載のオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を判定する方法に用いるためのプライマーまたはプローブであって、配列番号3の第2417位以下における少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーまたはプローブ。
(6)(4)または(5)記載のプライマーまたはプローブを含む、オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を定量するためのキット。
本発明により、ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合されているオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中における、うどん等の麺類の製造に適するヌードル品種小麦の混合割合を簡便に判定する方法が提供される。また、本発明の方法は、ASWのみならず、ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合された小麦試料の分析にも利用可能であり、小麦試料の形態としては、小麦粒やこれを製粉して得られる小麦粉のみならず、うどん等の小麦粉加工食品でもよい。さらに、本発明の方法は、軟質小麦と硬質小麦の配合割合の判別法としても応用可能である。
PCR等の電気泳動のパターンを示す。 PCR等の電気泳動のパターンを示す。
本発明者らは、オーストラリア産のヌードル品種小麦とこれに該当しないAPW(Australian Premium White)等の非ヌードル品種小麦が混合されたオーストラリア産の日本麺用小麦銘柄であるオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW;Australian Standard White)について、ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦を識別し、それぞれの配合割合を定量しうる方法を開発するため鋭意研究を行った。その結果、ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦ではピュロインドリン遺伝子の多型において異なる分布を持つことが明らかになった。そして、非ヌードル品種小麦に特異的な多型を定量することにより、ASW小麦中のヌードル品種小麦の混合割合を簡便に判定できることを見出した。
すなわち、本発明は、ASW小麦等の小麦試料に含まれるヌードル品種小麦を定量する方法に関し、該小麦試料において非ヌードル品種小麦に特異的な遺伝子の多型を定量することを特徴とする。
小麦試料としては、オーストラリア産の麺用小麦銘柄であり、ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合されているASW小麦が挙げられるが、さらに別の小麦銘柄との混合物でもよい。また、小麦試料の形態としては、小麦粒やこれを製粉して得られる小麦粉のみならず、うどん等の小麦粉加工食品も使用可能である。
本発明で用いるピュロインドリン遺伝子の多型としては、PINa-D1a遺伝子(配列番号4)、PINa-D1b遺伝子(配列番号3)、PINb-D1a遺伝子(配列番号1)、およびPINb-D1b遺伝子(配列番号2)が知られており、公開されたデータベース(GenBank、EMBL、DDBJ)に、それぞれAccession No. DQ363911、AB262660、DQ363913、およびDQ363914として登録されている。
本発明者らは、ASW小麦中のヌードル品種小麦(Eradu、Cadoux、Arrino、Calingiri、Aroona、Binnu等)が、配列番号1および4に示される塩基配列を有するのに対し、ヌードル品種小麦以外の品種、すなわち非ヌードル小麦品種が配列番号2および4に示される塩基配列を有する(以下、「非ヌードル品種1型」という)か、配列番号1および3に示される塩基配列を有する(以下、「非ヌードル品種2型」という)ことを見出した。従って、配列番号1および4に示される塩基配列が検出されれば、ヌードル品種小麦と判定することができる。また、配列番号2および4に示される塩基配列が検出されるか、配列番号1および3に示される塩基配列が検出されれば、非ヌードル品種小麦と判定できる。より簡便には、配列番号2または3の塩基配列、特にこれら塩基配列における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位の塩基配列が検出されれば、非ヌードル品種1型または2型、すなわち、非ヌードル品種小麦であると判定できる。
