JP3708695B2 - 麺類および麺類用穀粉組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生麺でのpHが8未満である麺類、それに用いる麺類用穀粉組成物および麺類の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、製造後に時間が経つても、いわゆる“ホシ”または“スペック”と称される斑点の発生が抑制されていて、しかも食味および食感が損なわれず、商品価値の高い、生麺でのpHが8未満である麺類、その製造方法、それに用いる麺類用穀粉組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
小麦粉を主成分とする生麺や生の麺皮類は、製造直後は明るい白色からクリーム色を有する良好な外観を有しているが、時間が経つと、ホシまたはスペックと称される褐色の微細な斑点が多数発生し、この斑点は時間の経過と共に、数や大きさを増し且つ黒色化してくる。例えば、冷蔵温度で保存、流通する生麺や麺皮の場合には、通常、2〜3日中に多数のホシが発生する。また、生麺や半乾燥麺をα化せずにそのまま冷凍した冷凍麺類の場合は、冷凍状態にある間はホシはあまり発生しないが、解凍すると、解凍後1〜3日後には多数のホシが発生する。ホシの発生した麺類や麺皮は、その商品価値が著しく低下し、しかも調理したときに黒い斑点を多数生じており外観が不良となる。
【0003】
ホシの発生の機構は未だ充分に解明されていないが、小麦粉などの穀粉中に混入している微細な表皮や色素繊維などの成分が何らかの原因で発色するものと考えられている。ホシの発生を出来るだけ少なくするには、前記した成分の少ない小麦粉を用いるとよいが、前記した成分の少ない小麦粉は高価であり、しかも前記した成分の少ない小麦粉などの穀粉類を用いても、ホシの発生を充分に低減し得ないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造後に時間が経っても、ホシ(スペック)の発生が抑制されていて、外観的に優れ、しかも食味および食感に優れる商品価値の高い、生麺でのpHが8未満の麺類、およびその製造方法を提供することである。
さらに、本発明は、上記したホシの発生のない麺類の製造に有効に用い得る生麺でのpHが8未満の麺類用穀粉組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、小麦粉を主体とする穀粉類1kgに対してグルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01g以上を添加して生麺でのpHが8未満の麺類を製造すると、製造後に時間が経っても、ホシ(スペック)の発生が抑制されて、外観に優れる高品質の麺類が得られることを見出して本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、穀粉類1kgに対して、グルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加してなる製麺原料を用いたことを特徴とする生麺でのpHが8未満である麺類である。
【0007】
さらに、本発明は、穀粉類1kgに対して、グルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加してなることを特徴とする生麺でのpHが8未満である麺類用の穀粉組成物である。
【0008】
そして、本発明は、小麦粉を主体とする穀粉類1kgに対して、(i)グルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01kg以上を生地の調製時に穀粉類に添加するか、または(ii)グルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01g以上を予め添加してなる穀粉組成物を用いて、生地を調製して、生麺でのpHが8未満である麺類を製造する方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明でいう“生麺でのpHが8未満の麺類”とは、小麦粉を主体とする穀粉類を混練して得たpHが8未満の生地を麺線状にした麺類またはシート状にした麺皮製品であって、生麺または半乾燥麺の状態で保存、流通、販売されるか、或いはそれらをα化せずにそのまま冷凍して冷凍麺として保存、流通、販売されることの多い麺類をいい、代表例としては、うどんなどの麺類、ギョウザの皮、シュウマイの皮、春巻きの皮などの麺皮類を挙げることができる。
