以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
強い酸化力を有する過塩素酸塩は様々な分野で利用されている。例えば、過塩素酸アンモニウムは固体燃料ロケット推進薬の酸化剤として、また、過塩素酸カリウムはエアバッグ用の着火薬の酸化剤として、利用されている。
過塩素酸塩を含む最終合成物には、少量ではあるものの不純物が含まれている。このような不純物には、原材料となる塩化ナトリウムや塩素酸ナトリウムに由来するナトリウム塩が含まれる。
例えば、原材料に塩化ナトリウムを用いて過塩素酸アンモニウムを合成する場合、不純物として塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、そして過塩素酸ナトリウムが含まれることがある。そして、この最終合成物を固体燃料ロケット推進薬の酸化剤として利用した場合、不純物として過塩素酸アンモニウム中に混入した上記ナトリウム塩により、固体燃料ロケットを構成するノズルの熱分解が促進される。従って、過塩素酸アンモニウム中のナトリウム塩の含有率が高い場合、当該ナトリウム塩の含有量が低い場合と比較して、ノズルの板厚を厚くする必要がある。
そこで、本実施形態では、不純物として当該目的物に含有しうる原材料由来のアルカリ金属イオンを炭酸塩として沈殿、除去することにより、目的物である過塩素酸塩の純度を向上させることが可能な過塩素酸塩製造装置および過塩素酸塩製造方法について説明する。
(過塩素酸塩製造装置100)
図1は、本実施形態にかかる過塩素酸塩製造装置100の概略的な構成を説明するための説明図である。図1に示すように、過塩素酸塩製造装置100は、1次電解ユニット200と、2次電解ユニット300と、塩基性化合物導入部400と、二酸化炭素導入部450と、反応槽490と、晶析槽492とを含む。図1ではガス(気体)の流れを破線の矢印で示し、液体の流れを実線の矢印で示し、そして固体の流れを一点鎖線の矢印で示した。一例として、ここでは、原材料として安価かつ容易に入手できる塩化ナトリウムを用い、目的物として過塩素酸アンモニウムを合成する場合を例に挙げて説明する。
(1次電解ユニット200)
図2は、1次電解ユニット200の具体的な構成を説明するための説明図である。図2に示すように、1次電解ユニット200は、電解槽210と、アノード溶液貯留部250と、カソード溶液貯留部252と、直流安定化電源260とを含む。
電解槽210は、アノード槽220とカソード槽230とで構成され、アノード槽220とカソード槽230は陽イオン交換膜240で仕切られている。電解槽210における1次アノード溶液(陽極側溶液)のpHは、電解酸化により、最終的に2.3〜5.0の酸性となる。一方、電解槽210におけるカソード溶液(陰極側溶液)のpHは、還元によりアルカリ性となる。ここで、上記カソード溶液のpHは、後述のカソード溶液貯留部252に導入するH2Oの量に依存し、一般的には12.0以上の強アルカリ性となる。従って、電解槽210の本体や配管の継ぎ手は、化学薬品に対する安定性に優れたもの、例えばテフロン(登録商標)や塩化ビニル、ガラスで構成すると良い。
アノード槽220には、後述するアノード溶液貯留部250から配管250bを通じて、塩化ナトリウム水溶液(NaCl(aq))を供給する。また、アノード槽220には、塩化ナトリウム水溶液が収容されるとともに、陽極222を設ける。
陽極222は、アノード槽220における塩化物イオン(Cl−)の電解酸化反応を促進する触媒を被覆したエキスパンドメタルからなる。具体的には、基体となるチタンエキスパンドメタルの表面を、焼成法により酸素ガスの発生を抑制する触媒で被覆した陽極222を用いる。酸素ガスの発生を抑制する効果を有する触媒としては、例えば、酸化イリジウムと白金、または、酸化イリジウムと酸化ルテニウムと白金、または、酸化タンタルと白金が挙げられる。
カソード槽230には、後述するカソード溶液貯留部252から配管252bを通じてH2Oを供給する。またカソード槽230には、H2Oが収容されるとともに陰極232を設ける。
陰極232は、例えば、エキスパンドメタル、またはその表面を触媒で被覆したエキスパンドメタルからなる。具体的には、ニッケルエキスパンドメタルや、電解メッキ法により白金を被覆したチタンエキスパンドメタルを陰極232として用いる。
陽イオン交換膜240は、電解槽210内で陽極222と陰極232との間に、実質的にギャップ無しで挟みこまれている。陽イオン交換膜240をこのように構成することで、電解槽210はゼロギャップ型の電解セルとなる。陽イオン交換膜240は、陽イオンを通過させ、陰イオンは通過させないという特性を有する膜である。陽イオン交換膜240としては、例えば、Nafion(登録商標)、Aciplex(登録商標)、Flemion(登録商標)を用いることができる。