従って、配列番号2および/または配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列を定量することにより、ASW小麦等のヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合された小麦試料に含まれるヌードル品種小麦の混合割合を簡便に判定できる。配列番号2および/または配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列が検出されれば非ヌードル品種小麦と判定できるが、ヌードル品種小麦の混合割合を判定するためには、配列番号2および配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列の双方について定量を行い非ヌードル品種小麦の割合を定量し、これを全体から差し引くことによりヌードル品種小麦の混合割合を定量することが好ましい。
本発明において非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位またはその塩基配列を定量する方法は特に限定されず、一般的に遺伝子多型を定量するために用いられている方法、例えば、遺伝子増幅反応法、遺伝子増幅反応法と制限酵素処理を組み合わせる方法、ハイブリダイゼーション法、遺伝子増幅反応とハイブリダイゼーション法を組み合わせる方法、塩基配列決定法などを採用することができる。遺伝子増幅反応法としては、例えば、PCR法、LAMP(Loop-mediated isothermal AMPlification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法、RCA(Rolling Circle Amplification)法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等を挙げることができる。
遺伝子増幅反応法による遺伝子多型の定量は、常法に従って行えばよく、例えば、小麦試料から抽出したDNAを鋳型として、特異的な遺伝子領域に選択的に結合するように設計したプライマーを用いて増幅反応を行った後、電気泳動により特異的な増幅産物が得られたか否かを確認し、その増幅物を測定することによって行うことができる。
小麦試料からのDNAの抽出は、従来のゲノムDNAの調製の場合と同様の手法により行うことができ、例えばフェノール/クロロホルム、エタノール、水酸化ナトリウム、CTABなどを用いたDNA抽出法を用いることができる。市販のDNA抽出キットなどを用いてそのプロトコルに従って行ってもよい。電気泳動法についても特に制限はなく、アガロースゲル電気泳動法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法など、通常行われる方法で行えばよい。
増幅産物の測定には、このような産物を特異的に認識することができる公知の手段を用いることができる。例えば、増幅反応の過程で取り込まれるdNTPに、放射性同位体、蛍光物質、発光物質などの標識体を作用させ、この標識体を測定することができる。標識したdNTPを取り込んだ増幅産物を確認する方法としては、上述した標識体を測定するための当技術分野で公知の方法であればいずれの方法でもよい。例えば、標識体として放射性同位体を用いた場合には、放射活性を、例えば液体シンチレーションカウンター、γ−カウンターなどにより計測することができる。また標識体として蛍光を用いた場合には、その蛍光を蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダーなどを用いて測定することができる。
本発明の一実施形態では、増幅反応として好ましくは定量的PCRを実施することにより、非ヌードル品種小麦に特異的な多型を定量する。定量的PCRとしては、リアルタイムPCRが好ましい。リアルタイムPCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法であり、電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れている。この方法には、通常、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置を用いる。まず、段階希釈した既知量のDNAを標準としてPCRを行い、これをもとに、増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を横軸に、初発のDNA量を縦軸にプロットし、検量線を作成する。未知濃度の試料についても、同じ条件下で反応を行い、Ct値を求め、この値と検量線から、試料中の目的のDNA量を測定することができる。
リアルタイムPCRは、当技術分野で通常用いられる方法により実施することができる。例えば、インターカレーター法、TaqManプローブ法およびサイクリングプローブ法などが挙げられる。
