JP2011511292A - 近臨界反射分光測定のための方法、デバイス、及びキット - Google Patents

近臨界反射分光測定のための方法、デバイス、及びキット Download PDF

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Abstract

試料のスペクトル特性を検出する試料の臨界角に配向された分光測定装置を説明し、装置は、試料の臨界角か又はそれに近い入射角で試料に導入される電磁放射線によって試料を励振するようになった電磁放射線源、電磁放射線源及び試料と連通状態にあり、電磁放射線を内部に反射するようになった高屈折率を有する透過結晶、透過結晶と試料の間の臨界角か又はそれに近い入射角で電磁放射線を試料に導入するようになった反射器、及び試料からの電磁放射線を検出するための検出器から成る。本明細書で同じく提供するのは、近臨界反射分光測定装置を組み込んでいる方法、システム、及びキットである。
【選択図】図2

Description

相互参照
本出願は、2008年2月1日出願の米国特許仮出願第61/025、737号の恩典を請求し、本出願は、引用によって本明細書に組み込まれている。
「減衰全反射率(ATR)」分光測定としても公知の内部反射分光測定は、長年にわたって公知であり、赤外線(IR)及び螢光分光測定、並びに他の分光測定において幅広く用いられているサンプリング法である。中間波長赤外線(MWIR)分光測定、又は中間赤外線(HR)分光測定は、長い年月の末に、選択性が最大の重要事項である時に選ばれる技術となっている。歴史的に見ると、この技術は、いくつかの理由から用いるのが困難な技術であった。最初に、電磁スペクトルの中間波長赤外線領域(例えば、約3〜8μmの中からの)内では多くの材料の吸収率が非常に高い。これは感度という観点からは良いことであるが、時によってはサンプリングを複雑にする。その結果、理想的な方式で分光計に試料を導入するのに役立つ様々なサンプリング技術が開発されている。遍在的で問題の多い試料成分は水である。約800nmから2500nmの中からの波長を用いる近赤外線(NIR)領域において発生する可能性がある別の問題は、経路長が過度に短い場合があるということである。1つの利点は、一般的に、近赤外線が中間赤外線放射よりも試料内に遥かに深く侵入することができる点である。
分光測定を用いる時に直面する1つの問題は、多くの試料調製剤が水を含有することである。水は、中間赤外線では極めて高い吸収性を有する。従って、4000cm-1〜400cm-1の従来の中間赤外線領域において水のスペクトルを測定するためには、経路長を数10ミクロンよりも短く制限する必要がある。ATRは、必要とされるこの極めて短い経路長を提供することができる。しかし、他の状況では、ATRの経路長は、理想的なサンプリングに対しては過度に短い。この過度の短さは、哺乳類皮膚又は他の生物組織を通じて測定を行う時、又は望ましいスペクトル情報が深い位置からのものであり、哺乳類皮膚の面に近くない時の主な問題である可能性がある。
「減衰全反射率(ATR)」は、多くの場合に、困難なサンプリング状況において望ましい。この効果の分光測定的な有利性は、最初に1960年にファーレンフォートによって認識され、基本的な光物理学から予測することができる。基本的に、光が高屈折率の媒質中を伝播し、低い屈折率の材料との境境界面に近づくと、透過と反射が発生することになる。これらの透過と反射の相対強度は、フレネルの式によって判断される。
Figure 2011511292
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フレネルの式は、誘電体上に入射する電磁放射線に対して、初期電界に対する反射及び透過の電界振幅の比を与える。
一般的に、波が2つの異なる誘電率の間の境界に達すると、波の一部は反射され、一部は透過され、これらの2つの波におけるエネルギの合計は、元の波のものに等しい。これらの式を吟味すると、光が高屈折率媒質を移動し、低屈折率媒質との境界面に近づいた時に、いかなる光も透過されず、反射成分が全部である場合があることが明らかになる。この全反射が発生する時の角度を臨界角と呼び、次式(5)で定められる。
Figure 2011511292
反射成分は、境界面上への入射角に等しい反対の反射角を有する。臨界角を超えると、全ての光は反射される。臨界角よりも小さいと、一部の光は、上述のフレネルの式に従って境界面を貫通して透過することになる。このモードで作動するデバイスは、スネルの法則(式(6))に従って屈折する光を用いることになる。
Figure 2011511292
上述のように、臨界角を超えると反射が全部である。ファーレンフォートは、全反射時に高屈折率と低屈折率の間の境界面において定常波又はエバネッセント波が起こることに最初に気づいた。この波は、希薄な(低い屈折率の)媒質内部に向けて指数的に減衰する強度を有する。このエバネッセント(定常)波の近くに、希薄媒質内にある一定の距離だけ延びる吸収物質が置かれた場合には、この吸収物質は、その材料の吸収特性に対応する特定の波長にある光の一部分を吸収することができる。このようにして、全反射は、試料の吸収によって「挫折」したといわれる。次に、検出器に戻る光が見出され、損失したエネルギが判断される。このモードは、光が進行する高屈折率媒質と接触状態にある材料の赤外線スペクトルを得るのに用いることができることが分る。この相互作用強度は、ハリックによって開発されたいくつかの式を通じて予測することができる。最初に、侵入深さが、エバネッセント(定常)波の指数減衰の1/e点として定められる(式(7))。
Figure 2011511292
ここで、n2は、試料の屈折率であり、n1は、結晶の屈折率である。侵入深さは、エバネッセント波の電気ベクトル強度が、その元の強度から1/e(eはオイラー数)の値まで減衰する点として定められる。ATRを用いて得られることになる信号の強度を特徴付けるために、多くの場合に、侵入深さを用いて迅速な計算が行われる。迅速な計算は、精度が低い場合があるが、指針を与えるのに適している。エバネッセント波の電気ベクトルが減衰する点、すなわち、有効厚又は有効深さdeに関するより精度の高い式がハリックによって導出されている。
試料がエバネッセント波の1/e点と比較して肉薄である場合には、更に別の複雑さが発生する。有効厚計算は、ベールの法則の計算に対して用いることができる数値であり、法線入射において行われる透過測定における経路長に密に関連する数値を生じる。この場合、結晶の屈折率であるn1、試料の薄層の屈折率であるn2、通常は空気である試料の向こうにあるあらゆるものの屈折率n3である配慮される3つの屈折率が存在する。また、通常、幾何学形状は近法線のものではないので、計算は、3つの直交する軸に対して行う必要がある。最後に、測定は偏光に依存し、2つの直交する偏光に対して計算すべきである。解説の目的で、薄層は準等方性を有すると仮定し、偏光は不規則であると見なす。従って、試料層厚が侵入深さよりも大幅に小さい薄層の試料に関する有効深さの式は次の通りである。
Figure 2011511292
ここで、z値は、ATRプリズムの面に対する膜の初期及び最終のz次元位置である。E項は、媒質内の電気ベクトルの強度の二乗である。2Eは、光強度に比例する。偏光入射光に対しては、次式が成り立つ。
Figure 2011511292
及び
