JP2011256431A - 過塩素酸塩の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】陽極4が設けられる陽極側と陰極5が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜6で仕切られ、陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解槽を備える過塩素酸塩の製造装置であって、陽極4は、所定のメッシュ目のサイズを有する第1網状電極41aと該所定のメッシュ目のサイズよりも大きなメッシュ目のサイズを有する第2網状電極41bとを積層した多層電極からなり、第1網状電極41aが陽イオン交換膜6に接する向きで、陽イオン交換膜6が陽極4と陰極5との間において挟み込まれている電解槽を備えるという構成を採用する。
【選択図】図3
Description
ここで、過塩素酸塩の製造方法としては、非特許文献1や非特許文献2に詳しく記述されているように、工業的には塩化ナトリウム水溶液の電解酸化により合成した塩素酸ナトリウム水溶液を更に電解酸化して過塩素酸ナトリウムを合成した後、所定の処理を経て製造される。そこで、これまでの従来技術では、例えば特許文献1や特許文献2に記載に記載されているように、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)水溶液を効率的に電解酸化するための方法に焦点が当てられてきた。
しかし、この製造方法においては、上記過塩素酸の電解酸化に際して、消費電力が大きいという課題がった。
また、塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液を前記電解酸化する場合には、上記陽極は、酸化イリジウム及び酸化ルテニウムからなる触媒層を基体表面に被覆した上記多層電極からなるという構成を採用する。
また、本発明においては、特に塩化ナトリウム水溶液を電解酸化する場合に酸素ガスの発生を抑える効果がある、酸化イリジウム及び白金からなる触媒層、あるいは、酸化イリジウム及び酸化ルテニウムからなる触媒層、あるいは、酸化イリジウム及び酸化ルテニウム及び白金からなる触媒層、あるいは、酸化タンタル及び白金からなる触媒層で、被覆した多層電極を用いて陽極を構成することで、陽極側における酸素ガスの発生を抑えて反応効率を高めることできる。
一次電解槽1は、陽極4が設けられる陽極側4Aと、陰極5が設けられる陰極側5Aとを仕切るように設けられた陽イオン交換膜6を有する。一次電解槽1は、後述する電解酸化により、陽極側溶液(アノード液)が強酸性に、陰極側溶液(カソード液)が強アルカリ性となるため、一次電解槽1の本体には、耐化学薬品安定性に優れたもの、例えばテフロン(デュポン(株)、登録商標)や塩化ビニル、ガラスを使用することが望ましい。また、配管の継ぎ手についても、耐化学薬品安定性に優れたもの、例えばテフロン(デュポン(株)、登録商標)を用いることが望ましい。
陽極4は、陽極側4Aにおける塩素酸イオンの電解酸化反応の促進を図るため触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる複数の網状電極(本実施形態では第1網状電極41a及び第2網状電極41bの2つ)を積層した多層電極からなる。この多層電極は、第1網状電極41aと第2網状電極41bとをスポット溶接により固定してなる。陽極4は、第2網状電極41b側で電極支持体7とスポット溶接で固定されて支持される。本実施形態の電極支持体7は、複数の開口を備えるチタンパンチングメタルを用いており、この開口が、陽極4にアノード液を供給する供給路及び陽極4で発生したガスを排出する排出路として機能する。陽極4の第1網状電極41a側(1層目側)は、陽イオン交換膜6と接して配置される。
この第1網状電極41aと第2網状電極41bで構成される陽極4は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、酸素ガスの発生を抑える効果のある、焼成法により酸化イリジウム及び白金からなる触媒層で被覆した多層電極、あるいは、焼成法により酸化イリジウム及び酸化ルテニウムからなる触媒層で被覆した多層電極、あるいは、焼成法により酸化イリジウム及び酸化ルテニウム及び白金からなる触媒層で被覆した多層電極、あるいは、焼成法により酸化タンタル及び白金からなる触媒層で被覆した多層電極から構成される。
この第1網状電極51aと第2網状電極51bで構成される陰極5は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を電解メッキにより白金の触媒層で被覆した多層電極、または、ニッケルエキスパンドメタルからなる多層電極から構成される。
2Cl− → Cl2+2e− …(1)
2H2O → O2+4H++4e− …(2)
ここで発生した塩素ガスにより、下記の反応式(3)、反応式(4)に示す平衡反応が生じる。この平衡反応は、水溶液のpH及び温度によりその形態が変化する。
Cl2+H2O ⇔ H++Cl−+HClO …(3)
HClO ⇔ H++ClO− …(4)
ClO−+H2O → ClO2 −+2H++2e− …(5)
HClO+H2O → HClO2 −+2H++2e− …(6)
生成された亜塩素酸を更に電解酸化すると、下記の反応式(7)、反応式(8)に示す反応により塩素酸が生成される。
ClO2 −+H2O → ClO3 −+2H++2e− …(7)
HClO2+H2O → HClO3 −+2H++2e− …(8)
ここで、陽極側4Aの液中に含まれるナトリウムイオンは、両極間の電位差によって陽イオン交換膜6を通過して陽極側4Aから陰極側5Aに移動する。一方、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオンは陽イオン交換膜6を通過できず、水溶液‐陽極4‐陽イオン交換膜6で構成される三界面での反応により塩素酸イオンとなる。
このように陽極側4Aの反応効率が高まると、アノード液中に十分な量の塩素酸イオンを生成するための総電解時間が短縮されるため、消費電力を低く抑えることが可能となる。
また、発生した酸素ガスは配管27bを介してアノード液タンク4Bへと順次排出されるために、陽極側電解槽2Aの底部から配管27aを介してアノード液タンク4Bからアノード液が順次導入される。従って、アノード液は、ポンプ等の駆動機構によらずに陽極側電解槽2Aとアノード液タンク4Bとの間で循環することとなる。