インターカレーター法は、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬(例えば、インターカレーター:SYBR(登録商標)Green I)をPCR反応系に加える方法である。インターカレーターによるリアルタイムPCRは、SYBR Green Iの存在下でPCRを行い、標的配列の増幅に伴って増加する蛍光強度を測定することにより、試料中の標的配列を定量する技術である。当該技術は、増幅反応と蛍光強度の測定を同時に実施するものであり、増幅産物にSYBR Green Iがインターカレートすることによって生じる蛍光強度を測定することにより定量する。蛍光強度は、あるサイクル数を過ぎると検出限界を超え、急激に増加する。そして、試料中の標的配列を有するDNAの量が多いほど、少ないサイクル数で蛍光強度が急に増加する。従って、蛍光強度の対数的増加が始まるサイクル数を調べることにより、試料中の標的配列を有するDNAを定量することができる。
TaqManプローブ法は、5'末端を蛍光物質(FAMなど)で、3'末端をクエンチャー物質(TAMRAなど)で修飾したオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)をPCR反応系に加える方法である。TaqManプローブは、アニーリングステップで鋳型DNAに特異的にハイブリダイズするが、プローブ上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制される。伸長反応ステップのときに、Taq DNA ポリメラーゼのもつ5'→3'エキソヌクレアーゼ活性により、鋳型にハイブリダイズしたTaqManプローブが分解されると、蛍光色素がプローブから遊離し、クエンチャーによる抑制が解除されて蛍光を発する。
サイクリングプローブ法は、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な測定方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く測定することができる。プローブは5'端が蛍光物質(リポーター)で、3'端が蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識される。このプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより強い蛍光を発することはないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNaseHによりRNA部分が切断されると、強い蛍光を発する。この蛍光強度を測定することで、増幅産物の量をモニターすることができる。
リアルタイムPCR用の装置は市販されており、本発明においては、そのような市販の装置(例えば、Applied Biosystems社製ABI PRISM 7700 Sequence Detector等)を用いることができる。
本発明において、配列番号2における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位またはその塩基配列を定量するには、配列番号2の第496位における多型部位を検出しうるプライマーおよび/またはプローブを用いればよい。配列番号2の塩基配列における第496位は、塩基が「A」であるが、その対立遺伝子における対応する部位(配列番号1の塩基配列における第496位)の塩基は「G」である。従って、配列番号1および2の第496位における変異を区別しうるプライマー対、またはプライマー対とプローブのセットを用いればよい。
配列番号2における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位またはその塩基配列を定量するためのプライマー対の具体例として、配列番号1または2の第274位〜第295位の塩基(配列番号8)を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列からなる上流側プライマー(PB-1)と、配列番号2の第513位〜第496位の塩基を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列の相補鎖からなる下流側プライマー(PB-4)とからなるプライマー対が挙げられる。上流側プライマー(PB-1)の具体例として、配列番号8の塩基配列からなるプライマーが挙げられ、下流側プライマー(PB-4)の具体例として、配列番号10の塩基配列からなるプライマーが挙げられる。
一方、配列番号2の塩基配列を有する遺伝子の対立遺伝子の塩基配列(配列番号1)を定量するには、上述したように、配列番号1と配列番号2の塩基配列は、第496位のみにおいて相違するため、当該多型部位を検出しうるプライマーおよび/またはプローブを用いればよい。すなわち、配列番号1の塩基配列における第496位は塩基が「G」であるのに対して、配列番号2の第496位の塩基は「A」である。従って、配列番号1および2の第496位における変異を区別しうるプライマー対、またはプライマー対とプローブのセットを用いればよい。
