JP2011506512A - イチョウ葉から製造された抽出物の使用 - Google Patents

イチョウ葉から製造された抽出物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は製品の調製のためイチョウ葉から製造される抽出物の用途、または初期段階またはその前段階の痴呆症候群の治療および予防のために180〜300mgを1日1回投与される剤としてのイチョウ葉抽出物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、痴呆性症候群、その初期段階またはその前段階の治療および予防のための剤であって、180〜300mgのイチョウ抽出物が1日1回投与されるという前記剤の製造のためのイチョウ葉から製造される抽出物の使用に関する。または他の言葉を用いれば、本発明は痴呆性症候群、その初期段階またはその前段階の治療および予防のための剤であって、180〜300mgのイチョウ抽出物が1日1回投与されるという前記剤としてのイチョウ葉から製造される抽出物に関する。
長年、イチョウ葉の抽出物は医薬品として利用されてきた。それらは現在、脳や末梢の血管循環障害の治療だけでなく、種々の痴呆や痴呆の徴候の治療に使用されている。その効果と関連する成分は、フラボン類(クェルセチン、ケムフェロールおよびイソラムネチン)のグリコシドだけでなくテルペンラクトン(ギンコライドA、B、Cおよびビロバライド)である。
薬学的に利用されるイチョウ抽出物のほとんどは、グリコシドフラボンが22.0〜27.0重量%、テルペンラクトンが5.0〜7.0重量%およびギンゴール酸が最大で5ppmという含量で、薬物対抽出物の比は35〜67対1であるものが標準化されている。Tebonin(登録商標)に含まれる特別な抽出物EGb761(登録商標)は上記仕様に従っている。
活性イチョウ剤として28参入者および合計で54の種々の製品がRote Liste(2007年オンライン版)に掲載されている。上記中34の製品は葉からの抽出物を含む単製品であり、残りの20の製品は同種療法薬であり、チンキ剤や溶剤を含み同種療法ガイドラインに基づいて製造される。フィルムコーティング錠はイチョウ葉から製造される抽出物の剤形として汎用されており、さらには1種類の糖衣錠および9種類の液剤(点滴剤)がある。フィルムコーティング錠は40、50、60、80または120mgのイチョウ葉抽出物を含んでいる。
コミッションEは、以前はドイツ連邦保健局(BGA)、最近ではドイツ医薬品・医療機器庁(BfArM)の独立した科学委員会である。1980〜1994年を通じてのコミッションEの任務は、薬草薬の所望のもしくは不必要な効果に関して、科学的材料および経験的な医薬品材料であると判明し且つ評価されているものを、集めることである。作成された研究論文はいまだに有効であり、薬草薬剤の新規承認および次期承認の基礎となっている。
イチョウ葉から製造される乾燥抽出物に対応するコミッションEの研究論文は、1994年7月19日にBundesanzeiger Nr.133に公表され、痴呆性症候群の治療には乾燥抽出物120〜240mgを1日の全投与量として、これを2〜3回に分けて投与することを勧めている。ギンジウム(Gingium)120インテンスすなわち1日1〜2回投与されるべきである120mgのイチョウ葉抽出物を含むフィルムコーティング錠を除くすべての製品は上記勧告に従う。
痴呆性症候群を除く他のすべての適応についてはより少量の投与が勧められている。
医薬品による疾患治療における問題は、薬物摂取に関してコンプライアンスが低いことである。毎日の投与の回数とともに摂取の確実性は減少することが知られている。したがって薬剤開発における一つの目的は、毎日の投与回数を少なくすることであり、各日同じ時間に毎日1回投与することで最適なコンプライアンスとなる。逆に、1日に数回の摂取は1回の摂取量が忘れ去られる危険があり、それは薬剤の効果を低下させる結果をもたらす。このことは、特に記憶と集中に障害があり、日常生活を営む能力が低下しておりそして結果として著しく生活の質が低下している特徴を有する痴呆性症候群の治療において重要である。
毎日1回摂取の薬剤を開発する目的は、血液系に吸収された後の存在時間が短いかまたは半減期が短いという多くの薬剤が有する薬物動態学的性質によって妨害される。上記理由から薬物の有効濃度を維持するために1日に数回服用することが必要になる。これはイチョウ葉から製造される抽出物にも同様に当てはまり、該当試験(図1)に示す通り、効果決定先行物質であるビロバライド、ギンゴリドA(GA)およびギンゴリドB(GB)の非常に低い濃度が12時間後に見られ、新たな摂取が必要となる。
