JP2008208434A - 逆電解用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】水道水や低濃度の食塩水、またはこれらにpH調整剤や乳酸カルシウムなどを添加した水溶液を用いて電解水を製造することを目的とし、少なくとも2枚の電極を利用してその水溶液を電解し、かつ電極の極性を切り替えて使用する逆電解を行うための電極において、酸素発生に対する過電圧を低減し、電解電圧を低くすることが可能な逆電解用電極を提供する。また、繰り返し行われる逆電解に対して正負いずれの極性に対しても耐久性に優れる逆電解用電極を提供する。
【解決手段】本発明の逆電解用電極は、酸化イリジウムと白金との混合物からなる触媒層が導電性基体上に形成され、かつ酸化イリジウムが非晶質である。また、本発明の逆電解用電極は、触媒層と導電性基体との間に導電性基体の腐食を抑制する中間層を形成したものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性基体上に酸化イリジウムと白金の混合物からなる触媒層を形成した電極、特にその用途において極性を反転する逆電解に用いられる電極に関する。
水道水や低濃度の食塩水、またはこれらにpH調整剤や乳酸カルシウムなどを添加した水溶液を用い、少なくとも2枚の電極間に直流電流もしくは周期的な極性反転を伴う矩形波などの電流を印加する電解処理によって、一般に電解水として知られている水溶液が得られる。電解水は、そのpHによって強酸性水、酸性電解水、微酸性電解水、強アルカリ性電解水のように分類され、またpHだけでなく電解水に含まれる成分・効能・用途などによってはアルカリイオン水、酸性イオン水、電解次亜水(電解次亜塩素酸ナトリウム水または電解次亜塩素酸水)のような区分もなされている。
また、このような電解水の利用法として、特許文献1には、導入された空気を加湿する加湿器と、この加湿器に加湿用水を供給する水供給配管とを備えるとともに、この水供給配管は、水道水を電気分解して、次亜塩素酸を含む除菌用水を生成する少なくとも一対の電極を備え、加湿器は、空気の非導入時に、当該加湿器に除菌用水を一時的に保持する構成とする除菌装置が開示されており、装置において生成する次亜塩素酸を含む電解水によって、加湿エレメントおよび加湿器内での雑菌の繁殖や、それによる菌、臭い、カビ等が送風空気とともに吹き出されることを抑制するようになっている。
このように電解水の性状・効能・用途などは様々であるが、いずれの場合にも電解水の製造には少なくとも2枚以上の電極を使用する。3枚以上の電極を使用する場合には、複数対の電極を直列または並列に接続したり、電源に接続された一対の電極の間に電源とは接続されていない電極を配置して、これをバイポーラ電極として使用する場合がある。さらに、陽極と陰極を隔膜で分離してそれぞれの電極付近で生じる電解水を別々に採取する場合、別々に採取した後で混合する場合、もしくはそのような隔膜を用いずに陽極付近と陰極付近のそれぞれで生成する電解水が混合され、その後に採取される場合もある。また、特許文献2に開示されているように、水道などの給水設備に接続され、流水状態で電解を行い、酸性水やアルカリ水などを製造する流水式の場合と、給水設備に接続しない簡易な低コスト構造で水を滞留状態で電解するバッチ式のような区別もある。このように電解水を製造する装置の構成は、目的とする電解水の性状や供給必要量などに応じて異なっている。
しかし、電解水の製造に用いられる電極のほとんどは、チタン材を基体としてその上に陽極または陰極での電気化学反応に活性な触媒層を形成したもので、このような電極としては例えばチタン板上に白金を電気めっきしたものがある。その他にも、特許文献3には白金めっき電極とともに、白金イリジウム焼成電極やルテニウム系電極などが紹介されており、使用する水溶液の温度によって電極の消耗速度が異なることが知られている。