配列番号1の塩基配列における第496位の多型部位を定量するためのプライマー対の具体例としては、配列番号1の第274位〜第295位の塩基(配列番号8)を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列からなる上流側プライマー(PB-1)と、配列番号1の第513位〜第496位の塩基を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列の相補鎖からなる下流側プライマー(PB-3)とからなるプライマー対が挙げられる。上流側プライマー(PB-1)の具体例として、配列番号8の塩基配列からなるプライマーが挙げられ、下流側プライマー(PB-3)の具体例として、配列番号9の塩基配列からなるプライマーが挙げられる。
また、本発明において、配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位またはその塩基配列を定量するには、配列番号3の塩基配列とその対立遺伝子の塩基配列(配列番号4)において、相違する部位またはその塩基配列を検出しうるプライマーおよび/またはプローブ、例えば配列番号3の第2417位以下における少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーおよび/またはプローブを用いればよく、好ましくは第2417〜2622位における少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーおよび/またはプローブが挙げられる。
配列番号3における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位またはその塩基配列を定量するためのプライマー対の具体例としては、配列番号3の第2394位〜第2412位の塩基(配列番号5)を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列からなる上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)と、配列番号3の第2500位〜第2480位の塩基を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列の相補鎖からなる下流側プライマー(NNVpt2-primer1R)とからなるプライマー対が挙げられる。上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)の具体例として、配列番号5の塩基配列からなるプライマーが挙げられ、下流側プライマー(NNVpt2-primer1R)の具体例として、配列番号7の塩基配列からなるプライマーが挙げられる。
配列番号3の塩基配列を有する遺伝子の対立遺伝子の塩基配列(配列番号4)を定量するには、配列番号3の塩基配列と配列番号4の塩基配列において、相違する部位またはその塩基配列を検出しうるプライマーおよび/またはプローブ、例えば配列番号3の上記部位に対応する配列番号4の部位の少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーおよび/またはプローブを用いればよい。
配列番号4の塩基配列を定量するためのプライマー対の具体例としては、配列番号4の第850位〜第868位の塩基(配列番号5)を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列からなる上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)と、配列番号4の第1296位〜第1275位の塩基を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは25塩基以下の塩基配列の相補鎖からなる下流側プライマー(PA-2)とからなるプライマー対が挙げられる。ここで、上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)の具体例として、配列番号5の塩基配列からなるプライマーが挙げられ、下流側プライマー(PA-2)の具体例として、配列番号6の塩基配列からなるプライマーが挙げられる。
ここで、上流側プライマーとは、任意の遺伝子領域の5’末端側の部分配列からなるオリゴヌクレオチド(プライマー)をさし、下流側プライマーとは、当該遺伝子領域の3’末端側の部分配列に対する相補鎖からなるオリゴヌクレオチド(プライマー)をさす。
本発明の一実施形態においては、配列番号2または1の塩基配列における第496位の多型部位をAllelic Discrimination法(Livak KJ. Genet Anal. 1999; 14: 143-149)により定量することにより、小麦試料中におけるヌードル品種小麦の割合を推定する。Allelic Discrimination法は、TaqManシステムを応用して対立遺伝子の型を判定する解析方法である。本発明では、TaqMan MGBプローブを用いる方法が好ましく用いられる。MGB(Minor Groove Binder)はプローブと標的配列が結合したときにできる二重らせんの小さい溝(Minor Groove)に結合して二本鎖を安定させる。これにより短いプローブでも安定的に結合することができ、結果として高いTm値が得られる。また配列が短いため1塩基が特異性に寄与する度合いが大きく、SNP解析に適している。Allelic Discrimination法の原理は次のとおりである。それぞれの対立遺伝子に相補的なプローブを作成し、別々の蛍光色素で標識する。2種類のプローブを混合してPCR反応を行うと、配列の一致するプローブは標的配列に結合して分解され蛍光を発するが、配列の異なるプローブはうまく結合できず、分解を受けないため蛍光が検出されない。