図1は時間に対するビロバライド、ギンゴリドA(GA)およびギンゴリドB(GB)の人血漿中濃度を示しており、ここでは120mgのイチョウ抽出物を含む1個の錠剤が最初と12時間後に投与されている。表記された値は12人の試験した人の平均値である。投与量は上記研究論文で勧めている1日最高量と同じである。
したがって本発明の目的はイチョウから製造された抽出物を用いた痴呆性症候群の治療を改善することである。
短い半減期によることは予想されなかったが、現在では、抗痴呆に対する効果の評価中に測定されおよび治療効果の臨床適合性の尺度として特に重要である重要なパラメーター(「生活の質の改善」と「第三者の顕著な全体的改善」のような)が、120mg錠1つを1日2回投与したときよりも240mg錠1つを1日1回投与したほうがより改善されていたことが発見された。実施例で示したように、効果は、EGb761(登録商標)の240mgフィルムコーティング錠1つを1日1回投与することで得られ、その効果は120mg錠として1日2回に分けて投与するという投与形式では得られることはなかった。したがって、EGb761(登録商標)の240mgフィルムコーティング錠を1日1回経口投与することは他の投与形式と比較し、優れた、独立した、治療的な利点を有することが証明された。
本発明の主題はしたがって、痴呆性症候群、その初期段階およびその前段階の治療および予防のための剤の製造へのイチョウ葉から製造された抽出物の使用であり、1日に1回180〜300mg、好ましくは220〜260mgまたはもっとも好ましくは240mgのイチョウ抽出物が投与される。上記剤は、薬物であるかまたは機能性/医療食品、栄養食品もしくは新食品のような食用製品であってよい。
言い換えれば、本発明は、痴呆性症候群、その初期段階およびその前段階の治療および予防のための剤の製造へのイチョウ葉から製造された抽出物に関するものであり、1日に1回180〜300mg、好ましくは220〜260mgまたはもっとも好ましくは240mgのイチョウ抽出物が投与される。上記剤は、薬物であるかまたは機能性/医療食品、栄養食品もしくは新食品のような食用製品であってよい。
さらに本発明の主題は、痴呆性症候群、その初期段階およびその前段階の治療および予防のための食用製品、例えば食用サプリメント、機能性/医療食品、栄養食品もしくは新食品としてのイチョウ葉から製造された抽出物の使用であり、1日に180〜300mg、好ましくは220〜260mgまたはもっとも好ましくは240mgのイチョウ抽出物が投与される。
時間に対するビロバライド、ギンゴリドAおよびギンゴリドBの人血漿中濃度。
痴呆性症候群(痴呆とも呼ばれる)は、日常生活活動および/または社会的関係が激しく障害されているような程度までの、後天性の記憶障害または1つもしくは複数の認識機能障害として定義される。記憶障害以外の症状として、痴呆性症候群は、集中の乱れ、抑うつ症状、めまい、耳鳴りおよび頭痛のような症状を引き起こす。特にアルツハイマー疾患における初期の神経変性および血管的要因(脳血流障害)は痴呆性症候群によって引き起こされていると考えられている。最も一般的な型は、アルツハイマー型痴呆(アルツハイマー型の初期神経変性痴呆とも呼ばれる)、血管性痴呆(例えば多梗塞性痴呆)およびこれらの混合型である。神経試験の手を借りれば、痴呆の初期段階またはその前段階を識別することは可能であり、それは国際的に承認される痴呆の診断基準としていまだ満足するものではないが、すでに認識能力障害の識別が可能であることを示している。認識能力障害とは、軽度の認識障害(MCL)または認識障害として特徴づけられ、これらはまだ痴呆ではなく、非痴呆(CIND)である。加齢に関連した症候群は、下記の2つまたは複数の症候群の様々な組み合わせを含む、痴呆の前段階を表すことができる:記憶の自覚的認知障害、他の認識遂行能力成分の自覚的障害(例えば、注意、集中、言語による表現能力、問題解決能力の速度、空間想像能力、計画、概念的思考および複合活動の実行など)、客観的記憶障害、他の認識遂行能力の客観的障害(例えば、注意、集中、言語による表現能力、問題解決能力と速度、空間想像能力、計画、概念的思考および複合活動の実行など)、抑うつ、不安、抑うつ、無感動、動機の欠如、無関心、短気、興奮、睡眠障害および昼夜リズム障害。