【0010】
本発明では、生麺でのpHが8未満の麺類に製造に用いる穀粉類1kgに対して、グルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加する。穀粉類1kgに対して、グルコースオキシダーゼの添加量が1.5ユニット未満であると生麺でのpHが8未満の麺類におけるホシの発生の抑制効果が低下し、一方3000ユニットを超えると麺類の食感および食味が低下する。
また、穀粉類1kgに対してグルコースの添加量が0.01g未満であると、生麺でのpHが8未満の麺類におけるホシの発生の抑制効果が低下する。また、得られる麺類の食味および食感の点からグルコースの添加量は穀粉類1kgに対して10g以下であることが好ましい。
【0011】
なお、本明細書におけるグルコースオキシダーゼの活性単位を示すユニット(U)は、以下の実施例の項に記載する方法で測定した値をいう。
また、本明細書でいう「生麺でのpH」とは、下記のようにして測定した時のpH値をいう。
【0012】
[生麺でのpHの測定法]
生麺5gに蒸留水50mlを加え、ホモジナイザーにて3分間ホモジナイズし、それにより得られる懸濁液のpHを25℃でpHメーターにて測定し、そのpH値を生麺でのpHとする。
【0013】
本発明では、麺類の製造に用いる穀粉類として、小麦粉を主体としたものが好ましく用いられ、必要に応じて、各種澱粉類、米粉、そば粉などの他の穀粉類の1種または2種以上を併用することができる。
【0014】
本発明で使用するグルコースオキシダーゼは、グルコースを酸化してグルコン酸と過酸化水素を生成させる反応の触媒作用を有する酵素である。食品用には糸状菌類や細菌類の産生したグルコースオキシダーゼを通常用いられているが、本発明では食品に用い得るグルコースオキシダーゼであればいずれも使用でき、その由来、調製法などは特に制限されない。また、グルコースオキシダーゼは、比較的純度の低い食品添加用のグルコースオキシダーゼおよび純度の高いグルコースオキシダーゼ製剤のいずれもが使用できる。また、本発明では、食品に対して従来から用いられているグルコースが使用される。
【0015】
また、本発明では、グルコースオキシダーゼの触媒作用によってグルコースが酸化されて発生した過酸化水素を分解除去するために、カタラーゼ、パーオキシダーゼなどのような過酸化水素分解酵素を併用することが好ましい。カタラーゼやパーオキシダーゼなどのような過酸化水素分解酵素を併用する場合は、その使用量は特に制限されず、グルコースの酸化により生ずる過酸化水素の量に応じて決めればよい。
【0016】
また、本発明では、麺類の製造に当たって、グルコースオキシダーゼおよびグルコースと共に、必要に応じて、麺類の製造に従来から用いられている他の成分や原材料などを用いることができる。そのような他の成分や原材料としては、例えば、食塩、界面活性剤、ガム類やその他の増粘剤、着色料、ビタミン類・ミネラル類、卵白粉、蛋白質類などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0017】
グルコースオキシダーゼおよびグルコースを穀粉類に添加して生麺でのpHが8未満の麺類を製造するに当たっては、(i)生地の調製時(混捏時)に穀粉類1kgに対してグルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01g以上を必要に応じて他の成分などと共に添加して麺生地を製造し、それにより得られる麺生地を用いて麺類の種類に応じて麺線への切り出しや押し出し、麺皮への切りだしや成形を行う方法、または(ii)穀粉類1kgに対してグルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01g以上を必要に応じて他の成分と添加して麺類用穀粉組成物を予め調製し、その麺類用穀粉組成物を用いて麺生地を製造し、それにより得られる麺生地を用いて麺類の種類に応じて麺線への切り出しや押し出し、麺皮への切りだしや成形を行う方法などを採用することができる。
