JP2011258684A - 非接触巻取り体の製造方法及び該非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻取り体の端面からのガス供給装置を設置することなく、大気開放時にゴミの流入を防止し、且つ、巻取り部材を非接触状態で維持する非接触巻取り体の製造方法。
【解決手段】5.0×10−4Pa以下の圧力条件に保たれた真空容器の内部で、基板の端部に直接突起形状を複数設ける工程、または、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムを該基板の両端に共巻する工程を有し、次いで、前記真空容器を前記圧力条件〜大気圧条件に大気開放する工程を有する非接触巻取り体の製造方法において、該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することを特徴とする非接触巻取り体の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】5.0×10−4Pa以下の圧力条件に保たれた真空容器の内部で、基板の端部に直接突起形状を複数設ける工程、または、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムを該基板の両端に共巻する工程を有し、次いで、前記真空容器を前記圧力条件〜大気圧条件に大気開放する工程を有する非接触巻取り体の製造方法において、該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することを特徴とする非接触巻取り体の製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、真空中で長尺な帯状可撓性フィルム(基板ともいう)を非接触で巻き取るロールツーロール真空成膜装置(ロールツーロール真空巻取装置ともいう)及び非接触巻取り体の製造方法に関し、特に、長尺な帯状可撓性フィルム(基板ともいう)を巻き取った後、大気開放して取り出す際に、製造工程時のゴミが該フィルムに付着する等の不具合の発生を抑制することができるロールツーロール真空成膜装置、非接触巻取り体の製造方法及び該ロールツーロール真空成膜装置を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来の真空成膜装置においては、フィルム基板(単に、基材、基板、基盤等ともいう)をロールツーロールで成膜する装置において、接触を嫌う材料の場合、材料を基板上に積層したものを巻取りせずにシートに切断して枚葉処理するのが一般的である。
一方、開示される一部の特許等から、フィルム基板そのものの端部にエンボスと呼ばれる突起状の形状を作製したり、端部を折り返したり、または、テープ状の材料を端部に一緒に巻き込んだり、巻いたフィルム同士が端部の突起等の嵩上げにより接触しない手段が知られており、非接触のまま巻取りが可能である。
しかしながら、この非接触巻取り形態のまま成膜装置チャンバー内に入れた場合、真空後に通常条件にて大気圧に戻す際に巻取り内部とその外側に発生する差圧によりフィルムが潰れる等の不具合が発生するため、ゆっくりとガス置換していく方法があるが生産性が著しく落ちてしまう。
また、早くガス置換すると前記変形の発生に加え急激なガス流入のためゴミの混入といった問題も発生する。
これらの問題を解決する手段として、非接触巻取り体のフィルム間隙にクリーンなガスを供給する装置をチャンバ内に設置して、差圧を少なくするよう制御して変形を無くす方法が公開されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記特許文献1に記載では、真空対応のガス給装置と大気開放時のチャンバ内とガス供給の精密な制御が必須となる為に、真空成膜装置の構成が複雑になり、設備費用の大幅なアップが避けられないという問題点があった。
本発明の目的は、ロールツーロール真空成膜装置での成膜後の巻取り工程において、巻取り体(巻取り部材ともいう)の端面からのガス供給装置を設置することなく、大気開放時(大気圧復帰時ともいう)にゴミの流入を防止し、且つ、巻取り部材を非接触状態で維持して、大気開放時の差圧による巻取り部材同士の接触を防止する非接触巻取り体の製造方法及び該非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
1.5.0×10−4Pa以下の圧力条件に保たれた真空容器の内部で、基板の端部に直接突起形状を複数設ける工程、または、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムを該基板の両端に共巻する工程を有し、次いで、前記真空容器を前記圧力条件〜大気圧条件に大気開放する工程を有する非接触巻取り体の製造方法において、
該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することを特徴とする非接触巻取り体の製造方法。
該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することを特徴とする非接触巻取り体の製造方法。
2.前記1に記載の非接触巻取り体の製造方法により製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明により、ロールツーロール真空成膜装置での成膜後の巻取り工程において、巻取り体(巻取り部材ともいう)の端面からのガス供給装置を設置することなく、大気開放時(大気圧復帰時ともいう)にゴミの流入を防止し、且つ、巻取り部材を非接触状態で維持して、大気開放時の差圧による巻取り部材同士の接触を防止する装置、該装置を用いる非接触巻取り体の製造方法及び該非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができた。
本発明は、5.0×10−4Pa以下の圧力条件に保たれた真空容器の内部で、基板の端部に直接突起形状を複数設ける工程、または、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムを該基板の両端に共巻する工程を有し、次いで、前記真空容器を前記圧力条件〜大気圧条件に大気開放する工程を有する非接触巻取り体の製造方法において、
該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することにより巻取り体の表面への擦り傷の発生を効果的に防止する非接触巻取り体の製造方法を提供するものです。
該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することにより巻取り体の表面への擦り傷の発生を効果的に防止する非接触巻取り体の製造方法を提供するものです。
本発明の非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機EL素子は、素子表面(例えば、封止層の表面、封止フィルムの表面)への巻取り時の擦り傷発生が防止され、その結果として、封止層の下層に位置する有機機能層(例えば、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等)への物理的なダメージや、擦り傷に由来する水分や酸素等の影響による素子の欠陥(素子寿命の低下、発光輝度の低下等)を効果的に防止することができる。
以下、図を用いて、本発明の非接触巻取り体の製造方法を本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造を例に挙げながら説明する。
まず、図1により本発明の有機EL素子の構成について説明する。
図1は、有機EL素子の層構成の一例を示す概略断面図である。図1の(a)は封止層(封止膜ともいう)が形成された有機EL素子の構成層を示す概略断面図である。図1の(b)は接着剤を介して封止フィルムを貼着することで形成された有機EL素子の構成層を示す概略断面図である。
図1の(a)に示される有機EL素子の層構成につき説明する。図中、1aは有機EL素子を示す。有機EL素子1aは、基材101上に、第一電極102と、正孔輸送層103と、発光層104と、電子注入層105と、第二電極106と、封止層107とをこの順番に有している。
図1の(b)に示される有機EL素子の層構成に付き説明する。
図中、1bは有機EL素子を示す。有機EL素子1bは、基材101上に、第一電極102と、正孔輸送層103と、発光層104と、電子注入層105と、第二電極106と、接着剤層108と、封止フィルム109とをこの順番に有している。本図に示される有機EL素子において、第一電極102と正孔輸送層103の間に正孔注入層(不図示)を設けてもよい。又、発光層104と電子注入層105との間に電子輸送層(不図示)を設けてもよい。本図に示される有機EL素子1a及び有機EL素子1bでは、第一電極102と基材101との間にガスバリア膜(不図示)を設けてもかまわない。
本発明の有機EL素子は、本発明の非接触巻取り体の製造方法を用いてロール状の可撓性支持体(基材ともいう)上に、第一電極(陽極ともいう)、有機機能層(正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等)陰極、更に、封止層(封止膜)や封止フィルム等を設けたものであり、その一例として、上記の図1の(a)、図1の(b)に示される有機EL素子を挙げることができる。
尚、図1(a)、図1(b)に示す有機EL素子の層構成は一例を示したものであるが、下記に示すような素子構成も本発明の有機EL素子の構成として挙げることができる。
(1)基材/陽極/発光層/電子輸送層/陰極/封止層
(2)基材/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極/封止層
(3)基材/陽極/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極/封止層
(4)基材/陽極/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極/封止層
本発明の有機EL素子に係る基材について説明する。
