JP2001279479A - 給電体および電解セル - Google Patents

給電体および電解セル

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JP2001279479A JP2000093394A JP2000093394A JP2001279479A JP 2001279479 A JP2001279479 A JP 2001279479A JP 2000093394 A JP2000093394 A JP 2000093394A JP 2000093394 A JP2000093394 A JP 2000093394A JP 2001279479 A JP2001279479 A JP 2001279479A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、固体電解質膜に圧接された際に該固
体電解質膜を損傷しにくく、さらに温度変化による収
縮、膨張が生じた際にも固体電解質膜等と接触する面圧
の維持を図ることにより、電解電圧の低下を抑制するこ
とができる給電体と、該給電体の利点を有する電解セル
を提供することを課題とする。 【解決手段】本発明の解決手段は、水電解装置における
電解セルを構成し、固体電解質膜に圧接されて使用され
る給電体であって、圧縮弾性率が5〜50MPaである
ことを特徴とする給電体による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、純水等
を電気分解して水素および酸素を発生させる水素酸素発
生装置に使用される給電体および電解セルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば水等を電気分解して水素お
よび酸素を発生させる水素酸素発生装置(以下、単に
「装置」ともいう)において、水等の電気分解を行うた
めの電解セルとしては、電解質の役割を果たす部材とし
て固体高分子電解質膜等から構成された固体電解質膜を
用いたもの(以下、「固体電解質膜ユニット」という)
を所定組並べ合わされたものが知られている。
【0003】かかる従来技術の電解セルを、図5を参照
しつつ説明すると、前記固体電解質膜ユニット105
は、固体電解質膜101と、この固体電解質膜101を
挟持すべく設けられた電極板103(陽極側および陰極
側電極板)と、前記固体電解質膜101と前記電極板1
03との間に設けられた給電体102(陽極側および陰
極側給電体)等により構成されている(以下、これらを
総称して「構成要素」ともいう)。前記固体電解質膜1
01としては、固体高分子電解質膜の両面に電極触媒層
を設けたもの等が使用される。また、かかる固体電解質
膜ユニット105を並べ合わせ、電解セル100として
組み立てる際には、該固体電解質膜ユニットの構成要素
を互いに密着させるように加圧すべく、前記電解セル1
00の両端に端板110と、該端板を連結する締付ボル
ト111が設けられる。
【0004】そして、かかる装置を運転する際には、前
記締付ボルト111を締めつけることによって前記端板
110、110を介して、該端板110、110間に挟
まれた固体電解質膜ユニット105に所定の圧力をかけ
た状態で使用する。即ち、所定の圧力を加えることによ
って給電体102と固体電解質膜101とを圧接させな
がら、陽極側に純水等を供給し且つ電極板103に対し
て通電することにより、主に陽極側給電体に接する電極
触媒層において酸素ガスを発生させ、陰極側給電体に接
する電極触媒層において水素ガスを発生させるものであ
る。
【0005】このように、固体電解質膜101の両側に
設けられた給電体102は、固体電解質膜101に対し
て圧接された状態で構成されることにより、互いを均一
に接触させて電気分解のエネルギー効率の向上が図られ
る。さらに、陽極側に設けられる給電体は、所定の純水
等の補給量を確保すべく(所定処理量を実現すべく)、
所定の空隙率を有して構成される。
【0006】かかる観点から、従来、空隙率の大きい繊
維焼結体等を基体とし、該基体の片面側に、空隙率が小
さく表面が平滑な粉末焼結体を表面層として形成し、前
記基体と前記表面層とを一体化した二重構造給電体が開
示されている(特公平2−32357号公報)。かかる
二重構造給電体は、表面層が固体電解質膜側となるよう
に設置されることにより、空隙率の小さい平滑な面が固
体電解質膜に圧接されることとなり、固体電解質膜の損
傷が防止できるとともに、空隙率の大きい基体によって