上記のようなチタン材と白金族金属から構成される電極が用いられる理由は、水溶液の電解において陽極の主反応である酸素発生と陰極の主反応である水素発生に対して、チタンおよび白金族金属がほとんど溶解しない不溶性の性質を有するためであり、特に飲用であるアルカリイオン水や食品・厨房などの除菌・洗浄に用いられる電解次亜水を製造する装置においては、電極材料が電解水に溶出することが大きな問題となるため、このような電極が多用されている。
特に、触媒層に用いられる白金族金属の中でも、白金は不溶性だけでなく、酸素発生や水素発生の両方に対して良好な触媒活性を有している。酸素発生だけを取り上げれば、白金よりも酸化イリジウム(IrO)のほうがさらに触媒活性に優れており、電解水の製造において、使用する電極を常に陽極または陰極に固定する場合、すなわち極性反転を伴わないような場合には、陽極には酸化イリジウムまたは酸化イリジウムと酸化タンタルの混合物を触媒層として、陰極には白金を触媒層としてチタン板上に形成した電極が好適である。
しかし、電解水の製造においては、周期的または間欠的な極性反転を伴う電解方法が多く用いられる。その理由は、電解される水溶液中に含まれるアルカリ土類金属、特にカルシウムイオンが、電解により陰極で水素発生してpHが上昇すると、電極上や電解装置が隔膜を有する場合には隔膜上に、炭酸塩や水酸化物などとして析出するためである。これによって、陰極上では通電がしにくくなり、かつ電解電圧を上昇させるため電極の交換が必要になることや、陰極近傍または隔膜における水流を閉塞・停滞させることによって、電解装置に対して余分なメンテナンスが必要になるといった望ましくない影響を与える。そこで、極性反転によってそれまで陰極であった電極を陽極として通電することにより、pHの低下を促し、電極上に析出した炭酸塩や水酸化物などを再溶解させる方法がとられている。特許文献4には、このような逆電解の際に、陰陽極水の吐水方向を逆転させ、常時所定の吐水管から陰陽極水を吐水する同時に、電解槽の給水用入口、処理水出口を入り換える機能を備えた電解水生成装置が開示されている。
すなわち、極性反転を伴う電解方法、いわゆる逆電解によって電解水を製造する場合には、使用する電極は陽極または陰極のいずれかに固定されるのではなく、極性反転によって陽極にも陰極にもなりえる。したがって、逆電解を伴う通電での電解水の製造においては、使用する電極は陽極反応の主となる酸素発生と、陰極反応の主となる水素発生のいずれに対しても触媒活性が高く、かつ不溶性であり、高い耐久性を有することが望まれる。
特開2007−10201号公報 特開2003−205288号公報 特開2006−15220号公報 特開2006−212607号公報
逆電解を伴う通電方法によって電解水を製造する場合、酸素発生・水素発生の両方に対して触媒性・不溶性・耐久性の面で優れることが望まれる。このような条件に比較的良い特性をする電極として、チタン基体上に熱分解法によって白金と酸化イリジウムの混合物からなる触媒層を形成した電極(以下、Pt−IrO/Ti電極)が知られている。この電極では、一般に、触媒層の主成分は白金であり、これに酸化イリジウムが混合されることで、酸素発生に対する触媒性を白金単独よりも高めることが意図されている。一方、酸化イリジウムは水素発生に対する触媒性は低いが、その混合比率を白金より小さくすることによって、白金単体に比べて水素発生に対する触媒性が大きく低下することを抑制する目的がある。
しかしながら、本来酸化イリジウムが有する酸素発生への高い触媒性も、Pt−IrO/Ti電極では十分に発揮されず、結局は酸化イリジウムを混合したことによる効果よりも、主成分である白金の触媒性によって酸素発生電位が決まるという影響が大きかった。したがって、水の電解の理論電圧は1.23Vであるが、水素発生に比べて酸素発生に対する過電圧が大きいために、理論電圧に比べて実際の電解電圧は大きく、電解電圧を低くすることができないという課題があった。特に、電解水を小さな電極面積で効率よく製造するという要望を満たすために電流密度を大きくすると、酸素過電圧による電解電圧の上昇が著しく、印加する電流密度を大きくできない、または電極面積を小さくすることが困難であるといった課題があった。さらに、酸化イリジウム単体は白金単体に比べて、水素発生によって電極近傍のpHが低下した場合の消耗速度が大きいことから、逆電解を行うと酸化イリジウムが先に消耗して触媒層全体の劣化と電解される水溶液の触媒層中への浸透を促し、ひいては白金と酸化イリジウムの混合物である触媒層の剥離や脱落を生じるために、逆電解に対する耐久性を向上させる必要があるという課題があった。