【0018】
上記(i)の方法によって生麺でのpHが8未満の麺類を製造する場合は、グルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースは、乾燥粉末の形態で穀粉類に添加しても、生地の製造に用いる水や他の液体に溶解または分散させた状態で添加しても、或いは一部を穀粉類に添加し残りを水や他の液体に溶解または分散させて添加してもよく、その添加順序や添加方法などは特に制限されない。
【0019】
また、上記(ii)の方法によって生麺でのpHが8未満の麺類を製造する場合には、グルコースオキシダーゼ、グルコースおよび必要に応じて添加される他の成分を乾燥粉末の状態で穀粉類に添加して麺類用穀粉組成物を調製することが好ましい。それにより得られる麺類用穀粉組成物は、そこに含まれるグルコースオキシダーゼ、グルコースおよび必要に応じて添加された他の成分の変性や失活などが生じないようにしながら常温や冷蔵温度下で長期保存が可能であり、麺類用穀粉組成物(ミックス粉)の形態で、保存、流通、販売することができる。
そして、この麺類用穀粉組成物を用いる場合は、麺類の製造時にグルコースオキシダーゼ、グルコースおよび場合により他の成分を個別に調達してそれらの所定の量で穀粉類に添加するという手間を要することなく、該麺類用穀粉組成物を使用して、ホシ(スペック)の発生しない、高品質の生麺でのpHが8未満の麺類を極めて簡単に且つ短時間に製造することができる。
【0020】
本発明では、生麺でのpHが8未満の麺類を製造する際の麺生地の製法、麺線への切り出しや押し出し、麺皮への切り出しや成形などは特に制限されず、麺類の種類などに応じて従来から使用されている方法により行うことができる。何ら限定されるものではないが、例えば、ロール製麺法、手延べ製麺法、手打ち製麺法、押し出し式製麺法などにより本発明の麺類を製造することができる。
【0021】
また、本発明の生麺でのpHが8未満の麺類は、生麺または半乾燥麺の形態で、冷蔵温度および場合により常温で保存、流通、販売しても、或いは前記の生麺または半乾燥麺をそのまま冷凍して冷凍麺類にして保存、流通、販売してもよい。そのうちでも、本発明は、冷蔵温度または場合により常温で保存、流通、販売される生麺に対するホシ発生の抑制方法として特に有効である。
本発明の麺類(特に生麺)を冷蔵温度で保存、流通、販売する場合は、一般に0〜10℃の冷蔵温度が好ましく採用される。前記した冷蔵温度による場合は、麺類の製造後1週間が経過した時点でも、ホシ(スペック)の発生が少なく且つホシが大きくならず、良好な外観および品質を保つことができる。
【0022】
また、生麺または半乾燥麺をα化せずにそのまま冷凍して冷凍麺類とする場合は、その冷凍方法や冷凍条件などは特に制限されないが、一般には、緩慢冷凍よりも急速冷凍が好ましい。その際の冷凍方法および条件としては、ショックフリーザーやディープフリーザーなどの急速凍結装置を用いて−30℃〜−40℃の雰囲気温度下に麺類を1時間程度で急速に凍結した後、−10℃〜−20℃の雰囲気温度下で貯蔵して氷結晶の成長を抑制するようにして凍結保存することが好ましい。
【0023】
上記した麺類を各小売店や消費者が購入して、従来の麺類と同様にして調理することによって、斑点がなくて外観に優れる調理麺類を得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例中、%は重量%、および部は重量部を示す。
また、以下の例で用いた、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの活性は次のようにして測定した。
【0025】
[グルコースオキシダーゼ活性の測定法]
(1)試 薬:
(a)基質溶液:10%(W/V)グルコース水溶液。
(b)フェノール含有緩衝液:蒸留水80mlにリン酸二水素カリウム1.36gを加えて溶解させた後、フェノール水溶液(50mg/ml)3mlおよび「トリトンX−100」(Sigma社製)水溶液(50mg/ml)3mlを加え、1M 水酸化ナトリウム水溶液にてpHを7.0に調整し、これを蒸留水にて100mlにフィルアップしたもの。