Allelic Discrimination法で用いるプローブおよびプライマーは、次の条件を満たすように設計することが好ましい。1)Gで始まらないようにする、2)プローブのTm値は65〜67℃とする、3)プライマーのTm値は58〜60℃とする、4)プローブの長さは13塩基以上でなるべく短くする、5)多型塩基は中央または3'より3分の1の領域とする、6)プローブに同じ塩基が4つ以上連続した配列は避ける、7)プローブの3'末端5塩基中のCまたはGは2塩基までに抑える、8)増幅産物は75〜150 bp程度とする、9)2つのプローブは同じ鎖に設計する。
配列番号2または1の塩基配列における上記の多型部位を検出するためのプローブとしては、上記の条件を満たし、且つ配列番号2または1の塩基配列における第496位を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは20塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブを用いればよい。その具体例としては、配列番号2の第486位〜第498位の塩基(配列番号13)を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは20塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ(NNVpt1-probe1(FAM))、特に配列番号13の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブが挙げられ、また、配列番号1の第486位〜第498位の塩基(配列番号14)を含む連続した40塩基以下、好ましくは30塩基以下、より好ましくは20塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ(NNVpt1-probe2(VIC))、特に配列番号14の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブが挙げられる。
一方、上記のAllelic Discrimination法に用いるプライマー対は、上記3)および5)の条件を満たし、その増幅産物に配列番号2または1の第496位を包含するように設計され、配列番号2および1の塩基配列をPCRで増幅しうるものであればいずれでも好適に用いることができる。本発明において、当該プライマー対としては、実施例で用いたプライマー対、例えば、上流側プライマー(NNVpt1-primer1F)と下流側プライマー(NNVpt1-primer1R)とからなるプライマー対、配列番号11の塩基配列からなる上流側プライマーと配列番号12の塩基配列からなる下流側プライマーとからなるプライマー対を例示することができるが、Allelic Discrimination法の性質上、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態においては、配列番号3の塩基配列で表される遺伝子を定量的PCR法(好ましくはTaqManプローブ法)により定量することにより、小麦試料におけるヌードル品種小麦の割合を定量する。定量的PCR法およびTaqManプローブ法について、既に記載したとおりである。この場合、配列番号5の塩基配列からなる上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)と配列番号7の塩基配列からなるプライマー下流側プライマー(NNVpt2-primer1R)とからなるプライマー対を用いることが好ましい。
以下、本発明に用いられるプライマーおよびプローブの詳細について以下に説明する。
配列番号5の塩基配列からなる上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)は、配列番号3の塩基配列における特異的多型部位を含んでいないが、配列番号6の塩基配列からなる下流側プライマー(PA-2)を対で用いると配列番号4の塩基配列の所望の領域を特異的に増幅し、配列番号7の塩基配列からなる下流側プライマー(NNVpt2-primer1R)を対で用いると配列番号3の塩基配列の所望の領域を特異的に増幅し、それぞれ446bp、107bpの増幅断片が得られる。