アノード溶液貯留部250には、導入管250aを通じて、不図示のアノード原料源から塩化ナトリウム水溶液を導入する。なお、アノード溶液貯留部250に導入する水溶液は、ナトリウムイオンと、塩化物イオン、次亜塩素酸イオン(ClO−)、もしくは、亜塩素酸イオン(ClO2 −)から選択される少なくとも1のイオンとが含まれていれば良く、塩化ナトリウム水溶液に限定されない。
また、アノード溶液貯留部250は、配管250b、250cによって、アノード槽220と連通している。配管250bは、アノード槽220の下部側壁とアノード溶液貯留部250の下部側壁とを連通する管であり、配管250cは、アノード槽220の天面部とアノード溶液貯留部250の側壁とを連通する管である。
塩化ナトリウム水溶液および1次アノード溶液AS1の流れについて説明する。アノード溶液貯留部250に導入した塩化ナトリウム水溶液は、配管250bを通じて、アノード槽220に供給される。そして、後述する直流安定化電源260を用いて陽極222および陰極232に電圧を印加することにより、アノード槽220において塩化ナトリウム水溶液中の塩化物イオンを酸化し、1次アノード溶液AS1を生成する。1次アノード溶液AS1は、配管250cを通じて再びアノード溶液貯留部250に導かれる。以後、1次アノード溶液AS1は、上記の循環を繰り返すことにより、次亜塩素酸、亜塩素酸を経て塩素酸を主成分とする水溶液となる。
また、アノード溶液貯留部250には、アノード溶液AS1のpHを調整するための化合物(例えば、水酸化ナトリウム)、または、アノード溶液AS1のpHを調整するための水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を導入するための導入管250dを設ける。アノード溶液貯留部250およびアノード槽220に収容される1次アノード溶液AS1は、電解酸化によりpH1程度の強酸性の水溶液となる。従って、1次アノード溶液AS1のpHが低下することにより生じる塩素ガス、もしくは二酸化塩素(ClO2)ガスの発生を防止することを目的として、上記化合物、もしくは上記水溶液を、導入管250dを通じてアノード溶液貯留部250へ導入する。その結果、1次アノード溶液AS1は、最終的にpH2.3〜5.0の酸性の水溶液となる。更に、アノード溶液貯留部250の天面部には、塩化ナトリウム水溶液の電解酸化時に陽極222において発生し得る酸素(O2)やオゾン(O3)を外部に排出するための排出管250eを設ける。
更に、アノード溶液貯留部250は、AS1送出管256a、バルブ258aを通じて、後述する2次電解ユニット300のアノード槽と連通している。このAS1送出管256aは、アノード溶液貯留部250の下部であって、アノード槽220が接続される下部側壁と対向する下部側壁に接続している。
カソード溶液貯留部252には、導入管252aを通じて、不図示のカソード原料源からH2O(例えば、純水)を導入する。ここで、カソード溶液貯留部252に導入するH2Oは、純水であっても、水溶液であっても良い。
また、カソード溶液貯留部252は、配管252b、252cによって、カソード槽230と連通している。配管252bは、カソード槽230の下部側壁とカソード溶液貯留部252の下部側壁とを連通する管であり、配管252cは、カソード槽230の天面部とカソード溶液貯留部252の側壁とを連通する管である。
ここで、H2Oおよびカソード溶液CSの流れについて説明する。カソード溶液貯留部252に導入したH2Oは、配管252bを通じて、カソード槽230に供給される。そして、直流安定化電源260を用いて陽極222および陰極232に電圧を印加することにより、陽極222で発生したプロトン(H+)やアノード溶液中のナトリウムイオンが陽イオン交換膜240を介してアノード槽220からカソード槽230へ移動し、陰極232において水素(H2)、および水酸化ナトリウムに還元する。ここで、上記水素は、排出管252eから外部へと排出される。一方、水酸化ナトリウムは、水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液となり、配管252cを通じて再びカソード溶液貯留部252に導かれる。以後、カソード溶液CSは、上記の循環を繰り返す。
更に、カソード溶液貯留部252には、CS送出管256bおよびバルブ258bを設ける。CS送出管256bは、カソード溶液貯留部252の下部であって、カソード槽230が接続される下部側壁と対向する下部側壁に接続している。
直流安定化電源260を用いることにより、アノード槽220に塩化ナトリウム水溶液または1次アノード溶液AS1が収容されるとともに、カソード槽230にH2Oまたはカソード溶液CSが収容された状態で、陽極222および陰極232に電圧を印加する。
その結果、陽極222において、下記の反応式(1)に示す反応が進行する。
2Cl− → Cl2 + 2e−
…反応式(1)
また、電圧の印加条件やアノード溶液中の塩化物イオンの濃度、アノード溶液の液温に応じて、反応式(2)や反応式(3)に示す反応が進行する場合もある。