(2)基材/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極/封止層
(3)基材/陽極/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極/封止層
(4)基材/陽極/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極/封止層
本発明の有機EL素子に係る基材について説明する。
《基材》
本発明の有機EL素子に係る基板(以下、支持基板、基体、基板、基盤、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
本発明の有機EL素子に係る基板(以下、支持基板、基体、基板、基盤、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3ml/(m2・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、10−5g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
また、本発明の有機EL素子をその他の層については、実施例のところで説明する。
次いで、本発明の非接触巻取り体の製造方法を用いて製造した、本発明の有機EL素子の製造工程の一例を図2の製造工程2a、製造工程2bを用いて説明する。
図2は、本発明の有機EL素子を作製する工程の一例を示す模式図である。
図2で示す製造工程の説明は、有機EL素子の一例として、帯状可撓性支持体上にガスバリア層、第一電極、正孔輸送層、発光層、電子注入層、第二電極、ついで、非接触部材(具体的には、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムである)の順番に各層が形成されている有機EL素子(具体的な用途としては、照明用に用いられる面発光の素子である)の場合について行う。また、図2では、第一電極(陽極)の形成工程は省略してある。
また、後述するように本発明の有機EL素子が素子として用いられる場合には、帯状可撓性支持体上に設けられた有機EL素子は、所定の裁断工程により個々の素子が作製され、更に実用上、素子の第二電極上または素子の周囲に封止フィルムによる封止処理が施される。
図2において、本発明の有機EL素子の製造工程2aは、帯状可撓性支持体A(基材A)の供給工程3と、正孔輸送層を形成する正孔輸送層形成工程4と、発光層を形成する発光層形成工程5と、電子輸送層形成工程6、次いで、非接触部材の形成工程7において、非接触部材7aを有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)が形成されている帯状可撓性支持体Aの裏面側に設けて帯状可撓性支持体Bを形成後、一旦、帯状可撓性支持体Bは巻取り部8において巻き取られる。
図2において、本発明の有機EL素子の製造工程2bは、製造工程2aにおいて一旦巻き取られた、電子輸送層形成後の帯状可撓性支持体Bはさらに、帯状可撓性支持体の供給部9から、電子注入層を形成する電子注入層形成工程10と、更に、第二電極(陰極)を形成する第二電極形成工程11を経た後に、非接触部材の形成工程12において、第二電極上に非接触部材12bが貼合され形成されたロール状の帯状可撓性支持体C(ロール状の有機EL素子ともいう)が巻取り工程13において巻取りされて、非接触巻き取り体14が製造される。
尚、照明用(面発光)の有機EL素子として実用される場合には、非接触巻取り体15から、適宜、巻出しが行われ、必要に応じて、断裁され個別の素子が形成され電気回路が実装され有機エレクトロルミネッセンスパネルが形成されることになる。
ここで、本発明の有機EL素子の製造工程2a、製造工程2bについて、更に具体的な製造条件等について、以下詳細に説明する。
図2で示される本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造工程2aにおいては、帯状可撓性支持体A(基材A)供給工程3から、正孔輸送層の形成工程4、発光層形成工程5さらに電子輸送層形成工程6、次いで、非接触部材7aを設けて帯状可撓性支持体Bを製造するまでを連続して大気圧条件下で行い、一旦、巻取って非接触巻取り体8gを製造する。
帯状可撓性支持体Aの供給工程3では、繰り出し部301と表面処理部302とを有している。繰り出し部301では、例えば、ガスバリア膜と第一電極を含む陽極層とがこの順番で既に形成された帯状可撓性支持体Aが巻き芯に巻き取られたロール状態で供給される。3a1は帯状可撓性支持体の元巻きロールを示す。
表面処理部302は洗浄表面改質処理装置や、帯電防止手段を有しているがここでは帯電防止手段は省略されている。
洗浄表面改質処理装置は、有機機能層塗布前に供給工程3から送られる帯状可撓性支持体Aの第一電極(不図示)表面の洗浄改質を行うため、例えば、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等を使用し、例えば、低圧水銀ランプの場合、波長184.2nmの低圧水銀ランプを、照射強度5mW/cm2〜20mW/cm2で、距離5mm〜15mmの範囲で照射することが好ましい。
また、帯電防止手段は、非接触式除電防止装置、接触式除電防止装置等からなり、例えば、非接触式のイオナイザーや、除電ロールまたはアース接続した導電性ブラシ等を用いて行われる。非接触式帯電防止装置は帯状可撓性支持体Aの第一電極面側に使用し、接触式帯電防止装置帯状可撓性支持体Aの裏面側に使用することが好ましい。
図ではこれら細部は省略されているが、帯状可撓性支持体Aはロールから巻き出されて、正孔輸送層形成工程4に入る。
正孔輸送層形成工程4においては、帯状可撓性支持体Aを保持するバックアップロール4aと、バックアップロール4aに保持された帯状可撓性支持体Aに正孔輸送層形成用塗布液を塗布する第一湿式塗布機4bと、帯状可撓性支持体A上の第一電極上に形成された正孔輸送層の溶媒を除去する第一乾燥装置4cと、溶媒が除去された正孔輸送層を加熱する第一加熱処理装置4dとを有している。ここで、帯電防止手段を設けてもよいが図では省略されている。
第一湿式塗布機4bによる正孔輸送層形成用塗布液は、例えば、既に形成されている第一電極の片方の端部の一部を除いて第一電極上に塗布される。
第一湿式塗布機4bは、パターン化されて形成されている第一電極のパターンに合わせて第一電極上に発光層をパターン塗布するため、例えば、インクジェット方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、マスクを用いたスプレー塗布方式等に使用する各種塗布装置を使用することが可能である。
第一乾燥装置4cは、加熱された気流による溶媒の除去を行う乾燥処理装置であり、例えば、スリットノズル形式の噴出し口から成膜面に向け高さ100mm、噴出し風速1m/秒、幅手分布5%、乾燥温度100℃で実施することが好ましい。
加熱処理装置4dは、帯状可撓性支持体の裏面側から正孔輸送層を裏面伝熱方式で加熱する、例えば、複数の例えば200℃の加熱ローラを有する裏面伝熱型の加熱処理装置であり、溶媒除去後、温度200℃のヒートロールを密に並べたロール間から吸引して基板が吸着搬送され、裏面伝熱による加熱で熱処理を行うものである。この加熱処理により膜の平滑性や残留溶媒の除去、また、塗膜の硬化等を行う。
次いで、発光層形成工程5においては、バックアップロール5aに保持された正孔輸送層を有する帯状可撓性支持体に発光層形成用塗布液を塗布する第二湿式塗布機5bと、正孔輸送層上に形成された発光層の溶媒を除去する乾燥装置5cと、溶媒が除去された発光層を加熱する加熱処理装置5dとを有している。ここでも前記同様の帯電防止手段を用いてよいが省略されている。
第二湿式塗布機5bは第一湿式塗布機4bと同じ型式のものが好ましい。
乾燥装置5cは乾燥装置4cと同じ構造をしている。加熱処理装置5dは第一加熱処理装置4dと同じ構造をしており、正孔輸送層上に形成された、発光層を帯状可撓性支持体の裏面側から裏面伝熱方式で加熱するようになっている。
発光層形成工程5後に次いで電子輸送層塗布工程6にはいる。
電子輸送層形成工程6において、バックアップロール6aに保持された正孔輸送層、発光層を有する帯状可撓性支持体に電子輸送層形成用塗布液を塗布する第三湿式塗布機6bと、発光層上に形成された電子輸送層の溶媒を除去する乾燥装置6cと、溶媒が除去された電子輸送層を加熱する加熱処理装置6dとを有している。また、同様に帯電防止手段を用いてよい。
本図に示される、正孔輸送層形成工程4、発光層形成工程5、電子輸送層形成工程6は湿式塗布装置、乾燥装置、加熱処理装置がそれぞれ1台の場合を示しているが、必要に応じて増加することが可能である。
続いて、非接触部材の形成工程7において、非接触部材の巻取り体7bから供給される非接触部材7aが巻出され、圧着ロール7cにおいて、非接触部材7aが有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)が形成されている帯状可撓性支持体Aの裏面側に圧着、貼合され、帯状可撓性支持体Bが形成される。
尚、非接触部材の形成工程7は、プロセス圧力置換(工程の圧力調整)が必要に応じて可能とするべく、チャンバーCha中に行われ、工程時の圧力調整は、挟持型の圧力バルブGa、Gbを通して適宜行われる。
非接触部材の形成工程7に続いて、チャンバーChb内に設けられた巻取り工程8において、帯状可撓性支持体Bが一旦、非接触部材7a(具体的には、少なくとも片面に突起形状が複数設けられたテープ上フィルムが用いられる)が形成された状態で、巻取られて、非接触巻取り体8gが製造される。
尚、巻取り工程8においては、有機機能層各層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)が形成された帯状可撓性支持体Bを、有機機能層側を内側にして巻き芯に巻取りロール状の帯状可撓性支持体8g(以下、ロール状の帯状可撓性支持体Bともいう)とする。
また、巻取り工程8においても、必要に応じて、Chb内の圧力を所定の圧力に調整することが可能であり、調整は、挟持型の圧力バルブGb、Gcにより適宜行われる。