所定の純水等の補給量を確保することができるものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、給電体
が上記のような焼結体によって構成されている場合に
は、該焼結体は圧縮弾性率が大きいため、上記のように
電解セルを組み立てる際に所定圧力を加えられても圧縮
されにくいものであった。
【0008】一方、前記給電体等の構成要素を生産する
工程においては、定められた所定寸法に対して必然的に
公差を生ずるものである。電解セルにおいてこのような
公差を有する構成要素を積層すればその公差が累積さ
れ、給電体と固体電解質膜との接触面の面圧および給電
体と電極板との接触面の面圧が不均一となって電流分布
に偏りが生じ、電気分解のエネルギー効率が低下する虞
がある。さらには、前記公差によって歪みが大きくなる
ことにより、固体電解質膜を損傷するという虞もある。
【0009】また、かかる装置によって電気分解を行う
際には、電解セル全体が高温となる為に、前記端板同士
を締めつけていた締付ボルトが熱膨張し前記端板間の距
離が若干延びることとなり、電解セルに加えられた圧力
が低下することとなる。
【0010】しかしながら、上記のような焼結体のみか
らなる給電体は、圧縮弾性率が大きいためにこのような
電解セルの熱膨張に応じて柔軟に圧縮を復元させること
ができないものである。従って、給電体と固体電解質膜
との接触面の面圧、および給電体と電極板との接触面の
面圧が低下することとなり、接触不良となるかあるいは
一部分に隙間が生じて全く接しないこととなる虞があ
る。即ち、従来の給電体を使用した場合には、電極板と
給電体と固体電解質膜とがそれぞれ全面に亘って均一に
接するような良好な接触状態を、常に維持することが困
難である。
【0011】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、固体電解質膜に圧接された際に該固体電解
質膜を損傷しにくく、さらに温度変化による収縮、膨張
が生じた際にも固体電解質膜等と接触する面圧の維持を
図ることにより、電解電圧の低下を抑制することができ
る給電体と、該給電体の利点を有する電解セルを提供す
ることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成す
るに至った。
【0013】即ち、本発明の手段は、水電解装置におけ
る電解セルを構成し、固体電解質膜に圧接されて使用さ
れる給電体であって、圧縮弾性率が5〜50MPaであ
ることを特徴とする給電体にある。
【0014】圧縮弾性率が5〜50MPaであることに
より、電解セル中において加圧された際にも圧縮性およ
び圧縮復元性に優れたものとなる。従って、固体電解質
膜ユニットの各構成要素が公差を有して製造され、電解
セルを組み立てた際に各構成要素の接触面同士が完全に
平行な状態とならない場合であっても、前記給電体が柔
軟に圧縮されることにより、該給電体と固体電解質膜、
および給電体と電極板とが均一な面圧で接触されること
となる。また、前記電解セルが運転中に膨張した場合に
も、圧縮されていた前記給電体がこれに追従して復元す
るため、前記面圧が維持されやすいものとなる。
【0015】さらに、本発明の手段は、前記給電体のう
ち固体電解質膜に圧接される接触面が、導電性粉末又は
導電性繊維が平滑な状態に焼結されてなる給電体にあ
る。
【0016】また、前記給電体が、導電性板が立体的且
つ網目状に成形された導電性成形板が1以上積層されて
なる弾性部を有する給電体にある。
【0017】さらに、本発明の手段は、水電解装置にお
ける電解セルを構成し、固体電解質膜に圧接されて使用
される給電体であって、導電性板が立体的且つ網目状に
成形された導電性成形板が1以上積層されてなる弾性部
を有し、且つ固体電解質膜に圧接される面が、導電性粉
末又は導電性繊維が平滑な状態に焼結されてなることを
特徴とする給電体にある。
【0018】固体電解質膜に圧接される面が、導電性粉
末又は導電性繊維が平滑な状態に焼結されてなることに
より、給電体が固体電解質膜に圧接された際にも、その
接触面が緻密となるために、該固体電解質膜が例えば固
体高分子電解質膜のような柔らかい材質を具備して構成
される場合にも、これを損傷する虞の少ないものとな
る。さらには、その接触面を通して純水等を供給し易
く、また発生した気体を排出し易いものとなり、給電体
として好適なものとなる。
【0019】また、導電性板が立体的且つ網状に成形さ
れたことにより、前記導電性成形板は板面に垂直な方向
に対して圧縮性を有するものとなり、よって該導電性成
形板が1以上積層された弾性部は、積層方向に対して圧