イチョウ抽出物は、まだ根拠が確かでないがすでにヨーロッパ薬局方6.1に刊行された、DAB 2003の明細によるものが好ましい。DAB 2003によるイチョウ抽出物は60%(m/m)アセトンを用いて多段抽出法により製造され、そのときの薬物対抽出物の比(DEV)は35〜67対1である。上記イチョウ抽出物は少なくとも22.0%または最大で27.0%のフラボノイド、少なくとも5.0%または最大で7.0%のテルペンラクトン(そのうち2.8〜3.4%はギンゴリドA,BおよびCであり2.6〜3.2%はビロバライドである)および最大で5ppmのギンゴール酸を含有するという特徴を有する。ヨーロッパ薬局方6.1記載のイチョウ抽出物は有機溶媒または有機溶媒と水の混合物を用いて製造され、そのときの薬物対抽出物の比(DEV)は明記されておらず、少なくとも22.0%または最大で27.0%のフラボノイド、2.6〜3.2%のビロバライド、2.8〜3.4%のギンゴリドA,BおよびCならびに最大で5ppmのギンゴール酸を含有する。特に好ましいのは、商品名EGb761(登録商標)というイチョウ抽出物であり、DAB 2003すなわち60%(m/m)アセトンを用いて多段抽出法によって製造され、そのときの薬物対抽出物の比(DEV)は35〜67対1である。これらのイチョウ抽出物は少なくとも22.0%または最大で27.0%のフラボノイド、5.0%または最大で7.0%のテルペンラクトン(そのうち2.8〜3.4%はギンゴリドA,BおよびCであり2.6〜3.2%はビロバライドである)および最大で5ppmのギンゴール酸を含有するという特徴を有する。このように上述した特性から判断すると、EGb761(登録商標)はヨーロッパ薬局方6.1とも整合する。DAB 2003およびヨーロッパ薬局方6.1に特に明記されてはいないが、前述したすべてのパーセンテージ表記は重量パーセントである。同様に特に好ましいのは、WO2006/117169によるイチョウ抽出物であり、これはさらにビフラボンおよび/または4’−O−メチルピリドキシン(<20ppm、好ましくは<10ppm、特に好ましくは<2ppm)の含量が少ない。本発明は、しかしながらこれらの抽出物に制限されるものではない。
特に好ましいイチョウ抽出物EGb761(登録商標)は、例えばEP431535B1に一般的に記載された手順によって、またはWO2006/117170に記載されたさらに最適な手順によって製造することができる。そのために、
(a) 乾燥させ、刻まれたイチョウ葉がアセトン水溶液(アセトンとして約60重量%)を用いて40〜60℃の温度で抽出される。
(b) 上記アセトンは最大5重量%の含量まで除去される。
(c) 残った濃縮水溶液は固形物が最大で10重量%になるよう水で希釈される。この水溶液は12℃まで冷却され、そして生成した沈殿物が除去される。
(d) 硫酸アンモニウム(約30重量%)が残存水溶液に加えられ、得られる水溶液はメチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンとアセトンの混合物(6/4)を用いて抽出される。
(e) 得られた有機相は濃縮され、そして得られた濃縮物は溶液にするため水とエタノールで希釈される。この溶液は約50重量%の水、約50重量%のエタノールおよび約10重量%の固形物を含む。
(f) ヒドロキシ酢酸鉛水溶液がかくして得られた水溶液に加えられ、そして得られた沈殿物は除去される。
(g) 残ったエタノール水溶液はヘプタンを用いて抽出されさらにアルキルフェノール化合物を除去する。
(h) 残った水−エタノール溶液は減圧下で濃縮され、約20重量%の硫酸アンモニウムが加えられる。
(i) 得られた溶液はメチルエチルケトンとアセトンの混合物(6/4)を用いて抽出される。
(k) 得られた有機相は最大20重量%の硫酸アンモニウムを用いて乾燥され、濃縮され、そしてエタノール含有量が少なくとも80重量%になるまでエタノールが加えられる。溶液温度は2〜10時間12℃より低く保たれ、そして濾過される。
(l) 得られた濾過液は減圧下で濃縮され、乾燥されて水を5%より少なく含む乾燥抽出物を得る。
ビフラボンおよび/または4’−O−メチルピリドキシンが減量されたWO2006/117169による特に好ましいイチョウ抽出物を製造するには、例えば上記工程(k)の溶液が必要ならば水とエタノールで希釈され、吸着性樹脂および/またはイオン交換樹脂で濾過され、そこに目的物質を保持し、減圧下で乾燥して水を5%より少なく含む乾燥した抽出物を得る。ビフラボンおよび/または4’−O−メチルピリドキシンの除去は、有効成分含有量に重大な減量を起こさない。