2H2O → O2 + 4H+ + 4e−
…反応式(2)
3H2O → O3 + 6H+ + 6e−
…反応式(3)
反応式(1)に示す反応が進行することで発生した塩素により、下記の反応式(4)、反応式(5)に示す平衡反応が進行する。
…反応式(4)
…反応式(5)
上記反応式(4)、反応式(5)に示す平衡反応は、アノード溶液のpHに依存する。このため、次亜塩素酸が効率よく生成するように、導入管250dからアノード溶液貯留部250(アノード槽220)へアノード溶液AS1のpHを調整するための化合物、またはアノード溶液AS1のpHを調整するための水溶液を導入する。
図3は、次亜塩素酸の存在形態とpHの関係を示す図である。図3に示すように、溶液のpHが5.0のとき、溶存物質は次亜塩素酸として存在し、塩素および次亜塩素酸イオンは存在しない。つまり上記反応式(4)の左辺から右辺へと反応が進行する。
ここで溶液のpHを5.0から上げていくと(溶液をアルカリ性にすると)、次亜塩素酸の存在比率は徐々に低下し、次亜塩素酸イオンの存在比率が徐々に上昇する。つまり反応式(5)の左辺から右辺の反応が進行する。一方溶液のpHを5.0から下げていくと(溶液をより酸性にすると)、次亜塩素酸の存在比率は徐々に低下し、塩素の存在比率が徐々に上昇する。つまり反応式(4)の右辺から左辺へと反応が進行する。
ここでは、アノード槽220における塩素ガスの発生防止を目的に、1次アノード溶液AS1がpH5.0以上となるようにする。具体的には、導入管250dからアノード溶液貯留部250(アノード槽220)へアノード溶液AS1のpHを調整するための化合物、またはアノード溶液AS1のpHを調整するための水溶液を導入することにより、1次アノード液AS1のpHを制御する。
続いて、塩化ナトリウム水溶液の電解酸化により生成した次亜塩素酸を電解酸化すると、下記の反応式(6)に示す反応が進行する。
HClO + H2O → HClO2 + 2H+ + 2e−
…反応式(6)
ここでは、アノード槽220における二酸化塩素ガスの発生防止を目的に、1次アノード溶液AS1がpH2.3以上となるようにする。具体的には、導入管250dからアノード溶液貯留部250(アノード槽220)へアノード溶液AS1のpHを調整するための化合物、またはアノード溶液AS1のpHを調整するための水溶液を導入することにより、1次アノード液AS1のpHを制御する。
そして、反応式(6)で生成された亜塩素酸を更に電解酸化することにより、下記反応式(7)に示す塩素酸の合成反応が進行する。
HClO2 + H2O → HClO3 + 2H+ + 2e−
…反応式(7)
このように、直流安定化電源260を用いて陽極222および陰極232に電圧を印加することで、アノード槽220では、上記反応式(1)から反応式(7)に示す反応が進行する。そして、1次電解においてアノード液AS1のpHを制御することにより、目的物である塩素酸を高い収率で合成することができる。
なお、アノード槽220で生成され得る酸素ガスおよびオゾンガス(反応式(2)、反応式(3)参照)は、配管250cを通じてアノード溶液貯留部250に導かれる。そして、酸素ガスおよびオゾンガスは、アノード溶液貯留部250の天面部に設けられた配管250eを通じて、順次外部へ排気される。このように、アノード槽220で生じた酸素ガスおよびオゾンガスが順次外部へ排気されるため、アノード槽220内が負圧になる。このため、アノード槽220の下部から配管250bを通じてアノード溶液貯留部250から1次アノード溶液AS1が順次導入される。従って、1次アノード溶液AS1は、ポンプ等の駆動機構を利用せずとも、アノード槽220とアノード溶液貯留部250との間で循環することができる。
一方、1次アノード溶液AS1に含まれるナトリウムイオンは、陽極222および陰極232間の電位差によって陽イオン交換膜240を通過し、アノード槽220からカソード槽230へ移動する。その結果、陰極232において、下記の反応式(8)、反応式(9)に示す反応が進行する。
2H+ + 2e− → H2
…反応式(8)
2Na+ + 2H2O + 2e− → 2NaOH + H2
…反応式(9)
なお、カソード槽230で生成した水素ガスは、配管252cを通じてカソード溶液貯留部252に導かれる。そして、カソード溶液貯留部252の天面部に設けられた配管252eを通じて、水素ガスは順次外部へと排気される。従って、上述した1次アノード溶液AS1が循環する機構と同様に、カソード槽230およびカソード溶液貯留部252においても、カソード槽230の下部から配管252bを通じてカソード溶液貯留部252からカソード溶液CSが順次導入される。従って、カソード溶液CSは、ポンプ等の駆動機構を利用せずとも、カソード槽230とカソード溶液貯留部252との間で循環することができる。