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かつ上式から次式が得られる。
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及び
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及び
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3つの直交する電界成分は、フレネルの式から計算される。
Figure 2011511292
Figure 2011511292
及び
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直前の式では、電界強度の計算を大幅に簡易化するために、薄膜近似を用いている。上述のように、ハリックはこの近似を提案した。この近似を用いる上での要件は、試料が無限に厚い場合に、膜が、侵入深さに対して極めて肉薄でなければならないことである。6μmの測定波長における厚膜の侵入深さは、2.32μmになる。例えば、炭疽菌胞子の単層は、ほぼ0.4μmの厚みを有することになり、従って、ATRプリズム上に堆積した炭疽菌胞子の早期の検出及び同定において薄膜近似は有効である。上述の式に用いられる値は、n1=2.2、n2=1.5、n3=1.0、θ=45°、zi=0、及びzf=0.4μmである。電界強度に対して計算された値は、E0x、2 r=1.37、E0z、2 r=0.79、及びE0y、2 r=1.60である。各ベクトルに対して計算された有効経路は、dex iso=0.45μm、dey iso=0.62μm、dez iso=0.15μm、de、‖ iso=0.60μm、de、⊥ iso=0.62μm、及びde、random iso=0.61μmである。従って、有効厚における最終値は、0.61μmである。
0.4μmの厚みを有する胞子の単層を仮定すると、ここでモデル化されたATRシステムを通る単反射は、透過において測定された0.61μm厚の胞子層と同程度の信号を引き起こすことになる(6μmの波長において)。従って、ATR技術は、単反射においてさえも、透過測定強度の1.5×の強度を有するスペクトルを引き起こす。この数字は、多重反射を用いることによって劇的に高めることができ、それによってATR赤外線は、炭疽菌のような生物兵器化学物質の優れた同定子になる。
ATR分光測定に関する他の概念は、例えば、Li他に付与されたATR−FTIR金属面除染度モニタリングに関する米国特許第6、908、773号、Tamburinoに付与されたATR軌道追跡システム(A−Track)に関する第7、218、270号、Bynum他に付与されたATR結晶デバイスに関する第6、841、792号、Boeseに付与されたFTIR分光測定のためのATR測定セルに関する第6、493、080号、Berman他に付与された赤外線ATRグルコース測定システム(II)のための除染システムに関する第6、362、144号、Burka他に付与された画像化ATR分光計に関する第6、141、100号、Berman他に付与された皮膚の単面を利用する赤外線ATRグルコース測定システムに関する第6、430、424号に開示されている。
しかし、試料を検出して分類するためのATRサンプリングの看過されがちな利点は、散乱効果に対する防御性である。ハリックは、ATRモードが、透過率又は正反射率とは異なり、光散乱効果を除去することを指摘している。通常は光散乱を引き起こすことになる状況である試料が本質的に粗い場合であっても、ATRスペクトルは平坦な基線を維持することになる。これは、同じ試料の異なる調製を互いに類似のとすることができ、従って、同じ群内に分類することを容易にすることができることを意味する。試料の形態、調製、及び充填が変数として削除されるので、2つの試料間で実際の化学的な差異が存在する場合には、これらの差異は容易に識別される。看過されがちなATRの利点は、散乱効果に対するその防御性である。「完全な」赤外線スペクトルは、試料の分子構造に関する情報のみを含むことになる。この純粋なスペクトル上に試料の抽出歪みがほぼ常時重ね合わされる。しかし、ATRは、試料散乱に起因する差異の一部を除去することができ、試料を同定して分類する機能が改善される。この改善は、組織分光測定の分野においては大きな利点とすることができる。
分光測定の文献において頻出する興味深いテーマは、スペクトル歪みが生じることになるという理由からの臨界角を避けるべきであるという忠告である(Francis M.Mirabella著「内部反射分光測定:理論と応用」、「CRC Press」、1993年)。この忠告は、ハリックによる画期的な著書において早くに指摘されており、それ以来、何度となく繰り返されている。この警告に関する基礎は、上記に列記した侵入深さの式に見られる。入射角が小さくなり、臨界角に近づく時に、希薄媒質内へのエバネッセント波の侵入の深さは、もはや内部全反射条件が成立しない点である臨界角に至るまで増大する。臨界角よりも小さいと、内部反射率は、極めて一般的で有利性の低い外部反射率へと変わる。外部反射率は、フレネル反射の法則によっても支配されるが、得られる反射はもはや全部ではない。外部反射では、ATRプリズム内及び次に検出器へと高い効率のエネルギを結合して戻すことはできない。
多くの試料では、試料内への大きい侵入深さを有することが望ましいものになる。これは、試料に対して臨界角に非常に近い電磁エネルギを導入することによって得ることができる。殆どの分光計では、光ビームは、検出器を満たし、高い信号対ノイズ比(SNR)を得るために有意な角度分散を有する。しかし、臨界角に近づく時に大幅な角度分散が存在するので、ビームの一部分は臨界角を超え始め、その一方でビームの別の部分は、臨界角から十分に離れた角度に留まる。更に、殆どの試料では、着目しているスペクトル領域にわたって屈折率の分散が存在し、従って、異なる波長において臨界角は異なる。従って、これらのファクタにより、多くの場合に、平均角度は、臨界角から数度離れたものであることが必要である。
希薄媒質内への侵入深さが実際に非常に大きくなる可能性があることは容易に見ることができる。大きい侵入深さが望ましいものになる多くの用途が存在する。これらの用途の中には身体組成の非侵襲的測定がある。上述の文献に何回も繰り返されている教示は、臨界角の近くではスペクトルの歪みが発生するので、ATRが大きい経路長を有することができず、大きい侵入深さを有することができないことである。この問題は、平行性の高い光ビームの使用によって解決することができる。今日では、平行性が高いとすることができるが、依然として良好なエネルギ量を含むことができる光源を利用することができる。量子カスケードレーザ及び発光ダイオード(LED)光源のような平行性が高いとすることができ、依然として大きいエネルギ量を含むことができる多くのレーザが現在利用可能である。しかし、これらの光源の利用は、上述の問題に対する完全な解決法ではない。