2H++2e− → H2 …(9)
2Na++2H2O+2e− → 2NaOH+H2 …(10)
なお、陰極側電解槽2Bで生じた水素ガス(気泡)は、配管28bを介してカソード液タンク5Bに導かれる。カソード液タンク5Bの天部には水素ガス配管24が設けられており、水素ガス配管24を介して水素ガスが外部に順次排気される。また、陽極側4Aにおいてアノード液が循環することと同様に、陰極側5Aにおいても、カソード液の循環作用が得られる。
二次電解槽2は、一次電解槽1で塩素酸イオンを生成したアノード液を電解酸化して過塩素酸を生成する。
なお、以下説明する二次電解槽2の構成は、重複説明を避けるため、上述の一次電解槽1と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
陽極4´は、陽極側4Aにおける塩素酸イオンの電解酸化反応の促進を図るため触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる複数の網状電極を積層した多層電極からなる。この多層電極は、上述したように、メッシュ目のサイズの異なる2枚の網状電極をスポット溶接により積層して、メッシュ目のサイズが小さい網状電極側が陽イオン交換膜6と接して配置される。
二次電解槽2の陽極4´は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、電解メッキにより白金の触媒層で被覆した多層電極から構成される。
二次電解槽2の陰極5´は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、電解メッキにより白金の触媒層で被覆した多層電極、または、SUS316エキスパンドメタルからなる多層電極、または、ニッケルエキスパンドメタルからなる多層電極から構成される。
ClO3 −+H2O → ClO4 −+2H++2e− …(11)
2H2O → O2+4H++4e− …(12)
3H2O → O3+6H++6e− …(13)
ここで、一次電解においてアノード側へと移動しなかった陽極側4Aのアノード液中に含まれる残留ナトリウムイオンは、両極間の電位差によって陽イオン交換膜6を通過して陽極側4Aから陰極側5Aに移動する。一方、塩素酸イオンは陽イオン交換膜6を通過できず、水溶液‐陽極4´‐陽イオン交換膜6で構成される三界面で反応式(11)に示す反応により過塩素酸イオンとなる。
このように陽極側4Aの反応効率が高まると、アノード液中に十分な量の過塩素酸イオンを生成するための総電解時間が短縮されるため、消費電力を低く抑えることが可能となる。
2H++2e− → H2 …(14)
2Na++2H2O+2e− → 2NaOH+H2 …(15)
十分な量の過塩素酸イオンが生成されたアノード液は、弁25Aを閉状態から開状態にしたアノード液輸送配管25´を介してアノード液タンク4Bから反応・蒸発槽3に輸送される。一方、カソード液は、弁26Aを閉状態から開状態にしたカソード液輸送配管26を介してカソード液タンク5Bから外部に輸送される。
反応・蒸発槽3には、アンモニアガス供給配管31が接続されており、電解酸化後のアノード液中にアンモニアガスをバブリングする構成となっている。電解酸化後のアノード液中にアンモニアガスを添加すると、下記の反応式(16)に示す中和反応が生じ、過塩素酸アンモニウムが合成される。
HClO4+NH4OH → NH4ClO4+H2O …(16)
また、本実施形態によれば、陽極4´が設けられる陽極側4Aと陰極5´が設けられる陰極側5Aとが陽イオン交換膜6で仕切られ、陽極側4Aにおいて一次電解したアノード液を電解酸化する二次電解槽2を備える過塩素酸アンモニウム製造装置Aであって、陽極4´は、所定のメッシュ目のサイズを有する第1網状電極と該所定のメッシュ目のサイズよりも大きなメッシュ目のサイズを有する第2網状電極とを積層した多層電極からなり、第1網状電極が陽イオン交換膜6に接する向きで、陽イオン交換膜6が陽極4´と陰極5´との間において挟み込まれている二次電解槽2を備えるという構成を採用することによって、陽極側4Aにおける反応効率を高めて、消費電力を低く抑えることができる。
Claims (6)
- 陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られ、前記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解槽を備える過塩素酸塩の製造装置であって、
前記陽極は、第1層目に向かうに従ってメッシュ目のサイズが小さくなる順に、複数の網状電極を積層した多層電極からなり、
前記第1層目側が前記陽イオン交換膜に接する向きで、前記陽イオン交換膜が、前記陽極と前記陰極との間において挟み込まれている前記電解槽を備えることを特徴とする過塩素酸塩の製造装置。 - 前記陽極は、白金からなる触媒層を基体表面に被覆した前記多層電極からなることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸塩の製造装置。
- 前記陽極は、酸化イリジウム及び白金からなる触媒層を基体表面に被覆した前記多層電極からなることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸塩の製造装置。
- 前記陽極は、酸化イリジウム及び酸化ルテニウム及び白金からなる触媒層を基体表面に被覆した前記多層電極からなることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸塩の製造装置。
- 前記陽極は、酸化タンタル及び白金からなる触媒層を基体表面に被覆した前記多層電極からなることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸塩の製造装置。
- 塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液を前記電解酸化する場合、
前記陽極は、酸化イリジウム及び酸化ルテニウムからなる触媒層を基体表面に被覆した前記多層電極からなることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸塩の製造装置。
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