JP5459163B2 - 過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法 - Google Patents

過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法に関するものである。
過塩素酸アンモニウムは、コンポジット型固体燃料ロケットの酸化剤として利用され、宇宙開発の将来にとって有用な物質である。過塩素酸アンモニウムのような過塩素酸塩の製造方法としては、非特許文献1に詳しく記述されているように、工業的には塩化ナトリウム水溶液の電解酸化により合成した塩素酸ナトリウム水溶液を更に電解酸化して過塩素酸ナトリウムを合成した後、所定の処理を経て製造される。そこで、これまでの従来技術では、例えば特許文献1や特許文献2に記載に記載されているように、過塩素酸ナトリウム(NaClO)水溶液を効率的に電解合成するための方法に焦点が当てられてきた。
特開平3−199387号公報 特開2007−197740号公報 特開昭62−46194号公報
J. C. Schumacher(ed.), Perchlorates, A.C.S.Monograph No.146, Reinhold, New York, 1960
しかし、過塩素酸アンモニウムを製造するにあたり、必ずしも過塩素酸ナトリウムを経由する必要は無い。そこで、本願発明者らは、過塩素酸ナトリウムの製造を経由しないで製造工程を簡略化した過塩素酸アンモニウムの製造方法を考案した。この製造方法では、陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とを陽イオン交換膜で仕切った電解槽を用い、塩化ナトリウム水溶液等を陽極側で電解酸化して過塩素酸水溶液を生成すると共に、最終生成物の不純物となる陽極側に存在するナトリウムイオンを陽極側から陽イオン交換膜を介して陰極側に移動させて除去する。そして、この電解酸化で生成した過塩素酸水溶液にアンモニア水溶液を加えて、中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成した後、晶析工程において水分を蒸発させて過塩素酸アンモニウムの結晶を得る。
しかしながら、晶析工程において水分を蒸発除去する際、過塩素酸アンモニウム水溶液に過剰に存在するアンモニアが水分と共に排出されることになり、該水分を上記工程のいずれかで再利用するためには、何らかの形でアンモニアを除去する必要がある。アンモニアを除去する手法としては、陽イオン交換法(特許文献3参照)や塩沈殿法等があるが、設備費や薬品添加が必要となり、環境的・経済的な負担が生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、アンモニア除去処理の負担を低減させることができる過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られ、上記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解槽と、上記電解酸化により生成した上記陽極側の過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮装置と、上記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する中和槽と、を有する過塩素酸アンモニウムの製造装置を採用する。
また、本発明においては、上記濃縮装置は、過塩素酸のモル濃度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くなるまで上記濃縮させるという構成を採用する。
また、本発明においては、上記濃縮装置は、上記電解酸化により生成した上記陽極側の過塩素酸水溶液を貯溜すると共に天部に水分排気管が設けられた貯溜槽と、上記貯溜槽から抜き出した過塩素酸水溶液の一部を加熱すると共に上記貯溜槽の液面近傍に戻す加熱装置と、を有するという構成を採用する。
また、本発明においては、上記加熱装置は、上記貯溜槽の底部から上記過塩素酸水溶液の一部を抜き出すという構成を採用する。
また、本発明においては、陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られた電解槽を用いて、上記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解工程と、上記電解酸化により生成した上記陽極側の過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮工程と、上記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する中和工程と、を有する過塩素酸アンモニウムの製造方法を採用する。
