JP5459163B2 - 過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明では、過塩素酸水溶液の濃縮において、過塩素酸のモル濃度を過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くさせた後、中和反応を行うことで、アンモニアの添加により過飽和状態となった過塩素酸アンモニウムを析出させて結晶を得る。
また、本発明では、過塩素酸水溶液を貯溜する貯溜層から溶液を一部抜き出して、加熱後、貯溜層の液面近傍に戻すことで、液面で水分の蒸発を促し、また、水分排気管からの排気を容易にさせて、濃縮の効率化を図る。さらに、本発明では、温度の低い貯溜層の底部から溶液を抜き出すことで、濃縮のさらなる効率化を図る。
従って、本発明によれば、アンモニアが添加される前の過塩素酸水溶液の状態で水分を除去し回収できるため、アンモニア除去処理を経ずに回収した水分を電解工程等に有効活用することができる。また、過塩素酸水溶液の液量を少なくさせることができるので、後の晶析工程において水分を蒸発除去する際にかかるエネルギーを抑制することができ、また、アンモニア除去処理の負担も低減させることができるので、環境性・経済性が向上する。
図2は、本発明の実施形態における過塩素酸アンモニウム製造装置1の概略構成図である。図中のg、l、sの符号は、それぞれ気体、液体、固体の状態であることを示す。実施形態の過塩素酸アンモニウム製造装置1は、一次電解工程S1を行う一次電解槽10と、二次電解工程S2及び濃縮工程S3を行う二次電解槽20と、反応工程S4及び晶析工程S5を行う反応・蒸発槽(中和槽)30とを備えている。
一次電解槽10は、陽極4が設けられる陽極側4Aと、陰極5が設けられる陰極側5Aとを仕切るように設けられた陽イオン交換膜6を有する。一次電解槽10は、後述する電解酸化により、陽極側溶液(アノード液)が強酸性に、陰極側溶液(カソード液)が強アルカリ性になるため、一次電解槽10の本体には、耐化学薬品安定性に優れたもの、例えばテフロン(デュポン(株)、登録商標)や塩化ビニル、ガラスを使用することが望ましい。また、配管の継ぎ手についても、耐化学薬品安定性に優れたもの、例えばテフロン(デュポン(株)、登録商標)を用いることが望ましい。
一方、この陽極4と対となる陰極5は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を電解メッキにより白金の触媒層で被覆した電極、または、ニッケルエキスパンドメタルからなる電極から構成される。
一方、カソード液タンク5Bの天部にはカソード液導入配管22が接続されており、純水がカソード液導入配管22を介して導入され、陰極側5A(陰極側電解槽2B、カソード液タンク5Bを含む)を満たす。
陽極側4Aにおいては、塩化ナトリウム水溶液が電解酸化され、下記の反応式(1)、反応式(2)に示す反応が生じる。
2Cl− → Cl2+2e− …(1)
2H2O → O2+4H++4e− …(2)
ここで発生した塩素ガスにより、下記の反応式(3)、反応式(4)に示す平衡反応が生じる。この平衡反応は、水溶液のpH値によりその形態が変化する。
Cl2+H2O ⇔ H++Cl−+HClO …(3)
HClO ⇔ H++ClO− …(4)
ClO−+H2O → ClO2 −+2H++2e− …(5)
HClO+H2O → HClO2 −+2H++2e− …(6)
生成された亜塩素酸を更に電解酸化すると、下記の反応式(7)、反応式(8)に示す反応により塩素酸が生成される。
ClO2 −+H2O → ClO3 −+2H++2e− …(7)
HClO2+H2O → HClO3 −+2H++2e− …(8)
ここで、陽極側4Aの液中に含まれるナトリウムイオンは、両極間の電位差によって陽イオン交換膜6を通過して陽極側4Aから陰極側5Aに移動する。一方、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオンは陽イオン交換膜6を通過できず、水溶液‐陽極4‐陽イオン交換膜6で構成される三界面での反応により塩素酸イオンとなる。
また、発生した酸素ガスは配管27bを介してアノード液タンク4Bへと順次排出されるために、陽極側電解槽2Aの底部から配管27aを介してアノード液タンク4Bからアノード液が順次導入される。従って、アノード液は、ポンプ等の駆動機構によらずに陽極側電解槽2Aとアノード液タンク4Bとの間で循環することとなる。
2H++2e− → H2 …(9)
2Na++2H2O+2e− → 2NaOH+H2 …(10)
なお、陰極側電解槽2Bで生じた水素ガス(気泡)は、配管28bを介してカソード液タンク5Bに導かれる。カソード液タンク5Bの天部には水素ガス配管(水素ガス排気間)24が設けられており、水素ガス配管24を介して水素ガスが外部に順次排気される。また、陽極側4Aにおいてアノード液が循環することと同様に、陰極側5Aにおいても、カソード液の循環作用が得られる。
二次電解槽20は、一次電解槽10で生成した塩素酸を主成分とするアノード液を電解酸化して過塩素酸を生成する。その後、二次電解槽20では、生成した過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する。
なお、以下説明する二次電解槽20の構成は、重複説明を避けるため、上述の一次電解槽10と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
陽極4´は、陽極側4Aにおける過塩素酸イオンの電解合成反応の促進を図るため触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる。この陽極4´は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、電解メッキにより白金の触媒層で被覆した電極から構成される。