上記の課題に対して、本発明は、水道水や低濃度の食塩水、またはこれらにpH調整剤や乳酸カルシウムなどを添加した水溶液を用いて電解水を製造することを目的とし、少なくとも2枚の電極を利用してその水溶液を電解し、かつ電極の極性を切り替えて使用する逆電解を行うための電極において、酸素発生に対する過電圧を低減し、電解電圧を低くすることが可能な逆電解用電極の提供を目的とし、かつ繰り返し行われる逆電解に対して正負いずれの極性に対しても耐久性に優れる逆電解用電極を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対して、導電性基体と白金族金属などからなる触媒層で構成される逆電解用電極の開発を行い、触媒層の構成材料、製造方法、製造条件の検討とともに、得られた逆電解用電極の水溶液中における電気化学的特性の評価と、この逆電解用電極の周期的な極性反転を伴う連続電解試験における耐久性評価に対して、様々な研究を行った結果より得られた知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、酸化イリジウムと白金との混合物からなる触媒層を導電性基体上に形成した逆電解用電極であって、酸化イリジウムが非晶質である逆電解用電極である。ここで、導電性基体とは、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ等のバルブ金属やチタン−タンタル、チタン−ニオブ、チタン−パラジウム、チタン−タンタル−ニオブ等のバルブ金属を主体とする合金または導電性ダイヤモンド(例えば、ホウ素をドープしたダイヤモンド)が好適であり、特にチタンが好適である。その形状は板状、網状、棒状、多孔板状などの種々の形状を取りえる。また、上記の金属、合金、導電性ダイヤモンドを鉄、ニッケルなどのバルブ金属以外の金属または導電性セラミックス表面に被覆させたものでもよい。
導電性基体上に白金と非晶質の酸化イリジウムとの混合物からなる触媒層を形成する方法には、例えば水またはブタノールなどの有機溶媒に、塩化イリジウム酸や塩化白金酸を溶解して白金イオンおよびイリジウムイオンを含む塗布液を調製し、これを導電性基体上に塗布した後、所定の温度で熱分解する、いわゆる熱分解法がある。このとき、白金イオンやイリジウムイオンの供給源となる化合物の溶解を促進させるために、水または有機溶媒に塩酸などの酸を添加してもよい。また、白金イオンやイリジウムイオンの供給源の化合物については、塩化イリジウム酸や塩化白金酸以外にも、例えば塩化イリジウムや塩化白金などを含むその他の化合物でもよく、さらにイリジウムイオンの供給源となる化合物中のイリジウムの酸化状態は4価だけでなく、3価であってもよい。
熱分解法では、非晶質の酸化イリジウムを得るために、塗布液に使用する溶媒に応じて熱分解時の温度を制御する必要がある。例えば、水を溶媒として塩化イリジウム酸と塩化白金酸を各金属イオンの供給源とした塗布液をチタン板上に塗布・熱分解する場合、熱分解温度が500℃ではチタン板上に形成される触媒層において、白金も酸化イリジウムも結晶質である。これを熱分解温度380℃として行うと、白金は結晶質であるが、酸化イリジウムは非晶質となる。もちろん、白金と非晶質の酸化イリジウムからなる混合物を触媒層として形成する条件はこれらに限定されるものではない。