本発明で使用し得るイチョウ抽出物は、粉末剤、顆粒剤、発泡性調剤、錠剤、糖剤、カプセル剤または液剤の形態で好ましくは経口投与できる。錠剤の製造では、抽出物に適切な薬学的に受容できる賦形剤、すなわちラクトース、セルロース、二酸化ケイ素、クロスカルメロース(croscarmellose)およびステアリン酸マグネシウムが混合され、錠剤に圧縮され、さらに必要ならば、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、着色剤(例えば二酸化チタン)およびタルクで作られた適切なフィルムでコーティングされる。本発明によって使用できるイチョウ抽出物はカプセルに詰めることも可能であり、必要ならば充填剤、流動調節剤などのような賦形剤を用いる。
錠剤の場合には、フィルムコーティング錠が好ましい。抽出物が迅速に放出され、ヨーロッパ薬局方6.0で「従来型放出投与形式」と命名された調剤がさらに好ましい。
本発明の特に好ましい実施態様は;
剤の製造のためのイチョウ葉から製造される抽出物の使用または痴呆性症候群、その初期段階またはその前段階の治療および予防のための剤としてのイチョウ葉抽出物の使用であり、180〜300mgのイチョウ抽出物が好ましくは1日1回経口投与される。その抽出物は22.0〜27.0重量%のフラボノイド、2.6〜3.2重量%のビロバライドおよび2.8〜3.4重量%のギンゴリドA,BおよびC(合計で)を含んでいる。好ましくは、前記抽出物は最大で5ppmのギンゴール酸を含む。さらに前記抽出物は、4’−O−メチルピリドキシンを20ppmより少なく含むものが好ましく、10ppmより少なく含むものが特に好ましく、2ppmより少なく含むものが最も好ましい。
上記組成の前記抽出物は1日1回、1回服用量を好ましくは180〜300mg、より好ましくは220〜260mgおよび最も好ましくは240mgとして経口投与される。
本発明のとりわけ好ましい実施態様は、痴呆性症候群、その初期段階またはその前段階の治療および予防のための剤の製造のためのイチョウ葉から製造される抽出物の使用または上記剤としてのイチョウ抽出物であって、EGb761(登録商標)として知られているイチョウ抽出物240mgを1日1回経口投与する。上記の痴呆性症候群の程度は、軽度もしくは普通程度または軽度から普通程度であることが好ましい。
下記EGb761(登録商標)と呼ばれる抽出物はドイツ薬局方(DAB)によって確立されたガイドラインに従ってDr.Wilmar Schwabe GmbH&Co.KGのイチョウ葉から製造された特別な抽出物である。その抽出物は、22.0〜27.0重量%のフラボノイド、5.0〜7.0重量%のテルペンラクトン(そのうち2.8〜3.4重量%はギンゴリドA,BおよびCであり2.6〜3.2重量%はビロバライドである)および最大で5ppmのギンゴール酸を含有する。前記含有量はDABによって決定され、前記フラボノイドは酸加水分解後、クェルセチン、ケムフェロールおよびイソラムネチンと確認され、フラボノイドのグリコシドとして計算された。
比較例1−生活の質の改善
患者の生活の質は、痴呆性症候群(軽度から普通程度)患者に対しEGb761(登録商標)を用いて無作為抽出プラシーボ対照二重盲試験によって調査された[2005年Schneiderほか]。本試験では、EGb761(登録商標)を60mgまたは120mgのフィルムコーティング錠としたものを、1日投与量がそれぞれ120mgまたは240mgになるよう2錠ずつを各々に投与した。本投与計画の下では、痴呆患者の生活の質が特別に向上したかを評価する尺度である進歩−悪化基準(PDS)[De Jong et al. 1989]に従うと、EGb761(登録商標)投与者に、プラシーボと比較して生活の質に有意な効果を示した者はいなかった(p=0.7)。
本発明の実施例−生活の質の改善