解決する必要がある別の問題は、殆どの試料が、それ自体でその屈折率において波長分散をもたらすことである。螢光発光分光測定、近赤外線分光測定、テラヘルツ分光測定、又はあらゆる他の分光測定のどれによるかに関わらず、試料に関する有利な分光測定情報が望ましい場合には、信号をある一定の波長範囲にわたって収集する必要がある。着目している波長範囲にわたって臨界角が波長と共に変化することになることは、ほぼ間違いなく真であることになる。臨界角は、試料の形態又は試料の物理的状態のような試料の様々な特性に依存して同じ試料内でも変化することになる。従って、推測的に、所定の試料に対して所定の波長における臨界角が何処に位置することになるかを把握するのは、不可能ではないにしても非常に困難である。必要なことは、ATR測定に対する付加的な次元、すなわち、強度対波長というマッピングの次元だけではなく、強度対波長対入射角及び/又は反射角のマッピングの次元である。
米国特許仮出願第61/025、737号 米国特許第6、908、773号 米国特許第7、218、270号 米国特許第6、841、792号 米国特許第6、493、080号 米国特許第6、362、144号 米国特許第6、141、100号 米国特許第6、430、424号 米国特許第4、730、882号
Francis M.Mirabella著「内部反射分光測定:理論と応用」、「CRC Press」、1993年 J.Fahrenfort、Spectrochim.、Acta17、698、1961年 Harrick、N.J.著「内部反射分光測定」、ニューヨーク:「Wiley Interscience」、1967年 Fringeli UP、Goette J、Reiter G、Siam M、及びBaurecht D著「FTIR−ATR分光測定による配向膜アセンブリの構造研究」、第11回フーリエ変換分光測定に関する国際会議会報、1998年
多重反射を可能にするATR試料採取器を設計することができる。それによって多重反射は、赤外線スペクトルの強度を増倍する。反射回数は、可能な最高のSN比を生じる最適な有効経路長に到達するように調節することができる。本明細書に説明する装置及び方法は、透過モード又は従来のATRモードで測定を行うよりも少なくとも1桁、更に場合によっては2桁分感度が高い測定を可能にする。着目している角度空間を首尾良くマップするためには、臨界角を跨ぐことが望ましく、更にまた、臨界角未満のデータを収集することも望ましいことになる。このデータは、各波長に対する真の臨界角を判断するのに有利である可能性があると考えられる。
本発明の態様は、試料のスペクトル特性を検出するための装置のためのものである。装置は、電磁放射線によって試料を励起するようになった電磁放射線源と、電磁放射線源及び試料と連通状態にあり、電磁放射線を反射するようになった高屈折率を有する結晶又はプリズムと、結晶又はプリズムと試料の間の臨界角か又はそれに近い入射角で電磁放射線を試料に導入するようになった反射器と、試料からの電磁放射線を検出するための検出器とを含む。更に、装置の構成要素は、ハウジング内に収容されるように構成することができる。装置に適する検出器は、水銀テルライド検出器のような単要素検出器、直線アレイ検出器、及び2次元アレイ検出器を含むが、これらに限定されない。電磁放射線源は、臨界角か又はそれよりも小さい入射角で電磁放射線を試料に送出するようにすることができる。他の設定では、試料に送出される電磁放射線は、臨界角に近づき、それを超えるように送出することができる。他の設定では、放射線は、臨界角か又はそれを超える角度で送出される。この放射線もまた、臨界角に近づき、それを超えるように送出されるように調節することができる。また、検出器と連通状態にあるデータプロセッサを設けることができる。データプロセッサは、システムの構成要素のうちのいずれかから情報を受け取り、次に、検出器が試料から受け取る1つ又はそれよりも多くの電磁放射線検出値から試料の臨界角マップを生成するように構成することができる。適切な電磁放射線源は、例えば、量子カスケードレーザを含む。一部の構成では、装置は、放射線を平行化するようになった。装置は、容積において1立方フィートよりも小さく、容積において125立方インチよりも小さく、更に容積において8立方インチよりも小さい区域内に収容されるように構成することができる。適切な構成は、手持ち式であるようにもなっている。他の設定では、表示画面が設けられる。表示画面は、例えば、臨界角マップを含むユーザに対して有利な情報を表示するように適応かつ構成することができる。データプロセッサは、検出された電磁放射線から、反射光強度対波長対入射角のマッピングという完全なマップを生成するようにすることができる。更に、一部の態様では、駆動機構を設けることができる。駆動機構は、結晶又はプリズムを軸線の回りにピボット回転させるようにすることができる。冷却器を設けることができる。冷却器は、検出器を冷却するのに有利なものになる。更に、1つ又はそれよりも多くのフィルタを設けることができ、1つ又はそれよりも多くのレンズを設けることができる。レンズは、1平方mmよりも狭い検出器上に電磁放射線を結像させるように構成することができる。
本発明の別の態様は、試料のスペクトル特性を検出する方法のためのものである。本方法は、例えば、試料を結晶又はプリズムの近くに配置する段階と、電磁放射線源から結晶又はプリズムを通じて電磁放射線を放出する段階と、試料の臨界角か又はそれに近い入射角で電磁放射線を結晶又はプリズムを通じて試料に導入する段階と、試料からの電磁放射線を検出する段階とを含む。更に、本方法は、臨界角よりも小さい入射角で電磁放射線を導入する段階と、電磁放射線の入射角を区分的に増大し、それによって入射角が臨界角に近づき、それを超えるようにする段階とを含むことができる。本方法の一部の態様では、本方法は、臨界角を超える入射角で電磁放射線を導入する段階と、電磁放射線の入射角を区分的に低減し、それによって入射角が臨界角に近づき、それを超えるようにする段階とを含むことができる。更に、本方法は、反射光強度対波長対入射角のマッピングという完全なマップを生成する段階と、生成されたマップを表示する段階と、検出された電磁放射線を臨界角測定値のデータベースに対して比較する段階と、検出された電磁放射線パラメータ、及びデータベースからの1つ又はそれよりも多くの臨界角測定値を表示する段階と、電磁放射線をフィルタリングする段階と、結晶を軸線の回りにピボット回転させる段階と、検出器を冷却する段階と、電磁放射線を1mm2よりも狭い検出器区域上に結像させる段階とのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。
本発明の更に別の態様は、試料のスペクトル特性を検出するためのシステムのためのものである。システムは、例えば、電磁放射線源と、電磁放射線源及び試料と連通状態にあり、電磁放射線を内部に反射するようになった高屈折率を有する結晶又はプリズムと、試料からの電磁放射線を検出するための検出器とを含む。更に、システムの構成要素は、ハウジング内に収容されるように構成することができる。システムに適する検出器は、水銀テルライド検出器のような単要素検出器、直線アレイ検出器、及び2次元アレイ検出器を含むが、これらに限定されない。電磁放射線源は、臨界角か又はそれよりも小さい入射角で電磁放射線を試料に送出するようにすることができる。他の設定では、試料に送出される電磁放射線は、臨界角に近づき、それを超えるように送出することができる。他の設定では、放射線は、臨界角か又はそれを超える角度で送出される。この放射線もまた、臨界角に近づき、それを超えるように送出されるように調節することができる。また、検出器と連通状態にあるデータプロセッサを設けることができる。データプロセッサは、システムの構成要素のうちのいずれかから情報を受け取り、次に、検出器が試料から受け取る1つ又はそれよりも多くの電磁放射線検出値から試料の臨界角マップを生成するように構成することができる。