(c)パーオキシダーゼ溶液:パーオキシダーゼ(Sigma社製「Type II」)40mgを秤り、冷水10mlを加えて溶解させたもの(使用時に調製)。
(d)アミノアンチピリン溶液:アミノアンチピリン(Sigma社製)40mgを秤り、冷水10mlを加えて溶解させたもの(使用時に調製)。
(e)酵素試料液:グルコースオキシダーゼ試料の所定量を秤り、氷冷した0.1M リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、適宜希釈して用いる。
【0026】
(2)操 作:
(i) 分光光度計に37℃に設定した恒温セルホルダーを予め装着し、光路長10mmの石英セルをセットする。この石英セルに、上記のフェノール含有緩衝液2ml、基質溶液0.5ml、パーオキシダーゼ溶液0.5mlおよびアミノアンチピリン溶液0.1mlを加えて、撹拌棒にて撹拌し37℃で10分間プレインキュベートする。プレインキュベート後、酵素試料液0.1mlを添加して良く混合し37℃で酵素反応を行う。その際に、酵素反応の開始を酵素試料液の添加時とする。蒸留水を対照として、波長500nmにおける吸光度の変化を測定し、反応開始2分経過後の吸光度(A2)および5分経過時の吸光度(A5)をそれぞれ測定する。
(ii) 別に、ブランク試験として、酵素試料液の代わりに0.1M リン酸緩衝液(pH7.0)を用いて上記(i)と同様の操作を行い、反応開始後2分および5分経過時の波長500nmにおける吸光度の変化を測定し、反応開始2分経過後の吸光度(B2)および5分経過時の吸光度(B5)をそれぞれ測定する。
(iii) 上記の条件下に、1分間に1μmoleのグルコースを酸化するのに必要な酵素量を1ユニット(U)とし、次式によりグルコースオキシダーゼ活性を算出する。
【0027】
【数1】
グルコースオキシダーゼ活性(U/g)={(A5−A2)−(B5−B2)}×n×2.218
式中、n=酵素試料1g当たりの希釈倍率
【0028】
[カタラーゼ活性の測定法]
(i)試薬:
(a)基質溶液:30%(W/W)過酸化水素0.135mlを量り、これに50mM リン酸緩衝液(pH7.0)を加えて100mlとする。水を対照として、この液の波長240nmにおける吸光度を測定し、0.52〜0.55の範囲内であることを確認し、もし0.52未満である場合は過酸化水素を微量加え、また0.55を超える場合は50mM リン酸緩衝液を加えて、前記0.52〜0.55の範囲内になるように調整して基質溶液とする。
(b)50mM リン酸緩衝液(pH7.0):50mM Na2HPO4に50mM KH2PO4を加えてpH7.0に調整したものを50mMリン酸緩衝液(pH7.0)として用いる。
(c)酵素試料液:酵素試料を必要量秤り、氷冷した50mM リン酸緩衝液(pH7.0)を用いて適宜希釈溶解して酵素試料液として用いる。
【0029】
(ii)操作:
分光光度計に、25℃に設定した恒温セルホルダーを予め装着し、光路長10mmの石英セルをセットする。この石英セルに、基質溶液2.9mlを量り入れ、25℃で10分間プレインキュベートする。次いで、酵素試料液0.1mlを添加して良く混合し、直ちに25℃でこの液について蒸留水を対照として波長500nmにおける吸光度の変化を測定し、吸光度が0.45〜0.40の範囲まで減少するのに要した時間(分)を測定する。
(iii)カタラーゼ活性の算出:
上記の条件下で、1分間に1μmoleの過酸化水素を分解するのに必要な酵素量を1ユニットとし、次式によりカタラーゼ活性を求める。
【0030】
【数2】
カタラーゼ活性(ユニット/mg)=(34.5×n)/t
式中、n:酵素試料液の希釈倍数
t:吸光度が0.45〜0.40の範囲まで減少するのに要した時間(分)
【0031】
《実施例1》[ギョウザの皮およびギョウザの製造]
(1) 小麦粉(日清製粉株式会社製「カメリヤ」)1kgに対して、グルコースオキシダーゼ(Sigma社製「Type VII」)およびグルコースを下記の表3に記載する量で添加してギョウザの皮用の小麦粉組成物を調製した。なお、その際に、グルコースオキシダーゼを添加した実験番号2および4〜19の小麦粉組成物には、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼ(Sigma社製「Product Number C−40」)を200ユニット(U)相当量で添加した。