すなわち、熱分解法では、使用する塗布液を調製する際の溶媒の種類、溶媒への添加物の種類や添加量、塗布液中の白金イオンとイリジウムイオンの供給源となる化合物の種類などに応じて、白金と酸化イリジウムがそれぞれ形成される最低温度が異なり、かつ熱分解温度によって白金の結晶構造、酸化イリジウムの結晶構造がそれぞれ変化するが、非晶質から結晶質へと変化する温度は白金と酸化イリジウムで異なる。塗布液の組成などに依存するが、多くの場合、白金は比較的低い温度でも結晶質となり、酸化イリジウムは高い温度では結晶質で、上記の最低温度以上において温度が低くなると非晶質になりやすい。このような構造変化を生じる温度の違いを利用して、一定温度での熱分解によって結晶質の白金と非晶質の酸化イリジウムからなる触媒層を形成することができる。なお、得られる混合物層中で酸化イリジウムが非晶質であるかどうかについては、一般的に用いられるX線回折法によって、酸化イリジウムに対応する回折ピークが観察されないか、またはブロード化することによって知ることができる。
さらに、上記のような熱分解法以外にも、例えば一般的に知られたスパッタリング法やCVD法など各種の物理蒸着法、化学蒸着法を用いて、白金、酸化イリジウムをターゲットとするか、もしくは白金および酸化イリジウムの供給源となる化合物を蒸着装置内に導入して反応させる方法によって、白金と非晶質の酸化イリジウムからなる混合物を触媒層として導電性基体上に形成することも可能である。この場合、酸化イリジウムの結晶化を抑制する温度、成長速度、供給源などの選択が必要である。
上記のような方法によって導電性基体上に白金と非晶質の酸化イリジウムの混合物からなる触媒層を形成した逆電解用電極では、触媒層における非晶質の酸化イリジウムが結晶質の酸化イリジウムに比較して、有効表面積および交換電流密度の点で酸素発生触媒能が高いことから、酸素発生過電圧を低減することができるという作用を有する。したがって、同じ量の触媒層が形成されている場合に、酸化イリジウムが結晶質である場合に比べて非晶質である場合には、同じ幾何学的な電極面積でも酸素発生がより促進されることになり、白金と酸化イリジウムの混合比や形成されている触媒層の重量または幾何学的面積が同じであっても、本発明の逆電解用電極を利用すれば、極性反転を行う電解での電解水の製造において極性に関わらず常に電解電圧を下げることが可能となる。
なお、本発明の逆電解用電極において、触媒層中の白金と酸化イリジウムの混合比は、白金が50〜95モル%、特に80〜90モル%が好適である。白金が50モル%よりも少なくなると水素発生に対する過電圧が急激に大きくなる傾向があり、また95モル%よりも大きくなると酸化イリジウムによる酸素発生への触媒効果がほとんど現れなくなるので好ましくない。また、逆電解に対する耐久性の点も含めて考えれば、80〜90モル%が好適である。
また、本発明は上記の触媒層と上記の導電性基体との間に導電性基体の腐食を抑制する中間層を形成したことを特徴とする逆電解用電極であり、さらにその中間層が白金である逆電解用電極である。ここで、耐食性の中間層とは、長時間の使用において触媒層を浸透した水溶液が導電性基体にまでに達し、導電性基体上で酸素発生が生じることによって導電性基体が酸化・腐食することを防止する機能を有するものである。このような導電性基体の酸化および腐食の防止によって、腐食生成物によるオーム損の増加、これに伴う電解電圧の上昇や、腐食生成物上や周辺部の触媒層の密着性低下、剥離、脱落などを防止するという作用を有する。中間層としては、白金の他、タンタルなどのバルブ金属およびその合金などが好適であり、特に白金は触媒層の成分であり、これを中間層とすれば触媒層との間で高い密着性が得られるという点から好適である。このような中間層の形成方法としては、前述の触媒層の形成と同様に、白金イオンのみを含む塗布液で熱分解する方法が利用できる他に、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、電気めっき法などを用いることができる。
本発明によれば下記の効果を奏する。