縮性および圧縮復元性に優れたものとなる。
【0020】前記導電性成形板の圧縮弾性率は、5〜5
0MPaであることが好ましく、また前記導電性成形板
としては、エキスパンドメタルを好適に使用することが
できる。ただし、本明細書におけるエキスパンドメタル
とは、JISに規定されたものに限られず、それと同等
の形状を有するものを含むものをいう。
【0021】さらに、本発明の手段は、前記給電体を具
備することを特徴とする電解セルにある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の給電体および電解
セルに係る実施形態について、図面に基づき説明する。
【0023】本発明に係る給電体の一実施形態は、図1
および2に示したように、チタン粉末がプレス成形され
た後、焼結された粉末焼結部1と、チタン製のエキスパ
ンドメタル3が積層された弾性部2とを具備し、前記粉
末焼結部1と前記弾性部2とがスポット溶接にて接合さ
れた、いわゆる二重構造給電体10である。
【0024】また、本発明に係る電解セル30の一実施
形態は、図3に示したように、固体電解質膜11の両端
に電極板13が設けられ且つ該固体電解質膜11と該電
極板13との間に上述した二重構造給電体10が挟持さ
れて構成される固体電解質膜ユニット15が所定組並べ
合わされてなるものである。ここで、固体電解質膜11
としては、例えば、固体高分子電解質を膜状に形成した
固体高分子電解質膜の両面に、貴金属からなる多孔質層
(電極触媒層)を設けて構成されたものを用いることが
好ましい。前記二重構造給電体10は、粉末焼結部1が
固体電解質膜11側となるように設けられることが好ま
しい。さらに、所定組並べ合わされた固体電解質膜ユニ
ット15の両端には端板20、20が設けられ、電解セ
ル30は該端板20、20を連結する複数の締付ボルト
21、21…によって両端より加圧されて構成される。
【0025】このように、前記二重構造給電体10は、
固体電解質膜11に圧接された状態で使用されるもので
あるため、該固体電解質膜11に均一に接するように構
成することが好ましい。さらに、補給された純水等を固
体電解質膜11へ通水し、発生させた酸素ガス等を排出
するための透過性も同時に要求されるものである。
【0026】したがって、前記粉末焼結部1は適度の空
隙率を有して構成されることが望ましく、具体的には、
空隙率が40〜50%であることが好ましい。かかる空
隙率とするためには、前記チタン粉末の粒径は40〜1
50μmであることが好ましい。
【0027】また、前記弾性部2は、エキスパンドメタ
ル3が互いに90度ずつ向きを変えて、1〜10枚程度
積層され、厚さが2〜20mmとなるように構成される
ことが好ましい。さらに、補給される純水等の流通量を
確保すべく、50〜90%の空隙率を有して形成される
ことが好ましく、75〜85%の空隙率であることがよ
り好ましい。弾性部の空隙率が75〜85%であれば、
純水等を流通させる際の圧力損失を低く維持することが
できるとともに、粉末焼結部や給電体と均一に接触する
ことが可能となる。さらに、前記弾性部2は、圧縮性お
よび圧縮復元性が大きいものが好ましく、即ち圧縮弾性
率が5〜50MPaであるものが好ましい。
【0028】また、弾性部2を構成する個々のエキスパ
ンドメタル3、3…については、圧縮弾性率が5〜50
MPaであることが好ましいが、全てのエキスパンドメ
タルの圧縮弾性率を同一とすることに限定されるもので
はなく、異なる圧縮弾性率のものを適宜選択して使用す
ることができる。
【0029】該エキスパンドメタルとしては、例えば、
加工前の板厚が0.1〜1.0mmであり、加工後の厚
みが0.3〜3.5mmであり、開口率が40〜85%
であるエキスパンドメタルを好適に使用することができ
る。
【0030】さらに、前記二重構造給電体10は、電解
セル30として組み立てられた際に、両端に設けられる
端板20、20によって、例えば0.5〜3.0MPa
の所定圧力で加圧された場合に、その圧力に応じて収縮
し、運転時の温度上昇にともなう電解セル30全体の熱
膨張に応じて膨張するものが好ましい。言い換えれば、
該二重構造給電体10は、圧縮性および圧縮復元性の大
きいものであることが好ましく、具体的には、圧縮弾性
率が5〜50MPaであることが好ましく、さらに7〜
15MPaであることがより好ましい。50MPa以上
とすれば、該二重構造給電体10が圧縮されにくいもの
となるために好ましくなく、5MPa以下とすれば、該
二重構造給電体10によって挟持される固体電解質膜1
1が電解セル30中において位置決めされにくく、Oリ