配列番号8の塩基配列からなる上流側プライマー(PB-1)は、配列番号1および2の塩基配列における特異的多型部位を含んでいないが、配列番号9の塩基配列からなる下流側プライマー(PB-3)を対で用いると配列番号1の塩基配列の所望の領域を特異的に増幅し、配列番号10の塩基配列からなる下流側プライマー(PB-4)を対で用いると配列番号2の塩基配列の所望の領域を特異的に増幅し、それぞれ239bpの増幅断片が得られる。
配列番号11の塩基配列からなる上流側プライマー(NNVpt1-primer1F)および配列番号12の塩基配列からなる下流側プライマー(NNVpt1-primer1R)は、配列番号2の塩基配列における特異的多型部位(第496位)を含んでいないが、配列番号13の塩基配列からなるプローブ(NNVpt1-probe1(FAM))および配列番号14の塩基配列からなるプローブ(NNVpt1-probe2(VIC))を用いてAllelic discriminationを行うと配列番号2の塩基配列を有するDNAまたは遺伝子を特異的に定量できる。なお、配列番号13の塩基配列からなるプローブ(NNVpt1-probe1(FAM))は、3’末端から3番目に配列番号2の塩基配列における特異的多型部位を含み、一方、配列番号14の塩基配列からなるプローブ(NNVpt1-probe2(VIC))は、3’末端から3番目に配列番号1の塩基配列における特異的多型部位を含む。すなわち、配列番号13のプローブ(NNVpt1-probe1(FAM))は、3’末端から3番目の塩基が「A」であるのに対して、配列番号14のプローブ(NNVpt1-probe2(VIC))では当該塩基が「G」となっている。
配列番号7の塩基配列からなる下流プライマー(NNVpt2-primer1R)は、配列番号1の塩基配列における特異的多型部位を含んでおり、配列番号5の塩基配列からなる上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)と配列番号15の塩基配列からなるプローブ(NNVpt2-probe1(FAM))を用いて定量PCRを行うと配列番号3の塩基配列を有するDNAまたは遺伝子を特異的に定量できる。
本発明はまた、小麦試料に含まれるヌードル品種小麦を定量するためのキットに関する。本発明のキットは、小麦試料に含まれるヌードル品種小麦の割合を推定するためのキットとして使用できる。
一実施形態において本発明のキットは、配列番号2の塩基配列で表される遺伝子をAllelic Discrimination法により定量するためのキットであり、上流側プライマー(NNVpt1-primer1F)と下流側プライマー(NNVpt1-primer1R)とからなるプライマー対、特に配列番号11の塩基配列からなる上流側プライマーと配列番号12の塩基配列からなる下流側プライマーとからなるプライマー対、ならびにプローブ(NNVpt1-probe1(FAM))、特に配列番号13の塩基配列からなるプローブ、およびプローブ(NNVpt1-probe2(VIC))、特に配列番号14の塩基配列からなるプローブを含む。
別の実施形態において本発明のキットは、配列番号3の塩基配列で表される遺伝子を定量的PCR法により定量するためのキットであり、上流側プライマー(NNVpt2-primer1F)と下流側プライマー(NNVpt2-primer1R)とからなるプライマー対、特に配列番号5の塩基配列からなるプライマーと配列番号7の塩基配列からなるプライマーとからなるプライマー対、ならびにプローブ(NNVpt2-probe1(FAM))、特に配列番号15の塩基配列からなるプローブを含む。
本発明のキットは、前記プライマーおよびプローブのほか、必要に応じて遺伝子増幅および増幅産物の確認に利用可能な分子量マーカー、酵素、dNTP、NTP、緩衝液、減菌水、標品(標準菌株、標準DNAなど)等を含んだものとして構成される。
なお、本発明の方法が対象とする小麦品種は、オーストラリア産のヌードル品種小麦であるEradu、Cadoux、Arrino、Calingiri、AroonaおよびBinnu等が挙げられるが、これらに制限されない。例えば、主にうどん等の麺類に用いられる小麦品種または小麦銘柄、あるいは製粉して中力粉ないし薄力粉として利用される軟質小麦と、強力粉等に利用される硬質小麦の配合割合の判別方法にも応用可能である。そのような軟質小麦の例として、米国産のウェスタンホワイト小麦銘柄、国産品種のホクシン、農林61号、シロガネコムギ、チクゴイズミ、タイセツコムギ、シラネコムギ、ナンブコムギ、ホロシリコムギ、つるぴかり、きたもえ、あやひかり、ニシホナミ、タクネコムギ、ネバリゴシ、さぬきの夢2000、キタカミコムギ、タマイズミ、ふくさやか、ふくほのか、シラサギコムギ、チホクコムギ、イワイノダイチ、ダイチノミノリ、バンドウワセ、きぬの波、きぬあずま、春のかがやき、アブクマワセ、コユキコムギ、しゅんよう、キヌヒメ、きぬいろは、農林26号等が挙げられる。
実施例1
サンプルとして、ASWに含まれている主要なヌードル品種小麦(Eradu、Cadoux、Arrino、Calingiri、Binnu)と非ヌードル品種小麦として任意に選択した32粒のAPWの小麦粒を用いた。