尚、巻き取られたロール状の帯状可撓性支持体Bは、一旦、収納箱に保管されるときには、減圧下(10−6〜10−2Pa)に収納されることが好ましい。
収納持においては、酸素や微量水分等による素子特性の劣化を防止する観点から、適宜、加温し、且つ、1時間〜200時間の範囲で収納することが好ましい。
また、本発明の有機EL素子を製造するにおいては、図2a、図2bのような態様とは異なり、製造工程2aの後、連続して製造工程2bに送り、電子注入層形成工程を行ってもよい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造工程2bにおいては、製造工程2aにおいて、一旦巻き取られた帯状可撓性支持体B上に、更に、電子注入層、第二電極(陰極)の形成が行なわれ、続いて、非接触部材12b(具体的には、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムが用いられる)を設けて帯状可撓性支持体Cを形成後、巻取り工程13により、巻芯に巻取られて非接触巻取り体14が形成される。
図2の製造工程2bにおいては、電子注入層形成工程10と、第二電極(陰極)を形成する第二電極形成工程11については、共に真空プロセス工程であり、電子注入層形成工程10、第二電極(陰極)形成工程11は各々減圧条件下、真空蒸着により層形成が行われる。
電子注入層の形成工程10、第二電極の形成工程11における減圧条件の調整は、プロセス圧力置換工程(製造工程時の雰囲気の圧力調整する工程ともいう)として設けられたチャンバーCh1、Ch2及びCh3によって行い、圧力の調整手段としては、挟持型ゲートバルブG1、G2、G3、G4及びG5を適宜開閉することにより行われる。
しかしながら、本発明の有機EL素子に係る電子注入層及び第二電極(陰極)の形成方法については、特に限定はなく、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いてもよい。
製造工程2bの供給部9において、ロール状の帯状可撓性支持体8gから巻出された電子輸送層形成後の帯状可撓性支持体Bは、減圧条件下で電子注入層形成工程10に搬送される。
(電子注入層形成工程10及び第二電極(陰極)形成工程11)
電子注入層形成工程10からは真空下(好ましい減圧条件は、5.0×10−4Pa〜5.0×10−5Paの範囲である)で行われるが、供給部9については大気圧であるため、ここにはプロセス圧力置換工程としてチャンバーCh1、Ch2が設けられる。
電子注入層形成工程10からは真空下(好ましい減圧条件は、5.0×10−4Pa〜5.0×10−5Paの範囲である)で行われるが、供給部9については大気圧であるため、ここにはプロセス圧力置換工程としてチャンバーCh1、Ch2が設けられる。
本発明に用いられるプロセス圧力置換工程とは、大気圧プロセス工程と真空プロセス工程の間にプロセス圧力を大気圧から真空に、また逆に、真空から大気圧に置換する工程であり、本発明においては、プロセス圧力置換工程は、挟持型ゲートバルブを備えたチャンバーを用い、チャンバー内に帯状可撓性支持体を導入した状態でゲートバルブがこれを挟持して疑似密閉空間を形成して、この空間から真空ポンプで排気することで挟持型ゲートバルブにより密閉された空間を減圧としこれを維持することにより構成されることが好ましい。
本発明に用いられるプロセス圧力置換工程は、基本的には、挟持型ゲートバルブとこれにより開閉されるチャンバー(バッファー室)からなっており、挟持型ゲートバルブにより密閉したチャンバー内の圧力をポンプにより減圧し調整することからなるため、帯状可撓性支持体の通過搬送されるチャンバー(バッファー室)入り口と出口に挟持型ゲートバルブが設けられている。
製造工程2bにおいて、供給部9から、帯状可撓性支持体Bが、プロセス圧力置換工程として、挟持型ゲートバルブを備えたチャンバー(バッファー室)Ch1、Ch2においてプロセス圧力が大気圧から減圧条件(具体的には、蒸着に必要な真空成膜条件である)に調整され、電子注入層形成工程10にはいる。
挟持型ゲートバルブG1、G2が、チャンバーCh1の入り口及び出口側、G2、G3がチャンバーCh2の入口側及び出口側、即ち、電子注入層形成工程10の入り口に連結するよう備えられている。
チャンバーCh1、Ch2は各々独立にポンプで排気することが可能であり、2bに示された構成では、2段階でのプロセス圧力調整が行われる構成であるが、必要とされる真空度、また、効率的に搬送を行うため2段階以上、更に3段階以上の多段階に亘るプロセス圧力調整を行う構成を設けることができる。
Ch1、Ch2においては、電子注入層形成工程10において、蒸着に必要な充分な真空度(好ましい減圧条件は、5.0×10−4Pa〜5.0×10−5Paの範囲である)を確保するために、バルブ位置において挟持型ゲートバルブを閉じ、帯状可撓性支持体Bの搬送を停止させて、排気して減圧とするため、連続で巻き出され搬送される帯状可撓性支持体Bの搬送と停止をバッファーするための、アキューム機構が、チャンバー内部に各々備えられている。
アキューム機構は、概略図で示したように、一定の張力をかけるためのダンサーローラで構成される。
供給部9から巻き出された帯状可撓性支持体Bは、開いた挟持型ゲートバルブG1を介してチャンバーCh1に搬送され、一方で挟持型ゲートバルブG2は閉じているので、可撓性支持体Bはアキューム機構によって、チャンバーCh1内に蓄積される。
所定量の可撓性支持体Bが搬送されたところで、挟持型ゲートバルブG1が閉じ、供給部9から巻き出される帯状可撓性支持体Bの搬送が停止すると共に、挟持型ゲートバルブG1、G2で閉じられたチャンバーCh1が排気され減圧となる。
チャンバーCh1を減圧とし、真空状態になったところで、挟持型ゲートバルブG2が開き、真空状態のチャンバーCh2に所定量の可撓性支持体が搬送される。
また、所定量搬送されたところで、また挟持型ゲートバルブG2は閉じ、チャンバーCh2に可撓性支持体がチャンバーCh2内にも設けられたアキューム機構により所定量蓄積される。
次いで、電子注入層形成工程10(高真空に排気されている)との連結部を構成する挟持型ゲートバルブG3が開き、次にチャンバーCh2内に蓄積された蒸着工程を受ける所定量の可撓性支持体が、電子供給層形成工程10に送り込まれる。
ここで、また挟持型ゲートバルブG3を閉じて、搬送を停止し、蒸着は架台上に帯状可撓性支持体Bが静止した状態で蒸着工程(電子注入材料の蒸着工程)が実施される。
この間チャンバーCh1、Ch2は所定の圧力を保つように維持される。
電子注入層形成工程10における電子注入層の形成は、真空蒸着により架台上で、搬送が停止した状態で行われるので、アキューム機構を設けることで、この停止を吸収することができる。
チャンバーCh1から、挟持型ゲートバルブG2を開くことにより所定量の帯状可撓性支持体Bが搬送されたのち、挟持型ゲートバルブG2は閉じ、さらに、挟持型ゲートバルブG1が開いて、チャンバーCh1の減圧は解除され、所定量の帯状可撓性支持体Bをアキューム機構付きのチャンバーCh1内に搬送する。
所定量の帯状可撓性支持体Bがチャンバー内に搬送された後、再び挟持型ゲートバルブG1は閉じて、供給部からの搬送は一旦停止し、再度チャンバーCh1をポンプで排気し減圧とする。
ここで、チャンバーCh1、チャンバーCh2は、ポンプでそれぞれ排気することで減圧とすることができ、チャンバーCh1は、チャンバーCh2と供給部9(大気圧条件下にある)とを連結し、また、チャンバーCh2はチャンバーCh1と蒸着室(高真空)との間に設置されており、段階的に、真空度を調整できるようになっている。
各チャンバーに設けられたアキューム機構は、適宜、チャンバーCh2から電子注入層形成部10への、またチャンバーCh1からチャンバーCh2への帯状可撓性支持体Bの搬送を円滑に行えるようバッファー機能を有する。
このようにして繰り返し、所定量ずつ搬送、アキュームの各動作を所定のシーケンスを組んで行うことで、プロセス圧力を大気圧から所定の真空状態に円滑に移行させることができる。
尚、図2では、製造工程2aにおいて、一旦、帯状可撓性支持体A上に有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)が形成された帯状可撓性支持体Bが巻取り工程8において巻取られて、ロール状の帯状可撓性支持体8gが製造されるが、巻取り工程8の代わりに、プロセス圧力置換工程を図2bの供給部9との間に設け、図2bと同様なアキューム機構を設置することにより、巻取りを行うことなく、帯状可撓性支持体Bを直接、図2bの救急部9に移行させ、帯状可撓性支持体Bの搬送を断続することなく、連続して次ぎの製造工程2bに移行することが可能である。
製造工程2bにおける供給部9に移行して、電子注入層形成工程10、また、第二電極形成工程11は、同じ真空プロセス工程であり、ここでは、蒸着速度の違いを調整できるよう、アキューム機構を介して同じ真空槽内にそれぞれ、電子注入層形成工程10、第二電極形成工程11となる二つの蒸着部が設けられている。
チャンバーCh2から挟持型ゲートバルブG3を介して帯状可撓性支持体Bが搬送されると、電子注入層形成工程10において、電子注入層形成部位が支持体ホルダー10bに固定され静止すると、挟持型ゲートバルブG3が閉じ、蒸着原料ボートが加熱されマスク蒸着が行われる。
電子注入層形成工程10では、電子注入層形成部において、電子輸送層上に電子注入層が形成される。
尚、10bは蒸着装置の支持体ホルダー、10aは蒸発源容器を概略的に示している。
第二電極形成工程11においても、形成部位が支持体ホルダー11bに固定され静止すると、第二電極形成部(蒸着装置)において、電子注入層上に第二電極が形成される。
蒸着装置の11bは支持体ホルダー、11aは、各々蒸発源容器を各々概略的に示している。
尚、図2bでは、電子注入層が形成された帯状可撓性支持体Bは、アキューム機構を介して、第二電極形成工程11へ送られる構成となっている。
(非接触部材の形成工程12)
第二電極が形成された帯状可撓性支持体Bは、引き続き、プロセス圧力置換工程である、チャンバーCh3を介した後に、チャンバーCh4内に設けられている非接触部材の形成工程12に搬送される。