本発明では、過塩素酸の溶解度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも大幅に高いことに鑑みて、電解酸化の後であって、アンモニアを添加する前に、過塩素酸水溶液の濃縮を行う。
また、本発明では、過塩素酸水溶液の濃縮において、過塩素酸のモル濃度を過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くさせた後、中和反応を行うことで、アンモニアの添加により過飽和状態となった過塩素酸アンモニウムを析出させて結晶を得る。
また、本発明では、過塩素酸水溶液を貯溜する貯溜層から溶液を一部抜き出して、加熱後、貯溜層の液面近傍に戻すことで、液面で水分の蒸発を促し、また、水分排気管からの排気を容易にさせて、濃縮の効率化を図る。さらに、本発明では、温度の低い貯溜層の底部から溶液を抜き出すことで、濃縮のさらなる効率化を図る。
従って、本発明によれば、アンモニアが添加される前の過塩素酸水溶液の状態で水分を除去し回収できるため、アンモニア除去処理を経ずに回収した水分を電解工程等に有効活用することができる。また、過塩素酸水溶液の液量を少なくさせることができるので、後の晶析工程において水分を蒸発除去する際にかかるエネルギーを抑制することができ、また、アンモニア除去処理の負担も低減させることができるので、環境性・経済性が向上する。
本発明の実施形態における過塩素酸アンモニウムの製造工程を示すフロー図である。 本発明の実施形態における過塩素酸アンモニウム製造装置の概略構成図である。 本発明の実施形態における一次電解槽の構成図である。 本発明の実施形態における二次電解槽の構成図である。 過塩素酸及び過塩素酸アンモニウムの溶解度曲線を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態における過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における過塩素酸アンモニウムの製造工程を示すフロー図である。図に示すように、本発明の過塩素酸アンモニウムの製造工程は、大きく分けて、一次電解工程S1、二次電解工程S2、濃縮工程S3、反応工程(中和工程)S4、晶析工程S5の5つの工程からなる。
一次電解工程S1は、塩化ナトリウム水溶液を電解酸化し、塩素酸を主成分とする水溶液を生成する工程である。次の二次電解工程S2は、一次電解工程S1により生成した塩素酸を主成分とする水溶液を電解酸化し、過塩素酸水溶液を生成する工程である。次の濃縮工程S3は、二次電解工程S2により生成した過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する工程である。その次の反応工程S4は、濃縮工程S3により生成した過塩素酸水溶液にアンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する工程である。最後の晶析工程S5は、中和反応後の水溶液を真空環境下において蒸発させ、過塩素酸アンモニウムを晶析させる工程である。
続いて、この製造工程を実施する過塩素酸アンモニウム製造装置について説明する。
図2は、本発明の実施形態における過塩素酸アンモニウム製造装置1の概略構成図である。図中のg、l、sの符号は、それぞれ気体、液体、固体の状態であることを示す。実施形態の過塩素酸アンモニウム製造装置1は、一次電解工程S1を行う一次電解槽10と、二次電解工程S2及び濃縮工程S3を行う二次電解槽20と、反応工程S4及び晶析工程S5を行う反応・蒸発槽(中和槽)30とを備えている。
図3は、本発明の実施形態における一次電解槽10の構成図である。
一次電解槽10は、陽極4が設けられる陽極側4Aと、陰極5が設けられる陰極側5Aとを仕切るように設けられた陽イオン交換膜6を有する。一次電解槽10は、後述する電解酸化により、陽極側溶液(アノード液)が強酸性に、陰極側溶液(カソード液)が強アルカリ性になるため、一次電解槽10の本体には、耐化学薬品安定性に優れたもの、例えばテフロン(デュポン(株)、登録商標)や塩化ビニル、ガラスを使用することが望ましい。また、配管の継ぎ手についても、耐化学薬品安定性に優れたもの、例えばテフロン(デュポン(株)、登録商標)を用いることが望ましい。
陽イオン交換膜6は、一次電解槽10内で陽極4と陰極5との間にギャップ無しで挟みこまれたゼロギャップ型の電解セルを構成する。この陽イオン交換膜6は、陽イオンが通過でき、且つ、陰イオンが通過できないという特性を有する膜であり、本実施形態では、陽イオン交換膜6にナフィオン424(Nafion、デュポン(株)、登録商標)が用いられている。なお、陽イオン交換膜としては、苛性ソーダ製造に広く用いられているAciplex(旭化成(株)、登録商標)やFlemion(旭硝子(株)、登録商標)を用いても良い。
