JP2011505235A - ナノエマルション - Google Patents
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Abstract
Description
「ナノエマルション」なる語は、その油滴が、直径100nm以下、好ましくは、80nm以下、更に好ましくは、75nm以下、最も好ましくは、60nm以下の超小型である、水中油型エマルションを意味する。滴粒径は、動的光散乱(光子相関分光法としても既知)によって測定される、Z平均もしくは強度加重平均粒径である。
油相は、炭素数12以上の脂肪鎖長を有するトリグリセリドを少なくとも50体積%含む。前記トリグリセリドは、動物、植物、藻類、または合成由来の、液体または固体の脂肪であってよく、好ましくは、下記の一般式:
を有する食品等級のものである。
親水性非イオン性界面活性剤は、7より大なる親水性−親油性バランス(HLB)を有し、好ましくは、食品等級または医薬品等級の親水性界面活性剤、例えば、ポリソルベート類(ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル類)、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、糖エステル類、ポリエトキシル化脂肪酸類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類(Pluronics)、ポリエチレングリコールアルキルフェノール界面活性剤、モノグリセリドのクエン酸エステル類、ポリグリセロールエステル類、ポリエトキシル化脂肪酸ジエステル類、PEG-脂肪酸モノ及びジエステル類、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル類、並びにアルコールオイルトランスエステル類、あるいはこれらの混合物である。
ポリソルベート類、例えば、ポリオキシエチレン ソルビタンモノラウレート(Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(Tween 40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(Tween 65)、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)を含むポリエトキシエチレンソルビタンモノエステル類;
糖界面活性剤、例えば、スクロースモノラウレート、スクロースモノラウレート、スクロースジステアレート 3 Crodesta F- 10、スクロースジステアレート、モノステアレート Crodesta F-110、スクロースジパルミテート、スクロースモノステアレート Crodesta F-160、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、及びサッカロースモノラウレート;
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーであって、Synperonic PEシリーズ(ICI)、Pluronic .RTM.シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、Pluracare、及びPlurodacを含む様々な商品名の下に入手可能なもの。
HO(C2H4O)A(C3H6O)B(C2H4O)AH
[式中、A及びBは、それぞれ、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン単位の数を示す]
を有する。
ナノエマルションは、好ましくは、親水性非イオン性界面活性剤と相乗的に作用して界面曲率を変更する界面活性剤である、共界面活性剤を更に含んで良い。これにより、界面張力が低減され、エマルション形成がより容易になる。
好ましくは、共界面活性剤は、食品等級または医薬品等級である。
ソルビタン脂肪酸、例えば、ソルビタンモノラウレート(Span 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span 40)、ソルビタントリステアレート(Span 65)、ソルビタンモノステアレート(Span 60)、ソルビタンモノオレエート(Span-80)、及びソルビタントリオレエート(Span-85);
リン脂質、例えば、卵/大豆レシチン、例えば、エピクロン(epikuron)、トプシチン(topcithin)、レシプライム(leciprime)、レシソイ(lecisoy)、エマルフルイド(emulfluid)、エマルパー(emulpur)、メタリン(metarin)、エマルトップ(emultop)、レシグラン(lecigran)、レシマルチン(lecimulthin)、オボチン(ovothin)リゾ卵/大豆レシチン、ヒドロキシル化レシチン、リゾホスファチジルコリン、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、及び別の界面活性剤とリン脂質との混合物;及び
イオン性界面活性剤、例えば、ステアロイル乳酸ナトリウム及びステアロイル乳酸カルシウム。
水性相は、精製水または超純水、食塩水または緩衝食塩水であってよい。
ナノエマルション中に他の製剤成分を全て混入した後の水のバランスは、50乃至100質量%、好ましくは、40乃至99.99質量%、更に好ましくは、30乃至99.90質量%であってよい。