第二電極が形成された帯状可撓性支持体Bは、引き続き、プロセス圧力置換工程である、チャンバーCh3を介した後に、チャンバーCh4内に設けられている非接触部材の形成工程12に搬送される。
即ち、挟持型ゲートバルブG4さらにG5が閉じた状態で減圧・高真空に排気したチャンバーCh3に、蒸着工程である第二電極形成工程11から挟持型ゲートバルブG4をあけて、蒸着により第二電極が形成された帯状可撓性支持体Bを所定量搬送したのち、挟持型ゲートバルブG4を閉じる。挟持型ゲートバルブG5は搬送時には閉じているが、内部のアキューム機構によりチャンバーCh3内には第二電極が形成された帯状可撓性支持体Bを所定量蓄積する。
次いで、挟持型ゲートバルブG4を閉じた後、挟持型ゲートバルブG5を開いて、下記条件に保たれた非接触部材の形成工程12に、所定量の、第二電極まで形成された帯状可撓性支持体Bを送る。
非接触部材の形成工程12においては、非接触部材の巻取り体12b1から供給される非接触部材12bが巻出され、圧着ロール12b2において、非接触部材12bが有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び第二電極が形成されている帯状可撓性支持体Bに圧着、貼合され、帯状可撓性支持体Cが形成される。
尚、非接触部材の形成工程12は、プロセス圧力置換(工程の圧力調整)が必要に応じて可能とするべく、チャンバーCh4中にて実施され、非接触部材の形成工程12におけるチャンバーCh4内の圧力調整は、挟持型の圧力バルブG5、G6を通して適宜行われる。
(非接触部材12b(少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルム))
本発明に用いられる非接触部材12bとしては、上記1.に記載のように、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムが用いられる。
本発明に用いられる非接触部材12bとしては、上記1.に記載のように、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムが用いられる。
ここで、非接触部材12bである、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムとしては、例えば、図3に示すように、四角錐状の凸部76を複数備えるパターン72bを有する部材を一例としてあげることができる。
この場合、非接触部材12bの端部に設けられた凸部76により、後述する巻取り工程14で巻取りされた際に、帯状可撓性支持体C同士の接触が防止される。
加えて、四角錐状の各凸部76同士の斜面の間に隙間が生じるため、この隙間を気体Gが通過可能となり、その結果、幅方向Wの通気性が確保される。
各凸部76間の隙間から帯状可撓性支持体C間の隙間に気体Gが供給され、帯状可撓性支持体Cは、非接触部材13bの幅方向Wに通気性を有していてもよい。
図3に示すパターン72bにおいては、凸部76は、四角錐状としたが、本発明の凸部は四角錐に限定されず、三角錐、円錐などであってもよく、凸部が円柱、四角柱である場合には、各凸部を隙間を設けて配置することが好ましい。
(本発明の非接触巻取り体14の製造)
以下、本発明の非接触巻取り体の製造方法の一例として、製造工程2bにおける非接触巻取り体14の製造を説明する。
以下、本発明の非接触巻取り体の製造方法の一例として、製造工程2bにおける非接触巻取り体14の製造を説明する。
非接触部材の形成工程12に続いて、チャンバーCh4内に設けられた巻取り工程13において、帯状可撓性支持体Cが、非接触部材12bが形成された状態で、巻取られて、非接触巻取り体14(ロール状の帯状可撓性支持体14ともいう)が製造される。
尚、巻取り工程13においては、有機機能層各層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び第二電極が形成された帯状可撓性支持体Cを、有機機能層各層側を内側にして巻き芯に巻取り、非接触巻取り体14(ロール状の帯状可撓性支持体14)が得られる。
また、巻取り工程13においても、必要に応じて、Ch4内の圧力を所定の圧力に調整することが可能であり、調整は、挟持型の圧力バルブG5、G6により適宜行われる。
非接触巻取り体14(ロール状の帯状可撓性支持体14)においては、帯状可撓性支持体Cを重ねたときに帯状可撓性支持体C同士が非接触状態であり、且つ、帯状可撓性支持体C間が、帯状可撓性支持体Cの長手方向(搬送方向)と直交する幅方向に通気性を有する状態で巻き取られる。
次いで、チャンバーCh4内で、下記に示す(a)第1の圧力調整工程(スローリークともいう)、(b)第2の圧力工程(ファストリークともいう)を経て、非接触巻取り体14が得られる。
(a)第一の圧力調整工程(スローリークともいう)
非接触巻き取り体15の製造においては、巻取りが終了した後のチャンバーCh5内の圧力は、5.0×10−4Pa以下に調整されるが、本発明においては、5.0×10−4Pa〜5.0×10−5Paの範囲の圧力条件に保たれていることが好ましい。
非接触巻き取り体15の製造においては、巻取りが終了した後のチャンバーCh5内の圧力は、5.0×10−4Pa以下に調整されるが、本発明においては、5.0×10−4Pa〜5.0×10−5Paの範囲の圧力条件に保たれていることが好ましい。
上記の圧力条件に調整されたチャンバーCh5内において、第一の圧力調整工程(スローリーク)が、1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で、チャンバーCh5内の圧力を1Pa〜10Paの範囲に調整するが、スローリークの速度としては、生産効率の観点から、1.0×10−3Pa/秒〜1.0×10−2Pa/秒の速度で圧力調整することが好ましい。
(b)第2の圧力調整工程(ファストリークともいう)
上記(a)に記載の第一の圧力調整工程(スローリーク)を実施し、チャンバーCh5内の圧力を1Pa〜10Paの範囲に調整した後、更に、チャンバーCh5内の圧力を、5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放(チャンバーCh5内の圧力を大気圧条件にする)するが、本発明では、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒の速度でチャンバーCh5内の圧力を大気開放(大気置換)することが好ましい。
上記(a)に記載の第一の圧力調整工程(スローリーク)を実施し、チャンバーCh5内の圧力を1Pa〜10Paの範囲に調整した後、更に、チャンバーCh5内の圧力を、5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放(チャンバーCh5内の圧力を大気圧条件にする)するが、本発明では、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒の速度でチャンバーCh5内の圧力を大気開放(大気置換)することが好ましい。
ここで、大気圧とは、1.013×105Pa(約10万Paであり、本発明では、前記圧力を単に大気圧ともいう)を表す。
尚、巻き取られたロール状の有機エレクトロルミネッセンス素子(帯状可撓性支持体C)を保存する場合には、性能維持、ダークスポット(未発光部分)等を考慮し、酸素濃度1ppm〜100ppm、水分濃度1ppm〜100ppmの環境下に保管することが好ましい。
また、非接触巻取り体15として得られたロール状の帯状可撓性支持体Cを素子として実用する場合には、帯状可撓性支持体Cを製品サイズに裁断して有機エレクトロルミネッセンス素子として用いられる。
打ち抜き断裁され形成された素子の一例を概略で図4に示す。なお、図中、(a)は素子を上方斜めからみた図を、また、(b)はそのO−O’断面図を、(c)はP−P’断面図を示す。101は可撓性支持体である基材、102は第一電極を、102aは第一電極用取り出し電極を、103〜105は正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び正孔注入層からなる有機層を、106は第二電極を、106aは第二電極用取り出し電極、108は接着剤層、109は封止フィルムを示す。また、図中、Aは作製された素子の帯状可撓性支持体の幅手方向を、またBは搬送方向を示す。
この断裁工程は空気雰囲気下で行われることが好ましい。製品サイズに断裁、打ち抜かれた素子に、各素子に電気回路をそれぞれ実装することで有機エレクトロルミネッセンスパネルが形成される。
(挟持型ゲートバルブ)
本発明に用いられるプロセス圧力置換工程に用いた挟持型ゲートバルブについて説明する。
本発明に用いられるプロセス圧力置換工程に用いた挟持型ゲートバルブについて説明する。
コンダクタンス型真空バルブの代表的なものとしては、ニップロールを多段に設置し、この部分のコンダクタンスにより真空を得る仕組みのものが古くより研究されているが、多くのものは加工面への接触を厭わない製品ラインへの適用が多い。有機ELのように加工面への接触が問題となる製品のラインへ適用する場合は、非接触状態を維持しながらも間隙をできる限り狭くする必要があり、かつ、蛇行等による加工面損傷をできる限り抑制した高精度の搬送技術も同時に必要となる。
本発明において用いる挟持型ゲートバルブは、フィルムの全幅あるいは一部をバルブでクランプする方式である。より詳しくは、真空側と大気側との間に位置する開口を弁体により開閉する真空ゲートバルブであって、弁体は変形可能な輪状の弾性弁体であり、弾性弁体を駆動するアクチュエータにより変形させ開口の開閉を行う構成である。弾性弁体は上部弁部材及び下部弁部材より構成され、駆動アクチュエータにより互いに逆方向に移動する上部押え部材及び下部押え部材を有し、上部押え部材は上部弁部材に接続され、下部押え部材は下部弁部材に接続されている構成であり、さらに、弾性弁体は、ゴムから構成される。なお、弾性体の材質はゴムが望ましいが、ゴムの中でも気体透過率の低いフッ素ゴムが適している。
《有機EL素子の機能層の構成に用いられる材料》
次に、有機EL素子を構成するこれら各有機機能層において用いられる材料について説明する。
次に、有機EL素子を構成するこれら各有機機能層において用いられる材料について説明する。