陽極4は、陽極側4Aにおける塩素酸イオンの電解合成反応の促進を図るため触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる。本実施形態の陽極4は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、酸素ガスの発生を抑える効果のある、焼成法により酸化イリジウム及び白金からなる触媒層で被覆した電極、あるいは、焼成法により酸化イリジウム及び酸化ルテニウムからなる触媒層で被覆した電極、あるいは、焼成法により酸化イリジウム及び酸化ルテニウム及び白金からなる触媒層で被覆した電極、あるいは、焼成法により酸化タンタル及び白金からなる触媒層で被覆した電極から構成される。
一方、この陽極4と対となる陰極5は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を電解メッキにより白金の触媒層で被覆した電極、または、ニッケルエキスパンドメタルからなる電極から構成される。
陽極側4Aには、アノード液を貯溜するアノード液タンク4Bが設けられている(以下、電解槽10の陽極側4Aを陽極側電解槽2Aと称する)。アノード液タンク4Bと陽極側電解槽2Aとは、配管27a及び配管27bで接続されている。配管27aは、陽極側電解槽2Aの底部とアノード液タンク4Bの底部とを接続するものであり、配管27bは、陽極側電解槽2Aの天部とアノード液タンク4Bの側部とを接続するものである。なお、アノード液タンク4Bの底部には、アノード液の濃度を均一に保つための超音波振動子4B1を設ける。
一方、陰極側5Aには、カソード液を貯溜するカソード液タンク5Bが設けられる(以下、電解槽10の陰極側5Aを陰極側電解槽2Bと称する)。カソード液タンク5Bと陰極側電解槽2Bとは、配管28a及び配管28bで接続されている。配管28aは、陰極側電解槽2Bの底部とカソード液タンク5Bの底部とを接続するものであり、配管28bは、陰極側電解槽2Bの天部とカソード液タンク5Bの側部とを接続するものである。なお、カソード液タンク5Bの底部には、カソード液の濃度を均一に保つための超音波振動子5B1を設ける。
アノード液タンク4Bの天部にはアノード液導入配管21が接続されており、塩化ナトリウム水溶液がアノード液導入配管21を介して導入され、陽極側4A(陽極側電解槽2A、アノード液タンク4Bを含む)を満たす。
一方、カソード液タンク5Bの天部にはカソード液導入配管22が接続されており、純水がカソード液導入配管22を介して導入され、陰極側5A(陰極側電解槽2B、カソード液タンク5Bを含む)を満たす。
一次電解槽10の内部で各液にそれぞれ浸された陽極4及び陰極5の両極に電圧を印加すると、次のような反応が進行する。
陽極側4Aにおいては、塩化ナトリウム水溶液が電解酸化され、下記の反応式(1)、反応式(2)に示す反応が生じる。
2Cl → Cl+2e …(1)
2HO → O+4H+4e …(2)
ここで発生した塩素ガスにより、下記の反応式(3)、反応式(4)に示す平衡反応が生じる。この平衡反応は、水溶液のpH値によりその形態が変化する。
Cl+HO ⇔ H+Cl+HClO …(3)
HClO ⇔ H+ClO …(4)
この反応で生じた次亜塩素酸を電解酸化すると、下記の反応式(5)、反応式(6)に示す反応により亜塩素酸が生成される。
ClO+HO → ClO +2H+2e …(5)
HClO+HO → HClO +2H+2e …(6)
生成された亜塩素酸を更に電解酸化すると、下記の反応式(7)、反応式(8)に示す反応により塩素酸が生成される。
ClO +HO → ClO +2H+2e …(7)
HClO+HO → HClO +2H+2e …(8)
上記反応式(1)〜反応式(8)に示すように、一次電解工程では、塩素酸と副生成物として酸素ガスが生成される。
ここで、陽極側4Aの液中に含まれるナトリウムイオンは、両極間の電位差によって陽イオン交換膜6を通過して陽極側4Aから陰極側5Aに移動する。一方、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオンは陽イオン交換膜6を通過できず、水溶液‐陽極4‐陽イオン交換膜6で構成される三界面での反応により塩素酸イオンとなる。
なお、陽極側電解槽2Aで生じた酸素ガス(気泡)は、配管27bを介してアノード液タンク4Bに導かれる。アノード液タンク4Bの天部には酸素ガス配管23が設けられており、酸素ガス配管23を介して酸素ガスが外部に順次排気される。
また、発生した酸素ガスは配管27bを介してアノード液タンク4Bへと順次排出されるために、陽極側電解槽2Aの底部から配管27aを介してアノード液タンク4Bからアノード液が順次導入される。従って、アノード液は、ポンプ等の駆動機構によらずに陽極側電解槽2Aとアノード液タンク4Bとの間で循環することとなる。
陰極側5Aにおいては、下記の反応式(9)、反応式(10)に示す反応が生じ、水素ガスと水酸化ナトリウムとが生成される。
2H+2e → H…(9)
2Na+2HO+2e → 2NaOH+H…(10)