適切な電磁放射線源は、例えば、量子カスケードレーザを含む。一部の構成では、システムは、放射線を平行化するようになっている。システムは、容積において1立方フィートよりも小さく、容積において125立方インチよりも小さく、更に容積において8立方インチよりも小さい区域内に収容されるように構成することができる。適切な構成は、手持ち式であるようにもなっている。他の設定では、表示画面が設けられる。表示画面は、例えば、臨界角マップを含むユーザに対して有利な情報を表示するように適応かつ構成することができる。データプロセッサは、検出された電磁放射線から反射光強度対波長対入射角のマッピングという完全なマップを生成するようにすることができる。更に、一部の態様では、駆動機構を設けることができる。駆動機構は、結晶又はプリズムを軸線の回りにピボット回転させるようにすることができる。冷却器を設けることができる。冷却器は、検出器を冷却するのに有利なものになる。更に、1つ又はそれよりも多くのフィルタを設けることができ、1つ又はそれよりも多くのレンズを設けることができる。レンズは、1平方mmよりも狭い検出器上に電磁放射線を結像させるように構成することができる。
キットも、同じく本発明の態様として考えられている。試料のスペクトル特性を検出するのに適するキットは、例えば、電磁放射線源と、電磁放射線源及び試料と連通状態にあり、電磁放射線を反射するようになった高屈折率を有する結晶又はプリズムとを含む。キットはまた、以下に限定されるものではないが、1つ又はそれよりも多くの検出器、フィルタ及び/又はレンズを含む他の構成要素を含むことができる。
引用による組込み
本明細書において言及する全ての論文、特許、及び特許出願は、各個々の論文、特許、又は特許出願が引用によって組み込まれることを特定的かつ個別的に示す場合に、それと同じ範囲で本明細書に引用によって組み込まれるものとする。
本発明の新しい特徴を特許請求の範囲における細目によって示している。本発明の特徴及び利点のより明瞭な理解は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を示す以下の詳細説明及び添付図面を参照することによって得られるであろう。
入射角と侵入深さの間の相関性を示すグラフである。 近臨界反射分光測定システムの図である。 近臨界反射分光測定システムの図である。 結像機能を示す近臨界反射分光測定システムの図である。 分光測定中に入射角を変更することによって得ることができる異なる効果を示すグラフである。 多重反射を提供することができる別の近臨界反射分光測定の図である。 近臨界反射分光測定システムにおいて角度を変更するための機構の図である。 様々な入射角にわたって移動する45度プリズムの図である。 分光測定のための完全なサンプリングシステムの概要の図である。
従って、本発明は、スペクトル吸収マップに加えて、試料の臨界角マップを生成するデバイス及びシステムの作成のためのものである。本発明は、強度対波長というマッピングだけでなく、強度対波長対入射角、及び/又は強度対波長対入射反射角というマッピングを提供することにより、ATR測定に付加的な次元を与える。これらのデバイス及びシステムは、1つ又はそれよりも多くの要素又は構成要素が、望ましい生理学的、作動的、又は機能的な結果を得るように一体的に形成され、これらの構成要素がデバイスを完成するように構成することができる。この構成は、1つ又はそれよりも多くの要素を単体として一体的に形成するか又は一体方式で機能するように形成することによって達成することができる。臨界角付近の領域は、近臨界領域である。近臨界領域を精査するのに有利な技術は、近臨界反射分光測定(PR)を含む。
例としては、以下に限定されるものではないが、生物兵器化学物質検出、グルコース、エタノール、癌細胞、及び他の医療関連組成、バイオマーカ、新薬発見のための薬剤成分の非侵襲的経皮検出、爆薬及び他の有害な化学剤の検出、感染症の早期検出、飲料水中の微量の化学汚染物質又は生物汚染物質の検出、不法薬物検出、バイオディーゼル及びバイオエタノールのようなバイオ燃料を含む工業化学物質の生産中の品質判断、バイオ反応器内で起こっている反応の進行判断、グルコース及びクレアチニンのような血液組成の体外検出及び定量を含む。マップは、各波長において臨界角の近くで高い角解像度で生成することができる。殆どの事例では、角解像度は、少なくともミリ度又はそれよりも良好である。
I.デバイス及び方法
近臨界反射分光測定の装置又はシステムは、上述のもののような試料内に導入することができる電磁放射線源を設けるようになっている。電磁放射線は、例えば、試料に接触する前に干渉計によって変調させることができる。変調された放射線は、レンズによってミラーのような反射面上に集束させることができ、次に、反射面は、光をATRプリズム内に反射する。更に、一部の事例では、電磁放射線が、対象の臨界角を含む様々な角度で試料に導入されるようにミラーを調節することができる。言い換えれば、電磁放射線は、臨界角よりも小さい角度で導入され、臨界角を経て臨界角よりも大きい角度まで区分的に掃引される。ミラーは、電磁放射線が試料に入射する角度を変更するように調節することができる。代替的に、電磁放射線は、ATRプリズムに直接導入することができる。電磁放射線は、ATRプリズム内に入ると試料と接触する。次に、電磁放射線はプリズムを出射し、検出器によって検出され、データ処理システムによって処理される。
本明細書において説明するシステム及びデバイスを用いて得られる臨界角情報は、現在既存の技術を用いては得られない別の次元の情報である。従って、試料の完全なマップは、臨界角に近づき、次に、臨界角を実際に幾分跨ぐ角度での反射光強度対波長対入射角のマッピングという完全なマップになる。図1に例示しているように、侵入深さは、臨界角の前後で入射角に対して非常に鋭敏であるから、数ミリ度(数マイクロラジアン)の角解像度が必要である。更に、臨界角データを分析するために、装置と共にプロセッサを用いることができる。例えば、試料を走査することによって試料の角度マップが生成されると、各波長における臨界角の実際の角度を判断することができる。その後、一定の有効深さにおける各波長のスペクトルをプロットすることができる。
図2は、近臨界反射分光測定システムの図である。電磁放射線又は光に向けて光源108に電力を供給するようになっており、そのように構成された電源は、干渉計116に光ビームを送出するようになっており、干渉計116は、反射等によって光ビームを2つ又はそれよりも多くのビームに分離し、その後、光線を集めて干渉を引き起こす。適切な電源は、バッテリを含むが、これに限定されない。当業者には理解されるように、システムは、適切に設計されたハウジング内に収容することができ、又は構成要素をハウジングとして機能するように構成することができる。得られるビーム110は、次に、レンズ150を通過し、その後、ミラー130と接触する。ミラーは、得られるビーム112をプリズム140を通して試料102に向けて反射する。反射2次ビーム114は、プリズム140を通過して戻り、今度は多要素検出器160によって受光される。検出器は、入射角を解像してピクセルがミリ度又はそれよりも良好な解像度を得るように適応かつ構成することができる。解像されたピクセルは、次に、適切なデータ処理デバイス又はコンピュータを用いて分析される。分析は、例えば、データをデータライブラリに対して比較し、既知の試料に対する検出信号の分散を判断する段階を含むことができる。更に、システムは、反射光強度対波長対入射角のマッピングという完全なマップの表示をユーザに対して提供するようになった液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイを含むことができる。当業者には理解されるように、システムが情報をプリンタ又はネットワークに送信することを可能にする接続性も設けることができる。接続性は、例えば、無線でインターネットを通じたもの並びに適切な接続ポートを通じたものとすることができる。