EGb761(登録商標)を240mg含む迅速放出性フィルムコーティング錠(1日1回)で痴呆性症候群(軽度から普通程度)の患者を治療することにより、EGb761(登録商標)が投与された患者の生活の質の改善が、最初の無作為抽出プラシーボ対照二重盲試験において初めて確認された。EGb761(登録商標)の240mgフィルムコーティング錠を1日1回1錠投与したとき、プラシーボ群が1.36(s=6.62)点と著しく小さい改善であったのに対し痴呆患者DEMQOL−Proxy[2005年Smithほか]は3.38(s=8.45点)ととりわけ進歩していたことが示すように、承認されている「生活の質の基準」の総合評価が平均して増加していることの証明となった24週間の無作為抽出治療の間に、生活の質の向上が観察された。2つの治療群の差はp=0.004と統計学的に有意であった。24週間の治療経過を観察すると、EGb761(登録商標)(240mg錠1回投与)を用いたときは平均的治療効果が継続して向上するのに対し、一方、プラシーボ群においては僅かで一時的な改善のみが臨床試験において非常に注目することによってしばしば観察されるが、その改善さえも観察期間中の疾患の自然進行により失われてしまう。[2005年Walachほか]。患者レベルで結果を見ると、生活の質の向上が認められたのは、EGb761(登録商標)(240mg錠1回投与)で24週間治療した患者では113人(55.9%)であったが、プラシーボを与えた患者では90人(44.6%)であった(p<0.05)。
初めて、無作為抽出の臨床試験において1日1回EGb761(登録商標)の240mgフィルムコーティング錠を痴呆性症候群(軽度から普通程度の痴呆)の患者に投与することによって有意な改善が見られた。さらに、EGb761(登録商標)を60mg1日2回または120mg1日2回と比較して著しい改善があった(比較例1)。
比較例2−第三者に明らかな全体的改善
患者の全体的体調変化は、痴呆性症候群(軽度から普通程度の痴呆)の患者にEGb761(登録商標)を用いて行った無作為抽出のプラシーボ対照二重盲試験における「アルツハイマー疾患協同研究」によって開発された承認済み「臨床的総合的効果の変化基準」(ADCS−CGIC)に基づいて、独立した公平な第三者によっても評価された[2005年Schneiderなど]。本研究では、EGb761(登録商標)を60mg1日2回および120mg1日2回投与した場合に、治療における満足のいく統計的に有意な利点はないことが明らかとなった(p=0.2)。
本発明の実施例2−第三者に明らかな全体的改善
初めて、240mg速放出性フィルムコーティング錠(1日1回)を用いて治療している痴呆性症候群(軽度から普通程度の痴呆)の患者において全体的な体調改善があったことが注目された。そのことは患者の治療にも関係せず医学的試験の所見も知らず、しかしながらその患者やその家族とは話した独立した評価者にとって疑いなく明らかであることが宣告された。この独立した第三者による評価もまた、「アルツハイマー疾患協同研究」によって開発された承認済み「臨床的総合的効果の変化基準」(ADCS−CGIC)[Schneider et al. 1997]を基にして行われた。前記基準は7つの項目からなり、「顕著な改善」(基準1の値)に続き「変化なし」(基準4の値)から「顕著な悪化」(基準7の値)まである。全体的な体調の改善があったのは、EGb761(登録商標)(240mg錠1回投与)で治療された患者は109人(54.0%)だが、プラシーボを与えた患者は52人(25.7%)だけであった(p>0.0001)。痴呆の患者の状態は時間の経過によって必然的に悪化することを考慮すると、そのような悪化が起こらないということはすでにその治療が成功していると評価できるだろう。前記治療では、EGb761(登録商標)(240mg錠1回投与)で治療した患者のうち186人(92.1%)に悪化は見られず、そして24週間の治療期間で悪化しなかったプラシーボ群の患者は135人(66.8%)であった(p<0.0001)。
EGb761(登録商標)の240mgフィルムコーティング錠を用いて1日1回投与によって治療した結果として、患者の治療に関係せず、また無作為抽出によって行われた臨床試験において医学的試験の所見を知らない独立した第三者による全体としての変化の著しく改善された評価が初めて可能となった。加えて、EGb761(登録商標)を60mg1日2回または120mg1日2回投与したときに比較して全体として明確な改善があった(比較例2)。
本発明の実施例3−240mg錠1日1回経口投与(ヨーロッパ薬局方6.0による「従来型放出投与形式」)
Figure 2011506512
イチョウの葉から製造された抽出物が、ラクトース(充填剤)、微結晶セルロース(充填剤/結合剤)、コーンスターチ(結合剤)、クロスカルメロース(崩壊剤)および高分散シリカ(流動促進剤)と適切な混合機を用いて一工程で混合される。ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤)が添加されしばらく繰り返し混合する。本混合物は、回転式錠剤圧縮機によって圧縮され、平均重量800mg、長さ17mm、幅8mmの楕円凸状剤形を形成する。