なお、陰極側電解槽2Bで生じた水素ガス(気泡)は、配管28bを介してカソード液タンク5Bに導かれる。カソード液タンク5Bの天部には水素ガス配管(水素ガス排気間)24が設けられており、水素ガス配管24を介して水素ガスが外部に順次排気される。また、陽極側4Aにおいてアノード液が循環することと同様に、陰極側5Aにおいても、カソード液の循環作用が得られる。
十分な量の塩素酸イオンが生成されたアノード液は、弁25Aを閉状態から開状態にしたアノード液輸送配管25を介してアノード液タンク4Bから二次電解槽20に輸送される。一方、カソード液は、弁26Aを閉状態から開状態にしたカソード液輸送配管26を介してカソード液タンク5Bから外部に輸送される。
図4は、本発明の実施形態における二次電解槽20の構成図である。
二次電解槽20は、一次電解槽10で生成した塩素酸を主成分とするアノード液を電解酸化して過塩素酸を生成する。その後、二次電解槽20では、生成した過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する。
なお、以下説明する二次電解槽20の構成は、重複説明を避けるため、上述の一次電解槽10と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
二次電解槽20において、陽イオン交換膜6は陽極4´と陰極5´との間にギャップ無しで挟みこまれたゼロギャップ型の電解セルを構成する。
陽極4´は、陽極側4Aにおける過塩素酸イオンの電解合成反応の促進を図るため触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる。この陽極4´は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、電解メッキにより白金の触媒層で被覆した電極から構成される。
一方、この陽極4´と対となる陰極5´は、触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる。この陰極5´は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、電解メッキにより白金の触媒層で被覆した電極、または、SUS316エキスパンドメタルからなる電極、または、ニッケルエキスパンドメタルからなる電極から構成される。
二次電解槽20のアノード液タンク(貯溜槽)4B´の天部にはアノード液導入配管として、一次電解槽10のアノード液輸送配管25が接続されており、一次電解工程を経たアノード液がアノード液輸送配管25を介して導入され、陽極側4A(陽極側電解槽2A、アノード液タンク4Bを含む)を満たす。
一方、カソード液タンク5Bの天部にはカソード液導入配管22が接続されており、純水がカソード液導入配管22を介して導入され、陰極側5A(陰極側電解槽2B、カソード液タンク5Bを含む)を満たす。
二次電解槽20の内部で各液にそれぞれ浸された陽極4´及び陰極5´の両極に電圧を印加すると、次のような反応が進行する。
陽極側4Aにおいては、一次電解工程を経たアノード液が電解酸化され、下記の反応式(11)、反応式(12)に示すように、過塩素酸イオンと副生成物として酸素ガスが生成される。なお、微量ではあるが、下記の反応式(13)に示すように、オゾンガスも副生成物として生成される。
ClO +HO → ClO +2H+2e …(11)
2HO → O+4H+4e …(12)
3HO → O+6H+6e …(13)
ここで、陽極側4Aのアノード液中に含まれるナトリウムイオンは、両極間の電位差によって陽イオン交換膜6を通過して陽極側4Aから陰極側5Aに移動する。一方、塩素酸イオンは陽イオン交換膜6を通過できず、水溶液‐陽極4´‐陽イオン交換膜6で構成される三界面で反応式(11)に示す反応により過塩素酸イオンとなる。
陰極側5Aにおいては、下記の反応式(14)、反応式(15)に示す反応が生じ、水素ガスと水酸化ナトリウムとが生成される。
2H+2e → H…(14)
2Na+2HO+2e → 2NaOH+H…(15)
上記電解酸化後、十分な量の過塩素酸イオンが生成されたアノード液(過塩素酸水溶液)を、陽極側4Aに設けた濃縮装置40で濃縮する。
本実施形態の濃縮装置40は、貯溜槽としてアノード液タンク4B´を用いている。アノード液タンク4B´の天部には、水分排気管41が設けられている。水分排気管41は、図2に示す凝縮器42に接続されている。
図4に戻り、濃縮装置40は、アノード液タンク4B´から抜き出した過塩素酸水溶液の一部を加熱すると共にアノード液タンク4B´の液面近傍に戻す加熱管(加熱装置)43を有する。加熱管43は、アノード液タンク4B´の底部に接続された配管43aと、アノード液タンク4B´の液面近傍の側部に接続された配管43bとを有する。