当業者には理解されるように、各角度を個別に測定することは常時必要なわけではない。近臨界反射分光測定装置又はシステムは図3に示しているように構成することができる。図3では、分光測定装置100は、0.001度の解像度を有する傾斜/シフトミラーのようなミラー130を用いて、電磁放射線がビーム110によって試料102に導入されるように設定される。ビーム110は、空間フィルタ120を通過させた後に試料102に送出することができる。ビーム110にフィルタ120を通過させることにより、一般的に、0.001度のビーム発散角を生じることができる。フィルタ120を通過した後に、発散ビーム122は、傾斜シフトミラー130に接触し、傾斜シフトミラー130は、近臨界反射率(PR)結晶140を通じて試料102へとビームを偏向する。適切な試料は、例えば、直径で1mm〜10mm程度の小さい同じ区域を有することができる。ビームが試料と接触した後に、得られるビーム112が反射される。得られるビーム112は、次に、PR結晶140を通過して第2の傾斜/シフトミラー130’と接触するように戻ることができ、第2の傾斜/シフトミラー130’は、得られるビーム112をレンズ150を通じて狭域単要素水銀カドミウムテルライド(MCT)検出器160へと伝達する。
図3に示しているように構成された近臨界反射率(PR)分光測定計器は、750nmから1000μmまでの1つ又はそれよりも多くの波長を有する赤外線(IR)ビームを望ましい角解像度で平行化することを可能にする可変サイズの空間フィルタ120を含むことができる。得られる平行化されたビームは、ほぼ平行な光線を有する。平行化の結果として、1ミリ度のビーム発散角を得ることができる。この場合、発射ミラー130、130’は、これらのミラーが試料上の入射角を変更するように傾斜及びシフトすることができるように構成可能なとすることができる。例えば、全ての波長において臨界角を跨ぐように角度を変更することができる。次に、レンズ150は、空間フィルタを非常に狭い検出器区域162上に結像するように構成することができる。適切な区域は、1mm2よりも狭く、0.01mm2よりも狭く、より好ましくは、0.001mm2よりも狭い区域を含む。狭域検出器は、通常は中間赤外線分光測定範囲内での実験中に優勢を占める検出器ノイズによって制限されるシステム感度の改善を可能にする。
システムは、ミラーが試料に対して静止状態に留まるように適応かつ構成することができる。そのような場合には、平行性の低いエネルギビームしか持たない電磁放射線源を用いることができる。角度範囲の端から端までビームを掃引する代わりに、角度測定は、複数の検出器(アレイ)を検出器の各ピクセル要素が、着目している全ての波長において臨界角を含む区分的に小さい(又は大きい)角度を感知するように用いて行うことができる。この検出器アレイは、試料の後に配備され、単に線形の検出器要素アレイであるだけでよい。多くの場合に、着目している波長の全てにおいて臨界角がどのようになるかを予め把握することはできないので、多数のピクセルを含む検出器を用いることができる。他の場合には、上述のように、マッピングの必要がある全ての臨界角空間の異なるセグメント又は部分の端から端までビームを掃引することによって臨界角空間全体をマップすることができる。
一部の事例では、必要に応じて、より良好な感度を得るように検出器160を冷却することができる。冷却は、適切な冷却装置、冷却の手段、又は材料を用いて達成することができる。例えば、一部の事例では、液体窒素を用いた冷却により、検出器の感度を改善することができる。一般的に、冷却は、検出器の半導体材料の温度を液体窒素の温度、更に最も好ましくは、液体ヘリウムの温度まで低下させる段階を含む。
システムによって生成されるビームは、「フーリエ変換赤外線(FTIR)」分光計の出力ビームとすることができる。しかし、当業者には理解されるように、単一又は一連の量子カスケード(QC)レーザからのビームを用いることができる。一部の事例では、ビーム種類又はビーム源の選択により、デバイス又はシステムの携帯性を改善することができる。この場合、例えば、容積で1立方フィートよりも小さいシステムは容易に搬送することができ、容積で125立方インチよりも小さいシステムは手持ち式とすることができ、容積で8立方インチよりも小さいシステムは、隠蔽し、不可視化することができる。このサイズ変動性は、有意な利点をもたらす。更に、QCレーザは、平行性の高いものとするができる。
多要素検出器を用いる代わりに、ビームの入射角を手動で変更することができ、連続走査を行うことができる。入射角の範囲全体におけるスペクトルデータの完全なマップを得るために、入力角度と出力角度を一緒に変更することができる。
調査対象の角度は、予測臨界角の上下両方に範囲を広げる必要がある。これは、臨界角が波長の関数として変化することによる。目的は、臨界角に対する一定で既知の近接度、又は一定の有効深さとしてスペクトルを再現することである。このようにして、通常は臨界角に過度に近く作動することに付随するスペクトル歪みが完全に回避される。従って、臨界角の非常に近くで作動しながら、歪みのないスペクトルを収集することができる。それによってATR法は、従来の方法を用いて可能なものよりも希薄媒質(検査中の試料)内への長い経路長及び深い侵入を有することが可能になる。これは、非侵襲的生物測定、及び低濃度の生物兵器化学物質の検出のような多くの他の測定において特に重要であることになる。
図4に移ると、結像機能を示す近臨界反射分光測定システムの図が例示されている。この実施形態では、上記に例示した空間フィルタの代わりに結晶140/試料120の面が「アレイMCT」検出器160上に結像される。上述の単要素検出器は、必要に応じて1次元又は2次元の検出器アレイで置換される。2次元検出器アレイは、1次元の波長、2次元の画像、及び更に別の1次元の入射角を有するハイパースペクトルデータを収集するように適応かつ構成することができる。当業者には理解されるように、これらの次元の各々は、数千のデータ点を有することができる。このシステム及び技術の特徴分析機能の深さにより、各空間位置にスペクトル情報を有する試料容積の3次元空間分布の作成が可能になる。複数の検出器は、検出器要素の個数に正比例するデータセットを収集するのに必要な時間を短縮する効果を有する。更に、直径で1mm〜10mmの試料102の区域を用いることができる。