各サンプルのDNAは、QIAGEN社製Dneasy Plant Mini Kitを用い、同社指定のプロトコールに従って抽出した。すなわち、小麦1粒を破砕したもの、または小麦粉0.07gにAP1 buffer、RNase Aを加え、55℃で60分間インキュベートした。次にAP2 bufferを130μl加え、氷上に10分静置させた。
その後、サンプルを15,000 rpmで5分遠心し、上清を紫色カラムに添加し10,000 rpmで5分遠心した。通過液にAP3 bufferを675μl加え、混合液を白色カラムに添加し10,000 rpmで1分遠心した。カラムをAW bufferで洗浄した後に、AE bufferを100μl加え10,000 rpmで2分遠心した。通過液にPCIを100μl加えて攪拌後、15,000 rpmで5分遠心した。中間層に、エタチンメイト(ニッポンジーン社製)1μlと3M酢酸ナトリウム3.3μl、99.5%エタノールを250μl加え、ボルテックスした。その後15,000 rpmで10分遠心し上清を廃棄した。沈殿をTE(10mM Tris-Cl, 1mM EDTA, pH8.0)に溶解し、DNA濃度が50 ng/μlになるように調整した。これを-20℃で保存したものを2μl各反応に用いた。
PCRは以下のように行った。PCR条件は95℃, 9 分間、(95℃, 1分間、55℃, 1分間、 72℃, 2 分間)×30サイクル、72℃, 2分間で行い、反応液組成(25μl)はABI AmpliTaq Gold(ABI)0.6U、15mM MgCl2、5mM dNTP、1×buffer(Ampli Taq Gold添付)、上流側、下流側プライマー各1μM、DNAサンプル100ngで行った。
増幅には以下のプライマー対を利用した。
Figure 2011109963
Figure 2011109963
PCR後の電気泳動パターンを図1および2に示す。図中、☆は分子量マーカー(ニッポンジーン、OneSTEP Ladder 50)を示す。各レーンの小麦品種は以下の通りである。
図1:1〜5レーン → ヌードル品種小麦(Eradu、Cadoux、Arrino、Calingiri、Binnu)
図2:上段A〜Wレーン →非ヌードル品種小麦第1〜23サンプル、下段A〜Iレーン→非ヌードル品種小麦第24〜32サンプル
上記より得られた主要ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦の遺伝子分布を以下の表3にまとめた。
Figure 2011109963
以上から、ヌードル品種小麦はヌードル品種型を示し、非ヌードル品種小麦の約84%は非ヌードル品種1型、約13%は非ヌードル品種2型を示すことが明らかになった。なお、非ヌードル品種小麦32粒のうち、1粒のみ(約3%)は非ヌードル品種1型および2型のいずれでもなかった。
実施例2
非ヌードル品種1型を定量するためのプライマーおよびプローブを設計し、主要ヌードル品種とAPWを用い、Allelic discrimination法で配列番号2の遺伝子(DNA)を定量することにより、非ヌードル品種1型を特異的に定量できることを確認した。
DNAサンプルには、実施例1で抽出した各品種小麦のDNAを用いた。
Allelic discrimination法はABI社製 7300リアルタイムPCRシステムを用いて以下のように行った。反応条件は50℃, 2 分間、95℃, 10分間、(95℃, 15秒間、60℃, 1 分間)×40サイクルで行い、反応液は、各ウェルあたり10μMの上流側および下流側プライマーを各0.6μl、10μMのFAMプローブ、10μMのVICプローブを各0.2μl、Universal PCR Master Mix(ABI)を6.4μl、DNAサンプルを100ng混合し、蒸留水で20μlにした。
プライマーおよびプローブとして、以下の表4に記載のものを使用した。なお、本実施例におけるプローブは、ABI社製のTaqMAN MGBプローブを使用した。
Figure 2011109963
検量線は、実施例1で非ヌードル品種1型を示した非ヌードル品種小麦のサンプルのDNAを、非ヌードル品種2型の非ヌードル品種小麦のサンプルのDNAで希釈(非ヌードル品種1型DNAの濃度が0〜100%になるように希釈)した試料を同様に分析し、縦軸を非ヌードル品種1型のプローブのシグナル強度、横軸を非ヌードル品種2型のプローブのシグナル強度としてグラフにプロットすることにより作成した。
定量の結果、実施例1で非ヌードル品種1型を示したサンプルのみ100%を示し、それ以外のサンプルは0%を示した。以上から、本発明により、配列番号2の遺伝子を特異的に定量できること、すなわち、非ヌードル品種1型を特異的に定量できることが示された。
実施例3
非ヌードル品種2型を定量するためのプライマーおよびプローブを設計し、サンプルとしてヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦の小麦粒を用い、定量的PCR法で配列番号3の遺伝子(DNA)を定量することにより、非ヌードル品種2型を特異的に定量できることを確認した。