1)水溶液を用い、かつ逆電解を必要とする電解水の製造において、極性反転に関わらず、電解電圧を下げることによって使用電力を低減することができるとともに、低過電圧での電解が可能となることで、電解水の特性を低出力で制御することができるという効果を有する。
2)また、使用電力を低減できることによって、電解コストを削減することが可能になるという効果を有する。
3)また、これらの効果を長時間持続することが可能となることで、電解水の安定性を向上させることができるとともに、電解装置のメンテナンスを低減することができるという効果を有する。
以下、本発明を実施例、比較例を用いてより詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
白金と酸化イリジウムからなる混合物を触媒層としてチタン基板上に形成した電極(Pt−IrO/Ti電極)を作製した。塗布液の調製は、濃塩酸0.6mLを蒸留水9.4mLに加えた溶液に、塩化白金酸六水和物と塩化イリジウム酸六水和物がモル比85:15の割合で、かつ金属換算でPtとIrの合計濃度が70g/Lとなるように完全に溶解して行った。次に、チタン板をアセトンで超音波洗浄した後、シュウ酸二水和物を用いて調製した10wt%シュウ酸溶液中に90℃で60分間浸漬し、その後蒸留水で表面をよく洗浄してから風乾した。このように前処理したチタン基板に上記の塗布液を薄く均一に浸漬塗布した。その後、空気雰囲気下において、常温で10分間乾燥し、次に120℃の電気炉内で10分間保持し、さらに380℃の電気炉内で20分間保持して塗布液を熱分解した。以上の塗布から熱分解までの工程を5回繰り返して、Pt−IrO/Ti電極を作製した。
実施例1における熱分解温度380℃を400℃に変えたことを除いて、他は同じ方法・条件によりPt−IrO/Ti電極を作製した。
(比較例1)
実施例1における熱分解温度380℃を450℃に変えたことを除いて、他は同じ方法・条件によりPt−IrO/Ti電極を作製した。
(比較例2)
実施例1における熱分解温度380℃を500℃に変えたことを除いて、他は同じ方法・条件によりPt−IrO/Ti電極を作製した。
上記の実施例1、実施例2、比較例1、比較例2で作製したPt−IrO/Ti電極の構造をX線回折法によって調べた。まず、比較例1および比較例2では、結晶質の白金と結晶質の酸化イリジウムのそれぞれに対応する明瞭な回折パターンが得られた。一方、実施例1および実施例2では、結晶質の白金であること示す回折パターンだけが得られ、酸化イリジウムに対応する回折線はまったく見られなかった。これらの結果から、実施例1および実施例2の触媒層は結晶質の白金と非晶質の酸化イリジウムの混合物であり、比較例1および比較例2の触媒層は結晶質の白金と結晶質の酸化イリジウムの混合物であることが判った。
次に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2で作製したPt−IrO/Ti電極の電気化学特性を、一般的な3電極式測定法で評価した。各電極はテフロン(登録商標)製のホルダーを用いて電極面積を1cm×1cmに規制した状態で使用した。このようにしたPt−IrO/Tiを作用極とし、対極にPt板、参照極にKCl飽和Ag/AgCl電極を用い、電解液には1mol/L NaSO溶液を使用した。ポテンショガルバノスタットを使用して、5mV/sの走査速度でサイクリックボルタメトリーを行って電気二重層容量を測定するとともに酸素発生に対する触媒性を評価した。
参照極に対して0.4V〜0.7Vの範囲でサイクリックボルタモグラムを測定し、その結果から幾何学形状に基づく電極面積当たりの電気二重層容量を決定した。図1に電気二重層容量を比較した結果を示した。図1から、比較例1および比較例2に対して、実施例1および実施例2では電気二重層容量が大きく、特に酸化イリジウムが結晶質から非晶質に変化する比較例1と実施例2において電気二重層容量の増加が大きいことが判る。電気化学測定で得られる電気二重層容量は電極反応が生じる実質的な電極表面積に対応しており、幾何学的な面積が同じでも電気二重層容量が大きいほど反応面積が大きい。図1の結果から、比較例1および比較例2に対して実施例1および実施例2では電極の反応面積が増加しており、特に実施例1は比較例2に対して4倍以上の反応面積の増加が見られた。