図5は、分光測定中に入射角を変更することによって得ることができる異なる効果を示すグラフである。光線は、高屈折率又は密な媒質によって発射される。臨界角を十分に下回ると(準臨界)、光は結晶/試料境界面で屈折し、その後、伝播する波として大部分が試料自体内に透過する。試料が散乱性のものである場合には、生じる結果は拡散反射率(DR)である。臨界角を十分に超えると(超臨界)、光は全反射し、希薄媒質(試料)内に弱い定常波又はエバネッセント波が起こる。その結果、いかなる光波も試料内で伝播しない。得られる試料スペクトルの特性は、減衰全反射(ATR)と一致する。臨界角の直近(近臨界)では、光は、角度に対して非常に鋭敏になる。結晶/試料境界面では、光が負の臨界角で反射し、試料内で強いエバネッセント波が起こり、かつ進行する波が、結晶試料境界平面に対して平行な方向に伝播するという3つの事柄が生じる。この効果は、近臨界反射率(PR)分光測定に恩典を与える。角度をミリ度まで正確に解像することにより、全ての波長、及び所定の試料及び結晶に存在する全ての屈折率において近臨界領域をマップすることができる。反射されたPRビームは、試料に関する確実な情報、及びATRによって可能なものよりも試料内の深い位置からの確実な情報を含む。
次に、図6に移ると、多重反射を提供することができる別の近臨界反射分光測定システムの図が示されている。電磁放射線源からのビーム110は負のレンズ152を通過し、第1のミラー132に当たる。ビーム110は、ミラー132から偏向され、得られるビーム112を形成する。次に、得られるビーム112は、第2のミラー134に当たり、近臨界反射率結晶又はプリズム140と接触する第2の得られるビーム114を形成する。第2の得られるビームはPR結晶を通過し、次に、そこから負のレンズ154を通過する。全てが臨界角にあるか又は臨界角に近い多重反射が提供される。プラットフォームを移動又は回転させる精密駆動体(示していない)又はあらゆる適切な手段が、プラットフォームを回転又は移動させる。プラットフォームは、第1のミラー132、第2のミラー134、及びPR結晶140を保持する。駆動体は、例えば、プラットフォームを結晶142の射出面146又はその近くに置かれたピボット点144の回りにピボット回転させることを可能にする。負のレンズ152、154は、試料区画の中心の近くに集束させるビームを有する多くのFTIR分光計の試料区画内で計器を用いることを可能にする。適切なFTIRデバイスの例は、いずれかの「Thermo Nicolet FTIR」(サーモ・フィッシャー・サイアンティフィック、米国マサチューセッツ州ウォルサム)であろう。負のレンズは、ビームを平行化し、得られる平行化されたビームの角解像を可能にする。ビーム発散角は、通常は光源の近くの分光計内部でJ絞り(Jacquinot絞り又は視野絞り)によって更に制限することができる。電磁ビーム又はIRビームのビーム発散角は、光源又は光学開口からの距離にわたるビーム直径の増大の角度測定によって判断される。
図7に例示しているように、近臨界反射分光測定システムにおいて角度を変更するための機構を達成することができる。セレン化亜鉛(ZnSe)のような高屈折率結晶で作られた45度プリズム142を用いることができる。ビームは、第1のビーム110が、結晶の底面142’に入射し、第2のビーム110’が、第1のビーム110に対して平行又は実質的に平行に底面142’を離去するように、プリズム142の底面142’内にかつそこから発射される。ビームの内部反射は、プリズムの2つのファセットにおいて破線で例示している経路に沿って発生する。従って、到着する第1のビーム110は、結晶の底面142’に垂直に入射し、プリズムのファセットに当たり、そこで90度の角度で偏向される。次に、偏向ビームは、プリズム内の第2のファセットに当たり、そこで再度90度の角度で偏向される。次に、第2の偏向ビーム110’は、到着する第1のビーム110と離去する第2のビーム110’とが実質的に平行であるように、結晶の底面142’を垂直に通って出射する。プリズムは、ピボット点144の回りに傾斜させることができる。プリズム142Tをピボット点の回りに傾斜させた結果として、一方のファセット上の入射角は増大し、それに対して他方のファセット上の入射角は低減する。検査中の試料は、プリズムの一方のファセット又は他方のファセットに隣接するか又は接着するとすることができる。入力ビームと出力ビームは、プリズムが傾斜しても互いに対して平行なままに留まる。平行ビームを保持しながら結晶を傾斜させる機能は、角度変更がある場合に再整列の必要性を最小にする。
ここで次に図8に移ると、上の列に示している45度プリズムは、5つの別々の試料入射角(A〜E)を通じて移動する。プリズムは、下の列に示しかつ上述のように、平行ビームを保持する。この場合、PR分光測定では、10度又はそれよりも大きい角度に至る角度範囲が有利であるとすることができる。
図9は、分光測定のための完全なサンプリングシステムの概要を示している。サンプリングシステムは、上述の45度プリズムを用いる。この構成では、結晶の傾斜中に入力ビームと出力ビームが静止状態に留まるようにするピボット点が見出される。当業者には理解されるように、長いファセットと短いファセットとを有する結晶を示している。
II.キット
キットもまた、本発明の態様として考えられている。試料のスペクトル特性を検出するのに適するキットは、例えば、電磁放射線源を含み、更に電磁放射線源及び試料と連通状態にあり、電磁放射線を反射するようになった高屈折率を有する結晶を含む。キットは、以下に限定されるものではないが、1つ又はそれよりも多くの検出器、フィルタ及び/又はレンズを含む他の構成要素を含むことができる。
III.実施例
血中グルコース濃度の判断
上述のデバイス及び方法は、グルコースの濃度を検出するのに用いることができる。患者の皮膚面は、システムの近くに配置することができる。その後、皮膚は、透過結晶を通じて電磁放射線ビームによって放射される。ビームは、結晶を通じて反射して戻される。戻りビームは、ユーザにおける血中グルコース濃度を示す情報を保持する。戻りビームは、例えば、反射光強度対波長対入射角のマッピングという完全なマップを生成するために、適切なワードプロセッサを用いて分析することができる。これらの情報は、他の生物パラメータ情報と相関させることができる。更に、マップをLCDに表示することができ、及び/又はネットワークに通信することができる。
材料の非接触検査
別の用途は、非接触検査の分野におけるものである。通常ATRでは、ATR結晶と検査中の検体との間の非常に密な光学的接触を作り出すことが不可欠である。この密な接触がないと、屈折率及び深度の計算において通常は空気である中間層を考慮する必要がある。粉末及び他の不規則な試料では、多くの場合に、空気の間隙の全てを除去することは不可能である。その結果、多くの場合に、測定は測定毎に不安定である。密な光学的接触に対する他の理由は、ATRでは侵入深さが小さいので、検体をエバネッセント波が最強である結晶に可能な限り近づけることが目的であることである。本発明では、侵入深さを非常に大きくすることができる。従って、検体がATR結晶と物理的接触状態にない時でさえも非常に良好なスペクトルを得ることができる。それによってエバネッセント場の領域内での不安定性の問題が回避される。この優れた応用は、材料の非接触検査の分野におけるものであり、特に、材料が、例えば、生産ライン上で移動する時のものである。非接触検査分野における特定の用途は、生産ライン上の製薬タブレットの検査であると考えられる。
参考文献
J.Fahrenfort、Spectrochim.、Acta17、698、1961年
Harrick、N.J.著「内部反射分光測定」、ニューヨーク:「Wiley Interscience」、1967年