ングやスペーサ等の他の部品(図示せず)と該二重構造
給電体10とのせん断によって破損する虞があるために
好ましくない。
【0031】上記実施形態によれば、弾性部2の圧縮弾
性率を5〜50MPaとすることにより、二重構造給電
体10等の構成要素を製造する工程において公差を有し
て製造された場合でも、電解セル30中において圧縮さ
れた際に該弾性部2が柔軟に変形することとなり、該公
差による面圧の不均一を吸収し二重構造給電体10と固
体電解質膜11とが均一に接触されることとなる。これ
により、固体電解質膜11を損傷することを防止するこ
とができる。
【0032】また、弾性部2の圧縮弾性率を5〜50M
Paとすれば、圧縮復元性に優れたものとなり、電気分
解等による温度上昇により締付ボルト21が熱膨張し電
解セル30全体の加圧力が低下した際にも、圧縮されて
いた弾性部2がこれに応じて膨張し、固体電解質膜11
と給電体10との接触面の面圧を低下させることなく、
良好な接触状態を維持することが可能となる。
【0033】加圧する際の前記利点を具体的寸法を例示
して説明すると、厚さが4mmの給電体の場合、圧縮弾
性率が50MPa以上であれば0.5〜3.0MPaの
接触面圧が加えられた際の圧縮量は0.04〜0.24
mmとなる。しかしながら、一般的な工業生産の公差で
作製された給電体および電極板は、その厚さ公差および
平面度公差が0.1〜0.3mm程度となるため、公差
よりも圧縮量が小さくなる。即ち、各構成要素間に接触
面圧の生じない個所を有することとなる虞がある。これ
に対し、前記給電体の圧縮弾性率を5〜50MPaの範
囲内で、例えば10MPaとすると、前記と同じ条件に
おいて圧縮量が0.2〜1.2mmとなって公差よりも
圧縮量を大きくすることが可能となる。即ち、接触面全
体に亘って、面圧を均一に保つことが可能となる。
【0034】尚、本実施形態においては、導電性成形板
としてチタン製のエキスパンドメタルを使用したが本発
明はこれに限定されるものではなく、エキスパンドメタ
ル以外にも、板面に対して鉛直方向に5〜50MPaの
圧縮弾性率を有する導電性成形板を好適に使用すること
ができる。また、該導電性成形板としてエキスパンドメ
タルを使用する場合にも、本発明の範囲内において適宜
材質、厚み、形状、および圧縮弾性率等を変更すること
が可能であり、積層する枚数についても適宜変更するこ
とができる。さらに異なる材質、物性、形状等の導電性
成形板を積層させることにより、給電体の圧縮弾性率を
調整することも可能である。
【0035】また、上記の実施形態においては、導電性
粉末や導電性成形板としてチタンを使用したが、本発明
はこれに限定されるものではない。即ち、導電性粉末や
導電性成形板としては、例えば陽極側にはチタン、ニオ
ブ、チタンパラジウム合金等、陰極側にはステンレス、
グラファイト、カーボン等についても同様に使用するこ
とができる。
【0036】さらに、弾性部と粉末焼結部との接合方法
は必ずしもスポット溶接に限定されるものではなく、弾
性部と粉末焼結部とを一体化することによって電気抵抗
を低減できる任意の方法、例えば、焼結、ロウ付等を適
用することができる。また、本発明に係る給電体は、二
重構造に限定されるものではなく、3以上の部材を接合
して構成することや、その他任意の構成とすることが可
能である。
【0037】
【実施例】以下、本発明に係る実施例の給電体と比較例
の給電体との比較を示す。
【0038】(実施例1の作製)下記の寸法のチタン製
エキスパンドメタルを互いに90度ずつ向きを変えて5
枚積層させ、該エキスパンドメタルをスポット溶接によ
って接合し、厚さ2.9mmの弾性部を作製した。エキスパンドメタル 加工前の材料の厚さ :0.2mm 加工後(完成品)の厚さ :0.7mm 加工後(完成品)の直径 :88.0mm 菱形開口部の長手方向の対角線長さ :5.0mm 菱形開口部の短手方向の対角線長さ :2.4mm 菱形開口部の切り幅(線幅) :0.4mm
【0039】さらに、粒径75μmのチタン粉末を圧縮
型内に充填し、150MPaにてプレス成形し、減圧し
たAr雰囲気の焼結炉において1030℃で焼結し、さ
らに面取り等の所定の機械加工した後白金メッキするこ
とにより、粉末焼結部(0.5mm×88mmφ)を作
製した。
【0040】前記弾性部と前記粉末焼結部とをスポット
溶接によって接合し、円盤状(3.4mm×88mm
φ)の給電体を作製することにより実施例1とした。
【0041】(比較例1〜4の作製)下記の表1に示し
た繊維を、前記実施例1の弾性部と同じ形状にプレス成
形し、減圧したAr雰囲気の焼結炉において1030℃