加熱管43は、配管43aによってアノード液タンク4B´の底部から抜き出した過塩素酸水溶液を加熱する。ここで、過塩素酸の沸点は、203℃であり、水の沸点の100℃よりも十分に高いため、加熱管43で過塩素酸水溶液を100℃よりも高く加熱することができる。また、電解酸化後にアノード液タンク4B´で加熱を行うことで、電極付近で生じたジュール熱によって溶液温度が50℃程度となるため、この熱を有効利用することができる。
加熱管43によって加熱された過塩素酸水溶液は、配管43bを介して、アノード液タンク4B´に戻される。配管43bは、アノード液タンク4B´の液面近傍の側部に接続されているため、当該液面での水分の蒸発を即座に促すことができる。また、配管43aからは、アノード液タンク4B´の底部の温度の低い過塩素酸水溶液が順次抜き取られて加熱されるので、この構成は、アノード液タンク4B´の容量が大きく、液面と底部との間で温度差が大きい場合に特に有効である。
液面で蒸発した水分は、水分排気管41を介してアノード液タンク4B´から排気される。なお、このとき水分排気管41以外の配管(酸素ガス配管23等)の流路は、不図示の開閉弁で閉塞される。水分排気管41は、蒸発した水分を、図2に示す凝縮器42に供給する。凝縮器42おいて凝縮した水分は、塩化ナトリウムを溶解させる水として再利用され、一次電解槽10に原料(塩化ナトリウム水溶液)の一部として供給される。
図5は、過塩素酸及び過塩素酸アンモニウムの溶解度曲線を示すグラフである。図5における縦軸は溶解度(M=モル濃度(mol/l))を示し、横軸は温度(℃)を示す。
図5に示すように、過塩素酸の溶解度は、過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも大幅に高いことが分かる。そこで、本実施形態の濃縮装置40は、過塩素酸のモル濃度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くなるまで濃縮を継続する。本実施形態においては、過塩素酸のモル濃度を、例えば5(mol/l)以上となるように濃縮させる。なお、濃縮させ過ぎると過塩素酸が過飽和状態となるので、過塩素酸のモル濃度は、例えば10(mol/l)以下に抑えることが好ましい。なお、過塩素酸のモル濃度は、液量や原料となる塩化ナトリウム水溶液のモル濃度等から推定することができる。
十分に濃縮された過塩素酸水溶液は、弁25Aを閉状態から開状態にしたアノード液輸送配管25´を介してアノード液タンク4B´から図2に示す反応・蒸発槽30に輸送される。
反応・蒸発槽30には、アンモニア供給配管31が接続されており、濃縮後の過塩素酸水溶液中にアンモニアガスをバブリングする構成となっている。過塩素酸水溶液中にアンモニアを添加すると、下記の反応式(16)に示す中和反応が生じ、過塩素酸アンモニウムが合成される。
HClO+NHOH → NHClO+H …(16)
ここで、上記濃縮により、過塩素酸のモル濃度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くなっているので、アンモニアガスを濃縮した過塩素酸水溶液に吹き込むと、過飽和状態となった過塩素酸アンモニウムを結晶として析出させることができる。
最後に、反応・蒸発槽30において、合成後の溶液に含まれる水分を真空環境下で蒸発させて過塩素酸アンモニウムを結晶として取り出す。反応式(16)に示すように、過塩素酸アンモニウムと共に得られる副生成物は水であるため、水を蒸発させるだけで高純度の過塩素酸アンモニウムの結晶が得られる。
以上のように、本実施形態の過塩素酸アンモニウム製造装置1によれば、陽極4が設けられる陽極側4Aと陰極5が設けられる陰極側5Aとが陽イオン交換膜6で仕切られ、陽極側4Aにおいて塩化ナトリウム水溶液を電解酸化する一次電解槽10及び陽極4´が設けられる陽極側4Aと陰極5´が設けられる陰極側5Aとが陽イオン交換膜6で仕切られ、陽極側4Aにおいて塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する二次電解槽20と、上記電解酸化により生成した陽極側4Aの過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮装置40と、上記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する反応・蒸発槽30と、という構成を採用することによって、アンモニアが添加される前の過塩素酸水溶液の状態で水分を除去し回収できるため、アンモニア除去処理を経ずに回収した水分を電解工程等に有効活用することができる。また、本実施形態によれば、過塩素酸水溶液の液量を少なくさせることができるので、後の晶析工程において水分を蒸発除去する際にかかるエネルギーを抑制することができ、また、アンモニア除去処理の負担も低減させることができるので、環境性・経済性が向上する。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、貯溜槽としてアノード液タンク4B´を用いる形態について説明したが、別の槽に移して過塩素酸水溶液の濃縮を行う形態であっても良い。