上記の反応式(7)に示したとおり、アノード槽220において1次アノード溶液AS1中の亜塩素酸が塩素酸に転化した後、不図示の制御装置によってバルブ258aが閉状態から開状態に移行する。その結果、当該1次アノード溶液AS1は、AS1送出管256aを通じてアノード溶液貯留部250から2次電解ユニット300のアノード槽へ送出される。一方、不図示の制御装置によってバルブ258bが閉状態から開状態に移行する。その結果、カソード溶液CSは、CS送出管256bを通じてカソード溶液貯留部252から外部へ排出される。
(2次電解ユニット300)
図4は、2次電解ユニット300の具体的な構成を説明するための説明図である。図4に示すように、2次電解ユニット300は、電解槽210と、アノード溶液貯留部350と、カソード溶液貯留部252と、直流安定化電源260とを含む。なお、上述した1次電解ユニット200と実質的に機能が等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
電解槽210は、1次電解ユニット200と同様に、アノード槽220とカソード槽230とを含み、アノード槽220とカソード槽230とは陽イオン交換膜240で仕切られている。
アノード槽220には、後述するアノード溶液貯留部350から配管350bを通じて、1次電解ユニット200において生成した1次アノード溶液AS1を導入する。また、アノード槽220には、1次アノード溶液AS1が収容されるとともに、陽極322を設ける。
陽極322としては、アノード槽220における塩素酸の電解酸化反応を促進する触媒を被覆したエキスパンドメタルを用いる。具体的には、基体となるチタンエキスパンドメタルの表面を白金で被覆した陽極322を用いる。
カソード槽230は、カソード溶液貯留部252から配管252bを通じてH2O(例えば純水)を導入する。ここでも、カソード溶液貯留部252に導入するH2Oは、純水であっても、水溶液であっても良い。またカソード槽230には、H2Oが収容されるとともに陰極332を設ける。
陰極332は、例えば、エキスパンドメタル、またはその表面を触媒で被覆したエキスパンドメタルからなる。具体的には、ニッケルエキスパンドメタル、SUS316エキスパンドメタルや、電解メッキ法により白金を被覆したチタンエキスパンドメタルを陰極332として用いる。
陽イオン交換膜240は、2次電解ユニット300においても、電解槽210内で陽極322と陰極332との間に実質的にギャップ無しで挟みこまれている。陽イオン交換膜240をこのように構成することで、電解槽210はゼロギャップ型の電解セルとなる。
アノード溶液貯留部350には、AS1送出管256aを通じて、1次電解ユニット200のアノード溶液貯留部250から送出した1次アノード溶液AS1を導入する。上述したように塩素酸を主成分とする1次アノード溶液AS1には、ナトリウムイオンや塩酸が含まれている。
また、アノード溶液貯留部350は、配管350b、350cによって、アノード槽220と連通している。配管350bは、アノード槽220の下部側壁とアノード溶液貯留部350の下部側壁とを連通する管であり、配管350cは、アノード槽220の天面部とアノード溶液貯留部350の側壁とを連通する管である。
ここで、1次アノード溶液AS1および2次アノード溶液AS2の流れについて説明する。アノード溶液貯留部350に導入した1次アノード溶液AS1は、配管350bを通じて、アノード槽220に供給される。そして、直流安定化電源260を用いて陽極322および陰極332に電圧を印加することにより、アノード槽220において1次アノード溶液AS1の塩素酸が酸化し、2次アノード溶液AS2を生成する。生成した2次アノード溶液AS2は、配管350cを通じて再びアノード溶液貯留部350に導かれる。以後、2次アノード溶液AS2は、上記の循環を繰り返す。
また、アノード溶液貯留部350の天面部には、電解酸化が進行するに従って、陽極322で生成した酸素やオゾンを外部に排出するための排出管350eを設ける。
更に、アノード溶液貯留部350は、AS2送出管356aを通じて、後述する反応槽490と連通している。AS2送出管356aは、アノード溶液貯留部350の下部であって、アノード槽220が接続される下部側壁と対向する下部側壁に接続している。
直流安定化電源260を用いることにより、アノード槽220に1次アノード溶液AS1または2次アノード溶液AS2が収容されるとともに、カソード槽230にH2Oまたはカソード溶液CSが収容された状態で、陽極322および陰極332に電圧を印加する。
その結果、陽極322では、下記の反応式(10)から反応式(12)に示す反応が進行する。
HClO3 + H2O → HClO4 + 2H+ + 2e−
…反応式(10)
2H2O → O2 + 4H+ + 4e−
…反応式(11)
3H2O → O3 + 6H+ + 6e−
…反応式(12)
このように、直流安定化電源260を用いて陽極322および陰極332に電圧を印加することにより、アノード槽220では、上記反応式(10)から反応式(12)に示す反応が進行する。これにより、過塩素酸を合成する。なお、副生成物としては、酸素ガスとオゾンガスとが生成され得る。