で焼結することにより、比較例1〜4それぞれの繊維焼
結部を作製した。さらに、前記実施例1と同様にして粉
末焼結部を作製し、前記繊維焼結部と該粉末焼結部とを
スポット溶接にて接合することにより、実施例1〜4の
給電体とした。
【0042】以上のようにして作製した実施例1および
比較例1〜4の給電体を、下記表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】(試験方法)2枚の加圧板の間に上記給電
体を挟み、該加圧板によって給電体に圧縮荷重を負荷し
た際の給電体の変位を測定した。加圧試験はオートグラ
フ(島津製作所製:荷重容量100kN)を用い、変位
計測にはクリップゲージ(JHON SHEPIC製:
DG−40)を用いて行った。尚、圧縮弾性率は、圧縮
荷重−変位曲線において、設定荷重(設計面圧×面積)
となる位置におけるバネ定数(=荷重/変位[kN/m
m])を求め、さらに以下の式を適用することにより求
めた。 圧縮弾性率 [MPa] =(バネ定数)×(初期厚み/
断面積) 各給電体について圧縮荷重−変位曲線を測定し、試験結
果を図4に示すとともに、それぞれの圧縮弾性率を表1
に示す。
【0045】図4に示したように、荷重を低減させる際
の変位を示す除荷曲線において、面圧が1MPaである
状態から圧縮量が0.02mm減少する際の面圧の減少
量を比較すると、実施例1の給電体では面圧の低下率が
約30%であるのに対し、比較例1、2の給電体ではい
ずれも50%以上、比較例3、4の給電体では80%以
上となっていることがわかる。即ち、本実施例1に係る
給電体は、圧縮復元性が大きく圧縮量が減少した際にも
圧縮復元性に優れ、面圧を維持しやすいという利点を有
することがわかる
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る給電体によ
れば、固体電解質膜に圧接された際にも該固体電解質膜
が損傷されにくく、さらに温度変化による電解セルの伸
縮が生じた際にも固体電解質膜との良好な接触状態を維
持することが可能となる。従って、電気分解の際の電流
分布に偏りが生じにくく、電圧の上昇が抑制されること
となるため、所定のエネルギー効率の維持を図ることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給電体の一実施形態を示す分解斜
視図。
【図2】本発明に係る給電体の一実施形態を示す断面
図。
【図3】本発明に係る電解セルの一実施形態を示す一部
断面分解図。
【図4】実施例に係る給電体の圧縮試験結果を示すグラ
フ。
【図5】従来技術に係る電解セルの一部断面分解図。
【符号の説明】
1…粉末焼結部、1a…接触面、2…弾性部、3…エキ
スパンドメタル、10…二重構造給電体、11…固体電
解質膜、13…電極板、15…固体電解質膜ユニット、
20…端板、21…締付ボルト、30…電解セル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水電解装置における電解セルを構成し、
    固体電解質膜に圧接されて使用される給電体であって、
    圧縮弾性率が5〜50MPaであることを特徴とする給
    電体。
  2. 【請求項2】 前記給電体のうち固体電解質膜に圧接さ
    れる面が、導電性粉末又は導電性繊維が平滑な状態に焼
    結されてなる請求項1記載の給電体。
  3. 【請求項3】 前記給電体が、導電性板が立体的且つ網
    目状に成形された導電性成形板が1以上積層されてなる
    弾性部を有する請求項1又は2記載の給電体。
  4. 【請求項4】 水電解装置における電解セルを構成し、
    固体電解質膜に圧接されて使用される給電体であって、
    導電性板が立体的且つ網目状に成形された導電性成形板
    が1以上積層されてなる弾性部を有し、且つ固体電解質
    膜に圧接される面が、導電性粉末又は導電性繊維が平滑
    な状態に焼結されてなることを特徴とする給電体。
  5. 【請求項5】 前記導電性成形板の圧縮弾性率が5〜5
    0MPaである請求項3又は4記載の給電体。
  6. 【請求項6】 前記導電性成形板がエキスパンドメタル
    である請求項3〜5のいずれかに記載の給電体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の給電体
    を具備することを特徴とする電解セル。
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