DNAサンプルには、実施例1で抽出した各品種小麦のDNAを用いた。
定量的PCRは、ABI社製 7300リアルタイムPCRシステムを用いて以下のように行った。反応条件は50℃, 2 分間、95℃, 10分間、(95℃, 15秒間、60℃, 1 分間)×40サイクルで行い、反応液は、各ウェルあたり10μMの上流側および下流側プライマーを各1.8μl、10μMのFAMプローブを各0.4μ、内部標準として10μMの上流側および下流側プライマーを各0.6μl、内部標準としてVICプローブを0.2μl、Universal PCR Master Mix(ABI)を10μl、DNAサンプルを100ng混合し、蒸留水で20μlにした。
プライマーおよびプローブとして、以下の表5に記載のものを使用した。
Figure 2011109963
Figure 2011109963
検量線には、実施例1で非ヌードル品種2型を示した非ヌードル品種小麦のサンプルのDNAを、非ヌードル品種1型の非ヌードル品種小麦のサンプルのDNAで希釈して用いた。
得られた検量線を用いて定量した結果を表7に示した。
Figure 2011109963
実施例1で非ヌードル品種2型を示したサンプルのみ40%以上を示し、配列番号3の遺伝子を特異的に定量できること、すなわち、非ヌードル品種2型を特異的に定量できることが示された(定量的PCRで定量性が図れる上限は40%程度までであり、それ以上であると増幅産物のシグナルが強すぎて検量線に直線性が得られないが、その場合は、試料DNAを希釈すれば定量可能となる)。
実施例4
オーストラリアからの輸入日および輸入港が異なるASW原料小麦を製粉して得られた小麦粉(ASW-1〜3)について、実施例1に従ってDNAを抽出した。次いで、実施例2〜3に従い、配列番号2の塩基配列における特異的多型部位および配列番号3の塩基配列における特異的多型部位を定量し、非ヌードル品種1型および非ヌードル品種2型の割合から各ASWに含まれるヌードル品種の割合を推定した。その結果を下記の表8に示す。
さらに、上記の小麦粉(ASW-1〜3)に、ASWに含まれるヌードル品種小麦と同じであることを確認した国内産小麦品種から得られた小麦粉(JP-1)を下記の表8に示す割合で添加して疑似小麦粉試料を得た。次いで、これらの小麦粉についても同様にして、ヌードル品種の割合を定量した。得られた結果を表8に示す。
Figure 2011109963
表8に示したように、本発明の方法でASW小麦中のヌードル品種の配合割合を測定できることが確認された(試験例1〜3)。また、国内産小麦品種から得られた小麦粉を配合した疑似小麦粉試料における非ヌードル品種1型および非ヌードル品種2型の配合割合、並びにこれらから算出されるヌードル品種の配合割合の結果から、本発明の方法の測定精度が高いことが確認された(試験例4〜9)。

Claims (6)

  1. オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を判定する方法であって、配列番号2の塩基配列で表される遺伝子および/または配列番号3の塩基配列で表される遺伝子における非ヌードル品種小麦に特異的な塩基配列を定量することによりASW小麦中のヌードル品種小麦の割合を定量することを含む、前記方法。
  2. 配列番号2の第496位における多型部位を用いて、非ヌードル品種小麦を定量することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 配列番号3の第2417位以下における少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を用いて非ヌードル品種小麦を定量することを含む、請求項1記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を判定する方法に用いるためのプライマーまたはプローブであって、配列番号2の第496位における非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーまたはプローブ。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載のオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を判定する方法に用いるためのプライマーまたはプローブであって、配列番号3の第2417位以下における少なくとも1つの非ヌードル品種小麦に特異的な多型部位を検出しうるプライマーまたはプローブ。
  6. 請求項4または5記載のプライマーまたはプローブを含む、オーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦中に含まれるヌードル品種小麦を定量するためのキット。
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