有機機能層のうち、発光層中に含有される有機発光材料としては、カルバゾール、カルボリン、ジアザカルバゾール等の芳香族複素環化合物、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、芳香族縮合多環化合物、芳香族複素縮合環化合物、金属錯体化合物等及びこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体等があげられるが、本発明においてはこれに限られるものではなく、広く公知の材料を用いることができる。
また層中(成膜材料)には、好ましくは0.1質量5〜20質量%の範囲のドーパントが発光材料中に含まれてもよい。ドーパントとしては、ペリレン誘導体、ピレン誘導体等公知の蛍光色素等、また、リン光発光タイプの発光層の場合、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトナート)イリジウム、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジン)(ピコリナート)イリジウム、などに代表されるオルトメタル化イリジウム錯体等の錯体化合物が同様に0.1〜20質量%程度含有される。
リン光発光方式は、発光層内部に発光領域をもつためか、塗布による層界面のムラによる発光ムラを比較的起こしにくい。発光層の膜厚は、1nm〜数百nmの範囲に亘る。
正孔注入・輸送層中に用いられる材料としては、フタロシアニン誘導体、ヘテロ環アゾール類、芳香族三級アミン類、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などに代表される導電性高分子等の高分子材料が、また、発光層に用いられる、例えば、4,4′−ジカルバゾリルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料、(ジ)アザカルバゾール類、1,3,5−トリピレニルベンゼンなどのピレン系発光材料に代表される低分子発光材料、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリビニルカルバゾール類などに代表される高分子発光材料などが挙げられる。
電子注入・輸送層材料としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物もしくは以下に挙げられる含窒素五員環誘導体がある。即ち、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
有機EL素子、各有機層の膜厚は、0.05μm〜0.3μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1μm〜0.2μmの範囲である。
また、有機層(有機EL各機能層)の形成方法としてはウェットプロセスである塗布及び印刷等が好ましい。例えば、ダイコート方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェット方式、メイヤーバー方式、キャップコート法、スプレー塗布法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の塗布機の使用が可能である。これらの湿式塗布機の使用は有機化合物層の材料に応じて適宜選択することが可能となっている。
各有機材料には溶解特性(溶解パラメータやイオン化ポテンシャル、極性)がそれぞれにあり、溶解できる溶媒には限定がある。またその際には溶解度もそれぞれ違うため、一概に濃度も決めることができないが、本発明において用いられる溶媒の種類は、成膜しようとする有機EL材料に応じて、前記の条件に適ったものを、公知の溶媒から選択すればよく、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、メタノールや、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラリン等のパラフィン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、ピリジン、キノリン、アニリン等のアミン系溶媒、アセトニトリル、バレロニトリル等のニトリル系溶媒、チオフェン、二硫化炭素などの硫黄系溶媒が挙げられる。
なお、使用可能な溶媒は、これらに限るものではなく、これらを二種以上混合して溶媒として用いてもよい。
これらのうち好ましい例としては、有機EL材料において、各機能層材料によっても異なるものの、大凡について、良溶媒としては、例えば芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒などであり、好ましくは、芳香族系溶媒、エーテル系溶媒である。また、貧溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、パラフィン系溶媒などが挙げられ、なかでもアルコール系溶媒、パラフィン系溶媒である。
また、本発明では、上記の各機能層において、反応性基をもつ有機化合物(反応性有機化合物)を用いてもよい。反応性有機化合物を用いる層としては特に制限はなく、各層に用いることができる。それぞれ各機能層に反応性基をもつそれぞれの機能をもつ有機材料を用いればよい。
反応性有機化合物塗布層を形成後基板上で反応させ、有機分子によるネットワークポリマーを形成させ、硬化させることができる。ネットワークポリマーが生成することで、構成層のTg(ガラス転移点)調整による素子劣化の抑制させることができる。
また、素子使用中の活性ラジカルを用いて分子の共役系の切断または生成を伴う反応を調整することにより、有機EL素子の発光波長をかえたり、特定波長の劣化を抑制すること等も可能である。
一方、製造面では、例えば、塗布により積層する工程の場合では、下層が上層の塗布液に溶解しないことが好ましいため、下層を樹脂化し溶剤溶解性を劣化させることで、上層塗布を可能とすることができる。例えば、正孔輸送層をこのように架橋した有機層として樹脂化することで、上層として発光層を塗布する際に下層の溶解、又浸透を防止することができる。
用いることのできる反応性基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、エチニル基、イソシアネート基、エポキシ基等が代表的には挙げられる。
また、2つの電極のうち、第一電極である正孔の注入を行う陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数をもつものが適しており、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、酸化スズ、酸化インジウム、ITO等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。透光性であることが好ましく、透明電極としてはITOが好ましい。ITO透明電極の形成方法としては、マスク蒸着またはフォトリソパターニング等が使用できるが、これに限られるものではない。
また、第二電極である陰極として使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数をもつものが適しており、マグネシウム、アルミニウム等。合金としては、マグネシウム/銀、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられる。また、その形成方法は、マスク蒸着、フォトリソパターニング、メッキ、印刷等が使用できるが、これに限られるものではない。
また、本発明において、帯状の可撓性支持体としては、透明性樹脂フィルムが用いられる。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等のフィルムが挙げられる。
またこれら支持体上にガスバリア層を形成したガスバリアフィルムを用いることが好ましい。ガスバリア層としては例えば、厚み数nm〜数百nmの酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等透湿度の低い材料からなる水分透過率が小さい薄膜が挙げられる。
本発明で用いられる封止フィルムとしては、水分透過率が小さいガスバリア性の樹脂フィルムであることが好ましい。これらのフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン等の上記可撓性支持体として挙げられたフィルム上に透明な厚み数nm〜数百nmの酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等透湿度の低い材料からなる薄膜を形成したフィルム、また、ガスバリア性の被膜である、アルミナ蒸着膜等を形成したフィルム、等が挙げられる。例えば、金属蒸着フィルムである凸版印刷製、GXフィルム、テックバリア(三菱樹脂)等のシリカ蒸着フィルム、また、アルミナ蒸着フィルム等ガスバリア層を形成した上記フィルム等を用いることができる。
封止に用いる接着剤としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂等からなるUV硬化型接着剤組成物を用いることができ、例えば、ナガセケムテック(株)製、UVレジン XNR5516等のUV硬化型接着剤(樹脂)を用いることができる。また、勿論、熱接着型樹脂でもよい。
以下、実施例により、本発明の非接触巻取り体の製造方法及び該非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子について具体的に説明する。
《有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造》:本発明
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子1は、以下に示す製造工程(1)、(2)及び(3)により製造した。尚、製造工程(2)については、図2の2a、製造工程(3)については、図2の2bを適宜参照しながら説明する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子1は、以下に示す製造工程(1)、(2)及び(3)により製造した。尚、製造工程(2)については、図2の2a、製造工程(3)については、図2の2bを適宜参照しながら説明する。