2次アノード溶液AS2に含まれるナトリウムイオンは、陽極322および陰極332間の電位差によって陽イオン交換膜240を通過し、アノード槽220からカソード槽230へ移動する。その結果、陰極332においては、1次電解ユニット200における陰極232と同様に、上記の反応式(8)、反応式(9)に示す反応が進行する。
なお、アノード槽220で生成され得る酸素ガスおよびオゾンガスは、配管350cを通じてアノード溶液貯留部350に導かれる。そして、酸素ガスおよびオゾンガスは、アノード溶液貯留部350の天面部に設けられた配管350eを通じて、順次外部へ排気される。従って、上述したアノード溶液貯留部250と同様に、アノード槽220の下部から配管350bを通じてアノード溶液貯留部350から2次アノード溶液AS2が順次導入される。つまり、2次アノード溶液AS2は、ポンプ等の駆動機構を利用せずとも、アノード槽220とアノード溶液貯留部350との間で循環することができる。
アノード槽220において、2次アノード溶液AS2中の過塩素酸の含有率が目的とする所定値になると、不図示の制御装置によってバルブ358aおよびバルブ258bが閉状態から開状態に移行する。その結果、当該2次アノード溶液AS2はAS2送出管356aを通じてアノード溶液貯留部350から反応槽490へ送出される。一方、カソード溶液CSは、CS送出管256bを通じてカソード溶液貯留部252から外部へ排出される。なお、2次アノード溶液AS2中の過塩素酸の含有率は、電解時間に対する塩素酸から過塩素酸への転化率と電解時間に応じて比例する消費電力の関係から決定する。
消費電力に対する過塩素酸の生成率が最も高くなるように電解時間を決定した場合、2次アノード溶液AS2の塩素酸を過塩素酸へと完全に転化することはできない。また、2次アノード溶液AS2に含まれているナトリウムイオンは、カソード溶液CSに完全には移動しない。一般的には、数%から10%程度のナトリウムイオンが2次電解工程後の2次アノード溶液ASに含まれている。そこで、2次電解工程後の2次アノード溶液AS2に含まれているナトリウムイオン濃度の低減を目的とした処理を、反応槽490において実施する。以下、本実施形態に特徴的な、塩基性化合物導入部400、二酸化炭素導入部450、反応槽490、晶析槽492について、図1を用いて説明する。
(塩基性化合物導入部400、二酸化炭素導入部450、反応槽490、晶析槽492)
図1に戻って説明すると、塩基性化合物導入部400は、塩基性化合物を貯蔵する塩基性化合物貯蔵部410と、バルブ420と、導入管422とを含む。
塩基性化合物貯蔵部410は、バルブ420、導入管422を通じて、反応槽490と連通している。また、塩基性化合物貯蔵部410には、炭酸塩、水酸化物、もしくは、アンモニアを貯蔵する。具体的には、塩基性化合物貯蔵部410には、炭酸アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水、もしくはアンモニアから選択される化合物を貯蔵する。
なお、塩基性化合物貯蔵部410が貯蔵する塩基性化合物、すなわち、反応槽490に導入する塩基性化合物は、目的とする過塩素酸塩に応じて選定すると良い。例えば、目的とする過塩素酸塩が過塩素酸アンモニウムである場合、アンモニア、もしくはアンモニア水を選定し、目的とする過塩素酸塩が過塩素酸カリウムである場合、炭酸カリウム、または、水酸化カリウムを選定すると良い。ここでは、塩基性化合物貯蔵部410にアンモニアガスが貯蔵される例について説明する。
二酸化炭素導入部450は、二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵部460と、バルブ470と、導入管472とを含む。二酸化炭素貯蔵部460は、バルブ470、導入管472を通じて、反応槽490と連通している。また、二酸化炭素貯蔵部460には、二酸化炭素(炭酸ガス)を貯蔵する。
反応槽490には、AS2送出管356aから2次アノード溶液AS2を導入するとともに、塩基性化合物貯蔵部410から、バルブ420、導入管422を通じてアンモニアガスを導入する。ここで、2次アノード溶液AS2のpHが7.0を上回る値になるまで、好ましくは12.0以上になるまで、塩基性化合物貯蔵部410から反応槽490へアンモニアガスを導入する。
その結果、下記反応式(13)、および、反応式(14)に示す反応が進行し、アンモニア水と併せて、過塩素酸アンモニウムが生成する。
NH3 + H2O → NH4 + + OH−
…反応式(13)
ClO4 − + NH4 + → NH4ClO4
…反応式(14)
続いて、反応槽490には、二酸化炭素貯蔵部460から、バルブ470、導入管472を通じて二酸化炭素を導入する。その結果、反応槽490において、下記反応式(15)、および、反応式(16)に示す平衡反応が進行する。