Fringeli UP、Goette J、Reiter G、Siam M、及びBaurecht D著「FTIR−ATR分光測定による配向膜アセンブリの構造研究」、第11回フーリエ変換分光測定に関する国際会議会報、1998年
Messerschmidt RG、「多重内部反射分光測定システム」、米国特許第4、730、882号
本明細書において本発明の好ましい実施形態を示して説明したが、当業者には、そのような実施形態を単に例示的にのみ提供したことは明らかであろう。従って、当業者は、本発明から逸脱することなく数々の修正、変更、及び置換をここで想起するであろう。本発明を実施するのに、本明細書に説明した本発明の実施形態に対する様々な代替形態を採用することができることを理解すべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定め、これらの特許請求の範囲の方法及び構造、並びにその均等物が本発明に含まれることが意図されている。
108 光源
116 干渉計
130 ミラー
150 レンズ

Claims (65)

  1. 試料のスペクトル特性を検出するための装置であって、
    電磁放射線によって試料を励起するようになった電磁放射線源と、
    前記電磁放射線源及び前記試料と連通状態にあり、前記電磁放射線を反射するようになった高屈折率を有する結晶と、
    前記電磁放射線を前記試料に前記結晶と該試料の間の臨界角か又はそれに近い入射角で導入するようになった反射器と、
    前記試料からの電磁放射線を検出するための検出器と、
    を含むことを特徴とする装置。
  2. 前記電磁放射線源、結晶、反射器、及び検出器を収容するようになったハウジングを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記検出器は、単要素検出器であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 前記検出器は、単要素水銀カドミウムテルライド検出器であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  5. 前記検出器は、線形アレイ検出器であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  6. 前記検出器は、2次元アレイ検出器であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  7. 前記電磁放射線源は、前記臨界角よりも小さい入射角で電磁放射線を前記試料に送出するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  8. 前記電磁放射線源は、更に、前記試料に送出される電磁放射線を前記臨界角に近づき、かつそれを超えるように調節するようになっていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 前記電磁放射線源は、前記臨界角を超える入射角で電磁放射線を前記試料に送出するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  10. 前記電磁放射線源は、更に、前記試料に送出される電磁放射線を前記臨界角に近づき、かつそれを超えるように調節するようになっていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
  11. 前記検出器と連通状態にあるデータプロセッサを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  12. 前記データプロセッサは、更に、前記検出器が前記試料から受け取る1つ又はそれよりも多くの電磁放射線検出値から該試料の臨界角マップを生成するようになっていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
  13. 前記電磁放射線源は、量子カスケードレーザであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  14. 前記電磁放射線は、平行化されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  15. 容積において1立方フィートよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  16. 容積において125立方インチよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  17. 手持ち式であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  18. 容積において8立方インチよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  19. 前記臨界角マップを表示するように適応かつ構成された表示画面を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
  20. 前記データプロセッサは、前記検出された電磁放射線から反射光強度対波長対前記入射角のマッピングの完全なマップを生成するようになっていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
  21. 前記結晶を軸線の回りにピボット回転させるようになった駆動機構を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  22. 前記検出器を冷却するようになった冷却器を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  23. フィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  24. 1mm2よりも狭い検出器区域上に前記電磁放射線を結像させるように構成されたレンズを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  25. 試料のスペクトル特性を検出する方法であって、
    試料を結晶の近くに配置する段階と、
    電磁放射線源から前記結晶を通じて電磁放射線を放出する段階と、
    前記電磁放射線を前記結晶を通じて前記試料に該試料の臨界角か又はそれに近い入射角で導入する段階と、
    前記試料からの電磁放射線を検出する段階と、
    を含むことを特徴とする方法。
  26. 前記臨界角よりも小さい入射角で前記電磁放射線を導入する段階と、
    前記電磁放射線の前記入射角を区分的に増大し、それによって該入射角が前記臨界角に近づき、かつそれを超えるようにする段階と、
    を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 前記臨界角を超える入射角で前記電磁放射線を導入する段階と、
    前記電磁放射線の前記入射角を区分的に低減し、それによって該入射角が前記臨界角に近づき、かつそれを超えるようにする段階と、
    を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. 反射光強度対波長対前記入射角のマッピングの完全なマップを生成する段階を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