(2) 上記(1)で得られた小麦粉組成物100部に、水36部に食塩1部を溶解した水溶液を加え、10分間混合してそぼろ状の生地にし、この生地を製麺ロール(ロール間隙3.0mm)にて麺帯にまとめた後、ビニール袋に入れて常温(25℃)で30分間熟成させた。
(3) 上記(2)で熟成させた麺帯を製麺ロールにてさらに圧延して、約0.8mm厚の麺帯にした。この麺帯を、直径12cmの円形の金型を用いてくり抜いて、円形のギョウザの皮を得た。
【0032】
(4) 上記(3)で得られたギョウザの皮をビニール袋に入れて、冷蔵庫(庫内温度5℃)に7日間保存した後、冷蔵庫より取り出し、袋から出して、ホシ(スペック)の発生状況を目視により観察して、下記の表1に示す評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
なお、ホシの発生状況の評価は、下記の表1に記載するように、グルコースオキシダーゼおよびグルコースを添加していないもの(実験番号1のもの)を対照として行った。
(6) 上記(5)でホシの発生状況の評価を終了したギョウザの皮で、挽肉、みじん切り野菜および調味料を用いて予め製造しておいた具10gを包み、整形後に油を敷いた熱したフライパンに並べて加熱調理した。
(7) 上記(6)で得られたギョウザを10名のパネラーに食してもらい、皮の耳の部分の食感を下記の表2に示す評価基準にしたがって評価してもらったところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
[ギョウザの皮の食感の評価基準]
5点:非常にしなやかで且つしっかりしており、口溶けが極めて良い。
4点:しなやかで且つしっかりしており、口溶けが良い。
3点:しなやかさおよび口溶けとも、特に特徴はなく、普通の食感である。
2点:ややぼそぼそし、脆いか又はガミーなやや不良な食感である。
1点:ぼそぼそし、脆いか又はガミーで噛み切り難い極めて不良な食感である。
【0035】
【表3】
【0036】
上記の表3の結果から、小麦粉1kgに対してグルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加した実験番号5〜18のギョウザの皮は、グルコースオキシダーゼおよびグルコースを添加しない実験番号1(対照例)のギョウザの皮に比べて、7日間冷蔵保存した後でも、ホシ(スペック)の発生が少ないことがわかる。
特に、小麦粉1kgに対してグルコースオキシダーゼを7.5〜150ユニットおよびグルコースを1g以上の割合で添加した実験番号7〜10および実験番号16〜18のギョウザの皮は、7日間冷蔵保存した後でも、ホシ(スペック)の発生が大幅に低減され且つホシの大きさが小さく外観が良好であり、しかも食感の点でも優れていることがわかる。
【0037】
《実施例2》[うどんの製造]
(1) 小麦粉(日清製粉株式会社製「特雀」)1kgに対して、グルコースオキシダーゼ(Sigma社製「Type VII」)およびグルコースを下記の表5に記載する量で添加してうどん用の小麦粉組成物を調製した。なお、その際に、グルコースオキシダーゼを添加した実験番号20および22〜36の小麦粉組成物には、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼ(Sigma社製「Product Number C−40」)を200ユニット(U)相当量で添加した。
(2) 上記(1)で得られた小麦粉組成物100部に、水38部に食塩3部を溶解した水溶液を加え、10分間混合してそぼろ状の生地にし、この生地を製麺ロール(ロール間隙3.6mm)にて麺帯にまとめた後、ビニール袋に入れて常温(25℃)で30分間熟成させた。
(3) 上記(2)で熟成させた麺帯を製麺ロールにてさらに圧延して、約2.5mm厚の麺帯にした。この麺帯を、10番角の切刃を用いて麺線に切り出して生うどんを製造した。
【0038】
(4) 上記(3)で得られた生うどんをビニール袋に入れて、冷蔵庫(庫内温度4〜8℃)に7日間保存した後、冷蔵庫より取り出し、袋から出して、ホシ(スペック)の発生状況を目視により観察して、上記の表1に示す評価基準にしたがって評価したところ、下記の表5に示すとおりであった。