以下、製造工程(1)、(2)及び(3)について順次詳細に説明する。
《製造工程(1):ITO電極パターンを有するロール状PENフィルムの製造》
ITO電極パターンを有するロール状PENフィルム(帯状可撓性支持体A)を下記のようにして製造した。
ITO電極パターンを有するロール状PENフィルム(帯状可撓性支持体A)を下記のようにして製造した。
先ず、幅700mm、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PENフィルム)を準備し、準備したPENフィルム上に、大気圧プラズマ放電処理法で、トータルの膜厚で約90nmの酸化珪素からなる低密度層、中密度層、高密度層、中密度層のユニットを3層積層した透明ガスバリア性フィルムを作製した。
得られた透明ガスバリア性フィルムをJIS K 7129−1992に準拠した方法により水蒸気透過度を測定した結果、10−3g/(m2・24h)以下であった。JIS K 7126−1987に準拠した方法により酸素透過度を測定した結果、10−3ml/(m2・24hr・MPa)以下であった。
次に、ロールツーロールの真空チャンバー内に元巻きを導入し、スパッタ装置(図示していない)を用いて、アルゴン雰囲気下で、ITO膜を130nm成膜して、透明導電膜を形成した。このITO膜の表面比抵抗は、40Ω/□であった。
次に、ITO膜の形成された面に、幅方向670mm、長手方向720mmの長方形の領域に紫外光で重合するフォトリソグラフ用の樹脂をパターン塗布し、90℃の乾燥炉を通過させたのち、位置を合わせ露光後、搬送しながら、現像、エッチング、アルカリ処理を経て、イオン交換水で洗浄後、清浄な空気を吹き付けて、十分乾燥したのち、巻き取った。
各透明導電膜パターンの間隔は、後述する本発明の非接触巻取り体の製造方法に用いられるロールツーロール真空成膜装置の各真空室(チャンバー)に差圧を形成するための挟持型ゲートバルブで挟み込まれる部分を予め確保するため60mmずつ距離をおいた。
《製造工程(2):非接触巻取り体8gの作製》
次いで、図2の2aの製造工程に示すように、上記の電極パターンを作製したロール状PENフィルムA(帯状可撓性支持体A)上に、下記に示すように正孔輸送層の形成工程4、発光層の形成工程5、電子輸送層の形成工程6により、有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)の塗布形成を行ない、次いで、有機機能層を有するロール状PENフィルム(帯状可撓性支持体A)面の裏面側に非接触部材7a(片面にエンボス状の突起形状を複数設けたテープ状フィルムを用いた)を貼合した後、非接触巻取り体8gを作製した。
次いで、図2の2aの製造工程に示すように、上記の電極パターンを作製したロール状PENフィルムA(帯状可撓性支持体A)上に、下記に示すように正孔輸送層の形成工程4、発光層の形成工程5、電子輸送層の形成工程6により、有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)の塗布形成を行ない、次いで、有機機能層を有するロール状PENフィルム(帯状可撓性支持体A)面の裏面側に非接触部材7a(片面にエンボス状の突起形状を複数設けたテープ状フィルムを用いた)を貼合した後、非接触巻取り体8gを作製した。
(正孔輸送層の形成工程4)
先ず、正孔輸送層の形成工程4において正孔輸送層を形成した。
先ず、正孔輸送層の形成工程4において正孔輸送層を形成した。
図2の2aに示す正孔輸送層の形成工程4においては、ITO電極パターンを有するロール状PENフィルム(帯状可撓性支持体A)を保持するバックアップロール4aと、バックアップロール4aに保持された帯状可撓性支持体Aに正孔輸送層形成用塗布液を塗布する第一湿式塗布機4bと、帯状可撓性支持体A上の第一電極上に形成された正孔輸送層の溶媒を除去する第一乾燥装置4cと、溶媒が除去された正孔輸送層を加熱する第一加熱処理装置4dとを有している。ここで帯電防止手段を設けてもよいが図では省略されている。
正孔輸送層形成用塗布液としては、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノールで5%希釈した溶液を調製した。
正孔輸送層形成用塗布液の表面張力は40mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3)であった。
図2、2aにおいて、ITO電極(第一電極ともいう)が形成されたロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)に帯電除去処理を施した後、PENフィルムの有効画素上のみに、発光層形成用塗布液を温度25℃で、第一湿式塗布機4bにより乾燥後の厚みが30nmになるように成膜した。尚、第一湿式塗布機としては、インクジェット塗布機を使用した。
塗布後、正孔輸送層形成用塗布液の溶媒を除去する第一乾燥装置4cと、溶媒が除去された正孔輸送層を加熱する第一加熱処理装置4dを使用して、第一乾燥装置4cではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/秒、幅手の風速分布5%、温度120℃で溶媒を除去した後、引き続き、第一加熱処理装置4dにより温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
尚、搬送速度は、3m/分とした。
(発光層の形成工程5)
図2の2aに示す発光層形成工程5においては、バックアップロール5aに保持された正孔輸送層を有するロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)に発光層形成用塗布液を塗布する第二湿式塗布機5bと、発光層中の溶媒を除去する乾燥装置5cと、溶媒が除去された発光層を加熱する加熱処理装置5dとを有している。ここでも前記同様の帯電防止手段を用いてよいが省略されている。
図2の2aに示す発光層形成工程5においては、バックアップロール5aに保持された正孔輸送層を有するロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)に発光層形成用塗布液を塗布する第二湿式塗布機5bと、発光層中の溶媒を除去する乾燥装置5cと、溶媒が除去された発光層を加熱する加熱処理装置5dとを有している。ここでも前記同様の帯電防止手段を用いてよいが省略されている。
第二湿式塗布機5bは第一湿式塗布機4bと同じ型式のものが好ましい。
ここで、発光層形成用塗布液として、溶媒であるトルエンに対してホストであるジカルバゾール誘導体(CBP)を1質量%、ドーパントであるイリジウム錯体(Ir(ppy)3)を0.05質量%の比率で溶解させたものを調製した。
発光層形成用塗布液の表面張力は25℃で28mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3を使用)であった。
上記で得られた正孔輸送層が形成されたロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)に帯電除去処理(図示せず)した後、PENフィルムの有効画素上のみに、発光層形成用塗布液を温度25℃で、正孔輸送層形成工程で用いた第一湿式塗布機と同様のインクジェット塗布機を第二湿式塗布機5bを使用して乾燥膜厚が50nmになるように塗布した。
塗布後、正孔輸送層塗膜の乾燥及び加熱処理に使用したのと同様に、発光層形成用塗布液の溶媒を除去する第二乾燥装置5c及び溶媒が除去された発光層を加熱する第二加熱処理装置5dを使用し、第二乾燥装置5cではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/秒、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、第二加熱処理装置5dにより温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、発光層を形成した。
(電子輸送層の形成工程6)
図2の2aに示す電子輸送層形成工程6においても、バックアップロール6aに保持された正孔輸送層、発光層を有するロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)に電子輸送層形成用塗布液を塗布する第三湿式塗布機6bと、発光層上に形成された電子輸送層の溶媒を除去する第三乾燥装置6cと、溶媒が除去された電子輸送層を加熱する第三加熱処理装置6dとを有している。また、同様に帯電防止手段を用いてよい。
図2の2aに示す電子輸送層形成工程6においても、バックアップロール6aに保持された正孔輸送層、発光層を有するロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)に電子輸送層形成用塗布液を塗布する第三湿式塗布機6bと、発光層上に形成された電子輸送層の溶媒を除去する第三乾燥装置6cと、溶媒が除去された電子輸送層を加熱する第三加熱処理装置6dとを有している。また、同様に帯電防止手段を用いてよい。
尚、電子輸送層形成用塗布液として、溶媒である乳酸エチルに対して2−(4−ビフェニリル)−5−(p−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu−PBD)を1質量%で溶解させたものを調製した。
電子輸送層形成用塗布液の表面張力は25℃で29mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3を使用)であった。
発光層が形成されたロール状のPENフィルム(帯状可撓性支持体A)を帯電除去処理(図示していない)した後、ロール状PENフィルム(帯状可撓性支持体A)の有効画素上のみに、電子輸送層形成用塗布液を乾燥膜厚が30nmになるように塗布した。