好ましい実施態様においては、ナノエマルションは、共溶媒を更に含む。共溶媒は、水性相の界面張力を低減し、これによって、より小さなエマルション滴粒径の形成を可能にする。
有効成分は、油であるか、油溶性であるか、油相の一部(partition)であるか、油及び水中の溶解性に乏しいか、あるいは、界面で溶解性であるかまたは分散可能である、あらゆる成分であって、色、芳香、風味、抗菌効果、美化効果、健康増進効果、疾患予防効果もしくは技術、あるいは疾患治癒効果を前記ナノエマルションに付与するものである。
植物化学物質、例えば、ポリフェノール類(例えば、カテキン、エピカテキン、没食子酸エピカテキン、ケルセチン、及びレスベラトロール)、カロテノイド類(例えば、リコペン、ルテイン、ルテインエステル類、β-カロテン、レチニル、レチニルパルミテート、及びゼアキサンチン)、ユビキノン(CoQ10)、フィトステロール類;
ビタミン類、例えば、ビタミンA(例えば、レチノール及びレチノールパルミテート)、ビタミンD(例えば、カルシフェロール)、ビタミンE(例えば、トコフェロール、トコフェロールアセテート、及びトコフェロールパルミテート)、ビタミンK(例えば、K1-フィロキノン、及びK2-メナキノン);
必須多価不飽和脂肪酸類、例えば、リノール酸、アルファ-リノール酸、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸;
風味剤、例えば、天然の香味油類、例えば、柑橘油、リモネン、マンダリンオイル、オレンジオイル、レモンオイル、ライムオイル、ペパーミントオイル、ピーチオイル、バニラ風味オイル、及びバニリン、あるいは合成の香味物質、例えば、ヘキシルアルコール、エチルラウレート、リンゴ風味油、イチゴ風味油、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、パプリカ風味油、シトロネリル淵レート、フェニルエチルアセテート、エチルプロピオネート、エチルデカノエート、エチルブチレート、エチルヘキサノエート、ブランデー風味油、ヘキシルアルデヒド、ブラックベリー風味油、フェランドレン(phelandrene)、ブルーベリー風味油、蜂蜜風味油、ネロール、甘草風味油、メープル風味油、エチルカプリレート、及びスイカ風味油;並びに
芳香油、例えば、ペパーミント、ティーツリーオイル、ユーカリ油、薄荷、シダーウッドオイル、スペアミント、オレンジオイル、レミンオイル、及びクローブ。
ナノエマルションは、添加剤、例えば、安定剤、酸化防止剤、保存料、緩衝剤、電荷誘起剤、増量剤ポリマー及びタンパク質を含んで良い。安定剤は、pH調整剤、クリーム化防止もしくは起泡防止剤、あるいはナノエマルションに安定性を付与する作用剤であってよい。安定剤の例には、ナトリウムオレエート、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、アスコルビン酸、クエン酸、及びエデト酸ナトリウムが含まれる。酸化防止剤には、カロテノイド類、例えば、アルファ-トコフェロールまたはその誘導体であって、ビタミンE群に含まれるもの、β-カロテン、ルテイン、リコペン、アスコルビン酸、トロロクス、β-カロテン、ポリフェノール類、例えば、カテキン、エピカテキン、没食子酸エピカテキン、ケルセチン、レスベラトロール、アスコルビルパルミテート、及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が含まれる。緩衝剤には、リン酸ナトリウム、クエン酸、蟻酸、及びアスコルビン酸が含まれる。電荷誘起剤の例には、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸、ステアリルアミン、オレイルアミン、キトサン、及びセチルトリエチルアンモニウムブロマイドが含まれる。増量剤には、臭素化植物油が含まれる。ポリマー及びタンパク質の例には、ヒドロコロイド類、例えば、グアーガム、ペクチン、キサンタン、及びアルギネートが含まれる。
広義でのナノエマルションの調製方法には、トリグリセリド、親水性界面活性剤、水性相、並びに、存在する場合には共溶媒及び/または共界面活性剤を含む油相に、超音波処理または膜乳化、好ましくは、高剪断均質化を行う工程を含む。親水性界面活性剤と、存在する場合の共溶媒及び/または共界面活性剤との間の相互作用により、エマルションの界面張力が低減され、より優れた均質化及びより小さなナノエマルション粒径がもたらされる。均質化は、既知のあらゆる適当な均質化装置、例えば、マイクロフルイダイザー(例えば、Microfluidics M-110Y Microfluidiser、MFIC Corporation製)、高圧ホモジナイザー(例えば、Gauline製のAvestinまたはNiro Soavi等)、あるいは例えば1000バールの圧力でのプローブソニケーターを使用して行って良い。超音波処理に使用可能な装置の例には、Hielscher超音波ホモジナイザー、Branson超音波ホモジナイザー、Cole-Palmer超音波ホモジナイザー、またはOmni Ruptor 4000超音波ホモジナイザーが含まれる。膜乳化は、例えば、Polytron PT 3100膜ホモジナイザーまたはLiposoFast膜ホモジナイザー(Avestin, Canada)を使用して実行することができる。均質化装置を通過する回数は、当該ナノエマルションの所望の粒径に依存して変化しうるが、通常は5回で十分である。