…反応式(15)
…反応式(16)
上述したように、塩基性化合物導入部400によって、2次アノード溶液AS2のpHが7.0を上回る値、すなわち、溶液をアルカリ性にした状態で二酸化炭素を導入した場合、上記反応式(15)の左辺から右辺への反応が進行し、炭酸水素イオン(HCO
3 −)と炭酸イオン(CO
3 2−)が生成する。
そして、下記反応式(17)または反応式(18)に示す反応が進行して、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、または炭酸ナトリウム(Na2CO3)が生成する。
HCO3 − + Na+ → NaHCO3
…反応式(17)
CO3 2− + 2Na+ → Na2CO3
…反応式(18)
更に、上記反応式(15)から反応式(18)に示す反応とともに、下記反応式(19)、反応式(20)に示す反応が進行して、炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)、または炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)が生成する。
HCO3 − + NH4 + → NH4HCO3
…反応式(19)
CO3 2− + 2NH4 + → (NH4)2CO3
…反応式(20)
ここで、水溶液中における炭酸水素ナトリウム、および炭酸ナトリウムの溶解度は、pHが増大するに従って減少する。従って、2次アノード溶液AS2中に残存するナトリウムイオンを炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムの沈殿物として除去できる程度にまで、2次アノード溶液AS2にアンモニアを導入すると良い。
このように、反応槽490に2次アノード溶液AS2とともに塩基性化合物を添加して、2次アノード溶液AS2のpHを7.0を上回る値、望ましくはpHが12.0を十分に上回る値とした後、更に二酸化炭素を導入することにより、2次アノード溶液AS2に含まれるナトリウムイオンを炭酸水素ナトリウム、もしくは炭酸ナトリウムの沈殿物として除去する。これにより、反応槽490に収容された水溶液中におけるナトリウムイオンの濃度を著しく低減し、目的物である過塩素酸塩の純度を向上することが可能となる。
晶析槽492は、バルブ490a、導入管490bを通じて、反応槽490と連通している。上記反応式(17)から反応式(18)に示す反応によって生じた沈殿物をろ過により取り除いた後、蒸発・濃縮し、反応槽490からバルブ490a、導入管490bを通じて晶析槽492へ、過塩素酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムを含む水溶液(以下、反応後水溶液と称する)を導入する。
晶析槽492において、濃縮した反応後水溶液を冷却することにより、過塩素酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムを晶析させる(冷却晶析法)。そして、晶析した過塩素酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムには、脱水処理と乾燥処理が施される。乾燥処理において、過塩素酸アンモニウムが分解しない程度の温度、かつ炭酸水素アンモニウム、および炭酸アンモニウムが分解する温度(例えば、80℃程度)まで加熱すると、下記反応式(21)および反応式(22)に示す反応が進行する。
NH4HCO3 → CO2 + NH3 + H2O
…反応式(21)
(NH4)2CO3 → CO2 + 2NH3 + H2O
…反応式(22)
従って、乾燥工程における処理温度を工夫することにより、不純物となる炭酸水素アンモニウム、および炭酸アンモニウムを除去することができる。
最終的に、過塩素酸アンモニウムの結晶を分級し、過塩素酸アンモニウムの結晶の粒径を揃える。
以上説明したように、本実施形態にかかる過塩素酸塩製造装置100によれば、ナトリウムイオンを含む水溶液を用いて電解酸化を行うことによって生成された過塩素酸を含むアノード溶液(2次アノード溶液AS2)に塩基性化合物を添加して、アノード溶液のpHを7.0を上回る値とする。そして、pHが7.0を上回ったアノード溶液に、更に、二酸化炭素を導入することで、アノード溶液に含まれるナトリウムイオンを炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムとして沈殿させて、アノード溶液からナトリウムイオンを除去することができる。これにより、不純物としてのナトリウム塩の含有量を著しく低減することができ、目的物である過塩素酸アンモニウムの純度を向上させることが可能となる。
(過塩素酸塩製造方法)