塗布後、発光層塗膜の乾燥及び加熱処理に使用したのと同様に、電子輸送層形成用塗布液の溶媒を除去する第三乾燥装置6c及び溶媒が除去された電子輸送層を加熱する第三加熱処理装置6dを使用し、第三乾燥装置6cではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/秒、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、第三加熱処理装置6dにより温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
(非接触部材7aの貼合工程7)
非接触部材7a(片面にエンボス状の突起形状を複数設けたテープ状フィルムを用いた)の形成工程7は、帯状可撓性支持体Aと非接触部材7aとの貼合工程(貼着工程ともいう)であり、具体的には、圧着ロール7cで構成される貼合部(貼着部ともいう)で、電子輸送層が形成されている帯状可撓性支持体Aの面の裏面側に、ロール7bから供給された非接触部材7aとが圧着、貼合されて帯状可撓性支持体Bが形成され、次工程の非接触巻取り体8gの形成工程に搬送される。
非接触部材7a(片面にエンボス状の突起形状を複数設けたテープ状フィルムを用いた)の形成工程7は、帯状可撓性支持体Aと非接触部材7aとの貼合工程(貼着工程ともいう)であり、具体的には、圧着ロール7cで構成される貼合部(貼着部ともいう)で、電子輸送層が形成されている帯状可撓性支持体Aの面の裏面側に、ロール7bから供給された非接触部材7aとが圧着、貼合されて帯状可撓性支持体Bが形成され、次工程の非接触巻取り体8gの形成工程に搬送される。
非接触部材7aの形成工程7は、挟時型ゲートバルブGa、Gbを備えたチャンバーCha内で行われ、チャンバーCha内の雰囲気は窒素ガス雰囲気に調整した。
尚、チャンバーCha内の雰囲気としては、窒素ガス雰囲気に限定されず、例えば、その他の不活性ガス雰囲気(アルゴンガス、キセノンガス、ラドンガス等)、減圧条件(例えば、10−6Pa〜10−2Pa等の範囲が好ましい)に調整してもよい。
(非接触巻取り体8g(非接触巻取り部材8g)の形成工程8)
非接触巻取り体8gの形成工程8において、貼合工程7で形成された帯状可撓性支持体Bは、挟持型ゲートバルブGb、Gcを備えたチャンバーChb内で、帯状可撓性支持体B上の有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)を内側に、且つ、非接触部材7aが外側になるようにして巻芯に巻取られ、非接触巻取り体8gが形成される。
非接触巻取り体8gの形成工程8において、貼合工程7で形成された帯状可撓性支持体Bは、挟持型ゲートバルブGb、Gcを備えたチャンバーChb内で、帯状可撓性支持体B上の有機機能層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)を内側に、且つ、非接触部材7aが外側になるようにして巻芯に巻取られ、非接触巻取り体8gが形成される。
尚、チャンバーChb内の雰囲気は、非接触巻取り体8gの形成時には、上記の貼合工程7と同様に窒素ガス雰囲気で行った。
尚、図2の7に示す帯状可撓性基板7aとしては、幅方向の両側の端部に突起形状を複数有する帯状可撓性基板、または、基板の片面または両面の幅方向の両側の端部に突起形状を複数有する帯状可撓性基板のいずれをも用いることができる。
巻取られた帯状可撓性支持体B(ロール状PENフィルム)は、一旦、収納箱(図示していない)に保管されるときには、減圧下(10−6Pa〜10−2Pa)に収納されることが好ましい。
また、適宜、必要に応じて温度調整をかけても良く、収納箱中の収納期間は1時間〜200時間が好ましい。これにより、素子劣化の原因となる酸素、微量水分、微量の残留溶媒等が取り除かれる。
《製造工程(3):非接触巻取り体14の作製》
(電子注入層及び陰極の作製)
続いて、図2に示す真空成膜工程2bにおいて、非接触部材7aを設けた後に巻取られた帯状可撓性支持体B(ロール状PENフィルムBともいう)は、ここで、非接触部材7aを剥離(図示していない)した後、供給部9から、帯状可撓性支持体Bを、プロセス圧力置換工程として設けられたチャンバーCh1、Ch2を経由しながら、大気圧環境から真空環境(5.0×10−4Pa)への移行を行いながら搬送される。
(電子注入層及び陰極の作製)
続いて、図2に示す真空成膜工程2bにおいて、非接触部材7aを設けた後に巻取られた帯状可撓性支持体B(ロール状PENフィルムBともいう)は、ここで、非接触部材7aを剥離(図示していない)した後、供給部9から、帯状可撓性支持体Bを、プロセス圧力置換工程として設けられたチャンバーCh1、Ch2を経由しながら、大気圧環境から真空環境(5.0×10−4Pa)への移行を行いながら搬送される。
次いで、電子注入層の形成工程10でフッ化リチウム(0.5nm)をマスク蒸着し、電子輸送層上に電子注入層を設けた。
更に、陰極の形成工程11において、電子注入層上にアルミニウムを110nmマスク蒸着して陰極(第二電極ともいう)を作製した。
尚、電子注入層の形成〜陰極の形成において、プロセス圧力置換工程における各チャンバーCh1、Ch2は、挟持型ゲートバルブ(排気ポンプ)(G1、G2、G3)の各々シークェンシャルな動作により、適切な状態となるよう維持され、各工程のプロセス圧力は適切に保たれるようにし、本実施例では、真空成膜工程2bにおいて、電子注入層の形成工程10、陰極の形成工程11における圧力条件は、5.0×10−4Paに調整した。
(非接触部材12bを有する帯状可撓性支持体Cの作製)
続いて、非接触部材の形成工程12に移行し、圧着ロール12b2で構成される貼合部(貼着部ともいう)で、ロール12b1から供給された非接触部材12b(具体的には、片面にエンボス状の突起形状を複数設けたテープ状フィルムを用いた)と帯状可撓性支持体Bの陰極上に、非接触部材12bを圧着・貼合させて、帯状可撓性支持体Cを作製した。
続いて、非接触部材の形成工程12に移行し、圧着ロール12b2で構成される貼合部(貼着部ともいう)で、ロール12b1から供給された非接触部材12b(具体的には、片面にエンボス状の突起形状を複数設けたテープ状フィルムを用いた)と帯状可撓性支持体Bの陰極上に、非接触部材12bを圧着・貼合させて、帯状可撓性支持体Cを作製した。
尚、帯状可撓性支持体Cの具体的な形状は、帯状可撓性支持体Bの幅方向の両側の端部にエンボス状の突起形状を複数有するテープ状フィルム(非接触部材12bの一例である)を圧着・貼合させて得られたものである。
ここで、非接触部材12bの圧着・貼合が行われるチャンバーCh4内の圧力は、5.0×10−4Paに調整した。
ここで、エンボス状の突起形状とは、図3に示すように、四角錐状の凸部76を複数備えるパターン72bを有する部材を挙げることができる。
本発明に係る非接触部材12bの一例であるテープ状フィルムは、この凸部76により帯状可撓性支持体C(ロール状PENフィルムCともいう)同士の接触を効果的に防止することができる。
また、四角錐状の各凸部76同士の斜面の間に隙間が生じるため、この隙間を気体G(例えば、空気でもよく、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス、キセノンガス等)が通ることが可能であり、帯状可撓性支持体C(ロール状PENフィルム)の幅方向Wの通気性が確保される。
(非接触巻取り体14の作製)
次いで、非接触巻取り体の形成工程13において、チャンバーCh4内で非接触巻取り体14を作製後、下記に示す(a)第1の圧力調整工程、(b)第2の圧力工程を経て、非接触巻取り体として、ロール状の本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子1を製造した。
次いで、非接触巻取り体の形成工程13において、チャンバーCh4内で非接触巻取り体14を作製後、下記に示す(a)第1の圧力調整工程、(b)第2の圧力工程を経て、非接触巻取り体として、ロール状の本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子1を製造した。
尚、非接触巻取り体14の巻取りが行われる前のチャンバーCh4内の圧力は、5.0×10−4Paに調整した。
(a)第一の圧力調整工程(スローリークともいう)
帯状可撓性支持体Cの巻取りが行われる際のチャンバーCh4内の圧力真空成膜時の圧力5.0×10−4Paから、1.0×10−2Pa/秒の速度でチャンバーCh4内の圧力を5Paに調整した。
帯状可撓性支持体Cの巻取りが行われる際のチャンバーCh4内の圧力真空成膜時の圧力5.0×10−4Paから、1.0×10−2Pa/秒の速度でチャンバーCh4内の圧力を5Paに調整した。
(b)第2の圧力調整工程(ファストリークともいう)
5Paに調整されたチャンバーCh4の圧力5Paから、5.0×102Pa/秒の速度でチャンバーCh4内の圧力を1.013×105Pa(約10万Paであり、本発明における大気圧を示す。)にまで大気開放(大気置換)した。
5Paに調整されたチャンバーCh4の圧力5Paから、5.0×102Pa/秒の速度でチャンバーCh4内の圧力を1.013×105Pa(約10万Paであり、本発明における大気圧を示す。)にまで大気開放(大気置換)した。
尚、巻き取られたロール状の有機エレクトロルミネッセンス素子(帯状可撓性支持体C)は、性能維持、ダークスポット(未発光部分)等を考慮し、酸素濃度1ppm〜100ppm、水分濃度1ppm〜100ppmの環境下に保管することが好ましい。
《有機エレクトロルミネッセンス素子2の製造》:比較例
有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造において、第一の圧力調整工程(スローリーク)の速度を1.0×10−2Pa/秒、第二の圧力調整工程(ファストリーク)の速度を1.0Pa/秒に調整した以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子2を製造した。
有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造において、第一の圧力調整工程(スローリーク)の速度を1.0×10−2Pa/秒、第二の圧力調整工程(ファストリーク)の速度を1.0Pa/秒に調整した以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子2を製造した。