ナノエマルションは、油に溶解性であるか、油相の一部(partition)であるか、または油及び水のいずれへの溶解性にも乏しい有効成分のための、送達媒体として機能しうる。有効成分は、ナノエマルション中に捕捉され、製剤中に導入されて、その安定性を維持することができる。
トリグリセリドオイルナノエマルションは、以下の実施例中に概説される成分の混合物を、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmにて約2分間使用して混合し、プレエマルションを造成することによって調製した。前記プレエマルションから、一列に並んだ、F20 Yの75μm相互作用チャンバ及びH30 Zの200μm補助チャンバを備えた、Microfluidics M-110Yマイクロフルイダイザー(MFIC Corporation(Newton, MA, USA)製)を使用して、ナノエマルションを調製した。前記プレエマルションを、特記のない限り、1000バールにて5回通すことにより、透明なナノエマルションが調製された。
全ての製剤例は、如何なるトリグリセリド油を使用しても、同等に優れた作用を有することが判明した。
水中ピーナッツオイルナノエマルションを、12グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)を23グラムのピーナッツオイルに加えることにより調製した。その後、このオイル/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:2)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有していた。水で希釈(10乃至99%希釈)されても、このナノエマルションは、100日間の貯蔵期間に亘って、粒径の変化を全く示さなかった。
この製剤は、以下のもので置き換えても同等に有効である。
ポリオキシエチレン界面活性剤:Tween 40及びTween 60。Tweenの含量は、6gから30g超である。
エタノール含量:水性相エタノール含量は、20乃至50%である。
脂肪/油:ラード、バター脂肪、キャノーラ油、菜種油、魚油、サンフラワーオイル、亜麻仁油、紅花油、パーム油、ココナッツオイル、大豆油、オリーブ油、コーン油、または別のあらゆるトリグリセリド油、あるいはこれらの組み合わせ。
亜麻仁油ナノエマルションを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び5グラムのエマルトップIP(リゾレシチン)を22.5グラムの亜麻仁油に加えることによって調製した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有しており、100日の貯蔵期間に亘って粒径または光学的透明度に変化がなかった。
この製剤は、以下のもので置き換えても同等に有効である。
ポリオキシエチレン界面活性剤:Tween 40及びTween 60。Tweenの含量は、6g乃至30gである。
エタノール含量:水性相エタノール含量は、20乃至50%である。
脂肪/油:ラード、バター脂肪、キャノーラ油、菜種油、魚油、サンフラワーオイル、ピーナッツオイル、紅花油、パーム油、ココナッツオイル、大豆油、オリーブ油、コーン油、または別のあらゆるトリグリセリド油、あるいはこれらの組み合わせ。
マグロ油ナノエマルションを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び8グラムのセントロミクスE(リゾレシチン)を22.5グラムのマグロ油に加えることによって調製した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有しており、100日の貯蔵期間に亘って粒径または光学的透明度に変化がなかった。
この製剤は、以下のもので置き換えても同等に有効である。
ポリオキシエチレン界面活性剤:Tween 40及びTween 60。Tweenの含量は、6g乃至30gである。
エタノール含量:水性相エタノール含量は、20乃至50%である。
油:キャノーラ油、菜種油、魚油、サンフラワーオイル、ピーナッツオイル、及び亜麻仁油。
ピーナッツオイルナノエマルションを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び6グラムのソルビタンモノオレエート(スパン80)を22.5グラムのピーナッツオイルに加えることにより調製した。その後、このオイル/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有しており、100日間の貯蔵期間に亘って、粒径及び光学的透明度に変化がなかった。
この製剤は、以下のもので置き換えても同等に有効である。
ポリオキシエチレン界面活性剤:Tween 40及びTween 60。Tweenの含量は、6g乃至30gである。
エタノール含量:水性相エタノール含量は、20乃至50%である。
油:キャノーラ油、菜種油、魚油、サンフラワーオイル、及び亜麻仁油。