続いて、上述した過塩素酸塩製造装置100を用いた過塩素酸塩製造方法について説明する。図5は、本実施形態にかかる過塩素酸塩製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図6は、過塩素酸塩製造方法の各ステップにおけるバルブの状態を説明するための説明図である。なお、本実施形態における過塩素酸塩製造方法において、ユーザによる停止指示があったときには、そのときに遂行している処理を停止する。また、過塩素酸塩製造方法は、下記のすべての工程(ステップ、処理)が終了してから、1次電解ユニット200に塩化ナトリウム水溶液およびH2Oを導入しても良いし、1次電解ユニット200に順次、塩化ナトリウム水溶液およびH2Oを導入することで、並行かつ連続的に各工程を遂行しても良い。
まず、不図示の制御装置は、バルブ102、104、106、254a、254b、258a、258b、358a、420、470、490aを閉状態にしておく。
制御装置がバルブ102を開状態にすると、1次電解ユニット200のアノード槽220、および、アノード溶液貯留部250に塩化ナトリウム水溶液が収容される(S500)。また、制御装置がバルブ254aを開状態にすると、カソード槽230、および、カソード溶液貯留部252にH2Oが収容される(S502)。続いて、制御装置がバルブ102、254aを閉状態にするとともに、直流安定化電源260を用いて1次電解ユニット200の陽極222および陰極232に電圧を印加する(S504)。その結果、1次電解ユニット200において電気分解が開始し、アノード槽220において上記反応式(1)から反応式(7)に示す酸化反応が進行する。また、カソード槽230において上記反応式(8)および反応式(9)に示す還元反応が進行する。
そして、反応式(7)に示す1次アノード溶液AS1中の亜塩素酸が塩素酸に転化したか否かを判定する(S506)。亜塩素酸が塩素酸に転化していないのであれば(S506におけるNO)、直流安定化電源260を用いた電極(陽極222および陰極232)への電圧の印加を維持する。
一方、1次アノード溶液AS1中の亜塩素酸が塩素酸に転化した場合(S506におけるYES)、直流安定化電源260を用いた陽極222および陰極232への電圧の印加を停止して、1次電解ユニット200における1次電解を終了する(S508)。
続いて、制御装置は、バルブ258aを開状態にして、1次電解ユニット200において生成した1次アノード溶液AS1を2次電解ユニット300のアノード溶液貯留部350(アノード槽220)に導入する。また制御装置は、バルブ254bを開状態にして、2次電解ユニット300のカソード溶液貯留部252(カソード槽230)にH2Oを導入する(S510)。
制御装置がバルブ258a、254bを閉状態にするとともに、直流安定化電源260を用いることにより2次電解ユニット300の陽極322および陰極332に電圧を印加する(S512)。その結果、2次電解ユニット300において電気分解が開始し、アノード槽220において上記反応式(10)から反応式(12)の酸化反応が進行する。また、カソード槽230において上記反応式(8)および反応式(9)の還元反応が進行する。
電解時間に対する塩素酸から過塩素酸への転化率と電解時間に応じて比例する消費電力の関係から決定した電解時間が経過したか否かを判定する(S514)。決定した電解時間が経過していないのであれば(S514におけるNO)、直流安定化電源260を用いた電極(陽極222および陰極232)への電圧の印加を維持する。
一方、決定した電解時間の経過した場合(S514におけるYES)、直流安定化電源260を用いた陽極322および陰極332への電圧の印加を停止して、2次電解ユニット300における2次電解を終了する(S516)。
続いて、制御装置は、バルブ358aを開状態にして、2次電解ユニット300において生成した2次アノード溶液AS2を反応槽490へ送出する。また制御装置は、バルブ258bを開状態にして、1次電解ユニット200のカソード槽230、および、2次電解ユニット300のカソード槽230において生成したカソード溶液CSを外部へ排出する(S518)。
制御装置は、バルブ358aを閉状態にするとともに、炭酸水素ナトリウム、および炭酸ナトリウムの溶解度を下げることを目的として、バルブ420を開状態にして、2次アノード溶液AS2のpHが7.0を上回る値となるまで塩基性化合物貯蔵部410から反応槽490へアンモニアガスを導入する。そして、2次アノード溶液AS2のpHが7.0を上回る値となるとバルブ420を閉状態にする(S520)。その結果、反応槽490において、上記反応式(13)、および、反応式(14)に示す反応を進行させて、過塩素酸アンモニウムを含む水溶液を生成する。
続いて、制御装置は、バルブ470を開状態にする。そして、二酸化炭素貯蔵部460から反応槽490へ二酸化炭素を導入することにより、反応式(15)から反応式(20)に示す反応を進行させる(S522)。そして、反応式(17)、および反応式(18)に示す反応によって生じた炭酸水素ナトリウム、もしくは、炭酸ナトリウムの沈殿物をろ過により取り除き、バルブ104を開状態にして反応槽490から取り出す。続いてバルブ104を閉状態にした後、炭酸水素ナトリウム、もしくは、炭酸ナトリウムの沈殿物が取り除かれた過塩素酸アンモニウムを含む水溶液を蒸発・濃縮する(S524)。