一方、この陽極4´と対となる陰極5´は、触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる。この陰極5´は、基体であるチタンエキスパンドメタルの表面を、電解メッキにより白金の触媒層で被覆した電極、または、SUS316エキスパンドメタルからなる電極、または、ニッケルエキスパンドメタルからなる電極から構成される。
一方、カソード液タンク5Bの天部にはカソード液導入配管22が接続されており、純水がカソード液導入配管22を介して導入され、陰極側5A(陰極側電解槽2B、カソード液タンク5Bを含む)を満たす。
二次電解槽20の内部で各液にそれぞれ浸された陽極4´及び陰極5´の両極に電圧を印加すると、次のような反応が進行する。
ClO3 −+H2O → ClO4 −+2H++2e− …(11)
2H2O → O2+4H++4e− …(12)
3H2O → O3+6H++6e− …(13)
ここで、陽極側4Aのアノード液中に含まれるナトリウムイオンは、両極間の電位差によって陽イオン交換膜6を通過して陽極側4Aから陰極側5Aに移動する。一方、塩素酸イオンは陽イオン交換膜6を通過できず、水溶液‐陽極4´‐陽イオン交換膜6で構成される三界面で反応式(11)に示す反応により過塩素酸イオンとなる。
2H++2e− → H2 …(14)
2Na++2H2O+2e− → 2NaOH+H2 …(15)
本実施形態の濃縮装置40は、貯溜槽としてアノード液タンク4B´を用いている。アノード液タンク4B´の天部には、水分排気管41が設けられている。水分排気管41は、図2に示す凝縮器42に接続されている。
図5に示すように、過塩素酸の溶解度は、過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも大幅に高いことが分かる。そこで、本実施形態の濃縮装置40は、過塩素酸のモル濃度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くなるまで濃縮を継続する。本実施形態においては、過塩素酸のモル濃度を、例えば5(mol/l)以上となるように濃縮させる。なお、濃縮させ過ぎると過塩素酸が過飽和状態となるので、過塩素酸のモル濃度は、例えば10(mol/l)以下に抑えることが好ましい。なお、過塩素酸のモル濃度は、液量や原料となる塩化ナトリウム水溶液のモル濃度等から推定することができる。
反応・蒸発槽30には、アンモニア供給配管31が接続されており、濃縮後の過塩素酸水溶液中にアンモニアガスをバブリングする構成となっている。過塩素酸水溶液中にアンモニアを添加すると、下記の反応式(16)に示す中和反応が生じ、過塩素酸アンモニウムが合成される。
HClO4+NH4OH → NH4ClO4+H2O …(16)
最後に、反応・蒸発槽30において、合成後の溶液に含まれる水分を真空環境下で蒸発させて過塩素酸アンモニウムを結晶として取り出す。反応式(16)に示すように、過塩素酸アンモニウムと共に得られる副生成物は水であるため、水を蒸発させるだけで高純度の過塩素酸アンモニウムの結晶が得られる。
また、例えば、濃縮工程で除去した水分を凝縮させる凝縮器42の冷媒として液体アンモニアを用い、凝縮器42での熱交換により生成したアンモニアガスを反応・蒸発槽30での中和反応に用いる形態であっても良い。
Claims (5)
- 陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られ、前記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解槽と、
前記電解酸化により生成した前記陽極側の過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮装置と、
前記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する中和槽と、を有することを特徴とする過塩素酸アンモニウムの製造装置。 - 前記濃縮装置は、過塩素酸のモル濃度が過塩素酸アンモニウムの溶解度よりも高くなるまで前記濃縮させることを特徴とする請求項1に記載の過塩素酸アンモニウムの製造装置。
- 前記濃縮装置は、
前記電解酸化により生成した前記陽極側の過塩素酸水溶液を貯溜すると共に天部に水分排気管が設けられた貯溜槽と、
前記貯溜槽から抜き出した過塩素酸水溶液の一部を加熱すると共に前記貯溜槽の液面近傍に戻す加熱装置と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の過塩素酸アンモニウムの製造装置。 - 前記加熱装置は、前記貯溜槽の底部から前記過塩素酸水溶液の一部を抜き出すことを特徴とする請求項3に記載の過塩素酸アンモニウムの製造装置。
- 陽極が設けられる陽極側と陰極が設けられる陰極側とが陽イオン交換膜で仕切られた電解槽を用いて、前記陽極側において塩化ナトリウム水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液あるいは塩素酸ナトリウム水溶液を電解酸化する電解工程と、
前記電解酸化により生成した前記陽極側の過塩素酸水溶液に含まれる水分の一部を除去して濃縮する濃縮工程と、
前記濃縮された過塩素酸水溶液に、アンモニアを添加して中和反応により過塩素酸アンモニウムを合成する中和工程と、を有することを特徴とする過塩素酸アンモニウムの製造方法。
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