キャノーラ油ナノエマルションを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び5グラムのステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)を22.5グラムのキャノーラ油に加えることによって調製した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有しており、100日の貯蔵期間に亘って粒径または光学的透明度に変化がなかった。
この製剤は、以下のもので置き換えても同等に有効である。
ポリオキシエチレン界面活性剤:Tween 40、Tween 60、及びTween 80。Tweenの含量は、6g乃至30gである。
エタノール含量:水性相エタノール含量は、20乃至50%である。
油:菜種油、魚油、サンフラワーオイル、ピーナッツオイル、及び亜麻仁油。
混合トリグリセリド油ナノエマルションを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び8グラムのセントロミクスE(リゾレシチン)を、十分に予備混合しておいたピーナッツオイルとミグリオールとの混合物(50:50)22グラムに加えることによって調製した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有しており、100日の貯蔵期間に亘って粒径または光学的透明度に変化がなかった。
ポリオキシエチレン界面活性剤:Tween 40、Tween 60、及びTween 80。
油:キャノーラ油、菜種油、魚油、サンフラワーオイル、及び亜麻仁油。
エタノール含量:水性相エタノール含量は、20乃至50%である。
置換分:付加的油であるミグリオールは、トリブチリン、トリカピルリン、トリアセチン、リモネン、オレンジオイル、レモンオイル、デカン、テトラデカン、及びヘキサデカンを含む、あらゆる相互混和性油で置き換えることができる。
オレンジオイル風味オイルナノエマルションを、まず、9gのオレンジオイルと11.5gのピーナッツオイルとを十分に混合することによって調製した。オレンジオイル/ピーナッツオイルのこの混合物に、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び5gのエマルトップIP(リゾレシチン)を加えた。その後、この油/乳化剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたオレンジ風味ナノエマルションは、45nmの粒径及び高い光学的透明度を有していた。このオレンジ風味オイルナノエマルションを、発泡水に0.01質量%加えてオレンジ風味の発泡水を造成した。
100日の貯蔵期間に亘って粒径または光学的透明度に変化がなかった。
表1:中鎖トリグリセリドミグリオールを使用して製造される分散物の粒径、透明度、及び物理的安定性のまとめ
A部−ナノ分散物:ミグリオール812及びポリソルベート80を混合した。大豆レシチンをエタノール中に溶解させ、マグネチックスターラーマントルで撹拌しつつ、この混合物に加えた。得られた溶液は、透明な均質の液体であり、ナノ分散物の生成が示された。
B部−水での希釈:この溶液を、50℃の水で希釈して、10%の油含量とし、2マイクロメートルの平均粒径を有する不透明な白色分散物の生成をもたらした。
中鎖トリグリセリドナノエマルションを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(Tween 80)及び8グラムのセントロミクスE(リゾレシチン)を、予め十分に予備撹拌した22gのミグリオール812に加えることによって調製した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの初期粒径及び高い光学的初期透明度を有していた。しかしながら、このナノエマルションは、オストワルド熟成に対して不安定であり、その粒径は、図1に参照される通り、数週間で増大して、このナノエマルションが透明度を喪失するに至った。
中鎖トリグリセリドナノエマルションを、24グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(Tween 80)を、23.5gのミグリオール812に加えることによって調製した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られた分散物は、透明な青みを帯びた色及び60nmの粒径を有しており、中鎖トリグリセリドの高透明度ナノエマルションの生成を示していた。しかしいながら、このナノエマルションは、オストワルド熟成に対して不安定であり、その粒径は、数週間で増大して、このナノエマルションは4週間で透明度を喪失するに至った。
(実施例11:レスベラトロールナノエマルション)
栄養補助食品を、粉末レスベラトロールと透明なトリグリセリドナノエマルションとを混合することによって造成した。簡潔に述べると、300mgの高純度レスベラトロールと、実施例1乃至3のいずれかにしたがって製剤した100mlのナノエマルションとを、室温にて4時間に亘って混合した。得られた溶液は透明であり、不溶性のレスベラトロール粒子は全く見られず、このことは、前記ナノエマルションがレスベラトロールを溶解したことを示していた。
この製剤は、以下のもので置き換えても同等に有効である。
レスベラトロールは、エマルション成分混合物に、固体粉末として、または前記成分のひとつに溶解/分散させて添加され、この添加は、プレエマルション生成の前、またはマイクロフルイダイズの直前に行われる。