ハイプロメロース(コーティング剤)とマクロゴール(柔軟剤)は撹拌しながら純水に溶解され、タルカム(抗粘着剤)とチタニア(着色剤)が撹拌しながら加えられおよび分散される。ポリマーを膨張および完全に溶解させるため、本混合物を12時間放置した後ドラム型塗装機で錠剤上に噴霧した。最終製造物はイチョウ葉抽出物を、それぞれ、240mg含む白色フィルムコーティング経口投与用錠剤である。
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Claims (21)

  1. イチョウの葉から製造された抽出物の、痴呆症候群、その初期段階またはその前段階の治療、および予防のための剤を製造するためへの使用、または上記剤としてのイチョウの葉から製造された抽出物であって、180〜300mgのイチョウ抽出物が1日1回投与される、上記使用または抽出物。
  2. 痴呆症候群が軽度痴呆、中度痴呆、アルツハイマー痴呆、血管痴呆、およびそれらの混在型から選ばれる請求項1に記載の使用または抽出物。
  3. 痴呆の初期段階または前段階が、まだ痴呆ではない軽度の認識障害、認識障害、記憶の自覚的認知障害、他の認識遂行能力成分の自覚的障害、客観的に悪化した記憶能、他の認識遂行能力成分の客観的障害、抑うつ性障害、不安、恐怖感、無感動、動機の欠如、無関心、短気、興奮、睡眠障害および昼夜リズム障害である請求項1または2に記載の使用または抽出物。
  4. 他の自覚的および/または客観的に悪化した認識遂行成分が、注意、集中、言語表現能力、問題解決能力と速さ、空間的想像能力、計画、複雑活動の概念的思考と実施から選ばれる請求項3に記載の使用または抽出物。
  5. 抽出物がフラボン類およびテルペンラクトン類のグリコシドを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の使用または抽出物。
  6. 抽出物が少なくとも22.0重量%および最大27重量%のフラボン類と、少なくとも5.0重量%および最大7.0重量%のテルペンラクトン類を含有する請求項5に記載の使用または抽出物。
  7. 抽出物が22.0〜27.0重量%のフラボノイド類、2.6〜3.2重量%のビロバライドおよび2.8〜3.4重量%のギンゴリドA,BおよびC(合計として)を含有する請求項5または6のいずれかに記載の使用または抽出物。
  8. 抽出物が最大で5ppmのギンゴール酸を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の使用または抽出物。
  9. 抽出物が20ppmよりも少ない4’−O−メチルピリドキシンを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の使用または抽出物。
  10. 抽出物が10ppmよりも少ない4’−O−メチルピリドキシンを含有する請求項9に記載の使用または抽出物。
  11. 抽出物が2ppmよりも少ない4’−O−メチルピリドキシンを含有する請求項9に記載の使用または抽出物。
  12. 抽出物が粉末剤、顆粒剤、発泡性調剤、錠剤、糖剤、カプセル剤または液剤の形態で投与される請求項1〜11のいずれかに記載の使用または抽出物。
  13. 投与が経口である請求項12に記載の使用または抽出物。
  14. 錠剤がフィルムコーティング錠剤である請求項12または13に記載の使用または抽出物。
  15. 錠剤が速放出性錠剤である請求項12〜14のいずれかに記載の使用または抽出物。
  16. 220〜260mgのイチョウ抽出物が1日1回投与される請求項1〜15のいずれかに記載の使用または抽出物。
  17. 240mgイチョウ抽出物が1日1回投与される請求項1〜16のいずれかに記載の使用または抽出物。
  18. 抽出物EGb761(登録商標)が軽度、中度または軽から中度の痴呆を処置するために、1日1回経口的に剤の形態で投与される請求項1〜17のいずれかに記載の使用または抽出物。
  19. 剤が薬剤である請求項1〜18のいずれかに記載の使用または抽出物。
  20. 剤が食用製品である請求項1〜18のいずれかに記載の使用または抽出物。
  21. 食用製品が食事サプリメント、機能性/医療食品、栄養食品または新食品である請求項20に記載の使用または抽出物。
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