また、例えば、濃縮工程で除去した水分を凝縮させる凝縮器42の冷媒として液体アンモニアを用い、凝縮器42での熱交換により生成したアンモニアガスを反応・蒸発槽30での中和反応に用いる形態であっても良い。
また、例えば、濃縮工程では、真空ポンプ等の減圧手段を用いて、過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を蒸発させて除去する形態であっても良い。また、電解工程で電極付近において発生したジュール熱によって溶液温度が50℃程度となるため、この熱を利用し、減圧して水分蒸発を行っても良い。また、減圧手段と加熱手段とを併用する形態であっても良い。
また、例えば、上記実施形態では、蒸留による濃縮を行う形態について説明したが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、膜濃縮法による濃縮を行う形態としても良い。但し、塩素酸や過塩素酸は、強力な酸化剤であるため、膜に接触させると非常にメンテナンスに不便が生ずる場合があることを考慮すると、蒸留による濃縮を行う形態であることが好ましい。
また、例えば、上記実施形態では、電解槽の陽極側において電解酸化する原料として、塩化ナトリウム水溶液を用いて電解酸化する形態を例示して説明したが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を用いて電解酸化する形態であっても良い。なお、塩素酸ナトリウム水溶液を上記電解酸化する場合には、陽極の触媒層が白金を含むことが反応効率の観点から必須なので、触媒層を酸化イリジウム及び酸化ルテニウムとした陽極は、塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液を上記電解酸化する場合に用いることが好ましい。
1…過塩素酸アンモニウム製造装置(過塩素酸塩の製造装置)、4…陽極、4´…陽極、4A…陽極側、4B´…アノード液タンク(貯溜槽)、5…陰極、5´…陰極、5A…陰極側、6…陽イオン交換膜、10…一次電解槽(電解槽)、20…二次電解槽(電解槽)、30…反応・蒸発槽(中和槽)、40…濃縮装置、41…水分排気管、43…加熱管(加熱装置)、S1…一次電解工程(電解工程)、S2…二次電解工程(電解工程)、S3…濃縮工程、S4…反応工程(中和工程)、S5…晶析工程

Claims (5)

  1. 陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られ、前記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解槽と、
    前記電解酸化により生成した前記陽極側の過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮装置と、
    前記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する中和槽と、を有することを特徴とする過塩素酸アンモニウムの製造装置。
  2. 前記濃縮装置は、過塩素酸のモル濃度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くなるまで前記濃縮させることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸アンモニウムの製造装置。
  3. 前記濃縮装置は、
    前記電解酸化により生成した前記陽極側の過塩素酸水溶液を貯溜すると共に天部に水分排気管が設けられた貯溜槽と、
    前記貯溜槽から抜き出した過塩素酸水溶液の一部を加熱すると共に前記貯溜槽の液面近傍に戻す加熱装置と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の過塩素酸アンモニウムの製造装置。
  4. 前記加熱装置は、前記貯溜槽の底部から前記過塩素酸水溶液の一部を抜き出すことを特徴とする請求項3に記載の過塩素酸アンモニウムの製造装置。
  5. 陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られた電解槽を用いて、前記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解工程と、
    前記電解酸化により生成した前記陽極側の過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮工程と、
    前記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する中和工程と、を有することを特徴とする過塩素酸アンモニウムの製造方法。
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