なお、ホシの発生状況の評価は、上記の表1に記載するように、グルコースオキシダーゼおよびグルコースを添加していない麺を対照として評価を行った。
(5) 上記(4)でホシの発生状況の評価を終了した生うどんを、充分の沸騰水中にて、上記の数式▲2▼で示す茹で歩留りが310±2%になるように茹であげた後、速やかに水洗して、下記の表4に示す評価基準にしたがって10名のパネラーにその食感を評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
なお、本明細書でいう茹で麺の茹で歩留りは、下記の数式により求めたものをいう。
【0039】
【数3】
麺の茹で歩留り(%)=(W1/W0)×100
式中、W1=茹であげて水切りした後の茹で麺の重量(g)、W0=茹でる前の生麺中の小麦粉の重量(g)を表す。但し、生麺の製造に用いた小麦粉中の水分含量が14.5%であるものとして前記W0の値を求めた。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
上記の表5の結果から、グルコースオキシダーゼおよびグルコースを添加した実験番号22〜36の生うどんは、グルコースオキシダーゼおよびグルコースを添加しない実験番号19(対照例)の生うどんに比べて、7日間冷蔵保存した後でも、ホシ(スペック)の発生が少ないこと、そのうちでも小麦粉1kgに対してグルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加した実験番号23〜36の生うどんでは、ホシの発生が一層良好に抑制されていることがわかる。
特に、小麦粉1kgに対してグルコースオキシダーゼを7.5〜150ユニットおよびグルコースを1g以上の割合で添加した実験番号25〜28および実験番号34〜36の生うどんは、7日間冷蔵保存した後でも、ホシ(スペック)の発生が大幅に低減され且つホシの大きさが小さく外観が良好であり、しかも食感の点でも優れていることがわかる。
【0043】
【発明の効果】
穀粉類1kgに対してグルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加してなる製麺原料を用いて調製された生麺でのpHが8未満である本発明の麺類は、生地の製造後に時間が経っても、ホシ(スペック)の発生が抑制されていて、良好な外観を長い時間保つことができる。
そして、穀粉類1kgに対してグルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加してなる製麺原料を用いて調製された生麺でのpHが8未満の麺類用の本発明の穀粉組成物を用いる場合は、麺類の製造時にグルコースオキシダーゼ、グルコースおよび場合により他の成分を個別に調達してそれらの所定の量を穀粉類に添加するという手間を要することなく、該麺類用穀粉組成物を使用して、ホシ(スペック)の発生しない、高品質の、生麺でのpHが8未満である麺類を極めて簡単に且つ短時間に製造することができる。
Claims (4)
- 穀粉類1kgに対して、グルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加してなる製麺原料を用いたことを特徴とする生麺でのpHが8未満である麺類。
- 生麺、半乾燥麺、乾麺、即席麺、麺皮または冷凍麺である請求項1記載の麺類。
- 穀粉類1kgに対して、グルコースオキシダーゼを1.5〜3000ユニットおよびグルコースを0.01g以上の割合で添加してなることを特徴とする生麺でのpHが8未満である麺類用の穀粉組成物。
- 小麦粉を主体とする穀粉類1kgに対して、(i)グルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01g以上を生地の調製時に穀粉類に添加するか、または(ii)グルコースオキシダーゼ1.5〜3000ユニットおよびグルコース0.01kg以上を予め添加してなる穀粉組成物を用いて、生地を調製して、生麺でのpHが8未満である麺類を製造する方法。
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