《有機エレクトロルミネッセンス素子3の製造》:比較例
有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造において、第一の圧力調整工程(スローリーク)の速度を1.0×10−2Pa/秒、第二の圧力調整工程(ファストリーク)の速度を6.0×102Pa/秒に調整した以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子3を製造した。
有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造において、第一の圧力調整工程(スローリーク)の速度を1.0×10−2Pa/秒、第二の圧力調整工程(ファストリーク)の速度を6.0×102Pa/秒に調整した以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子3を製造した。
《有機エレクトロルミネッセンス素子4の製造》:比較例
有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造において、第一の圧力調整工程(スローリーク)の速度を1.0×10−2Pa/秒、第二の圧力調整工程(ファストリーク)の速度を1.0×103Pa/秒に調整した以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子2を製造した。
有機エレクトロルミネッセンス素子1の製造において、第一の圧力調整工程(スローリーク)の速度を1.0×10−2Pa/秒、第二の圧力調整工程(ファストリーク)の速度を1.0×103Pa/秒に調整した以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子2を製造した。
《擦り傷の評価》
非接触巻取り体として得られたロール状の有機エレクトロルミネッセンス素子1〜4の各々について、下記に示すように、素子の最表面に位置する陰極(第二電極)の擦り傷発生を評価した。
非接触巻取り体として得られたロール状の有機エレクトロルミネッセンス素子1〜4の各々について、下記に示すように、素子の最表面に位置する陰極(第二電極)の擦り傷発生を評価した。
非接触巻取り体として得られたロール状の有機エレクトロルミネッセンス素子1〜4の各々について、巻き始めから10mの箇所から30cm×30cmの試料を10枚サンプリングし、8倍のルーペにより目視で長さ100μmの擦り傷の数を計測した。
10枚の擦り傷の数の平均値を計測し、擦り傷を以下に示す評価方法によりランク評価を行った。
(擦り傷の評価ランク)
○:擦り傷の数の平均値数が5個未満
△:擦り傷の数の平均値数が5個以上、10個未満
×:擦り傷の数の平均値数が10個以上
得られた結果を下記に示す。
○:擦り傷の数の平均値数が5個未満
△:擦り傷の数の平均値数が5個以上、10個未満
×:擦り傷の数の平均値数が10個以上
得られた結果を下記に示す。
有機EL素子No. 擦り傷評価 備考
1 ○ 本発明
2 ○ 比較例(※1:大気圧開放まで約28時間)
3 △ 比較例
4 × 比較例
上記から、本発明の有機EL素子1は、陰極(第二電極)上の擦り傷発生がなく、巻取り工程及び大気解放工程において、非接触部材を用いて巻取り体を用いていることにより、非接触巻取り体の製造持に、素子表面(陰極)への物理的なダメージがないことがあきらかである。
1 ○ 本発明
2 ○ 比較例(※1:大気圧開放まで約28時間)
3 △ 比較例
4 × 比較例
上記から、本発明の有機EL素子1は、陰極(第二電極)上の擦り傷発生がなく、巻取り工程及び大気解放工程において、非接触部材を用いて巻取り体を用いていることにより、非接触巻取り体の製造持に、素子表面(陰極)への物理的なダメージがないことがあきらかである。
一方、比較に有機EL素子3及び4は、素子表面(陰極)への擦り傷発生が多く、結果として、陰極の下層に位置する有機機能層への水分、酸素等による劣化等が著しく、素子特性が著しく劣化していることがわかった。
また、比較の有機EL素子2は、陰極表面の擦り傷評価は良好であるが、スローリーク〜ファストリークによる大気圧開放までに、28時間と極めて長時間を要するために、有機EL素子生産の観点からは実用的でないことがわかった。
本発明の非接触巻取り体の製造方法では、スローリークからファストリークによる大気圧開放までの時間として、実用的な生産効率の観点からは、数分〜数時間の範囲が実用の範囲である。
尚、ロール状の巻取り体として製造された本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子1を実際に素子として使用する際には、別途断裁工程における打ち抜き装置(図示していない)を用いて、有機エレクトロルミネッセンス素子1(帯状可撓性支持体C)に付けられたアラインメントマーク(図示せず)を検出し、アラインメントマークの位置に従って断裁、打ち抜いたものが使用される等が一例として挙げられる。
ここで、打ち抜いて得られた有機EL素子の一例を図4に示す。
図4は、ロール状の有機EL素子1を打ち抜いて得られた素子の一例を示す概略図である。但し、図4においては、素子の表面または周囲を接着剤層108と封止フィルム109とを貼合した状態の素子を示し、上記で得られた有機EL素子1〜4の素子特性を評価するにあたっては、素子を封止フィルム109により封止した状態で評価した。
尚、図4において、101はPENフィルムである基材、102はITOからなる第一電極(陽極)を、102aは第一電極用取り出し電極を、103〜105は正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び正孔注入層からなる有機層を、106はアルミニウムからなる第二電極(陰極)を、106aは第二電極用取り出し電極、108は接着剤層、109は封止フィルム(ガスバリア層形成済みのPENフィルム)である。
裁断された有機EL素子1は、発光輝度、素子寿命(評価方法は記載せず)が共に良好であったが、ロール状の有機EL素子3、4(比較例)については、発光輝度、素子寿命共に実用レベルに達しなかった。
比較の有機EL素子3、4が、発光輝度、素子寿命共に実用レベルに達しなかった理由としては、陰極(第二電極)の表面に発生した擦り傷により、下層の有機層(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)等への物理的ダメージにより、素子の特性が著しく劣化したものと本発明者らは推定している。
1a、1b 有機EL素子
101 基材
102 第一電極
103 正孔輸送層
104 発光層
105 電子注入層
106 第二電極
107 封止層
108 接着剤層
109 封止フィルム
2a、2b 有機EL素子の製造工程
3 供給工程
4 正孔輸送層の形成工程
5 発光層の形成工程
6 電子輸送層の形成工程
7 非接触部材の形成工程
8 巻取り工程
9 供給部
10 電子注入層形成工程
11 第二電極形成工程(陰極形成工程)
12 非接触部材の形成工程
101 基材
102 第一電極
103 正孔輸送層
104 発光層
105 電子注入層
106 第二電極
107 封止層
108 接着剤層
109 封止フィルム
2a、2b 有機EL素子の製造工程
3 供給工程
4 正孔輸送層の形成工程
5 発光層の形成工程
6 電子輸送層の形成工程
7 非接触部材の形成工程
8 巻取り工程
9 供給部
10 電子注入層形成工程
11 第二電極形成工程(陰極形成工程)
12 非接触部材の形成工程
Claims (2)
- 5.0×10−4Pa以下の圧力条件に保たれた真空容器の内部で、基板の端部に直接突起形状を複数設ける工程、または、少なくとも片面に突起形状を複数設けたテープ状フィルムを該基板の両端に共巻する工程を有し、次いで、前記真空容器を前記圧力条件〜大気圧条件に大気開放する工程を有する非接触巻取り体の製造方法において、
該大気開放する工程が、真空状態から1.0×10−3Pa/秒〜0.1Pa/秒の速度で1Pa〜10Paの圧力範囲に装置内を調整する第1の圧力調整工程と、次いで、1.0×101Pa/秒〜5.0×102Pa/秒以下の速度で大気開放する第2の圧力調整工程を有することを特徴とする非接触巻取り体の製造方法。 - 請求項1に記載の非接触巻取り体の製造方法により製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010130807A JP2011258684A (ja) | 2010-06-08 | 2010-06-08 | 非接触巻取り体の製造方法及び該非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子 |
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JP2010130807A JP2011258684A (ja) | 2010-06-08 | 2010-06-08 | 非接触巻取り体の製造方法及び該非接触巻取り体の製造方法を用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014116224A (ja) * | 2012-12-11 | 2014-06-26 | Konica Minolta Inc | 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 |
JP2014148724A (ja) * | 2013-02-01 | 2014-08-21 | Toray Eng Co Ltd | 薄膜形成装置 |
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2010
- 2010-06-08 JP JP2010130807A patent/JP2011258684A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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