栄養補助食品を、粉末フィトステロールを実施例1乃至7の油相成分(トリグリセリド油、界面活性剤、及び/または共界面活性剤)で分散させ、100℃超に加熱することによって造成した。フィトステロール、油、及び界面活性剤のこの溶液は、その後、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、45nmの初期粒径及び高い光学的透明度を有していた。HPLC分析により、この方法で調製されたナノエマルションは、油または図3に示される従来の粒径のエマルションと比較して、格段に高い溶解性能を有することが示された。
栄養補助食品、もしくは天然着色料を、トリグリセリド油中に溶解/分散させたβ-カロテンをナノ乳化することによって造成した。23gのβ-カロテン負荷された油(例えば、オリーブオイル中30%のベータテン(Betatene))を、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び8グラムのセントロミクスE(リゾレシチン)と十分に混合した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、50nmの粒径、高い光学的透明度、天然の深紅色を有しており、30日間の貯蔵期間に亘って粒径に変化がなかった。
栄養補助食品、もしくは天然着色料を、トリグリセリド油中に溶解/分散させたルテインとルテインエステルとの混合物をナノ乳化することによって造成した。23gのルテイン/ルテインエステル負荷された油(例えば、Cognis社製のオリーブオイル中15%のキサンゴールド(Xangold))を、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び8グラムのセントロミクスE(リゾレシチン)と十分に混合した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、50nmの粒径、高い光学的透明度、天然の深橙色を有しており、30日間の貯蔵期間に亘って粒径に変化がなかった。
栄養補助食品、天然着色料、もしくは化粧品成分を、油中レチニルパルミテートと植物油との1:1混合物をナノ乳化することによって造成した。簡潔に述べると、12gのレチニルパルミテート負荷されたサンフラワーオイル(例えば、BASF社製のビタミンAパルミテート1.0 Mio IU/G)及び12gのサンフラワーオイルを、8グラムのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)及び8グラムのセントロミクスE(リゾレシチン)と十分に混合した。その後、この油/界面活性剤混合物を、120gの水:エタノール(3:1)溶液と、Silversonローターステーターミキサーを12,000rpmで2分間使用して混合し、プレエマルションを形成した。その後、プレエマルションを、マイクロフルイダイザー(登録商標)に1000バールにて5回通して均質化した。得られたナノエマルションは、50nmの粒径、高い光学的透明度、天然の黄色を有しており、100日間の貯蔵期間に亘って粒径に変化がなかった。
上記のマグロ油の例も、マグロ油が生物活性剤であることから生物活性剤例として機能しうる。
本発明の分野の当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の変形が可能であることが理解されるであろう。
Claims (27)
- 炭素数12の脂肪鎖長を有するトリグリセリドを少なくとも50体積%含む、上限40体積%の油相;
7より大なる親水性−親油性バランス(HLB)を有する親水性非イオン性界面活性剤;及び
水性相
を含む水中油型のナノエマルションであって、その油滴が、100nm未満の強度平均径を有し、且つ、界面活性剤対油の比率が1:1未満である、水中油型ナノエマルション。 - 滴が、80nm以下、75nm以下、または60nm以下の直径を有する、請求項1に記載のナノエマルション。
- 前記トリグリセリドが、C12-24の鎖長を有する長鎖トリグリセリドである、請求項1に記載のナノエマルション。
- 前記長鎖トリグリセリドが、魚油、タラ肝油、鯨油、ラード、タロウ、シュマルツ、及びバター脂肪;植物由来のもの、例えば、キャノーラ油、蓖麻子油、ココアバター、ココナッツオイル、コーヒーシードオイル、コーン油、綿実油、月見草油、グレープシードオイル、亜麻仁油、ニシン油、マスタードシードオイル、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツオイル、ポピーシードオイル、菜種油、ぬか油、紅花油、ゴマ油、大豆油、サンフラワーオイル、パーム核油、ヘーゼルナッツオイル、ゴマ油、小麦胚芽油、植物油、合成トリグリセリド、分画トリグリセリド、変性トリグリセリド、水添トリグリセリド、部分水添トリグリセリド、またはこれらの混合物である、請求項3に記載のナノエマルション。
- 1つもしくは複数の付加的油を更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 前記付加的油が、短鎖トリグリセリド、鉱物油、または芳香油である、請求項5に記載のナノエマルション。
- トリグリセリド対付加的油の比率が、1:0乃至1:1である、請求項5または6に記載のナノエマルション。