次に、各電極において、浸漬電位からアノード方向へのサイクリックボルタモグラムを測定し、それをまとめた結果を図2に示した。図2において1.1V以上で流れている電流は酸素発生によるものであるが、その電流は実施例1が最も低い電位から立ち上がっており、次に実施例2、比較例1、比較例2の順となった。また、同じ電位で比較すると、実施例1の電流が最も大きく、次に実施例2、比較例1、比較例2の順であるが、比較例1と比較例2に比べて実施例1と実施例2の電流は非常に大きく、明らかに実施例と比較例の間に酸素発生に対する触媒性の違いが見られた。さらに、同じ電流密度で比較すると、実施例1の電位は比較例2に比べて200mV以上も低く、すなわち酸素発生過電圧を大きく低減することが可能であることが判った。
チタン基板上に白金の中間層を形成した後に、この中間層上に白金と酸化イリジウムからなる混合物を触媒層として形成した電極(以下、Pt−IrO/Pt/Ti電極)を作製した。中間層を形成するための塗布液は、濃塩酸0.6mLを蒸留水9.4mLに加えた溶液に、塩化白金酸六水和物を金属換算で70g/Lとなるように完全に溶解して調製した。次に、実施例2と同じ前処理をしたチタン板上に中間層の塗布液を薄く均一に浸漬塗布した。その後、空気雰囲気下において、常温で10分間乾燥し、次に120℃の電気炉内で10分間保持し、さらに400℃の電気炉内で20分間保持して塗布液を熱分解した。以上の塗布から熱分解までの工程を2回繰り返した。次に、実施例2と同じ塗布液を用い、同じ方法・条件で塗布から熱分解までの工程を5回繰り返し、中間層の上にPt−IrO触媒層を形成した。
実施例2で作製したPt−IrO/Tiおよび実施例3で作製したPt−IrO/Pt/Tiのそれぞれについて逆電解試験を行った。この試験では、2枚のPt−IrO/Ti電極または2枚のPt−IrO/Pt/Tiを1mol/L NaSO溶液に浸漬し、電解試験装置を用いて通電10分、逆通電10分を交互に繰り返す定電流パルス波を印加して2枚の電極間の電圧を測定した。なお、この試験に用いた電極もテフロン(登録商標)製のホルダーを用いて電極面積を1cm×1cmに規制し、電流密度は0.1A/cmとした。電解液の温度は30℃に調整した。いずれの電極においても電解を続けると電圧が急激に上昇する変化が見られ、これが電極の寿命であるとして評価した。その結果、実施例2の電極の寿命は350〜400時間であったのに対して、実施例3では550時間以上の電解が可能であった。すなわち、白金を中間層として導入することによって逆電解における電解時間が長くなることが判った。
本発明は、強酸性電解水、強アルカリ性電解水、微酸性電解水、電解次亜水、アルカリイオン水、酸性イオン水、可変酸性電解水、可変アルカリ性電解水、酸性電解水、アルカリ性電解水、酸素系電解水、強アルカリ性循環電解水などの電解水の製造に利用可能である。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の電気二重層容量を示す。 実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のサイクリックボルタモグラムを示す。

Claims (3)

  1. 酸化イリジウムと白金との混合物からなる触媒層を導電性基体上に形成した逆電解用電極であって、該酸化イリジウムが非晶質であることを特徴とする逆電解用電極。
  2. 該触媒層と該導電性基体との間に該導電性基体の腐食を抑制する中間層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の逆電解用電極。
  3. 該中間層が白金であることを特徴とする請求項2に記載の逆電解用電極。
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