  29. 生成されたマップを表示する段階を更に含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 前記検出された電磁放射線を臨界角測定値のデータベースに対して比較する段階を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
  31. 検出された電磁放射線パラメータと、前記データベースからの1つ又はそれよりも多くの臨界角測定値とを表示する段階を更に含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
  32. 前記電磁放射線をフィルタリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  33. 前記結晶を軸線の回りにピボット回転させる段階を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  34. 前記検出器を冷却する段階を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  35. 1mm2よりも狭い検出器区域上に前記電磁放射線を結像させる段階を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  36. 試料のスペクトル特性を検出するためのシステムであって、
    電磁放射線源と、
    前記電磁放射線源及び前記試料と連通状態にあり、前記電磁放射線を内部に反射するようになった高屈折率を有する結晶と、
    前記試料からの電磁放射線を検出するための検出器と、
    を含むことを特徴とするシステム。
  37. 前記電磁放射線源、結晶、反射器、及び検出器を収容するようになったハウジングを更に含むことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  38. 前記検出器は、単要素検出器であることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  39. 前記検出器は、単要素水銀カドミウムテルライド検出器であることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  40. 前記検出器は、線形アレイ検出器であることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  41. 前記検出器は、2次元アレイ検出器であることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  42. 前記電磁放射線源は、前記臨界角よりも小さい入射角で電磁放射線を前記試料に送出するようになっていることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  43. 前記電磁放射線源は、更に、前記試料に送出される電磁放射線を前記臨界角に近づき、かつそれを超えるように調節するようになっていることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
  44. 前記電磁放射線源は、前記臨界角を超える入射角で電磁放射線を前記試料に送出するようになっていることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  45. 前記電磁放射線源は、更に、前記試料に送出される電磁放射線を前記臨界角に近づき、かつそれを超えるように調節するようになっていることを特徴とする請求項44に記載のシステム。
  46. 前記検出器と連通状態にあるデータプロセッサを更に含むことを特徴とする請求項46に記載のシステム。
  47. 前記データプロセッサは、更に、前記検出器が前記試料から受け取る1つ又はそれよりも多くの電磁放射線検出値から該試料の臨界角マップを生成するようになっていることを特徴とする請求項46に記載のシステム。
  48. 前記電磁放射線源は、量子カスケードレーザであることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  49. 前記電磁放射線は、平行化されることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  50. 容積において1立方フィートよりも小さいことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  51. 容積において125立方インチよりも小さいことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  52. 手持ち式であることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  53. 容積において8立方インチよりも小さいことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  54. 前記臨界角マップを表示するように適応かつ構成された表示画面を更に含むことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  55. 前記データプロセッサは、前記検出された電磁放射線から反射光強度対波長対前記入射角のマッピングの完全なマップを生成するようになっていることを特徴とする請求項46に記載のシステム。
  56. 前記結晶を軸線の回りにピボット回転させるようになった駆動機構を更に含むことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  57. 前記検出器を冷却するようになった冷却器を更に含むことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  58. フィルタを更に含むことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  59. 1mm2よりも狭い検出器区域上に前記電磁放射線を結像させるように構成されたレンズを更に含むことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  60. 試料のスペクトル特性を検出するためのキットであって、
    電磁放射線源と、
    前記電磁放射線源及び前記試料と連通状態にあり、前記電磁放射線を反射するようになった高屈折率を有して結晶と、
    を含むことを特徴とするキット。
  61. 検出器を更に含むことを特徴とする請求項60に記載のキット。
  62. 前記検出器は、線形アレイ検出器であることを特徴とする請求項61に記載のキット。
  63. 前記検出器は、2次元アレイ検出器であることを特徴とする請求項62に記載のキット。
  64. 1つ又はそれよりも多くのフィルタを更に含むことを特徴とする請求項60に記載のキット。
  65. 1つ又はそれよりも多くのレンズを更に含むことを特徴とする請求項60に記載のキット。
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