- トリグリセリドと、存在する場合は付加的油とを含む、ナノエマルション中の油の総量が、0.01乃至70質量%、0.01乃至50質量%、または0.01乃至40質量%である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 親水性非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、糖エステル類、ポリエトキシル化脂肪酸類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ポリエチレングリコールアルキルフェノール界面活性剤、モノグリセリドのクエン酸エステル類、ポリグリセロールエステル類、ポリエトキシル化脂肪酸ジエステル類、PEG-脂肪酸モノ及びジエステル類、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル類、並びにアルコールオイルトランスエステル類、あるいはこれらの混合物から選択される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 親水性界面活性剤の量が、0.1乃至15質量%、1乃至10質量%、または3乃至7質量%である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 共溶媒を更に含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 前記共溶媒が、C1-C10アルコールまたは長鎖脂肪アルコールである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 前記C1-C10アルコールが、エタノールである、請求項12に記載のナノエマルション。
- 共溶媒の量が、0乃至70質量%、0乃至50質量%、または15乃至45質量%である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 共界面活性剤を更に含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 共界面活性剤の量が、0.1乃至15質量%である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 共界面活性剤が、親水性非イオン性界面活性剤に対して、0:1乃至2:1、0:1乃至1.3:1、または0.5:1乃至1.3:1の比率で存在する、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 水のバランスが、50乃至100質量%、40乃至99.99質量%、または30乃至99.90質量%である、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 前記成分が、食品等級または医薬品等級である、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のナノエマルション。
- 炭素数12以上の脂肪鎖長を有するトリグリセリドを少なくとも50体積%含む、上限40体積%の油相、7より大なる親水性−親油性バランス(HLB)を有する親水性非イオン性界面活性剤、及び水性相に、均質化、超音波処理、または膜乳化を行ってナノエマルションを調製する工程を含む、水中油型ナノエマルションの調製方法であって、前記ナノエマルション中において、油滴は100nm未満の強度平均径を有し、且つ、界面活性剤対油の比率は1:1未満である、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の水中油型ナノエマルションの調製方法。
- 有効成分のための送達媒体としての、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のナノエマルションの使用。
- 請求項1乃至19のいずれか一項に記載のナノエマルションを含む、有効成分のための送達媒体。
- 請求項1乃至19のいずれか一項に記載のナノエマルション及び有効成分を含む製剤。
- 前記有効成分が、食品補助成分、食品添加物、香料、芳香油、着色剤、風味剤、甘味料、化粧品、製薬品、栄養補助食品、植物化学物質、ビタミン、必須多価不飽和脂肪酸、植物抽出物、農化学品、繊維製品、ポリマー、及び化学品から選択される、請求項23に記載の製剤。
- 有効成分の量が、0.01乃至50質量%または0.01乃至10質量%である、請求項23または24に記載の製剤。
- 前記ナノエマルションと前記有効成分とを混合する工程を含む、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の製剤の調製方法。
- 炭素数12以上の脂肪鎖長を有するトリグリセリドを少なくとも50体積%含む、上限40体積%の油相、7より大なる親水性−親油性バランス(HLB)を有する親水性非イオン性界面活性剤、及び水性相に、均質化、超音波処理、または膜乳化を行ってナノエマルションを調製する工程を含み、前記ナノエマルション中において、油滴は100nm未満の強度平均径を有し、且つ、界面活性剤対油の比率は1:1未満である、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の製剤の調製方法。
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