制御装置は、バルブ490aを開状態にして、蒸発・濃縮工程(S524)で濃縮された過塩素酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムを含む水溶液(反応後水溶液)を、反応槽490から晶析槽492へ導入する(S526)。そして、制御装置は、バルブ490aを開状態にする。続いて、晶析槽492において、反応後水溶液を冷却して、過塩素酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムを晶析させる。
そして、制御装置は、バルブ106を開状態にして、晶析した過塩素酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムを取り出し、脱水処理を施して、更に乾燥処理を施す。かかる乾燥処理において、80℃程度に加熱すると、上記反応式(21)、反応式(22)に示す反応が進行し、炭酸水素アンモニウム、および、炭酸アンモニウムが分解される。続いて、分級処理を施し、過塩素酸アンモニウムの結晶の粒径を揃える(S528)。
その後、制御装置は、バルブ106、258b、470を閉状態にして、当該過塩素酸製造方法を終了する。
以上説明したように、過塩素酸塩製造方法によっても、電解酸化によって生成した過塩素酸を含むアノード溶液(2次アノード溶液AS2)に、塩基性化合物を添加して、アノード溶液のpHを7.0を上回る値とし、更に二酸化炭素を導入する。その結果、アノード溶液に含まれるナトリウムイオンを炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムとして沈殿させて、アノード溶液からナトリウムイオンを除去することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、1次電解ユニット200のアノード槽220に収容する溶液として、塩化ナトリウム水溶液を例に挙げて説明した。しかし、電解酸化することで、塩素酸を生成することが可能な溶液であれば、原材料や目的物に限定はない。例えば、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)等の他のアルカリ金属の塩化物を原材料として用いることもできる。また、塩化物の水溶液に限らず、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、および塩素酸イオンの群から選択される少なくとも1のイオン、および、アルカリ金属イオンを含む水溶液であっても良い。
また、上述した実施形態では、電解槽210としてゼロギャップ型の電解セルを例に挙げて説明した。しかし、陽イオン交換膜240と陽極222、322を離隔させ、陽イオン交換膜240と陰極232、332とを離隔させた電解槽であっても良い。
更に、上述した実施形態では、1次電解と2次電解と電解の工程を別々の2つの電解槽を用いて行う例について説明した。しかし、電解に用いる電解槽について限定はない。例えば、1つの電解槽で過塩素酸の生成を行っても良い。また、3つ以上の電解槽を用いて過塩素酸の生成を行っても良い。
また、アノード溶液貯留部250、350の下部に1次アノード溶液AS1、または、2次アノード溶液AS2を加熱するための加熱部を設けても良い。こうすることで、陽極222、322表面において生成する生成物の生成効率を向上させることができる。この場合、アノード槽220の側壁に、1次アノード溶液AS1、または、2次アノード溶液AS2の水温を計測する温度測定部を設けると良い。そして、温度測定部が計測した温度に基づいて、アノード槽220に収容する1次アノード溶液AS1、または、2次アノード溶液AS2が、陽極222、322表面において効率よく生成物を生成する所定の温度を維持するように、加熱部の出力を制御すると良い。
同様に、カソード溶液貯留部252の下部にカソード溶液CSを加熱するための加熱部を設けても良い。その結果、陰極232、332表面において生成する生成物の生成効率を向上させることができる。この場合も、カソード槽230の側壁に、カソード溶液CSの水温を計測する温度測定部を設けると良い。そして、温度測定部が計測した温度に基づいて、カソード槽230に収容するカソード溶液CSが、陰極232、332表面において効率よく生成物を生成する所定の温度を維持するように、加熱部の出力を制御すると良い。
また、過塩素酸塩製造装置100において示した位置以外にバルブや、ポンプを設けても良い。
なお、本明細書の過塩素酸塩製造方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでも良い。